ベストコスチューム15/16・アイスダンスショートダンス部門

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 15/16シーズンのコスチュームのベスト10を選ぶベストコスチューム15/16。今回はアイスダンスのショートダンス部門です。衣装を選ぶ際のルールについてはこちらの記事の冒頭をご覧ください。

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 第1位は、アメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組の「モア/アンチェインド・メロディ」です。

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 15/16シーズンのショートダンスの課題は、パターンダンスが「ラベンスバーガーワルツ」、クリエイティブパートが「ワルツと、フォックストロットかマーチかポルカ」という指定でしたが、チョック&ベイツ組はイタリアの歌手アンドレア・ボチェッリのカバーによるスタンダードナンバー「モア」(元々はイタリア映画『世界残酷物語』のテーマ曲)と、映画『ゴースト/ニューヨークの幻』の主題歌として知られる「アンチェインド・メロディ」をクラシカルボーカルグループのイル・ディーヴォがカバーしたバージョンとを組み合わせたプログラムを用いました。
 全体的にゆったりとしてロマンチックな空気感が特徴的なプログラムですが、チョック&ベイツ組はこのプログラムで2種類の衣装を使用。女性のチョック選手の衣装はシーズンを通して1着でしたが、男性のベイツ選手の衣装はシーズン前半はシャツもタキシードも黒一色というコーディネート、シーズン後半は上掲の写真の、白いシャツに黒いタキシードという衣装を用いました。どちらも素敵なのですが、個人的にプログラムの雰囲気により合っていると思った方を今回は選びました。
 女性の方は肩を大胆に露わにしたロイヤルブルーのストラップレスドレス。胸と腰に色とりどりのビジューがあしらわれ、2枚重ねのスカートの下に着た方は鮮やかなグリーンで、ブルーと美しいグラデーションを作り出しています。男性ボーカルによって高らかに歌い上げられる恋をテーマにした作品と、深みのある青のフェミニンなドレス、そしてスタンダードで紳士的な男性のタキシード姿がよくマッチしていて、素晴らしいと思います。


 2位はイタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組の「オペレッタ『メリー・ウィドウ』より」。

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 タイトルの“メリー・ウィドウ”とは陽気な未亡人という意味ですが、その名のとおり明るく陽気な空気感が印象的なプログラムとなっています。シーズン前半は女性が濃いピンクのドレス、男性が黒地に金ボタンがついた衣装を使用していましたが、シーズン後半は今回選んだ衣装に変更しました。
 男性のラノッテ選手は白いシャツにグレーのネクタイ、黒いベストという軽快でシンプルなコーディネート。女性のカッペリーニ選手は白い五分袖のドレス姿。ドレスは生地と同色の繊細な刺繍が施され、首元の大ぶりのネックレスや腰の細いベルト(背中側で蝶々結びになっている)は黒でまとめられ、モノトーンの色づかいがシンプルではありますがアイスダンスの衣装の中では珍しく、新鮮味を感じさせます。シーズン前半で使用していた衣装は女性はかなり派手めで、男性も凝ったデザインのものだったのですが、プログラム自体が華やかで明るい分、衣装はこれくらいシンプルな作りで色味を抑えた方がバランスが取れていいのかなと思いますね。


 3位はロシアのアンナ・ヤノフスカヤ&セルゲイ・モズゴフ組の「Ribellione 映画『シチリア!シチリア!』より/映画『My Sweet and Tender Beast』より」。

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 マーチとワルツのリズムを用い、優雅ながらどこか勇ましさやダイナミックさも感じさせるプログラムで、コスチュームは女性の衣装に2種類あり、スケートアメリカで使用された白いドレスと、エリック・ボンパール杯以降に用いられたワイン色のドレスとがありましたが、今回は後者を選びました。
 女性はネックレス風の装飾を施した首元の詰まったノースリーブドレス。衣装全体には装飾は一切なく、模様もないですが、ビロードのような光沢が美しく、色合いや素材感をシンプルに活かした衣装ですね。そして男性の方はボタン周りにフリルの付いた白いシャツに、黒いアスコットタイ、中に着たグレーのウェストコートは花柄っぽい模様入りで、上着はシックな黒で引き締めています。女性の方がわりと簡素なので、男性の方がむしろ装飾的で、大きめのアスコットタイやウェストコートの模様がアクセントを付けています。男女のバランスがしっかり考えられた衣装だと思います。


 4位はフィンランドのセシリア・トルン&ユッシヴィレ・パルタネン組の「The World(With You)/Witchcraft」。

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 フランク・シナトラの歌を組み合わせたプログラム。エレガンスな大人の世界観が特徴的です。男性の衣装は白いシャツに白い蝶ネクタイ、白いウェストコート、黒いタキシードというクラシカルな正装。女性は淡いピンクのドレスで、細かなビジューによって斜めにラインが描かれていて、柔らかな雰囲気を醸し出しています。そのままパーティーに出かけられそうな優雅で気品溢れるコスチュームですね。


 5位はイギリスのペニー・クームズ&ニコラス・バックランド組の「オペレッタ『こうもり』より」。

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 フィギュア界の定番、ヨハン・シュトラウス2世のオペレッタ『こうもり』を使用した華やかなプログラム。男性の方は白いシャツに白い蝶ネクタイ、白いカマーベルトと黒いタキシードというオーソドックスなスタイル。一方女性はオレンジとピンクの中間の明るい色合いのドレス。胸元や腰には金色やピンクの花のアップリケが施されていて、ベースとなっているピンクオレンジと近いけれどまったく同じではない色合いが絶妙です。音楽の明るさをシンプルに表現した衣装ですね。


 6位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組の「映画『スタントマン』より」。

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 1980年公開のアメリカ映画『スタントマン』のサントラを使用していて、上述したカップルたちのプログラムとは多少趣きが異なります。
 男性の方はシルクっぽい光沢感のある白いシャツにブラウンのベスト、同系色のパンツというカジュアルなスタイル。女性はオレンジのストラップレスドレスで、デコルテ部分にふんだんにビジューがあしらわれています。プログラムはアメリカ映画らしい明るさやポップさに溢れており、女性のまばゆい衣装はもちろん、男性の衣装がシャツ+ベストというコーディネートなのも、アメリカらしいイメージを反映してのことだと思いますね。


 7位はカナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組の「美しき青きドナウ/アンネン・ポルカ」です。

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 ワルツ王、ヨハン・シュトラウス2世の代表曲「美しく青きドナウ」と「アンネン・ポルカ」を組み合わせたプログラム。男性は白いシャツに白い蝶ネクタイ、白いウェストコート、黒いタキシードという定番スタイルですが、それに加え首からメダルを下げ、右肩からワイン色の太いサッシュをたすき掛けするという、正式に近い勲章の装着の仕方をしていて、西洋の高貴な男性の雰囲気をうまく演出しています。女性は淡いピンクのハイネックドレスで、真珠が上半身全体に贅沢にあしらわれています。ただ真珠を散りばめるのではなく、ネックレスを複数重ねたようなシンメトリーな配置の仕方になっていて、バランスがよく考えられています。男女ともにトラディショナルなワルツを演じるにふさわしいヨーロッパのクラシカルな服装をうまく再現していて、細部まで工夫が凝らされた素晴らしい衣装ですね。


 8位はロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組の「仮面舞踏会/モンタビュー家とキャピュレット家 バレエ『ロメオとジュリエット』より」。

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 ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」とプロコフィエフのバレエ「ロミオとジュリエット」を組み合わせたプログラムで、前半はワルツ、後半はマーチとなっています。ボブロワ&ソロビエフ組が使用した衣装には2パターンあり、シーズン前半は女性の衣装がクリーム色のドレスでしたが、今回は欧州選手権で使用された方を選びました。
 男性の方は白いシャツに黒いアスコットタイ、黒い上着とパンツで、全体的に黒の面積が多くなっています。女性は群青色のドレス姿で、植物の枝葉のようなシルバーの模様と、首元のシルバーのネックレスがアクセントとなっています。男女ともに濃いめの色合いの衣装となっていますが、重厚なプログラムの雰囲気と衣装の色味が合っていて良いですね。


 9位はアメリカのアナスタシア・カヌーシオ&コリン・マクマヌス組の「バレエ『シンデレラ』より」。

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 ロシアの音楽家プロコフィエフのバレエ『シンデレラ』を使用したプログラム。衣装は男女ともに水色が基調となっていますが、女性は上半身に金糸で伝統的な模様の刺繍が施され、クラシカルな雰囲気を醸し出しています。男性は水色のシャツに水色の上着、さらにその上から黒いベストを重ねるという変わったスタイルとなっています。女性も男性も金色がアクセント的に使われていますが、特に男性は刺繍や金ボタンなど印象的に用いられていて、ファンタジーである「シンデレラ」の世界観を見事に表す華やかさもあり、可愛らしさもありというコスチュームになっていて、素敵だなと思います。


 10位はスロバキアのフェデリカ・テスタ&ルカーシュ・チェーレイ組の「Waltz In Swing Time 映画『有頂天時代』より/誰にも奪えぬこの想い 映画『踊らん哉』より/映画『ザッツ・エンターテインメント』より」。

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 テスタ&チェーレイ組は15/16シーズンは2つのプログラムを滑りましたが、今回選んだのはシーズン前半のプログラムの方です。アメリカのミュージカル映画のサントラのメドレーで、ミュージカル映画全盛期の陽気さに溢れています。
 衣装はそれと比べると比較的シックで、男性は白シャツ&白蝶ネクタイ&黒タキシードというこの記事の中でもたびたび登場してきたおなじみのクラシックスタイル。女性は淡いブルーのストラップの細いドレスで、体の中心に向かって布がキュッと寄せられたギャザーが繊細な印象を作り出しています。プログラムの音楽が華やかなので、もう少し衣装にも華やかさがあってもいいのかなという気もしますが、この写真では隠れていますがブルーのスカートの下にピンクのスカートがのぞく作りとなっていて、そのあたりで女性らしい華や可愛らしさを表現しています。二人ともシックですが、王道のコスチュームならではの美しさがあるコスチュームですね。



 ベストコスチューム15/16、アイスダンスのショートダンス部門は以上です。15/16シーズンのSDの課題が“ラベンスバーガーワルツ”とあって、男性の衣装は全体的に似通ったものが多くバリエーションには欠けましたが、それぞれ本格的な作りでワルツならではの正統派の良さを感じられる衣装が多く見られました。女性の衣装もクラシカルなものが多々あり、うっとりさせられる衣装がたくさんありましたね。
 次はフリーダンス部門に続きます。


:記事冒頭の写真は、フィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、チョック&ベイツ組の写真、カッペリーニ&ラノッテ組の写真、ボブロワ&ソロビエフ組の写真は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、ヤノフスカヤ&モズゴフ組の写真、トルン&パルタネン組の写真、クームズ&バックランド組の写真、ステパノワ&ブキン組の写真、カヌーシオ&マクマヌス組の写真、テスタ&チェーレイ組の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ウィーバー&ポジェ組の写真はカナダのニュース専門チャンネル「CTV News」の公式サイトが2016年1月22日に配信した記事「Weaver and Poje poised to capture another Canadian ice dance title」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2016-06-02 21:37 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)