ベストコスチューム16/17・ペアフリー部門

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 16/17シーズンのコスチュームの各カテゴリー別のベスト10を勝手に発表するベストコスチューム16/17。今回はペアのフリー部門です。なお、このランキングのルールについては、こちらの記事をご覧ください。

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 ペアフリー部門第1位はアメリカのヘイヴン・デニー&ブランドン・フレイジャー組の「映画『ある日どこかで』より」。

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 1980年公開のアメリカ映画『ある日どこかで』のサウンドトラックを使用した壮大かつ華麗、どことなく哀愁漂うプログラムです。
 男女ともに鮮やかな青を基調とした衣装ですが、女性は左肩だけのワンショルダーのワンピース。何といっても特徴的なのはふんだんにあしらわれたさまざまな装飾品で、肩から胸にかけては大ぶりのビジューが施され、特にみぞおちの部分はぎっしりと敷き詰めるようなゴージャスなデザインとなっています。そのほかの部分でも細かいラインストーンなどがたっぷりと使用されていて、非常に華やかな印象を与えます。また、写真では見えませんが、背中側ではビキニ風のデザインとなっていて、衣装の形としても凝った作りと言えます。一方、男性の衣装は襟ぐりに細かなラインストーンがあしらわれているのみのシンプルな長袖トップスで、女性がゴージャスな分、男性は控えめにすることでバランスが取れていますね。
 高貴なロイヤルブルーでダイナミックさを、繊細な装飾づかいで優雅さを表していて、重層的なプログラムにぴったり合った素晴らしいコスチュームだと思います。


 2位はロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組の「クライ・ミー・ア・リヴァ―」です。

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 アメリカのポピュラーソング「クライ・ミー・ア・リヴァ―」。ザビアコ&エンベルト組が使用しているのはカナダの歌手マイケル・ブーブレが歌うバージョンで、壮大でドラマチックなプログラムとなっています。
 女性のザビアコ選手はストラップレスのドレスで、胸からお腹にかけて葉っぱのような独創的なモチーフで覆われています。スカートはグレーとピンクの組み合わせで、全体的に落ち着いた色合いとなっています。一方、男性のエンベルト選手は濃いめのグレーの長袖シャツに、微妙に色の違う青みがかったグレーのパンツというシンプルなスタイル。個性的なデザインの衣装の女性と比べてシンプルに徹底することで、女性の美しさを引き立てるコーディネートと言えます。
 両者ともにグレーを基調とした衣装で、ともすれば地味になりかねないと思うのですが、ひとえにグレーといっても複雑な色合いのグレーをさまざま組み合わせていて絶妙なカラーコーディネーションだなと思いますし、必ずしも華やかな色を使わなくても氷の上で映える衣装になるという好例ですね。


 3位はドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組の「Lighthouse」です。

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 カナダの歌手パトリック・ワトソンの「Lighthouse」。ピアノの静かな音色と男性ボーカルの優しく、時に力強いハイトーンボイスが繰り広げる壮大かつ繊細な世界観のプログラムです。
 男女ともに同じ色、素材のコスチュームで、うっすらと透け感のあるクリーム色に、グレーがまるで水彩画のように濃い部分と淡い部分が入り混じって広がっていて、非常に幻想的な色づかいとなっています。その生地を使って、女性の方は長袖のワンピースを着用。細かなラインストーンが全身に散りばめられていますが、淡いグレーの中に溶け込むようにあしらわれています。男性の方は同じ生地を使いながらもグレーの色合いが女性よりも濃い目で範囲も広く、よりダークな印象でしょうか。クリーム色の部分が多い女性と、グレーの部分が多い男性と、絶妙な対比となっていて、まさに2人で1つの衣装という感じがしますね。


 4位はイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組の「スカイフォール 映画『007 スカイフォール』より/映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』より」。

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 『007』と『ミッション:インポッシブル』というアクション大作のサントラを繋げたプログラム。ということで衣装も映画の世界観を想起させるデザインとなっています。
 女性のマルケイ選手は黒をベースにしたミニスカートドレス。襟ぐりや胸元の装飾品、スカートの裾にシルバーがあしらわれていて、特に襟ぐりから胸元にかけてのデザインはシルバーのラインストーンをびっしりとふんだんに施しており、非常に高貴でゴージャス、しかしシックでもあり上品な印象を与えています。そして、男性は全身黒のシンプルなスタイル。全てを黒でまとめることで『007』のジェームズ・ボンドや『ミッション:インポッシブル』のイーサン・ハントのようなスパイっぽい雰囲気が醸し出されていると思いますね。


 5位は中国の彭程(ペン・チェン)&金楊(ジン・ヤン)組の「I Will Wait For You 映画『シェルブールの雨傘』より」。

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 フィギュア界でも定番のミュージカル映画『シェルブールの雨傘』。その中でも特に有名な主題曲「I Will Wait For You」を使用したドラマチックでロマンチックなプログラムです。
 女性は淡いブルーのワンショルダー型ワンピース。といっても右肩にかかるストラップは白い花のアップリケを連ねたようなデザインで、本当のストラップというよりは装飾的な意味合いが強いですね。その花が肩から胸、お腹、腰にかけてライン状にあしらわれていて、女性らしい可愛らしい印象を作り出していて、ワンピースの色とも相まってプログラムの世界観によく合ったデザインになっていると思います。一方、男性はシンプルな白いシャツに黒いパンツというスタンダードスタイル。ですが、シャツはネックレス風の装飾やパフスリーブのような袖など装飾性もあり、こちらもロマンチックで甘めな雰囲気が音楽に合っているなと感じます。


 6位は中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組の「明日に架ける橋」です。

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 サイモン&ガーファンクルの世界的ヒット曲「明日に架ける橋」を、アメリカのR&B歌手ジョン・レジェンドが歌ったカバーバージョンを使用したプログラム。
 女性の隋選手はワンショルダーのピンクがかったオレンジ色のワンピース姿。上半身はリボンを体に巻きつけたような曲線的なデザインで、まさに“虹”のようでもあり美しいですね。男性は白いシャツに黒いジャケットですが、ジャケットは襟やポケットが別の素材のネイビーになっていますし、シャツもジャケットもボタンは金色で統一していて、オーソドックスなシャツ&ジャケットスタイルとは違う個性が感じられます。このプログラムであればジャケットなしでシャツだけのカジュアルスタイルでもいいのかなという気もしますが、女性の衣装がオレンジと明るい分、男性の衣装を黒にすることで両者のバランスという意味では良いカラーコーディネーションになっているのかもしれません。


 7位は中国の王雪涵(ワン・シュエハン)&王磊(ワン・レイ)組の「映画『慕情』より」。

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 『慕情』は香港を舞台にしたアメリカ映画で、その主題歌「Love Is A Many Splendored Thing」も有名です。王&王組のプログラムは映画のサントラと主題歌のインストゥルメンタルバージョンを組み合わせたドラマチックで壮大な作品となっています。
 女性は青紫を基調としたワンショルダーワンピース。ですが、上半身は右と左で微妙に色を変えていて、左側は紫というより青に近いでしょうか。また、この写真では見にくいでしょうが、右肩はシルバーの細いラインを連ねてストラップにしたようなデザインになっていて、左右でかなりデザインの違うアシンメトリーな作りと言えます。スカートも前後、左右で長さを変えていて、また、スリットから下のピンクのスカートがのぞく作りになっており、非常に複雑に考えられた衣装だなと思います。そして、男性は上下ともに黒の衣装ですが、トップスはフロント部分に深い青をあしらった個性的なデザイン。正装のようなきっちりした感じでもなく、かといってカジュアルという感じでもなく、品もありつつ外した雰囲気もあるおもしろい衣装だなと思いますね。

 8位はカナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組の「水に流して」です。

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 シャンソンの名曲「水に流して」を使用し、重厚な女性ボーカルの力強さもあり、しっとりと哀愁漂う趣きもあり、大人のプログラムという感じです。
 女性は淡いピンクの長袖ドレス。ですが、全体的に透け感のある生地なので甘すぎず、シャンソンのどっしりとした世界観にも違和感なくはまっています。一方、男性は黒一色の衣装。シーズン前半は男性もピンクの衣装を着ていたのですが、男女ともにピンクだと少し甘美な印象が強すぎるかなというところだったのが、男性が黒い衣装に変えたことで男女のバランスとして引き締まった感じになって良いと思います。また、黒いシャツには同系色の刺繍がなされていて、同じ黒なのでほとんど見えないくらいのデザインなのですが、見えないところにこだわっているのが素敵だなと感じますね。


 9位は中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組の「Cavatina, Larghetto amoroso」です。

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 フランツ・リストの晩年の弟子の一人として知られるドイツの作曲家エミール・フォン・ザウアーのピアノ曲「Cavatina, Larghetto amoroso」。大きな曲調の変化はなく、しっとりと優しい優雅なプログラムです。
 そんなクラシカルな趣きが濃いプログラムに合わせて女性の于選手の衣装も淡いピンクをベースにした柔らかな印象のワンピース。胸元には白い花のアップリケが施され、スカートはピンクの下にグレーを重ね、裾はレース調になっています。装飾性はありますが、ビジューなど華やかな装飾はあまり使っておらず、布の素材感をそのまま活かした素朴なワンピースだなと思います。そして、男性の張選手は黒の上下。トップスは布にギャザーを寄せて立体的な模様を作り出しています。左肩にアクセント的に大ぶりのビジューをあしらってはいますが、それ以外に装飾的な部分はあまりなく、女性の華やかさを引き立てるコスチュームになっていますね。


 10位はオーストリアのミリアム・ツィーグラー&セヴェリン・キーファー組の「ミーカ・メドレー」です。

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 レバノン出身のポップ歌手ミーカの楽曲のメドレープログラム。プログラムの前半から中盤は壮大でクラシカルなバラード調、終盤はアップテンポにとめくるめく展開を見せます。
 衣装は男女ともにクラシカル。男性は白いシャツに菱形の模様が入った蝶ネクタイを外した抜け感のあるコーディネート。女性はボルドー色のワンピースで、胸元にはラメを施したような素材を下に重ねています。さらに、胸の下、腰の上にウエストマークするようにあしらわれたジュエリー風の装飾も気品を感じさせるデザインで、シックであり華やかでもありというバランスの取れた衣装だと思います。
 プログラムのイメージからするとクラシカル過ぎるのかなという気もしますが、ボーカル入りとはいえクラシックっぽい部分が大きいプログラムでもあるので、そうした世界観を前面に押し出したかったのかなと想像しますね。



 さて、ペアフリー部門は以上です。次はいよいよ女子のショートプログラムです。スローペースの更新で申し訳ないですが、次の記事アップまでもう少しお待ちください。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、デニー&フレイジャー組の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ザビアコ&エンベルト組の画像、サフチェンコ&マッソ組の画像、ツィーグラー&キーファー組の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、マルケイ&ホタレク組の画像は、マルケイ選手の公式インスタグラムから、彭&金組の画像は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、隋&韓組の画像は、スケート情報サイト「icenetwork」が2017年3月31日に配信した記事「Sui, Han strive to be greater after winning world title」から、王&王組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、デュハメル&ラドフォード組の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、于&張組の画像は、カナダのテレビ局「CBC」が2016年12月9日に配信した動画から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-07-03 23:05 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)