ベストコスチューム15/16・ペアショートプログラム部門

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 ベストコスチューム15/16、男子に続き、今回はペアのショートプログラムのコスチュームをベスト10形式で振り返っていきたいと思います。ベスト10を選ぶにあたってのルールについては、こちらの記事の冒頭をご覧ください。

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 ペアショートプログラム部門1位は、イタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組の「Morir D'amor」です。

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 ベートーヴェンの「ピアノソナタ第14番」、いわゆる“月光ソナタ”を女性ボーカル付きでアレンジした「Morir D'amor」。しっとりと大人っぽく、艶やかな曲で、二人の衣装も黒を基調としたシックなものとなっています。男性の衣装は黒いシャツに黒いパンツと装飾の一切ない潔さ。一方、女性の方は透け感のある黒い生地で、胸の部分だけビキニのように覆う形でセクシーさを感じさせます。そして最大のポイントとなるのはダイヤモンドのように輝くビジューで、体の中心を貫くようにライン状に配置されたところから散らばるように上半身全体にビジューが広がり、まるで夜空を走る天の川とその周囲を埋め尽くす無数の星々のようで、まさに“月光”のイメージにぴったりなコスチュームだと思います。


 第2位はカナダのリュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組の「Since I've Been Loving You」です。

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 レッド・ツェッペリンの「Since I've Been Loving You」、日本での曲名は「貴方を愛しつづけて」。激しいギターソロが印象的ですが、ドラマチックな抒情性もあるプログラムとなっています。男性は上の写真では分かりにくいかもしれませんが、ベースとなるワイン色の生地の上を革っぽい素材のライン状の生地がぐるぐる巻きのような形でデザインされており、ウエストにはロックっぽいごついデザインのベルト、パンツは光沢のある革風と、全体的にロックの激しさ、男らしさというのを感じさせます。対照的に女性の方はエレガンスな赤みがかったオレンジ色のワンピース姿で、胸の部分は細かなビジューをふんだんに施したデザイン。ワンピースの形自体はシンプルで、華やかなオレンジ色ではありますが派手すぎず、美しいですね。男女のバランスがうまく取れている衣装だと思います。


 3位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組の「I Put A Spell On You」。

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 使用曲の「I Put A Spell On You」は元々1956年に発表されたジェイ・ホーキンスの楽曲ですが、2015年に公開されて話題になった映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のサントラにカバーバージョンが使用され、フィギュア界でも複数のスケーターが用いました。
 ジェームズ&シプレ組が使用したのはイギリスの歌手ジョス・ストーンが歌うバージョン。女性ボーカルの力強さ、パワフルさが印象的なプログラムですが、二人のコスチュームも黒一色で強さを前面に押し出していますね。黒一色なのでとても見にくくパッと見では分かりにくいのですが、男性の衣装はベースとなる黒いシースルー生地の上に黒いジャケットを重ねたようなコーディネートになっています。しかもそのジャケットもシンプルなものではなくて、部分部分によってレザー風の素材が使われていたりベルトっぽい装飾がなされていたりと、いろんな素材を組み合わせたモダンなデザインです。女性の方は全身を覆うレオタード風で、首元と太ももの一部分にのみ大ぶりなビジューが三角形にあしらわれています。そして肩はレザー風の素材で肩パッドのようなデザインがなされ、ウエスト部分も同じレザー風素材でベルトのようなデザイン。全体的に色も素材感もかっちりした作りですが、体の中心部分のみシースルーになっていて、女性らしいセクシーさも漂わせています。ロック音楽のクールなイメージを見事に表現した、ただただ“カッコいい”コスチュームですね。


 4位は中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組の「愛のロマンス」です。

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 「愛のロマンス」は映画『禁じられた遊び』のテーマソングとして知られるギター曲ですが、隋&韓組のプログラムではこの曲のアレンジバージョンと「Faruccas」というフラメンコ曲を組み合わせたスパニッシュプログラムに仕上げています。
 ということでコスチュームもスペインらしさがうかがえますね。女性の隋選手は濃いピンクのストラップレスドレス。ドレス全体に細かなビジューがあしらわれていて、非常に華やかです。男性の韓選手は白いシャツに黒いジャケットで、ジャケットの形は襟ぐりが大きく開いたもので少し闘牛士の上着と似ていますね。また、写真では見えにくいですが、シャツの襟にはピンクのリボンとビジューが施されていますし、ジャケットの肩には色とりどりのビジューでスペインらしい複雑な模様がデザインされていて、一見シンプルながら、女性の衣装とペアルックっぽい感じにもなっています。
 スパニッシュな雰囲気を醸しながら、オリジナリティーも感じさせる素敵な衣装だと思います。


 5位は中国の彭程(ペン・チェン)&張昊(ジャン・ハオ)組の「カム・トゥゲザー」です。

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 タンゴアレンジされたビートルズの「カム・トゥゲザー」を使用したプログラムということで、衣装もタンゴをイメージした赤と黒を基調としています。男性は黒いトップスに赤いボトム。トップスの方にはビジューで独特な模様が施されています。女性の方は左側だけが長袖になったアシンメトリーな赤いワンピース。体の中心に深い切り込みが入っていて、その周囲を細かなビジューが埋め尽くしています。タンゴプログラムでタンゴを意識した振り付けもありますが、元々がビートルズの楽曲とあってモダンな雰囲気が特徴的で、なのでコスチュームもトラディショナルなタンゴらしさというよりも、タンゴっぽさを残しつつモダンなデザインに仕上がっていますね。


 6位はロシアのタチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組の「Nagada Sang Dhol」です。

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 インドの映画音楽を組み合わせた異国情緒満載のプログラム。コスチュームもまさにインド感を前面に押し出しています。男性のトランコフ選手はインドの男性の民族衣装“クルタパジャマ”姿。インド男性の民族衣装の中でも最もカジュアルなものだそうですが、裾の長い長袖シャツに、だぼっとしたズボンを合わせています。一方女性の方は対照的なゴージャスさで、インドの女性の民族衣装で有名なのは一枚の布を体に巻きつけたサリーですが、ボロソジャー選手が着ているのはトップスとスカートが分かれたものなので、レベンガという民族衣装に近いかなと思います。深みのあるグリーンをベースとして、トップスには繊細な刺繍やアップリケが施されています。右肩から細長い布を垂らし、スカートはグリーンのスカートの上にさらにベール風のブラウンっぽいスカートを重ねています。インドの民族衣装を現代的にアレンジしながら、ファッションとしての美しさも追求した素晴らしい衣装ですね。


 7位はアメリカのジェシカ・カララン&ザック・シドゥー組の「It's a Man's Man's Man's World」。

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 「It's a Man's Man's Man's World」はジェームズ・ブラウンが1966年に発表したR&Bの名曲ですが、カララン&シドゥー組はイギリスのソウル歌手、シールがカバーしたものを使っています。
 R&Bということでコスチュームもそういったカッコよさやクールさを感じさせるデザインとなっていて、男性の方は青いシャツに黒いパンツというシンプルなスタイル。女性は胸元が大きく開いたセクシーなワンピースで、首元やワンピース全体にビジューが多々あしらわれていてゴージャスです。さほど奇抜さはありませんが、“男の世界”を歌った大人のプログラムにふさわしいシックかつ華やかな衣装だと思います。


 8位はカナダのカーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組の「If I Can't Have You」。

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 アメリカを代表するブルースシンガー、エタ・ジェイムズの楽曲を用いたプログラムですが、上述したカララン&シドゥー組のプログラムとはまた趣きは違うものの、やはりこちらも大人のクールな世界観が印象的な作品です。
 色づかいは男女ともに黒一色で、男性は黒いシャツに黒いパンツ。女性は透け感のある生地に刺繍やアップリケを施したワンピース。どちらも奇をてらわずシンプルな作りですが、そのシンプルさがプログラムが持つカッコよさを引き立てていて、ぴったり合っているなと思います。


 9位はイタリアのニコーレ・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組の「Magnificat」。

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 イタリアの歌手ミーナが歌う「Magnificat」、壮大かつ荘厳な空気感に満ちた楽曲です。「Magnificat」=「マニフィカート」というのはキリスト教の聖歌の一つ。西方教会では晩の祈りの際に用いられる聖歌だそうです。
 そういった宗教的な曲とあって、衣装は二人とも神聖な白を基調としたものとなっています。そこに金色のビジューなどで植物を想起させるデザインがなされています。金色を使うと場合によっては派手すぎたりチープになったりすることもあるのですが、デラ・モニカ&グアリーゼ組の衣装は白と合わせ、デザイン的にも簡素な作りにすることで、品のある金色の使い方ができていると思いますし、神聖な楽曲にもよく合っていますね。


 10位はアメリカのマリッサ・カステリ&マーヴィン・トラン組の「サマータイム」です。

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 ガーシュウィン作曲の名曲「サマータイム」ですが、こちらで使用されているのは男性と女性のダブルボーカルのカバーバージョンです。
 男性が非常にシンプルな黒いTシャツと黒いパンツ、女性は華やかなゴールドのホルターネック風ドレスと対照的な組み合わせ。曲が「サマータイム」ですから、夏のけだるい感じや照りつける太陽のようなイメージが女性のキラキラと輝くゴールドのドレスに反映されているようにも感じますし、一方男性の方は黒一色の服装で女性の引き立て役に回っているという感じがしますが、半袖Tシャツというところで夏らしいといえば夏らしいと強引にこじつけることもできますね。それはともかくとして、女性のドレスは全体にゴージャスな金色を用いながらも嫌らしい派手さではなくて、品の良い絶妙な色づかいだと思いますし、女性の方がかなりゴージャスだからこそ、男性の方はこれくらい地味な方がバランスが取れて良いと思います。



 さて、ペアのSPベスト10は以上です。続いてフリーですが、こちらはもうしばらくお待ちください。


:記事冒頭の写真はInternationa Figure Skating」の公式フェイスブックページから、マルケイ&ホタレク組の写真、イリュシェチキナ&モスコヴィッチ組の写真、隋&韓組の写真、彭&張組の写真、カララン&シドゥー組の写真、デラ・モニカ&グアリーゼ組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ジェームズ&シプレ組の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ボロソジャー&トランコフ組の写真は、スケート情報サイト「icenetwork」が2015年11月13日に配信した記事「Volosozhar, Trankov comfortably in front after short」から、ムーア=タワーズ&マリナロ組の写真は、カナダのスケート組織「スケートカナダ」の公式サイトのフォトギャラリーから、カステリ&トラン組の写真は、「icenetwork」が2015年9月17日に配信した記事「Castelli, Tran grab lead with sultry 'Summertime'」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2016-05-20 17:43 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)