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全米選手権2018―波乱の展開

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 2017年の年末から年始にかけて全米選手権が行われました。全米選手権はノービスやジュニア、シニアなどをまとめて一つの大会として開催していますが、この記事では1月3日から7日にかけて行われたシニアについて書いていきます。

2018 U.S. Figure Skating Championships この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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《男子シングル》


 優勝したのはディフェンディング・チャンピオンのネイサン・チェン選手。SPは苦手の3アクセルのミスがありながらも自己ベストを超える104.45点で断トツの首位に立つと、フリーもミスらしいミスは3アクセルのパンクくらいで3種類5本の4回転を完璧に決め、210.78点をマークし、トータルではもちろん300点を優に超えて圧巻の2連覇を果たしました。
 今大会のチェン選手は代名詞である4ルッツを外し、フリップ、サルコウ、トゥループの3種類の4回転のみで試合に挑みました。が、それでも高難度であることに変わりはなく、しかもそれらの4回転を全てクリーンに、高い出来栄え点のつく出来でまとめたということに改めて感嘆せざるをえません。一方で鬼門の3アクセルはショート、フリーともに失敗に終わって課題は残りましたが、これからの約1か月間でさらに仕上げ、高いレベルで最終調整を行っていくと思いますから、国内大会とはいえ315点という驚異的なスコアを叩き出したチェン選手が、どんなふうにさらなる進化を見せてくれるのか、期待したいと思います。

 今大会において最大の番狂わせを起こしたのが2位に入ったロス・マイナー選手です。ショートをほぼノーミスでまとめ6位につけると、フリーは鍵を握る4サルコウを含めすべてのジャンプを大きなミスなくこなしフリー2位、総合2位と大きく躍進しました。
 昨季、今季とあまり目立った活躍はできていなかったマイナー選手ですが、今大会にきっちりと合わせてきましたね。4回転は1本のみでしたが、ほぼ全てのエレメンツを高い質で揃え、GOE、演技構成点でも高評価を得ました。ただ、ほかの選手との総合的な比較で優位に立てず、残念ながらオリンピック代表からは外れました。全米選手権という最も緊張する試合にピークを合わせて2位になったにもかかわらず選ばれなかったということで、マイナー選手が代表に選出されるためには優勝しか残されていなかったということになり、非常に厳しい選考だなと思いますが、マイナー選手にとって良い意味でも悪い意味でも最も強烈に記憶に刻まれる全米選手権となったのではないでしょうか。

 銅メダルを獲得したのは今季シニアデビューのヴィンセント・ジョウ選手です。ショートは大技4ルッツ+3トゥループを決めたものの、4フリップは回転不足、3アクセルは回転不足の上に転倒で得点を伸ばし切れず、5位にとどまります。フリーも4ルッツ+3トゥループは完璧に成功。しかし、そのほかの4回転は全て回転不足となり、転倒も。ただ、3アクセル2本や、3+1+3の3連続ジャンプは大きなミスなく跳び切りフリー3位、総合3位に何とか滑り込みました。
 昨季は全米選手権で2位となり、世界ジュニア選手権でも優勝と飛躍を遂げたジョウ選手。その勢いを加速させたいシニアデビューシーズンでしたが、GPでは表彰台に届かず、五輪代表に向けていまひとつアピールし切れませんでした。なので、3位という結果ではたして五輪代表に選ばれるか不透明でしたが、結果的には昨年の全米2位という成績も選考に影響したのか、選出という吉報に結びつきましたね。ジョウ選手の強みと言えば、何といっても4ルッツを始め多種類の4回転を跳べることですが、それがとんでもない爆発力に繋がることもあれば、真逆の結果に至ることもあり、五輪でサイコロの目がどんなふうに出るか、少し心配でもあり楽しみでもありますね。

 そして、全米選手権特有のピューター(錫)メダルを獲得したのはベテランのアダム・リッポン選手です。ショートは4回転を回避した構成でパーフェクトに演じ切り2位と好発進。しかしフリーは冒頭の4ルッツで転倒、後半の3アクセル2本はクリーンに下りましたが、3+3が回転不足になると、3サルコウと3ルッツがそれぞれ1回転になるミスを連発し、フリー4位、総合4位と順位を落としました。
 予想どおりの素晴らしいショートから一転、フリーは演技終盤にらしからぬミスが相次ぎ、五輪代表選考において危うい立場に追い込まれたリッポン選手。結果的には昨季、今季の国際大会での結果が考慮され代表入りしましたが、あれだけ安定感のある演技を続けていたリッポン選手でさえも、五輪の最終選考会である全米選手権は比べものにならないくらいのプレッシャーがかかるんだろうなと改めて感じさせられました。最初で最後となるであろう平昌五輪では、リッポン選手らしい演技がショート、フリーともに見られることを期待したいですね。

 5位はこちらもベテランのグラント・ホフスタイン選手です。SPは4+3を決めるなど完璧な演技で4位と好発進。フリーはその4回転が不発で、3アクセルもミスと不安定な出だしとなりましたが、その後はおおむね致命的なミスなく立て直し、フリー5位、総合5位で大会を終えました。ショートが素晴らしかっただけにフリーのミスはもったいなかったですが、ホフスタイン選手らしさはまずまず出せたのかなと思いますね。
 そして6位に入ったのが実力者のジェイソン・ブラウン選手。ショートは3アクセルのミスを犯しながらも3位と好位置につけましたが、フリーは4トゥループに挑んだもののダウングレード(大幅な回転不足)で転倒し、さらに3アクセル、3ループと続けて回転不足に。後半にもミスが散見され、フリー6位、総合6位と表彰台から遠ざかってしまいました。GPでは表彰台にも立ち、ファイナルにも進んでいたブラウン選手が6位というまさかの結果となりましたが、NHK杯からジャンプの調子を落としていて、復調の兆しがなかなか見えず心配していたのですが、最後までその課題を克服できませんでしたね。個人的に彼のファンなので五輪で見られないのは寂しいですが、勝負の世界ですから致し方ないですし、この悔しさをバネにまた頑張ってほしいと思います。
 7位はティモシー・ドレンスキー選手。ショートは3アクセルでミスがあり7位。フリーは4サルコウ、3アクセルで転倒し、ほかのジャンプでも細かいミスが重なり9位、総合7位と3年連続で同じ順位となりました。
 8位はアレクサンダー・ジョンソン選手。ショートは大きなミスこそなかったものの、3+3が3+2になり10位と出遅れ。フリーは3アクセルと3ループでミスがありましたが、そのほかの要素にミスを波及させることなくフリー8位、総合8位と順位を上げました。


《女子シングル》

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 初優勝を遂げたのは今季飛躍中のブレイディ―・テネル選手です。SPをパーフェクトにまとめて首位に立つと、フリーは2アクセルがアンダーローテーション(軽度の回転不足)を取られたのみで目立ったミスなく演じ、145.72点という極めて高い得点で1位、完全優勝で初めて全米の頂点に上りました。
 今シーズンは強豪が集うロンバルディアトロフィーで4位と健闘してブレイクの兆しをのぞかせ、GPデビュー戦のスケートアメリカで200点超えで3位となったことによって、全米の優勝候補として名乗りを上げました。そして今大会、その期待どおりの演技を見せてくれました。昨季まで五輪代表候補としてさえ全く名前の挙がらなかった選手が、今季は着実に結果を残しジャッジへも好印象を植え付け、その結果が五輪シーズンの全米で優勝ですから、本当にシンデレラストーリーと言わざるをえないドラマチックな展開ですね。とはいえまったくノーマークだったわけではなく、スケートアメリカでメダルを獲得したことによって紛れもなく優勝候補だったわけですから、注目を浴びてから短期間とはいえプレッシャーはあったと思います。しかしそんな重圧さえはねのける勢い、滑る喜びというのが、今のテネル選手には備わっているのかなと思います。この底知れないエネルギーがオリンピックではどう発揮されるのか、期待したいですね。

 銀メダルを獲得したのはベテランの長洲未来選手です。SPから大技3アクセルに挑み、回転は充分だったもののステップアウトで減点に。しかし3+3、単独の3ループはきっちり決め、2位と好発進します。フリーも冒頭は3アクセルでしたが、両足着氷でクリーンな成功とはならず。しかし、3+3を始め、そのほかのジャンプはほぼノーミスで揃え、140点を超えるスコアでフリーも2位、総合2位で五輪代表の座を引き寄せました。
 惜しくも3アクセルは成功なりませんでしたが、3アクセルのミスをその後の演技に引きずらない強さは際立っていましたね。3アクセルというリスキーな技に挑んでいるからこそ、以前よりも精神的に強靭な選手になっている気がしますし、3アクセルがあるからこそ誰よりも強い気持ちを持てているのかなとも思います。4年前の全米で3位に入りながらも五輪代表に選ばれなかったことを思うと、今回の結果は本当に心から嬉しく感じますし、長年の想いを五輪にぶつけてほしいですね。

 3位に食い込んだのは昨季の全米女王、カレン・チェン選手です。ショートは3+3のセカンドジャンプが回転不足と判定されますが、ほかをまとめて3位と好位置につけます。フリーもその3+3を含め、4つの回転不足が散見されましたが、成功させた要素ではおおむね高い加点を稼ぎ、また、演技構成点でも高い評価を得て、フリー4位、総合3位となりました。
 今大会のチェン選手はウイルス感染による体調不良があったようで、回転不足の多さもそのせいなのかもしれませんが、難しいコンディションの中で転倒やパンクなく滑り切ったというのはチェン選手の意地を感じましたね。また、両プログラムをシーズン途中に昨季のものに戻したことも功を奏し、演技構成点はショートでは1位、フリーでも2位となっていて、そういった意味でプログラム変更は戦略として成功だったと言えますね。

 ピューター(錫)メダルを獲得したのはベテランのアシュリー・ワグナー選手です。SPは3+3の回転不足が響き5位にとどまります。フリーは前半のジャンプを完璧に跳び切ったものの、後半の得点源である3+1+3が3+1+1に。フリー3位と追い上げましたが、ショートと合わせて4位ともう一歩届きませんでした。
 細かなミスはあったワグナー選手ですが、ショート、フリーともに彼女らしさは存分にうかがえる演技だったのではないかと思います。にもかかわらず演技構成点はあまり伸びず、ショートは2位、フリーは3位でした。このことに関してはワグナー選手自身が採点に対する疑問を呈していて、確かに転倒のような演技の流れを断絶する大きな失敗がなかったのに演技構成点が伸び悩んだというのは、今までのワグナー選手に対する採点傾向からすると疑問符がつきます。ただ、ショートはともかくとして、フリーは初お披露目の「ラ・ラ・ランド」だったので、プログラムとしての熟成が足りないと見られた可能性もありますし、国内大会での採点というのは海外へ向けたアピールといういう面もあるので、アメリカのジャッジたちは勢い溢れる若手をより高く評価したと言えるかもしれません。
 ワグナー選手の「ラ・ラ・ランド」がオリンピックで見られないのは残念ですが、ワグナー選手が今後どういう道を進むのか見守っていきたいですね。

 5位は昨年3位のマライア・ベル選手です。ショートは3+3でステップアウト、ステップシークエンスもレベル2にとどまり6位に。フリーは終盤の2アクセルの転倒以外ミスらしいミスなく演じ切りましたが、全体的に加点を伸ばすことができず、フリーも6位、総合では5位でした。
 6位はジュニアのスター・アンドリュース選手。ショートは3ループでミスを犯したものの、全体的にはまずまずの滑りで8位。フリーは全てのエレメンツを予定どおりに減点なくこなし、フリー5位、総合6位と躍進しました。
 7位はアンジェラ・ワン選手。SPは完璧な演技で4位と好発進。しかしフリーは後半にミスが相次ぎ7位、総合7位と順位を落としました。
 8位はアンバー・グレン選手。SPは3ルッツで転倒があり7位。フリーもパンクや回転不足など複数ミスが散見され9位、総合8位にとどまりました。


《ペア》

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 ペアを制したのは夫婦ペアのアレクサ・シメカ=クニーリム&クリス・クニーリム組です。ショートはサイドバイサイドの3サルコウでミスがあったものの、そのほかは大きなミスなくまとめて唯一の70点超えでトップに立ちます。フリーは冒頭で大技4ツイストに挑み、完璧に成功。3サルコウは転倒となり、3トゥループからの連続ジャンプも2+1になりましたが、決めたエレメンツは全て1点以上の加点を積み重ね、フリー1位、総合1位と完全優勝を果たしました。
 昨シーズンは女性のシメカ=クニーリム選手の病気のためシーズン前半の試合を欠場したシメカ=クニーリム&クニーリム組。シーズン後半は四大陸選手権、世界選手権と出場したものの振るわず、今季もGP2試合は苦戦している印象でしたが、しっかりとこの大会にピークを合わせてきましたね。サイドバイサイドジャンプでの課題は露わになりましたが、平昌五輪へ向けて課題を修正して最高の演技を見せてほしいと思います。

 2位は2016年の全米チャンピオン、タラ・ケイン&ダニエル・オシェア組です。ショートはGOEの減点なくエレメンツを揃えましたが、3ツイストがレベル2となり2位に。フリーはサイドバイサイドの2アクセル+2アクセルが回転不足となり、スロー3ルッツでは転倒とミスが重なり、フリー2位、総合2位と2年ぶりの優勝には届きませんでした。
 昨年の全米は、ケイン選手がショートで転倒し脳震盪と診断されてフリーを棄権。シーズン後半の国際大会に出場できず悔しいシーズンとなりました。今季もケイン選手の負傷のため、12月のゴールデンスピンというB級国際大会でようやく実戦復帰し、そして復帰2戦目が全米という非常に難しいシチュエーションでした。が、その中で今できるベストを尽くした演技だったのではないかと思います。ISUの規定により五輪のアメリカのペアの枠は1つしかなく、残念ながら五輪代表には選ばれませんでしたが、世界選手権も大きな舞台ですから、3年ぶりの大舞台で実力を発揮してほしいですね。

 3位はディアナ・ステラート=デュデク&ネイサン・バーソロメイ組です。SPは全てのエレメンツを完璧に揃えて3位と好位置につけると、フリーは前半のサイドバイサイドジャンプと大技のスロー4サルコウでミスを犯したものの、後半は大きなミスなく滑り切り3位、トータルでも3位と自己最高位で大会を終えました。
 フリーはジャンプ系エレメンツでミスが続き不安定さも露呈しましたが、そのほかの要素はおおむね安定していて技術力の高さが際立ちましたね。女性のステラート=デュデク選手は現在34歳、昨シーズン16季ぶりに競技復帰した異色のキャリアの持ち主ですが、話題性だけではなく実力も日々進歩しているというのを顕示した大会になったのではないでしょうか。

 4位はアシュリー・ケイン&ティモシー・ルデュク組。ショートはツイストを始め、スロージャンプ、サイドバイサイドジャンプでもミスがあり8位と出遅れ。しかしフリーはジャンプ系エレメンツのミスを最小限にとどめ4位、総合4位と挽回しました。


《アイスダンス》

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 アイスダンスは成長株のマディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組が初制覇。SDは5つの要素のうち、2つでレベル4を取り2位と好発進。FDも演技全体において質の高い滑りを披露し2位、総合では1位となり、初めて全米チャンピオンに輝きました。
 シブタニ兄妹の3連覇が有力視される中、その下馬評を見事に覆すドラマチックな優勝でしたね。ショート、フリーそれぞれの順位では2位でしたが、トータルで最も取りこぼし少なく、完成度の高い演技を披露したと言えます。ここ1、2年常に勢いはあったものの、全米は最高が3位で、なかなかツートップの壁を破れずにいましたが、今回の優勝によって潮目が変わってくるかもしれませんね。

 銀メダルを獲得したのは昨年まで2連覇していたマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組です。ショートはパターンダンス以外全てレベル4という二人らしいノーミスの演技で堂々の首位発進。しかしフリーは後半のステップの途中で妹のマイア選手がバランスを崩しかける場面があり、レベルは3だったものの加点は伸びず。フリー3位、総合2位と3連覇を逃しました。
 絶対王者と目されていたシブタニ兄妹にとってはまさかの2位でした。ミスらしいミスといえばステップで体勢を崩した部分のみなのですが、たった一つの些細なほころびでガクッと順位が落ちてしまうのがアイスダンスの怖さですね。12月のファイナルでもフリーでミスがあり、圧倒的な技術力の高さを誇るシブタニ兄妹にしては気になるところですが、ミスを引きずらず五輪では思い切った二人らしい滑りを見せてほしいですね。

 3位はマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組です。SDは目立った取りこぼしなく演技をまとめ3位。FDは中盤のステップ以外全てレベル4と会心の演技で1位となり、トータルでは3位でしっかりと表彰台の一角をキープしました。
 2013年以来、全米では常に2位以上のポジションに立ち続けてきたチョック&ベイツ組からすると、3位となったのは少し悔しい結果かもしれませんが、演技内容としては取りこぼしと言える取りこぼしはなく、しっかりとこの大会にピークを合わせてきたなと感じられる滑りでしたね。フリーでは1位だったことからわかるようにハベル&ドノヒュー組やシブタニ兄妹との差は本当に僅差ですから、五輪でも何があるかはわかりませんね。

 4位は若手のケイトリン・ハワイエク&ジャン=リュック・ベイカー組です。SDは非接触ステップがレベル3になった以外は全てレベル4と精度の高い演技で4位発進。フリーでは全組中、唯一の全要素レベル4を獲得し(レベルがつかないコレオツイズルやコレオリフトは除く)、全体の2位の技術点をマーク。フリーも4位で、総合4位で大会を終えました。



 さて、ここからは全米選手権の結果を受けて決定されたシーズン後半の主要国際大会の派遣メンバーをまとめます(敬称略)。なお、名前はアルファベット順となっており、今大会の成績順、これまでの実績順などではありません。


《平昌五輪代表》

男子シングル:ネイサン・チェン、アダム・リッポン、ヴィンセント・ジョウ
女子シングル:カレン・チェン、長洲未来、ブレイディー・テネル
ペア:アレクサ・シメカ=クニーリム&クリス・クニーリム組
アイスダンス:マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組、マディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組、マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組

《世界選手権代表

男子シングル:ネイサン・チェン、アダム・リッポン、ヴィンセント・ジョウ
女子シングル:カレン・チェン、長洲未来、ブレイディー・テネル
ペア:タラ・ケイン&ダニエル・オシェア組、アレクサ・シメカ=クニーリム&クリス・クニーリム組
アイスダンス:マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組、マディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組、マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組

《四大陸選手権代表》

男子シングル:マックス・アーロン、ジェイソン・ブラウン、グラント・ホフスタイン、ロス・マイナー
女子シングル:スター・アンドリュース、マライア・ベル、アンジェラ・ワン、アシュリー・ワグナー
ペア:アシュリー・ケイン&ティモシー・ルデュク組、タラ・ケイン&ダニエル・オシェア組、ディアナ・ステラート=デュデク&ネイサン・バーソロメイ組
アイスダンス:ケイトリン・ハワイエク&ジャン=リュック・ベイカー組、ロレイン・マクナマラ&クイン・カーペンター組、レイチェル・パーソンズ&マイケル・パーソンズ組




 大会前の下馬評とは異なる試合展開により、五輪代表も波乱含みの選考となりました。
 まず男子は優勝のチェン選手はすんなり選出されましたが、2人目、3人目は混戦模様に。結果的に全米3位のジョウ選手と4位のリッポン選手が選ばれた一方で、2位に入ったマイナー選手は外れました。個人的には疑問符の残る選考というか、だとしたら全米選手権の意義とは?とも思ってしまうのですが、結局は今季や今大会だけではなく、昨季からの積み重ねが必要ということなのでしょうか。
 他方で女子はワンツースリーがそのまま選出。過去の実績を重んじるならば4位のワグナー選手が選ばれてもおかしくなかったのでしょうが、2位の長洲選手は昨季は四大陸で銅メダルを獲得していて、今季もまずまず安定した成績を残していますし、3位のチェン選手は今季は振るいませんが、昨季は全米を制し、世界選手権で4位に食い込んだというのも記憶に新しいところなので、ワグナー選手の昨季や今季の成績と比較しても、見劣りするものではないと判断されたのかもしれません。
 ペアは五輪は1枠のみですが、一方で世界選手権ではアメリカのペアは2枠持っています。これはどういうことかと言いますと、昨季の世界選手権は五輪の予選を兼ねていたわけですが、この世界選手権の時点で確定する五輪の出場枠数は最大で16で、1位から順に各国が獲得した五輪出場枠を合計していき16に達した時点で、それ以上の枠を取ることはできないルールとなっています。昨季の世界選手権のペアは、中国は1位と4位でまず3枠を確保。ドイツは2位と19位で2枠。ロシアは3位と5位で3枠。カナダは6位と7位で3枠。フランスは8位と27位で2枠。イタリアは9位と13位で2枠。この時点で枠数の合計は15となり、続いてアメリカが10位と20位で世界選手権ならば2枠ですが、世界選手権で配分される五輪の枠数は残り1枠なので、アメリカには1枠しか与えられないということになります。本来ならば2組出場できることを考えると不運ですが、五輪の出場枠は世界選手権よりも少なく、より多くの国や地域にチャンスを広げるという意義があると思うので、致し方ないですね。
 アイスダンスも女子同様、トップスリーが順当に選出ですね。

 世界選手権もオリンピック代表がそのまま派遣されるという形に。ペアだけは、上述した理由でシメカ=クニーリム&クニーリム組に加え、全米2位のケイン&オシェア組も選出されています。

 そして四大陸選手権は五輪メンバーは外れ、五輪を逃した選手たちが中心に。ただ、その中でも全米の順位順ではなく、過去の実績も含めた総合的な選出となっています。一方、男子のマイナー選手、女子のワグナー選手は当初代表に選出されましたが、それぞれ辞退したということで、ホフスタイン選手、ワン選手が繰り上がりで出場となりました。



 以上で全米選手権2018の記事は終了です。いろいろと予想外なことがありましたが、選ばれた選手たちはベストを尽くして笑顔で滑り終えてほしいですね。では。


:記事内の画像は全て、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

by hitsujigusa | 2018-01-15 01:23 | フィギュアスケート(大会関連)