世界国別対抗戦2017―日本、3大会ぶり2度目の優勝(女子SP&アイスダンスSD)

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 シーズンの最後を締めくくる世界国別対抗戦(ワールド・チーム・トロフィー)2017が東京にて4月20日から23日にかけて行われました。世界国別対抗戦は国別のポイントランキングの上位6か国が出場し、男女シングル2名ずつ、ペア、アイスダンス1組ずつで構成された6チームが競う団体戦です。試合の内容を書く前に、この大会のシステムをおさらいしたいと思います。


◆出場国

カナダ(8437ポイント)、ロシア(7972ポイント)、アメリカ(7257ポイント)、日本(7068ポイント)、中国(5065ポイント)、フランス(4307ポイント)


◆順位の決定方法

 各種目のショートプログラム(ショートダンス)、フリーそれぞれの順位ごとにポイントが付与されます。1位の選手(組)には12ポイント、2位ならば11ポイントというふうに1ポイントずつ下がっていきます。そのポイントの最終的な合計によって順位を決定します。



 ということで、先に結果を言ってしまいますと(というか記事タイトルに書いていますが)、日本が2012年以来となる3大会ぶり2度目の優勝を果たしました。そして、僅差で2位はロシア、3位がアメリカ、4位がカナダ、5位が中国、6位がフランスとなっています。
 この記事ではまず女子のショートプログラムとアイスダンスのショートダンスの模様をお伝えしますが、このあとも各種目のショートからフリーへと順々に記事にしていきたいと思います。


ISU World Team Trophy 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 まずは女子のショートプログラムから。
 女子ショートで1位に立ったのは世界女王、ロシアのエフゲニア・メドベデワ選手です。

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 まずはスピンとステップシークエンスでしっかりレベル4&加点を取って好スタートを切ると、後半最初の3フリップ+3トゥループはファーストジャンプで片手、セカンドジャンプで両手を上げて完璧に着氷。続く3ループも問題なく下り、最後の2アクセルは珍しく少し軸が外れて着氷が詰まり気味になりましたが問題なく加点を稼ぎ、最後のスピン2つもレベル4といつもどおりそつのない演技を見せました。得点は自己ベストかつ世界歴代最高得点となる80.85点を叩き出し、キス&クライではチームの仲間とともに喜びを爆発させました。
 シーズン最後の疲労など全く感じさせないいつもどおりのパーフェクトな演技でしたね。80点を突破するのは時間の問題だったので、実際に80.85点という得点が出ても驚きはしませんでしたが、男子でも高得点と言われる80点台にとうとう到達したというのを目にすると、やはりここまで来たかと感慨を覚えました。それでも今回のショートは2アクセルでちょっとしたミスがあったので、まだ得点を伸ばせる余地があるという点では80点というのは全くゴールではなく、まだ通過点という感じですね。


 2位となったのは同じくロシアのエレーナ・ラディオノワ選手。

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 冒頭は得点源となる3ルッツからの2連続3回転でしたが、3ルッツの着氷で若干こらえ気味になったため単独にします。しかし後半の3ループに3トゥループを付けてしっかりリカバリー。最後の2アクセルもクリーンに跳び切り、軽快でコケティッシュなプログラムを演じ切りました。得点は自己ベストとなる72.21点で2位と好位置につけました。
 実戦は2月のユニバーシアード以来だったラディオノワ選手。試合間隔があいたことによる調整の難しさもあったでしょうが、ラディオノワ選手らしい躍動感と明るさ溢れる演技だったと思います。一方で、これだけレベルの高い選手が国内では破れて欧州選手権にも世界選手権にも出場できなかったということを思うと、改めてロシア女子の層の厚さを感じましたね。


 3位に入ったのは日本の三原舞依選手です。

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 冒頭は得意の3ルッツ+3トゥループ、これをクリーンに決めて1.1点の高い加点を獲得。続く2つのスピンをレベル4で揃えると、中盤の2アクセルは問題なく成功。終盤のスピンとステップシークエンスもきっちりレベル4でまとめ、そして最後は世界選手権でまさかのパンク&転倒となった3フリップでしたが、今度は完璧に跳び切り、笑顔のフィニッシュとなりました。得点は自己ベストを3点以上更新する72.10点で、世界選手権の悔しさを晴らしました。
 最後の3フリップは世界選手権での失敗があってさすがに嫌な記憶がよぎったと思うのですが、元々得意なジャンプでああいう形での失敗自体が珍しいことなので、今回の演技こそが本来の三原選手の姿で、練習どおりのジャンプが跳べたのではないかと思います。


 4位は世界選手権2017の銅メダリスト、カナダのガブリエル・デールマン選手。

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 まずは代名詞ともなっている3トゥループ+3トゥループ、これを驚異的なスピードと飛距離で成功させ、2.1点の極めて高い加点を獲得します。中盤の3ルッツは着氷でわずかにバランスを崩し減点。ですが、直後の2アクセルは危なげなく下り、スピン、ステップシークエンスも全てレベル4と、世界選手権メダリストの意地を見せつけました。得点は自己ベストに迫る71.74点で4位と好発進しました。
 3ルッツでは細かなミスがありましたが、今季のデールマン選手を象徴するような安定感のある演技でしたね。数週間前の世界選手権でメダルを取ったばかりだからこそ、今大会はカナダチームをリードする存在として期待される立場で変な失敗はできないというプレッシャーもあったと思うのですが、その期待をしっかりと自分のパワーに変えた素晴らしい内容だったと思います。


 5位は日本の樋口新葉選手です。

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 まずは得意の2アクセルを余裕たっぷりに成功させると、後半に組み込んだ大技3ルッツ+3トゥループもクリーンに着氷して加点1。次の3フリップは踏み切りのエッジが不正確と判定されたものの最終的には加点も得て、フィニッシュした樋口選手はガッツポーズで喜びを露わに。得点は71.41点とパーソナルベストを4点以上上回りました。
 今大会は公式練習で3アクセルの練習をしクリーンに着氷する姿も幾度か見せていて、好調さをうかがわせていた樋口選手。その練習のままの演技内容となりましたね。特に冒頭の2アクセルは3アクセルを練習しているだけあってほかの選手の2アクセルと比べても高さや幅、滞空時間など余裕を感じさせて、3アクセルへの期待も抱かせる迫力のある2アクセルでしたね。3+3はファーストジャンプで若干勢いが止まりかけ、3トゥループを付けるのをためらったとのことですが、諦めずに跳び切ったことが自己ベストに繋がったわけなので、こういった部分もシニアで戦ってきたことによる成長なのかなと思います。

 6位はアメリカのベテラン、アシュリー・ワグナー選手です。

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 まずは得点源となる3フリップ+3トゥループ、クリーンに着氷したかに見えましたが、セカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)と判定されて細かな減点を受けます。しかしその後の3ループ、2アクセルはパーフェクトに下りて、ダンサブルなプログラムを最後までノリノリで滑り切りました。得点はシーズンベストの70.75点でしっかりと70点台に乗せました。
 今季はショートでなかなか70点台に乗せることができず、フラストレーションが溜まる試合が多かったのかなと思うのですが、プログラム自体はワグナー選手のリズム感の良さを活かしていてシーズン序盤から体に馴染んでいて、シーズン最後の今大会でもらしさを充分に発揮しましたね。技術面では3+3はワグナー選手本来の高さに欠けた印象で回転不足となりましたが、そのほかの安定感はさすがなので、若い10代の選手たちと同等に張り合うためにはやはり来季も3+3をいかに確実に跳ぶかが鍵になってきそうです。


 1位から6位は以上です。7位以下の選手も含めて、このような順位、獲得ポイントとなりました。


《女子SP》

1位:エフゲニア・メドベデワ(ロシア)、12ポイント
2位:エレーナ・ラディオノワ(ロシア)、11ポイント
3位:三原舞依(日本)、10ポイント
4位:ガブリエル・デールマン(カナダ)、9ポイント
5位:樋口新葉(日本)、8ポイント
6位:アシュリー・ワグナー(アメリカ)、7ポイント
7位:李香擬(中国)、6ポイント
8位:カレン・チェン(アメリカ)、5ポイント
9位:李子君(中国)、4ポイント
10位:アレーヌ・シャルトラン(カナダ)、3ポイント
11位:ロリーヌ・ルカヴェリエ(フランス):2ポイント
12位:マエ=ベレニス・メイテ(フランス):1ポイント




 続いてアイスダンスのショートダンスについてお伝えします。
 ショートダンスで1位となったのはアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組。5つのエレメンツのうち4つでレベル4を獲得する会心の演技を披露し、79.05点と自己ベストを2点以上更新しました。
 2位はカナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組。5つのエレメンツのうち3つでレベル4と隙の無い演技で、こちらも自己ベストを2点以上上回りました。
 3位はロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組。冒頭のツイズルでミスがありレベルが1になった上、GOEも減点となるなど取りこぼしが目立ち、自己ベストより7点以上低いスコアで3位にとどまりました。
 4位は中国の王詩玥(ワン・シーユエ)&柳鑫宇(リュー・シンユー)組。ツイズルやリフトでレベル4を獲得するミスらしいミスのない演技で自己ベストを2点以上更新しました。
 そして5位は日本の村元哉中&クリス・リード組です。

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 5つのエレメンツのうち3つをレベル4でまとめ、世界選手権でミスがあった課題のツイズルもクリーンに成功させる会心の出来で、フィニッシュではリード選手が力強いガッツポーズで手応えを示しました。得点はこちらも自己ベストを2点以上上回る63.77点をマークしました。
 世界選手権ではミスもあり予想以上に低い得点で悔しさを味わった村元&リード組。今回のSDはそのリベンジとして今のベストを出し切ったのではないかと思います。表現面でもカップル結成2季目の集大成として、軽快なプログラムをこの二人にしか出せない雰囲気、空気感で表現し切ってくれましたね。
 6位はフランスのマリー=ジャド・ローリオ&ロマン・ルギャック組。全体的にはそつなくエレメンツをこなしたものの、そこまで大きく加点を伸ばすことはできず、自己ベストにはわずかに及ばず6位にとどまりました。


 ということで、アイスダンスSDの順位は以下のようになりました。

《アイスダンスSD》

1位:マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組(アメリカ)、12ポイント
2位:ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組(カナダ)、11ポイント
3位:エカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組(ロシア):10ポイント
4位:王詩玥&柳鑫宇組(中国)、9ポイント
5位:村元哉中&クリス・リード組(日本)、8ポイント
6位:マリー=ジャド・ローリオ&ロマン・ルギャック組(フランス)、7ポイント




 さて、次の記事では男子SPとペアSPについて書きますので、しばしお待ちください。


:メダリスト3チームの集合写真はスケート情報サイト「icenetwork」から、メドベデワ選手の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ラディオノワ選手の写真、三原選手の写真、デールマン選手の写真、樋口選手の写真、ワグナー選手の写真、村元&リード組の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-04-24 20:49 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)