2014年 08月 07日
各選手の14/15シーズンの新プログラムについて・その②
前記事に引き続き、選手たちの14/15シーズンの新プログラムについてお伝えしていきたいと思います。
今回取り上げるのはアメリカの女子選手たち。グランプリシリーズに参加するアメリカのシングル選手たちのほとんどが新プログラムを発表していますが、一度に記事にするとごちゃごちゃしてしまいそうなので、この記事では女子スケーターたちのみピックアップします。
まずは、現全米女王であるグレイシー・ゴールド選手。
ショートプログラムは昨シーズンと同じ、グリーグの「ピアノ協奏曲」。フリーは「オペラ座の怪人」だということです。
ショートは昨季からの持ち越しですが、昨季の後半から演じ始めたプログラムなのでまだ新鮮味があるのかなという感じですね。エレガントで繊細な曲想がゴールド選手の雰囲気に合っていて、持ち越しも納得です。さらに洗練されて進化したプログラムになるでしょうね。
フリーは王道の「オペラ座の怪人」! すでに村上佳菜子選手、無良崇人選手もこの作品をフリーに使用することを発表しています。おなじみの作品なのでこれを使用すること自体に驚きはないですが、これだけ「オペラ座の怪人」に使用が集中するのにはちょっとビックリですね。でも、村上選手、無良選手、ゴールド選手とそれぞれ全く違った個性を持ったスケーターなので、同じ「オペラ座の怪人」でも全然違った作品になるだろうと思いますし、各作品を比較しながら見る楽しみもありますね。
続いては前全米女王であるアシュリー・ワグナー選手。
ショートは「アダージョ 『スパルタクス』より」、フリーは「映画『ムーラン・ルージュ』より」です。
SPはハチャトゥリアンのバレエ作品『スパルタクス』からの抜粋ということですが、ワグナー選手は以前もフリーで『スパルタクス』を使用したことがありますね。それに、「だったん人の踊り」や「サムソンとデリラ」などエキゾチックな作品を得意としているワグナー選手ですから、この新ショートの選曲もなるほどなという印象です。
一方、フリーはミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』のサントラを使用したプログラム。映画音楽を使用したことは何度もありますが、『ムーラン・ルージュ』はこれまでとは少し違ったタイプの作品かなと思います。美と退廃が入り混じった大人の世界というのが私のイメージですが、これまでも劇中曲の「ロクサーヌのタンゴ」を高橋大輔選手や韓国の金妍兒(キム・ヨナ)さんが使用したことがあり、独特の大人っぽい風情が印象的でした。また、今季から歌詞入りプログラム解禁ということで、もしかしたら歌声も入っているかもしれません。ワグナー選手のフリープログラムはどんな雰囲気になるのでしょうか、楽しみです。
次は昨シーズン大飛躍を遂げた全米選手権2014の銀メダリスト、ポリーナ・エドマンズ選手。
ショートは「フラメンコメドレー アルバム『フラメンコファンタジー』より」、フリーは「フェアリーダンス 映画『ピーター・パン』より」。
SPはフラメンコとのこと。エドマンズ選手は一見華奢で大人しめという印象があるのですが、昨季のSPもラテン系でしたし、意外に踊れるタイプの選手なんですね。同じラテン系でもフラメンコなのでより大人びたエドマンズ選手が見られるかもしれません。
フリーは映画『ピーター・パン』。小顔でスレンダーでふわっとした雰囲気を持つエドマンズ選手ですから、ファンタジー作品にはピッタリ合いそうな気がします。ティンカー・ベルっぽさもありますしね。エドマンズ選手のさらなる活躍に期待しています。
続いて全米選手権2014で3位だった長洲未来選手です。
SPはラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」、フリーは「蝶々夫人」です。両方とも振り付けはなんとアダム・リッポン選手。昨季のエキシビションを振り付けているのでそれに引き続きということになりますが、ショー用ではなく試合用ですから、はたしてどんな感じになっているのか注目です。
曲目はショートもフリーも正統派のクラシック音楽。「パガニーニの主題による狂詩曲」はよく使われる楽曲で、しとやかなピアノの旋律と壮大な曲想が印象的です。「蝶々夫人」はいわずもがなのオペラ作品。有名なアリアも多くあり定番のチョイスと言えますが、日本が舞台の作品でもあり、日本にルーツを持つ長洲選手がどう演じるのか楽しみです。
これまでもクラシック音楽の使用は幾度もある長洲選手ですが、ショート、フリー揃ってクラシックというのは珍しいですね。どちらかが映画音楽だったりジャズやタンゴだったりということが多かったのですが、思いっきりクラシックの世界に浸る長洲選手というのも新鮮かもしれません。
全米5位のサマンサ・シザーリオ選手は、SPが「Danza Mora」、フリーが昨季と同じ「カルメン組曲」とのこと。
ショートについては、アラビアンっぽいアーティストの楽曲ということしか今のところ分かりませんね。フリーは昨シーズンからの持ち越しとなる「カルメン組曲」ですが、シザーリオ選手はジュニア時代から数えると相当長くこの「カルメン組曲」を使用し続けているんですね。確かにエキゾチックな雰囲気を漂わせる彼女によく合った選曲だとは思うのですが、印象が固定化されてしまう恐れがあるので、そろそろ新ジャンルに挑戦してもいいんじゃないかなという気もしますね。ですが、今までとは違ったプログラムに進化しているかもしれないので、そこらへんに注目したいなと思います。
全米6位のコートニー・ヒックス選手は、SPが「Code Name Vivaldi」、フリーは「映画『アンナ・カレーニナ』より」だそうです。
ショートはアメリカの音楽グループ、The Piano Guysの楽曲を使用したプログラム。The Piano Guysは私は知らなかったのですが、ピアノやチェロなどで現代的にアレンジしたクラシック音楽を演奏するユニットみたいですね。ジャンル的にはクラシカルクロスオーバーになるのでしょうか。「Code Name Vivaldi」というからにはたぶんヴィヴァルディの楽曲をアレンジしたものなのかなと思います。
フリーはイギリス映画『アンナ・カレーニナ』のサントラ。「アンナ・カレーニナ」はロシアのアルトゥール・ガチンスキー選手も昨シーズン使用していますね。重厚かつクラシカルなプログラムになりそうです。
全米8位のクリスティーナ・ガオ選手は、ショートがイギリスの歌手エミリー・サンデーさんの楽曲「River」、フリーが昨季に引き続き「映画『天使と悪魔』より」になるそうです。
SPはエミリー・サンデーさんの歌ということで、インストゥルメンタルではなくそのまま歌詞が入ったものになるのでしょうか。サンデーさんはロンドン五輪の開会式や閉会式でもパフォーマンスした歌手で、現代のイギリスを代表するシンガーの一人。今までのガオ選手には見られなかったタイプの選曲ですね。
フリーは昨シーズンと同じプログラムですが、ガオ選手にとって昨季は本領発揮できたシーズンとは言い難いので、プログラムを作品として完成させるために持ち越すことにしたのかなとも思いますね。
全米12位でグランプリシリーズ初参戦となるアシュリー・ケイン選手は、SPが「ミッション・インポッシブル」、フリーが「映画『エビ―タ』より」。
ショートは映画のサントラをそのまま用いたものではなく、上述したThe Piano Guysがアレンジ、演奏したものを使うようです。私はThe Piano Guysについて全く知らなかったのですが、こうして複数の選手がプログラムに使用するくらいアメリカではポピュラーな存在なのかもしれません。
フリーは映画音楽。こちらは昨季、ヒックス選手がフリーで使用していましたね。
この記事はとりあえずここまで。昨シーズンにも増してGPシリーズに参戦する選手の人数が多いアメリカ女子勢。彼女たちがどんな快進撃を見せるのか、戦々恐々とするとともに今から楽しみです。
次の記事ではアメリカ男子の新プログラムについて書ければと思います。では。
注:ゴールド選手の写真は、アメリカのニュース番組「TODAY」の公式ウェブサイトが2014年2月17日の8:40に配信した記事「Figure skater Gracie Gold: I'm not such a dark horse」から、ワグナー選手の写真はエンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、エドマンズ選手の写真は、アメリカの新聞「USAトゥデイ」の公式ウェブサイトが2014年2月15日の14:05に配信した記事「Skater Polina Edmunds marched in her own way with Team USA」から、長洲選手の写真はフィギュアスケート雑誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから引用させていただきました。
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