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 前記事に引き続き、日本を含む世界のトップ選手たちの17/18シーズンの新プログラム情報を書いていきます。


 まずは宮原知子選手から。
 宮原選手はアイスショーなどでプログラムを明かし、SPは「映画『SAYURI』より」でローリー・ニコルさん振り付け、フリーは「蝶々夫人」でトム・ディクソンさん振り付けであることが判明しています。
 ショートの「SAYURI」は女子選手の中では定番となっている映画音楽。日本を舞台にした芸者が主人公の映画ということもあって、日本女子選手には特に人気ですね。映画音楽界の巨匠ジョン・ウィリアムズ作曲で、和の要素をふんだんに盛り込みながらもハリウッドらしい壮大感もあり、繊細な表現を元々得意とし、最近は力強い滑りにも迫力が出てきた宮原選手にとっては取り組みやすい選曲と言えるかもしれません。とはいえ「SAYURI」の中でもいろんな曲があるので、どの部分を使い、どう編集するかによっても印象は変わってくると思うのですが、アイスショーでの演技を拝見しますと、前半はしっとりと、終盤は比較的アップテンポに激しくという緩急のハッキリした構成になっていて、短い時間の中でもスケーティング技術や表現の技術をアピールしやすいプログラムになっているのかなと思いますね。
 そしてフリーは王道の「蝶々夫人」。荒川静香さん、太田由希奈さん、安藤美姫さん、浅田真央さんといった日本女子フィギュアの歴史を築いてきたそうそうたるメンバーが演じてきた、日本女子選手にとっては特別な意味を持つ作品です。過去のプログラムと比べられる難しさもあると思いますが、宮原選手にしか演じられない「蝶々夫人」にきっとなるでしょうから楽しみですね。日本人女性が主人公のストーリーという点で「SAYURI」と雰囲気、世界観的に被る部分もあるのかなという気もしますが、「SAYURI」の演技を見るとそこまでストーリーを意識した感じにはなっていないので、どういうふうに演じ分けられるのかというところに注目したいと思います。
 その宮原選手に関してはアイスショー「THE ICE」の大阪公演の後に足首を捻挫し、予定していた名古屋公演出演をキャンセルするというアクシデントが発生。捻挫自体は軽傷のようで大事を取ってのキャンセルのようですが、昨季の怪我からの回復途上ということもありますし、もしかしたら一日でも早く本来のジャンプを取り戻そうという気持ちもあるかもしれませんが、頑張りすぎず適度なペースで調整をしてほしいですね。


 昨季大きな飛躍を遂げた三原舞依選手もアイスショーで新プログラムをお披露目しています。

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 SPはブノワ・リショーさん振り付けの「リベルタンゴ」、フリーはデイヴィッド・ウィルソンさん振り付けの「ガブリエルのオーボエ 映画『ミッション』より」です。
 ショートはアストル・ピアソラの代表的なタンゴ。数多のスケーターが演じてきた定番のタンゴです。情熱的で妖艶な曲想は今までの三原選手にはない新たな挑戦となると思いますが、アイスショーでの演技を見る限り今の時点でもかなり習得できているなと感じましたね。細かな部分の表現はまだまだこれからでしょうが、元アイスダンサーのリショーさん特有の複雑なステップにもうまく対応していて、これから滑りこなれて三原選手がプログラムの色に染まっていくのが楽しみですね。
 フリーは映画『ミッション』のサントラの中でも特に知られる「ガブリエルのオーボエ」。作曲は映画音楽界の巨匠エンニオ・モリコーネで、穏やかでありながら壮大な曲調が印象的です。どちらかというと曲調の変化の激しくないプログラムになるのかなと想像しますが、三原選手のスケーティングの滑らかさや雄大さを活かせるプログラムになりそうですね。


 日本男子のベテラン、無良崇人選手はインタビュー記事でプログラムを発表し、SPは「Too Close」でマッシモ・スカリさん振り付け、フリーは「オペラ座の怪人」でチャーリー・ホワイトさん振り付けであることがわかっています。
 SPはイギリスの歌手アレックス・クレアの楽曲。インタビューによるとフリーの方が先に決まっており、そのフリーと180度違うものを表現したいと考えて選んだ曲とのことで、「純粋に格好良さを出した」プログラムであると無良選手は語っています。元々無良選手は男らしい男くささ、ワイルドさや豪快さが持ち味ですから、集大成のシーズンに、いかにも無良選手らしい、というプログラムが見られることは嬉しいですね。
 一方のフリーは14/15シーズンにも演じた「オペラ座の怪人」。ただ、以前とは振り付け師が違うので、全く新しい「オペラ座の怪人」になりそうですね。「オペラ座の怪人」を再び演じることにした理由について無良選手は、「自分としても良い印象があった」「さらに良いものができるという自信があった」と話していて、以前の「オペラ座の怪人」で得たものを引き継ぎつつ、今の無良選手だからこそ演じられる「オペラ座の怪人」になると思うので、今からお披露目が待ち遠しいですね。


 日本女子の実力者、本郷理華選手もインタビュー記事でプログラムについて明かし、SPは昨季と同じ「カルミナ・ブラーナ」、フリーは「映画『フリーダ』より」とのことです。
 ショートは2季連続で「カルミナ・ブラーナ」。本郷選手にとって昨季は不完全燃焼に終わったということも選曲の理由としてあると思いますが、プログラム自体は本郷選手のダイナミックなスケートによく合っていて、継続させることでますます進化していく伸びしろを持ったプログラムだと感じるので、良い選択だと思います。
 フリーはメキシコの画家フリーダ・カーロの人生を描いた映画『フリーダ』のサントラを使用。フィギュア界ではほとんど使われない作品・音楽なので、どういったプログラムになるのか未知数ですが、ほかの選手と全く被らないプログラムを演じるということで唯一無二のオリジナリティーを表現できれば、おもしろい作品になりそうだなと思いますね。


 昨季全日本2位となった田中刑事選手はすでに試合でプログラムを披露しており、SPは「Memories」、フリーは昨季と同じ「フェデリコ・フェリーニ・メドレー」です。
 ショートは荘厳な雰囲気を漂わせるブルース。昨季まで2シーズンに渡って演じたSP「ブエノスアイレスの春」と雰囲気は違いますが、大人の男の色気や渋さを感じさせるという意味では共通点も多いプログラムかなと思います。そういった部分で継続性もあり、「ブエノスアイレスの春」の延長線上として演じやすく、体にもなじみやすい選曲ではないでしょうか。
 フリーは昨季からの持ち越しである「フェデリコ・フェリーニ・メドレー」。田中選手にとっては初めてのGPのメダルや全日本の表彰台をつかんだ記念碑的なプログラムでもあり、その一方で世界選手権で出し切れなかったという悔しさも残るプログラムだと思うので、再び見られるのは嬉しいですね。ダイナミックでありながら細かな遊び心も織り交ぜられたコミカルなプログラムは田中選手の新たな魅力を引き出していて、2シーズン目はさらに進化することが予想されますので楽しみです。


 ここからは海外勢です。
 世界選手権2017銅メダリスト、カナダのガブリエル・デールマン選手はツイッターやインスタグラムで新プログラムを発表。

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 SPは「カルメン」、フリーは「グラディエーター・ラプソディー 映画『グラディエーター』より」だそうです。
 ショートは大定番中の大定番「カルメン」。元々パワフルな表現には定評があり、最近ではそこに柔らかさやしなやかさも加わって表現が多彩になってきたデールマン選手がどんな“カルメン”を見せてくれるのかワクワクします。
 フリーは古代ローマの剣闘士を描いた大ヒット映画『グラディエーター』のサントラを使用したプログラムとのことで、デールマン選手得意の勇ましさやダイナミックさが活かされたプログラムになるのかなと思いますが、上述したように最近のデールマン選手は男性的な力強さだけでなく女性的な表現もうまくなっていますから、そういったメリハリが織り交ぜられたプログラムになるとおもしろそうだなと思いますね。


 ロシアのベテラン、セルゲイ・ボロノフ選手はロシアフィギュアスケート連盟の公式サイトのインタビューでプログラムを明かし、SPは「タンゴ」、フリーは「Sarabande Suite(Aeternae)」を演じるそうです。
 ショートはピアソラのタンゴ、とのことですが、具体的な曲名は明かされていません。なので現時点では何とも言えませんね。
 フリーはアメリカのグループ“Globus”の「Sarabande Suite(Aeternae)」という曲。ドイツ出身の作曲家ヘンデルの「サラバンド」を大胆にアレンジし歌詞を付け加え現代的にした曲で、クラシックの趣きも大いに残っていて壮大で神々しい曲想となっています。ボロノフ選手は16/17シーズンのフリーでも壮大なオーケストラを用いたミューズの「エクソジェネシス交響曲第3部」を演じましたが、定番のクラシックよりもクラシカルクロスオーバーみたいなものの方が好きなのかもしれませんね。


 アメリカの実力者コートニー・ヒックス選手は自身のインスタグラムを通じてプログラムを発表。SPは「ノクターン 映画『ラ・カリファ』より」、フリーは「アメイジング・グレイス」です。
 ショートは1970年公開のイタリア映画『ラ・カリファ』の中でも特に知られる楽曲を使用。16/17シーズンに樋口新葉選手がショートで用いたことで日本のフィギュアファンにはおなじみですね。三原選手のところでも言及したエンニオ・モリコーネ作曲で、力強くもどこかもの悲しく壮大な曲想が印象深いですね。
 フリーはおなじみの賛美歌で、ヒックス選手が使うのは男性ボーカル入りです。こちらも壮大かつ神聖な世界観で、ダイナミックな表現が持ち味のヒックス選手によく合いそうです。もちろん賛美歌なのでしっとりとした趣きもあり、そういった緩急、表現面においてのメリハリが注目点かもしれません。



 今回はここまで。いつになるかはわかりませんが、新プログラム情報③に続きます。


:宮原選手の画像、三原選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、デールマン選手の画像はマルチメディアサイト「Zimbio」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
宇野昌磨選手、17/18シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報① 2017年7月22日

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# by hitsujigusa | 2017-08-08 16:39 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 7月となりいよいよ新シーズンが開幕。何といっても今シーズンは4年に1度のオリンピックが開催される記念すべきオリンピックイヤーとあって、例年以上に各選手のプログラムにも注目が集まります。そんな新プログラムについて、現時点でわかっている限りの情報をここでお伝えしたいと思います。ショートのみ、もしくはフリーのみプログラムを発表している選手も多くいますが、ひとまずこの記事ではショートとフリー両方わかっている選手について取り上げていきます。


 まずは上の写真でもおわかりのとおり、世界選手権2017銀メダリストの宇野昌磨選手の新プログラムについてです。
 宇野選手は5月に自身の公式サイトで早々と新プログラムを発表しており、こうして当ブログで記事にするまでに2か月も経ってしまい今更という感じなのですが、改めて書きますと、SPは「冬 「四季」より」、フリーは「トゥーランドット」で、振り付けはいつもどおり樋口美穂子さんであると思われます。
 ショートの「冬 「四季」より」はヴィヴァルディの代表作。フィギュア界でも定番です。すでに宇野選手はアイスショーでこのプログラムを多々披露し手応えのほどを口にしていますが、ヴァイオリンが奏でる「冬」独特の緊迫感と“冷え感”みたいなものをどう表現し切っていくかに注目したいですね。元々宇野選手はこういったクールな雰囲気のクラシック音楽も表現するのはうまいスケーターだと思うので、「冬」といえば宇野昌磨、といわれるくらいの代表作にしてくれることを期待したいと思います。
 そしてフリーは2度目の「トゥーランドット」。シニア1年目となった15/16シーズンのフリーであり、宇野選手が世界的に飛躍するきっかけとなった始まりのプログラムなので、オリンピックシーズンにふさわしいチョイスと言えます。2季前と同じ音楽を使用することでどれだけ進化したかというのをアピールしやすい選曲でもあると思いますし、逆に言えば、同じ曲だからこそ違いを表現できないとアピールとしては弱くなってしまう可能性もあるので、そうした課題を宇野選手がどう乗り越えて新たな「トゥーランドット」を見せてくれるか楽しみにしたいですね。


 同じく日本の樋口新葉選手は自身が契約を結ぶ企業の公式サイトで新プログラムを発表しました。

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 SPは「ジプシーダンス バレエ「ドン・キホーテ」より」、フリーは「スカイフォール 映画『007 スカイフォール』より」です。
 ショートの「ジプシーダンス」は定番のバレエ「ドン・キホーテ」の第2幕のワンシーンで、バジルとキトリの恋人同士がジプシーたちの野営地で歓迎の踊りを見るという場面です。バジルやキトリ、ドン・キホーテが踊る見せ場ではないので、版ごとにいろんなバージョンがあるようですが、私が知っている限りでは女性のジプシーが長いスカートを振り乱しながら情熱的に激しく狂ったように踊るというバージョンが多いように思うので、樋口選手もそういったイメージで演じるのかなと想像します。そうだとすると、ジプシーの女性の妖艶さだったり悲哀だったり重層性があって、若い選手の演じるものとしては比較的難しい曲だなと感じるのですが、昨季「ラ・カリファ」や「シェヘラザード」と自らの新境地にチャレンジして、女性的で柔らかな深みのある表現を手に入れた樋口選手ですので、元々の持ち味であるスピード感、ダイナミックな表現に女性的な表現が組み合わされば、ハマるプログラムになるんじゃないかなと思いますね。
 一方、フリーは映画『007 スカイフォール』の主題歌「スカイフォール」を使用したボーカル入りのプログラム。「スカイフォール」はイギリスの歌手アデルが歌う楽曲ですが、プログラム全編その楽曲のみになるのか、映画のサントラも合わせた感じになるのかなど詳しいことはまだ不明です。「スカイフォール」自体は基本的にはバラード調のポップソングなので、クラシックではないところに意欲的なものを感じますし、歌詞入りのプログラム自体が樋口選手にとっては競技用としては初めてだと思うので、あえてオリンピックシーズンに新しいチャレンジをするというのはリスキーな部分もあるでしょうが、ぜひ頑張って自分のものにしてほしいですね。


 今季シニアデビューとなる世界ジュニア2017銀メダリストの本田真凛選手はアイスショーに際して新プログラムを発表。

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 SPは「ジェラシー/ラ・クンパルシータ」、フリーは「トゥーランドット」とのことです。
 ショートは有名なタンゴ2曲のメドレープログラム。どういうふうに組み合わせるのか詳細はわかりませんが、やはりタンゴというのは大人の世界ですので難しさはあるでしょうが、元々艶やかな表現力を持っている本田選手なら初めてのタンゴでもうまくこなせそうな気がしますし、さらに表現の幅が広がって新たな魅力が加わるという意味でも楽しみですね。
 そしてフリーは上述した宇野選手と同じ「トゥーランドット」。ですが、もちろんプログラムの中身、構成、何より女性と男性とでは表現の仕方もだいぶ違ってきますので、このダイナミックで偉大であまりにも有名な作品を、どう本田選手ならではの「トゥーランドット」に仕上げていくか見守りたいですね。
 ショート、フリーともに少し背伸びをしたプログラムになりますが、本田選手らしさも残しつつ、シニア1年目の変化にも期待したいと思います。


 怪我からの再起を図る村上大介選手は、自身の公式You Tubeでプログラムについてショート、フリーともに昨季からの継続となる「彼を帰して ミュージカル『レ・ミゼラブル』より」「歌劇「道化師」より」であると語りました。振り付けも継続でローリー・ニコルさんではないかと思います。
 SPに関しては3季連続となりますが、昨季は怪我のためほとんど試合に出ていないので実質的には2季連続くらいの感覚ですね。また、一度4月に別の曲でショートプログラムを制作したもののしっくりこず、改めて「彼を帰して」を演じることにしたとも動画の中で話しています。振り付けもところどころ変わっているようですし、昨季までとはまた別の「彼を帰して」として拝見したいと思います。
 フリーも昨季からの持ち越しですが、昨季は上述したようにほぼ試合に出られなかったので「道化師」も演じる機会はあまりありませんでした。なので、こちらも新しいプログラムとしてどんな村上選手の表情が見られるのか楽しみにしています。


 世界ジュニア2017銅メダリストの坂本花織選手もスポーツナビのインタビュー記事で新プログラムを明かし、SPは「死の舞踏」で振り付けは宮本賢二さん、フリーは「映画『アメリ』より」で振り付けはブノワ・リショーさんであることがわかっています。
 「死の舞踏」の方は曲名のみの発表で作曲者についての記述はありませんでした。なので、サン=サーンスの「死の舞踏」なのかリストの「死の舞踏」なのかは現時点ではわかりません。より有名でフィギュア界で多く使われるのはサン=サーンスの方なので多分こっちかなとは思いますが、そう仮定してイメージすると、ダークで幻想的な世界観の作品なので坂本選手の活発で明るいイメージとは全く異なる雰囲気になりそうですね。シニア1年目ということで、慣れた雰囲気のプログラムをやるという選択肢もある中で、オリンピックを目指す上であえて新境地を開拓する方針がうかがえますね。
 そしてフリーはフランスの世界的ヒット映画『アメリ』のサントラを使用するとのこと。フィギュア界では定番というほど使用頻度は高くないですが、高橋大輔さんが10/11シーズンのエキシビションで演じていたのが個人的には印象に残っています。サントラのどの曲を使うかでも印象は変わると思うのですが、アイスショーでの演技を見るとサントラの中でも特に知られたメインテーマを主に使っていて、オルゴール風の旋律とマリオネット風の振り付けで女の子らしい可愛いイメージが強いプログラムになっており、坂本選手らしい明るさ、軽快さはありつつも、より繊細さだったりアンニュイ的な表現力も要求されるのかなという気がします。
 どちらのプログラムにしても坂本選手にとっては新たな試みが多く盛り込まれていると思うので、楽しみだなと思いますね。


 こちらもシニアデビューを迎える白岩優奈選手は、SPが「亜麻色の髪の乙女」、フリーが「展覧会の絵」です。
 ショートはドビュッシーの代表作。元々はピアノ曲ですが、ピアノのみとなるとかなり静かな曲なのでもしかしたらオーケストラバージョンかもしれませんね。静謐で優雅な雰囲気が白岩選手に合いそうでイメージのしやすい曲だなと思います。
 一方、フリーはムソルグスキーの代表作の組曲で、こちらもピアノバージョンとオーケストラバージョンが存在しますが、滑りやすさでいったらやはりオケ版の方がやりやすいでしょうか。組曲なので曲によって曲想や世界観もさまざまで、どういった組み合わせ、構成にするかによって印象はかなり変わってきそうです。なので、どんな感じのプログラムになるかはまだ想像できませんが、有名な曲のわりにはフィギュア界ではそんなに使われることはない音楽なので、新鮮味があって楽しみですね。


 ここからは海外選手情報です。
 まずは2年連続世界女王に輝いているロシアのエフゲニア・メドベデワ選手。

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 メドベデワ選手はロシアフィギュアスケート連盟の公式サイトのインタビュー記事で、SPは「夜想曲第20番」、フリーは「January Stars/The Departure(Luluby) テレビドラマ『LEFTOVERS/残された世界』より/Dona Nobis Pacem 2 テレビドラマ『LEFTOVERS/残された世界』より」であると語っています。
 ショートはショパンのピアノソナタの名曲。スタンダードな選曲と言えますが、シニアに上がってからのメドベデワ選手は純粋なクラシックというのはやっていなかったので、むしろ新鮮な印象を覚えます。誰もが知る名曲を、メドベデワ選手がどう個性を出して演じるのか、注目ですね。
 フリーは複数の曲の組み合わせになるようで、「January Stars」はアメリカのニューエイジの作曲家ジョージ・ウィンストンのピアノ曲、あとの2曲はアメリカのテレビドラマのサントラからの抜粋のようですね。メドベデワ選手は今までも複数の異なる曲を繋ぎ合わせて1つのプログラムにするというパターンを多く採用し、その上で明確なストーリーだったりテーマを掲げて一つの芸術作品として完成させていて、今回もそういったプログラムになるのではないかと予想します。どちらにしろ絶対女王としてオリンピックに向かう気持ちは人一倍強いはずですので、緻密に考えられたメドベデワ選手にしかできないプログラムを見せてくれるのではないかと今から期待が募りますね。


 同じくロシアの世界ジュニア女王アリーナ・ザギトワ選手も、ロシアフィギュアスケート連盟の公式サイトでプログラムを発表済みです。

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 SPは「映画『ブラック・スワン』より/The Middle of the World 映画『ムーンライト』より」、フリーは「バレエ「ドン・キホーテ」より」です。
 ショートは2つの映画のサントラからの抜粋。前者はバレエ「白鳥の湖」を題材にしたヒット映画のサントラですが、映画音楽を担当したクリント・マンセルのオリジナルの部分もあれば、チャイコフスキーの音楽をほぼそのまま引用した部分もあるので、どのパートを使うかによってプログラムの印象も大きく変わってきそうです。そして後者は今年度のアカデミー賞の作品賞を受賞した映画のサントラから。それぞれ全く異なる映画の繫ぎ合わせなので、どういったコンセプトになるか楽しみにしたいと思います。
 そしてフリーは昨シーズンからの持ち越し。何といってもザギトワ選手にとって、“アリーナ・ザギトワ”という名前を強烈に印象づけた記念碑的なプログラムなので、シニアに上がってイメージを変えるよりジュニアで培ったものを継続させる方がよりメリットが大きいという判断なのでしょう。多少なりとも手を加えたりはするでしょうし、昨季との変化もあると思うので、慣れ親しんだプログラムでさらに波に乗って勢いを加速させることができるかどうか注目です。


 世界選手権2017銀メダル、カナダのケイトリン・オズモンド選手は自身の公式インスタグラムで新プログラムについて発表。

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 SPは「サマータイム」、フリーは「映画『ブラック・スワン』より」とのことです。
 ショートの「サマータイム」はガーシュウィン作曲のオペラ「ポーギーとべス」の劇中曲ですが、現在ではジャズの名曲としておなじみ。オズモンド選手は女性ボーカル入りのバージョンを使うようです。「サマータイム」はフィギュア界でも定番となっていますがいろんなアレンジのバージョンがありますし、さまざまな苦悩を乗り越え大人になったオズモンド選手だからこそ演じられる「サマータイム」に期待したいですね。
 フリーはザギトワ選手のところでも言及した映画『ブラック・スワン』。ただ、こちらはフリーの全編に渡って『ブラック・スワン』を使うようですから、映画や「白鳥の湖」の世界観を大いに取り入れた正統派のプログラムになるのではないかと思います。かつてのオズモンド選手といえば明るく活発で踊れる選手というイメージでしたが、今はダークさも悲哀も存分に表現できる選手になりましたから、オズモンド選手ならではの『ブラック・スワン』がはたしてどんなプログラムになるのか今からワクワクします。


 2016年のカナダ女王アレーヌ・シャルトラン選手は自身のツイッターやインスタグラムでプログラムを発表しており、それによるとショートはシェイ=リン・ボーンさん振り付けの「リベルタンゴ」、フリーは「サンセット大通り」だそうです。
 SPはタンゴ界の巨匠アストル・ピアソラの代表曲。リズム感には長けているシャルトラン選手なので、タンゴ独特のリズムやテンポはもちろんのこと、表現面でも大人の女性の艶っぽさなど、今までのシャルトラン選手のイメージとは異なるものも要求されると思うので、新たな挑戦に要注目ですね。
 そしてフリーの「サンセット大通り」は映画とミュージカルの両方がありますが、そのどちらの音楽を使うのかは不明です。ミュージカルの方であれば歌詞が入ってくる可能性もありますし、今の時点ではどういうプログラムになるだろうという予想もつきにくいのですが、映画音楽を使用することの多いシャルトラン選手にとっては得意分野と言えるかもしれません。


 2015、2016年のペアの世界チャンピオン、カナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組はフェイスブックやインタビュー記事で、SPが「With or Without You」、フリーが「ニュートロン・スター・コリジョン/アイ・ビロング・トゥ・ユー(あなたの声に私の心は開く)/アップライジング(叛乱)」であると明かしています。
 ショートはアメリカの歌手エイプリル・メサービーが、アイルランドのロックバンド、U2の世界的ヒットナンバーをカバーした楽曲。原曲よりも静かなバラード調になっていますのでしっとりしたプログラムになるのかなと想像します。
 フリーは初めて世界王者に輝いた14/15シーズンのフリープログラムの再演となります。3シーズン前に飛躍するきっかけとなったプログラムを再び演じることで再飛躍を図るという意味合いもあるでしょうし、人々の印象にも強く残っているプログラムなので、オリンピックシーズンにぴったりの選曲だと思いますね。


 続いてはアメリカ勢です。
 ベテランのアシュリー・ワグナー選手はネットのインタビュー記事などで新プログラムを明かしています。

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 SPは「Hip Hip Chin Chin」、フリーは「映画『ラ・ラ・ランド』より」で、どちらも振り付けはシェイ=リン・ボーンさんです。
 ショートは15/16シーズンのショートプログラム。ワグナー選手にとっては世界選手権のメダルを取った思い出深く縁起の良いプログラムと言えます。表現面でも複雑なリズムを見事に滑りこなしていて、間違いなくワグナー選手の代表作の一つといっていいハマりプログラムでしたから、オリンピックシーズンにこれ以上ない選曲ですね。
 一方のフリーは大ヒットミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』。ワグナー選手は14/15、15/16シーズンのフリーでもミュージカル映画の『ムーラン・ルージュ』を演じていますからミュージカル映画を選択したこと自体に驚きはないですが、『ラ・ラ・ランド』のイメージとワグナー選手が今まで演じてきたプログラムのイメージには多少差があるのでそういった意味では意外な感じもしました。特に『ラ・ラ・ランド』はロマンチックな印象が強い映画なので、ワグナー選手のダイナミックでパワフルなイメージとは雰囲気が少し違うのかなという気もするのですが、『ラ・ラ・ランド』の中でも冒頭に流れる「アナザー・デイ・オブ・サン」とかヒロインの見せ場となる「サムワン・イン・ザ・クラウド」のようなパワフルなダンスナンバーもあれば、しっとりと歌い上げるタイプの曲もあるので、そういった数曲をうまく組み合わせながらメリハリのついたプログラムになると、ワグナー選手らしいドラマチックで躍動感にあふれたプログラムになるのかなと思いますね。


 2014、2016年の全米女王グレイシー・ゴールド選手はNBCのインタビュー記事でプログラムを発表。

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 SPは「People 映画『ファニー・ガール』より」、フリーは「バレエ「ラ・バヤデール」より」で、どちらもマリナ・ズエワさん振り付けになるようです。
 ショートはバーブラ・ストライサンド主演のミュージカル映画『ファニー・ガール』のストライサンドが歌う劇中曲。ですが、元々のミュージカル版でもストライサンドが同じ役を演じており、プログラムで使われるのが映画版かミュージカル版かは不明です。どちらにしろゴールド選手のプログラム史上ミュージカル映画の劇中曲(歌詞入り)というのは初めてであり、ゴールド選手の新たな表情が開拓されるのを期待したいですね。
 そしてフリーはバレエ「ラ・バヤデール」。ゴールド選手にとってバレエプログラムは3季連続4度目(シニア移行後)となり、ゴールド選手らしさを存分に活かせるプログラムになるのではないでしょうか。ただ、今までと違うのは振り付け師がローリー・ニコルさんからズエワさんに変わったことで、振り付け師の個性がプログラムにも表れますから注目ポイントかなと思います。また、バレエプログラムを多く演じているゴールド選手だからこそ、今までのバレエプログラムで培ってきたものを集大成として注ぎ込むという意味で、「眠れる森の美女」や「ダフニスとクロエ」の優雅さ、「火の鳥」の力強さなど、いろんな要素が組み合わさったプログラムになるんじゃないかなと今からとても楽しみです。


 現全米女王カレン・チェン選手は自身の公式サイトで新プログラムについて、SPは「ロクサーヌのタンゴ 映画『ムーラン・ルージュ』より」、フリーは「カルメン組曲」で、両方ともマーク・ピレイさんの振り付けであると明かしました。
 前者はもうフィギュア界ではすっかりおなじみとなったミュージカル映画の劇中曲のタンゴ。男性ボーカル入りになるようで、どちらかというとしなやかな表現が巧い印象のあるチェン選手ですが、最近は力強さだったり激しさだったりといった表現も多彩になってきているので、このパワフルで情熱的なタンゴを演じ切ってくれると思いますし、16/17シーズンのフリーでタンゴの「ジェラシー」を見事に表現し切りましたから、その延長線上のプログラムになるのかなと思います。
 そしてフリーは王道の「カルメン」ですが、よくある「カルメン」ではなくて「カルメン組曲」となっています。「カルメン組曲」とはオリジナルのビゼー作曲のオペラ「カルメン」から楽曲を抜粋し演奏会用に構成したもので、構成した作曲家によっていろんなバージョンがあるのですが、チェン選手が使用するのはロシアの作曲家ロディオン・シチェドリンが編曲したもののようです。よくある「カルメン」とどう違っているのか、どうチェン選手らしい個性が引き出されるのか、気になるポイントの多いプログラムになりそうですね。


 実力者の長洲未来選手は公式サイト等で新プログラムを発表し、SPは昨季と同じショパンの「夜想曲第20番」、フリーは「ミュージカル『ミス・サイゴン』より」で、どちらもジェフリー・バトルさん振り付けになるようです。
 ショートは昨季からの継続ですが、どちらかというと躍動感に満ち活発なイメージのあった長洲選手の新たな魅力を引き出したプログラムなので、引き続き見られるのは嬉しいですね。
 フリーは定番のミュージカル「ミス・サイゴン」。ベトナムを舞台にした物語なのでアジア系の長洲選手には合いそうですし、長洲選手は以前「蝶々夫人」を演じていて、元々「ミス・サイゴン」は「蝶々夫人」に着想を得た作品なので、そういった意味でも長洲選手にとって演じやすいのではないかなと思います。また、バトルさんがミュージカルプログラムを振り付けるというのは珍しい気がするので、その点でも新鮮味があってどんなプログラムになるのか今から楽しみですね。


 昨シーズン怪我のため全試合を欠場したポリーナ・エドマンズ選手は、SPが「Palladio」、フリーが「サラ・ブライトマン・メドレー」と、昨季のプログラムをキープする意向であることをインタビュー記事で語りました。
 ショートはモダンダンスの要素を取り込んだプログラム、フリーは世界的ソプラノ歌手サラ・ブライトマンの歌2曲を組み合わせたプログラムですが、両プログラムとも試合では一度も披露できていないプログラムなので、全く新しい作品として初お披露目される日を楽しみに待ちたいですね。


 1季ぶりの競技復帰を発表したジョシュア・ファリス選手は自身の公式サイトで、SPが「Give Me Love」、フリーが「ローマの松」で、ショート、フリーともに振り付けがジェフリー・バトルさんであると明かしています。
 どちらのプログラムも15/16シーズンに演じる予定で用意されたプログラムでしたが、そのシーズンの練習中にファリス選手は転倒して脳震盪を起こし、その後も2回の脳震盪があったため15/16シーズンはフル休養。そこから復帰することなく昨シーズン現役引退を表明していましたが、今年の2月に競技復帰することを発表していました。
 ショートの「Give Me Love」は14/15シーズンにも使用したプログラムで、ファリス選手の代表作といって過言ではないでしょう。最初に作られてから時間が経っているのでいろいろと手が加えられていると思いますが、またこのプログラムを見られることを嬉しく思います。
 フリーの「ローマの松」はイタリアの作曲家レスピーギの交響詩。こちらは試合では披露されていないはずなので、真新しいプログラムといっても差し支えないでしょう。古代ローマの情景を描いた幻想的で壮大な作品を表現力に定評のあるファリス選手がどう魅せてくれるのか、楽しみです。


 今季シニアデビューとなる世界ジュニア王者のヴィンセント・ゾウ選手は、SPが「Chasing Cars」、フリーが「映画『ロミオ+ジュリエット』より」で、前者はジェフリー・バトルさん振り付け、後者はゾウ選手のコーチでもあるドリュー・ミーキンスさんとアイスダンスソチ五輪王者のチャーリー・ホワイトさんが振り付けを担当しているそうです。
 ショートはイギリスのロックバンド、スノウ・パトロールの代表曲を、“Cinematic Pop”というクラシカルクロスオーバーのボーカルグループがカバーしたバージョンを使用。原曲よりクラシックに近く、壮大なバラードになっています。シニア1年目にもかかわらずあえて王道のクラシックなどではなくロックソングのカバーを持ってきたところにチャレンジ精神を感じますね。
 一方、フリーは1996年公開の『ロミオ+ジュリエット』のサントラを使用。ディカプリオ主演の“ロミジュリ”といえばかつて羽生結弦選手も使用し代表作としましたが、若くフレッシュな男子選手にしか表現できない甘美だったり初々しさというのが、この“ロミジュリ”にはよく合うと思うので、ゾウ選手ならではの“ロミジュリ”に期待したいと思います。


 同じくアメリカ男子のグラント・ホフスタイン選手は自身の公式サイトで、SPが「僕の歌は君の歌 映画『ムーラン・ルージュ』より」、フリーが「オール・アイ・アスク・オブ・ユー ミュージカル『オペラ座の怪人』より/ミュージック・オブ・ザ・ナイト ミュージカル『オペラ座の怪人』より」、両方ともピーター・オペガードさん振り付けであると記しています。
 SPはミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』の中で主演のユアン・マクレガーが歌う楽曲。元はエルトン・ジョンのヒット曲ですが、プログラムではユアン・マクレガーが歌うバージョンを使用するようです。壮大な曲想としなやかでスケール感のあるホフスタイン選手のスケートは合いそうですね。
 フリーはミュージカル『オペラ座の怪人』の楽曲2曲のメドレー。前者はインストゥルメンタルで後者は男性ボーカル入りのようです。数え切れないほど演じられてきた『オペラ座の怪人』をホフスタイン選手が演じるとどんな雰囲気、空気感になるのか、どうしても今までの「オペラ座の怪人」と見比べられてしまう部分はあると思うのですが、ホフスタイン選手にしか演じられない世界があると思うので楽しみですね。


 今年の全米選手権銅メダル、アイスダンスのマディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組も自身の公式サイトでプログラムを明かし、SDは「Le Serpent/Cuando calienta el sol」、FDが「Caught Out In The Rain/Across The Sky」であることがわかっています。
 今シーズンのショートダンスの課題は、パターンダンスがルンバ、クリエイティブパートがラテンダンスから選択と決まっています。そんなハベル&ドノヒュー組のSDは、アルジェリアのパーカッション奏者グエムの「Le Serpent」と女性歌手タリア・フェロが歌う「Cuando calienta el sol」のメドレープログラム。前者は全編パーカションが奏でるリズミカルなナンバーで、後者はどことなくけだるい情感のあるスローナンバーです。「Le Serpent」の方はアフリカ音楽なのでラテンというわけではないのですが、リズム的にはラテンっぽい感じもしないでもなく、「Cuando calienta el sol」の方がいかにもラテンっぽい感じがします。
 フリーはアメリカの歌手べス・ハートの「Caught Out In The Rain」とイギリスの歌手ラグ・アンド・ボーン・マンの「Across The Sky」のインストゥルメンタルバージョンのメドレー。前者はブルースロックの歌手の楽曲で、ハスキーな女性ボーカルが特徴的なクールでドライな雰囲気。後者は最近デビューアルバムを発表したばかりの新進気鋭の若手歌手の楽曲でこちらもカッコいい雰囲気の楽曲で、全体的にクールな世界観のプログラムになるのかなと思いますね。


 チェコのベテラン、ミハル・ブレジナ選手は自身のフェイスブックにおいて、SPが「鼓童」、フリーが「スタンド・バイ・ミー/Human」であると綴っています。
 ショートは日本の和太鼓グループの鼓童の楽曲を使うようですが、楽曲の詳細は不明です。ただ、ブレジナ選手は10/11、11/12シーズンのSPでも鼓童の音楽を使用したプログラムを演じていますし、その時と大体同じ感じになるのか、ガラッと内容を変えるのかは不明ですが、それだけ鼓童の音楽に惹かれ、思い入れが深いということなのだろうなと思いますね。
 フリーはそれぞれ異なる歌手の楽曲で、「スタンド・バイ・ミー」はかの名曲をアメリカのロックバンド“bootstrap”がカバーした楽曲。「Human」はハベル&ドノヒュー組のところでも上述したラグ・アンド・ボーン・マンのヒット曲です。ポップソングとロックソングのメドレープログラムというのはブレジナ選手にしては珍しい選曲だなという気がするのですが、ベテランが集大成のシーズンにどんな新境地を拓くのか楽しみですね。


 韓国の有望株、今年の冬季アジア大会で優勝したチェ・ダビン選手は、SPが宮本賢二さん振り付けの「パパ、見守ってください 映画『愛のイエントル』より」、フリーがニキータ・ミハイロフさん振り付けの「アイ・フィール・プリティ ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」より/マリア ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」より」であることが判明しています。
 ショートはキム・ヨナさんや村上佳菜子さんも使用したバーブラ・ストライサンド主演映画の劇中曲。しっとりと壮大な曲調をチェ選手がどう表現するかにも注目ですし、チェ選手が宮本さん振り付けのプログラムを滑るのは初めてだと思うので、そちらの化学反応も楽しみにしたいですね。
 そしてフリーはおなじみのミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」からの抜粋。全編的にボーカル入りなのか、一部ボーカル入りなのかなどはわかりませんが、明るく華やか、ダンサブルな作品ですから、チェ選手らしさを活かしたプログラムになりそうですね。


 同じく韓国のパク・ソヨン選手は、SPが「映画『ブラック・スワン』より」、フリーが昨季と同じ「恋のアランフェス」となるそうです。
 この記事の中でもすでに2度登場している「ブラック・スワン」。元々チャイコフスキーの「白鳥の湖」を下敷きにしている分、世界的に知られていて演じやすいというのもあるでしょうし、それに加えてわかりやすい“白鳥”ではなく、より複雑で重層的な“黒鳥”を演じるという変則性も人気の理由なのかなと思います。どうしてもほかの女子選手の「ブラック・スワン」と比べられてしまうかもしれませんが、最近妖艶さも身につけてきた朴選手ならではの“黒鳥”を見せてほしいですね。
 フリーは昨季からの継続ですが、16/17シーズンは足の骨折でシーズン後半を休養に当てざるをえなかったということもあり、「恋のアランフェス」も不完全燃焼で終わっていたと思うので、今季こそプログラムとして完成させられることを祈っています。



 この記事はひとまずここで終了です。が、まだまだいろんな新プログラム情報が入ってきていますので、まとまり次第続きの記事をアップしたいと思います。では。


:記事内の画像は全て、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【参考リンク】
All is not lost for U.S. figure skaters at disappointing worlds 記事内にワグナー選手のプログラムについての言及があります。
Gracie Gold unveils Olympic season programs ゴールド選手のプログラムについて報じた記事です。
The Inside Edge: Edmunds returns following layoff エドマンズ選手の近況について報じた記事です。

【ブログ内関連記事】
宮原知子選手、17/18シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報② 2017年8月8日

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# by hitsujigusa | 2017-07-22 00:25 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ベストコスチューム16/17、いよいよ最後の記事、女子のフリー部門です。今回も16/17シーズンのコスチュームの個人的なベスト10を紹介していきます。なお、ベスト10を決める上でのルールについては、こちらの記事をご覧ください。

*****

 栄えある女子フリー部門1位は、アメリカのカレン・チェンの「ジェラシー」です。

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 コンチネンタルタンゴの名曲「ジェラシー」。情熱的かつ艶やかなタンゴを演じ切り、チェン選手の新たな代表作となりました。
 そんな大人っぽいプログラムに合わせたのは黒を基調とした指先まで覆う長袖ワンピース。その中央を突っ切るように肌がのぞき、その周辺に重点的にふんだんに細かいラインストーンがあしらわれ、黒の中に鮮やかに赤や白が浮かび上がるデザインとなっています。また、肩から胸にかけては炎のような曲線的なデザインも施されていて、こちらも情熱的なさまを想起させます。さらに、指先まで黒で覆うことでタンゴ特有の艶っぽい仕草も白い氷に映えるようになっていて、細部までしっかり練られた衣装だなと思いますね。


 2位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「エキソジェネシス交響曲第3部」です。

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 イギリスのバンド、ミューズの「エキソジェネシス交響曲第3部」。いまやフィギュア界でも定番と化したクラシックの趣きのあるロック音楽です。ワグナー選手はこの楽曲を用い2種類の衣装を使用しましたが、私が今回選んだのはシーズン前半に着用された方です。
 全面にまばゆい装飾が施されたシルバーの袖なしワンピース。シンプルといえばシンプルなのですが、これだけきらびやかだとともすれば派手派手しすぎてチープな印象にもなりかねません。ですが、この衣装はきらびやかでありながらも大人びたシックさというのも感じさせるデザインで、それもラインストーンやビジューの配置のバランスの巧さなのだと思います。また、色づかいも上から下に向かって濃くなるグレーのグラデーションで、グレーという地味な色を華やかに着こなしているのはさすがベテランのワグナー選手ならではだなと思います。


 3位は日本の浅田真央選手の「バレエ「恋は魔術師」より」。

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 ショートと同じくマヌエル・デ・ファリャの「恋は魔術師」を用い、そこから数曲を抜粋し構成したプログラムですが、ショートが“黒い鳥”をイメージしたミステリアスなピアノプログラムだったのに比べ、フリーは壮大なオーケストラによる情熱的でエネルギッシュなプログラムとなっています。そのコンセプトのままに衣装は赤一色のものを2種類用いましたが、そのうちより多く使われた方を今回は選びました。
 何といっても目を引くのは鮮やかな赤ですが、その中央は大胆に肌をのぞかせるデザインとなっており、その周囲に植物のようにも燃えたぎる炎のようにも見えるデザインが施されていて、より一層情熱を感じさせます。そして上半身から腰まで入った深いスリットは妖艶さを醸し出しています。
 2つで1つの作品として作られた16/17シーズンの浅田選手のショートとフリーですが、ショートの衣装が直線的なラインが強調されたデザインであったのと比較すると、フリーは全体的に曲線的な作りで、衣装でも両プログラムのコンセプトの違いがうかがえておもしろいなと思いますね。


 4位はカナダのガブリエル・デールマン選手の「ラプソディー・イン・ブルー」です。

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 フィギュア界でも定番のガーシュウィンの代表作「ラプソディー・イン・ブルー」。ということで衣装も曲名のとおりのブルーの衣装となっています。
 作り自体は非常にシンプルで、胸元が深いV字のようになった長袖ワンピースで形自体に新鮮味はありませんが、全体に散りばめられたラインストーンによって華がプラスされていてインパクトのあるコスチュームに仕上がっています。さらに、ところどころ大ぶりのビジューやラインストーンの集合体によってアクセントがつけられていて、パッと見ると小さな花がデザインされているようにも見えます。特に腰の部分はラインストーンを集中的に施すことによってベルトっぽく見えるデザインになっていて、プリントでもなく刺繍でもなく、ラインストーンのみで模様を浮かび上がらせたというところにこだわりを感じますね。


 5位は日本の宮原知子選手の「惑星/映画『スター・ウォーズ』より」。

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 ホルストの代表作「惑星」とSF映画の金字塔『スター・ウォーズ』のサントラを組み合わせ、“愛と平和”をテーマに据えた壮大なプログラムです。
 そんな重厚なプログラムのイメージには反して、衣装は軽やかさを感じさせる白一色。ですが同じ白でも、下に着ているビジューやラインストーンをあしらったシルバーっぽい服の上に、お腹の中心で交差させた柔らかい素材の淡いクリーム色の布とを重ねた重層的な作りになっていて、シンプルでもあり複雑さもある衣装と言えます。重厚なプログラムなので衣装も黒や青といった暗めの色にすると重くなりすぎてしまうところですが、白一色にすることでちょうどよいバランスが取れていて良いですね。


 6位はロシアのエレーナ・ラディオノワ選手の「歌劇「トゥーランドット」より」。

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 フィギュア界王道中の王道、オペラ「トゥーランドット」を使用したダイナミックかつ華麗なプログラム。
 そんな「トゥーランドット」にしては珍しく、ラディオノワ選手が選んだのは可愛らしいピンク色の衣装。重厚な作品に対しては可憐すぎる色合いかなという気もするのですが、ピンクはピンクでも微妙に色味の異なるピンクを複数使用しているので重層的に感じられます。また、鋭い直線的なラインとうねるような曲線的なラインとが交差するデザインは力強くインパクトがあり、色づかいのフェミニンさに男性的な要素もプラスしているように思います。
 ピンクという色が作り出すイメージと重層的な線が作り出すイメージとが合わさってお互いを補っている素敵なコスチュームですね。


 7位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手の「ダフニスとクロエ」です。

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 「ボレロ」でも知られるフランスの作曲家モーリス・ラヴェルのバレエ「ダフニスとクロエ」。牧歌的で幻想的、ゆったりと始まり最後は熱狂的に幕を閉じるプログラムです。
 こういったファンタジックなプログラムだと、白やピンクなど淡い優しい色を合わせたくなるところですが、ゴールド選手が選んだのはまさに“ゴールド”のワンピース。厳密に言うならばゴールドというよりはベージュに近いのかもしれませんが、衣装全体にびっしりと敷き詰められたラインストーンによって、輝かんばかりの金色の衣装という印象を与えます。これだけ肌の色に近いコスチュームを着こなすというのは難しいと思うのですが、同じベージュでも濃い部分と淡い部分のメリハリをつけてありますし、また、ゴールド選手の白い肌ともよく合っていて、ゴールド選手だからこそ似合う衣装という感じもしますね。


 8位はアメリカの長洲未来選手の「The Winner Takes It All」です。

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 スウェーデン発の世界的グループ、ABBAのヒット曲「The Winner Takes It All」を、同じくスウェーデンの歌手サラ・ドーン・ファイナーがカバーしバラード調にアレンジしたバージョンを使用したプログラムです。
 全体的にゆったり、しっとりとした曲想ということで、衣装は清廉さを思わせる白をベースに、繊細な装飾を凝らしています。ワンピースは胸元から腰にかけてスリットが入っていますがそこまで深い切れ目ではなく、それよりもその周囲に施されたラインストーンやビジューのゴージャスさが印象に残ります。また、首回り、手首もジュエリーのようなデザインになっていて、装飾づかいが本当に素晴らしいコスチュームだと思います。


 9位はカナダのケイトリン・オズモンド選手の「歌劇「ラ・ボエーム」より」。

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 プッチーニの代表作の一つ「ラ・ボエーム」。1830年代のパリを舞台に貧しいボヘミアンたちの日常を描いた華麗でドラマチックなオペラ作品です。
 衣装はそんな華麗さを如実に表す鮮やかな深紅。胸元やお腹の部分はレース調になっていて、そのレースの縁をシルバーのラインストーンで彩っていて、よりいっそう華やかな雰囲気がプラスされています。衣装の形的にも左右対称で、女性らしいレースを用いたオーソドックスなイメージの衣装ですが、細部まで手を抜かない本格的な作りだからこそ、これだけ高級感のある気品溢れるコスチュームになるのだなと感じさせられますね。


 10位は日本の樋口新葉選手の「シェヘラザード」です。

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 こちらも大定番中の大定番「シェヘラザード」を使用したダイナミックかつ情熱的なプログラムです。
 色は鮮やかな赤で「シェヘラザード」らしい情熱を表現。衣装の形としてはビキニのようなセパレート型ですが、胸部から腰へと繊細かつ重厚な装飾によって繋がっているようなデザインになっており、首や二の腕、お腹から腰に施されたこのジュエリー風のデザインが「シェヘラザード」の舞台であるペルシャらしい雰囲気をよく伝えています。また、頭には額部分に大きなジュエリーがついたサークレットをはめていて、こういったところも非常に「シェヘラザード」らしくて好いなと思いますね。



 女子フリー部門のベスト10は以上です。これで16/17シーズンのベストコスチュームシリーズは全て終了となります。5月下旬から書き始めてスローペースの更新となり2カ月近くもかかってしまい申し訳なかったですが、お読みくださりありがとうございました。
 そうこうしているうちにいよいよオリンピックシーズンが幕を開け(7月1日から新シーズン)、各選手たちの新プログラム情報も次々と伝わってきており、そちらの記事もできるだけ早くアップしたいと思いますので、もう少しお待ちください。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、チェン選手の画像、浅田選手の画像、宮原選手の画像、オズモンド選手の画像、樋口選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ワグナー選手の画像はフィギュアスケート情報サイト「Golden Skate」が2016年10月23日位配信した記事「Ashley Wagner: “It was sticky but I got it done”」から、デールマン選手の画像、長洲選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ラディオノワ選手の画像、ゴールド選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2017-07-12 17:32 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)