フィギュアスケーター衣装コレクション③―カロリーナ・コストナー編

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フィギュアスケーター衣装コレクション第3回は、2012年世界選手権の女王、5度のヨーロッパチャンピオンに輝いているカロリーナ・コストナー選手です。



かつては技術的なことなのかメンタルの弱さなのか、SPで良い位置につけてもフリーで大崩れする感のあったコストナー選手ですが、ここ2、3年は安定して素晴らしい成績を残しています。
また、元々芸術的なセンスに長けた選手でしたが、技術やメンタルの安定とともにその表現力にもさらに磨きがかかり、毎シーズン彼女にしか表現できない独特の世界観を見せてくれます。

そんなコストナー選手、衣装もまた、他のスケーターにはない個性的かつファッショナブルなものが多いです。

まずは、07/08シーズンのフリー、「ドゥムキー」です。
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このシーズン、コストナー選手は世界選手権で自己最高位となる2位となり、銀メダルを獲得。トリノ五輪のあたりからフィギュアを見始めた私の中で、それまであまり意識していなかったコストナー選手の存在が、ぐんと大きくなったシーズン、そしてプログラムでもあります。
ドヴォルザーク作曲の「ドゥムキー」は、スラブ的な哀愁漂う音楽。衣装は赤とピンクの中間の独特の色合いで、全体にキラキラが施されています。いかにもスラブな感じ、エキゾチックなイメージの衣装とは言えませんが、あえて言うなら、この赤ともピンクともいえない不思議な色合いがそれっぽさを醸し出していると言えなくもないかも……。こじつけ過ぎですかね。

次は08/09シーズンのSP「Mujer Sola&Canaro en Paris」。
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「Mujer Sola&Canaro en Paris」は、アメリカのタンゴグループ「Tango Lorca」のアルバムの曲を編集したもの。タンゴグループですので、当然タンゴです。
黒いドレスの下から花柄のスカートが覗き、カラフルな花のコサージュも。タンゴというと赤や黒の衣装が多いのですが、この場合それにとどまらず様々な色を用いていますね。それでもベースは黒でそこにいろんな差し色をするというスタイルなのでごちゃごちゃした感じにはなっておらず、シックな印象があります。また、黒によって大人っぽさが、そのほかの色によって少女っぽさが表されているようにも感じます。オーソドックスな赤系、黒系でないところに、コストナー選手の個性が見えます。

そしてこちらは10/11シーズンのSP「ガリシアフラメンコ」。
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曲名のとおりフラメンコを用いたプログラムです。フラメンコはスペインの伝統芸能なので、やはり赤とかオレンジとか情熱的な色、暖色系がイメージとしては強いと思います。ですがコストナー選手が着ているのは全く正反対の寒色系の青です。“フラメンコ”というステレオタイプのイメージからしたららしくない色ですが、あえてその色を選んだことに意図が感じられます。
そもそもフラメンコはスペイン南部のアンダルシアの伝統芸能なので、北西に位置するガリシアを曲名に用いたこのフラメンコは伝統的なフラメンコとは違うのですね。そう考えると、衣装も一般的なイメージと異なっていてもおかしくないかもと思えます。
また、改めてプログラムを見直してみましたら、情熱的なフラメンコではなくもの悲しささえ感じる哀愁漂う曲調のフラメンコでした。この音楽なら赤やオレンジなどではなく、やはり青の方がしっくりくるなと感じました。

次も同じく10/11シーズンのフリー、「牧神の午後への前奏曲」です。
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ピンク、ベージュといった同色系の布を身体に巻きつけたようなデザインです。
この曲は全体的に穏やかでぼんやりした雰囲気のある曲ですが、衣装もそれに合わせて非常に淡いニュートラルな色使いとなっています。また、デザインも相まって軽やかな印象を作り出していますね。
こういう色の衣装というのは、ともすれば氷の色と同化して印象が薄れてしまいそうな気がするのですが、全体にスパンコールやラメを散りばめていて、地味になり過ぎないような工夫が凝らされています。

そして次は11/12シーズンのフリー、「ピアノ協奏曲第23番」の衣装2つです。
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このプログラムでは2つの衣装が使用され、グランプリシリーズの各大会では上の写真の青い衣装、グランプリファイナル以降では下のシルバーの衣装を着ていました。
私は個人的に青い衣装が好きだったので変わってしまった時は少し残念でした。その上、ガラリと印象が違う衣装だったのでびっくりしました。最初は、宇宙人っぽい……と思ってしまい(すみません)、う~んという感じでした。
ですが、見慣れてきますとコストナー選手の長い手足が強調され、氷の上に映えていて良い衣装だなと感じるようになりました。
一見全くイメージの異なる2つの衣装ですが、共通点を挙げるとすればキラキラしていることでしょうか。青い衣装はベースの色自体は地味な色ですが、ラインストーンが施されているので、シックでありながら地味な感じはしません。
一方、シルバーの衣装は派手な飾りなどはない実にシンプルな衣装ですが、全体的にきらめいていて華やかな印象を与えます。
このプログラムはモーツァルトの「ピアノ協奏曲第23番」を使用していますが、ピアノの優しく繊細な旋律が印象的なプログラムとなっています。ピアノが奏でる高い音色が衣装同様にキラキラしたイメージを作り出しています。プログラムの繊細さと衣装のシックさが見事に溶け合っていると思います。

最後は12/13シーズンのフリー「ボレロ」です。
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残念なことに、私はこのプログラムは世界選手権の時の演技一度しか見ることはできなかったですし、しかもコストナー選手は鼻血が出るというアクシデントがあり万全の演技ではなかったですが、それでもこの「ボレロ」の凄さ、魅力は伝わってきました。
コストナー選手にしては珍しくとてもシンプルですが、真っ黒一色の衣装にしたことによって、コストナー選手の身体の動き一つ一つが際立っていて、その身体使いの美しさ、しなやかさが印象に残りました。

こうしてコストナー選手の衣装を、ごく一部ですが一覧しますと、本当に多彩な魅力を持つスケーターなのだなと改めて感じます。選曲自体が、あまり定番の曲はなく、フィギュア界ではちょっとマイナーな曲を選んでるなという印象です。それだけ曲の知名度に頼っていないということも言えますし、どんな曲でもきちんと自分の“色”というものを出していますね。
そして衣装の特徴ということでも、独特のセンスを持っているなーと感じます。ここに載せていない衣装も含め、新しさを感じさせるデザインばかりで、それでいて奇抜すぎないちょうどいいラインを守っているように思います。
また、タンゴやフラメンコといったステレオタイプのイメージが確立されているような音楽でも、そのイメージを良い意味で裏切る衣装で、新しさを提示してくれます。

13/14シーズンのプログラムについてはまだ発表はありませんが(8月中には公式サイトで発表があるようですが)、その時を楽しみにしたいと思います。そしてもちろん、どんな衣装を見せてくれるか、そちらも今から待ち遠しいですね。


:記事内の写真に関しては、全てカロリーナ・コストナー選手のオフィシャルウェブサイトから引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2013-08-01 17:03 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)