ベストコスチューム15/16・アイスダンスフリーダンス部門

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 ベストコスチューム15/16、アイスダンスのフリーダンスの衣装のベスト10を見ていきます。ショートダンス部門はこちら、また、衣装を選ぶにあたってのルールはこちらの記事をご覧ください。

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 アイスダンスフリーダンス部門第1位は、イタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組の「映画『甘い生活』より/映画『カビリアの夜』より/映画『フェリーニのアマルコルド』より/映画『8 1/2』より」です。

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 プログラムはイタリアを代表する映画監督フェデリコ・フェリーニの作品のサントラを組み合わせたもので、全てこちらもイタリアを代表する作曲家ニーノ・ロータ作曲です。
 プログラムは全体的に明るさや陽気さが印象的なのですが、衣装は男性が主に白、女性が主に黒というモノトーンで統一。明るいプログラムだと衣装も明るい暖色系の赤やオレンジを選びがちだと思うのですが、あえてモノトーンにすることで逆に新鮮味を感じさせます。男性はシンプルな白いシャツ姿で、爽やかな印象。女性はストラップレスの黒いドレスですが、単なる黒一色ではなく細かなビジューを散りばめて華やかさを演出。また、ダイヤモンド風のビジューでベルトマークすることでアクセントを付けていて、いっそうエレガンスな雰囲気を作り出しています。シンプルなデザイン、色づかいながら、目を引く美しさがある素晴らしいコスチュームですね。
 ちなみにカッペリーニ&ラノッテ組はショートダンスでもモノトーンの衣装を使用していて、ショートダンス部門でも第4位として取り上げていますので、ぜひご覧ください。


 2位は中国の王詩玥(ワン・シーユエ)&柳鑫宇(リュー・シンユー)組の「映画『グリーン・デスティニー』より」。

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 中国を舞台にし世界的に大ヒットした映画『グリーン・デスティニー』のサントラを使用したプログラムで、衣装もまさに中国らしい本格的なデザインとなっています。このプログラムで使用された衣装は2種類あり、シーズン前半は女性がチャイナドレス風の濃い青のワンピース、男性がグレーの漢服風の衣装を使用していたのですが、シーズン後半に使用し始めた写真の衣装の方がより現代的に洗練された印象で、素敵だなと思いこちらを選びました。
 女性は前身頃が着物風になっているラベンダー色のワンピースで、お腹の右側に金色や紫色の糸で繊細な刺繍が施されています。他方、男性は鮮やかな青の詰め襟風の上着に黒いパンツといういでたちで、肩は肩パッドっぽい作りとなっていて、この肩部分や腰の帯に施された金色の模様によってゴージャスな雰囲気も醸し出しています。女性も男性も中国らしいデザインや模様を用いながらも、現代のコスチュームとして違和感のないおしゃれさもしっかりあって、トラディショナルかつモダンという素晴らしい衣装だと思います。


 3位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組の「Rachmaninov's Revenge」です。

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 使用している「Rachmaninov's Revenge」は、イギリスのロックバンド、クイーンのボーカリストとして知られる歌手フレディ・マーキュリーの楽曲です。タイトルのとおりラフマニノフの楽曲をサンプリングしつつ、もちろんボーカルも入っていて、いわゆるクラシカルオーバーといった感じの曲です。
 衣装は男性は黒一色ですが、上半身はシースルー生地で、そこに黒いうねるような曲線が描かれています。女性は淡いピンクのドレスで、胸元が大きく開いてそこだけがベージュ色の異なる生地となっています。スカートは端に行くにつれてピンクが濃くなるグラデーションとなっていて、全体的にフェミニンで清らかな印象を与えています。このプログラムは男性ボーカル入りなので力強さやパワフルさもあるのですが、ベースはラフマニノフなのでラフマニノフらしい優雅さもあり、そういった意味で男性と女性がそれぞれの曲想を表しているように感じますね。


 4位はアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組の「ピアノ協奏曲第2番」です。

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 フィギュア界大定番、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」の第2楽章と第3楽章を用いたプログラム。男性は黒を基調とした中に肩から胸にかけて赤い生地が使われている衣装。女性は赤を基調としたワンショルダー型のドレスで、上から下にいくにつれて色が薄くなりスカートの部分はシースルーのピンクとなっています。壮大で激しさもある曲想に赤がよく合っていますし、それでいて女性の衣装は真紅というよりはピンク寄りの赤なので女性的なエレガンスさもあって、プログラムの世界観にぴったりですね。


 5位は日本の平井絵己&マリオン・デ・ラ・アソンション組の「トゥーランドット」です。

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 おなじみの「トゥーランドット」を使用したプログラムで、男女ともにシックな色づかいの衣装で統一しています。男性のデ・ラ・アソンション選手はグレーのトップスに黒のパンツで、トップスは襟ぐりがゆったりとしたドレープ状になっていてエレガンスです。そして女性の平井選手は紫を基調としたオフショルダーのドレス。紫の色合いも一色ではなく濃いめの鮮やかな紫の部分と、にじんだような淡い紫の部分と分かれていることで変化をつけていて、そこから服の端っこに向けて薄くなるグラデーションになっているのが美しいですね。男女ともにシンプルな色づかいではあるのですが、その中にもグラデーションなど繊細な色づかいの工夫がなされているので見た目にも変化があって、音楽にあった深みのある清らかな雰囲気のコスチュームになっていると思います。


 6位はウクライナのアレクサンドラ・ナザロワ&マキシム・ニキーチン組の「幻想曲第3番」です。

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 「幻想曲第3番」はモーツァルト作曲のピアノ曲で、静謐かつ抒情的な旋律が印象的なプログラムとなっています。
 男性は濃いめのグレーのトップスと黒のパンツ姿で、襟ぐりはくしゅっと布を寄せて立体的な作りにしています。女性は淡いブルーのアシンメトリーなデザインのワンピースで、右側が細いストラップ、左側が長袖となっています。長袖も完全に腕を覆うものではなく、布を体に纏わせるようなデザインが軽やかさを演出していて、素材感の柔らかさといい色づかいといい、全体的に軽快さを印象付けます。男性女性ともに、シンプルな音楽にふさわしい華やかさを控えたコスチュームですね。


 7位はフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組の「Rain In Your Black Eyes/To Build a Home」です。

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 イタリアの作曲家エツィオ・ボッソの楽曲と、イギリスのニュージャズグループ“The Cinematic Orchestra”の楽曲のメドレープログラムで、盛り上がる部分もありますが、激しかったり情熱的だったりというわけではなく、全体的に穏やかな曲想が続くプログラムです。
 なので男女ともに深みのあるネイビーを基調としていて、男性は襟ぐりが丸いトップスで、うっすらと透けるシースルーの向こうに赤がほのかに見えるような作りです。女性はワンショルダー型のワンピースで、上半身はネイビー、スカートは赤という対照的な色づかいが印象的です。上半身はシースルーの生地と透けない生地とが組み合わされていて、一見無造作に生地に穴ぼこが開いたかのようなデザインがモダンな雰囲気を醸し出しています。
 クラシカルな雰囲気もありながら装飾性を極力排し、布地の特性をそのまま生かしたようなデザインの衣装はコンテンポラリーアートのようなイメージも想起させ、クラシックの要素もありつつ現代的な要素も多く含んでいる音楽の世界観にぴったりですね。


 8位はポーランドのナタリア・カリシェク&マクシム・スポディレフ組の「Crystallize」。

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 「Crystallize」はアメリカのヴァイオリニスト、リンジー・スターリングの楽曲です。なのでもちろんヴァイオリン曲で、ヴァイオリンが奏でる硬質な音色が特徴的なプログラムなのですが、ポップスっぽい要素もあって、スタンダードなクラシック曲とは少し趣きが異なります。
 衣装は男女ともにモノトーンで、男性は黒の上下、女性はブルーを帯びたグレーの長袖ワンピースです。どちらの衣装も細かなビジューが散りばめられていて、“クリスタル”という名の音楽のイメージを忠実に反映したデザインとなっています。色づかいは地味ですが、ふんだんに施されたビジューがスケーターの動きに合わせてきらめいて、それがいかにも“クリスタル”らしいですね。音楽自体が静かな曲調だったりオーソドックスなクラシックだったりすると、この衣装は地味過ぎるかもしれませんが、「Crystallize」はかなりアップテンポでノリの良い曲なので、これくらい地味でもいいのかなと思いますね。


 9位はアメリカのマディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組の「トロンのためのアダージョ」です。

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 「トロンのためのアダージョ」はフランスのエレクトロ・デュオ“ダフト・パンク”が映画『トロン:レガシー』のサントラとして手がけた楽曲です。ダフト・パンクはジャンルとしてはハウスやエレクトロニックとされますが、この曲は映画音楽なのでクラシックの色合いが濃く、壮大で深遠な曲想です。
 衣装はシーズン中2種類使用され、シーズン序盤から四大陸選手権までは女性のハベル選手は白い衣装を用いていましたが、世界選手権で写真の衣装に変更しました。この写真ではちょっと分かりにくいかもしれませんが、上半身はマットな質感の黒一色で、スカートが前は短く、後ろが膝くらいまであるアシンメトリーな長さとなっています。また、色も黒からグレー、白というようにグラデーションになっていて、光と闇が混じり合うような重層性を感じさせる凝ったデザインです。一方、男性は黒一色でこちらはシーズン序盤から変わらず、“シンプル・イズ・ベスト”で女性を引き立てています。ダークで重厚なプログラムの世界観によく合った衣装だと思います。


 10位はロシアのヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組の「これからも僕はいるよ」。

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 イタリアのテノール歌手アンドレア・ボチェッリさんの「これからも僕はいるよ」(原題をそのままカタカナにした「イオ・チ・サロ」という曲名でもおなじみですね)は、15/16シーズンをもって引退した小塚崇彦さんや、14/15シーズンをもって引退したペアの龐清(パン・チン)&佟健(トン・ジャン)組も使用していて、フィギュア界でも徐々に定番化しつつあるクラシカルオーバーのボーカル曲です。
 女性のシニツィナ選手はロイヤルブルーのノースリーブドレスで、胸の下をベルト風の装飾で締めるデザインとなっています。男性のカツァラポフ選手は上下黒の衣装で、トップスには少し薄めの黒でシンメトリーな模様が描かれています。重厚でありソフトでもある男性ボーカル入りのプログラムで、女性がやわらかさを、男性が重厚さを想起させて、男女でうまくバランスを取っているように感じますね。



 アイスダンスフリーダンス部門は以上です。1か月ほど前から始まったベストコスチューム15/16シリーズですが、次の女子でいよいよ最後です。記事アップまでまたしばらくお待ちください。


:記事冒頭の写真は、フィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、カッペリーニ&ラノッテ組の写真、平井&デ・ラ・アソンション組の写真、シニツィナ&カツァラポフ組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、王&柳組の写真、ナザロワ&ニキーチン組の写真、カリシェク&スポディレフ組の写真、ハベル&ドノヒュー組の写真は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、ステパノワ&ブキン組の写真は、アメリカのファッションデザイナー、ニック・ヴェレオス氏の公式サイトが2016年4月5日に配信した記事「ICE STYLE.....ISU World Figure Skating Championships 2016: Figure Skating Costumes Recap PAIRS and ICE DANCE!」から、チョック&ベイツ組の写真は、アメリカの新聞「The San Diego Union-Tribune」の公式サイトが2015年11月7日に配信した記事「Asada wins Cup of China in comeback at Grand Prix series」から、パパダキス&シゼロン組の写真は、フィギュアスケート情報サイト「GOLDEN SKATE」が2016年4月1日に配信した記事「Papadakis and Cizeron defend World title」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2016-06-08 20:18 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)