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羽生結弦選手、15/16シーズンのフリープログラムを発表&新プログラム情報①

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 アイスショーシーズン真っ只中の日本ですが、そういった中でちらほらと選手たちの競技用新プログラムがお目見えし始めています。そして、6月12日、13日、14日には“フィギュアスケート日本代表エキシビション”と銘打ったアイスショー、「Dreams on Ice」が行われ、出演した日本のトップスケーターたちが次々と新プログラムをお披露目、発表しました。この記事ではそうした日本選手たちの新プログラム情報を中心にお伝えしたいと思います。


 まずは、上の写真でもお分かりのとおり、現世界選手権銀メダリストの羽生結弦選手です。羽生選手は「Dreams on Ice」に出演、その場で新しいフリープログラムをショー用に短く構成したものを披露しました。新プログラムは「SEIMEI」、映画『陰陽師』のサウンドトラックを使用したプログラムで、振り付けは14/15シーズンのフリーに続いてシェイ=リーン・ボーンさんとのことです。
 『陰陽師』は平安時代に実在した陰陽師・安倍晴明を主人公にした作品で、羽生選手はこの作品を選んだ理由について「幅を広げるため」と説明しました。羽生選手の和風プログラムといえば、三味線の音が特徴的なエキシビションナンバー「CHANGE」やバレエ『白鳥の湖』の音楽を和風にアレンジした「ホワイト・レジェンド」など過去にもいくつかありますし、また、羽生選手の顔立ちが純和風ということもあって和風プログラムはまさにピッタリという感じなので、そこまで新鮮味や意外性というのは感じないのですが、『陰陽師』を持ってくるというのはちょっと予想外でしたね。「SEIMEI」というプログラム名は『陰陽師』のサントラの中にある楽曲名ではなく、羽生選手が独自に名付けたものだそうですが、そういった部分からもこのプログラムに対する意気込みがうかがえます。
 そして、振り付けは14/15シーズンのフリー「オペラ座の怪人」を手がけたボーンさんで、2年連続、2作目のコラボということになります。極めて日本的なプログラムということで、日本人の振り付け師さんに作ってもらうという手もあったでしょうが、日本らしすぎないようにという意図があってということのようですね。また、先シーズンのフリーで一度組んでいるとはいえ、羽生選手の数々のアクシデントがあり、本来予定していた「オペラ座の怪人」を完成させることはできませんでした。そういった意味でも、再びボーンさんと組んで、「オペラ座の怪人」とは全く違った作品をやることで、二人ならではのケミストリーみたいなものが出てくるかもしれないので、楽しみですね。なお、ショートプログラムに関しては未発表となっています。


 続いては初出場の世界選手権で銀メダリストとなり、一躍注目度を上げた宮原知子選手。

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 宮原選手も「Dreams on Ice」に出演しましたが、この場で披露したのはエキシビションナンバーの「ペニーズ・フロム・ヘヴン」で、競技用プログラムは滑りませんでした。ですが、ショー後のインタビューでプログラム名を明かし、ショートプログラムは「ファイヤーダンス」、フリーはフランツ・リストの「ため息」であると発表しました。
 SPはジュニア時代から宮原選手のプログラムを多く手がけているおなじみのトム・ディクソンさん振り付け。プログラム名は「ファイヤーダンス」とのことで、この曲名を持つ楽曲がいくつかあるのですが、多分アイルランドをモチーフにした舞台作品『リバーダンス』の劇中曲の「ファイヤーダンス」と思われます。「ファイヤーダンス」といえば、鈴木明子さんが06/07シーズンと07/08シーズン、そしてバンクーバー五輪シーズンのSPで使用したことで知られていますが、アップテンポで情熱的なリズムが特徴的です。宮原選手は13/14シーズンのフリーでフラメンコの「ポエタ」を演じていますから、こういったジャンルのプログラムは初めてではないですが、フラメンコとはまた少し雰囲気が違うので新たな面が見られるのではないかと思います。
 フリーの「ため息」はリストの「3つの演奏会用練習曲」というピアノ曲集の中の一曲で、タイトルのとおり優しくゆったりとした旋律が美しい音楽です。リストのピアノ曲の中では比較的有名で、最近だとトヨタのCMで使われていたので覚えている方も多いかもしれません。オーケストラのないピアノのみの作品ですから緩急やメリハリを表現する難しさもあるでしょうが、スケーティングの美しい宮原選手なら滑りこなせるのではないでしょうか。また、振り付けは14/15シーズンの「魔笛」に続きローリー・ニコルさんで、浅田真央選手の「ノクターン」をあれだけ美しく振り付けた方ですから、同じピアノ曲の「ため息」も素敵に作ってくれているんじゃないかなと思いますね。


 シニアに移行する世界ジュニア王者の宇野昌磨選手はSP、フリーともにすでにアイスショーで披露しています。

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 ショートプログラムは「Legends」、フリーは「トゥーランドット」です。
 SPの「Legends」はSacred Spiritという音楽グループが1997年に発表した楽曲です。今までも宇野選手は多彩なジャンルのプログラムを演じていますが、「Legends」はこれまでになかった全く新しいタイプの曲ですね。アップテンポなダンスナンバーという点では宇野選手らしいですが、近未来的でエレクトロニックで一つのジャンルに絞りきれないような独特な世界観の音楽というのは珍しいので、アグレッシブな選曲だなと思います。
 一方、「トゥーランドット」はフィギュア界の大定番。SPも宇野選手にとってはチャレンジだと思いますが、この「トゥーランドット」も初めてのオペラ作品なので新境地と言えるかもしれません。クラシック音楽という視点でいうならジュニア時代の「ツィガーヌ」や先シーズンの「ヴァイオリンソナタ第9番」などいくつか経験していますから初挑戦というわけではありませんが、今までのものよりも物語性が強く、重厚かつ壮大な作品なので、そういった部分と宇野選手特有の踊りの巧さ、繊細さが合わさった時にどんな雰囲気、空気感が紡ぎ出されるのか、期待したいですね。


 そして、ベテランの無良崇人選手は「Dreams on Ice」でショートプログラムのみを披露、ロシア歌謡「黒い瞳」を使用すること、振り付けはソチ五輪のアイスダンス金メダリスト、チャーリー・ホワイト選手であることを明かしました。「黒い瞳」は男子も女子も多くのスケーターが演じていておなじみの作品ですが、女性的な艶っぽさが特徴的な曲でもあります。そのプログラムを男性的なパワフルさ、豪快さが魅力の無良選手がどう表現するのか、こちらも新たなチャレンジですね。また、振り付けがあのチャーリー・ホワイト選手ということで、たぶんホワイト選手にとっても他の選手の競技用プログラムを手がけるのは初めてだと思うので、プログラムの振り付けや作りにも注目ですね。


 14/15シーズン、大きな飛躍を遂げた本郷理華選手も「Dreams on Ice」に出演、新ショートプログラム「キダム」を演じました。また、正式な形での発表というのはなされていませんが、フリーは「リバーダンス」であることも判明しています。
 SP「キダム」はサーカス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の作品。本郷選手がこの作品で滑るというだけでも意外性がありおもしろいなと思いますが、振り付けはなんと鈴木明子さんとのこと。本郷選手は同門の先輩である鈴木さんには前シーズンのプログラムでも身のこなしのアドバイスなどをもらっていますから、プログラムを作ってもらうというのは自然な流れだと思うのですが、こんなに早く二人の本格的なコラボが実現するのは嬉しいですね。しかも「シルク・ドゥ・ソレイユ」の音楽を使用するということで、否応なく鈴木さんの代表作「O」を思い出します。本郷選手が鈴木さんのエッセンスを受け継いで、それをいかに本郷選手らしく表現していくかがポイントになりそうですね。
 フリーの「リバーダンス」もこれまでの本郷選手とは一味違ったイメージの作品。「リバーダンス」のどの部分を使うかによってもプログラムの雰囲気は変わってくるでしょうが、アイリッシュダンスの要素がふんだんに盛り込まれた作品ですから、そういったダンサブルな表現の仕方をするプログラムというのは、本郷選手にとってはチャレンジングな選曲と言えますね。


 2014年のNHK杯の優勝者である村上大介選手も「Dreams on Ice」でショー用に短くしたフリープログラム「彼を帰して ミュージカル『レ・ミゼラブル』より」をお披露目しました。「彼を帰して」はしっとり、ゆったりとしたメロディが印象的な『レ・ミゼラブル』の劇中曲。どちらかというと快活で元気の良いイメージのある村上選手ですが、悲哀漂う大人のプログラムというのも新鮮で楽しみですね。


 15/16シーズンもGP2大会に出場する今井遥選手は、4月上旬に行われた国内のローカル大会で早々と新プログラムを発表。SPは14/15シーズンからの持ち越しとなる「マラゲーニャ」、フリーはサン・プルーの「ピアノ協奏曲」とのことです。
 ショートの「マラゲーニャ」は2季連続での使用となりますが、今井選手によればステップシークエンスは一から作り直したそうなので、また少し違った感じになっているでしょうね。個人的にはとても好きなプログラムだったので再び見られるのは嬉しいですし、演じ続けることでさらに滑り慣れて洗練されると思うので、進化したプログラムになっていることを期待します。
 フリーはフランスの作曲家サン・プルーの「ピアノ協奏曲」ということで、曲名から推察するに13/14シーズンのフリーと同じものかなと思うのですが、具体的なことはまだ分かりません。ただ、今井選手によると「昨季使う予定で作ったプログラム」とのことなので(昨季というのがどのシーズンを指すのかも微妙なのですが)、そうすると13/14シーズンのフリーとは別物とも読めるのですが……。国際大会などで大々的にお披露目されるのを待ちたいですね。


 本格的なシニアデビューを果たす永井優香選手はショートプログラムのみをすでにアイスショーで発表していて、プログラムはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」となっています。壮大かつ難解な曲、しかもそれを2分50秒という短い時間に凝縮したプログラムなので、表現する難しさは確実にあるでしょうが、大柄でダイナミック、それでいて繊細さもある永井選手には合った作品だと思いますね。


 同じくシニアに参戦する中塩美悠選手は4月にスロベニアで開催されたトリグラフトロフィーで新しいフリープログラム「シェヘラザード」を披露済み。振り付けは阿部奈々美さんだそうです。中塩選手はこれまでミュージカル音楽やラテン系音楽などをよく滑っていて、新フリーはそれらとはまた違ったタイプの曲だと思いますが、表現の優れた選手なので中塩選手ならではの「シェヘラザード」を演じてくれそうで楽しみですね。



 さて、この記事はとりあえずこれで終了となりますが、このあとのオフシーズンもできるだけコンスタントに新プログラム関連の記事をアップしていきたいと思います。では。


:記事内の写真は全て、フィギュアスケート情報ウェブサイト「Absolute Skating」の公式フェイスブックページから引用させていただきました。

【関連リンク】
Japanese stars debut programs at 'Dreams on Ice' 「Dreams on Ice」の内容について報じた記事です。
トップ選手が移籍!フィギュアスケート熱が高まる新潟県 記事内に今井選手の近況に関する言及があります。

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by hitsujigusa | 2015-06-19 17:47 | フィギュアスケート(大会関連)