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 10月7日、さいたまのさいたまスーパーアリーナにて恒例のジャパンオープンが開催されました。フィギュアファンの皆様にとってはおなじみですが、ジャパンオープンは日本、欧州、北米という地域別で争われる団体戦。各チーム男女2名ずつで構成され、フリーのみを行い、その得点を足し算し、チーム別の順位を決定します。
 さっそく結果をお伝えしますと、優勝したのは欧州チームで、2位は日本、3位は北米となりました。ここからはチーム別に各選手の演技内容を振り返っていきたいと思います。

Japan Open 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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●日本チーム

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 日本チームは三原舞依選手、本田真凛選手、宇野昌磨選手、そしてプロスケーターの織田信成さんの4人が今回のメンバー。三原、本田の両選手は初出場となりました。チームの得点は614.93点で、0.42点差で惜しくも欧州チームに届きませんでした。
 女子二人は非公式ながら自己ベストを上回るスコアでチームに大いに貢献。三原選手は予定していたエレメンツを全てクリーンにこなす圧巻の演技で147.83点をマークし、女子の2位に入りました。9月のオータムクラシックインターナショナルでは3フリップのエッジエラーやジャンプミスがあり、また、表現面でも動きが小さくなってしまうなど課題が見つかった三原選手ですが、それから2週間余りでまるで別人のように躍動しましたね。もちろん本当に大切なのはこれからですが、技術は相変わらず安定していますし、短い期間での切り換え力、修正力も光っていて、やはり強いなと感じさせられました。シニア2季目で好成績を期待されるプレッシャー、4年に1度のオリンピックシーズンという特別感をあまり気にすることなく乗り越えられれば、五輪の切符にぐっと近づくんじゃないかなと思いますね。
 今季シニアデビューの本田選手もパーソナルベストより高いスコアをマークしました。が、内容的には後半のジャンプにミスがあり冷静なリカバリーも見せたものの完璧ではありませんでした。また、自己ベストを上回る得点でも順位では6人中5位ということでジュニアとシニアの違いを痛感させられる試合ともなり、本田選手自身悔しさを露わにしました。ジュニアでは申し分ない成績を残し、メディアでも取り上げられる機会の多い本田選手ですが、あくまでもシニアでは実績ゼロのルーキー。注目度が高い分、期待に応えなければいけないというプレッシャーもあるかもしれませんが、本来シニア1年目の選手というのは何も失うものがなく、怖いもの知らずでいろんなことにチャレンジできるはずです。シニアデビューシーズンが五輪シーズンと重なったがゆえに、五輪代表に選ばれるためにはすぐに結果を出さなければいけないという難しさもありますが、シニア1年目だからこその怖いもの知らずの特権を活かして、いろんな場面で攻めていってほしいですね。
 世界選手権銀メダリストの宇野選手はチームをリードする役割を期待されましたが、練習からジャンプが不調だったようで男子の3位にとどまりました。冒頭の4ループは完璧に成功させて波に乗るかに見えましたが、続く4サルコウは着氷で大きく乱れ、後半の4フリップは転倒、4トゥループはダウングレード(大幅な回転不足)、3アクセルからのコンビネーションジャンプも単独にとミス連発の演技となってしまいました。最近見ないくらい荒れた内容でしたが、それだけ4回転5本という構成は跳び切るだけで至難ということを改めて感じさせられましたね。ただ、宇野選手の実力を考えればこの構成は無謀な挑戦ではありませんし、ピーキングさえうまくいけば確実にものにできる構成だと思うので、ジャンプの成功はもちろんのこと、全ての要素を含めたプログラムとしての完成も楽しみにしたいと思います。
 2年連続出場の織田さんは4トゥループ2本、3アクセル2本という昨年より難度を上げた構成に挑戦。4トゥループ2本は見事着氷しましたが、3アクセルは2本とも失敗し昨年のような“自己ベスト更新”とはならず。ですが4位と健闘し、引退からもうすぐ4年経つにもかかわらず、“現役感”満載の演技で会場を沸かせました。


●欧州チーム

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 欧州は世界女王エフゲニア・メドベデワ選手、世界ジュニア女王アリーナ・ザギトワ選手のロシア女子二人、前世界王者のハビエル・フェルナンデス選手、イスラエルのアレクセイ・ビチェンコ選手という顔ぶれとなりました。チームの得点は615.35点で3年ぶりの優勝を果たしました。
 チームを引っ張ったのはやはり世界選手権2連覇中の絶対女王メドベデワ選手。内容的には若干苦手としている3ルッツの踏み切りが不正確であると判定されたのが気になるくらいで、いつもどおりの安定した演技で152.08点をマークし、もちろん1位でした。ただ、ジャンプ構成は9月のオンドレイネペラトロフィーから変更されていて、オンドレイネペラではフリーは前半にジャンプは2アクセル1つのみだったのが、今大会は3+3と3ルッツを前半に跳ぶという昨季の構成に戻していて、メドベデワ選手の中で前の構成に何かしっくりこないところがあったのかなと想像します。元々昨季の構成でもメドベデワ選手は無敵状態だったわけで、それをあえてさらに難しい構成にしたということ自体が、自分の現状にあぐらをかかず高みを目指すというアグレッシブな姿勢がうかがえて素晴らしいなと思うのですが、彼女ほどの実力と実績があれば五輪シーズンである今季は新しい試みをせず、着実に足元を固めていく戦略の方がより金メダルは確実なものになるのかなという気がします。メドベデワ選手を将来的におびやかす選手がいるとすればザギトワ選手が一番怖い存在かなと個人的には思いますが、いくら勢いがあっても今季中にメドベデワ選手の域にまで達するのは無理でしょうから、メドベデワ選手はこれまでどおり自分らしい演技を心がけていればおのずと五輪の金メダルは近づいてくるのではないでしょうか。
 そのザギトワ選手は、全ジャンプを後半に固めたいつもの構成をクリーンにこなし3位となりました。点数的には9月のロンバルディアトロフィーよりは落ちましたが、内容的には相変わらずの安定感で、GPに向けてさらに勢いづかせる演技でしたね。こうした勢いや流れというのはソチ五輪シーズンのユリア・リプニツカヤ選手を思わせる部分があり、今季に関してはこの流れがオリンピックまでは継続されるんじゃないかという気がします。
 前世界王者のフェルナンデス選手はちょこちょこ3回転が2回転に抜けるミスはありましたが、全体の流れを途切れさせることなくベテランらしい落ち着いた演技を披露し、189.47点で1位となりました。スロースターターのフェルナンデス選手にとって今はまだ自分の状態を様子見しているような段階かもしれませんが、試合に合わせる力はさすがにピカイチですね。現在4回転は3種類、4種類、さらには5種類という時代にまで来ていますが、あくまで2種類で完成度を追い求めるフェルナンデス選手の戦法がどういった結果をもたらすのか注目したいと思います。
 当初出場を予定していたトマシュ・ベルネルさんに代わって出場が決まったビチェンコ選手は、ミスが相次ぎ最下位に終わりました。ビチェンコ選手は9月のオータムクラシックインターナショナルに当初エントリーしていたのですが、結局そちらに出場はせずジャパンオープンに参加したということを考えると、ジャパンオープンの出場が決まったからオータムクラシックはキャンセルしたということなのかもしれません。ただ、オータムクラシックとジャパンオープンでは勝手が違いますし、9月下旬の大会と10月初旬の大会とでは調整の仕方も変わってくるので、そういった部分で調整の難しさはあったのかなと想像します。ビチェンコ選手のGP初戦はNHK杯、次こそは日本でビチェンコ選手らしい演技が見られることを期待したいですね。


●北米チーム

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 北米チームは全米女王のカレン・チェン選手、ベテランの長洲未来選手、全米王者のネイサン・チェン選手、今年現役引退を表明したジェレミー・アボットさんという全員アメリカのメンバー構成に。チームの得点は572.95点で2年連続の3位にとどまりました。
 昨季大躍進を遂げた男子のチェン選手は、9月のUSインターナショナルクラシックから4回転の本数を増やして臨み、4フリップでの転倒や4サルコウのパンクなどはあったものの、4ループと4ルッツはクリーンに着氷させ、178.46点で2位に入りました。それでもまだまだ本調子ではなさそうですし、4回転の数もさらに増えることが予想されますから、GPでギアチェンジして良い意味で調子に乗ったチェン選手の姿が見られることを楽しみにしたいですね。
 先日引退を発表したばかりのアボットさんは3年連続の出場。4回転は含まない構成で得点源としては3アクセルを軸とした演技でしたが、クリーンに着氷することは叶わず5位となりました。GPシリーズや全米選手権など公式試合に出場したのは14/15シーズンが最後で、その後は進退を明確にはせずジャパンオープンやアイスショーで活躍していたアボット選手。なので引退と聞いてもあまり実感は沸かないのですが、改めてお疲れさまと言いたいですね。ジャンプが何よりも華である男子フィギュア界の中においては、ジャンパータイプではないアボットさんは決して目立つ存在ではありませんでしたが、無駄な力なくすいすい伸びるスケーティングは随一の美しさで、そこから繰り広げられる透明感と気品溢れる表現力は唯一無二で忘れられません。選手を引退しても、あのスケーティングで魅せる舞台はたくさんあると思いますから、第2の人生を楽しく歩んでほしいと思います。
 女子は出場予定だったグレイシー・ゴールド選手がコンディション不良のため欠場、その代わりとして長洲選手が3年ぶりに出場しました。冒頭では先日のUSインターナショナルクラシックで初成功させた大技3アクセルに挑戦。両足着氷でバランスを崩し惜しくも成功とはなりませんでしたが、回転は認定されました。そのほかはミスらしいミスなく滑り切り、非公式ながら自己ベストを上回る134.69点で4位となりました。3アクセルは残念でしたが、空中で身体が斜めになってしまったことによる失敗でそこまで悪い形での失敗ではなかったと思うので、そう遠くないうちに完全な形での成功も見られるのかなという気がします。また、それ以外の部分でも一つもアンダーローテーション(軽度の回転不足)を取られていないというのが前戦から修正されていて良かったですね。この調子でGPにも良い流れを継続させてほしいと思います。
 一方、全米女王のチェン選手はアンダーローテーションや転倒といったミスが重なり6位にとどまりました。チェン選手も9月のUSインターナショナルクラシックに出場して回転不足を多々取られたのですが、まだその部分での修正が上手くいっていないようですね。ほかのアメリカ女子たちに後れを取らないためにも、次のスケートカナダまでには課題を乗り越えたいところですし、シーズン序盤から存在感をアピールできるかできないかというところでオリンピックの代表争いにも関係してくると思うので、全米女王のチェン選手といえどもうかうかしていられない状況ですね。



 ジャパンオープン2017の記事は以上です。さて、ここから選手たちは本当の戦いに入っていきます。これまでは自分の状態を確かめたりじっくりと調整に時間を費やしたりしてきた選手たちも、オリンピック出場に向けて結果が求められる試合が続いていくことになります。4年に1度のオリンピックシーズン、どんな戦いが繰り広げられるのか、どんな予想外のことが起きるのか、楽しみです。では。


:記事冒頭の全選手の集合画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、日本チームの画像、北米チームの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、欧州チームの画像は、フィギュアスケート情報サイト「EUROPEONICE.COM」の公式ツイッターから引用させていただきました。

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オータムクラシックインターナショナル2017&オンドレイネペラトロフィー2017―世界王者に明暗 2017年9月30日
ネーベルホルントロフィー2017&フィンランディアトロフィー2017―日本、五輪団体戦出場へ前進 2017年10月11日

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# by hitsujigusa | 2017-10-14 01:58 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 9月27日から30日にかけてドイツのオーベルストドルフにて行われたネーベルホルントロフィーと10月6日から8日にかけてフィンランドのエスポーにて行われたフィンランディアトロフィー。前者は平昌オリンピックのまだ埋まっていない国別の出場枠をかけた戦い、後者は世界の覇権を争うトップ選手たちのGPシリーズ前の最後の調整といった意味合いが強い試合となり、それぞれ質の異なる盛り上がりを見せました。両大会の模様をざっくりと振り返ってみたいと思います。

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《ネーベルホルントロフィー2017》

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 今回はいつもとは違って変則的ですがアイスダンスの結果から。優勝はイギリスのペニー・クームズ&ニコラス・バックランド組。SDは全てのエレメンツを高いレベルでまとめて唯一の70点台に乗せて堂々の首位発進。FDはツイズルで細かなミスがありレベルは取りこぼしましたが、そのほかのエレメンツでは全て1点以上の加点を積み重ね、他を寄せつけず自己ベストで完全優勝となりました。16/17シーズンはクームズ選手の怪我によって全ての試合を欠場したクームズ&バックランド組。今大会が2季ぶりの復帰戦となったわけですが、さすが世界選手権で入賞経験のあるカップルとあって、他のカップルとの格の違いを見せつけた形となりましたね。スコアも自己ベストを4点近く一気に更新ということで、復帰シーズンを申し分ない形でスタートできたのではないでしょうか。
 そして2位に入ったのが日本の村元哉中&クリス・リード組です。SDはクリーンなエレメンツを揃えて自己ベストまで約1点というスコアで2位につけると、FDは全てのエレメンツをレベル3もしくは4と高いレベルでまとめて自己ベストを4点近く更新。トータルでもパーソナルベストをマークし、銀メダルを獲得しました。まだ平昌五輪のアイスダンスの出場枠を獲得していない日本にとって、この最終予選の舞台で枠を取れるか否かはアイスダンスの枠のみならず、日本チームとして団体戦の出場権も懸かる重要な試合でした。そのプレッシャーが重くのしかかる場面で、自己ベスト更新の演技というのは本当に素晴らしかったですね。思えば4年前のこの大会でクリス選手と姉のキャシーさんとのカップルで枠を獲得したのですが、現在は村元選手とクリス選手という結成3季目とまだ歴史は浅いカップルではあるものの、着実に地道に進化を遂げて、日本のアイスダンスのレベルを底上げしてくれているように感じます。このあとのシーズンも怪我なく順調に、オリンピック出場へ向けて頑張ってほしいですね。
 3位はドイツのカヴィタ・ローレンツ&ヨディ・ポリゾアキス組です。SDは目立ったミスなくエレメンツをこなして3位と好発進。FDはステップがレベル2にとどまる取りこぼしはありましたが、ほかはおおむねミスらしいミスなく滑り切り3位、総合でも3位とチャレンジャーシリーズでは初めての表彰台を射止めました。


 続いてはペアです。優勝したのは世界選手権2017の銅メダリスト、ロシアのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組。SPは冒頭の3ツイストで加点2という極めて高い評価を受けると、続く3トゥループ、スロー3ループも完璧に成功。珍しく演技時間超過で1点減点はありましたが、内容的にはほぼノーミスでトップに立ちます。フリーは大技4ツイストに挑み、加点こそ伸びなかったものの大きなミスなくまとめると、3サルコウ、スロー3サルコウと続けて着氷。次のコンビネーションジャンプがパンクするミスはありましたが、その後は目立ったミスなく演じ切り、国際大会では自身2度目となる140点台をマークしてトップの座を守り切りました。
 2位は世界選手権2017銀メダル、ドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組です。SPは大技スロー3アクセルに果敢に挑戦しますがあえなく転倒。ソロジャンプの3サルコウでも乱れがあり、2位にとどまります。フリーは前半にジャンプ系エレメンツを固め、まずはショート同様にスロー3アクセルに挑みましたが再び転倒。さらに3トゥループ+3トゥループのジャンプシークエンスでも転倒、3サルコウは2回転にとミスが重なります。その後のエレメンツは全てレベル4とさすがの実力を見せつけましたが、タラソワ&モロゾフ組には及びませんでした。
 3位は世界ジュニア選手権2017の王者、オーストラリアのエカテリーナ・アレクサンドロフスカヤ&ハーレー・ウィンザー組。ショートは全エレメンツをクリーンにこなし自己ベストを2点ほど更新して4位発進。フリーはスピンでところどころ取りこぼしは散見されましたが、それでもGOEでマイナスが付く要素は一つもなく実力を出し切って自己ベストを20点以上更新。トータルでも26点以上もパーソナルベストを上回り、シニアの国際大会で初めてのメダルを手にしました。
 日本の須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組は11位となり、平昌五輪での日本のペアの出場権獲得はなりませんでした。SPは序盤のサイドバイサイドの3サルコウで転倒。そのほかのエレメンツは大きなミスなくまとめましたが11位にとどまります。挽回したいフリーでしたが、再び3サルコウで転倒。その後も2つの転倒があり、リフトやスピンでもミスと精彩を欠き13位、総合11位と順位を上げられませんでした。須藤&ブードロー=オデ組のパーソナルベストは164.96点で、それを今大会のペアの結果と照らし合わせても順位は11位ということで、どちらにしてもなかなか厳しい戦いだったのかなと思うのですが、点数的、順位的なことよりも、内容的に彼ららしい演技がほとんどできなかったことの方が大きいのかなと思います。GP初戦のロステレコム杯では何よりも二人らしい演技が見られることを祈りたいですね。


 次は男子。優勝はベルギーのヨリク・ヘンドリックス選手です。ショート、フリーともに4回転には挑まず、その分確実にできるエレメンツを丁寧にこなし、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4という完成度の高い演技を見せ、2位に27点もの差をつけての優勝となりました。
 2位はアメリカのアレクサンダー・ジョンソン選手。こちらもショート、フリーともに4回転はなしで、SPは全体的にクオリティーの高いエレメンツを揃えて2位と好発進。フリーは得点源の3アクセルでミスが相次ぎましたが、それ以外のエレメンツはおおむねコンスタントにまとめ、僅差ながら2位の位置を死守しました。
 3位はスウェーデンのアレクサンデル・マヨロフ選手。ショートは冒頭の4トゥループのミスを最小限に抑えて3位。フリーも4トゥループや3アクセルを大きなミスなく揃えて3位のままフィニッシュしました。

 最後は女子です。優勝はオーストラリアのカイラ二・クレイン選手。ショート、フリー通じて3+3は組み込まずに臨み、ところどころ細かいミスはありましたが大きくリズムを崩すことはなく、ショート1位、フリー2位、総合1位でチャレンジャーシリーズ初優勝を成し遂げました。
 2位はスウェーデンのマチルダ・アルゴットソン選手。こちらも大会を通じて大きなミスなく、また、スピンはほとんどがレベル4と取りこぼしも少なく、自己ベストを12点以上更新。クレイン選手とは0.44点差で2位と惜しくも優勝は逃しましたが、チャレンジャーシリーズでは初めての表彰台となりました。
 3位はスイスのアレクシア・パガニーニ選手。ショートは得点源の3+3や3ループでミスがあり6位と出遅れ。フリーでもちょこちょこミスはありましたが、大崩れすることなく耐えた演技でフリー3位、総合でも3位と追い上げました。



《フィンランディアトロフィー2017》

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 まずは女子の結果からです。優勝はロシアの成長株マリア・ソツコワ選手。SPは演技時間超過による減点こそあったものの内容的には大きなミスなくまとめて2位につけ、フリーは終盤の2アクセルの回転不足がミスらしいミスと言えるくらいの完璧に近い演技を披露し自己ベストを更新。トータルでも自己ベストをマークし、逆転での優勝を手にしました。シニア2季目となるソツコワ選手ですが、この時期としては文句なしの好演だったのではないでしょうか。ロシア女子の国内の争いは非常に厳しいですが、国際大会初戦でいきなりの200点超えは好スタートですし、このあとのGPでのジャッジへの印象も良くなりますから、ソツコワ選手がどんな活躍を見せてくれるのか、期待したいですね。
 2位はイタリアのベテラン、カロリーナ・コストナー選手。SPは得点源のコンビネーションジャンプが入らず痛い得点ロスとなりましたが、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4に加え高い加点を稼ぎ、首位と0.37点差の3位と好位置につけます。フリーも冒頭からジャンプミスが相次ぎましたが、後半のジャンプは致命的なミスなくまとめて2位、トータルでも2位とベテランの底力を発揮しました。地元開催のロンバルディアトロフィーに続きチャレンジャーシリーズ2戦目の出場となったコストナー選手。得点的には前回も今回もさほど悪くなく、むしろシーズン序盤としては上々という印象ですが、内容的にはまだジャンプが不安定ですね。それでも当たり前のように190点台を出せるのがコストナー選手の凄さで、技術点では若い選手たちの後塵を拝しても、演技構成点では遥かに優位に立っているので、やはり強いなと思います。とはいえシーズンも大詰めの頃になれば、今大会のようなミスをしていてはコストナー選手といえども高難度のジャンプ構成を組む選手たちに追いつけなくなってしまう可能性もあるので、今後コストナー選手がどうレベルアップしてくるかに注目ですね。
 3位は元世界女王、ロシアのエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手です。SPはノーミスの演技で極めて僅差ながら首位発進。しかしフリーは序盤に転倒を含むミスを重ね、後半は挽回を見せたものの得点を伸ばし切れず4位、総合3位と順位を落としました。コストナー選手同様、ロンバルディアトロフィーに続いてチャレンジャーシリーズ2戦目だったトゥクタミシェワ選手。メダルを逃したロンバルディアよりは得点も上積みできて良かったのかなと思うのですが、フリーで崩れてしまったという印象があるので今持っている力を出し切れたという感じではないですね。3アクセルもまた見たいなーという気はしますが、まずはショート、フリーを揃えて、トゥクタミシェワ選手らしい演技というのを楽しみにしたいと思います。
 日本の白岩優奈選手は7位に入りました。SPは冒頭の3+3のセカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)と判定。さらに後半の3フリップがパンクして2回転となり規定違反で無得点に。ステップシークエンスやスピンのレベルの取りこぼしもあり、自己ベストより約10点ほど低い得点で8位にとどまります。フリーもまずは3+3からで、出来栄えとしては若干マイナスとなりますが回転不足なく着氷。後半に5つのジャンプ要素を固め、ところどころ細かいミスはありましたが大崩れすることなくまとめ6位、総合7位で大会を終えました。どちらかというと苦さの方が残る試合だったかなと思いますが、ショートのミスをフリーで挽回したのは素晴らしかったですね。8月のアジアンオープンも今大会もジャンプに苦戦している印象でまだ本調子までは遠いのかなと思うのですが、焦らずじっくり本来のジャンプを取り戻してほしいですね。


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 男子の優勝者は世界選手権2016、2017の銅メダリスト、中国の金博洋(ジン・ボーヤン)選手です。SPは大技4ルッツ+3トゥループと3アクセルを決めたものの、後半の4トゥループが回転不足で転倒し2位発進。フリーも冒頭の4ルッツは成功させますが、続く4サルコウは転倒。後半の2本の4トゥループは着氷しますが、3+3は転倒。ミス連発で得点は自己ベストより40点近く低い得点で3位でしたが、トータルでは1位となり接戦を制しました。ショート、フリーそれぞれで4ルッツをクリーンに下りたのはさすがでしたがほかの4回転ではミスが多く、まだまだプログラム全体をまとめる段階までは行っていないのかなという感じですね。とはいえこれだけのジャンプ構成を組める選手は世界でも稀有ですし、やはりここぞという時の爆発力は恐ろしいものがあり、あとは調子が良くない時にいかにミスを最小限に抑えられるかというのも重要だと思うので、オリンピックメダル候補の一人として目が離せない選手ですね。
 2位は世界ジュニア王者、アメリカのヴィンセント・ジョウ選手です。SPは冒頭で大技4ルッツに挑みますが回転不足で着氷も乱れます。しかし続く4フリップ+3トゥループは完璧に成功。が、後半の3アクセルはこちらも回転不足となり、6位にとどまります。フリーもまずは大技4ルッツから、着氷で片手を氷につきますが回転は認定されます。続く4フリップはショート同様にクリーンに成功。さらに4サルコウも着氷と、前半だけで3種類の4回転を跳び切ります。後半は4トゥループを成功させますが1本目の3アクセルがパンクして1回転に。ちょこちょこミスはありましたが大崩れせずまとめてフリー1位、総合2位に躍り出ました。昨季ジュニアながら全米選手権で2位に食い込み、世界ジュニア選手権では男子史上4人目となる4ルッツを成功させて一躍脚光を浴びたジョウ選手。そしていよいよ今シーズン鳴り物入りでの本格的なシニア参戦となったわけですが、さっそくインパクト大の演技を見せてくれましたね。何といっても昨季習得した最高難度の大技4ルッツもそうですが、国際大会では初めて成功させた4フリップ、4トゥループ、以前から跳んでいる4サルコウとすでに4種類もの4回転を自分のものにしていて、正直ジョウ選手がここまで急激に伸びてくるとは想像以上で驚かされました。昨年のフィンランディアトロフィーでは同じくアメリカのネイサン・チェン選手がシニアデビューで初優勝していますが、まさにその再現のような感じもあり、ジョウ選手が昨季のチェン選手のように一気にスターダムを駆け上がるのか、それともどこかで壁にぶつかるのか、どちらにしろ非常に興味深い存在ですね。
 3位はアメリカのベテラン、アダム・リッポン選手です。ショートは4回転を回避し、確実性の高い構成をクリーンに演じ切り3位につけます。フリーは冒頭で4ルッツに挑戦しますが回転不足で転倒。しかしその後は問題なくジャンプをこなし、1本目の3アクセルは着氷で乱れましたが、2本目の3アクセルはしっかりコンビネーションにして成功。スピン、ステップシークエンスは全てレベル4とリッポン選手らしさを示しフリー2位、総合3位となりました。昨季は怪我のためにシーズン後半を休養にあてたリッポン選手。久しぶりの実戦となった今大会、まだジャンプの不安定さは見られたものの、リッポン選手らしさは健在といったところも垣間見られ、復帰戦としてはまずまずの内容だったのではないでしょうか。アメリカ男子も次々に強力な若手が登場してきていますが、表現力という点においてはリッポン選手の右に出る者はなかなかいません。今までオリンピックには縁がなかったリッポン選手ですが、今度こそそのチャンスが巡ってくることを祈りたいですね。


 ペアは中国の彭程(ペン・ジャン)&金楊(ジン・ヤン)組が優勝。ショートは全てのエレメンツを高い質で揃えトップ発進。しかしフリーはサイドバイサイドジャンプとスロージャンプでそれぞれ1度ずつ転倒があり2位、総合では1位となりショートのアドバンテージに救われた形となりました。
 2位はイタリアのニコーレ・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組。SPはツイストとスロージャンプで細かなミスがあり3位。フリーもいくつか小さなミスはありましたが全体的にはまとまった演技で1位、総合2位と順位を上げました。
 3位はソチ五輪銀メダル、ロシアのクセニア・ストルボワ&ヒョードル・クリモフ組。ショートは冒頭のツイストで男性が女性をキャッチする時に長く抱えるような形になってしまい、レベル2どまりの上に減点されるミスがあり3位。巻き返したいフリーでしたが、ツイストはショートと同じようなミスを繰り返してしまいます。その後は難しいスロー3ルッツや3連続コンビネーションジャンプを決め立て直したかに見えましたが、中盤のリフトで女性が落下する大きなミス。さらに2つ目のリフトでも同様に女性が空中でポジションを維持できないまま落下、男性もバランスを崩して転倒します。続くスピンでも男性が体勢を崩し尻もちと信じられないようなミスが相次ぎます。その後の2つの要素は気持ちを切り替えてクリーンにこなしましたが、得点はパーソナルベストから40点ほど低い点数で4位、総合3位に終わりました。


 アイスダンスは前世界王者、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組が圧勝しました。SDはほぼ完璧といっていい演技で自己ベストに0.17点と迫るハイスコアで首位。FDは珍しくステップシークエンスで男性のシゼロン選手が転倒するアクシデントがありましたが、それ以外はクオリティーの高いエレメンツを揃え、断トツで今季初戦を制しました。
 2位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組。SDはミスも取りこぼしもなくまとまった演技で自身2度目となる70点台で2位と好発進。FDも序盤は上々の滑り出しを見せますが、中盤のステップは女性のステパノワ選手が微妙にバランスを崩す場面もありレベルも2で加点もつかず。リフトの時間超過による減点もあり得点はあまり伸びませんでしたが、ショートと合わせて2位のポジションは揺るぎませんでした。
 3位はデンマークのロランス・フルニエ・ボードリー&ニコライ・ソレンセン組です。SDはステップがレベル2にとどまった以外はおおむね高いレベルでエレメンツをまとめ3位発進。FDはリフトで流れが滞るミスがあり減点を受け、2つのステップもレベル2どまりになる取りこぼしもあり5位。ですが総合では3位となり銅メダルを獲得しました。



 ネーベルホルントロフィー2017&フィンランディアトロフィー2017の記事は以上です。チャレンジャーシリーズはこのあとも4試合残っていますが、GPシリーズ前の試合は全て終了ということで、GPに出場するトップ選手たちはこれからいよいよ本格的にシーズンに突入していくということになります。今からがオリンピックへ向けての本当のアピール合戦の場になるといっても過言ではないですから、チャレンジャーシリーズで調整してきた選手たちがそこでつかんだ課題と収穫をGPにどうつなげるか注目ですね。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、ネーベルホルントロフィー2017のアイスダンスのメダリスト3組の画像は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、フィンランディアトロフィー2017の女子メダリスト3選手のスリーショット画像は、フィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式ツイッターから、フィンランディアトロフィー2017の男子メダリスト3選手のスリーショット画像は、「International figure Skating」の公式フェイスブックページから引用させていただきました。

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ロンバルディアトロフィー2017&USインターナショナルクラシック2017―日本勢躍動 2017年9月22日
オータムクラシックインターナショナル2017&オンドレイネペラトロフィー2017―世界王者に明暗 2017年9月30日
ジャパンオープン2017―欧州、3年ぶりの優勝 2017年10月14日

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# by hitsujigusa | 2017-10-11 18:22 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 グランプリシリーズの前哨戦であるチャレンジャーシリーズに組み込まれているカナダ開催のオータムクラシックインターナショナル2017と、スロバキア開催のオンドレイネペラトロフィー2017がほぼ同時期に行われました。オータムクラシックインターナショナルには男子の世界チャンピオンである羽生結弦選手とアイスダンスの世界チャンピオン、テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組が、オンドレイネペラトロフィーには女子の世界チャンピオン、エフゲニア・メドベデワ選手が出場し、オリンピックシーズンの国際大会初戦に臨みました。そのほかにも世界の強豪選手や日本選手が複数出場し、それぞれに活躍を見せました。

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《オータムクラシックインターナショナル2017》

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 男子の優勝は2015、2016年の世界チャンピオン、スペインのハビエル・フェルナンデス選手です。SPは冒頭の4トゥループ+3トゥループが4+2になりますが、4サルコウ、3アクセルは難なく決め、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と上々の演技。101.20点で2位発進します。フリーは冒頭の4トゥループを成功させますが、続く4サルコウが3回転になった上にダウングレード(大幅な回転不足)となりさらに転倒というまさかのミス。動揺したのか次の3アクセルからのコンビネーションも2アクセル+2トゥループにとミス連発の前半に。しかし後半は4サルコウ+3トゥループを決めると、その後は大きなミスなくジャンプを立て直しました。得点は177.87点とフェルナンデス選手の実力からすると低調な数字でしたが順位は1位、総合でも1位と逆転優勝を勝ち取りました。
 初戦とあってジャンプの数が多いフリーはミスが目立ってしまい、終盤のステップシークエンスでもレベル2どまりとらしからぬ取りこぼしもありましたが、元々フェルナンデス選手はスロースターターという印象なのであまり不安がる部分はないでしょう。シーズン序盤で苦戦してもシーズンの最も大事なところにはしっかり合わせてくる選手なので、彼にとって演じるのは2度目になるSP「チャップリンメドレー」(以前はフリーで演じていたのでSPとしては初めて)と、故郷スペインを舞台にした「ラ・マンチャの男」という集大成にふさわしいプログラムがこれからどう磨かれていくのかに期待したいですね。

 銀メダルを獲得したのは世界王者、日本の羽生結弦選手です。右膝に違和感があるとのことで通常より難度を落とした構成で臨んだ羽生選手。かつて2季に渡って演じたショパンの「バラード第1番」を三度演じることにしたショートは、まず4サルコウを完璧に決め全ジャッジから満点となる加点3を得ると、後半に組み込んだ3アクセルも加点3。最後の4トゥループ+3トゥループはセカンドジャンプで両手を上げる進化を披露。ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と初戦とは思えない完成度の高さを見せつけ、自身が持つ世界最高得点を約2点更新する112.72点をマークし、圧巻の首位発進となりました。一夜明けたフリー、演技前半には4回転は組み込まない構成を予定し、まずは3ルッツからでしたがこれが珍しく1回転に。続く3ループ、3フリップはしっかり着氷し、後半最初の4サルコウ+3トゥループはパーフェクトに成功。しかし次の4トゥループからの3連続ジャンプが2トゥループからの連続ジャンプになると、直後の4トゥループも再び2回転に。さらに3アクセルで転倒し、2つ目の3アクセルは急遽変更して4トゥループに挑みますがダウングレードでの着氷で大幅に減点され、終始羽生選手らしからぬ演技に終わりました。得点は155.52点とパーソナルベストより60点以上低い点数で順位もまさかの5位、総合2位となりフェルナンデス選手に逆転を許しました。
 世界に衝撃を与えたショートから一転、フリーはまた別の意味で衝撃的な内容となりましたね。フリーの失敗の原因について羽生選手自身は「雑念が多かった」と語り、最初の3ルッツがパンクしたことによってどこで取り返そうかと考えながら滑ったことが集中力を欠いた理由のようです。とはいえ状態が良い時の羽生選手であれば考えながら滑ったとしても冷静にエレメンツをこなせる選手だと思うので、今回はそれ以上に右膝痛で練習できない時期があったことや、それによってジャンプ構成の難度を落とさなければならなかったことや、万全の調整ができなかったことによる微妙な感覚のズレや、いろんなことが重なり合った結果なのかなと思います。それにしても世界最高のショートから3季ぶりのフリー150点台という落差を見るにつけ、つくづくフィギュアスケートはメンタルのスポーツだなというのも感じさせられました。ですが、心技体が全て揃った時の羽生選手の凄みというのはいまさら言うまでもないですが他を寄せつけない圧倒的なものがありますし、今大会は心も技も体も万全ではなかったがゆえのこの演技内容だったと言えますから、次は心技体が揃った羽生選手の姿が見たいですね。もちろん右膝も軽傷とはいえ練習の仕方によっては悪化する可能性もありますし、右膝をかばってほかの部位をということもありえますから、何はなくとも体を第一に次戦に向けて調整してほしいと思います。

 3位に入ったのは地元カナダのキーガン・メッシング選手です。SPは冒頭の4トゥループこそ着氷で手をつきますが、その後の3アクセル、3+3はしっかり着氷。エレメンツのほとんどで加点1以上を獲得し、自己ベストを約10点更新し4位と好位置につけます。フリーは序盤の3ルッツ、4トゥループをクリーンに成功させ好スタートを切りますが、3アクセルからの連続ジャンプはジャンプとジャンプのあいだでバランスを崩し減点されます。後半に入って最初の4トゥループ+2トゥループはきれいに成功。以降は細かいミスを重ねながらも大きくリズムを崩すことはなく滑り切り、約15点自己ベストを更新し銅メダルを手にしました。
 フェルナンデス選手と羽生選手の優勝争いが大会前から確実視されていた中、3位が誰になるかというのは注目ポイントでしたが、メッシング選手というのは大穴でしたね。世界選手権で入賞経験もあるミーシャ・ジー選手やナム・グエン選手、GPで表彰台経験のある村上大介選手やロス・マイナー選手ら実力者が揃う中で、メッシング選手は実績的にも過去の得点を見てもこのメンバーの中では劣るかなという印象だったのですが、一気に30点以上パーソナルベストを更新するとは予想外でした。ジャンプ構成としてはそこまで難易度の高いものではなく、得点源の4回転や3アクセルでもちょこちょこミスは犯していますし、ステップシークエンスはショートがレベル2、フリーがレベル1と取りこぼしも多いのですが、成功させたエレメンツの加点は全体的に高く演技構成点も8点台を揃えられたことが銅メダルに繋がりましたね。

 故障からの復帰を図る日本の村上大介選手は8位となりました。ショートは4サルコウで転倒、3アクセルも乱れ、後半の3+3も3+2にとミスが相次ぎ、70.09点で7位にとどまります。巻き返したいフリーでしたが、冒頭の4サルコウの着氷でステップアウトし手をつくと、続く2本目の4サルコウは3回転に。次の3アクセル+2トゥループは成功させますが、後半の3アクセルは転倒。その後も細かいミスが重なり得点は伸ばせず130.50点で8位、総合も8位と順位を一つ落としました。
 右足甲の負傷で昨シーズンを棒に振った村上選手。約1年ぶりの試合で存在感をアピールしたいところでしたが、ジャンプが不安定で演技全体にも精彩を欠きました。この大会の前にスケート靴が壊れてしまいその靴のままで試合に臨まざるをえず、本人の弁では着氷が「ぐにゃって感じ」で踏ん張りが利かなかったようですね。今回は残念な結果に終わりましたが、村上選手の言葉や表情は明るく、スケート靴が故障する前は練習で4フリップも着氷していたとのことですから、次の試合こそ本来の村上選手らしい演技が見られることを祈りたいと思います。


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 女子は世界選手権銀メダリストで地元カナダのケイトリン・オズモンド選手が断トツで優勝。ショートで3+3、3ルッツ、2アクセルと全てのジャンプをクリーンに着氷。ステップシークエンス、スピンも質の高いものを揃えて、自己ベストに極めて近い得点で圧巻の首位発進を果たします。フリーは冒頭の3+3、2アクセル+3トゥループを完璧に成功させ、続く3ルッツは着氷で若干こらえますが大きなミスにはならず。しかし中盤のレイバックスピンの後、次の動作に移る際にスケート靴のエッジが氷に引っかかったのかお腹側から転倒してしまいます。一瞬痛そうな表情を見せましたがすぐに演技に戻り、後半は3連続ジャンプが2連続となったり2アクセルが1回転になったりする細かな取りこぼしはありましたが、大崩れすることなくまとめて自己ベストを0.19点上回り、2位に18点以上の大差をつけての優勝となりました。
 SPはシーズン開始時はジャズのスタンダードナンバー「サマータイム」を用意していましたが、今大会から昨季の「パリの空の下/ミロール」に変更。「パリの空の下/ミロール」はオズモンド選手の代表作といってよいハマりプログラムとあって、昨シーズンからの流れのままの素晴らしい内容とスコアでしたね。フリーは細かなジャンプミスもあり、つなぎの部分で転倒するアクシデントもあり、演技そのものとしてはふわっとした感じになってしまったかなと思うのですが、この時期なので当たり前といえば当たり前ですね。ショートに関してはすでに体になじんだプログラムとあって全く心配はないですから、あとはフリー次第でオリンピックでメダルを取れるか否かというのも左右されそうな気がします。

 2位は昨季の四大陸選手権女王、日本の三原舞依選手です。ショートは冒頭の3+3を確実に下り、後半の2アクセルも着氷とスムーズな流れで演技を進めますが、最後の3フリップが間違ったエッジで踏み切ったと判定されて大きく減点。目立ったミスなく演技を終えましたが、得点は伸び切らず自己ベストより6点近く低い点数で2位となります。フリーも冒頭の3+3、2アクセルをクリーンに着氷。後半に5つのジャンプ要素を固め、最初はショートでエッジエラーを取られた3フリップでしたが、再びエッジエラーとの判定。続く2アクセル+3トゥループは2つ目が2回転となりますが急遽2ループを付けて3連続コンビネーションに変更。3ループはきれいに成功させ、単独予定だった3ルッツに3トゥループを付けて冷静なリカバリーを見せますが、最後の3サルコウは珍しく2回転に。得点は自己ベストから13点ほど低い得点にとどまり、順位もショートから変わらず2位で今季初戦を終えました。
 ショート、フリーともに3フリップでエッジエラーを取られたのは意外でしたが、昨季はルッツとフリップの跳び分けは正確にできていたので、もう一度練習でコーチとともにしっかり修正すれば心配はないのかなと思います。3回転が2回転に抜けたジャンプも2つありましたが、ちょっとしたタイミングのズレだと思うので大きな問題ではないでしょう。表現面に関してはSPは三原選手にとって初ジャンルとなるタンゴということで、まだ少しぎこちなさがうかがえました。タンゴ特有の妖艶さを醸し出すための丁寧な努力は伝わってきたのですが、目線の送り方や細かい仕草、緩急の付け方など、さらにスムーズかつ洗練されればよりタンゴらしくなるなと感じましたね。ですが、元々持っている滑らかでスピード感溢れるスケーティングとタンゴのリズムとの相性はとても良いと思うので、完成形を楽しみにしたいです。フリーは全体的に優しい曲想ですが、終盤のステップシークエンスのところでガラリとイメージが変わるので、その部分でもっとメリハリをつけられると音楽の壮大さを表現できるのかなと個人的には思いました。シニア2季目となる今季は怖いもの知らずだった昨季とは心のありようが全く違うと思いますが、1つ1つの試合、目の前の演技のことだけを考えて、三原選手らしくシーズンを送ってほしいですね。

 3位はカザフスタンのエリザベート・トゥルシンバエワ選手です。ショートは3+3がどちらのジャンプも回転不足と判定、単独の3フリップもミスがあって得点が伸びず5位。フリーはところどころジャンプの着氷で踏ん張る場面はありましたが、ほぼノーミスの演技で自己ベストに約2点と迫るスコアで3位、総合3位と順位を上げました。
 ショートは3+3がファーストジャンプもセカンドジャンプも回り切らずというミスがありましたが、フリーでは後半に3+3と2アクセル+3トゥループを入れてしっかり回り切って下り、見事な修正能力を見せました。また、フリーは多くのジャンプで手を上げて跳び、昨季からのレベルアップが明確にうかがえましたね。ジャンプに高さや幅がないトゥルシンバエワ選手にとっては、よりGOEで加点を得るための合理的な工夫だなと思います。

 今季シニアデビューの日本の新田谷凛選手は6位となりました。SPは冒頭の3フリップがアンダーローテーション(軽度の回転不足)で転倒。後半の3ルッツも着氷でバランスを崩し2トゥループを付けたもののコンビネーションとは認められず。最後の2アクセルはしっかり着氷しましたが、ジャンプミスが響きパーソナルベストより14点以上低い得点で9位と出遅れます。フリーは冒頭の3サルコウで両手を上げて跳びますが転倒と暗雲が漂うスタートとなります。しかし続く3フリップ、3ループはクリーンに成功。後半もほぼ全てのジャンプをきれいに跳び切り、演技後はホッとしたような笑みを浮かべました。得点は自己ベストとなる114.37点でフリー5位、総合6位と大きく順位を上げました。
 ショートは慎重になりすぎたのかジャンプの際に硬さが見られましたが、フリーは演技が進むにつれて柔らかさが増していったような印象でした。新田谷選手は現在20歳とシニアに上がる年齢としては遅い方ですが、じっくり腰を据えてジュニアで経験を積み、培ったものを大切にして、でも思い切りの良さも忘れずに今季は頑張ってほしいですね。


 ペアはフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組が優勝。ショートはほぼ完璧な演技でしたが時間超過があって減点1、自己ベストまで約2点という得点で2位につけます。フリーは3トゥループからの3連続ジャンプが2+2+2に抜けたものの、直後の大技スロー4サルコウは両足着氷と最小限のミスでこらえます。後半のスロー3ルッツでは転倒してしまいますが、おおむねミスを少なくエレメンツのクオリティーも高く揃えて、フリー1位、総合1位と逆転で金メダルを獲得しました。チャレンジャーシリーズでの優勝は初めてのジェームズ&シプレ組。昨シーズンは欧州選手権で初めて表彰台に立って一段階ペアとしてのレベルを上げましたが、今季さっそく優勝したことでさらに飛躍を遂げそうですね。特にスロー4サルコウは世界の表彰台を狙う上で強力な武器になるので、まずはGPの初優勝に期待したいですね。
 2位は元世界チャンピオン、カナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組です。ショートはさすがの演技で首位に立ちましたが、フリーは演技序盤のサイドバイサイドのジャンプで女性のデュハメル選手の転倒が相次ぎ、大技のスロー4サルコウも転倒。後半は立て直しましたが前半のミスが響き、自己ベストから27点以上低い得点で3位、総合2位にとどまりました。昨季はシーズン終盤に調子を落とし不完全燃焼のシーズンとなったデュハメル&ラドフォード組。復活を期する今季の初戦は残念ながららしくない演技に終わってしまいました。このペアが無敵状態だった時のジャンプの安定感が最近は見られないので、GPでいかに巻き返してくるのか注目ですね。
 3位は同じくカナダのジュリアン・セガン&シャルリ・ビロドー組です。ショートはサイドバイサイドの3サルコウが2回転になって3位発進。フリーは序盤のコンビネーションジャンプで着氷が乱れますが、それ以外はほぼノーミスでまとめて2位、総合3位となりました。


 アイスダンスは世界王者、カナダのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイアが圧勝。ショート、フリーともにステップ以外は全てレベル4と他のカップルを全く寄せつけず、2位に20点以上の大差をつけて昨年に続き2連覇を達成しました。
 2位はカナダ選手権2位のケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組。SDはツイズルで女性のウィーバー選手がわずかにバランスを崩し減点となり2位。FDはほぼノーミスでしたが加点を思ったほど伸ばせないエレメンツもあり2位、総合2位となりました。
 3位もカナダのパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組。SDはパターンダンスのレベルが2にとどまり3位。FDはおおむねレベルもGOE加点も揃えましたが、2位と約1点差で3位と逆転は叶いませんでした。



《オンドレイネペラトロフィー2017》

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 まずは女子から。優勝は世界女王のエフゲニア・メドベデワ選手。SPは昨季同様全てのジャンプを後半に組み込みその全てを完璧に成功。ステップシークエンス、スピンもレベル4で、加点は全部が1点以上と初戦とは思えないレベルの高さを見せつけ、自身2度目となる80点台をマークして圧巻の首位発進。フリーは7つのうち6つのジャンプ要素を後半に固め、若干苦手としている3ルッツが踏み切りが不正確となり着氷でもオーバーターン、3サルコウ+3トゥループは微妙に詰まり気味となりましたが、ミスらしいミスなく演技をまとめ、堂々の完全優勝を果たしました。
 毎回のようにパーフェクトな演技を見せ続けるメドベデワ選手にしては、フリー後半の3ルッツや3+3はいつもとは違う出来だったかなと思いますし、ステップシークエンスもレベル3ということで本当の意味で完璧とは言えませんが、それは世界選手権2連覇中で世界最高得点保持者のメドベデワ選手だからこそ要求されるレベルや質が他選手とは段違いということであって、普通に考えれば充分に素晴らしいと言える演技でしたね。初戦ゆえの難しさ、慎重さというのは世界女王といえどもあったとは思いますし、今回見られた小さな綻びも修正に時間がかかるようなものではないように見受けられるので、次戦のジャパンオープンでメドベデワ選手がどんな演技を見せてくれるのか大いに期待したいですね。

 2位に入ったのは日本の本郷理華選手です。ショート冒頭の3+3はセカンドジャンプがアンダーローテーションの判定。しかし後半の苦手の3ルッツ、2アクセルはクリーンに下りて自己ベストに3点と迫るスコアで2位と好発進します。フリーも冒頭の3+3はセカンドジャンプが回転不足となり、3ルッツは踏み切りが不正確となって若干減点を受けます。後半も2アクセル+3トゥループの2つ目が回転不足、3ループはダウングレード(大幅な回転不足)で転倒とミスが重なりますが、終盤は立て直して最後までスピード感を保ってフィニッシュ。得点は123.49点と2季ぶりに国際大会で120点台をマークし2位、総合でも2位で銀メダルを手にしました。
 ショート、フリーともにミスがあり本郷選手自身は納得がいかなかったかもしれませんが、初戦としてこの出来であれば及第点なのではないかと個人的には感じました。アンダーローテーションを取られたジャンプは本当にあともう少しの跳び上がりがあればという感じでしたし、3ルッツもロングエッジ(完全に間違ったエッジ)ではなく、ノットクリアエッジ(不明瞭なエッジ)にとどめたのは良かったと思います。昨季から苦労している3ループの課題は残りましたが、演技全体の動きは本郷選手らしい躍動感が見られ、そういった点が評価されたのか昨季はほぼなかった演技構成点の8点台を2項目でマークし、昨シーズンは国際大会で一度もなかったフリー120点台を初戦で出せたということで、幸先の良いスタートと言えるのではないでしょうか。昨季から継続のSPはもちろん、新しいフリーも本郷選手の魅力をよく引き出していると思うので、自信を持って次戦に臨んでほしいですね。

 3位はロシアの実力者、エレーナ・ラディオノワ選手です。SPは得点源の3+3と2アクセルでミスが続き、自己ベストより8点ほど低い得点で3位にとどまります。フリーは序盤に3ルッツと3フリップをしっかり着氷。後半に5つのジャンプ要素を固め、最初の3+1+3は全てのジャンプをきっちり回り切って着氷。続く3フリップ+2トゥループはジャンプ自体に問題はなかったものの3フリップの踏み切りがロングエッジのため減点。2アクセルはクリーンに成功させ、続いて3ループでしたが跳び上がろうとした瞬間に靴のエッジが氷の溝にはまったのか跳び上がれず転倒してしまいます。直後の2アクセルは予定どおり跳び切り、次に急遽3ループを跳んで着氷させましたがこれは8つ目のジャンプ要素になるため跳び過ぎで認められず。アクシデント的な転倒にも負けず力強く演じ切りましたが、117.79点で4位、総合3位と順位はショートから変わりませんでした。
 近年はスレンダーな体形は保っているものの高身長の影響もあってかジャンプの回転不足が目立つラディオノワ選手。それによって引き起こされる負のスパイラルが続いているような印象ですが、ミスがあってもめげない明るいキャラクターがラディオノワ選手の魅力でもあって、今回のフリーの転んだジャンプにもう一度挑むという姿は結果として実らなかったものの、彼女らしい攻める姿勢を感じましたね。ロシア女子たちの国内の競争は世界一過酷ですが、ラディオノワ選手らしい演技と気持ちの強さで勝ち抜いてほしいなと思います。


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 男子の優勝はロシア王者のミハイル・コリヤダ選手。SPはまだ試合で成功させたことのない大技4ルッツにチャレンジし回転は認定されたものの転倒。続いて4トゥループからの連続ジャンプの予定でしたが、3回転になった上に着氷でも乱れて単独ジャンプに。さらに最後の3アクセルは1回転となり、演技を終えたコリヤダ選手は呆然としたような表情を浮かべました。得点は演技時間超過による減点1も加えて66.65点でまさかの10位と大きく出遅れます。中1日で迎えたフリー、冒頭は再び4ルッツに挑戦、これを完璧に成功させます。続く4サルコウは回転は充分でしたが転倒。次の3アクセル+2トゥループは問題なく着氷します。後半は3種類目の4回転である4トゥループでしたが、空中で軸が曲がり再び転倒。しかし3アクセル、3+1+3、3ループと相次いで成功。最後の3ルッツはこれも軸が曲がって着氷はステップアウトしました。得点は自己ベストに迫る181.16点でフリー1位、総合1位とショート10位から大逆転を果たしました。
 ショートはまさかの60点台というボロボロの内容で、優勝の可能性は消えたかと思わせられましたが、フリーはいろんな意味でサプライズの連続でしたね。まず冒頭の4ルッツの成功。ショートで転倒したとはいえ回り切っていたので成功は時間の問題だったのかもしれませんが、初成功とは思えないくらい素晴らしい質でした。これで4ルッツの公式試合での成功者はアメリカのブランドン・ムロズさん、中国の金博洋(ジン・ボーヤン)選手、アメリカのネイサン・チェン選手に続く4人目となりました。ですが、その後の演技では4サルコウと4トゥループで転倒。1つのプログラムの中で明と暗が如実に表れた内容でしたが、4サルコウも4トゥループも回り切ってからの転倒だったのでそんなに大きな修正は必要ないのかなと思います。このフリーだけを見ても、ポテンシャルの高さは証明済みと言えるコリヤダ選手ですが、あとはどれだけ一定以上のレベルの演技を見せ続けられるかだけだと思うので、GPでの活躍を楽しみにしたいですね。

 2位は同じくロシアのベテラン、セルゲイ・ボロノフ選手です。ショートは4トゥループで転倒しますが、ほかのエレメンツは予定どおりにこなし80点台をマークしてトップ発進。フリーは序盤に得点源となる4トゥループや3アクセルを固めミスが重なりますが、後半は挽回して2位、総合も2位となりました。
 決してジャンプは本調子ではなかった印象ですが、それでも大崩れしないのは経験の豊富さゆえでしょうか。内容的にもスコア的にも世界のトップレベルで戦っていくためには物足りませんが、混沌としているロシア男子の五輪の代表争いの中では充分に競える力は持っているのかなと思いますね。

 3位はオーストラリアのブレンダン・ケリー選手。SPは3つのジャンプ要素全てで何かしらのミスを犯し5位。フリーも2本の4トゥループに失敗しますが、そのほかのジャンプはほぼノーミスでまとめて3位、総合3位と順位を上げました。
 ケリー選手はこの前週のロンバルディアトロフィーにも出場して3位。今大会はショートで出遅れたものの、ショートで上位につけた選手がことごとくミスを重ねて脱落していき結果的に2週連続で銅メダルを手にするという結末になりました。4トゥループはショート、フリー通じて安定しなかったものの、ほかのジャンプでミスを最小限に抑えたことが銅メダルに繋がったのだと思いますが、パーソナルベストで自身を上回る選手たちを差し置いて銅メダルを獲得できたというのは、“持ってる”選手とも言えるなと感じました。

 日本の田中刑事選手は総合8位と消化不良の結果に終わりました。SPは冒頭の4サルコウが3回転となったものの、以降の3+3、3アクセルはまとめて4位と好位置につけます。しかしフリーは冒頭の4サルコウが回転不足となって転倒すると、中盤の4サルコウ、3アクセルでも転倒を連発。終盤の3フリップ、3ループがそれぞれ2回転となるミスもあり、121.37点というロースコアで9位、総合8位と大きく順位を落としました。
 多少波がありながらも最近はまとめる力をつけてきた田中選手にしては大荒れな内容でしたね。全体を通して4サルコウは不調だったようですが、そうした一つのズレからどんどん歯車が噛み合わなくなっていったようなフリーでしたね。本人がいちばんふがいなさを感じる内容だと思うので、これがGPや全日本選手権でなくて良かったと思うくらいの余裕を持って、次戦では奮起して田中選手らしい演技を見せてほしいですね。

 同じく日本の日野龍樹選手は11位となりました。SPは冒頭の4トゥループこそダウングレード(大幅な回転不足)で着氷を乱しましたが、その後の3アクセル、3+3は安定した跳躍を見せ、67.25点で6位発進とします。フリーもまずは4トゥループからで、一見クリーンに着氷したかに見えましたがダウングレードと判定されます。次は3ルッツは転倒。次の3アクセル+2トゥループはジャンプとジャンプのあいだにターンが入り減点。その直後の3ループは再びダウングレードで転倒とミスジャンプが続きます。後半に入って最初の3アクセルはクリーンに下りますが、続く3ルッツ、3フリップと転倒。最後の3+3は決めましたが、4度の転倒が響き得点は117.08点で11位、総合でも11位と振るいませんでした。
 まずまずまとめたショートから一転、フリーは途中から何かに狂いが生じてしまったかのような崩れ方でしたね。踏み切りや着氷のタイミングだったり、空中での軸の作り方だったり、体重を乗せるポイントだったり、いろんな部分がどんどんずれていったのかなという気がしました。悔しさしか残らない内容だと思いますが、これ以上悪いということは今季はもうないという見方もできるので、次戦に向けてうまく調整していってほしいですね。


 ペアは6組のみの出場でトップスリーをロシア勢が独占。優勝したのはナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組で、SPは細かなミスが複数あり2位発進。フリーもミスはありましたが最小限のミスに抑えて同国のライバルを逆転しました。これでザビアコ&エンベルト組は前週のロンバルディアトロフィーに続き2週連続優勝。まだシーズン序盤なので何とも言えませんが、ひとまずジャッジに対してのアピールは大成功したといってよさそうですね。
 2位はクリスティーナ・アスタホワ&アレクセイ・ロゴノフ組。SPは全てのエレメンツで加点を引き出し自己ベストで首位発進。フリーは前半のソロジャンプで小さなミスが重なり、ザビアコ&エンベルト組に約1点の僅差でかわされました。
 3位はアリサ・エフィモワ&アレクサンドル・コロヴィン組。ショートはミスを3サルコウの着氷ミスのみにとどめて自己ベストで3位。フリーはソロジャンプで転倒とコンビネーション予定のジャンプが単独になったことによる減点がありましたが、そのほかはそつなくまとめてショートに続き自己ベストで3位、総合3位で大会を終えました。


 最後はアイスダンスの結果です。金メダルを獲得したのはロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組です。SDはツイズルの途中でタイミングがずれるミスがありましたが、そのほかは無難にまとめて首位に立ちます。FDはステップ以外のエレメンツを全てレベル4で揃え自己ベストに約1点と迫る高得点をマーク。トップを守り切りました。
 2位は今季シニアデビューの世界ジュニア王者、アメリカのレイチェル・パーソンズ&マイケル・パーソンズ組です。SDは自己ベストまであとわずかという得点で2位と好発進。FDはステップが1つレベル2にとどまり得点を伸ばし切れず3位でしたが、トータルでは2位となり、ISU主催のシニアの国際大会での初表彰台となりました。
 3位はロシアのベティナ・ポポワ&セルゲイ・モズコフ組。SDは2つのスピンが両方ともレベル2にとどまりましたがわずかに自己ベストを更新して3位。FDはツイズルがレベル2となる取りこぼしはありましたが、そのほかはおおむね質の高いエレメンツを揃えて自己ベストを6点以上更新し2位、総合3位でシニアの国際大会では初めてのメダルを手にしました。



 ということで、オータムクラシックインターナショナル2017とオンドレイネペラトロフィー2017については以上です。前者には男子の世界王者とアイスダンスの世界王者が、後者には女子の世界王者が出場ということで、フィギュアファンの注目が集まりましたが、“明”の結果となったヴァーチュー&モイア組、メドベデワ選手と対照的に、羽生選手は“暗”の面がより目立つ結果となりました。もちろんこの時期なので深刻にとらえることは全くなく、失敗することで課題を見つけて強化するための調整試合なので、次の試合でその課題がどう修正されているかに注目したいと思います。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、オータムクラシックインターナショナルの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、オンドレイネペラトロフィーの画像は、フィギュアスケートフォトグラファー、Joanna Grams氏の公式ツイッターから引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2017-09-30 01:46 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)