ベストコスチューム16/17・女子ショートプログラム部門

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 16/17シーズンの素晴らしいコスチュームの数々をランキング形式で紹介するベストコスチューム16/17。この記事では女子のショートプログラムのベスト10をご紹介します。なお、この記事を書くにあたってのルールについては、こちらをご覧ください。

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 女子ショートプログラム部門第1位は、韓国の朴小宴(パク・ソヨン)選手の「映画『黄金の腕』より」です。

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 フランク・シナトラ主演の映画『黄金の腕』。作曲を映画音楽界の巨匠エルマー・バーンスタインが担当しており、フィルム・ノワール(=犯罪映画)らしいどこか怪しげな、しかしパワフルでカッコいい曲調がインパクト大の音楽です。
 そんな世界観をイメージしてか、朴選手の衣装も黒を基調としたクールな雰囲気のワンピース。ですが、上半身前面に色とりどりのラインストーンやビジューなどの装飾品によってシンメトリーな模様がデザインされていて、非常に華やかです。これだけ全体的にキラキラとしていると派手派手しくなりかねませんが、ベースの色が黒であること、また、模様が左右対称で統一感があることによってシックさもしっかりあって、ゴージャスとシックを見事に両立した衣装と言えます。また、右手首にはゴールドのブレスレットをはめ、まさに“黄金の腕”を象徴的に表現していて、細部までこだわったコーディネートになっていて素晴らしいと思います。


 2位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「Sweet Dreams(Are Made of This)」です。

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 イギリスの男女デュオ、ユーリズミックスの「Sweet Dreams(Are Made of This)」。ノリノリでクールなカッコいいダンスナンバーとなっています。
 衣装は右袖だけ長袖というアシンメトリーなデザイン。ボディ部分全体、右肩や首のチョーカー、左手首のブレスレット風のアクセサリーなど、全体的にビジューやラインストーンがふんだんに使用され、デコラティブでゴージャスなデザインとなっています。ですが、色をネイビーと青という落ち着いた色合いにすることで華やかな装飾品とのバランスが取れていると思います。また、左の胸部分やスカートの裾などカクカクとした直角的なフォルムになっていて、音楽のエレクトリックかつ近未来的なイメージをよく表わしていて、表現にこだわるワグナー選手らしいよく考えられた衣装ですね。


 3位はカナダのガブリエル・デールマン選手の「歌劇「エロディアード」より」。

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 フランスの作曲家ジュール・マスネのオペラ「エロディアード」を使用した壮大で力強いプログラム。「エロディアード」はあの“サロメ”を題材にしたストーリーとあって、デールマン選手の衣装も中東らしいエキゾチックなデザインとなっています。
 何といっても特徴的なのは上半身に大胆に描かれた2匹のコブラ。黒い透け感のある生地の上にさまざなま種類のビジューを用いて交差するコブラがデザインされているわけですが、パッと見ではコブラとはわからないほどデザイン的に美しく昇華されています。コブラの体の曲線的なさまに加え、ビジューで彩られた目や口、そしてリアルなうろこの立体感も、ビジューだからこそ出せる質感で、ともすればチープになりかねないアニマルモチーフを見事にデザイン性高く仕上げていると思いますね。


 4位はアメリカのマライア・ベル選手の「映画『シカゴ』より」。

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 ブロードウェイミュージカルを映画化した『シカゴ』。そのサントラはフィギュア界でも定番となっていますが、ベル選手は劇中曲2曲を組み合わせた軽快なプログラムにしています。
 衣装も映画のイメージを忠実に再現していて、劇中で主人公のロキシーが着ているシルバーのドレスとよく似ています。ただ、よく見るとベル選手のワンピースは大ぶりのビジューが散りばめられていたり腕にシースルーのアームカバーをつけていたりと映画よりも装飾的で華やかな印象が増していて、映画の衣装をそのまま真似するのではなく、ベル選手なりの“シカゴ”を作り上げていて素敵な衣装になっていると思います。


 5位は中国の李子君(リ・ジジュン)選手の「Le Diable Matou」です。

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 フランスの作曲家フランソワ・ドンピエール作曲の「Le Diable Matou」。妖しげなヴァイオリンの旋律で幕を開け、エレガンスなピアノの音色が追いかけるようにヴァイオリンと組み合わさり、最後はヴァイオリンとピアノが一体となってアップテンポに締めくくられる変則的な曲調のプログラムです。
 今までの可憐で可愛らしい李選手のイメージをガラリと変えるプログラムですが、衣装も彼女にしては珍しく黒一色。首から指先まで覆う徹底ぶりは、曲名の“Diable”=“悪魔”という名にぴったりですね。とはいえただの黒一色ではなく、全身に細かいラインストーンが散りばめられていて、それも単にランダムに散りばめるのではなく過剰すぎずかといって少なすぎもせずバランスの良い配置の仕方になっていて、シックな華やかさというのを感じさせます。また、指先まで黒で覆うことで指の細やかな振り付けまではっきりと氷に映えるようになっていて、これも考えられているなと思います。さらに、スカートは部分によって長さが違うアシンメトリーな作りで、色自体が重さを感じさせる分、スカートも全体的に長くしてしまうと重くなりすぎてしまいますが、部分的に長くすることによって大人っぽさも醸しつつ、重さと軽やかさがほどよいバランスになっていて、一見シンプルですが非常にこだわりの感じられるコスチュームですね。


 6位はフランスのマエ=ベレニス・メイテ選手の「Goodness/Freedom」です。

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 力強くダイナミックな楽曲2曲を組み合わせたメドレープログラム。ということでコスチュームも男性的で活発さを感じさせるパンツルックとなっています。
 まず目を引くのはそのパンツスタイルというところですが、その黒いパンツによって引き立てられているのがオリジナリティー溢れる上半身のデザイン。レオタードのように上から下まで一体となったようなウェアの上に、肩と腰に硬質感のある素材を着用したような作りになっていて、その部分だけ赤っぽいラインストーンや縁取りとして金色のラインストーンが惜しげもなくあしらわれています。パンツスタイルのため一見男性的でカッコよくも見える衣装ですが、実際には体にピタリと沿った作りなので女性的なセクシーさも感じさせますし、肩パッドやコルセットを模したようなデザインもある意味で女性らしくもあり、スカートの衣装と変わらないくらい女性らしさを感じさせるコスチュームだなと思います。


 7位はアメリカの長洲未来選手の「夜想曲第20番」です。

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 ショパンの代表作の一つ「夜想曲第20番」を使用した悲哀漂うしっとりとしたプログラムで、衣装も音楽の世界観に合った気品を感じさせるデザインとなっています。
 ベースとなる色は深みのある紫。その胸元からウエストにかけて前面にアラベスク模様のような複雑な柄がラインストーンやビジューによって立体的に描かれており、非常に贅沢かつゴージャスな作りとなっています。首からデコルテにかけてはジュエリー風のデザインとなっていて、こちらも紫の宝石風装飾品を用いながら豪華なデザインがなされています。全体的にきっちりと左右対称に作られていて、統一感のあるデザインがショパンの正統派の音楽ともよく合っているなと思います。


 8位は日本の浅田真央選手の「Danza ritual del fuego バレエ「恋は魔術師」より」。

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 スペインを代表する作曲家マヌエル・デ・ファリャの代表作「恋は魔術師」。その中でも特に有名な「Danza ritual del fuego」(英語では「Rutual Fire Dance」、日本語では「火祭りの踊り」としても知られます)のピアノバージョンを使用したプログラム。16/17シーズン、浅田選手は同じ楽曲のピアノ版をショート、オーケストラ版をフリーで用い(厳密にはフリーでは「恋は魔術師」の別パートも使っています)、ショートは“黒い鳥”をイメージした妖しげな世界観のプログラムとなっています。
 そうしたコンセプトに合わせて衣装も黒一色でミステリアスな雰囲気を前面に押し出しています。上半身や腕は植物のようにも鳥の羽のようにも見える作りとなっており、それらが身体を這うようなデザインはまさに妖しげな雰囲気。そして透け感のあるスカートも1枚や2枚ではなく複数の長さの違う生地をあえてランダムに重ねた作りがミステリアスなさまを表現しています。
 体を覆う布の面積が少ないデザインというのは必然的に肌が露出する面積も大きくなるのでバランスを取るのが難しいと思うのですが、この衣装は黒い生地の部分、肌がのぞく部分とちょうどよい配分になっているので、妖艶さも醸し出しつつセクシーになりすぎない素晴らしいコスチュームだと思います。


 9位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手の「Assassin's Tango 映画『Mr.&Mrs. スミス』より」。

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 映画『Mr.&Mrs. スミス』のサントラの中のタンゴを使用したプログラム。なのでタンゴといってもラテン色は薄めで、コンチネンタルタンゴのような趣きが濃いでしょうか。
 ということで衣装もタンゴでは定番の赤を使わず、黒一色のシックな色づかい。首から胸、お腹にかけて黒く細い紐が絡み合い網のようになった独特なデザインで、非常に現代的でモードっぽい印象を与えます。また、この紐や体の中心を縦断する曲線的なラインがフェミニンな雰囲気を生み出していて、曲自体は「Assassin's Tango」=「暗殺者のタンゴ」という物騒な名前にふさわしくどこか緊迫感のあるクールな曲調ですが、この曲線を強調したコスチュームによって女性らしさもちゃんとプラスされて良い塩梅になっているのかなと思いますね。


 10位はカザフスタンのエリザベート・トゥルシンバエワ選手の「アイ・ガット・リズム」です。

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 ガーシュウィン作曲の定番曲「アイ・ガット・リズム」をカナダのジャズ歌手ニッキ・ヤノフスキーが軽快かつリズミカルに歌ったバージョンを使用したプログラム。実はトゥルシンバエワ選手はこのプログラムを15/16シーズンにも滑っていますが、画像の衣装は16/17シーズンに初めて着用された新しいものなので今回選ばせていただきました。
 ごく短い袖がついた黒のワンピースは、シルバーのラインストーンによって襟風のデザインが施された個性的な作り。普通に布で襟をつけるよりも華やかで目を引くものとなっていて、その周囲にふんだんに散りばめられた数々のラインストーンとも相まってゴージャスな雰囲気です。布だけで作られた黒いワンピースだとシックになりすぎる可能性がありますが、装飾品をうまく使うことで華も加えつつ、また、下にピンクのスカートを重ねることでティーンネイジャーらしい等身大の可愛らしさも表現できていて、ジャズの大人っぽさと、トゥルシンバエワ選手のフレッシュさの両方を活かした衣装だなと思います。



 女子SPのベスト10は以上です。次はいよいよこのシリーズ最後、女子フリーに続きます!


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、朴選手の画像は朴選手のファンクラブのツイッターから、ワグナー選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、デールマン選手の画像は、国際スケート連盟の公式サイトが2017年3月29日に配信した「Evgenia Medvedeva (RUS) takes lead in highly competitive Ladies Short Program」という記事から、ベル選手の画像はフジテレビのスケート情報サイト「FujiTV Skating Club フジスケ」から、李選手の画像は李選手の公式インスタグラムから、メイテ選手の画像はフィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、長洲選手の画像、浅田選手の画像、トゥルシンバエワ選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ゴールド選手の画像はマルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-07-08 01:50 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)