ベストコスチューム15/16・男子ショートプログラム部門

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 15/16シーズンのコスチュームをランキング形式で振り返るベストコスチューム15/16。各カテゴリーのショート、フリー別に、1位から10位まで個人的に好きなコスチュームを紹介していきたいと思います。それに関して、例年通り以下のようなルールを設けました。


●15/16シーズンに着用された衣装が対象。
●グランプリシリーズ、欧州選手権、四大陸選手権、世界選手権に出場した選手の、該当する試合で使用された衣装のみ対象。
●1選手1着のみに限定。1つのプログラムで複数の衣装が使用されている場合でも、1つの衣装しか対象にならない。また、1人の選手が複数のプログラムを使用している場合も、1つの衣装のみが対象となる。
●15/16シーズンに使用された衣装でも、すでに昨季以前に使用されている衣装は対象外となる。



 こうしたルールに基づいて、10着の衣装を選びました。さっそく、まずは男子ショートプログラムの衣装のベスト10から書いていきます。

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 男子ショートプログラム部門1位は、スペインのハビエル・フェルナンデス選手の「マラゲーニャ」です。

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 キューバ出身の作曲家レクオーナの「マラゲーニャ」はフィギュアスケート界でも定番のフラメンコプログラムですが、本場スペイン出身のフェルナンデス選手の衣装は伝統的なスペインらしさ、フラメンコらしさ満載のデザインとなっています。赤と黒のオーソドックスな色づかいで、加えて金色のボタンや紐状の金具、フロントから脇にかけてのゴージャスなビジューなど、高級感を漂わせる装飾で本格的な作りとなっていて、さすがスペインのスケーターとうならせる見事な完成度のコスチュームだと思います。


 2位は日本の宇野昌磨選手の「Legends」です。

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 「Legends」はエレクトロニックグループ“Sacred Spirit”の楽曲。エレトロニック独特の無機質さ、近未来的な印象を醸しながらも、抒情的なスローパートもあり、多面的な表情を見せるダンスナンバーです。そのエレクトロっぽさをイメージして、衣装はシルバーと黒を基調としたものになっています。襟や袖、裾を縁取るようにシルバーがあしらわれ、また、大胆な黒いラインが前身頃を切り裂くようにデザインされていて、そのラインもシルバーに光るビジューによって縁取られることでより近未来的な雰囲気を強調していますね。さらに裾は風になびく柳の葉のようで、ズボンと違和感なくうまく一体化しています。
 エレクトロミュージックという難しいイメージを、見事に表現した素晴らしい衣装だと思いますね。


 3位はアメリカのジェイソン・ブラウン選手の「Love Is Blindness 映画『華麗なるギャツビー』より」。

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 2013年に公開された映画『華麗なるギャツビー』の楽曲を使用したプログラムで、まさに映画の世界観を反映した衣装となっています。白いシャツの上に白いウェストコート、黒いジャケットを重ね、クラシカルな雰囲気を漂わせています。しかし、ところどころにブラウン選手らしい遊び心がのぞいていて、まず目に付くのはジャケットの襟でしょうか。シルバー(白?)の細長いビジューと赤い丸いビジューとが交互に組み合わせられ、それが均等に配置されてボーダーのような柄を作り出しています。また、上の写真では見えないですが、シャツの襟にも赤いビジュー(スパンコール?)がびっしりとあしらわれていて、全体的にはオーソドックスなスタイルながら細部にポップさを感じさせる作りとなっていて、ブラウン選手らしいとともに、映画のイメージにもぴったり合った素敵な衣装だなと思います。


 4位はウズベキスタンのミーシャ・ジー選手の「道化師」です。

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 「道化師」はイタリアの作曲家、レオンカヴェッロのオペラですが、赤と白と黒が混じり合う衣装は作品の多面性を表しているように感じます。黒は音楽の重厚さ、白は清らかさ、赤は情熱や狂気を想起させて、その3色が別々に配置されるのではなく絶妙に混じり合って一体化することで、作品の重層的な世界観をうまく表現していると思いますね。


 5位はアメリカのアダム・リッポン選手の「リヴ・フォーエヴァー」です。

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 「リヴ・フォーエヴァー」はイギリスを代表するロックバンド、クイーンの楽曲です。ロック音楽でありながらもオーケストラが入っていてクラシック音楽のような壮大さ、深遠さもあり、黒を基調としたシックな色づかいは音楽のイメージを的確に表現していると思います。また、黒だけだと地味になり過ぎるところですが、シルバーのビジューをふんだんにあしらっているのでロックらしい派手さもあります。これだけたっぷりとキラキラした装飾を使うと派手すぎてチープになりかねないですが、全体的に透け感のある生地の上にシンメトリーにビジューを配置しているので、品や高級感のある派手さになっているんじゃないかなと感じます。


 6位はラトビアのデニス・ヴァシリエフス選手の「踊るリッツの夜」。

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 15/16シーズンは浅田真央選手がエキシビションで使用したことでもおなじみのミュージカルナンバー「踊るリッツの夜」。こじゃれた雰囲気が印象的な音楽ですが、ヴァシリエフス選手の衣装もシャツにベストというオーソドックスかつ、かっちりしすぎないカジュアルさが特徴的で、軽快なプログラムによく合っています。特にアクセントとなっているのはギンガムチェックですね。コスチュームの作り自体もベストを2枚重ねたようなデザインで個性的ですが、さらにベストの柄をギンガムチェックにするというほかではあまり見ないデザインがポップさを醸し出していますし、また、シャツも長袖ではなく半袖にすることによってより軽やかさが強調されています。音楽の世界観とともに、16歳の若いヴァシリエフス選手ならではのフレッシュさも感じさせて、素敵な衣装だと思います。


 7位はフランスのフローラン・アモディオ選手の「Happy」です。

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 ファレル・ウィリアムズの2013年の大ヒット曲「Happy」を使用したプログラム。明るくポップな曲調にぴったりな水玉柄のシャツに赤いパンツで、まさに“Happy”という感じです。カジュアルでユニークなデザインですが、その中にも蝶ネクタイだったりシックな色のフィンガーレスグローブだったり小物づかいの巧さが光っていて、表現にこだわるアモディオ選手ならではのコスチュームですね。


 8位はイタリアのイヴァン・リギーニ選手の「ユー・レイズ・ミー・アップ」。

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 「ユー・レイズ・ミー・アップ」は2002年にニューエイジの音楽ユニット、シークレット・ガーデンが発表し、その後さまざまなアーティストによってカバーされている名曲ですが、リギーニ選手が使用したのはジョシュ・グローバンが歌うバージョンです。
 男性ボーカルの重厚さが印象的なプログラムとあって、リギーニ選手の衣装も黒とゴールドという色づかいで男性的な重厚感を前面に押し出しているように感じます。金色の部分は透け感のある網状になっていて、流れるようにデザインされた曲線が雄大な曲想を表していますね。華やかなラインストーンがふんだんに施されている上に、デザインも個性的で、一目見て斬新さを感じさせるコスチュームですが、ベースとなる色はシンプルな黒にすることで、華やかさとクールさのバランスをうまく取っているように思います。


 9位はカナダのパトリック・チャン選手の「マック・ザ・ナイフ」です。

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 カナダの国民的歌手マイケル・ブーブレが歌う「マック・ザ・ナイフ」。アップテンポで軽快なリズムが爽快な曲ですが、チャン選手の衣装も白い五分袖シャツに鮮やかな紫のニットベスト、シックなグレーのパンツと、全体的に軽やかさを醸しながらも、ゆるくなり過ぎない品のあるコーディネートとなっています。シーズン前半はニットベストがシャツと同じくらいの長さの袖ありのニットセーターだったのですが、それよりはベストの方がよりすっきりとして見えて良いのではないかと思い、こちらを選びました。


 10位はイタリアのマッテオ・リッツォ選手の「マラゲーニャ」。

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 上述したフェルナンデス選手と同じ曲名の「マラゲーニャ」ですが、リッツォ選手が使用しているのはアメリカのギタリスト、ブライアン・セッツァーの楽曲。映画『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』で使用されたことで有名で、日本のフィギュアファンには鈴木明子さんの12/13シーズンのSPでおなじみでしょうか。なのでフェルナンデス選手らが使用している定番のスパニッシュ・ソングである「マラゲーニャ」とは全くの別物です。
 こちらの「マラゲーニャ」はエレキギターが奏でる激しいラテン風音楽で、スペインらしさはありません。リッツォ選手のコスチュームも黒と赤でオーソドックスなラテンの色づかいですが、全体的に黒の面積が多く赤は控えめで、ラテンっぽさは抑え気味。身体の中心に赤い細いラインが2本走り、この写真では見えにくいですが、そのラインの両側にフリルがあしらわれています。フリルという男性の衣装では珍しいアイテムを使いアクセントにしながらも、ベースとなる黒と同色にすることで違和感なく溶け込ませていて、考えられた衣装だなと思いますね。



 男子ショートプログラム部門は以上です。次は男子フリー部門に続きます。


:記事冒頭の写真はフィギュアスケート専門誌「International Figure Skateing」の公式フェイスブックページから、フェルナンデス選手の写真、リギーニ選手の写真、リッツォ選手の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、宇野選手の写真、チャン選手の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」から、ブラウン選手の写真はicenetworkが2016年1月22に配信した記事「Brown files petition for spot on U.S. world team」から、ジー選手の写真はフィギュアスケート衣装情報サイト「フィギュアスケート・コスチューム図鑑」から、リッポン選手の写真、アモディオ選手の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ヴァシリエフス選手の写真はフィギュアスケートブログ「FS Gossips」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2016-05-08 16:19 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)