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 「ソチ五輪・女子―アデリナ・ソトニコワ選手、ロシア女子初の五輪金メダル獲得(その1)」に引き続き、女子シングルの結果、内容について感想を書いていきます。

Olympic Winter Games 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 8位となったのは、日本の鈴木明子選手です。

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 ショートはまず、得点源となる3トゥループ+3トゥループからでしたが、1つ目の3トゥループがダウングレード(1/2以上の回転不足)となり、ステップアウト。しかし、次の3ルッツに急遽2トゥループをつけることで連続ジャンプとし、何とかリカバリーしました。その後は安定してスピン、ジャンプをこなし、得意のステップシークエンスでは、全30選手中2人しか認定されなかったレベル4を獲得、鈴木選手らしい情熱的な滑りを見せました。得点は60.97点で8位発進。

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 フリーは3+3を組み込まず、確実なジャンプ構成で挑んだ鈴木選手。冒頭は3ルッツからの3連続ジャンプ、慎重さはありましたがしっかり決めました。続く2アクセル+3トゥループは、2+2になり、3ルッツでもミスが出てしまいました。後半も3フリップでの転倒、3ループでのステップアウトなど、複数ミスはありましたが、その中でも滑りを萎縮させることなく、鈴木選手らしい伸びやかなスケーティング、エモーショナルな表現力を存分に発揮。得点は125.35点、フリー8位で、トータルでも8位入賞となりました。
 年が明けてから左足に靴擦れができ、それを庇っているうちに右足にも同じような症状が出てしまったという鈴木選手。痛みが残り、万全の練習ができない中での五輪。ジャンプにはその影響がダイレクトに表れました。しかし、鈴木選手は「自分は元々ジャンパーじゃない」と割り切り、“音楽を表現する”という自分らしさを出し尽くすことに徹し、見事に笑顔で滑り切りました。
 いろんな紆余曲折がありながらも、ソチ五輪にたどり着き、最後まで自分らしいスケートを貫いた鈴木選手。浅田真央選手もそうでしたが、選手一人一人に自分らしさのかたちがあり、それぞれにとっての正しい道があるのだなと、鈴木選手の演技から改めて教えられました。
 3月の世界選手権の出場に関しては、足の状態を見てということでまだ断言はされていませんが、現役ラストの演技をぜひ日本で見られるといいなと願っています。オリンピック、お疲れさまでした。


 9位はアメリカの新星、ポリーナ・エドマンズ選手。

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 全米選手権で2位となり、一躍五輪代表となったシンデレラガール、エドマンズ選手。ショートプログラムはラテンセレクション。大技3ルッツ+3トゥループは2つ目のジャンプがアンダーローテッド(1/2以内の回転不足)という判定で若干減点されましたが、そのほかは3フリップ、2アクセルといったジャンプ、スピン、ステップでも落ち着いた演技を見せました。得点は61.04点、パーソナルベストで7位につけました。
 フリーはグリーグの「ペール・ギュント」。冒頭はショートでミスとなった3ルッツ+3トゥループでしたが、しっかり修正してクリーンに着氷。続く3フリップ+1ループ+3ループの3連続ジャンプも決めて、上々の滑り出し。足替えコンビネーションスピンがレベル1とはなったものの、2アクセルも難なく成功させて、前半をまとめます。ステップシークエンスを挟んだ後半、最初の3フリップは回転が足りず転倒してしまいましたが、その後は立て直してエレメンツを着実にこなしました。得点は122.21点でこちらも自己ベスト。五輪でショート、フリー、トータル全てで自己ベストを更新し、総合9位となりました。
 今回、私は初めてエドマンズ選手の演技を見たのですが、15歳と若いながらも背が高く手足も長いので、シニアのスケーターのなかでも見劣りしない、とても華のある選手だと感じました。ものすごいジャンパーという感じではありませんが、優雅で洗練された雰囲気を纏っている選手だと思うので、これからも自分らしさを大切に、ゆっくり伸びていってほしいですね。世界選手権も、楽しみにしています。


 10位に入ったのはフランスのマエ=ベレニス・メイテ選手。

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 ショートの冒頭は3トゥループ+3トゥループ、これを豪快かつ完璧に決めましたが、3ループで着氷を乱すミス。次の2アクセルはきっちり降りると、スピンを全てレベル4に揃えるなど、完璧ではない中でも演技をまとめました。得点は58.63点、先月の欧州選手権でマークした自己ベストに0.01点及ばず、メイテ選手も苦笑いでしたが、納得した様子でショート9位となりました。
 フリーはまず簡単な2アクセルから入って自分のリズムを作り、続く3サルコウ+3トゥループをクリーンに成功させて流れを引き寄せました。その後も次々とジャンプを着氷していき、唯一中盤の3ループで転倒がありましたが、それ以外に減点要素は無く、メイテ選手らしいパワフルで楽しい世界を、最後まで繰り広げました。得点は115.90点、自己ベストを更新し、総合10位で初の五輪を終えました。
 初めてのオリンピックで緊張もあったのではないかと想像しますが、そうした影響をほとんど感じさせない生き生きとした滑りができていました。1月の欧州選手権で自己最高の5位となりましたが、その調子の良さをうまく五輪にまで繋げましたね。ここ数シーズンで堅実に力をつけ、徐々にではありますが着実にスコアを上げてきているメイテ選手。ジャンプの安定感も増してきましたし、今後の活躍がますます楽しみになりました。世界選手権でも好演技ができることを祈っています。


 11位となったのはイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ選手。

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 ショートは3サルコウ+3トゥループに挑みましたが、セカンドジャンプがダウングレード(1/2以上の回転不足)で大幅に減点。3ルッツでも少し乱れがあり、スピンの1つがレベル1と判定されるなど、エレメンツ的には精彩を欠いたマルケイ選手でしたが、ベテランならではの情感豊かな表現力で魅せました。得点は57.02点で12位発進となりました。
 フリーは3+3は入れず、完成度で勝負するプログラム。冒頭の2アクセル+3トゥループをしっかり着氷し成功させましたが、3ルッツでミス、3フリップはロングエッジ(踏み切り違反)判定。しかしその後はミスを引きずらず、前日レベル1とされたシットスピンも確実に回転しレベル4を獲得。終盤にもちょっとしたミスがあり、フィニッシュしたマルケイ選手は悔しさものぞかせましたが、大きな崩れのない演技でホッとしたような表情。得点は116.31点で、団体戦フリーでマークしたパーソナルベストを上回り、総合11位にアップしました。
 マルケイ選手も団体戦に出場した身とあって、調整には難しさもあったのではないかと思いますが、団体戦からしっかりと調子を上げましたね。順位など関係なく、見惚れてしまうような演技でした。世界選手権も楽しみにしています。


 12位には日本の村上佳菜子選手が入りました。

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 ショートはまず、3トゥループ+3トゥループでしたが、これを完璧に決めて勢いをつけます。スピン2つを挟んで、後半に2つのジャンプを固めましたが、1つ目の3フリップが珍しく1回転にすっぽ抜けるミス。2アクセルは確実に降りましたが、見せ場のステップシークエンスは少し慎重な滑り。演技を終えた村上選手は、悔しさを露わにしました。得点は55.60点となり、15位でフリーを迎えることに。

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 翌日のフリー。3トゥループ+3トゥループはショート同様、パーフェクトに決めて高い加点を得ます。しかし続く3ルッツは着氷でバランスを崩し、大きなマイナス。3ループもダブルとなるなどミスが重なります。ステップシークエンスは大人しめな動きでレベル2の判定。後半はエレメンツを一つ一つ丁寧にこなしていき、うまく演技をまとめましたが、本来の出来とはならず。得点は115.38点、最終的には順位を上げて12位となりました。
 村上選手にとって初めてのオリンピックということで、独特の雰囲気にのまれてしまったようですね。競技後のインタビューでは演技について、「記憶が無い」と話しましたが、ショートもフリーも、良い時より動きにぎこちなさがあり、プログラムに身が入っていないのかなという印象でした。全日本選手権、四大陸選手権では本当にキレキレの迫力ある演技を見せていたので、このままいけば大丈夫そうだなと思ったのですが、オリンピックはやはり全くの別物なのですね。
 インタビューで、4年後の五輪についても問われた村上選手は、「行きたいといえば行きたいけど、出たくないといえば出たくない」と語りました。五輪の怖さというものを体感して恐れが生まれてしまったのかもしれませんが、一方で、「五輪で誰にも負けたくない気持ちが出てきた」とも口にしていて、複雑な感情がうかがえました。以前から競技に対する執着心があまり無さそうな村上選手ですが、とりあえずは1年続けてまた考えたいとのこと。私個人としては、日本女子をリードする存在になってほしい、それができる器の選手と思っていますが、4年という長いスパンで気負ったりせず、1年1年の積み重ねという気持ちで、村上選手らしく歩んでいってほしいですね。
 3月の世界選手権は今シーズン最後の競技会ですが、村上選手を長年指導してきた山田満知子コーチが、今季を持って第一線を退くとのこと。2人で共に臨む最後の試合になるであろう世界選手権ですから、山田コーチのためにも、そこで全てを出し切ってほしいなと思います。


 13位となったのは、カナダのケイトリン・オズモンド選手です。

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 ショートは冒頭に3トゥループ+3トゥループを組み込んでいましたが、セカンドジャンプが2回転になるミス。3フリップは成功させましたが、2アクセルで珍しくステップアウト。最後のスピンがレベル1となる取りこぼしもあり、オズモンド選手らしい元気いっぱいの滑りは見せたものの、ジャンプミスが目立つショートとなりました。得点は56.18点で13位発進に。
 フリーは最初から3+3には挑まず、3フリップ+2トゥループを安全に確実に決めます。続く2アクセル+3トゥループも高さのあるジャンプ。3ルッツ、3サルコウと、前半4つのジャンプ要素は全て予定どおりにこなしました。が、後半1発目の3フリップがダブルになると、3トゥループで転倒。その後は立て直しましたが、後半のジャンプの失敗が響き、得点は112.80点。フリーも13位で、順位を上げることはできませんでした。
 オズモンド選手も団体戦に出場、しかもショートとフリー両方に出場したという選手ですが、得点だけを見ると、団体戦より調子を落としてしまったのかなという印象ですね。ただ、フリーは団体戦よりもスコアは高かったわけなので、一概には言えないですが。演技自体はジャンプのミスが複数あった中で、いつもより動きが大人しいかなと感じた部分もありましたが、オズモンド選手の“色”はうまく出せていたんじゃないかと思います。世界選手権ではもっとのびのびと、良い意味で肩の力の抜けた演技が見られることを願っています。


 14位は中国の李子君(リ・ジジュン)選手。

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 ショートはまず3フリップ+3トゥループからでしたが、2つ目のジャンプがアンダーローテッド(1/2以内の回転不足)という判定。3ルッツもロングエッジ(踏み切り違反)となり、減点が重なってしまいます。演技後半は無難にまとめましたが、得点は57.55点、11位となりました。
 フリーも3フリップ+3トゥループに挑戦したものの、こちらも3トゥループが回転不足となり、クリーンな成功とはならず。しかし、続く2アクセル+3トゥループはしっかり着氷、3ルッツはやはりロングエッジ判定でしたが、最後まで大きなミスなく、プログラムを演じ切りました。得点は110.75点、細かなミスの積み重ねが影響し、総合14位に終わりました。
 得点的には自己ベストに大きく及びませんでしたが、演技の内容からすると、ちょっと厳しめの採点という感じもします。全体的にいつもほどの“生き生き感”はなかったかもしれませんが、破綻のない演技はできていたので、初めてのオリンピックでやるべきことはやれたのだという自信を持って、今後も頑張っていってほしいですね。世界選手権も楽しみにしています。



 ということで、女子シングルについての記事は以上です。そして、これで全てのソチ五輪関連の記事もラストとなりました。女子は、ダークホースのソトニコワ選手の優勝という劇的な結末で幕を閉じましたが、それ以外の選手たちにもさまざまなドラマがあり、見応えのあるオリンピックでした。女子フィギュア界は、来シーズンからはロシア勢が席巻することになるだろうと予想されていますが、果たしてどうなっていくでしょうか。ワクワクドキドキです。もちろん、その前にシーズン最後の大会、世界選手権が待っていますから、まずはそちらに注目ですね。
 選手の皆さん、お疲れさまでした。素敵な演技をありがとうございました。


:女子シングルメダリスト3選手のスリーショット写真は、AFPBB Newsが2014年2月22日の12:52に配信した記事「女子フィギュアスケートのメダル授与式、ソチ五輪」から、鈴木選手のSPの写真、村上選手のSPの写真は、毎日新聞のニュースサイト内の写真特集「ソチ五輪 フィギュアスケート女子」から、鈴木選手のフリーの写真、エドマンズ選手の写真、メイテ選手の写真、マルケイ選手の写真、村上選手のフリーの写真、オズモンド選手の写真、李選手の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-02-27 02:31 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 団体戦、ペア、男子、アイスダンスと続いてきたソチ五輪のフィギュアスケート競技も女子で最後となりました。
 女子シングルを制したのは地元ロシアのアデリナ・ソトニコワ選手。ロシアの女子選手としては初めてのオリンピック優勝です。2位は韓国の金妍兒(キム・ヨナ)選手。バンクーバー五輪に続いての2連覇はなりませんでした。3位にはイタリアの実力者、カロリーナ・コストナー選手が入っています。

Olympic Winter Games 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 金メダルを獲得したのは、ロシアチャンピオンであるアデリナ・ソトニコワ選手です。 

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 ショートはまず3トゥループ+3トゥループを確実に成功させ、続く3フリップは高さ、幅、流れのある美しいジャンプ。後半の2アクセルも難なく決めると、柔軟性を生かしたスピンは全てレベル4を獲得、ステップシークエンスも細かなエッジワークと全身を大きく使ったダイナミックな動きが融合した彼女らしい滑りでこちらもレベル4。フィニッシュしたソトニコワ選手は喜びを露わにしました。得点は74.64点、先月の欧州選手権でマークした自己ベストを4点近く更新し、首位と僅差の2位につけました。

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 金メダルを視野に入れて臨んだフリー。冒頭はショートより難度を上げた3ルッツ+3トゥループ、これを完璧に決めて上々の滑り出し。続く3フリップ、3ループも余裕のある回転とランディングで波に乗ります。後半1発目の2アクセル+3トゥループもクリーンに成功、3+2+2は最後のジャンプが詰まり気味の着氷で減点されますが、その後のジャンプは問題なくまとめました。ショート同様、スピンを全てレベル4で揃えると、ステップシークエンスも演技終盤とは思えないほど、エネルギッシュな滑り。最後まで勢いを保ったまま演技を終えました。ソトニコワ選手は歓喜と興奮を抑えきれない様子で、ロシアの大観客の声援に応えました。得点は驚異の149.95点、パーソナルベストを18点ほど上回り逆転優勝となりました。
 今まではショートで良い演技をしても、フリーで崩れることの多かったソトニコワ選手。SPで2位になったことに私自身それほど驚きは感じませんでしたが、フリーでこれほどまとめられるとは予想外でした。
 それにしても得点は高過ぎですね。それまでのフリーの自己ベストが131.63点、しかも先月の欧州選手権で出したばかりですから、1か月で一気に20点近くアップするというのはいくらなんでもという感じがします。ただ、その欧州選手権のフリー演技も完璧だったわけではなく、ミスが複数ある中での131点でしたから、そこからの積み重ねと考えると、技術点の高さにはある程度納得がいきます。多少GOE(出来栄え点)の加点の気前良すぎ感は拭えませんが。
 技術点以上に疑問なのは、演技構成点でしょうか。欧州選手権フリーでは8点台半ばから後半だったのが、今大会では8点台後半から9点台半ばにまで上がっています。ソトニコワ選手は確かに素晴らしい演技をしましたが、演技構成点は選手の基礎的な技術だったり表現のクオリティーを評価するものですから、やはり急激に高くなり過ぎてますし、ホームアドバンテージが大きく影響していると感じざるを得ませんね。
 とはいえ、私はソトニコワ選手の優勝には納得です。後述する2、3位の選手の順位も妥当なものだと思います。ソトニコワ選手の演技は金選手やコストナー選手と比べると、粗さはありましたし、全体の流れという点から見ても多少“途切れ感”があったのは否めませんが、その分ジャンプ構成の難度、独創的なポジションのスピンなど技術点で補っていて、演技構成点を欧州選手権並みにしたとしても金選手、コストナー選手を上回ります。なので得点に疑問はありますが、ソトニコワ選手の優勝は然るべきものだと思います。
 とまあ、採点についてばかり書いてしまいましたが、何にせよソトニコワ選手の演技はシニアに上がってからの演技の中でベストのものでした。団体戦のメンバーに選ばれず悔しい思いをしたからこその、見返してやるという気持ちが迫力となって表れた、攻めの演技でした。オリンピック女王になったとはいえ、まだまだ若いですから、五輪女王というかせに囚われることなく、攻めていってほしいですね。金メダル獲得、本当におめでとうございました!


 銀メダルを獲得したのは、前回バンクーバー五輪の覇者、韓国の金妍兒(キム・ヨナ)選手です。

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 ショートの音楽はミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』より「悲しみのクラウン」。冒頭は3ルッツ+3トゥループのコンビネーションジャンプ、これを完璧に成功させると、3フリップもクリーンに着氷、2アクセルもまとめました。得点は74.92点、パーソナルベストには及ばないものの、高得点でショート1位となりました。

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 フリーはアストル・ピアソラのタンゴ「アディオス・ノニーノ」。まずは3ルッツ+3トゥループを前日同様、パーフェクトに決め、3フリップ、3サルコウ+2トゥループと、力みのないジャンプを次々に成功。後半のジャンプもスムーズに着氷していき、ステップシークエンスでは全身を大きく使ったしなやかな滑りを披露。演技を終えた金選手はホッとしたような表情を見せました。得点は144.19点、総合2位で五輪2連覇を逃しました。
 トップ選手が集まる国際大会の出場は、昨年の世界選手権以来でしたが、そのブランクを感じさせないさすがの安定感でしたね。ただ、ショートもフリーも全体的に演技に濃密さが無いかなと感じました。バンクーバー五輪の時の何が何でも金メダルを取るんだという、演技全体から滲み出る迫力、力強さが今大会の金選手からは感じられず、相変わらず身体の使い方は上手くて綺麗は綺麗なのですが、圧倒するような凄みはなかったかなと思います。また、技術的にも3つのコンビネーションジャンプの内、2つを前半に持ってきている上、3ルッツは2つ跳んでいますが3フリップは1つ、苦手な3ループは1つも入れておらず、あとは3サルコウや2アクセルといった難易度の低いジャンプが2つずつという構成なので、どうしてもソトニコワ選手には劣ってしまいます。ステップやスピンでもレベルの取りこぼしがあるので、そう考えると2位という順位は尤もな結果だと言えそうです。
 競技後、金選手は現役引退の意思を表明しました。長年、韓国フィギュア界をリードし、1人で国民の期待を背負ってきた金選手。今後は全てのものから解放されて、マイペースに頑張ってほしいと思います。銀メダル獲得おめでとうございました。そして長い間お疲れさまでした。


 3位となったのはイタリアのカロリーナ・コストナー選手。

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 ショートはまず、団体戦から難度を上げた3フリップ+3トゥループに挑戦、クリーンに成功させると、3ループ、2アクセルも綺麗に着氷。コストナー選手らしい無駄な力の入らないスケーティングで「アヴェ・マリア」の荘厳な雰囲気を表現、終始柔らかな表情で演じ切りました。得点は74.12点、団体戦ショートでマークした自己ベストを大きく上回り、3位となりました。

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 フリーは昨季のプログラムに戻した「ボレロ」。3+3は構成に入れませんでしたが、2アクセル+3トゥループを確実に成功。後半最初の3ループは着氷でこらえ気味になり少し減点されますが、その後のジャンプはしっかりと着氷。一番の見せ場となった終盤のステップシークエンスは、ゆったりとした動きでありながらも細かなエッジワークを使い分け、スピード感溢れる滑りでレベル4を獲得、GOEでも高評価。スピンも全てレベル4とし、フィニッシュしたコストナー選手は、満面に笑みを浮かべました。得点は142.61点、こちらも自己ベスト更新で、初めて五輪のメダルを手にしました。
 メダリスト3選手はそれぞれショート、フリーともにほぼノーミスの素晴らしい演技をしましたが、中でも最も技術と表現のバランスが良く、魅せる演技をしていたのは誰かと問われると、個人的にはコストナー選手を挙げます。コストナー選手のフリーは、3+3が入っておらず、3ルッツ、3フリップといった比較的高難度のジャンプも1つずつしか跳んでいないので、ジャンプ構成的にはソトニコワ選手や金選手には及びません。ただ、ステップ、スピンと全てレベル4を取れていて、その分全エレメンツの基礎点合計は金選手を上回っています。そして芸術性という点でも、剛と柔を合わせ持つ美しい身のこなし、重厚さと軽やかさが融合した丁寧なスケーティングは、「ボレロ」という単調なメロディの音楽を見事に表現していたと思います。
 金メダルとまではいかなくても、銀に届いていてもおかしくない演技だったと思うので、ちょっと残念な気もするのですが、それでもトリノ五輪9位、バンクーバー五輪16位と起伏の激しいスケート人生を送ってきたコストナー選手の3回目の五輪が、このような形で報われて本当に良かったです。銅メダル獲得、おめでとうございました。


 4位にはアメリカ女王、グレイシー・ゴールド選手が入りました。

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 ショートプログラムはシーズン途中に変更したグリーグの「ピアノ協奏曲」。まずは大技3ルッツ+3トゥループを完璧に決め、2つのスピンを挟んで、後半に2つのジャンプ要素を固める構成。3ループはクリーンに成功させますが、2アクセルで着氷に乱れがあり減点されます。が、スピンではレベル4を揃えるなど、ミスを最小限に抑えた演技で得点は68.63点、4位発進となります。

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 フリーも冒頭に3ルッツ+3トゥループを組み込み、きっちり成功。続く2アクセル+3トゥループのコンビネーションジャンプも決めて上々の滑り出しとなりますが、後半1発目の3フリップで転倒。その後はミスを重ねることなくしっかり立て直し、「眠れる森の美女」の優雅な旋律に乗せて伸びやかな滑りを見せました。得点は136.90点、パーソナルベストでフリー5位、総合4位となりました。
 ミスが出てしまったのは残念でしたが、1つミスをしてもそれを他のエレメンツに波及させない安定感、演技をまとめる力がついてきたなという印象ですね。ただ、やっぱりフリーの得点は高すぎかなと思います。ゴールド選手は団体戦フリーにも出場していますが、そこではミスらしいミスのない演技をして129.38点だったんですよね。それが個人戦フリーでは転倒という明らかな失敗があったにもかかわらず、団体戦のスコアを大幅に超える136.90点。特に演技構成点は6点以上アップしています。ミスはあったけれど良い演技をしていたのだと言われればそれまでなんですが、ミスがあった演技の方が得点が高いというのはやはり解せないところです。フリーの最終グループで演技した選手はおおむねハイスコアだったので、ゴールド選手もそのルールに当てはまったということなのでしょうが……。
 何はともあれ、アメリカ王者として存分に実力を発揮したゴールド選手。3月の世界選手権も期待しています。


 5位はロシアのユリア・リプニツカヤ選手です。

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 団体戦での大活躍で一躍注目を集めることとなったリプニツカヤ選手。最初の3ルッツ+3トゥループはさすがの安定感でクリーンに着氷し、2アクセルも難なく降りましたが、後半の3フリップがダウングレード(大幅な回転不足)でまさかの転倒。得意のスピンは全てレベル4を獲得したものの、演技を終えたリプニツカヤ選手は顔を曇らせました。得点は65.23点、5位となりました。

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 5位からの逆転メダルを図ったフリー。大技3ルッツ+3トゥループはいつもどおりに成功、2アクセル+3トゥループ+2トゥループの3連続ジャンプも決めて、前日の悪い流れを払拭したかのように見えました。が、後半の3ループがアンダーローテッド(1/2以内の回転不足)でステップアウト、3サルコウも転倒とミスを連発。ラストは代名詞のスピンで観客を沸かせたリプニツカヤ選手でしたが、本来の演技はできず、ショートに引き続き苦いフリーとなりました。得点は135.34点、フリー6位、総合5位で大会を終えました。
 団体戦であれだけの演技をしていただけに、この演技内容は意外でした。ただ、団体戦でショート、フリーと大車輪の働きをしたことが悪い方に転がってしまったという感じですね。団体戦メンバーに選ばれなかったことが幸いしたソトニコワ選手とは対照的な結末となりました。こういった点からも、やはり団体戦の問題点が浮き彫りになりましたし、日本スケート連盟も各国の連盟と協力して、個人戦の後に団体戦を行うように国際スケート連盟に働きかけていくようですので、ソチ五輪で得た教訓を次回の平昌五輪にぜひ生かしてほしいですね。
 リプニツカヤ選手の話からちょっと逸れましたが、団体戦で大注目を浴びたことで、ソチから一度戻ったモスクワでも取材攻勢を受けて大変だったようです。オリンピックでの注目のされ方というのは、ほかの国際大会でのものとは全く異質なものでしょうから、今まで経験したことのないストレスを感じたかもしれません。その点では可哀相でしたね。次の世界選手権では、もう少しリラックスしたのびのびとしたリプニツカヤ選手の演技が見られることを祈っています。


 6位となったのは日本の浅田真央選手です。

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 団体戦ショートに出場、その際は3アクセルがダウングレードで転倒するミスがあった浅田選手。その3アクセルの行方が注目されましたが、回転し着氷したかに見えたもののあえなく転倒、団体戦同様の出だしとなります。続く3フリップは一見クリーンなジャンプでしたが、高さ、思い切りに欠け、わずかに回転不足の判定。スピンは落ち着いてこなしましたが、後半の3ループ+2ループのファーストジャンプが2回転に。セカンドジャンプをつけられず、コンビネーションジャンプにならず。本来の演技には程遠い、予想外のショートプログラムとなりました。得点は55.51点、16位というメダルが遠のく得点、順位で翌日のフリーを迎えることに。

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 第2グループの最終滑走者として臨んだフリー。冒頭は今シーズン完璧な成功は一度もない3アクセル。スピードに乗って跳んだジャンプは見事成功、ランディングの流れもスムーズで美しくパーフェクト。続いても3フリップ+3ループという浅田選手しか取り入れていない難しいコンビネーションジャンプ。2つ目のジャンプがアンダーローテッド(1/2以内の回転不足)判定となったものの、ほぼ完璧な回転と着氷。3ルッツもロングエッジ(踏み切り違反)ではありましたがしっかりまとめて、文句なしの前半となりました。そして後半も、まずは2アクセル+3トゥループをきっちり着氷、その後も3サルコウ、3+2+2、3ループと次々にジャンプを降りると、クライマックスはリンクを縦断する激しいステップシークエンス。細かなツイズルやターンをこなしながらも、スピードの落ちることのない疾走するようなステップを披露。最後のエレメンツ、コレオグラフィックシークエンスを終えると会場は割れんばかりの拍手に包まれました。天を仰いだ浅田選手の目からは幾粒もの涙がこぼれ落ちましたが、それをぐっとこらえた浅田選手はパッと花が咲いたように笑い、観客の歓声に応えました。得点は142.71点、自己ベストをマークし、フリー3位、総合6位にまで順位を上げました。
 “事実は小説より奇なり”とよく言いますが、まさかのショートから最高のフリーへという展開は、まさにドラマよりドラマチックなものでした。
 ショートプログラム、今季あれだけ安定した演技をしてきた浅田選手の見たことのないような失敗を目にした時、オリンピックというのはこれほどまでに彼女に重く伸し掛かっていたのだと思い知らされました。浅田選手自身、オリンピックに来てみて初めて、自分が背負ってきた荷物の重さに気づいたのではないかと思います。しかし、フリースケーティングでの浅田選手は、緊張感を湛えつつも、1つ1つジャンプを成功させていく度に、1個1個荷物を捨てて身軽になっていくが如く、プログラムが進むごとに解放されてゆくような演技を見せました。どん底にまで落ちてしまったショートから一日で気持ちを切り替えるのは容易ではなかったでしょうし、ただテレビで観戦しているだけの私でさえショックを受け、このまま浅田選手の心が折れてしまったらどうしようと思ってしまいましたが、見事に吹っ切って、素晴らしい演技をしてくれましたね。
 結果としては、メダルを取る可能性が充分あった選手がメダルを逃してしまったわけなので、甘さ、弱さを指摘されても仕方がないとは思います。ただ、一般的な成功・不成功の基準が、その選手個人にとっての成功・不成功と完全に一致しているかといえばそうではないでしょう。浅田選手はバンクーバー五輪で銀メダルを獲得しましたが、フリーでミスがあり喜びよりも悔しさが残る試合となりました。“メダルを取る”という価値評価基準でいえば、浅田選手のバンクーバー五輪は成功ですが、浅田選手にとっての価値評価基準でいえば、不成功の色合いが強い五輪だったのではないでしょうか。そして今回のソチ五輪、浅田選手はメダルを逃し、結果的、順位的には不成功に終わりました。ただ、バンクーバー五輪のフリー演技でのミスが悔恨となっていた浅田選手にとって、ソチのフリー演技は4年前の悔しさを晴らす満足の演技となり、彼女自身の評価としては、「最高の演技をする」という目標を達成することができた、成功の五輪になったのではないかと思います。他者から見た評価も大切かもしれませんが、浅田選手のオリンピックは浅田選手のもの、浅田選手のスケートは浅田選手のものです。選手本人がどのように納得し、どのように自らを評価するかということが、選手にとって最も重要なことでしょう。
 浅田選手はリスクの高いジャンプ構成で最高の演技をすることを目指し、ショートでは失敗し、フリーでは成功させました。リスキーな選択が悪い方にも、良い方にも転びました。結果のみで判断するならば、それは間違った戦略、選択であったという言い方もできます。しかし、その戦略、選択が浅田選手自身に対して正しい道であったということを、フリーのフィニッシュでの浅田選手の笑顔が何よりも物語っています。
 3月には日本開催の世界選手権が控えており、浅田選手は予定どおり出場することを明言。その後の去就については世界選手権後、落ち着いてから考えたいとのこと。どんな道を歩むにせよ、これからも浅田選手らしく、自分自身に対して正しい道を進んでいってほしいと思います。オリンピック、お疲れさまでした。


 7位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手です。

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 ショート冒頭は3フリップ+3トゥループのコンビネーションジャンプ。きれいに着氷したかに見えましたが、セカンドジャンプがダウングレード(1/2以上の回転不足)と判定され大幅に減点を受けます。その後は後半に固めた2つのジャンプ要素、全てレベル4で揃えたスピンなど、演技をまとめました。得点は65.21点、6位につけました。

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 フリーはシーズン途中に変更した「サムソンとデリラ」。冒頭はショート同様、3フリップ+3トゥループに挑みましたが、3トゥループがやはり回転不足となってしまいます。その後も次々とジャンプを成功させ、勢い、気迫みなぎる演技を披露。フィニッシュしたワグナー選手はガッツポーズを見せましたが、ところどころで細かなミスを取られる部分があり、得点は127.99点で伸び切らず、総合7位となりました。
 一気に得点が跳ね上がった最終グループで演技したワグナー選手でしたが、そのわりには厳しめの採点でしたね。転倒といった大きなミスがあった選手でも130点を超えるというインフレーションの中で、ワグナー選手は120点台後半というある意味普通のハイスコア。団体戦ショートに出場した際は、あまりにも演技構成点が低く、個人戦ではその点は元通りになっていましたが、相対的に他選手のハイスコアぶりと比べると、低めだなという印象は拭えませんね。
 3+3という得点源となる大技が1度もクリーンに決まらなかったことが、ワグナー選手にとっては痛かったかもしれませんが、ワグナー選手らしい力強い演技はよくできていたと思います。世界選手権も楽しみにしています。


 
 「ソチ五輪・女子―アデリナ・ソトニコワ選手、ロシア女子初の五輪金メダル獲得(その1)」は、とりあえずここで終了です。8位以下の選手については、次の記事で書きたいと思います。


:女子シングルメダリスト3選手のスリーショット写真は、AFPBB Newsが2014年2月21日の10:56に配信した記事「ソトニコワが女子シングルで金メダル、ソチ五輪」から、ソトニコワ選手の写真、金選手の写真、コストナー選手のフリーの写真、ゴールド選手の写真、リプニツカヤ選手の写真、ワグナー選手の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、コストナー選手のSPの写真は、国際スケート連盟のフィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、浅田選手の写真は、毎日新聞のニュースサイト内の写真特集「ソチ五輪 フィギュアスケート女子」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-02-26 16:19 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ソチ五輪もいよいよ大詰め。フィギュアスケートはアイスダンスが2月16日、17日にかけて行われました。
 アイスダンスで優勝したのは、アメリカのメリル・デイビス、チャーリー・ホワイト組。金メダルの呼び声高かったカップルが、順当にチャンピオンとなりました。2位はカナダのテッサ・ヴァーチュー、スコット・モイヤー組。バンクーバー五輪の金メダリストでしたが、2連覇とはなりませんでした。3位となったのは地元ロシアのエレーナ・イリニフ、ニキータ・カツァラポフ組。初めての五輪メダル獲得となりました。

Olympic Winter Games 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 金メダルを獲得したのは、現世界王者、アメリカのメリル・デイビス、チャーリー・ホワイト組です。

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 ショートダンスの演目は映画『マイ・フェア・レディ』より。まずはミッドラインステップから。最初からスピードに乗ったなめらかな滑りで、GOE(出来栄え点)では3点という高い加点を得ます。その後も、完璧に揃ったツイズル、フィンステップ、リフトと、終始流れの途切れない素晴らしい演技を見せ、2人は納得の表情。得点は78.89点、自己ベストかつ、世界歴代最高得点をマークし、首位に立ちました。
 それにしても見事な演技でした。映画の劇中曲「踊り明かそう」を全体的に散りばめたプログラムですが、まさに“踊り”を見ているという感覚で、スケート靴を履いて氷上で競技を行っているんだということを感じさせない優雅さ、美しさでしたね。

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 最終滑走者となったフリーも圧巻の演技でした。リフト、ステップ、スピンなど、レベル判定がなされないコレオリフト以外は全てレベル4。「シェヘラザード」のドラマチックかつ壮大な旋律に乗って、2人の滑りはぐんぐん勢い、力強さを増していきます。その中にも情感たっぷりな雰囲気があり、洗練された細やかさがあり、引き込まれました。華々しいフィナーレとともにフィニッシュした2人は、満面に笑みを湛えました。得点は116.63点、こちらも世界歴代最高得点を叩き出し、念願のオリンピックの金メダルを手にしました。
 ショート、フリーともに世界チャンピオンらしい、さすがの演技でしたね。4年前のバンクーバー五輪はGPファイナルを制し、優勝を目指し乗り込んだのですが、地元カナダのヴァーチュー&モイヤー組に敗れて2位。そこからの4年間、五輪の金メダルを手にするために全てをかけてきたわけですから、精神的なプレッシャーが無いわけはないと思ってしまうのですが、全くと言っていいほど自分たちの私情みたいなものを演技に出さず、とにかくプログラムの世界観を表現することに徹していましたね。その強靭な精神力には本当に感服します。
 また、アメリカのアイスダンス選手が五輪で優勝するのは初めてということで、新たな金字塔をアメリカフィギュアスケート界に打ち立てたことになります。来季以降、2人がどんな道を歩むのかはまだ分かりませんが、大きな夢を叶えたことで、完全燃焼したという気持ちもあるかもしれません。3月の世界選手権にも派遣される予定となっていますが、果たして出場してくるでしょうか。とりあえず、まずはゆっくり休息を取ってほしいですね。
 オリンピック優勝、おめでとうございました!


 2位は前回、バンクーバー五輪で金メダルを獲得した、カナダのテッサ・ヴァーチュー、スコット・モイヤー組。

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 ショートはステップから始まり、ヴァーチュー&モイヤー組らしい洗練された正確なエッジワークを見せます。団体戦の時には珍しくミスがあったツイズルもピタリと合い、リフト、スピンと2人らしい演技を披露しました。フィンステップで唯一、レベル3があった以外はレベル4を獲得。得点は76.33点で自己ベストには及ばないものの、高得点で1位のデイビス&ホワイト組に食らい付きます。

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 フリーはこれまでの2人を表現するプログラム。穏やかな旋律の中、ダイナミックでありながらエレガントな技の数々を繰り広げます。ショートではひとつレベルの取りこぼしがありましたが、こちらは全てレベル4を揃えました。演技を終えた2人は静かに微笑み、満足したような様子。得点は114.66点、これまでの自己ベストを上回り、後にデイビス&ホワイト組に更新されましたが、この時点での世界歴代最高となるハイスコアをマークしました。
 最終的にはデイビス&ホワイト組に5点近くの差をつけられ、2位に終わったとはいえ、ほとんど差のない素晴らしい演技でした。ドラマチック、または華やかなフリープログラムが多い中で、このヴァーチュー&モイヤー組の作品はどちらかというと派手さのない穏やかなもの。2人の演技も大々的にエネルギッシュに踊るというよりは、全体的にとてもゆったりとした静穏な雰囲気で、大人の滑りといった感じでした。もちろん五輪2連覇を狙っていたとは思うのですが、バンクーバーで頂点に立ったカップルだからこその、余裕がうかがえる演技でしたね。フィナーレの2人の表情も、全てのプレッシャーとか困難から抜け切ったような、ほかのカップルとはまた違う笑顔で印象に残りました。
 金メダルには届かなかったですが、やるべきことをすべてやり尽くしたという演技だったと思います。銀メダル獲得、おめでとうございました。


 3位にはロシアの若手カップル、エレーナ・イリニフ、ニキータ・カツァラポフ組が入りました。

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 ショートはフィンステップから入る構成。これを確実にこなし、ミッドラインステップはレベルこそ3となりますが、若い2人らしい躍動感と落ち着きが混在した滑り。ツイズル、リフトもしっかりレベル4を取り、納得の演技。得点は73.04点、これまでのパーソナルベストを4点近く更新し、3位発進となりました。

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 フリーはロシアを代表するバレエ「白鳥の湖」。冒頭のコンビネーションリフトはGOE(出来栄え点)で3点という最高評価。サーキュラーステップはレベル3でしたが、スピード感溢れる滑りと見応えのある技で観客を魅了。最後まで勢いと迫力は衰えず、フィニッシュした2人は歓喜を爆発させました。得点は110.44点で、団体戦フリーでマークした自己ベストを7点近く上回り、銅メダルを獲得しました。
 それにしてもイリニフ&カツァラポフ組がここまでやるとは、という感じですね。世界選手権でも2012年の5位が最高、欧州選手権でも2年連続の2位、ロシア選手権でもまだ優勝したことはなく、ロシアチャンピオンのボブロワ&ソロビエフ組に期待が集まっていました。その分、イリニフ&カツァラポフ組はあまりプレッシャーが無く、思い切りできたのかもしれません。とはいえ、ジャンプの成否や大技のあるなしといった違いの出にくいアイスダンスで、これだけ一気に得点が上積みされたのは驚きですね。
 また、王道のロシア音楽「白鳥の湖」ということもあり、観客の盛り上がりぶりが凄かったですね。「白鳥の湖」らしい振り付け、動き、エッセンスが所々に散りばめられ、アイスダンスというよりバレエそのものを見ているかのようでした。
 まだ若いカップルですから、この銅メダルをきっかけに、さらなる躍進を目指してほしいと思います。次の世界選手権も期待しています。


 惜しくも表彰台には及ばず、4位となったのはフランスのナタリー・ペシャラ、ファビアン・ブルザ組。

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 ショートは息の合ったツイズルから入り、ステップ、フィンステップ、スピンと小気味よい音楽を全身で表現、ペシャラ&ブルザ組らしい艶やかな大人の演技を披露しました。得点は72.78点、自己ベストを更新し4位となります。

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 フリーはショートから一転、「星の王子さま」をモチーフにした明るく楽しいプログラム。ツイズル、リフト、スピンと最高難度のレベル4を重ね、唯一サーキュラーステップでレベル3となったものの、確実にエレメンツをこなしていきます。滑りも伸びやか、ファンタジックかつアーティスティックな世界を氷上に描き出しました。得点は104.44点、こちらも自己ベストでしたが、メダルには届かず4位で大会を終えました。
 演技後、ペシャラ&ブルザ組は3月の世界選手権には出場せず、ソチ五輪をもって現役を引退することを表明しました。また、インタビューの中でブルザ選手は、「私たちはポイント(演技の得点)よりも、人々を喜ばせることが好き」と話し、自分たちの演技に与えられる得点に対して失望を表し、3位のイリニフ&カツァラポフ組が急激に得点を伸ばしたことについても、驚きを表しました。ペシャラ&ブルザ組からしたら、本当に最高の演技をしたという手応えを得たはずですし、スコアにもかなり期待の持てる内容だったと思います。それだけに、思ったほど伸びなかったなという感じだったのでしょうね。
 悲願を叶えられなかったのは残念でしたが、2人の演技はとても心に残るものでした。長年アイスダンス界を引っ張ってきたカップルの引退は寂しいですが、これからも新たな道で頑張ってほしいですね。お疲れさまでした。


 5位となったのはロシアのエカテリーナ・ボブロワ、ドミトリー・ソロビエフ組。

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 ショートはミスらしいミスなく、エレメンツをしっかりこなしていきましたが、ステップ、ツイズルなどで狙ったレベルを取れないところもいくつかあり、完璧な演技とはなりませんでした。得点は69.97点、団体戦ショートでマークした自己ベストにわずかに及ばず、5位につけます。

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 フリーは欧州選手権を欠場して急遽用意した新プログラム「ハーモニカの男/トスカ」。男性のソロビエフ選手がまるで人形のようなうつろな無表情、それをボブロワ選手がリードするという独創的な幕開け。最初のリフトを確実に決め、続くツイズルもまとめますがレベルは3という判定。その後もミスらしいミスなく、モダンな雰囲気漂う作品の世界を全身で表現。レベル判定がなされる技を全てレベル4で揃えることはできませんでしたが、自国の期待と重圧の中、最後まで見事に演じ切った2人は感極まった表情を見せました。得点は102.95点、パーソナルベストを更新し5位となりました。
 ロシア王者として迎えたソチ五輪。ボブロワ&ソロビエフ組は当然メダルを狙っていたでしょうし、そのために欧州選手権を欠場してまでプログラムを新たに作りました。今回は残念ながら表彰台には届かず、また、ロシア2番手であったイリニフ&カツァラポフ組に追い越されてしまったという悔しさもあるのではないかと想像しますが、ボブロワ&ソロビエフ組もショート、フリーともに自己ベストを更新しているわけで、何が悪いということはなかったと思います。ただ、イリニフ&カツァラポフ組は今シーズン、国際大会でぐんぐん得点を伸ばしていて勢いがあり、一方ボブロワ&ソロビエフ組は得点的には伸び悩んでいる感がありました。だからこそ、フリープログラムを一新してそれに賭けたのでしょうが、イリニフ&カツァラポフ組の勢いはそれ以上のものでしたね。
 3月の世界選手権では、きっと良い結果がついてくることを願っています。


 6位はイタリアのアンナ・カッペリーニ、ルカ・ラノッテ組。

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 ショートは映画『四十二番街』より。冒頭のツイズルはピタリと合わさった鮮やかな回転。2つのフィンステップでは一つはレベル4、一つはレベル3となり、サーキュラーステップもレベル2と判定されてしまいますが、2人の弾けるような陽気さが音楽の雰囲気と見事にマッチし、終盤に向けてどんどん勢いを増していきました。得点は67.58点、パーソナルベストには及ばず6位発進となります。

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 フリーはイタリアを代表する歌劇「セビリアの理髪師」。ショート同様ツイズルから始まり、確実に決めます。続くサーキュラーステップはレベル3となりますが、コンビネーションリフトはGOE(出来栄え点)で2点という高い加点。その後も壮大かつ華やかな旋律に乗って、ダイナミックな演技を披露しました。得点は101.92点、惜しくも自己ベストには0.11点届きませんでしたが、6位入賞となりました。
 こちらもベテランらしい余裕と落ち着きのある素晴らしい演技でしたね。イタリアの太陽を思わせる陽気さがありながらも、高貴なエレガントさも持ち合わせたカッペリーニ&ラノッテ組。次の世界選手権も楽しみにしています。


 7位はカナダのケイトリン・ウィーバー、アンドリュー・ポジェ組。

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 ショートの演目はカッペリーニ&ラノッテ組と同じ、映画『四十二番街』。ツイズル、フィンステップ、ステップと大きなミスなくこなしていきますが、レベル2、3という取りこぼしが目立ち、また、リフトの規定時間超過による減点1もありました。得点は65.93点、自己ベストより5点ほど低い得点となってしまいました。それにしても、カッペリーニ&ラノッテ組と同じ曲を使用していても(アレンジは違いますが)、演じる選手によってこんなにも違う印象になるものなんだなと改めて感じました。そこまで有名、定番の楽曲というわけではないと思うので、かぶるのも珍しいですが、カッペリーニ&ラノッテ組の「四十二番街」は明るく、どこかコミカルさもある楽しいプログラム。他方、ウィーバー&ポジェ組の「四十二番街」は、よりシックでエレガンスさのあるプログラム。それぞれに異なった魅力があって良かったですね。

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 フリーはまず最初にサーキュラーステップ、細かなエッジワークで勢いに乗り、高い加点を得ます。その後もスピン、リフトと鮮やかにエレメンツをこなしていき、2つのステップでレベル3だった以外は、全てレベル4を揃え、前日の取りこぼしを挽回します。全体的な流れもスムーズでスピードがあり、タンゴの音をうまくとらえた情熱的な演技を見せました。得点は103.18点、パーソナルベストに迫るハイスコアでフリー5位、総合7位となりました。
 オリンピック初出場で7位入賞となったウィーバー&ポジェ組。まだ若いカップルですので、これからの活躍がますます楽しみになってきましたね。世界選手権でも好演技ができるよう、願っています。


 8位に入ったのは、アメリカのマディソン・チョック、エヴァン・ベイツ組。

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 ショートは往年のアメリカを意識したようなプログラム。冒頭のツイズルはきっちり合わせレベル3となりますが、次のフィンステップではレベル2となり、予定していたレベルに届きませんでした。しかしミスらしいミスはなく、終始のびのびと元気いっぱいに演じ切りました。得点は65.93点、8位につけます。

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 フリーはミュージカル「レ・ミゼラブル」。冒頭のコンビネーションリフトはスムーズな流れ、かつダイナミックな技でレベル4、2.43点という高い加点を獲得。ショートではレベル3という判定だったツイズルもレベル4。全体的に完成度の高い、そして若さ溢れる溌剌とした滑りを見せました。得点は99.18点、パーソナルベストを更新し、笑顔のキス&クライとなりました。
 初めてのオリンピックでしたが、その緊張を感じさせない生き生きとした演技をしていましたね。こちらもまだまだ成長してくるであろう、そして次世代のトップを争うであろうカップルなので、この五輪での経験を糧に頑張ってほしいと思います。


 日本のキャシー・リード、クリス・リード組はショート21位で、惜しくもフリーに進めませんでした。

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 全24組中、第1滑走としてリンクに登場したリード姉弟。冒頭のツイズルはしっかりとした回転と2人のユニゾンでレベル4の判定、さらに加点を得ます。フィンステップ、ステップはレベル2、3。演技途中、キャシー選手が少しバランスを崩す場面がありましたが、最後のリフトはきちんとレベル4を取り、納得の演技となりました。得点は52.29点、団体戦ショートよりわずかに上がったものの、フリー進出のラインとなる20位のカップルに0.39点差で後塵を拝し、ショート敗退となってしまいました。
 初出場のバンクーバー五輪ではフリーに進出した実績のあるカップルですし、積み重ねてきた実力もあるので、フリーには行けるはずと思っていたのですが……残念です。でも、誰よりそのことを悔しく思ったのはキャシー選手、クリス選手本人でしょうね。
 公式ブログでキャシー選手は、アイスダンスでは1番滑走者は得点を抑えられる傾向にあること、だから1番は嫌だなーと感じたのだと吐露。その嫌な予感が的中した形となりました。フィギュアスケートは採点競技ですから、キャシー選手が言うようなことはやはりあるのだろうなとは思います。ブログでの語り口からすると、キャシー選手はかなり意気消沈し、落ち込んでしまったようですが、偶然会ったファンの人や周囲にいたロシアの人々などに励まされ、元気をもらったようです。フリーに進めなかった悔しさは簡単に拭えるものではないでしょうが、団体戦でも個人戦でも2人はとても良い演技をしました。それを誇りに思って、3月の世界選手権でも2人らしい演技を見せてほしいと思います。オリンピック、お疲れさまでした。



 さて、アイスダンスの記事は以上となります。やはりデイビス&ホワイト組、ヴァーチュー&モイヤー組は変わらず強かったなという印象ですね。表彰台にイリニフ&カツァラポフ組が食い込んだのはちょっと意外でしたが、ボブロワ&ソロビエフ組も含め、このアイスダンスでもロシア勢の強さは目立ちました。このオリンピックを節目に、アイスダンス界の勢力図が今後どう変化していくのかも楽しみです。
 選手の皆様、お疲れさまでした。そして素敵な演技をありがとうございました。


:アイスダンスメダリスト3組の表彰台の写真、デイビス&ホワイト組のフリーの写真、ヴァーチュー&モイヤー組のフリーの写真、イリニフ&カツァラポフ組の写真、ペシャラ&ブルザ組の写真、ボブロワ&ソロビエフ組の写真、カッペリーニ&ラノッテ組の写真、ウィーバー&ポジェ組の写真、チョック&ベイツ組の写真、リード&リード組の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、デイビス&ホワイト組のSDの写真は、「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、ヴァーチュー&モイヤー組のSDの写真は、「canada.com」が2014年2月17日の3:22に配信した記事「Fans can ‘draw their own conclusions’ about marks for Virtue and Moir: Skate Canada’s Slipchuk」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-02-22 03:22 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 前記事に引き続き、ソチ五輪男子シングルの結果、演技について他愛もない感想を書いていきたいと思います。(「ソチ五輪・男子―羽生結弦選手、日本男子初の五輪金メダル獲得(その1)」はこちらです。)

Olympic Winter Games 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表を見られます。

*****

 8位はドイツの実力者、ペーター・リーバース選手。

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 団体戦ショートにも出場し、その際には自己ベストを更新している好調なリーバース選手。この個人戦ショートでも、4トゥループ+3トゥループを完璧に成功、3アクセル、3ルッツと全てのジャンプを着氷すると、表現力豊かにのびのびと演技し、フィニッシュでは満足感を漂わせました。得点は86.04点、団体戦でマークした自己ベストを6点以上更新し、満面に笑みを浮かべました。

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 フリーもショート同様、冒頭に4回転を組み込んできたリーバース選手でしたが、こちらはあえなく転倒。しかし3アクセル+3トゥループの難しいコンビネーションジャンプは確実に着氷、続く3ルッツも成功で演技を何とか立て直します。が、後半1発目の3アクセルも着氷で乱れ、3ループでも小さなミス、細かなミスが積み重なり、満足の演技とはならず。それでも得点は153.83点でパーソナルベスト、五輪での3回の演技全てで自己ベストを更新する素晴らしい結果となりました。
 フリーはショートほどクリーンな演技にならなかったのは残念でしたが、25歳にして初のオリンピックで、百戦錬磨の強豪たちを抑えての入賞。実のところ、リーバース選手がここまで存在感を示すとは想像していなかったので、驚きつつも楽しませてもらいました。今シーズンは久しぶりにGPシリーズに参戦、2戦とも7位でしたが、1月の欧州選手権では自己最高位の6位となっていて、ぐんぐん調子を上げてきていました。その上での五輪ですから、うまくピークを合わせた、ハマったのだなという感じですね。世界選手権でも、リーバース選手らしい演技を楽しみにしています。


 9位となったのは、アメリカの若手、ジェイソン・ブラウン選手。

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 ショートは最初に3アクセル、これをパーフェクトに決め、続く3+3も流れのある美しいランディング。後半の3ルッツでは片手を上げる難しい跳び方でしっかり着氷すると、ステップシークエンスではプリンスの「クエスチョン・オブ・ユー」の艶めかしい独特の世界観を、見事なフットワーク、そして全身をバランス良く使ったしなやかかつ大きな動きで表現。会場を大いに盛り上げる会心の演技となりました。得点も86.00点でパーソナルベストとなり、キス&クライは歓喜に満ちました。
 翌日のフリーは最終滑走者となったブラウン選手。まずは2アクセルから始まり、続く3アクセルは詰まり気味の着氷、強引に3トゥループをセカンドに付けましたが回転不足となります。さらに単独の3アクセルも高さが足りず回転不足に。後半も3+1+3でミスがあり、また、2アクセルを一度跳ぼうとしてタイミングが合わず、改めて跳び直したために失敗した技をやり直したという判定、最後に跳んだ3ループがジャンプの跳び過ぎ違反で0点となってしまいました。それでもブラウン選手は気持ちを切らすことなく、最後まで彼らしく明るい、エネルギッシュな滑りを披露。ラストスケーターとして競技を締めくくりました。得点は152.37点、フリー11位、総合9位となりました。
 今大会さまざまなドラマがあった男子シングルの中でも、ブラウン選手は大きな輝きを放った選手の1人ではないでしょうか。ショートでは完璧な演技で観客を魅了し、フリーではミスこそあったものの、最終滑走者として充分に役割を果たしました。日本のネット上でもブラウン選手の話題でかなり盛り上がっていて、彼の演技、キャラクターのファンになった人は多かったのではないかと思います。ある意味、陰の主役かもしれません。
 最終的には入賞に一歩届かず、フリーではジャンプでの思い切りに欠けて順位を落としてしまったとはいえ、ジャンプの成否を忘れさせてくれる圧倒的な存在感、唯一無二のオリジナリティー溢れる演技はとても心に残りました。ジャンプだけではない、プログラム全体で“魅せる”というフィギュアスケートの本質、醍醐味を改めて感じさせてくれました。このような“魅せ方”ができるスケーターは若手にはそうそういませんから、これからの成長、そしてどんなプログラムをまた作ってきてくれるかが今から楽しみですね。残念ながら世界選手権は補欠なので、五輪が今季のブラウン選手の見納めになるとは思うのですが、また来シーズンもマイペースで頑張ってほしいと思います。


 12位となったのはアメリカのベテラン、ジェレミー・アボット選手。

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 ショートは冒頭に4トゥループを入れてきましたが、大幅に回転が足りず前のめりに転倒、そのままリンクのフェンス際に横たわり、10秒以上痛みで立ち上がれなくなってしまいました。音楽だけが鳴り響く中、誰もがこのまま棄権かと思った時、やおらにアボット選手が身体を起こし、演技を再開しました。そして3+3をクリーンに決めると、3アクセルもこらえ、終盤のステップシークエンスではアボット選手らしい滑らかなスケーティング、軽やかなエッジワークを見せ、演技を終えると控えめながらも微笑みました。得点は72.58点、転倒で演技がしばらく中断した影響で、演技構成点の方も低くなってしまいましたが、痛みを抱え、それでも最後まで諦めずに滑り切ったアボット選手には、盛大な拍手が送られました。
 翌日のフリー。冒頭の4回転は3トゥループに。続く3アクセル+3トゥループは完璧なランディング、3フリップ+2トゥループもまとめます。後半も3アクセル、3+2+2など、予定どおりのエレメンツを堅実にこなし、壮大さと繊細さが融合した滑りで、「エキソジェネシス交響曲」の世界観を存分に見せてくれました。フィニッシュしたアボット選手は珍しく力強いガッツポーズ、得点も160.12点で、5年ぶりにパーソナルベストを更新しました。
 前日のショートで激しく転倒、腰を痛めてしまったため、一部ジャンプ構成を変更して臨んだアボット選手。しかしその影響を感じさせないほぼパーフェクトといって良い素晴らしい出来。ほとんどの選手が何かしらミスを犯し減点がある中で、アボット選手は唯一マイナス要素のない演技内容でした。棄権も危ぶまれたショートから、気持ちを切り替え、ここまで持ってきた精神力の強さが光りましたね。
 今シーズンでの現役引退を表明しているアボット選手。世界選手権での演技が多分ラストになるのだろうと思います。悔いなく、完全燃焼できるよう祈っています。


 13位となったのはフランスのブライアン・ジュベール選手。

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 ショートの曲はシーズン途中に変更した、シルク・ドゥ・ソレイユのショー『アマルナ』より「Mutations」。まず4トゥループ+3トゥループに挑み、しっかりと成功。続く3アクセル、3ルッツも難なく決めて、波に乗ります。ステップシークエンスはレベル2との判定でしたが、ジュベール選手らしさ満載で、豪快かつ激しい動きで魅せ、フィニッシュではパワフルなガッツポーズで満足感を爆発させました。得点は85.84点、思ったほど伸びませんでしたが、ショート7位の好位置につけました。
 フリーは4回転からの連続ジャンプでしたが、4トゥループの着氷で少し乱れが出て、セカンドジャンプは2回転に。ですが、次の単独の4トゥループはパーフェクトに決めます。3アクセルでは若干のミス、後半も3ルッツがダブルになったり、3フリップでロングエッジ(踏み切り違反)を取られたりと、ミスが相次ぎましたが、全体的にジュベール選手の色はよく表れた濃厚な演技となっていました。得点は145.93点、フリー14位で、総合13位で大会を終えました。
 順位や得点だけを見れば、取り立てて目立つものではありませんが、ショートもフリーもジュベール選手らしさが発揮された見応えのある演技でした。ブライアン・ジュベールという選手は、かっこよさがありつつも、常にどこか洗練されすぎない、スタイリッシュになり過ぎないダサさがあって、それが現代の男性スケーターの中では貴重な、男らしい男の雰囲気、男臭さに繋がっているのだと思います。このソチ五輪での演技も、ミスこそありましたが、終始“ジュベール選手らしかった”という意味では一貫してぶれていなくて楽しませてもらいました。
 フリーの競技の後、ジュベール選手は現役引退を表明しました。世界選手権に出るのか出ないのか詳しいことは分からないのですが、五輪が見納めということになるのでしょうか。旧採点法時代から活躍し続けている馴染みのあるスケーターがいなくなってしまうというのは淋しいのですが、最後の最後まで自分らしい演技、そして4回転にこだわり続け、魅了してくれたジュベール選手にはお疲れさまでしたと言いたいですね。素晴らしい演技、ありがとうございました。


 15位はカナダのケヴィン・レイノルズ選手です。

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 ショートは2本の4回転を構成に組み込んだレイノルズ選手。1本目は単独の4サルコウでしたが、若干の回転不足で転倒、2本目の4トゥループ+3トゥループは着氷しますが、ランディングでのミス。3アクセルも回転が足りずに転倒してしまいます。プログラムはAC/DCのノリノリなロックミュージックで、何とか演技を立て直そうとしますがステップシークエンスでも少しつまずく場面があり、レベル2の判定。演技を終えたレイノルズ選手はがっかりした様子で肩を落としました。得点は68.76点で17位発進となります。
 フリーも4回転は3本の構成。団体戦では見事に3本とも成功させています。まず1本目の4サルコウは前日同様に回転不足、2本目の4トゥループも回転不足でしたが、3連続のコンビネーションジャンプとします。続く3アクセルでもやはりミスが出てしまいました。後半に入り、3本目の4トゥループは成功としましたが、ほかのジャンプでミスがチラホラあり、納得の演技とはなりませんでした。得点は153.47点でフリー10位、総合15位に終わりました。
 団体戦のフリーでは完璧に3本の4回転を決めていたので、調子は良いんだなと思っていたのですが、練習の好調さが本番に必ずしも繋がらないのがスポーツの難しさですね。今後はより、4回転の精度を高めていくことになるのでしょうが、まだまだ若いですし、クリーンに成功した時のレイノルズ選手の4回転は誰のものよりも美しいので、これからも頑張ってほしいと思います。


 ロシア代表として団体戦に続き、個人戦に臨んだエフゲニー・プルシェンコ選手は、ショートプログラムの演技の直前で棄権となりました。

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 ショートプログラム第2グループの直前練習、グループの1番滑走として登場する予定だったプルシェンコ選手は、リンク上で数回ジャンプを跳んで状態を確かめていましたが、3アクセルを跳び、続いて2アクセルを跳んだあと、腰に手を当てたまま氷上で立ち尽くし、ほとんど動かなくなりました。その時から、あれっという感じはありましたが、練習時間が終了しプルシェンコ選手の名が会場にコールされると、プルシェンコ選手はジャッジの元へ行き、棄権の意思を説明。その後リンクの中央へ行き、観客に向かって手を広げ、棄権するということを伝えました。
 個人戦前から、身体の状態を鑑みて棄権するのではないかという憶測もあったものの、無事にショートプログラムに姿を現したので安心したのですが、やはり相当疲労はたまっていたのですね。棄権後にコメントしたプルシェンコ選手は、前日の練習で転倒し腰の状態が悪化したこと、ショート当日の練習で様子を見るつもりだったがジャンプがうまく跳べなかったこと、直前練習で3アクセルを跳んだ際に脚に痛みを感じ、耐えられなくなったことを明かしました。
 元々何度も手術を行い、満身創痍の中でのこのオリンピックだったので、不安が現実のものになってしまったという感じですね。しかし、そんな状態でも団体戦であれだけ安定したジャンプを見せ、チームを引っ張り金メダルをもたらしたというのは、エフゲニー・プルシェンコという選手の凄さを、今更ながら思い知された気がします。
 そして2月13日、プルシェンコ選手は現役引退の意向を表明しました。ああいった結末になってしまったことはとても残念ですが、団体戦の金メダルという素晴らしい宝物を得たことで、清々しさもあるフィナーレという感じがします。充分に有終の美といえるのではないでしょうか。
 たくさんの財産をフィギュアスケート界に残してくれたプルシェンコ選手。ゆっくりじっくり休んで、また元気な姿を見せてほしいと思います。長年お疲れさまでした、そしてありがとうございました。



 男子シングルの記事は以上です。羽生結弦選手の、日本男子初、かつ、アジア人初の金メダルという快挙がありましたが、メダルを取った選手、上位の選手のみならず、メダルには遠く及ばなかった選手たちの中にも、本領を発揮し、競技を盛り上げてくれた選手が多くいました。4回転時代といわれる男子フィギュア界ですが、これからどうなっていくのか、ますます楽しみですね。
 選手の皆さん、お疲れさまでした。また、素晴らしい演技を届けて下さって、ありがとうございました。


:男子シングルメダリスト3選手のスリーショット写真、リーバース選手のフリーの写真、レイノルズ選手の写真は、国際スケート連盟のフィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、リーバース選手のSPの写真は、AFPBB Newsが2014年2月14日の9:27に配信した記事「フィギュア男子SPで5位のリーバース、ソチ五輪」から、ブラウン選手の写真、アボット選手の写真、ジュベール選手の写真、プルシェンコ選手の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-02-18 01:27 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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※2月26日、高橋大輔選手について、追記しました。

 ソチ五輪フィギュア、ペアに引き続き、男子シングルの競技が2月13日、14日に行われました。
 男子を制したのは日本の羽生結弦選手です! 日本勢としてはトリノ五輪の荒川静香さん以来、2人目の優勝、日本男子としては初の快挙です。2位はカナダのパトリック・チャン選手。カナダ男子として5人目のメダリストとなりました。3位に入ったのはカザフスタンのデニス・テン選手。こちらはカザフスタン勢として初の表彰台となりました。

Olympic Winter Games 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 1位となったのは、日本の羽生結弦選手です!

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 ショートプログラムは圧巻というしかない素晴らしい演技でした。冒頭の4トゥループはいつもどおりの安定感、高い加点を得ます。スピンを挟んだ後半、難しい跳び方をする3アクセルはこちらもパーフェクト。団体戦では軸が曲がってしまった3ルッツ+3トゥループのコンビネーションジャンプもしっかりまとめて、ジャンプは全て完璧。終盤のステップでも羽生選手らしい溌剌とした滑りを見せました。フィニッシュすると、羽生選手は納得の笑みを浮かべ、観客の大歓声に応えました。そして高得点が期待される中、出た得点は驚異の101.45点。国際大会初の100点超えとなり、普段はクールな羽生選手もこの時ばかりは全身で喜びを表現し、拳を力強く握り締めました。
 団体戦の時も圧倒されましたが、それ以上のものでしたね。精神的な余裕ということで言えば、団体戦と個人戦どちらの方がリラックスしていたのかは分からないのですが、羽生選手らしく、生き生きと楽しみながら滑れていたように見えました。そして何といっても初の100点超。スコアが演技、選手の価値を決めるわけではありませんが、一つの大台ですから、私も嬉しく感じました。団体戦の時はロシア選手以外、全体的に得点が抑えられていたので、個人戦はどうなるのかと注目していましたが、あれだけの演技を五輪でされれば、やはり100点を与えないわけにはいかないという感じでしょうか。

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 そして初の300点超えも視野に入れて臨んだフリー。冒頭は今シーズンほとんど試合で成功させられていない4サルコウ。回転はし切ったものの着氷でこらえきれず転倒。続く4トゥループは相変わらずの安定感でクリーンに成功。が、3フリップで珍しく軸がぶれ、両手を氷に付き転倒扱いに。波乱の前半となります。ステップシークエンスは本来の動きよりはセーブしたような印象。後半に入って最初の3アクセル+3トゥループは完璧な着氷。2本目の3アクセル+2トゥループは少しぐらつきます。3ルッツ+1ループ+3サルコウは、1ループの場面でリズムが崩れ、何とか3サルコウに繋げたもののスムーズな3連続にはなりませんでした。しかし演技終盤、体力が尽き、脚が動かない中でも、羽生選手の気持ちは切れず。最後の最後まで力強く、魂のこもった演技を見せてくれました。得点は178.64点、パーソナルベストには程遠い得点となってしまいましたが、この時点で1位、最終的にも1位となりました。
 4サルコウの転倒はある意味いつもどおりのことなので、さほど驚きはなかったのですが、羽生選手にとっては簡単なジャンプなはずの3フリップでのミスはビックリしましたね。後半も珍しく小さなミスがチラホラありましたが、精神的疲労がいつも以上に体力を奪っていったんじゃないかなという感じがしました。それだけオリンピックという重圧が選手に与える影響は大きいのですね。
 羽生選手自身は、ミスが複数出てしまったことに悔しさを露わにしていましたが、それでも金メダルは金メダルです。他選手も同じくらいか、もしくはそれ以上に多くミスを犯していたわけで、その中で最も技術的に高いレベルで、最も良い演技をしたのは羽生選手でした。なので、堂々と胸を張って、金メダルを誇りにしてほしいと思います。
 3月には世界選手権もあるので(多分予定どおり出るのかな)、本格的に休息を取ることはまだできないとは思いますが、じっくり疲れを癒やして次の試合に臨んでほしいと思います。金メダル獲得、本当におめでとうございました!


 銀メダルを獲得したのは、現世界王者、カナダのパトリック・チャン選手です。

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 団体戦はいくつかミスが出て90点台に届かなかったチャン選手。どう切り替えてくるか楽しみでしたが、冒頭の4トゥループ+3トゥループはさすがの安定感、見事に決めました。しかし苦手としている3アクセルは団体戦同様のミスでマイナスとなります。後半はきっちり立て直し、ステップでもスピンでもチャン選手らしさを見せましたが、演技が終わってもチャン選手の表情は硬いまま。得点が97.52点と出て、ようやく顔をほころばせ、喜びを表しました。

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 1位の羽生選手と僅差で迎えたフリー。冒頭に組み込んだ4トゥループ+3トゥループはショートに続いてパーフェクトに成功、出来栄え点も全てのジャッジが+3をつけ、3点という驚異的な加点を得ます。しかし2本目の4トゥループは珍しくバランスを崩す着氷、続く3アクセルもステップアウトし、乱調の出だしとなります。ステップシークエンスはスピードがありながらも繊細さもあるエッジワークでレベル4となりますが、後半1発目の3ルッツ+1ループ+3サルコウは3サルコウがダブルに。その後は淡々とジャンプをこなし立て直したかに見えましたが、ラストジャンプの2アクセルでもまさかのステップアウト。終盤は前半の勢いもなくなって、最後のスピンではいつもどおりの回転ができませんでした。演技を終えたチャン選手は落胆した様子で、キス&クライでは祈るような表情で得点結果を待ちましたが、得点は178.10点でフリー2位。総合でも羽生選手には及びませんでした。
 チャン選手の滑走の直前、羽生選手の演技が行われ、そのスコアが会場内に発表されていました。それを見聞きしたチャン選手にとって、そのスコアは勇気づけられるものだったでしょうし、これはいけると思ったのではないかと想像します。チャン選手の顔は演技前も演技が始まってからも厳しく、しかし4+3がクリーンに決まったことで確実に波に乗っていくと思ったのですが……。本当にオリンピックというのは恐ろしいですね。1つ決めた4回転も2本目はうまくいかず、2アクセルという簡単な2回転でもミスをしてしまう。ラストはスピードも落ちてしまいましたし、最後までチャン選手らしい演技が見られませんでした。
 チャン選手は世界選手権3連覇という輝かしい成績を収めている選手ですが、だからこそ金メダルを取って当然というプレッシャーがあったでしょう。それでも、向かうところ敵なしで自信に満ちた状態で五輪に臨めれば、まだその重圧をコントロールできたのでしょうが、“羽生結弦”という存在があまりにも大きかったのかもしれません。シーズン前半では、羽生選手がチャン選手を意識しすぎて負けていたのが、シーズン後半ではチャン選手が羽生選手を意識せざるを得なくなったというのは皮肉ですね。
 競技後のフラワーセレモニー、表彰台で鼻を赤くして瞳を潤ませているチャン選手を見ていたら、どれだけのものを彼は背負っていたのだろうと思いを馳せてしまいました。望んで世界王者になったとはいえ、世界王者であり続けるというのも辛いものなんでしょうね。チャン選手はインタビューで、「終わって肩の荷が下りた。一人になって、初めて自分と会話できるかも」と話しました。ゆっくり休んで、またチャン選手らしい演技を見せてくれたらと思います。


 3位となったのはカザフスタンのデニス・テン選手です。

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 ショートではまず、4トゥループに挑んできましたが転倒で大きな減点に。次の3アクセルはきれいに決めましたが、後半の3+3は3+2になり、ここでも得点をロスする結果となりました。得点は84.06点でショート9位となります。

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 第3グループの1番滑走となったテン選手。冒頭の4回転は完璧なランディングとはならなかったものの、しっかりと着氷して成功させます。続く3アクセル+3トゥループ、単独の3アクセルと、この難しい2つのジャンプ要素をパーフェクトに決め、勢いに乗ります。後半はさらに力強さを増し、3+1+3、3+2など、確実にジャンプを降り、フィニッシュしたテン選手は納得の表情でリンクを後にしました。得点は171.04点、まずまずのハイスコアでショートの9位から、フリー3位、総合3位と五輪のメダルを勝ち取りました。
 ショートで大きな失敗をしたことで下位に沈んだものの、3位まで2.92点という僅差の中、諦めずにフリーを最小限のミスでまとめたテン選手が、最終的に表彰台に上がりました。フリーは必ずしも完璧ではありませんでしたが、とにかく全体をまとめたという点でテン選手に勝機があったということでしょう。
 それにしても、正直テン選手がこのソチ五輪でメダルを手にするとは思いませんでした。確かに昨シーズンの世界選手権メダリストではありますが、今季は怪我や体調不良、スケート靴の問題など、さまざまな不運に見舞われていて、全くといっていいほど本来の力を試合で発揮できていませんでしたから。先月の四大陸選手権でもミスが多くて、五輪には間に合いそうもないなという感じでした。しかし、見事にオリンピックにピークを合わせてきましたね。やはり昨季の世界選手権での経験が大きかったのでしょうね。メダル争いの中でどのような戦い方をすればよいか、どのように自分をコントロールすればよいか、世界選手権で得た経験が、彼を強くしたのだろうと思います。
 カザフスタンのフィギュアスケート選手として初めて、母国にメダルをもたらし、歴史に名を刻んだテン選手。ですが、まだまだ若いですから、これからもチャレンジャーとして頑張ってほしいですね。


 4位はスペインのハビエル・フェルナンデス選手。

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 ショート冒頭は4サルコウからでしたが、ステップアウトで不完全なジャンプに。3アクセルはきっちりまとめましたが、後半の3+3でもミスがあり、得点を伸ばすことができず。スコアは86.98点、3位につけました。

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 フリーは4回転を3本組み込んでくるかどうかが注目されたフェルナンデス選手。1本目は単独の4トゥループ、これをまず完璧に着氷し、4トゥループ+2トゥループもクリーンにこなしますが、3アクセルは若干の減点。そして後半、3本目の4回転に注目が集まりましたが、ここは安全策を取り3サルコウに。続く3+2は2+2、3+1+3も最後のジャンプがダブルとなり、細かなミスが重なります。ラストジャンプの3サルコウを跳び終え、スピンで演技を締めくくったフェルナンデス選手は何とも言えない表情を見せました。得点は166.94点、予想外の低い得点に、フェルナンデス選手は顔をしかめました。
 このフェルナンデス選手のフリー、最後に跳んだ3サルコウがノーカウント、つまり0点になってしまったんですね。なぜそうなったかと言うと、フリーではコンビネーションジャンプは3回までしか跳んではいけないことになっており、フェルナンデス選手はまず4+2で1つ目、2+2で2つ目、3+1+2で3つ目ということなるんですが、後半最初に跳んだ3サルコウが単独ジャンプ、そして最後に跳んだ3サルコウも単独ジャンプということで、同じ種類のトリプルジャンプを2つ跳ぶ場合は、どちらか1つをコンビネーションにしなければいけないという規定に引っ掛かってしまったんですね。こうなると、2つ目の3サルコウは採点上はコンビネーションジャンプとして扱われ、そのためにフェルナンデス選手はコンビネーションを4つ行ったということになり、ルール違反で跳んだ4つ目のコンビネーション、最後の3サルコウは要素として認められず、0点になったというわけです。本来ならば、1本目の3サルコウは4サルコウのはずでしたが、メダルを取るために、あえてそれをトリプルにした。でもそこで、3サルコウを2つとも単独で跳ぶとルール違反になるという規定を忘れてしまっていたという、フェルナンデス選手にとって悔やんでも悔やみきれないミスかもしれません。メダルのための戦略が裏目に出てしまったのですから。こういう形のミスは今季のGPシリーズロシア大会でもあったので、残念です。
 五輪での悔しさは五輪でしか挽回できないでしょう。その4年後に繋ぐためにも、3月の世界選手権では、フェルナンデス選手らしい演技を見せてほしいと思います。


 5位には日本の町田樹選手が入りました。

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 ショートはまず4トゥループからのコンビネーションジャンプでしたが、ファーストジャンプの着氷で前のめりになりセカンドジャンプを2回転にし、まとめました。続く3アクセルはパーフェクトに決めましたが、後半の3ルッツがすっぽ抜けてダブルになるというまさかのミス。得点は83.48点で伸びず、11位発進となりました。
 4回転のミスはある程度想定できましたが、3ルッツでのミスは本当にまさかでビックリしました。団体戦で一度五輪の空気を味わい、好演技ができていたので大丈夫だろうと思っていたのですが、やはり個人戦はまた緊張のレベルが違うんですかね。でも、順位は11位ですが、3位に3.5点差という非常に僅差の中、メダルを狙える位置につけました。

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 今シーズン、フリーは2本の4回転を構成に入れ、安定して成功させてきた町田選手。が、1本目の4トゥループが珍しく転倒となってしまいます。しかし、2本目の4トゥループは決め、2トゥループをつけてしっかりコンビネーションジャンプにしました。そして3アクセル+3トゥループも完璧に着氷し、演技を立て直します。ステップシークエンスを挟んだ後半も、ところどころ不安定な着氷はありましたが、確実にジャンプを降りていき、最後まで気持ちのこもった「火の鳥」を披露、悔しさと納得が入り混じった表情で演技を終えました。得点は169.94点、フリー4位で、総合5位に順位を大きく上げました。
 町田選手はプログラムを“芸術作品”としてとらえ、五輪では完璧に滑って作品として完成させることを目指していましたが、残念ながら両方ともミスが出てしまい、ベストの演技とはなりませんでした。しかし、「エデンの東」も「火の鳥」も、町田選手の心、滑ることが楽しいという気持ちが伝わる演技でした。また、ショートで11位と出遅れて、フリーでも初っ端から転倒して、気持ちが切れてしまってもおかしくないのに、あれだけ集中して作品の世界を表現できていたのは素晴らしかったです。
 私としてはまだまだ町田選手には現役を続けてほしい、競技者としてもっと見ていたいという希望がありますが、やっぱりアスリートとしては今季がラストなんですかね……。これだけ競技の世界で表現者として魅力を持っているスケーターはそう多くないですし、技術的にもさらに伸びていきそうな気がするんですが。今はとにかく疲労を取って、次の世界選手権では「エデンの東」も「火の鳥」も完成させられることを願っています。


 6位となったのは日本の高橋大輔選手です。

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 ショートの冒頭は4トゥループでしたが、大幅な回転不足で両足着氷となります。しかし次の3アクセルは流れのあるランディング、後半の3+3もしっかりとまとめます。曲が最高潮に盛り上がるステップシークエンスは、細かなエッジワークと全身を大きく使ったダイナミックな動きとが融合、高橋選手らしい滑りを見せました。得点は4回転のミスが響いて86.40点となりますが、僅差での4位となります。
 なかなか練習から4回転が決まらず、本来のジャンプを跳ぶことはできませんでしたが、ジャンプのミスを忘れさせる素晴らしい演技でした。プログラムの楽曲に関するアクシデントもあり、高橋選手にとっては余計な邪魔が入った形になりましたが、演技を見ている間はただただ作品の世界に没頭してしまって、現実世界の問題のことなど全く頭に思い浮かびませんでしたね。ただ、このプログラムは今回の五輪で見納めになる可能性があるとのこと。やはりトラブルがまとわりつく楽曲を使い続けるのは難しさもあるでしょうしね。宮本賢二さんが作ったこのプログラム自体は素晴らしく美しいものなだけに、残念です。世界選手権ではまた別のプログラムを用意するかもということですが、一から新たに作るというのは短期間で大変でしょうから、昔のプログラムを再使用するということになるんでしょうかね。(※追記:2月23日の段階では、世界選手権でも「ヴァイオリンのためのソナチネ」を使用する予定だそうです。)

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 そしてフリー。ショート同様、4トゥループに挑みましたが、ダウングレード(大幅な回転不足)で減点を受けてしまいます。2本目の4回転は回避し、3ルッツに。続く3アクセルも完璧に成功させます。タンゴアレンジの「カム・トゥゲザー」に乗せたステップシークエンスはキレのある動きとフットワークで観客を魅了。後半1発目の3アクセルからのコンビネーションジャンプは回転が足りずに着氷が乱れますが、その後は3+3を含め、次々とジャンプを成功。そしてクライマックス、リンクにSの字を描くようなコレオグラフィックシークエンスは圧巻の滑り。フィニッシュ後、全てを終えた高橋選手は、満足の笑顔とはいかなかったものの、納得した穏やかな笑みを浮かべました。得点は164.27点、フリー6位、総合6位となりました。
 フリーの「ビートルズ・メドレー」は本当に素晴らしかったですね。ミスは確かにありましたが、そんなこと関係なく、高橋選手らしさの表れた演技になっていたと思います。何といっても、演技中の今まで見せたことのないくらいの優しい笑顔が心に残りました。バンクーバー五輪の時とも違う、世界選手権でメダルを取った時や、GPファイナルで優勝した時とも違う、良い意味で力の抜けた、何かから解放されたかのような、高橋選手本来の笑顔、そう感じました。それは、バンクーバー五輪で銅メダリストとなって、その後ソチ五輪まで現役を続ける道を選んで、いろんな苦しみや怪我を乗り越えたからこその、あれだけの美しい笑みだったのだと思います。
 最終的な結果で言えば、3位まで本当に小差だったので、何か1つミスの仕方が違えば、3連続コンビネーションジャンプがあれば、メダルに届いていた可能性もあるので少し惜しい気もするんですが、どの選手よりも美しく、伸びやかに、輝いていたのは高橋選手でした。素敵な「ビートルズ・メドレー」をありがとうございました。3月の世界選手権も、楽しみにしています。


 7位に入ったのは中国の新星、閻涵(ヤン・ハン)選手。

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 団体戦ショートでは素晴らしい演技でチームに貢献した閻選手。個人戦も冒頭は得意の3アクセル、パーフェクトな高さ、飛距離、スピードで、相変わらずの見ごたえあるジャンプを決めます。が、続く4トゥループでミス、3+3でも着氷で微妙にこらえる形となり、わずかにマイナス評価。それでも団体戦のスコアを上回って、85.66点、ショート8位につけました。

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 フリーも最初のジャンプは3アクセル、今シーズンフリーではなぜか失敗することが多かったのですが、ここではきっちり決め、上々のスタート。続く4トゥループ+3トゥループ、3フリップ+2トゥループと次々にジャンプを成功させ、波に乗ります。しかし後半冒頭の3ループがシングルに、3ルッツの着氷で少し乱れが出るなど、後半でチラホラミスが散見され、前半の勢いを終盤まで繋げることはできませんでした。それでも得点は160.54点、パーソナルベストをマークし、トータルでも自己ベスト更新、7位入賞で大会を終えました。
 ショート、フリーともにミスが複数あったので、大きく得点を伸ばすことはできなかったのですが、ベテラン、中堅どころ含め強豪勢の中で、フリー全体をまとめて入賞という結果を残したことは、今後の閻選手にとって大きな財産になるでしょうし、何といっても4年後にソチでの経験が生きてくるのではないかと思います。世界選手権でも、活躍を期待しています。



 ここまで、男子シングルの1~7位の選手について書きましたが、文字数制限が来てしまいました。8位以下の選手についてもまだまだ書きたいなーと思う選手がいますので、「ソチ五輪・男子―羽生結弦選手、日本男子初の五輪金メダル獲得(その2)」に続けます。


:男子シングルメダリスト3選手のスリーショット写真は、AFPBB Newsが2014年2月15日の12:11に配信した記事「羽生、フィギュアで日本男子初金メダルの快挙」から、羽生選手の写真、チャン選手のフリーの写真は、スポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、チャン選手のSPの写真、テン選手のフリーの写真、フェルナンデス選手のフリーの写真、町田選手の写真、高橋選手のフリーの写真、閻選手のSPの写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、テン選手のSPの写真は、AFPBB Newsが2014年2月14日の9:21に配信した記事「フィギュア男子SPで9位のデニス・テン、ソチ五輪」から、閻選手のフリーの写真は、AFPBB Newsが2014年2月15日の8:42に配信した記事「ハン・ヤン、フィギュア男子シングルで7位 ソチ五輪」から、フェルナンデス選手のSPの写真は、スペインのスポーツ情報ウェブサイト「SPORTYOU」が2014年2月14日の19:40に配信した記事「Cuarta posición de Javier Fernández en Sochi」から、高橋選手のSPの写真は、毎日新聞のニュースサイト内の写真特集「ソチのヒーロー:高橋大輔 (フィギュアスケート)」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-02-17 03:10 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ソチ五輪、フィギュアスケートの個人戦が始まり、まずはペアが2月11日、12日にかけて行われました。
 ペアを制し、五輪チャンピオンとなったのはロシアのタチアナ・ボロソジャー、マキシム・トランコフ組。2006年のトリノ五輪以来、2大会ぶりにロシアにペアの金メダルをもたらしました。そして、2位にもロシアのクセニア・ストルボワ、ヒョードル・クリモフ組が入り、ロシアのワンツーフィニッシュというフィギュア王国ロシアの復活を印象付ける結果となりました。3位はドイツのアリオナ・サフチェンコ、ロビン・ゾルコビー組となり、バンクーバー五輪に続いて銅メダルを獲得しています。

Olympic Winter Games 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 金メダルを獲得したのは、現世界王者、ロシアのタチアナ・ボロソジャー、マキシム・トランコフ組です!

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 ショートプログラムはツイスト、ジャンプ、スロージャンプ、リフトなど、全ての要素を完璧にこなし、レベル4を揃えました。得点は84.17点、自身が持つ世界歴代最高得点を更新する会心の演技となりました。
 団体戦でも演じた「仮面舞踏会」。そちらも物凄い完成度と素晴らしさで、これを上回る演技をたった数日後にできるのかどうかという楽しみもありましたが、さすが世界王者の風格と貫禄漂う演技でした。女性ボロソジャー選手の気品あふれる美しさと、男性トランコフ選手のダイナミックさが絶妙に合わさり、本当に“仮面舞踏会”の風景が氷上に見えるかのようでしたね。女性と男性が2人で演じるペアの醍醐味を改めて感じさせてくれる演技、プログラムでした。

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 そして翌日のフリー。演目はミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」。抜群の高さを誇るトリプルツイストから始まり、3サルコウ、3トゥループ+2トゥループとそれぞれのソロジャンプをクリーンに成功させていきます。後半冒頭のスロー3ループは、ボロソジャー選手が少し体勢を崩す着氷となりましたが、こらえ、その後も次々とエレメンツを完璧にこなしました。フィニッシュすると、ボロソジャー選手は顔を両手で覆って感激を表し、トランコフ選手は豪快なガッツポーズを見せました。得点は152.69点で、わずかにパーソナルベストには及ばず、トータルでも世界歴代最高得点には届きませんでした。しかし、他選手を大きく引き離す断トツのハイスコアで、2人は満面に笑みを浮かべました。
 こちらもショート同様素晴らしい演技でしたね。得点的には自己ベストを更新することは出来なかったのですが、いつもよりちょっぴり硬さがあったのかなという気もしましたが、身体はよく動いていましたし、何とも言えない緊張感がプログラムの荘厳な雰囲気とも相まって良かったですね。
 このボロソジャー&トランコフ組の前の滑走が、同じロシアのストルボワ&クリモフ組で、こちらが本当に最高の演技をして盛り上がっていたので、同国の仲間とはいえ、国内のライバルに負けられない、失敗は出来ないという緊張感も感じられました。
 また、今シーズンは圧倒的な力を誇り、GPシリーズ初戦のアメリカ大会で世界歴代最高得点をマークしたわけですが、その後は少しずつ得点が下がっている状況でした。そしてGPファイナルではミスが複数あり、ドイツのサフチェンコ&ゾルコビー組に後塵を拝する2位となっていました。ピークを早く持ってきてしまい、いちばん重要な試合で本来の力が発揮できないというパターンはよくあることですから、その点が少し不安だったんですが、見事に五輪で最高の演技をしましたね。
 2人がソチ五輪後、競技を続けるのかどうかは分かりませんが、地元ロシアでの金メダルは、記録以上に記憶に残る演技となったのではないでしょうか。本当におめでとうございます!


 2位となったのは、同じくロシアのクセニア・ストルボワ、ヒョードル・クリモフ組です。

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 ショートはの曲は「Surrender」。ツイストやデススパイラルでちょっとしたレベルの取りこぼしがあったものの、完成度の高い演技を見せ、75.21点の自己ベストをマーク、3位につけました。

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 フリーはコミカルでスタイリッシュさもある「アダムズ・ファミリー」で挑んだストルボワ&クリモフ組。冒頭のツイストはショート同様レベル2という判定。しかし続くスロージャンプは難度の高い3フリップ、見事に着氷します。さらに3+2+2の3連続コンビネーションジャンプも2人の息がピタリと合い、クリーンに成功。その後も勢いは衰えることなく、次々と完璧にエレメンツをこなしました。演技が終わると2人は達成感いっぱいの表情で、歓喜を爆発。得点は143.47点でこちらもパーソナルベスト。トータルでももちろん自己ベストを更新し、内容でもスコアでも、五輪で最高の演技となりました。
 最終グループの1番滑走で登場したストルボワ&クリモフ組でしたが、メダル争い終盤の緊張感が満ちた空気を、一気に自分たちの世界に変えましたね。エレメンツのクオリティーの高さもそうですが、それ以上に2人の明るさ、五輪ということを忘れさせるような伸びやかさとプログラムの楽しさが印象に残りました。ボロソジャー&トランコフ組には得点的には及びませんでしたが、会場を盛り上げる、観客を引き込むという意味では、負けず劣らずの演技だったと思います。
 そして、ロシアの1、2位独占は、長野五輪以来の快挙。ボロソジャー&トランコフ組の頑張りはもちろんですが、ストルボワ&クリモフ組の急成長がなければ、達成できなかったことでしょう。銀メダル獲得、おめでとうございました。


 3位となったのは、バンクーバー五輪の銅メダリスト、ドイツのアリオナ・サフチェンコ、ロビン・ゾルコビー組です。

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 ショートの演目は「ピンク・パンサー」。出場したすべての大会を制した10/11シーズンのフリープログラムの再演です。冒頭のスロー3フリップは見事な高さとランディングで2点近い加点を得ます。その後、ツイスト、デススパイラルではレベル4を取ることは出来ませんでしたが、ほぼパーフェクトと言ってよい演技内容。得点は79.64点で、昨年のGPファイナルでマークした自己ベストを上回りました。
 かつての名プログラム、自らの代表作ともいえるプログラムをショート用に作り直したわけですが、とても素晴らしかったですね。コミカルさを前面に押し出した作品で、なかなか演じるのが難しいように思うのですが、さすがサフチェンコ&ゾルコビー、単なる“コミカル”で終わらない見応えのあるプログラムとなっていました。

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 フリーはロシアの作曲家チャイコフスキーの名作「くるみ割り人形」。最初のスロージャンプはクリーンに決まりましたが、3トゥループからのコンビネーションジャンプはゾルコビー選手が転倒してしまい、セカンドジャンプに繋げられず。その後は立て直し、スピード感あふれる滑りとダイナミックな技を見せましたが、終盤のスロー3アクセルで再びの転倒。演技後、2人は落胆した様子でリンクを後にしました。得点を伸ばすことは出来ず、136.14点。フリー順位4位で、総合3位となりました。
 残念ながら複数ミスが出てしまいましたが、しかし何か清々しささえ感じられる2人の演技でした。演技最後に挑んだスロー3アクセルは、今シーズンは取り入れていなかった大技で、本来ならばスロー3サルコウでした。しかし、リスクを承知の上で、自分たちのできる最高レベルのものを出し切ろうという姿は、失敗にはなってしまいましたが、元世界王者としての矜持を感じました。
 2010年のバンクーバー五輪は世界選手権を連覇した圧倒的なチャンピオンとして臨んだものの、叶わず3位。そしてこのソチ五輪は、世界歴代最高得点を持つボロソジャー&トランコフ組に挑む形で金メダルを目指しましたが届きませんでした。世界選手権を4度制覇した実力、安定感は間違いなく世界トップレベルのものですが、そういった選手が必ずしも五輪のチャンピオンになれるとは限らないのが4年に1度の五輪の難しさですね。5度世界女王になったアメリカのミシェル・クワンさんもそうでした。ですが、サフチェンコ&ゾルコビー組が強いペアであることに変わりはありません。銅メダル獲得、おめでとうございました。


 4位は中国の実力者、龐清(パン・チン)、佟健(トン・ジャン)組。

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 ショートはそれぞれの選手が1人で跳ぶソロジャンプから始まり、完璧に着氷したかに見えましたが、アンダーローテッド(1/2以内の回転不足)判定となりました。しかしその他ではミスらしいミスは無く、ベテランらしい円熟味溢れる演技を披露しました。得点は73.30点で4位発進となります。

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 フリーの冒頭は2アクセル+2アクセルのジャンプシークエンスでしたが、2つ目がシングルになり減点されます。が、その後は安定してエレメンツをこなし、ツイストがレベル2となった以外は、全てのエレメンツでレベル4を獲得。1つミスはあったものの、全体的にまとまりのある演技となりました。得点は136.58点、フリー3位、トータル4位となります。
 惜しくも表彰台には及ばなかったのですが、ショート、フリーともに、龐&佟組の色がよく表れた演技になっていたと思います。滑りの端正さ、2人のユニゾン、ペアというアクロバティックな種目でありながらも繊細さのある演技は、ほかのペアとはまた一味違った魅力があり、印象に残りました。素敵な演技をありがとうございました。


 5位に入ったのはカナダのカーステン・ムーア=タワーズ、ディラン・モスコビッチ組です。

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 ショートは映画『ミックマック』より「パリジャンワルツ」。序盤はまずツイストを決めて上々のスタートとなりましたが、デススパイラルで細かいミスがあり小さな減点を受けてしまいます。が、そのほかではきっちりレベルを取り、得点は70.92点、パーソナルベストに迫る高得点で6位につけました。

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 フリーでも冒頭はツイストから始まり、これを完璧に決めます。3トゥループ+3トゥループのコンビネーションジャンプも成功させますが、続く3サルコウでモスコビッチ選手がダブルになるミス。次のデススパイラルもレベル2で取りこぼしてしまいます。しかしその後は見事に立て直し、全てレベル4を獲得。得点も131.18点でハイスコアとなり、ショート6位から5位に順位を上げました。
 プログラムは「フェリーニ・メドレー」ということで、ニーノ・ロータが作曲したフェデリコ・フェリーニ監督の映画作品のサウンドトラックを色々組み合わせた作品となっていますが、センチメンタルな風情もありつつも、2人の明るさがよく出ていて、特に演技中2人がずっと笑顔で楽しそうに滑っているのがとても印象的でした。というか、笑みがこぼれ出るのを抑えきれないという表情でしたね。それくらい素晴らしい演技ができていたと思います。5位入賞、おめでとうございました。


 6位となったのはロシアのべラ・バザロワ、ユーリ・ラリオノフ組。

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 ショートは冒頭に3トゥループを持ってきますが、ラリオノフ選手のジャンプがダブルとなります。続くツイストもレベル2、演技終盤のデススパイラルもレベル2と、チラホラ取りこぼしがあり、得点は69.66点で8位発進となりました。

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 フリーはロシアの作曲家ボロディンのオペラ『イーゴリ公』より「だったん人の踊り」。冒頭の3トゥループはバザロワ選手がこらえ気味の着氷になり、続く2アクセル+2アクセルのジャンプシークエンスはラリオノフ選手のセカンドジャンプが回転不足となります。その後はエレメンツを丁寧にこなし、ミスといえるミスはなく演技を終えました。得点は129.94点で、フリー6位、総合でも6位にアップしました。
 ショート、フリーともにジャンプで小さなミスが重なり、レベルの取りこぼしもいくつかあったのですが、バザロワ&ラリオノフ組らしい気品のある美しい演技ができていましたね。パーフェクトとはいかなかった分、2人の表情も複雑そうなところがありましたが、ショートの8位からしっかり切り替えたフリーは素晴らしかったです。まだ若いペアですので、これからも楽しみにしています。


 7位はカナダのメーガン・デュアメル、エリック・ラドフォード組。

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 ショートはツイスト、デススパイラルがレベル2となり、それぞれの選手が各自で跳ぶ3ルッツにもミスがありましたが、自己ベストに迫る72.21点でショート5位となりました。

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 表彰台まで僅差という中、メダルを目指したフリー。序盤はツイスト、3ルッツと上々の滑り出しを見せましたが、中盤の3サルコウからのコンビネーションジャンプでデュアメル選手がファーストジャンプで転倒してしまいます。終盤のスロー3ルッツでも氷に手を付き、最後のスピンでも2人の回転がずれるというミスがありました。得点は127.32点でショートから順位を下げる結果となりました。
 得点差がさほどない状況だっただけに、ミスが続いてしまったのはもったいなかったですね。珍しいミスもあり、五輪の緊張感に呑まれてしまったのかもしれません。7位入賞という結果は素晴らしいものだと思いますが、2013年の世界選手権で初めて表彰台に上り、メダル候補とされる中での7位ですから、本人たちからすれば悔しさの方が強いでしょうね。次の世界選手権では満足いく演技ができるよう、願っています。


 8位には中国の彭程(ペン・チェン)、張昊(ジャン・ハオ)組が入りました。

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 ショートは中国の香りが色濃く漂う映画『グリーンデスティニー』より。冒頭の3トゥループは2人の息がぴったりと合いパーフェクトなジャンプで高い加点を得ます。デススパイラル、スピン、リフトなど、レベルを確実に取り、流れの途切れない演技を披露しました。得点は70.59点で団体戦でマークした自己ベストにはわずかに及びませんでしたが、7位につけました。

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 フリーも中国を代表する名曲「黄河協奏曲」。冒頭のツイストは大技4回転で挑み、見事完璧に成功しましたが、続く3トゥループ、そして2アクセルとソロジャンプで彭選手がミスを連発、スピンでも細かなミスが出てしまいます。後半はしっかり立て直し、2つのスロージャンプやリフトなど問題なくこなしましたが、悔しさの残る演技となりました。得点は125.13点、8位となりました。
 フリーでミスが出てしまったとはいえ、本当に技術力の高いペアだなと改めて感じました。ショートは技術点だけ見れば上位3組に続く4位、まだペア結成から日が浅いために演技構成点は低いですが、それでもフリーで見せた4回転ツイストは本当に見応えがある美しいツイストでしたし、スロージャンプの余裕やランディングの流れも素晴らしかったです。
 ベテランの張選手はさすがの落ち着きでしたが、若い彭選手は初めてのオリンピックということでメンタルコントロールが難しかったのかもしれません。ですが、まだまだこれからのペアなので、どんどん表現力、一体感も磨いて、張選手が彭選手を引っ張っていく形で強くなっていくんだろうなと思います。世界選手権も頑張ってほしいですね。


 日本の高橋成美、木原龍一組はショート18位、フリーに進出することはできませんでした。

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 冒頭の3サルコウはこらえた着氷になり減点対象とはなりましたが、大きなミスにはせず。ツイスト、リフトもきっちりクリアし、スロー3サルコウもクリーンにはいかなかったもののまとめました。ステップ、スピンではレベル4を獲得し、フィニッシュした高橋選手は団体戦以上の大きなガッツポーズ。得点も48.45点で団体戦より高い得点となりました。
 フリーに進出できるのは上位16組、18位で残念ながらショート敗退とはなってしまったんですが、この独特の緊張感漂う五輪という大舞台でこれだけまとまった演技ができたというのは間違いなく次につながる、4年後に繋がることでしょう。
 NHKのペアフリーの生中継では、会場で観戦していた高橋&木原組が番組に登場し、自分たちの演技について、そして今後について話してくれました。その中で、高橋選手は五輪で得た手応えを、木原選手はパーソナルベストを更新できなかった悔しさを口にしました。また、2人は世界王者ボロソジャー&トランコフ組について、「対等に戦えるようになりたい」と意気込みを語りました。まだまだ技術力は低いペアですが、心の強さ、どんどんレベルアップしていきたいという向上心はどのペアにも負けないものだと思います。
 団体戦、個人戦ショートと、演技をするたびに強く、たくましくなっていった高橋&木原組。4年後に向けて、心強く、頼もしい存在です。ぜひ、3月の世界選手権では自己ベストを更新する演技ができるよう、応援しています。


 ということで、ペアはロシア勢のワンツーフィニッシュという輝かしいフィナーレで幕を閉じました。また、中国、カナダも2組ずつ入賞して、ロシアに続く強さ、ペア大国の存在感を誇示しましたね。
 選手の皆さん、素晴らしい演技の数々をありがとうございました。


:表彰台の写真、ボロソジャー&トランコフ組のフリーの写真、サフチェンコ&ゾルコビー組のフリーの写真、龐&佟組のフリーの写真、ムーア=タワーズ&モスコビッチ組のフリーの写真、バザロワ&ラリオノフ組のフリーの写真、デュアメル&ラドフォード組のSPの写真、彭&張組の写真、高橋&木原組の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、ボロソジャー&トランコフ組のSPの写真は、AFPBB Newsが2014年2月12日の9:51に配信した記事「ボロソジャー/トランコフ組が世界最高でペア首位発進、ソチ五輪」から、ストルボワ&クリモフ組の写真、サフチェンコ&ゾルコビー組のSPの写真は、スポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、龐&佟組のSPの写真、デュアメル&ラドフォード組のフリーの写真は、国際スケート連盟のフィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、ムーア=タワーズ&モスコビッチ組のSPの写真は、The Recordが2014年2月11日に配信した記事「Moore-Towers, Moscovitch sixth after pairs short program」から、バザロワ&ラリオノフ組のSPの写真は、エンターテインメントフォトウェブサイト「FABZZ」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-02-14 18:14 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 さて、ソチ五輪フィギュアスケート団体戦もいよいよ大詰め。女子フリーとアイスダンスフリーについてお伝えします。団体戦のルールはこちらの記事の冒頭に書きましたので、ご参考までに。
 女子フリーで1位となったのは、ロシアのユリア・リプニツカヤ選手です。ショートに続いての出場でしたが、こちらも素晴らしい演技で再び1位となりました。2位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手、3位はイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ選手です。
 また、アイスダンスフリーでは、アメリカのメリル・デイビス、チャーリー・ホワイト組が世界歴代最高得点を叩き出して1位、カナダのテッサ・ヴァーチュー、スコット・モイヤー組が2位、ロシアのエレーナ・イリニフ、ニキータ・カツァラポフ組が3位となっています。

Olympic Winter Games 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 女子フリーを制したのは、ロシアのユリア・リプニツカヤ選手です。

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 冒頭は3ルッツ+3トゥループをパーフェクトに着氷。続く2アクセル+3トゥループ+2トゥループの難しい3連続ジャンプもしっかりと決めます。その後も次々とクリーンにジャンプを成功させると、代名詞ともなっているスピンも全てレベル4。唯一、3ルッツ+2トゥループのルッツがロングエッジ(踏み切り違反)判定で減点された以外は、完璧といって良い出来。フィニッシュすると会場は大歓声の渦に包まれ、各国の応援ブースも総立ちで、リプニツカヤ選手を称えました。得点はなんと141.51点で、世界歴代2位となるハイスコア、自己ベストをマークしました。
 リプニツカヤ選手の結果いかんでロシアの優勝が決まるというプレッシャーのかかる局面で、本当に見事な演技でした。GPシリーズのロシア大会に出場した時には地元の期待に圧されてミスが複数出てしまったのですが、試合を重ねるごとにメンタル面も成長していて、五輪という特別な舞台でも実力を発揮できる強さを身につけましたね。
 ただ、少し気になるのは演技構成点の高さでしょうか。シーズン序盤では7点台半ばから後半が並んでいたのが、今回は8点台後半にまで伸びています。GPシリーズ初戦のカナダ大会フリーでは、5項目合計60.88点だったのが、団体戦フリーでは69.82点、たった数か月で9点も上がったことになります。普通、3か月余りという短い期間の中で、急激に基礎的な技術がアップする、一気に表現力が豊かになるというのは考えにくいです。確かにリプニツカヤ選手は著しい成長を遂げていますが、9点という点の上がり方は実力に見合ったものとは思えません。
 やはりホームアドバンテージかなという気がするのですが、欧州選手権で得点が急上昇しているので、その時点からオリンピックでのメダルを見据えて、得点をアップさせたという感じもしますね。やはり地元の選手にメダルはあげたいでしょうから。
 個人戦の前哨戦ともされる団体戦。このスコアがどのように、どれくらい反映されるのか注目ですね。また、リプニツカヤ選手の勢いはどこまで続くのか、そちらも楽しみです。


 2位はアメリカ女王グレイシー・ゴールド選手。

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 序盤に3ルッツ+3トゥループ、2アクセル+3トゥループの大技を固め、きっちりと決めてきます。後半も減点を受けたのはロングエッジになった3フリップくらいで、ミスらしいミスのない完璧な内容。フィニッシュするとホッとしたような笑みを浮かべました。得点は129.38点でパーソナルベスト、初めての五輪でチームに多大な貢献をしました。
 多少いつもより硬さはあったような気はしましたが、それでも初演技ということを考えれば充分力を発揮していました。全米選手権の勢いをうまく繋げているという感じですね。
 ただ、こちらはリプニツカヤ選手とは逆に演技構成点が微妙に抑えられてましたね。GPシリーズカナダ大会では転倒という大きなミスがありましたが、演技構成点は62.11点。この団体戦フリーはほぼパーフェクトと言ってよい出来だったにもかかわらず、カナダ大会よりもちょっと低い61.89点。団体戦ショートでまとまった演技をしたワグナー選手の演技構成点が異常に低かったのと併せて考えても、少し不可解な部分です。
 なにはともあれ、ゴールド選手が素晴らしい演技をしたことに変わりはありませんから、個人戦でも頑張ってほしいと思います。


 3位はイタリアのベテラン、ヴァレンティーナ・マルケイ選手。

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 冒頭は得点源となる2アクセル+3トゥループを予定していましたが、2アクセル+2トゥループに。しかしその影響をほかのジャンプに及ぼすことなく、3ルッツ、3フリップなど、次々ジャンプを着氷します。小さな回転不足やスピンでのレベルの取りこぼしなど細かいミスはあったものの、最後までマルケイ選手らしいスピード溢れるダイナミックな演技を披露しました。得点は2013年の欧州選手権でマークした自己ベストに迫る112.51点で3位と健闘しました。
 演技後は豪快にガッツポーズを見せたマルケイ選手ですが、本当にベストに近い演技ができていたのではないかと思います。冒頭の大技が不発に終わり、嫌な感じがしましたが、見事に立て直しましたね。ジャンプが決まったことによって、どんどんノリノリになっていった感じが良かったです。個人戦でもこのような演技が見られることを、期待しています。


 4位となったのは日本の鈴木明子選手です。

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 序盤は3連続のコンビネーションジャンプから始まった鈴木選手。ファーストジャンプの3フリップはうまく着氷してその後のジャンプに繋げましたが、最後の2ループが回転不足となってしまいました。続く大技2アクセル+3トゥループもセカンドジャンプがダブルになり、慎重に跳んだ3ルッツも回転不足となります。代名詞ともいえる得意のステップシークエンスも珍しくレベル2となり、後半もジャンプの着氷の乱れが目立ちました。鈴木選手は落胆した表情でキス&クライに戻りましたが、チームメイトに優しく励まされるという微笑ましい場面も。得点は112.33点で5位となりました。
 ソチ入りしてから調子があまり良くなかったようで、その影響が演技にダイレクトに表れた形となりました。鈴木選手本来の伸びやかなスケーティング、そこから生まれる迫力とキレが鳴りを潜めてしまいましたね。ステップがレベル2というのは厳しすぎかなという気もしますが、ジャンプは慎重に跳びすぎるあまり、高さと勢いに欠けました。ただ、それでもギリギリのところでこらえて、転倒に繋げなかったのは良かったですね。
 鈴木選手も浅田選手同様、日本スケート連盟がアルメニアに用意した練習地で調整するようなので、個人戦では鈴木選手らしいエモーショナルな演技が再び見られるよう、祈っています。


 5位はカナダのケイトリン・オズモンド選手。

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 3+3は回避して臨んだオズモンド選手。3フリップ+2トゥループを難なくこなすと、続く2アクセル+3トゥループもクリーンに成功させます。波に乗ったかに見えましたが、3ルッツは転倒、減点となります。ただ、大崩れすることはなく、3フリップがダブルになった以外はしっかりまとめ、得点は170.73となりました。
 ほぼ完璧だったショートと比べると、ミスが出てしまったぶん、少し大人しい演技になったかなという印象です。この“クレオパトラ”をテーマにしたフリープログラムは私は今回初めて見たのですが、華やかでエキゾチックな雰囲気のオズモンド選手によく合った作品になっていますね。メイクも衣装もいつもより大人びたものになっていて、このプログラムが完成されたらどういうふうになるのかなと楽しみです。



 そして、アイスダンスではアメリカのメイル・デイビス、チャーリー・ホワイト組が圧巻の演技で1位となりました。序盤のステップがレベル3になった以外は、全てのエレメンツをレベル4で揃えていて、非の打ちどころのない演技でした。得点は114.34点、自己ベストかつ、世界歴代最高得点をマークしました。個人戦金メダルに向けても、好スタートとなりましたね。
 2位はカナダのテッサ・ヴァーチュー、スコット・モイヤー組。こちらも全体的にレベルの高い、取りこぼしの少ない演技を見せましたが、珍しくステップのレベルが2と判定されるところもあり、107.56点の2位にとどまりました。
 3位はロシアのエレーナ・イリニフ、ニキータ・カツァラポフ組。女子のリプニツカヤ選手が1位になったことによって、すでに団体戦金メダルが決まった後での演技ということで、とてものびのびと表現力豊かに滑りました。得点は103.48点で自己ベストを得ました。
 4位はイタリアのシャルレーヌ・ギニャール、マルコ・ファブリ組、5位は日本のキャシー・リード、クリス・リード組となりました。

 日本のキャシー・リード、クリス・リード組は5位で6ポイントを獲得しました。

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 リフトやスピンではコンスタントにレベルを取りましたが、ツイズルでの小さな減点といったわずかな取りこぼしもあり、得点は76.34点で伸び切りませんでした。
 ブログでキャシー選手は「ベストの演技ではなかった」と悔しそうなコメントをしていましたが、日本の心を表現したプログラムの世界は、充分に伝わってきました。しばらく時間があるので、個人戦で挽回できるよう、クリス選手はしっかり膝を休めてほしいですね。2人が満足いく演技ができるよう、願っています。



 さて、こうして男子、女子、ペア、アイスダンスのショートとフリーが終わり、団体戦の順位が以下のように決定しました。

1位:ロシア 75ポイント
2位:カナダ 65ポイント
3位:アメリカ 60ポイント
4位:イタリア 52ポイント
5位:日本 51ポイント
―――――
6位:フランス 22ポイント
7位:中国 20ポイント
8位:ドイツ 17ポイント
9位:ウクライナ 10ポイント
10位:イギリス 8ポイント



 ということで、団体戦初代王者に輝いたのは、開催国のロシアでした。最初から最後まで強かったですね。先陣を切って登場したのはエフゲニー・プルシェンコ選手でしたが、彼がとても素晴らしい演技をしたことによって、その後のチームに好い流れが生まれたような気がします。そして、ユリア・リプニツカヤ選手の活躍もかなりチームに勢いを与えましたね。ロシアの選手は全体的に気前良く得点をもらっていたのかなという感じがしますが、大盤振る舞いしてもらえるだけの演技を各選手がしていたと思います。金メダル獲得、おめでとうございます!
 2位のカナダにも金メダルの可能性は充分にありましたが、4種目それぞれのショート、フリーで1つも1位になれなかった、10ポイントが取れなかったというのが大きかったように思います。でもそれ以上に、ロシアが強すぎたというのがありますね。
 3位のアメリカは男子ショートで出遅れてしまったのがもったいなかったですね。2位まで5ポイント差なので、際どいところでカナダを上回っていたかもしれません。
 4位のイタリアは1ポイント差で日本をかわしました。男子ショートでポイントが稼げなかったのですが、女子ショートで大きく巻き返しました。フリーではコンスタントにポイントを取って、全体的に安定していましたね。
 5位となった日本は、やはりペア、アイスダンスでどうしても他国に劣ってしまう部分が大きいので、どれだけ男女シングルで頑張っても難しいところかなと思います。たとえ男女のショート、フリー全てで1位となっても、3位のアメリカには及ばなかったですね。でも、ペアの高橋成美、木原龍一組の健闘は目を見張るものがあり、今から4年後が楽しみになりました。


 こうして終わったフィギュア団体戦。新種目ということで、戦い方、気持ちのコントロールの仕方に難しさを感じた選手もいたと思いますが、メダルを取れた選手も、届かなかった選手も、個人戦に向けて良いイメージ作りの場となったのではないでしょうか。
 個人的には団体戦の採用が決まった時、五輪に出場する選手にとって良いことなのかどうか、個人が基本のフィギュアスケート競技においてどういった意義があるのかとも思いましたが、終わってみれば、団体戦特有のチームの一体感、和やかな雰囲気など、個人戦とはまた違ったおもしろさ、感動があり、楽しく見ることができました。
 各選手、個人戦では団体戦以上のパフォーマンスが出せることを願っています。


:記事冒頭のロシアチームの写真、リプニツカヤ選手の写真は、毎日新聞のニュースサイト内の写真特集「【ソチ五輪フォトハイライト】2月9日 ジャンプ葛西 8位入賞」から、ゴールド選手の写真、マルケイ選手の写真、鈴木選手の写真、オズモンド選手の写真、リード&リード組の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から引用させていただきました。


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ソチ五輪・女子―アデリナ・ソトニコワ選手、ロシア女子初の五輪金メダル獲得(その2) 2014年2月27日
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by hitsujigusa | 2014-02-12 01:16 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ソチ五輪フィギュアスケートの新種目団体戦、この記事では男子フリーとペアフリーの結果について書いていきます。なお、実際の競技順では2月8日にペアフリーが、男子フリーは翌日の9日に行われましたが、記事では男子を先にしたいと思います。団体戦のルールについてはこちらの記事をご参考下さい。
 男子フリー、1位となったのはショートに引き続き出場したエフゲニー・プルシェンコ選手。2位はカナダのケヴィン・レイノルズ選手、3位は日本の町田樹選手となりました。
 ペアフリーもロシアのクセニア・ストルボワ、ヒョードル・クリモフ組が1位、2位はカナダのカーステン・ムーア=タワーズ、ディラン・モスコビッチ組、3位はイタリアのステファニア・ベルトン、オンドレイ・ホタレク組となっています。

Olympic Winter Games 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 フリー1位はロシアのベテラン、エフゲニー・プルシェンコ選手です。

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 冒頭の4トゥループは高い加点を得る完璧な着氷。2本目の4回転は回避して3ルッツにし、クリーンに成功。3アクセルも難なくこなして序盤は上々の立ち上がりとなります。ステップシークエンスを挟んだ後半、3アクセルからのコンビネーションジャンプ、3ルッツからのコンビネーションジャンプはまとめましたが、続く3サルコウ、3ループが両方とも抜けて2回転になるミス。ただ、大きく崩れることはなく、納得の表情で滑り終えました。得点は168.20点でまずまずの高得点、1位となりました。
 ショートからの連戦で体力的にどうかなと思いましたが、うまくまとめましたね。4回転や3アクセルの安定感はさすがのもので、後半は疲れのせいかちらほらミスを犯しましたが、充分チームに貢献する演技でした。ただ、プログラム全体として見た時にはちょっと物足りないというか、エレメンツ(技)の素晴らしさが目立つばかりで、作品としての印象は薄いかなと感じました。特に後半は前半より動きが鈍くなっていて、見どころの一つであるステップも丁寧ではあるけれどもセーブした動きだったように思います。音楽も「ベスト・オブ・プルシェンコ」ということで、これまでプルシェンコ選手が使用した楽曲を繋ぎ合わせたものなので、どうしてもつぎはぎ感が否めないというか、見ていて1つの作品という感じがしませんでした。
 プルシェンコ選手はこの後個人戦も控えていますが、個人戦は棄権するのではという憶測も関係者の間ではささやかれているようです。やはりスタミナ的にはきつそうだなというのは団体戦を見ても分かりましたし、団体戦はショートとフリーのあいだが1日空きましたが、個人戦は2日連続なので更に厳しいかもしれません。
 まあ、もちろん噂に過ぎないので、実際はどうか分からないので、個人戦を今から楽しみにしたいと思います。


 2位はカナダのケヴィン・レイノルズ選手です。

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 今季は怪我やスケート靴の問題で国際大会をすべて欠場し、カナダ選手権1発勝負で五輪代表の座をつかんだレイノルズ選手。4回転をどうしてくるかなと思いましたが、予定どおり3本挑戦してきました。冒頭は4サルコウ、見事な回転と美しいランディングで成功。2本目の4トゥループ+3トゥループの難しいコンビネーションジャンプも素晴らしい着氷で圧巻のスタートとなります。続く3アクセルは着氷が乱れ失敗となりましたが、後半冒頭の4トゥループは完璧に成功。五輪において1つのプログラムで3本の4回転を成功させるという快挙を成し遂げます。その後も落ち着いて次々とジャンプを決めたレイノルズ選手は、穏やかに笑みを浮かべました。得点は167.92点で、僅差ながらも2位となります。
 久しぶりの国際大会で私自身レイノルズ選手を見るのはかなり久しぶりだったので、今どれくらいの状態なんだろうと思っていましたが、見事というほかない仕上がり具合でしたね。彼らしい回転の素早い4回転がしっかりと出来上がっていて、ここまでとはとビックリしました。プログラム全体としては昨季の今頃ほどの完成度はありませんが、ジャンプの安定感は本来のものでした。
 オリンピックで1つのプログラムの中で3つの4回転を成功させたのは、中国の張民(ジャン・ミン)さんに続いて史上2人目の快挙だそうですが、そのわりに会場の盛り上がりが薄かったですね。ロシアの観客のロシア選手に対する熱狂ぶりと外国人選手に対する冷めた感じとの極端なギャップのせいもあるでしょうが、レイノルズ選手の4回転は回転が速すぎて3回転にしか見えない、あっさり跳びすぎて4回転と気づかないというのもあるかもしれません。それにしても、こんな歴史的瞬間に立ち会っているのに……と思ってしまいましたが。
 この演技を見て、個人戦がますます楽しみになりましたね。そちらでもレイノルズ選手らしさが出し切れるように祈っています。


 3位となったのは日本の町田樹選手です。

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 冒頭の4トゥループは高さ、幅、流れともに完璧で2点の加点を得ます。続く4トゥループからのコンビネーションジャンプは回転が開いて3回転になってしまいますが、次の3アクセル+2トゥループでしっかり立て直しました。後半も落ち着いてジャンプを決めていき、3フリップ+2トゥループで少しミスがあった以外はよくまとまっていて、最後までスピード、勢いともに衰えることなく、迫力のある「火の鳥」を演じ切りました。得点は165.85点で1位のプルシェンコ選手まで2.35点差と小差で惜しくも3位となりました。
 当日の朝から緊張があり、プルシェンコ選手の直後の滑走ということもあって足が震えたという町田選手でしたが、それを感じさせない素晴らしい演技でしたね。ジャンプを成功させるごとに徐々に伸びやかさが出てきて、いつもの町田選手に戻っていったように感じます。1、2位の選手と本当に僅差だったので、あとひとつコンビネーションジャンプがあればトップに立てたかなと思うと少しもったいない気もしますが、個人戦では全てを出し尽くしてほしいですね。
 また、町田選手は団体戦の「火の鳥」を『火の鳥 再臨編』、個人戦を『火の鳥 大飛翔編』とタイトルをつけて、それぞれコンセプトを設定しているそうで、また違った意味合いでの「火の鳥」が見られるのかと思うととても楽しみです。


 4位はアメリカのジェイソン・ブラウン選手。

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 5選手中唯一4回転のないジャンプ構成で挑んできたブラウン選手。前半はまず2アクセルで始まり、3アクセル+3トゥループを決め、単独の3アクセルもアンダーローテッド(1/2以内の回転不足)ながら着氷をまとめます。後半もわずかに回転不足になるところはありましたが、ブラウン選手らしい柔軟性と独特のリズム感を存分に発揮し、笑顔で滑り切りました。得点はパーソナルベストに迫る153.67点で4位となりました。
 4回転がない分、なかなか上位に来るのは難しかったと思うのですが、それでも全体的に安定したジャンプ、そしてスピンでは全てレベル4を獲得し、ステップシークエンスでものびのびとした滑りで会場を盛り上げていて、とても素晴らしかったですね。個人戦でも笑顔で終われるように、頑張って欲しいと思います。


 5位はイタリアのポール・ボニファシオ・パーキンソン選手。

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 冒頭は4サルコウに挑みますが、残念ながら転倒。次の3アクセル+2トゥループは決めますが、続く単独の3アクセルは転倒となります。後半もトリプルジャンプがダブルになるなどミスがいくつかありましたが、121.23点でパーソナルベストをマークしました。
 私は今回初めてパーキンソン選手の演技を見たのですが(たぶん)、身のこなしや身体の使い方にキレがあり、ダンスが上手なスケーターだなと感じました。先月の欧州選手権ではフリーが105点台でミスも多かったのですが、そこからうまく修正してきましたね。個人戦でも自己ベストを更新できるよう、頑張って欲しいと思います。



 一方、アイスダンスSD、女子SPの後に行われたペアフリーでは、ロシアのクセニア・ストルボワ、ヒョードル・クリモフ組が、ジャンプのミスはありましたが、演技全体をまとめて135.09点を獲得し1位となりました。
 2位はカナダのカーステン・ムーア=タワーズ、ディラン・モスコビッチ組。こちらもジャンプミスはあったものの、取りこぼしの少ない演技を見せ、129.74点で2位となりました。
 3位はイタリアのステファニア・ベルトン、オンドレイ・ホタレク組。序盤のジャンプで転倒があり、他にも小さなミスこそありましたが、まとまりのある演技で120.82点をマークしました。ジャンプで激しく転倒して脚の付け根あたりを痛めたベルトン選手は、フィニッシュ後、痛そうに顔を歪めました。演技中は顔色一つ変えず、打ち付けた影響を全く感じさせない滑りをしていたので、演技が終わって初めてかなりの痛みだったのだなと気づきました。個人戦に影響がなければ良いのですが……。
 以下、4位はアメリカのマリッサ・カステリ、サイモン・シュナピアー組、5位は日本の高橋成美、木原龍一組となっています。

 日本の高橋成美、木原龍一組は5位となり、6ポイントを獲得しました。

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 ジャンプ、スロージャンプでは着氷での乱れがいくつかありましたが、転倒という大きなミスにせず、最小限のミスにとどめていたのが、ショートと合わせて良かったと思います。スコア的には90点台のパーソナルベストを持っているので、そこに届かなかったのは残念でしたが、スピンやリフトのレベルなど向上している部分もあり、素晴らしかったですね。
 技術的にはフリーに進出した他のペアよりずっと見劣ってしまうかもしれませんが、そんなこと関係なく、2人がこの大舞台に立っているということ、そして堂々と演技しているということに、思わず涙してしまいました。
 ペアの個人戦はあまり間を置かず、11日に始まりますから、うまく休息を取ってまた2人らしい演技を見せてほしいなと思います。


 残るは女子フリー&アイスダンスフリー。この2つについては、次の記事で書きたいと思います。


:記事冒頭の日本チームの写真は、AFPBB Newsが2014年2月10日の3:30に配信した記事「フィギュア団体戦・男子FSで3位の町田、ソチ五輪」から、プルシェンコ選手の写真はAFPBB Newsが2014年2月10日の3:31に配信した記事「フィギュア団体戦・男子FSで首位のプルシェンコ、ソチ五輪」から、レイノルズ選手の写真、ブラウン選手の写真、パーキンソン選手の写真、高橋&木原組の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、町田選手の写真は、毎日新聞のニュースサイト内の写真特集「【ソチ五輪フォトハイライト】2月9日 ジャンプ葛西 8位入賞」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-02-11 00:13 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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※2月12日、写真を一部変更しました。

 ソチ五輪・団体戦(男子SP&ペアSP)に引き続き、女子SP&アイスダンスSD編です。
 団体戦のルールについてはそちらの記事の冒頭に書きましたので、ご参考になさって下さい。
 女子SP、首位に立ったのはロシアの新星ユリア・リプニツカヤ選手。地元のプレッシャーを跳ね除ける見事な演技でした。2位はイタリアのカロリーナ・コストナー選手、浅田真央選手は3位でした。
 アイスダンスはアメリカのメリル・デイビス、チャーリー・ホワイト組が圧巻の演技で1位。カナダのテッサ・ヴァーチュー、スコット・モイヤー組が2位、ロシアのエカテリーナ・ボブロワ、ドミトリー・ソロビエフ組が3位となっています。

Olympic Winter Games 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 女子ショートプログラム、1位となったのは地元ロシアのユリア・リプニツカヤ選手です。

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 ロシアの観客たちの大声援で迎えられたリプニツカヤ選手。冒頭の大技3ルッツ+3トゥループはパーフェクトな着氷、上々の滑り出しとなります。続く2アクセル、後半の3フリップも難なく成功させ、スピンはもちろん全てレベル4。得点は72.90点でパーソナルベスト、首位に立ちました。
 いつもよりは緊張しているかな、演技も少し硬めかなという感じはしましたが、その中であれだけ完璧にまとめられたのはやはりすごい度胸の持ち主だなと思います。リプニツカヤ選手は団体戦フリーにも登場するということで、彼女1人にかなりの負担がかかることになりますが、それだけ安定感があり、自国から信頼されているということの証でもあります。果たしてフリーではどんな演技を見せてくれるのか、楽しみです。


 2位はイタリアのベテラン、カロリーナ・コストナー選手。

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 プログラムをドヴォルザークの「ユーモレスク」からモーツァルトの「アヴェ・マリア」に変更して臨んだコストナー選手。冒頭は3トゥループ+3トゥループのコンビネーションジャンプを完璧に決め波に乗ると、その後の3ループ、2アクセルも成功。コストナー選手らしいスピード感溢れる滑りとしなやかさが融合した演技を見せ、納得のフィニッシュとなりました。得点は70.84点で、こちらも自己ベストをマークしました。
 以前の「ユーモレスク」もコストナー選手の雰囲気によく合っていて好きだったのですが、「アヴェ・マリア」はそれ以上にコストナー選手の魅力満載のプログラムになっていますね。特に個性とか強烈なインパクトがある作品というわけではないのですが、コストナー選手の良さを活かしていて、まさに聖母マリアのような神々しささえ漂う演技でした。団体戦フリーはヴァレンティーナ・マルケイ選手に託すことになりますが、個人戦に向けて良い弾みになりましたね。ぜひそちらでも、このような演技が見られることを期待しています。


 3位となったのは日本の浅田真央選手です。

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 直前に滑ったリプニツカヤ選手への大声援が残るリンクに立った浅田選手。冒頭は大技3アクセルでしたが、大幅な回転不足で転倒してしまいます。しかし、その影響を後に及ぼすことなく、3フリップ、3ループ+2ループとそつなくまとめ、可憐で柔らかな演技を披露しました。演技後は悔しそうな表情を浮かべましたが、キス&クライではチームの仲間たちに励まされ、複雑そうではあるものの笑顔を見せました。得点は64.07点で3位となりました。
 演技後のインタビューで浅田選手は「予想以上に緊張した」と本音を吐露しました。浅田選手がここまでダイレクトに緊張したと語ることは滅多にないので、相当なものだったのだろうと思います。滑走順がロシアのリプニツカヤ選手の後だったというのも悪い方に転んだかなという気もします。団体戦男子のショートでは、エフゲニー・プルシェンコ選手の後に滑ったアメリカのジェレミー・アボット選手がミスを連発し、7位。団体戦ペアショートは、ロシアのボロソジャー、トランコフ組が最終滑走だったから良いとして、アイスダンスはボブロワ、ソロビエフ組の後に滑った、バンクーバー五輪金メダルカップルのヴァーチュー、モイヤー組が信じられないようなミスで2位。そういう流れが続いていたので、嫌な予感はしていたんですが……。もちろんこれは私の想像に過ぎず、浅田選手の尋常ならざる緊張は当日の昼間から始まっていたそうなので、これが“五輪の魔物”というやつなのかもしれません。
 また、直前の6分間練習で3アクセルがうまく決まらなかったというのも大きかったですね。6分間練習ではまず1本試みましたがすっぽ抜けてシングルに。2本目は3アクセルに向かう進路にリプニツカヤ選手が入ってきてしまい、通常の形で跳べずに不完全なジャンプになってしまいました。公式練習では何度もクリーンに成功させているそうですが、直前の練習でうまくいかないと良いイメージが作れないでしょうし、身体の感覚にも影響を及ぼしてしまうでしょうから、そこらへんが成功の鍵なのかなと思います。
 長野五輪女王のタラ・リピンスキーさんが「五輪はメンタルが90%、フィジカルが10%」とおっしゃっているように、浅田選手も技術的な問題はほとんど無くて、あとはどれだけ自信を持って臨めるかということだけなのだろうと思います。
 今回の演技はその点でうまくコントロールできなかったというだけで、一旦その緊張を経験した個人戦はより落ち着いてできるのではないでしょうか。幸いにも個人戦まで1週間以上時間がありますから、団体戦のことは全部忘れて、また練習での良い感覚を積み重ねて、自信を深めていってほしいですね。


 4位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手。

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 冒頭は3フリップ+3トゥループの難しいコンビネーションジャンプでしたが、セカンドジャンプの高さが足りずアンダーローテッド(1/4以内の回転不足)判定に。しかしその他は3ループ、2アクセルなど、一つ一つのエレメンツを丁寧に確実にこなし、ほぼノーミスの演技となりました。が、得点は63.10点であまり伸びず、4位につけました。
 得点が出た直後、ワグナー選手は顔を歪め、得点に対して驚きと不満を表しました。ワグナー選手の演技のプロトコル(採点表)を見ると、プログラム全体を評価する演技構成点が5項目とも7点台となっています。今シーズンここまでのワグナー選手のショートプログラムの演技構成点に対する評価は、5項目中3~4項目は8点台で、5項目を合わせた得点も32~33点くらい出ていたのが、今回は30点台でした。数か月で一気に評価が下がるというのは普通ありませんから、ワグナー選手が不満を露わにしたのもしょうがないかなと思います。なぜこうなったのかは憶測するしかありませんが、全米選手権でワグナー選手がミス連発の演技で4位となったことが響いているのか、思い当たることといえばそれくらいですが……。
 この団体戦での評価はやはり個人戦にも反映されるでしょうから、表彰台を目指すワグナー選手からしたら、この低評価は気にせざるを得ないでしょうね。私個人としては、五輪の緊張感の中でいつもより多少大人しくなる部分はあったかもしれませんが、でも全体的にはワグナー選手の色がよく出ていたように感じたので、得点の低さは意外でした。
 とにもかくにも、あまり得点のことは考えず、ワグナー選手にはまた自分らしさを心掛けて演技してほしいなと思います。


 5位はカナダのエース、ケイトリン・オズモンド選手。

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 冒頭は3トゥループ+3トゥループを完璧に決めてスタートし、その後の3フリップ、2アクセルも全く問題なくこなします。スピンも全てレベル4に揃え、得点は62.54点でシーズンベストを更新しました。
 今シーズンは初戦のスケートカナダで脚を痛め、フリーを棄権したオズモンド選手。怪我の治療に専念し、復帰戦となった1月のカナダ選手権で復活を印象付ける素晴らしい演技をして、五輪代表に選出されました。なのでこの五輪の団体戦が久しぶりの国際試合となったわけですが、実にオズモンド選手らしい溌剌としたスケートを見せてくれましたね。オズモンド選手もリプニツカヤ選手同様、団体戦のフリーも任されていますから、大変でしょうが若さと元気で乗り切ってほしいと思います。


 6位となったのはフランスのマエ=ベレニス・メイテ選手です。

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 冒頭の3トゥループ+3トゥループは着氷でわずかに乱れがあり減点。3ループ、2アクセルといったジャンプはミスなくこなしましたが、スピンでも少し減点されたところがあり、得点は55.45点で伸び切りませんでした。
 1月に行われた欧州選手権で、ショート、フリー、トータルともにパーソナルベストを更新して調子を上げているメイテ選手でしたが、いつもより硬かったかなという感じがしました。良い時はもっとノリノリな気がするので。でも、技術的にはだいぶ安定してきているようなので、個人戦も楽しみですね。


 7位は中国の張可欣(ジャン・ケシン)選手。

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 冒頭の3トゥループ+3トゥループはクリーンな着氷。続く3ルッツでは少し乱れがありましたが、2アクセルはしっかり決めて、丁寧に演技をまとめました。得点は54.58点でシーズンベストとなりました。
 小さなミスはありましたが、全体的に落ち着いていて張選手の実力が発揮された演技だったのではないかと思います。でもやはり、表情の硬さが気になりますね。普段から演技中はほとんど無表情の張選手ですので、緊張感に満ちた五輪の舞台なら尚更硬くなってしまうのかもしれませんが、表現といった面ではもう少し音楽表現に合わせた表情の変化というのも欲しいところ。もちろんプログラムによっては表情が無い方が良いプログラムもあるのですが、張選手のショートはローリング・ストーンズの音楽を用いてますので、表情の工夫もあるとより良い作品になるでしょうね。各国の選手や関係者が座る国別のブースや得点発表を待つキス&クライでは、とても可愛らしい笑顔を見せていますから、それが演技でも出てくるようになればと思います。
 でも、よく力を発揮した素晴らしい滑りでした。個人戦でも頑張って欲しいですね。


 以下、8位はウクライナのナタリア・ポポワ選手、9位はドイツのナタリー・ヴァインツィアール選手、10位はイギリスのジェナ・マコーケル選手となりました。


 続いてアイスダンスの結果について。
 1位となったのは現世界チャンピオンである、アメリカのメリル・デイビス、チャーリー・ホワイト組。ほぼ完璧といってよい素晴らしい出来で、自身が持つ世界歴代最高得点には及ばないものの、75.98点のハイスコアで首位に立ちました。
 2位はカナダのテッサ・ヴァーチュー、スコット・モイヤー組。珍しくツイズルでヴァーチュー選手がミスする場面がありましたが、それ以外ではほぼノーミスで72.98点を獲得、2位につけました。ヴァーチュー選手のミスに関しては、直前にロシアのカップルが滑っていて、ロシアの観客の興奮の余韻が残る中での演技でしたので、それに影響されてしまったのかもしれません。ミスを犯すということがほぼ皆無のカップルですので、ミスする姿というのはちょっと衝撃的というか、このヴァーチュー&モイヤーでさえミスするんだから、やっぱりオリンピックというのは本当に特別なんだなと改めて感じました。
 3位は地元ロシアのエカテリーナ・ボブロワ、ドミトリー・ソロビエフ組。自国の期待と応援の中で、パーフェクトと言ってよい見事な演技を披露しました。得点も70.27点で、わずかではありますが自己ベストを上回りました。
 4位はフランスのナタリー・ペシャラ、ファビアン・ブルザ組、5位はイタリアのアンナ・カッペリーニ、ルカ・ラノッテ組、6位はドイツのネリ・ジガンシナ、アレクサンダー・ガジー組、7位はイギリスのペニー・クームズ、ニコラス・バックランド組、8位は日本のキャシー・リード、クリス・リード組、9位はウクライナのシボーン・ヒーキン=キャネディ、ドミトロ・ドゥニ組、10位は中国の黄欣彤(フアン・チントン)、鄭汛(ジェン・シュン)組となっています。

 日本のキャシー・リード、クリス・リード組は8位で3ポイントを獲得しました。

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 フィンステップやステップなど思ったようにレベルが取れていないところがあり、得点も52.00点とシーズンベストに届きませんでしたが、2人らしい明るく華やかな滑りが出来ていました。団体戦のフリーももちろん2人が滑らなければならないので、クリス選手の右膝が少し心配ですが、個人戦まで間が空くのでその点は良かったですね。団体戦フリー&個人戦も楽しみにしています。



 そして、男子、ペア、アイスダンス、女子のショートで各国が獲得した順位ポイントを合計した結果、この時点でのランキングは以下のようになりました。

1位:ロシア 37ポイント
2位:カナダ 32ポイント
3位:アメリカ 27ポイント
4位:日本 24ポイント
5位:イタリア 23ポイント
6位:フランス 22ポイント
7位:中国 20ポイント
8位:ドイツ 17ポイント
9位:ウクライナ 10ポイント
10位:イギリス 8ポイント


 この結果、ロシア、カナダ、アメリカ、日本、イタリアの5か国がフリー(決勝)進出、6位以下のフランス、中国、ドイツ、ウクライナ、イギリスがショート(予選)で敗退と決まりました。
 男子ショートでアメリカが予想外に出遅れるということはありましたが、結局はしっかり挽回して、妥当な3位に上がりましたね。日本を含め他の国も、予想どおりの顔ぶれとなりました。
 ロシア、カナダ、アメリカのフィギュアスケート大国3強の牙城は確固たるもののように思えますが、日本、イタリアがその3か国にどこまで食い下がれるかが、フリーのポイント、見どころですね。
 この記事で取り上げた女子ショートプログラムの競技終了後、すぐにペアのフリーが行われましたが(この記事の順番では女子を先に、アイスダンスを後に書いていますが、実際の競技はアイスダンス、女子の順番です)、その内容についてはまた後日、別の記事でお伝えしたいと思います。


:記事冒頭の日本チームの写真、浅田選手の写真は、毎日新聞のニュースサイト内の写真特集「【ソチ五輪フォトハイライト】2月8日 上村 悲願のメダル獲得できず」から、リプニツカヤ選手の写真、張選手の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、コストナー選手の写真、オズモンド選手の写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、ワグナー選手の写真は、スポーツ情報ウェブサイト「ESPN」が2014年2月8日の6:37に配信した記事「Under pressure, Wagner shines」から、メイテ選手の写真は、AFPBB Newsが2014年2月9日の6:44に配信した記事「フィギュア団体戦・女子SPで6位のベレニス・メイテ、ソチ五輪」から、リード&リード組の写真は、AFPBB Newsが2014年2月9日の5:55に配信した記事「フィギュア団体戦アイスダンスSDで8位のリード組、ソチ五輪」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-02-10 04:57 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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※2月12日、写真を一部変更しました。

 ソチオリンピックが始まりました! 開会式に先駆けて、新種目となるフィギュアスケートの団体戦の男子ショートプログラム、ペアショートプログラムが2月6日に行われました。
 まずは団体戦のシステム、流れを簡単にまとめたいと思います。

*****

出場国とチーム構成
 
 出場するのは以下の世界ランキング上位10か国。

 カナダ、ロシア、アメリカ、日本、イタリア、フランス、中国、ドイツ、ウクライナ、イギリス

 各チームは主に個人戦に出場する選手によって構成され、男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンスの4種目のうち、最低3種目に出場しなければいけません。また、その中の2種目までで、ショートとフリーで選手を入れ替えることができます。

団体戦の流れと順位決定の方法

 まず、ショートプログラム(アイスダンスの場合はショートダンス)が行われますが、各順位にポイントが配分されています。1位なら10ポイント、2位なら9ポイントというふうに1点ずつ減っていき、10位は1ポイントとなります。そのように各種目のショートを行い、4種目それぞれで獲得したポイントを足していき、その合計ポイント上位5か国のみがフリーに進みます。
 もしポイントが並んだ場合は、各チームの異なる種目の上位2つの獲得ポイントを計算し、順位を決定します。そのポイントがまた同点ならば、その上位2種目の合計得点で計算、また、合計得点も同じの場合は3つの異なる種目の上位3つのポイントで計算し、それでも同点ならその3種目の合計得点で順位決定します。

 
 このような形で行われる新種目の団体戦。早速行われた男子SP&ペアSPの結果をこの記事ではお伝えしていきます。まずは男子から。

Olympic Winter Games 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 団体戦・男子ショートプログラムで1位となったのは、日本の羽生結弦選手です!

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 圧巻としか言いようのない演技でした! まずは大技の4トゥループ。いつもどおりの安定感と余裕のあるランディングでパーフェクトに決めます。そして唯一後半に組み込んだ2つのジャンプ要素の1本目、3アクセルも完璧。3ルッツ+3トゥループはルッツの軸が曲がってしまい、少しヒヤッとしましたが、トゥループでは立て直してしっかりまとめました。得点は97.98点というパーソナルベストに迫る高得点、最終滑走で1位に立ちました。
 得点はもちろん物凄いハイスコアなのですが、それでもまだ抑え気味かなという印象ですね。ステップやスピンのレベル判定でも厳しめの採点になっていますし、これは羽生選手に限ったことではないですが、まだ団体戦ということもあってか様子見のスコアという感じがします。
 それにしても何という強心臓でしょうか。初めてのオリンピックとは信じられないほどの落ち着きぶり。羽生選手がメンタルの強い選手だということは十分承知していたつもりでしたが、やはりあの演技を見せつけられると改めてただ者ではないなと感じさせられました。
 団体戦における羽生選手の役目はこれで終わりましたが、個人戦に向けて良いイメージ作りになったことと思います。個人戦でこのような演技、これ以上の演技をしたらほぼ確実に100点を超えてくるでしょう。もちろん羽生選手自身はそんなことは考えず、自分の演技をすることに集中して個人戦も臨み、団体戦同様の羽生選手らしい演技を見せてくれると思います。個人戦も楽しみにしています!


 2位となったのはロシアのエフゲニー・プルシェンコ選手。

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 こちらもさすが“皇帝”というべき演技でしたね。冒頭は4トゥループ+3トゥループをつまり気味ながらもクリーンに着氷。その後の3アクセルはこらえた着氷になりましたが、3ルッツは問題なくこなすと、シーズン途中に変更した「ロクサーヌのタンゴ」の世界を風格たっぷりに表現。フィニッシュすると大きくガッツポーズを見せ、会場のロシアの観客たちも歓喜と興奮に沸きました。得点は91.39点、2010年の欧州選手権でマークしたパーソナルベストを更新し、2位につけました。
 一悶着あった中で五輪代表に選ばれたプルシェンコ選手。しかしその雑音をかき消す見事な演技でした。4回転を始めとしたジャンプの安定感はさすがのもので、年齢のことばかり言って申し訳ないのですが、31歳でここまでのジャンプ技術を保っているというのはやはりすごいですね。
 ただ、プロトコル(採点表)を見ると、演技構成点がぐっと抑えられていることが気になります。5項目中4項目が8点台、1項目が7点台です。特に低いのがトランジション(技と技のあいだのつなぎ)の得点で、これはどの選手でもトランジションが大体いちばん低くなるものなのですが、それにしても他の4項目と比較すると約1点低くなっていて、他選手との違いがはっきり見えてきます。また、採点するジャッジの中でもかなりギャップがあって、8点台半ば、9点台を付けているジャッジがいる一方、6点台、さらに4点台と評価しているジャッジもいるわけです。いくらジャッジによって主観に違いがあるとはいえ、同じ演技を見てここまで差が出てくるのはやはり不思議なものです。
 確かに実際のプルシェンコ選手の演技は、ひとつひとつのエレメンツ(技)は素晴らしいのですが、その間の表現だったり工夫というものがあまり目立ちませんでしたね。まあ、バンクーバー五輪の際も同じような問題はあって、それでプルシェンコ選手が抗議するということがあったので、今更なのですが。でも、その時よりは得点はアップしてますけどね。
 どちらにしろ、この団体戦の得点というのはやはり個人戦を占う、また、影響を及ぼすものだろうとは思うので、なかなかプルシェンコ選手が羽生選手やパトリック・チャン選手に匹敵するというのは難しいのかなという感じがしました。
 ですが、得点がどうであろうとプルシェンコ選手のすごさには変わりありません。個人戦ではどんな演技を見せてくれるのか、期待しています。


 3位となったのはカナダのパトリック・チャン選手。

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 冒頭は4トゥループ+3トゥループのコンビネーションでしたが、珍しく4トゥループの軸がぶれ、着氷が乱れたためにセカンドが2トゥループに。続く3アクセルも空中で曲がってしまい、大きくステップアウトするランディングに。後半の3ルッツはミスなく降りたものの、少しこらえ気味。ステップやスピンはそつなくまとめましたが、全体的にジャンプでの取りこぼしが目立つ演技となりました。得点は89.71点、演技構成点は全選手中トップでしたが、技術点はいつもほど伸びませんでした。
 とにかくらしくない演技でしたね。始まる前からいつもより表情が硬いかな?と感じましたが、かのチャン選手と言えども、五輪の緊張というのはまた別物なのだと改めて思い知らされました。ですが、これが個人戦でなくてチャン選手にとっては良かったかもしれません。この一度味わった空気を、チャン選手なら個人戦に活かしてくるでしょう。個人戦での良い演技を楽しみにしています。


 4位は中国の閻涵(ヤン・ハン)選手です。

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 リンクサイドでは緊張しているかなという面持ちの閻選手でしたが、まず、冒頭の代名詞ともいえる3アクセルは完璧な高さと飛距離のもの。次の4トゥループは若干つまり気味の着氷、3ルッツ+3トゥループも1本目のジャンプで流れが止まったためにセカンドジャンプでステップアウトしてしまいます。しかし、スピンは全てレベル4に揃えるなど、全体的にはまとまりのある演技を見せ、フィニッシュではホッとしたような表情を浮かべました。得点は85.52点で4位となります。
 当然初めてのオリンピックで相当なプレッシャーがあったでしょうし、その緊張の色というものがうかがえる演技ではありました。ただ、大きなミスをせず、これだけの演技ができたのは素晴らしかったですね。閻選手は団体戦フリーにも出場することと思いますが、そちらではよりのびのびとした演技ができると良いですね。


 5位となったのはフランスのフローラン・アモディオ選手。

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 冒頭は大技4サルコウに挑んできましたが、空中で回転が抜けて3サルコウに。ただ、着氷の乱れはなく、3サルコウの質の良いものとして加点を得ます。得意の3アクセルは美しいランディング、3ルッツ+3トゥループもしっかりこなして、上々とはいきませんが、まずまずの演技となりました。得点はシーズンベストの79.93点を獲得しました。
 4サルコウが決まらなかったのは残念でしたが、そのほかはアモディオ選手らしさが随所に表れていて良かったですね。特にステップシークエンスでは上位の4選手のうち、チャン選手しか獲得していないレベル4をアモディオ選手は得ていて、彼特有の細かい足さばき、ノリノリのダンスが実力どおりに発揮できていました。個人戦に向けて、悪くない滑り出しではないでしょうか。個人戦では4回転も含めて、納得のいく演技ができることを祈っています。


 6位はドイツのペーター・リーバース選手です。

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 冒頭は4トゥループ+3トゥループの予定でしたが、4回転で着氷が若干乱れたため、セカンドを2トゥループにしてきっちりまとめます。そして、続く3アクセル、3ルッツもクリーンに成功させ、ステップでも身体を大きく使い、伸びやかな演技を披露。得点は79.61点でシーズンベストとなりました。
 リーバース選手も全体的にらしさが出た演技内容でしたね。音楽表現的にもモダンな世界観をよく表現していたように思います。団体戦フリーも頑張って欲しいですね。


 7位となったのはアメリカのジェレミー・アボット選手。

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 冒頭の4トゥループはアンダーローテッド(1/4以内の回転不足)で転倒、乱調の出だしとなります。続くコンビネーションジャンプも3+3の予定が、3+2になり大きなロス。そして、後半に組み込んだ3アクセルはすっぽ抜けてまさかのシングルに。演技を終えたアボット選手は頭を抱え、ショックを受けた様子。得点も65.65点というロースコアで、予想外の7位となってしまいました。
 シーズン序盤はあまり調子の良くなかったアボット選手ですが、NHK杯では表彰台に立ち、全米選手権でも4回転を含めた好演技で2年ぶりのチャンピオンとなっていましたので、調子が上がっているはずだったんですが……。思いがけない演技になってしまいました。演技後の悲しそうな表情から、本人にとっても思いもしない演技だったというのが伝わってきました。4回転の成功率は低いアボット選手ですが、たとえそこでミスしても他をまとめる能力のある選手ですので、今回は残念でした。でも、あまりこの演技を引きずらず、個人戦ではまっさらな気持ちでまた演技に臨んでほしいなと思います。


 以下は、8位がウクライナのヤコブ・ゴドロジャ選手、9位がイギリスのマシュー・パー選手、10位がイタリアのポール・ボニファシオ・パーキンソン選手となっています。


 続いてペアについてです。
 
 1位となったのは地元ロシアのタチアナ・ボロソジャー、マキシム・トランコフ組。ほぼノーミスといって良い素晴らしい演技で、会場を歓喜の熱気で包みました。得点は83.79点で、自身が持つ世界歴代最高得点に0.19点差に迫る高得点、圧巻の1位となりました。
 2位はカナダのメーガン・デュアメル、、エリック・ラドフォード組。こちらもマイナス要素のほとんど無い会心の演技を見せました。得点も73.10点とパーソナルベストに肉薄し、納得の2位となります。
 3位は中国の彭程(ペン・チェン)、張昊(ジャン・ハオ)組。こちらもほぼパーフェクトな出来、自己ベストを2点以上更新して3位につけました。
 以下、4位はイタリアのステファニア・ベルトン、オンドレイ・ホタレク組、5位はアメリカのマリッサ・カステリ、サイモン・シュナピアー組、6位はドイツのマイリン・ヴェンデ、ダニエル・ヴェンデ組、7位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ、モルガン・シプレ組、8位は日本の高橋成美、木原龍一組、9位はウクライナのユリア・ラブレンティエワ、ユーリ・ルディク組、10位はイギリスのステイシー・ケンプ、デヴィッド・キング組となっています。

 日本の高橋成美、木原龍一組は大健闘の8位となりました。

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 全10組中、いちばん最初に登場した高橋、木原組。2選手がそれぞれ跳ぶ3サルコウは高橋選手の着氷が乱れ、減点に。その後のツイスト、リフトは丁寧にこなし、3サルコウのスロージャンプも両足着氷にはなったものの、転倒することなくこらえます。その後も落ち着いて演じ切り、フィニッシュ後、高橋選手は小さく拳を握り締めました。得点は46.56点でここまでのシーズンで最も低いスコアとはなりましたが、演技内容的にはよくまとまった良い演技でした。
 正直ペア競技に関しては、シングルほどには詳しくないので、やはり10組中10位になってしまうのかなと想像していました。まだペアを結成して1年弱ということもありますし。なのでこの8位という結果には少しびっくり&歓喜です。9位、10位のペアのミスにも助けられましたが、何といっても高橋選手、木原選手の頑張りの結実ですね。得点ではなく、何より順位が重要なこの団体戦において、1つのミスが運命を大きく変えるかもしれませんから、大きなミスをしないことがやはり大切なんですね。
 結成1年での五輪出場、この後も団体戦フリー、個人戦と気の抜けない日々がしばらく続いていくと思いますが、高橋&木原組らしい演技を楽しみにしています。



 さて、男子SP&ペアSPの結果、2種目終了時点での順位はこうなりました。

1位:ロシア 19ポイント
2位:カナダ 17ポイント
3位:中国 15ポイント
4位:日本 13ポイント
5位:ドイツ 10ポイント
6位:フランス 10ポイント
7位:アメリカ 10ポイント
8位:イタリア 8ポイント
9位:ウクライナ 5ポイント
10位:イギリス 3ポイント



 ロシア、カナダは順当ですが、優勝候補の一角アメリカが予想外の7位となりました。ですが、確実にアイスダンス、女子で大きく巻き返してくるでしょう。中国もペア大国なのでそこでしっかりポイントを稼ぎ、また、男子の閻選手の健闘が利いた形となりました。日本もペアの活躍によって、良い位置につけることができましたね。
 2月8日、アイスダンス、女子のショートが行われ、そこでフリー進出5か国が決まります。その直後、ペアのフリーが行われる予定となっています。
 まずは日本がフリーに進めるように、アイスダンスのリード兄弟と女子の浅田真央選手の好演技を祈りたいと思います。


:記事冒頭の日本チームの写真、羽生選手の写真、高橋、木原組の写真は、毎日新聞のニュースサイト内の写真特集「ソチ五輪 フィギュアスケート団体」から、プルシェンコ選手の写真はAFPBB Newsが2014年2月7日の8:41に配信した記事「フィギュア団体戦・男子SPで2位のプルシェンコ、ソチ五輪」から、チャン選手の写真、リーバース選手の写真はエンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、閻選手の写真はAFPBB Newsが2014年2月7日の8:36に配信した記事「フィギュア団体戦・男子SPで4位のハン・ヤン、ソチ五輪」から、アモディオ選手の写真はAFPBB Newsが2014年2月7日の8:35に配信した記事「フィギュア団体戦・男子SPで5位のアモディオ、ソチ五輪」から、アボット選手の写真はAFPBB Newsが2014年2月7日の8:32に配信した記事「フィギュア団体戦・男子SPで7位のアボット、ソチ五輪」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-02-08 05:00 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)