羽生結弦選手、17/18シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報③

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 新プログラム情報シリーズ第3弾です。今回も世界のトップ選手たちの17/18シーズンのプログラムについて、できうる限りお伝えしていきます。


 まずは上の写真でお分かりかと思いますが、日本のエース、羽生結弦選手の新プログラム情報から。
 羽生選手は8月9日に練習拠点としているカナダのトロントで練習風景をメディアに公開し、その際にプログラムについても発表。SPに関しては5月の時点ですでにショパンの「バラード第1番」を使用することを明かしていましたが、フリーに関してもかつて演じた「SEIMEI」を再び演じることを今回初めて明かしました。
 ショート、フリーとも以前使用したプログラムの再演ということで、あまりない異例の形となりました。ショート、フリーどちらかだけ再演というのはよくあるのですが、両方ともというのはジャッジにも観客にも見慣れている感がありますし、ましてや羽生選手の場合、15/16シーズンのショートとフリーをそのまま持ってくるわけですから、より一層そうした印象は強くなりかねません。それでも羽生選手がリスクを伴う選択をした背景には、この重要なオリンピックシーズンに真新しいプログラムを作って体に馴染ませるだけの時間も余裕もないということなのでしょうし、何よりも再び勝つために現実的な道を選んだということなのでしょう。また、15/16シーズンといえば羽生選手にとっては世界史上初のトータル300点超えと世界最高得点を達成したシーズンであり、未だに羽生選手自身その世界最高得点を超えられていないという事実を考えると、もう一度同じプログラムで過去の自分超えに挑むというのは理解できるなと感じました。もちろん同じプログラムでもさらに良いものができるという自信があるからこその選択だと思うので、目が行きがちなジャンプだけではなく、プログラム全体の完成度にも期待したいですね。


 ここからはアメリカ勢を一気に。
 まずは世界選手権2017で7位の実力者ジェイソン・ブラウン選手です。アメリカフィギュアスケート協会のプロフィールによると、SPは「The Room Where It Happens ミュージカル「ハミルトン」より」、フリーは「Inner Love」だそうです。
 SPはミュージカル「ハミルトン」の劇中曲。2015年初演のミュージカルということで比較的新しい作品ですが、ミュージカル界のアカデミー賞と呼ばれるトニー賞で11部門で受賞しており、すでに高い評価と成功を得ているミュージカルです。「The Room Where It Happens」という曲はわりと激しく軽快な曲調で、明るいキャラクターで知られるブラウン選手に合ってそうだなと思います。
 フリーはフランスの作曲家マキシム・ロドリゲスの楽曲。You Tubeなどで検索しても楽曲についての詳細が出てこないのでどういう曲なのか具体的にはわからないのですが、お披露目の時を心待ちにしたいですね。


 続いてベテランのアダム・リッポン選手。ブラウン選手同様、アメリカフィギュアスケート協会のプロフィールによると、SPは「ダイアモンズ」、フリーは昨季と同じ「Arrival of the Birds 映画『The Crimson Wing: Mystery of the Flamingos』より/O」だそうです。
 ショートはバルバドス出身の歌手リアーナのヒット曲。リッポン選手はすでにこのプログラムをアイスショーで披露していて、当初から17/18シーズンのSPとして使う予定だったのか、もしくはショーナンバーとしてしか想定していなかったものを競技用にすることにしたのかはわかりませんが、ポップソングやロックソングも自分らしい風味を加えて表現することに長けた選手なので、今回も楽しみにしたいですね。
 フリーは2シーズン連続のプログラム。元々イギリスのバンド、コールドプレイの「O」のみを使用したプログラムをエキシビションナンバーとして使用していたものに別の曲をプラスして昨季途中からフリーとして用いており、鳥をイメージした静謐でしなやかな曲想はリッポン選手にぴったりですでに代表作と言えるプログラムとなっています。16/17シーズンのリッポン選手は怪我のためシーズン後半を休養に当てざるをえませんでしたから、このプログラムでまだまだ表現したいことがあると思いますし、さらに洗練されて進化したプログラムになることを期待したいと思います。


 2013年の全米チャンピオン、マックス・アーロン選手もアメリカフィギュアスケート協会のプロフィールに新プログラムを掲載。SPは「彼を帰して ミュージカル「レ・ミゼラブル」より/ワン・デイ・モア ミュージカル「レ・ミゼラブル」より」、フリーは「オペラ座の怪人」です。
 ショート、フリーともにおなじみのミュージカル。近年はオペラやバレエにも挑戦して表現の幅を広げているアーロン選手ですが、「レ・ミゼラブル」も「オペラ座の怪人」も今までのイメージにない選曲だと思うので楽しみですし、勝負のオリンピックシーズンに新たなチャレンジをするというのはリスキーでもありますが、昨季結果を残せなかったところからの再起というのも含めて頑張ってほしいですね。


 一方、昨季飛躍を遂げ脚光を浴びたマライア・ベル選手もアメリカフィギュアスケート協会のプロフィールにてプログラムを明かし、SPは「アクロス・ザ・ユニバース」、フリーは「ウエスト・サイド・ストーリー」であることがわかっています。
 ショートは言わずと知れたビートルズの名曲ですが、ビートルズ版を使用するのか、それとも別のアーティストのカバーバージョンなのかは不明です。歌う人によってプログラムのイメージもガラリと変わってくるでしょうが、誰もが知る名曲をベル選手がどのように表現し、自分の世界を作り上げるのか興味深いですね。
 そしてフリーは定番のミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」。ベル選手は昨季のショートがミュージカル映画の『シカゴ』で、軽快かつ可愛らしく踊るさまが印象に残っていますが、そういった意味で「ウエスト・サイド・ストーリー」もベル選手の踊り心を活かした彼女らしいプログラムになるのかなと思いますね。


 アイスダンスの実力カップル、マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組もアメリカフィギュアスケート協会のプロフィールにプログラムが掲載されており、SDは「マーク・アンソニー・メドレー」、FDは「イマジン」とのことです。
 SDはラテン歌手マーク・アンソニーのメドレープログラム。具体的にどういう曲を使うかというのはわかりませんが、いかにもラテンらしいノリの良いプログラムになるのかなと想像します。
 FDはジョン・レノンの代表曲「イマジン」。プロフィールには「by John Lennon」と書かれていますが、作詞・作曲者がジョン・レノンという意味なのか、ジョン・レノンが歌っているバージョンを使うという意味なのかハッキリとはしていません。どちらにしても、「イマジン」という非常にメッセージ性に溢れ、壮大な歌を二人がどう演じてみせるのか、注目ですね。


 今季シニアデビューを果たすアイスダンスの世界ジュニア王者、レイチェル・パーソンズ&マイケル・パーソンズ組は、SDが「Mumbo Molly/Everybody's Got To Learn Sometime」、FDが「La Partida/Sikuridadas/Quiaquenpita」であるとアメリカフィギュアスケート協会のプロフィールにて発表しています。
 SDはマンボと1980年のポップソングという異色の組み合わせ。前者に関してはあまり情報がないので楽曲の背景がわからないのですが、後者はイギリスのコーギスというバンドが1980年にリリースしてヒットした楽曲で、いろんな歌手がカバーをしている定番ソングとなっています。パーソンズ&パーソンズ組が使用するのはイタリアの歌手ズッケロがカバーしたバージョンで、どんなプログラムになるのか楽しみですね。
 一方、フリーは全てチリの歌手による楽曲のメドレーで、「La Partida」はチリを代表する歌手ビクトル・ハラの楽曲で、後者2曲はこちらもチリを代表するグループ、インティ・イリマニの楽曲です。ショートダンスは全選手同じ規定によってラテンを踊らなければいけないわけですが、フリーは全くの自由なので、あえてショートと同じラテンを選んだというのが珍しいなと感じます。とはいえプログラムとして異なる世界観をイメージしているはずですし、それぞれどんなプログラムになっているのか注目したいと思います。


 同じく今季シニアデビューとなる2016年のアイスダンス世界ジュニア王者、ロレイン・マクナマラ&クイン・カーペンター組はSDが「Mumbo Italiano/El Perdedor/Big Bagz」、FDが「Anima Contro Vento」となるそうです。
 SDはイタリアの歌手オリエッタ・ベルティの「Mumbo Italiano」とスペイン出身の歌手エンリケ・イグレシアスの「El Perdedor」と出身等はよくわからないですがアレックス・ロマーノという歌手の「Big Bagz」という多種多様な3曲の組み合わせ。前者2人に関しては厳密にはヨーロッパ出身の歌手なので、ラテン音楽とは言えないような気もするのですが、まあ「Munbo italiano」は明らかにマンボですし、イタリアもスペインもヨーロッパのラテン系であることは間違いないので、言語だったり雰囲気だったりのラテンっぽさを表現したプログラムになっているのでしょう。
 フリーは“Medialuna Tango Project”というグループの楽曲。試合での演技の映像も拝見しましたが、グループ名のとおりタンゴ曲ですね。大きな範囲でひっくるめればショートと同じラテン音楽ということになりますが、同じラテンでもタンゴではだいぶ雰囲気が違うので、表現力をアピールできる選曲と言えます。


 アメリカの現全米ペアチャンピオン、ヘイヴン・デニー&ブランドン・フレイジャー組は、SPが「All of Me」、フリーが「リヴ・フォーエバー」となるようです。
 SPの「All of Me」はアメリカのR&B歌手ジョン・レジェンドが2013年に発表したバラード。ストレートなラブソングで、ペアで演じるのにぴったりな曲かもしれません。
 そしてフリーはイギリスを代表するバンド、クイーンのヒット曲。壮大な曲想で、ペアならではのダイナミックさとよく合いそうだなと思います。


 2016年の全米ペア王者、タラ・ケイン&ダニエル・オシェア組は自身の公式サイトでプログラムを発表済みで、SPは「All I Ask of You ミュージカル「オペラ座の怪人」より」でマッシモ・スカリさん振り付け、フリーは「白鳥の湖」でシェイ=リン・ボーンさんとシェイ・ズキウスキーさん振り付けだそうです。
 SPは定番のミュージカルの劇中曲。ヒロインのクリスティーヌと恋人のラウルのデュエット曲で、プログラムもたぶん歌詞入りになるものと思われますが、男女のペアでデュエット曲を演じるというペアならではのプログラムになりそうですね。
 フリーは王道のバレエ。王道ではありますが、意外に最近のペアではこうしたスタンダードなバレエを演じることが少なくなっているような気もするので、逆に新鮮な感じがして楽しみです。


 2015年の全米ペアチャンピオン、アレクサ・シメカ=クニーリム&クリス・クニーリム組も自身の公式サイトでプログラムを明かしていて、SPは「黒くぬれ!」でロヒーン・ワードさん振り付け、フリーは「チャップリン」でクリストファー・ディーンさん振り付けとなっています。
 ショートはローリング・ストーンズのヒット曲ですが、シメカ=クニーリム&クニーリム組はアメリカの歌手シアラがカバーしたバージョンを使用。2季前にはショートでヘビメタを使用するなど激しいプログラムもお手のもののペアですから、今回のロックも期待ですね。
 フリーは喜劇王チャーリー・チャップリンをテーマにしたプログラム。具体的な曲名は明かされていませんが、チャップリンの映画のサントラをさまざま組み合わせたものになるのではないかと想像します。チャップリンというテーマも定番となっていて、男子では織田信成さんやハビエル・フェルナンデス選手、女子ではアリョーナ・レオノワ選手、アイスダンスではアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組が過去に演じていて、誰が見ても“チャップリン”とわかる明確なキャラクター性があってわかりやすいプログラムになる一方、ほかの選手が演じたチャップリンと差別化を図るのが難しいテーマだとも思います。そんな“チャップリン”をシメカ=クニーリム&クニーリム組がどう彼ららしく表現し、また、ペアならではの大技を織り交ぜながら“チャップリン”らしさを出していくのか、興味深いプログラムになりそうです。



 今回はここまで。8月下旬に入り、約2か月後にはグランプリシリーズ開幕と本格的なフィギュアシーズンが近づき、その前に選手たちにとって小手試しの場となる規模の小さな国際大会も多々開催され、今から秋冬に向けて気持ちが高まっていきますね。では。


:羽生選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-08-21 16:47 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)