カテゴリ:フィギュアスケート(大会関連)( 207 )

c0309082_01253127.jpg


 10月7日、さいたまのさいたまスーパーアリーナにて恒例のジャパンオープンが開催されました。フィギュアファンの皆様にとってはおなじみですが、ジャパンオープンは日本、欧州、北米という地域別で争われる団体戦。各チーム男女2名ずつで構成され、フリーのみを行い、その得点を足し算し、チーム別の順位を決定します。
 さっそく結果をお伝えしますと、優勝したのは欧州チームで、2位は日本、3位は北米となりました。ここからはチーム別に各選手の演技内容を振り返っていきたいと思います。

Japan Open 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****


●日本チーム

c0309082_01192974.jpg


 日本チームは三原舞依選手、本田真凛選手、宇野昌磨選手、そしてプロスケーターの織田信成さんの4人が今回のメンバー。三原、本田の両選手は初出場となりました。チームの得点は614.93点で、0.42点差で惜しくも欧州チームに届きませんでした。
 女子二人は非公式ながら自己ベストを上回るスコアでチームに大いに貢献。三原選手は予定していたエレメンツを全てクリーンにこなす圧巻の演技で147.83点をマークし、女子の2位に入りました。9月のオータムクラシックインターナショナルでは3フリップのエッジエラーやジャンプミスがあり、また、表現面でも動きが小さくなってしまうなど課題が見つかった三原選手ですが、それから2週間余りでまるで別人のように躍動しましたね。もちろん本当に大切なのはこれからですが、技術は相変わらず安定していますし、短い期間での切り換え力、修正力も光っていて、やはり強いなと感じさせられました。シニア2季目で好成績を期待されるプレッシャー、4年に1度のオリンピックシーズンという特別感をあまり気にすることなく乗り越えられれば、五輪の切符にぐっと近づくんじゃないかなと思いますね。
 今季シニアデビューの本田選手もパーソナルベストより高いスコアをマークしました。が、内容的には後半のジャンプにミスがあり冷静なリカバリーも見せたものの完璧ではありませんでした。また、自己ベストを上回る得点でも順位では6人中5位ということでジュニアとシニアの違いを痛感させられる試合ともなり、本田選手自身悔しさを露わにしました。ジュニアでは申し分ない成績を残し、メディアでも取り上げられる機会の多い本田選手ですが、あくまでもシニアでは実績ゼロのルーキー。注目度が高い分、期待に応えなければいけないというプレッシャーもあるかもしれませんが、本来シニア1年目の選手というのは何も失うものがなく、怖いもの知らずでいろんなことにチャレンジできるはずです。シニアデビューシーズンが五輪シーズンと重なったがゆえに、五輪代表に選ばれるためにはすぐに結果を出さなければいけないという難しさもありますが、シニア1年目だからこその怖いもの知らずの特権を活かして、いろんな場面で攻めていってほしいですね。
 世界選手権銀メダリストの宇野選手はチームをリードする役割を期待されましたが、練習からジャンプが不調だったようで男子の3位にとどまりました。冒頭の4ループは完璧に成功させて波に乗るかに見えましたが、続く4サルコウは着氷で大きく乱れ、後半の4フリップは転倒、4トゥループはダウングレード(大幅な回転不足)、3アクセルからのコンビネーションジャンプも単独にとミス連発の演技となってしまいました。最近見ないくらい荒れた内容でしたが、それだけ4回転5本という構成は跳び切るだけで至難ということを改めて感じさせられましたね。ただ、宇野選手の実力を考えればこの構成は無謀な挑戦ではありませんし、ピーキングさえうまくいけば確実にものにできる構成だと思うので、ジャンプの成功はもちろんのこと、全ての要素を含めたプログラムとしての完成も楽しみにしたいと思います。
 2年連続出場の織田さんは4トゥループ2本、3アクセル2本という昨年より難度を上げた構成に挑戦。4トゥループ2本は見事着氷しましたが、3アクセルは2本とも失敗し昨年のような“自己ベスト更新”とはならず。ですが4位と健闘し、引退からもうすぐ4年経つにもかかわらず、“現役感”満載の演技で会場を沸かせました。


●欧州チーム

c0309082_16252215.jpg


 欧州は世界女王エフゲニア・メドベデワ選手、世界ジュニア女王アリーナ・ザギトワ選手のロシア女子二人、前世界王者のハビエル・フェルナンデス選手、イスラエルのアレクセイ・ビチェンコ選手という顔ぶれとなりました。チームの得点は615.35点で3年ぶりの優勝を果たしました。
 チームを引っ張ったのはやはり世界選手権2連覇中の絶対女王メドベデワ選手。内容的には若干苦手としている3ルッツの踏み切りが不正確であると判定されたのが気になるくらいで、いつもどおりの安定した演技で152.08点をマークし、もちろん1位でした。ただ、ジャンプ構成は9月のオンドレイネペラトロフィーから変更されていて、オンドレイネペラではフリーは前半にジャンプは2アクセル1つのみだったのが、今大会は3+3と3ルッツを前半に跳ぶという昨季の構成に戻していて、メドベデワ選手の中で前の構成に何かしっくりこないところがあったのかなと想像します。元々昨季の構成でもメドベデワ選手は無敵状態だったわけで、それをあえてさらに難しい構成にしたということ自体が、自分の現状にあぐらをかかず高みを目指すというアグレッシブな姿勢がうかがえて素晴らしいなと思うのですが、彼女ほどの実力と実績があれば五輪シーズンである今季は新しい試みをせず、着実に足元を固めていく戦略の方がより金メダルは確実なものになるのかなという気がします。メドベデワ選手を将来的におびやかす選手がいるとすればザギトワ選手が一番怖い存在かなと個人的には思いますが、いくら勢いがあっても今季中にメドベデワ選手の域にまで達するのは無理でしょうから、メドベデワ選手はこれまでどおり自分らしい演技を心がけていればおのずと五輪の金メダルは近づいてくるのではないでしょうか。
 そのザギトワ選手は、全ジャンプを後半に固めたいつもの構成をクリーンにこなし3位となりました。点数的には9月のロンバルディアトロフィーよりは落ちましたが、内容的には相変わらずの安定感で、GPに向けてさらに勢いづかせる演技でしたね。こうした勢いや流れというのはソチ五輪シーズンのユリア・リプニツカヤ選手を思わせる部分があり、今季に関してはこの流れがオリンピックまでは継続されるんじゃないかという気がします。
 前世界王者のフェルナンデス選手はちょこちょこ3回転が2回転に抜けるミスはありましたが、全体の流れを途切れさせることなくベテランらしい落ち着いた演技を披露し、189.47点で1位となりました。スロースターターのフェルナンデス選手にとって今はまだ自分の状態を様子見しているような段階かもしれませんが、試合に合わせる力はさすがにピカイチですね。現在4回転は3種類、4種類、さらには5種類という時代にまで来ていますが、あくまで2種類で完成度を追い求めるフェルナンデス選手の戦法がどういった結果をもたらすのか注目したいと思います。
 当初出場を予定していたトマシュ・ベルネルさんに代わって出場が決まったビチェンコ選手は、ミスが相次ぎ最下位に終わりました。ビチェンコ選手は9月のオータムクラシックインターナショナルに当初エントリーしていたのですが、結局そちらに出場はせずジャパンオープンに参加したということを考えると、ジャパンオープンの出場が決まったからオータムクラシックはキャンセルしたということなのかもしれません。ただ、オータムクラシックとジャパンオープンでは勝手が違いますし、9月下旬の大会と10月初旬の大会とでは調整の仕方も変わってくるので、そういった部分で調整の難しさはあったのかなと想像します。ビチェンコ選手のGP初戦はNHK杯、次こそは日本でビチェンコ選手らしい演技が見られることを期待したいですね。


●北米チーム

c0309082_18102208.jpg


 北米チームは全米女王のカレン・チェン選手、ベテランの長洲未来選手、全米王者のネイサン・チェン選手、今年現役引退を表明したジェレミー・アボットさんという全員アメリカのメンバー構成に。チームの得点は572.95点で2年連続の3位にとどまりました。
 昨季大躍進を遂げた男子のチェン選手は、9月のUSインターナショナルクラシックから4回転の本数を増やして臨み、4フリップでの転倒や4サルコウのパンクなどはあったものの、4ループと4ルッツはクリーンに着氷させ、178.46点で2位に入りました。それでもまだまだ本調子ではなさそうですし、4回転の数もさらに増えることが予想されますから、GPでギアチェンジして良い意味で調子に乗ったチェン選手の姿が見られることを楽しみにしたいですね。
 先日引退を発表したばかりのアボットさんは3年連続の出場。4回転は含まない構成で得点源としては3アクセルを軸とした演技でしたが、クリーンに着氷することは叶わず5位となりました。GPシリーズや全米選手権など公式試合に出場したのは14/15シーズンが最後で、その後は進退を明確にはせずジャパンオープンやアイスショーで活躍していたアボット選手。なので引退と聞いてもあまり実感は沸かないのですが、改めてお疲れさまと言いたいですね。ジャンプが何よりも華である男子フィギュア界の中においては、ジャンパータイプではないアボットさんは決して目立つ存在ではありませんでしたが、無駄な力なくすいすい伸びるスケーティングは随一の美しさで、そこから繰り広げられる透明感と気品溢れる表現力は唯一無二で忘れられません。選手を引退しても、あのスケーティングで魅せる舞台はたくさんあると思いますから、第2の人生を楽しく歩んでほしいと思います。
 女子は出場予定だったグレイシー・ゴールド選手がコンディション不良のため欠場、その代わりとして長洲選手が3年ぶりに出場しました。冒頭では先日のUSインターナショナルクラシックで初成功させた大技3アクセルに挑戦。両足着氷でバランスを崩し惜しくも成功とはなりませんでしたが、回転は認定されました。そのほかはミスらしいミスなく滑り切り、非公式ながら自己ベストを上回る134.69点で4位となりました。3アクセルは残念でしたが、空中で身体が斜めになってしまったことによる失敗でそこまで悪い形での失敗ではなかったと思うので、そう遠くないうちに完全な形での成功も見られるのかなという気がします。また、それ以外の部分でも一つもアンダーローテーション(軽度の回転不足)を取られていないというのが前戦から修正されていて良かったですね。この調子でGPにも良い流れを継続させてほしいと思います。
 一方、全米女王のチェン選手はアンダーローテーションや転倒といったミスが重なり6位にとどまりました。チェン選手も9月のUSインターナショナルクラシックに出場して回転不足を多々取られたのですが、まだその部分での修正が上手くいっていないようですね。ほかのアメリカ女子たちに後れを取らないためにも、次のスケートカナダまでには課題を乗り越えたいところですし、シーズン序盤から存在感をアピールできるかできないかというところでオリンピックの代表争いにも関係してくると思うので、全米女王のチェン選手といえどもうかうかしていられない状況ですね。



 ジャパンオープン2017の記事は以上です。さて、ここから選手たちは本当の戦いに入っていきます。これまでは自分の状態を確かめたりじっくりと調整に時間を費やしたりしてきた選手たちも、オリンピック出場に向けて結果が求められる試合が続いていくことになります。4年に1度のオリンピックシーズン、どんな戦いが繰り広げられるのか、どんな予想外のことが起きるのか、楽しみです。では。


:記事冒頭の全選手の集合画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、日本チームの画像、北米チームの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、欧州チームの画像は、フィギュアスケート情報サイト「EUROPEONICE.COM」の公式ツイッターから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ロンバルディアトロフィー2017&USインターナショナルクラシック2017―日本勢躍動 2017年9月22日
オータムクラシックインターナショナル2017&オンドレイネペラトロフィー2017―世界王者に明暗 2017年9月30日
ネーベルホルントロフィー2017&フィンランディアトロフィー2017―日本、五輪団体戦出場へ前進 2017年10月11日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-10-14 01:58 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg


 9月27日から30日にかけてドイツのオーベルストドルフにて行われたネーベルホルントロフィーと10月6日から8日にかけてフィンランドのエスポーにて行われたフィンランディアトロフィー。前者は平昌オリンピックのまだ埋まっていない国別の出場枠をかけた戦い、後者は世界の覇権を争うトップ選手たちのGPシリーズ前の最後の調整といった意味合いが強い試合となり、それぞれ質の異なる盛り上がりを見せました。両大会の模様をざっくりと振り返ってみたいと思います。

*****

《ネーベルホルントロフィー2017》

c0309082_13183428.jpg


 今回はいつもとは違って変則的ですがアイスダンスの結果から。優勝はイギリスのペニー・クームズ&ニコラス・バックランド組。SDは全てのエレメンツを高いレベルでまとめて唯一の70点台に乗せて堂々の首位発進。FDはツイズルで細かなミスがありレベルは取りこぼしましたが、そのほかのエレメンツでは全て1点以上の加点を積み重ね、他を寄せつけず自己ベストで完全優勝となりました。16/17シーズンはクームズ選手の怪我によって全ての試合を欠場したクームズ&バックランド組。今大会が2季ぶりの復帰戦となったわけですが、さすが世界選手権で入賞経験のあるカップルとあって、他のカップルとの格の違いを見せつけた形となりましたね。スコアも自己ベストを4点近く一気に更新ということで、復帰シーズンを申し分ない形でスタートできたのではないでしょうか。
 そして2位に入ったのが日本の村元哉中&クリス・リード組です。SDはクリーンなエレメンツを揃えて自己ベストまで約1点というスコアで2位につけると、FDは全てのエレメンツをレベル3もしくは4と高いレベルでまとめて自己ベストを4点近く更新。トータルでもパーソナルベストをマークし、銀メダルを獲得しました。まだ平昌五輪のアイスダンスの出場枠を獲得していない日本にとって、この最終予選の舞台で枠を取れるか否かはアイスダンスの枠のみならず、日本チームとして団体戦の出場権も懸かる重要な試合でした。そのプレッシャーが重くのしかかる場面で、自己ベスト更新の演技というのは本当に素晴らしかったですね。思えば4年前のこの大会でクリス選手と姉のキャシーさんとのカップルで枠を獲得したのですが、現在は村元選手とクリス選手という結成3季目とまだ歴史は浅いカップルではあるものの、着実に地道に進化を遂げて、日本のアイスダンスのレベルを底上げしてくれているように感じます。このあとのシーズンも怪我なく順調に、オリンピック出場へ向けて頑張ってほしいですね。
 3位はドイツのカヴィタ・ローレンツ&ヨディ・ポリゾアキス組です。SDは目立ったミスなくエレメンツをこなして3位と好発進。FDはステップがレベル2にとどまる取りこぼしはありましたが、ほかはおおむねミスらしいミスなく滑り切り3位、総合でも3位とチャレンジャーシリーズでは初めての表彰台を射止めました。


 続いてはペアです。優勝したのは世界選手権2017の銅メダリスト、ロシアのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組。SPは冒頭の3ツイストで加点2という極めて高い評価を受けると、続く3トゥループ、スロー3ループも完璧に成功。珍しく演技時間超過で1点減点はありましたが、内容的にはほぼノーミスでトップに立ちます。フリーは大技4ツイストに挑み、加点こそ伸びなかったものの大きなミスなくまとめると、3サルコウ、スロー3サルコウと続けて着氷。次のコンビネーションジャンプがパンクするミスはありましたが、その後は目立ったミスなく演じ切り、国際大会では自身2度目となる140点台をマークしてトップの座を守り切りました。
 2位は世界選手権2017銀メダル、ドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組です。SPは大技スロー3アクセルに果敢に挑戦しますがあえなく転倒。ソロジャンプの3サルコウでも乱れがあり、2位にとどまります。フリーは前半にジャンプ系エレメンツを固め、まずはショート同様にスロー3アクセルに挑みましたが再び転倒。さらに3トゥループ+3トゥループのジャンプシークエンスでも転倒、3サルコウは2回転にとミスが重なります。その後のエレメンツは全てレベル4とさすがの実力を見せつけましたが、タラソワ&モロゾフ組には及びませんでした。
 3位は世界ジュニア選手権2017の王者、オーストラリアのエカテリーナ・アレクサンドロフスカヤ&ハーレー・ウィンザー組。ショートは全エレメンツをクリーンにこなし自己ベストを2点ほど更新して4位発進。フリーはスピンでところどころ取りこぼしは散見されましたが、それでもGOEでマイナスが付く要素は一つもなく実力を出し切って自己ベストを20点以上更新。トータルでも26点以上もパーソナルベストを上回り、シニアの国際大会で初めてのメダルを手にしました。
 日本の須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組は11位となり、平昌五輪での日本のペアの出場権獲得はなりませんでした。SPは序盤のサイドバイサイドの3サルコウで転倒。そのほかのエレメンツは大きなミスなくまとめましたが11位にとどまります。挽回したいフリーでしたが、再び3サルコウで転倒。その後も2つの転倒があり、リフトやスピンでもミスと精彩を欠き13位、総合11位と順位を上げられませんでした。須藤&ブードロー=オデ組のパーソナルベストは164.96点で、それを今大会のペアの結果と照らし合わせても順位は11位ということで、どちらにしてもなかなか厳しい戦いだったのかなと思うのですが、点数的、順位的なことよりも、内容的に彼ららしい演技がほとんどできなかったことの方が大きいのかなと思います。GP初戦のロステレコム杯では何よりも二人らしい演技が見られることを祈りたいですね。


 次は男子。優勝はベルギーのヨリク・ヘンドリックス選手です。ショート、フリーともに4回転には挑まず、その分確実にできるエレメンツを丁寧にこなし、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4という完成度の高い演技を見せ、2位に27点もの差をつけての優勝となりました。
 2位はアメリカのアレクサンダー・ジョンソン選手。こちらもショート、フリーともに4回転はなしで、SPは全体的にクオリティーの高いエレメンツを揃えて2位と好発進。フリーは得点源の3アクセルでミスが相次ぎましたが、それ以外のエレメンツはおおむねコンスタントにまとめ、僅差ながら2位の位置を死守しました。
 3位はスウェーデンのアレクサンデル・マヨロフ選手。ショートは冒頭の4トゥループのミスを最小限に抑えて3位。フリーも4トゥループや3アクセルを大きなミスなく揃えて3位のままフィニッシュしました。

 最後は女子です。優勝はオーストラリアのカイラ二・クレイン選手。ショート、フリー通じて3+3は組み込まずに臨み、ところどころ細かいミスはありましたが大きくリズムを崩すことはなく、ショート1位、フリー2位、総合1位でチャレンジャーシリーズ初優勝を成し遂げました。
 2位はスウェーデンのマチルダ・アルゴットソン選手。こちらも大会を通じて大きなミスなく、また、スピンはほとんどがレベル4と取りこぼしも少なく、自己ベストを12点以上更新。クレイン選手とは0.44点差で2位と惜しくも優勝は逃しましたが、チャレンジャーシリーズでは初めての表彰台となりました。
 3位はスイスのアレクシア・パガニーニ選手。ショートは得点源の3+3や3ループでミスがあり6位と出遅れ。フリーでもちょこちょこミスはありましたが、大崩れすることなく耐えた演技でフリー3位、総合でも3位と追い上げました。



《フィンランディアトロフィー2017》

c0309082_01394171.jpg


 まずは女子の結果からです。優勝はロシアの成長株マリア・ソツコワ選手。SPは演技時間超過による減点こそあったものの内容的には大きなミスなくまとめて2位につけ、フリーは終盤の2アクセルの回転不足がミスらしいミスと言えるくらいの完璧に近い演技を披露し自己ベストを更新。トータルでも自己ベストをマークし、逆転での優勝を手にしました。シニア2季目となるソツコワ選手ですが、この時期としては文句なしの好演だったのではないでしょうか。ロシア女子の国内の争いは非常に厳しいですが、国際大会初戦でいきなりの200点超えは好スタートですし、このあとのGPでのジャッジへの印象も良くなりますから、ソツコワ選手がどんな活躍を見せてくれるのか、期待したいですね。
 2位はイタリアのベテラン、カロリーナ・コストナー選手。SPは得点源のコンビネーションジャンプが入らず痛い得点ロスとなりましたが、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4に加え高い加点を稼ぎ、首位と0.37点差の3位と好位置につけます。フリーも冒頭からジャンプミスが相次ぎましたが、後半のジャンプは致命的なミスなくまとめて2位、トータルでも2位とベテランの底力を発揮しました。地元開催のロンバルディアトロフィーに続きチャレンジャーシリーズ2戦目の出場となったコストナー選手。得点的には前回も今回もさほど悪くなく、むしろシーズン序盤としては上々という印象ですが、内容的にはまだジャンプが不安定ですね。それでも当たり前のように190点台を出せるのがコストナー選手の凄さで、技術点では若い選手たちの後塵を拝しても、演技構成点では遥かに優位に立っているので、やはり強いなと思います。とはいえシーズンも大詰めの頃になれば、今大会のようなミスをしていてはコストナー選手といえども高難度のジャンプ構成を組む選手たちに追いつけなくなってしまう可能性もあるので、今後コストナー選手がどうレベルアップしてくるかに注目ですね。
 3位は元世界女王、ロシアのエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手です。SPはノーミスの演技で極めて僅差ながら首位発進。しかしフリーは序盤に転倒を含むミスを重ね、後半は挽回を見せたものの得点を伸ばし切れず4位、総合3位と順位を落としました。コストナー選手同様、ロンバルディアトロフィーに続いてチャレンジャーシリーズ2戦目だったトゥクタミシェワ選手。メダルを逃したロンバルディアよりは得点も上積みできて良かったのかなと思うのですが、フリーで崩れてしまったという印象があるので今持っている力を出し切れたという感じではないですね。3アクセルもまた見たいなーという気はしますが、まずはショート、フリーを揃えて、トゥクタミシェワ選手らしい演技というのを楽しみにしたいと思います。
 日本の白岩優奈選手は7位に入りました。SPは冒頭の3+3のセカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)と判定。さらに後半の3フリップがパンクして2回転となり規定違反で無得点に。ステップシークエンスやスピンのレベルの取りこぼしもあり、自己ベストより約10点ほど低い得点で8位にとどまります。フリーもまずは3+3からで、出来栄えとしては若干マイナスとなりますが回転不足なく着氷。後半に5つのジャンプ要素を固め、ところどころ細かいミスはありましたが大崩れすることなくまとめ6位、総合7位で大会を終えました。どちらかというと苦さの方が残る試合だったかなと思いますが、ショートのミスをフリーで挽回したのは素晴らしかったですね。8月のアジアンオープンも今大会もジャンプに苦戦している印象でまだ本調子までは遠いのかなと思うのですが、焦らずじっくり本来のジャンプを取り戻してほしいですね。


c0309082_13583755.jpg


 男子の優勝者は世界選手権2016、2017の銅メダリスト、中国の金博洋(ジン・ボーヤン)選手です。SPは大技4ルッツ+3トゥループと3アクセルを決めたものの、後半の4トゥループが回転不足で転倒し2位発進。フリーも冒頭の4ルッツは成功させますが、続く4サルコウは転倒。後半の2本の4トゥループは着氷しますが、3+3は転倒。ミス連発で得点は自己ベストより40点近く低い得点で3位でしたが、トータルでは1位となり接戦を制しました。ショート、フリーそれぞれで4ルッツをクリーンに下りたのはさすがでしたがほかの4回転ではミスが多く、まだまだプログラム全体をまとめる段階までは行っていないのかなという感じですね。とはいえこれだけのジャンプ構成を組める選手は世界でも稀有ですし、やはりここぞという時の爆発力は恐ろしいものがあり、あとは調子が良くない時にいかにミスを最小限に抑えられるかというのも重要だと思うので、オリンピックメダル候補の一人として目が離せない選手ですね。
 2位は世界ジュニア王者、アメリカのヴィンセント・ジョウ選手です。SPは冒頭で大技4ルッツに挑みますが回転不足で着氷も乱れます。しかし続く4フリップ+3トゥループは完璧に成功。が、後半の3アクセルはこちらも回転不足となり、6位にとどまります。フリーもまずは大技4ルッツから、着氷で片手を氷につきますが回転は認定されます。続く4フリップはショート同様にクリーンに成功。さらに4サルコウも着氷と、前半だけで3種類の4回転を跳び切ります。後半は4トゥループを成功させますが1本目の3アクセルがパンクして1回転に。ちょこちょこミスはありましたが大崩れせずまとめてフリー1位、総合2位に躍り出ました。昨季ジュニアながら全米選手権で2位に食い込み、世界ジュニア選手権では男子史上4人目となる4ルッツを成功させて一躍脚光を浴びたジョウ選手。そしていよいよ今シーズン鳴り物入りでの本格的なシニア参戦となったわけですが、さっそくインパクト大の演技を見せてくれましたね。何といっても昨季習得した最高難度の大技4ルッツもそうですが、国際大会では初めて成功させた4フリップ、4トゥループ、以前から跳んでいる4サルコウとすでに4種類もの4回転を自分のものにしていて、正直ジョウ選手がここまで急激に伸びてくるとは想像以上で驚かされました。昨年のフィンランディアトロフィーでは同じくアメリカのネイサン・チェン選手がシニアデビューで初優勝していますが、まさにその再現のような感じもあり、ジョウ選手が昨季のチェン選手のように一気にスターダムを駆け上がるのか、それともどこかで壁にぶつかるのか、どちらにしろ非常に興味深い存在ですね。
 3位はアメリカのベテラン、アダム・リッポン選手です。ショートは4回転を回避し、確実性の高い構成をクリーンに演じ切り3位につけます。フリーは冒頭で4ルッツに挑戦しますが回転不足で転倒。しかしその後は問題なくジャンプをこなし、1本目の3アクセルは着氷で乱れましたが、2本目の3アクセルはしっかりコンビネーションにして成功。スピン、ステップシークエンスは全てレベル4とリッポン選手らしさを示しフリー2位、総合3位となりました。昨季は怪我のためにシーズン後半を休養にあてたリッポン選手。久しぶりの実戦となった今大会、まだジャンプの不安定さは見られたものの、リッポン選手らしさは健在といったところも垣間見られ、復帰戦としてはまずまずの内容だったのではないでしょうか。アメリカ男子も次々に強力な若手が登場してきていますが、表現力という点においてはリッポン選手の右に出る者はなかなかいません。今までオリンピックには縁がなかったリッポン選手ですが、今度こそそのチャンスが巡ってくることを祈りたいですね。


 ペアは中国の彭程(ペン・ジャン)&金楊(ジン・ヤン)組が優勝。ショートは全てのエレメンツを高い質で揃えトップ発進。しかしフリーはサイドバイサイドジャンプとスロージャンプでそれぞれ1度ずつ転倒があり2位、総合では1位となりショートのアドバンテージに救われた形となりました。
 2位はイタリアのニコーレ・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組。SPはツイストとスロージャンプで細かなミスがあり3位。フリーもいくつか小さなミスはありましたが全体的にはまとまった演技で1位、総合2位と順位を上げました。
 3位はソチ五輪銀メダル、ロシアのクセニア・ストルボワ&ヒョードル・クリモフ組。ショートは冒頭のツイストで男性が女性をキャッチする時に長く抱えるような形になってしまい、レベル2どまりの上に減点されるミスがあり3位。巻き返したいフリーでしたが、ツイストはショートと同じようなミスを繰り返してしまいます。その後は難しいスロー3ルッツや3連続コンビネーションジャンプを決め立て直したかに見えましたが、中盤のリフトで女性が落下する大きなミス。さらに2つ目のリフトでも同様に女性が空中でポジションを維持できないまま落下、男性もバランスを崩して転倒します。続くスピンでも男性が体勢を崩し尻もちと信じられないようなミスが相次ぎます。その後の2つの要素は気持ちを切り替えてクリーンにこなしましたが、得点はパーソナルベストから40点ほど低い点数で4位、総合3位に終わりました。


 アイスダンスは前世界王者、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組が圧勝しました。SDはほぼ完璧といっていい演技で自己ベストに0.17点と迫るハイスコアで首位。FDは珍しくステップシークエンスで男性のシゼロン選手が転倒するアクシデントがありましたが、それ以外はクオリティーの高いエレメンツを揃え、断トツで今季初戦を制しました。
 2位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組。SDはミスも取りこぼしもなくまとまった演技で自身2度目となる70点台で2位と好発進。FDも序盤は上々の滑り出しを見せますが、中盤のステップは女性のステパノワ選手が微妙にバランスを崩す場面もありレベルも2で加点もつかず。リフトの時間超過による減点もあり得点はあまり伸びませんでしたが、ショートと合わせて2位のポジションは揺るぎませんでした。
 3位はデンマークのロランス・フルニエ・ボードリー&ニコライ・ソレンセン組です。SDはステップがレベル2にとどまった以外はおおむね高いレベルでエレメンツをまとめ3位発進。FDはリフトで流れが滞るミスがあり減点を受け、2つのステップもレベル2どまりになる取りこぼしもあり5位。ですが総合では3位となり銅メダルを獲得しました。



 ネーベルホルントロフィー2017&フィンランディアトロフィー2017の記事は以上です。チャレンジャーシリーズはこのあとも4試合残っていますが、GPシリーズ前の試合は全て終了ということで、GPに出場するトップ選手たちはこれからいよいよ本格的にシーズンに突入していくということになります。今からがオリンピックへ向けての本当のアピール合戦の場になるといっても過言ではないですから、チャレンジャーシリーズで調整してきた選手たちがそこでつかんだ課題と収穫をGPにどうつなげるか注目ですね。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、ネーベルホルントロフィー2017のアイスダンスのメダリスト3組の画像は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、フィンランディアトロフィー2017の女子メダリスト3選手のスリーショット画像は、フィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式ツイッターから、フィンランディアトロフィー2017の男子メダリスト3選手のスリーショット画像は、「International figure Skating」の公式フェイスブックページから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ロンバルディアトロフィー2017&USインターナショナルクラシック2017―日本勢躍動 2017年9月22日
オータムクラシックインターナショナル2017&オンドレイネペラトロフィー2017―世界王者に明暗 2017年9月30日
ジャパンオープン2017―欧州、3年ぶりの優勝 2017年10月14日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-10-11 18:22 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg


 グランプリシリーズの前哨戦であるチャレンジャーシリーズに組み込まれているカナダ開催のオータムクラシックインターナショナル2017と、スロバキア開催のオンドレイネペラトロフィー2017がほぼ同時期に行われました。オータムクラシックインターナショナルには男子の世界チャンピオンである羽生結弦選手とアイスダンスの世界チャンピオン、テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組が、オンドレイネペラトロフィーには女子の世界チャンピオン、エフゲニア・メドベデワ選手が出場し、オリンピックシーズンの国際大会初戦に臨みました。そのほかにも世界の強豪選手や日本選手が複数出場し、それぞれに活躍を見せました。

*****

《オータムクラシックインターナショナル2017》

c0309082_15263616.jpg


 男子の優勝は2015、2016年の世界チャンピオン、スペインのハビエル・フェルナンデス選手です。SPは冒頭の4トゥループ+3トゥループが4+2になりますが、4サルコウ、3アクセルは難なく決め、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と上々の演技。101.20点で2位発進します。フリーは冒頭の4トゥループを成功させますが、続く4サルコウが3回転になった上にダウングレード(大幅な回転不足)となりさらに転倒というまさかのミス。動揺したのか次の3アクセルからのコンビネーションも2アクセル+2トゥループにとミス連発の前半に。しかし後半は4サルコウ+3トゥループを決めると、その後は大きなミスなくジャンプを立て直しました。得点は177.87点とフェルナンデス選手の実力からすると低調な数字でしたが順位は1位、総合でも1位と逆転優勝を勝ち取りました。
 初戦とあってジャンプの数が多いフリーはミスが目立ってしまい、終盤のステップシークエンスでもレベル2どまりとらしからぬ取りこぼしもありましたが、元々フェルナンデス選手はスロースターターという印象なのであまり不安がる部分はないでしょう。シーズン序盤で苦戦してもシーズンの最も大事なところにはしっかり合わせてくる選手なので、彼にとって演じるのは2度目になるSP「チャップリンメドレー」(以前はフリーで演じていたのでSPとしては初めて)と、故郷スペインを舞台にした「ラ・マンチャの男」という集大成にふさわしいプログラムがこれからどう磨かれていくのかに期待したいですね。

 銀メダルを獲得したのは世界王者、日本の羽生結弦選手です。右膝に違和感があるとのことで通常より難度を落とした構成で臨んだ羽生選手。かつて2季に渡って演じたショパンの「バラード第1番」を三度演じることにしたショートは、まず4サルコウを完璧に決め全ジャッジから満点となる加点3を得ると、後半に組み込んだ3アクセルも加点3。最後の4トゥループ+3トゥループはセカンドジャンプで両手を上げる進化を披露。ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と初戦とは思えない完成度の高さを見せつけ、自身が持つ世界最高得点を約2点更新する112.72点をマークし、圧巻の首位発進となりました。一夜明けたフリー、演技前半には4回転は組み込まない構成を予定し、まずは3ルッツからでしたがこれが珍しく1回転に。続く3ループ、3フリップはしっかり着氷し、後半最初の4サルコウ+3トゥループはパーフェクトに成功。しかし次の4トゥループからの3連続ジャンプが2トゥループからの連続ジャンプになると、直後の4トゥループも再び2回転に。さらに3アクセルで転倒し、2つ目の3アクセルは急遽変更して4トゥループに挑みますがダウングレードでの着氷で大幅に減点され、終始羽生選手らしからぬ演技に終わりました。得点は155.52点とパーソナルベストより60点以上低い点数で順位もまさかの5位、総合2位となりフェルナンデス選手に逆転を許しました。
 世界に衝撃を与えたショートから一転、フリーはまた別の意味で衝撃的な内容となりましたね。フリーの失敗の原因について羽生選手自身は「雑念が多かった」と語り、最初の3ルッツがパンクしたことによってどこで取り返そうかと考えながら滑ったことが集中力を欠いた理由のようです。とはいえ状態が良い時の羽生選手であれば考えながら滑ったとしても冷静にエレメンツをこなせる選手だと思うので、今回はそれ以上に右膝痛で練習できない時期があったことや、それによってジャンプ構成の難度を落とさなければならなかったことや、万全の調整ができなかったことによる微妙な感覚のズレや、いろんなことが重なり合った結果なのかなと思います。それにしても世界最高のショートから3季ぶりのフリー150点台という落差を見るにつけ、つくづくフィギュアスケートはメンタルのスポーツだなというのも感じさせられました。ですが、心技体が全て揃った時の羽生選手の凄みというのはいまさら言うまでもないですが他を寄せつけない圧倒的なものがありますし、今大会は心も技も体も万全ではなかったがゆえのこの演技内容だったと言えますから、次は心技体が揃った羽生選手の姿が見たいですね。もちろん右膝も軽傷とはいえ練習の仕方によっては悪化する可能性もありますし、右膝をかばってほかの部位をということもありえますから、何はなくとも体を第一に次戦に向けて調整してほしいと思います。

 3位に入ったのは地元カナダのキーガン・メッシング選手です。SPは冒頭の4トゥループこそ着氷で手をつきますが、その後の3アクセル、3+3はしっかり着氷。エレメンツのほとんどで加点1以上を獲得し、自己ベストを約10点更新し4位と好位置につけます。フリーは序盤の3ルッツ、4トゥループをクリーンに成功させ好スタートを切りますが、3アクセルからの連続ジャンプはジャンプとジャンプのあいだでバランスを崩し減点されます。後半に入って最初の4トゥループ+2トゥループはきれいに成功。以降は細かいミスを重ねながらも大きくリズムを崩すことはなく滑り切り、約15点自己ベストを更新し銅メダルを手にしました。
 フェルナンデス選手と羽生選手の優勝争いが大会前から確実視されていた中、3位が誰になるかというのは注目ポイントでしたが、メッシング選手というのは大穴でしたね。世界選手権で入賞経験もあるミーシャ・ジー選手やナム・グエン選手、GPで表彰台経験のある村上大介選手やロス・マイナー選手ら実力者が揃う中で、メッシング選手は実績的にも過去の得点を見てもこのメンバーの中では劣るかなという印象だったのですが、一気に30点以上パーソナルベストを更新するとは予想外でした。ジャンプ構成としてはそこまで難易度の高いものではなく、得点源の4回転や3アクセルでもちょこちょこミスは犯していますし、ステップシークエンスはショートがレベル2、フリーがレベル1と取りこぼしも多いのですが、成功させたエレメンツの加点は全体的に高く演技構成点も8点台を揃えられたことが銅メダルに繋がりましたね。

 故障からの復帰を図る日本の村上大介選手は8位となりました。ショートは4サルコウで転倒、3アクセルも乱れ、後半の3+3も3+2にとミスが相次ぎ、70.09点で7位にとどまります。巻き返したいフリーでしたが、冒頭の4サルコウの着氷でステップアウトし手をつくと、続く2本目の4サルコウは3回転に。次の3アクセル+2トゥループは成功させますが、後半の3アクセルは転倒。その後も細かいミスが重なり得点は伸ばせず130.50点で8位、総合も8位と順位を一つ落としました。
 右足甲の負傷で昨シーズンを棒に振った村上選手。約1年ぶりの試合で存在感をアピールしたいところでしたが、ジャンプが不安定で演技全体にも精彩を欠きました。この大会の前にスケート靴が壊れてしまいその靴のままで試合に臨まざるをえず、本人の弁では着氷が「ぐにゃって感じ」で踏ん張りが利かなかったようですね。今回は残念な結果に終わりましたが、村上選手の言葉や表情は明るく、スケート靴が故障する前は練習で4フリップも着氷していたとのことですから、次の試合こそ本来の村上選手らしい演技が見られることを祈りたいと思います。


c0309082_16051095.jpg


 女子は世界選手権銀メダリストで地元カナダのケイトリン・オズモンド選手が断トツで優勝。ショートで3+3、3ルッツ、2アクセルと全てのジャンプをクリーンに着氷。ステップシークエンス、スピンも質の高いものを揃えて、自己ベストに極めて近い得点で圧巻の首位発進を果たします。フリーは冒頭の3+3、2アクセル+3トゥループを完璧に成功させ、続く3ルッツは着氷で若干こらえますが大きなミスにはならず。しかし中盤のレイバックスピンの後、次の動作に移る際にスケート靴のエッジが氷に引っかかったのかお腹側から転倒してしまいます。一瞬痛そうな表情を見せましたがすぐに演技に戻り、後半は3連続ジャンプが2連続となったり2アクセルが1回転になったりする細かな取りこぼしはありましたが、大崩れすることなくまとめて自己ベストを0.19点上回り、2位に18点以上の大差をつけての優勝となりました。
 SPはシーズン開始時はジャズのスタンダードナンバー「サマータイム」を用意していましたが、今大会から昨季の「パリの空の下/ミロール」に変更。「パリの空の下/ミロール」はオズモンド選手の代表作といってよいハマりプログラムとあって、昨シーズンからの流れのままの素晴らしい内容とスコアでしたね。フリーは細かなジャンプミスもあり、つなぎの部分で転倒するアクシデントもあり、演技そのものとしてはふわっとした感じになってしまったかなと思うのですが、この時期なので当たり前といえば当たり前ですね。ショートに関してはすでに体になじんだプログラムとあって全く心配はないですから、あとはフリー次第でオリンピックでメダルを取れるか否かというのも左右されそうな気がします。

 2位は昨季の四大陸選手権女王、日本の三原舞依選手です。ショートは冒頭の3+3を確実に下り、後半の2アクセルも着氷とスムーズな流れで演技を進めますが、最後の3フリップが間違ったエッジで踏み切ったと判定されて大きく減点。目立ったミスなく演技を終えましたが、得点は伸び切らず自己ベストより6点近く低い点数で2位となります。フリーも冒頭の3+3、2アクセルをクリーンに着氷。後半に5つのジャンプ要素を固め、最初はショートでエッジエラーを取られた3フリップでしたが、再びエッジエラーとの判定。続く2アクセル+3トゥループは2つ目が2回転となりますが急遽2ループを付けて3連続コンビネーションに変更。3ループはきれいに成功させ、単独予定だった3ルッツに3トゥループを付けて冷静なリカバリーを見せますが、最後の3サルコウは珍しく2回転に。得点は自己ベストから13点ほど低い得点にとどまり、順位もショートから変わらず2位で今季初戦を終えました。
 ショート、フリーともに3フリップでエッジエラーを取られたのは意外でしたが、昨季はルッツとフリップの跳び分けは正確にできていたので、もう一度練習でコーチとともにしっかり修正すれば心配はないのかなと思います。3回転が2回転に抜けたジャンプも2つありましたが、ちょっとしたタイミングのズレだと思うので大きな問題ではないでしょう。表現面に関してはSPは三原選手にとって初ジャンルとなるタンゴということで、まだ少しぎこちなさがうかがえました。タンゴ特有の妖艶さを醸し出すための丁寧な努力は伝わってきたのですが、目線の送り方や細かい仕草、緩急の付け方など、さらにスムーズかつ洗練されればよりタンゴらしくなるなと感じましたね。ですが、元々持っている滑らかでスピード感溢れるスケーティングとタンゴのリズムとの相性はとても良いと思うので、完成形を楽しみにしたいです。フリーは全体的に優しい曲想ですが、終盤のステップシークエンスのところでガラリとイメージが変わるので、その部分でもっとメリハリをつけられると音楽の壮大さを表現できるのかなと個人的には思いました。シニア2季目となる今季は怖いもの知らずだった昨季とは心のありようが全く違うと思いますが、1つ1つの試合、目の前の演技のことだけを考えて、三原選手らしくシーズンを送ってほしいですね。

 3位はカザフスタンのエリザベート・トゥルシンバエワ選手です。ショートは3+3がどちらのジャンプも回転不足と判定、単独の3フリップもミスがあって得点が伸びず5位。フリーはところどころジャンプの着氷で踏ん張る場面はありましたが、ほぼノーミスの演技で自己ベストに約2点と迫るスコアで3位、総合3位と順位を上げました。
 ショートは3+3がファーストジャンプもセカンドジャンプも回り切らずというミスがありましたが、フリーでは後半に3+3と2アクセル+3トゥループを入れてしっかり回り切って下り、見事な修正能力を見せました。また、フリーは多くのジャンプで手を上げて跳び、昨季からのレベルアップが明確にうかがえましたね。ジャンプに高さや幅がないトゥルシンバエワ選手にとっては、よりGOEで加点を得るための合理的な工夫だなと思います。

 今季シニアデビューの日本の新田谷凛選手は6位となりました。SPは冒頭の3フリップがアンダーローテーション(軽度の回転不足)で転倒。後半の3ルッツも着氷でバランスを崩し2トゥループを付けたもののコンビネーションとは認められず。最後の2アクセルはしっかり着氷しましたが、ジャンプミスが響きパーソナルベストより14点以上低い得点で9位と出遅れます。フリーは冒頭の3サルコウで両手を上げて跳びますが転倒と暗雲が漂うスタートとなります。しかし続く3フリップ、3ループはクリーンに成功。後半もほぼ全てのジャンプをきれいに跳び切り、演技後はホッとしたような笑みを浮かべました。得点は自己ベストとなる114.37点でフリー5位、総合6位と大きく順位を上げました。
 ショートは慎重になりすぎたのかジャンプの際に硬さが見られましたが、フリーは演技が進むにつれて柔らかさが増していったような印象でした。新田谷選手は現在20歳とシニアに上がる年齢としては遅い方ですが、じっくり腰を据えてジュニアで経験を積み、培ったものを大切にして、でも思い切りの良さも忘れずに今季は頑張ってほしいですね。


 ペアはフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組が優勝。ショートはほぼ完璧な演技でしたが時間超過があって減点1、自己ベストまで約2点という得点で2位につけます。フリーは3トゥループからの3連続ジャンプが2+2+2に抜けたものの、直後の大技スロー4サルコウは両足着氷と最小限のミスでこらえます。後半のスロー3ルッツでは転倒してしまいますが、おおむねミスを少なくエレメンツのクオリティーも高く揃えて、フリー1位、総合1位と逆転で金メダルを獲得しました。チャレンジャーシリーズでの優勝は初めてのジェームズ&シプレ組。昨シーズンは欧州選手権で初めて表彰台に立って一段階ペアとしてのレベルを上げましたが、今季さっそく優勝したことでさらに飛躍を遂げそうですね。特にスロー4サルコウは世界の表彰台を狙う上で強力な武器になるので、まずはGPの初優勝に期待したいですね。
 2位は元世界チャンピオン、カナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組です。ショートはさすがの演技で首位に立ちましたが、フリーは演技序盤のサイドバイサイドのジャンプで女性のデュハメル選手の転倒が相次ぎ、大技のスロー4サルコウも転倒。後半は立て直しましたが前半のミスが響き、自己ベストから27点以上低い得点で3位、総合2位にとどまりました。昨季はシーズン終盤に調子を落とし不完全燃焼のシーズンとなったデュハメル&ラドフォード組。復活を期する今季の初戦は残念ながららしくない演技に終わってしまいました。このペアが無敵状態だった時のジャンプの安定感が最近は見られないので、GPでいかに巻き返してくるのか注目ですね。
 3位は同じくカナダのジュリアン・セガン&シャルリ・ビロドー組です。ショートはサイドバイサイドの3サルコウが2回転になって3位発進。フリーは序盤のコンビネーションジャンプで着氷が乱れますが、それ以外はほぼノーミスでまとめて2位、総合3位となりました。


 アイスダンスは世界王者、カナダのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイアが圧勝。ショート、フリーともにステップ以外は全てレベル4と他のカップルを全く寄せつけず、2位に20点以上の大差をつけて昨年に続き2連覇を達成しました。
 2位はカナダ選手権2位のケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組。SDはツイズルで女性のウィーバー選手がわずかにバランスを崩し減点となり2位。FDはほぼノーミスでしたが加点を思ったほど伸ばせないエレメンツもあり2位、総合2位となりました。
 3位もカナダのパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組。SDはパターンダンスのレベルが2にとどまり3位。FDはおおむねレベルもGOE加点も揃えましたが、2位と約1点差で3位と逆転は叶いませんでした。



《オンドレイネペラトロフィー2017》

c0309082_18050892.jpg


 まずは女子から。優勝は世界女王のエフゲニア・メドベデワ選手。SPは昨季同様全てのジャンプを後半に組み込みその全てを完璧に成功。ステップシークエンス、スピンもレベル4で、加点は全部が1点以上と初戦とは思えないレベルの高さを見せつけ、自身2度目となる80点台をマークして圧巻の首位発進。フリーは7つのうち6つのジャンプ要素を後半に固め、若干苦手としている3ルッツが踏み切りが不正確となり着氷でもオーバーターン、3サルコウ+3トゥループは微妙に詰まり気味となりましたが、ミスらしいミスなく演技をまとめ、堂々の完全優勝を果たしました。
 毎回のようにパーフェクトな演技を見せ続けるメドベデワ選手にしては、フリー後半の3ルッツや3+3はいつもとは違う出来だったかなと思いますし、ステップシークエンスもレベル3ということで本当の意味で完璧とは言えませんが、それは世界選手権2連覇中で世界最高得点保持者のメドベデワ選手だからこそ要求されるレベルや質が他選手とは段違いということであって、普通に考えれば充分に素晴らしいと言える演技でしたね。初戦ゆえの難しさ、慎重さというのは世界女王といえどもあったとは思いますし、今回見られた小さな綻びも修正に時間がかかるようなものではないように見受けられるので、次戦のジャパンオープンでメドベデワ選手がどんな演技を見せてくれるのか大いに期待したいですね。

 2位に入ったのは日本の本郷理華選手です。ショート冒頭の3+3はセカンドジャンプがアンダーローテーションの判定。しかし後半の苦手の3ルッツ、2アクセルはクリーンに下りて自己ベストに3点と迫るスコアで2位と好発進します。フリーも冒頭の3+3はセカンドジャンプが回転不足となり、3ルッツは踏み切りが不正確となって若干減点を受けます。後半も2アクセル+3トゥループの2つ目が回転不足、3ループはダウングレード(大幅な回転不足)で転倒とミスが重なりますが、終盤は立て直して最後までスピード感を保ってフィニッシュ。得点は123.49点と2季ぶりに国際大会で120点台をマークし2位、総合でも2位で銀メダルを手にしました。
 ショート、フリーともにミスがあり本郷選手自身は納得がいかなかったかもしれませんが、初戦としてこの出来であれば及第点なのではないかと個人的には感じました。アンダーローテーションを取られたジャンプは本当にあともう少しの跳び上がりがあればという感じでしたし、3ルッツもロングエッジ(完全に間違ったエッジ)ではなく、ノットクリアエッジ(不明瞭なエッジ)にとどめたのは良かったと思います。昨季から苦労している3ループの課題は残りましたが、演技全体の動きは本郷選手らしい躍動感が見られ、そういった点が評価されたのか昨季はほぼなかった演技構成点の8点台を2項目でマークし、昨シーズンは国際大会で一度もなかったフリー120点台を初戦で出せたということで、幸先の良いスタートと言えるのではないでしょうか。昨季から継続のSPはもちろん、新しいフリーも本郷選手の魅力をよく引き出していると思うので、自信を持って次戦に臨んでほしいですね。

 3位はロシアの実力者、エレーナ・ラディオノワ選手です。SPは得点源の3+3と2アクセルでミスが続き、自己ベストより8点ほど低い得点で3位にとどまります。フリーは序盤に3ルッツと3フリップをしっかり着氷。後半に5つのジャンプ要素を固め、最初の3+1+3は全てのジャンプをきっちり回り切って着氷。続く3フリップ+2トゥループはジャンプ自体に問題はなかったものの3フリップの踏み切りがロングエッジのため減点。2アクセルはクリーンに成功させ、続いて3ループでしたが跳び上がろうとした瞬間に靴のエッジが氷の溝にはまったのか跳び上がれず転倒してしまいます。直後の2アクセルは予定どおり跳び切り、次に急遽3ループを跳んで着氷させましたがこれは8つ目のジャンプ要素になるため跳び過ぎで認められず。アクシデント的な転倒にも負けず力強く演じ切りましたが、117.79点で4位、総合3位と順位はショートから変わりませんでした。
 近年はスレンダーな体形は保っているものの高身長の影響もあってかジャンプの回転不足が目立つラディオノワ選手。それによって引き起こされる負のスパイラルが続いているような印象ですが、ミスがあってもめげない明るいキャラクターがラディオノワ選手の魅力でもあって、今回のフリーの転んだジャンプにもう一度挑むという姿は結果として実らなかったものの、彼女らしい攻める姿勢を感じましたね。ロシア女子たちの国内の競争は世界一過酷ですが、ラディオノワ選手らしい演技と気持ちの強さで勝ち抜いてほしいなと思います。


c0309082_00274996.jpg


 男子の優勝はロシア王者のミハイル・コリヤダ選手。SPはまだ試合で成功させたことのない大技4ルッツにチャレンジし回転は認定されたものの転倒。続いて4トゥループからの連続ジャンプの予定でしたが、3回転になった上に着氷でも乱れて単独ジャンプに。さらに最後の3アクセルは1回転となり、演技を終えたコリヤダ選手は呆然としたような表情を浮かべました。得点は演技時間超過による減点1も加えて66.65点でまさかの10位と大きく出遅れます。中1日で迎えたフリー、冒頭は再び4ルッツに挑戦、これを完璧に成功させます。続く4サルコウは回転は充分でしたが転倒。次の3アクセル+2トゥループは問題なく着氷します。後半は3種類目の4回転である4トゥループでしたが、空中で軸が曲がり再び転倒。しかし3アクセル、3+1+3、3ループと相次いで成功。最後の3ルッツはこれも軸が曲がって着氷はステップアウトしました。得点は自己ベストに迫る181.16点でフリー1位、総合1位とショート10位から大逆転を果たしました。
 ショートはまさかの60点台というボロボロの内容で、優勝の可能性は消えたかと思わせられましたが、フリーはいろんな意味でサプライズの連続でしたね。まず冒頭の4ルッツの成功。ショートで転倒したとはいえ回り切っていたので成功は時間の問題だったのかもしれませんが、初成功とは思えないくらい素晴らしい質でした。これで4ルッツの公式試合での成功者はアメリカのブランドン・ムロズさん、中国の金博洋(ジン・ボーヤン)選手、アメリカのネイサン・チェン選手に続く4人目となりました。ですが、その後の演技では4サルコウと4トゥループで転倒。1つのプログラムの中で明と暗が如実に表れた内容でしたが、4サルコウも4トゥループも回り切ってからの転倒だったのでそんなに大きな修正は必要ないのかなと思います。このフリーだけを見ても、ポテンシャルの高さは証明済みと言えるコリヤダ選手ですが、あとはどれだけ一定以上のレベルの演技を見せ続けられるかだけだと思うので、GPでの活躍を楽しみにしたいですね。

 2位は同じくロシアのベテラン、セルゲイ・ボロノフ選手です。ショートは4トゥループで転倒しますが、ほかのエレメンツは予定どおりにこなし80点台をマークしてトップ発進。フリーは序盤に得点源となる4トゥループや3アクセルを固めミスが重なりますが、後半は挽回して2位、総合も2位となりました。
 決してジャンプは本調子ではなかった印象ですが、それでも大崩れしないのは経験の豊富さゆえでしょうか。内容的にもスコア的にも世界のトップレベルで戦っていくためには物足りませんが、混沌としているロシア男子の五輪の代表争いの中では充分に競える力は持っているのかなと思いますね。

 3位はオーストラリアのブレンダン・ケリー選手。SPは3つのジャンプ要素全てで何かしらのミスを犯し5位。フリーも2本の4トゥループに失敗しますが、そのほかのジャンプはほぼノーミスでまとめて3位、総合3位と順位を上げました。
 ケリー選手はこの前週のロンバルディアトロフィーにも出場して3位。今大会はショートで出遅れたものの、ショートで上位につけた選手がことごとくミスを重ねて脱落していき結果的に2週連続で銅メダルを手にするという結末になりました。4トゥループはショート、フリー通じて安定しなかったものの、ほかのジャンプでミスを最小限に抑えたことが銅メダルに繋がったのだと思いますが、パーソナルベストで自身を上回る選手たちを差し置いて銅メダルを獲得できたというのは、“持ってる”選手とも言えるなと感じました。

 日本の田中刑事選手は総合8位と消化不良の結果に終わりました。SPは冒頭の4サルコウが3回転となったものの、以降の3+3、3アクセルはまとめて4位と好位置につけます。しかしフリーは冒頭の4サルコウが回転不足となって転倒すると、中盤の4サルコウ、3アクセルでも転倒を連発。終盤の3フリップ、3ループがそれぞれ2回転となるミスもあり、121.37点というロースコアで9位、総合8位と大きく順位を落としました。
 多少波がありながらも最近はまとめる力をつけてきた田中選手にしては大荒れな内容でしたね。全体を通して4サルコウは不調だったようですが、そうした一つのズレからどんどん歯車が噛み合わなくなっていったようなフリーでしたね。本人がいちばんふがいなさを感じる内容だと思うので、これがGPや全日本選手権でなくて良かったと思うくらいの余裕を持って、次戦では奮起して田中選手らしい演技を見せてほしいですね。

 同じく日本の日野龍樹選手は11位となりました。SPは冒頭の4トゥループこそダウングレード(大幅な回転不足)で着氷を乱しましたが、その後の3アクセル、3+3は安定した跳躍を見せ、67.25点で6位発進とします。フリーもまずは4トゥループからで、一見クリーンに着氷したかに見えましたがダウングレードと判定されます。次は3ルッツは転倒。次の3アクセル+2トゥループはジャンプとジャンプのあいだにターンが入り減点。その直後の3ループは再びダウングレードで転倒とミスジャンプが続きます。後半に入って最初の3アクセルはクリーンに下りますが、続く3ルッツ、3フリップと転倒。最後の3+3は決めましたが、4度の転倒が響き得点は117.08点で11位、総合でも11位と振るいませんでした。
 まずまずまとめたショートから一転、フリーは途中から何かに狂いが生じてしまったかのような崩れ方でしたね。踏み切りや着氷のタイミングだったり、空中での軸の作り方だったり、体重を乗せるポイントだったり、いろんな部分がどんどんずれていったのかなという気がしました。悔しさしか残らない内容だと思いますが、これ以上悪いということは今季はもうないという見方もできるので、次戦に向けてうまく調整していってほしいですね。


 ペアは6組のみの出場でトップスリーをロシア勢が独占。優勝したのはナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組で、SPは細かなミスが複数あり2位発進。フリーもミスはありましたが最小限のミスに抑えて同国のライバルを逆転しました。これでザビアコ&エンベルト組は前週のロンバルディアトロフィーに続き2週連続優勝。まだシーズン序盤なので何とも言えませんが、ひとまずジャッジに対してのアピールは大成功したといってよさそうですね。
 2位はクリスティーナ・アスタホワ&アレクセイ・ロゴノフ組。SPは全てのエレメンツで加点を引き出し自己ベストで首位発進。フリーは前半のソロジャンプで小さなミスが重なり、ザビアコ&エンベルト組に約1点の僅差でかわされました。
 3位はアリサ・エフィモワ&アレクサンドル・コロヴィン組。ショートはミスを3サルコウの着氷ミスのみにとどめて自己ベストで3位。フリーはソロジャンプで転倒とコンビネーション予定のジャンプが単独になったことによる減点がありましたが、そのほかはそつなくまとめてショートに続き自己ベストで3位、総合3位で大会を終えました。


 最後はアイスダンスの結果です。金メダルを獲得したのはロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組です。SDはツイズルの途中でタイミングがずれるミスがありましたが、そのほかは無難にまとめて首位に立ちます。FDはステップ以外のエレメンツを全てレベル4で揃え自己ベストに約1点と迫る高得点をマーク。トップを守り切りました。
 2位は今季シニアデビューの世界ジュニア王者、アメリカのレイチェル・パーソンズ&マイケル・パーソンズ組です。SDは自己ベストまであとわずかという得点で2位と好発進。FDはステップが1つレベル2にとどまり得点を伸ばし切れず3位でしたが、トータルでは2位となり、ISU主催のシニアの国際大会での初表彰台となりました。
 3位はロシアのベティナ・ポポワ&セルゲイ・モズコフ組。SDは2つのスピンが両方ともレベル2にとどまりましたがわずかに自己ベストを更新して3位。FDはツイズルがレベル2となる取りこぼしはありましたが、そのほかはおおむね質の高いエレメンツを揃えて自己ベストを6点以上更新し2位、総合3位でシニアの国際大会では初めてのメダルを手にしました。



 ということで、オータムクラシックインターナショナル2017とオンドレイネペラトロフィー2017については以上です。前者には男子の世界王者とアイスダンスの世界王者が、後者には女子の世界王者が出場ということで、フィギュアファンの注目が集まりましたが、“明”の結果となったヴァーチュー&モイア組、メドベデワ選手と対照的に、羽生選手は“暗”の面がより目立つ結果となりました。もちろんこの時期なので深刻にとらえることは全くなく、失敗することで課題を見つけて強化するための調整試合なので、次の試合でその課題がどう修正されているかに注目したいと思います。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、オータムクラシックインターナショナルの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、オンドレイネペラトロフィーの画像は、フィギュアスケートフォトグラファー、Joanna Grams氏の公式ツイッターから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ロンバルディアトロフィー2017&USインターナショナルクラシック2017―日本勢躍動 2017年9月22日
ネーベルホルントロフィー2017&フィンランディアトロフィー2017―日本、五輪団体戦出場へ前進 2017年10月11日
ジャパンオープン2017―欧州、3年ぶりの優勝 2017年10月14日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-09-30 01:46 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg


 本格的なシーズン開幕前の小手試しの場となるチャレンジャーシリーズが始まりました。チャレンジャーシリーズは全10試合からなる大会の総称ですが、グランプリシリーズとは違ってファイナルのような試合はなく、トップ選手たちにとってはあくまでグランプリシリーズ前の調整の場という意味合いが強い前哨戦です。
 そんなチャレンジャーシリーズですが、今年は時をほぼ同じくしてイタリアのベルガモで行われたロンバルディアトロフィーとアメリカのソルトレイクシティで行われたUSインターナショナルクラシックで幕を開けました。複数の日本選手が表彰台に上る活躍を見せ、オリンピックシーズンの始まりとしてこれ以上ないスタートダッシュとなりました。まずはロンバルディアトロフィー、そのあとUSインターナショナルと内容をざっくりまとめていきたいと思います。

*****

《ロンバルディアトロフィー》

c0309082_17361031.jpg


 まずは男子から。優勝したのは日本の宇野昌磨選手です。ショート、フリー通じてほぼノーミスという初戦とは思えない完成度の高さで他を圧倒、ショート、フリーともに自己ベストを更新し、総合319.84点という驚かんばかりの高得点で優勝に花を添えました。
 内容的には言うことなしのパーフェクトに近い出来で、ショートは4フリップ、4トゥループ+3トゥループ、3アクセル、フリーは4ループ、4サルコウ、3アクセル+3トゥループ、4フリップ、4トゥループ+2トゥループ、4トゥループ、3アクセル+1ループ+3フリップ、3サルコウと全てのジャンプを着氷。唯一失敗らしい失敗といえばフリー冒頭の4ループの着氷が乱れたくらいで、それでもその次には自身初挑戦となる4サルコウをあっさりと決め、昨シーズン後に掲げていた新しい種類の4回転習得という一つの目標を早くもこの時点でひとまず達成したことになり、本人も「初戦から良すぎて逆に不安」と言っているとおり、出来すぎなくらい出来すぎでしたね。特に4サルコウはあまりにも簡単に決めたので、見ていてあれっ?と拍子抜けするくらいでしたが、宇野選手によると本来は4ルッツを跳ぶつもりで練習していたのを急遽4サルコウに変更したとのこと。4サルコウについては前々から宇野選手は苦手意識があると発言していて、むしろ4ルッツの方が可能性が高いというようなニュアンスだったと思うのですが、インタビューでは夏のシカゴ合宿の時まで4サルコウはプログラムに入れるつもりは皆目なかったものの、コーチに言われて練習を始め、確率は4ルッツの方が良かったけれどもやっていくうちに4サルコウの方が失敗してもほかのジャンプに響かなかったため、とりあえずプログラムに入れる方向に転換したということのようです。それでも実際に試合でやる気はなく成功するイメージもなかったそうですが、今回成功させられたことで「4フリップより確率が良くなるジャンプ」「挑戦ジャンプじゃなくて自分を手助けるジャンプにしたい」と4サルコウに対する認識が変わったようで、このあとオリンピックに向けてどういう構成になっていくのか、そして5種類目の4回転となる4ルッツの今季中の成功もあるのかどうかなど、気が早すぎるかもしれないのですが、一ファンとして勝手に想像を繰り広げてしまうくらい、それくらいシーズン初戦としてあまりにも衝撃的で華麗な優勝劇でした。
 表現面という点ではさすがに初戦とあって緩急だったり要素間の密度だったりは本人も言っているように物足りなかったかなと思うのですが、フリーの方は2季前と同じ「トゥーランドット」なので体に馴染んでいるような感じは見受けられましたし、何といってもシーズンは始まったばかりどころか本格的な開幕はこれからという段階なので、ショートもフリーもどのように進化して魅せてくれるのか期待したいですね。

 2位はアメリカのジェイソン・ブラウン選手。ショートでは4トゥループに挑み残念ながらダウングレード(大幅な回転不足)で転倒となったものの、そのほかのジャンプはフリーも含め大きなミスなくまとめ、昨年と同じ銀メダルを獲得しました。
 4回転に関してはショートでダウングレードだったということもあってかフリーでは回避しましたが、そのほかの部分はさすがブラウン選手という美しさでした。ショートはミュージカル音楽ですが、変則的なリズムでところどころ歌詞がセリフっぽくなるところもあり、にもかかわらず曲とぴったりマッチした動きができていて、これだけ難しいプログラムを滑りこなせるのはブラウン選手だからこそだなと感じました。一転フリーは静かなピアノの音色で幕を開け、徐々に力強さと壮大さを増し、終盤はオーケストラでドラマチックに締めくくられるプログラム。静けさも激しさも見事に演じ分けられるブラウン選手の表現力を存分に活かした作品という印象で、こちらもシーズン初戦とは思えない音楽との一体感からはすでに傑作の匂いがぷんぷんしましたね。このプログラムがさらに磨かれて完成される日が今から待ち遠しく思います。

 3位はオーストラリアのブレンダン・ケリー選手。SPは冒頭の4トゥループこそステップアウトしましたが、続く4サルコウ+2トゥループ、3アクセルはクリーンに成功。最小限のミスに抑えて3位発進。フリーはショートで成功させた4サルコウが3サルコウになり、3アクセル2本でも細かいミスが重なり5位にとどまりましたが、ショートのアドバンテージで何とか逃げ切って銅メダルを獲得。ケリー選手にとってチャレンジャーシリーズの大会での表彰台は初めてとなりました。

 もう一人の日本代表、佐藤洸彬選手は12位となりました。SPは冒頭の3アクセル、4トゥループと転倒が続き、後半のコンビネーションジャンプも2ルッツ+3トゥループにと立て直せず、17位にとどまりました。フリーは2本の4トゥループに挑みどちらも転倒に終わったものの、2本の3アクセルは大きなミスなくまとめて10位、自己ベストで総合12位まで順位を上げました。
 今季はNHK杯の出場が決まっている佐藤選手。その前にこのロンバルディアトロフィーで存在をアピールしておきたいところでしたが、なかなかリズムに乗りきれなかったのかなという印象ですね。NHK杯までは時間がありますから、今度こそ佐藤選手の本領発揮となるよう楽しみにしたいですね。


c0309082_15423482.jpg


 女子の優勝はこれがシニアデビューとなったロシアのアリーナ・ザギトワ選手。言わずと知れた昨季の世界ジュニア女王ですが、昨季同様にショート、フリー全てのジャンプを後半に固める驚異的な戦略を組んで臨み、SPこそ珍しく2アクセルで転倒するミスがありましたがそれでも自己ベスト更新で3位。フリーは全てのジャンプを完璧に着氷しやはり自己ベストを更新して逆転でシニアデビュー戦を優勝で飾りました。
 ジュニアの世界最高得点保持者とあって鳴り物入りでのシニア参戦となったザギトワ選手ですが、その名に恥じぬ演技をさっそく見せてくれましたね。彼女の強みは何といっても全てのジャンプを後半に跳ぶスタミナと、大半のジャンプで手を上げて跳べる技術力の高さで、今大会もその強みがいかんなく発揮されていました。この演技を見る限りオリンピック代表に入ってくる可能性はかなり高いのではないかと思わされましたし、まだ今季はそこまで身体的な変化がないという点でも安定感があって、一気に五輪のメダル争いにも絡んでくる存在になりそうですね。個人的には全ジャンプを後半に持ってくるというのはバランスが偏っていてあまり好きではないのですが、戦略的には効率的に得点アップを望める方法であるのは間違いないですし、ザギトワ選手のフリー「ドン・キホーテ」を見ていると前半はゆったりとしたパートでコレオシークエンスとステップシークエンス、後半に入ると徐々にテンポアップし、その盛り上がりに合わせてたたみかけるようにジャンプを連発するさまは痛快さを感じさせて、プログラムとしてもよくできているなと感じます。ザギトワ選手が今シーズンの女子フィギュア界の勢力図にどんな影響をもたらすのか、楽しみ&戦々恐々ですね。

 2位に入ったのは日本の樋口新葉選手です。ショート、フリーともに全ての要素で加点を引き出すほぼパーフェクトな内容で、ショートとトータルの自己ベストを更新しました。
 ショート「ジプシーダンス バレエ「ドン・キホーテ」より」、フリー「映画『007 スカイフォール』より」ともに樋口選手の持ち味であるパワフルさを活かしつつも、女性的な柔らかさもうまくミックスされていて素晴らしかったですね。もちろんシーズンは始まったばかりも始まったばかりなので、プログラムとしてまだまだ改善できるところはあると思うのですが、この時期としては思った以上にプログラムとの調和が素晴らしかったので非常に今後に期待が持てましたし、今大会の女子は全体的に気前の良い得点傾向だったかなという気はするのですが、何にしてもこのスコアが今シーズンのベースとなっていくことは間違いないので、国際大会初戦でこの点数を得られたというのは樋口選手にとって大きなメリットだと思いますね。

 3位には地元イタリアの大ベテラン、カロリーナ・コストナー選手が入りました。SPは3+3を回避しながらも演技をそつなくまとめ2位と好発進。しかしフリーは複数のミスが重なって技術点を伸ばし切れず5位。総合では3位と何とか表彰台に留まりました。
 高い演技構成点を武器にメダルはしっかり獲得しましたが、本来のコストナー選手の姿からはほど遠く物足りない内容だったと言えるでしょう。いくら演技構成点が高いといっても若い選手たちは難しいジャンプ構成を確実にこなしてくるので、そこまでジャンプ構成の難易度が高いわけではないコストナー選手としては、要素を完璧に取りこぼしなく揃えなければトップに立つのは厳しいのかなと思います。しかしスケーティング技術や表現力は彼女にしかない唯一無二の武器ですし、ジャンプが決まればそれがさらに際立たせられるわけなので、次の試合こそカロリーナ・コストナーここにあり、という演技で若い選手たちを圧倒する姿を見せてほしいですね。

 日本の松田悠良選手は今までの自己ベストを16点以上更新する会心の演技で5位と健闘を見せました。特にSPの3フリップ+3ループ、フリーの2アクセル+3トゥループ+3ループといった、得意ではあるものの回転不足を取られることが多かったジャンプで回転を認定されていたのは大きかったですね。同時期に行われたUSインターナショナルクラシックと比べるとロンバルディアの女子はアンダーローテーション(軽度の回転不足)の数が全体的に少なかったので、もしかしたらロンバルディアのスペシャリストの方が回転のグレーゾーンに対して若干優しかったのかなという気もするのですが、私が見る限り松田選手の3+3や2アクセルからの3連続はきっちり回り切っていたように見えましたから、この調子で世界でも稀有なこれらの技の精度をさらに高めていってほしいなと思います。今季はGPのエントリーがないのが残念なのですが、そのほかの大会で今回のようにどんどん存在をアピールしていってほしいですね。


 ペアはロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組が優勝。自己ベスト更新はなりませんでしたが、ショート、フリーともにミスの少ないまとまった演技で完全優勝を果たしました。
 銀メダルは地元イタリアのニコーレ・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組。フリーでは2度の転倒がありましたが、フリー、トータルでは自己ベストに迫る得点をマークしました。
 3位もイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組。ショートでは複数ミスがあり3位、挽回を狙ったフリーでも転倒があって順位を上げることは叶わず、スコア的にもパーソナルベストから20点以上低い得点にとどまりました。


 アイスダンスはこちらもイタリアのシャルレーヌ・ギニャール&マルコ・ファッブリ組が優勝しました。SDで1位につけると、FDはリフトでミスがあり得点を伸ばし切れなかったものの、2位を寄せつけず断トツでの優勝となりました。
 2位は今季シニアデビュー、ロシアのアッラ・ロボダ&パヴェル・ドロースト組。ショート、フリーともにそつなくまとめてシニアデビュー戦を銀メダルで飾りました。
 3位はウクライナのアレクサンドラ・ナザロワ&マキシム・ニキーチン組。ショートはレベルの取りこぼしが多々あり4位にとどまりましたが、フリーで挽回し3位に上がりました。

 日本の小松原美里&ティモシー・コレト組は8位、深瀬理香子&立野在組は11位という結果となっています。



《USインターナショナルクラシック》


c0309082_15300771.jpg


 女子はこれがシニアデビューとなった日本の本田真凛選手が金メダルを獲得しました。ショートをノーミスでまとめ首位に立つと、フリーは後半の3サルコウが2回転になるミスはありましたが、そのほかはほぼ完璧な内容でトップを守り切りました。
 シニア初戦、そして標高1300メートルという慣れない土地での試合ということを考えても上々のスタートでしたね。得点的には同時期に行われたロンバルディアトロフィーで同じく今季シニアデビューのザギトワ選手が210点を軽く超えているのと比べると物足りない気もしますが、ロンバルディアの方が気前が良すぎでUSインターナショナルの方が普通な感じもするので、あまり気にすることはないのかなと思います。得点の内容を見るとまだまだGOEの加点を取れる部分が多くあるので、今大会の演技をベースとして、さらなる上積みに期待したいですね。

 2位は地元アメリカのベテラン、長洲未来選手です。ショート、フリーともに冒頭で大技3アクセルにチャレンジ、ショートは着氷後にオーバーターン、フリーは若干両足着氷となりましたが、どちらも回り切っていると認定。しかしその他のジャンプで細かな回転不足が相次ぎ得点は伸ばし切れず、自己ベストからは10点ほど低いスコアでの2位となりました。
 近年練習動画で3アクセルをクリーンに下りる姿を見せて話題となっていた長洲選手ですが、満を持しての実戦での挑戦、そして見事に成功させました。ISUが認める国際大会での女子選手の3アクセル成功は史上8人目、アメリカの女子選手としてはトーニャ・ハーディングさんに次ぐ2人目の成功者となりました。また、24歳での初成功は最高齢でもあり、若く身軽な選手でさえ成功させるのは至難のこの大技を、年齢を重ねさまざまな苦労や怪我を乗り越えてきた長洲選手が達成したという事実に感慨を覚えざるをえません。それだけに3アクセル以外のジャンプでアンダーローテーション(軽度の回転不足)が重なってしまったのはもったいないなと思いますが、これだけ回転不足があったにもかかわらず自己ベストから10点ほど低い得点にとどまったのは3アクセルの成功があったからですし、全てのジャンプがきちんと揃ったらどんな得点になるんだろうと楽しみにもなりました。
 4年に1度のオリンピックシーズンにほかのアメリカ女子選手が持っていない武器を手にしたことは本当に大きなアドバンテージだと思うので、3アクセルを毎回毎回クリーンに成功させるというのはなかなか難しいことでしょうが、攻める気持ちを持ってこのあとのシーズンも頑張ってほしいですね。

 3位は全米女王のカレン・チェン選手。ショートは細かいジャンプミスはあったものの崩れることなくまとめて2位と好発進。しかしフリーは序盤から回転不足が相次ぎ、中盤には転倒もあって得点を伸ばせず3位、トータルでも3位と順位を落としました。
 昨季は初の全米選手権優勝から世界選手権でも4位と飛躍を遂げたチェン選手。そうした好演技の際はおもしろいようにジャンプも決まって比例するように演技構成点でも高評価を受けていたのですが、今大会は回転不足が多々あり波に乗り切れませんでしたね。昨季後半に好成績を収めたとはいえ、ミスがミスを呼ぶ悪循環に陥ってしまう試合も昨季は少なからずあったので、そうした不安定さをどこまで克服できるか今季は注目したいと思います。

 本田選手同様、こちらもシニアデビュー戦となった坂本花織選手は5位となりました。全ジャンプを後半に固めたSPは3+3をクリーンに決めたものの3ループで転倒し5位どまり。フリーは前半2つのジャンプを確実に着氷して良いスタートを切りましたが、疲れが出たのか後半はジャンプのパンクや転倒が重なり本領を発揮できませんでした。
 初めてのシニアの国際大会で緊張があったのか、坂本選手らしい活きの良さが鳴りを潜めてしまったのが残念だったのですが、これは慣れによって改善されていくものなのであまり心配はいらないのかなと思います。また、今大会は標高の高い場所での試合だったので後半にスタミナが切れてしまったのだと思いますが、本来はスタミナ面に課題があるタイプの選手ではないので、次の試合は坂本選手らしい元気の良い演技が見られることを楽しみにしたいですね。


c0309082_00490950.jpg


 男子の優勝は全米王者のネイサン・チェン選手です。今大会は4回転の数を減らして臨み、SPは冒頭の3アクセルをクリーンに決めると、後半の4フリップからの連続ジャンプは着氷が若干乱れましたがこらえ、最後の3ルッツは難なく成功させ91.80点で首位発進。フリーは冒頭に初挑戦となる4ループを組み込み完璧に成功させると、続く4ルッツも着氷。その後は3回転を中心に無難な構成でまとめて2位に大差をつけての優勝となりました。
 チェン選手本来の実力からすればかなり難度を落とした構成でした。とはいっても4ルッツや4フリップ、4ループと世界でも数人しか跳べない極めて難しい4回転ばかりで、これでもまだまだ序の口なわけですから凄い時代になったなあと改めて思い知らされますね。そんな中でチェン選手にとって新たな試みとなったのが4ループ。すでに羽生結弦選手、宇野昌磨選手が公式試合では成功させていますが、チェン選手はこれが試合では初挑戦で見事に成功させました。これでチェン選手はルッツ、フリップ、ループ、サルコウ、トゥループ、5種類の4回転を公式試合で成功させた唯一の選手となりました。今回は抑えめのジャンプ構成でしたが、今シーズン中に5種類の4回転全てを1つのプログラムの中で跳ぶ可能性もあり、それによって試合の勝敗というのももちろん影響されますが、それ以上に単純に今見られる全種類の4回転が入ったプログラムを見たいというワクワク感の方が強いですね。もちろん羽生選手や宇野選手にもその可能性はあり、来シーズンからは4回転の基礎点が下がるということもあって、ここまで熾烈な4回転競争というのは今季限りになるかもしれませんから、これ以上ないという行き着くところまで行き着いてほしいなと個人的には願ってしまいますね。

 2位は同じくアメリカのマックス・アーロン選手。ショートは冒頭の4トゥループが乱れたものの、続く4サルコウ+3トゥループ、3アクセルはきれいに着氷し自己ベストに約1点と迫る得点で2位につけます。フリーは4サルコウは着氷ミスがあったものの、2本の4トゥループ、2本の3アクセルはほぼノーミスで揃え、自己ベストとなる175.50点をマーク、トータルでも自己ベストを更新し銀メダルを手にしました。
 昨シーズンはパーソナルベストから10点以上低い試合ばかりが続き、全米選手権も9位に終わったアーロン選手にとって、シーズン初戦で自己ベストを塗り替えられたのはスタートダッシュ成功と言ってもよいのではないでしょうか。もちろん細かいところを言えばもったいない取りこぼしがないではないですが、初戦と考えれば許容範囲内でしょうね。だからこそ次戦はより大切で、今大会同等かそれ以上の演技を見せないと昨季の二の舞になりかねないので、アーロン選手の進化に期待したいと思います。

 3位はカナダのリアム・フィラス選手。ショートは3アクセルで転倒したものの、ほかのジャンプやスピンで高い加点を稼ぎ自己ベストで3位。フリーも転倒がありましたが、決まった4トゥループや3アクセルでは高いGOEを積み重ねこちらも自己ベスト。チャレンジャーシリーズでは初めての表彰台となりました。
 実力者が揃う現在のカナダ男子。その中でもフィラス選手は演技構成点の評価が高い選手だと思いますが、今大会は技術点もまずまずといったところでしたね。昨季こそカナダ選手権7位だったフィラス選手ですが、その前年までは3年連続で表彰台に立った実力の持ち主なので、2枠しかないオリンピック代表に向けて頑張ってほしいですね。

 シニア初戦となった日本の友野一希選手は5位と健闘。ショートは全てのジャンプにミスがあり8位と出遅れましたが、フリーは冒頭の4サルコウの転倒以外は致命的なミスなく滑り切り5位、総合でも5位まで追い上げ、またショート、フリー、トータル全てにおいてパーソナルベストを更新しました。
 初めてのシニアの国際大会の緊張感がもろに影響を及ぼしたショートから、自己ベストを10点近く更新したフリーへの切り替えが素晴らしかったですね。今回は残念ながら4サルコウがクリーンに決まりませんでしたが、この大技がハマれば一気に得点アップが望めますし、ショートは自己ベストを更新したとはいえ1点ほど上回っただけで内容も振るわなかったので、まだまだ伸びしろがあることを思うと、日本男子の3人目候補としておもしろい存在になってきたなと思いますね。

 ベテランの無良崇人選手は7位となりました。ショートは冒頭の4トゥループの着氷で踏ん張り、後半の得意の3アクセルはさすがの跳躍で加点2と高評価を得たものの、3+3がまさかの単独の3ルッツとなり、5位発進。フリーは冒頭の4サルコウが2回転となり、続く4トゥループで立て直しましたが、後半は3アクセルが2本とも1回転になるなどミスを連発し8位、総合7位と順位を落としました。
 ショート、フリーともに最後まで無良選手らしからぬ内容で、練習からリズムを作れなかったのかそれとも本番だけの問題だったのかはわかりませんが、今後に向けて少し心配が残りますね。フリーの後半で大崩れしてしまったのもそうですが、ショートからしてコンビネーションジャンプが抜けてしまうようではトップ選手たちと同レベルで戦うのは難しくなってくるので、この状況からどう挽回するのか、スケートカナダでの盛り返しに期待したいですね。


 ペアは地元カナダのカーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組が優勝。SPは冒頭のツイストがレベル1となるミスがあったものの、その後は落ち着いてエレメンツをこなしトップに立ちます。フリーもツイストを始め、ジャンプ、リフトでもミスを犯しますが、おおむね演技をまとめて2位と2点差の接戦を制しました。
 2位はアメリカのアレクサ・シメカ=クニーリム&クリス・クニーリム組。ショートは3サルコウが2回転となったりスピンがレベル1になったりと細かなミスを重ね3位。フリーも3サルコウが1回転となりましたが、そのほかのエレメンツで高い加点を積み重ねて1位、総合2位となりました。
 3位もアメリカのチェルシー・リュー&ブライアン・ジョンソン組。ショートは全ての要素をそつなくまとめて自己ベストを5点以上更新して2位と好スタート。フリーはいくつかミスがありましたが大きくリズムを崩すことはなく3位、総合でも3位とシニアデビュー戦を銅メダルで飾りました。

 日本の須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組は7位となっています。


 アイスダンスはアメリカのマディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組が3連覇を達成しました。ショート、フリーともにミスらしいミスなく全米3位の実力を見せつけ、2位に20点以上の差をつける圧勝でした。
 2位は同じくアメリカの若手カップル、ケイトリン・ハワイエク&ジャン=リュック・ベイカー組。SDは終盤のツイズルで女性のハワイエク選手が転倒する珍しいミスがあり自己ベストからはほど遠いスコアで3位。しかしFDは切り換えて臨み目立ったミスなく演じ切り2位となりました。
 3位は日本の村元哉中&クリス・リード組。ほぼノーミスの演技でショートを2位と好位置で折り返し、フリーもミスらしいミスなく自己ベストに約1点と迫る得点で2年連続で表彰台に立ちました。
 1年前はこの大会で当時のパーソナルベストをマークしましたが、今回も自己ベストに近い得点で二人らしい演技ができたのではないかと思います。ただ、まだ上位2組とは技術点でも演技構成点でも差があるので、1つ1つのエレメンツの質のレベルアップが全体のクオリティーを磨くことにもなると思いますから楽しみにしたいですね。次戦は平昌オリンピックの出場が懸かるネーベルホルン杯。村元&リード組個人としても五輪に出場できるか否かが決まりますし、その結果によって日本チームとしての団体戦出場可否も左右されます。二人らしい演技を見せることができれば出場権獲得は問題ないと思うので、ぜひ頑張ってほしいと思います。



 ロンバルディアトロフィー&USインターナショナルクラシックの記事は以上です。そうこうしているあいだに今度はスロバキアでオンドレイネペラトロフィーとカナダでオータムクラシックインターナショナルが開幕。すでに一部ショートの演技が終わっていますが、競技が全て終わってからこちらも記事にしたいと思いますのでお待ちください。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、そのほかの画像は全て、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
オータムクラシックインターナショナル2017&オンドレイネペラトロフィー2017―世界王者に明暗 2017年9月30日
ネーベルホルントロフィー2017&フィンランディアトロフィー2017―日本、五輪団体戦出場へ前進 2017年10月11日
ジャパンオープン2017―欧州、3年ぶりの優勝 2017年10月14日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-09-22 17:39 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_17063197.jpg


 新プログラム情報シリーズ第3弾です。今回も世界のトップ選手たちの17/18シーズンのプログラムについて、できうる限りお伝えしていきます。


 まずは上の写真でお分かりかと思いますが、日本のエース、羽生結弦選手の新プログラム情報から。
 羽生選手は8月9日に練習拠点としているカナダのトロントで練習風景をメディアに公開し、その際にプログラムについても発表。SPに関しては5月の時点ですでにショパンの「バラード第1番」を使用することを明かしていましたが、フリーに関してもかつて演じた「SEIMEI」を再び演じることを今回初めて明かしました。
 ショート、フリーとも以前使用したプログラムの再演ということで、あまりない異例の形となりました。ショート、フリーどちらかだけ再演というのはよくあるのですが、両方ともというのはジャッジにも観客にも見慣れている感がありますし、ましてや羽生選手の場合、15/16シーズンのショートとフリーをそのまま持ってくるわけですから、より一層そうした印象は強くなりかねません。それでも羽生選手がリスクを伴う選択をした背景には、この重要なオリンピックシーズンに真新しいプログラムを作って体に馴染ませるだけの時間も余裕もないということなのでしょうし、何よりも再び勝つために現実的な道を選んだということなのでしょう。また、15/16シーズンといえば羽生選手にとっては世界史上初のトータル300点超えと世界最高得点を達成したシーズンであり、未だに羽生選手自身その世界最高得点を超えられていないという事実を考えると、もう一度同じプログラムで過去の自分超えに挑むというのは理解できるなと感じました。もちろん同じプログラムでもさらに良いものができるという自信があるからこその選択だと思うので、目が行きがちなジャンプだけではなく、プログラム全体の完成度にも期待したいですね。


 ここからはアメリカ勢を一気に。
 まずは世界選手権2017で7位の実力者ジェイソン・ブラウン選手です。アメリカフィギュアスケート協会のプロフィールによると、SPは「The Room Where It Happens ミュージカル「ハミルトン」より」、フリーは「Inner Love」だそうです。
 SPはミュージカル「ハミルトン」の劇中曲。2015年初演のミュージカルということで比較的新しい作品ですが、ミュージカル界のアカデミー賞と呼ばれるトニー賞で11部門で受賞しており、すでに高い評価と成功を得ているミュージカルです。「The Room Where It Happens」という曲はわりと激しく軽快な曲調で、明るいキャラクターで知られるブラウン選手に合ってそうだなと思います。
 フリーはフランスの作曲家マキシム・ロドリゲスの楽曲。You Tubeなどで検索しても楽曲についての詳細が出てこないのでどういう曲なのか具体的にはわからないのですが、お披露目の時を心待ちにしたいですね。


 続いてベテランのアダム・リッポン選手。ブラウン選手同様、アメリカフィギュアスケート協会のプロフィールによると、SPは「ダイアモンズ」、フリーは昨季と同じ「Arrival of the Birds 映画『The Crimson Wing: Mystery of the Flamingos』より/O」だそうです。
 ショートはバルバドス出身の歌手リアーナのヒット曲。リッポン選手はすでにこのプログラムをアイスショーで披露していて、当初から17/18シーズンのSPとして使う予定だったのか、もしくはショーナンバーとしてしか想定していなかったものを競技用にすることにしたのかはわかりませんが、ポップソングやロックソングも自分らしい風味を加えて表現することに長けた選手なので、今回も楽しみにしたいですね。
 フリーは2シーズン連続のプログラム。元々イギリスのバンド、コールドプレイの「O」のみを使用したプログラムをエキシビションナンバーとして使用していたものに別の曲をプラスして昨季途中からフリーとして用いており、鳥をイメージした静謐でしなやかな曲想はリッポン選手にぴったりですでに代表作と言えるプログラムとなっています。16/17シーズンのリッポン選手は怪我のためシーズン後半を休養に当てざるをえませんでしたから、このプログラムでまだまだ表現したいことがあると思いますし、さらに洗練されて進化したプログラムになることを期待したいと思います。


 2013年の全米チャンピオン、マックス・アーロン選手もアメリカフィギュアスケート協会のプロフィールに新プログラムを掲載。SPは「彼を帰して ミュージカル「レ・ミゼラブル」より/ワン・デイ・モア ミュージカル「レ・ミゼラブル」より」、フリーは「オペラ座の怪人」です。
 ショート、フリーともにおなじみのミュージカル。近年はオペラやバレエにも挑戦して表現の幅を広げているアーロン選手ですが、「レ・ミゼラブル」も「オペラ座の怪人」も今までのイメージにない選曲だと思うので楽しみですし、勝負のオリンピックシーズンに新たなチャレンジをするというのはリスキーでもありますが、昨季結果を残せなかったところからの再起というのも含めて頑張ってほしいですね。


 一方、昨季飛躍を遂げ脚光を浴びたマライア・ベル選手もアメリカフィギュアスケート協会のプロフィールにてプログラムを明かし、SPは「アクロス・ザ・ユニバース」、フリーは「ウエスト・サイド・ストーリー」であることがわかっています。
 ショートは言わずと知れたビートルズの名曲ですが、ビートルズ版を使用するのか、それとも別のアーティストのカバーバージョンなのかは不明です。歌う人によってプログラムのイメージもガラリと変わってくるでしょうが、誰もが知る名曲をベル選手がどのように表現し、自分の世界を作り上げるのか興味深いですね。
 そしてフリーは定番のミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」。ベル選手は昨季のショートがミュージカル映画の『シカゴ』で、軽快かつ可愛らしく踊るさまが印象に残っていますが、そういった意味で「ウエスト・サイド・ストーリー」もベル選手の踊り心を活かした彼女らしいプログラムになるのかなと思いますね。


 アイスダンスの実力カップル、マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組もアメリカフィギュアスケート協会のプロフィールにプログラムが掲載されており、SDは「マーク・アンソニー・メドレー」、FDは「イマジン」とのことです。
 SDはラテン歌手マーク・アンソニーのメドレープログラム。具体的にどういう曲を使うかというのはわかりませんが、いかにもラテンらしいノリの良いプログラムになるのかなと想像します。
 FDはジョン・レノンの代表曲「イマジン」。プロフィールには「by John Lennon」と書かれていますが、作詞・作曲者がジョン・レノンという意味なのか、ジョン・レノンが歌っているバージョンを使うという意味なのかハッキリとはしていません。どちらにしても、「イマジン」という非常にメッセージ性に溢れ、壮大な歌を二人がどう演じてみせるのか、注目ですね。


 今季シニアデビューを果たすアイスダンスの世界ジュニア王者、レイチェル・パーソンズ&マイケル・パーソンズ組は、SDが「Mumbo Molly/Everybody's Got To Learn Sometime」、FDが「La Partida/Sikuridadas/Quiaquenpita」であるとアメリカフィギュアスケート協会のプロフィールにて発表しています。
 SDはマンボと1980年のポップソングという異色の組み合わせ。前者に関してはあまり情報がないので楽曲の背景がわからないのですが、後者はイギリスのコーギスというバンドが1980年にリリースしてヒットした楽曲で、いろんな歌手がカバーをしている定番ソングとなっています。パーソンズ&パーソンズ組が使用するのはイタリアの歌手ズッケロがカバーしたバージョンで、どんなプログラムになるのか楽しみですね。
 一方、フリーは全てチリの歌手による楽曲のメドレーで、「La Partida」はチリを代表する歌手ビクトル・ハラの楽曲で、後者2曲はこちらもチリを代表するグループ、インティ・イリマニの楽曲です。ショートダンスは全選手同じ規定によってラテンを踊らなければいけないわけですが、フリーは全くの自由なので、あえてショートと同じラテンを選んだというのが珍しいなと感じます。とはいえプログラムとして異なる世界観をイメージしているはずですし、それぞれどんなプログラムになっているのか注目したいと思います。


 同じく今季シニアデビューとなる2016年のアイスダンス世界ジュニア王者、ロレイン・マクナマラ&クイン・カーペンター組はSDが「Mumbo Italiano/El Perdedor/Big Bagz」、FDが「Anima Contro Vento」となるそうです。
 SDはイタリアの歌手オリエッタ・ベルティの「Mumbo Italiano」とスペイン出身の歌手エンリケ・イグレシアスの「El Perdedor」と出身等はよくわからないですがアレックス・ロマーノという歌手の「Big Bagz」という多種多様な3曲の組み合わせ。前者2人に関しては厳密にはヨーロッパ出身の歌手なので、ラテン音楽とは言えないような気もするのですが、まあ「Munbo italiano」は明らかにマンボですし、イタリアもスペインもヨーロッパのラテン系であることは間違いないので、言語だったり雰囲気だったりのラテンっぽさを表現したプログラムになっているのでしょう。
 フリーは“Medialuna Tango Project”というグループの楽曲。試合での演技の映像も拝見しましたが、グループ名のとおりタンゴ曲ですね。大きな範囲でひっくるめればショートと同じラテン音楽ということになりますが、同じラテンでもタンゴではだいぶ雰囲気が違うので、表現力をアピールできる選曲と言えます。


 アメリカの現全米ペアチャンピオン、ヘイヴン・デニー&ブランドン・フレイジャー組は、SPが「All of Me」、フリーが「リヴ・フォーエバー」となるようです。
 SPの「All of Me」はアメリカのR&B歌手ジョン・レジェンドが2013年に発表したバラード。ストレートなラブソングで、ペアで演じるのにぴったりな曲かもしれません。
 そしてフリーはイギリスを代表するバンド、クイーンのヒット曲。壮大な曲想で、ペアならではのダイナミックさとよく合いそうだなと思います。


 2016年の全米ペア王者、タラ・ケイン&ダニエル・オシェア組は自身の公式サイトでプログラムを発表済みで、SPは「All I Ask of You ミュージカル「オペラ座の怪人」より」でマッシモ・スカリさん振り付け、フリーは「白鳥の湖」でシェイ=リン・ボーンさんとシェイ・ズキウスキーさん振り付けだそうです。
 SPは定番のミュージカルの劇中曲。ヒロインのクリスティーヌと恋人のラウルのデュエット曲で、プログラムもたぶん歌詞入りになるものと思われますが、男女のペアでデュエット曲を演じるというペアならではのプログラムになりそうですね。
 フリーは王道のバレエ。王道ではありますが、意外に最近のペアではこうしたスタンダードなバレエを演じることが少なくなっているような気もするので、逆に新鮮な感じがして楽しみです。


 2015年の全米ペアチャンピオン、アレクサ・シメカ=クニーリム&クリス・クニーリム組も自身の公式サイトでプログラムを明かしていて、SPは「黒くぬれ!」でロヒーン・ワードさん振り付け、フリーは「チャップリン」でクリストファー・ディーンさん振り付けとなっています。
 ショートはローリング・ストーンズのヒット曲ですが、シメカ=クニーリム&クニーリム組はアメリカの歌手シアラがカバーしたバージョンを使用。2季前にはショートでヘビメタを使用するなど激しいプログラムもお手のもののペアですから、今回のロックも期待ですね。
 フリーは喜劇王チャーリー・チャップリンをテーマにしたプログラム。具体的な曲名は明かされていませんが、チャップリンの映画のサントラをさまざま組み合わせたものになるのではないかと想像します。チャップリンというテーマも定番となっていて、男子では織田信成さんやハビエル・フェルナンデス選手、女子ではアリョーナ・レオノワ選手、アイスダンスではアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組が過去に演じていて、誰が見ても“チャップリン”とわかる明確なキャラクター性があってわかりやすいプログラムになる一方、ほかの選手が演じたチャップリンと差別化を図るのが難しいテーマだとも思います。そんな“チャップリン”をシメカ=クニーリム&クニーリム組がどう彼ららしく表現し、また、ペアならではの大技を織り交ぜながら“チャップリン”らしさを出していくのか、興味深いプログラムになりそうです。



 今回はここまで。8月下旬に入り、約2か月後にはグランプリシリーズ開幕と本格的なフィギュアシーズンが近づき、その前に選手たちにとって小手試しの場となる規模の小さな国際大会も多々開催され、今から秋冬に向けて気持ちが高まっていきますね。では。


:羽生選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
宇野昌磨選手、17/18シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報① 2017年7月22日 
宮原知子選手、17/18シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報② 2017年8月8日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-08-21 16:47 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_16444655.jpg


 前記事に引き続き、日本を含む世界のトップ選手たちの17/18シーズンの新プログラム情報を書いていきます。


 まずは宮原知子選手から。
 宮原選手はアイスショーなどでプログラムを明かし、SPは「映画『SAYURI』より」でローリー・ニコルさん振り付け、フリーは「蝶々夫人」でトム・ディクソンさん振り付けであることが判明しています。
 ショートの「SAYURI」は女子選手の中では定番となっている映画音楽。日本を舞台にした芸者が主人公の映画ということもあって、日本女子選手には特に人気ですね。映画音楽界の巨匠ジョン・ウィリアムズ作曲で、和の要素をふんだんに盛り込みながらもハリウッドらしい壮大感もあり、繊細な表現を元々得意とし、最近は力強い滑りにも迫力が出てきた宮原選手にとっては取り組みやすい選曲と言えるかもしれません。とはいえ「SAYURI」の中でもいろんな曲があるので、どの部分を使い、どう編集するかによっても印象は変わってくると思うのですが、アイスショーでの演技を拝見しますと、前半はしっとりと、終盤は比較的アップテンポに激しくという緩急のハッキリした構成になっていて、短い時間の中でもスケーティング技術や表現の技術をアピールしやすいプログラムになっているのかなと思いますね。
 そしてフリーは王道の「蝶々夫人」。荒川静香さん、太田由希奈さん、安藤美姫さん、浅田真央さんといった日本女子フィギュアの歴史を築いてきたそうそうたるメンバーが演じてきた、日本女子選手にとっては特別な意味を持つ作品です。過去のプログラムと比べられる難しさもあると思いますが、宮原選手にしか演じられない「蝶々夫人」にきっとなるでしょうから楽しみですね。日本人女性が主人公のストーリーという点で「SAYURI」と雰囲気、世界観的に被る部分もあるのかなという気もしますが、「SAYURI」の演技を見るとそこまでストーリーを意識した感じにはなっていないので、どういうふうに演じ分けられるのかというところに注目したいと思います。
 その宮原選手に関してはアイスショー「THE ICE」の大阪公演の後に足首を捻挫し、予定していた名古屋公演出演をキャンセルするというアクシデントが発生。捻挫自体は軽傷のようで大事を取ってのキャンセルのようですが、昨季の怪我からの回復途上ということもありますし、もしかしたら一日でも早く本来のジャンプを取り戻そうという気持ちもあるかもしれませんが、頑張りすぎず適度なペースで調整をしてほしいですね。


 昨季大きな飛躍を遂げた三原舞依選手もアイスショーで新プログラムをお披露目しています。

c0309082_16180427.jpg

 SPはブノワ・リショーさん振り付けの「リベルタンゴ」、フリーはデイヴィッド・ウィルソンさん振り付けの「ガブリエルのオーボエ 映画『ミッション』より」です。
 ショートはアストル・ピアソラの代表的なタンゴ。数多のスケーターが演じてきた定番のタンゴです。情熱的で妖艶な曲想は今までの三原選手にはない新たな挑戦となると思いますが、アイスショーでの演技を見る限り今の時点でもかなり習得できているなと感じましたね。細かな部分の表現はまだまだこれからでしょうが、元アイスダンサーのリショーさん特有の複雑なステップにもうまく対応していて、これから滑りこなれて三原選手がプログラムの色に染まっていくのが楽しみですね。
 フリーは映画『ミッション』のサントラの中でも特に知られる「ガブリエルのオーボエ」。作曲は映画音楽界の巨匠エンニオ・モリコーネで、穏やかでありながら壮大な曲調が印象的です。どちらかというと曲調の変化の激しくないプログラムになるのかなと想像しますが、三原選手のスケーティングの滑らかさや雄大さを活かせるプログラムになりそうですね。


 日本男子のベテラン、無良崇人選手はインタビュー記事でプログラムを発表し、SPは「Too Close」でマッシモ・スカリさん振り付け、フリーは「オペラ座の怪人」でチャーリー・ホワイトさん振り付けであることがわかっています。
 SPはイギリスの歌手アレックス・クレアの楽曲。インタビューによるとフリーの方が先に決まっており、そのフリーと180度違うものを表現したいと考えて選んだ曲とのことで、「純粋に格好良さを出した」プログラムであると無良選手は語っています。元々無良選手は男らしい男くささ、ワイルドさや豪快さが持ち味ですから、集大成のシーズンに、いかにも無良選手らしい、というプログラムが見られることは嬉しいですね。
 一方のフリーは14/15シーズンにも演じた「オペラ座の怪人」。ただ、以前とは振り付け師が違うので、全く新しい「オペラ座の怪人」になりそうですね。「オペラ座の怪人」を再び演じることにした理由について無良選手は、「自分としても良い印象があった」「さらに良いものができるという自信があった」と話していて、以前の「オペラ座の怪人」で得たものを引き継ぎつつ、今の無良選手だからこそ演じられる「オペラ座の怪人」になると思うので、今からお披露目が待ち遠しいですね。


 日本女子の実力者、本郷理華選手もインタビュー記事でプログラムについて明かし、SPは昨季と同じ「カルミナ・ブラーナ」、フリーは「映画『フリーダ』より」とのことです。
 ショートは2季連続で「カルミナ・ブラーナ」。本郷選手にとって昨季は不完全燃焼に終わったということも選曲の理由としてあると思いますが、プログラム自体は本郷選手のダイナミックなスケートによく合っていて、継続させることでますます進化していく伸びしろを持ったプログラムだと感じるので、良い選択だと思います。
 フリーはメキシコの画家フリーダ・カーロの人生を描いた映画『フリーダ』のサントラを使用。フィギュア界ではほとんど使われない作品・音楽なので、どういったプログラムになるのか未知数ですが、ほかの選手と全く被らないプログラムを演じるということで唯一無二のオリジナリティーを表現できれば、おもしろい作品になりそうだなと思いますね。


 昨季全日本2位となった田中刑事選手はすでに試合でプログラムを披露しており、SPは「Memories」、フリーは昨季と同じ「フェデリコ・フェリーニ・メドレー」です。
 ショートは荘厳な雰囲気を漂わせるブルース。昨季まで2シーズンに渡って演じたSP「ブエノスアイレスの春」と雰囲気は違いますが、大人の男の色気や渋さを感じさせるという意味では共通点も多いプログラムかなと思います。そういった部分で継続性もあり、「ブエノスアイレスの春」の延長線上として演じやすく、体にもなじみやすい選曲ではないでしょうか。
 フリーは昨季からの持ち越しである「フェデリコ・フェリーニ・メドレー」。田中選手にとっては初めてのGPのメダルや全日本の表彰台をつかんだ記念碑的なプログラムでもあり、その一方で世界選手権で出し切れなかったという悔しさも残るプログラムだと思うので、再び見られるのは嬉しいですね。ダイナミックでありながら細かな遊び心も織り交ぜられたコミカルなプログラムは田中選手の新たな魅力を引き出していて、2シーズン目はさらに進化することが予想されますので楽しみです。


 ここからは海外勢です。
 世界選手権2017銅メダリスト、カナダのガブリエル・デールマン選手はツイッターやインスタグラムで新プログラムを発表。

c0309082_14395956.jpg

 SPは「カルメン」、フリーは「グラディエーター・ラプソディー 映画『グラディエーター』より」だそうです。
 ショートは大定番中の大定番「カルメン」。元々パワフルな表現には定評があり、最近ではそこに柔らかさやしなやかさも加わって表現が多彩になってきたデールマン選手がどんな“カルメン”を見せてくれるのかワクワクします。
 フリーは古代ローマの剣闘士を描いた大ヒット映画『グラディエーター』のサントラを使用したプログラムとのことで、デールマン選手得意の勇ましさやダイナミックさが活かされたプログラムになるのかなと思いますが、上述したように最近のデールマン選手は男性的な力強さだけでなく女性的な表現もうまくなっていますから、そういったメリハリが織り交ぜられたプログラムになるとおもしろそうだなと思いますね。


 ロシアのベテラン、セルゲイ・ボロノフ選手はロシアフィギュアスケート連盟の公式サイトのインタビューでプログラムを明かし、SPは「タンゴ」、フリーは「Sarabande Suite(Aeternae)」を演じるそうです。
 ショートはピアソラのタンゴ、とのことですが、具体的な曲名は明かされていません。なので現時点では何とも言えませんね。
 フリーはアメリカのグループ“Globus”の「Sarabande Suite(Aeternae)」という曲。ドイツ出身の作曲家ヘンデルの「サラバンド」を大胆にアレンジし歌詞を付け加え現代的にした曲で、クラシックの趣きも大いに残っていて壮大で神々しい曲想となっています。ボロノフ選手は16/17シーズンのフリーでも壮大なオーケストラを用いたミューズの「エクソジェネシス交響曲第3部」を演じましたが、定番のクラシックよりもクラシカルクロスオーバーみたいなものの方が好きなのかもしれませんね。


 アメリカの実力者コートニー・ヒックス選手は自身のインスタグラムを通じてプログラムを発表。SPは「ノクターン 映画『ラ・カリファ』より」、フリーは「アメイジング・グレイス」です。
 ショートは1970年公開のイタリア映画『ラ・カリファ』の中でも特に知られる楽曲を使用。16/17シーズンに樋口新葉選手がショートで用いたことで日本のフィギュアファンにはおなじみですね。三原選手のところでも言及したエンニオ・モリコーネ作曲で、力強くもどこかもの悲しく壮大な曲想が印象深いですね。
 フリーはおなじみの賛美歌で、ヒックス選手が使うのは男性ボーカル入りです。こちらも壮大かつ神聖な世界観で、ダイナミックな表現が持ち味のヒックス選手によく合いそうです。もちろん賛美歌なのでしっとりとした趣きもあり、そういった緩急、表現面においてのメリハリが注目点かもしれません。



 今回はここまで。いつになるかはわかりませんが、新プログラム情報③に続きます。


:宮原選手の画像、三原選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、デールマン選手の画像はマルチメディアサイト「Zimbio」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
宇野昌磨選手、17/18シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報① 2017年7月22日
羽生結弦選手、17/18シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報③ 2017年8月21日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-08-08 16:39 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_14055286.jpg


 7月となりいよいよ新シーズンが開幕。何といっても今シーズンは4年に1度のオリンピックが開催される記念すべきオリンピックイヤーとあって、例年以上に各選手のプログラムにも注目が集まります。そんな新プログラムについて、現時点でわかっている限りの情報をここでお伝えしたいと思います。ショートのみ、もしくはフリーのみプログラムを発表している選手も多くいますが、ひとまずこの記事ではショートとフリー両方わかっている選手について取り上げていきます。


 まずは上の写真でもおわかりのとおり、世界選手権2017銀メダリストの宇野昌磨選手の新プログラムについてです。
 宇野選手は5月に自身の公式サイトで早々と新プログラムを発表しており、こうして当ブログで記事にするまでに2か月も経ってしまい今更という感じなのですが、改めて書きますと、SPは「冬 「四季」より」、フリーは「トゥーランドット」で、振り付けはいつもどおり樋口美穂子さんであると思われます。
 ショートの「冬 「四季」より」はヴィヴァルディの代表作。フィギュア界でも定番です。すでに宇野選手はアイスショーでこのプログラムを多々披露し手応えのほどを口にしていますが、ヴァイオリンが奏でる「冬」独特の緊迫感と“冷え感”みたいなものをどう表現し切っていくかに注目したいですね。元々宇野選手はこういったクールな雰囲気のクラシック音楽も表現するのはうまいスケーターだと思うので、「冬」といえば宇野昌磨、といわれるくらいの代表作にしてくれることを期待したいと思います。
 そしてフリーは2度目の「トゥーランドット」。シニア1年目となった15/16シーズンのフリーであり、宇野選手が世界的に飛躍するきっかけとなった始まりのプログラムなので、オリンピックシーズンにふさわしいチョイスと言えます。2季前と同じ音楽を使用することでどれだけ進化したかというのをアピールしやすい選曲でもあると思いますし、逆に言えば、同じ曲だからこそ違いを表現できないとアピールとしては弱くなってしまう可能性もあるので、そうした課題を宇野選手がどう乗り越えて新たな「トゥーランドット」を見せてくれるか楽しみにしたいですね。


 同じく日本の樋口新葉選手は自身が契約を結ぶ企業の公式サイトで新プログラムを発表しました。

c0309082_17301451.jpg

 SPは「ジプシーダンス バレエ「ドン・キホーテ」より」、フリーは「スカイフォール 映画『007 スカイフォール』より」です。
 ショートの「ジプシーダンス」は定番のバレエ「ドン・キホーテ」の第2幕のワンシーンで、バジルとキトリの恋人同士がジプシーたちの野営地で歓迎の踊りを見るという場面です。バジルやキトリ、ドン・キホーテが踊る見せ場ではないので、版ごとにいろんなバージョンがあるようですが、私が知っている限りでは女性のジプシーが長いスカートを振り乱しながら情熱的に激しく狂ったように踊るというバージョンが多いように思うので、樋口選手もそういったイメージで演じるのかなと想像します。そうだとすると、ジプシーの女性の妖艶さだったり悲哀だったり重層性があって、若い選手の演じるものとしては比較的難しい曲だなと感じるのですが、昨季「ラ・カリファ」や「シェヘラザード」と自らの新境地にチャレンジして、女性的で柔らかな深みのある表現を手に入れた樋口選手ですので、元々の持ち味であるスピード感、ダイナミックな表現に女性的な表現が組み合わされば、ハマるプログラムになるんじゃないかなと思いますね。
 一方、フリーは映画『007 スカイフォール』の主題歌「スカイフォール」を使用したボーカル入りのプログラム。「スカイフォール」はイギリスの歌手アデルが歌う楽曲ですが、プログラム全編その楽曲のみになるのか、映画のサントラも合わせた感じになるのかなど詳しいことはまだ不明です。「スカイフォール」自体は基本的にはバラード調のポップソングなので、クラシックではないところに意欲的なものを感じますし、歌詞入りのプログラム自体が樋口選手にとっては競技用としては初めてだと思うので、あえてオリンピックシーズンに新しいチャレンジをするというのはリスキーな部分もあるでしょうが、ぜひ頑張って自分のものにしてほしいですね。


 今季シニアデビューとなる世界ジュニア2017銀メダリストの本田真凛選手はアイスショーに際して新プログラムを発表。

c0309082_23582843.jpg

 SPは「ジェラシー/ラ・クンパルシータ」、フリーは「トゥーランドット」とのことです。
 ショートは有名なタンゴ2曲のメドレープログラム。どういうふうに組み合わせるのか詳細はわかりませんが、やはりタンゴというのは大人の世界ですので難しさはあるでしょうが、元々艶やかな表現力を持っている本田選手なら初めてのタンゴでもうまくこなせそうな気がしますし、さらに表現の幅が広がって新たな魅力が加わるという意味でも楽しみですね。
 そしてフリーは上述した宇野選手と同じ「トゥーランドット」。ですが、もちろんプログラムの中身、構成、何より女性と男性とでは表現の仕方もだいぶ違ってきますので、このダイナミックで偉大であまりにも有名な作品を、どう本田選手ならではの「トゥーランドット」に仕上げていくか見守りたいですね。
 ショート、フリーともに少し背伸びをしたプログラムになりますが、本田選手らしさも残しつつ、シニア1年目の変化にも期待したいと思います。


 怪我からの再起を図る村上大介選手は、自身の公式You Tubeでプログラムについてショート、フリーともに昨季からの継続となる「彼を帰して ミュージカル『レ・ミゼラブル』より」「歌劇「道化師」より」であると語りました。振り付けも継続でローリー・ニコルさんではないかと思います。
 SPに関しては3季連続となりますが、昨季は怪我のためほとんど試合に出ていないので実質的には2季連続くらいの感覚ですね。また、一度4月に別の曲でショートプログラムを制作したもののしっくりこず、改めて「彼を帰して」を演じることにしたとも動画の中で話しています。振り付けもところどころ変わっているようですし、昨季までとはまた別の「彼を帰して」として拝見したいと思います。
 フリーも昨季からの持ち越しですが、昨季は上述したようにほぼ試合に出られなかったので「道化師」も演じる機会はあまりありませんでした。なので、こちらも新しいプログラムとしてどんな村上選手の表情が見られるのか楽しみにしています。


 世界ジュニア2017銅メダリストの坂本花織選手もスポーツナビのインタビュー記事で新プログラムを明かし、SPは「死の舞踏」で振り付けは宮本賢二さん、フリーは「映画『アメリ』より」で振り付けはブノワ・リショーさんであることがわかっています。
 「死の舞踏」の方は曲名のみの発表で作曲者についての記述はありませんでした。なので、サン=サーンスの「死の舞踏」なのかリストの「死の舞踏」なのかは現時点ではわかりません。より有名でフィギュア界で多く使われるのはサン=サーンスの方なので多分こっちかなとは思いますが、そう仮定してイメージすると、ダークで幻想的な世界観の作品なので坂本選手の活発で明るいイメージとは全く異なる雰囲気になりそうですね。シニア1年目ということで、慣れた雰囲気のプログラムをやるという選択肢もある中で、オリンピックを目指す上であえて新境地を開拓する方針がうかがえますね。
 そしてフリーはフランスの世界的ヒット映画『アメリ』のサントラを使用するとのこと。フィギュア界では定番というほど使用頻度は高くないですが、高橋大輔さんが10/11シーズンのエキシビションで演じていたのが個人的には印象に残っています。サントラのどの曲を使うかでも印象は変わると思うのですが、アイスショーでの演技を見るとサントラの中でも特に知られたメインテーマを主に使っていて、オルゴール風の旋律とマリオネット風の振り付けで女の子らしい可愛いイメージが強いプログラムになっており、坂本選手らしい明るさ、軽快さはありつつも、より繊細さだったりアンニュイ的な表現力も要求されるのかなという気がします。
 どちらのプログラムにしても坂本選手にとっては新たな試みが多く盛り込まれていると思うので、楽しみだなと思いますね。


 こちらもシニアデビューを迎える白岩優奈選手は、SPが「亜麻色の髪の乙女」、フリーが「展覧会の絵」です。
 ショートはドビュッシーの代表作。元々はピアノ曲ですが、ピアノのみとなるとかなり静かな曲なのでもしかしたらオーケストラバージョンかもしれませんね。静謐で優雅な雰囲気が白岩選手に合いそうでイメージのしやすい曲だなと思います。
 一方、フリーはムソルグスキーの代表作の組曲で、こちらもピアノバージョンとオーケストラバージョンが存在しますが、滑りやすさでいったらやはりオケ版の方がやりやすいでしょうか。組曲なので曲によって曲想や世界観もさまざまで、どういった組み合わせ、構成にするかによって印象はかなり変わってきそうです。なので、どんな感じのプログラムになるかはまだ想像できませんが、有名な曲のわりにはフィギュア界ではそんなに使われることはない音楽なので、新鮮味があって楽しみですね。


 ここからは海外選手情報です。
 まずは2年連続世界女王に輝いているロシアのエフゲニア・メドベデワ選手。

c0309082_15100843.jpg

 メドベデワ選手はロシアフィギュアスケート連盟の公式サイトのインタビュー記事で、SPは「夜想曲第20番」、フリーは「January Stars/The Departure(Luluby) テレビドラマ『LEFTOVERS/残された世界』より/Dona Nobis Pacem 2 テレビドラマ『LEFTOVERS/残された世界』より」であると語っています。
 ショートはショパンのピアノソナタの名曲。スタンダードな選曲と言えますが、シニアに上がってからのメドベデワ選手は純粋なクラシックというのはやっていなかったので、むしろ新鮮な印象を覚えます。誰もが知る名曲を、メドベデワ選手がどう個性を出して演じるのか、注目ですね。
 フリーは複数の曲の組み合わせになるようで、「January Stars」はアメリカのニューエイジの作曲家ジョージ・ウィンストンのピアノ曲、あとの2曲はアメリカのテレビドラマのサントラからの抜粋のようですね。メドベデワ選手は今までも複数の異なる曲を繋ぎ合わせて1つのプログラムにするというパターンを多く採用し、その上で明確なストーリーだったりテーマを掲げて一つの芸術作品として完成させていて、今回もそういったプログラムになるのではないかと予想します。どちらにしろ絶対女王としてオリンピックに向かう気持ちは人一倍強いはずですので、緻密に考えられたメドベデワ選手にしかできないプログラムを見せてくれるのではないかと今から期待が募りますね。


 同じくロシアの世界ジュニア女王アリーナ・ザギトワ選手も、ロシアフィギュアスケート連盟の公式サイトでプログラムを発表済みです。

c0309082_16280513.jpg

 SPは「映画『ブラック・スワン』より/The Middle of the World 映画『ムーンライト』より」、フリーは「バレエ「ドン・キホーテ」より」です。
 ショートは2つの映画のサントラからの抜粋。前者はバレエ「白鳥の湖」を題材にしたヒット映画のサントラですが、映画音楽を担当したクリント・マンセルのオリジナルの部分もあれば、チャイコフスキーの音楽をほぼそのまま引用した部分もあるので、どのパートを使うかによってプログラムの印象も大きく変わってきそうです。そして後者は今年度のアカデミー賞の作品賞を受賞した映画のサントラから。それぞれ全く異なる映画の繫ぎ合わせなので、どういったコンセプトになるか楽しみにしたいと思います。
 そしてフリーは昨シーズンからの持ち越し。何といってもザギトワ選手にとって、“アリーナ・ザギトワ”という名前を強烈に印象づけた記念碑的なプログラムなので、シニアに上がってイメージを変えるよりジュニアで培ったものを継続させる方がよりメリットが大きいという判断なのでしょう。多少なりとも手を加えたりはするでしょうし、昨季との変化もあると思うので、慣れ親しんだプログラムでさらに波に乗って勢いを加速させることができるかどうか注目です。


 世界選手権2017銀メダル、カナダのケイトリン・オズモンド選手は自身の公式インスタグラムで新プログラムについて発表。

c0309082_17095929.jpg

 SPは「サマータイム」、フリーは「映画『ブラック・スワン』より」とのことです。
 ショートの「サマータイム」はガーシュウィン作曲のオペラ「ポーギーとべス」の劇中曲ですが、現在ではジャズの名曲としておなじみ。オズモンド選手は女性ボーカル入りのバージョンを使うようです。「サマータイム」はフィギュア界でも定番となっていますがいろんなアレンジのバージョンがありますし、さまざまな苦悩を乗り越え大人になったオズモンド選手だからこそ演じられる「サマータイム」に期待したいですね。
 フリーはザギトワ選手のところでも言及した映画『ブラック・スワン』。ただ、こちらはフリーの全編に渡って『ブラック・スワン』を使うようですから、映画や「白鳥の湖」の世界観を大いに取り入れた正統派のプログラムになるのではないかと思います。かつてのオズモンド選手といえば明るく活発で踊れる選手というイメージでしたが、今はダークさも悲哀も存分に表現できる選手になりましたから、オズモンド選手ならではの『ブラック・スワン』がはたしてどんなプログラムになるのか今からワクワクします。


 2016年のカナダ女王アレーヌ・シャルトラン選手は自身のツイッターやインスタグラムでプログラムを発表しており、それによるとショートはシェイ=リン・ボーンさん振り付けの「リベルタンゴ」、フリーは「サンセット大通り」だそうです。
 SPはタンゴ界の巨匠アストル・ピアソラの代表曲。リズム感には長けているシャルトラン選手なので、タンゴ独特のリズムやテンポはもちろんのこと、表現面でも大人の女性の艶っぽさなど、今までのシャルトラン選手のイメージとは異なるものも要求されると思うので、新たな挑戦に要注目ですね。
 そしてフリーの「サンセット大通り」は映画とミュージカルの両方がありますが、そのどちらの音楽を使うのかは不明です。ミュージカルの方であれば歌詞が入ってくる可能性もありますし、今の時点ではどういうプログラムになるだろうという予想もつきにくいのですが、映画音楽を使用することの多いシャルトラン選手にとっては得意分野と言えるかもしれません。


 2015、2016年のペアの世界チャンピオン、カナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組はフェイスブックやインタビュー記事で、SPが「With or Without You」、フリーが「ニュートロン・スター・コリジョン/アイ・ビロング・トゥ・ユー(あなたの声に私の心は開く)/アップライジング(叛乱)」であると明かしています。
 ショートはアメリカの歌手エイプリル・メサービーが、アイルランドのロックバンド、U2の世界的ヒットナンバーをカバーした楽曲。原曲よりも静かなバラード調になっていますのでしっとりしたプログラムになるのかなと想像します。
 フリーは初めて世界王者に輝いた14/15シーズンのフリープログラムの再演となります。3シーズン前に飛躍するきっかけとなったプログラムを再び演じることで再飛躍を図るという意味合いもあるでしょうし、人々の印象にも強く残っているプログラムなので、オリンピックシーズンにぴったりの選曲だと思いますね。


 続いてはアメリカ勢です。
 ベテランのアシュリー・ワグナー選手はネットのインタビュー記事などで新プログラムを明かしています。

c0309082_00152147.jpg

 SPは「Hip Hip Chin Chin」、フリーは「映画『ラ・ラ・ランド』より」で、どちらも振り付けはシェイ=リン・ボーンさんです。
 ショートは15/16シーズンのショートプログラム。ワグナー選手にとっては世界選手権のメダルを取った思い出深く縁起の良いプログラムと言えます。表現面でも複雑なリズムを見事に滑りこなしていて、間違いなくワグナー選手の代表作の一つといっていいハマりプログラムでしたから、オリンピックシーズンにこれ以上ない選曲ですね。
 一方のフリーは大ヒットミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』。ワグナー選手は14/15、15/16シーズンのフリーでもミュージカル映画の『ムーラン・ルージュ』を演じていますからミュージカル映画を選択したこと自体に驚きはないですが、『ラ・ラ・ランド』のイメージとワグナー選手が今まで演じてきたプログラムのイメージには多少差があるのでそういった意味では意外な感じもしました。特に『ラ・ラ・ランド』はロマンチックな印象が強い映画なので、ワグナー選手のダイナミックでパワフルなイメージとは雰囲気が少し違うのかなという気もするのですが、『ラ・ラ・ランド』の中でも冒頭に流れる「アナザー・デイ・オブ・サン」とかヒロインの見せ場となる「サムワン・イン・ザ・クラウド」のようなパワフルなダンスナンバーもあれば、しっとりと歌い上げるタイプの曲もあるので、そういった数曲をうまく組み合わせながらメリハリのついたプログラムになると、ワグナー選手らしいドラマチックで躍動感にあふれたプログラムになるのかなと思いますね。


 2014、2016年の全米女王グレイシー・ゴールド選手はNBCのインタビュー記事でプログラムを発表。

c0309082_01232827.jpg

 SPは「People 映画『ファニー・ガール』より」、フリーは「バレエ「ラ・バヤデール」より」で、どちらもマリナ・ズエワさん振り付けになるようです。
 ショートはバーブラ・ストライサンド主演のミュージカル映画『ファニー・ガール』のストライサンドが歌う劇中曲。ですが、元々のミュージカル版でもストライサンドが同じ役を演じており、プログラムで使われるのが映画版かミュージカル版かは不明です。どちらにしろゴールド選手のプログラム史上ミュージカル映画の劇中曲(歌詞入り)というのは初めてであり、ゴールド選手の新たな表情が開拓されるのを期待したいですね。
 そしてフリーはバレエ「ラ・バヤデール」。ゴールド選手にとってバレエプログラムは3季連続4度目(シニア移行後)となり、ゴールド選手らしさを存分に活かせるプログラムになるのではないでしょうか。ただ、今までと違うのは振り付け師がローリー・ニコルさんからズエワさんに変わったことで、振り付け師の個性がプログラムにも表れますから注目ポイントかなと思います。また、バレエプログラムを多く演じているゴールド選手だからこそ、今までのバレエプログラムで培ってきたものを集大成として注ぎ込むという意味で、「眠れる森の美女」や「ダフニスとクロエ」の優雅さ、「火の鳥」の力強さなど、いろんな要素が組み合わさったプログラムになるんじゃないかなと今からとても楽しみです。


 現全米女王カレン・チェン選手は自身の公式サイトで新プログラムについて、SPは「ロクサーヌのタンゴ 映画『ムーラン・ルージュ』より」、フリーは「カルメン組曲」で、両方ともマーク・ピレイさんの振り付けであると明かしました。
 前者はもうフィギュア界ではすっかりおなじみとなったミュージカル映画の劇中曲のタンゴ。男性ボーカル入りになるようで、どちらかというとしなやかな表現が巧い印象のあるチェン選手ですが、最近は力強さだったり激しさだったりといった表現も多彩になってきているので、このパワフルで情熱的なタンゴを演じ切ってくれると思いますし、16/17シーズンのフリーでタンゴの「ジェラシー」を見事に表現し切りましたから、その延長線上のプログラムになるのかなと思います。
 そしてフリーは王道の「カルメン」ですが、よくある「カルメン」ではなくて「カルメン組曲」となっています。「カルメン組曲」とはオリジナルのビゼー作曲のオペラ「カルメン」から楽曲を抜粋し演奏会用に構成したもので、構成した作曲家によっていろんなバージョンがあるのですが、チェン選手が使用するのはロシアの作曲家ロディオン・シチェドリンが編曲したもののようです。よくある「カルメン」とどう違っているのか、どうチェン選手らしい個性が引き出されるのか、気になるポイントの多いプログラムになりそうですね。


 実力者の長洲未来選手は公式サイト等で新プログラムを発表し、SPは昨季と同じショパンの「夜想曲第20番」、フリーは「ミュージカル『ミス・サイゴン』より」で、どちらもジェフリー・バトルさん振り付けになるようです。
 ショートは昨季からの継続ですが、どちらかというと躍動感に満ち活発なイメージのあった長洲選手の新たな魅力を引き出したプログラムなので、引き続き見られるのは嬉しいですね。
 フリーは定番のミュージカル「ミス・サイゴン」。ベトナムを舞台にした物語なのでアジア系の長洲選手には合いそうですし、長洲選手は以前「蝶々夫人」を演じていて、元々「ミス・サイゴン」は「蝶々夫人」に着想を得た作品なので、そういった意味でも長洲選手にとって演じやすいのではないかなと思います。また、バトルさんがミュージカルプログラムを振り付けるというのは珍しい気がするので、その点でも新鮮味があってどんなプログラムになるのか今から楽しみですね。


 昨シーズン怪我のため全試合を欠場したポリーナ・エドマンズ選手は、SPが「Palladio」、フリーが「サラ・ブライトマン・メドレー」と、昨季のプログラムをキープする意向であることをインタビュー記事で語りました。
 ショートはモダンダンスの要素を取り込んだプログラム、フリーは世界的ソプラノ歌手サラ・ブライトマンの歌2曲を組み合わせたプログラムですが、両プログラムとも試合では一度も披露できていないプログラムなので、全く新しい作品として初お披露目される日を楽しみに待ちたいですね。


 1季ぶりの競技復帰を発表したジョシュア・ファリス選手は自身の公式サイトで、SPが「Give Me Love」、フリーが「ローマの松」で、ショート、フリーともに振り付けがジェフリー・バトルさんであると明かしています。
 どちらのプログラムも15/16シーズンに演じる予定で用意されたプログラムでしたが、そのシーズンの練習中にファリス選手は転倒して脳震盪を起こし、その後も2回の脳震盪があったため15/16シーズンはフル休養。そこから復帰することなく昨シーズン現役引退を表明していましたが、今年の2月に競技復帰することを発表していました。
 ショートの「Give Me Love」は14/15シーズンにも使用したプログラムで、ファリス選手の代表作といって過言ではないでしょう。最初に作られてから時間が経っているのでいろいろと手が加えられていると思いますが、またこのプログラムを見られることを嬉しく思います。
 フリーの「ローマの松」はイタリアの作曲家レスピーギの交響詩。こちらは試合では披露されていないはずなので、真新しいプログラムといっても差し支えないでしょう。古代ローマの情景を描いた幻想的で壮大な作品を表現力に定評のあるファリス選手がどう魅せてくれるのか、楽しみです。


 今季シニアデビューとなる世界ジュニア王者のヴィンセント・ゾウ選手は、SPが「Chasing Cars」、フリーが「映画『ロミオ+ジュリエット』より」で、前者はジェフリー・バトルさん振り付け、後者はゾウ選手のコーチでもあるドリュー・ミーキンスさんとアイスダンスソチ五輪王者のチャーリー・ホワイトさんが振り付けを担当しているそうです。
 ショートはイギリスのロックバンド、スノウ・パトロールの代表曲を、“Cinematic Pop”というクラシカルクロスオーバーのボーカルグループがカバーしたバージョンを使用。原曲よりクラシックに近く、壮大なバラードになっています。シニア1年目にもかかわらずあえて王道のクラシックなどではなくロックソングのカバーを持ってきたところにチャレンジ精神を感じますね。
 一方、フリーは1996年公開の『ロミオ+ジュリエット』のサントラを使用。ディカプリオ主演の“ロミジュリ”といえばかつて羽生結弦選手も使用し代表作としましたが、若くフレッシュな男子選手にしか表現できない甘美だったり初々しさというのが、この“ロミジュリ”にはよく合うと思うので、ゾウ選手ならではの“ロミジュリ”に期待したいと思います。


 同じくアメリカ男子のグラント・ホフスタイン選手は自身の公式サイトで、SPが「僕の歌は君の歌 映画『ムーラン・ルージュ』より」、フリーが「オール・アイ・アスク・オブ・ユー ミュージカル『オペラ座の怪人』より/ミュージック・オブ・ザ・ナイト ミュージカル『オペラ座の怪人』より」、両方ともピーター・オペガードさん振り付けであると記しています。
 SPはミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』の中で主演のユアン・マクレガーが歌う楽曲。元はエルトン・ジョンのヒット曲ですが、プログラムではユアン・マクレガーが歌うバージョンを使用するようです。壮大な曲想としなやかでスケール感のあるホフスタイン選手のスケートは合いそうですね。
 フリーはミュージカル『オペラ座の怪人』の楽曲2曲のメドレー。前者はインストゥルメンタルで後者は男性ボーカル入りのようです。数え切れないほど演じられてきた『オペラ座の怪人』をホフスタイン選手が演じるとどんな雰囲気、空気感になるのか、どうしても今までの「オペラ座の怪人」と見比べられてしまう部分はあると思うのですが、ホフスタイン選手にしか演じられない世界があると思うので楽しみですね。


 今年の全米選手権銅メダル、アイスダンスのマディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組も自身の公式サイトでプログラムを明かし、SDは「Le Serpent/Cuando calienta el sol」、FDが「Caught Out In The Rain/Across The Sky」であることがわかっています。
 今シーズンのショートダンスの課題は、パターンダンスがルンバ、クリエイティブパートがラテンダンスから選択と決まっています。そんなハベル&ドノヒュー組のSDは、アルジェリアのパーカッション奏者グエムの「Le Serpent」と女性歌手タリア・フェロが歌う「Cuando calienta el sol」のメドレープログラム。前者は全編パーカションが奏でるリズミカルなナンバーで、後者はどことなくけだるい情感のあるスローナンバーです。「Le Serpent」の方はアフリカ音楽なのでラテンというわけではないのですが、リズム的にはラテンっぽい感じもしないでもなく、「Cuando calienta el sol」の方がいかにもラテンっぽい感じがします。
 フリーはアメリカの歌手べス・ハートの「Caught Out In The Rain」とイギリスの歌手ラグ・アンド・ボーン・マンの「Across The Sky」のインストゥルメンタルバージョンのメドレー。前者はブルースロックの歌手の楽曲で、ハスキーな女性ボーカルが特徴的なクールでドライな雰囲気。後者は最近デビューアルバムを発表したばかりの新進気鋭の若手歌手の楽曲でこちらもカッコいい雰囲気の楽曲で、全体的にクールな世界観のプログラムになるのかなと思いますね。


 チェコのベテラン、ミハル・ブレジナ選手は自身のフェイスブックにおいて、SPが「鼓童」、フリーが「スタンド・バイ・ミー/Human」であると綴っています。
 ショートは日本の和太鼓グループの鼓童の楽曲を使うようですが、楽曲の詳細は不明です。ただ、ブレジナ選手は10/11、11/12シーズンのSPでも鼓童の音楽を使用したプログラムを演じていますし、その時と大体同じ感じになるのか、ガラッと内容を変えるのかは不明ですが、それだけ鼓童の音楽に惹かれ、思い入れが深いということなのだろうなと思いますね。
 フリーはそれぞれ異なる歌手の楽曲で、「スタンド・バイ・ミー」はかの名曲をアメリカのロックバンド“bootstrap”がカバーした楽曲。「Human」はハベル&ドノヒュー組のところでも上述したラグ・アンド・ボーン・マンのヒット曲です。ポップソングとロックソングのメドレープログラムというのはブレジナ選手にしては珍しい選曲だなという気がするのですが、ベテランが集大成のシーズンにどんな新境地を拓くのか楽しみですね。


 韓国の有望株、今年の冬季アジア大会で優勝したチェ・ダビン選手は、SPが宮本賢二さん振り付けの「パパ、見守ってください 映画『愛のイエントル』より」、フリーがニキータ・ミハイロフさん振り付けの「アイ・フィール・プリティ ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」より/マリア ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」より」であることが判明しています。
 ショートはキム・ヨナさんや村上佳菜子さんも使用したバーブラ・ストライサンド主演映画の劇中曲。しっとりと壮大な曲調をチェ選手がどう表現するかにも注目ですし、チェ選手が宮本さん振り付けのプログラムを滑るのは初めてだと思うので、そちらの化学反応も楽しみにしたいですね。
 そしてフリーはおなじみのミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」からの抜粋。全編的にボーカル入りなのか、一部ボーカル入りなのかなどはわかりませんが、明るく華やか、ダンサブルな作品ですから、チェ選手らしさを活かしたプログラムになりそうですね。


 同じく韓国のパク・ソヨン選手は、SPが「映画『ブラック・スワン』より」、フリーが昨季と同じ「恋のアランフェス」となるそうです。
 この記事の中でもすでに2度登場している「ブラック・スワン」。元々チャイコフスキーの「白鳥の湖」を下敷きにしている分、世界的に知られていて演じやすいというのもあるでしょうし、それに加えてわかりやすい“白鳥”ではなく、より複雑で重層的な“黒鳥”を演じるという変則性も人気の理由なのかなと思います。どうしてもほかの女子選手の「ブラック・スワン」と比べられてしまうかもしれませんが、最近妖艶さも身につけてきた朴選手ならではの“黒鳥”を見せてほしいですね。
 フリーは昨季からの継続ですが、16/17シーズンは足の骨折でシーズン後半を休養に当てざるをえなかったということもあり、「恋のアランフェス」も不完全燃焼で終わっていたと思うので、今季こそプログラムとして完成させられることを祈っています。



 この記事はひとまずここで終了です。が、まだまだいろんな新プログラム情報が入ってきていますので、まとまり次第続きの記事をアップしたいと思います。では。


:記事内の画像は全て、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【参考リンク】
All is not lost for U.S. figure skaters at disappointing worlds 記事内にワグナー選手のプログラムについての言及があります。
Gracie Gold unveils Olympic season programs ゴールド選手のプログラムについて報じた記事です。
The Inside Edge: Edmunds returns following layoff エドマンズ選手の近況について報じた記事です。

【ブログ内関連記事】
宮原知子選手、17/18シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報② 2017年8月8日
羽生結弦選手、17/18シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報③ 2017年8月21日
[PR]
by hitsujigusa | 2017-07-22 00:25 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg



※2017年9月6日、新たなエントリーについて追記し、エントリー表のリンクも更新しました。
※2017年9月28日、新たなエントリーと出場辞退選手について追記し、エントリー表のリンクも更新しました。
※2017年10月15日、新たなエントリーと出場辞退選手について追記しました。


 5月26日、国際スケート連盟によって17/18シーズンのグランプリシリーズのエントリーが発表されました。例年ですとGPのエントリーは6月に発表されることが多かったのですが、17/18シーズンはオリンピックシーズンということもあって、いつもより早い発表となったのでしょうね。また、今年はいつもとは試合の順番もかなり変わっており、そういった意味でもちょっと新鮮な感覚を覚えます。
 ということで、この記事では各大会ごとの注目選手をまとめつつ、GP全体の注目点なども綴っていきたいと思います。なお、以下のエントリー表は上から男子、女子、ペア、アイスダンスの順となっています。

Entries Men 2017/18 - All 6 Events
Entries Ladies 2017/18 - All 6 Events
Entries Pairs 2017/18 - All 6 Events
Entries Ice Dance 2017/18 - All 6 Events

*****

 まずは各大会ごとの主な選手をまとめます(敬称略)。そして、試合の行方についてもざっくりと占ってみたいと思います。


《ロステレコム杯》(10月20~22日)
羽生結弦、田中刑事、樋口新葉、坂本花織、須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組、ネイサン・チェン、ミハイル・コリヤダ、デニス・テン、エフゲニア・メドベデワ、エレーナ・ラディオノワ、カロリーナ・コストナー、長洲未来、エフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組、クセニア・ストルボワ&ヒョードル・クリモフ組、ジュリアン・セガン&シャルリ・ビロドー組、マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組、レイチェル・パーソンズ&マイケル・パーソンズ組、エカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組、パイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組

 例年であればスケートアメリカがGP開幕戦となることが多いのですが、今年の開幕戦はロシアで行われるロステレコム杯となりました。
 そんな開幕戦にさっそく男女の世界チャンピオンがそろい踏み。男子は何といっても羽生選手が早々に登場。さらに16/17シーズンの主役の一人となった若手のホープ、アメリカのチェン選手もエントリーし、優勝争いではこの二人が一歩抜きん出ているかなと思います。日本からはもう一人、羽生選手と同学年の田中選手も出場。このメンバーのなかであれば、十分にメダル争いに食い込めるのではないかと思います。
 そして女子は絶対女王のメドベデワ選手が出場。彼女が圧倒的優勝候補であるのは間違いないと思いますが、それに次ぐ存在として挙げられるのは同じくロシアのラディオノワ選手やベテランのコストナー選手といったところでしょうか。しかし、日本の樋口選手も4月の世界国別対抗戦では極めて高い得点をマークしており、演技次第で2位争いも夢ではありません。また、GPデビューとなる坂本選手もジュニアながらすでに190点台のパーソナルベストを持っていますから上位に入る可能性は大いにありますね。
 一方、ペアは地元ロシアのタラソワ&モロゾフ組、ストルボワ&クリモフ組の優勝争いが濃厚かなと思います。16/17シーズン、GPファイナルと欧州選手権を制したタラソワ&モロゾフ組と、ロシア選手権を制したストルボワ&クリモフ組の同国対決は、ロシアのエースペア争いとしても興味深いですね。ただ、カナダのセガン&ビロドー組も実力はあり、ペアは大技が多い分、その成否次第で展開が読めなくなるので予想が難しいところです。日本の須藤&ブードロ―=オデ組は初めてのGP2戦エントリーですが、じわじわと力をつけてきているので楽しみにしたいですね。
 アイスダンスは世界選手権銅メダルのシブタニ&シブタニ組が軸となることは間違いないでしょう。そこにボブロワ&ソロビエフ組やギレス&ポワリエ組がどう肉薄するかに注目ですね。また、16/17シーズン出場した全ての試合を制した世界ジュニア王者のパーソンズ&パーソンズ組も楽しみな存在です。


《スケートカナダ》(10月27~29日)
宇野昌磨、無良崇人、本郷理華、本田真凛、パトリック・チャン、ジェイソン・ブラウン、マキシム・コフトゥン、チャ・ジュンファン、ケイトリン・オズモンド、アシュリー・ワグナー、カレン・チェン、アンナ・ポゴリラヤ、マリア・ソツコワ、メーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組、リュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組、アリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組、ヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組、テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組、ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組、マディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組

 男子は世界選手権銀メダリストの宇野選手がやはり金メダル最有力でしょうか。ですが、元世界王者のチャン選手やブラウン選手といった実力者も揃っていて、おもしろい顔ぶれだなと思います。この猛者の中で表彰台に上がるためにはかなりのレベルが必要とされますので、無良選手にとっては厳しい戦いかなと思いますが、演技構成点で後塵を拝する分、技術点で補う必要がありますね。そして、もう一人の注目選手は韓国の新星チャ選手。この大会の時点でも若干16歳という若さですが、どう存在をアピールするか楽しみな存在ですね。
 女子は世界選手権銀メダリストのオズモンド選手に、2016年の世界選手権の銀メダリストであるワグナー選手、同大会の銅メダリストであるポゴリラヤ選手など、世界の表彰台経験者が顔を揃えるハイレベルなメンバーに。誰が抜きん出ているというよりも実力は拮抗していると思うので、誰が優勝してもおかしくないですね。その点でいえば、これがGPデビューとなる本田選手や本郷選手にも可能性はありますし、順位の予想をするのは難しい試合になりそうです。
 ペアは前世界王者のデュハメル&ラドフォード組が地元カナダでの大会ということもあって地の利もあるかなと思いますが、かつてほどのずば抜けた強さがあるわけではないので優勝候補筆頭と断言はしがたいですね。世界選手権銀メダルのサフチェンコ&マッソー組、欧州選手権銅メダルのジェームズ&シプレ組など、こちらも実力は伯仲なので、どのペアが優勝しても驚きません。
 アイスダンスは世界王者に返り咲いたヴァーチュー&モイア組が圧倒的な優勝候補といっていいでしょう。そこに同じくカナダのウィーバー&ポジェ組やアメリカのハベル&ドノヒュー組が続くという感じでしょうか。


《中国杯》(11月3~5日)
田中刑事、三原舞依、樋口新葉、本田真凛、ハビエル・フェルナンデス、金博洋(ジン・ボーヤン)、閻涵(ヤン・ハン)、ミハイル・コリヤダ、ヴィンセント・ゾウ、ガブリエル・デールマン、エリザヴェータ・トゥクタミシェワ、エレーナ・ラディオノワ、アリーナ・ザギトワ、グレイシー・ゴールド、隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組、于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組、ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組、マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組、ロレイン・マクナマラ&クイン・カーペンター組、エカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組

 男子は前世界王者のフェルナンデス選手がやはり一際強いかなと思いますが、2年連続の世界選手権銅メダルの金選手も安定感を増してきておりフェルナンデス選手をも脅かすのではないでしょうか。ジュニアの世界王者であるアメリカのゾウ選手もこの大会でGPデビュー。大技の4ルッツを持っている選手ですから、その成否によってはいきなりの表彰台の可能性も高いですね。そして日本男子では唯一の出場となる田中選手にとっては強敵揃いの中、こちらもやはり4回転や3アクセルといった大技の出来が順位を左右するのかなと思います。
 女子は世界選手権銅メダルのデールマン選手始め、元世界女王のトゥクタミシェワ選手、2015年の世界選手権銅メダルのラディオノワ選手、アメリカのエース格であるゴールド選手と華やかな顔ぶれですが、そんな実力者らをも凌駕する可能性があるのがジュニアの世界女王であるザギトワ選手。ポテンシャルの高さを考えるとデビューで即優勝というのもありえますから、ある意味最大の注目選手といえます。その中で日本女子は今年の世界選手権代表の三原、樋口の両選手、さらに世界ジュニア優勝経験のある本田選手とフレッシュかつ豪華なメンバーで、優勝どころかメダリストさえ予想しづらく、全6戦の中でも最も混戦となるかもしれません。
 ペアは世界王者の隋&韓組が圧倒的に強く、同じく中国の于&張組がどこまで迫れるかといったところかなと思います。
 アイスダンスは前世界王者のパパダキス&シゼロン組がやはり揺るぎない優勝候補。2、3位は順当にいけばチョック&ベイツ組、ボブロワ&ソロビエフ組が入るのではないかと思います。


《NHK杯》(10月10~12日)
羽生結弦、村上大介、宮原知子、本郷理華、白岩優奈、須藤澄玲&フランシス・ブードロ=オデ組、村元哉中&クリス・リード組、パトリック・チャン、ジェイソン・ブラウン、アダム・リッポン、セルゲイ・ボロノフ、エフゲニア・メドベデワ、ポリーナ・ツルスカヤ、カロリーナ・コストナー、長洲未来、隋文静&韓聰組、クセニア・ストルボワ&ヒョードル・クリモフ組、ジュリアン・セガン&シャルリ・ビロドー組、テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組、アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組、マディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組

 例年はGP最終戦として行われることが多いNHK杯ですが、今年は4戦目として開催。そして男女、ペア、アイスダンス全ての現世界チャンピオンが顔をそろえる超豪華な試合に。
 男子は優勝最有力の羽生選手に、元世界王者のチャン選手が挑む構成。そこにアメリカの実力者二人が加わり、個性的な顔ぶれとなっています。2014年のNHK杯覇者である村上選手にとっては2季ぶりのGP復帰戦となります。
 そして女子はメドベデワ選手が最大の注目ですが、彼女に最も肉薄できるとすればやはり日本のエース、宮原選手ではないかと思います。しかし大ベテランのコストナー選手も怖い存在で、この3人が勢力図の中心となるでしょうね。日本からはほかに本郷選手、そしてGPデビューとなる白岩選手が出場しますから、日本開催の地の利を活かして前述の3人のあいだに割って入ってほしいですね。
 ペアは隋&韓組が2週連続で登場。須藤&ブードロー=オデ組にとっては日本での試合ですから、昨年以上の順位、点数を狙いたい大会ですね。
 アイスダンスはヴァーチュー&モイア組が優勝候補筆頭で、ベテランのカッペリーニ&ラノッテ組が次ぐという勢力図。日本のアイスダンス王者、村元&リード組も自己最高位更新を大いに望める試合となりそうです。


《フランス国際》(11月17~19日)
宇野昌磨、三原舞依、白岩優奈、ハビエル・フェルナンデス、デニス・テン、ヴィンセント・ゾウ、ケイトリン・オズモンド、エリザヴェータ・トゥクタミシェワ、マリア・ソツコワ、アリーナ・ザギトワ、グレイシー・ゴールド、ポリーナ・エドマンズ、エフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組、ヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組、リュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組、ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組、ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組、マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組

 15/16シーズンまで長くスポンサー企業の名を冠して「エリック・ボンパール杯」と呼ばれ、そのスポンサーが離れた16/17シーズンは「フランス杯」となっていたこの大会ですが、今年は「Internationaux de France」=「フランス国際」という大会名となっています。
 男子は宇野選手とフェルナンデス選手の一騎打ちが予想されます。ほかに現時点でこの二人と同等に張り合える選手はいなさそうなので、よっぽどのことがない限り、この二人のワンツーは確実ではないかと思います。
 女子は三原選手、オズモンド選手が軸となるかなと思いますが、近年低迷しているものの実力者のトゥクタミシェワ選手やゴールド選手、また、新星のザギトワ選手のような台風の目的な選手もおり、誰にでも優勝の可能性はあると言えます。
 ペアはタラソワ&モロゾフ組が優勝候補筆頭ですが、地元フランスのジェームズ&シプレ組もぐいぐい力を伸ばしてきており、場合によってはGP初タイトルもあるかもしれません。
 アイスダンスはこちらも地元フランスのパパダキス&シゼロン組が強力で、ウィーバー&ポジェ組、チョック&ベイツ組が2、3位を争うという展開が予想されます。


《スケートアメリカ》(11月24~26日)
無良崇人、宮原知子、坂本花織、村元哉中&クリス・リード組、金博洋、ネイサン・チェン、アダム・リッポン、マキシム・コフトゥン、セルゲイ・ボロノフ、ガブリエル・デールマン、アシュリー・ワグナー、カレン・チェン、アンナ・ポゴリラヤ、ポリーナ・ツルスカヤ、メーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組、アリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組、于小雨&張昊組、マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組、アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組、パイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組

 男子はチェン選手と金選手、新時代の4回転ジャンパー二人の優勝争いが濃厚。日本の無良選手は4回転、3アクセルはもちろんのこと、ベテランならではの演技力や安定感で存在感を示したいところですね。
 女子は宮原選手、デールマン選手、ワグナー選手、ポゴリラヤ選手という世界選手権表彰台経験者が4人もおり、僅差の戦いになるのかなという気がします。
 ペアは上述の3組によるメダル争いが繰り広げられると思いますが、ペアの場合大技が多い分、その成功不成功によって順位も大きく上下動するので、ここに挙げなかったダークホースの飛躍の可能性もあり予想は難しいですね。
 アイスダンスはシブタニ兄妹がやはり強いですが、もし彼らに何らかの隙があれば、その死角を突くのはベテランのカッペリーニ&ラノッテ組となるのではないでしょうか。


 さて、ここからはテーマ別に注目ポイントを見ていきます。


①日本勢

 日本勢は男子5名、女子7名、ペア1組、アイスダンス1組がエントリー。ただ、NHK杯の男子、ペア、アイスダンスでそれぞれ自国枠1が残っているので、まだ出場選手は増える予定です。
 何といっても注目はGPデビューを果たす女子の3選手ですね。特に2016年世界ジュニア優勝の本田真凛選手が先輩スケーターたちの中に割って入ってどれだけ存在感をアピールするかに注目が集まります。また、坂本花織、白岩優奈の両選手も実力を発揮できれば十分上位に入る力はあり、今シーズン三原舞依選手、樋口新葉選手がシニア1年目にして好成績を収めたことを考えても、次は誰が新たなシンデレラガールになるのだろうと楽しみでなりません。
 そして、世界王者に返り咲いた羽生結弦選手はロシアと日本にエントリー。羽生選手はここ2シーズン練習拠点としているカナダと地元開催の日本という組み合わせが多かったのですが、今年は大会の順番が大幅に入れ替わったこともあってか、GP初戦のロシアから2週あいだを空けて日本というスケジュールになりましたね。同じく男子では村上大介選手が怪我から復帰。休養が影響してエントリーはNHK杯のみとなりましたが、何かと縁の深いNHK杯で村上選手らしい演技を見せてほしいと思います。
 一方、ペアは全日本王者の須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組が初めての2戦エントリー。初経験の難しさもあると思いますが、チャンスを活かして頑張ってほしいですね。


②GPデビュー組

 日本選手を除き17/18シーズンにGPデビューするのは男子が5名、女子が3名、ペアが1組、アイスダンスが8組です(ペア、アイスダンスはもちろんほかのパートナーと組んでの出場は別とします)。
 個人的に最も注目するのは女子の世界ジュニア王者アリーナ・ザギトワ選手。ジュニアにもかかわらずすでに210点にも迫ろうかというパーソナルベストを持ち、ショート、フリーともに全てのジャンプを後半に跳ぶという驚異的なジャンプ構成を組む新世代のスケーター。メドベデワ選手と重なる部分もありますが、メドベデワ選手を上回るとしたら彼女じゃないかという気もし、オリンピックシーズンに一躍名を上げたユリア・リプニツカヤ選手のように、一気にトップ選手への階段を駆け上がっていくのではないかと想像します。
 同じくロシアからは2015年のジュニアGPファイナル覇者ポリーナ・ツルスカヤ選手も初参戦。ポテンシャルの高さは証明済みですが、近年は怪我にも悩まされて成績面ではザギトワ選手の後塵を拝しています。そんな彼女がシニアでどう挽回し、群雄割拠のロシア女子の中で存在をアピールするのか、期待したいですね。
 男子はこちらも現世界ジュニアチャンピオンのヴィンセント・ゾウ選手がシニアデビュー。すでに4ルッツと4サルコウを武器として持っているアメリカ期待の逸材ですが、アメリカ男子といえば全米王者のネイサン・チェン選手始め、個性派のジェイソン・ブラウン選手、アダム・リッポン選手など徐々に層が厚くなってきており、ゾウ選手もその波に乗ってジュニア時代の勢いを継続させられるかどうかに注目ですね。
 また、ロシア男子からは世界ジュニア2位のドミトリー・アリエフ選手、同3位のアレクサンドル・サマリン選手が初参戦。2人ともゾウ選手にも勝るとも劣らぬ実力の持ち主ですから、今年の世界ジュニア表彰台の3人のライバル対決も楽しみですし、ロシア国内の競争という意味でも、圧倒的なエースが不在のロシア男子の中で誰が抜け出るのか、アリエフ、サマリンの両選手にもチャンスは大いにありますから楽しみです。
 ペアは2016年の世界ジュニアチャンピオン、チェコのアナ・ドゥシュコヴァ&マルティン・ビダジュ組が満を持して本格的なシニア参戦。16/17シーズンも欧州選手権、世界選手権に出場しそれぞれ7位、14位という結果を残していますから、シニアの国際大会の雰囲気にある程度慣れた上でのGPデビューになるのかなと思いますね。
 アイスダンスは実に8組がGPデビュー。中でも注目は2017年世界ジュニア王者のパーソンズ&パーソンズ組、2016年世界ジュニア王者のロレイン・マクナマラ&クイン・カーペンター組、2016年世界ジュニア銅、2017年世界ジュニア銀のアッラ・ロボダ&パヴェル・ドロースト組の3組でしょうか。3組ともここ数年のジュニアアイスダンス界を引っ張ってきたカップルたち。中でも特に勢いに乗っているのはアメリカのパーソンズ兄妹で、16/17シーズンは出場した全ての試合を制し鳴り物入りでのシニア挑戦となりますから、次世代のアメリカアイスダンス界を担うであろう存在として今から注目したいと思います。
 一方、同じくアメリカのマクナマラ&カーペンター組はパーソンズ兄妹と常に頂点を競ってきたカップルですが、16/17シーズンは全米ジュニアで3位、世界ジュニアでも7位に沈み、少し差を開けられてしまいました。シニアに上がってからもこの2組のライバル関係は続くでしょうから楽しみです。
 ロシアのロボダ&ドロースト組はジュニアGPファイナルで3年連続2位、世界ジュニアは3位と2位で、もう一歩頂点に届かないというケースが多いカップルではありますが、安定感は抜群とも言えます。最近のロシアアイスダンス界は北米のアイスダンス界に押され気味という状況ですから、彼らが新たな風を吹き込んでくれるといいなと思いますね。


③復帰組

 17/18シーズンはオリンピックシーズンということで競技復帰してくる選手はあまりいません。
 男子では2013年世界ジュニア王者のジョシュア・ファリス選手が競技復帰。ファリス選手といえばシニアに上がってからは怪我も多くなかなか思ったような演技ができませんでしたが、2015年の四大陸選手権では圧巻の滑りで銀メダルを獲得。さらなる飛躍を期待された矢先、15/16シーズンに練習中の転倒で脳震盪を発症。その後も幾度か同じような症状に見舞われ、今から約1年前に競技からの引退を発表していました。しかし今年の2月に競技復帰することを発表、そして今回NHK杯にエントリーされました。フィジカル的な問題が解消されたということなのだと思いますが、何よりスケートをしたいという気持ちが燃え上がってきたということなのでしょうね。まだ22歳という年齢で引退は残念と思っていたので、復帰は嬉しく思います。
 女子では16/17シーズンに競技復帰したイタリアのカロリーナ・コストナー選手が13/14シーズン以来となるGPエントリー。もしファイナル進出となれば2011年以来となりますし、10代の選手が中心となる女子フィギュア界で30代に突入したコストナー選手が戦う価値というのはとてつもなく大きいと思うので、ぜひ期待したいですね。
 そして、同じく女子では怪我のために16/17シーズンをフル休養したアメリカのポリーナ・エドマンズ選手が復帰。エントリーはフランス大会の1戦のみですが、ソチ五輪後は体の成長や怪我に悩まされた彼女の久方ぶりの元気な姿を楽しみにしたいですね。


④欠場組

 有力選手でGPにエントリーしていない選手たちにも少し目を向けてみたいと思います。
 女子ではソチ五輪女王のアデリナ・ソトニコワ選手が16/17シーズンに続きノーエントリー。ソトニコワ選手は2015年末のロシア選手権を最後に競技会には参加しておらず、半分引退のような状態になっています。ただ、この4月にあのエフゲニー・プルシェンコさんがソトニコワ選手のコーチに就任したというニュースが入って来ており、平昌五輪に向けて徐々に準備は進めているようですね。
 一方、ペアでは同じくソチ五輪金メダルのタチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組もGPにはエントリーせず。ボロソジャー選手とトランコフ選手といえばプライベートでも夫婦で今年2月に第1子となる女の子が誕生したばかり。平昌五輪を目指すのかどうかといったことについては明確な情報は発表されていませんが、ボロソジャー選手のフィジカル的な問題もあるでしょうし、何かしらの発表があるのを待ちたいですね。
 同じくロシアのペア、川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ組もエントリーはされていません。川口&スミルノフ組は2016年末のロシア選手権で5位にとどまって欧州選手権や世界選手権の代表を逃しました。が、現在でも世界ランキングは20位なのでエントリーされてもおかしくないかなと思うのですが、GPはパスしてオリンピックを目指すという方法ももちろんあるので、彼らがどういった道で17/18シーズンを歩んでいくのか注視したいですね。



 さて、この記事はここで一旦終了しますが、まだまだ出場枠は空いており、今後も新たな出場選手が決まっていくでしょうから、判明し次第この記事内に追記していきたいと思います。では。


※以下、2017年9月6日に追記した部分です。


 最初のエントリー発表後に追加された新たなエントリーについて追記します。
 男女、ペア、アイスダンスを通して現時点で追加出場が決まっている選手は1人のみで、それがNHK杯の男子の空いていた自国枠での出場が決まった佐藤洸彬選手です。国内大会や海外のB級大会を主戦場としてきた佐藤選手にとってGPはもちろん初めての大舞台、そしてGPデビューが自国開催のNHK杯というまたとないチャンスでもあります。佐藤選手のあの唯一無二の、個性あふれる演技がNHK杯で見られるのは本当に楽しみですね。


※以下、2017年9月28日に追記した部分です。


 9月6日の追記以降に追加された新たな出場選手と出場辞退選手について駆け足でまとめたいと思います。
 まずは男子。初戦のロステレコム杯の自国枠1に昨季のロシア選手権4位のアンドレイ・ラズキン選手がエントリー。ラズキン選手は昨季シニアに上がった今年20歳になる若手で、GPはもちろん初めてです。2戦目のスケートカナダの自国枠での出場が決まったニコラ・ナドー選手は今季がシニアデビューでGP初参戦。2016年の世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得した実力者で、こちらも昨季のカナダ選手権で4位に入っており、さらなる飛躍が期待される新星です。そして3戦目の中国杯の自国枠には張鶴(ジャン・ヘ)選手がエントリー。張選手はジュニアGPで6度表彰台に立った経験のある実力の持ち主で、昨年の中国杯にもエントリーはしていたのですが、直前になって出場を辞退、以降も試合に出場していませんでした。理由が怪我だったのか何なのかははっきりとはわかりませんが、1年遅れでの待ちに待ったシニアデビューということで楽しみですね。最終戦のスケートアメリカの自国枠にはロス・マイナー選手がエントリー。マイナー選手はこの1試合のみの出場ですが、元々GPで3度表彰台に立っている力のある選手ですから、上位に食い込むことも期待できますね。一方、NHK杯にエントリーしていたアメリカのジョシュア・ファリス選手は出場を辞退。理由に関しては発表されていませんが、ファリス選手といえば2016年に一度引退し、今年になって再び競技に復帰することを発表したばかりで、久しぶりのGP出場を楽しみにしていたので残念です。どんな理由での辞退なのかわからないので少し心配ですが、オリンピック代表を目指すということあれば1月の全米選手権に向けて調整することになると思うので、成り行きを見守りたいですね。
 続いて女子。ロステレコム杯の空白だった自国枠にはヴァレリア・ミハイロワ選手がエントリー。ミハイロワ選手は15/16シーズンにジュニアGPに参戦して2試合で4位と5位という成績を残していますが、それ以外に目立った実績はありません。どういった選手なのかあまり情報もないのですが、2002年生まれで現在15歳とあのアリーナ・ザギトワ選手と同い年で、もしかしたら大化けするかもしれませんから注目ですね。同じくロステレコム杯、当初エントリーしていたハンガリーのトース・イヴェット選手が負傷のため出場を辞退し、代わりにドイツのニコル・ショット選手がエントリーされました。ショット選手はチャレンジャーシリーズなどB級国際大会を中心に活躍してきた選手で、GPは初出場となります。続いて2戦目のスケートカナダの自国枠にラーキン・オストマン選手がエントリー。オストマン選手は昨季のカナダ選手権で4位となっており、GPはこちらも初めてです。最終戦のスケートアメリカの自国枠にはブラディー・テネル選手がエントリー。テネル選手といえば先日のロンバルディアトロフィーでは190点台をマークして4位に入っており、今季躍進が期待される若手の一人。アメリカ女子の五輪代表争いは混沌としているので場合によってはテネル選手にもチャンスが回ってきそうですね。
 次はペアです。ロステレコム杯は自国枠にクリスティーナ・アスタホワ&アレクセイ・ロゴノフ組が新たにエントリー。アスタホワ&ロゴノフ組はすでにNHK杯への出場が決まっているのでこれで2試合出場決定です。そして出場を辞退した中国の王雪涵(ワン・シュエハン)&王磊(ワン・レイ)組に代わってオーストリアのミリアム・ツィーグラー&セヴェリン・キーファー組が新たにエントリーされました。2戦目のスケートカナダの自国枠にはシドニー・コロジージュ&マキシム・デシャン組がエントリー。中国杯は自国枠に新たにジャン・ミンヤン&ソン・ボーエン組がエントリーした一方、アメリカのタラ・ケイン&ダニエル・オシェア組が辞退して空いた枠に、同じくアメリカのアシュリー・ケイン&ティモシー・ルデュク組が入りました。そしてNHK杯の自国枠には全日本選手権2位の須崎海羽&木原龍一組がエントリー。木原選手は高橋成美選手とのペアでNHK杯に出場したことはありますが、須崎&木原組としてはもちろん初出場となります。第5戦となるフランス国際の自国枠にはローラ・エスブラ&アンドレイ・ノヴォセロフ組がエントリー。エスブラ&ノヴォセロフ組は昨年のこの大会にもエントリーしていましたが、何らかの事情で直前に辞退していたので1年越しの出場となります。そして最後、スケートアメリカの自国枠にはディアナ・ステラート&ネイサン・バーソロメイ組がエントリー。女性のステラート選手はかつてシングル選手として世界ジュニア選手権2位という成績を残しながらも若くして引退、しかし昨年ペア選手として現役復帰を表明したというドラマチックな経歴の持ち主。昨シーズンはいきなり全米選手権で4位とさっそく好結果を出していて、いろんな意味で注目のペアですね。
 最後はアイスダンスです。初戦のロステレコム杯の自国枠にソフィア・エフドキモワ&エゴール・バジン組がエントリー。NHK杯の自国枠には全日本選手権3位の小松原美里&ティモシー・コレト組が入りました。小松原選手もコレト選手もほかのパートナーとのカップルでのB級国際大会の経験は豊富ですがGP出場は初めてです。そしてフランス国際の自国枠にはロレンツァ・アレッサンドリーニ&ピエール・スーケ組がエントリー。最終戦のスケートアメリカの自国枠には昨季の世界ジュニア王者のレイチェル・パーソンズ&マイケル・パーソンズ組が入り、これでパーソンズ兄妹はロステレコム杯との2試合出場が決まりました。


※以下、2017年10月15日に追記した部分です。


 前回の追記以降も出場選手の変更があったので足早に追記させていただきます。
 まずは女子からですが、初戦のロステレコム杯にエントリーしていた韓国のパク・ソヨン選手が出場を辞退。その代わりにアルメニアのアナスタシア・ガルスチャン選手が新たにエントリーされました。ガルスチャン選手といえば昨季も当初出場予定だった選手たちの辞退によって、GP2試合出場の権利を得るという幸運に恵まれた選手であり、今年は今のところロステレコム杯の1試合のみですが、再びチャンスが回ってきたということでぜひ頑張ってほしいですね。また、パク選手はNHK杯には変わらずエントリーしていますので、そちらにはぜひ間に合ってほしいと思います。そして2戦目のスケートカナダにエントリーしていたこちらも韓国のキム・ナヒョン選手も辞退ということで、その代役としてオーストラリアのカイラ二・クレイン選手の出場が決定。クレイン選手にとっては初めてのGPとなりますが、今季はネーベルホルントロフィーで優勝するなど地力が上がってきたことを示していて、GPでも自己ベスト更新を目指してほしいと思います。同じくスケートカナダでは、イタリアのロベルタ・ロデギエーロ選手も出場を辞退。代わりにアメリカのコートニー・ヒックス選手が入りました。ヒックス選手はGPはこの1試合のみのエントリーですが、昨季もロステレコム杯で表彰台に立っているほどの選手なので、1試合のみ、しかも負傷者の代役出場というのが不思議なくらいです。それだけ枠も限られているということなのですが、アメリカ女子の争いが混沌としている中、GP出場は大きなチャンスだと思うので期待したいですね。そしてつい昨日入ってきたのが、前全米女王のグレイシー・ゴールド選手が摂食障害やうつ病などの治療のため、中国杯とフランス国際を辞退するという驚きのニュースです。ゴールド選手は先日のジャパンオープンもコンディション不良を理由に出場を取りやめていますが、思った以上に深刻な状態だったのですね。彼女の演技がしばらく見られないのは残念ですが、心身の健康が何よりも大切ですから、焦らずじっくりと治療に専念して、また元気な姿を見せてほしいと思います。
 続いては男子です。2戦目のスケートカナダにエントリーしていたロシアのマキシム・コフトゥン選手が背中の負傷のため辞退。代わりにチェコのベテラン、ミハル・ブレジナ選手がエントリーされました。ブレジナ選手はすでにNHK杯にエントリー済みですので、これで2試合出場が決定。09/10シーズンから9季連続での2試合エントリーということで、同世代の選手たちが次々と競技から去っていく中、継続するということの素晴らしさを感じさせてくれますね。一方、辞退となったコフトゥン選手ももう1試合のスケートアメリカのエントリーに変更はなく、それまでには無事復帰できるといいなと願っています。同じくスケートカナダに出場予定だったフランスのシャフィク・ベセギエ選手も辞退(もう1試合のフランス大会への出場予定は変わっていません)。代わりにドイツのパウル・フェンツ選手がエントリーされました。フェンツ選手は25歳とベテランですが、GPは初めてです。そして、前回の追記の時に言及したアメリカのジョシュア・ファリス選手の辞退によって空いたNHK杯の1枠には、カナダのナム・グエン選手が入りました。グエン選手はこれでロステレコム杯とNHK杯、2試合出場となります。
 アイスダンスでは、ロステレコム杯にエントリーしていたロシアのソフィア・エフドキモワ&エゴール・バジン組が出場を辞退。同じくロシアのベティナ・ポポワ&セルゲイ・モズコフ組がエントリーされました。ポポワ&モズコフ組は昨季結成したばかりのカップルということでこの二人での実績はほぼありませんが、ジュニア時代はそれぞれ別のパートナーとともに何度も表彰台に立った実力の持ち主です。今季はさっそくオンドレイネペラトロフィーで銅メダルを獲得していて、今後のロシアアイスダンス界を担う存在として活躍が楽しみな若手カップルですね。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから引用させていただきました。

[PR]
by hitsujigusa | 2017-05-31 02:00 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_01235732.jpg


 世界国別対抗戦(ワールド・チーム・トロフィー)2017、女子フリーとペアフリーについてお伝えします。なお、この大会のルール、システムについては、こちらの記事をご参考下さい。

ISU World Team Trophy 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 まずは女子です。
 女子フリーを制したのは世界女王、ロシアのエフゲニア・メドベデワ選手。

c0309082_14320238.jpg

 まずは得点源となる3フリップ+3トゥループから、これをいつもどおり手を上げてクリーンに跳び切り2.1点の高い加点を得ます。続く3ルッツも危なげなく下りて前半を終えます。後半はまず3ループ、3フリップを立て続けに成功させどちらも2点前後の加点を得ると、2アクセルからの3連続ジャンプもきれいに着氷。そして鍵となる3サルコウ+3トゥループも確実に成功。最後の2アクセルも難なく決め、ステップシークエンス、スピンも全てレベル4と非の打ちどころのない完璧な演技で今シーズンを締めくくりました。得点は先日の世界選手権でマークしたばかりの世界最高を約6点塗り替える160.46点を叩き出し、キス&クライでメドベデワ選手はロシアチームの仲間たちとともに歓声を上げました。
 150点でも充分にハイスコアにもかかわらず、160点という想像を絶するような数字で女子フィギュア界の新たな扉を開いたメドベデワ選手。技術点も全てのエレメンツに対して全ジャッジが3もしく2という驚くべき評価でもの凄い得点となりましたが、演技構成点ではパフォーマンスの項目で全ジャッジが10点満点という史上初めての快挙を成し遂げました。現在の採点システムにおいてはもうこれ以上伸ばしようがないというくらいの得点ですが、さらに伸ばすとすれば技術点ではGOEの加点3をもっと増やすことができるでしょうし、演技構成点も全ての項目において10点満点を目指すというメドベデワ選手にしかありえない領域に入っていくのかなと思いますね。この演技内容と得点を持って、メドベデワ選手がどんなオリンピックシーズンを送るのか、今から楽しみでなりません。


 2位となったのは四大陸女王、日本の三原舞依選手です。

c0309082_14563505.jpg

 冒頭は得点源の3ルッツ+3トゥループ、いつもより詰まった着氷になりましたが乱れなく下りて加点を獲得。続く3フリップ、2アクセルはスムーズにクリーンに成功させます。レベル4のステップシークエンスとスピンを挟んで後半、最初の2アクセル+3トゥループをしっかり下りると、3ルッツからの3連続コンビネーションもきっちり着氷。終盤の3ループ、3サルコウも全く問題なく、最後まで衰え知らずの勢いに乗った滑りで「シンデレラ」を演じ切りました。得点は自己ベストを約7点更新する146.17点というハイスコアをマークしました。
 ネーベルホルン杯の優勝から始まったまさに“シンデレラ”のようなシーズンを最後まで笑顔で滑り切った三原選手。日本女子歴代最高となる146.17という得点は、日本開催の試合ということもありますし、元々国別対抗戦はシーズン最終戦とあって点が出やすい試合なので、そういったボーナス的な意味合いが強いのかなと思います。ですが、このスコアが公式のパーソナルベストであることは間違いないですし、今後はこの得点を目安に結果を求められていくことになるでしょうから、シニア2季目となる来季は今季以上に難しいシーズンになるかもしれません。その中でも今季と同じようにスケートができる喜びを大切にして、三原選手らしい演技でさらなる飛躍を目指してほしいですね。


 3位は同じく日本の樋口新葉選手です。

c0309082_15322872.jpg

 まずは得意の大技3ルッツ+3トゥループを危なげなくクリーンに着氷させて1.4点の高加点を獲得すると、続く3ループ、3サルコウも余裕を持った着氷で両方とも加点1.4点の高評価を得て最高の前半とします。後半はまず2アクセルを難なく着氷すると、2つ目の3ルッツ+3トゥループも完璧に成功。残りの3フリップ、2アクセル+2トゥループ+2ループも安定してこなし、フィニッシュした樋口選手はショートに続きガッツポーズで喜びを露わにしました。得点は自己ベストを何と15点以上更新する145.30点を叩き出し3位に入りました。
 全てのジャンプが背中に羽が生えているかのように軽やかで見ていて安心感のある演技でしたね。まだ130点も出したことのなかった樋口選手が一気に145点というのはさすがに驚きましたが、ジャンプに関してはジュニア時代からロシア女子を凌ぐくらいのポテンシャルの高さは示していた選手なので、シーズンの最後にしてようやく実を結んだのかなと思います。表現面に関しても、ジュニア時代に得意にしていたアップテンポなプログラムとはあえてイメージの異なるプログラムに挑んだことで産みの苦しみみたいなものもあったのかなと想像しますが、最後にはショートもフリーもしっかり自分のものにしましたね。シニア1季目に新たな挑戦をしたことで今後演技のバリエーションも増えるでしょうし、今季をオリンピック出場に向けて力を蓄えるシーズンと考えるならば、好いシーズンの送り方ができたんじゃないかなと思います。来季は今季よりも笑顔で終われる試合が一つでも増えることを願っています。


 4位は世界選手権2017の銅メダリスト、カナダのガブリエル・デールマン選手です。

c0309082_16355068.jpg

 冒頭の3トゥループ+3トゥループはショート同様2.1点の加点。続く3ルッツも驚異的な跳躍で1.3点の加点を得ますが、次の3フリップは踏み切りのエッジが不正確とされ加点はあまり伸びず。後半はまず3ルッツからの3連続ジャンプをきっちり成功させると、続く3ループは若干着氷が乱れたものの、その後のジャンプは全てクリーンに跳び切り、142.41点と自己ベストを約1点更新しました。
 世界選手権の疲れを感じさせない相変わらずのダイナミックなジャンプとエネルギッシュな演技でしたね。デールマン選手にとってはスケート人生の変わり目となったであろう今シーズン。ジャンプの安定感が増したのはもちろんですが、表現面でも力強さだけではない女性的なしなやかさや優雅さがプラスされて、そうしたプログラムとのハマり具合も演技構成点の評価の高まりに寄与したのかなと思いますね。今季のような好調さを来季も持続し、さらにプラスアルファの進化を見せられればオリンピックのメダルも夢ではないのではないでしょうか。


 5位はロシアのエレーナ・ラディオノワ選手です。

c0309082_16593676.jpg

 冒頭は大技3ルッツ+3トゥループ、これをしっかり回り切って下り1.4点の加点を獲得します。続く3フリップも踏み切りのエッジ、着氷ともにクリーンに成功。スピンやステップシークエンスを挟み、後半最初は3ルッツでしたが回転が足りず着氷でもよろめきます。しかし直後の3+1+3の難しい3連続ジャンプはパーフェクトに成功。続く2アクセルは再び回転不足で着氷でもバランスを崩します。残りの2つのジャンプは着氷でこらえながらも大きなミスなくこなし、演技後は少し疲れた表情を見せました。得点は自己ベストに約2点と迫る137.08点をマークしました。
 久しぶりの実戦だったためか演技後半は疲労が垣間見え、細かなジャンプミスが重なってしまいました。それでも情熱的な演技力はさすがで、18歳とは思えない重厚さや風格を感じましたね。今シーズンは思ったような成績が残せなかったラディオノワ選手ですが、メドベデワ選手を除けばロシア女子勢の実力は横一線で、誰が2番手、3番手と断言できないような状況なので、ラディオノワ選手もさらにジャンプを確実なものにできれば今季の苦境を跳ね返せるのではないかと思います。


 6位となったのはアメリカのアシュリー・ワグナー選手です。

c0309082_17164848.jpg

 まずは得意の2アクセルをさらりとこなして始まると、ショートでは回転不足となった3フリップ+3トゥループも回り切って着氷。続く2アクセル+2トゥループはセカンドジャンプでこらえつつも成功させます。後半は得点源となる3+1+3に挑みましたが、1つ目と3つ目がどちらもアンダーローテーション(軽度の回転不足)の判定。次の3フリップ、3ループは危なげなく着氷し1点前後の加点を得ますが、最後の3ルッツは踏み切りのエッジエラーを取られて減点となります。最後の2つのスピンはレベル4でまとめ、フィニッシュしたワグナー選手は納得したように笑顔で何度か頷きました。得点は133.26点でシーズンベストを更新しました。
 細かなジャンプミスはあり会心の演技とはなりませんでしたが、経験を積み重ねてきたからこその深みのある演技は若い選手たちには醸し出せない魅力に満ちていてひときわ印象に残りましたね。ワグナー選手にとって競技生活の集大成になるであろう来シーズン、もちろんオリンピックのメダルというのは目標としてあるかもしれませんが、どの国も10代の選手たちが若い勢いで躍進している時代だからこそ、ベテランのワグナー選手にしかできない円熟した表現で存在感を示してほしいなと思いますし、ジャンプ以外のフィギュアスケートの魅力というのをワグナー選手らしい演技で伝えるシーズンにしてほしいなと思いますね。


 ということで、女子フリーは以下の順位となっています。

《女子フリー》

1位:エフゲニア・メドベデワ(ロシア)、12ポイント
2位:三原舞依(日本)、11ポイント
3位;樋口新葉(日本)、10ポイント
4位:ガブリエル・デールマン(カナダ)、9ポイント
5位:エレーナ・ラディオノワ(ロシア)、8ポイント
6位:アシュリー・ワグナー(アメリカ)、7ポイント
7位:李子君(中国)、6ポイント
8位:李香擬(中国)5ポイント
9位:カレン・チェン(アメリカ)、4ポイント
10位:ロリーヌ・ルカヴェリエ(フランス)、3ポイント
11位:アレーヌ・シャルトラン(カナダ)、2ポイント
12位:マエ=ベレニス・メイテ(フランス)、1ポイント




 ここからはペアフリーです。
 ペアフリーでトップに立ったのはショートでも1位だったフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組です。冒頭のツイスト、3トゥループ+2トゥループ+2トゥループのジャンプを高いクオリティーでまとめると、大技のスロー4サルコウは両足着氷になったものの回転は認定。その後も3サルコウやスロー3フリップを次々とクリーンに決め、リフトやスピンなども全てレベル4を揃え、146.87点とパーソナルベストを約1点更新しました。
 2位はGPファイナル王者かつ欧州王者、ロシアのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組。序盤の3サルコウが2回転になるミスはありましたが、そのほかのエレメンツはほぼレベル4に加えてほぼ1点以上の加点という質の高さを見せつけ、140点台に乗せました。
 3位は中国の彭程(ペン・チェン)&金楊(ジン・ヤン)組。冒頭の2アクセルで転倒する失敗から始まりましたが、その後は大きなミスなく手堅く演技をまとめ、自己ベストに約3点と迫るスコアをマークしました。
 4位はカナダのカーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組。3ツイストがレベル2になる取りこぼしはありましたが、全体的には目立ったミスなく滑り切り、130.09点と自己ベストを更新しました。
 5位はアメリカのアシュリー・ケイン&ティモシー・ルデュク組。序盤から前半は細かなミスがありながらもまずまずのエレメンツをこなしていきましたが、中盤のつなぎの部分で氷にエッジが引っかかり女性がバランスを崩し、それにぶつかるような形で男性も倒れ、男女ともに激しく転倒してしまうというアクシデントが発生。しかしその後は気持ちを切り替えて丁寧に滑り切りました。ただ、複数のミスが響き得点を伸ばすことはできませんでした。
 6位は日本の須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組です。

c0309082_20074392.jpg

 冒頭の3ツイストは少しスムーズさを欠いてレベル2にとどまりGOEでもマイナスの評価。続く3サルコウは女性の須藤選手の回転が抜けて1サルコウとなります。直後のスロー3ループはクリーンに成功。波に乗りたいところでしたが、中盤のソロジャンプでも須藤選手にミスが出てしまいます。その後も細かく減点を取られるエレメンツがいくつかあり、97.57点と自己ベストから11点ほど低い得点にとどまりました。
 世界選手権では披露できなかったフリーを日本の観客の前でノーミスでという思いはあったと思いますが、ショートから須藤選手がジャンプに苦労していてなかなか噛み合わなかったのかなという印象ですね。須藤選手にとっては初めての国別対抗戦ということで調整の仕方も難しかったかもしれませんが、こうした試合ごとのバラつきが来季はさらに減っていくと演技構成点の得点アップも狙えるでしょうから期待したいですし、昨季と比べても二人のユニゾン、調和というのは間違いなく成長していると感じるので、来季をまた楽しみにしたいですね。


 ペアフリーの順位は以下のようになりました。

《ペアフリー》

1位:ヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組(フランス)、12ポイント
2位:エフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組(ロシア)、11ポイント
3位:彭程&金楊組(中国)、10ポイント
4位:カーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組(カナダ)、9ポイント
5位:アシュリー・ケイン&ティモシー・ルデュク組(アメリカ)、8ポイント
6位:須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組(日本)、7ポイント




 さて、これで全ての競技が終了しました。ということで、総合順位は以下の通りです。

《総合順位》

1位:日本、109ポイント
2位:ロシア、105ポイント
3位:アメリカ、97ポイント
4位:カナダ、87ポイント
5位:中国、80ポイント
6位:フランス、62ポイント




 2012年以来の優勝を果たしたのは日本チームです!

c0309082_01061077.jpg

 最後の実施となった女子フリーまでどう転ぶかわからない展開でしたが、見事に金メダルを勝ち取ってくれましたね。予想以上の活躍を見せてくれたのは初出場の女子二人で、三原、樋口の両選手ともにショート、フリー合わせてミスらしいミスが一つもなく、ベストの演技をしてくれたというのは来季に向けて明るい材料になったのではないでしょうか。日本女子は浅田真央さん、村上佳菜子さんという日本を引っ張ってきたベテラン選手が引退を表明しましたので、それと入れ替わるように勢いのある10代の選手が頭角を現してきたというのは嬉しい限りですね。
 一方で男子は羽生選手の思いがけないSPこそありましたが、フリーは実力どおりのワンツーフィニッシュ。羽生選手が普通にショートをやれていれば日本チームの優勝はもう少し余裕のあるものになっていたと思いますので、羽生選手の出遅れによって優勝争いが接戦となってより展開がおもしろくなったという意味では、今思うとそれはそれで良かったのかもしれません。


 銀メダルを獲得したのはロシアチームです。

c0309082_00335882.jpg

 日本とは4点差で惜しくも初優勝を逃したロシア。女子はメドベデワ選手は言わずもがな、ラディオノワ選手もまずまずベストに近い力を発揮したと思うのですが、男子はコリヤダ選手はショート、フリーともに上位に食い込んで健闘したものの、コフトゥン選手の方が本調子ではなく得点を稼げませんでしたね。ペア、アイスダンスも実力を考えればもう少し上の順位も狙えたかなという感じもするので、女子以外は全体的に本来取れるポイントを取りこぼしてしまったような印象を受けました。


 銅メダルはアメリカチーム。

c0309082_00394756.jpg

 アメリカは男子が二人とも安定していてチームのポイントリーダーになった感じですね。女子はワグナー選手はしっかりショートもフリーも上位をキープしましたが、全米女王として期待されたカレン・チェン選手は初出場というのも影響したのか中位から下位にとどまりました。ペアもアイスダンスもほぼ予想されたとおりの順位だったので、チェン選手の不振だけが残念だったかなと思います。



 ということで世界国別対抗戦の記事はこれで終了とします。
 女子を振り返ると、メドベデワ選手の世界新のみならず、三原選手、樋口選手とフリー世界歴代4位、5位という目を見張るようなハイスコア連発で、日本開催かつシーズン最終戦といえども、さすがにちょっと大盤振る舞いしすぎ感は否めませんでしたが、それはともかくとして、メドベデワ選手のフリーの演技構成点で初の10点満点が出されたのを見ると、この採点システムの限界が少し見えたというか、行き着くところまで行き着いたのかなという感じはしましたね。将来的な採点システムの根本的な変更も国際スケート連盟で検討され始めているようですし、男子も女子もペアもアイスダンスも年々得点がインフレしているのは間違いないので、何かをどこかの段階で大きく変えなければいけないというのは致し方ないのかなと感じますね。
 ペアはジェームズ&シプレ組がショート、フリーともに1位という完全制覇で、少し予想外ではありましたがこの結果によって来季のペアの勢力図がさらに掻き回されることになればおもしろいなと思いますね。
 選手の皆様には最後まで全力で演技する姿を見せていただいて本当に感謝ですね。来季は4年に1度のオリンピックシーズン。全ての選手にとって五輪シーズンが幸い多きものとなることを祈っています。では。


:メダリスト3チームの集合写真はスケート情報サイト「icenetwork」から、メドベデワ選手の写真、三原選手の写真、樋口選手の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、デールマン選手の写真、ワグナー選手の写真、須藤&ブードロー=オデ組の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ラディオノワ選手の写真は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、日本チームの写真は、ジャパンタイムズのニュースサイトが2017年4月22日に配信した記事「Japan completes wire-to-wire lead to capture second World Team Trophy title」から、ロシアチームの写真、アメリカチームの写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
世界国別対抗戦2017―日本、3大会ぶり2度目の優勝(女子SP&アイスダンスSD) 2017年4月24日
世界国別対抗戦2017―日本、3大会ぶり2度目の優勝(男子SP&ペアSP) 2017年4月26日
世界国別対抗戦2017―日本、3大会ぶり2度目の優勝(男子フリー&アイスダンスFD) 2017年4月27日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-04-29 01:32 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_01235732.jpg


 前記事、前々記事に続き、世界国別対抗戦(ワールド・チーム・トロフィー)2017の内容、結果について書いていきます。今回は男子フリーとアイスダンスフリーダンスです。この大会のルールやシステムについてはこちらの記事をご覧ください。

ISU World Team Trophy 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 まずはさっそく男子から。
 男子フリーで1位となったのは日本の羽生結弦選手です。

c0309082_17475806.jpg

 まずはショートで失敗した4ループ、これを今度は完璧に決めます。続いて4サルコウはパンクして1回転に。続く3フリップは難なく下りてここから後半、鍵となる4サルコウ+3トゥループをクリーンに着氷させると、4トゥループ、3アクセル+3トゥループもきれいに成功。そして初の試みとなる5本目の4回転、4トゥループ+1ループ+3サルコウは最後のジャンプの着氷で若干乱れたものの4トゥループ自体は成功。最後に組み込んだ2本目の3アクセルは珍しく1回転となりますが、初めての構成に挑んだ羽生選手はフィニッシュすると穏やかな笑みを浮かべました。得点は200.49点で1位となり、ショートの7位から挽回しました。
 2月の四大陸選手権では演技途中にプランを変更しての4回転5本というのはありましたが、今回は演技前から5本跳ぶことを決めて臨んだ初めての挑戦。結果的には前半の4サルコウが1回転になったことによって自身初の4回転5本成功はなりませんでしたが、その一方で後半に4回転3本という世界でも史上初の快挙を達成させ、また新たなバリエーションを手にしました。ただ、羽生選手自身は現時点では来季は今季の構成を大きく変えるつもりはないとのことで、現在の4回転4本をベースに完成度を高めて、5本の4回転はあくまでオプションとして考える方向で行くようですね。また、フリー後にはエキシビションの練習で4ルッツを着氷する姿も見せていて新技にも期待がかかりますが、大事なオリンピックシーズンということを考えるとよっぽど自信がない限りプログラムに取り入れることはないのかなと思いますね。個人的には来季の羽生選手にはジャンプを全て完璧に下りるだけではなく、ステップや技と技のあいだのつなぎ、プログラム全体の緻密さや完成度も期待したいですし、そのためには今と同じ構成をさらに極めていくことで体になじんで余裕も生まれてくると思うので、ジャンプはもちろんのこと、それ以外の部分でももっと魅せる演技、プログラムを来季は楽しみにしたいですね。


 2位となったのはSP1位の宇野昌磨選手です。

c0309082_14444658.jpg

 自身初となる4フリップ2本の構成で挑んだ宇野選手。まずは今季後半から組み込んでいる4ループ、これをクリーンに下りて2.29点の加点を得ます。続く4フリップは回転は充分でしたが着氷が乱れ減点となります。直後の3ルッツは回転と着氷は問題なかったものの踏み切りのエッジエラーでこちらも減点。スピンとステップシークエンスを挟んで後半、最初の3アクセル+3トゥループは危なげなく成功で2.86点という極めて高い加点。続いて初挑戦の2本目の4フリップでしたが、ダウングレード(大幅な回転不足)で転倒となり予定していたコンビネーションにはできず。しかしその後は4トゥループ、3アクセル+1ループ+3フリップ、3サルコウと全てのジャンプをクリーンにこなし、しっかり立て直して演技を終えました。得点は198.49点で2位となりました。
 4フリップを2本跳ぶというチャレンジは残念ながら不首尾に終わりましたが、4フリップ自体はすっかり自分のものにしているジャンプなので、オフシーズンの練習次第でこの構成も思ったより早く安定するんじゃないかなという気がしますね。何といっても4フリップにしても4ループにしても武器になったのはこの1年のあいだのことですから、宇野選手の習得と上達の早さを考えると楽しみですね。また4ルッツや4サルコウといった新たな4回転も練習中で、現時点ではまだ確率は低いようですが、“攻める”を常にテーマに掲げている宇野選手なので、オリンピックシーズンといえども守りに入らず新しいことを試していく可能性もあるのかなと想像します。あとは攻めすぎて怪我しないかが心配ですが、そのあたりの冷静さは若いわりにしっかり持ち合わせている選手だと思いますし、今大会中のインタビューでは「世界選手権自体はあまり疲れなかった」とか「もうちょっと試合が多くてもいい」と語っているくらいフィジカル的にも強靭な選手なので、さっそくゴールデンウィークにはアイスショー出演が待ち受けているなどまだまだ過密日程が続きますが、練習と休息のバランスをうまく取って、来シーズンも宇野選手らしく攻め続けてほしいですね。


 3位に入ったのは元世界王者、カナダのパトリック・チャン選手です。

c0309082_15334741.jpg

 まずは得意の4トゥループ+3トゥループをきっちり決めて加点2.71点を獲得。さらに今季からの新技4サルコウもクリーンに着氷させます。続いて鬼門の3アクセルでしたがわずかな乱れにとどめます。そして後半はまず4トゥループ、これも着氷で若干の乱れ。直後の3アクセルからのコンビネーションは1アクセル+2トゥループに。しかしその後のジャンプは全て難なく下り、リズムを大きく崩すことなく演技をまとめ、190.74点をマークしました。
 今季から挑戦している4トゥループ2本、4サルコウ1本、3アクセル2本という構成ですが、シーズン最終戦にしてまとまった形が見えてきたのかなという感じですね。シーズン序盤はなかなか決まらなかった4サルコウも徐々に安定してきましたし、3アクセルも以前よりはミスが少なくなってきている印象があるので、重要な来季に向けてこの構成をベースにさらに完成度が高まっていくと、元々演技構成点はピカイチなので楽しみだなと思います。来シーズンはチャン選手にとってスケート人生の集大成になるでしょうから、演技もプログラムもチャン選手らしい、チャン選手にしかできないフィギュアスケートの魅力を詰め込んだ作品を期待したいですね。


 4位はアメリカの新星ネイサン・チェン選手です。

c0309082_17153426.jpg

 ショート同様に最高難度の4ルッツは回避し、冒頭は4フリップの連続ジャンプから幕を開け、セカンドジャンプは2回転となったものの確実に成功させます。続く2本目の4フリップは着氷で大きくバランスを崩します。さらに4サルコウは2回転にとミスが相次ぎますが、4トゥループからの3連続ジャンプはクリーンに着氷。後半は5本目の4回転となる4トゥループをまず成功させると、苦手の3アクセルもふんばって着氷。残りのジャンプは問題なく予定どおりに下り、最後まで若さ溢れるエネルギッシュな演技を披露しました。得点は185.24点で4位となりました。
 足首を負傷している中での試合となったチェン選手でしたが、そうした不具合をほとんど感じさせない力強いパフォーマンスでした。大きなミスとしては4サルコウのパンクくらいで、4本の4回転を着氷させる安定感はやはりさすがでしたね。不完全燃焼に終わった世界選手権からしっかり切り替えて集中し直せていて、ジュニアとは違うシニアならではの日程だったり、短期間でのメンタルコントロールの仕方だったり、五輪シーズンに向けて貴重な収穫が得られたのではないかと思います。来季チェン選手がどんなジャンプ構成で臨むのかはわかりませんが、何といってもまだまだ若いので攻めてほしいと思いますし、シニアデビューシーズンとなった今季の経緯を見ると昨シーズンの宇野選手の状況と似ているので、シニア2季目に大飛躍した宇野選手同様、今季得たものを来季にさらに昇華させられれば今季以上に強いチェン選手の姿が見られるのではないかという気もしますね。


 5位はロシアのエース、ミハイル・コリヤダ選手です。

c0309082_17154690.jpg

 冒頭は今季からチャレンジしている大技4ルッツ、回転は充分でしたが転倒し初成功はならず。しかし直後の4トゥループはクリーンに跳び切ってすぐに立て直します。さらに3アクセル+2トゥループ、3ルッツ+2トゥループと立て続けに成功させ、上々の前半とします。後半は最初の3アクセルを決めると、得点源となる3+3もクリーンに着氷。その後のジャンプもさらりとこなし、スピン、ステップシークエンスも全てレベル4でまとめ、フィニッシュしたコリヤダ選手は満面に笑みを浮かべました。得点は184.04点で自己ベストを更新し、有終の美でシーズンを締めくくりました。
 ショート、フリーともに自己ベストを更新し、今回出場した男子選手の中でもひときわ輝きを放ったコリヤダ選手。4ルッツの失敗こそありましたが、その後の切り替えは見事で、心身ともに充実していることをうかがわせるパフォーマンスでしたね。現時点で完全に自分のものにしている4回転は4トゥループだけで、羽生選手や宇野選手らトップグループとはまだ基礎点での差がありますが、4ルッツが確実に計算できる武器となれば一気に躍進して台風の目的な存在となる可能性も秘めていると思いますし、スピンやステップもしっかりレベルが取れてしかも加点も稼げるので、今以上に取りこぼしの少ない選手となればおもしろいなと感じますね。ロシアのエースとしてコリヤダ選手が来季どんな活躍を見せるのか、楽しみにしたいですね。


 6位となったのはアメリカの実力者ジェイソン・ブラウン選手です。

c0309082_17581102.jpg

 4回転は外し確実な構成で臨んだブラウン選手。まずは得点源の3アクセル+3トゥループをパーフェクトに決めて2点の加点。続いて2アクセルをこなし、前半のジャンプをきっちりまとめます。後半に6つのジャンプ要素を固め、まずは単独の3アクセルをクリーンに成功。3ルッツ、3+2、2アクセルと危なげなくクリアし、3ループはタイミングが合わなかったのかパンクし1ループになりましたが、最後の3+1+3はスムーズな流れできれいに成功。終始丁寧かつ繊細に演じ切り、自己ベストに迫る179.35点で6位に入りました。
 世界選手権に引き続き、4回転はほぼなしという構成ながらも唯一無二の表現力で観客を引き込んだブラウン選手。今大会あえて4回転に挑まなかったのは、シーズン最終戦だからこそ挑戦してミスを含んだ演技にするよりも自分らしい演技で締めくくりたいと思ったのかもしれませんね。来シーズンのブラウン選手がどこまで上位に食い込んでいくのか、それは4回転次第になりそうですが、4回転があってもなくてもブラウン選手らしい演技で観客を楽しませてほしいなと思います。


 男子フリーは以下のような順位と獲得ポイントになりました。

《男子フリー》

1位:羽生結弦(日本)、12ポイント
2位:宇野昌磨(日本)、11ポイント
3位:パトリック・チャン(カナダ)、10ポイント
4位:ネイサン・チェン(アメリカ)、9ポイント
5位:ミハイル・コリヤダ(ロシア)、8ポイント
6位:ジェイソン・ブラウン(アメリカ)、7ポイント
7位:金博洋(中国)、6ポイント
8位:シャフィク・ベセギエ(フランス)、5ポイント
9位:ケヴィン・レイノルズ(カナダ)、4ポイント
10位:マキシム・コフトゥン(ロシア)、3ポイント
11位:ケヴィン・エイモズ(フランス)、2ポイント
12位:李唐続(中国)、1ポイント




 さて、ここからはアイスダンスのフリーダンスです。
 FDで1位となったのはカナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組です。前半のサーキュラーステップがレベル3となった以外は全てレベル4という極めて質の高いエレメンツを揃えた演技で自己ベストを一気に3点以上更新しました。
 2位はショートで1位だったアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組。前半のサーペンタインステップで男性のベイツ選手がバランスを崩す場面があり加点が稼げなかったものの、それ以外のエレメンツはしっかりレベル4でまとめ上げ、2位に食い込みました。
 3位はロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組。スピンやステップでのレベルの取りこぼしや思ったほど加点を稼げないエレメンツもいくつかあり100%の演技とはならず3位にとどまりました。
 4位は中国の王詩玥(ワン・シーユエ)&柳鑫宇(リュー・シンユー)組。ステップ以外の要素は全てレベル4というそつのない演技を見せ、パーソナルベストを約1点更新しました。
 5位はフランスのマリー=ジャド・ローリオ&ロマン・ルギャック組。こちらもミスらしいミスなく演技をまとめて自己ベストを更新しました。
 そして6位は日本の村元哉中&クリス・リード組です。

c0309082_23034889.jpg

 序盤のツイズルで若干回転がずれる場面があり、レベルこそ4だったもののGOEではわずかに減点。しかしその後はステップ以外のエレメンツを全てレベル4と目立ったミスなくこなし、自己ベストを約1点上回る92.68点をマークしました。
 ショートではリード選手がガッツポーズを見せるなど達成感と満足感に満ち溢れていた二人。FDはそこまで大きなミスはなかったものの心から満足という表情ではなく、まだまだできる、もっと出せるという感情が滲み出ているように感じました。世界選手権も今大会もツイズルで細かなミスがありもったいないところでしたが、カップルとしての経験を積み重ねるにつれ演技中でもお互いにカバーできる部分も増えてくるでしょうから、結成3季目となる来シーズンは今季得た二人の技術やユニゾンをさらに進化させて、ぜひオリンピックの切符をつかんでほしいと思います。


 ということで、アイスダンスFDは以下のとおりの順位です。

《アイスダンスFD》

1位:ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組(カナダ)、12ポイント
2位:マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組(アメリカ)、11ポイント
3位:エカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組(ロシア)、10ポイント
4位:王詩玥&柳鑫宇組(中国)、9ポイント
5位:マリー=ジャド・ローリオ&ロマン・ルギャック組(フランス)、8ポイント
6位:村元哉中&クリス・リード組(日本)、7ポイント




 男子フリー、アイスダンスフリーの記事は以上です。ショートも含めて振り返ってみると、男子はやはり日本の二人が圧倒的な強さを示しましたね。カナダやロシアが一人は上位に食い込んだけれどももう一人は下位に沈んでしまったという順位のバラつきがあったのと比べると、羽生選手のSP以外は日本は予想どおりの力を発揮できたのかなと思います。一方でアメリカもショート、フリーともに二人ともしっかり上位をキープしていて、オリンピックの団体戦を占う意味でもこの層の厚さは頼もしいなと感じました。
 アイスダンスはアメリカ、カナダ、ロシアのアイスダンス3国が下馬評どおりにトップスリーを独占。ですが、その中でもショートではアメリカのチョック&ベイツ組が1位、フリーではカナダのウィーバー&ポジェ組が1位という結果で、現時点ではアイスダンス界においては北米勢がロシアの先を行っているのかなという印象を受けましたね。
 さて、次の女子フリー&ペアフリーの記事がいよいよ16/17シーズンの最後のフィギュア大会関連記事となります。では。


:メダリスト3チームの集合写真はスケート情報サイト「icenetwork」から、羽生選手の写真、宇野選手の写真、チャン選手の写真、ブラウン選手の写真、村元&リード組の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、チェン選手の写真、コリヤダ選手の写真は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
世界国別対抗戦2017―日本、3大会ぶり2度目の優勝(女子SP&アイスダンスSD) 2017年4月24日
世界国別対抗戦2017―日本、3大会ぶり2度目の優勝(男子SP&ペアSP) 2017年4月26日
世界国別対抗戦2017―日本、3大会ぶり2度目の優勝(女子フリー&ペアフリー)2017年4月29日 

[PR]
by hitsujigusa | 2017-04-27 23:53 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)