カテゴリ:フィギュアスケート(衣装関連)( 47 )

c0309082_14232298.jpg



 普段はスケーターごとにさまざまなコスチュームを振り返って、その選手の衣装の特徴、魅力を再発見しようという意図でお送りしているフィギュアスケーター衣装コレクション。ですが、今回は特別編として称して、一人の選手の衣装に焦点を当てるのではなく、フランスの作曲家ジョルジュ・ビゼーが作曲したオペラ「カルメン」の音楽を用いたプログラムで、古今東西のスケーターたちがどんな衣装を着用してきたのかを見ていく、という趣旨で記事を書いていきたいと思います。
 その「カルメン」といえばフィギュア界の中でも定番中の定番作品。古いところだとサラエボとカルガリーの2度のオリンピックを制したドイツ(東ドイツ)のカタリナ・ヴィットさんの代表的プログラムとして知られていますが、私自身がフィギュアスケートを見始めたのがせいぜい十数年前なので、この記事で取り上げるのも主に2000年代以降と比較的新しく、その中でも特に印象深い「カルメン」となっていますのでご了承ください。
 では、さっそく時代の古い順に見ていきましょう。

続きを読む
[PR]
by hitsujigusa | 2017-09-14 02:25 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_17254227.jpg


 フィギュアスケーターたちの華麗なるコスチュームの数々をスケーター別に紹介するフィギュアスケーター衣装コレクション。第14弾となる今回は日本の男子フィギュア界の一時代を築いた織田信成さんの衣装を取り上げます。
 織田さんといえば涙もろいことで知られ、その表情の豊かさが強烈に印象に残っているスケーターですが、コスチュームも正統派から個性派まで多彩なデザインのものが使用され、織田さんの山あり谷ありの競技人生に色を添えました。そんな衣装のごく一部ではありますが、個人的に特に印象に残っているものを紹介していきたいと思います。

続きを読む
[PR]
by hitsujigusa | 2017-08-31 18:25 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg


 ベストコスチューム16/17、いよいよ最後の記事、女子のフリー部門です。今回も16/17シーズンのコスチュームの個人的なベスト10を紹介していきます。なお、ベスト10を決める上でのルールについては、こちらの記事をご覧ください。

*****

 栄えある女子フリー部門1位は、アメリカのカレン・チェンの「ジェラシー」です。

c0309082_17144912.jpg

 コンチネンタルタンゴの名曲「ジェラシー」。情熱的かつ艶やかなタンゴを演じ切り、チェン選手の新たな代表作となりました。
 そんな大人っぽいプログラムに合わせたのは黒を基調とした指先まで覆う長袖ワンピース。その中央を突っ切るように肌がのぞき、その周辺に重点的にふんだんに細かいラインストーンがあしらわれ、黒の中に鮮やかに赤や白が浮かび上がるデザインとなっています。また、肩から胸にかけては炎のような曲線的なデザインも施されていて、こちらも情熱的なさまを想起させます。さらに、指先まで黒で覆うことでタンゴ特有の艶っぽい仕草も白い氷に映えるようになっていて、細部までしっかり練られた衣装だなと思いますね。


 2位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「エキソジェネシス交響曲第3部」です。

c0309082_17293086.jpg

 イギリスのバンド、ミューズの「エキソジェネシス交響曲第3部」。いまやフィギュア界でも定番と化したクラシックの趣きのあるロック音楽です。ワグナー選手はこの楽曲を用い2種類の衣装を使用しましたが、私が今回選んだのはシーズン前半に着用された方です。
 全面にまばゆい装飾が施されたシルバーの袖なしワンピース。シンプルといえばシンプルなのですが、これだけきらびやかだとともすれば派手派手しすぎてチープな印象にもなりかねません。ですが、この衣装はきらびやかでありながらも大人びたシックさというのも感じさせるデザインで、それもラインストーンやビジューの配置のバランスの巧さなのだと思います。また、色づかいも上から下に向かって濃くなるグレーのグラデーションで、グレーという地味な色を華やかに着こなしているのはさすがベテランのワグナー選手ならではだなと思います。


 3位は日本の浅田真央選手の「バレエ「恋は魔術師」より」。

c0309082_14035993.jpg

 ショートと同じくマヌエル・デ・ファリャの「恋は魔術師」を用い、そこから数曲を抜粋し構成したプログラムですが、ショートが“黒い鳥”をイメージしたミステリアスなピアノプログラムだったのに比べ、フリーは壮大なオーケストラによる情熱的でエネルギッシュなプログラムとなっています。そのコンセプトのままに衣装は赤一色のものを2種類用いましたが、そのうちより多く使われた方を今回は選びました。
 何といっても目を引くのは鮮やかな赤ですが、その中央は大胆に肌をのぞかせるデザインとなっており、その周囲に植物のようにも燃えたぎる炎のようにも見えるデザインが施されていて、より一層情熱を感じさせます。そして上半身から腰まで入った深いスリットは妖艶さを醸し出しています。
 2つで1つの作品として作られた16/17シーズンの浅田選手のショートとフリーですが、ショートの衣装が直線的なラインが強調されたデザインであったのと比較すると、フリーは全体的に曲線的な作りで、衣装でも両プログラムのコンセプトの違いがうかがえておもしろいなと思いますね。


 4位はカナダのガブリエル・デールマン選手の「ラプソディー・イン・ブルー」です。

c0309082_01283930.jpg

 フィギュア界でも定番のガーシュウィンの代表作「ラプソディー・イン・ブルー」。ということで衣装も曲名のとおりのブルーの衣装となっています。
 作り自体は非常にシンプルで、胸元が深いV字のようになった長袖ワンピースで形自体に新鮮味はありませんが、全体に散りばめられたラインストーンによって華がプラスされていてインパクトのあるコスチュームに仕上がっています。さらに、ところどころ大ぶりのビジューやラインストーンの集合体によってアクセントがつけられていて、パッと見ると小さな花がデザインされているようにも見えます。特に腰の部分はラインストーンを集中的に施すことによってベルトっぽく見えるデザインになっていて、プリントでもなく刺繍でもなく、ラインストーンのみで模様を浮かび上がらせたというところにこだわりを感じますね。


 5位は日本の宮原知子選手の「惑星/映画『スター・ウォーズ』より」。

c0309082_01375882.jpg

 ホルストの代表作「惑星」とSF映画の金字塔『スター・ウォーズ』のサントラを組み合わせ、“愛と平和”をテーマに据えた壮大なプログラムです。
 そんな重厚なプログラムのイメージには反して、衣装は軽やかさを感じさせる白一色。ですが同じ白でも、下に着ているビジューやラインストーンをあしらったシルバーっぽい服の上に、お腹の中心で交差させた柔らかい素材の淡いクリーム色の布とを重ねた重層的な作りになっていて、シンプルでもあり複雑さもある衣装と言えます。重厚なプログラムなので衣装も黒や青といった暗めの色にすると重くなりすぎてしまうところですが、白一色にすることでちょうどよいバランスが取れていて良いですね。


 6位はロシアのエレーナ・ラディオノワ選手の「歌劇「トゥーランドット」より」。

c0309082_14304991.jpg

 フィギュア界王道中の王道、オペラ「トゥーランドット」を使用したダイナミックかつ華麗なプログラム。
 そんな「トゥーランドット」にしては珍しく、ラディオノワ選手が選んだのは可愛らしいピンク色の衣装。重厚な作品に対しては可憐すぎる色合いかなという気もするのですが、ピンクはピンクでも微妙に色味の異なるピンクを複数使用しているので重層的に感じられます。また、鋭い直線的なラインとうねるような曲線的なラインとが交差するデザインは力強くインパクトがあり、色づかいのフェミニンさに男性的な要素もプラスしているように思います。
 ピンクという色が作り出すイメージと重層的な線が作り出すイメージとが合わさってお互いを補っている素敵なコスチュームですね。


 7位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手の「ダフニスとクロエ」です。

c0309082_14473270.jpg

 「ボレロ」でも知られるフランスの作曲家モーリス・ラヴェルのバレエ「ダフニスとクロエ」。牧歌的で幻想的、ゆったりと始まり最後は熱狂的に幕を閉じるプログラムです。
 こういったファンタジックなプログラムだと、白やピンクなど淡い優しい色を合わせたくなるところですが、ゴールド選手が選んだのはまさに“ゴールド”のワンピース。厳密に言うならばゴールドというよりはベージュに近いのかもしれませんが、衣装全体にびっしりと敷き詰められたラインストーンによって、輝かんばかりの金色の衣装という印象を与えます。これだけ肌の色に近いコスチュームを着こなすというのは難しいと思うのですが、同じベージュでも濃い部分と淡い部分のメリハリをつけてありますし、また、ゴールド選手の白い肌ともよく合っていて、ゴールド選手だからこそ似合う衣装という感じもしますね。


 8位はアメリカの長洲未来選手の「The Winner Takes It All」です。

c0309082_16003980.jpg

 スウェーデン発の世界的グループ、ABBAのヒット曲「The Winner Takes It All」を、同じくスウェーデンの歌手サラ・ドーン・ファイナーがカバーしバラード調にアレンジしたバージョンを使用したプログラムです。
 全体的にゆったり、しっとりとした曲想ということで、衣装は清廉さを思わせる白をベースに、繊細な装飾を凝らしています。ワンピースは胸元から腰にかけてスリットが入っていますがそこまで深い切れ目ではなく、それよりもその周囲に施されたラインストーンやビジューのゴージャスさが印象に残ります。また、首回り、手首もジュエリーのようなデザインになっていて、装飾づかいが本当に素晴らしいコスチュームだと思います。


 9位はカナダのケイトリン・オズモンド選手の「歌劇「ラ・ボエーム」より」。

c0309082_01102287.jpg

 プッチーニの代表作の一つ「ラ・ボエーム」。1830年代のパリを舞台に貧しいボヘミアンたちの日常を描いた華麗でドラマチックなオペラ作品です。
 衣装はそんな華麗さを如実に表す鮮やかな深紅。胸元やお腹の部分はレース調になっていて、そのレースの縁をシルバーのラインストーンで彩っていて、よりいっそう華やかな雰囲気がプラスされています。衣装の形的にも左右対称で、女性らしいレースを用いたオーソドックスなイメージの衣装ですが、細部まで手を抜かない本格的な作りだからこそ、これだけ高級感のある気品溢れるコスチュームになるのだなと感じさせられますね。


 10位は日本の樋口新葉選手の「シェヘラザード」です。

c0309082_17093683.jpg

 こちらも大定番中の大定番「シェヘラザード」を使用したダイナミックかつ情熱的なプログラムです。
 色は鮮やかな赤で「シェヘラザード」らしい情熱を表現。衣装の形としてはビキニのようなセパレート型ですが、胸部から腰へと繊細かつ重厚な装飾によって繋がっているようなデザインになっており、首や二の腕、お腹から腰に施されたこのジュエリー風のデザインが「シェヘラザード」の舞台であるペルシャらしい雰囲気をよく伝えています。また、頭には額部分に大きなジュエリーがついたサークレットをはめていて、こういったところも非常に「シェヘラザード」らしくて好いなと思いますね。



 女子フリー部門のベスト10は以上です。これで16/17シーズンのベストコスチュームシリーズは全て終了となります。5月下旬から書き始めてスローペースの更新となり2カ月近くもかかってしまい申し訳なかったですが、お読みくださりありがとうございました。
 そうこうしているうちにいよいよオリンピックシーズンが幕を開け(7月1日から新シーズン)、各選手たちの新プログラム情報も次々と伝わってきており、そちらの記事もできるだけ早くアップしたいと思いますので、もう少しお待ちください。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、チェン選手の画像、浅田選手の画像、宮原選手の画像、オズモンド選手の画像、樋口選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ワグナー選手の画像はフィギュアスケート情報サイト「Golden Skate」が2016年10月23日位配信した記事「Ashley Wagner: “It was sticky but I got it done”」から、デールマン選手の画像、長洲選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ラディオノワ選手の画像、ゴールド選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ベストコスチューム16/17・アイスダンスショートダンス部門 2017年5月25日
ベストコスチューム16/17・アイスダンスフリーダンス部門 2017年6月1日
ベストコスチューム16/17・男子ショートプログラム部門 2017年6月9日
ベストコスチューム16/17・男子フリー部門 2017年6月15日
ベストコスチューム16/17・ペアショートプログラム部門 2017年6月28日
ベストコスチューム16/17・ペアフリー部門 2017年7月3日
ベストコスチューム16/17・女子ショートプログラム部門 2017年7月8日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-07-12 17:32 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg


 16/17シーズンの素晴らしいコスチュームの数々をランキング形式で紹介するベストコスチューム16/17。この記事では女子のショートプログラムのベスト10をご紹介します。なお、この記事を書くにあたってのルールについては、こちらをご覧ください。

*****

 女子ショートプログラム部門第1位は、韓国の朴小宴(パク・ソヨン)選手の「映画『黄金の腕』より」です。

c0309082_15111743.jpg

 フランク・シナトラ主演の映画『黄金の腕』。作曲を映画音楽界の巨匠エルマー・バーンスタインが担当しており、フィルム・ノワール(=犯罪映画)らしいどこか怪しげな、しかしパワフルでカッコいい曲調がインパクト大の音楽です。
 そんな世界観をイメージしてか、朴選手の衣装も黒を基調としたクールな雰囲気のワンピース。ですが、上半身前面に色とりどりのラインストーンやビジューなどの装飾品によってシンメトリーな模様がデザインされていて、非常に華やかです。これだけ全体的にキラキラとしていると派手派手しくなりかねませんが、ベースの色が黒であること、また、模様が左右対称で統一感があることによってシックさもしっかりあって、ゴージャスとシックを見事に両立した衣装と言えます。また、右手首にはゴールドのブレスレットをはめ、まさに“黄金の腕”を象徴的に表現していて、細部までこだわったコーディネートになっていて素晴らしいと思います。


 2位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「Sweet Dreams(Are Made of This)」です。

c0309082_15532819.jpg

 イギリスの男女デュオ、ユーリズミックスの「Sweet Dreams(Are Made of This)」。ノリノリでクールなカッコいいダンスナンバーとなっています。
 衣装は右袖だけ長袖というアシンメトリーなデザイン。ボディ部分全体、右肩や首のチョーカー、左手首のブレスレット風のアクセサリーなど、全体的にビジューやラインストーンがふんだんに使用され、デコラティブでゴージャスなデザインとなっています。ですが、色をネイビーと青という落ち着いた色合いにすることで華やかな装飾品とのバランスが取れていると思います。また、左の胸部分やスカートの裾などカクカクとした直角的なフォルムになっていて、音楽のエレクトリックかつ近未来的なイメージをよく表わしていて、表現にこだわるワグナー選手らしいよく考えられた衣装ですね。


 3位はカナダのガブリエル・デールマン選手の「歌劇「エロディアード」より」。

c0309082_15592949.jpg

 フランスの作曲家ジュール・マスネのオペラ「エロディアード」を使用した壮大で力強いプログラム。「エロディアード」はあの“サロメ”を題材にしたストーリーとあって、デールマン選手の衣装も中東らしいエキゾチックなデザインとなっています。
 何といっても特徴的なのは上半身に大胆に描かれた2匹のコブラ。黒い透け感のある生地の上にさまざなま種類のビジューを用いて交差するコブラがデザインされているわけですが、パッと見ではコブラとはわからないほどデザイン的に美しく昇華されています。コブラの体の曲線的なさまに加え、ビジューで彩られた目や口、そしてリアルなうろこの立体感も、ビジューだからこそ出せる質感で、ともすればチープになりかねないアニマルモチーフを見事にデザイン性高く仕上げていると思いますね。


 4位はアメリカのマライア・ベル選手の「映画『シカゴ』より」。

c0309082_16412180.jpg

 ブロードウェイミュージカルを映画化した『シカゴ』。そのサントラはフィギュア界でも定番となっていますが、ベル選手は劇中曲2曲を組み合わせた軽快なプログラムにしています。
 衣装も映画のイメージを忠実に再現していて、劇中で主人公のロキシーが着ているシルバーのドレスとよく似ています。ただ、よく見るとベル選手のワンピースは大ぶりのビジューが散りばめられていたり腕にシースルーのアームカバーをつけていたりと映画よりも装飾的で華やかな印象が増していて、映画の衣装をそのまま真似するのではなく、ベル選手なりの“シカゴ”を作り上げていて素敵な衣装になっていると思います。


 5位は中国の李子君(リ・ジジュン)選手の「Le Diable Matou」です。

c0309082_17135209.jpg

 フランスの作曲家フランソワ・ドンピエール作曲の「Le Diable Matou」。妖しげなヴァイオリンの旋律で幕を開け、エレガンスなピアノの音色が追いかけるようにヴァイオリンと組み合わさり、最後はヴァイオリンとピアノが一体となってアップテンポに締めくくられる変則的な曲調のプログラムです。
 今までの可憐で可愛らしい李選手のイメージをガラリと変えるプログラムですが、衣装も彼女にしては珍しく黒一色。首から指先まで覆う徹底ぶりは、曲名の“Diable”=“悪魔”という名にぴったりですね。とはいえただの黒一色ではなく、全身に細かいラインストーンが散りばめられていて、それも単にランダムに散りばめるのではなく過剰すぎずかといって少なすぎもせずバランスの良い配置の仕方になっていて、シックな華やかさというのを感じさせます。また、指先まで黒で覆うことで指の細やかな振り付けまではっきりと氷に映えるようになっていて、これも考えられているなと思います。さらに、スカートは部分によって長さが違うアシンメトリーな作りで、色自体が重さを感じさせる分、スカートも全体的に長くしてしまうと重くなりすぎてしまいますが、部分的に長くすることによって大人っぽさも醸しつつ、重さと軽やかさがほどよいバランスになっていて、一見シンプルですが非常にこだわりの感じられるコスチュームですね。


 6位はフランスのマエ=ベレニス・メイテ選手の「Goodness/Freedom」です。

c0309082_17574605.jpg

 力強くダイナミックな楽曲2曲を組み合わせたメドレープログラム。ということでコスチュームも男性的で活発さを感じさせるパンツルックとなっています。
 まず目を引くのはそのパンツスタイルというところですが、その黒いパンツによって引き立てられているのがオリジナリティー溢れる上半身のデザイン。レオタードのように上から下まで一体となったようなウェアの上に、肩と腰に硬質感のある素材を着用したような作りになっていて、その部分だけ赤っぽいラインストーンや縁取りとして金色のラインストーンが惜しげもなくあしらわれています。パンツスタイルのため一見男性的でカッコよくも見える衣装ですが、実際には体にピタリと沿った作りなので女性的なセクシーさも感じさせますし、肩パッドやコルセットを模したようなデザインもある意味で女性らしくもあり、スカートの衣装と変わらないくらい女性らしさを感じさせるコスチュームだなと思います。


 7位はアメリカの長洲未来選手の「夜想曲第20番」です。

c0309082_15342839.jpg

 ショパンの代表作の一つ「夜想曲第20番」を使用した悲哀漂うしっとりとしたプログラムで、衣装も音楽の世界観に合った気品を感じさせるデザインとなっています。
 ベースとなる色は深みのある紫。その胸元からウエストにかけて前面にアラベスク模様のような複雑な柄がラインストーンやビジューによって立体的に描かれており、非常に贅沢かつゴージャスな作りとなっています。首からデコルテにかけてはジュエリー風のデザインとなっていて、こちらも紫の宝石風装飾品を用いながら豪華なデザインがなされています。全体的にきっちりと左右対称に作られていて、統一感のあるデザインがショパンの正統派の音楽ともよく合っているなと思います。


 8位は日本の浅田真央選手の「Danza ritual del fuego バレエ「恋は魔術師」より」。

c0309082_15483218.jpg

 スペインを代表する作曲家マヌエル・デ・ファリャの代表作「恋は魔術師」。その中でも特に有名な「Danza ritual del fuego」(英語では「Rutual Fire Dance」、日本語では「火祭りの踊り」としても知られます)のピアノバージョンを使用したプログラム。16/17シーズン、浅田選手は同じ楽曲のピアノ版をショート、オーケストラ版をフリーで用い(厳密にはフリーでは「恋は魔術師」の別パートも使っています)、ショートは“黒い鳥”をイメージした妖しげな世界観のプログラムとなっています。
 そうしたコンセプトに合わせて衣装も黒一色でミステリアスな雰囲気を前面に押し出しています。上半身や腕は植物のようにも鳥の羽のようにも見える作りとなっており、それらが身体を這うようなデザインはまさに妖しげな雰囲気。そして透け感のあるスカートも1枚や2枚ではなく複数の長さの違う生地をあえてランダムに重ねた作りがミステリアスなさまを表現しています。
 体を覆う布の面積が少ないデザインというのは必然的に肌が露出する面積も大きくなるのでバランスを取るのが難しいと思うのですが、この衣装は黒い生地の部分、肌がのぞく部分とちょうどよい配分になっているので、妖艶さも醸し出しつつセクシーになりすぎない素晴らしいコスチュームだと思います。


 9位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手の「Assassin's Tango 映画『Mr.&Mrs. スミス』より」。

c0309082_16505581.jpg

 映画『Mr.&Mrs. スミス』のサントラの中のタンゴを使用したプログラム。なのでタンゴといってもラテン色は薄めで、コンチネンタルタンゴのような趣きが濃いでしょうか。
 ということで衣装もタンゴでは定番の赤を使わず、黒一色のシックな色づかい。首から胸、お腹にかけて黒く細い紐が絡み合い網のようになった独特なデザインで、非常に現代的でモードっぽい印象を与えます。また、この紐や体の中心を縦断する曲線的なラインがフェミニンな雰囲気を生み出していて、曲自体は「Assassin's Tango」=「暗殺者のタンゴ」という物騒な名前にふさわしくどこか緊迫感のあるクールな曲調ですが、この曲線を強調したコスチュームによって女性らしさもちゃんとプラスされて良い塩梅になっているのかなと思いますね。


 10位はカザフスタンのエリザベート・トゥルシンバエワ選手の「アイ・ガット・リズム」です。

c0309082_23385021.jpg

 ガーシュウィン作曲の定番曲「アイ・ガット・リズム」をカナダのジャズ歌手ニッキ・ヤノフスキーが軽快かつリズミカルに歌ったバージョンを使用したプログラム。実はトゥルシンバエワ選手はこのプログラムを15/16シーズンにも滑っていますが、画像の衣装は16/17シーズンに初めて着用された新しいものなので今回選ばせていただきました。
 ごく短い袖がついた黒のワンピースは、シルバーのラインストーンによって襟風のデザインが施された個性的な作り。普通に布で襟をつけるよりも華やかで目を引くものとなっていて、その周囲にふんだんに散りばめられた数々のラインストーンとも相まってゴージャスな雰囲気です。布だけで作られた黒いワンピースだとシックになりすぎる可能性がありますが、装飾品をうまく使うことで華も加えつつ、また、下にピンクのスカートを重ねることでティーンネイジャーらしい等身大の可愛らしさも表現できていて、ジャズの大人っぽさと、トゥルシンバエワ選手のフレッシュさの両方を活かした衣装だなと思います。



 女子SPのベスト10は以上です。次はいよいよこのシリーズ最後、女子フリーに続きます!


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、朴選手の画像は朴選手のファンクラブのツイッターから、ワグナー選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、デールマン選手の画像は、国際スケート連盟の公式サイトが2017年3月29日に配信した「Evgenia Medvedeva (RUS) takes lead in highly competitive Ladies Short Program」という記事から、ベル選手の画像はフジテレビのスケート情報サイト「FujiTV Skating Club フジスケ」から、李選手の画像は李選手の公式インスタグラムから、メイテ選手の画像はフィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、長洲選手の画像、浅田選手の画像、トゥルシンバエワ選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ゴールド選手の画像はマルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ベストコスチューム16/17・アイスダンスショートダンス部門 2017年5月25日
ベストコスチューム16/17・アイスダンスフリーダンス部門 2017年6月1日
ベストコスチューム16/17・男子ショートプログラム部門 2017年6月9日
ベストコスチューム16/17・男子フリー部門 2017年6月15日
ベストコスチューム16/17・ペアショートプログラム部門 2017年6月28日
ベストコスチューム16/17・ペアフリー部門 2017年7月3日
ベストコスチューム16/17・女子フリー部門 2017年7月12日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-07-08 01:50 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg


 16/17シーズンのコスチュームの各カテゴリー別のベスト10を勝手に発表するベストコスチューム16/17。今回はペアのフリー部門です。なお、このランキングのルールについては、こちらの記事をご覧ください。

*****
 
 ペアフリー部門第1位はアメリカのヘイヴン・デニー&ブランドン・フレイジャー組の「映画『ある日どこかで』より」。

c0309082_14393926.jpg

 1980年公開のアメリカ映画『ある日どこかで』のサウンドトラックを使用した壮大かつ華麗、どことなく哀愁漂うプログラムです。
 男女ともに鮮やかな青を基調とした衣装ですが、女性は左肩だけのワンショルダーのワンピース。何といっても特徴的なのはふんだんにあしらわれたさまざまな装飾品で、肩から胸にかけては大ぶりのビジューが施され、特にみぞおちの部分はぎっしりと敷き詰めるようなゴージャスなデザインとなっています。そのほかの部分でも細かいラインストーンなどがたっぷりと使用されていて、非常に華やかな印象を与えます。また、写真では見えませんが、背中側ではビキニ風のデザインとなっていて、衣装の形としても凝った作りと言えます。一方、男性の衣装は襟ぐりに細かなラインストーンがあしらわれているのみのシンプルな長袖トップスで、女性がゴージャスな分、男性は控えめにすることでバランスが取れていますね。
 高貴なロイヤルブルーでダイナミックさを、繊細な装飾づかいで優雅さを表していて、重層的なプログラムにぴったり合った素晴らしいコスチュームだと思います。


 2位はロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組の「クライ・ミー・ア・リヴァ―」です。

c0309082_23225790.jpg

 アメリカのポピュラーソング「クライ・ミー・ア・リヴァ―」。ザビアコ&エンベルト組が使用しているのはカナダの歌手マイケル・ブーブレが歌うバージョンで、壮大でドラマチックなプログラムとなっています。
 女性のザビアコ選手はストラップレスのドレスで、胸からお腹にかけて葉っぱのような独創的なモチーフで覆われています。スカートはグレーとピンクの組み合わせで、全体的に落ち着いた色合いとなっています。一方、男性のエンベルト選手は濃いめのグレーの長袖シャツに、微妙に色の違う青みがかったグレーのパンツというシンプルなスタイル。個性的なデザインの衣装の女性と比べてシンプルに徹底することで、女性の美しさを引き立てるコーディネートと言えます。
 両者ともにグレーを基調とした衣装で、ともすれば地味になりかねないと思うのですが、ひとえにグレーといっても複雑な色合いのグレーをさまざま組み合わせていて絶妙なカラーコーディネーションだなと思いますし、必ずしも華やかな色を使わなくても氷の上で映える衣装になるという好例ですね。


 3位はドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組の「Lighthouse」です。

c0309082_15023256.jpg

 カナダの歌手パトリック・ワトソンの「Lighthouse」。ピアノの静かな音色と男性ボーカルの優しく、時に力強いハイトーンボイスが繰り広げる壮大かつ繊細な世界観のプログラムです。
 男女ともに同じ色、素材のコスチュームで、うっすらと透け感のあるクリーム色に、グレーがまるで水彩画のように濃い部分と淡い部分が入り混じって広がっていて、非常に幻想的な色づかいとなっています。その生地を使って、女性の方は長袖のワンピースを着用。細かなラインストーンが全身に散りばめられていますが、淡いグレーの中に溶け込むようにあしらわれています。男性の方は同じ生地を使いながらもグレーの色合いが女性よりも濃い目で範囲も広く、よりダークな印象でしょうか。クリーム色の部分が多い女性と、グレーの部分が多い男性と、絶妙な対比となっていて、まさに2人で1つの衣装という感じがしますね。


 4位はイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組の「スカイフォール 映画『007 スカイフォール』より/映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』より」。

c0309082_15380672.jpg

 『007』と『ミッション:インポッシブル』というアクション大作のサントラを繋げたプログラム。ということで衣装も映画の世界観を想起させるデザインとなっています。
 女性のマルケイ選手は黒をベースにしたミニスカートドレス。襟ぐりや胸元の装飾品、スカートの裾にシルバーがあしらわれていて、特に襟ぐりから胸元にかけてのデザインはシルバーのラインストーンをびっしりとふんだんに施しており、非常に高貴でゴージャス、しかしシックでもあり上品な印象を与えています。そして、男性は全身黒のシンプルなスタイル。全てを黒でまとめることで『007』のジェームズ・ボンドや『ミッション:インポッシブル』のイーサン・ハントのようなスパイっぽい雰囲気が醸し出されていると思いますね。


 5位は中国の彭程(ペン・チェン)&金楊(ジン・ヤン)組の「I Will Wait For You 映画『シェルブールの雨傘』より」。

c0309082_01455184.jpg

 フィギュア界でも定番のミュージカル映画『シェルブールの雨傘』。その中でも特に有名な主題曲「I Will Wait For You」を使用したドラマチックでロマンチックなプログラムです。
 女性は淡いブルーのワンショルダー型ワンピース。といっても右肩にかかるストラップは白い花のアップリケを連ねたようなデザインで、本当のストラップというよりは装飾的な意味合いが強いですね。その花が肩から胸、お腹、腰にかけてライン状にあしらわれていて、女性らしい可愛らしい印象を作り出していて、ワンピースの色とも相まってプログラムの世界観によく合ったデザインになっていると思います。一方、男性はシンプルな白いシャツに黒いパンツというスタンダードスタイル。ですが、シャツはネックレス風の装飾やパフスリーブのような袖など装飾性もあり、こちらもロマンチックで甘めな雰囲気が音楽に合っているなと感じます。


 6位は中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組の「明日に架ける橋」です。

c0309082_14351819.jpg

 サイモン&ガーファンクルの世界的ヒット曲「明日に架ける橋」を、アメリカのR&B歌手ジョン・レジェンドが歌ったカバーバージョンを使用したプログラム。
 女性の隋選手はワンショルダーのピンクがかったオレンジ色のワンピース姿。上半身はリボンを体に巻きつけたような曲線的なデザインで、まさに“虹”のようでもあり美しいですね。男性は白いシャツに黒いジャケットですが、ジャケットは襟やポケットが別の素材のネイビーになっていますし、シャツもジャケットもボタンは金色で統一していて、オーソドックスなシャツ&ジャケットスタイルとは違う個性が感じられます。このプログラムであればジャケットなしでシャツだけのカジュアルスタイルでもいいのかなという気もしますが、女性の衣装がオレンジと明るい分、男性の衣装を黒にすることで両者のバランスという意味では良いカラーコーディネーションになっているのかもしれません。


 7位は中国の王雪涵(ワン・シュエハン)&王磊(ワン・レイ)組の「映画『慕情』より」。

c0309082_15032344.jpg

 『慕情』は香港を舞台にしたアメリカ映画で、その主題歌「Love Is A Many Splendored Thing」も有名です。王&王組のプログラムは映画のサントラと主題歌のインストゥルメンタルバージョンを組み合わせたドラマチックで壮大な作品となっています。
 女性は青紫を基調としたワンショルダーワンピース。ですが、上半身は右と左で微妙に色を変えていて、左側は紫というより青に近いでしょうか。また、この写真では見にくいでしょうが、右肩はシルバーの細いラインを連ねてストラップにしたようなデザインになっていて、左右でかなりデザインの違うアシンメトリーな作りと言えます。スカートも前後、左右で長さを変えていて、また、スリットから下のピンクのスカートがのぞく作りになっており、非常に複雑に考えられた衣装だなと思います。そして、男性は上下ともに黒の衣装ですが、トップスはフロント部分に深い青をあしらった個性的なデザイン。正装のようなきっちりした感じでもなく、かといってカジュアルという感じでもなく、品もありつつ外した雰囲気もあるおもしろい衣装だなと思いますね。

 8位はカナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組の「水に流して」です。

c0309082_15261915.jpg

 シャンソンの名曲「水に流して」を使用し、重厚な女性ボーカルの力強さもあり、しっとりと哀愁漂う趣きもあり、大人のプログラムという感じです。
 女性は淡いピンクの長袖ドレス。ですが、全体的に透け感のある生地なので甘すぎず、シャンソンのどっしりとした世界観にも違和感なくはまっています。一方、男性は黒一色の衣装。シーズン前半は男性もピンクの衣装を着ていたのですが、男女ともにピンクだと少し甘美な印象が強すぎるかなというところだったのが、男性が黒い衣装に変えたことで男女のバランスとして引き締まった感じになって良いと思います。また、黒いシャツには同系色の刺繍がなされていて、同じ黒なのでほとんど見えないくらいのデザインなのですが、見えないところにこだわっているのが素敵だなと感じますね。


 9位は中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組の「Cavatina, Larghetto amoroso」です。

c0309082_15452134.jpg

 フランツ・リストの晩年の弟子の一人として知られるドイツの作曲家エミール・フォン・ザウアーのピアノ曲「Cavatina, Larghetto amoroso」。大きな曲調の変化はなく、しっとりと優しい優雅なプログラムです。
 そんなクラシカルな趣きが濃いプログラムに合わせて女性の于選手の衣装も淡いピンクをベースにした柔らかな印象のワンピース。胸元には白い花のアップリケが施され、スカートはピンクの下にグレーを重ね、裾はレース調になっています。装飾性はありますが、ビジューなど華やかな装飾はあまり使っておらず、布の素材感をそのまま活かした素朴なワンピースだなと思います。そして、男性の張選手は黒の上下。トップスは布にギャザーを寄せて立体的な模様を作り出しています。左肩にアクセント的に大ぶりのビジューをあしらってはいますが、それ以外に装飾的な部分はあまりなく、女性の華やかさを引き立てるコスチュームになっていますね。


 10位はオーストリアのミリアム・ツィーグラー&セヴェリン・キーファー組の「ミーカ・メドレー」です。

c0309082_16173585.jpg

 レバノン出身のポップ歌手ミーカの楽曲のメドレープログラム。プログラムの前半から中盤は壮大でクラシカルなバラード調、終盤はアップテンポにとめくるめく展開を見せます。
 衣装は男女ともにクラシカル。男性は白いシャツに菱形の模様が入った蝶ネクタイを外した抜け感のあるコーディネート。女性はボルドー色のワンピースで、胸元にはラメを施したような素材を下に重ねています。さらに、胸の下、腰の上にウエストマークするようにあしらわれたジュエリー風の装飾も気品を感じさせるデザインで、シックであり華やかでもありというバランスの取れた衣装だと思います。
 プログラムのイメージからするとクラシカル過ぎるのかなという気もしますが、ボーカル入りとはいえクラシックっぽい部分が大きいプログラムでもあるので、そうした世界観を前面に押し出したかったのかなと想像しますね。



 さて、ペアフリー部門は以上です。次はいよいよ女子のショートプログラムです。スローペースの更新で申し訳ないですが、次の記事アップまでもう少しお待ちください。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、デニー&フレイジャー組の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ザビアコ&エンベルト組の画像、サフチェンコ&マッソ組の画像、ツィーグラー&キーファー組の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、マルケイ&ホタレク組の画像は、マルケイ選手の公式インスタグラムから、彭&金組の画像は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、隋&韓組の画像は、スケート情報サイト「icenetwork」が2017年3月31日に配信した記事「Sui, Han strive to be greater after winning world title」から、王&王組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、デュハメル&ラドフォード組の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、于&張組の画像は、カナダのテレビ局「CBC」が2016年12月9日に配信した動画から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ベストコスチューム16/17・アイスダンスショートダンス部門 2017年5月25日
ベストコスチューム16/17・アイスダンスフリーダンス部門 2017年6月1日
ベストコスチューム16/17・男子ショートプログラム部門 2017年6月9日
ベストコスチューム16/17・男子フリー部門 2017年6月15日
ベストコスチューム16/17・ペアショートプログラム部門 2017年6月28日
ベストコスチューム16/17・女子ショートプログラム部門 2017年7月8日
ベストコスチューム16/17・女子フリー部門 2017年7月12日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-07-03 23:05 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg


 ベストコスチューム16/17、ペアのショートプログラムの衣装の個人的なベスト10を紹介していきます。なお、衣装を選ぶ際のルールについては、こちらの記事をご覧ください。

*****

 ペアSP部門第1位は、アメリカのヘイヴン・デニー&ブランドン・フレイジャー組の「ミュージカル「ドンファン」より」。

c0309082_14083983.jpg

 スペインの伝説的人物ドン・ファンを題材にしたミュージカルの音楽を使用したプログラム。衣装はシーズンを通して2種類使用され、ほとんどの試合で使用されたのは男女ともに赤を基調とした衣装でしたが、今回は個人的に好きな黒い衣装の方を選ばせていただきました。
 女性のデニー選手は黒のノースリーブのワンピースで、肩の部分にはヒラヒラとしたフリルがついています。そして胸元やスカートのスリットを中心に、金色の繊細な装飾が施されていて、頭には同じようなデザインの髪飾りも見られます。この金色の装飾によってスペインらしさが強調されていますね。一方、男性のフレイジャー選手の方は白い開襟シャツにポーラー・タイのような細めの黒いタイを締め、パンツは黒にこちらも金色でスペイン風のエキゾチックな模様があしらわれています。
 色だけでいうならもう一つの赤い衣装の方がよりスペインらしいとは思うのですが、黒というシックな色をベースにしながらも、コスチュームの形だったり金色のアクセント的な使い方の巧さだったりでスペインらしさを表現したこちらの衣装も、非常に工夫が凝らされていて素晴らしいなと思いますね。


 2位はロシアのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組の「Glam (Electro Swing Remix)」です。

c0309082_01054070.jpg

 フランスのエレクトロ・スウィング歌手ディミー・キャットの楽曲を使用したアップテンポでポップなプログラム。ということでコスチュームも華やさを前面に押し出しています。
 女性のタラソワ選手は、パール風の装飾がふんだんにあしらわれた細いストラップのホルターネック風ワンピース。シルバーを基調に、ボディ部分は斜めのラインが細かく入った規則的な模様が全面にあしらわれています。そしてスカートは同じくシルバーのフリンジで、ダンスナンバーらしさをよく表わしていますね。他方、男性のモロゾフ選手はイエローを基調とした長袖トップスに黒いパンツの組み合わせ。トップスはV字ネックで、中央に小さめのボタンが並び、光沢感のあるイエロー(というよりゴールド?)、ブロンズ色、シルバーが縦に並んでいて、女性の衣装と共通したデザインとなっています。色づかいからは軽快さを感じますが、衣装の形からは端正さ、上品さというのも感じられて、バランスの取れた衣装になっているなと思いますね。


 3位は中国の彭程(ペン・チェン)&金楊(ジン・ヤン)組の「My Drag」です。

c0309082_14273100.jpg

 アメリカのミュージシャン、ジンボ・マサスの楽曲を使用したユーモラスなプログラムで、衣装も個性的なデザインとなっています。
 女性はチューブトップ型の青と黒を基調にしたワンピース姿で、首と腕にそれぞれ黒のチョーカーとアームカバーをつけてアクセントにしています。ワンピースは右側がラインストーンを散りばめた青、左側が黒と2種類の生地を繋ぎ合わせたようなデザインとなっていて、その黒い生地の方にはシルバーの格子柄があしらわれており、このどことなくちぐはぐとしたミスマッチ感が、このプログラムの不思議な世界観には逆に合っていて良い味を出しているような気がします。そして男性の方は写真だと見にくいですが、長袖シャツにベストを重ねたようなコスチューム。こちらも黒と青を基調としていますが、襟元にポイントカラーとして赤を差していますし、服の形も素材づかいも独特で、女性同様に不思議な世界観を醸し出しています。
 衣装単独として見るととても不思議な感じなのですが、プログラムの表現の一部として見るとなんとなくマッチして見えるおもしろい衣装ですね。


 4位はカナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組の「Killer」です。

c0309082_14430242.jpg

 「Killer」はアメリカのソウル歌手シールの楽曲。クールでパワフルな音楽とあって、衣装も男女ともにパンツルックというカッコいいコスチュームになっています。
 まず男性はトップスにシルバーのラインストーンでランダムなラインがあしらわれた衣装。それ以外に特徴的な部分はありませんが、全身黒の中にシルバーの独特な模様が浮かび上がるデザインはどこか前衛的なアートのようにも見えて印象的です。そして女性も同じ柄が入ったトップスに黒のパンツというスタイル。男性と違うのはトップスが胸元から首元へと植物が這うような作りになっていることで、この部分にもボディ部分と同じようなシルバーの模様が施されていてインパクトのあるデザインとなっています。
 シンプルと言えば実にシンプルな両コスチュームですが、一部分の模様やデザインだけでほかにはない特徴的でオリジナリティーのある衣装に仕上げていて、考えられているなと感じますね。


 5位はフランスのヴァネッサ・ジェームス&モルガン・シプレ組の「Earned It 映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』より」。

c0309082_23120307.jpg

 2014年公開のヒット映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のサントラの一曲「Earned It」を使用したプログラム。映画自体は過激な恋愛映画ですが、この曲はアップテンポなパートもありつつも、しっとりとしたバラードのような趣きもある曲調です。
 コスチュームは男女ともに黒を基調としたクール系。女性はストラップの細いワンピースで、ストラップと胸元の縁取りがキラキラとしたラインストーンで華やかかつゴージャスに彩られています。胸から下は肌が透けるように横と縦にラインが入り、それがスカートまで続き、さらにスカートはチュールを重ねたような作りになっています。そして最も特徴的なのは腰に締めたベルトで、普通ならばワンピースに合わせることのないベルトを使うことでほどよいギャップを生み出していて、インパクトのある衣装にしています。一方、男性はライダースジャケット風のトップスに、太もも部分にジッパーが縫いつけられたパンツというコーディネート。トップスはライダースジャケット風ではありますが、襟はスタンドカラーという個性的な作りで、肩の部分にはラインストーンもあしらわれていて、こちらも良い意味でのギャップが感じられるコスチュームです。
 どちらの衣装も現代のカジュアルファッションのアイテムを巧く取りこみつつ、フィギュアスケートのコスチュームとしても見栄えのするものに仕上げたよく練られた衣装と言えます。


 6位はロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組の「ロマンス 映画『吹雪』より」。

c0309082_14093253.jpg

 プーシキンの恋愛小説が原作のソ連映画『吹雪』の音楽を、演奏会用の組曲にまとめた中の一曲「ロマンス」を使用したプログラム。ストーリーとしては裕福な家の娘と貧しい軍人の青年との悲劇的な恋愛を描いた作品ということで、ザビアコ&エンベルト組の衣装も映画の世界観を忠実に再現したものとなっていますね。
 女性は淡いミントグリーンの半袖ワンピース。じっくり見ると、ベースとなるミントグリーンの素材の上に白いレースを重ねたような作りになっていて、お嬢さまらしいエレガンスを醸し出しています。男性は軍服風のコスチューム。ですが、白を基調としているので軍服ではあるものの清潔感と品があります。また、金色を効果的に使っていて、ゴージャスさもありますが過剰過ぎず控えめなのが良いですね。


 7位は中国の王雪涵(ワン・シュエハン)&王磊(ワン・レイ)組の「Steppin' Out with My Baby」です。

c0309082_22454044.jpg

 ミュージカル映画『イースター・パレード』の劇中曲「Steppin' Out with My Baby」。有名なポピュラー・ソングですが、王&王組が使用しているのは“Jumpin' Joz Band”というグループがカバーしたバージョン。
 女性は鮮やかな濃いめのピンクのストラップレスドレス姿。胸元は大きく開いていて、そのあたりを中心に細かなラインストーンやビジューが多数散りばめられています。そこまで個性的な模様やデザインというわけではありませんが、明るいプログラムの雰囲気によく合った色づかいで好いと思います。男性の方はより個性的な衣装。シャツに黒い上着という一見スタンダードなスタイルですが、シャツはうっすらストライプが入った淡いグレーで、大きめの襟にラインストーンがぎっしりあしらわれ、ボタンも大きめという個性的なデザイン。上着も襟にラインストーンが貼りつけられていますし、襟元につけられた飾りもネクタイでもなければリボンでもない青と黒のコサージュのような装飾品で、どのアイテムを取ってもオーソドックスとは違う一工夫のあるデザインになっているというところがポイントですね。また、シャツをあえてパンツの外に出して裾を見せるなど着こなしもスタンダードスタイルを外していて、軽快な音楽の世界観、空気感を意識してのラフさなのかなと思います。


 8位はカナダのカーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組の「ハートブレイク・ホテル」です。

c0309082_23303258.jpg

 エルヴィス・プレスリーの代表曲「ハートブレイク・ホテル」をビリー・ジョエルがカバーしたバージョンを使用したプログラム。プレスリーバージョンよりスローテンポで少しバラードのような趣きがあるでしょうか。
 衣装は男女で違う色づかい。女性は黒っぽい色の上半身にいろんなサイズのビジューをぎっしりと敷き詰め、スカートは淡いマーブル模様という個性的なワンピース。そして男性は上下ともに黒で、襟の周辺だけに女性同様にビジューがふんだんにあしらわれたデザインとなっています。何といっても男女ともにポイントとなるのはたっぷり敷き詰められたビジューかなと思いますが、衣装のベースとなる色自体が派手ではない分、ビジューによって華やかさを出していて良いですね。また、ビジューの大きさも形もさまざまで、大きさや形がきっちり揃えられているよりも見た目に変化があって、印象に残りやすいコスチュームになっているのかなとも思います。


 9位はイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組の「セヴン・ネイション・アーミー」です。

c0309082_14542331.jpg

 アメリカの姉弟ロックデュオ、ザ・ホワイト・ストライプスのヒット曲「セヴン・ネイション・アーミー」。この曲を、ポップソングをオールドジャズ風にアレンジして歌う“Postmodern Jukebox”というバンドがカバーしたバージョンをマルケイ&ホタレク組は使用していて、マルケイ選手の衣装もこの“Postmodern Jukebox”のミュージックビデオの中でボーカルを務めている女性が着ているドレスを参考にしたデザインとなっています。
 まずはその女性の衣装から。黒と金色を大胆に使った派手めなワンピースで、金色のラインがまるでピラミッドのようでもありSFチックでもあります。しかしスカートの裾はフリンジで、腕には黒いロンググローブを着用していて、古き良き時代のアメリカのパーティーガールの雰囲気を醸し出しています。一方、男性は白シャツに黒い蝶ネクタイ、黒いサスペンダー、黒いパンツというシックなスタイルで、女性の華やかさを引き立てています。また、このサスペンダーを演技の冒頭では外していて、演技が始まると肩にかけるという振り付けもあり、まさに音楽とコスチュームがピタリと合った、うまく活かした衣装だなと思います。


 10位はアメリカのマリッサ・カステリ&マーヴィン・トラン組の「Fallin’」です。

c0309082_15541503.jpg

 アメリカの歌手アリシア・キーズのヒット曲「Fallin’」をラテン風にアレンジしたダンスナンバープログラム。とはいってもノリノリな感じのダンスではなく、クールな面が強いカッコいい感じのダンスナンバーなので、衣装もシックな色づかいとなっています。
 女性は上の写真だと分かりにくいかもしれませんが、太めのストラップを首にかけ、そのストラップが背中側から右肩に繋がって腕を覆っているというアシンメトリーな形のネイビーのワンピース。さらに体の左側は脇からお腹にかけて肌がのぞくような個性的な作りになっていて、スカートの形状も部分によって長さを変えており、意外に着こなすのが難しいデザインかなという気もするのですが、カステリ選手はそれを見事にクールに着こなしていますね。そして男性のトラン選手は同じくネイビーのトップスに黒いパンツ。女性よりはシンプルなデザインですが、こちらもネックはV字でもなければU字でもない独特の形状になっていて、細かい部分で女性の衣装との統一性があって、工夫されているなと感じますね。



 ペアショートプログラム部門のベスト10は以上です。続いてペアフリー部門ですが、もう少し記事アップまでお待ちください。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、デニー&フレイジャー組の画像、タラソワ&モロゾフ組の画像、王&王組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、彭&金組の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、デュハメル&ラドフォード組の画像は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute skating」から、ジェームス&シプレ組の画像は、スケート情報サイト「icenetwork」が2017年2月2日に配信した記事「Donovan: 2017 European Champs fashion podiums」から、ザビアコ&エンベルト組の画像は、フィギュアスケート衣装サイト「フィギュアスケート・コスチューム図鑑」から、ムーア=タワーズ&マリナロ組の画像は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、マルケイ&ホタレク組の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、カステリ&トラン組の画像は、ペア&アイスダンス情報サイト「Two for the Ice」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ベストコスチューム16/17・アイスダンスショートダンス部門 2017年5月25日
ベストコスチューム16/17・アイスダンスフリーダンス部門 2017年6月1日
ベストコスチューム16/17・男子ショートプログラム部門 2017年6月9日
ベストコスチューム16/17・男子フリー部門 2017年6月15日
ベストコスチューム16/17・ペアフリー部門 2017年7月3日
ベストコスチューム16/17・女子ショートプログラム部門 2017年7月8日
ベストコスチューム16/17・女子フリー部門 2017年7月12日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-06-28 16:43 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg


 前回に引き続き、ベストコスチューム16/17・男子フリーの衣装のベスト10をお送りします。なお、ベスト10を決めるにあたってのルールについては、こちらの記事をご参考下さい。また、男子のショートプログラムの衣装ベスト10は、こちらの記事をご覧ください。

*****

 男子フリー部門1位は、日本の羽生結弦選手の「Hope & Legacy」です。

c0309082_14483057.jpg

 プログラム名の「Hope & Legancy」は曲名ではなく、久石譲さんの「View Of Silence」と「Asian Dream Song」という2曲を組み合わせた羽生選手オリジナルのタイトルです。“希望と遺産”という壮大な題名にふさわしく、ダイナミックで、それでいて繊細さと優雅さに満ちた世界観のプログラムとなっています。
 そんな重層的なプログラムを表すように、衣装も非常によく考えられた繊細な作りになっています。形としては両袖とも長袖ですが、左肩の方にだけ布が垂れ下がるアシンメトリーなデザイン。そして、上半身全体に左上から右下にかけて流れるような細かいギャザーが入った立体的な作りです。色は肩の辺りは白、胸の辺りは明るいグリーン、そこから絶妙なグラデーションで深い群青色、そして黒へと徐々に変化しており、腕も同じような色づかいで、極めて繊細なカラーコーディネーションと言えますし、また、細かく散りばめられたビジューも派手すぎず控えめな光を放っています。
 比較的曲調の変化の少ないしっとりとした音楽なので、衣装も地味すぎると音楽に埋もれてしまいかねないと思いますが、音楽よりも主張しすぎず、かといって地味すぎもせず、ほどよい華やかさを持った芸術的に美しい衣装だと思います。


 2位はアメリカのネイサン・チェン選手の「韃靼人の踊り 歌劇『イーゴリ公』より」。

c0309082_15060916.jpg

 フィギュア界でも定番の「韃靼人の踊り」。ロシアから北アジア、東ヨーロッパにかけて暮らした“韃靼人(タタール人)”をモチーフにした異国情緒満載の楽曲ということで、チェン選手のコスチュームもそうしたエキゾチックさを前面に押し出していますね。
 衣装は長袖のトップスの上に半袖の上着を重ねたようなコーディネートで、そのどちらも深い赤を基調に襟元や裾、袖が金糸で縁取りされたような作りです。この刺繍風の部分が非常に細やかな意匠となっていて、異国らしさをひしひしと感じさせます。また、腰に巻いたベルト(と、長袖シャツの袖口)も花の周りを円が囲んだようなモチーフをいくつも連ねたデザインで特徴的ですし、胸の中心に配置された勲章のようなメダルのような装飾品も、好いアクセントとなっています。
 異国情緒を表現した衣装は過去にも数多くありますが、どうしてもステレオタイプに陥りがちでもあります。チェン選手の衣装はそうしたオーソドックスさを引き継ぎながらも、オリジナリティーもしっかりある素晴らしい衣装に仕上がっているのではないでしょうか。


 3位は日本の宇野昌磨選手の「ブエノスアイレス午前零時/ロコへのバラード」です。

c0309082_15304142.jpg

 タンゴ界の巨匠アストル・ピアソラの楽曲2曲のメドレープログラムで、衣装はタンゴらしい赤と黒を基調とした色づかいとなっています。
 作りとしては上から下まで繋がったいわゆる“つなぎ”の上に、長袖の上着を着用したスタイル。下に着た衣装はベージュから赤、グレー、黒へとグラデーションになっていて、細かいビジューが縦のラインを描くように施されています。そして上着は立て襟に丈の短いものでジャケットというよりボレロですね。前身頃から裾にかけてと、腕の肘から下の外側全体に曲線的なデザインがあしらわれています。この模様が暑い国の植物っぽくもあり、また、燃え盛る炎のようでもあり、タンゴらしい情熱を明確に伝えていますね。色づかい自体は定番ですが、デザインで個性を表した衣装だと思います。


 4位はウズベキスタンのミーシャ・ジー選手の「バレエ「くるみ割り人形」より」。

c0309082_15514034.jpg

 王道中の王道、チャイコフスキーのバレエ作品「くるみ割り人形」の中でも特に有名な場面「パ・ド・ドゥ」を使用したプログラム。「パ・ド・ドゥ」は金平糖の精と王子の踊りのシーンですが、ジー選手の衣装はまさに王子を演じるバレエダンサーそのものです。
 トップスは立て襟の白い長袖で、縦に金色の模様がシンメトリーにあしらわれています。ボトムスは黒いパンツで、全体的にごくシンプルなスタイルですが、「くるみ割り人形」という誰もが知る名曲だからこそ、あえて衣装で派手派手しく主張する必要はないのかなと思います。また、現役随一の表現力を誇るジー選手だからこそ、これくらいシンプルな衣装でも音楽の壮大さに負けることなく演じ切れるのだろうなとも感じますね。


 5位はアメリカのアダム・リッポン選手の「O/Arrival of the Birds 映画『The Crimson Wing: Mystery of the Flamingos』より」。

c0309082_16381165.jpg

 イギリスのバンド、コールドプレイの「O」という楽曲と、フラミンゴを取材したネイチャードキュメンタリー映画のサウンドトラックを組み合わせたプログラム。リッポン選手は元々その前のシーズンで「O」をエキシビションナンバーとして使用しており、衣装も写真のものを着用していましたが、エキシビションやアイスショーで使用した衣装は「昨季以前にすでに使用された衣装は対象から除外する」というルールには当てはめず、今回選ばせていただきました。
 使用されているそれぞれの楽曲が、「O」は“Fly On”=「飛ぶ」というサブタイトルがついていますし(厳密には「O」のインストゥルメンタルバージョンで、アルバムの隠しトラックとして収録されている曲のタイトルが「Fly On」)、もう一つの楽曲もフラミンゴをフィーチャーした映画のサントラということで、プログラムも全体的に鳥をイメージした世界観となっています。
 ということで衣装も“鳥らしさ”が控えめながら感じられるデザイン。トップスは透け感のある白い素材に、鳥の翼のような異素材が組み合わせられています。この異素材の部分に黒やグレーで羽のようなラインが描かれ、まさに“鳥”を思わせるコスチュームとなっているわけですが、わかりやすく“鳥”というよりは、あえてアシンメトリーに、少し外した感じのデザインになっていて、この控えめさが素敵だなと思いますね。


 6位は韓国のイ・シヒョン選手の「Take Me to Church/From Eden」です。

c0309082_15185217.jpg

 アイルランド出身の歌手ホージアの楽曲2曲のメドレープログラム。バラード調の「Take Me to Church」からアップテンポな「From Eden」へと曲調は変化しますが、基本的にはロックということもあってか、イ選手の衣装は全身デニム生地というカジュアルなものとなっています。
 トップスはデニムの長袖シャツを腕まくりした風の五分袖、ボトムスはジーンズというスタイルですが、トップスは襟の周囲にさまざまなビジューが散りばめられ、また、短めのネクタイにもラインストーンがあしらわれており、カジュアルではありますが華やかさもある衣装となっています。全身デニムだけだとラフすぎる印象になりかねませんが、部分的に装飾品を用いることで効果的なアクセントとなっていて、カジュアルさと華やかさのバランスが取れた衣装になっていると思います。


 7位は日本の田中刑事選手の「フェデリコ・フェリーニ・メドレー」。

c0309082_15384356.jpg

 イタリアの名映画監督フェデリコ・フェリーニ作品のサウンドトラックを組み合わせた軽快かつユーモラスなプログラム。ということで衣装も軽快さを強く意識したデザインと言えます。
 トップスは黒白のストライプ柄シャツで、ボトムスは黒っぽいジーンズ風パンツ。上述したイ選手同様にシャツの袖をまくってボトムスはジーンズ風にすることでカジュアルさ、軽やかさを演出していますが、田中選手の場合はシャツもパンツも黒をベースにしている分、より大人っぽくシックになっているかなと感じます。さらに、シャツは襟の一部分と右側面に濃いめのピンクをあしらい、また、左胸のポケットは赤い生地の上にストライプの生地を斜めに貼りつけ、その上に花のようにも見える赤と白のビジューの装飾を施すという凝ったデザインで、カジュアルな中にもさりげない品を感じさせる考えられたコスチュームだなと思います。


 8位はアメリカのグラント・ホフスタイン選手の「歌劇「道化師」より」。

c0309082_15531686.jpg

 レオンカヴァッロの名作「道化師」。フィギュア界でも近年男子選手の使用が増えてきており、定番になりつつあります。
 冒頭からテノールの迫力に満ちたボーカルで始まるプログラムですが、そんな重厚さにふさわしい気品と大人の華やかさを感じさせるコスチュームは、トップスが深みのある臙脂色。形としてはシンプルな長袖シャツですが、胸元が一部三角形に開いて肌がのぞくような作りとなっています。また、細かなラインストーンによって左肩から右の脇へと流れるようなラインをあしらったり、そのほかの部分ではランダムに散りばめるようにあしらったりとバランス良く装飾品を使っていて、色づかいが重厚で渋い分、装飾品の使い方でうまく華もプラスしていて工夫されているなと感じます。


 9位はカザフスタンのデニス・テン選手の「歌劇「トスカ」より」。

c0309082_15000134.jpg

 大定番のオペラ「トスカ」を使用したプログラムということで、衣装もその重厚さを意識したデザインです。
 上下とも黒をベースにし、トップスは立て襟で胸元が大きく開いた作り。その胸元から肩、腕、背中の中心にかけて赤をあしらってアクセントにしています。ハッキリとした鮮やかな赤というよりは渋みのある赤なので、派手すぎない落ち着いた色づかいと言えますし、一面赤ではなく小さいラインストーンを無数にあしらうことで複雑な色味を作り出していて、「トスカ」のどっしりとした雰囲気にピッタリ合ったカラーコーディネーションだなと思います。


 10位はアメリカのティモシー・ドレンスキー選手の「Sometimes I Dream」です。

c0309082_17502648.jpg

 ギリシャ出身のテノール歌手マリオ・フラングーリスさんの歌う「Sometimes I Dream」。一部「トスカ」の有名なアリア「星は光りぬ」のアレンジバージョンが入っており、いわゆる名曲をサンプリングしたクラシカルオーバー曲と言えます。
 そんなオペラのアリアを用いた重厚なプログラムということもあり、コスチュームもやはりシックに落ち着いた色づかい。透け感のある素材の服の上に、透け感のない黒の長袖トップスを重ね、腰に装飾的なベルトを巻いています。何よりこの衣装のポイントとなっているのはベルトで、実際はもちろん軽い素材を使っていると思うのですが、まるで本物の金属のように見える質感と、赤や緑といったビジューで形作られた模様もエキゾチックで、音楽の世界観に合っているなと思います。トップスやボトムスといった服自体は極めてシンプルですが、ベルトのみを派手めにするという一点豪華主義の良い例と言えますね。



 男子フリー部門のベスト10は以上です。次はペアのショートプログラムに続きますので、またしばしお待ちください。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、羽生選手の写真、田中選手の写真、テン選手の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、チェン選手の写真、リッポン選手の写真、ドレンスキー選手の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、宇野選手の写真は、デイリースポーツのニュースサイト内のフィギュアスケート写真集から、ジー選手の写真はフジテレビの公式サイトのスケートページ「FujiTV Skating Club フジスケ」から、イ選手の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ホフスタイン選手の写真はマルチメディアサイト「Zimbio」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ベストコスチューム16/17・アイスダンスショートダンス部門 2017年5月25日
ベストコスチューム16/17・アイスダンスフリーダンス部門 2017年6月1日
ベストコスチューム16/17・男子ショートプログラム部門 2017年6月9日
ベストコスチューム16/17・ペアショートプログラム部門 2017年6月28日
ベストコスチューム16/17・ペアフリー部門 2017年7月3日
ベストコスチューム16/17・女子ショートプログラム部門 2017年7月8日
ベストコスチューム16/17・女子フリー部門 2017年7月12日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-06-15 18:55 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg


 16/17シーズンのコスチュームのベスト10を勝手に決めるベストコスチューム16/17。今回は男子のショートプログラムで使用された衣装のベスト10です。なお、この記事を書くにあたってのシステムについては、こちらの記事の冒頭をご覧ください。

*****

 男子のSP1位は、アメリカのネイサン・チェン選手の「バレエ「海賊」より」です。

c0309082_17033858.jpg

 バレエ「海賊」はギリシャを舞台にした作品。ということで「海賊」を演じる場合、エキゾチックな衣装が使用されることが多く、チェン選手もGP初戦のフランス杯では白いシャツに東洋風の柄の袖なしボレロを重ねたコスチュームだったのですが、NHK杯からは写真の全身黒の衣装を着用しています。
 衣装の形としては襟付きのレース調の黒いトップスに、同じく黒い半袖のボレロを重ねたスタイル。パンツももちろん黒で、その前に来ていた衣装と比べると「海賊」らしいエキゾチックさは鳴りを潜めています。ですが、上半身のレースはところどころペイズリー柄っぽい模様になっており、控えめながらエキゾチックさが表現されていますし、かなり丈の短いボレロも一般的な洋服にはない形ですので、西洋でもなく東洋でもない独特の雰囲気が醸し出されています。また、全身黒にしたことによってチェン選手の体の線の美しさ、身のこなしの美しさがきれいに氷に映えるようになっていて、プログラムに合わせるだけではなく、チェン選手の魅力を存分に引き出すコスチュームだなと感じます。


 2位は日本の宇野昌磨選手の「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジー 映画『ラヴェンダーの咲く庭で』より」。

c0309082_15584550.jpg

 映画『ラヴェンダーの咲く庭で』の中で演奏されるヴァイオリン協奏曲「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジー」を使用したプログラム。衣装は2種類あり、シーズン初戦から四大陸選手権まではラベンダー色の衣装、冬季アジア大会から世界国別対抗戦までは写真のブルーの衣装でしたが、個人的により好きな後者を選ばせていただきました。
 衣装はブルーのスタンドカラーのシャツに黒いパンツというスタイル。シャツは上から下に向かって濃くなっていくグラデーションで、全体的に細かなビジューが散りばめられていて華やかです。特に襟や袖口の周辺には集中的にビジューがあしらわれており、襟の周りは曲線状の模様も施されていて、シックさときらびやかさのバランスがうまく取れているコスチュームだと思います。


 3位はウズベキスタンのミーシャ・ジー選手の「黒くぬれ!」です。

c0309082_16250617.jpg

 16/17シーズンのジー選手は2つのショートプログラムを使用し、「黒くぬれ!」はシーズン前半に演じたプログラムです。その「黒くぬれ!」はローリング・ストーンズのヒット曲ですが、ジー選手が使用しているのはアメリカの歌手シアラがカバーしたバージョン。
 「黒くぬれ!」ということで衣装ももちろん黒。上半身は黒をベースに繊細なビジューによって幾何学模様がデザインされていて、非常にスタイリッシュな印象を与えます。こういった模様はともすれば野暮ったい印象を与えかねないと思うのですが、衣装の素材にそのままプリントするのではなく、ビジューによって立体感のある模様になっているので、新鮮味のあるコスチュームになっているなと感じますね。


 4位は韓国のイ・シヒョン選手の「映画『アマデウス』より」。

c0309082_17114894.jpg

 モーツァルトを題材にした映画『アマデウス』のサウンドトラックを使用した華麗なプログラム。ということで衣装もモーツァルトの生きた中世の時代らしさを意識したデザインとなっています。
 下に着た白シャツはシルクのような光沢のある生地で袖口は金色に縁取りされ、形もフリルっぽくなっています。そして首元はダイヤモンド風の装飾で白いタイを締めたようなスタイルで、タイは袖口と同様のデザインに。何よりも目を引くのが鮮やかな赤のベスト。金糸で葉っぱが連なったような模様の刺繍が惜しげもなく施されており、非常にゴージャズな印象を与えます。“モーツァルトらしさ”を前面に押し出した衣装で、プログラムの華やかさとも合っていて良いですね。


 5位はカザフスタンのデニス・テン選手の「幻想序曲「ロメオとジュリエット」」です。

c0309082_17450417.jpg

 チャイコフスキーの代表作の一つ、「ロメオとジュリエット」を一部ヒップホップ調にアレンジした個性的なプログラム。シーズンを通して複数種類の衣装が使用されましたが、今回選んだのはフランス杯で用いられた衣装です。
 コスチュームはレザーっぽい素材を使った硬質感のある作り。黒い長袖トップスの上にジッパー付きのベストを重ねたようなスタイルですが、そのジッパーを境目に左右非対称なデザインとなっています。テン選手から見て左側は縦に複数のラインが入り、右側はビジューが均等に配置されたデザイン。全体的にどことなく日本の戦隊モノのヒーローが着ているスーツのような雰囲気がありますが、色を黒やグレーでまとめ、さまざまな異素材を組み合わせることで、クールでスタイリッシュな雰囲気が醸し出されていますし、何よりヒップホップアレンジがなされたプログラムの世界観にも合っていて、唯一無二のオリジナリティーを表現できていると思いますね。


 6位はロシアのマキシム・コフトゥン選手の「Bahamut」です。

c0309082_18305057.jpg

 アメリカのワールドミュージックバンド“Hazmat Modine”の「Bahamut」という曲を使用した、どこか異国情緒を感じさせるような、それでいて現代的なアレンジも利いた不思議な世界観のプログラムとなっており、それに合わせたコスチュームも個性的です。
 白いTシャツの上に黒いジャケットを重ねたコーディネート自体はシンプルな着こなし。ですが、ジャケットはたくさんのワッペンが貼りつけられたようなデザインになっていて、インパクトがあります。Tシャツ&ジャケットというスタイル自体は現代の若者ならば誰でもするような一般的なコーディネートで、フィギュアスケートの衣装という感じが全くないカジュアルさなのですが、さらにそのジャケットに大量のワッペンがあしらわれていることによって、一般の人が日常生活の中で着る服とは違う、どこかしらステージ衣装のような雰囲気も醸していて、フィギュアスケートの衣装というステレオタイプのイメージを良い意味で裏切るおもしろいコスチュームだと思いますし、ジャンルを特定できない音楽の世界観だからこそ、コスチュームもステレオタイプのイメージにハマっていないのが良いのかなという気がしますね。


 7位は日本の無良崇人選手の「Zepateado」です。

c0309082_01450729.jpg

 無良選手の新境地を示したフラメンコプログラムですが、フラメンコにも関わらずあえていかにもスペイン風といった感じの色づかいをしていないところに新鮮さを感じさせます。
 フラメンコを使用したプログラムは数多くあり、多くの場合、赤や黒、もしくはオレンジ、金色など、スペインらしさを前面に押し出した色づかいが多く見られるのですが、無良選手の衣装は白と黒というフラメンコではあまり見ない色づかい。ですが、素材感や意匠などでフラメンコらしさを表しています。最も特徴的なのはやはり首から胸元にかけて施されたフリンジでしょうか。フリンジ自体は特にスペインらしいというものではありませんが、目を引くアクセントになっていますね。一方、袖はヒラヒラとしたフリルのようになっていて、フラメンコの踊り子が着るドレスに似た作りに。そして、ベースとなる白い生地はよく見るとレース調の花柄になっていて、それが派手すぎず地味すぎない絶妙な模様を浮かび上がらせていて、品のあるフラメンココスチュームになっていて良いなと思いますね。


 8位はアメリカのアダム・リッポン選手の「Let Me Think About It」。

c0309082_15085045.jpg

 ノリノリのダンスミュージックということで、ノースリーブのランニング姿という思いきった大胆なコスチューム。ともすればチープになりかねないタイプの衣装かなとも思うのですが、素材を体の正面は光沢感のある生地、体の側面は透け感のある生地と工夫しているので、野暮ったさを感じさせません。また、体の左側にビジューで施された模様もブルーを基調にシックな色づかいで、シャープさとクールさを感じさせるラインの入れ方がなされていて、シンプルではあるものの考えられているなと感じます。
 実は男子選手のノースリーブのコスチュームが解禁されたのは16/17シーズンからということで(そもそも禁止ということさえ知らなかったのですが)、その第1号(たぶん)としても記念すべき革新的な衣装と言えると思うので、その意味もあって選ばせていただきました。


 9位はイスラエルのアレクセイ・ビチェンコ選手の「Chambermaid Swing」です。

c0309082_15233485.jpg

 “Chambermaid”とはいわゆる召使いとか使用人みたいなことだと思うのですが、そんな音楽の世界観をイメージしてか衣装もどことなく召使いっぽいデザインとなっています。白いシャツにベスト、ジャケット、蝶ネクタイというスタイルだけでは“召使い感”は出ないと思うのですが、ポイントとなるのは色づかいで、ブラウンという比較的カジュアルで庶民的な色をベースにしたことによって、召使いを使う側の主人の方ではなくて、召使いの方を演じているという雰囲気がよく表現できているなと思います。さらにジャケットはチェック柄になっているので、“Swing”らしい軽快さも出ていて良いですね。


 10位はロシアのアレクサンドル・ペトロフ選手の「火祭りの踊り バレエ「恋は魔術師」より」。

c0309082_15474309.jpg

 スペインを代表する作曲家マヌエル・デ・ファリャのバレエ「恋は魔術師」の中でも特に有名な「火祭りの踊り」を使用したプログラム。エキゾチックで怪しげな旋律が印象的な曲ですが、ペトロフ選手の衣装もエキゾチックさを強く意識したデザインになっています。
 何といっても目を引くのは金色のトップス。全体的にプリントされた格子柄のような模様にしても、さらに肩から二の腕を覆う部分の作りにしても、西洋の鎧のような雰囲気を醸し出しています。しかし、ところどころに細かなフリンジがあしらわれていたり赤い宝石風のビジューが施されていたりと装飾性もあり、衣装の形と色、装飾の使い方に良い意味でギャップが感じられます。また、腰に締めた赤いベルトもアクセントになっていて、無良選手のところで上述したようにスペイン風衣装の定番である赤と黒と金色がきっちり揃っています。が、普通ならば赤をメインに用いて、金色をポイントカラーとしてアクセント的に使うことが多いので、それが全く逆になっているこのコスチュームはある意味思い切った、珍しいタイプのスペイン風衣装だなと思います。



 さて、ベストコスチューム16/17・男子SP部門は以上です。男子フリー部門に続きます。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、チェン選手の衣装、無良選手の写真、リッポン選手の写真、ビチェンコ選手の写真、ペトロフ選手の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、宇野選手の写真、テン選手の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ジー選手の写真、イ選手の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、コフトゥン選手の写真は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ベストコスチューム16/17・アイスダンスショートダンス部門 2017年5月25日
ベストコスチューム16/17・アイスダンスフリーダンス部門 2017年6月1日
ベストコスチューム16/17・男子フリー部門 2017年6月15日
ベストコスチューム16/17・ペアショートプログラム部門 2017年6月28日
ベストコスチューム16/17・ペアフリー部門 2017年7月3日
ベストコスチューム16/17・女子ショートプログラム部門 2017年7月8日
ベストコスチューム16/17・女子フリー部門 2017年7月12日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-06-09 16:59 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg


 前記事に引き続き、ベストコスチューム16/17、アイスダンスのフリーダンス部門を書いていきます。なお、ショートダンスのベスト10についてはこちらをご覧ください。また、衣装を選ぶ上でのルールに関しても、ショートダンスの記事の冒頭に記してありますので、ご参考下さい。

*****

 フリーダンス部門第1位は、アメリカのケイトリン・ハワイエク&ジャン=リュック・ベイカー組の「愛の夢」です。

c0309082_23480472.jpg

 フィギュア界でも定番のフランツ・リストの「愛の夢」ということで、衣装も優しく柔らかい印象になっています。
 女性のハワイエク選手は胸元がV字になったノースリーブドレス。ラベンダー色が上から下にかけて濃くなるグラデーションとなっています。衣装は薄く柔らかい素材感で、スカートの部分は繊細なタックによって美しい布の表情が出ていて、全体を見ると装飾は控えめでシンプルなのですが、非常に上品でエレガンスな印象を与える衣装だなと感じます。一方男性は白いシャツに黒いパンツというモノトーンスタイル。色を使わないコーディネートにすることで女性の美しさを引き立てていて、両者のバランスで見ても、とても素晴らしい組み合わせだなと思いますね。


 2位はカナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組の「アランフェス協奏曲」です。

c0309082_00524698.jpg

 こちらも大定番の「アランフェス協奏曲」を使ったプログラム。ということで衣装もスペインらしさを感じさせるデザインになっています。
 女性のウィーバー選手はボディ部分がゴールド、スカートが赤というスペイン風衣装のおなじみのカラーコーディネーション。ともすれば平凡な印象になりかねませんが、ボディ部分をペイズリー柄のようなエキゾチックなデザインにすることで個性を表していますし、スカートも右脚を大胆に露出するスリットの深い作りとなっていて、一工夫しています。比較的肌の露出は多い衣装ですが、いやらしさを感じさせない高貴な雰囲気を漂わせるドレスになっていると思います。そして、男性のポジェ選手は対照的にシンプル。白シャツに黒いパンツ、黒いサスペンダーですが、女性の方が華やかな分、男性はこれくらいシンプルなくらいがちょうど良いですね。
 ウィーバー&ポジェ組はこのプログラムでシーズン前半は女性が濃い紫の、男性が全身真っ黒の衣装を着ていましたが、「アランフェス協奏曲」ということを考えると、やはり定番ではあるものの赤やゴールドを使った衣装というのはものすごく合うので、こちらの方を今回は選びました。


 3位はフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組の「Stillness/Oddudua/Happiness Does Not Wait」。

c0309082_01053335.jpg

 ゆったりとしたピアノの音色から始まって少しずつテンポアップしていき、最後は壮大なオーケストラで幕を閉じる情感たっぷりのプログラム。衣装は男女ともに青を基調としていて音楽の静けさ、壮大さの両方に合っています。
 女性はワンショルダーの独創的なデザインのワンピース。布を体に巻きつけたような作りになっていて、色は上半身は青ですがスカートはグラデーションでピンクと少しギャップのある色づかい。しかしグラデーションの具合が絶妙なのでとても自然な色づかいに見えますし、スカートだけ淡いピンクにすることで軽やかさも感じさせますね。男性はトップスが青、パンツが黒という衣装ですが、トップスは胸元が大きく開いたスタンドカラーのノースリーブというこちらも個性的なデザイン。しかしシゼロン選手が非常にスタイリッシュに着こなしていますし、色も青一色ではなく少しシルバーのような色味が入った美しいグラデーションになっていて、女性の衣装同様に重厚さと軽やかさの両方が相まっていますね。


 4位はチェコのコートニー・マンスール&ミハル・チェスカ組の「映画『ゴッドファーザー』より」。

c0309082_14072345.jpg

 名作『ゴッドファーザー』のサウンドトラックを使用したプログラムですが、『ゴッドファーザー』のストーリーを踏襲したりイメージしたりということはなく、壮大かつドラマチックな音楽を表現したプログラムになっています。
 女性の衣装はライトブルーのレオタードの上に深みのある青のノースリーブワンピースを重ねたようなデザイン。ワンピースは胸元と腰元に細かくビジューが施され、黒いベルトで腰をウェストマークしたデザインがどことなくクラシカルでエレガントな雰囲気を醸し出しています。一方、男性は黒いシャツにストライプ柄の黒いベストとパンツというシックなスーツスタイル。紳士らしい正統派のコーディネートではありますが、全身黒にすることでクラシカルなスタイルとは違うおしゃれ感も出ていて、『ゴッドファーザー』のダークな感じにも合っているように思います。


 5位はカナダのアレクサンドラ・ポール&ミッチェル・イスラム組の「愛の夢第3番/ハンガリー狂詩曲第2番/「リゴレット」による演奏会用パラフレーズ」。

c0309082_14302832.jpg

 上述したハワイエク&ベイカー組も使用した「愛の夢」に始まり、「ハンガリー狂詩曲」と「「リゴレット」による演奏会用パラフレーズ」で軽快かつ熱狂的に締めくくられるフランツ・リストのピアノ曲メドレー。
 その華やかさを示すように、女性の衣装は鮮やかなピンク。上半身は濃いめのピンクで、細かな刺繍とビジューがあしらわれた非常に繊細な作り。そこからグラデーションで淡いピンクとなったスカートは柔らかく優雅な印象を与えます。衣装自体が豪華なのでほかは装飾らしい装飾なくシンプルなコーディネートにしているのが良いなと思います。男性は女性と比べると地味目な色づかい。ブルーグレーの長袖シャツに黒いパンツですが、シャツはデザイン性のある作りなので華やかさもあります。シックな色が女性の衣装のピンク色ともマッチしていてバランスが取れているなと思いますね。


 6位は日本の村元哉中&クリス・リード組の「ポエタ」です。

c0309082_15133500.jpg

 フィギュア界でもたびたび使用されるフラメンコ曲「ポエタ」。村元&リード組の衣装もフラメンコらしさを前面に押し出した色づかい、デザインになっています。
 女性の衣装は上半身が黒のレース調の胸元が大胆に空いたデザイン。そしてスカートは透け感のあるこちらも縁取りがレースになっている黒のチュールスカートに、赤いサテン風素材のスカートを重ねています。男性は黒いトップスに黒いパンツで、トップスの襟元は女性と同じようなレース調のデザイン、腰にはエキゾチックな模様が入った赤いベルトというスタイルで、女性との統一感があります。男女ともに赤と黒というフラメンコらしい色づかいですが、それに加えレースやサテンといった素材感の工夫もあり、定番のスタイルの中にも彼らならではの個性を表した衣装になっていると思います。


 7位はアメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組の「Evolution: Mirror In Mirror」。

c0309082_15324167.jpg

 壮大で重厚なオーケストラプログラムで、シーズン中に使用された衣装は男女ともに2種類。両方ともネイビーを基調にしていることは変わらないのですが、シーズン終盤で使用したものはより装飾が多いデザインとなっており、私が今回選んだのは主にシーズン前半に使用されたものです。
 女性はシンプルな形のワンピースで、上の写真では分かりにくいかもしれませんが、胸元に向けて放射線状にギャザーが寄せられたデザインとなっています。男性もトップスはネイビーの長袖シャツで、うっすらと透け感があります。見た目に分かりやすい華やかさはなく、地味といえば地味なのですが、音楽の重厚で穏やかな世界観にはよく合っていると思いますし、氷の上でもきれいに映える衣装だなと感じました。


 8位は中国の宋林書(ソン・リンシュー)&孫茁鳴(スン・ジュオミン)組の「映画『007 ゴールデンアイ』より/映画『007 スカイフォール』より」。

c0309082_16032283.jpg

 おなじみの「007」のサントラを使用したダイナミックなボーカル入りプログラム。
 女性はボルドー色の個性的な形のドレス。胸元はスーツの襟のようなデザインになっていて、腰のコサージュ風の装飾でその布を留めるような作りに。そこから垂れ下がった布がスカートになっているわけですが、体の前面は覆わず脚が全て見えるようなセクシーなデザインで、素材感や色は品がある一方で露出は大胆にというギャップが魅力的な衣装ですね。男性は白シャツに黒いスーツ、黒い蝶ネクタイというスタンダードなスタイルですが、スーツに細かなビジューが散りばめられていたりと隠れた工夫がなされています。
 「007」のかっこよく、クールで、セクシーなイメージをうまく自分たちらしく個性的に演出した衣装だと思います。


 9位は中国の王詩玥(ワン・シーユエ)&柳鑫宇(リュー・シンユー)組の「ニューヨーク・ニューヨーク」。

c0309082_16381816.jpg

 定番のスタンダードナンバー「ニューヨーク・ニューヨーク」をアレンジした女性ボーカル入りの軽快かつパワフルなプログラム。写真の衣装はシーズン初戦のスケートカナダのみで着用されたもので、シーズンのほとんどは男女ともにピンクを基調とした衣装を着ていたのですが、個人的にはこのプログラムにはピンクじゃない方が合うかなと感じたのでこちらを選びました。
 女性は鮮やかなライトブルーのスカート短めのワンピース。細かなビジューが施されて華やかさもありつつ、色づかいであったりスカートのふわっと広がる感じであったりと全体的に明るさ、軽快さを感じさせるデザインで素敵です。男性は白シャツに蝶ネクタイ、サスペンダーにパンツというオーソドックススタイルですが、一つ一つのアイテム、たとえばシャツはシルバーのラインが入っていたり、パンツは黒と白のストライプ柄にしたりと、アイテムごとに華やかさや軽やかさを印象づける工夫がなされています。男女ともにプログラムの世界観に合ったポップなコスチュームで好いですね。


 10位はイスラエルのイザベラ・トバイアス&イリヤ・トカチェンコ組の「パ・ド・ドゥ バレエ「くるみ割り人形」より」。

c0309082_16520149.jpg

 王道のバレエ「くるみ割り人形」を使用した華麗なプログラム。ということで女性も男性も白の衣装でバレエらしい清らかさ、優雅さを表していますね。
 女性はデコルテや腕をシアー素材で覆った白のワンピース。首元や胸元にふんだんに繊細なビジューをあしらっていて、白一色の中にも控えめなゴージャスさを感じさせます。シーズン前半は同じ白いワンピースでビジューのないものを使用していたのですが、それだとあまりにもシンプルすぎるように感じたので、この写真のようにビジューを施した方がほどよい華やかさがあって良いですね。一方、男性の衣装はシーズンを通して変わらずノーカラーのシンプルな白シャツと黒いパンツの組み合わせ。こちらももう少し装飾性があってもいいかなとも思いますが、逆にこれだけシンプルに徹底しているのを見ると、衣装のインパクトではなくプログラムで勝負、という感じがしますし、「くるみ割り人形」という誰もが知る名曲だからこそ、音楽が持つ力だけで十分アピールできるのかなという気がしますね。



 アイスダンスフリーダンス部門のベストコスチューム16/17は以上です。次は男子のショートプログラム部門を書く予定ですので、またしばしお待ちください。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟公式フェイスブックページから、ハワイエク&ベイカー組の写真、シブタニ&シブタニ組の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ウィーバー&ポジェ組の写真、パパダキス&シゼロン組の写真、ポール&イスラム組の写真、王&柳組の写真、トバイアス&トカチェンコ組の写真は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、マンスール&チェスカ組の写真、宋&孫組の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、村元&リード組の写真は、デイリースポーツのニュースサイト内の写真特集記事から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ベストコスチューム16/17・アイスダンスショートダンス部門 2017年5月25日
ベストコスチューム16/17・男子ショートプログラム部門 2017年6月9日
ベストコスチューム16/17・男子フリー部門 2017年6月15日
ベストコスチューム16/17・ペアショートプログラム部門 2017年6月28日
ベストコスチューム16/17・ペアフリー部門 2017年7月3日
ベストコスチューム16/17・女子ショートプログラム部門 2017年7月8日
ベストコスチューム16/17・女子フリー部門 2017年7月12日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-06-01 23:41 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_10385337.jpg


 16/17シーズンのコスチュームをランキング形式で紹介するベストコスチューム16/17。例年どおり、個人的に良いと思った現役選手たちの衣装を各カテゴリー別に1位から10位まで振り返っていきたいと思います。この記事ではアイスダンスのショートダンスのベスト10を書いていきます。
 その前に、コスチュームを選ぶ上でのルールをまとめると、


●16/17シーズンに着用された衣装が対象。
●グランプリシリーズ、欧州選手権、四大陸選手権、世界選手権、世界国別対抗戦に出場した選手が、該当する試合で着用した衣装のみ対象とする。
●各部門につき、各選手1着のみに限定。1つのプログラムで複数の衣装を使用している場合でも1着しか対象にならない。また、1人の選手が1シーズンで複数のプログラムを演じた場合でも1つの衣装しか対象にならない。
●16/17シーズンに着用している衣装でも、すでに昨シーズン以前に使用されたことのある衣装は対象外とする。



 という感じになります。これらのルールに基づいて、10着の衣装を選びました(アイスダンスやペアの場合は男女で1組なので、衣装ももちろん2着で1つという扱いです)。ではさっそく、アイスダンスショートダンス部門の1位から見ていきます。

*****

 アイスダンスショートダンス部門の1位は、日本の村元哉中&クリス・リード組の「レイ・チャールズ・メドレー」です。

c0309082_18133182.jpg

 ソウルの神様と呼ばれるレイ・チャールズの楽曲を組み合わせたメドレープログラム。明るく軽快なプログラムということで衣装もポップさを前面に押し出したデザインになっています。
 男女ともに基調となっている色はイエローと紫。女性の村元選手はホルターネック風のワンピースで、ボディの部分は濃いめの紫のベルベット風生地。胸元は白襟のようなデザインに小さなボタンが4つ並んでいます。スカートは透け感のある紫のチュールスカートの上にサテンのような艶のある素材の白いスカートを重ねていて、白いスカートは輪っかのような一風変わったイエローのドット模様となっています。ドット以外にもスカートの縁や首にかかったストラップ、腰を囲むベルト(背中側でリボンを結んだデザインになっている)がイエローとなっていて、アクセントをつけています。
 一方、男性のリード選手は白いシャツの上に、紫をベースにイエローの格子柄が入った五分袖のジャケットを着用。ネクタイはイエローにシルバーのラインストーンが施された作りで、ポケットにはイエローのチーフと、こちらもベースは紫ですがイエローをアクセント的に使ったコーディネートとなっています。
 紫とイエローという組み合わせは珍しい色づかいですが、プログラムのポップな雰囲気によく合っていますし、また、女性のワンピース姿も男性のジャケット姿もどこかレトロで古き良き時代を思い起こさせるデザインになっていて、レイ・チャールズというアメリカを代表する往年のスターの音楽にもピッタリ合っていると思いますね。


 2位はアルメニアのティナ・ガラベディアン&シモン・プルー=セネカル組の「Blues/Swing」です。

c0309082_15502973.jpg

 プログラムに関しては今季の課題であった「ブルース」と「スウィング」の表記があるのみで具体的な曲名はわからないのですが、前半はしっとりとした女性ボーカルによる上品な世界観、後半は同じく女性ボーカルですが軽快でリズミカルな曲調という構成のプログラムになっています。
 ということで後半の「スウィング」の軽快さよりも、前半の「ブルース」の落ち着いたイメージを意識したコスチュームになっていますね。男性はシンプルな黒のタキシード姿でクラシカルな紳士を演出。女性はラインストーンやビジューがふんだんにあしらわれた上半身と深いスリットが入った長めの群青色のスカートという個性的でありながらも気品のあるドレス姿。特に上半身はかなりキラキラとした一見派手なデザインですが、使う装飾の色をある程度絞って統一してあるので、そんなにごちゃごちゃした感じはせずゴージャスかつ洗練された印象を与える衣装になっていると思います。プログラムが醸し出すイメージよりは男女ともにクラシックな趣きが強いかなと思いますが、よく工夫された美しい衣装ですね。


 3位はロシアのヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組の「Love Creole/It Don't Mean A Thing」。

c0309082_16440286.jpg

 ジャズの大家デューク・エリントンの「Love Creole」とアメリカを代表するエンターテイナー、トニー・ベネットとレディー・ガガのデュエット曲「It Don't Mean A Thing」のメドレープログラム。全体的にしゃれた小気味の良い雰囲気の作品ですが、コスチュームもそれに合わせて比較的カジュアルなデザインになっています。
 男性は五分袖の白シャツに黒いベストというスマートながらも着崩した雰囲気のある着こなし。一方、女性はネイビーのワンピースですが、裾はゴールドなどさまざまな色が入り混じったフリンジっぽい作りになっていて、上半身から腰にかけてはシンプル、スカートはゴージャスというギャップのあるデザインが印象的で良いですね。プログラムの後半はトニー・ベネットの渋い歌声とレディー・ガガの華やかなソプラノのデュエットなので、そういったイメージにも合っている衣装だなと思います。


 4位はイタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組の「Cry For Me/Choo Choo Boogie」です。

c0309082_17055985.jpg

 クリント・イーストウッド監督作品『ジャージー・ボーイズ』の劇中曲「Cry For Me」による前半はしっとりとしながらも軽快さもあるバラード、後半はとにかくノリノリのブギウギというプログラム。
 女性のカッペリーニ選手は全身水玉のモノトーンの半袖ワンピースというポップないでたち。一見シンプルですが、ドットの大きさが部分部分で違いますし、裾の広がり方も絶妙で、よく考えられたコスチュームだと思います。また、男性のラノッテ選手は黒いインナーに黒いパンツ、赤いジャケットというコントラストがきれいなコーディネート。男女であまり共通点のないように見えるコスチュームですが、カッペリーニ選手が赤いイヤリングや赤いマニキュアでラノッテ選手の衣装に合わせているところもしっかり工夫していますし、男女で並んだ時に黒と白と赤というコントラストのハッキリとしたカラーコーディネーションがプログラムの雰囲気にも合っていて素敵ですね。


 5位はアメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組の「That's Life」。

c0309082_17374956.jpg

 プログラムはフランク・シナトラが歌うスタンダードナンバー「That's Life」ですが、後半はそれをヒップホップ風にリミックスしたバージョンになっていて、ゆったりとした前半と急激に激しくなる後半とのギャップが魅力的な作品です。
 コスチュームは男性と女性とで少し趣の異なるものになっていて、男性は白シャツに黒いジャケットとパンツという非常にシンプルなスタイル。一方で女性は胸元が大胆に開いたデザインのノースリーブのトップスで、その下にはランジェリーがのぞくような作りになっており、また、背中側は全てシースルー生地になっているので、さらにセクシーさを感じさせます。しかしトップスの襟元はスーツの襟のような形になっていて男性の衣装との統一感もあり、ボトムスはスカートではなく脚を全て覆うパンツルックということもあり、セクシーだけれども羽目を外し過ぎない品の良さもちゃんとある衣装になっています。女性の衣装は中国杯までは胸元も覆うようなデザインの衣装を着ていてそちらも素敵だったのですが、よりセクシーなこちらを今回は選びました。
 男性のオーソドックスな衣装でプログラム前半のフランク・シナトラのパートを、女性の個性的な衣装でプログラム後半のヒップホップのパートを表しているようにも思えて、プログラムの持つ二つのイメージを男女それぞれが表現するという考えられたコーディネートになっていますね。


 6位はカナダのアレクサンドラ・ポール&ミッチェル・イスラム組の「Big Spender/シング・シング・シング」。

c0309082_14451607.jpg

 ムーディーな女性ボーカルが特徴的なミュージカルナンバー「Big Spender」と、スウィング・ジャズの名曲「シング・シング・シング」を組み合わせたプログラム。
 衣装は男女ともに黒を基調としたシックなのものとなっています。男性は白シャツにグレーのストライプが入った黒いベストとパンツ、白い水玉のネクタイというコーディネートで、シンプルではありますが単に黒一色ではなく、ストライプやドットといった模様の入ったスタイルにすることでより軽快さやポップさも醸し出していて、スウィング・ジャズを使ったノリの良いプログラムの世界観に合わせています。女性は胸元の大きく開いたホルターネック風のワンピース姿で、黒いラインが細かく交差するような素材感が特徴的。スカートの裾はフリンジになっていて、全体的に古き良きアメリカの踊り子が着ていたような衣装を想起させるデザインとなっています。また、シーズン初戦のUSインターナショナルクラシックでは女性のポール選手は髪をポニーテールにしていましたが、写真のスケートカナダでは髪をまとめて、さらにシルバーの髪飾りをつけたことによって、よりオールドアメリカのクラシックな雰囲気が強調されていて、プログラムのイメージをしっかり体現していると思いますね。


 7位はフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組の「Bittersweet/Diga Diga Doo」。

c0309082_15163663.jpg

 女性ボーカルによるロマンティックな前半と、トランペットの音色が特徴的なリズミカルな後半という構成のプログラム。シーズンを通して男女ともに2着の衣装を使用していましたが、個人的に好きなシーズン後半の衣装を選ばせていただきました。
 女性のパパダキス選手は胸元が大きく開いたワンピースを着氷。ベースとなるネイビーのシースルー生地の上にボタニカル柄っぽい金色の刺繍を施したようなデザインで、スカートは一切模様や装飾のないシンプルなものとなっています。金色の刺繍によってゴージャスな印象もありますが、細めのストラップや透け感のある生地など全体的に華奢な印象もあり、可憐さと華やかさのバランスが取れたコスチュームだと思います。男性はこちらも胸元をはだけた白シャツの上にグレーの五分袖ジャケットとパンツといういでたちですが、ジャケットの襟と袖は女性のワンピースと同じような金色の刺繍がなされていて、地味すぎず派手すぎずというセンスの良さを感じさせますね。


 8位はスペインのオリヴィア・スマート&アドリア・ディアス組の「Proud Mary」。

c0309082_15351263.jpg

 ティナ・ターナーの楽曲を使用したパワフルでソウルフルなプログラム。ということで衣装もわりときらびやかなものになっています。
 女性はシルバーのノースリーブドレス。スカートはフリンジになっていて色づかいも伴ってゴージャスな印象を与えますが、上半身はシルバー一色ではなく肌色に合わせたベージュとの縞模様っぽくなっているので、見た目にも変化がありますね。一方で男性はグレーのシャツに黒いパンツというごくごくスタンダードなスタイルで、女性の引き立て役という感じ。
 カップルとして見ると、色的にはシルバー、グレー、黒というモノトーンに近い組み合わせで必ずしもカラフルではありませんが、ブロンドのボブヘアにシルバーのフリンジワンピースという女性のいでたちがとても華があり、また、プログラムの雰囲気ともよく合っていて、色の印象以上に華やかさを感じさせる衣装だなと思います。


 9位はイギリスのライラ・フィアー&ルイス・ギブソン組の「Save My Soul/Diga Diga Doo」。

c0309082_15512325.jpg

 アメリカのスウィング・バンド“ビッグ・バッド・ヴードゥー・ダディ”の楽曲2曲のメドレープログラム。古き良きアメリカ音楽をリバイバルしたような音楽が特徴的なバンドの楽曲とあって、どこか懐かしい雰囲気も漂わせるプログラムになっています。
 男性のギブソン選手は五分袖の白シャツに黒いベスト、黒いパンツというオーソドックススタイル。一方、女性のフィアー選手は鮮やかなライトブルーのホルターネックワンピース。胸元にふんだんにビジューが施されていてとても華やかな印象を与えます。また、上半身は流れるような曲線が縦に走るデザインともなっていて、シンプルな中にも工夫が感じられます。
 こちらも上述したスマート&ディアス組同様に、男性は地味目に、女性は比較的華やかにという組み合わせで、男性が女性を際立たせる二人のコーディネートですね。


 10位はロシアのエレーナ・イリニフ&ルスラン・ジガンシン組の「Big Bad Love/シング・シング・シング」です。

c0309082_16374234.jpg

 レイ・チャールズとダイアナ・ロスのデュエット曲「Big Bad Love」と超定番の「シング・シング・シング」を組み合わせたプログラムですが、コスチュームはスウィングのノリノリのイメージよりも、前半のブルースのしっとりとした世界観の方をイメージしたデザインになっていますね。
 女性のイリニフ選手はノースリーブのスカート長めのドレス。シックなネイビーですが、上半身を中心に施された細かなビジューや、ネックレス風の装飾、腰のコサージュ風の装飾、頭の髪飾りなど、全体的に装飾多めになっているのでわりと華やかな印象です。男性の方は白いシャツに黒い蝶ネクタイ、黒いスーツという正統派のクラシカルスタイルですが、襟には女性同様にキラキラとしたビジューがあしらわれているのでこちらも華のある雰囲気。ブルース&スウィングというよりはクラシック音楽のプログラムで使用してもおかしくない衣装ですが、あえてこういったプログラムでクラシカルなコスチュームを用いることで、上品さを前面に押し出していて良いですね。



 ベストコスチューム16/17のアイスダンスショートダンス部門は以上です。フリーダンス部門に続きます。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、村元&リード組の写真は、デイリースポーツのニュースサイト内の写真特集記事から、ガラベディアン&プルー=セネカル組の写真、シニツィナ&カツァラポフ組の写真、カッペリーニ&ラノッテ組の写真、シブタニ&シブタニ組の写真、ポール&イスラム組の写真、スマート&ディアス組の写真、イリニフ&ジガンシン組の写真は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、パパダキス&シゼロン組の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、フィアー&ギブソン組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ベストコスチューム16/17・アイスダンスフリーダンス部門 2017年6月1日
ベストコスチューム16/17・男子ショートプログラム部門 2017年6月9日 
ベストコスチューム16/17・男子フリー部門 2017年6月15日 
ベストコスチューム16/17・ペアショートプログラム部門 2017年6月28日
ベストコスチューム16/17・ペアフリー部門 2017年7月3日
ベストコスチューム16/17・女子ショートプログラム部門 2017年7月8日
ベストコスチューム16/17・女子フリー部門 2017年7月12日

[PR]
by hitsujigusa | 2017-05-25 17:23 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)