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四大陸選手権2014・女子&ペア―村上佳菜子選手、自己ベストでISU選手権初優勝

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 四大陸選手権2014、女子&ペア編です。(男子&アイスダンス編はこちら
 女子シングル、パーソナルベスト更新で優勝を飾ったのは村上佳菜子選手です。2位は今季シニアデビューの宮原知子選手、3位は中国の李子君(リ・ジジュン)選手で、両選手ともISU主催のシニア大会で初めてのメダル獲得となりました。
 ペアでは中国の隋文静(スイ・ウェンジン)、韓聰(ハン・コン)組が金メダルを獲得しています。

ISU Four Continents Championships 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 見事、女子シングルを制したのは村上佳菜子選手です!

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 ショートプログラムはまず、冒頭に組み込んだ3トゥループ+3トゥループのコンビネーションを確実に決めると、後半の3フリップ、2アクセルも難なくクリア。ステップ、スピンは全てレベル4を揃えるなど完璧な出来。スコアも64.73点でパーソナルベストにこそ及びませんが、シーズンベストで首位に立ちました。

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 フリーも3トゥループ+3トゥループをパーフェクトに成功させ、続く3ルッツ、3ループと次々に着氷。後半に入るとさらに勢いに乗り、2つのコンビネーションジャンプを含む4つのジャンプ要素を落ち着いてこなしました。最後まで流れの途切れない、細やかでありながらもダイナミックな村上選手らしい演技で、フィニッシュではガッツポーズ。得点はなんと132.18点で、初めてのフリー130点超え。もちろんパーソナルベストでトータルでも自己新をマークし、四大陸女王の座を勝ち取りました。
 大会前、新調したスケート靴が合わず右足を痛め、今大会の欠場も考えたという村上選手。台北に入ってからも痛みのために満足な練習ができず、痛み止めを服用しての演技でしたが、ショート、フリーともに本当に素晴らしい内容でした。村上選手はよく“ビビる”という表現を使っていて、確かにシーズン前半などは精神的不安がストレートに演技に表れてしまい、成績的にも振るわないことが多いのですが、そういったものを吹っ切った後の村上選手というのは本当に強くなりますね。まるで別人のようなこの“切り換え力”とでもいうのか、スイッチが入った後の強さには毎シーズン圧倒させられます。
 初めてのオリンピックは世界選手権とは全く違った雰囲気でしょうし、これまで経験したことのない心理状態になるかもしれませんが、村上選手らしく元気いっぱいで乗り切って欲しいなと思います。笑顔でオリンピックを終えられることを願っています。
 四大陸選手権初制覇、そしてISUチャンピオンシップ初優勝、おめでとうございました!


 銀メダルを獲得したのは宮原知子選手です。

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 ショートは緊張のため慎重に行き過ぎたという宮原選手。大技3ルッツ+3トゥループは2つ目のジャンプがアンダーローテッド(小幅の回転不足)を取られてしまいます。ですが、全体的にはまとまったそつのない演技を見せ、60.27点でパーソナルベスト更新、4位につけます。

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 フリーは前々日回転不足判定となった3ルッツ+3トゥループをクリーンに着氷、高い加点を得ます。その後もジャンプを次々に成功させて波に乗り、後半冒頭の大技2アクセル+3トゥループも完璧。スピードを保ったままラストまで滑り切り、納得の表情を浮かべました。得点は126.26点でこちらも自己ベスト、トータルでも自己ベスト更新で、ISU主催のシニア大会初のメダルを手にしました。
 今季シニアデビューしてからほとんど大きなミスなく、常に安定感のある演技を披露し続けてきた宮原選手ですが、今大会のフリー演技は本当にベスト・オブ・ベストと呼べる素晴らしいものでした。あまり喜怒哀楽を表に出すことのないシャイな宮原選手自身、「自分の中でこんなに良かったと思ったのは初めて」と自らを褒めるくらいの会心の出来。また、4年後=2018年への意欲も垣間見せ、今大会の演技と合わせて本当に頼もしいなと感じました。
 世界ジュニアでもぜひ、自分自身で納得のいく演技をして欲しいと思います。銀メダル、おめでとうございました。


 3位となったのは中国のエース、李子君(リ・ジジュン)選手です。

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 ショートは冒頭の大技3フリップ+3トゥループを完璧に成功。単独の3ルッツはエッジ違反でわずかに減点されたものの、ミスと言えるミスはなく、笑顔で演技を終えます。スコアは62.84点、国際大会で初めて60点を超え、自己ベスト更新となります。
 フリーは3+3を組み込まず、確実なジャンプ構成。3フリップ+2トゥループ、2アクセル+3トゥループの2つのコンビネーションジャンプをしっかり決めて勢いをつけ、その後のジャンプも次々と着氷。はつらつとした演技を見せ、118.72点のシーズンベストでISU主催のシニア大会初の表彰台となりました。
 中国のエースとして臨んだ今シーズン、怪我の影響か思ったような演技が出来ず、中国杯はまさかの10位。エントリーされていたNHK杯は欠場し、今大会はそれ以来の実戦でした。李選手自身、久しぶりの試合で不安があったのではないかなと想像しますが、その心配を見事に払拭する出来でした。プログラム・演技の完成度としてはまだまだ伸びしろがあるように感じましたが、ソチの舞台で全て発揮できると良いですね。
 銅メダル獲得、おめでとうございました。


 表彰台まであと一歩、惜しくも4位だったのは今井遥選手です。

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 ショートはまず、得意な2アクセルを華麗に決めると、得点源となる3サルコウ+3トゥループもクリーンに成功。その後もスピードに乗った柔らかな演技を見せ、フィニッシュでは満面に笑みを浮かべました。得点は62.72点で3シーズンぶりとなるパーソナルベスト更新、3位発進となりました。

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 フリーは3+3を組み込まず、完成度を求めた構成で挑んだ今井選手。冒頭からスピード感あふれる滑りで次々とジャンプを成功させていきますが、後半最初の2アクセル+3トゥループの2アクセルで着氷が大きく乱れ、セカンドジャンプをつけられないミス。しかし、その後は動揺を波及させず、冷静に演技を立て直しました。得点は112.68点でこちらも自己ベスト、総合順位4位となりました。
 演技後、今井選手は悔しさを露わにして、自らの演技への反省を口にしました。ですが、ショート、フリーともにパーソナルベストを更新して、演技をまとめられたことは大きな成長、前進だと思います。特にフリーは1つミスが出ると大崩れすることも度々だったのが、今大会はミスらしいミスは1つでしたから。だからこそ、悔しさもひとしおだったのかもしれません。表彰台が目の前に見えていたわけですから尚更ですね。
 それでも私は、今井選手がようやくここまで来たことに嬉しさを感じます。本当の意味での、今井選手のスタートになるんじゃないかなとも思います。この悔しさをバネに、また頑張って欲しいですね。


 5位にはアメリカのコートニー・ヒックス選手が入りました。

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 ショートは3フリップ+3トゥループに挑みますが、セカンドジャンプが大幅な回転不足で着氷を乱します。その後は立て直したかに見えましたが、終盤の2アクセルがシングルになるミス。失敗が目立つ演技となりますが、それでも56.36点で自己ベスト更新、7位となります。
 フリーでもショート同様に3フリップ+3トゥループに果敢に挑戦したものの、やはりダウングレードで転倒。しかしそこからは切り換えて、ミスといえるミスは3ループがシングルになったくらい。ジャンプの跳びすぎ違反という珍しいミスもありましたが、フィニッシュではホッとした表情を見せ、113.63点の自己ベスト。ショート7位から総合5位にアップしました。
 ミスが複数出てしまったのは残念でしたが、ルッツとフリップの踏み切りがクリーンに出来るのがヒックス選手の長所ですね。フリーのジャンプの跳びすぎに関しては、ほかの大会でも同じことがあったようですが、コレオグラフィーシークエンスの最後の方で跳んだバレエジャンプ(両足を大きく広げて1回転するジャンプ)が1フリップとみなされて、8つ目のジャンプ要素として数えられてしまったんですね。
 全米選手権で6位だったヒックス選手。ソチ五輪後の世代として、活躍を期待しています。



 続いてペア競技について。
 ペアチャンピオンに輝いたのは中国の若手ペア、隋文静(スイ・ウェンジン)、韓聰(ハン・コン)組です。ショートはノーミスで、今までの自己ベストを5点以上更新する75.26点で首位に立った隋、韓組。フリーもほぼ完璧と言っていい演技でこちらも自己ベストを獲得し、2度目の四大陸王者となりました。
 2位はアメリカのタラ・ケイン、ダニエル・オシェア組。ショートはツイストリフトでミスがあり3位発進となり、フリーも同じようなミスが出てしまいましたが、そのほかは手堅くまとめてフリー2位。ショート、フリー、トータルでパーソナルベストをマークして、ISU主催のシニア大会初のメダルを獲得しました。
 3位となったのは同じくアメリカのアレクサ・シメカ、クリス・クリーニム組。ショートはそつのない演技で自己ベスト、2位となります。しかしフリーはジャンプやスロージャンプでミスを連発してしまい、フリー4位。順位は総合3位に下がりましたが、こちらもISU主催のシニア大会で初めての表彰台に立ちました。



 男女それぞれワンツーフィニッシュで層の厚さを示した日本勢。無良選手、小塚選手、宮原選手、今井選手などソチ五輪に出場しない選手にとっては来季、ひいては4年後に繋がる四大陸選手権に、また、ソチへ向かう村上選手にとっては五輪に繋がる四大陸選手権になったのではないかと思います。
 そしていよいよ、ソチオリンピックの開幕が数日後に迫ってきました。ソチ五輪はフィギュアスケート界にとって、時代の節目、変わり目になるでしょう。選手たちが力を出し尽くし、悔いなく大会を終えられるように見守り、祈りたいと思います。


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by hitsujigusa | 2014-02-03 15:04 | フィギュアスケート(大会関連)