ベストコスチューム15/16・女子ショートプログラム部門

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 ベストコスチューム15/16、女子ショートプログラム部門です。15/16シーズンに使用された女子のSPの衣装のベスト10を1位から見ていきたいと思います。衣装を選ぶ際のルールはこちらの記事をご覧ください。

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 女子ショートプログラム部門第1位は、アメリカのポリーナ・エドマンズ選手の「ピアノソナタ第14番」です。

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 ベートーヴェンの「ピアノソナタ第14番」、いわゆる“月光ソナタ”として知られる名曲を使用したプログラムです。
 衣装は青を基調としたものですが、胸の辺りには緑色も交じっており、上から下に向かって緑から青、さらに濃い青へと絶妙なグラデーションになっています。そのグラデーションの作り方もただ色が薄い方から濃い方へ変化するというのではなく、複雑に色を重ねながら全体的に一体感のある色合いになるように計算されていて、工夫が素晴らしいなと思います。また、胸元のネックレス風のビジューや、上半身全体に施した細かなビジューなど、装飾づかいもちょうど良い華やかさです。
 夜空を想起させる深い青、きらめく星々のようなビジューなど、“月光”のイメージを忠実に反映していて、シックさと華やかさのバランスも、重厚であり優雅でもある音楽の世界観にぴったりで、ため息の出るような美しい衣装ですね。


 2位は日本の宮原知子選手の「ファイヤー・ダンス 『リバーダンス』より」です。

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 アイルランド発の舞台作品『リバーダンス』の中の一曲である「ファイヤー・ダンス」を使用し、フラメンコの要素をふんだんに盛り込んだプログラムとなっています。
 ということで、衣装もスペインらしさ、フラメンコらしさを存分に意識したデザインですね。鮮やかな赤を基調とし、スカートや袖口からレース調の黒い生地が少しだけ覗いています。上半身はレースっぽい作りの蔓草模様の生地でちょっぴり透け感がありセクシーさを感じさせますし、スカートも左腰の方できゅっと布を絞るようなデザインになっていて、短めのスカートからのぞく脚がこちらも大胆な印象で、全体的に大人びた雰囲気を醸し出しています。
 一見奇をてらわずオーソドックスなデザインですが、素材のチョイスの仕方だったりスカートの丈のバランスだったり、細部にまでこだわりの感じられる素晴らしいコスチュームだと思います。


 3位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「Hip Hip Chin Chin」です。

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 「Hip Hip chin Chin」はドイツのクラブ・デ・ベルーガというジャズ・バンドの楽曲で、ジャズをベースにしつつ、サンバのリズムも織り込まれていて、どこの国の音楽と一言で言えないような魅力のある、ノリノリのダンスナンバーとなっています。
 そんな陽気な雰囲気の音楽ですが、ワグナー選手は黒一色の衣装でシックにまとめています。ワグナー選手がこのプログラムで使用した衣装は2種類あり、今回取り上げたのはシーズン前半で使用したものです。黒のホルターネックのミニスカートドレスで色づかいとしては非常にシンプルですが、服の線に沿うようにあしらわれた大ぶりのビジューや、上半身前面に散りばめられた細かなビジューなど、キラキラと光るビジューが黒い生地に映えてとてもゴージャスです。また、スカートの裾もフリンジにすることでほかの衣装にはないオリジナリティーを演出しています。
 明るいプログラムながらあえてクールな黒を使うことで、プログラムに漂う“大人の世界”のイメージをうまく表現し、そこにビジューやフリンジなどで華や個性をプラスしていて、シンプルながら個性的という相反するイメージを見事に両立させた衣装になっていると思います。


 4位は中国の李子君(リ・ジジュン)選手の「月の光」です。

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 ドビュッシーの代表曲「月の光」を使用したプログラムで、まさに夜空のような群青色を基調としたワンピース姿です。両肩のストラップの太さが異なるアシンメトリーな作りで、左側は細いシルバーのストラップ、右側はヌーディーな肌色の生地と群青色のストラップを組み合わせたデザインになっています。このワンピースのデザインの肝となるのはやはり右肩から胸元にかけての部分で、肌色の生地に左肩のストラップと同じシルバーの縁取りをしたり、群青色やシルバーのビジューをあしらったりしていて、この部分をそのまま群青色の生地だけで作ってしまうと、群青色が暗めの色なだけにずっしりと重い印象になりかねないと思うのですが、肌色の生地でパッと見シースルーっぽい感じにすることで軽やかさが生まれています。
 シックさと華やかさ、重厚さと軽やかさのバランスが美しいコスチュームですね。


 5位はカナダのケイトリン・オズモンド選手の「ばら色の人生」です。

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 シャンソンの定番「ばら色の人生」のシンディ・ローパーバージョンを使用したプログラム。普通ならタイトルに合わせてバラっぽいピンクや赤を選びそうなところですが、そこをあえてグレーという無彩色にしてきたところが新鮮ですね。やはりグレーというのは地味な印象を与えやすいカラーなので難しさもあると思うのですが、この衣装はストラップから胸元にかけてビジューでピンクや白の植物をあしらっていて、そのピンクと白がベースとなるグレーにとてもマッチしていて、色合わせの妙というのが感じられます。グレーという色の美しさを存分に活かした素晴らしいコスチュームだと思います。


 6位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手の「エル・チョクロ」です。

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 「エル・チョクロ」はタンゴの名曲で、情熱的な部分もありつつ、哀愁漂う大人びた空気感が印象的な音楽。ゴールド選手の衣装もそれに合わせて黒でクールに仕上げています。ワンピースの形は実にシンプルで、正面から見るとほぼ黒一色ですが、ほかの角度から見るとスカートの裏地だったり左腰の赤いバラの装飾だったり、ところどころに赤がのぞくデザインになっていて、その黒と赤のバランスが絶妙だなと思います。全体的には黒の面積が多いのでシックな印象ですが、効果的に使われている赤がアクセントとなって秘めた情熱のようなものをイメージさせて、プログラムの世界観とぴったりだなと思いますね。


 7位は日本の村上佳菜子選手の「ロクサーヌのタンゴ 映画『ムーラン・ルージュ』より」。

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 フィギュア界でもすでに定番になっている「ロクサーヌのタンゴ」。女子スケーター、男子スケーターともに人気の曲ですが、村上選手は男性ボーカル入りで迫力のあるパワフルなプログラムに仕上げています。
 衣装も女子選手にしては珍しいパンツスタイルで、全身黒一色。腕や背中などベースとなる生地は黒のシースルーで、その上に重厚感のある黒いハイネックを重ね、シンプルなミニスカートに、黒いストッキングを履いて、ほぼ全ての肌を覆っています。非常にシンプルな色づかいですが、トップスの前面に細かなビジューで模様を付けたり、何よりコスチュームの形でオリジナリティーを表現していて、ほかの女子選手にはないカッコいい衣装になっていると思います。


 8位はロシアのエフゲニア・メドベデワ選手の「映画『白夜の調べ』より」。

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 日本とロシアを舞台にした日本映画『白夜の調べ』のサントラを使用したプログラム。しっとりとしたエレガンスなピアノ曲ですが、メドベデワ選手の衣装も落ち着いた色合いのワイン色でシックにまとめています。長袖のシンプルな形のワンピースですが、腕や肩部分はシースルー生地で、胴から下は透け感のない生地と変化がつけられています。また、ビジューの使い方が光っていて、胸からお腹にかけて生地を埋め尽くすように施されたビジューがまるで星空のような美しい絵柄を作り出していて、ワイン色一色の衣装にゴージャスさをプラスしています。露出の少ない衣装で少女らしい清楚さを醸し出しながらも、大人っぽい雰囲気もうまく表現していますね。


 9位はラトビアのアンゲリーナ・クチヴァルスカ選手の「星は光りぬ オペラ「トスカ」より」。

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 大定番のオペラ「トスカ」の中でも有名なアリア「星は光りぬ」に乗せた壮大で重厚なプログラム。コスチュームはタイトルにふさわしい、まさにきらめくイメージを前面に押し出した豪華なデザインです。
 ベースとなる色は鮮やかな紫で、衣装のフォルムとしては長袖ワンピースですが、体の中心や腰に布の切れ目のようなラインが入った独創的な作りです。上半身全体にふんだんにビジューがあしらわれ、首元のジュエリーっぽいデザインの装飾もそうですし、ワンピースを縦断するようなシルバーの曲線など、個性的なデザインが印象的です。また、そのシルバーのラインが複数交差することによって、胸元に菱形模様を作り、その菱形の部分にまた別の色のビジューがあしらわれ……という重層的な色の組み合わせになっていて、これだけ色とりどりだとごちゃごちゃしかねないのですが、ベースとなる紫からそんなに離れていない色合いのビジューを使っているので、それぞれの色がうまく溶け合って、一体化していますね。


 10位はロシアのアデリナ・ソトニコワ選手の「ある恋の物語/ラテン・セレクション」。

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 さまざまなラテンの楽曲を組み合わせたメドレー・プログラム。陽気でノリの良いダンスナンバーとあって衣装も派手なピンクでラテンらしさを表現しています。ピンクの色合いも淡いと優雅で大人しいイメージになりますが、ちょっと紫の入った濃いピンクなので良い意味でチープでキッチュな感じが出ています。また、形としてはオーソドックスなワンピースなのですが、スカートはフリンジでしかもイエローとの2色づかいによってさらに明るい雰囲気になっていますし、上半身の方もところどころ肌色の生地を使うことでシースルーっぽくしていたり、水玉模様をあしらったり、左胸にのみワンポイントでフリンジを付けたりと、そこここにアクセントとなるモチーフを用いていて、全体的にとても賑やかで楽しいコスチュームになっていますね。



 さて、女子ショートプログラムの衣装ベスト10は以上です。次はいよいよベストコスチューム15/16の大トリ、女子フリー部門です。またしばらくお待ちください。


:記事冒頭の写真は、フィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、エドマンズ選手の写真は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、宮原選手の写真、ゴールド選手の写真、メドベデワ選手の写真、ソトニコワ選手の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ワグナー選手の写真は、スケート情報サイト「icenetwork」が2016年1月13日に配信した記事「2016 U.S. Championships Viewer's Guide」から、李選手の写真、オズモンド選手の写真、村上選手の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、クチヴァルスカ選手の写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2016-06-16 17:41 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)