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 昨日、ショッキングなニュースが入ってきましたので、簡潔に短めにではありますが、記事にしたいと思います。
 日本スケート連盟は11月28日、来月の5日から福岡で開催されるグランプリファイナル2013に出場予定だった高橋大輔選手が負傷したため、欠場すると発表しました。
 高橋選手は11月26日の氷上での練習中、右足に痛みを感じ、病院で精密検査を受けたところ、右脛骨骨挫傷であることが判明したそうです。治療には2週間の安静と加療が必要ということで、残念ながらグランプリファイナルは欠場することとなりました。
 高橋選手はこのことを受けて、以下のようにコメントを発表しています。(一部抜粋)

◇◇◇◇◇

髙橋大輔選手「グランプリファイナル」欠場について

練習が出来ない状態を焦らない選手はいないので、自分の気持ちを救うも追い込むも自分次第だと思っています。ポジティブに自分を導き、この状況にも目を背けずに向き合い、スタッフとも相談しながら今できることを精いっぱいやろうと思います。

公益財団法人日本スケート連盟 平成25年11月28日

◇◇◇◇◇

 このニュースをネットで目にした時あまりにもショックで我が目を疑ってしまいました。まさかこの時期になってそんな不運が高橋選手の身に降りかかってしまうとは……。せっかくNHK杯で良い演技をして、復調したところだったのにと思うと残念でなりません。
 グランプリファイナルの欠場はまだ良いとしても、問題は全日本選手権ですよね。26日に怪我がわかって、それから2週間安静にして、それからようやく練習再開となると、全日本までは残り1週間余りしかありません。骨挫傷の程度がどの程度のものなのか、2週間の安静でどのくらい回復するものなのか専門家ではないので分かりませんが、何日間も氷に乗らないとそれだけでスケートの感覚は狂うと聞きます。ましてや足の怪我による感覚の違いもあるでしょう。練習再開しても病み上がりですと、バリバリ猛練習するというわけにもいかないでしょうし……。
 次々と心配な要素が思い浮かんできてしまうのですが、そんな中で高橋選手のコメントはとても高橋選手らしくて、改めてすごいなと思いました。どうしても焦ってしまう自分の気持ちを正直に告白しながらも、自身に対して厳しい目を向けることも忘れない、そして前を向いている。さすがだなと感じました。
 一ファンとして、今はとにかく1日1分でも早く怪我が回復することを願うしかないですね。高橋選手がどれだけ本来の自分に近い状態で競技会に戻ってくるか、あれだけの苦難・困難を乗り越えている選手ですから、今度もまたそうなるように信じていますし、フィギュアスケートの神様に祈りたい気持ちです。やはり、今季がラストシーズンだと表明している高橋選手には、ぜひオリンピックに出場して、あの素晴らしい両プログラムを披露してほしいですね。
 全日本選手権で待ってます!


 そして、今回の高橋選手のグランプリファイナル欠場を受けて、グランプリシリーズポイントランキング7位、補欠最上位である織田信成選手が繰り上がりで出場することになりました。織田選手もNHK杯で見事な演技を見せてくれましたし、ジャンプの調子も良さそうでしたので、楽しみですね。ぜひ、関西大学の先輩、高橋選手の分まで頑張ってほしいです。
 男子シングルのファイナル出場者を、改めて以下に明記します。(敬称略)


《男子シングル》

①パトリック・チャン(カナダ):30ポイント カナダ大会優勝、フランス大会優勝
②町田樹(日本):30ポイント アメリカ大会優勝、ロシア大会優勝
③羽生結弦(日本):26ポイント カナダ大会2位、フランス大会2位
④マキシム・コフトゥン(ロシア):26ポイント 中国大会2位、ロシア大会2位
⑥閻涵(中国):24ポイント 中国大会優勝、フランス大会4位
⑦織田信成(日本):24ポイント カナダ大会3位、日本大会2位
――――――
補欠⑧アダム・リッポン(アメリカ):22ポイント アメリカ大会2位、日本大会4位
補欠⑨ジェイソン・ブラウン(アメリカ):18ポイント アメリカ大会5位、フランス大会3位
―――――
欠場⑤高橋大輔(日本):24ポイント アメリカ大会4位、日本大会優勝




:高橋選手の写真は、毎日新聞のニュースサイト「毎日jp」内の写真特集「2013フィギュアGP第4戦 NHK杯」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2013-11-29 00:50 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 グランプリシリーズ13/14、最終戦のロステレコム杯の男子&アイスダンスについて書いていきます。(女子&ペアはこちら
 男子シングルで優勝したのは町田樹選手。スケートアメリカに続いての優勝で、ファイナル進出を自身の手で勝ち取る勝利となりました。2位にはロシアの新星、マキシム・コフトゥン選手が、3位にはスペインのハビエル・フェルナンデス選手が入っています。
 アイスダンスではロシアのエカテリーナ・ボブロワ、ドミトリー・ソロビエフ組が金メダルを獲得しました。

ISU GP Rostelecom Cup 2013 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 見事、男子シングルを制したのは町田樹選手です!

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 SPは冒頭の4+3の4回転はほぼ完璧に降りますが、強引に付けた形となった3回転は着氷でこらえステップアウト。しかしそのほかのエレメンツでミスらしいミスはなく、「エデンの東」の世界を豊かに表現しました。


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 そしてフリー、1本目の4トゥループはコンビネーションの予定が、着氷で手を付くミスで単独に。が、2本目の4トゥループに2トゥループを付け、しっかりとミスをカバーしました。続く3アクセル+3トゥループは完璧なジャンプ。後半冒頭の3アクセルでミスがあった後は、次々とジャンプを成功させ、演技をきっちりとまとめました。
 今大会の町田選手は決して調子が良くなく、練習でもなかなか4回転や3アクセルが決まらなかったそうです。その上、ファイナルの切符も懸かっているとなれば相当キツイ精神状態だったでしょう。その中でこれだけ安定した、大きなミスのない演技ができたというのは町田選手にとって本当に自信になったのではないでしょうか。スケートアメリカの時はそもそも調子が良かったわけですから、ある意味、彼の実力と努力を持ってすれば、優勝は当然の結果かもしれません。でも今回は本調子でなく、どうなるか分からない不安定な状態での優勝ですから、アメリカ以上に意義深い優勝と言えますね。
 このあとのシーズン、ファイナルでも全日本でも調子が上がらないことはあり得ますから、今大会の経験、そして内容と結果は貴重な財産になったのではないかと思います。
 とにもかくにも、素晴らしい優勝&ファイナル進出です。おめでとうございます。今大会では出し切れなかった町田選手の“表現”を、福岡ではぜひ存分に見せてほしいですね。


 惜しくも2位となったのは、ロシアのマキシム・コフトゥン選手です。

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 SPは4サルコウ+3トゥループ、単独の4トゥループと2本の4回転を成功させると、3アクセルもパーフェクトに決め、のびのびとした「フラメンコ」の演技で地元ロシアの観客を魅了、フィニッシュではガッツポーズを見せました。得点はパーソナルベストで92.53点、ショートの世界歴代4位となる高得点で断トツの首位に立ちました。
 フリーでは1本目の4サルコウで転倒、2本目の4サルコウは2回転となってしまいます。しかし4トゥループはクリーンに成功させました。後半でも複数のミスが出て得点は伸びず、フリーのみでは4位となりますが、ショートのアドバンテージが利いて何とか総合順位2位に留まりました。
 ショートの素晴らしい演技から一転、大乱調のフリーとなったコフトゥン選手。女子シングルのリプニツカヤ選手もまさに同じ状況・状態でしたが、ショートでの最高の演技が逆に自分を苦しめるプレッシャーとなってしまったのでしょう。
 それでもあれだけの確率でクリーンに4回転を跳べるわけですから、あとはメンタルの問題。フリーで3本の4回転を成功させる日もそう遠くないような気がしますね。
 中国杯2位&ロステレコム杯2位で初のファイナル進出。福岡ではルーキーらしい若々しい演技を見せてくれることを期待しています。


 銅メダルを獲得したのはスペインの実力者、ハビエル・フェルナンデス選手です。

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 SPは冒頭の4サルコウで転倒しますが、その後のエレメンツではミスといえるミスはなく、しっかりとまとめて3位発進となりました。
 フリーは前半の2本の4回転でミス、3アクセルで転倒すると、後半に入っても4サルコウで転倒、3連続コンビネーションジャンプが規定違反でノーカウントになるなど、最後までフェルナンデス選手らしい演技が出来ぬまま演技が終わってしまいました。
 今大会の演技は私も見ていて衝撃的というか、どうしちゃったんだろうというかなり悪いレベルの演技でしたね。2週間前のNHK杯も良くなかったですが、GP初戦だから仕方ない面もあったと思います。でも今大会は2戦目で調子が上がっているどころか、NHK杯より悪いようにさえ見えました。
 ジャンプの調子が全体的に悪そうで、練習時から空中で軸が完全に曲がっているジャンプがチラホラとあって、それが本番でもそのまま表れているんですね。それも4回転だけではなく、ほかのジャンプにまで影響が及んでしまっているのが少し心配です。
 オリンピックまではまだ時間がありますから、それまでにじっくり焦らず立て直していってほしいと思います。フェルナンデス選手らしいジャンプ、演技が再び見られることを楽しみにしています。


 4位に入ったのはロシアのベテラン、コンスタンティン・メンショフ選手。

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 SPは冒頭の3アクセルは完璧に決めると、減点されるも4回転ジャンプを成功させます。ただ、単独のトリプルジャンプがダブルになったり、スピンのレベルを取りこぼしたりとミスもあり、パーフェクトな演技とはいきませんでした。
 フリーは1本目の4回転をクリーンに決めますが、その後の3つのジャンプ要素は不完全なものが続きます。が、しっかり降りた3アクセル+3トゥループの後からは演技を立て直し、パーソナルベストの得点を叩き出し、トータルスコアでも自己ベストとなりました。
 メンショフ選手は今年4月の世界国別対抗戦で右肩を脱臼してしまい、その後の状態が心配されましたが、ここまでのシーズン、見事なジャンプ、演技を見せてくれていますね。まだ演技後に右肩を気にするような仕草もあり、脱臼というのはやはりのちのちに影響が大きい怪我なのだろうとは思います。その中であれだけの4回転を跳べるというのはすごいなーと改めて感じました。
 ロシア男子の五輪1枠争いは、強力な若手の出現でさらに混迷を深めています。元々メンショフ選手の枠でこの大会に出場するはずだったエフゲニー・プルシェンコ選手もいますし、要注目ですね。


 5位となったのはアメリカのリチャード・ドーンブッシュ選手。

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 SPでは4サルコウがダブルに、3アクセルが転倒、3+3のファーストジャンプがダブルになるなど、全てのジャンプ要素でミスが出て7位発進となってしまいました。ですが、フリーでは4回転や3アクセルなど、いくつかのジャンプミスはあったものの、大崩れはしないまとまりのある演技を見せ、フリーのみでは2位。総合順位でもグンと5位にアップしました。
 中国杯の時はフリーで2度の4回転を入れていましたが、今大会は1本のみ。そのほかでもだいぶ構成を変えていましたね。トータルスコア的には中国杯より低くなりましたが、のびのびとしたスケートは出来ていたように感じました。


 6位はロシアのアルトゥール・ガチンスキー選手です。

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 SPは4回転で転倒、3+3が3+2になるといった取りこぼしはありましたが、何とか最小限のミスに抑え、5位となりました。フリーでは2本の4回転に挑戦しますが、1つは転倒、1つはトリプルにと、クリーンな成功は見られませんでした。その後、単独の3アクセルでのミスはありましたが、後半はジャンプをまとめ立て直しました。
 世界選手権でメダルを取ったシーズンでも、必ずしも4回転をバンバン決めるという選手ではなかったですが、それでも今よりは確率は高かった気がします。それでも先月のスケートアメリカのフリーでは4回転も成功させていましたし、絶不調の時と比べれば良くなっているのかなという印象もありますね。
 今大会でおもしろかったと言ったら失礼かもしれませんが、興味深かったのが、ガチンスキー選手とコフトゥン選手の対決ですね。別に2人で直接戦っていたわけではありませんが、ガチンスキー選手のコーチ、アレクセイ・ミーシンコーチとコフトゥン選手のコーチ、タチアナ・タラソワコーチは各々ロシアフィギュア界の重鎮。両コーチの歴代の教え子たちはロシアを引っ張る存在として、互いにロシアチャンピオンを争ってきました。そういった意味で、同世代のガチンスキー選手とコフトゥン選手がグランプリのロシア大会で競っている姿を見て、いろいろ想像(妄想?)が膨らんでしまいました。同世代といってもガチンスキー選手は先輩であり、かつ、世界選手権のメダリスト経験者でもあるわけで、かたやコフトゥン選手はシニアデビューしたばっかりのルーキーなわけです。でも、コフトゥン選手はGPデビューでさっそくメダルを獲得して、ショートで2本も4回転を成功させちゃうほど勢いに乗っていて、一方ガチンスキー選手はしばらく低迷が続いていて、でも先輩としてのプライドもあるだろうし……とか、それぞれのコーチの顔が映し出されても全く対照的な表情をしていて……とか、とにかくどうしても対比してしまう材料がいっぱいあって、今大会はかなりこの2選手(と、2コーチ)のことが気になっていました。
 ましてや今季はオリンピックがありますから、2人のどちらが1枠により近づくのかというところも非常に興味を惹かれます。また、それとは別に、次世代のエースを巡る争いでもあるんですよね、多分。
 全く違った個性を持った両選手が、どんなふうに成長・進化していくのか、今から楽しみですね。


 男子についてはここまで。続いて、アイスダンスです。
 優勝したのはロシアのエカテリーナ・ボブロワ、ドミトリー・ソロビエフ組です。ショートでほぼノーミスの演技を見せ首位に立つと、フリーは順位こそ2位でしたが、取りこぼしの少ない演技でパーソナルベスト、総合で1位となりました。中国杯2位の結果との合計で28ポイント、グランプリファイナル進出となりました。
 銀メダルを獲得したのはカナダのケイトリン・ウィーバー、アンドリュー・ポジェ組。ショートではパターンダンスやリフトでレベルの取りこぼしがあり、スケートカナダでマークした自己ベストより9点ほど低い得点となりました。フリーは挽回して1位となりましたが、総合では2位に留まりました。ただ、カナダでの成績2位、今大会も2位で、ファイナル進出を決めました。
 3位はアメリカのマディソン・チョック、エヴァン・ベイツ組。こちらもショートでミスがあり、4位と出遅れましたが、フリーで盛り返して表彰台に登りました。


 さて、女子&ペア編と同様に、ファイナリストをまとめたいと思います。(敬称略)


《男子シングル》

①パトリック・チャン(カナダ):30ポイント カナダ大会優勝、フランス大会優勝
②町田樹(日本):30ポイント アメリカ大会優勝、ロシア大会優勝
③羽生結弦(日本):26ポイント カナダ大会2位、フランス大会2位
④マキシム・コフトゥン(ロシア):26ポイント 中国大会2位、ロシア大会2位
⑤高橋大輔(日本):24ポイント アメリカ大会4位、日本大会優勝
⑥閻涵(中国):24ポイント 中国大会優勝、フランス大会4位
――――――
補欠⑦織田信成(日本):24ポイント カナダ大会3位、日本大会2位
補欠⑧アダム・リッポン(アメリカ):22ポイント アメリカ大会2位、日本大会4位
補欠⑨ジェイソン・ブラウン(アメリカ):18ポイント アメリカ大会5位、フランス大会3位


《アイスダンス》

①メリル・デイビス、チャーリー・ホワイト(アメリカ):30ポイント アメリカ大会優勝、日本大会優勝
②テッサ・ヴァーチュー、スコット・モイヤー(カナダ):30ポイント カナダ大会優勝、フランス大会優勝
③エカテリーナ・ボブロワ、ドミトリー・ソロビエフ(ロシア):28ポイント 中国大会2位、ロシア大会優勝
④ナタリー・ペシャラ、ファビアン・ブルザ(フランス):26ポイント 中国大会優勝、フランス大会3位
⑤ケイトリン・ウィーバー、アンドリュー・ポジェ(カナダ):26ポイント カナダ大会2位、ロシア大会2位
⑥アンナ・カッペリーニ、ルカ・ラノッテ(イタリア):26ポイント アメリカ大会2位、日本大会2位
―――――
補欠⑦エレーナ・イリニフ、ニキータ・カツァラポフ(ロシア):22ポイント 日本大会4位、フランス大会2位
補欠⑧マイア・シブタニ、アレックス・シブタニ(アメリカ):22ポイント アメリカ大会3位、日本大会3位
補欠⑨マディソン・チョック、エヴァン・ベイツ(アメリカ):22ポイント 中国大会3位、ロシア大会3位



 男子のグランプリシリーズの中心はやはり世界チャンピオン、パトリック・チャン選手でしたね。フランス大会では世界歴代最高得点を更新しましたし、やはり手強い選手です。このチャン選手に、ほかの5選手がぶつかっていく、というような構図でしょうか。
 その中で日本勢は3人がファイナルに残りました。町田選手は2大会優勝ですからこれは本当に素晴らしいものです。羽生選手は優勝こそできませんでしたが、2大会ともチャン選手と一緒でしたからね。高橋選手は本調子から程遠かった初戦で4位、ファイナルが危うくなったところから、NHK杯での見事な演技、そしてファイナルへの滑り込みでした。3選手が自国開催のファイナルでどんな演技を披露してくれるのか、今からワクワクドキドキです。
 アイスダンスはさすがの2強、アメリカのデイビス、ホワイト組と、カナダのヴァーチュー、モイヤー組が強さを見せました。金メダル争いはやはりこの2組で行われることになりそうですね。


 ロステレコム杯の記事は以上です。が、いよいよオリンピックの前哨戦ともいえるGPファイナルです! こちらの方でもまた長々と書きたいことを心の赴くままに書き連ねていきたいと思います。ぜひ、読んでいただけると幸いです。


:男子シングルメダリスト3選手の写真、町田選手の写真、フェルナンデス選手の写真は、スポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」から、コフトゥン選手の写真、メンショフ選手の写真、ドーンブッシュ選手の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、ガチンスキー選手の写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから引用させていただきました。


【ブログ内関連記事】
ロステレコム杯2013・女子&ペア―ユリア・リプニツカヤ選手、GP通算2度目の優勝
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by hitsujigusa | 2013-11-28 03:14 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 グランプリシリーズ13/14最終戦、ロステレコム杯2013がロシアのモスクワにおいて開催されました。
 女子シングルの優勝者は地元ロシアのホープ、ユリア・リプニツカヤ選手。スケートカナダに続いてのGP2勝目となりました。2位にはイタリアの実力者、カロリーナ・コストナー選手、3位にはアメリカの長洲未来(ミライ・ナガス)選手が入りました。
 ペアで金メダルを獲得したのは2012年世界選手権チャンピオン、ドイツのアリオナ・サフチェンコ、ロビン・ゾルコビー組です。

ISU GP Rostelecom Cup 2013 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 優勝はスケートカナダの覇者、ユリア・リプニツカヤ選手です!

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 SPは大技3ルッツ+3トゥループを成功させたのはもちろん、その後のジャンプ、スピン、ステップもパーフェクトにこなし、自己ベストを大幅に更新する72.24点でトップに立ちました。
 フリーは前日決めた3ルッツ+3トゥループの3ルッツで転倒、コンビネーションにならず、次の2アクセルでもミスがあり乱調の序盤となりました。が、ステップを挟んだ後半の冒頭、3フリップ+2トゥループを成功させると、前半に決められなかった2アクセル+3トゥループに急遽挑み、見事降りました。そのまま最後まで波に乗っていくかと思いましたが、終盤2つのトリプルジャンプがダブルになるミスがあり、本来の演技とはいきませんでした。
 ショートでは本当に素晴らしい演技で、この勢いでフリーも行けるかなというくらいだったんですが、なかなかそうは問屋が卸しませんね。自国開催のグランプリ、断トツのSP首位となったことでこれまでにない緊張感とプレッシャーを味わったことでしょう。それを跳ね除けるだけの経験はまだ彼女にはありませんから、ショートではあれだけうまくいったジャンプで次々とミスが出てしまったのも頷けます。
 その中でも前半の失敗を後半に挽回したり、彼女の代名詞でもある柔軟性を生かしたスピンを取りこぼしなくこなしたりと、見どころのある演技を見せてくれました。
 GP2戦連続優勝で2年連続のファイナル進出を決めたリプニツカヤ選手。昨年はファイナル前の怪我の影響で欠場となってしまったので、実質的には初めての出場ということになりますね。福岡での演技、楽しみにしています!


 優勝まであと一歩、2位となったのはカロリーナ・コストナー選手。

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 SPは冒頭の3トゥループ+3トゥループを不完全ながらも決めると、他でもそつのない演技、コストナー選手らしい滑りを見せ、優勝圏内の2位発進となります。
 そしてフリー、前半はほぼミスなくこなしましたが、後半ではジャンプのミスがチラホラと散見され、最終的にはコンビネーションジャンプがひとつしかないという演技内容となってしまいました。それでも全てのスピン、ステップシークエンスではきちんとレベル4を取り、演技構成点でも高得点でフリー1位、でしたが、ショートでアドバンテージのあるリプニツカヤ選手に0.68点差で及ばず、総合順位2位。残念ながら優勝には届きませんでした。
 前回の中国杯に比べるとだいぶコストナー選手らしさはうかがえましたが、まだジャンプは本調子という感じではありませんでした。ですが、決まったジャンプだったりステップだったりはコストナー選手本来のものでしたので、これから徐々に上がっていくでしょうね。
 中国杯3位、ロステレコム杯2位でコストナー選手のポイントは24。ロシアのエレーナ・ラディオノワ選手、日本の鈴木明子選手にポイント上では並びましたが、2大会の合計スコアで2人を下回り、ポイントランキングでは8位。GPファイナル進出を逃しました。
 コストナー選手の演技を日本で見られないのは残念ですが、オリンピック出場に向けて、頑張ってほしいと思います。


 銅メダルを獲得したのは、アメリカの長洲未来(ミライ・ナガス)選手です。

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 SPは3+3を含めジャンプは完璧に成功させましたが、スピンがひとつレベル1になってしまうミスがあり、4位でショートを折り返しました。
 フリーでは2アクセル+3トゥループのセカンドジャンプをダブルに変更する判断はありましたが、そのほかは予定どおりのジャンプを次々と決め、前日は取りこぼしがあったスピンも全てレベル4を獲得。フリー3位、総合順位も3位となり、見事表彰台に上がりました。
 フリーの演技は本当に素晴らしかったですね。「ジェームス・ボンド・メドレー」ということで、ダイナミックな演技が持ち味の長洲選手のチャームポイントが活かされたプログラムだと思います。まだ一つ一つのジャンプやステップをを慎重にこなしているという印象で、その分演技全体の迫力や勢いには欠けていたかもしれません。さらに思い切り出来るようになってくると、より“ボンドガール”らしさが出てくるでしょうね。
 元々長洲選手はグランプリシリーズでは大きく順位を落とす選手ではなく、ほぼ毎年メダルを獲得しています。2週間前のNHK杯は長洲選手の演技直前に採点システムのトラブルが起こり、その影響もあって8位となってしまいましたが、その嫌なイメージを今大会で払拭できたのではないかと思います。
 オリンピックの切符を巡る争いはこれからです。ぜひ、長洲選手らしい演技を全米選手権で見せて、切符を勝ち取ってほしいですね。


 4位となったのはロシアのエリザベータ・トゥクタミシェワ選手。

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 SPは3+3をとっさに3+2に変更、3ループでも着氷が両足気味になるといったミスがありましたが、大きな乱れはなく60点台に乗せました。
 フリーは前半の3ルッツや3フリップといった得点が稼げるジャンプで転倒、後半は大きなミスなくまとめて立て直しますが、フリー5位となって総合順位でも表彰台に届きませんでした。
 トゥクタミシェワ選手はショートでミスを連発して出遅れてしまうパターンが多いのですが、今回はショートのミスを最小限に抑えたのが良かったですね。ただ、その分というわけではないでしょうが、フリーで大きなミスが出てしまったのは残念でした。オリンピック代表へ向けても、ショートとフリーの両方をきっちり揃えて表彰台に乗れば、良いアピールとなったのではないかと思います。
 ロシア選手権は毎年12月末に行っていますから、残り1か月、ロシアの選手にとっては正念場となりそうですね。


 5位には日本の宮原知子選手が入りました。

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 SPは3ルッツ+3トゥループの3ルッツの着氷で少し乱れ、セカンドをダブルに。しかしそれ以外ではミスはなく、丁寧なスケーティングと力強さのある動きでメリハリのある演技を披露、ショート6位となりました。


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 フリーはショートで決められなかった3+3を見事に成功、後半冒頭の2アクセル+3トゥループといった大技もしっかり決めます。3ループでのダウングレード(大幅な回転不足)判定や、後半の3ルッツがダブルになるなどのミスはありましたが、その3ルッツの後に付けるはずだったコンビネーションを、次の3サルコウに付けるといった冷静なリカバリーも見せ、最終順位を5位に上げました。
 宮原選手はこれでGP2大会を終え、両方とも5位となりました。難度の高いジャンプはもちろん、スピン、ステップでもレベルの取りこぼしが少なく、安定感が目立ちました。ジャンプで回転不足を取られたり、ジャンプでGOE(出来栄え点)の加点があまり稼げないという課題もありますが、小柄でまだ脚力がそれほど無い宮原選手ですので、致し方ない部分もありますね。それよりも、シニアデビューのシーズンで序盤からこれだけの演技ができたということが素晴らしいと思います。
 次戦は全日本選手権になるでしょうが、昨季3位となったことを考えても、そして今シーズンのこれまでの活躍を見ても、宮原選手がオリンピック代表になる可能性は充分あります。グランプリファイナル進出の浅田真央選手は図抜けていますが、そのほかの鈴木明子選手、村上佳菜子選手などとは横一線。五輪代表を目指して、宮原選手の全力を全日本で出し切ってほしいですね。


 6位はアメリカのアグネス・ザワツキー選手。

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 SPは3ルッツで減点がありましたが、大技の3+3やスピンなどをしっかりまとめ、フィニッシュでは満面の笑みを見せました。得点は60.45点でパーソナルベスト更新、3位発進となりました。
 しかし、フリーでは前半からジャンプミスが相次ぎ、7つのジャンプ要素のうち6つでミス、得点を伸ばすことはできず、フリー順位8位、総合でも6位にダウンしてしまいました。
 自己ベストのショートから一転、不本意な演技となってしまったザワツキー選手ですが、中国杯よりは調子自体は上がっているように感じました。特にショートはザワツキー選手らしさが表れていましたし、フリーもスコアは10点近くアップしていますしね。
 五輪代表を争う上では、アメリカのエースであるアシュリー・ワグナー選手がファイナルに進出し、成長著しいグレイシー・ゴールド選手や今大会で表彰台に登った長洲未来選手が存在感を示したりと、ザワツキー選手にとってはかなり厳しい状況ではあると思います。ただ、アメリカは全米選手権の一発勝負。元々ザワツキー選手は2年連続で全米3位という全米選手権での強さが光る選手ですので、まだまだ選考の行方は分かりませんね。


 7位となったのは村上佳菜子選手です。

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 ショートでは村上選手がスタートのポーズを取ると、間違ってザワツキー選手の音楽が流れるというアクシデントが発生。村上選手はすぐジャッジに間違いを申し出、本来の「スイング・メドレー」が流れました。冒頭の2アクセルは難なく成功させますが、後半に組み込んだ大技3トゥループ+3トゥループはファーストジャンプがダブルになると、セカンドジャンプもすっぽ抜けて1回転半に。その後の3フリップも回転不足になるなど、立て直せないまま演技が終わり、得点は49.24点、まさかの最下位発進となりました。
 元々3+3に関しては不安があったそうで、それが如実に表れてしまったのですね。村上選手は精神的なものが演技に反映されやすいタイプなのでしょう、明るい曲調に似合わぬ硬い表情が印象に残りました。
 それにしても、運営上のミスが選手の演技を妨げるのはあってはならない事です。村上選手自身の不安もあったとはいえ、違う音楽が流れたことによって集中力が削がれたという面もあるでしょう。村上選手にとっては不運でしたね。


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 “史上最強に最悪”(村上選手談)なショートから一夜、村上選手は見事に前日からの流れを断ち切りました。
 フリー冒頭、3トゥループ+3トゥループを完璧に決めると、その後のジャンプも次々と成功。アンダーローテッドを取られたところもありましたが、何より演技全体に流れとスピードがあったのが良かったですね。細かいミスは慎重さがあった故のものだと思うので、最初からより自信を持って臨めれば、さらに村上選手らしさが出てくるのではないでしょうか。
 アクシデントに見舞われた中での演技となりましたが、フリーでしっかり切り替えができたことはこれからの村上選手の財産になることと思います。全日本ではショートから村上選手の笑顔が見られることを期待しています。


 8位に入ったのはロシアのニコール・ゴスビアーニ選手。

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 SPは3フリップ+3トゥループで転倒、単独の3ルッツがダブルになるなど、ミスが複数重なり7位発進となります。フリーでは3+3は入りませんでしたが、転倒やパンクのような大きなミスはなく、まとまった演技を見せました。得点は自己ベストの106.96点、ショートと合わせた総合得点でも自己ベストを更新しました。
 順位こそは中国杯より劣る8位と振るわないものだったのですが、内容的、得点的には上で、ある程度満足のいくものだったのではないかと思います。
 次の大会でもゴスビアーニ選手らしい演技ができると良いですね。


 9位は日本の今井遥選手です。

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 SPは3サルコウからのコンビネーションでサルコウが乱れ単独となります。しかし後半の3ループに2トゥループを付け、ミスを挽回します。が、ステップシークエンスでエッジを倒し過ぎて転倒、得点は伸びず8位となりました。
 ステップの途中で転倒するというアクシデント的なミスはありましたが、身体がよく動けているからこそのミスだったのかもしれません。


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 翌日のフリー、序盤のジャンプから着氷が乱れたりこらえたりするところがあり、後半では3サルコウで転倒。悔しさの残る内容となりました。
 決して練習からジャンプの調子が悪いわけではないようですので、あとはどれだけ本番で練習どおりのものを発揮できるかということだけなのだろうと思います。中国杯の前に体調を崩したという話がありましたが、虫垂炎(盲腸)だったのですね。手術をすれば大会に出られなくなるからということで、投薬治療で乗り切っているとのこと。現在はベストの体重からも2~3キロ軽い状態だそうです。今井選手は昨シーズンまで拠点にしていたアメリカでの怪我や体調不良もありましたし、どうしてこんなにも不運が重なってしまうのかと恨めしくなってしまいます。それでも今井選手自身が明るく溌剌と演技しているのが何よりもの救いですし、見ているこちらが元気をもらえますね。
 全日本選手権では今井選手の本領発揮となるよう、祈っています。


 さて、ここからはペアです。
 ペアを制したのはドイツのベテラン、アリオナ・サフチェンコ、ロビン・ゾルコビー組。ショートではスロートリプルアクセルは転倒となってしまいましたが、それ以外は実力者らしい安定した演技で70点を超え、首位発進。フリーではスロージャンプやジャンプでいくつか失敗があったものの、ほかのエレメンツでは高い加点を得てトップの座を譲りませんでした。中国杯での優勝と合わせて30ポイント、見事グランプリファイナル進出を決めました。
 2位は地元ロシアのべラ・バザロワ、ユーリ・ラリオノフ組。ショートはこちらもジャンプの失敗以外ミスらしいミスなく、2位発進。フリーは冒頭の単独ジャンプと終盤のリフトで小さな減点があったほかは、まとまった演技を披露。自身が昨年のGPファイナルでマークした自己ベストを更新する高得点を出し、総合得点でも自己ベストを0.01点上回りました。
 3位に入ったのはカナダのカーステン・ムーア=タワーズ、ディラン・モスコビッチ組。ショート、フリー両方でジャンプのミスがあり、スケートアメリカでマークした自己ベストを20点近く下回るスコアとなってしまいました。ですが、アメリカでの2位という成績との合計で、ファイナル進出となりました。
 そして、日本の高橋成美、木原龍一組は8位で大会を終えました。

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 ショートではスロージャンプやジャンプにミスが出てしまい、自己ベストを1点ほど下回る得点となりました。フリーでもチラホラとミスはあったものの、自己ベストを大幅に更新、総合でも初の140点台に乗せました。
 スロージャンプは投げ方を変えている最中ということでなかなかうまく行きませんでしたが、スピンでは安定してレベルが取れていますし、確実に成長してきていますね。次は全日本になるのだと思いますが、全日本で2年ぶりにペア競技が見られるということ自体がとても嬉しいです。高橋選手、木原選手の演技を楽しみにしています。


 これで全てのファイナリストが確定しました。女子、ペア、それぞれのファイナル出場者を以下にまとめます。(敬称略)


《女子シングル》

①浅田真央(日本):30ポイント アメリカ大会優勝、日本大会優勝
②ユリア・リプニツカヤ(ロシア):30ポイント カナダ大会優勝、ロシア大会優勝
③アシュリー・ワグナー(アメリカ):28ポイント アメリカ大会2位、フランス大会優勝
④アンナ・ポゴリラヤ(ロシア):26ポイント 中国大会優勝、フランス大会3位
⑤アデリーナ・ソトニコワ(ロシア):26ポイント 中国大会2位、フランス大会2位
⑥エレーナ・ラディオノワ(ロシア):24ポイント アメリカ大会3位、日本大会2位
―――――
補欠⑦鈴木明子(日本):24ポイント カナダ大会2位、日本大会3位
補欠⑧カロリーナ・コストナー(イタリア):24ポイント 中国大会3位、ロシア大会2位
補欠⑨グレイシー・ゴールド(アメリカ):20ポイント カナダ大会3位、日本大会4位


《ペア》

①タチアナ・ボロソジャー、マキシム・トランコフ(ロシア):30ポイント アメリカ大会優勝、日本大会優勝
②アリオナ・サフチェンコ、ロビン・ゾルコビー(ドイツ):30ポイント 中国大会優勝、ロシア大会優勝
③龐清、佟健(中国):28ポイント 中国大会2位、フランス大会優勝
④カーステン・ムーア=タワーズ、ディラン・モスコビッチ(カナダ):24ポイント アメリカ大会2位、ロシア大会3位
⑤メーガン・デュアメル、エリック・ラドフォード(カナダ):24ポイント カナダ大会3位、フランス大会2位
⑥彭程、張昊(中国):24ポイント 中国大会3位、日本大会2位
―――――
補欠⑦隋文静、韓聰(中国):24ポイント カナダ大会2位、日本大会3位
補欠⑧ステファニア・ベルトン、オンドレイ・ホッタレク(イタリア):22ポイント アメリカ大会5位、カナダ大会優勝
補欠⑨べラ・バザロワ、ユーリ・ラリオノフ(ロシア):22ポイント フランス大会4位、ロシア大会2位
 


 女子は何といってもロシア勢が4人! ロシアの国を挙げての強化が見事に五輪シーズンに実った形となりました。トリノ五輪前後から日本勢が世界の女子フィギュア界を引っ張ってきた感がありますが、ソチ五輪後はロシア女子がその役目を引き受けることになるのかもしれません。もちろんまだ若く、ジャンプの跳び盛りという選手も多いですので、成長期の試練を越えなければいけないわけですが。
 そのロシア女子4人と対決するのが、日本とアメリカのエース、浅田選手とワグナー選手。浅田選手は唯一、トータルスコアで200点を超えているので、普通に演技できれば優勝の可能性は高いでしょう。
 ペアではボロソジャー、トランコフ組の実力、得点がやはり突出していて、こちらもかなり強いですね。
 
 男子&アイスダンスに続きます。


:女子シングルメダリスト3選手の写真、リプニツカヤ選手の写真、宮原選手の写真、村上選手の写真、今井選手の写真、高橋、木原組の写真は、スポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、コストナー選手の写真、長洲選手の写真、トゥクタミシェワ選手の写真、ザワツキー選手の写真、ゴスビアーニ選手の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から引用させていただきました。


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 エリック・ボンパール杯2013、女子&アイスダンスの結果について書いていきます。(男子&ペアはこちら
 女子シングルの優勝者はアメリカのエース、アシュリー・ワグナー選手です。そして、2位にはアデリーナ・ソトニコワ選手、3位にはアンナ・ポゴリラヤ選手と、ロシアの若手選手二人が表彰台に立ちました。
 アイスダンスでは2013年世界選手権銀メダリストのテッサ・ヴァーチュー、スコット・モイヤー組が優勝しています。

ISU GP Trophee Bompard 2013 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 金メダルを獲得したのはアメリカ女王、アシュリー・ワグナー選手です!

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 SPは3フリップ+3トゥループがアンダーローテッド(1/4以内の回転不足)で減点されますが、ほかは完璧で、全てのスピン、ステップでレベル4を獲得。66.75点の高得点でショート首位となりました。ワグナー選手は力強い演技、迫力のある演技が持ち味のスケーターですが、今季の「クレイジー・ダイアモンド」のようなロック音楽で滑るというのは珍しかったのでどうかな?と注目していました。今大会ではしっかり音楽に馴染んでいて、健康的な色気を漂わせながらもロックの激しさ、力強さを表現していて良かったですね。ノリノリというよりも、クールさがあってとてもカッコいいです。
 そしてフリー、冒頭の3フリップ+3トゥループは回転不足こそ取られませんでしたが、両足着氷気味で減点。しかしその後は後半の3フリップでミスがあった以外はほぼノーミス。総合得点は194.37点で自己ベスト、相変わらずの安定感を見せました。フリーの楽曲はプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」。決して華やかな曲調ではないですし情感たっぷりという雰囲気でもないので表現するのが難しそうに感じます。演技全体でより緩急、メリハリが出てくるとさらに良いものになると思います。
 スケートアメリカ2位、エリック・ボンパール杯1位という結果で、2年連続のGPファイナル進出を決めたワグナー選手。昨年のGPファイナルではフリーでミスが相次いでしまいました。今年は昨年の失敗を取り返すような演技を見せてくれることを期待しています。


 銀メダルを獲得したのはロシアのアデリーナ・ソトニコワ選手です。

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 SPは3ルッツ+3ループという女子史上最高難度のトリプルトリプルに挑みますが、3ループがダウングレード(大幅な回転不足)で減点。その後も2アクセルがシングルになるといったミスがあり、3位発進となりました。
 が、フリーでは3+3こそ回避して3+2にしたものの、その後はほぼパーフェクトな演技。ステップやスピンのレベルの取りこぼしがありながらも、129.80点というパーソナルベストでフリー1位、総合では2位に順位を上げました。
 シニアに上がってからは成長期とも重なってジャンプに苦労していたソトニコワ選手ですが、今季になってようやく形が整ってきた感じですね。ジャンプが次々と決まったことによって演技や表現的にも伸びやかさやスケールの大きさが出て、これが彼女本来のスケートなのだなという魅力が存分に伝わってきました。
 中国杯2位、エリック・ボンパール杯2位の成績を合わせて26ポイント、初のシニアGPファイナル進出となりました。この勢いでファイナルでもソトニコワ選手らしい演技を見せてほしいですね。


 3位となったのはこちらもロシアのアンナ・ポゴリラヤ選手。

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 SPは3ルッツ+3トゥループの難しいコンビネーションジャンプをクリーンに成功させますが、後半の2アクセルがすっぽ抜けるような形となりノーカウントに。それでも60点台に乗せて2位につけます。
 フリーは前半の2つのジャンプ要素で減点があったものの、全体的には大きな乱れやミスらしいミスのない演技で124.66点の自己ベスト。フリー3位で、総合順位でも3位、シニアデビューシーズンでのGPファイナル進出という快挙を成し遂げました。
 ポゴリラヤ選手は昨季のジュニアGPファイナル、世界ジュニア選手権の銅メダリストとはいえ、それほど高いスコアをマークしているわけではなかったので、シニアデビューシーズンでさっそくこれほどの結果を出したことにはビックリしました。アクセルジャンプは苦手なようで、中国杯でもこのフランスでも大きな失敗を犯してしまっていますが、それ以外のジャンプはしっかり成功させていますね。まだ15歳なのでこれから成長期を迎えるのかもしれませんが、今シーズンに限るならば安定感を保ち続けそうな感じもします。
 ルーキーのポゴリラヤ選手がファイナルでどんな演技を見せてくれるか、楽しみですね。


 4位にはアメリカの新星、サマンサ・シザリオ選手が入りました。

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 SPは3ループ+3ループという珍しい組み合わせのコンビネーションに挑戦しますが、セカンドジャンプが回転不足。2アクセルでも少し減点がありましたが、スケートアメリカからの改善を見せ、パーソナルベストで5位発進となりました。
 フリーは冒頭の3ルッツがロングエッジ(エッジ違反)で微少の減点を取られますが、そのほかのジャンプでは全くミスは無く、最後までスピードに乗った「カルメン」を披露。こちらもパーソナルベストで4位に順位を上げました。
 フリーでは「カルメン」の情熱的な曲調に合わせたキレのある身のこなしが印象に残りました。また、セカンドにループを持ってくる3+3を跳ぶ選手はほとんどいないので、これもインパクトがありましたね。セカンドループは回転し切って降りてくるのが困難なジャンプなので、なかなかクリーンに成功させるのは難しいでしょうが、ぜひ根気強く挑み続けてくれればなと思います。


 5位に入ったのは地元フランスのエース、マエ=ベレニス・メイテ選手。

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 SPは冒頭の3トゥループ+3トゥループをきっちり決め、プリンスの「クエスチョン・オブ・ユー」のクール且つロックな世界観を表現。まずまずの得点で6位につけます。
 フリーでは高さのあるダイナミックな3サルコウ+3トゥループのコンビネーションを成功させますが、その後のジャンプでいくつか氷に手を付くミスがありました。が、転倒やパンクのような大きな失敗はなく、メイテ選手特有の剛と柔がバランス良く混在する演技で会場を盛り上げました。
 前大会よりミスが増えてしまったのは残念ですが、1年前と比べると確実にジャンプの安定感も生まれ、成長してきているのが分かりますね。
 フランス女子の五輪枠は1つしかないので、その唯一の切符をかけてフランス選手権で争われることになります。メイテ選手の実力を考えれば代表選出は有力なようにも思いますが、意外なことにメイテ選手はまだフランス選手権で優勝したことがないんですよね。ISU公認のパーソナルベストでもメイテ選手の得点は他のフランスの女子選手の得点を圧倒していますし、本領さえ発揮できれば大丈夫でしょうが……。ぜひ、初優勝目指して頑張ってほしいですね。


 6位はカナダのベテラン、アメリー・ラコステ選手です。

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 SPはジャンプやスピンに小さなミスが出て7位スタート。フリーではポロポロと複数のミスがあって得点は伸びませんでしたが、スケートカナダよりも難度を上げたジャンプ構成で臨み、全体的にまとまった演技を見せました。フリーはフランス映画『アメリ』のサントラを使用したプログラム。その本場のパリで“アメリー”選手が“アメリ”を演じたわけですが、どんな演出よりも素敵な演出と言えるかもしれませんね。
 カナダ女子の五輪枠は2つですが、現カナダ女王のケイトリン・オズモンド選手はハムストリングの怪我でスケートカナダのフリーを棄権、エントリーされていたロシア大会も欠場を表明しています。今後カナダ女子の代表選考がどのように動くかは分かりませんが、昨シーズン、さらにその前のシーズンよりもジャンプの調子が良さそうなラコステ選手ですので、実力を発揮できれば大丈夫なんじゃないかなという気がしますね。


 7位はスウェーデンのビクトリア・ヘルゲソン選手。

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 ショートは3つのジャンプ要素の内、2つでミスが出て得点を伸ばすことができず。フリーでもジャンプ要素5つにミスがあり、不本意な演技となりました。
 スケートアメリカよりは高い得点ではあるのですが、ミスの数としては同じくらいで、うまくジャンプの調子を取り戻すことが出来なかったようですね。
 スウェーデン女子の五輪代表は1人のみ。妹のヨシ・ヘルゲソン選手も力のあるスケーターで、昨季は初めてお姉さんを破ってスウェーデンチャンピオンとなりました。ただ、今年の8月に骨折という大きな怪我を負い、エントリーされていた中国杯も欠場。それでも現在は練習を再開し、ジャンプも跳べるくらいまでに回復してきているようです。1枠を巡って姉妹で競わなければならないというのは過酷ですね……。スウェーデン女子の代表争いがこれからどうなっていくのか、注目です。


 8位となったのは、アメリカのクリスティーナ・ガオ選手。

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 SPは単独の3ループで回転不足があったものの、ガオ選手らしい安定感あるエレメンツと情感溢れる演技で4位発進となりました。しかし、フリーでは冒頭の3+3が3+2になると、その後のジャンプでもミスを連発、最後まで失った流れを引き戻せないまま演技が終わってしまいました。
 シニアGPデビューのシーズンこそはミスすることも多かったですが、2年目となって慣れが出てきた昨季は安定感もグッと増しました。今季も、スケートカナダのフリーではミスはちょこちょこあったものの大崩れしたわけではなかったので、今回のようなガオ選手は久しぶりに見たなという印象です。前半の失敗だけなら立て直せたのかもしれませんが、後半一発目の3フリップで転倒したことによってますます流れが悪い方へ悪い方へ行ってしまったのでしょうね。
 オリンピックのチャンスはまだまだこれからでしょうから、次の大会ではガオ選手らしさを取り戻すような演技ができると良いですね。


 女子シングルについてはここまで。
 一方、アイスダンスではカナダのテッサ・ヴァーチュー、スコット・モイヤー組が世界選手権銀メダリストの実力を見せ優勝しました。ショートダンスは完璧な演技で、昨シーズンの四大陸選手権でマークした自己ベストを更新。フリーダンスでも安定した演技でトップを守り、2戦2勝でのGPファイナル進出を決めました。
 2位はロシアの若手カップル、エレーナ・イリニフ、ニキータ・カツァラポフ組。ショート、フリー、トータル全てで自己ベストを更新する会心の出来で、GPシリーズ自己最高位タイとなる2位に入りました。今のところアイスダンスポイントランキング5位で、ロシア大会の結果によりますが、ファイナルの可能性もかろうじて残っています。
 3位はフランスのナタリー・ペシャラ、ファビアン・ブルザ組。2位に0.81点差での3位とはなりましたが、中国杯からは大幅に得点を上積みしての銅メダルです。1位&3位なので、こちらもファイナル進出決定となります。


 何といっても男子シングルのパトリック・チャン選手の世界歴代最高得点が話題となったエリック・ボンパール杯2013でしたが、5戦目まで終了したことによってファイナリストの顔ぶれも揃ってきました。
 男子はパトリック・チャン選手、羽生結弦選手、高橋大輔選手、閻涵(ヤン・ハン)選手の4名。織田信成選手が現在5位につけていますが、あとはファイナル進出の権利を持つ町田樹選手、マキシム・コフトゥン選手の順位次第ということになります。
 女子は浅田真央選手、アシュリー・ワグナー選手、アンナ・ポゴリラヤ選手、アデリーナ・ソトニコワ選手の4名。鈴木明子選手は今の時点で6位なので、ファイナルはかなり厳しい状況ですね。残念です……。ロシア大会出場の村上佳菜子選手は中国杯4位ということで、ロシアで優勝となれば他の選手の結果関係なしにファイナル進出が決まります。
 ペアはタチアナ・ボロソジャー、マキシム・トランコフ組、龐清(パン・チン)、佟健(トン・ジャン)組の2組のみが決定済み。残り4枠を巡っては僅差の戦いとなりそうですね。
 アイスダンスはメリル・デイビス、チャーリー・ホワイト組、テッサ・ヴァーチュー、スコット・モイヤー組、ナタリー・ペシャラ、ファビアン・ブルザ組、アンナ・カッペリーニ、ルカ・ラノッテ組の4組となっています。
 GPシリーズも残り1戦、いよいよ大詰めです!


:女子シングルメダリスト3選手の写真、メイテ選手の写真、ヘルゲソン選手の写真、ガオ選手の写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、ワグナー選手の写真、ソトニコワ選手の写真、ラコステ選手の写真は、AFPBB Newsが2013年11月17日の11:37に配信した記事「ワグナーが大会連覇、エリック・ボンパール杯」から、ポゴリラヤ選手の写真はAFPBB Newsが2013年11月16日の09:16に配信した記事「ワグナーがSP首位発進、エリック ・ボンパール杯」から、シザリオ選手の写真はフィギュアスケート情報ウェブサイト「Absolute Skating」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2013-11-20 03:40 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 グランプリシリーズも終盤の第5戦、エリック・ボンパール杯がフランスのパリにて行われました。
 男子シングルでは、現世界チャンピオンのパトリック・チャン選手が驚異の世界最高得点で優勝しました。銀メダルを獲得したのは羽生結弦選手。3位にはアメリカの新星、ジェイソン・ブラウン選手が入りました。
 ペアでは2013年世界選手権5位の実力者、龐清(パン・チン)、佟健(トン・ジャン)組が金メダルを獲得しています。

ISU GP Trophee Bompard 2013 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 男子シングルを制したのは、カナダのパトリック・チャン選手です!

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 SPでは4+3、3アクセル、3ルッツの全てのジャンプを確実に決めると、ステップシークエンスでは音らしい音のないピアノの静かな旋律の中で、氷を削る音のほとんどしない滑らか且つスピードに乗ったスケーティングを披露。さすが世界チャンピオンと思わせる出来で、98.52点という自己ベスト(=世界歴代最高得点)を叩き出し、首位に立ちます。
 そしてフリー、こちらも冒頭の2本の4回転をパーフェクトに決め、その後のジャンプも次々と成功。そのほかのエレメンツでも全く綻びはなく、最初から最後まで流れの途切れることのない美しいスケーティングで圧巻の演技を見せました。出た得点も圧巻、196.75点、総合得点も295.27点で自身の持つ歴代最高得点を更新。内容でもスコアでも圧倒的な大差をつけての優勝となりました。
 とにもかくにも完璧だった、圧倒されたというしかないですね。得点は出過ぎかなという感もありますが、それにしても素晴らしい演技だったのは認めざるを得ません。
 でも、今回のチャン選手の演技を見て改めて感じたのは、チャン選手というのはやはりテクニカルな選手なのだなということです。彼のスケートを支えているスケーティング技術、そこから繰り出されるステップや、飛距離も流れもあるジャンプ、回転のしっかりしたスピンなど、お手本のように端正なエレメンツの数々、レベルの高い技術のオンパレードで、音楽表現や芸術作品としてのプログラムの魅力はどこかに吹っ飛んでいってしまうのです。彼の演技を見ていると、美しいプログラムだなとか、おもしろいプログラムだなとかいうよりは、とにかくチャン選手の技術の凄さというものに圧倒されてしまって、プログラムの魅力は彼の物凄い技術の向こうに霞んでうっすら目視できる、というくらい。端的に言えば、彼の演技を見終わって最も印象に残るのはジャンプだったりステップだったりと技術的な部分で、プログラム自体の印象が薄いのです。どの音楽でもパトリック・チャンがパトリック・チャンを演じているという感じですね。エキシビションだとまた違うのですが。
 もちろんそれが良い悪いということはなくて、それも一種の“表現力”なのかもしれません。何が表現力かということは誰にも断言できるものではないと思いますし、結局は好みというところに行き着いてしまうのでしょう。ただ、彼の演技に対して出される高い演技構成点から、そんなことを考えてしまいました。
 それはそうとして、チャン選手がこの時期にここまで良い演技をしたことには驚かされました。ピークを合わせるのは当然オリンピックですから、最高の演技をこのGP2戦目で見せたというのは予想外の仕上がりの早さですね。それにいくらチャン選手といえども、これほど完璧な演技は1年に1度きりじゃないかという気もしますし……。というか日本選手のことを考えたらそうであって欲しいですね。こんな演技をオリンピックでやられたら勝てるわけがないので。
 ということで、チャン選手はGPシリーズ2戦2勝、グランプリファイナル進出を決めました。優勝&ファイナル進出おめでとうございます。


 日本の羽生結弦選手は2位となりました。

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 SPは冒頭の4回転の着氷の重心がいつもとは違ったそうですが、ミスとは感じさせない美しい着氷でまとめると、その後のジャンプ、スピン、ステップも波に乗り、羽生選手らしい勢いとキレのある演技で観客を沸かせました。得点は自己最高の95.37点、首位のチャン選手に喰らい付きます。このプログラムは昨季からの持ち越しですが、昨季の演技を含めても一番良い「パリの散歩道」だったように感じましたね。


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 翌日のフリー、冒頭の4サルコウは踏み切りでスケート靴のエッジが氷の溝にはまり、1回転になるというまさかのアクシデント。焦りを引きずった4トゥループも転倒と、思いがけない幕開けとなります。しかし次の3フリップをしっかり跳び、ステップシークエンスを挟んだ後半、3アクセル+3トゥループ、3アクセル+2トゥループの大技を成功させると、その後のジャンプも次々と決め、スピードに乗った演技を披露、見事に4回転の失敗を挽回しました。
 4サルコウの失敗は不運というほかないのですが、4トゥループでも転倒してしまったことで大崩れしてしまう可能性もありました。が、そこでしっかり立て直せるのが今の羽生選手の強さなのでしょう。そして、今回何より良かったのが後半であまりスピードが落ちなかったこと。今までの羽生選手なら後半はバテバテで明らかにスピードが無くなるということが多かったですが、今回は最後までスピードを保って滑れていましたし、身体の動きもいつもほど小さくなることはありませんでした。体力、スタミナというのは急激にアップするものではないのでこれからも課題ではあり続けるでしょうが、少しずつ少しずつ羽生選手も成長しているんだなと感じました。
 これで2大会とも銀メダルを獲得し、ファイナル進出を決めた羽生選手。次こそはフリーでも4回転を成功させられると良いですね。ファイナル楽しみにしています!


 3位に入ったのは、2013年世界ジュニア銀メダリストのジェイソン・ブラウン選手です。

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 SPは3つのジャンプ要素を完璧に決めたのはもちろん、スピン、ステップもでもすべてレベル4を獲得、会心の出来でパーソナルベストを更新し3位につけます。
 フリーも終始スピードに乗ったスケートの中、2本目の3アクセルがシングルになった以外はほぼノーミス、こちらも全スピン、ステップでレベル4を得る安定感のある演技で自己ベストとなりました。
 ショート、フリーともに4回転を組み込んでいないブラウン選手ではあるのですが、プログラム自体のおもしろさ、楽しさというのを充分に味わわせてくれるスケーターですね。とにかく楽しそうに滑るなーというのが印象的で、表情豊かで身体の使い方も上手で独創性があります。ジャンプ構成の難易度は低いですが、柔軟性を生かしたスピンやステップではきっちりとレベル4を確保していて、ジャンプだけではないシングル競技の魅力というのを改めて感じさせてくれました。これからもこの個性を大切にして成長していってほしいですね。
 アメリカ男子の五輪代表枠は2つ、この銅メダルはブラウン選手の存在感を示す良いアピールとなったのではないでしょうか。


 4位となったのは中国杯の優勝者、閻涵(ヤン・ハン)選手です。

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 ショート冒頭の3アクセルはやはり圧巻で、物凄いスピードで突っ込んだかと思うとクルクルっと回転し、着氷後はまるでジャンプなど跳んでいないかのようなスピードのあるランディング、見るたびにため息が漏れる3アクセルです。次の4トゥループも成功させますが、後半の3+3でステップアウトするミス。得点はあまり伸びず、4位発進となります。
 フリーでは冒頭の3アクセルで転倒。続く4+3はしっかりまとめて立て直したかと思いましたが、その後もミスが重なり、後半は演技自体も小さくなってしまいました。総合得点は中国杯より約30点低い得点でしたが、何とか4位に踏みとどまり、グランプリファイナル進出を決めました。
 中国杯でもそうでしたが、閻選手はショートで良い演技をしてもフリーで崩れてしまっています。GPデビューのシーズンなので仕方ない部分もありますが、ショートではあんなに綺麗な3アクセルを跳ぶのに、中国杯でもこのエリック・ボンパール杯でもフリーでは失敗に終わっているんですよね。ファイナルではぜひ、ショート、フリー両方で3アクセルをクリーンに決めてほしいなと思います。


 5位にはチェコのミハル・ブレジナ選手が入りました。

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 SPは4サルコウを成功させますが、出来栄え点で減点、そのほかのジャンプでもミスが続き、不本意な出来となってしまいました。
 フリーでも8つのジャンプ要素の内、5つで減点があり、ブレジナ選手らしさを見せることはできませんでした。昨シーズンのブレジナ選手は、4回転でミスがあってもそれを引きずることはあまりなかったのですが、ここまでのGP2戦では4回転の失敗の影響を後半にまで引きずってしまっているように見えます。失敗が連鎖しているんですね。4回転をパーフェクトに決めるのはなかなか難しいでしょうが、たとえそこでミスがあっても他の部分でまとめられればもっと得点は伸びてくるはずなので、これからのブレジナ選手の挽回に期待したいと思います。


 6位は中国の宋楠(ソン・ナン)選手です。

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 SPは冒頭の4回転を見事に成功させますが、その後のジャンプやスピンでも減点が複数あり、4回転の成功を生かすことができませんでした。
 フリーは1本目の4回転が3回転に、2本目も失敗となります。そのほかでは転倒やパンクのような大きな失敗があったわけではないのですが、ちょこちょことミスが重なってしまい、不満の残る内容となりました。
 2シーズン前の宋選手は本当にジャンプをポンポン決めていて、身長の高さも相まってダイナミックな演技を見せていました。今季はジャンプがなかなか決まらないのでその持ち味も残念ながらまだ出ていませんね。
 中国男子の五輪代表枠は2つ。閻涵選手という強力なライバルの登場で宋選手にとっては厳しい状況となっていますが、本来の宋選手らしさが戻れば充分可能性はあると思うので、頑張ってほしいですね。


 地元フランスのフローラン・アモディオ選手は7位となりました。

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 SPでは4サルコウが回転不足、3+3のファーストジャンプもダブルになるなどミスが相次ぎますが、5位とまずまずの位置につけました。
 フリーは冒頭の4サルコウがトリプルになると、2本目の4回転で激しく転倒。その後のジャンプでも転倒や3回転が2回転になる失敗が続き、フリー8位、総合でも7位に順位を下げてしまいました。
 男子のフリーではジャンプ要素は8つ認められていますが、今回アモディオ選手は7つしか跳びませんでした。4サルコウで転倒した際に脚を痛めたのか、痺れが残るような感じになったのかは分かりませんが、ジャンプを普通に跳ぶのが難しそうな、違和感のあるような感じでしたね。そのために跳ぶこと自体を回避したり3回転が2回転になったり、コンビネーションが跳べなかったりしたのかもしれません。このアクシデントによる影響が一時的なものであれば良いのですが……。
 自国開催の大会ですからアモディオ選手も意気込んでいたのではないかと思いますが、ショッキングな演技となってしまいました。アモディオ選手らしい元気なスケートが再び見られることを祈っています。


 男子シングルについてはここまで。引き続き、ペアの結果をお伝えします。
 ペアを制したのは中国の龐清(パン・チン)、佟健(トン・ジャン)組。ショート、フリーともにジャンプのミスはありましたが、リフトやスピンなどではきちんとレベルを獲得して優勝に繋げました。このペアは中国杯2位なので、見事福岡でのファイナル出場を決めています。
 銀メダルを獲得したのは2013年世界選手権銅メダリスト、カナダのメーガン・デュアメル、エリック・ラドフォード組。スケートカナダではチラホラと取りこぼしがあり3位に留まってしまいました。ショートでは前大会の得点を下回りましたが、フリーではカナダの得点を上回り、総合得点でもわずかにではありますがカナダから上積みしました。3位&2位なのでファイナルに行けるかどうかは微妙な状況です。
 3位に入ったのはアメリカのケイディー・デニー、ジョン・コフリン組。ショートではステップでレベルの取りこぼしがありましたが、パーソナルベストで4位発進。フリーではミスの少ない演技でフリー3位、総合でも3位に順位を上げました。


 男子&ペアに関する記事は以上です。女子&アイスダンスに続きます。


:男子シングルメダリスト3選手の写真は、フィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、チャン選手の写真はAFPBB Newsが2013年11月17日の10:35に配信した記事「チャンが歴代最高得点で優勝、エリック・ボンパール杯」から、羽生選手のSPの写真はAFPBB Newsが2013年11月16日の07:38に配信した記事「羽生、男子SPで2位に エリック ・ボンパール杯」から、羽生選手のフリーの写真は、毎日新聞のニュースサイト「毎日jp」が2013年11月17日の01:30に配信した記事「フィギュア:羽生ファイナル進出 フランスGP2位」から、ブラウン選手の写真、閻選手の写真、ブレジナ選手の写真、宋選手の写真、アモディオ選手の写真は、フィギュアスケート情報ウェブサイト「Absolute Skating」から引用させていただきました。


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エリック・ボンパール杯2013・女子&アイスダンス―アシュリー・ワグナー選手、パーソナルベストで優勝
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by hitsujigusa | 2013-11-18 19:47 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 NHK杯・女子&アイスダンス編です。(男子&ペアはこちら
 女子シングルを制したのは浅田真央選手、通算4度目のNHK杯優勝となりました。2位はロシアの新星、エレーナ・ラディオノワ選手、3位には鈴木明子選手が入りました。
 アイスダンスでは、アメリカのメリル・デイビス、チャーリー・ホワイト組が優勝、こちらも4度目のNHK杯優勝となります。日本のキャシー・リード、クリス・リード組は6位で大会を終えました。

ISU GP NHK Trophy 2013 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 金メダルを獲得したのは浅田真央選手です!

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 SPの冒頭、トリプルアクセルはフリーレッグが軽く氷に接触してしまいオーバーターンとはなってしまいますが、回転は認定。そのあとのジャンプやスピン、そしてステップを丁寧に、滑らかにクリアしていきました。得点こそスケートアメリカに及ばず71.26点でしたが、浅田選手自身納得の表情を浮かべました。
 スケートアメリカの後、振り付け師のローリー・二コルさんの元でショートの手直しをした浅田選手。大まかな振り付けや動きは変わっていませんでしたが、細かい変更点があり、新しい「ノクターン」になっていましたね。個人的にちょっと残念だったのは、3ループ+2ループの直前に入っていたウォーレイ(バックインサイドで踏み切り、踏み切った足と同じ足のバックアウトサイドで着氷する、つなぎやステップに使うジャンプ)が無くなっていたこと。アメリカでは片手を上げたとてもきれいなウォーレイで、ショートの中でも好きな部分だったんですが、やっぱりジャンプの前に入れるのは難しさもあるのかもしれないですね。


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 フリーはトリプルアクセルが回転不足で両足着氷、しかしそのほかでは大きなミスなく、3フリップ+3ループはループがダブルに抜けてしまったものの、意図的にダブルに抑えたのかなというくらいクリーンな着氷で、GOEでも0.60点の加点。そして、アメリカでは跳ばなかった2アクセル+3トゥループにも成功。前大会では冒頭の転倒によってかなり体力を消耗し後半スピードが落ちてしまいましたが、今回はしっかりとスピードを保ち、怒濤のステップシークエンスでは全身を大きく使い、鬼気迫るような迫力ある滑りを見せました。
 フリーの得点は136.33点。バンクーバー五輪で出した自己ベストを更新し、ショート、フリー合計でも207.59点、自己最高得点となりました。
 トリプルアクセルに関してはもうほとんど心配がないですね。クリーンな着氷こそまだありませんが、不発、という形の失敗は全く無いですし、練習ではほぼ完璧に決めていますから。トリプルアクセルについて、佐藤信夫コーチはこうおっしゃっています。

◇◇◇◇◇

(トリプルアクセルの精度を上げるための課題は?)いまの彼女の体力に一番合ったスピードで行かなければいけないと思っています。本番になると興奮状態になって、練習の時より早いスピードで入っているから、やっぱり振られてしまう。原因としてはそこが一番大きいと思います。だから興奮状態の中でも平常と同じ力を使えるようにしたいと思います。

スポーツナビ 2013年11月9日 23:12 一部抜粋

◇◇◇◇◇

 試合で練習どおりにいかないのは慎重に跳んでしまうからなのかと思っていましたが、逆なんですね。スピード出し過ぎて体がぶれてしまうと。スピードあり過ぎてもなさ過ぎてもいけない、ジャンプって繊細ですね。
 トリプルアクセルの好調を受けて、浅田選手自身はフリーで2本入れたいと話しました。これについては、トリプルアクセルへのこだわりもあるでしょうけれど、それ以上に、2本入れられるくらい簡単に跳べているのだということの表れなんじゃないかと私は思います。特別なジャンプだから2つ跳びたい、というのではなくて、得意な3フリップをフリーで2つ跳ぶのと同じように、得意だから、普通に跳べるから2本入れたいなという感覚なのだろうと想像します。それと、2本跳ぶ=レベルアップ、という意識でしょうね。
 今の浅田選手を見ていると、難しいことに挑戦するのが本当に楽しいんだなと感じます。はた目から見たらあれだけ努力していて大変だなと思ってしまうのですが、本人からしたら、練習を積み重ねることによって自分の技術が上がるのが楽しい、試合ごとにレベルアップするのが嬉しいという感覚で、あくせく努力しているという認識ではないのでしょう。まさに努力の天才、浅田選手の凄さなのだと思います。
 今後、トリプルアクセルを2本取り入れるか、入れるとしたら3フリップ+3ループはどうするかなど、気になることはいろいろありますが、何といってもまずは、優勝おめでとうございます。そして、GPファイナル進出もおめでとうございます。福岡でのファイナル、楽しみにしています。


 銀メダルを獲得したのは2013年世界ジュニア女王、エレーナ・ラディオノワ選手です。

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 SPは3ルッツ+3トゥループのルッツで着氷が大きく乱れ、コンビネーションにならず。しかし単独の3ループに3トゥループを付ける冷静な判断で演技を立て直し、ショート3位につけます。
 スケートアメリカのフリーでもそうでしたが、予定どおりの3+3が入らなくても、後の単独トリプルジャンプに3トゥループを付けられるという瞬時の対応能力の高さは14歳離れしたものを持っていますね。テレビ解説の荒川静香さんによると、どの3回転の後ろにも3回転を付ける練習を普段から行っているようです。練習が本番にきちんと生かされているんですね。
 そしてフリーでは全てのジャンプを成功させ、3フリップのロングエッジで減点された以外はパーフェクト。ステップ、スピンでもオールレベル4を獲得し、得点は自己ベストの128・98点。トータルでも191.81点でパーソナルベストとなりました。
 でも、今大会のラディオノワ選手でいちばん印象的だったのは、ショートでもフリーでもなくエキシビション! 可愛さだったりエレガンスさだったりを表現したエキシビションを演じる女子選手が多い中、ラディオノワ選手は「ゾンビダンス」。爆発したような髪型に、黒いアイメイクと口紅。真っ白な顔に無表情で全身をカクカクと揺らめかせる姿はまさにゾンビ。試合の時の妖精のような可愛さとは打って変わった変貌ぶりは、ものすごいインパクトがありました。エキシビションとはいえ、ここまでイメージの異なるものを見せてくれるスケーターはそうそういないので、ラディオノワ選手の引き出しの多さに感服しました。
 2大会合計のポイントは24、ぜひファイナルでまた来日してほしいですね。


 鈴木明子選手は3位、4度目のNHK杯表彰台となりました。

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 SPは冒頭の3+3のファーストジャンプがあまりに高く、飛距離が出過ぎたため、セカンドの3回転を付けにくくなり2回転に抑えました。次の3フリップでも着氷でよろめくミス、しかし2アクセルは音楽の盛り上がりにピタリと合い、鈴木明子ワールドを展開、観客を魅了しました。


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 フリーは最初の3+2+2の最後がシングルになりますが、続く大技2アクセル+3トゥループはクリーンに着氷。が、3ルッツがシングルになると、後半の3ルッツでも転倒、ジャンプにミスが相次ぎました。
 スケートカナダでもジャンプミスはありましたが些細なものだったので、今回崩れてしまったのは意外でした。今大会は練習からあまり自信が持てなかったそうで、それがそのまま試合に表れてしまったのですね。1つのミスを引きずらないようにしたいと言っていたので、それができなかったことは悔しいと思います。でも、失敗してしまったのがこの大会で良かった。もっと重要な試合が今後ありますから、この苦い経験を鈴木選手なら次に生かしてくれるでしょう、きっと。
 これでGPシリーズの合計ポイントは24となり、ファイナルの可能性も充分にあります。やっぱり折角の日本開催のファイナルですので、日本選手が複数出場できると良いなと思います。


 表彰台まであと一歩、4位に入ったのはアメリカのグレイシー・ゴールド選手。

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 SPは3+3が入らず、単独の3回転でも小さな減点があったため、点が伸びず4位発進。フリーでも冒頭の3ルッツで転倒し3+3にならず、ほかでも細かいミスがあり、スケートカナダから得点を落としてしまいました。ただ、カナダでは後半のジャンプ要素4つのうち、3つで減点があったので、その点は改善されていて良かったと思います。また、前大会ではレベル3もあったスピンで今回はすべて最高難度レベル4を獲得するなど、総合力の高さを見せました。ジャンプがより決まってくると、作品や演技自体の魅力も倍増すると思うので、これからが楽しみですね。
 スケートカナダ3位ということで、NHK杯の結果いかんでファイナルのチャンスもありましたが、少々厳しくなりました。が、GPでのゴールド選手の存在感は際立っていました。五輪代表へ向けてかなり良いアピールができたのではないでしょうか。


 5位となったのは、シニアGPデビューの宮原知子選手です。

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 SPは「戦場のメリークリスマス」。静謐さ漂う旋律に乗せて、まずはステップシークエンス。丁寧にきっちりとしたエッジワークで滑っていたのが印象的でした。曲調が変わったところからスピードを上げ、3ルッツ+3トゥループのコンビネーション、3フリップ、2アクセルと次々に成功させます。回転不足を取られたところもありましたが、パーソナルベストを更新する58.39点。全てのエレメンツ通して宮原選手らしさがよく出ていて素晴らしかったですね。


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 フリーでは回転不足といった細かいミスはありましたが、転倒やパンクのような大きなミスはなく、予定どおりのエレメンツをしっかりクリア、こちらも自己ベストとなりました。GPデビューという緊張感のある中で、あれだけの堂々とした演技ができる度胸、度量の大きさはすごいの一言です。また、単にエレメンツをこなすだけではなく、演技面でもショートとは一味違ったキレのある動きで、「ポエタ」のフラメンコの世界を全身で表現していましたね。徐々にシニアの試合に慣れていくことによって、より勢いや迫力も出てくるでしょうね。
 私は宮原選手の演技を見ていると、元世界ジュニアチャンピオンの太田由希奈さんを思い出します。コーチが同じ濱田美栄さんということもありますが、指先まで神経の通った繊細な表現、曲調の変化を敏感にとらえたメリハリのある身体の使い方、クセのないきれいなスケーティングなど、太田さんっぽいなあと所々で感じます。フィギュアスケートはまず、ジャンプに注目がいきがちですが、こういった細やかな表現というのは誰にでも出来るものではないので、かけがえのない魅力を持つ宮原選手は本当に楽しみなスケーターですね。
 次戦はロシア大会、海外での初GPとなりますが、宮原選手らしくのびのびと演技できることを祈っています。


 6位に入ったのはイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ選手。

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 ショートはジャンプ、スピン、ステップと、全てのエレメンツで加点を得る会心の出来。先月のスケートアメリカで更新したパーソナルベストを再び更新しました。フリーはジャンプが抜けるところや着氷での乱れなど少しミスがあり、点は伸びませんでしたが、アメリカよりはミスを減らし、シーズンベストは更新しました。
 ショートは「帰れソレントヘ」、まさにイタリア人のマルケイ選手にぴったりな選曲。五輪シーズンでもありますし、集大成的な意味合いが込められているのでしょう。こうして2大会の演技を見て、間違いなくマルケイ選手の代表作だなと感じました。振り付けはマッシモ・スカリさんなんですが、鈴木選手の今季のSP「愛の讃歌」の振付師でもあります。どちらの作品も見ているこちらの心を揺さぶるような情感たっぷりの作品となっていて、この2人のベテランスケーターのショートが同じ振付師というのは興味深いですね。
 フリーは今大会の方がジャンプミスが少なかった分、アメリカ以上にプログラムの世界観がよく伝わってきましたね。マルケイ選手の内側から滲み出るような色香が演技全体に漂っていて、うっとりしました。
 イタリア女子の五輪代表枠は2つ。順調に行けばマルケイ選手が代表に選ばれる可能性は高いと思います。ソチでのマルケイ選手の演技を楽しみにしています。


 7位はロシアのアリョーナ・レオノワ選手です。

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 SPは冒頭の3+3で転倒、出遅れてしまいます。フリーでも3+3のファーストジャンプで乱れてしまいコンビネーションに出来ず。ほかでもいくつか軽いミスがあり、ショートからの順位を上げることはできませんでした。
 足首の怪我の影響でエントリーされていたスケートカナダを欠場したレオノワ選手。今大会にもその影響はあり、ジャンプで苦労しているさまが目立ちました。そんな中でも、レオノワ選手らしい溌剌さ、躍動感を失うことなく、元気いっぱいに滑る姿は印象に残りました。
 ショートは2シーズン前のプログラム「パイレーツ・オブ・カリビアン」。シーズン前は新しいプログラムの情報も入っていたのですが、安定を重視して身体に馴染んだプログラム、また、世界選手権で銀メダルを獲得した縁起の良いプログラムを再登板させたのでしょうね。
 フリーのプログラムはフィギュア界の定番「カルメン」。今回初お披露目だと思いますが、レオノワ選手ってこんなに女性的な雰囲気あったかなーとちょっと驚きました。シニアデビューした時はとにかく明るくて元気、どちらかというとボーイッシュなイメージでした。そこに少しずつ大人っぽさが加わっていって、この「カルメン」ではすっかり大人の女性、男を誘惑するカルメンでしたね。元々美しい顔立ちのレオノワ選手ですので、こういった女性を演じると凄味が出るような気がします。振付師がニコライ・モロゾフコーチなので、安藤美姫選手の「カルメン」とも重なりましたが……。
 ロシア女子は続々と強力な若手が登場しているので、レオノワ選手は相当厳しい立場にあると思います。怪我の状態が心配ですが、五輪切符獲得に向けて頑張ってほしいですね。


 8位となったのはアメリカの長洲未来選手。

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 ショートは3フリップでダウングレード(大幅な回転不足)、コンビネーションの3回転でもアンダーローテッド(小さな回転不足)となるなど、3つのジャンプ要素全てで減点があり8位発進となります。
 そして翌日のフリー。1番滑走のエレーネ・ゲデヴァニシヴィリ選手の演技が終わり、長洲選手がリンクに登場。ゲデヴァニシヴィリ選手はキス&クライで自身の得点が出るのを待ちますが、なかなか出ず……。やっと出たと思ったら採点コンピューターシステムがダウンしたということで得点発表は保留。復旧するまで長洲選手は氷上で約20分待たされました。こういうアクシデントは私も初めて見ましたが、どの選手にとってもそうだったでしょう。いつになったら復旧するのか分からないまま、冷える氷の上でただ待ち続けなければならなかった長洲選手の心中を想像すると、本当にきつかったのではないかと思います。身体が冷えないようリンク上で動いたりジャンプを跳んだり、長洲選手が希望した音楽を流したり観客が拍手したり……。それでもいつもと違う時間の過ごし方をした影響というのはなかなか払拭できるものではなかったでしょう。
 フリーの演技は残念ながら失敗が相次いでしまいましたが、大変な状況で明るく笑顔で演技をしたミライちゃんの姿に、一視聴者に過ぎない私でさえ救われたような気持ちになりました。辛い心境にも関わらず、あれほどの明るさを見せてくれたミライちゃんにはありがとうと言いたいですね。
 次のロシア大会では当然こんな酷いトラブルはないでしょうから、本来の演技ができるよう願っています。


 9位はグルジアのエレーネ・ゲデヴァニシヴィリ選手です。

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 ショートは3ルッツでダウングレード、3アクセルがシングル、スピンでも複数取りこぼしがあり、最下位発進となりました。フリーもほとんどのジャンプ、スピンでミスがあり、挽回はできませんでした。
 ここまでのシーズンでゲデヴァニシヴィリ選手は3つの競技会を終えていますが、全体を通して見て、なかなか調子が上がってきていないですね。試合を重ねれば徐々に良くなってくるかなと思ったんですが、何かが噛み合っていない、そういった失敗、ミスの仕方をしているように感じます。昨季のGPではショートはうまく行くけど、フリーで崩れてしまうという感じだったんですが、今季はショートから苦労しています。また、昨季以上にスピンのレベルの取りこぼしも多くて、その点も心配ですね。
 華やかさのある演技と笑顔が印象的なゲデヴァニシヴィリ選手。五輪に出場してくることは間違いないでしょうから、それまでに少しでも本来の演技が取り戻せると良いなと思います。


 さて、続いてアイスダンスについて。
 見事、優勝したのは2013年世界選手権チャンピオン、アメリカのメリル・デイビス、チャーリー・ホワイト組です。圧倒的な勝利でした。非の打ちどころのない完璧な演技、鉄壁の強さですね。これでデイビス、ホワイト組は、通算4度目のNHK杯優勝となりました。GP2大会とも優勝で、ファイナル進出決定です。
 銀メダルを獲得したのはイタリアのアンナ・カッペリーニ、ルカ・ラノッテ組。パーソナルベストが出たスケートアメリカには及びませんでしたが、こちらのカップルも安定した演技でした。こちらも2大会とも2位ということで、ファイナル進出を決めています。
 3位に入ったのは、アメリカのマイア・シブタニ、アレックス・シブタニ組。ショート、フリーともに減点のない演技で、スケートアメリカより3点ほど得点を上積みしました。3位&3位なのでファイナルに行けるかは微妙なところ、第6戦が終わってみないと分かりませんが、来月また2人の演技を福岡で見たいですね。
 日本のキャシー・リード、クリス・リード組は6位となりました。

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 ショートダンスはリズムに乗った軽やかなダンスで躍動、クリス選手も膝の怪我を感じさせない滑りで2人とも納得した表情。ただ、いくつかレベルの取りこぼしもあり、得点はスケートアメリカを下回り、ショート7位。
 フリーダンスでは全てのエレメンツに加点がつく出来で、「Shogun」の“和”の世界を存分に表現。演技構成点ではスケートアメリカの得点を上回り、最終的には6位に順位を上げました。
 クリス選手の膝の状態は決して万全ではありませんが、以前よりはマシになっているようです。そして、ショートでもフリーでもその影響を感じさせない滑り、2人のぴったりと合ったユニゾンを見せていて、本当に強くなったなと改めて感じさせられました。もちろん、技術的にもぐんとミスが減り、練習時間が充分でない中でこれだけの演技ができているのは素晴らしいですね。
 次は全日本選手権になると思いますが、ぜひそちらでもリード兄弟らしい演技を見せてほしいと思います。


 終わってみれば、4種目とも世界選手権やグランプリファイナルの優勝経験者たちの圧勝、実に見応えのあるNHK杯となりました。
 今回テレビで3日間観戦しながら、日本選手たちの活躍が嬉しいのと同時に、浅田選手も、高橋選手も、鈴木選手も、織田選手も、来年の今頃はもういないんだなあと思うと淋しさも込み上げてきました。特に、浅田選手と高橋選手はNHK杯の顔と言ってもいいくらいこの大会への出場回数が多く、NHK杯の風景には必ず2人の姿がありました。この2人のいないNHK杯なんて想像できないほどです。
 他方で女子シングルの宮原選手やペアの高橋、木原組など、今大会でGPデビューを飾った日本選手もいます。来年以降のNHK杯、新星たちが盛り上げてくれることを今から楽しみにしています。
 選手の皆さん、お疲れ様でした。


:女子シングルメダリスト3選手の写真、ラディオノワ選手の写真は、AFPBB Newsが2013年11月10日の12:46に配信した記事「浅田がNHK杯を制しGPシリーズ2連勝、鈴木は3位に」から、浅田選手の写真、鈴木選手のSPの写真、ゴールド選手の写真、宮原選手の写真、マルケイ選手の写真、レオノワ選手の写真、長洲選手の写真、ゲデヴァニシヴィリ選手の写真、リード兄弟のショートダンスの写真は、スポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、鈴木選手のフリーの写真、リード兄弟のフリーダンスの写真は、朝日新聞のニュースサイト「朝日新聞デジタル」のフォトギャラリー内の「フィギュアスケート NHK杯」から引用させていただきました。


【ブログ内関連記事】
NHK杯2013・男子&ペア―高橋大輔選手、通算5度目のNHK杯優勝
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by hitsujigusa | 2013-11-12 20:41 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ISUグランプリシリーズも中盤戦、第4戦のNHK杯となりました。この記事ではNHK杯の男子とペアの結果について書いていきます。
 まず、男子シングルの優勝は高橋大輔選手です。総合得点はここまでのシーズンの世界最高得点という、素晴らしい内容でした。そして、同じく日本の織田信成選手も銀メダルを獲得し、日本勢のワンツーフィニッシュとなりました。3位にはアメリカのベテラン、ジェレミー・アボット選手が入っています。
 ペアでは、2013年世界選手権金メダリストのタチアナ・ボロソジャー、マキシム・トランコフ組が圧勝で、GPファイナル進出一番乗りを決めました。GPデビューとなった日本の高橋成美、木原龍一組は8位となっています。

ISU GP NHK Trophy 2013 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 見事、優勝を飾ったのは高橋大輔選手です!

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 SPの演技は“圧巻”の一言でした。冒頭の4回転ジャンプをしっかり回り切ってクリーンに着氷すると、次のトリプルアクセルも流れのあるランディング、3+3も乱れなく着氷しました。こうなるともう後は高橋大輔の世界。「ヴァイオリンのためのソナチネ」の悲哀漂う旋律に乗って、うっとりするようなエッジワークを披露。繊細さと雄大さが融合したステップシークエンスからは、暗闇の中から溢れる光、希望を感じました。
 フィニッシュを迎えると、会場は拍手喝采の嵐。高橋選手自身も軽くガッツポーズを見せました。コートサイドではニコライ・モロゾフコーチが涙するという驚きの場面も。そうして出た得点は95.55点。SP世界歴代2位、もちろん高橋選手のパーソナルベストという高得点でした。
 モロゾフコーチの涙はちょっとビックリでしたけど、でも確かに涙するに値する演技でした。モロゾフコーチは高橋選手のこれまでの努力を思い出して泣いてしまったのかもしれませんが、プログラム自体の美しさ、苦悩から希望へと広がってゆくあの表現というのは、本当に思わずうるっと来るものがありましたね。


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 そして迎えた翌日のフリー。前日のSP同様、冒頭の4回転をクリーンに降りますが、2本目の4回転は3回転に。しかし次の3アクセルは流れのある美しい着氷。その後は、2本目の3アクセルこそ手を付いて失敗となってしまいますが、他をほぼパーフェクトに決め、スピードに乗った柔らかなスケーティングでプログラムを締めくくりました。
 SPほどの完璧な内容とはいきませんでしたが、スケートアメリカからは1段も2段もレベルアップした素晴らしい演技でした。
 スケートアメリカではまさかの4位と、ジャンプがなかなか決まらず苦しいGP初戦となった高橋選手。あのジャンプの様子、そして高橋選手自身の厳しい顔つき、言葉から見ても、大丈夫かな、NHK杯も厳しいかな、と正直思っていました。
 でも、全くの杞憂でした。高橋選手がこれまで経験してきた挫折や苦労、そしてそこからの復活、栄光を思えば、今回のように追い詰められ追い詰められして這い上がる、これこそが高橋選手らしさなんですよね。やっぱり凄い選手だと、改めて思い知らされました。
 ファイナルに進めるかは、第6戦が終わってみないとわかりませんが、できたらファイナルでまたこのような高橋選手を見たいですね。なにはともあれ、ひとまずGP2大会お疲れ様でした。そして、5度目のNHK杯優勝おめでとうございます。


 2位は織田信成選手、SP、フリー共に素晴らしい演技内容でした。

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 SPの冒頭、4+3は織田選手らしい柔らかい着氷ですうーっと伸びていくランディング、3アクセル、3ルッツも同様でした。「コットン・クラブ」の軽快なリズムに合わせたコミカルな動きはとても生き生きとしていて、本当に楽しそうな笑顔とも相まって見ているこちらもウキウキしてしまう演技でした。演技直後は織田選手も満足そうな表情、会場が一体となって盛り上がっていました。ところが得点は82.70点。高得点は高得点ですが、実際の演技からすると予想外の低さで、観客からも「え~」という声。私も同じ気持ちでした。採点表では4回転がアンダーローテッド(1/4以内の回転不足)、3ルッツがロングエッジ(エッジの違反)を取られていました。確かに3ルッツはインサイド気味だったので仕方ないかなとは思うんですが、4回転はもうどこからどう見ても回り切ってるというくらいの完璧な4回転に見えたのに……。どの角度から見たら回転不足になるんでしょうね。80点台後半、もしかしたらパーソナルベストもあるかもと思えるくらいの演技だったので、この得点には拍子抜けさせられました。


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 フリーは冒頭の4回転が3回転になり、セカンドに1回転を付けコンビネーションとしました。しかし2本目の4回転をきれいに成功させると、3アクセル+3トゥループ、3アクセル、3+2+2などジャンプを次々と決め、最後のジャンプもクリーンに降りるとガッツポーズ。「ウィリアム・テル序曲」の著名な旋律に乗ったコレオグラフィックシークエンスでは満面の笑みでリンクを縦断、フィニッシュでも両手を握り締めました。
 スケートカナダこそ失敗が相次いでしまいましたが、やはりGP初戦特有の緊張や硬さというのはあるのだろうと思います。それに比べると、このNHK杯は2戦目ということもあってショート、フリー共にのびのびしていましたし、織田選手らしいジャンプの着氷の柔らかさというのも随所に見られて、これぞ織田信成!という演技でしたね。
 余談になりますが、演技の冒頭、失敗してしまった4回転のところでは織田選手の成長が見られました。4トゥループが3トゥループにはなったものの、予定どおりセカンドに3トゥループを付けられそうなほどのクリーンな着氷。しかし織田選手は1回転にとどめました。もし、ここで3トゥループを跳んでしまっていたら、同じ種類の3回転は2本までというルールに引っ掛かるので、その後の演技で3トゥループが使えなくなる。もし使ってしまうとそのジャンプが0点になる。だから織田選手はあえて3トゥループを跳ばず、1トゥループにしたのではないか、とテレビ解説の本田武史さんがおっしゃっていました。実際、1回転にしたことで、その後の3アクセルに3トゥループを付けることができました。織田選手は以前何度か、こうしたルール(ザヤックルール)に違反して、ジャンプ要素丸々ひとつの得点を失うというミスを犯したことがありましたが、こうして機転を利かせて冷静に対処できたというのはまさに成長、特にメンタル面の成長なのだろうなーと、感慨深く思いました。
 果たしてファイナルに行けるかどうかは高橋選手同様、不明ですが、福岡で再び織田選手の笑顔いっぱいの演技が見られることを願っています。


 銅メダルを獲得したのはアメリカのジェレミー・アボット選手です。

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 SPは4回転がダウングレード(大幅な回転不足)で減点となりますが、そのほかのジャンプやスピンではアボット選手らしい美しいものを見せ、僅差での7位発進。
 フリーでもショート同様に4回転は失敗となってしまいますが、その後は予定通りのジャンプ、エレメンツをしっかりこなし、「エキソジェネシス交響曲第3部」の壮大な世界観を全身で表現、滑らか且つスピード感のある演技を披露し、演技後は満足げな表情を浮かべました。得点は2008年のGPファイナルで出したパーソナルベストに迫る158.63点、ショート7位から一気に表彰台へと駆け上がりました。
 これほどジャンプがまとまったアボット選手のフリー演技は本当に久しぶりで、嬉しそうな顔が印象に残りました。スケートカナダでは2度の転倒を含めかなりミスがありましたから、そこから2週間ほどでここまで立て直してきたのは素晴らしいですね。ミスの少ない「エキソジェネシス交響曲第3部」を見ることができ、やっぱりこのプログラムを五輪で見たいなと強く思いました。
 アメリカ国内の戦いは相変わらず厳しく、全米選手権が終わるまで何とも言えませんが、ぜひアボット選手にはこの競争を勝ち抜いて頂いて、今度はパーフェクトな「エキソジェネシス」をソチで見せてほしいと思います。


 4位となったのはアメリカのアダム・リッポン選手です。

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 SPは4回転こそ不完全となってしまいますが、他はきっちり決めてスケートアメリカよりも得点を上げました。ただ、フリーでは冒頭の4回転以外でもジャンプのミスがいくつかあり、珍しくスピンでもレベル1となってしまうミスもあり、アメリカより低い得点となってしまいました。フリーのプログラム「牧神の午後への前奏曲」はリッポン選手の身のこなしの美しさが生かされた作品ですが、今回はエレメンツがうまくいかなかったことによって、その魅力が多少失われてしまったのが残念でした。
 また、スケートアメリカでは4ルッツという最高難度の4回転ジャンプに挑んでいたリッポン選手。今大会は最初から4トゥループでした。4ルッツも見てみたい気はしますが、ショート、フリー共に回転不足でしたからね。4トゥループもクリーンに降りられているわけではありませんが回転が足りている分、やはり4ルッツよりは確実に点が稼げることを考えると、4トゥループの方が安全です。これからリッポン選手が4ルッツに再び挑戦してくるのかどうかも注目です。
 2大会終えて、2位、4位とファイナルは難しくなりましたが、五輪代表目指して頑張ってほしいですね。


 5位は2013年世界選手権銅メダリスト、スペインのハビエル・フェルナンデス選手です。

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 SPは珍しく得意な4サルコウで大きくステップアウトしましたが、他で補って2位発進となったフェルナンデス選手。が、翌日のフリーでもジャンプの調子は取り戻せず、3本の4回転のうち、成功は4サルコウ+3トゥループの1本(それでもすごいですけどね)。そのほかでも3アクセルや3ルッツなど、ミスを連発しフリー8位、総合順位5位に沈んでしまいました。
 ここまで悪いフェルナンデス選手は初めて見たかもというくらいジャンプが決まりませんでしたが、練習からあまり調子は良くなかったようですね。それが本番でもそのまま出てしまったのでしょう。GP初戦ということもありますし、彼はスペインの五輪代表ほぼ確実だと思いますから、じっくりゆっくり上げていけば大丈夫だろうと思います。
 次戦はロシア大会、その時こそフェルナンデス選手らしい4回転、演技が見られることを期待しています。


 6位に入ったのは無良崇人選手です。

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 ショートはジャンプでこそ細かなミスがありましたが、全体的にはスケートカナダよりも勢いのある演技だったと思います。ただ、まだちょっと音楽のイメージからしたら大人しい感じもします。“男の色気”、“情熱”といったものを想起させる曲調、プログラムなので、もっと大胆にオーバーに演じても良い気もしますが、表情的にはけっこう真面目な引き締まった顔なんですよね。それはそれで無良選手らしいですが。


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 フリーは昨季のプログラム「Shogun」に戻してきた無良選手。冒頭の4回転は着氷で乱れますが、その後はジャンプを次々と決めスピードに乗った演技を披露、しかし最後の2つのジャンプを失敗してしまい、演技後は悔しそうに表情を曇らせました。無良選手自身もおっしゃっていましたが、この2つを決めていれば表彰台というのもあり得たのでその点がもったいなかったですね。ただスケートカナダよりは圧倒的に良かったですし、無良選手らしさがようやく見えた演技だったと思います。
 それはもちろん、プログラムを変更したことによる効果も大きいでしょうね。今季のために新しく作ったフリープログラムは「スパルタカス」ということで、無良選手の男らしい躍動感や力強さを生かした雰囲気の作品でした。しかしスケートカナダでのジャッジの評価は非常に低いもので、無良選手自身も違和感を覚えていたそうです。あそこまで低評価だと変えざるを得ないというか、高評価を得たプログラムに戻すことで気持ち的にも前向きになれるでしょうから、この判断は良かったのではないかと思います。今大会ではまだ昨季のままの「Shogun」を滑るだけで精一杯で、無良選手本来のダイナミズムや躍動感は控えめでしたが、全日本選手権ではしっかり身体に馴染んだ演技が見られるでしょうし、また、昨季より進化した「Shogun」になると思うので、全日本を楽しみにしています。


 7位となったのは現アメリカチャンピオンのマックス・アーロン選手。

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 SPの冒頭、4回転は少しの減点はあったものの成功、が、次の3ルッツで転倒してしまい8位となります。フリーでも前半の4回転2本の着氷が乱れ、後半の4サルコウもダブルになるといったミスがあり、スケートアメリカよりだいぶ低い得点となってしまいました。
 アメリカでは3本中2本は成功させていたので、今回フリーで1つも決まらなかったのは残念でしたね。とはいえ回り切ってはいるわけなので、空中での軸や着氷の問題なのでしょう。
 次の大会が全米選手権なのかその前にほかの大会に出るのかは分かりませんが、持っているものは凄い選手ですし、ほとんど注目されていなかったところから一気に全米選手権王者になったことからわかるように爆発力もあるので、これからも要注目の選手ですね。


 8位はロシアのベテラン、コンスタンティン・メンショフ選手。

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 SPは1度の転倒が響き最下位発進。しかしフリーでは2つの4回転を含め大きなミスのない演技で自己ベストを更新、総合順位8位となりました。
 今年4月の世界国別対抗戦ではロシアチームの一員として来日し、ノーミスの演技で自己ベストを出したメンショフ選手。が、フリーの演技中、転倒した際に肩を脱臼し、棄権。今季はニース杯に出場し準優勝、そしてこのNHK杯でした。脱臼というのは一度そうなってしまうと脱臼癖がつくという話をよく聞きますが、今大会でのメンショフ選手の演技はその影響をほとんど感じさせませんでした。昨シーズンも4回転の失敗はほとんどありませんでしたが、今回も4回転ジャンパーの本領を発揮、見事に決めていましたね。20代前半の若い選手でも4回転にはそれなりに苦労するものなのに、30歳のメンショフ選手があれほどの確率でバンバン成功させているというのは本当に驚くべき身体能力です。
 今大会は下位に沈んでしまいましたが、とても楽しませてくれました。GP出場はこの1試合のみで残念ですね。昨季4位&4位なのだから2大会エントリーでもおかしくない気もするけど……。


 9位は同じくロシアのセルゲイ・ボロノフ選手です。

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 ショートは全てのエレメンツで加点を得る良い演技で6位となりましたが、一転フリーでは4回転を含めジャンプのほとんどで減点されてしまう出来となり、最下位に順位を下げてしまいました。
 昨季は中国杯で3年ぶりにGPのメダルを獲得したボロノフ選手。今大会は残念な結果とはなってしまいましたが、得点だけを見ると昨年の中国杯が217.61点、今大会が221.18点と、9位になった今回の方が高いんですよね。中国杯2012は全体的に低調で強豪選手も少なかったですが、NHK杯2013は比較的実力者が揃いましたからね。どの大会にエントリーするかによってこうも順位が変わってきてしまうんだなあと、改めて思いました。
 余談ですが、ボロノフ選手の外貌が昨季からガラリと変わっていてちょっとビックリしました。髪型の違いもありますが、一気に大人びた(老けた?)というか、あれこんなだったっけ?という感じでした。プログラムの影響もあるかもですが。
 ボロノフ選手も五輪代表を目指していることと思いますが、このNHK杯のあいだにもエフゲニー・プルシェンコ選手が競技会に復帰、263.25点という高得点で優勝したことが伝えられました。五輪1枠を巡るロシア男子の戦いはどうなっていくのでしょう……。


 続いてペアについて。
 金メダルを獲得したのはロシアのタチアナ・ボロソジャー、マキシム・トランコフ組です。先月スケートアメリカで出した自己ベスト(=世界最高得点)には及びませんでしたが、今回もほぼ完璧な演技を披露。圧倒的な内容と得点差で優勝しました。これでこのペアはGP2大会とも1位となり、GPファイナル進出が決定しました。スケートアメリカの時も思いましたが、このペアはこのまま五輪金メダルまで突っ走っていきそうですね。今のところボロソジャー、トランコフ組の牙城を脅かすペアは見当たりませんし、演技内容の安定感は言わずもがなです。普通に行けば、2人が五輪チャンピオンになることは確実に思えます。GPファイナルでまた日本に来てくれますから、今から楽しみですね。
 2位は中国の彭程(ペン・チェン)、張昊(ジャン・ハオ)組。中国杯に引き続き2週連続のGP出場でしたが、1週間前から順位をひとつ上げました。29歳のベテラン張選手と、16歳の新人彭選手とのペアですが、着実に力を付けてきていますね。GPシリーズのトータルのポイントは24、ファイナルの可能性も充分です。
 3位は同じく中国、隋文静(スイ・ウェンジン)、韓聰(ハン・コン)組。ショートは2位でしたが、フリーでミスが相次ぎ順位を落としてしまいました。それでも表彰台を確保、彭、張組と同様に24ポイントで、ファイナルに向け前進しました。
 そして、日本のペア、高橋成美、木原龍一組がGPデビュー、8位となりました。

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 ショートはサイドバイサイドのジャンプでミスがありましたが、リフトでのレベル3や、ペアコンビネーションスピンでのレベル4など、成長の見られた演技で自己ベスト更新。フリーでもいくつかミスはありましたが、自己最高得点となりました。
 もちろんエレメンツの難度や技術レベルではほかのペアとは大きな差がありましたが、結成から1年も経っていない、しかも1人はペア初心者というペアが、こうしてGPで演技を披露しているというだけで素晴らしいこと、称賛に値する演技でした。高橋、木原組がまずGPの第一歩を踏み出したことが本当にうれしいですし、2人の演技を見てこれからがますます楽しみになりました。
 高橋、木原組はロシア大会にも出場予定。同じGPの試合でも、母国開催のNHK杯とはまた違った雰囲気、緊張感のある大会になるでしょうが、ぜひ頑張ってほしいですね。


 ここまで男子&ペアについて、でした。女子&アイスダンスに続きます。


:この記事に掲載した全ての写真は、スポーツ専門ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートのページから引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2013-11-11 03:37 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 11月1日から3日に開催された中国杯(カップ・オブ・チャイナ)。男子&ペア編です。
 男子シングルを制したのはシニアのGPシリーズデビューとなる中国の閻涵(ヤン・ハン)選手。中国男子勢でGP優勝は初めての快挙です。2位はこちらもGPデビューとなったロシアのマキシム・コフトゥン選手、3位には小塚崇彦選手が入りました。
 ペアでは2013年世界選手権銀メダルの実力者、ドイツのアリオナ・サフチェンコ、ロビン・ゾルコヴィー組が優勝。これでサフチェンコ、ゾルコヴィー組はGPシリーズ全6大会を制覇、浅田真央選手に続く快挙を成し遂げました。

ISU GP Cup of China 2013

*****

 見事、金メダルを獲得したのは中国の新星、閻涵(ヤン・ハン)選手です!

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 SPは3アクセル、4トゥループ、3ルッツ+3トゥループと完璧にジャンプを決め、90.14点というショートの世界歴代8位となる高得点=自己ベストで首位に立ちました。私が閻選手を初めて見たのは昨季の四大陸選手権でしたが、あのトリプルアクセルには本当に驚かされました。今回もその圧倒的な高さ、飛距離、流れの美しさは変わらず、芸術的なジャンプとはこういうことを言うんだなあと思いました。続く4トゥループも難なく成功。演技もジャジーなピアノの音色に合わせて、コミカルさのある表情、動きを披露。ノリノリという感じではなくどこか照れのあるような初々しい演技でしたが、昨季には無かった新たな閻選手の姿で、ジャンプだけではない表現の豊かさの一端を垣間見ることができましたね。
 フリーでは冒頭の3アクセルでまさかの転倒、しかし次の4トゥループ+3トゥループをきっちりと成功させました。後半にはちょこちょことジャンプのミスがありましたが、大崩れすることはなく滑り切りました。ショートより硬い演技にはなっていましたが、ミスをしても取り返し、立て直す強さを見せましたね。
 中国の男子選手として初のGP金メダリストとなった閻選手。歴史的な快挙ではありますが、あまりそういったことを意識せず、これからも若手らしくのびのびと演技してほしいなと思います。初優勝、おめでとうございます。


 銀メダルを獲得したのは2012年ジュニアGPファイナルの覇者、ロシアのマキシム・コフトゥン選手です。

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 SPはなんと、4サルコウ+3トゥループ、単独の4トゥループと2本の4回転を成功させ波に乗りますが、ステップの途中で思わぬ転倒。しかしそれ以外にミスはなく、自身初のSP80点超えで2位発進となりました。
 フリーでも2本の4サルコウを成功、4トゥループはダブルになってしまいますが、その後はミスらしいミスなく滑り終え、見事パーソナルベストを更新しました。
 昨季はジュニアのGPシリーズに参加していたとはいえ、シニアのロシア選手権で5位、欧州選手権でも5位とシニアの世界で結果を残しています。世界選手権は17位と下位に沈んでしまいましたが、こうしてGPデビュー戦で表彰台に立ったことで、五輪代表に向けかなり良いアピールとなったのではないでしょうか。
 それにしても18歳であそこまでポンポンと4回転を、しかもショートとフリー合わせて4本も跳ばれてしまうと、末恐ろしいですね。コフトゥン選手のジャンプは軸が細くて他の人よりも回転が速い感じがします。本当に4回転回ってるの!?っていうくらい、さらっと回りますね。ただ、着氷後の流れはあまりないので、GOEの加点が稼げていないんですね。それでもやっぱり凄いです。
 ロシア男子は2011年の世界選手権でアルトゥール・ガチンスキー選手が銅メダルを獲得したとはいえ、その後は怪我の影響もあって低迷、ロシア男子としては苦しい戦いを強いられています。そこにこうしてコフトゥン選手のGP初表彰台というグッドニュースですから、否が応でも期待は高まります。ただ、ロシア男子は五輪枠が1つしかないですから、あの帝王プルシェンコ選手も現役復帰を目指していることを考えるとどうなんでしょうね。私個人としては若手に譲ってもいいような気も……しますが……。
 とにもかくにも、GP初メダル、自己新おめでとうございます。


 3位には小塚崇彦選手が入り、日本男子勢GP3戦連続のメダル獲得となりました。

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 SPは着氷で詰まったものの4回転に成功、3アクセルは小塚選手らしい流れのあるランディングとなりますが、前大会でミスした3+3で再びミス、3+2となってしまいます。ミスがある中でも、小塚選手らしい端正なスケーティングだったり変則的なリズムに乗った表現だったりはスケートアメリカ以上に出来ていたように感じました。それだけにコンビネーションジャンプのミスがもったいなかったですね。


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 翌日のフリー、SPでは成功させた4回転を回転不足で転倒してしまいますが、それ以外の前半のエレメンツは無難にこなしました。が、後半冒頭のトリプルアクセルからの3連続コンビネーションで3アクセルがシングルに、次の3フリップでも転倒とミスが続き、フリー、総合の得点は最終的にはスケートアメリカよりも低くなってしまいました。
 演技後のインタビューで小塚選手は、“自分のスケート人生で最悪の演技”と厳しい表情を見せました。実際五輪を目指す小塚選手にとってこの演技内容、結果は五輪を遠ざけてしまうようなものとなってしまいました。ジャンプを跳ぶときにトラウマのように失敗がよぎることがあるそうですが、小塚選手はとても実直で生真面目な性格のようなので、失敗について考え過ぎてしまっているのかもしれませんね。もう少し肩の力を抜いて、なるようになる、ケセラセラくらい楽天的になった方が良い方に転ぶような気がします。
 GPファイナルの可能性はほぼゼロとなりましたが、その分全日本までたっぷり練習時間が取れることと思います。もう一度、小塚選手らしい伸びやかな演技が見られることを陰ながら祈っています。


 4位に入ったのは2013年世界選手権銀メダリスト、カザフスタンのデニス・テン選手です。

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 SPは4回転とコンビネーションジャンプでミスがあり技術点が伸びませんでしたが、演技構成点で補って4位発進。フリーも4回転がダブルに、3アクセルや3ルッツでもミスがあり、不本意な演技となってしまいました。
 本来ならばスケートアメリカがGP初戦となるはずだったテン選手ですが、怪我のために欠場。今大会もその影響がある中での出場でしたので、ジャンプミスが相次いだのも致し方ないでしょうね。しっかりステップシークエンスでレベル4が取れていたのは素晴らしかったです。今年3月の世界選手権での演技がまだ色鮮やかに記憶に残っているので、怪我をしてしまったのは本当に残念ですが、五輪まで残り3カ月余り、焦らずじっくりと回復に向かって行ってほしいですね。それまでの経過がどうであれ、オリンピックでの演技が全てだと思いますから。


 5位はアメリカのリチャード・ドーンブッシュ選手。

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 ショートは3つのジャンプ要素の内、2つで減点があり6位となってしまいます。しかし、フリーでは冒頭の4回転で転倒、3アクセルでもミスがあったものの、その後はジャンプをしっかりまとめ、全てのスピンでレベル4を獲得するなどまずまずの演技を見せ、フリーのみでは4位、総合でも5位に上がりました。
 印象的だったのはフリーのプログラム「ビートルズメドレー」。演目は高橋大輔選手と被っていますが内容は全く違っていて、ビートルズの初期の曲を中心とした軽快でポップなもの。高橋選手のような“感動系”も好きですが、ドーンブッシュ選手の“ポップ系”もチャレンジングでなかなか良いですね。
 国際大会で大きな結果を残しているわけではないので、演技構成点は控えめでしたが、楽しそうに滑っている姿が印象に残りました。次戦はロシア、五輪代表に向けて頑張ってほしいと思います。


 6位にはフランスのフローラン・アモディオ選手が入りました。

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 SPは冒頭の4サルコウで転倒、後半の3+3も3+2になるなど、ノーミスとはいきませんでした。フリーでも4サルコウに2度挑みますがどちらも失敗、そのあとのジャンプも着氷でこらえるようなものがいくつかあり、コンビネーションジャンプを1つも入れられないまま終わってしまいました。
 今年の6月にニコライ・モロゾフコーチと袂を分かち、母国に拠点を戻したアモディオ選手。プログラムの振り付けもそれまでのモロゾフコーチから変更、様々な点でいま変化の時にあるのだろうと思います。今回の演技でも、モロゾフ時代はステップシークエンスの途中で立ち止まってダンスすることが多かったですが、その部分が少なくなって動きの中でのダンスが増えたような気がしました。まだ完全にはプログラムに馴染めていないように感じましたが、新しいアモディオ選手が始まっているんだなという印象を受けました。
 次戦は地元フランス大会、頑張ってほしいですね。


 ここからはペアについて。
 ペアの優勝者はドイツのアリオナ・サフチェンコ、ロビン・ゾルコヴィー組。ショートは2つの要素で減点があって僅差の2位となりました。フリーでも1度の転倒を含むミスがあったものの、フリー1位となって逆転優勝。これで、GPシリーズ全6大会の金メダル獲得となり、いわゆるグランドスラムの快挙となりました。
 2位は地元中国の龐清(パン・チン)、佟健(トン・ジャン)組。SPは首位発進となりましたが、フリーで複数ミスがあり準優勝に甘んじました。
 3位は同じく中国の彭程(ペン・チェン)、張昊(ジャン・ハオ)組。トリノ五輪銀メダリストの29歳の張昊選手と新人の16歳の彭程選手とのペアは2012年に結成されたばかり、今大会の銅メダルがこのペアとしてGP初表彰台となりました。


 男子と女子ではGPデビューの新星の初優勝、ペアとアイスダンスでは国際大会表彰台常連組の優勝という対照的な結果となった中国杯2013。次戦はいよいよ、日本のNHK杯です!


:男子シングルメダリスト3選手の写真は、ロイターが2013年11月3日の08:49に配信した記事「フィギュア=中国杯で小塚3位、女子は村上4位」から、閻選手の写真、テン選手の写真、ドーンブッシュ選手の写真、アモディオ選手の写真は、アイスダンス専門ウェブサイト「ice-dance.com」から、コフトゥン選手の写真、小塚選手のフリーの写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、小塚選手のSPの写真は毎日新聞のニュースサイト「毎日jp」が2013年11月1日の19:53に配信した記事「フィギュア:小塚3位、村上4位 中国杯SP」から引用させていただきました。


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中国杯2013・女子&アイスダンス―アンナ・ポゴリラヤ選手、GP初優勝
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by hitsujigusa | 2013-11-07 15:41 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ISUグランプリシリーズの第3戦、中国杯(カップ・オブ・チャイナ)が11月1日から3日にかけて行われました。この記事では女子シングルとアイスダンスの結果をお伝えします。
 女子シングルで優勝したのはロシアの新星、アンナ・ポゴリラヤ選手です。銀メダルを獲得したのは同じくロシアのアデリーナ・ソトニコワ選手。そして、3位に入ったのはイタリアのベテラン、カロリーナ・コストナー選手です。
 アイスダンスでは、昨年のGPファイナル銅メダリスト、フランスのナタリー・ペシャラ、ファビアン・ブルザ組が優勝し、中国杯2連覇となりました。

ISU GP Cup of China 2013

*****

 見事、GP初優勝となったのは2013年世界ジュニア銅メダリストのアンナ・ポゴリラヤ選手です!

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 SPは高難度のコンビネーションジャンプである3ルッツ+3トゥループを決め、その後のエレメンツもしっかり決め、3位につけました。
 フリーでも3ルッツ+3トゥループを始め、ジャンプを次々と成功させました。後半、2アクセルや3フリップでミスはあったものの、全体的にはよくまとまった演技でGPデビューとしては上々のスタートだったと思います。
 表現的には、大人っぽい雰囲気はある一方で、滑りや細かい仕草、動き、つなぎの部分にはまだまだジュニアらしさがうかがえました。それでも長身で手足が長いので、全身を大きく使うだけでも氷によく映えていて印象に残りました。今大会はシニアのGPデビューだったわけですから、表現云々というよりも、全てのエレメンツをきちんとこなせたということに大きな意味があるんじゃないかと思います。コストナー選手やソトニコワ選手といった優勝候補の失敗に助けられた面はありますが、それでも優勝は優勝。次のフランス大会の結果によってはファイナルの可能性も大なので、この優勝を糧にして自信を持って頑張ってほしいですね。


 2位となったのは昨季の欧州選手権銀メダリスト、アデリーナ・ソトニコワ選手。

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 SPでは女子において最高難度のコンビネーションである3ルッツ+3ループに果敢に挑戦、残念ながら回転不足で不完全なものとはなってしまいましたが、ステップ、スピンをレベル4で揃え、ソトニコワ選手自身も満足げな表情。得点も自己ベストに近い高得点で、ショート首位で折り返す形となりました。
 翌日のフリー、冒頭のコンビネーションジャンプは3+2で安全にまとめましたが、3フリップがパンクしダブルになり転倒、後半の3フリップでも転倒など、ミスが複数ありました。2度の転倒も影響したのか、後半はガス欠でスピードが落ちて本来のスケーティングやスピンが見られなかったのは残念でした。
 ショートで1位になったことでGP初優勝を意識したかどうかは分かりませんが、ショートの勢いをフリーに繋げられなかったですね。ソトニコワ選手はショートではわりと良い演技をすることが多いのですが、フリーで崩れて順位を落とすという印象が強いので、フリーをまとめることさえできればGPの優勝も近そうな感じがするんですけどね。
 次戦のフランスでは、フリーでも良い演技ができることを祈っています。


 3位は2013年世界選手権銀メダリスト、カロリーナ・コストナー選手です。

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 SPは3トゥループ+3トゥループのコンビネーションで転倒し、点が伸びず3位となってしまいました。その中でも、「ユーモレスク」の軽やか且つ優雅な音楽世界をゆったりとしたスケーティングで表現していて印象的でした。
 フリーは冒頭の3ルッツがダブルに、後半の3トゥループで転倒、その後のジャンプでも細かなミスがありました。演技全体でもいつもほどのスピードがなく、最初からセーブして一つ一つの技を慎重にこなしているという感じでした。コストナー選手本来のダイナミックさが無かったので、プログラム自体の魅力も充分には表現し切れていなかったかなと思います。
 昨シーズンはGPシリーズ自体に参加していなかったのであれですが、その前のシーズンではGP初戦からもっと勢いがあったというか、ミスがあってもスケールの大きな演技にはあまり変わりがなかったので、今大会のコストナー選手の演技はらしくないように感じました。でも、やはりまだ初戦ですしね、五輪にピークを合わせなければいけないことを考えれば、このスロースタートも悪くないかもしれません。
 次のロシア大会ではよりコストナー選手らしい演技が見られることを期待しています。


 日本の村上佳菜子選手は4位となりました。

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 ショートは後半の3+3、3フリップで回転不足こそ取られますが、「スイング・メドレー」の軽快なリズムに乗ってノリノリな演技を披露、村上選手らしい躍動感に満ちあふれた滑りでした。少し前にはスケート靴の故障もありましたし、あまり良い状態ではなかったようですが、その中でもしっかりジャンプが跳べて、躍れていたというのは大きな収穫でしょうね。


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 フリーは一転、しっとりとした曲調の「愛のイエントル」。後半の3フリップ、2アクセルでミスがありましたが、先月のジャパンオープンと比べても音楽の世界観に村上選手自身がどっぷりと浸かって、感情がこもっていたのがよく分かりました。ジャンプのミスはもったいなかったですが、スピンではしっかりレベル4を取れていましたし、今できることをやり切ったのではないかと思います。
 ファイナル出場のためには次のロシア大会で優勝する必要があります。ですが、たとえそれが叶わなかったとしても、ここ2シーズンと同じ流れと思えば大丈夫な気がしますね。いつもシーズン後半には調子を上げてくる村上選手ですから、全日本で本来の演技さえできれば。次戦も楽しみです。


 5位にはロシアの若手、二コル・ゴスビアーニ選手が入りました。

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 SPでは冒頭の3+3が3+1になってしまいましたが、その後をまとめて6位発進。フリーも同じ3+3で転倒がありましたが、そのあとは大きなミスなく無難にエレメンツをこなしました。
 昨季の欧州選手権では6位に入って存在感を示したゴスビアーニ選手ですが、GPシリーズはこれがデビューということで全体的に硬さが目立ったかなという印象です。また、スピンやステップでの取りこぼしもあり、シニアレベルにはまだ一歩二歩、差がある感じはしました。ただ、次は地元ロシア大会ですので、よりリラックスした本来のゴスビアーニ選手の姿が見られるかもしれません。ロシアではより思い切った演技を期待しています。


 6位は今井遥選手。当初のGPシリーズエントリー発表では出場する予定はなかったのですが、スウェーデンのヨシ・ヘルゲソン選手が欠場ということで、今井選手に空いた枠が回ってきました。

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 SPは3サルコウ+3トゥループで回転不足を取られるといった小さなミスがありましたが、演技全体を通して今井選手らしいしなやか且つエレガントな表現ができていました。このプログラムは2シーズン前にも使用していた音楽ですが、その時以上に表現が細やかになって、特に手、腕の表現はとてもきれいで印象に残りましたね。


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 フリーは出だしこそ良かったものの、3サルコウや2アクセルの転倒といったミスが続き、後半はスピードが落ちてだいぶバテた演技になってしまいました。疲労の影響か、終盤のスピン2つでもレベルが1、2になってしまったのも残念でしたね。
 今大会に関して今井選手自身はとても調子が良いのだと話していましたが、オンドレイネペラトロフィーの後、体調不良で数日間点滴を打っていたこともあったそうです。ですので、調子は良くても決して体力が充分な状況ではなかったのでしょう。オンドレイネペラで良い演技をしただけに、このGP初戦への思いも強かっただろうし、それだけにフリーの演技は相当悔しかったと思います。ですが、今井選手にはもう1試合、ロシア大会が残されています。体力さえしっかり戻ってくれば、オンドレイネペラの時のような演技もまた出来るでしょうし、パーソナルベスト更新の可能性もあります。ぜひ、ロシアで挽回してほしいですね。


 7位に入ったのはアメリカのアグネス・ザワツキー選手です。

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 SPでは3+3で転倒、単独の3ルッツでもミスがあり、大きく出遅れてしまいました。それでも上位とそれほど点差があるわけではなかったのですが、フリーでも1度の転倒、ダウングレードやパンクなどミスが相次ぎ、フリーで順位を上げることはできませんでした。
 昨シーズンは安定感のある演技で常に上位を争っていたザワツキー選手ですので、この演技内容、結果は意外なものでした。今季の初戦、アメリカで行われた国際大会でもザワツキー選手はあまり良くはなく、今大会の採点表と比較しても同じような所でミスをしています。前大会の失敗の記憶がよぎったのかもしれませんね。
 アメリカ女子も五輪枠争いが激しいですから、ザワツキー選手も相当プレッシャー、ストレスのかかる中で演技しているのだと思います。2年連続で全米選手権3位に入っていると言えども、五輪シーズンはまた一味違いますし。次のロシア大会ではザワツキー選手らしさを取り戻して、良い演技ができることを願っています。


 続いてアイスダンスについてです。
 優勝したのはフランスのナタリー・ペシャラ、ファビアン・ブルザ組。ショートこそ一つの要素で減点があり2位スタートとなりましたが、フリーダンスでは2012年GPファイナル銅メダリストの実力を発揮、順位を上げて金メダルを獲得しました。
 ショートで首位に立ったロシアのエカテリーナ・ボブロワ、ドミトリー・ソロビエフ組はフリーで順位を下げて、最終順位は2位となりました。2シーズンぶりのGP優勝とはなりませんでしたが、好調なスタートを切りました。
 3位に入ったのはアメリカのマディソン・チョック、エヴァン・ベイツ組。このカップルとしては初のGP表彰台ですね。おめでとうございます。


 女子&アイスダンスはこれにて終了ですが、男子&ペアについても次の記事で書きたいと思います。


:女子シングルメダリスト3選手の写真はウェブサイト「新民网」が2013年11月3日の07:45に配信した記事「Cup of China figure skating GP - ladies' event」から、ポゴリラヤ選手の写真はウェブサイト「Connecticut Post」が2013年11月2日の11:12に配信した記事「Russian teen's 7 triple jumps wins Cup of China」から、ソトニコワ選手の写真、コストナー選手の写真、ゴスビアーニ選手の写真、今井選手の写真はアイスダンス専門サイト「ice-dance.com」から、村上選手のSPの写真は毎日新聞のニュースサイト「毎日jp」が2013年11月1日の20:48に配信した記事「フィギュア:GP初戦の村上「今の状態ではよかった」」から、村上選手のフリーの写真はウェブサイト「The Japan Times」が2013年11月2日に配信した記事「Kozuka earns bronze at Cup of China; Murakami places fourth」から、ザワツキー選手の写真はフィギュアスケート専門サイト「Absolute Skating」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2013-11-06 17:22 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)