カテゴリ:フィギュアスケート(衣装関連)( 38 )

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 16/17シーズンのコスチュームをランキング形式で紹介するベストコスチューム16/17。例年どおり、個人的に良いと思った現役選手たちの衣装を各カテゴリー別に1位から10位まで振り返っていきたいと思います。この記事ではアイスダンスのショートダンスのベスト10を書いていきます。
 その前に、コスチュームを選ぶ上でのルールをまとめると、


●16/17シーズンに着用された衣装が対象。
●グランプリシリーズ、欧州選手権、四大陸選手権、世界選手権、世界国別対抗戦に出場した選手が、該当する試合で着用した衣装のみ対象とする。
●各部門につき、各選手1着のみに限定。1つのプログラムで複数の衣装を使用している場合でも1着しか対象にならない。また、1人の選手が1シーズンで複数のプログラムを演じた場合でも1つの衣装しか対象にならない。
●16/17シーズンに着用している衣装でも、すでに昨シーズン以前に使用されたことのある衣装は対象外とする。



 という感じになります。これらのルールに基づいて、10着の衣装を選びました(アイスダンスやペアの場合は男女で1組なので、衣装ももちろん2着で1つという扱いです)。ではさっそく、アイスダンスショートダンス部門の1位から見ていきます。

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 アイスダンスショートダンス部門の1位は、日本の村元哉中&クリス・リード組の「レイ・チャールズ・メドレー」です。

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 ソウルの神様と呼ばれるレイ・チャールズの楽曲を組み合わせたメドレープログラム。明るく軽快なプログラムということで衣装もポップさを前面に押し出したデザインになっています。
 男女ともに基調となっている色はイエローと紫。女性の村元選手はホルターネック風のワンピースで、ボディの部分は濃いめの紫のベルベット風生地。胸元は白襟のようなデザインに小さなボタンが4つ並んでいます。スカートは透け感のある紫のチュールスカートの上にサテンのような艶のある素材の白いスカートを重ねていて、白いスカートは輪っかのような一風変わったイエローのドット模様となっています。ドット以外にもスカートの縁や首にかかったストラップ、腰を囲むベルト(背中側でリボンを結んだデザインになっている)がイエローとなっていて、アクセントをつけています。
 一方、男性のリード選手は白いシャツの上に、紫をベースにイエローの格子柄が入った五分袖のジャケットを着用。ネクタイはイエローにシルバーのラインストーンが施された作りで、ポケットにはイエローのチーフと、こちらもベースは紫ですがイエローをアクセント的に使ったコーディネートとなっています。
 紫とイエローという組み合わせは珍しい色づかいですが、プログラムのポップな雰囲気によく合っていますし、また、女性のワンピース姿も男性のジャケット姿もどこかレトロで古き良き時代を思い起こさせるデザインになっていて、レイ・チャールズというアメリカを代表する往年のスターの音楽にもピッタリ合っていると思いますね。


 2位はアルメニアのティナ・ガラベディアン&シモン・プルー=セネカル組の「Blues/Swing」です。

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 プログラムに関しては今季の課題であった「ブルース」と「スウィング」の表記があるのみで具体的な曲名はわからないのですが、前半はしっとりとした女性ボーカルによる上品な世界観、後半は同じく女性ボーカルですが軽快でリズミカルな曲調という構成のプログラムになっています。
 ということで後半の「スウィング」の軽快さよりも、前半の「ブルース」の落ち着いたイメージを意識したコスチュームになっていますね。男性はシンプルな黒のタキシード姿でクラシカルな紳士を演出。女性はラインストーンやビジューがふんだんにあしらわれた上半身と深いスリットが入った長めの群青色のスカートという個性的でありながらも気品のあるドレス姿。特に上半身はかなりキラキラとした一見派手なデザインですが、使う装飾の色をある程度絞って統一してあるので、そんなにごちゃごちゃした感じはせずゴージャスかつ洗練された印象を与える衣装になっていると思います。プログラムが醸し出すイメージよりは男女ともにクラシックな趣きが強いかなと思いますが、よく工夫された美しい衣装ですね。


 3位はロシアのヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組の「Love Creole/It Don't Mean A Thing」。

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 ジャズの大家デューク・エリントンの「Love Creole」とアメリカを代表するエンターテイナー、トニー・ベネットとレディー・ガガのデュエット曲「It Don't Mean A Thing」のメドレープログラム。全体的にしゃれた小気味の良い雰囲気の作品ですが、コスチュームもそれに合わせて比較的カジュアルなデザインになっています。
 男性は五分袖の白シャツに黒いベストというスマートながらも着崩した雰囲気のある着こなし。一方、女性はネイビーのワンピースですが、裾はゴールドなどさまざまな色が入り混じったフリンジっぽい作りになっていて、上半身から腰にかけてはシンプル、スカートはゴージャスというギャップのあるデザインが印象的で良いですね。プログラムの後半はトニー・ベネットの渋い歌声とレディー・ガガの華やかなソプラノのデュエットなので、そういったイメージにも合っている衣装だなと思います。


 4位はイタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組の「Cry For Me/Choo Choo Boogie」です。

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 クリント・イーストウッド監督作品『ジャージー・ボーイズ』の劇中曲「Cry For Me」による前半はしっとりとしながらも軽快さもあるバラード、後半はとにかくノリノリのブギウギというプログラム。
 女性のカッペリーニ選手は全身水玉のモノトーンの半袖ワンピースというポップないでたち。一見シンプルですが、ドットの大きさが部分部分で違いますし、裾の広がり方も絶妙で、よく考えられたコスチュームだと思います。また、男性のラノッテ選手は黒いインナーに黒いパンツ、赤いジャケットというコントラストがきれいなコーディネート。男女であまり共通点のないように見えるコスチュームですが、カッペリーニ選手が赤いイヤリングや赤いマニキュアでラノッテ選手の衣装に合わせているところもしっかり工夫していますし、男女で並んだ時に黒と白と赤というコントラストのハッキリとしたカラーコーディネーションがプログラムの雰囲気にも合っていて素敵ですね。


 5位はアメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組の「That's Life」。

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 プログラムはフランク・シナトラが歌うスタンダードナンバー「That's Life」ですが、後半はそれをヒップホップ風にリミックスしたバージョンになっていて、ゆったりとした前半と急激に激しくなる後半とのギャップが魅力的な作品です。
 コスチュームは男性と女性とで少し趣の異なるものになっていて、男性は白シャツに黒いジャケットとパンツという非常にシンプルなスタイル。一方で女性は胸元が大胆に開いたデザインのノースリーブのトップスで、その下にはランジェリーがのぞくような作りになっており、また、背中側は全てシースルー生地になっているので、さらにセクシーさを感じさせます。しかしトップスの襟元はスーツの襟のような形になっていて男性の衣装との統一感もあり、ボトムスはスカートではなく脚を全て覆うパンツルックということもあり、セクシーだけれども羽目を外し過ぎない品の良さもちゃんとある衣装になっています。女性の衣装は中国杯までは胸元も覆うようなデザインの衣装を着ていてそちらも素敵だったのですが、よりセクシーなこちらを今回は選びました。
 男性のオーソドックスな衣装でプログラム前半のフランク・シナトラのパートを、女性の個性的な衣装でプログラム後半のヒップホップのパートを表しているようにも思えて、プログラムの持つ二つのイメージを男女それぞれが表現するという考えられたコーディネートになっていますね。


 6位はカナダのアレクサンドラ・ポール&ミッチェル・イスラム組の「Big Spender/シング・シング・シング」。

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 ムーディーな女性ボーカルが特徴的なミュージカルナンバー「Big Spender」と、スウィング・ジャズの名曲「シング・シング・シング」を組み合わせたプログラム。
 衣装は男女ともに黒を基調としたシックなのものとなっています。男性は白シャツにグレーのストライプが入った黒いベストとパンツ、白い水玉のネクタイというコーディネートで、シンプルではありますが単に黒一色ではなく、ストライプやドットといった模様の入ったスタイルにすることでより軽快さやポップさも醸し出していて、スウィング・ジャズを使ったノリの良いプログラムの世界観に合わせています。女性は胸元の大きく開いたホルターネック風のワンピース姿で、黒いラインが細かく交差するような素材感が特徴的。スカートの裾はフリンジになっていて、全体的に古き良きアメリカの踊り子が着ていたような衣装を想起させるデザインとなっています。また、シーズン初戦のUSインターナショナルクラシックでは女性のポール選手は髪をポニーテールにしていましたが、写真のスケートカナダでは髪をまとめて、さらにシルバーの髪飾りをつけたことによって、よりオールドアメリカのクラシックな雰囲気が強調されていて、プログラムのイメージをしっかり体現していると思いますね。


 7位はフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組の「Bittersweet/Diga Diga Doo」。

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 女性ボーカルによるロマンティックな前半と、トランペットの音色が特徴的なリズミカルな後半という構成のプログラム。シーズンを通して男女ともに2着の衣装を使用していましたが、個人的に好きなシーズン後半の衣装を選ばせていただきました。
 女性のパパダキス選手は胸元が大きく開いたワンピースを着氷。ベースとなるネイビーのシースルー生地の上にボタニカル柄っぽい金色の刺繍を施したようなデザインで、スカートは一切模様や装飾のないシンプルなものとなっています。金色の刺繍によってゴージャスな印象もありますが、細めのストラップや透け感のある生地など全体的に華奢な印象もあり、可憐さと華やかさのバランスが取れたコスチュームだと思います。男性はこちらも胸元をはだけた白シャツの上にグレーの五分袖ジャケットとパンツといういでたちですが、ジャケットの襟と袖は女性のワンピースと同じような金色の刺繍がなされていて、地味すぎず派手すぎずというセンスの良さを感じさせますね。


 8位はスペインのオリヴィア・スマート&アドリア・ディアス組の「Proud Mary」。

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 ティナ・ターナーの楽曲を使用したパワフルでソウルフルなプログラム。ということで衣装もわりときらびやかなものになっています。
 女性はシルバーのノースリーブドレス。スカートはフリンジになっていて色づかいも伴ってゴージャスな印象を与えますが、上半身はシルバー一色ではなく肌色に合わせたベージュとの縞模様っぽくなっているので、見た目にも変化がありますね。一方で男性はグレーのシャツに黒いパンツというごくごくスタンダードなスタイルで、女性の引き立て役という感じ。
 カップルとして見ると、色的にはシルバー、グレー、黒というモノトーンに近い組み合わせで必ずしもカラフルではありませんが、ブロンドのボブヘアにシルバーのフリンジワンピースという女性のいでたちがとても華があり、また、プログラムの雰囲気ともよく合っていて、色の印象以上に華やかさを感じさせる衣装だなと思います。


 9位はイギリスのライラ・フィアー&ルイス・ギブソン組の「Save My Soul/Diga Diga Doo」。

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 アメリカのスウィング・バンド“ビッグ・バッド・ヴードゥー・ダディ”の楽曲2曲のメドレープログラム。古き良きアメリカ音楽をリバイバルしたような音楽が特徴的なバンドの楽曲とあって、どこか懐かしい雰囲気も漂わせるプログラムになっています。
 男性のギブソン選手は五分袖の白シャツに黒いベスト、黒いパンツというオーソドックススタイル。一方、女性のフィアー選手は鮮やかなライトブルーのホルターネックワンピース。胸元にふんだんにビジューが施されていてとても華やかな印象を与えます。また、上半身は流れるような曲線が縦に走るデザインともなっていて、シンプルな中にも工夫が感じられます。
 こちらも上述したスマート&ディアス組同様に、男性は地味目に、女性は比較的華やかにという組み合わせで、男性が女性を際立たせる二人のコーディネートですね。


 10位はロシアのエレーナ・イリニフ&ルスラン・ジガンシン組の「Big Bad Love/シング・シング・シング」です。

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 レイ・チャールズとダイアナ・ロスのデュエット曲「Big Bad Love」と超定番の「シング・シング・シング」を組み合わせたプログラムですが、コスチュームはスウィングのノリノリのイメージよりも、前半のブルースのしっとりとした世界観の方をイメージしたデザインになっていますね。
 女性のイリニフ選手はノースリーブのスカート長めのドレス。シックなネイビーですが、上半身を中心に施された細かなビジューや、ネックレス風の装飾、腰のコサージュ風の装飾、頭の髪飾りなど、全体的に装飾多めになっているのでわりと華やかな印象です。男性の方は白いシャツに黒い蝶ネクタイ、黒いスーツという正統派のクラシカルスタイルですが、襟には女性同様にキラキラとしたビジューがあしらわれているのでこちらも華のある雰囲気。ブルース&スウィングというよりはクラシック音楽のプログラムで使用してもおかしくない衣装ですが、あえてこういったプログラムでクラシカルなコスチュームを用いることで、上品さを前面に押し出していて良いですね。



 ベストコスチューム16/17のアイスダンスショートダンス部門は以上です。フリーダンス部門に続きます。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、村元&リード組の写真は、デイリースポーツのニュースサイト内の写真特集記事から、ガラベディアン&プルー=セネカル組の写真、シニツィナ&カツァラポフ組の写真、カッペリーニ&ラノッテ組の写真、シブタニ&シブタニ組の写真、ポール&イスラム組の写真、スマート&ディアス組の写真、イリニフ&ジガンシン組の写真は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、パパダキス&シゼロン組の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、フィアー&ギブソン組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-05-25 17:23 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 フィギュアスケーター衣装コレクション第13弾。今回取り上げるのはロシアのベテランスケーター、アリョーナ・レオノワ選手です。
 レオノワ選手は1990年生まれの現在25歳。日本の浅田真央選手やカナダのパトリック・チャン選手、引退された韓国の金妍兒(キム・ヨナ)さんなどと同い年の、いわゆる黄金世代の一人ですね。現在の最強ロシア女子軍団の一角をなす選手ですが、ロシア女子が今のように世界を席巻する前、まだ日本女子やアメリカ女子に押されていた時代からロシア女子を引っ張る存在として活躍し続けてきました。最近は10代の若い選手たちに押され気味で、なかなか以前のように存在感を発揮できてはいませんが、数少ない20代半ば過ぎのベテラン選手として、円熟味を増した演技を披露し続けてくれています。そんな彼女の衣装を、振り返っていきます。

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by hitsujigusa | 2016-09-03 00:32 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 フィギュアスケーターのコスチュームを振り返るフィギュアスケーター衣装コレクション。今回で第12弾となります。取り上げるのはアメリカの長洲未来選手。日系アメリカ人であることから日本のフィギュアファンにもおなじみの選手ですが、08/09シーズンのシニアデビュー後、さまざまな怪我やアクシデントに見舞われながらも、困難を乗り越え第一線で活躍し続けています。そんな長洲選手の主な衣装を見ていきたいと思います。

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by hitsujigusa | 2016-08-05 18:27 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 フィギュアスケーターの衣装を振り返る、フィギュアスケーター衣装コレクション第11弾。今回取り上げるのは、2016年の3月をもって引退した小塚崇彦さんです。
 日本のフィギュアファンにとってはいまさら説明するまでもなく、小塚さんといえば日本フィギュア界のサラブレッド。正統派のスケーターとして、世界でも類まれなる美しいスケーティングの持ち主として活躍しましたが、惜しまれつつも引退、さらにアイスショーなど全てのスケート活動からも退きました。未だにそのことが淋しくてならないのですが、それはとりあえず脇に置いといて、そんな小塚さんのコスチュームの数々を見ていきたいと思います。

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by hitsujigusa | 2016-07-07 23:46 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 ベストコスチューム15/16、いよいよこれがラストとなる女子フリー部門です。なお、衣装を選ぶ際のルールについてはこちらの記事を、女子のショートプログラム部門はこちらの記事をご覧ください。

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 女子フリー部門第1位は、日本の宮原知子選手の「ため息」です。

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 フランツ・リストのピアノ曲「ため息」は、「3つの演奏会用練習曲」というピアノ曲集の中の一曲。リストらしいエレガンスで、タイトルのとおりため息をこぼすような優しい旋律が印象的な作品です。
 そんな音楽を用いたプログラムに宮原選手が掲げたテーマは“初恋”。ということで、コスチュームはまさに初恋を思わせる鮮やかなピンク色です。ですが、ひとえにピンク色といっても衣装の場所によって異なるピンク色を配置していて、特にスカートは5枚以上の生地を重ねてグラデーションになるように作られていて、単調なピンクにならない工夫が凝らされています。また、特徴的なのは布づかいで、上半身は3種類の生地を組み合わせたアシンメトリーなデザインになっていて、この異素材感がピンク一色の衣装に効果的に変化を与えているように思いますね。
 プログラムの世界観を余すことなく伝えた、甘美で素晴らしい衣装です。


 2位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手の「火の鳥」です。

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 定番の「火の鳥」をゴールド選手らしく優雅に、しかし力強くダイナミックに演じたプログラムですが、衣装にも彼女らしいフェミニンさというのが反映されているように感じます。
 色はまさに“火の鳥”といった感じの赤。衣装の形はストラップレスで、胸部に羽やビジューがあしらわれ、鳥の翼のようなデザインとなっています。首元や腕にも同じ赤でアクセント的に装飾が施されていて、特に腕の装飾があることによってよりいっそう“鳥感”が出て良いですね。
 火の鳥らしい激しさや情熱的なさまを表しながらも、女性的な美しさも表現した見事なコスチュームだと思います。


 3位はフランスのマエ=ベレニス・メイテ選手の「トリスタンとイゾルデ」です。

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 古典作品「トリスタンとイゾルデ」を元にフランスの作曲家マキシム・ロドリゲスが作曲した音楽作品で、壮大でありながら悲哀漂うプログラムとなっています。
 コスチュームは紫を基調としていて、両袖とも長袖ですが、襟ぐりが斜めになっているアシンメトリーなデザインです。そして最も特徴的なのが上半身に大きく描かれた独創的な絵柄。鳥の羽のようにも見えますし、葉っぱっぽくも見えます。この部分が色とりどりのビジューによって描かれていて、まるでアート作品といっても過言ではないような美しさです。
 オリジナリティーを存分に発揮しながらも、奇抜になり過ぎず、ほかにない唯一無二の美しさを表現した素晴らしい衣装ですね。


 4位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「映画『ムーラン・ルージュ』より」。

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 14/15シーズンからの持ち越しプログラム「映画『ムーラン・ルージュ』より」ですが、コスチュームは14/15シーズンの赤いワンピースから一新しました。
 新しいコスチュームはガラリと変わって白いストラップレスのワンピースで、胸の部分に金糸でさまざまな文様や植物をかたどった少しエキゾチックなデザインな施されています。そして首元も金色やブロンズ色のゴージャスなネックレス風の装飾がなされていて、プログラムの世界観にふさわしい華やかさをいっそう強調しています。白をベースにすることで可憐さも醸し出しつつ、ゴールドを多用することで品の良い豪華さもプラスしていて、14/15シーズンの赤い衣装も素敵でしたが、そこから全く違うコスチュームにすることでプログラムのイメージをも新たにしていて、プログラムと衣装のコンビネーションというのを改めて感じさせてくれましたね。


 5位は日本の浅田真央選手の「蝶々夫人」です。

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 日本を舞台にした王道のオペラ「蝶々夫人」。ということで衣装は着物風となっています。色は淡いラベンダー色を基調とし、うっすら透け感があります。袖はたっぷりと広がっており、腰の帯は繊細な刺繍がなされ、写真では見えませんが背中側は実際の着物で用いられる帯の結び方っぽくなっていて、さらには帯紐もしっかり施されていて、本物の着物の趣きに近い、上質な和服アレンジコスチュームになっています。また、タイトルにかけて上半身には蝶もあしらわれていて、蝶を衣装の中にデザインとして取り入れると、ともすればそこだけ浮いてしまったり子どもっぽっくなったりしかねないと思うのですが、この衣装の蝶は明らかに蝶と分かるデザインを用いながらも、うまく衣装の中に溶け込ませていて、絶妙だなと思いますね。


 6位は日本の本郷理華選手の「リバーダンス」です。

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 アイルランドの伝統音楽や舞踊などを取り入れた舞台作品「リバーダンス」の楽曲を使用したプログラム。本郷選手がこのプログラムで使用した衣装は2パターンあり、シーズン前半から四大陸選手権までは黒地に青や白のビジューを散りばめたもの、世界選手権以降は同じ黒地で胸の部分に大ぶりのビジューをあしらったものでしたが、今回はより華やかな後者を選びました。
 ベースとなる色はシックな黒ですが、胸元を中心にダイヤモンド風のビジューで花がいくつも連なったようなデザインとなっており、腕の部分はシースルー生地に細かなビジューが施されています。全体的に際立って目立つ色は使われていないのですが、贅沢に用いたビジューが放つ輝きがアクセントとなっていて、黒と青の寒色系のコスチュームですがしっかり華やかさもある衣装ですね。


 7位はロシアのアデリナ・ソトニコワ選手の「Je Suis Malade」。

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 「Je Suis Malade」はフランスの歌手ララ・ファビアンが歌う情熱的なラブソングです。ソトニコワ選手が纏う衣装で何より特徴的なのは左胸のハートでしょう。複数の立体的なビジューによってハート形が作られていて、まさにラブソングにぴったりなデザインです。コスチュームのベースとなる素材は黒いシースルー生地で(この写真だと光の効果でかなりスケスケに見えますが、実際に映像などで見るとここまで透けてません)、放射線状の黒いラインがハートに引き寄せられるようなデザインになっています。
 パッと見の華やかさやゴージャスさはないものの、一方で黒地にピンクのハートというインパクト大のデザインによって新鮮な印象を見る者に与える、考えられた衣装だなと思います。


 8位は日本の木原万莉子選手の「映画『ブラック・スワン』より」。

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 バレエ「白鳥の湖」をテーマにした映画『ブラック・スワン』のサントラを使用したプログラム。衣装はまさに“白鳥の湖”らしいもので、上半身は白、腰から下は黒というツートーンで白鳥と黒鳥の両方を表しています。その色づかいも完全に白と黒に分かれているんじゃなくて、絶妙に白と黒が混じり合うようなデザインになっていますし、胸元の羽の部分にもところどころ黒が交じっていて、表裏一体の白鳥と黒鳥の世界観をコスチュームで見事に表現しているなと思いますね。


 9位はアメリカのポリーナ・エドマンズ選手の「映画『風と共に去りぬ』より」。

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 名作『風と共に去りぬ』のサントラを使用した壮大で華麗なプログラム。衣装は白を基調としていて、決して一目で分かる豪華さはないのですが、よく見ると上半身全体に生地と同系色の細かなビジューが施されていて、気品のある華やかさを演出しています。そしてワンポイントとして目を引くのが蝶々結び風のリボンで、この部分が本物のリボンだとより素朴な感じになると思いますが、これは服と一体化したアップリケになっていてリボン自体がキラキラとしたビジューをあしらっているのでやはり華やかです。また、リボンや服の縁取りは深みのあるグリーンで、映画の主人公スカーレット・オハラがアイルランド系で、アイルランドのナショナルカラーがグリーンという点をしっかり踏まえています。
 プログラムの音楽自体がわりと重々しい部分もあるので、衣装の色も濃い色にすると音楽と相まってより重厚さを漂わせる作品になったと思いますが、白という軽やかな色を選択したことで重厚さと軽快さのバランスをうまく取っているように思います。


 10位はアメリカの長洲未来選手の「映画『華麗なる・ギャツビー』より」。

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 1920年代のアメリカの富裕層の人々の姿を描いた映画『華麗なるギャツビー』。長洲選手のコスチュームはその華麗さ、ゴージャスさ、アメリカらしさというのをよく表わしていますね。
 ベースとなる色は落ち着きのあるベージュですが、衣装の装飾や腕のバングルなどきらめくビジューが多用されていて、色の印象以上の華やかさを感じさせます。衣装は体の線を強調する形・デザインでセクシーさが前面に押し出されていますが、色づかいが淡く柔らかさを感じさせる分、いやらしいセクシーさではなくて上品なセクシーさになっていると思います。
 古き良き時代のアメリカの華々しさ、リッチさを伝える素晴らしい衣装ですね。



 ベストコスチューム15/16、女子フリー部門は以上です。そして15/16シーズンのベストコスチュームシリーズもこれで全て終了となります。フィギュアスケートのシーズンも7月1日から新シーズンとなり、今から選手たちの新プログラム、そしてそれに伴う新コスチュームが楽しみでなりません。来季もプログラムとともに、衣装にも大いに注目していきたいと思います。では。


:記事冒頭の写真はフィギュアスケート誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、宮原選手の写真、浅田選手の写真、本郷選手の写真、長洲選手の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ゴールド選手の写真はマルチメディアサイト「Newscom」から、メイテ選手の写真、木原選手の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ワグナー選手の写真、エドマンズ選手の写真は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ソトニコワ選手の写真はフィギュアスケートブログ「FS Gossips」内の記事「Adelina Sotnikova: people love me」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
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ベストコスチューム15/16・男子フリー部門 2016年5月12日
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ベストコスチューム15/16・アイスダンスショートダンス部門 2016年6月2日
ベストコスチューム15/16・アイスダンスフリーダンス部門 2016年6月8日
ベストコスチューム15/16・女子ショートプログラム部門 2016年6月16日
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by hitsujigusa | 2016-06-23 15:26 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(4)

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 ベストコスチューム15/16、女子ショートプログラム部門です。15/16シーズンに使用された女子のSPの衣装のベスト10を1位から見ていきたいと思います。衣装を選ぶ際のルールはこちらの記事をご覧ください。

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 女子ショートプログラム部門第1位は、アメリカのポリーナ・エドマンズ選手の「ピアノソナタ第14番」です。

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 ベートーヴェンの「ピアノソナタ第14番」、いわゆる“月光ソナタ”として知られる名曲を使用したプログラムです。
 衣装は青を基調としたものですが、胸の辺りには緑色も交じっており、上から下に向かって緑から青、さらに濃い青へと絶妙なグラデーションになっています。そのグラデーションの作り方もただ色が薄い方から濃い方へ変化するというのではなく、複雑に色を重ねながら全体的に一体感のある色合いになるように計算されていて、工夫が素晴らしいなと思います。また、胸元のネックレス風のビジューや、上半身全体に施した細かなビジューなど、装飾づかいもちょうど良い華やかさです。
 夜空を想起させる深い青、きらめく星々のようなビジューなど、“月光”のイメージを忠実に反映していて、シックさと華やかさのバランスも、重厚であり優雅でもある音楽の世界観にぴったりで、ため息の出るような美しい衣装ですね。


 2位は日本の宮原知子選手の「ファイヤー・ダンス 『リバーダンス』より」です。

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 アイルランド発の舞台作品『リバーダンス』の中の一曲である「ファイヤー・ダンス」を使用し、フラメンコの要素をふんだんに盛り込んだプログラムとなっています。
 ということで、衣装もスペインらしさ、フラメンコらしさを存分に意識したデザインですね。鮮やかな赤を基調とし、スカートや袖口からレース調の黒い生地が少しだけ覗いています。上半身はレースっぽい作りの蔓草模様の生地でちょっぴり透け感がありセクシーさを感じさせますし、スカートも左腰の方できゅっと布を絞るようなデザインになっていて、短めのスカートからのぞく脚がこちらも大胆な印象で、全体的に大人びた雰囲気を醸し出しています。
 一見奇をてらわずオーソドックスなデザインですが、素材のチョイスの仕方だったりスカートの丈のバランスだったり、細部にまでこだわりの感じられる素晴らしいコスチュームだと思います。


 3位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「Hip Hip Chin Chin」です。

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 「Hip Hip chin Chin」はドイツのクラブ・デ・ベルーガというジャズ・バンドの楽曲で、ジャズをベースにしつつ、サンバのリズムも織り込まれていて、どこの国の音楽と一言で言えないような魅力のある、ノリノリのダンスナンバーとなっています。
 そんな陽気な雰囲気の音楽ですが、ワグナー選手は黒一色の衣装でシックにまとめています。ワグナー選手がこのプログラムで使用した衣装は2種類あり、今回取り上げたのはシーズン前半で使用したものです。黒のホルターネックのミニスカートドレスで色づかいとしては非常にシンプルですが、服の線に沿うようにあしらわれた大ぶりのビジューや、上半身前面に散りばめられた細かなビジューなど、キラキラと光るビジューが黒い生地に映えてとてもゴージャスです。また、スカートの裾もフリンジにすることでほかの衣装にはないオリジナリティーを演出しています。
 明るいプログラムながらあえてクールな黒を使うことで、プログラムに漂う“大人の世界”のイメージをうまく表現し、そこにビジューやフリンジなどで華や個性をプラスしていて、シンプルながら個性的という相反するイメージを見事に両立させた衣装になっていると思います。


 4位は中国の李子君(リ・ジジュン)選手の「月の光」です。

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 ドビュッシーの代表曲「月の光」を使用したプログラムで、まさに夜空のような群青色を基調としたワンピース姿です。両肩のストラップの太さが異なるアシンメトリーな作りで、左側は細いシルバーのストラップ、右側はヌーディーな肌色の生地と群青色のストラップを組み合わせたデザインになっています。このワンピースのデザインの肝となるのはやはり右肩から胸元にかけての部分で、肌色の生地に左肩のストラップと同じシルバーの縁取りをしたり、群青色やシルバーのビジューをあしらったりしていて、この部分をそのまま群青色の生地だけで作ってしまうと、群青色が暗めの色なだけにずっしりと重い印象になりかねないと思うのですが、肌色の生地でパッと見シースルーっぽい感じにすることで軽やかさが生まれています。
 シックさと華やかさ、重厚さと軽やかさのバランスが美しいコスチュームですね。


 5位はカナダのケイトリン・オズモンド選手の「ばら色の人生」です。

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 シャンソンの定番「ばら色の人生」のシンディ・ローパーバージョンを使用したプログラム。普通ならタイトルに合わせてバラっぽいピンクや赤を選びそうなところですが、そこをあえてグレーという無彩色にしてきたところが新鮮ですね。やはりグレーというのは地味な印象を与えやすいカラーなので難しさもあると思うのですが、この衣装はストラップから胸元にかけてビジューでピンクや白の植物をあしらっていて、そのピンクと白がベースとなるグレーにとてもマッチしていて、色合わせの妙というのが感じられます。グレーという色の美しさを存分に活かした素晴らしいコスチュームだと思います。


 6位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手の「エル・チョクロ」です。

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 「エル・チョクロ」はタンゴの名曲で、情熱的な部分もありつつ、哀愁漂う大人びた空気感が印象的な音楽。ゴールド選手の衣装もそれに合わせて黒でクールに仕上げています。ワンピースの形は実にシンプルで、正面から見るとほぼ黒一色ですが、ほかの角度から見るとスカートの裏地だったり左腰の赤いバラの装飾だったり、ところどころに赤がのぞくデザインになっていて、その黒と赤のバランスが絶妙だなと思います。全体的には黒の面積が多いのでシックな印象ですが、効果的に使われている赤がアクセントとなって秘めた情熱のようなものをイメージさせて、プログラムの世界観とぴったりだなと思いますね。


 7位は日本の村上佳菜子選手の「ロクサーヌのタンゴ 映画『ムーラン・ルージュ』より」。

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 フィギュア界でもすでに定番になっている「ロクサーヌのタンゴ」。女子スケーター、男子スケーターともに人気の曲ですが、村上選手は男性ボーカル入りで迫力のあるパワフルなプログラムに仕上げています。
 衣装も女子選手にしては珍しいパンツスタイルで、全身黒一色。腕や背中などベースとなる生地は黒のシースルーで、その上に重厚感のある黒いハイネックを重ね、シンプルなミニスカートに、黒いストッキングを履いて、ほぼ全ての肌を覆っています。非常にシンプルな色づかいですが、トップスの前面に細かなビジューで模様を付けたり、何よりコスチュームの形でオリジナリティーを表現していて、ほかの女子選手にはないカッコいい衣装になっていると思います。


 8位はロシアのエフゲニア・メドベデワ選手の「映画『白夜の調べ』より」。

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 日本とロシアを舞台にした日本映画『白夜の調べ』のサントラを使用したプログラム。しっとりとしたエレガンスなピアノ曲ですが、メドベデワ選手の衣装も落ち着いた色合いのワイン色でシックにまとめています。長袖のシンプルな形のワンピースですが、腕や肩部分はシースルー生地で、胴から下は透け感のない生地と変化がつけられています。また、ビジューの使い方が光っていて、胸からお腹にかけて生地を埋め尽くすように施されたビジューがまるで星空のような美しい絵柄を作り出していて、ワイン色一色の衣装にゴージャスさをプラスしています。露出の少ない衣装で少女らしい清楚さを醸し出しながらも、大人っぽい雰囲気もうまく表現していますね。


 9位はラトビアのアンゲリーナ・クチヴァルスカ選手の「星は光りぬ オペラ「トスカ」より」。

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 大定番のオペラ「トスカ」の中でも有名なアリア「星は光りぬ」に乗せた壮大で重厚なプログラム。コスチュームはタイトルにふさわしい、まさにきらめくイメージを前面に押し出した豪華なデザインです。
 ベースとなる色は鮮やかな紫で、衣装のフォルムとしては長袖ワンピースですが、体の中心や腰に布の切れ目のようなラインが入った独創的な作りです。上半身全体にふんだんにビジューがあしらわれ、首元のジュエリーっぽいデザインの装飾もそうですし、ワンピースを縦断するようなシルバーの曲線など、個性的なデザインが印象的です。また、そのシルバーのラインが複数交差することによって、胸元に菱形模様を作り、その菱形の部分にまた別の色のビジューがあしらわれ……という重層的な色の組み合わせになっていて、これだけ色とりどりだとごちゃごちゃしかねないのですが、ベースとなる紫からそんなに離れていない色合いのビジューを使っているので、それぞれの色がうまく溶け合って、一体化していますね。


 10位はロシアのアデリナ・ソトニコワ選手の「ある恋の物語/ラテン・セレクション」。

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 さまざまなラテンの楽曲を組み合わせたメドレー・プログラム。陽気でノリの良いダンスナンバーとあって衣装も派手なピンクでラテンらしさを表現しています。ピンクの色合いも淡いと優雅で大人しいイメージになりますが、ちょっと紫の入った濃いピンクなので良い意味でチープでキッチュな感じが出ています。また、形としてはオーソドックスなワンピースなのですが、スカートはフリンジでしかもイエローとの2色づかいによってさらに明るい雰囲気になっていますし、上半身の方もところどころ肌色の生地を使うことでシースルーっぽくしていたり、水玉模様をあしらったり、左胸にのみワンポイントでフリンジを付けたりと、そこここにアクセントとなるモチーフを用いていて、全体的にとても賑やかで楽しいコスチュームになっていますね。



 さて、女子ショートプログラムの衣装ベスト10は以上です。次はいよいよベストコスチューム15/16の大トリ、女子フリー部門です。またしばらくお待ちください。


:記事冒頭の写真は、フィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、エドマンズ選手の写真は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、宮原選手の写真、ゴールド選手の写真、メドベデワ選手の写真、ソトニコワ選手の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ワグナー選手の写真は、スケート情報サイト「icenetwork」が2016年1月13日に配信した記事「2016 U.S. Championships Viewer's Guide」から、李選手の写真、オズモンド選手の写真、村上選手の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、クチヴァルスカ選手の写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2016-06-16 17:41 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 ベストコスチューム15/16、アイスダンスのフリーダンスの衣装のベスト10を見ていきます。ショートダンス部門はこちら、また、衣装を選ぶにあたってのルールはこちらの記事をご覧ください。

*****

 アイスダンスフリーダンス部門第1位は、イタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組の「映画『甘い生活』より/映画『カビリアの夜』より/映画『フェリーニのアマルコルド』より/映画『8 1/2』より」です。

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 プログラムはイタリアを代表する映画監督フェデリコ・フェリーニの作品のサントラを組み合わせたもので、全てこちらもイタリアを代表する作曲家ニーノ・ロータ作曲です。
 プログラムは全体的に明るさや陽気さが印象的なのですが、衣装は男性が主に白、女性が主に黒というモノトーンで統一。明るいプログラムだと衣装も明るい暖色系の赤やオレンジを選びがちだと思うのですが、あえてモノトーンにすることで逆に新鮮味を感じさせます。男性はシンプルな白いシャツ姿で、爽やかな印象。女性はストラップレスの黒いドレスですが、単なる黒一色ではなく細かなビジューを散りばめて華やかさを演出。また、ダイヤモンド風のビジューでベルトマークすることでアクセントを付けていて、いっそうエレガンスな雰囲気を作り出しています。シンプルなデザイン、色づかいながら、目を引く美しさがある素晴らしいコスチュームですね。
 ちなみにカッペリーニ&ラノッテ組はショートダンスでもモノトーンの衣装を使用していて、ショートダンス部門でも第4位として取り上げていますので、ぜひご覧ください。


 2位は中国の王詩玥(ワン・シーユエ)&柳鑫宇(リュー・シンユー)組の「映画『グリーン・デスティニー』より」。

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 中国を舞台にし世界的に大ヒットした映画『グリーン・デスティニー』のサントラを使用したプログラムで、衣装もまさに中国らしい本格的なデザインとなっています。このプログラムで使用された衣装は2種類あり、シーズン前半は女性がチャイナドレス風の濃い青のワンピース、男性がグレーの漢服風の衣装を使用していたのですが、シーズン後半に使用し始めた写真の衣装の方がより現代的に洗練された印象で、素敵だなと思いこちらを選びました。
 女性は前身頃が着物風になっているラベンダー色のワンピースで、お腹の右側に金色や紫色の糸で繊細な刺繍が施されています。他方、男性は鮮やかな青の詰め襟風の上着に黒いパンツといういでたちで、肩は肩パッドっぽい作りとなっていて、この肩部分や腰の帯に施された金色の模様によってゴージャスな雰囲気も醸し出しています。女性も男性も中国らしいデザインや模様を用いながらも、現代のコスチュームとして違和感のないおしゃれさもしっかりあって、トラディショナルかつモダンという素晴らしい衣装だと思います。


 3位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組の「Rachmaninov's Revenge」です。

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 使用している「Rachmaninov's Revenge」は、イギリスのロックバンド、クイーンのボーカリストとして知られる歌手フレディ・マーキュリーの楽曲です。タイトルのとおりラフマニノフの楽曲をサンプリングしつつ、もちろんボーカルも入っていて、いわゆるクラシカルオーバーといった感じの曲です。
 衣装は男性は黒一色ですが、上半身はシースルー生地で、そこに黒いうねるような曲線が描かれています。女性は淡いピンクのドレスで、胸元が大きく開いてそこだけがベージュ色の異なる生地となっています。スカートは端に行くにつれてピンクが濃くなるグラデーションとなっていて、全体的にフェミニンで清らかな印象を与えています。このプログラムは男性ボーカル入りなので力強さやパワフルさもあるのですが、ベースはラフマニノフなのでラフマニノフらしい優雅さもあり、そういった意味で男性と女性がそれぞれの曲想を表しているように感じますね。


 4位はアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組の「ピアノ協奏曲第2番」です。

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 フィギュア界大定番、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」の第2楽章と第3楽章を用いたプログラム。男性は黒を基調とした中に肩から胸にかけて赤い生地が使われている衣装。女性は赤を基調としたワンショルダー型のドレスで、上から下にいくにつれて色が薄くなりスカートの部分はシースルーのピンクとなっています。壮大で激しさもある曲想に赤がよく合っていますし、それでいて女性の衣装は真紅というよりはピンク寄りの赤なので女性的なエレガンスさもあって、プログラムの世界観にぴったりですね。


 5位は日本の平井絵己&マリオン・デ・ラ・アソンション組の「トゥーランドット」です。

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 おなじみの「トゥーランドット」を使用したプログラムで、男女ともにシックな色づかいの衣装で統一しています。男性のデ・ラ・アソンション選手はグレーのトップスに黒のパンツで、トップスは襟ぐりがゆったりとしたドレープ状になっていてエレガンスです。そして女性の平井選手は紫を基調としたオフショルダーのドレス。紫の色合いも一色ではなく濃いめの鮮やかな紫の部分と、にじんだような淡い紫の部分と分かれていることで変化をつけていて、そこから服の端っこに向けて薄くなるグラデーションになっているのが美しいですね。男女ともにシンプルな色づかいではあるのですが、その中にもグラデーションなど繊細な色づかいの工夫がなされているので見た目にも変化があって、音楽にあった深みのある清らかな雰囲気のコスチュームになっていると思います。


 6位はウクライナのアレクサンドラ・ナザロワ&マキシム・ニキーチン組の「幻想曲第3番」です。

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 「幻想曲第3番」はモーツァルト作曲のピアノ曲で、静謐かつ抒情的な旋律が印象的なプログラムとなっています。
 男性は濃いめのグレーのトップスと黒のパンツ姿で、襟ぐりはくしゅっと布を寄せて立体的な作りにしています。女性は淡いブルーのアシンメトリーなデザインのワンピースで、右側が細いストラップ、左側が長袖となっています。長袖も完全に腕を覆うものではなく、布を体に纏わせるようなデザインが軽やかさを演出していて、素材感の柔らかさといい色づかいといい、全体的に軽快さを印象付けます。男性女性ともに、シンプルな音楽にふさわしい華やかさを控えたコスチュームですね。


 7位はフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組の「Rain In Your Black Eyes/To Build a Home」です。

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 イタリアの作曲家エツィオ・ボッソの楽曲と、イギリスのニュージャズグループ“The Cinematic Orchestra”の楽曲のメドレープログラムで、盛り上がる部分もありますが、激しかったり情熱的だったりというわけではなく、全体的に穏やかな曲想が続くプログラムです。
 なので男女ともに深みのあるネイビーを基調としていて、男性は襟ぐりが丸いトップスで、うっすらと透けるシースルーの向こうに赤がほのかに見えるような作りです。女性はワンショルダー型のワンピースで、上半身はネイビー、スカートは赤という対照的な色づかいが印象的です。上半身はシースルーの生地と透けない生地とが組み合わされていて、一見無造作に生地に穴ぼこが開いたかのようなデザインがモダンな雰囲気を醸し出しています。
 クラシカルな雰囲気もありながら装飾性を極力排し、布地の特性をそのまま生かしたようなデザインの衣装はコンテンポラリーアートのようなイメージも想起させ、クラシックの要素もありつつ現代的な要素も多く含んでいる音楽の世界観にぴったりですね。


 8位はポーランドのナタリア・カリシェク&マクシム・スポディレフ組の「Crystallize」。

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 「Crystallize」はアメリカのヴァイオリニスト、リンジー・スターリングの楽曲です。なのでもちろんヴァイオリン曲で、ヴァイオリンが奏でる硬質な音色が特徴的なプログラムなのですが、ポップスっぽい要素もあって、スタンダードなクラシック曲とは少し趣きが異なります。
 衣装は男女ともにモノトーンで、男性は黒の上下、女性はブルーを帯びたグレーの長袖ワンピースです。どちらの衣装も細かなビジューが散りばめられていて、“クリスタル”という名の音楽のイメージを忠実に反映したデザインとなっています。色づかいは地味ですが、ふんだんに施されたビジューがスケーターの動きに合わせてきらめいて、それがいかにも“クリスタル”らしいですね。音楽自体が静かな曲調だったりオーソドックスなクラシックだったりすると、この衣装は地味過ぎるかもしれませんが、「Crystallize」はかなりアップテンポでノリの良い曲なので、これくらい地味でもいいのかなと思いますね。


 9位はアメリカのマディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組の「トロンのためのアダージョ」です。

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 「トロンのためのアダージョ」はフランスのエレクトロ・デュオ“ダフト・パンク”が映画『トロン:レガシー』のサントラとして手がけた楽曲です。ダフト・パンクはジャンルとしてはハウスやエレクトロニックとされますが、この曲は映画音楽なのでクラシックの色合いが濃く、壮大で深遠な曲想です。
 衣装はシーズン中2種類使用され、シーズン序盤から四大陸選手権までは女性のハベル選手は白い衣装を用いていましたが、世界選手権で写真の衣装に変更しました。この写真ではちょっと分かりにくいかもしれませんが、上半身はマットな質感の黒一色で、スカートが前は短く、後ろが膝くらいまであるアシンメトリーな長さとなっています。また、色も黒からグレー、白というようにグラデーションになっていて、光と闇が混じり合うような重層性を感じさせる凝ったデザインです。一方、男性は黒一色でこちらはシーズン序盤から変わらず、“シンプル・イズ・ベスト”で女性を引き立てています。ダークで重厚なプログラムの世界観によく合った衣装だと思います。


 10位はロシアのヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組の「これからも僕はいるよ」。

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 イタリアのテノール歌手アンドレア・ボチェッリさんの「これからも僕はいるよ」(原題をそのままカタカナにした「イオ・チ・サロ」という曲名でもおなじみですね)は、15/16シーズンをもって引退した小塚崇彦さんや、14/15シーズンをもって引退したペアの龐清(パン・チン)&佟健(トン・ジャン)組も使用していて、フィギュア界でも徐々に定番化しつつあるクラシカルオーバーのボーカル曲です。
 女性のシニツィナ選手はロイヤルブルーのノースリーブドレスで、胸の下をベルト風の装飾で締めるデザインとなっています。男性のカツァラポフ選手は上下黒の衣装で、トップスには少し薄めの黒でシンメトリーな模様が描かれています。重厚でありソフトでもある男性ボーカル入りのプログラムで、女性がやわらかさを、男性が重厚さを想起させて、男女でうまくバランスを取っているように感じますね。



 アイスダンスフリーダンス部門は以上です。1か月ほど前から始まったベストコスチューム15/16シリーズですが、次の女子でいよいよ最後です。記事アップまでまたしばらくお待ちください。


:記事冒頭の写真は、フィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、カッペリーニ&ラノッテ組の写真、平井&デ・ラ・アソンション組の写真、シニツィナ&カツァラポフ組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、王&柳組の写真、ナザロワ&ニキーチン組の写真、カリシェク&スポディレフ組の写真、ハベル&ドノヒュー組の写真は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、ステパノワ&ブキン組の写真は、アメリカのファッションデザイナー、ニック・ヴェレオス氏の公式サイトが2016年4月5日に配信した記事「ICE STYLE.....ISU World Figure Skating Championships 2016: Figure Skating Costumes Recap PAIRS and ICE DANCE!」から、チョック&ベイツ組の写真は、アメリカの新聞「The San Diego Union-Tribune」の公式サイトが2015年11月7日に配信した記事「Asada wins Cup of China in comeback at Grand Prix series」から、パパダキス&シゼロン組の写真は、フィギュアスケート情報サイト「GOLDEN SKATE」が2016年4月1日に配信した記事「Papadakis and Cizeron defend World title」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2016-06-08 20:18 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 15/16シーズンのコスチュームのベスト10を選ぶベストコスチューム15/16。今回はアイスダンスのショートダンス部門です。衣装を選ぶ際のルールについてはこちらの記事の冒頭をご覧ください。

*****

 第1位は、アメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組の「モア/アンチェインド・メロディ」です。

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 15/16シーズンのショートダンスの課題は、パターンダンスが「ラベンスバーガーワルツ」、クリエイティブパートが「ワルツと、フォックストロットかマーチかポルカ」という指定でしたが、チョック&ベイツ組はイタリアの歌手アンドレア・ボチェッリのカバーによるスタンダードナンバー「モア」(元々はイタリア映画『世界残酷物語』のテーマ曲)と、映画『ゴースト/ニューヨークの幻』の主題歌として知られる「アンチェインド・メロディ」をクラシカルボーカルグループのイル・ディーヴォがカバーしたバージョンとを組み合わせたプログラムを用いました。
 全体的にゆったりとしてロマンチックな空気感が特徴的なプログラムですが、チョック&ベイツ組はこのプログラムで2種類の衣装を使用。女性のチョック選手の衣装はシーズンを通して1着でしたが、男性のベイツ選手の衣装はシーズン前半はシャツもタキシードも黒一色というコーディネート、シーズン後半は上掲の写真の、白いシャツに黒いタキシードという衣装を用いました。どちらも素敵なのですが、個人的にプログラムの雰囲気により合っていると思った方を今回は選びました。
 女性の方は肩を大胆に露わにしたロイヤルブルーのストラップレスドレス。胸と腰に色とりどりのビジューがあしらわれ、2枚重ねのスカートの下に着た方は鮮やかなグリーンで、ブルーと美しいグラデーションを作り出しています。男性ボーカルによって高らかに歌い上げられる恋をテーマにした作品と、深みのある青のフェミニンなドレス、そしてスタンダードで紳士的な男性のタキシード姿がよくマッチしていて、素晴らしいと思います。


 2位はイタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組の「オペレッタ『メリー・ウィドウ』より」。

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 タイトルの“メリー・ウィドウ”とは陽気な未亡人という意味ですが、その名のとおり明るく陽気な空気感が印象的なプログラムとなっています。シーズン前半は女性が濃いピンクのドレス、男性が黒地に金ボタンがついた衣装を使用していましたが、シーズン後半は今回選んだ衣装に変更しました。
 男性のラノッテ選手は白いシャツにグレーのネクタイ、黒いベストという軽快でシンプルなコーディネート。女性のカッペリーニ選手は白い五分袖のドレス姿。ドレスは生地と同色の繊細な刺繍が施され、首元の大ぶりのネックレスや腰の細いベルト(背中側で蝶々結びになっている)は黒でまとめられ、モノトーンの色づかいがシンプルではありますがアイスダンスの衣装の中では珍しく、新鮮味を感じさせます。シーズン前半で使用していた衣装は女性はかなり派手めで、男性も凝ったデザインのものだったのですが、プログラム自体が華やかで明るい分、衣装はこれくらいシンプルな作りで色味を抑えた方がバランスが取れていいのかなと思いますね。


 3位はロシアのアンナ・ヤノフスカヤ&セルゲイ・モズゴフ組の「Ribellione 映画『シチリア!シチリア!』より/映画『My Sweet and Tender Beast』より」。

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 マーチとワルツのリズムを用い、優雅ながらどこか勇ましさやダイナミックさも感じさせるプログラムで、コスチュームは女性の衣装に2種類あり、スケートアメリカで使用された白いドレスと、エリック・ボンパール杯以降に用いられたワイン色のドレスとがありましたが、今回は後者を選びました。
 女性はネックレス風の装飾を施した首元の詰まったノースリーブドレス。衣装全体には装飾は一切なく、模様もないですが、ビロードのような光沢が美しく、色合いや素材感をシンプルに活かした衣装ですね。そして男性の方はボタン周りにフリルの付いた白いシャツに、黒いアスコットタイ、中に着たグレーのウェストコートは花柄っぽい模様入りで、上着はシックな黒で引き締めています。女性の方がわりと簡素なので、男性の方がむしろ装飾的で、大きめのアスコットタイやウェストコートの模様がアクセントを付けています。男女のバランスがしっかり考えられた衣装だと思います。


 4位はフィンランドのセシリア・トルン&ユッシヴィレ・パルタネン組の「The World(With You)/Witchcraft」。

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 フランク・シナトラの歌を組み合わせたプログラム。エレガンスな大人の世界観が特徴的です。男性の衣装は白いシャツに白い蝶ネクタイ、白いウェストコート、黒いタキシードというクラシカルな正装。女性は淡いピンクのドレスで、細かなビジューによって斜めにラインが描かれていて、柔らかな雰囲気を醸し出しています。そのままパーティーに出かけられそうな優雅で気品溢れるコスチュームですね。


 5位はイギリスのペニー・クームズ&ニコラス・バックランド組の「オペレッタ『こうもり』より」。

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 フィギュア界の定番、ヨハン・シュトラウス2世のオペレッタ『こうもり』を使用した華やかなプログラム。男性の方は白いシャツに白い蝶ネクタイ、白いカマーベルトと黒いタキシードというオーソドックスなスタイル。一方女性はオレンジとピンクの中間の明るい色合いのドレス。胸元や腰には金色やピンクの花のアップリケが施されていて、ベースとなっているピンクオレンジと近いけれどまったく同じではない色合いが絶妙です。音楽の明るさをシンプルに表現した衣装ですね。


 6位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組の「映画『スタントマン』より」。

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 1980年公開のアメリカ映画『スタントマン』のサントラを使用していて、上述したカップルたちのプログラムとは多少趣きが異なります。
 男性の方はシルクっぽい光沢感のある白いシャツにブラウンのベスト、同系色のパンツというカジュアルなスタイル。女性はオレンジのストラップレスドレスで、デコルテ部分にふんだんにビジューがあしらわれています。プログラムはアメリカ映画らしい明るさやポップさに溢れており、女性のまばゆい衣装はもちろん、男性の衣装がシャツ+ベストというコーディネートなのも、アメリカらしいイメージを反映してのことだと思いますね。


 7位はカナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組の「美しき青きドナウ/アンネン・ポルカ」です。

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 ワルツ王、ヨハン・シュトラウス2世の代表曲「美しく青きドナウ」と「アンネン・ポルカ」を組み合わせたプログラム。男性は白いシャツに白い蝶ネクタイ、白いウェストコート、黒いタキシードという定番スタイルですが、それに加え首からメダルを下げ、右肩からワイン色の太いサッシュをたすき掛けするという、正式に近い勲章の装着の仕方をしていて、西洋の高貴な男性の雰囲気をうまく演出しています。女性は淡いピンクのハイネックドレスで、真珠が上半身全体に贅沢にあしらわれています。ただ真珠を散りばめるのではなく、ネックレスを複数重ねたようなシンメトリーな配置の仕方になっていて、バランスがよく考えられています。男女ともにトラディショナルなワルツを演じるにふさわしいヨーロッパのクラシカルな服装をうまく再現していて、細部まで工夫が凝らされた素晴らしい衣装ですね。


 8位はロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組の「仮面舞踏会/モンタビュー家とキャピュレット家 バレエ『ロメオとジュリエット』より」。

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 ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」とプロコフィエフのバレエ「ロミオとジュリエット」を組み合わせたプログラムで、前半はワルツ、後半はマーチとなっています。ボブロワ&ソロビエフ組が使用した衣装には2パターンあり、シーズン前半は女性の衣装がクリーム色のドレスでしたが、今回は欧州選手権で使用された方を選びました。
 男性の方は白いシャツに黒いアスコットタイ、黒い上着とパンツで、全体的に黒の面積が多くなっています。女性は群青色のドレス姿で、植物の枝葉のようなシルバーの模様と、首元のシルバーのネックレスがアクセントとなっています。男女ともに濃いめの色合いの衣装となっていますが、重厚なプログラムの雰囲気と衣装の色味が合っていて良いですね。


 9位はアメリカのアナスタシア・カヌーシオ&コリン・マクマヌス組の「バレエ『シンデレラ』より」。

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 ロシアの音楽家プロコフィエフのバレエ『シンデレラ』を使用したプログラム。衣装は男女ともに水色が基調となっていますが、女性は上半身に金糸で伝統的な模様の刺繍が施され、クラシカルな雰囲気を醸し出しています。男性は水色のシャツに水色の上着、さらにその上から黒いベストを重ねるという変わったスタイルとなっています。女性も男性も金色がアクセント的に使われていますが、特に男性は刺繍や金ボタンなど印象的に用いられていて、ファンタジーである「シンデレラ」の世界観を見事に表す華やかさもあり、可愛らしさもありというコスチュームになっていて、素敵だなと思います。


 10位はスロバキアのフェデリカ・テスタ&ルカーシュ・チェーレイ組の「Waltz In Swing Time 映画『有頂天時代』より/誰にも奪えぬこの想い 映画『踊らん哉』より/映画『ザッツ・エンターテインメント』より」。

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 テスタ&チェーレイ組は15/16シーズンは2つのプログラムを滑りましたが、今回選んだのはシーズン前半のプログラムの方です。アメリカのミュージカル映画のサントラのメドレーで、ミュージカル映画全盛期の陽気さに溢れています。
 衣装はそれと比べると比較的シックで、男性は白シャツ&白蝶ネクタイ&黒タキシードというこの記事の中でもたびたび登場してきたおなじみのクラシックスタイル。女性は淡いブルーのストラップの細いドレスで、体の中心に向かって布がキュッと寄せられたギャザーが繊細な印象を作り出しています。プログラムの音楽が華やかなので、もう少し衣装にも華やかさがあってもいいのかなという気もしますが、この写真では隠れていますがブルーのスカートの下にピンクのスカートがのぞく作りとなっていて、そのあたりで女性らしい華や可愛らしさを表現しています。二人ともシックですが、王道のコスチュームならではの美しさがあるコスチュームですね。



 ベストコスチューム15/16、アイスダンスのショートダンス部門は以上です。15/16シーズンのSDの課題が“ラベンスバーガーワルツ”とあって、男性の衣装は全体的に似通ったものが多くバリエーションには欠けましたが、それぞれ本格的な作りでワルツならではの正統派の良さを感じられる衣装が多く見られました。女性の衣装もクラシカルなものが多々あり、うっとりさせられる衣装がたくさんありましたね。
 次はフリーダンス部門に続きます。


:記事冒頭の写真は、フィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、チョック&ベイツ組の写真、カッペリーニ&ラノッテ組の写真、ボブロワ&ソロビエフ組の写真は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、ヤノフスカヤ&モズゴフ組の写真、トルン&パルタネン組の写真、クームズ&バックランド組の写真、ステパノワ&ブキン組の写真、カヌーシオ&マクマヌス組の写真、テスタ&チェーレイ組の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ウィーバー&ポジェ組の写真はカナダのニュース専門チャンネル「CTV News」の公式サイトが2016年1月22日に配信した記事「Weaver and Poje poised to capture another Canadian ice dance title」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2016-06-02 21:37 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 ベストコスチューム15/16、ペアフリー部門です。ペアショートプログラム部門はこちら、衣装のベスト10を選ぶにあたってのルールについてはこちらをご覧ください。

*****

 ペアフリー部門第1位は、カナダのリュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組の「交響曲第2番」です。

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 ラフマニノフの「交響曲第2番」を使用した甘美かつダイナミックなプログラム。ラフマニノフの作曲した数多い旋律の中でも最も有名なうちの一つである甘美なメロディから始まり、徐々にオーケストラが力強さを増し壮大に幕を閉じますが、女性の方が甘美な面、男性の方が壮大な面を表しているように思えます。男性は襟ぐりの深いネイビーのシャツ。シャツの右肩から背中にかけてと、右腕にのみビジューがあしらわれています。女性は白いワンピースで、胸部分は白というよりもベージュに近いピンク色のようになっていて、色とりどりのビジューが散りばめられています。男女ともにシンプルな形ながらも、派手過ぎず地味過ぎず音楽の世界観に合ったエレガンスなデザインになっていて、素晴らしいですね。


 2位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組の「映画『ロミオ+ジュリエット』より/映画『Romeo & Juliet』より」です。

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 ひとえに“ロミオとジュリエット”といってもさまざまありますが、ジェームズ&シプレ組が使用したのは1996年に公開されたレオナルド・ディカプリオ主演の「ロミオ+ジュリエット」と2013年公開の「Romeo & Juliet」のサントラの組み合わせです。
 フィギュア界でも定番中の定番である“ロミジュリ”ですが、ジェームズ&シプレ組は奇をてらうのではなく、シンプルな衣装で“ロミジュリ”感を出していますね。男性は襟部分が黒く縁取られた白いシャツ姿。腰は黒いベルトで締めてアクセントとしています。女性は清楚な印象の白いワンピース。下に着た淡いピンクのレオタードの上にシースルーの白いワンピースを重ね、露出は割と多いのですが、素材感の柔らかさや色づかいの美しさによって、ジュリエットらしい清らかさを醸し出しています。最終盤を除いてプログラム自体が全体的に甘美でしっとりとした感じなので、男女ともにソフトな印象のコスチュームで世界観にぴったりだと思いますね。


 3位は中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組の「あなたの声で心は開く 歌劇『サムソンとデリラ』より」。

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 サン=サーンスの「サムソンとデリラ」を使用したプログラム。前半はゆったりと優雅に、終盤は激しく熱狂的に幕を閉じる構成です。衣装は華やかな作りでエレガンスさを醸しながらも音楽の曲想に合ったエスニックさも感じさせます。
 男性の韓選手は袖部分がブラウン、ボディ部分が濃い青という変わった色合わせとなっています。ところどころに金色の装飾があしらわれていて、全体的にエキゾチックな雰囲気です。女性の隋選手は鮮やかな水色のワンピースで、ダイヤモンドを模した小ぶりのビジューがふんだんにあしらわれています。こちらはあまりエキゾチックさというのはなく、女性的な優雅さを表しているように感じます。男性と女性で全く違うデザインの衣装ですが、それぞれプログラムの異なる面を表現しているような感じで、よく工夫された衣装だなと思います。


 4位はロシアのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組の「夜想曲第2番/前奏曲第4番/革命のエチュード」です。

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 ショパンのメドレープログラムで、コスチュームはクラシック音楽の正統を表現しているように感じます。男性は白いシャツに黒いスーツというシンプルかつスタンダードないでたち。一方、女性は淡いピンク色の片袖が長袖タイプのスカートが長いワンピース。この写真では少しわかりにくいかもしれませんが、胸元からお腹にかけて大きなト音記号がデザインされています。ショパンというクラシックの中でも正統派中の正統派だからこそ、このデザインなのかなと思いますし、ワンピースと違和感なく溶け合っていて素敵ですね。男女の組み合わせで見ても、とてもクラシカルな雰囲気を漂わせていて、ショパンにぴったりだと思います。


 5位は中国の彭程(ペン・チェン)&張昊(ジャン・ハオ)組の「真珠採り」です。

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 オペラ「真珠採り」は「カルメン」で有名なビゼーの作品。物語の舞台はセイロン、現在のスリランカです。ということで衣装もアジアっぽさを意識したエキゾチックなデザインになっています。
 男性の張選手は濃い紫の七分袖の上着に同色のパンツ姿。スリランカの民族衣装については全く詳しくないのですが、上着の形はスリランカにも似たような民族衣装があるようですね。そして色づかいは胸元のポケットや袖口に鮮やかなピンクをあしらっていて、シンプルな中にも遊び心が感じられます。一方、女性の彭選手は胸元はピンク、スカートは白、首元などはゴールドと、多彩な色づかいのワンピース姿。ゴールドの部分は襟が立て襟っぽくなっていたり、アジアの建築や装飾、美術品などによく見られるデザインになっていたりと、アジアらしさを前面に押し出しています。男女ともにスリランカらしさというよりも、大まかなアジアらしさというのをイメージしているように感じますね。


 6位はカナダのカーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組の「映画『ロミオ+ジュリエット』より」。

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 1996年公開の『ロミオ+ジュリエット』のサントラを使用したプログラム。上述したジェームズ&シプレ組と同じ物語ですが、コスチュームの様相はかなり違います。
 男女ともに淡い紫を基調とした衣装。男性は襟付きの長袖シャツで、白から紫のグラデーションになっています。女性は片方の肩だけにストラップのあるアシンメトリーなワンピースで、首や肩のシルバーの装飾に加え頭の髪飾りなど、全体的にデコラティブな印象ですが、色味を統一しているのでそこまでごちゃごちゃ感はなく、まとまりのある衣装になっていると思います。
 同じ“ロミジュリ”でもジェームズ&シプレ組とは違い、華やかさを前面に押し出し、プログラムのドラマチックな雰囲気をより強調しているように感じますね。


 7位はロシアのタチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組の「映画『ドラキュラ』より/映画『ヴァン・ヘルシング』より」。

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 “ドラキュラ”をテーマにした映画2作品のサントラを組み合わせたプログラムで、おどろおどろしさだったり不気味さ、ダークさというのが前面に押し出されています。
 男性は白いシャツに光沢のある臙脂色のベスト、黒いパンツといういでたちで、シンプルながら高級感のあるコスチュームです。女性は同じ臙脂色の長袖ワンピースで、ほとんど装飾らしい装飾はありません。ですが、首元やボディ部分に入ったライン、後ろ側だけ長くなったスカートなど、細部に渡って繊細な工夫がなされていて、そういった細かな意匠によって簡素ではあるけれども素朴ではなく、気品のある衣装になっていると思います。中世のヨーロッパを舞台にした作品の世界観が忠実に反映されたコスチュームですね。


 8位はアメリカのアレクサ・シメカ&クリス・クニーリム組の「映画『エリザベス:ゴールデン・エイジ』より」。

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 イギリスの女王エリザベス1世を描いた映画のサントラを使用したプログラム。ということで衣装も中世のイギリスの高貴なイメージを反映したものになっています。
 男性は襟付きの白いシャツにブラウンの上着。上着には金属っぽいブロンズ色の細かな装飾が施されています。女性はクリーム色のワンピースで、胸からお腹にかけて金色やブロンズ色で三角形の装飾がデザインされています。映画のタイトルに“ゴールデン”とあるように金色が象徴的に使われていて、ワンピースの形自体はシンプルですが、この装飾があることによってプログラムの世界観にふさわしいゴージャスさがプラスされています。エリザベス1世が主人公の映画なので、男性の方はあくまでも控えめに、女性の方を引き立てるような男女の衣装のバランスになっていて良いと思います。


 9位はイタリアのニコーレ・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組の「映画『Romeo & Juliet』より」。

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 2013年公開の映画『Romeo & Juliet』のサントラを使用していて、上述したジェームズ&シプレ組、ムーア=タワーズ&マリナロ組とは少し趣きの異なるプログラムになっています。
 衣装は二人とも臙脂色を基調とし、男性は体の中心が大きく開き、その左側が臙脂色、右側が黒という2色づかいとなっています、女性は右側だけが長袖というアシンメトリーな作りのワンピースで、左側は布地で覆うのではなく、アップリケで花を重ねたようなデザインとなっています。男性と女性で同じ色づかい、同じ雰囲気の衣装ですが、男性は臙脂色一色にするのではなく黒も取り入れたり、女性は片袖のみを長袖にするなどそれぞれ変化をつけていて、ペアルックだけれども少し違うという絶妙な差異の付け方が、ちょうど良いバランスになっている気がしますね。


 10位はカナダのヘイリー・ベル&ルディ・スウィガース組の「映画『ハウルの動く城』より」。

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 宮崎駿監督のアニメ映画『ハウルの動く城』のサントラを使用したプログラム。映画の内容のイメージからすると明るさや陽気さなどが想起されますが、ベル&スウィガース組の衣装は映画の内容というよりも音楽そのもののイメージを表現した衣装という感じでしょうか。
 男性は白いシャツに深みのある青のベスト姿。ベストは縁取りがグレー(シルバー?)になっています。一方、女性は臙脂色のノースリーブワンピース。上半身前面に立体的な模様が施されています。どちらもシックかつシンプルなデザインで、一見『ハウルの動く城』のイメージと合わないような気がしますが、音楽そのものはワルツのリズムを用いた非常にクラシカルなものなので、そのイメージから考えるとこれくらいシックな方が音楽の邪魔をせずむしろ良いのかなと思いますね。



 さて、ペアフリー部門のベストコスチューム15/16は以上です。ここで選んだだけでも“ロミジュリ”が3組もいて、同じ作品を比べるのもフィギュア衣装鑑賞のおもしろさかなと思います。では。


注:記事冒頭の写真はフィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、イリュシェチキナ&モスコヴィッチ組の写真は、カナダのフィギュアスケート組織「スケートカナダ」の公式サイトが2016年2月20日に配信した記事「Lubov Ilyushechkina and Dylan Moscovitch fifth at ISU Four Continents」から、ジェームズ&シプレ組の写真、タラソワ&モロゾフ組の写真、彭&張組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、隋&韓組の写真は、フィギュアスケート情報サイト「Golden Skate」が2016年2月20日に配信した記事「China’s Sui and Han take third Four Continents title」から、ムーア=タワーズ&マリナロ組の写真は、カナダの新聞「Sarnia Observer」の公式サイトが2016年4月3日に配信した記事「Sarnia's Michael Marinaro finishes eighth with partner at world championships 」から、ボロソジャー&トランコフ組の写真は、「Golden Skate」が2016年1月30日に配信した記事「Volosozhar and Trankov golden in Bratislava」から、そのほかの写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2016-05-27 17:19 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 ベストコスチューム15/16、男子に続き、今回はペアのショートプログラムのコスチュームをベスト10形式で振り返っていきたいと思います。ベスト10を選ぶにあたってのルールについては、こちらの記事の冒頭をご覧ください。

*****

 ペアショートプログラム部門1位は、イタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組の「Morir D'amor」です。

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 ベートーヴェンの「ピアノソナタ第14番」、いわゆる“月光ソナタ”を女性ボーカル付きでアレンジした「Morir D'amor」。しっとりと大人っぽく、艶やかな曲で、二人の衣装も黒を基調としたシックなものとなっています。男性の衣装は黒いシャツに黒いパンツと装飾の一切ない潔さ。一方、女性の方は透け感のある黒い生地で、胸の部分だけビキニのように覆う形でセクシーさを感じさせます。そして最大のポイントとなるのはダイヤモンドのように輝くビジューで、体の中心を貫くようにライン状に配置されたところから散らばるように上半身全体にビジューが広がり、まるで夜空を走る天の川とその周囲を埋め尽くす無数の星々のようで、まさに“月光”のイメージにぴったりなコスチュームだと思います。


 第2位はカナダのリュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組の「Since I've Been Loving You」です。

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 レッド・ツェッペリンの「Since I've Been Loving You」、日本での曲名は「貴方を愛しつづけて」。激しいギターソロが印象的ですが、ドラマチックな抒情性もあるプログラムとなっています。男性は上の写真では分かりにくいかもしれませんが、ベースとなるワイン色の生地の上を革っぽい素材のライン状の生地がぐるぐる巻きのような形でデザインされており、ウエストにはロックっぽいごついデザインのベルト、パンツは光沢のある革風と、全体的にロックの激しさ、男らしさというのを感じさせます。対照的に女性の方はエレガンスな赤みがかったオレンジ色のワンピース姿で、胸の部分は細かなビジューをふんだんに施したデザイン。ワンピースの形自体はシンプルで、華やかなオレンジ色ではありますが派手すぎず、美しいですね。男女のバランスがうまく取れている衣装だと思います。


 3位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組の「I Put A Spell On You」。

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 使用曲の「I Put A Spell On You」は元々1956年に発表されたジェイ・ホーキンスの楽曲ですが、2015年に公開されて話題になった映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のサントラにカバーバージョンが使用され、フィギュア界でも複数のスケーターが用いました。
 ジェームズ&シプレ組が使用したのはイギリスの歌手ジョス・ストーンが歌うバージョン。女性ボーカルの力強さ、パワフルさが印象的なプログラムですが、二人のコスチュームも黒一色で強さを前面に押し出していますね。黒一色なのでとても見にくくパッと見では分かりにくいのですが、男性の衣装はベースとなる黒いシースルー生地の上に黒いジャケットを重ねたようなコーディネートになっています。しかもそのジャケットもシンプルなものではなくて、部分部分によってレザー風の素材が使われていたりベルトっぽい装飾がなされていたりと、いろんな素材を組み合わせたモダンなデザインです。女性の方は全身を覆うレオタード風で、首元と太ももの一部分にのみ大ぶりなビジューが三角形にあしらわれています。そして肩はレザー風の素材で肩パッドのようなデザインがなされ、ウエスト部分も同じレザー風素材でベルトのようなデザイン。全体的に色も素材感もかっちりした作りですが、体の中心部分のみシースルーになっていて、女性らしいセクシーさも漂わせています。ロック音楽のクールなイメージを見事に表現した、ただただ“カッコいい”コスチュームですね。


 4位は中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組の「愛のロマンス」です。

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 「愛のロマンス」は映画『禁じられた遊び』のテーマソングとして知られるギター曲ですが、隋&韓組のプログラムではこの曲のアレンジバージョンと「Faruccas」というフラメンコ曲を組み合わせたスパニッシュプログラムに仕上げています。
 ということでコスチュームもスペインらしさがうかがえますね。女性の隋選手は濃いピンクのストラップレスドレス。ドレス全体に細かなビジューがあしらわれていて、非常に華やかです。男性の韓選手は白いシャツに黒いジャケットで、ジャケットの形は襟ぐりが大きく開いたもので少し闘牛士の上着と似ていますね。また、写真では見えにくいですが、シャツの襟にはピンクのリボンとビジューが施されていますし、ジャケットの肩には色とりどりのビジューでスペインらしい複雑な模様がデザインされていて、一見シンプルながら、女性の衣装とペアルックっぽい感じにもなっています。
 スパニッシュな雰囲気を醸しながら、オリジナリティーも感じさせる素敵な衣装だと思います。


 5位は中国の彭程(ペン・チェン)&張昊(ジャン・ハオ)組の「カム・トゥゲザー」です。

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 タンゴアレンジされたビートルズの「カム・トゥゲザー」を使用したプログラムということで、衣装もタンゴをイメージした赤と黒を基調としています。男性は黒いトップスに赤いボトム。トップスの方にはビジューで独特な模様が施されています。女性の方は左側だけが長袖になったアシンメトリーな赤いワンピース。体の中心に深い切り込みが入っていて、その周囲を細かなビジューが埋め尽くしています。タンゴプログラムでタンゴを意識した振り付けもありますが、元々がビートルズの楽曲とあってモダンな雰囲気が特徴的で、なのでコスチュームもトラディショナルなタンゴらしさというよりも、タンゴっぽさを残しつつモダンなデザインに仕上がっていますね。


 6位はロシアのタチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組の「Nagada Sang Dhol」です。

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 インドの映画音楽を組み合わせた異国情緒満載のプログラム。コスチュームもまさにインド感を前面に押し出しています。男性のトランコフ選手はインドの男性の民族衣装“クルタパジャマ”姿。インド男性の民族衣装の中でも最もカジュアルなものだそうですが、裾の長い長袖シャツに、だぼっとしたズボンを合わせています。一方女性の方は対照的なゴージャスさで、インドの女性の民族衣装で有名なのは一枚の布を体に巻きつけたサリーですが、ボロソジャー選手が着ているのはトップスとスカートが分かれたものなので、レベンガという民族衣装に近いかなと思います。深みのあるグリーンをベースとして、トップスには繊細な刺繍やアップリケが施されています。右肩から細長い布を垂らし、スカートはグリーンのスカートの上にさらにベール風のブラウンっぽいスカートを重ねています。インドの民族衣装を現代的にアレンジしながら、ファッションとしての美しさも追求した素晴らしい衣装ですね。


 7位はアメリカのジェシカ・カララン&ザック・シドゥー組の「It's a Man's Man's Man's World」。

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 「It's a Man's Man's Man's World」はジェームズ・ブラウンが1966年に発表したR&Bの名曲ですが、カララン&シドゥー組はイギリスのソウル歌手、シールがカバーしたものを使っています。
 R&Bということでコスチュームもそういったカッコよさやクールさを感じさせるデザインとなっていて、男性の方は青いシャツに黒いパンツというシンプルなスタイル。女性は胸元が大きく開いたセクシーなワンピースで、首元やワンピース全体にビジューが多々あしらわれていてゴージャスです。さほど奇抜さはありませんが、“男の世界”を歌った大人のプログラムにふさわしいシックかつ華やかな衣装だと思います。


 8位はカナダのカーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組の「If I Can't Have You」。

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 アメリカを代表するブルースシンガー、エタ・ジェイムズの楽曲を用いたプログラムですが、上述したカララン&シドゥー組のプログラムとはまた趣きは違うものの、やはりこちらも大人のクールな世界観が印象的な作品です。
 色づかいは男女ともに黒一色で、男性は黒いシャツに黒いパンツ。女性は透け感のある生地に刺繍やアップリケを施したワンピース。どちらも奇をてらわずシンプルな作りですが、そのシンプルさがプログラムが持つカッコよさを引き立てていて、ぴったり合っているなと思います。


 9位はイタリアのニコーレ・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組の「Magnificat」。

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 イタリアの歌手ミーナが歌う「Magnificat」、壮大かつ荘厳な空気感に満ちた楽曲です。「Magnificat」=「マニフィカート」というのはキリスト教の聖歌の一つ。西方教会では晩の祈りの際に用いられる聖歌だそうです。
 そういった宗教的な曲とあって、衣装は二人とも神聖な白を基調としたものとなっています。そこに金色のビジューなどで植物を想起させるデザインがなされています。金色を使うと場合によっては派手すぎたりチープになったりすることもあるのですが、デラ・モニカ&グアリーゼ組の衣装は白と合わせ、デザイン的にも簡素な作りにすることで、品のある金色の使い方ができていると思いますし、神聖な楽曲にもよく合っていますね。


 10位はアメリカのマリッサ・カステリ&マーヴィン・トラン組の「サマータイム」です。

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 ガーシュウィン作曲の名曲「サマータイム」ですが、こちらで使用されているのは男性と女性のダブルボーカルのカバーバージョンです。
 男性が非常にシンプルな黒いTシャツと黒いパンツ、女性は華やかなゴールドのホルターネック風ドレスと対照的な組み合わせ。曲が「サマータイム」ですから、夏のけだるい感じや照りつける太陽のようなイメージが女性のキラキラと輝くゴールドのドレスに反映されているようにも感じますし、一方男性の方は黒一色の服装で女性の引き立て役に回っているという感じがしますが、半袖Tシャツというところで夏らしいといえば夏らしいと強引にこじつけることもできますね。それはともかくとして、女性のドレスは全体にゴージャスな金色を用いながらも嫌らしい派手さではなくて、品の良い絶妙な色づかいだと思いますし、女性の方がかなりゴージャスだからこそ、男性の方はこれくらい地味な方がバランスが取れて良いと思います。



 さて、ペアのSPベスト10は以上です。続いてフリーですが、こちらはもうしばらくお待ちください。


:記事冒頭の写真はInternationa Figure Skating」の公式フェイスブックページから、マルケイ&ホタレク組の写真、イリュシェチキナ&モスコヴィッチ組の写真、隋&韓組の写真、彭&張組の写真、カララン&シドゥー組の写真、デラ・モニカ&グアリーゼ組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ジェームズ&シプレ組の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ボロソジャー&トランコフ組の写真は、スケート情報サイト「icenetwork」が2015年11月13日に配信した記事「Volosozhar, Trankov comfortably in front after short」から、ムーア=タワーズ&マリナロ組の写真は、カナダのスケート組織「スケートカナダ」の公式サイトのフォトギャラリーから、カステリ&トラン組の写真は、「icenetwork」が2015年9月17日に配信した記事「Castelli, Tran grab lead with sultry 'Summertime'」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2016-05-20 17:43 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)