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 2月9日から11日にかけて行われた団体戦。この記事ではその女子フリー、アイスダンスFDについてお伝えします。なお、団体戦のルールについては、こちらの記事の冒頭をご覧ください。

Olympic Winter Games 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 女子のフリーを制したのは欧州女王、OAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)のアリーナ・ザギトワ選手です。

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 すっかり代名詞となった後半に全てのジャンプを固める攻撃的な構成で五輪初演技に臨んだザギトワ選手。前半はコレオシークエンス、スピン、ステップシークエンスで確実にレベルを取り、また、加点を積み重ねます。そして後半、高難度の3ルッツ+3ループを完璧に決めて口火を切ると、2アクセル+3トゥループ、3+2+2と難しい連続ジャンプをポンポンと成功させます。終盤の3つの単独ジャンプも難なく下り、演技を終えたザギトワ選手はほっとしたように破顔しました。得点はパーソナルベストかつ世界歴代2位となる158.08点で圧巻の1位となりました。
 今季出場した全ての試合を制しているザギトワ選手ですが、相変わらずの安定感ととどまるところを知らない勢いでしたね。五輪の緊張感というのは微塵も感じられず、本当に自分の演技に集中しているというのが15歳とは思えない強靭な心臓の持ち主だなと思います。一方で得点に関してはさすがに出過ぎかなという感は否めず、技術点はさておいても、演技構成点はちょっと気前良すぎるんじゃないかなという気もします。これは4年前のソチ五輪のユリア・リプニツカヤ選手の時と同じ現象と言えますが、リプニツカヤ選手以上にザギトワ選手に対する演技構成点の上がり方は極端なので、少し疑問も感じます。
 また、得点に関してというわけではありませんが、全てのジャンプを後半に跳ぶという構成についてアメリカのアシュリー・ワグナー選手がツイッターで「これはプログラムではない」と疑問を呈して話題となりましたが、私としてもワグナー選手の意見に共感する部分はありますね。もちろんこれは競技ですから、後半に跳んだジャンプは1.1倍になるというルールを最大限利用することに何ら問題はないのですが、得点を稼ぐためにプログラムの芸術性を犠牲にしているのかなとも感じます。個人的にはザギトワ選手の「ドン・キホーテ」は好きなプログラムで、スローパートから始まって、曲調が激しくなる後半に怒濤のジャンプ連発という流れは痛快さもあって引き込まれるのですが、プログラムに引き込まれているというよりはジャンプのインパクトに圧倒されているという感じで、本当の意味でザギトワ選手の表現力だったりプログラムの美しさに魅入られているという感じはないですね。なので、全項目で9点台が並ぶ演技構成点が妥当な評価とは私には思えません。
 ただ、そうした採点は別にして、ザギトワ選手が魅力的なスケーターであるのは間違いないですし、後半に全てのジャンプを跳ぶ技術と体力、リスクを犯せるタフな精神には感服するしかなく、個人戦でも彼女らしい演技を楽しみにしたいですね。


 2位はアメリカのベテラン、長洲未来選手です。

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 冒頭は今季初成功させた大技3アクセル、これを回転、着氷ともにクリーンに決め1.57点の加点を得ると、続く3フリップ+3トゥループは着氷はわずかに詰まるもののしっかり回り切ります。さらに3サルコウも鮮やかに下り、最高の前半とします。後半に入っても勢いは衰えるどころか加速し、2アクセル+3トゥループ+2トゥループ、3ルッツ+2トゥループ、3フリップと相次いで成功。最後の3ループを下りた長洲選手はガッツポーズし、フィニッシュでは雄たけびを上げて喜びを爆発させました。得点はパーソナルベストを5点以上上回る137.53点で2位と実力を出し切りました。
 何といっても冒頭の3アクセル、非の打ちどころのない素晴らしい跳躍でしたね。今季は9月のUSインターナショナルで初めて3アクセルを成功させて以来、毎試合必ず3アクセルは跳び続けてきましたが、回転は認定されるもののGOEでは減点というジャンプが続いてきました。加点が付く3アクセルとしては初めて成功ということで、喜びもひとしおだったのではないでしょうか。ただ、それ以上に素晴らしかったのは3アクセル以降で、3アクセルの成功で気を緩めることなく全てのジャンプをほぼノーミスで跳び切り、8本の3回転ジャンプを跳ぶ、いわゆる“エイト・トリプル”を達成。これも3アクセルジャンパーでないとできないことですから、本当に感嘆せざるをえません。
 女子では3人目となる五輪での3アクセル成功という偉業で歴史に名を刻んだ長洲選手。思えばバンクーバー五輪、ソチ五輪と浅田真央さんのみが3アクセルに挑み、そして成功させてきて、その浅田さんが引退した今、平昌五輪では長洲選手が五輪における3アクセルの歴史、伝統を受け継ぎ、繋いでいるというのが感慨深く、嬉しく思います。ぜひ個人戦でも、ショート、フリーともに3アクセルを決めて、最高の笑顔を再び見せてほしいですね。


 3位は世界選手権2017銅メダリスト、カナダのガブリエル・デールマン選手です。

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 まずは代名詞となっている3トゥループ+3トゥループ、これをダイナミックに決めて1.2点の加点を獲得。さらに3ルッツ、3フリップとクリーンに着氷してそれぞれ1点以上の加点を得ます。後半最初は3ルッツからの3連続ジャンプ、これも決めて波に乗ります。3ループはアンダーローテーション(軽度の回転不足)で減点となりましたが、2アクセル、3サルコウ+2アクセルのシークエンスジャンプとミスらしいミスなく跳び切り、ステップシークエンス、スピンも全てレベル4。演技を終えたデールマン選手は満面に笑みを浮かべました。得点は自己ベストまで約5点の137.14点で4位とチームに大いに貢献しました。
 シーズン前半はデールマン選手らしい躍動感溢れる演技がほとんど見られず目立った成績を残せませんでしたが、カナダ選手権で圧巻の滑りを見せて2度目の優勝を果たし、満を持して五輪に乗り込んできました。カナダ選手権からフリーを昨季の「ラプソディー・イン・ブルー」に戻したわけですが、プログラムを変えるだけでこんなにも変わるものかというくらい、自信に満ちたデールマン選手が復活しましたね。そして今回のこの素晴らしい演技ですから、個人戦もおのずと期待が高まります。まずは今季安定感のあるショートでどの位置につけるかがポイントとなってきそうですが、爆発力のあるフリーでデールマン選手がどこまで上位を引っ掻き回すのか、楽しみですね。


 4位はソチ五輪銅メダリスト、イタリアのカロリーナ・コストナー選手です。

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 冒頭は若干苦手としている3ルッツでしたが、クリーンに跳び切って加点1.5を得ます。次いで3フリップ+2トゥループはファーストジャンプでこらえながらもセカンドジャンプに繋げます。さらに3ループも着氷ミスと細かなミスが重なります。後半は最初の3トゥループを決めますが、2アクセル+1ループ+3サルコウは最後のジャンプが回転不足に。続いて2アクセルも回転が足りず。最後の3+2はクリーンに下り、代名詞のステップシークエンスはレベル4はもちろん、2点という極めて高い加点を得てアピールしましたが、自己ベストからは8点ほど低い134.00点で4位にとどまりました。
 ショートでは2位と高順位を確保したコストナー選手でしたが、このフリーはジャンプの課題が見えた内容だったかなと思いますね。ショートは3フリップ+3トゥループを得点源として、ほかの選手とのジャンプ構成の差を最小限にしていますが、フリーは3+3を入れていない分、どうしても技術点で他選手と差がついてしまいます。女子のフリーの技術点はトップレベルだと60点台は当たり前、目指すところは70点台、その中でも一握りの選手だけが80点台に乗せられるわけですが、コストナー選手の今回の技術点は59.73点ということで、51.86点だった欧州選手権よりはかなり良いですが、個人戦の表彰台を狙う上ではさらに上げていく必要があります。
 個人戦はまず得意のショートで良い位置につけて、フリーでノーミスできれば、メダルもぐっと近づくのではないでしょうか。


 5位は四大陸女王、日本の坂本花織選手です。

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 冒頭は得点源の3フリップ+3トゥループ、しかしファーストジャンプでいつもほどの高さが出ず、アンダーローテーションとなったため単独にします。続く3サルコウはクリーンに成功。後半に5つのジャンプ要素を固め、その最初の3ルッツはきれいに着氷しますが、踏み切りのエッジが不正確と判定されわずかに減点。次いで3フリップからのコンビネーションジャンプは急遽3トゥループをつけて、冒頭のミスをリカバリー。2アクセル+3トゥループ+2トゥループは3トゥループの着氷で詰まったため、3つ目のジャンプはつけられず。単独の3ループは予定どおり下り、そして最後の2アクセルに2本の2トゥループをつけてこちらもミスを補いましたが、細かなミスが散見され、演技を終えた坂本選手は悔しそうに顔を歪めました。得点は131.93点で5位でした。
 スケートアメリカから全日本選手権、四大陸選手権と怒濤の快進撃を見せてきた坂本選手ですが、初めてのオリンピックはさすがに特別な緊張感があったのか、彼女らしいのびやかさが鳴りを潜めてしまいましたね。まず最初の3+3で力みからか本来のスピード、高さが出ず単独になったことで、どこでリカバリーしようかと考えながらの滑りになったと思うので、演技全体の躍動感はあまりなかったかもしれません。ただ、ミスをしても挽回できる強さがあるということが改めて証明されたと思いますので、この経験を活かして、個人戦では怖がらずに自信を持って思い切ってぶつかっていってほしいですね。



 女子フリーの終了時点での順位はこうなりました。


1位:カナダ 63ポイント
2位:OAR 58ポイント
3位:アメリカ 53ポイント
4位:イタリア 49ポイント
5位:日本 44ポイント



 この時点でカナダの金メダル、OARの銀メダルが確定。あとは銅メダルをアメリカとイタリアが争うという展開となり、日本はメダル獲得の可能性は消滅しました。坂本選手の実力を考えると、ザギトワ選手に次ぐ2位に食い込むチャンスは充分にあったので残念でしたが、団体戦の経験が個人戦に活かされることを今は期待したいですね。




 ここからは最終順位が確定するアイスダンスフリーダンスです。
 FDのトップに立ったのは、世界チャンピオン、カナダのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組です。2つのステップはレベル3でしたが、そのほかは全てレベル4、しかも極めて高い加点を積み重ねる圧巻の演技で、パーソナルベストに0.23点と迫るハイスコアでショートに続き堂々の1位となりました。
 女子フリーでカナダが初の団体優勝を決め、その締めくくりの大トリとしてこれ以上ない素晴らしい演技を見せたヴァーチュー&モイア組。個人戦前の団体戦で調整的に難しい部分もあったでしょうが、力を温存するというよりは現時点での全力を尽くした演技のように思えました。長年のパートナーシップから生まれる二人ならではの一体感、二人の連帯した動きから生み出されるストーリーというのが、まさに映画『ムーラン・ルージュ』の世界そのもので、改めてうっとりしてしまいました。あとはこの団体戦には出てこなかったフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組との一騎打ちですから、この団体戦の演技も充分すぎるほど美しかったですが、これ以上のパフォーマンスが見られることを楽しみにしたいですね。

 2位はアメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組。2つのステップはレベル3にとどまりましたが、得意のツイズルではほかのカップルよりもより多く回るシーンもあり、高い技術力を充分に示し2位に入りました。
 シブタニ兄妹もヴァーチュー&モイア組同様、順調に仕上がっているかなという印象ですね。技術的な不安は何もないはずですので、メダル争いに向けては精神面の勝負になってきそうです。まだ加点を伸ばせるエレメンツがあると思いますので、個人戦でのブラッシュアップに期待ですね。

 3位はOARのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組。2つのステップは上述した2組のカップル同様、レベル3でしたが、そのほかのエレメンツはレベル4を揃え、演技構成点では全体の2位の高評価を得て、ショートと同じ3位でした。
 自己ベストまでは約2点という得点で、団体戦を上々の内容とスコアで締めくくったボブロワ&ソロビエフ組。個人戦ではさらにピークを合わせてくるでしょうから、パーソナルベスト更新も可能性として大いにあるのではないでしょうか。

 4位は元世界王者、イタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組です。ステップ2つがレベル3、リフトが1つレベル2という取りこぼしがあり、技術点を伸ばし切れず、パーソナルベストから5点ほど低い得点で4位にとどまりました。
 点数的にはもう少し伸ばしたかったなという印象ですが、演技としては非常に印象深く二人の気持ちが伝わってきましたね。フリーはイタリアの名作映画『ライフ・イズ・ビューティフル』ということで、カッペリーニ&ラノッテ組の表情の豊かさ、多彩な演技力が思う存分発揮できるプログラムだと思いますから、個人戦では全て出し切って笑顔で終われることを祈りたいですね。

 日本の村元哉中&クリス・リード組は5位となりました。

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 冒頭は課題のツイズル、これをしっかりまとめてレベル4に加え加点も取ります。続いてサーキュラーステップシークエンスでしたが、リード選手が氷にけつまずいてしまい転倒するアクシデントが発生。レベル1、そしてGOEでも減点となります。しかし、その後は動揺を引きずることなくすべての要素を確実にこなし、何とか挽回しました。
 序盤のステップでまさかのミスがあり、演技後リード選手は悲しそうにうなだれました。ですが、そのリード選手を励まし慰める村元選手の姿が心強く、良いカップルだなと思いましたね。また、転倒後の立て直しは見事で、真価が問われる失敗後の演技をまとめられたことはまさに二人の成長の証だなと感じます。今回の失敗は忘れて、オリンピックを楽しむ気持ちを大切にして、個人戦のショートダンスでまず好演技をして、フリーダンスに繋げてほしいですね。



 ということで、団体戦の最終順位は以下のようになりました。


1位:カナダ 73ポイント
2位:OAR 66ポイント
3位:アメリカ 62ポイント
4位:イタリア 56ポイント
5位:日本 50ポイント

―――
6位:中国 18ポイント
7位:ドイツ 16ポイント
8位:イスラエル 13ポイント
9位:韓国 13ポイント
10位:フランス 13ポイント




 優勝したのはソチ五輪では2位だったカナダです。

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 終わってみればカナダが圧倒的に強かったですね。4種目、それぞれショートとフリーが行われた中で必ずトップ3内に入っていたのですから、優勝しないわけがないという感じですね。出場メンバーもショートとフリーで選手を入れ替えたのは女子のみ、その女子もデールマン選手、ケイトリン・オズモンド選手ともに世界選手権メダリストという甲乙つけがたいダブルエースの二人ですから、実力差がないというところも大きかったです。そして、4種目中2種目で選手の入れ替え可能というルールでしたが、男子、ペア、アイスダンスでエースをショート、フリーの両方で投入したという戦略からは、何が何でも金メダル取るぞという強い意志がうかがえました。昨シーズン、バンクーバー五輪金メダルのヴァーチュー&モイア組が休養から復帰したことによって、チャン選手とモイア選手とのあいだで本気で団体の優勝を狙いにいこうといった話がなされたそうで、カナダはチームとして個人戦と変わらないくらいの意気込みで団体戦にも全力を注いでいたようですね。団体戦というのは個人競技であるフィギュアにおいては軽く扱われがちですが、このカナダチームの姿、戦いぶりを拝見して、やはりチーム戦も良いなと個人的には感じましたし、団体戦に加われなかったカナダの選手たちも、金メダルを手にする同国の仲間たちを見てうらやましい気持ちは少なからず抱いたんじゃないかなと思います。個人戦が最重要なのはもちろんですが、カナダチームの力の入れよう、喜びようが、五輪における団体戦の価値を高めてくれたような気がします。カナダチームの皆さん、団体戦優勝おめでとうございました。


 惜しくも銀メダルだったのはソチ五輪金メダルのOARです。

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 OARも女子ではエフゲニア・メドベデワ選手、ザギトワ選手のダブルエースを起用し、男子もエースのミハイル・コリヤダ選手、アイスダンスもエースのボブロワ&ソロビエフ組、ペアもショートではエースのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組という万全の布陣で臨みましたが、最初の男子ショートでのつまずきが痛かったですね。もしその出遅れがなくカナダとの差がもっと小さければ、ペアのフリーでナタリア・ザビアコ&アレクサンデル・エンベルト組ではなく、ショートに続いてタラソワ&モロゾフ組が出場するという選択肢もあったのかなと想像したりもします。


 銅メダルを獲得したのはソチ五輪でも3位だったアメリカ。

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 3位のアメリカは全体を通してコンスタントにポイントを獲得しましたが、どの種目でも一つも1位というのがなかったので、そのあたりで上位2チームと差がついたのかなと思います。こちらも男子ショートのネイサン・チェン選手の演技内容が違っていれば、その後の試合展開も変わっていたかもしれません。


 4位のイタリアはペア以外の3種目で1人の選手(組)がショートもフリーも出場し、特に女子のコストナー選手がショートもフリーもというのは少し驚きましたが、それだけ団体戦に懸ける想いも強かったのかなと思います。また、男子のマッテオ・リッツォ選手、ペアフリーのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組といった伏兵の活躍がひときわ印象に残りましたね。
 そして、日本はソチ五輪と同じ5位でした。男子ショートの宇野昌磨選手の圧巻の1位、ペアショートの須崎海羽&木原龍一組の8位、アイスダンスSDの村元&リード組の5位とショートまでは良い流れでしたが、フリーは一転、全種目で最下位と流れを手離してしまいましたね。男女シングルに関してはエースをショート、フリーともに起用するという戦い方もありますが、個人戦との兼ね合いもあって難しいところですし、また、男女シングルは団体戦出場を見送った羽生結弦選手以外は全員五輪初出場ということもありましたから、そこでいきなり団体のショートもフリーもというのはさすがに負担が大きすぎるので、ショートとフリーで選手を入れ替えざるをえなかったですね。何より、どれだけ男女シングルの選手が頑張ったとしてもペアとアイスダンスで高いポイントは望めないというのがわかっているので、選手たち自身も「メダル獲得」というのは現実味を持って考えられなかったでしょうし、3位と5位の差というのは、実際の数字以上に大きなものだなと改めて感じさせられましたね。


 とにもかくにもこうして無事に幕を閉じた団体戦。そして、とうに個人戦が始まっており、ペア、男子はこの記事をアップした時点で終了しています。かなりのスローペースですが、順番に記事にしていきたいと思いますので、お時間がある時にでもぜひご覧ください。


:記事冒頭の表彰式の画像、カナダチームの画像、アメリカチームの画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ザギトワ選手の画像、長洲選手の画像、デールマン選手の画像、コストナー選手の画像、坂本選手の画像、村元&リード組の画像、ロシアチームの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-02-17 17:39 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 世界最強国を決める団体戦。この記事アップの時点ですでに個人戦が始まってしまっていますが、この記事では少し駆け足に団体戦の男子フリーの結果を書いていきたいと思います。なお、団体戦のルールについては、こちらの記事をご覧ください。

Olympic Winter Games 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 1位となったのはカナダのベテラン、パトリック・チャン選手です。

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 まずはショートで失敗した4トゥループ+3トゥループ、これを今度は完璧に決めて2.14点の加点を得ます。次いで単独の4トゥループも成功し、最高の滑り出しを見せます。しかし直後の3アクセルはパンクして2アクセルに。コレオシークエンスを挟んで中盤、3ルッツ+1ループ+3サルコウはパーフェクト。そして後半、課題の3アクセルはアンダーローテーション(軽度の回転不足)で転倒。3ループも乱れます。その後の2つのジャンプはクリーンに下りて、代名詞のステップシークエンスではほとんどのジャッジから加点3を獲得しました。得点は179.75点とシーズンベストをマークして1位となりました。
 SPでは転倒した4トゥループを完璧に決めたことで流れをつかんだという印象でしたね。あとは苦手の3アクセルの問題のみ、という感じがしますが、最後の最後までチャン選手にとっては3アクセルが鬼門であり続けていて、だからこそ個人戦では3アクセルの壁も乗り越えて久しぶりのチャン選手の満面の笑みを見たいなと思いますし、3アクセルさえクリアできればきっとそういう光景が見られるのではないでしょうか。


 2位はOAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)のミハイル・コリヤダ選手です。

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 冒頭は大技の4ルッツ、回転は回り切っていましたがこらえきれず転倒します。続いて4トゥループはダウングレード(大幅な回転不足)で着氷ミスと不穏な出だしに。ですが、直後の3アクセル+2トゥループはクリーンに決めます。後半最初は2本目の4トゥループ、着氷はしますがセカンドジャンプには繋げられず、単独ジャンプの繰り返しということで基礎点としては減点に。続く3アクセルは完璧で2.29点の加点。さらに3+1+3、3ルッツ、2アクセルと終盤はきれいなジャンプを続け挽回しました。得点は自己ベストから12点ほど低い173.57点で2位となりました。
 ショートでは致命的なミスを連発してまさかの8位に沈んだコリヤダ選手。中2日でどれだけ修正してきたかが注目点でしたが、今回はまだその課題をクリアし切れなかったのかなという感じですね。技術的に何かがずれているのか、それとも精神的な影響なのかはわかりませんが、3アクセルを始めとした3回転ジャンプは全てクリーンに決まっているところを見ると、4回転だけ感覚がつかみ切れていないのかもしれません。こういった姿は今季のほかの試合でもあったので珍しいことではありませんから、うまく調整して16日の個人戦のショートに繋げてほしいですね。


 3位はアメリカのベテラン、アダム・リッポン選手です。

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 冒頭は大技の4ルッツではなく、2アクセルでまずは無難にスタート。続いて高難度の3フリップ+3ループを完璧に跳び切って1点以上の加点を得ます。直後の2アクセルも問題なく成功。後半は得点源の3アクセル+2トゥループ+2ループからで、これを確実に成功。続く2本目の3アクセルも着氷させると、3+3、3サルコウも着氷。最後の3ルッツはわずかに回転が足りませんでしたが、終盤のコレオシークエンス、2つのスピンでは全て加点1以上と高い質を揃え、演技を終えたリッポン選手はガッツポーズで喜びを露わにしました。得点はパーソナルベストまで約9点の172.98点で3位とチームに貢献しました。
 この演技が五輪初演技となったリッポン選手。近年フリーの冒頭でほぼ毎試合挑んできた4ルッツこそ回避しましたが、その分演技全体の完成度は非常に高く、個人戦を前にこの演技ができたことでさらに自信を深められるでしょうね。表彰台争いに加わるのは難しいでしょうが、これが最初で最後の五輪になるであろうリッポン選手にとって、ベストを出し切り、プログラムの世界を観客に伝えることこそが最大の目標になるのではないかと思うので、個人戦もリッポン選手らしい演技を見せてほしいですね。


 4位はイタリアの新星、マッテオ・リッツォ選手です。

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 まずは得点源の3+3、これをスムーズな流れで決めて1.2点の加点を獲得。3アクセル+2トゥループ、3ルッツも完璧に下りて、それぞれ1点以上の加点を得ます。後半最初は2本目の3アクセルでしたが、これはアンダーローテーション(軽度の回転不足)に。しかし、直後の3+1+3はクリーンに決め、残りの3ループ、2つの2アクセルも成功。フィニッシュしたリッツォ選手は破顔しました。得点は156.11点とパーソナルベストには約1点及びませんでしたが、4位と健闘しました。
 ショートに続いて出場したリッツォ選手。ショートも自己ベストに近いスコアで本領を発揮しましたが、このフリーも本当に安定していましたね。緊張で身体が硬くなるとか演技が縮こまるといった感じがほとんどなくて、最初から最後までのびやかでした。4回転こそ持っていない選手ですが、くせのないジャンプは加点もつきやすいですし、ステップやスピンも安定していますので、今後がますます楽しみになりました。まずは個人戦でも団体戦のような、もしくはそれ以上の会心の演技を期待したいと思います。


 5位は日本の田中刑事選手です。

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 まずは得点源の4サルコウでしたが、パンクして2回転になります。次いで2本目の4サルコウ、こちらも回転できず2回転と大きなミスが続きます。直後の3アクセルはクリーンに下りて1.57点の加点。そして後半、鍵を握る4トゥループは転倒。3アクセルからの3連続は最後が1回転になります。3+3はクリーンに下り、終盤の2つの単独ジャンプも軽やかに決めますが、基礎点の高いジャンプのミスが響き、148.36点で5位にとどまりました。
 五輪初演技だった田中選手ですが、その緊張感がジャンプの感覚を狂わせてしまったのか今季成功率が高まっていた4サルコウが全く形になりませんでしたね。全日本選手権、四大陸選手権で決めた後半の4トゥループもうまくはまらず、やはり五輪の雰囲気に飲まれてしまったのかなという印象を受けます。田中選手本人は4サルコウの失敗について、直前の6分間練習で決まらずイメージが悪くなったことを原因として挙げているので、いつもどおりの感覚さえつかんで、落ち着いてやれれば個人戦は問題ないのではないかと思います。この失敗はさっぱり忘れて、個人戦のショートではまっさらな気持ちで挑戦者として思い切り演技してほしいですね。



 団体戦男子フリーが終了し、順位は以下のようになりました。


1位:カナダ 55ポイント
2位:OAR 48ポイント
3位:アメリカ 44ポイント
4位:イタリア 42ポイント
5位:日本 38ポイント



 カナダがどんどん2位以下に差をつける一方、日本のメダルはかなり厳しい状況になりましたね。男子フリーに出場した田中選手の実力を考えると、イタリアのリッツォ選手を上回る力は充分にあったと思うので、最下位の5位となってしまったのは少し予想外でした。


 次はいよいよ団体戦最後の記事、女子フリー&アイスダンスフリー編です。早足な感じの記事になってしまって申し訳ないですが、ぜひ次もご覧下さると幸いです。


:記事冒頭の日本チームの画像、コリヤダ選手の画像、リッツォ選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、チャン選手の画像、リッポン選手の画像、田中選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-02-15 01:20 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 平昌五輪3日目、2月11日にフィギュア団体の女子SP、アイスダンスSD、ペアフリーが行われました。競技順としてはアイスダンス、女子、ペアの順でしたが、この記事では女子、アイスダンス、ペアの順に書いていきます。なお、団体戦のルールについては、こちらの記事をご覧ください。

Olympic Winter Games 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 女子のトップに立ったのは世界女王、OAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)のエフゲニア・メドベデワ選手です。

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 ジャンプは全て後半に固め、まずはスピン、ステップシークエンスをいつもどおり完璧にこなします。そして後半、得点源の3フリップ+3トゥループはファーストジャンプで片手、セカンドジャンプで両手を上げた難しい空中姿勢で跳び切り、1.7点の加点を得ます。さらに3ループ、2アクセルとクリーンに下り、終盤2つのスピンももちろんレベル4を揃え、フィニッシュ前から観客の拍手喝采に包まれました。得点は自身が持つ世界最高得点を0.21点更新する81.06点をマークし、圧巻の1位となりました。
 先月の欧州選手権で右足甲の疲労骨折による休養から復帰し、ジャンプミスがいくつかあって連勝記録が途絶えたメドベデワ選手。しかし着実に調子を本来のレベルに戻していて、もうすっかりいつもどおりのパーフェクトなメドベデワ選手という感じでしたね。個人戦を前にして早々と世界最高を塗り替えてしまい、個人戦はどうなるんだろうと逆に心配な気持ちも個人的には抱いてしまいますが、約10日後の個人戦に向けてさらなるピーキングをしてくると思いますので、再びの世界最高更新に期待したいですね。


 2位はイタリアのベテラン、カロリーナ・コストナー選手です。

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 まずは得点源の3フリップ+3トゥループから、ファーストジャンプでわずかに乱れセカンドジャンプに繋げますが、アンダーローテーション(軽度の回転不足)で着氷します。続く3ループは余裕を持った跳躍で加点1.4。後半の2アクセルも難なくこなし、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4。演技を終えたコストナー選手は破顔しました。得点は75.10点と自己ベストには3点ほど及ばなかったものの、2位と好位置につけました。
 12月のイタリア選手権からジャンプ構成の難度を上げたコストナー選手。シーズン前半まで跳んでいた3トゥループ+3トゥループと比べると、3フリップ+3トゥループは難度を上げた分、確率が良いとは言えないですが、2大会連続の表彰台を狙う上で必要なジャンプと言えますね。そして、何といっても世界随一のスケーティングから生み出されるスピードがありながらも軽やか、重力を感じさせないような優雅な滑りというのは抜きんでた美しさで、演技構成点でメドベデワ選手と張り合える数少ない選手の一人ですから、個人戦も非常に楽しみになってきます。
 その前にはまずは団体戦のフリーにもコストナー選手は出場とのことで、こちらも好演技を楽しみにしたいですね。


 3位は世界選手権2017銀メダリスト、カナダのケイトリン・オズモンド選手です。

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 冒頭は3フリップ+3トゥループでしたが、ファーストジャンプの着氷で乱れ、何とか3トゥループに繋げますが回転不足となってしまいます。続く3ルッツはこらえた着氷となり、踏み切りのエッジも不正確と判定。後半の2アクセルは決め、ステップシークエンス、スピンはレベル4に加え、全て1点以上の加点を得ましたが、71.38点と自己ベストからは6点ほど低い得点で3位となりました。
 昨季から使用しているこのSPに関しては抜群の安定感を誇り、オズモンド選手の復活を印象付け、支えたプログラムと言っても過言ではないですが、最近は少しバラつきも増えてきているかなという気もします。絶好調の時は失敗する気配の全くないという感じでしたが、今は絶対的な自信というよりは、出だしから多少慎重さが感じられます。フリーに対しては後半のスタミナに課題を抱えているオズモンド選手なので、このショートは不安感なく臨めることが個人戦のメダルに向けて最大のキーポイントかなと思いますし、ショートで70点台後半のパーソナルベストを持っているからこそ、その優位性を最大限活かすためにはショートである程度点差をつけないと、フリーは厳しい状況になるかもしれません。団体戦フリーには出場しないそうですから、個人戦までの期間をうまく利用して本来のショートの余裕を取り戻してほしいですね。


 4位は全日本女王の宮原知子選手です。

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 冒頭は得点源の3ルッツ+3トゥループ、一見きれいに下りたかに見えましたが、両ジャンプともアンダーローテーションを取られます。2つのスピンを挟んで後半の3ループはクリーンに着氷。ステップシークエンスでは日本の情緒漂う軽快なリズムに乗せて繊細かつメリハリの利いた滑りを披露。終盤の2アクセルも問題なく下り、得意のレイバックスピンでプログラムを締めくくった宮原選手はガッツポーズで喜びを表しました。しかし3+3の回転不足が響き、得点は68.95点と伸び悩み4位にとどまりました。
 内容自体は納得の演技となった一方で得点は思ったほど伸びず、得点が表示された瞬間、顔をこわばらせた宮原選手。スロー映像を見る限り、3+3はセカンドジャンプは回転不足を取られる可能性が高いかなという感じでしたが、ファーストジャンプは微妙なところでしたね。どうしても今季はこの3+3の回転不足というのがついて回りますが、今回はジャンプ自体はきれいで良い感覚で跳べているような印象を受けますし、そのほかの部分は時間をかけて磨いてきたものをしっかり発揮できたという感じで素晴らしかったですね。宮原選手本人も3+3に関して、「大丈夫という感覚」「悪いジャンプとは思っていない」と話していますので、あまり回転不足にとらわれすぎないでほしいですし、細かい部分を気にするあまりに演技全体の流れやリズムを失っては宮原選手らしさが鳴りを潜めてしまいますから、回転不足になったらなったで仕方ないくらいの気持ちで、開き直ってぶつかっていってほしいなと思います。何より、宮原選手が自分自身に対して焦ったり不安を抱いたりすることなく、今までどおり自分が積み重ねてきたものに自信を持って、個人戦では思い切って演技してほしいですね。


 5位は全米女王のブレイディ―・テネル選手です。

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 まずは3ルッツ+3トゥループから、これをダイナミックな跳躍で回り切って着氷します。後半の3ループ、2アクセルもクリーンに成功。ステップシークエンス、スピンでは全てレベル4を獲得し、パーソナルベストとなる68.94点をマークし5位と健闘しました。
 今シーズン飛躍を遂げ、一躍時の人となったテネル選手。ただ、勢いだけでは乗り切れないであろうこのオリンピックの舞台で、まず初演技でこの落ち着いた滑りができたというのは、勢いだけではない彼女の紛れもない実力を証明したと言えるでしょう。団体戦フリーは出場しないようですが、団体戦ショートで自己ベストを更新したことで追い風がテネル選手に吹いているとも言えますから、個人戦のショートも同じような演技ができれば再び自己ベスト更新も夢ではありませんね。


 6位は地元韓国のチェ・ダビン選手。3+3、3フリップ、2アクセルと全てのジャンプを確実に成功。ステップシークエンス、スピンも全てレベル4と取りこぼしなくまとめ、パーソナルベストを3点以上更新し6位に食い込みました。
 7位は中国の李香凝(リ・シャンニン)選手。3+2、3ルッツ、2アクセルと目立ったミスなく着氷。ステップシークエンスはレベル2どまりでしたが、柔軟性を活かしたスピンは全てレベル4と実力を出し切り、58.62点で7位でした。
 8位はドイツのニコル・ショット選手です。冒頭は単独の3フリップでしたが転倒。しかし直後の3+3はノーミスで跳び切り挽回します。後半の2アクセルも下り、55.32点で8位となりました。
 9位はフランスのマエ=ベレニス・メイテ選手。冒頭の3+3はセカンドジャンプが回転不足となり着氷も乱れます。さらに後半の苦手の3ルッツはダウングレード(大幅な回転不足)で転倒。最後の2アクセルはまとめましたが、ジャンプミスが響き46.62点で9位にとどまりました。
 10位はイスラエルのエイミー・ブキャナン選手。前半はスピンとステップシークエンスのみ、後半に全ジャンプを組み込む攻撃的な構成でしたが、3+2は若干着氷を乱します。2アクセルはクリーンに下りますが、3サルコウはアンダーローテーションに。それでも全体を最小限のミスに抑えパーソナルベストをマークしました。



 各国のエース格が出揃った団体戦女子ショート。波乱らしい波乱のない中で、やはり際立ったのは絶対女王メドベデワ選手の強さでしたね。この演技が個人戦にどう引き継がれるのか注目です。細かなミスのあった宮原選手やコストナー選手、オズモンド選手らメダル候補たちも、団体戦を経て個人戦まで日程が空く中で、その空白の期間をどう過ごすかによって個人戦の演技も変わってきそうです。




 ここからはアイスダンスのSDについてです。
 トップに立ったのは世界王者、カナダのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組。パターンダンスがレベル2にとどまる取りこぼしがありましたが、いつもと変わらず安定した滑りでパーソナルベストに迫る80.81点で断トツの1位でした。
 オリンピックの初演技として上々のスタートを切りましたね。もちろん最大の焦点は個人戦に合わせてくると思いますので、まだ最高潮の状態ではないでしょうが、とはいえ世界王者らしい隙のない貫録に満ち溢れた演技でした。SDは個人戦でもメダルを争うであろうカップルたちが勢揃いしましたが、その中でもやはり別格という佇まい、演技前から雰囲気は圧倒的でしたね。

 2位は世界選手権2017銅メダリスト、アメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組です。こちらもパターンダンスはレベル2でしたが、そのほかはほぼノーミスで安定感抜群の演技を披露。自己ベストまで約2点ほどのハイスコアで2位と好位置につけました。
 全米選手権ではSD首位発進からFD3位で優勝を逃したシブタニ兄妹。まずは自信を持っているSDということで余裕のある滑りでしたね。五輪のスタートとしては個人戦に向けて良いイメージを作り出せた演技だったと言えるのではないでしょうか。

 3位はロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組。こちらもパターンダンスはレベル2で思ったほど技術点は稼げませんでしたが、演技構成点では5項目で9点台を並べ3位と好発進しました。
 こちらも実力者らしい余裕を持った滑りでしたね。SDの今季のジャンルはラテンということで、この艶っぽく濃厚なプログラムがボブロワ&ソロビエフ組にはぴったりという気がしますね。

 4位はイタリアのベテラン、アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組。ツイズル、リフトではレベル4を獲得し、他のカップルが苦戦したパターンダンスでもレベル3を得ましたが、演技中の動作が転倒と見られたのか減点1もあり、自己ベストには3点ほど届きませんでしたが4位と上位につけました。
 イタリアのカップルらしい陽気さと情熱的な滑りで会場を盛り上げましたが、演技構成点は2項目が8点台と全てを大台の9点台に乗せることはできませんでした。カッペリーニ&ラノッテ組としても5項目全てで9点台を狙っていると思うので、なかなかジャッジの評価がついてこないことでもどかしさはあるでしょうが、五輪の舞台で彼ららしさは充分に発揮できていると思いますね。

 そして5位に日本の村元哉中&クリス・リード組が入りました。

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 冒頭の課題としているツイズルはしっかりレベル4に加え加点も獲得し好調な滑り出し。パターンダンスはレベル1にとどまりましたが、ほかのエレメンツでは確実にレベル3を取り、自己ベストまで約3点というスコアで5位と上位に食い込みました。
 苦戦が予想されたアイスダンスで5位に入り貴重な6ポイントを獲得した村元&リード組。同じくらいのパーソナルベストを持つカップルがほかに3組くらいいる中で、強豪のトップ4に続く位置でショートを終えられたのは村元&リード組にとって大きな自信になるのではないでしょうか。先月の四大陸選手権で自己ベストを更新して、この団体SDでも及第点ということで、着実に自信を深めているのが演技以外の表情や佇まいからも感じられますね。

 6位はフランスのマリー=ジャド・ローリオ&ロマン・ルギャック組。全ての要素でしっかり加点を積み重ねましたが、ステップ2つがレベル2、パターンダンスがレベル1となったことであまり技術点を伸ばせず、自己ベストからは5点近く低い得点で6位でした。
 7位は中国の王詩玥(ワン・シーユエ)&柳鑫宇(リュー・シンユー)組。こちらも大きなミスはありませんでしたが、ステップ2つがレベル2、パターンダンスはレベル1、ツイズルもレベル3と取りこぼしが散見され、技術点が伸びず。パーソナルベストから7点ほど低いスコアで7位に沈みました。
 8位はドイツのカヴィタ・ローレンツ&ヨティ・ポリゾアキス組。ノンホールドのステップ、パターンダンスはレベル2でまとめましたが、ツイズルは若干乱れがあり減点に。自己ベストから5点以上低い得点で8位でした。
 9位は地元韓国のミン・ユラ&アレクサンダー・ガムリン組。パターンダンスは丁寧にこなしレベル2を取りましたが、ツイズルや最後のステップでミスがあり減点を取られます。また、女性のミン選手の衣装の背中側のホックが外れるアクシデントもあり、少し慎重な演技となり、自己ベストから10点低い得点にとどまりました。
 10位はイスラエルのアデル・タンコワ&ロナルド・ジルベルベルグ組。ツイズル、リフトはレベル3とまとめましたが、ほかの要素は全て減点となり、自己ベストより4点ほど低い44.61点で最下位にとどまりました。


 大きなミスが出にくく実力が順当に表れやすいアイスダンス。ということでSDも下馬評どおりの順位でしたね。その中で、実力やパーソナルベストが拮抗するカップルたちを抑えて5位に入った村元&リード組の活躍は素晴らしかったですね。



 ということで、4種目のショートが終了した時点で順位はこうなりました。


1位:カナダ 35ポイント
2位:OAR 31ポイント
3位:アメリカ 29ポイント
4位:日本 26ポイント
5位:イタリア 26ポイント
―――
6位:中国 18ポイント
7位:ドイツ 16ポイント
8位:イスラエル 13ポイント
9位:韓国 13ポイント
10位:フランス 13ポイント



 この結果を受けて上位5か国のみがフリーに進出。ソチ五輪と全く同じ5か国となりました。




 ここからは女子SP、アイスダンスSDと同日に行われたペアフリーについてです。
 ペアフリーのトップに立ったのはカナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組です。冒頭の3ツイストをレベル3ながらクリーンにまとめて1.3点の加点を得ると、サイドバイサイドの3ルッツもしっかり着氷。続いて大技スロー4サルコウに挑み、これは着氷が乱れましたが、直後の3+2+2の難しい3連続ジャンプを成功。その後もミスらしいミスなく最後までエネルギッシュに滑り切り、演技を終えた二人は破顔しました。得点はシーズンベストとほぼ同じ148.51点で2位のペアに10点ほどの点差をつけての1位でした。
 ショートに続いて出場したデュハメル&ラドフォード組。ショートもよくまとまっていて素晴らしかったですが、それ以上といっても過言ではない見事なフリーで、快進撃を続け無敵状態だった頃の二人の姿が蘇ってくるような演技でしたね。団体戦のショートもフリーも出場するというのは大変だったと思うのですが、この2つの好演技が個人戦にも繋がるように祈りたいですし、あとはペアの個人戦まではあまり間がないので体調をうまく整えて、体の疲労を取って、個人戦ショートに備えてほしいと思います。

 2位はイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組。まず冒頭の3ツイストを完璧に決めると、ソロジャンプの3トゥループも二人のタイミングぴったりに着氷。さらに3+2+2を下り、後半の難しい2つのスロージャンプもパーフェクト。全てのエレメンツで高い加点を積み重ねる会心の演技となり、フィニッシュした二人は歓喜を爆発させました。得点も自己ベストを5点以上更新し、2位と高順位を記録しました。
 本当に隅から隅まで完全無欠の演技で、このペアフリーで最大の盛り上がりを見せましたね。思えば4年前のソチ五輪ではマルケイ選手は女子シングルの選手として団体戦のフリーで演技していたわけで、それから4年経ってペア選手としてトップレベルで活躍し、これほどの演技を見せたというのは脱帽としか言えません。今やすっかりペア選手のイメージが定着したマルケイ選手ですが、転向した時すでに20代後半だったことを思うと、正直ここまでペア選手として活躍するとは思っていませんでした。シングルとペアとでは全く異なる競技といってもよいくらいの違いがありますから、4年という長いようで短い期間で彼女が作り上げてきたものに対して拍手を送りたい気持ちですね。ぜひ個人戦でもこのような演技を見せてほしいと思います。

 3位はOARのナタリア・ザビアコ&アレクサンデル・エンベルト組。まず3ツイスト、3+2+2のサイドバイサイドジャンプを決め好調なスタートを切りましたが、続く3サルコウはパンクして2回転に。終盤のつなぎの部分で女性がつまずいて転倒するアクシデントもありましたが、動揺を見せることなくエレメンツを丁寧にこなし、自己ベストまで約4点というスコアで3位と健闘しました。
 この演技が五輪初演技となったザビアコ&エンベルト組。思わぬ転倒もありましたが、こういった予想外の出来事も含めていろんなことが起きる五輪というのを個人戦前に経験できたことが二人にとってメリットとなるのではないかと思います。

 4位はアメリカのアレクサ・シメカ=クニーリム&クリス・クニーリム組。冒頭の3ツイスト、スロー3サルコウ、サイドバイサイドの3サルコウと順調な滑り出しに成功しましたが、続くサイドバイサイドの3トゥループは転倒。その後はミスらしいミスなく立て直しましたが、自己ベストには遠く及ばず4位でした。
 もったいない転倒はあったものの、さすが実力者だけあってミスを引きずることなく、直後のエレメンツですぐに切り替えて質の高い技を続けられるというところに実力者の実力者たるゆえんを感じましたね。

 日本の須崎海羽&木原龍一組は5位となりました。

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 まずは得点源となるサイドバイサイドの3ルッツから、二人のタイミングはずれましたが、回転不足なくしっかりと着氷します。しかし続く3ツイストはキャッチミスで減点。高難度のスロー3ルッツも転倒します。その後もソロジャンプ、スロージャンプともにクリーンに決められず、ほかの要素でも細かなミスが重なり、パーソナルベストから3点ほど低いスコアにとどまりました。
 パーソナルベストを叩き出し歓喜に包まれたショートから一転、フリーはショートよりも硬さが気になりましたね。やはりショートのようにうまくまとめたいという気持ちもあったでしょうし、チームに貢献したいという気持ちもあったでしょうから、いろんな想いが重なって硬くさせてしまったのかもしれません。ソロジャンプの3ルッツやスロージャンプの3ルッツなど、トップペアと比べても遜色ない構成で攻めの滑りをしているペアだと思うので、この構成を完璧に完成させるまでにはまだ時間がかかるのかもしれませんが、彼らのベストを尽くせれば必ずできるエレメンツばかりだと思うので、ぜひ個人戦でもショートで好演技をしてフリーに進んで、団体戦のリベンジをしてほしいですね。




 ということで、ペアフリーが終わった時点での順位はこうです。


1位:カナダ 45ポイント
2位:OAR 39ポイント
3位:アメリカ 36ポイント
4位:イタリア 35ポイント
5位:日本 32ポイント



 カナダが徐々に2位に差をつけてきて、初優勝に向けて足固めに入ったという印象ですね。OAR、アメリカとフィギュア大国が続いて順当な順位と言えます。日本は苦戦が予想されたペアでそのとおりの結果にはなってしまいましたが、イタリアのマルケイ&ホタレク組がフリー2位と思った以上に上位に食い込んだこともあって、イタリアに逆転され、点差も少しつけられてしまった印象ですね。


 さて、次は団体戦の男子フリーの記事に続けます。そうこうしているうちに個人戦が近づいてきていて、急いで団体戦の記事を仕上げたいところですが、もうしばらくお待ちください。では。


:記事冒頭の日本チームの画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」の平昌五輪特集ページから、メドベデワ選手の画像、コストナー選手の画像、オズモンド選手の画像、村元&リード組の画像、須崎&木原組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、宮原選手の画像、テネル選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-02-14 00:58 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 2018年2月9日、平昌オリンピックが開幕しました(正式には8日から一部競技の予選が始まっていますが)。そしてフィギュアスケートはその開会式当日の9日の午前から競技が開始。まずは国別で争われる団体戦からです。その団体戦は初日の9日に男子ショートプログラムとペアショートプログラムが行われました。日本チームは好スタートを切りましたが、その模様をお伝えする前に団体戦の試合の流れとルール、システムについてざっくりとおさらいしたいと思います。

*****

◆出場国とチーム構成


カナダ、OAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)、アメリカ、日本、中国、イタリア、フランス、ドイツ、イスラエル、韓国


 各国の選手が対象となる国際試合において獲得したポイントの合計によって国別のポイントが累積され、そのランキング上位10か国が団体戦に出場できることとなっています。なお、開催国枠での出場も可能ですが、開催国の韓国は国別のランキングで10位に入っているため、今回は開催国枠は使用されません。また、団体戦に国としてエントリーするためには、男子、女子、ペア、アイスダンスの4種目のうち、最低3種目で個人戦での出場枠を獲得していることが必須で、国別ランキングではスペインがイスラエル、韓国の上に位置していますが、スペインは男子とアイスダンスのみでしか出場枠を持っていないため、団体戦の出場要件を満たしておらず、国別ランキングでは実際は11位の韓国が繰り上がるということとなりました。
 各チームの選手構成は主に個人戦に出場する選手で構成されますが、個人戦での出場枠がなく団体戦のみに出場する選手の参加も可能です。そして、4種目のうち最大2種目でショートとフリーで滑走する選手を入れ替えることができます。言い換えれば、最低2種目は同じ選手がショートもフリーも滑らなければいけません。


◆試合の流れと順位決定方法

 試合は各種目のショート、フリーごとに各国1名(組)が出場し、まず個人戦同様にショートから行われ、順位によって1位は10ポイント、2位は9ポイント、3位は8ポイントというように順位が一つ下がることにポイントも1つ減っていきます。4種目のショート全てが終わった段階で、獲得した国別ポイントの上位5か国のみがフリーに進出できます。フリーにもショートで獲得したポイントは持ち越され、その最終的な合計ポイントで最終順位が決定されます。
 また、その国別のポイントで2か国以上が同点で並んだ場合は、選手が獲得した得点を合算して順位を決定します。


 そんなフィギュア団体戦。まず行われた男子SPとペアSPの結果を駆け足ですが書いていきたいと思います。


Olympic Winter Games 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 男子ショートの1位に立ったのは日本の宇野昌磨選手です!

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 まずは得点源の4フリップから、しかしこれは着氷で手をつき大きく減点されます。スピンとステップシークエンスを挟んで後半、フリー最初は今季鬼門となっている4トゥループ+3トゥループ、しっかり両ジャンプとも着氷し1点以上の加点を獲得。さらに得意の3アクセルでは2点以上の加点を得る出来栄えで跳び切り、演技を締めくくる2つのスピンもレベル4を揃え、演技後の宇野選手は思わず笑みをこぼしました。得点は自己ベストに約1点と迫る103.25点で圧巻の1位となりました。
 10人中最終滑走となった宇野選手。その前に滑った選手たちが次々と大失敗を連発し、宇野選手は大丈夫だろうかと心配もしましたが、全くの杞憂でしたね。演技前も演技後もいつもどおりの淡々とした様子で、今自分がやるべきことをやっただけという冷静さを感じました。そうは言ってもここ最近はショートで転倒したり4+3が4+2になったりとミスが多かったので、久しぶりに全てのジャンプが予定どおりに入ったなという印象ですね。
 演技後のインタビューでは「特別な緊張感はない」「全日本選手権の方が緊張した」とオリンピックに対しての特別な意識を感じさせない発言もあった一方で、前の選手たちの演技をバックヤードで見ていてその影響はあったとも話しました。ただ、「朝早いからかな」「自分も失敗するのかな」などと思いながら演技に臨んだとのことで、不安がゼロというわけではなかったものの、ほかの選手の演技を冷静に受け止められるだけの余裕も持っていたようで、頼もしいとともにどこまでこの人はマイペースなんだろうと改めて驚かされました。
 4年前のソチ五輪で羽生選手がまず団体戦のショートで勢いをつけて個人戦に繋げたというのを思い起こさせるような展開でもあり、個人戦でもこの調子をキープしてさらに上げて、満足のいく演技をしてほしいなと思います。


 2位となったのはイスラエルのベテラン、アレクセイ・ビチェンコ選手です。

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 冒頭は3アクセル、これを完璧に下りて1.86点の加点を獲得。次いで4トゥループもクリーンで加点1.43を得ます。後半の3+3も難なく決め、スピンでは取りこぼす場面もありましたが、終盤のステップシークエンスではアップテンポなリズムに合わせて軽快な滑りで観客を沸かせ、フィニッシュしたビチェンコ選手は破顔しました。得点はパーソナルベストの88.49点で2位と好位置につけました。
 今シーズンはコンスタントに成績を残し安定感を示しているビチェンコ選手。緊張感漂う五輪の舞台でもいつもどおりの伸びやかさで、演技をしながら五輪の空気感を味わっているような余裕さえ伝わってきましたね。イスラエルは団体戦においてはメダル獲得というのは厳しいポジションなので、ビチェンコ選手も個人戦前の肩慣らしの場としてうまく団体戦を利用しているという印象も受けますし、しっかりと自分自身に集中できているというのは経験豊かなベテランならではかもしれませんね。
 個人戦でもぜひビチェンコ選手らしい元気の良い滑りで会場を盛り上げてほしいと思います。


 3位はソチ五輪銀メダリスト、カナダのパトリック・チャン選手です。

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 まずは得点源の4トゥループ+3トゥループでしたが、ファーストジャンプで転倒してしまいコンビネーションにはならず。続いて3ルッツは空中で軸が曲がり、何とか2トゥループをつけてコンビネーションにします。後半の苦手の3アクセルはこちらも軸が傾き転倒。ステップシークエンスでは相変わらずの世界一のスケーティングで音楽との調和を見せましたが、ジャンプミスが響き81.66点の3位と伸び切りませんでした。
 今季はジャンプに苦戦し11月のNHK杯を辞退、五輪選考会のカナダ選手権に向けて調整を優先したチャン選手。そのカナダ選手権でも4トゥループや3アクセルのミスが散見され、そこからどれだけ調子を取り戻しているかが注目されましたが、まだ完全復調とまでは行っていないのかなという感じですね。3アクセルの成功率が低い分、4トゥループや3ルッツは確実に決めたいところでしたが、全体的にジャンプが傾いてしまいました。個人戦に向けては不安が残りますが、チャン選手は団体戦に関してもショートもフリーも出たいと強い意欲を示しているようで、実際にフリーにチャン選手とキーガン・メッシング選手のどちらが出るのかは不明ですが、チャン選手にとっては4年前と違って個人戦の表彰台が厳しい状況の中で、より団体戦にも力を注ぎたいという気持ちもあるのかなと想像しますし、単なる推測ですがそうした感情も理解できるような気がします。
 次の演技が団体戦のフリーになるのか、個人戦のショートになるのかはわかりませんが、彼にとって最後の五輪になる可能性が高いですから、悔いのない滑りをしてほしいですね。


 4位はGPファイナル2017王者、アメリカのネイサン・チェン選手です。

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 冒頭は最高難度の4ルッツではなく4フリップからの3トゥループを組み込みましたが、4フリップの着氷で体勢を崩しセカンドジャンプは2トゥループに抑えます。2つのスピンを挟んで後半、得意の4トゥループでしたがパンクして2回転となり、規定違反で無得点に。さらに鬼門の3アクセルは転倒。スピン、ステップシークエンスは全てレベル4とさすがの実力を見せつけましたが、全てのジャンプでミスを犯し、演技を終えたチェン選手は呆然とした表情を浮かべました。得点は80.61点で4位にとどまりました。
 今シーズン出場した試合で全勝しているチェン選手でしたが、まさかの演技でしたね。4フリップからの連続ジャンプのミスは許容範囲内としても、4トゥループでパンクするという姿は今季皆無だったので驚きました。その動揺が残る中での3アクセルも転倒と、最後まで彼らしさはなかったですね。これが五輪の魔物というものなのか、フィギュアの大会とは違う独特の雰囲気に飲まれてしまったのか、氷との相性が悪かったのか、いろいろ理由は考えられますが、これが個人戦でなくて良かったととらえることもできます。団体戦のフリーに出場するのかしないのかはまだわかりませんが、次は今回のミスは忘れて、いつもどおりのチェン選手らしさを取り戻してほしいですね。


 5位はイタリアの新星、マッテオ・リッツォ選手です。

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 冒頭の3アクセルは着氷が乱れて減点。しかし直後の3+3はクリーンに跳び切って加点1を得ます。後半の3ルッツも問題なくクリアし、スピン、ステップシークエンスは全てレベル4と丁寧にエレメンツをこなし、フィニッシュしたリッツォ選手は満面に笑みを浮かべました。得点は自己ベストに約1点と迫る77.77点で5位と好発進しました。
 今シーズン前半はシニアのB級国際大会に出場しながら、ジュニアGPにも出場し母国開催のイタリア大会では初優勝するなど二足のわらじで活躍しているリッツォ選手。初めての五輪で緊張感はあったでしょうが、滑るごとにのびやかさが増していくような演技で素晴らしかったですね。コーチは父のヴァルテル・リッツォさんですが、すぐ隣りにお父さんがいてくれるというのは心強いでしょうし、特にスピン、ステップ全部レベル4というのは勢いだけではなく、落ち着いていないとできないことだと思いますから、全体的に高揚する気持ちとともに落ち着きもあったのかなと想像します。
 イタリアが団体戦フリーに進出できればリッツォ選手も再び演技することになりますから、ぜひ頑張ってほしいですね。


 6位は韓国の新星、チャ・ジュンファン選手。4回転は外した構成で、冒頭の3+3を確実に下りると、3アクセルもきっちり成功。後半の3ルッツも決め、ステップシークエンスはレベル2どまりだったものの、スピンはレベル4を揃え、致命的なミスなく演技を終え地元の観衆の喝采を浴びました。得点はシーズンベストの77.70点で6位と上位に迫りました。
 7位は中国の実力者、閻涵(ヤン・ハン)選手。冒頭は代名詞の3アクセルでしたが、回転不足となった上に転倒。さらに4トゥループも転倒と大きなミスが相次ぎます。後半の3+3は何とかまとめ、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4とさすがの質の高さも発揮しましたが、77.10点で8位にとどまりました。
 8位はOARのミハイル・コリヤダ選手です。冒頭は大技4ルッツ、回転は充分でしたが着氷でこらえきれず転倒します。続いて4トゥループも転倒しコンビネーションにできず。さらに後半の得意の3アクセルも力んだのかパンクして1アクセルとなり、規定違反で無得点に。精彩を欠いた内容で74.36点の8位に沈みました。
 9位はドイツのパウル・フェンツ選手。序盤に得点源のジャンプを固めますが、4トゥループ、3アクセルともに転倒。後半の3+3も乱れ、スピンでもわずかな減点が重なり、66.32点で9位となりました。
 10位はフランスのシャフィク・ベセギエ選手です。冒頭に4トゥループ+3トゥループを組み込みましたが、3+2となり大幅な失点に。直後の3アクセルも回転が抜けて2回転になります。後半の3ルッツはクリーンに下りましたが、全体的にミス、取りこぼしの多い演技となり、61.06点で10位でした。



 団体戦男子ショートの結果は以上です。全体を通して転倒が非常に多く、まだ会場の雰囲気や氷になじめていない選手が多いのかなと感じましたが、その中で自分のペースを保っていた宇野選手は見事でしたね。一方、チャン選手やチェン選手、コリヤダ選手は個人戦に向けてどこまで立て直せるか、この団体戦の経験を個人戦にどう活かしていくか注目したいと思います。




 ここからはペアです。
 トップに立ったのは欧州王者、OARのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組です。冒頭の3ツイストを鋭い回転とクリーンなキャッチで決めると、続くサイドバイサイドの3トゥループは二人のタイミングもピタリと合わせて成功。さらにスロー3ループも下り、残りのエレメンツも全てレベル4と完璧な演技に、フィニッシュではモロゾフ選手が力強く拳を握り締めるシーンも。自己ベストを0.1点更新して堂々の1位となりました。
 さすがの欧州王者の演技でしたね。先月の欧州選手権ではこのショートで出遅れてしまったわけですが、その反省と教訓を活かしてしっかり調整してきたことが感じられました。また、ロシア代表としてではなくOARとしての出場ということで複雑な想いもあるでしょうが、氷の上ではそういった雑念はなく、演技にのみ集中してコントロールし切れていたように思います。団体戦フリーに出場するか否かは不明ですが、まずは個人戦でのメダルに向けて良い感覚をつかめたのではないでしょうか。

 2位は元世界チャンピオン、カナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組です。冒頭の3ツイストはレベル2にとどまりましたが、難度の高いソロジャンプの3ルッツを最小限のミスに抑え、スロー3ルッツは完璧に成功。その後のエレメンツでは軒並みレベル4を揃え、76.57点で2位につけました。
 ちょっとしたミスはありましたが、よくまとまった好演技でしたね。今季序盤はソロジャンプの3ルッツで大きなミスを犯すことも多かったですが、シーズンが進むにつれて改善されてきたように思います。個人戦のメダルにも繋がる内容と言えますね。

 3位は世界選手権2017銀メダリスト、ドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組です。冒頭の3ツイストを抜群の高さで決め2.1点という極めて高い加点を得ると、次いでソロジャンプの3サルコウも確実に着氷。しかしスロー3フリップでは転倒。その後は目立ったミスなく質の高いエレメンツを揃えましたが、転倒が響き75.36点で3位となりました。
 全体的には非常に体もよく動いてキレの良い技が続いただけに、スロージャンプの転倒だけがもったいなかったですね。ドイツが団体戦フリーに進めるかどうかは微妙なところですが、このミスを個人戦でどう修正してくるかに注目ですね。

 4位はアメリカのアレクサ・シメカ=クニーリム&クリス・クニーリム組。冒頭の3ツイストをクリーンに成功させ1.6点の加点を獲得。その後もサイドバイサイドの3サルコウ、スロー3フリップ、ステップシークエンスと息の合った演技を披露しましたが、終盤のリフトのエンディングで若干バランスを崩すミスがあり減点。しかしシーズンベストで4位と好位置につけました。
 第2グループの1番滑走と比較的早い時間での登場となったシメカ=クニーリム&クニーリム組ですが、全米王者らしい風格のある演技で世界選手権で入賞経験もある実力を示しましたね。やはり夫婦ペアらしいユニゾンというのも感じられて、団体戦フリーも期待できそうですね。

 5位は中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組。まずはサイドバイサイドの3トゥループからでしたが、女性の于選手が2トゥループになってしまい大きな失点に。その後はクリーンなエレメンツを揃え本領を発揮しましたが、ジャンプミスが影響して69.17点で5位にとどまりました。
 団体戦フリー進出に向けて、中国チームとしては最も力のあるペアでより多くのポイントを稼ぎたいところだったと思うのですが、その想定からは少し外れてしまったかなと思います。于選手にとっては初めてのオリンピックというところで、また、若干ソロジャンプを苦手にしている感もあるので、ウィークポイントが如実に表れてしまったかもしれません。大ベテランの張選手がいかに于選手を導いて立て直していくのか、注目点ですね。

 6位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組です。こちらも演技序盤のサイドバイサイドの3サルコウが2回転になるミスがあり大きなロスに。そのほかはミスらしいミスなく滑り切りましたが、得点は伸び切らず6位でした。
 7位はイタリアのニコル・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組。3ツイストがレベル2、スロージャンプで着氷ミスがあり、自己ベストには約3点及ばず7位となりました。

 そして日本の須崎海羽&木原龍一組は8位と健闘しました。

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 冒頭は代名詞となっているサイドバイサイドの3ルッツ、木原選手がこらえた着氷になりましたが、最小限のミスにとどめます。続く3ツイストはキャッチが抱える形になりレベル1に加え減点。しかし、その後は全てのエレメンツをクリーンにこなし、これまでの自己ベストを7点近く更新し8位に入りました。
 緊張する五輪の舞台でパーソナルベストという見事な活躍でしたね。木原選手は滅多にミスすることのない3ルッツで着氷が乱れたということで悔しがっていましたが、そこで耐えたことも含めて、よく粘り、そして丁寧に演じ切ったと思います。思えば4年前のソチ五輪でも木原選手は高橋成美選手と組んで団体戦に出場し同じくショート8位となっていて、本番で強いなーと感じます。4年前はペアに転向してから約1年で、経験豊富な高橋選手にリードされる形だったと思いますが、今は若い須崎選手を木原選手がしっかりリードしていて、4年という年月の経過を感じるとともに、成長を実感して感慨深くなりました。ぜひ団体戦フリーもこの調子で頑張ってほしいですね。

 9位はイスラエルのペイジ・コナーズ&エフゲニー・クラスノポルスキー組です。演技序盤から安定して大きなミスなく要素をこなし、流れに乗った演技を披露しますが、終盤のステップシークエンスで女性のコナーズ選手が氷にスケート靴のエッジが引っかかった形で転倒。それでもアクシデント的な転倒を引きずらず、最後まで笑顔で滑り切り9位となりました。
 10位は韓国のキム・ギュウン&アレックス・カン・チャン・カム組。2ツイストは無難にまとめ、その後も大崩れすることなくエレメンツをこなしましたが、細々とした減点が多く自己ベストには及びませんでした。



 フィギュア競技の先陣を切って行われた団体戦男子ショートとペアショート。それぞれで各国が獲得したポイントを合わせて、初日の順位はこうなりました。


1位:カナダ 17ポイント
2位:アメリカ 14ポイント
3位:日本 13ポイント
4位:OAR 13ポイント
5位:イスラエル 11ポイント
6位:中国 10ポイント
7位:イタリア 10ポイント
8位:ドイツ 10ポイント
9位:韓国 6ポイント
10位:フランス 6ポイント



 カナダ、アメリカは男子、ペアともにコンスタントにポイントを稼いで上々のスタートを切りました。そして日本は何といっても宇野選手が獲得した10ポイントが効いて3位と好発進。前回のソチ五輪では初日4位だったことを考えても、メダルの希望が少し広がったかなと思います。一方、優勝候補のOARは男子での出遅れが響いて4位にとどまりましたが、ペアで1位となったことによってしっかりリカバリーしていて、さすがフィギュア大国の層の厚さを感じさせます。
 このあと団体戦は11日にアイスダンスSD、女子SP、ペアフリーが行われます。日本はアイスダンスに村元哉中&クリス・リード組が、女子にエースの宮原知子選手が登場。フリーに進めれば、ペアはもちろん須崎&木原組が再び登場です。まだまだ予断を許さない状況ですが、初日の良い流れを繋いで、表彰台を狙えるポジションをキープしてほしいと思います。では。


:記事冒頭の日本チームの画像、ビチェンコ選手の画像、チェン選手の画像、リッツォ選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、宇野選手の画像、須崎&木原組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、チャン選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」の平昌五輪特集ページから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
平昌五輪・団体戦(女子SP&アイスダンスSD&ペアフリー)―エフゲニア・メドベデワ選手、世界最高得点で1位 2018年2月14日
平昌五輪・団体戦(男子フリー)―パトリック・チャン選手、シーズンベストで1位 2018年2月15日
平昌五輪・団体戦(女子フリー&アイスダンスFD)―カナダ、大差で初優勝 2018年2月17日

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by hitsujigusa | 2018-02-11 02:29 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 四大陸選手権2018、男子&ペア編の後編です。なお、前編はこちらからご覧ください。

ISU Four Continents Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 男子の6位となったのはウズベキスタンの実力者、ミーシャ・ジー選手です。

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 SPは冒頭の3アクセルをクリーンに決めますが、3+3はファーストジャンプの3ルッツの踏み切りのエッジが不正確とされわずかに減点、さらに足替えキャメルスピンではぐらつく場面がありこちらも減点と、細かな減点が重なり82.27点と得点は伸び切らず8位にとどまります。
 フリーはまず得点源の3アクセル+1ループ+3サルコウ、これをパーフェクトに決め1.57点の加点を得ます。続く単独の3アクセルは若干こらえてマイナス。3フリップはクリーンに着氷します。後半は3+3を鮮やかに成功させると、3ルッツ、3ループ、2アクセル+2トゥループ、2アクセルと全て成功。ステップシークエンスやコレオシークエンスでは高い加点も稼ぎ、166.69点でフリー7位、総合6位と自己最高位で7度目の四大陸を終えました。
 今季は好調をキープし続けているジー選手。今大会も最小限のミスのみでいつもどおり安定感のある演技でしたね。珍しくスピンでの取りこぼしが目立ちましたので、そういた細部の綻びをしっかり修正して、五輪ではジー選手のキャリアベストの演技が見られることを祈っています。


 7位はカナダのベテラン、ケビン・レイノルズ選手です。

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 SPは「モーニン」。2本の4回転を組み込み、最初の4サルコウはアンダーローテーション(軽度の回転不足)で両足着氷となります。次いで3アクセルはしっかり着氷。4トゥループからの連続ジャンプは4トゥループでステップアウトし単独に。ステップシークエンスやスピンでは目立った取りこぼしなくまとめましたが、ジャンプミスが響き74.65点で13位と出遅れます。
 フリーは「アルバム「The Armed Man」より」。冒頭は4サルコウ、大きな乱れなく下りますがアンダーローテーションの判定。次の4トゥループは回り切って着氷。さらに大技4サルコウ+3トゥループ+3ループに挑み、ファーストジャンプは回転不足だったもののサードジャンプまでしっかり跳び切ります。後半最初の3アクセルはこちらもアンダーローテーションに。4トゥループ+2トゥループは成功させ、3+2、3ルッツ、3サルコウと後半をほぼノーミスでクリア。フィニッシュしたレイノルズ選手は感極まった表情を浮かべ、力強く拳を握り締めました。得点は166.85点とシーズンベストをマークしフリー6位、総合7位と大きく順位を上げました。
 今大会をもって現役を引退することを発表していたレイノルズ選手。その並々ならぬ想いが込められたショート、フリーは完璧ではありませんでしたが、終始彼らしさに満ち溢れたものでした。特にフリーは4回転が敬遠されていた時代から4回転を果敢に跳び続けてきたレイノルズ選手らしく4回転を4本組み込み、そのうちの1本は4+3+3という最高難度のコンビネーションとして挑みました。近年は4回転の回転不足が多くなり苦労していたとはいえ、4回転の第一人者であるレイノルズ選手だからこその自信、矜持、凄みを感じさせられましたし、稀代の4回転ジャンパーとして時代を切り拓いてきたレイノルズ選手らしさを最後まで貫いた演技だったなと思いますね。
 今後彼がどういう道を歩むのかはわかりませんが、さまざまな挫折や怪我を乗り越えてきたレイノルズ選手ならばどんな道を選んでも力強く前進していけるのではないでしょうか。今までたくさんの素晴らしい演技の数々をありがとうございました。


 8位は同じくカナダのエラジ・バルデ選手です。

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 SP「サウンド・オブ・サイレンス」。まず冒頭の3フリップを決めると、次の3アクセルも着氷。後半の3+3も成功させてミスらしいミスなくまとめて75.17点で12位につけます。
 フリーは「I've Been Loving You Too Long/Get Up Offa That Thing/Coming Home/Uptown Funk」。まずは得点源の3アクセル+2トゥループをクリーンに下りて1点の加点を獲得。続く単独の3アクセルも軽やかに決め1.29点の加点を得ます。中盤の3ループは若干着氷でバランスを崩しかけますが、後半最初の2アクセル+3トゥループはクリーンに着氷。さらに3ルッツ+1ループ+3サルコウ、3ルッツ、3フリップ(踏み切りのエッジが不正確なためわずかに減点)、2アクセルと目立ったミスなく全てのジャンプを跳び切り、エレメンツ以外の場面ではバルデ選手らしいノリの良さと盛り上げ方で観客を沸かせ、演技を終えたバルデ選手は歓喜を爆発させました。得点は自己ベストまで0.77点の163.03点でフリー8位、総合8位となりました。
 昨年の9月上旬、練習中に転倒し頭を打ち脳震盪を起こしたバルデ選手。その影響もあってシーズン前半の試合は欠場せざるをえず、五輪代表を決める1月のカナダ選手権がシーズン初戦となりました。そのカナダ選手権は4位となり残念ながら五輪には届きませんでしたが、困難を乗り越えたからこその滑る喜びが今大会の演技にも表れていたような気がしましたね。
 バルデ選手は今シーズンをもって引退するとのことで、この四大陸が最後の試合となる可能性が高いのかなと思いますが、エキシビションには欠かせない選手として知られるエンターテイナーの彼が試合でもまさに彼らしい演技を最後に見せたことが本当に印象深かったですね。これからもスケートに大いに関わって、フィギュア界を別の形で盛り上げてほしいと思います。


 日本の無良崇人選手は12位となりました。

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 ショート冒頭は今季鬼門となっている4トゥループでしたが、パンクして2回転となり規定違反のため無得点になります。続く得意の3アクセルはダイナミックな跳躍で1.86点の加点。後半の3+3も決めますが、4回転のミスが致命的となり76.66点で10位にとどまります。

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 フリーもまずは4トゥループからでしたが、再びパンクして2回転に。直後の2本目の4トゥループは何とか回り切りますがステップアウト。3ループは難なく下ります。後半は確実に決めたい3アクセルから、これをコンビネーションで決めますが、2本目の3アクセルは着氷で乱れ。3+1+2は大きなミスなくこなし、3サルコウ、3ルッツと終盤にかけて尻上がりにジャンプを成功させましたが、精彩を欠いた内容に無良選手は顔を曇らせました。得点は148.75点でフリー11位、総合12位に沈みました。
 ショート、フリーともに4回転が決まらず本領を発揮できなかった無良選手。今大会を総括して無良選手は「4回転に翻弄された」という言葉を残しましたが、その言葉は今シーズン全体についても言えることなのかなと思います。世界の男子フィギュア界が4回転多種類時代に突入している中で、無良選手も元々持っている4トゥループに加え4サルコウにも取り組んできたわけですが、種類を増やすことで演技全体のバランスが崩れ、完成度が低くなり、4回転を1種類に絞っても負の連鎖から抜け出せていないような印象を受けました。4回転とどう向き合っていくかというのは難しいところですが、来季は無良選手の笑顔がもっともっと試合で見られるといいなと願っています。



 ここからはペアの結果です。

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 優勝はアメリカのタラ・ケイン&ダニエル・オシェア組です。ショートは減点なくすべてのエレメンツをこなしますが、3ツイストやサイドバイサイドジャンプであまり加点を稼げず、それでもパーソナルベストをマークして3位と好位置につけます。フリーは2アクセルからの連続ジャンプが単独になるミスはあったものの、そのほかの要素は全てクリーンに決め、しかも3ツイスト以外は全てレベル4と安定感を発揮し、自己ベストを約5点更新してフリー1位、総合1位となり、逆転で四大陸の頂点に立ちました。
 数週間前の全米選手権では2位となって惜しくもオリンピックの代表には選ばれなかったケイン&オシェア組。しかし世界選手権の代表には選出されていて(アメリカのペアの代表枠は、五輪が1枠、世界選手権が2枠のため)、この四大陸は3月の大舞台に向けてジャッジへアピールする重要な機会でもありました。そうした意味でこの優勝は本当に意義深いのではないかと思いますね。内容的にも手応えのつかめる演技だったでしょうし、今回のような演技をぜひ世界選手権でも楽しみにしたいですね。四大陸選手権初優勝、おめでとうございました。

 2位は同じくアメリカのアシュリー・ケイン&ティモシー・ルデュク組です。SPは全要素をクリーンに成功させて自己ベストを更新して首位発進。しかしフリーはスロージャンプやサイドバイサイドの3+2+2のジャンプなど大技を決める一方で、細々としたミスや取りこぼしも散見され、自己ベストは上回ったもののフリー2位、総合2位とトップの座を守り切れませんでした。
 フリーの出来次第では初優勝の可能性も十二分にあっただけに、ちょっとしたミスの重なりがもったいないなと思うのですが、結成してまだ2季目のペアですから、今後の伸びしろ、レベルアップに期待ですね。

 3位は北朝鮮のリョム・テオク&キム・ジュシク組です。ショートは3ツイストやステップシークエンスのレベルは2どまりでしたが、GOEでのマイナスなくまとめ、わずかながら自己ベストを塗り替えて4位。フリーはサイドバイサイドの2アクセルで転倒、スロー3ループでの着氷の乱れがあったものの、そのほかのエレメンツではおおむね高い加点を積み重ね、自己ベストに極めて近いスコアでフリー3位、総合3位となり、北朝鮮のフィギュア選手としては初めての、ISU主催の国際大会でメダルを獲得するという歴史的快挙を成し遂げました。
 政治的なことで何かと話題になっているリョム&キム組ですが、実力は間違いなくハイレベルなものを持っていますね。今大会は中国勢は不在だったとはいえ、北米の実績のあるペアを押しのけての銅メダルですから、技術的にはもちろん、精神的にもタフなんだなと思います。五輪でもベストを尽くして、台風の目のような存在になってほしいですね。


 以下、4位はカナダのリュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組、5位はアメリカのディアナ・ステラート&ネイサン・バーソロメイ組、6位はオーストラリアのエカテリーナ・アレクサンドロフスカヤ&ハーレー・ウィンザー組、7位はカナダのカミーユ・ルエ&アンドリュー・ウルフ組となりました。


 全日本王者の須崎海羽&木原龍一組は8位に入りました。

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 SPは冒頭のサイドバイサイドの3ルッツで着氷が乱れ、3ツイストもレベル1とミスが続きますが、そのほかのエレメンツでは加点を獲得し、パーソナルベストを6点以上上回る56.95点で7位につけます。フリーは冒頭のサイドバイサイドの3ルッツが回転不足になり着氷もステップアウト。次いで3ツイストもキャッチが乱れるなどミスが続きます。その後も2つのスロージャンプやサイドバイサイドの3連続ジャンプなどがクリーンに決まらず、それでも100.32点で自己ベストを約5点更新し、フリー8位、総合8位で2度目の四大陸を終えました。
 ショート、フリーともに複数のミスはあったのですが、大きなミスというよりは惜しいミスという感じなので、一つの経験として収穫の多い試合になったのではないでしょうか。何よりも五輪に向けてパーソナルベストを更新できたことは自信にしてほしいなと思いますし、団体戦でも個人戦でも二人の力を思い切りぶつけてほしいですね。


 全日本3位の三浦璃来&市橋翔哉組は10位となりました。

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 SPは冒頭の2ツイストでレベル3を獲得しますが、キャッチで若干もたついたためGOEでは減点。サイドバイサイドの3トゥループはクリーンに決めますが、デススパイラルではうまく回転ができず無得点になるミスもあり、自己ベストに及ばず10位発進に。フリーは2ツイストを確実に成功させ加点も獲得。しかしサイドバイサイドの3トゥループは回転不足で転倒してしまいます。その後も細々としたミスがあり思ったように得点を伸ばせず。しかしわずかに自己ベストを更新してフリーも10位、総合10位でした。
 今季はシーズン前半はジュニアとしてジュニアGPに参加しながら、シニアの国際大会にも挑戦した三浦&市橋組。四大陸はもちろん初出場でしたが、今まで出場してきたどの国際大会とも違う感覚、雰囲気があって緊張感もあったのではないかなと想像します。ミスの多い演技とはなってしまいましたが、この経験を活かして世界ジュニア選手権では納得のいく演技ができるよううまく調整してほしいですね。



 四大陸2018、男子&ペア編は以上です。男子に関しては出場選手の年齢層が比較的高めで、その中でもジー選手やレイノルズ選手、バルデ選手のように今季で引退する選手も多く、五輪シーズンならではですが、例年とは違う雰囲気も感じました。五輪を控える選手たちにとっては改めて現時点での自分の状態を見つめ直す良い機会になったのではないかと思いますし、四大陸の演技が五輪に繋がることを願いたいですね。
 その平昌五輪はいよいよ6日後の2月9日に開幕。フィギュアスケートは、開会式当日の9日の午前から団体戦が始まり、11、12日と3日かけて世界最強国の称号を競う試合が続きます。そして、14、15日にペア、16、17日に男子、19、20日にアイスダンス、21、23日に女子、25日にエキシビションが行われます。当ブログでもできるだけ早めに、随時記事をアップしていく予定ですので、ぜひご覧ください。では。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、無良選手のSPの画像、ペアメダリスト3組の画像、須崎&木原組のフリーの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ジー選手、レイノルズ選手、バルデ選手、無良選手のフリーの画像、須崎&木原組のSPの画像、三浦&市橋組の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
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by hitsujigusa | 2018-02-03 17:50 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 1月22日から27日にかけて台湾の台北にて行われた四大陸選手権2018。この記事では男子とペアの結果についてお伝えします。
 男子の頂点に立ったのは中国のエース、金博洋(ジン・ボーヤン)選手。自身2度目となる300点の大台を突破し、初優勝を果たしました。2位は全日本王者の宇野昌磨選手、3位はアメリカの実力者、ジェイソン・ブラウン選手となっています。
 ペアはアメリカのタラ・ケイン&ダニエル・オシェア組が制し、こちらも初制覇です。

ISU Four Continents Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 四大陸王者となったのは世界選手権2017銅メダリストの金博洋選手です。

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 SPは大技4ルッツ+3トゥループから、これを完璧に決めて1.43点の加点を得ると、続く4トゥループも難なく着氷。後半の3アクセルも軽やかに下りて1.71点の加点を得て、ほぼノーミスで演じ切りました。得点は100.17点と初めて100点台に乗せ、2位と好発進します。
 フリー冒頭は単独の4ルッツ、これを鮮やかに成功させ2.71点の加点を獲得。さらに4サルコウ、3アクセル+1ループ+3フリップと難易度の高いジャンプを続けます。後半は4トゥループからで、これに2トゥループをつけたコンビネーションとして決めると、単独の4トゥループも着氷。単独の3アクセルも下り、3+3は着氷が乱れて3+2になったものの、最後の3フリップまで安定感抜群のジャンプを連発。ステップシークエンス、スピンも全てレベル4と取りこぼしなく、シーズンベストの200.78点でフリー1位、総合1位と逆転で四大陸を初制覇しました。
 シーズン前半は足の怪我の影響もあってなかなか本来の力を発揮し切れなかった金選手。GPファイナルも辞退して治療に専念し、そして満を持して11月以来の実戦となった今大会でしたが、じっくりと時間をかけて調整に集中してきたというのが見て取れる演技内容でしたね。金選手にとっても今回は五輪前の小手試しという意味合いが大きかったと思うのですが、シーズン前半であまりジャッジにアピールできなかった分、ここでしっかりとした滑りを見せるぞという本気度もうかがえて、気迫が感じられましたね。一つ一つのジャンプの質も以前よりもレベルアップしているような気がしましたし、この演技を五輪でもされると日本勢にとってはかなり厄介だなという印象を受けました。
 2年連続世界選手権銅メダリストとしての矜持を大いに示した金選手。元々シーズン後半の試合に調子を合わせてくる能力は高い選手ですが、そのポテンシャルが五輪でもどれだけ発揮されるか、楽しみです。四大陸初優勝、おめでとうございました。


 銀メダルを獲得したのは世界選手権2017銀メダリストの宇野昌磨選手です。

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 SPはまず代名詞の4フリップから、着氷で若干こらえますが大きな乱れなく下ります。後半に2つのジャンプ要素を組み込み、最初の4トゥループ+2トゥループは確実に成功。さらに得意の3アクセルも流れの中で跳び切り2.29点の加点を獲得し、100.49点で首位発進します。

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 フリー冒頭は4ループから、これをしっかり着氷しますが判定としてはアンダーローテーション(軽度の回転不足)に。続いて4フリップはこちらも回転が足りず転倒してしまいます。しかし直後の3ループはきれいに決めてすぐに立て直します。スピンとステップシークエンスを挟んで後半、3アクセルは完璧に成功。続いて鬼門となっていた4トゥループ+2トゥループ、単独の4トゥループもクリーンに着氷。さらに3アクセル+1ループ+3フリップ、3サルコウ+3トゥループと終盤のコンビネーションジャンプも余裕を持って成功させ、演技を終えた宇野選手は表情に充実感を漂わせました。得点は197.45点でフリー2位、総合2位で優勝には惜しくも届きませんでした。
 細かな取りこぼしはチラホラありましたが、演技中、また演技後の宇野選手の笑顔が物語っていたように、一定の手応えを得た試合だったと言えますね。GPから全日本選手権にかけてフリー後半の4トゥループでミスすることが多くなっていた宇野選手にとって、今大会はその課題に真正面から取り組んで練習してきた成果をどれだけ出し切れるかというのが最重要ポイントだったと思うのですが、そのフリー後半がノーミスだったということで笑顔に繋がったのでしょうね。ただ、本人が「達成感はない」とおっしゃっていたように、あくまでも今回はオリンピック前に足元を固めるという意味合いが大きく、宇野選手が常々キーワードとして挙げている「攻める」というよりは、一つ一つ確実にという意識がうかがえたので、五輪ではここからさらに上積みをして、宇野選手自身が攻めることができたと思えるような達成感のある試合になるといいなと思いますね。
 五輪でも宇野選手らしく思い切りの良い演技で笑顔で滑り切れることを願っています。


 3位はアメリカの実力者、ジェイソン・ブラウン選手です。

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 ショート冒頭は得点源の3アクセル、これは着氷を乱します。しかし、3+3、後半の3ルッツはクリーンに決め、失敗した3アクセル以外は全て加点1以上と質の高いエレメンツを揃え、89.78点で4位と好位置につけます。
 フリーは全米選手権からプログラムを変更し「愛の香気 映画『ピアノ・レッスン』より」。冒頭はショートでミスを犯した3アクセルからの3トゥループの連続ジャンプ、これをパーフェクトに決め最高の滑り出しを見せます。続く2本目の3アクセルは着氷が乱れますが、後半に6つのジャンプ要素を組み込み、まず2アクセル、そして3ルッツ、3+2、2アクセル、3ループ、3ルッツ+1ループ+3サルコウと全て大きなミスなく予定どおりに成功。ステップシークエンス、スピンでもいつもどおりレベル4を揃え、笑顔のフィニッシュとなりました。得点はシーズンベストの179.44点でフリー3位、トータルでもシーズンベストをマークして3位に順位を上げました。
 全米ではまさかの6位に沈み五輪の切符を逃したブラウン選手。この四大陸が彼にとってシーズンの集大成の試合となったわけですが、最後にシーズンベストの演技ができて良かったなと思いますね(まだほかの試合にも出場予定があるかもしれませんが)。特にフリーは15/16、16/17シーズンと2季に渡って使用した「愛の香気」に戻しての演技で、体になじんだプログラムを再演することでシーズン最後に最高の演技をしたいという想いがあったのかなと想像します。今季は3アクセルに苦しめられた形で、今大会も3本中クリーンな成功は1本のみということで完全に調子を取り戻したわけではなかったかもしれませんが、演技への集中、表現への強い意志は途切れることなく、最初から最後までしっかりプログラムをコントロールしていて思わずうっとりとしてしまいました。やはり唯一無二の表現力はブラウン選手の最大の武器ですから、来季もその長所を最大限に活かして頑張ってほしいなと思いますね。


 表彰台まであと一歩の4位に入ったのは日本の田中刑事選手です。

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 SPは得点源の4サルコウから、これをしっかりと回り切って下り加点を得ます。次いで3+3、後半の3アクセルとどちらも高い加点を稼ぎ、ブルースの激しいメロディに合わせてエネルギッシュに演じ切りました。得点は90.68点で国際大会では自身初の90点台に乗せ、3位と好発進しました。

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 フリーもまずは4サルコウから、しかしパンクして3サルコウに。続く4サルコウは着氷で乱れ、さらに3アクセルもパンクで2回転にと低調な滑り出しとなります。スピンとステップシークエンスを挟んで後半、最初の4トゥループはこらえながらも何とか着氷。次いで3アクセルからの3連続ジャンプも決めます。さらに3+3、3ループ、3+2と後半はノーミスでまとめ挽回しました。得点はパーソナルベストとなる169.63点でフリー5位、自己ベストで総合4位となりました。
 好調なショートから一転、メダルに対する意識もあったのかフリーは硬さの目立つ出だしとなってどうなることかと危ぶまれましたが、後半の立て直しは見事でしたね。基礎点の大きいジャンプでミスが相次いでもパーソナルベストが出せたというのは地力が上がっている証拠だと思いますし、ジャッジからの評価も間違いなく高まっているんだなと感じます。とはいえ田中選手本人は今回の演技に納得感はないでしょうし、全日本に全力を注いだ後の試合なので多少調子が落ちるのは仕方ないのかなとも思いますので、五輪ではさらにパワフルな演技で世界に存在をアピールしてほしいですね。


 5位はアメリカのマックス・アーロン選手です。

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 SPは4トゥループからの連続ジャンプ、これを確実に成功させます。続いて3ルッツ、後半の3アクセルともに1点以上の加点の付く出来でまとめ、84.15点で6位につけます。
 フリーもまずは4トゥループ+2トゥループ、ショート同様に軽やかに成功。直後の4サルコウは着氷を乱しますが、次の3ループは切り換えて難なく跳び切ります。後半はまず3ルッツを決めると、3アクセル+2トゥループ、3アクセルと続けて着氷。3+1+3の難しいコンビネーションジャンプも下り、最後の2アクセルも成功と予定どおりにジャンプをクリアし、演技を終えたアーロン選手は満面に笑みを浮かべました。得点は171.30点でフリー4位、総合5位で大会を終えました。
 上述したブラウン選手同様、五輪代表入りはならなかったアーロン選手。こちらもシーズン集大成として臨んだ四大陸でしたが、ショート、フリーともにアーロン選手らしいジャンプが数多く見られましたね。アーロン選手はシーズン序盤こそ好調なスタートを切りましたが、GP2戦目のフランス大会以降は調子が下降していましたので、この大会に懸ける想いというのは意外に強かったんじゃないかなと思います。フリーは4回転を2本に絞ることで全体の完成度を高めていて、その効果がプログラムの端々にまで行き渡っているように感じられました。
 25歳とベテランの域に入っているアーロン選手ですが、まだまだ円熟味というよりはフレッシュな、エネルギーがほとばしるような演技を見せてほしいなと思います。



 さて、前編はここで終了とさせていただきまして、続きは後編とします。お手数をおかけしますが、続きは後編でお読みください。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、宇野選手のフリーの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、金選手の画像、宇野選手のSPの画像、ブラウン選手の画像、田中選手の画像、アーロン選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-02-02 02:35 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 前記事に引き続き、四大陸選手権2018の女子とアイスダンスの記事です。前編はこちらからご覧ください。

ISU Four Continents Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 女子の6位となったのは韓国のキム・ハヌル選手です。

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 SPは「映画『ピアノ・レッスン』より」。冒頭の3ルッツ+3トゥループは回り切ってクリーンに着氷。後半に2つのジャンプを組み込み、その最初の3ループはきれいな跳躍と着氷でしたが、ステップからジャンプに入るまでに多少構えがあったためか加点は付かず。最後の2アクセルは難なく決め、スピンは全てレベル4でまとめ、自己ベストとなる61.15点で6位と好発進します。
 フリーは「ミュージカル「マンマ・ミーア!」より」。まずはショートで完璧に決めた3ルッツ+3トゥループからでしたが、ファーストジャンプがパンクし単独の1ルッツに。続いて2アクセルは下り、3+2+2も大きなミスなくこなして立て直します。後半は3ループを確実に成功。さらに3+2、3サルコウと次々ジャンプを下ります。最後の2アクセルに急遽3トゥループをつけてリカバリーしますが、こちらは回転不足に。しかしスピンは全てレベル4とそつのなさも見せ、ショートに続いて自己ベストの111.95点でフリー8位、総合6位と健闘しました。
 今大会4位に入ったチェ・ダビン選手とともに母国開催の平昌五輪代表に選ばれているキム選手。今季シニアデビューでB級国際大会を主戦場とし、ジュニア時代も際立った実績はない選手ですので、演技を見るのは今回が初めてだったのですが、さすがにまだまだ未熟さや硬さは感じさせるものの、ジャンプはレベルの高いものを持っていて、さらにスピンでもレベルの取りこぼしが皆無だったということで、今後が楽しみな新星と言えますね。まずは来月の五輪で、どれだけ本領を発揮できるか注目したいと思います。


 7位はアメリカの新星、スター・アンドリュース選手です。

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 SPは「フィーバー」。得点源の3トゥループ+3トゥループはジャンプとジャンプのあいだにオーバーターンが入り減点を受けます。しかし、後半の3ループ、2アクセルはそれぞれ鮮やかに成功させ、また、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4を獲得し、自己ベストに0.19点と迫るスコアで7位につけます。
 フリーは「One Moment in Time」。まずは3フリップを決め、次いでショートでミスのあった3トゥループ+3トゥループでしたが、こちらはセカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)で転倒。後半に入り挽回したいところでしたが、最初の3ループも着氷で乱れます。ですが、それ以降はミスらしいミスなくジャンプを跳び切り、ステップシークエンスとスピンはショート同様に全てレベル4で揃え、自己ベストの112.04点でフリー7位、総合7位に順位を上げました。
 先日の全米選手権で6位に入り注目されたアンドリュース選手。カテゴリーとしてはまだジュニアがメインの選手ですが、昨年末からはシニアの国際大会にもチャレンジしていて、今年の3月に行われる世界ジュニア選手権の代表としても選出されていましたがそちらは辞退。ということで、来季を待たずしてシニア移行という感じなのでしょうか。ジュニアGPや世界ジュニアなどのジュニアの国際大会の経験はさほど豊富ではないようですが、なかなか演技力もあり全身を使った表現ができているなと感じましたし、特にスピンやステップで最高難度のレベル4をきちんと取れているというのはジュニアの選手ではそうそういないので驚きました。総合力の高い選手という印象を受けましたので、これからいろんな部分を磨いていけば将来的に楽しみだなと思いますね。


 8位はカナダの実力者、アレーヌ・シャルトラン選手です。

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 SPは「リベルタンゴ」。冒頭の3ルッツ+3トゥループは大きな乱れなく下りますが、セカンドジャンプがアンダーローテーションの判定に。3ループ、2アクセルはノーミスでまとめ、シーズンベストの59.86点で8位となります。
 フリーは「ミュージカル「サンセット大通り」より」。まずはショートで細かなミスのあった3ルッツ+3トゥループ、これを今度は回り切って着氷させます。3フリップは踏み切りのエッジエラーによって減点。後半に5つのジャンプ要素を組み込み、最初の2アクセル+1ループ+3サルコウは3つ目のジャンプがアンダーローテーションに。次いで3ループは転倒。3ルッツ、3サルコウはアンダーローテーションとなりますが、最後の2アクセル+2ループはクリーンに成功。スピンは3つともレベル4と取りこぼしなく揃え、112.55点でフリー6位、総合8位で5度目の四大陸を終えました。
 今季はスケートカナダ、NHK杯ともに11位、五輪の切符を狙ったカナダ選手権も4位で代表を逃すなど苦戦を強いられているシャルトラン選手。元々滑りの質も高いですし、ジャンプも難しい構成を組める選手ですが、今はそのジャンプがなかなかハマらなくて負のスパイラルに陥っている感じなのかなと思います。今大会も転倒や回転不足などのミスは重なりましたが、今季のこれまでの演技と比べるとまずまずまとまった方だったのではないでしょうか。彼女の持っているポテンシャルの高さを思うと来季はさらにレベルの高いものを求めたい気持ちはありますが、この四大陸を再スタートの場として頑張ってほしいですね。



 ここからはアイスダンスです。

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 初優勝を遂げたのはアメリカの若手、ケイトリン・ハワイエク&ジャン=リュック・ベイカー組です。SDはリフトとツイズルでレベル4を獲得し、技術点、演技構成点ともにトップ、自己ベストに近いスコアで首位発進します。FDはステップ2つとスピンがレベル3とはなりましたが、全てのエレメンツで加点1以上を積み重ね1位、総合でももちろん1位で完全優勝を果たしました。
 先日の全米選手権ではFDで全体の2位の技術点をマークし、技術力の高さが注目されたハワイエク&ベイカー組。惜しくも五輪の切符はつかめませんでしたが、次世代のアメリカアイスダンス界を引っ張る存在として名乗りを上げた形となりましたね。今大会もその技術力は安定感が光り、下馬評どおりの優勝でした。ハワイエク&ベイカー組をおびやかすようなカップルはいなかったとはいえ、圧倒的な優勝候補として一身に期待を受けるからこそのプレッシャーもあったはずで、その中で期待どおりの演技ができるというのは実力があるからこそだと思いますね。四大陸選手権初優勝、おめでとうございました。

 2位はカナダのカロラーヌ・スシース&シェーン・フィラス組。SDはステップがレベル2になる取りこぼしがありましたが、パーソナルベストを大幅に更新し3位。FDはステップ以外は全てレベル4を獲得し、ハワイエク&ベイカー組にも迫る技術点を叩き出しますが、違反要素があったとのことで減点2を受けます。それでも自己ベストを大幅に更新しフリー2位、総合2位と順位を上げ、初出場ながら銀メダルを手にしました。
 FDの違反要素に関してはアイスダンスに詳しくないので気づかなかったのですが、全体を通して安定した滑りが見られましたね。まだ結成して2季目のカップルですが、カナダ選手権では2年連続で4位と力をつけてきていますし、今季はスケートカナダでGPデビューして7位、そして四大陸で2位と少しずつですが実績を積み重ねているので、来季はさらに殻を打ち破って飛躍する可能性を大いに秘めていそうだなと感じますね。

 そして、3位に入ったのが日本のエース、村元哉中&クリス・リード組です。

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 SDは2つのステップ以外は全てレベル4を獲得し、自己ベストとなる65.27点で2位と好発進します。FDも2つのステップ以外は全てレベル4。こちらも自己ベストで3位、総合3位となり、アジア勢では初めてとなる四大陸のメダルを手にしました。
 村元&リード組にとっては五輪前の調整、腕試しという意味合いの大きかった今大会ですが、しっかり確実性の高いエレメンツを揃えて、ジャッジから一定の評価を得られたことは五輪に向けて好材料ですね。演技内容ももちろんですが、得点というのはジャッジに対して最大のアピール、印象付けになりますから、五輪直前の大会でのパーソナルベスト更新は追い風になると思います。
 昨季の世界選手権ではFD進出ならずという悔しい思いをしていますから、オリンピックでは悔いのない演技をしてショート、フリーともに滑り切ってほしいと思います。もちろん団体戦でも二人の役割は大きいですから、そちらの方も期待したいですね。


 以下、4位は2016年の世界ジュニア王者、アメリカのロレイン・マクナマラ&クイン・カーペンター組、5位は中国の王詩玥(ワン・シーユエ)&柳鑫宇(リュー・シンユー)組、6位は2017年の世界ジュニア王者、アメリカのレイチェル・パーソンズ&マイケル・パーソンズ組、7位は韓国のミン・ユラ&アレクサンダー・ガムリン組、8位はカナダのサラ・アーノルド&トーマス・ウィリアムズ組となっています。


 全日本2位の小松原美里&ティモシー・コレト組は10位に入りました。

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 SDはリフトとツイズルでレベル4を獲得しますが、ほかの要素でレベルと加点が取れずに自己ベストには約1点及ばず10位。FDは2つのステップはレベル2にとどまりましたが、ほかのエレメンツは全てレベル4の上に加点を積み重ね、自己ベストを7点以上更新し9位、トータルでも自己ベストを6点近く上回り、総合10位で初めての四大陸を終えました。
 SDは少しもったいない取りこぼしも見られましたが、FDは切り換えて見事に挽回しましたね。順位としては10位と世界のトップレベルとはまだ開きがありますが、FDの内容は自信にしていいのではないかと思いますし、このカップルの可能性を感じる演技で来季が楽しみになりましたね。


 全日本3位の深瀬理香子&立野在組は11位でした。

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 SDはツイズルやリフトでレベル4を取りますが、細かな減点も重なり自己ベストには及ばず12位にとどまります。FDは2つのステップ以外は全てレベル4を獲得し、ツイズルでわずかな減点があったほかは目立ったミスなくまとめ、自己ベストを3点以上更新し11位、総合11位に順位を上げました。
 今季からシニアに参戦している深瀬&立野組。四大陸ももちろん初めてで緊張もあったでしょうが、ショートのミスをフリーでは引きずらずしっかり現時点でのベストを尽くせたのではないでしょうか。日本を代表する若手カップルとして一歩一歩着実に技術力を身につけていってほしいですし、この四大陸での経験を来季に繋げてほしいと思います。



 ということで、四大陸選手権2018、女子&アイスダンスの後編は以上です。男子&ペアの前編に続きます。


:アイスダンスメダリスト3組の画像はスケート情報サイト「icenetwork」から、それ以外の画像は全てスポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-01-30 17:25 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 アジア、アメリカ、オセアニア、アフリカの4地域の選手が集う四大陸選手権2018が台湾の台北で行われました。北米の五輪代表選手がスケジュールの関係上、出場を回避したとはいえ、ほかの地域の五輪代表、また、五輪を逃した選手たちによる熱のこもった滑りが多々見られ、白熱した試合展開となりました。この記事では女子とアイスダンスについてお伝えします。
 女子は日本勢が表彰台を独占。その中で表彰台の中央に立ったのは今季シニアデビューの坂本花織選手。2位は前年の四大陸女王である三原舞依選手、そして3位は全日本女王の宮原知子選手となりました。
 アイスダンスはアメリカの若手、ケイトリン・ハワイエク&ジャン=リュック・ベイカー組が初制覇しました。

ISU Four Continents Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られる。

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 女子を制し四大陸女王となったのは日本の新星、坂本花織選手です!

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 SPは全てのジャンプを後半に固め、まずはスピン、ステップシークエンスを確実にこなすと、得点源となる3フリップ+3トゥループを完璧に成功。さらに3ループ、2アクセルと危なげなく続け、ジャンプは全て1点以上の加点を獲得。演技を終えた坂本選手は表情に充実感を漂わせました。得点は71.34点でパーソナルベストをマークし2位と好発進します。

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 フリーは冒頭に得点源の3フリップ+3トゥループを用意し、ショート同様に安定感たっぷりに着氷、さらに3サルコウも難なく決め、前半のジャンプを終えます。フリーは若干苦手としている3ルッツからでしたが、クリーンに成功させ1.3点もの加点を得ると、3+2、2アクセル+3トゥループ+2トゥループ、3ループ、2アクセルと全て軽やかに着氷。フィニッシュした坂本選手はガッツポーズで喜びを爆発させました。得点は自己ベストとなる142.87点でフリー1位、総合でも自己ベストの214.21点を叩き出し、逆転で初優勝を果たしました。
 とにもかくにもお見事としか言いようのない素晴らしい演技でしたね。今大会の坂本選手は足に魚の目ができて痛みがあったとのことで、練習ではジャンプに苦戦する姿も見られたのですが、難しいシチュエーションでもベストを尽くせる精神力には感嘆させられます。トータルスコアもスケートアメリカ、全日本選手権、そして今大会と3試合連続で210点を超え、「2回続いたらまぐれだけど、3回続いたら本物」と本人が話していましたが、勢いだけではなく確実に底力がレベルアップしているなと感じさせられましたね。
 それでもまだスピンやステップでのレベルの取りこぼしが散見されましたので、さらにプログラムをブラッシュアップして、いつもどおり元気いっぱいの坂本選手のままで、楽しんでオリンピックに臨んでほしいなと思います。四大陸選手権初優勝、おめでとうございました。


 2位は昨年の四大陸女王、三原舞依選手です。

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 今季鬼門となっているSP、まず冒頭の3ルッツ+3トゥループをスムーズに決めると、後半の2アクセル、3フリップもしっかり着氷。スピンは全てレベル4を獲得し、フィニッシュした三原選手はガッツポーズで喜びを露わにしました。得点はシーズンベストの69.84点で3位につけます。

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 フリーも冒頭は3ルッツ+3トゥループ、これをノーミスでまとめると、コレオシークエンスを挟んで2アクセルも問題なく跳び切ります。後半最初は3フリップ、エッジの踏み切りが不正確とされ加点はあまり伸びなかったもののクリーンに下りると、2アクセル+3トゥループ、3ループも成功。3+2+2は最初の3ルッツが若干回転不足となり減点されましたが、最後の3サルコウでは両手を上げた難しい空中姿勢ながら危なげなく着氷し、演技を終えた三原選手は再びガッツポーズで歓喜を表しました。得点はこちらもシーズンベストとなる140.73点でフリー2位、総合2位に順位を上げました。
 年末の全日本選手権で五輪の切符を逃し、今大会が次の4年に向けて再出発の舞台となった三原選手。まずは今季ノーミスがないSPに注目が集まりましたが、久しぶりにのびやかな滑りが見られましたね。三原選手にとってはチャレンジのプログラムとなった「リベルタンゴ」ですが、やはりジャンプの失敗がある時とは全体的な滑りの躍動感やダイナミックさも格段に違っていて魅入られましたね。一方、得意のフリーは細かなミスがあり、演技直後は満面の笑みを浮かべたものの、キス&クライ後は悔しさものぞかせていて、これだけの素晴らしい演技でも満足はしない貪欲さを感じましたし、頼もしく思いましたね。
 今季は悔しい試合の方が多かったでしょうが、この経験は間違いなく三原選手のスケート人生において財産になると思いますから、来季に繋げてほしいですね。


 3位は日本女子のエース、宮原知子選手です。

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 SPは得点源の3ルッツ+3トゥループから、一見きれいに下りたかに見えましたが、ファーストジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)と判定されます。後半の3ループ、2アクセルはクリーンに決め、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4とそつなくまとめ、71.74点で首位に立ちます。

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 フリーはまず得意の3ループで流れを作ると、続いて鍵を握る3ルッツ+3トゥループ、ファーストジャンプは回り切って下りましたがセカンドジャンプがアンダーローテーションになり着氷も詰まります。次いで若干苦手としている3フリップはきっちり成功。スピン2つとステップシークエンスを挟んで後半、3ルッツからの3連続ジャンプは3ルッツがアンダーローテーションに。2アクセル+3トゥループは完璧に着氷させますが、3サルコウは空中で軸が曲がり転倒。最後の2アクセルはしっかり下り、締めくくりのレイバックスピンでは高い加点も得ましたが、複数のジャンプミスが響き、135.28点でフリー3位、総合3位となり、優勝を逃しました。
 今大会の宮原選手は練習からあまり好調ではなかったようで、本番でも“ミス・パーフェクト”の異名を取る宮原選手にしては珍しく転倒する場面もあり、ジャンプに苦しんでいましたね。スケート靴の問題で左足甲に炎症があったようでその影響もあったのかもしれません。フリー後の記者会見では悔しさから涙を流すシーンもあり、彼女がそういった場所で涙を見せるというのは今まで見たことがなかったので驚きましたが、それだけ悔しかったのでしょうし、冷静沈着なイメージのある宮原選手ですが、実は誰よりも負けん気の強い選手なんだなと感じさせられました。また、宮原選手といえば全日本4連覇の絶対的エースで、2014年の四大陸を最後にどの試合でも日本人最上位を逃したことはなかったということで、エースとしての責任感、常にトップを守り続けるというのが彼女自身の中でも自覚としてあったんじゃないかなと想像します。生真面目な選手なだけに頑張りすぎてしまう部分があると思いますが、競技復帰してからまだ数か月ですし、思い詰めすぎずに課題に取り組んでほしいですね。
 五輪直前の試合で自信を得られなかったのは残念ですが、五輪前に滅多にないミスや心境を経験できたことはむしろ良かったのではないでしょうか。前の大会のミスやネガティブな気持ちを引きずるような選手ではないので、五輪ではいつもどおりの宮原選手の演技で、笑顔で終われるように祈っています。


 4位は韓国の実力者、チェ・ダビン選手です。

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 SPは「パパ、見守ってください 映画『愛のイエントル』より」。冒頭の3ルッツ+3トゥループはパーフェクトに成功。後半の3フリップはジャンプ自体は問題なく成功させましたが、ステップから直ちに跳ばなければいけないところ構えが入ってからの跳躍となりわずかに減点。最後の2アクセルは難なく決め、62.30点と自己ベストまで0.36点に迫るスコアで5位につけます。
 フリーは昨季と同じ「映画『ドクトル・ジバゴ』より」。冒頭の3ルッツ+3トゥループはクリーンに決めたものの、ルッツの踏み切りのエッジが不正確とされ加点はあまり伸びず。しかし、3フリップ、2アクセル+3トゥループと流れのあるジャンプを続け、上々の前半とします。後半の4つのジャンプ要素も全て余裕を持って成功させ、演技を終えたチェ選手は破顔しました。得点はパーソナルベストまで約1点の127.93点でフリー4位、総合4位と自己最高位で大会を終えました。
 ジャンプ前の構えの長さやスピンやステップでのレベルの取りこぼしなど、まだまだ細かい修正点はあると思いますが、全体を通して安定した滑りで安心して見ていられましたね。昨季はアジア冬季大会で金メダルを獲得し、世界選手権ではパーソナルベストを更新するなど確実に力をつけていて、五輪代表として好演技が求められる今大会も実力をしっかり示しましたね。母国開催の平昌五輪は尋常ではない空気感やプレッシャーがのしかかってくるでしょうが、今大会のようにのびやかな演技に期待したいですね。


 5位はアメリカのマライア・ベル選手です。

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 ショートはまず3ルッツ+3トゥループ、回転は問題ありませんでしたがセカンドジャンプの軸が傾き転倒してしまいます。ですが、後半の3フリップ、2アクセルはクリーンに決め、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4を揃え、自己ベストに0.95点と迫る得点で4位と好位置につけます。
 フリーも冒頭は3ルッツ+3トゥループ、これを今度はしっかり決め1点の加点を得ます。しかし3ループはパンクして1回転に。3サルコウは決めてすぐに立て直します。後半最初は得点源の2アクセル+3トゥループ、これを完璧に下りて波に乗るかに見えましたが、3フリップは着氷で乱れ。3ルッツ、2アクセル+2トゥループは成功。ステップシークエンス、スピンはショートに続いて全てレベル4を獲得し、122.94点でフリー5位、総合5位となりました。
 今季は3+3で苦心する姿が多々見られ、シーズン全体を通してジャンプに安定感を欠いたベル選手。ただ、昨季はGPデビュー戦のスケートアメリカでいきなり2位に入って、全米選手権でも3位で世界選手権の代表に選ばれたことで一躍“シンデレラ・ガール”として脚光を浴びたわけですが、それでも決して安定感抜群という感じではなく、まだまだ未完成の選手というイメージでした。そういった意味では今季の苦戦は必定だったのかもしれませんが、今大会ステップやスピンのレベルの取りこぼしが一切なかったように基礎はしっかりしている選手だと思いますし、未知の伸びしろを秘めていると思いますので、来季の躍進を楽しみにしたいですね。



 さて、四大陸選手権2018、女子とアイスダンスの前編はここで一旦終了とさせていただきまして、後編に続けたいと思います。ご面倒をおかけしますが、後編の記事アップをしばしお待ちください。


:女子メダリスト3選手のスリーショット画像、坂本選手の画像、三原選手のフリーの画像、チェ選手の画像、ベル選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、三原選手のSPの画像、宮原選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-01-29 17:19 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ヨーロッパの王者を決める欧州選手権2018が1月17日から20日にかけてロシアの首都モスクワにて開催されました。今年は五輪直前とあって例年以上に選手たちの大会への想いも並々ならぬものが感じられ、歴史的な記録や快挙が複数達成されました。

ISU European Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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《女子シングル》


 女子を制したのは今季シニアデビューしたばかりのアリーナ・ザギトワ選手です。

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 SPはスピンとステップシークエンスを丁寧にこなし、後半に組み込んだ3つのジャンプ要素は全て完璧に着氷。終盤の2つのスピンもクリアし、フィニッシュしたザギトワ選手は珍しくガッツポーズ。得点は80.27点とエフゲニア・メドベデワ選手が持つ世界最高得点に0.58点と迫るハイスコアで首位に立ちます。
 フリーもジャンプは全て後半。前半のコレオシークエンスやステップシークエンスを高い質でまとめると、後半最初の3ルッツ+3ループ、2アクセル+3トゥループ、3+2+2と得点源の連続ジャンプをパーフェクトに成功。残りの単独ジャンプも難なく決め、演技を終えたザギトワ選手は再び力強く拳を握り締め達成感を露わに。得点は世界歴代2位となる157.97点でフリーも1位、初出場にして欧州女王の座を射止めました。
 本当に隅から隅まで完璧だったとしか言いようのない演技でした。今季はショートで苦戦していて、出遅れてフリーで挽回するというパターンが多く、それでも全ての試合を制してきたわけですが、ショート、フリーともに完璧だったらもの凄い得点が出るんだろうなと想像していたとおりのハイスコアでしたね。演技構成点ではまだメドベデワ選手には及ばないとはいえ、それを補って余りあるだけの技術点が出せる選手なので、オリンピックでは一体どうなるのか、楽しみでもあり少し怖い感じもします。今大会の結果によって名実ともに五輪の金メダル候補として平昌に乗り込むザギトワ選手。欧州選手権があまりにも完璧すぎたので、同じレベルの演技を2試合続けるのは大変だと思うのですが、期待したいですね。


 銀メダルを獲得したのは世界女王のエフゲニア・メドベデワ選手です。

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 SPはこちらも全てのジャンプを後半に組み込み、3+3、3ループはクリーンに下りましたが、若干苦手としている2アクセルは軽くステップアウト。演技を終えたメドベデワ選手は舌を出して悔しそうな表情を浮かべました。得点は78.57点と自己ベストには及ばず、首位と僅差の2位につけます。
 フリーはまず得点源の3+3からでしたが、ファーストジャンプの着氷が詰まり気味になり単独に。続いて3ルッツも際どい着氷となり、両ジャンプともいつもほどの高い加点は付かず。しかし後半最初の3フリップに3トゥループをつけてリカバリーすると、3ループ、2アクセルからの3連続ジャンプと予定どおりに成功。3サルコウ+3トゥループも下り、最後の2アクセルもまとめ、演技序盤のミスから盛り返しました。得点は154.29点でフリーも2位、総合2位と3連覇はなりませんでした。
 右足甲の疲労骨折からの復帰戦となったメドベデワ選手。ミスはいくつかありましたが、全体的な滑りとしてはさすが絶対女王と思わせる貫録に溢れた演技でしたね。ジャンプ自体も負傷の影響は感じさせない跳躍ぶりで、復帰戦とは思えない仕上がりでした。メドベデワ選手が出場した試合で優勝を逃すのは2季ぶりということで、復帰戦と言っても充分にレベルの高い演技を見せたメドベデワ選手を上回る勢いを見せたザギトワ選手の存在感が日に日に増しているなと思いますが、芸術面ではまだまだメドベデワ選手の方が優位に立っていると感じますし、メドベデワ選手が完璧な演技をすればやはりメドベデワ選手の方が勝つ可能性が高いと個人的には思うので、五輪まで短期間ですがうまくピークを合わせていつもどおりの演技を見せてほしいですね。


 3位はイタリアの大ベテラン、カロリーナ・コストナー選手です。

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 SPはシーズン前半から難度を上げた3フリップ+3トゥループを回り切って着氷。3ループ、2アクセルもしっかり成功。得意のステップシークエンス、スピンでも軒並み高い加点を稼ぎ、フィニッシュしたコストナー選手は両手で顔を覆い喜びを露わにしました。得点は4季ぶりの自己ベスト更新となる78.30点をマークし3位と好発進します。
 フリー冒頭はシーズン前半は外していた3ルッツに挑みましたが、あえなく転倒。続いて3+3はセカンドジャンプが抜けて2回転となります。次いで得意の3ループはクリーンに決めてリズムを立て直します。後半は3トゥループからでしたが、こちらもパンクして2回転に。2アクセルは回転不足で着氷で手をつき、直後の2本目の2アクセルは決めたものの、3サルコウ+2トゥループは2トゥループが3本目となり跳び過ぎで無得点に。複数のジャンプミスが響き、125.95点と得点は伸び悩みフリー4位、ショートのアドバンテージが活きた形でトータルでは3位となり、欧州選手権では女子最多となる11個目のメダルを手にしました。
 満面の笑みのショートから一転、フリーは終始リズムが噛み合わなかった演技となってしまいました。コストナー選手は12月中旬のイタリア選手権からショート、フリーともにジャンプ構成の難度を上げていて、ショートはジャンプの数が少ないのであまり影響はなさそうですが、フリーに関しては新しい構成がまだ完全には体になじんでいないのかなという印象を受けました。極めて高い演技構成点を誇るコストナー選手ですが、ほかのトップ選手と比べるとジャンプ構成の難度の低さがウィークポイントでもあって、シーズン途中でのジャンプ構成変更はその弱点をカバーし、本気で五輪の表彰台を狙うための戦略の一つだと思うのですが、短い期間でどれだけフリーの構成を体に染み込ませられるかがメダルを取れるか否かの分岐点になりそうですね。


 4位に入ったのはロシアの若手、マリア・ソツコワ選手。ショートは冒頭の3+3予定の3ルッツで乱れ単独に。後半の3フリップに急遽3トゥループをつけカバーしましたが、全体的に加点は伸びず4位にとどまります。フリーはショートでミスを犯した3+3も決め、序盤から中盤にかけて上々の滑りを見せましたが、後半の3ルッツで転倒。終盤は少し尻すぼみの演技となり、フリーは3位でしたが、総合4位と表彰台には届きませんでした。
 5位はベルギーのロエナ・ヘンドリックス選手。ショートは単独の3フリップがパンクして1回転となり、規定違反のため無得点に。大きな得点ロスとなり8位と出遅れます。フリーは連続ジャンプの2つ目が1回転になるミスが一つありましたが、そのほかは目立った失敗なく全てのエレメンツで減点なく滑り切り、自己ベストを更新しフリー5位、総合5位と躍進しました。
 6位はスロバキアのニコル・ライチョヴァ―選手。SPは3ループ+3トゥループでアンダーローテーション(軽度の回転不足)を取られたものの大きなミスなく5位と好発進。しかしフリーは4つのジャンプでアンダーローテーションと判定され点数は伸びず、フリー6位、総合6位となりました。
 7位はスイスのアレクシア・パガニーニ選手。ショートは3+3も含め全ての要素で加点を積み重ね、自己ベストで9位に。フリーは複数ジャンプのパンクがありましたが、スピンは全てレベル4を獲得するなど細部まで丁寧にエレメンツをこなし、フリーも9位、総合では7位でした。
 8位はフランスのベテラン、マエ=ベレニス・メイテ選手です。ショートは3+3は決めましたが、後半の3ルッツは回転不足で転倒し10位にとどまります。フリーはジャンプの着氷で危うい場面が散見されましたが、大幅に減点されるエレメンツはほぼなく、フリーも10位、総合8位で8度目の欧州選手権を終えました。


《男子シングル》

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 男子史上2人目の6連覇を達成したのはスペインのハビエル・フェルナンデス選手です。

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 SPはまず4トゥループ+3トゥループを完璧に決め2点以上の加点を得ると、続く4サルコウは着氷でオーバーターンが入ったものの、後半の3アクセルはこちらも2点以上の加点が付く出来で下り、103.82点で堂々の首位に立ちます。
 フリーは冒頭に固めた4トゥループ、4サルコウ+3トゥループ、3アクセル+2トゥループを立て続けにクリーンに成功。後半の4サルコウはパンクして3回転となり、3フリップがダウングレード(大幅な回転不足)になるミスもあったものの、ほぼ予定どおりにジャンプをクリアし、191.73点でフリーももちろん1位、トータルでも300点に迫るハイスコアで欧州王者の座を守りました。
 シーズン前半は体調不良の影響もあって乱調の試合もあったフェルナンデス選手ですが、シーズンが進むにつれて調子を上げてくるピーキング技術はやはりさすがです。細かなミスはありましたが、オリンピックの前哨戦として技術的にも精神的にも自信を持って臨める上々の試合になったと思いますので、五輪でもフェルナンデス選手らしい演技で笑顔で終われることを祈っています。


 2位はロシアの新星、ドミトリー・アリエフ選手。

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 SPは冒頭の3+3を決めると、4トゥループもクリーンに着氷。後半の3アクセルも難なく下り、自己ベストとなる91.33点で2位と好発進します。
 フリーは序盤に得点源のジャンプを固め、4トゥループ+3トゥループ、4トゥループ、3アクセルと全て完璧に着氷。後半は3フリップが2フリップになるミスはありましたが、それ以外は失敗らしい失敗なく滑り切り、フィニッシュ後は何度も拳を握り締めました。得点は自己ベストを20点近く上回る182.73点でフリーも2位、総合2位で初出場にして銀メダルを獲得しました。
 予想外の大躍進を遂げたアリエフ選手。4回転は1種類のみですが、その4トゥループや3アクセルを高い質で跳び切ったことが勝因かなと思います。フリーの終盤になるとジャンプや滑りの勢いが薄れる印象はあるのでそのあたりは今後の課題ですが、ともあれシニア1季目の選手にとって大崩れせず滑るということがまず最重要課題だと思うので、その課題を乗り越え全力を出し切ったというのが素晴らしかったですね。今大会の結果によって派遣が決まったオリンピックでも、若さ溢れるアグレッシブな演技に期待したいです。


 3位はロシアチャンピオンのミハイル・コリヤダ選手です。

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 SPは冒頭に大技4ルッツを組み込みましたが、ステップアウトで成功とはならず。さらに4トゥループからの連続ジャンプは単独の2トゥループとなり規定違反で無得点に。後半の3アクセルはパーフェクトに決めましたが、2つのジャンプミスが響き83.41点で4位にとどまります。
 フリーもまずは4ルッツ、回転は充分でしたが転倒します。4サルコウは抜けて3回転に。3アクセル+3トゥループは予定どおりクリーンに決めます。後半最初は鍵を握る4トゥループでしたが再び転倒。直後の3アクセルは下り、その後は大きなミスなくジャンプをこなしましたが、4回転が1本も決まらなかったことが影響し、175.29点でフリー3位、総合3位となりました。
 ショート、フリーともに4回転が不調でしたが、ハマればものすごく美しく見栄えのする4回転を跳べる一方で、安定感抜群ではないというところがコリヤダ選手のウィークポイントと言えますね。かといってミスを連鎖させて大崩れするという失敗パターンは最近ではあまりなく、安定感が増しているのは確実なので、五輪でも4回転さえハマれば大化けする可能性はありますし、表彰台も狙えるのではないでしょうか。


 4位はラトビアの成長株、デニス・ヴァシリエフス選手です。SPは4回転こそ回避したものの、3つのジャンプ要素をクリーンに決め、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と確実性の高い演技で自己ベストの3位と好位置につけます。フリーは冒頭に固めた2本の3アクセルをパーフェクトに成功。続いて4トゥループにチャレンジしましたが、ダウングレード(大幅な回転不足)であえなく転倒。その後も細々としたジャンプミスはありましたが、おおむね予定どおりのジャンプを跳び切って、自己ベストをわずかながら更新しフリー5位、総合4位と自己最高位で3度目の欧州選手権を終えました。
 5位はイスラエルのベテラン、アレクセイ・ビチェンコ選手。ショートは4トゥループの転倒があり8位と出遅れ。しかしフリーはその4トゥループを2本とも成功させ、そのほかのジャンプミスも最小限に抑え、フリー4位、総合5位に順位を上げました。
 6位はロシアのアレクサンデル・サマリン選手。ショートは大技4ルッツに挑むも転倒。続く4トゥループも転倒と致命的なミスが重なり9位。フリーも4ルッツはクリーンに着氷できませんでしたが、そのほかの要素では大きなミスなくまとめてフリー6位、総合6位となりました。
 7位はスウェーデンのアレクサンデル・マヨロフ選手。ショートは3つのジャンプ要素全てでミスを犯し12位に沈みます。フリーもミスは散見されましたが、ほぼ予定どおりにエレメンツをクリアし7位、トータルでも7位となりました。
 8位はチェコのベテラン、ミハル・ブレジナ選手。ショートは4サルコウが3回転に、さらに3+3では転倒とミスが相次ぎ10位。フリーは4サルコウのミスを最小限にとどめ、3アクセルは2本とも決めますが、終盤の3ルッツで転倒。フリー8位、総合8位となりました。


《ペア》

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 2連覇を果たしたのはロシア王者のエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組です。ショートはサイドバイサイドの3トゥループ、スロー3ループの両方でミスがあり5位と出遅れます。しかしフリーは冒頭の大技4ツイストを決めると、サイドバイサイドの3サルコウ、スロー3サルコウも成功。その後も全てのエレメンツをクリーンにこなし1点以上の加点を積み重ね、自己ベストかつ世界歴代6位となるハイスコアをマークしフリー1位、総合1位となり、大逆転で2連覇を成し遂げました。
 ショートはまさかの5位でしたが、フリーはさすがの貫録でしたね。ショートでミスしてしまうところはまだ若さゆえという印象も受けますが、フリーでそつなく立て直す姿からは世界のトップペアとしての自信と自覚を感じました。五輪のメダル候補としての資格を充分持ち合わせているペアと言えますから、あとは今大会以上のプレッシャーがかかるであろう五輪でもメンタルコントロール次第で五輪の表彰台も見えてきそうですね。

 2位は同じくロシアのクセニア・ストルボワ&ヒョードル・クリモフ組です。SPは3ツイストがレベル2、サイドバイサイドの3トゥループで転倒があり3位に。フリーも3ツイストがレベル1、サイドバイサイドの3サルコウで転倒とミスが重なりましたが、中盤以降の要素は高い質でまとめ、フリー2位、総合2位で通算6個目のメダルを獲得しました。
 シーズン序盤からのツイストリフトのミスは今回も克服されず残念でしたが、ミスをしても引きずらない心の強靭さはさすがに経験豊富な実力者ならではですね。しかし、ロシアオリンピック委員会が発表した個人資格で平昌五輪に出場できるロシア選手のリストの中にストルボワ選手の名前がなく、ストルボワ&クリモフ組が五輪に出場できない可能性が浮上しています。ただ、リストに含まれていないからといって過去にドーピングをしたと認定されたわけではなく、ストルボワ選手が除外された理由は明かされていません。また、国際オリンピック委員会が公式に出場を認めるロシア選手のリストを発表するのは27日で、最終的にどういうメンバーになるのかはまだ不透明です。ストルボワ選手にどういう疑義がかかって除外されたのかはわかりませんが、フィギュアスケートにおいてはドーピングは無関係と思っていただけに今回の決定は残念ですし、最終的にどうなるのか見守りたいですね。

 3位もロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンデル・エンベルト組。SPは全てのエレメンツで加点を稼ぎ2位と好発進。フリーはサイドバイサイドジャンプ2つともでミスを犯しましたが、そのほかのエレメンツは安定してこなし、自己ベストでフリー3位、総合でも自己ベストで3位と初めて表彰台に上りました。
 今季はシーズン前半のGPこそ表彰台には立てませんでしたが、着実に安定感のある演技を披露し2年連続ロシア選手権3位と、実力を証明してきたザビアコ&エンベルト組。その成果が今大会も如実に表れていましたね。五輪でもこの勢いを持って、好演技に期待したいですね。

 以下、4位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組、5位はイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組、6位もイタリアのニコーレ・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組、7位はミリアム・ツィーグラー&セヴェリン・キーファー組、8位はドイツのアニカ・ホッケ&ルーベン・ブロマールト組となっています。


《アイスダンス》

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 史上5組目の4連覇を果たしたのはフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組です。SDはツイズルがレベル3となる珍しい取りこぼしがあって、わずかながらパーソナルベストには及ばなかったものの断トツのハイスコアで首位発進。FDは後半のステップ以外全てレベル4を獲得し、演技構成点では5項目中3項目で満点となる10点の最高評価を得て、世界最高の121.87点をマーク。トータルスコアでも世界最高を更新し、圧巻の優勝劇を演じました。
 これで今季だけでも4度目の世界最高更新となり(FDは3度目)、無双状態に突入しているパパダキス&シゼロン組。オリンピックでは過去の自分たちが最強の敵になると思いますが、重圧に押しつぶされることなくいつもどおりのびやかに滑ってほしいですね。

 2位はロシアチャンピオンのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組です。SDは5つの要素のうち、3つがレベル3にとどまったことで思ったほど技術点を伸ばせず、4位にとどまります。FDは2つのステップ以外は全てレベル4を揃え、自己ベストを更新してフリー2位、トータルでもパーソナルベストをマークして総合2位と順位を上げました。
 2011年以降、欧州選手権では毎回メダルを手にしているボブロワ&ソロビエフ組。今回はSDで4位となりフリーではミスできないという状況に追い込まれましたが、フリーはさすが実力者らしい滑りでしたね。オリンピック前に自己ベストを更新できたことは自信になるでしょうから、楽しみにしたいですね。

 3位もロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組です。SDは2つのステップ以外はレベル4を獲得し、自己ベストで2位と好位置につけます。FDはステップが1つレベル2になるなど取りこぼしもチラホラありましたが、こちらも自己ベストで3位、総合3位で3年ぶりに表彰台に上がりました。
 今季は出場した全試合で表彰台に立ち安定感を増しているステパノワ&ブキン組。五輪直前の今大会で久しぶりのメダルと弾みをつける結果になりましたが、ロシアオリンピック委員会が発表した平昌五輪に派遣する選手のリストにブキン選手の名前がなく、上述したストルボワ選手同様、五輪に出場できない可能性が浮上しました。国際オリンピック委員会による公式リストの発表を見守るしかありませんが、ペアやアイスダンスはパートナーがいなければどうにもならないわけですから、ブキン選手たちにとって納得のいく決定になることを祈りたいですね。

 以下、4位はイタリアのベテラン、アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組、5位も同じくイタリアのシャルレーヌ・ギニャール&マルコ・ファッブリ組、6位はロシアのティファニー・ザホースキー&ジョナサン・ゲレイロ組、7位はイギリスのペニー・クームズ&ニコラス・バックランド組、8位はサラ・ウルタド&キリル・ハリャービン組となりました。



 ということで、全12個のメダルのうち、9個をロシア勢が手にするというヨーロッパにおけるフィギュア大国ロシアの勢力の偉大さを改めて示しました。そして今大会の結果を受けてロシアの五輪代表メンバーが発表され、男子はコリヤダ選手とアリエフ選手、女子はザギトワ選手、メドベデワ選手、ソツコワ選手、ペアはタラソワ&モロゾフ組、ストルボワ&クリモフ組、ザビアコ&エンベルト組、アイスダンスはボブロワ&ソロビエフ組、ステパノワ&ブキン組となりましたが、上述した理由によってストルボワ&クリモフ組、ステパノワ&ブキン組の派遣に関しては不透明な状況が続いています。派遣できないとなれば、補欠が繰り上がりとなると思われます。フィギュア界でもこうしたことが起こるというのは非常に悲しいですが、誰にとっても納得のいく結末となるように願いたいですね。
 さて、そうこうしているあいだに、今度はヨーロッパ以外の地域の選手たちが集まる四大陸選手権が開幕。こちらは北米の五輪代表選手は出場を見送っており、日本勢にとっては有利な状況になっていますが、五輪代表選手にとって内容、結果ともに自信のつく試合になることを祈っています。では。


:女子のメダリスト3選手のスリーショット画像、ザギトワ選手の画像、コストナー選手の画像、男子メダリスト3選手のスリーショット画像、アリエフ選手の画像、ペアメダリスト3組の画像、アイスダンスメダリスト3組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、メドベデワ選手の画像、フェルナンデス選手の画像、コリヤダ選手の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-01-27 00:43 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 2018年1月8日から14日にかけて、カナダ選手権2018が行われました。カナダ選手権も全米選手権同様、シニアやジュニア、ノービスを一気にまとめて行うので、シニアの試合が実際に行われたのは12日と13日の2日間のみになります(14日はエキシビションのみです)。この記事ではそのシニアの結果のみお伝えします。

2018 Canadian Tire National Skating Championships この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

《男子シングル》


 男子を制したのはベテランのパトリック・チャン選手です。SPは4トゥループで転倒し波乱の幕開けに。3+3は決めますが、苦手の3アクセルは着氷で乱れ、順位としては首位だったもののスコアは90.98点と伸び悩みます。フリーは冒頭の2本の4トゥループを最小限のミスに抑え成功。しかし2アクセルを3本跳んでしまう珍しいミスもあり、得点は自己ベストより20点以上低いスコアにとどまります。それでも他を寄せつけることなく史上初となる10度目の優勝を果たしました。
 GP初戦のスケートカナダ後は、出場予定だったNHK杯を辞退して練習拠点での調整に集中してきたチャン選手。ただ、今大会も鬼門の3アクセルが振るわず、調整に全力を注いできた成果が全て出し切れたのかどうかはわかりませんが、五輪での集大成の演技に向けてまずは一歩前進したのかなと思いますね。五輪の男子フィギュア個人戦までは約1か月、短いといえば短いですが、1か月あればできることも多いと思いますので、チャン選手らしい息を呑むような美しいスケーティングと目が離せない演技が五輪で見られることを楽しみにしています。

 2位に入ったのはキーガン・メッシング選手です。SPは4トゥループこそ入りませんでしたが、全てのエレメンツを加点が付く出来でまとめ、3位と好位置につけます。フリーも1本目の4トゥループでは転倒。しかし2本目の4トゥループはしっかりコンビネーションにして成功。3アクセルも2本とも決め(1本は3連続ジャンプで、最後のジャンプで乱れたためGOEではマイナス)、フリーも3位、総合では2位となり、五輪代表を引き寄せました。
 混戦となった五輪代表2枠目を射止めたメッシング選手ですが、ショート、フリーともにミスを引きずらなかったのが勝因と言えるでしょうか。また、元々ジャンプの質は高いですから、そういった部分でメッシング選手より下位だった4回転を得意としている選手たちを上回れたのかなと思います。今までカナダ選手権では5位が最高だった彼が2位になるとは少し意外でしたが、今季はシーズン初戦のオータムクラシックで3位、NHK杯でも5位と健闘を見せていましたから、シーズン前半の良い流れをこのカナダ選手権にうまく繋げたという印象ですね。

 3位は若手のナム・グエン選手です。SPは3ルッツでの転倒があり5位と出遅れ。フリーは中盤の4トゥループで転倒した以外は全てのエレメンツで加点を引き出し2位と追い上げましたが、トータルではメッシング選手の得点には約1点届かず、惜しくも3位でした。
 ショート、フリーともに4回転や3アクセルはおおむね安定していたグエン選手。それだけにショートの3ルッツやフリーの4トゥループの転倒がもったいなかったですね。結果的にメッシング選手とは1点差しかなかったからこそ余計にそう思えるのですが、どちらのジャンプも成功と紙一重という感じだったので、ちょっとしたミスと言えばちょっとしたミスだったのが、転倒したことによってGOEでマイナスになるだけなく、演技全体からも1点引かれてしまうわけですから、本当に惜しかったです。ただ、ここ最近は苦戦が続いていたことを考えると、この試合にきっちり合わせて一定の成果を出せたと思うので、収穫の多い試合だったのではないでしょうか。

 4位はエラジ・バルデ選手。SPは4回転なしの構成で臨み、クリーンに演じ切って4位。フリーも4回転はなく、3アクセルは2本とも成功。しかし後半のジャンプで細かなミスが散見され点数を伸ばし切れずフリーも4位、総合4位と表彰台には及びませんでした。
 5位はベテランのケビン・レイノルズ選手。SPは大きなミスなく滑り切って2位と好発進。しかしフリーは序盤に固めた3本の4回転―4ループ、4トゥループ、4サルコウ+3トゥループ―でミスを連発。後半もミスが重なり、フリー6位、総合5位と順位を落としました。
 6位はジュニアのジョセフ・ファン選手。SPは4+3とと3アクセルを完璧に決めたものの、3ルッツが2回転になり規定違反で無得点となったことによって8位にとどまります。フリーも4トゥループでの転倒こそありましたが、大崩れすることはなく演技をまとめて5位、総合6位と躍進しました。
 7位はシニア1年目のローマン・サドフスキー選手です。ショートは4回転2本を組み込み、どちらもミスはありましたが何とか着氷。しかし3アクセルは回転不足で転倒し7位に。フリーも4トゥループでの転倒など細々とミスがあり8位、総合7位と順位を上げることはできませんでした。
 8位はリアム・フィラス選手。ショートは全ジャンプで減点があり9位。フリーもジャンプは全体的に不安定な着氷が続きましたが、何とか踏ん張ってフリー7位、総合8位と一つ順位を上げました。


《女子シングル》

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 女子のチャンピオンとなったのは世界選手権2017銅メダリストのガブリエル・デールマン選手です。得点源の3+3を完璧に決めると、3ルッツ、2アクセルもクリーンに下り、非公式ながら77.88点という極めて高いスコアで首位に立ちます。フリーもショートからの流れをそのまま引き継ぎ、3+3始め全てのジャンプをノーミスで着氷。151.90点という驚異的な得点を叩き出し、2度目の優勝に花を添えました。
 好演技をした選手には気前良く加点や演技構成点を与えるのが国内大会というものですから、229.78点というトータルスコアは突拍子もない印象を受けるものの、決して驚くべきものではないのかなと思います。それはさておいて、ジャッジが大盤振る舞いをしたくなるほどデールマン選手の演技が素晴らしかったのは間違いなく、229.78点とはいかなくとも、オリンピックでもこの演技ができれば充分にメダル争いに加われるのではないかと想像します。今季苦戦していたフリーを昨季の「ラプソディー・イン・ブルー」に戻すことで昨季終盤の輝きを取り戻したデールマン選手が、五輪でさらに加速するのかどうか、注目ですね。

 銀メダルを獲得したのは世界選手権2017銀メダリストのケイトリン・オズモンド選手。SPは冒頭の3+3が単独の3フリップに。続く3ルッツに急遽2トゥループをつけてカバーし、その後のエレメンツは落ち着いてこなしましたが、デールマン選手には及ばず2位発進。フリーはショートで失敗した3+3を決め、2アクセル+3トゥループ、3ルッツと得点源のジャンプをクリーンに下りて波に乗るかに見えましたが、課題の後半でミスを連発。フリーも2位で逆転優勝はなりませんでした。
 オズモンド選手の代表作であるショートから珍しくほころびが見え、さらに鬼門となっているフリーの後半ではやはりミスが重なり……と、オズモンド選手にとっては五輪に向けて課題が如実に露わになった試合でしたね。一つ一つの要素の質の高さ、演技構成点での評価の高さは変わりませんが、五輪の表彰台というのを考えるとフリー後半のスタミナ切れはやはり重い課題かなと思いますので、これからの約1か月間で彼女がいかに壁を乗り越え、仕上げてくるかに期待ですね。

 3位は若手のラーキン・オーストマン選手です。ショートは2つのジャンプでミスがあり6位と出遅れ、フリーも転倒を含むミスが複数ありましたが、それでもフリー3位、総合3位と挽回し、五輪の切符をつかみました。
 今季スケートカナダでGPデビューしたばかりの選手ですが、4年に1度の五輪のチャンスを見事に活かしましたね。ほかの選手たちのミスに助けられたという面もありますが、そうした接戦を勝ち抜けた経験というのは今後の彼女のキャリアにおいても記念碑的なものになるのかなと思います。

 4位は2016年のカナダ女王、アレーヌ・シャルトラン選手です。ショートはコンビネーションが入らなかった上に2度の転倒もあり9位と大幅に出遅れ。フリーも転倒があり、コンビネーションが一つしか入らなかったこともあって、フリー4位と追い上げましたが総合4位と表彰台には立てませんでした。
 5位はオーロラ・コトップ選手。SPは3+3と3ループで2度転倒し14位と下位に沈みます。フリーは3+3は組み込まず、さらに7つのジャンプ要素のうち5つを前半に跳ぶ構成で確実にジャンプをこなし、フリー5位、総合5位と一気に順位を上げました。
 6位はキム・デグイーズ=レヴェイエ選手です。ショートは転倒が1つあり11位に。フリーもミスはちょこちょことありましたが、転倒やパンクはなく滑り切り6位、総合6位となりました。
 7位はミシェル・ロン選手。ショートは細かなミスはあったものの、ステップシークエンスではレベル4を獲得するなど本領も発揮し、4位と好発進。しかしフリーはパンクや転倒など大きなミスが相次ぎ8位、総合7位と順位を落としました。
 8位はアリシア・ピノー選手。ショートは単独の3ループが1回転になり規定違反で0点になったため12位。フリーは大きなミスなく演じ切り7位、総合8位と追い上げました。


《ペア》

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 ペアで前人未到の7連覇を達成したのはメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組です。SPは今季苦戦していたサイドバイサイドの3ルッツを決め非公式ながら自己ベストを上回る得点で首位に立ちます。フリーもサイドバイサイドの3ルッツをこらえて最小限のミスに抑え、大技のスロー4サルコウは転倒に終わったものの、その後はミスらしいミスなく圧巻の滑りを見せフリー1位、トータルでは2位に20点以上の差をつけ7連覇しました。
 シーズン前半は特にサイドバイサイドジャンプで苦労する姿が多く見られたデュハメル&ラドフォード組ですが、今大会はしっかり修正してきましたね。かつて世界の舞台で快進撃を続け世界選手権を連覇した時のことを考えると、今回の演技内容はようやく彼ららしい滑りが見られたという印象で決して驚くべきものではありませんが、なかなか理想的な演技ができなかった時期を乗り越えてですから、感慨深い優勝なのではないでしょうか。この好調を維持して五輪でも優勝争いに加わってほしいですね。

 2位はジュリアン・セガン&シャルリ・ビロドー組です。SPはサイドバイサイドの3サルコウで転倒したものの、ほかの要素は全てレベル4に揃えて2位と好発進。フリーはサイドバイサイドの3ルッツで若干減点はありましたが、そのほかのエレメンツは全て加点の付く出来で、しかも軒並みレベル4を揃え、フリーも2位、総合2位で五輪代表の切符を手にしました。
 ショートで転倒があったとはいえ、今大会のセガン&ビロドー組は全体的に安定感が際立っていましたね。特にショート、フリーともに全てレベル4というのはお見事としか言いようがありません。昨年はセガン選手が脳震盪を起こしたことによってカナダ選手権は欠場せざるをえませんでしたから、今年のカナダ選手権は今まで以上に思い入れもひとしおだったのではないでしょうか。高い技術力を武器に、セガン&ビロドー組が五輪でどこまで上位に食い込んでくるのか、楽しみです。

 3位はカーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組です。ショートは3ツイストやスピンでレベルの取りこぼしがあったものの目立ったミスなくまとめて3位。フリーも2アクセル+1ループ+3サルコウの3連続ジャンプでアンダーローテーション(軽度の回転不足)があった以外はミスなくクオリティーの高い演技を披露し、フリーも3位、総合3位で昨年に続き銅メダルを獲得しました。
 順位としては昨年と同じ3位ですが、昨年はセガン&ビロドー組が不在の中での3位だったので、世界選手権の代表からは惜しくも漏れてしまいました。ですので、ベストメンバーが揃った中での今年の3位は、昨年とはまた違った意味合いのある3位と言えますね。


《アイスダンス》

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 8度目の優勝を果たしたのはテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組です。SDは全てのエレメンツでレベル4を獲得し断トツの首位に立つと、FDも全てレベル4という完全無欠の演技で他のカップルを寄せつけることなく頂点を射止めました。
 何も言うことなしという演技内容ですね。オリンピックに向けて着々と準備を進めていて、このカナダ選手権も一つの通過点として、五輪へのステップアップとしてさらなる進化を見せつけました。五輪ではフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組との一騎打ちとなると思いますが、怪我なく無事に五輪の舞台で集大成の演技が見られることを祈っています。

 2位に入ったのはパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組です。SDではパターンダンス以外全てレベル4とヴァーチュー&モイア組にも負けず劣らずレベルの高い滑りを披露し2位につけます。FDではツイズルで女性のギレス選手がよろめくシーンがありレベル2どまりに。そのほかのエレメンツはまとめフリーは3位でしたが、総合では3位のカップルを約1点差でかわし自己最高位タイの2位でフィニッシュしました。
 ツイズルはアイスダンスの技の中でも最もミスを犯しやすい場面なので、今後に深刻な影響を及ぼす失敗の形ではないと思うのですが、むしろここでミスをしたことで五輪ではより注意を向けられるでしょうから、そういった意味でポジティブにとらえることもできそうですね。何よりSDで素晴らしい演技をしたことが自信になると思いますから、五輪ではフリーも納得のいく演技ができるよう頑張ってほしいですね。

 3位はケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組です。SDはツイズルで男性のポジェ選手が転倒するというまさかのミスがあり4位と出遅れ。FDはそのツイズルもしっかり修正し、軒並みレベル4を揃えて2位と挽回しましたが、ショートの点差が響き総合では惜しくも3位でした。
 このウィーバー&ポジェ組にしても上述したギレス&ポワリエ組にしてもそれぞれツイズルでのミスがあったわけですが、それくらい五輪の切符が懸かるカナダ選手権というのは尋常ではない緊張感があったのだろうなと想像します。普段起こらないようなことが起こってしまう舞台と言えますが、その意味では五輪はそれ以上の魔物が住んでいる場所だと思いますので、今回の経験を財産として五輪では悔いのない演技ができるよう願っています。



 カナダ選手権の結果は以上ですが、この結果を受けて選出されたシーズン後半の主要国際大会の代表選手をまとめます(敬称略)。


《平昌五輪代表》

男子シングル:パトリック・チャン、キーガン・メッシング
女子シングル:ガブリエル・デールマン、ケイトリン・オズモンド、ラーキン・オーストマン
ペア:メーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組、ジュリアン・セガン&シャルリ・ビロドー組、カーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組
アイスダンス:テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組、パイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組、ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組

《世界選手権代表》

男子シングル:パトリック・チャン、キーガン・メッシング
女子シングル:ラーキン・オーストマン、ガブリエル・デールマン、ケイトリン・オズモンド
ペア:メーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組、カーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組、ジュリアン・セガン&シャルリ・ビロドー組
アイスダンス:パイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組、テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組、ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組

《四大陸選手権代表》

男子シングル:エラジ・バルデ、ナム・グエン、ケビン・レイノルズ
女子シングル:アレーヌ・シャルトラン、ミシェル・ロン、アリシア・ピノー
ペア:リュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組、シドニー・コロジー&マキシム・デシャン組、カミーユ・ルエ&ドリュー・ウルフ組
アイスダンス:サラ・アーノルド&ウィリアム・トーマス組、ヘイリー・セールズ&ニコラス・ワムスティーカー組、カロラーヌ・スシース&シェーン・フィラス組




 五輪、世界選手権に関してはカナダ選手権の表彰台そのままのメンバーですね。非常に明快で疑問の余地のないベストな選出と言えます。一方で四大陸選手権はそれらの大会から漏れた選手たちによって構成されています。



 世界最強と言っても過言ではない層の厚さを誇るカナダチーム。五輪では個人戦でのメダルはもちろん、団体戦での金メダルも十二分に狙えるメンバーだと思いますから、そちらも非常に楽しみです。では。


:記事内の画像は全て、フィギュアスケート情報サイト「Golden Skate」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-01-18 16:03 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)