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 アイスショーシーズン真っ只中の日本ですが、そういった中でちらほらと選手たちの競技用新プログラムがお目見えし始めています。そして、6月12日、13日、14日には“フィギュアスケート日本代表エキシビション”と銘打ったアイスショー、「Dreams on Ice」が行われ、出演した日本のトップスケーターたちが次々と新プログラムをお披露目、発表しました。この記事ではそうした日本選手たちの新プログラム情報を中心にお伝えしたいと思います。


 まずは、上の写真でもお分かりのとおり、現世界選手権銀メダリストの羽生結弦選手です。羽生選手は「Dreams on Ice」に出演、その場で新しいフリープログラムをショー用に短く構成したものを披露しました。新プログラムは「SEIMEI」、映画『陰陽師』のサウンドトラックを使用したプログラムで、振り付けは14/15シーズンのフリーに続いてシェイ=リーン・ボーンさんとのことです。
 『陰陽師』は平安時代に実在した陰陽師・安倍晴明を主人公にした作品で、羽生選手はこの作品を選んだ理由について「幅を広げるため」と説明しました。羽生選手の和風プログラムといえば、三味線の音が特徴的なエキシビションナンバー「CHANGE」やバレエ『白鳥の湖』の音楽を和風にアレンジした「ホワイト・レジェンド」など過去にもいくつかありますし、また、羽生選手の顔立ちが純和風ということもあって和風プログラムはまさにピッタリという感じなので、そこまで新鮮味や意外性というのは感じないのですが、『陰陽師』を持ってくるというのはちょっと予想外でしたね。「SEIMEI」というプログラム名は『陰陽師』のサントラの中にある楽曲名ではなく、羽生選手が独自に名付けたものだそうですが、そういった部分からもこのプログラムに対する意気込みがうかがえます。
 そして、振り付けは14/15シーズンのフリー「オペラ座の怪人」を手がけたボーンさんで、2年連続、2作目のコラボということになります。極めて日本的なプログラムということで、日本人の振り付け師さんに作ってもらうという手もあったでしょうが、日本らしすぎないようにという意図があってということのようですね。また、先シーズンのフリーで一度組んでいるとはいえ、羽生選手の数々のアクシデントがあり、本来予定していた「オペラ座の怪人」を完成させることはできませんでした。そういった意味でも、再びボーンさんと組んで、「オペラ座の怪人」とは全く違った作品をやることで、二人ならではのケミストリーみたいなものが出てくるかもしれないので、楽しみですね。なお、ショートプログラムに関しては未発表となっています。


 続いては初出場の世界選手権で銀メダリストとなり、一躍注目度を上げた宮原知子選手。

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 宮原選手も「Dreams on Ice」に出演しましたが、この場で披露したのはエキシビションナンバーの「ペニーズ・フロム・ヘヴン」で、競技用プログラムは滑りませんでした。ですが、ショー後のインタビューでプログラム名を明かし、ショートプログラムは「ファイヤーダンス」、フリーはフランツ・リストの「ため息」であると発表しました。
 SPはジュニア時代から宮原選手のプログラムを多く手がけているおなじみのトム・ディクソンさん振り付け。プログラム名は「ファイヤーダンス」とのことで、この曲名を持つ楽曲がいくつかあるのですが、多分アイルランドをモチーフにした舞台作品『リバーダンス』の劇中曲の「ファイヤーダンス」と思われます。「ファイヤーダンス」といえば、鈴木明子さんが06/07シーズンと07/08シーズン、そしてバンクーバー五輪シーズンのSPで使用したことで知られていますが、アップテンポで情熱的なリズムが特徴的です。宮原選手は13/14シーズンのフリーでフラメンコの「ポエタ」を演じていますから、こういったジャンルのプログラムは初めてではないですが、フラメンコとはまた少し雰囲気が違うので新たな面が見られるのではないかと思います。
 フリーの「ため息」はリストの「3つの演奏会用練習曲」というピアノ曲集の中の一曲で、タイトルのとおり優しくゆったりとした旋律が美しい音楽です。リストのピアノ曲の中では比較的有名で、最近だとトヨタのCMで使われていたので覚えている方も多いかもしれません。オーケストラのないピアノのみの作品ですから緩急やメリハリを表現する難しさもあるでしょうが、スケーティングの美しい宮原選手なら滑りこなせるのではないでしょうか。また、振り付けは14/15シーズンの「魔笛」に続きローリー・ニコルさんで、浅田真央選手の「ノクターン」をあれだけ美しく振り付けた方ですから、同じピアノ曲の「ため息」も素敵に作ってくれているんじゃないかなと思いますね。


 シニアに移行する世界ジュニア王者の宇野昌磨選手はSP、フリーともにすでにアイスショーで披露しています。

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 ショートプログラムは「Legends」、フリーは「トゥーランドット」です。
 SPの「Legends」はSacred Spiritという音楽グループが1997年に発表した楽曲です。今までも宇野選手は多彩なジャンルのプログラムを演じていますが、「Legends」はこれまでになかった全く新しいタイプの曲ですね。アップテンポなダンスナンバーという点では宇野選手らしいですが、近未来的でエレクトロニックで一つのジャンルに絞りきれないような独特な世界観の音楽というのは珍しいので、アグレッシブな選曲だなと思います。
 一方、「トゥーランドット」はフィギュア界の大定番。SPも宇野選手にとってはチャレンジだと思いますが、この「トゥーランドット」も初めてのオペラ作品なので新境地と言えるかもしれません。クラシック音楽という視点でいうならジュニア時代の「ツィガーヌ」や先シーズンの「ヴァイオリンソナタ第9番」などいくつか経験していますから初挑戦というわけではありませんが、今までのものよりも物語性が強く、重厚かつ壮大な作品なので、そういった部分と宇野選手特有の踊りの巧さ、繊細さが合わさった時にどんな雰囲気、空気感が紡ぎ出されるのか、期待したいですね。


 そして、ベテランの無良崇人選手は「Dreams on Ice」でショートプログラムのみを披露、ロシア歌謡「黒い瞳」を使用すること、振り付けはソチ五輪のアイスダンス金メダリスト、チャーリー・ホワイト選手であることを明かしました。「黒い瞳」は男子も女子も多くのスケーターが演じていておなじみの作品ですが、女性的な艶っぽさが特徴的な曲でもあります。そのプログラムを男性的なパワフルさ、豪快さが魅力の無良選手がどう表現するのか、こちらも新たなチャレンジですね。また、振り付けがあのチャーリー・ホワイト選手ということで、たぶんホワイト選手にとっても他の選手の競技用プログラムを手がけるのは初めてだと思うので、プログラムの振り付けや作りにも注目ですね。


 14/15シーズン、大きな飛躍を遂げた本郷理華選手も「Dreams on Ice」に出演、新ショートプログラム「キダム」を演じました。また、正式な形での発表というのはなされていませんが、フリーは「リバーダンス」であることも判明しています。
 SP「キダム」はサーカス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の作品。本郷選手がこの作品で滑るというだけでも意外性がありおもしろいなと思いますが、振り付けはなんと鈴木明子さんとのこと。本郷選手は同門の先輩である鈴木さんには前シーズンのプログラムでも身のこなしのアドバイスなどをもらっていますから、プログラムを作ってもらうというのは自然な流れだと思うのですが、こんなに早く二人の本格的なコラボが実現するのは嬉しいですね。しかも「シルク・ドゥ・ソレイユ」の音楽を使用するということで、否応なく鈴木さんの代表作「O」を思い出します。本郷選手が鈴木さんのエッセンスを受け継いで、それをいかに本郷選手らしく表現していくかがポイントになりそうですね。
 フリーの「リバーダンス」もこれまでの本郷選手とは一味違ったイメージの作品。「リバーダンス」のどの部分を使うかによってもプログラムの雰囲気は変わってくるでしょうが、アイリッシュダンスの要素がふんだんに盛り込まれた作品ですから、そういったダンサブルな表現の仕方をするプログラムというのは、本郷選手にとってはチャレンジングな選曲と言えますね。


 2014年のNHK杯の優勝者である村上大介選手も「Dreams on Ice」でショー用に短くしたフリープログラム「彼を帰して ミュージカル『レ・ミゼラブル』より」をお披露目しました。「彼を帰して」はしっとり、ゆったりとしたメロディが印象的な『レ・ミゼラブル』の劇中曲。どちらかというと快活で元気の良いイメージのある村上選手ですが、悲哀漂う大人のプログラムというのも新鮮で楽しみですね。


 15/16シーズンもGP2大会に出場する今井遥選手は、4月上旬に行われた国内のローカル大会で早々と新プログラムを発表。SPは14/15シーズンからの持ち越しとなる「マラゲーニャ」、フリーはサン・プルーの「ピアノ協奏曲」とのことです。
 ショートの「マラゲーニャ」は2季連続での使用となりますが、今井選手によればステップシークエンスは一から作り直したそうなので、また少し違った感じになっているでしょうね。個人的にはとても好きなプログラムだったので再び見られるのは嬉しいですし、演じ続けることでさらに滑り慣れて洗練されると思うので、進化したプログラムになっていることを期待します。
 フリーはフランスの作曲家サン・プルーの「ピアノ協奏曲」ということで、曲名から推察するに13/14シーズンのフリーと同じものかなと思うのですが、具体的なことはまだ分かりません。ただ、今井選手によると「昨季使う予定で作ったプログラム」とのことなので(昨季というのがどのシーズンを指すのかも微妙なのですが)、そうすると13/14シーズンのフリーとは別物とも読めるのですが……。国際大会などで大々的にお披露目されるのを待ちたいですね。


 本格的なシニアデビューを果たす永井優香選手はショートプログラムのみをすでにアイスショーで発表していて、プログラムはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」となっています。壮大かつ難解な曲、しかもそれを2分50秒という短い時間に凝縮したプログラムなので、表現する難しさは確実にあるでしょうが、大柄でダイナミック、それでいて繊細さもある永井選手には合った作品だと思いますね。


 同じくシニアに参戦する中塩美悠選手は4月にスロベニアで開催されたトリグラフトロフィーで新しいフリープログラム「シェヘラザード」を披露済み。振り付けは阿部奈々美さんだそうです。中塩選手はこれまでミュージカル音楽やラテン系音楽などをよく滑っていて、新フリーはそれらとはまた違ったタイプの曲だと思いますが、表現の優れた選手なので中塩選手ならではの「シェヘラザード」を演じてくれそうで楽しみですね。



 さて、この記事はとりあえずこれで終了となりますが、このあとのオフシーズンもできるだけコンスタントに新プログラム関連の記事をアップしていきたいと思います。では。


:記事内の写真は全て、フィギュアスケート情報ウェブサイト「Absolute Skating」の公式フェイスブックページから引用させていただきました。

【関連リンク】
Japanese stars debut programs at 'Dreams on Ice' 「Dreams on Ice」の内容について報じた記事です。
トップ選手が移籍!フィギュアスケート熱が高まる新潟県 記事内に今井選手の近況に関する言及があります。

【ブログ内関連記事】
浅田真央選手、15/16シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報② 2015年7月2日
各選手の15/16シーズンの新プログラムについて・その③ 2015年8月13日
各選手の15/16シーズンの新プログラムについて・その④ 2015年9月27日
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by hitsujigusa | 2015-06-19 17:47 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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※2015年9月9日、新たなエントリーについて追記し、エントリー表のリンクも更新しました。
※2015年9月28日、新たなエントリーについて追記し、エントリー表のリンクを更新、参考リンクも追加しました。
※2015年10月17日、エントリー表のリンクを更新しました。
※2015年10月23日、エントリー表のリンクを更新しました。


 国際スケート連盟によって6月15日に15/16シーズンのグランプリシリーズのエントリー(出場選手)が発表されました。この記事ではざっくりと、各大会に出場する選手をまとめ、特に注目する選手についても書いていきたいと思います。なお、以下は各種目別のエントリー表で、上から男子、女子、ペア、アイスダンスとなっています。

Entries Men 2015/16- All 6 Events
Entries Ladies 2015/16- All 6 Events
Entries Pairs 2015/16- All 6 Events
Entries Ice Dance 2015/16- All 6 Events

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 まずは、各大会ごとに出場する日本選手と海外の主な(個人的な)注目選手を列挙します(敬称略)。


《スケートアメリカ》
無良崇人、宇野昌磨、宮原知子、今井遥、中塩美悠、デニス・テン、ジェイソン・ブラウン、閻涵、グレイシー・ゴールド、ユリア・リプニツカヤ、エフゲニア・メドベデワ、エリザヴェート・トゥルシンバエワ、隋文静&韓聰組、クセニア・ストルボワ&ヒョードル・クリモフ組、アレクサ・シメカ&クリス・クニーリム組、マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組、パイパー・ギルズ&ポール・ポワリエ組

《スケートカナダ》
羽生結弦、村上大介、村上佳菜子、永井優香、パトリック・チャン、ナム・グエン、アダム・リッポン、ジョシュア・ファリス、ミハル・ブレジナ、エリザヴェータ・トゥクタミシェワ、アシュリー・ワグナー、ポリーナ・エドマンズ、ケイトリン・オズモンド、エリザヴェート・トゥルシンバエワ、アリョーナ・レオノワ、メーガン・デュアメル&エリック・ラドフォード組、エフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組、ヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組、ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組、エカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組、マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組

《中国杯》
小塚崇彦、浅田真央、本郷理華、ハビエル・フェルナンデス、閻涵、ミーシャ・ジー、セルゲイ・ボロノフ、金博洋、エレーナ・ラディオノワ、アンナ・ポゴリラヤ、李子君、川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ組、隋文静&韓聰組、于小雨&金揚組、マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組、アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組、エレーナ・イリニフ&ルスラン・ジガンシン組

《エリック・ボンパール杯》
宇野昌磨、村上大介、村上佳菜子、今井遥、パトリック・チャン、デニス・テン、マキシム・コフトゥン、ミーシャ・ジー、エリザヴェータ・トゥクタミシェワ、ユリア・リプニツカヤ、グレイシー・ゴールド、キーラ・コルピ、タチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組、彭程&張昊組、エフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組、ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組、パイパー・ギルズ&ポール・ポワリエ組、ペニー・クームズ&ニコラス・バックランド組

《ロステレコム杯》
小塚崇彦、本郷理華、加藤利緒菜、永井優香、ハビエル・フェルナンデス、セルゲイ・ボロノフ、ナム・グエン、アダム・リッポン、エレーナ・ラディオノワ、ポリーナ・エドマンズ、エフゲニア・メドベデワ、川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ組、クセニア・ストルボワ&ヒョードル・クリモフ組、彭程&張昊組、ヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組、ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組、アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組、エレーナ・イリニフ&ルスラン・ジガンシン組

《NHK杯》
羽生結弦、無良崇人、浅田真央、宮原知子、平井絵己&マリオン・デ・ラ・アソンション組、ジェイソン・ブラウン、マキシム・コフトゥン、ジョシュア・ファリス、ミハル・ブレジナ、金博洋、アシュリー・ワグナー、アンナ・ポゴリラヤ、アリョーナ・レオノワ、ケイトリン・オズモンド、李子君、長洲未来、タチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組、メーガン・デュアメル&エリック・ラドフォード組、于小雨&金揚組、アレクサ・シメカ&クリス・クニーリム組、ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組、エカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組、マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組



 こうしたエントリー一覧を見て思ったことをざっとポイントごとにまとめてみます。


①日本勢

 日本勢で最大の注目はやはり1季ぶりに競技復帰する浅田真央選手ですね。現役続行を明言した直後はGPシリーズには参加しないのではないかと報道されていましたが、一転参戦となりました。それだけ仕上がりが早いということなのでしょうし、器用な浅田選手ですからかつてのレベルを取り戻すこともそう困難なことではないんじゃないかなと思います。ただ、GPが競技復帰初戦となるとは限らず、9月下旬の中部選手権、または10月上旬のジャパンオープン出場の可能性もあります。じっくりゆっくり進んでいってほしいですね。
 浅田選手以外の注目選手では、GPデビューとなる世界ジュニア王者の宇野昌磨選手、ジュニアGPファイナルを経験している永井優香選手、中塩美悠選手が挙げられます。そして、昨年のNHK杯を制した村上大介選手が、先シーズンの活躍が実って自身初の2大会エントリーとなっています。
 アイスダンスでは、平井絵己&マリオン・デ・ラ・アソンション組が2年連続でNHK杯にエントリー。昨年はGP全体で3組いた日本のペア&アイスダンスが今年は現時点で1組のみというのは少し寂しいですね。NHK杯はまだアイスダンスの日本枠が1枠空いていますので、今後新たにエントリーされる可能性もあります。


②復帰組

 オリンピックシーズンの次のシーズンを休養にあて、15/16シーズンに久しぶりの復帰を果たす選手もいます。その中で最も注目されるのは世界選手権3連覇の圧倒的王者、パトリック・チャン選手です。スケートカナダでは羽生結弦選手と、エリック・ボンパール杯ではデニス・テン選手とぶつかるというのも楽しみですが、チャン選手がかつてのように再び君臨するのか、それとも羽生選手ら強豪たちと拮抗した戦いを見せるのか、今からわくわくします。
 そのほかの復帰組で楽しみなのはフィンランドのベテラン、キーラ・コルピ選手。14/15シーズンも欧州選手権や世界選手権には出場しているので本当の意味での復帰とは言えませんが、GPシリーズの参戦は12/13シーズン以来となります。今のところは1大会のみのエントリーですが、久しぶりのGPでコルピ選手がどんな演技を見せてくれるのか楽しみです。また、14/15シーズンを負傷の影響でフル休養することになったカナダのケイトリン・オズモンド選手も注目です。
 ペアではソチ五輪チャンピオンのロシアのタチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組が復帰。NHK杯では現世界王者のカナダのメーガン・デュアメル&エリック・ラドフォード組と直接対決となりますから、おもしろい試合となりそうですね。
 アイスダンスではかつての世界選手権銅メダリスト、欧州選手権金メダリストのロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組が負傷による休養から復帰。圧倒的な力を誇った北米のメリル・デイビス&チャーリー・ホワイト組、テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組が未だ不在の中、強豪カップルが戻ってくることで力の拮抗するアイスダンス界がまたさらに予想が難しい感じになるかもしれませんね。
 その一方で、休養し続けたまま進退を明言していない選手もいます。上述したデイビス&ホワイト組、ヴァーチュー&モイア組もそうですし、ソチ五輪女王のアデリナ・ソトニコワ選手もGPにはエントリーしませんでした。ただ、ソトニコワ選手は復帰する予定があるという情報が入ってきていますし、GPに出場しなくてもシーズン後半から復帰することは十分可能なので、彼女のカムバックを期待したいですね。


③GPデビュー組

 ①のところで言及した宇野選手、永井選手、中塩選手はもちろん、そのほかにもジュニア界を席巻した選手たちが鳴り物入りでシニアデビューします。
 いちばんの注目株は14/15シーズン、出場した全てのジュニア大会を制したジュニア女王、ロシアのエフゲニア・メドベデワ選手です。毎年のように新たにシニアに上がってきては鮮烈なデビューを果たし旋風を巻き起こし続けているロシア女子ですが、このメドベデワ選手もすでにシニア並みのパーソナルベストを持っていて、シニアでも大活躍しそうな予感がして楽しみであるとともに、ちょっと戦々恐々ですね。また、同じ女子ではあのブライアン・オーサーコーチの下で練習するカザフスタンのエリザヴェート・トゥルシンバエワ選手もかなり楽しみな存在です。
 一方、男子ではここ2、3年のジュニア男子を引っ張ってきた中国の金博洋(ジン・ボーヤン)選手がいよいよシニアデビュー。ジュニアながらすでにフリーで3本の4回転を取り入れる驚異の4回転ジャンパーですが、そんな金選手がシニアの4回転ジャンパーたちの中に交じってどう戦っていくのか、気になりますね。



 グランプリシリーズのエントリーが発表されると、いよいよ新シーズンが近づいてきているなという実感がわきます。とはいえまだ6月なので、本格的なシーズン開幕はまだまだなのですが、選手たちの新プログラムの情報もちょこちょこ入りつつあり、気持ちが徐々に高まってきますね。新プログラム関連の記事もおいおいアップしていきたいと思います。では。


※以下、2015年9月9日に追記した部分です。


 9月7日、日本スケート連盟によって、グランプリシリーズ第6戦のNHK杯の空いていた自国枠に新たにエントリーした日本選手が発表されました。男子は田中刑事選手、女子は木原万莉子選手、アイスダンスは村元哉中、クリス・リード組が出場することが決まりました。田中選手は昨季の中国杯に続き2度目のGP、木原選手は初めてのGPでこれが本格的なシニアの国際大会デビューとなります。そしてアイスダンスでは、姉キャシー・リード選手の現役引退によってカップルを解消することになったクリス・リード選手が、新たにコンビを組むことになった村元哉中選手とともにさっそくGPデビューということになりました。どの選手も自国開催のNHK杯で思いっきり楽しんでくれることを願っています。
 そのほかの海外選手では、まず男子ではスケートアメリカの自国(アメリカ)枠にロス・マイナー選手が、スケートカナダに当初エントリーしていた香港のロナルド・ラム選手が出場を取りやめたことによって空いた1枠には韓国のキム・ジンソ選手が、中国杯に当初エントリーしていたイスラエルのダニエル・サモヒン選手がこちらも出場を取りやめたため空いた1枠にカナダのエラジ・バルデ選手が、それぞれ新たにエントリーしました。マイナー、バルデ両選手は2大会エントリーとなります。
 女子ではスケートアメリカの空白だった自国枠に今シーズン本格的なシニアデビューを果たすカレン・チェン選手が入り、中国杯との2大会エントリーとなりました。同じくスケートカナダの空いていた自国(カナダ)枠にはヴェロニク・マレー選手がエントリー。エリック・ボンパール杯では当初エントリーしていたフィンランドのキーラ・コルピ選手が現役引退したため空いた1枠にイタリアのロベルタ・ロデギエーロ選手がエントリーし、ロステレコム杯との2大会エントリーが決定しました。
 ペアではスケートアメリカの自国枠にグレッチェン・ドンラン、ネイサン・バーソロメイ組がエントリー、14/15シーズンにペアを結成したこのペアとしては初めてのGPとなります。そして、カナダのヴァネッサ・グレニエ、マキシム・デシャン組はほかのペアの出場辞退によって中国杯に、自国枠によってスケートカナダにエントリーし、初めてのGP2大会出場を決めました。
 アイスダンスではこちらもスケートアメリカの空白だった自国枠にアナスタシア・カヌーシオ、コリン・マクマヌス組が新たにエントリー。スケートカナダも自国枠にエリザベト・パラディ、フランソワ=グザビエ・ウェレット組が同様にエントリーしました。


※以下、2015年9月28日に追記した部分です。


 前回の追記以降も、空いていた枠に新たなエントリーがなされていますので、大ざっぱに簡潔にお伝えしていきたいと思います。
 まず、女子では中国杯の空いていた2つの地元枠に、それぞれ地元中国の選手がエントリーされました。そして、フランス大会も地元フランス枠が1枠空いていましたが、そちらの枠をフランス選手が利用することはなく、その分空いた1枠にオーストラリアのブルックリー・ハン選手が入りました。さらに特筆すべきは、ロシア大会の地元枠に新たにソチ五輪女王のアデリナ・ソトニコワ選手がエントリーしたということです。エントリー表が最初に発表された段階ではその中にソトニコワ選手の名前はなく、GPシリーズをパスして国内のロシア選手権に照準を合わせるのだろうと思われていましたが、ここにきて地元ロシア大会の出場が決まりました。もちろん、これはあくまで予定なので実際に出場するかどうかは分からず、ソトニコワ選手は昨季もロシア大会にエントリーしていたものの負傷で欠場しているので、今年も本当に出てくるかどうか、微妙なところではあります。ただ、シーズンの前半の時期にソトニコワ選手とほかの強豪選手との競演が見られればおもしろいなと期待はしてしまいますね。
 続いて男子。スケートカナダの空いていた地元枠1にキーガン・メッシング選手が、中国杯の地元枠に宋楠(ソン・ナン)選手が、フランス大会の地元枠にシャフィク・べセギエ選手が、ロシア大会の地元枠にアルトゥール・ガチンスキー選手が、それぞれ新たにエントリーしました。これで今まで空白だった地元枠は全て埋まりました。しかし、スケートカナダとNHK杯にエントリーしていたアメリカのジョシュア・ファリス選手が負傷で出場を辞退したため、その分の枠がまた新たに空くこととなりました。ファリス選手は7月の中旬、練習中に4トゥループの着氷に失敗。その際むち打ちのような感じになり、その後も思わしくない症状があり、脳振とうということで治療を優先するためGPの欠場を決めたとのことです。フィギュアスケーターの脳振とうといえば昨季の羽生結弦選手、閻涵(ヤン・ハン)選手の衝突アクシデントが記憶に新しいところですし、先日はアイスダンス世界王者のフランスのガブリエラ・パパダキス選手も練習中に転倒して脳振とうになり、治療を受けているそうです。脳振とうというのは後々にも影響を及ぼすことがあり、ファリス選手のこともとても心配ですが、治療に専念してまた元気な姿を見せてほしいですね。
 ペアではフランス大会の空いていた地元枠1の権利をフランスが放棄したため、新たにオーストリアのミリアム・ツィーグラー&セヴェリン・キーファー組がエントリー。ツィーグラー&キーファー組はスケートカナダのエントリーに加え、これで2大会出場が決まりました。ロシア大会では地元枠に新たにナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組がエントリー。これでペアの全6大会の枠は全て埋まりました。
 最後はアイスダンス。中国杯の残りの地元枠に新たに中国のカップルがエントリー。フランス大会は地元枠が2つ空白のままでしたが、フランスのカップルではなく、スペインのサラ・ウルタド&アドリア・ディアス組とトルコのアリサ・アガファノヴァ&アルぺル・ウチャル組が新たにエントリー。また、ロシア大会の地元枠にはヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組がエントリー。今回の追加エントリーによって、ウルタド&ディアス組、シニツィナ&カツァラポフ組は2大会出場が決定しました。
 

注:記事冒頭の写真は国際スケート連盟の公式ウェブサイトから引用させていただきました。

【参考リンク】
Inside Russia 記事内にソトニコワ選手の現況に関する言及があります。
No timetable for Farris' return from concussion ファリス選手のGP欠場、脳振とうについて報じた記事です。
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by hitsujigusa | 2015-06-17 20:02 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ベストコスチューム14/15、シリーズ最後は男子フリー部門です。コスチュームを選ぶにあたってのルールはこちらの記事に書きましたので、ご覧下さい。

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 男子フリー部門、第1位は日本の町田樹選手の「交響曲第9番」です。

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 2014年の全日本選手権をもって現役引退した町田選手。その最後の演技となったベートーヴェンの「交響曲第9番」はベートーヴェンの交響曲の中でも特に有名なものですが、その世界観を忠実に表現した衣装となっています。
 うっすら透けるブルーの素材のトップスは、中央部分に金色のラインが左右3本ずつ走り、その周りに細かな金色の装飾が散りばめられています。「交響曲第9番」は合唱付きで、プログラムでも演技後半のクライマックスとなるところでその「歓喜の歌」を取り入れていますが、歌詞には星や星空といった単語が登場します。町田選手の衣装はまさに夜空にきらめく星々を想起させるデザインで、作品の物語性をも取り込んだ素晴らしい衣装だなと思います。


 2位は同じく日本の羽生結弦選手の「オペラ座の怪人」です。

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 14/15シーズン、多くの選手に使用された「オペラ座の怪人」。以前から頻繁に演じられる大定番ですが、羽生選手はコスチュームでオリジナリティーを表現しています。男子選手が「オペラ座の怪人」を滑る場合、通常怪人ファントムを演じることが多く、黒を基調としたりスーツ風にしたりということがよく見られるのですが、羽生選手の衣装は白をベースに、ブルーやグレー、黒がマーブル柄のように無造作に混じるという独特の柄となっていて、加えて金色のアップリケが身体の中心を縦断するというスタンダードとは一味違うデザインとなっています。使われている色の数としては多めなのですが、それぞれの色の分量や色のチョイスが絶妙なので、全然ごちゃごちゃした感じはありませんね。また、デザイン的にはよくあるスーツの形とは違いますが、襟付きなので正装っぽくもなっていて、ファントムらしさを表現しつつ、羽生選手らしさもよく表れた素敵な衣装だと思います。


 3位はチェコのミハル・ブレジナ選手の「フィガロの結婚/間奏曲 オペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』より」。

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 モーツァルトとマスカーニのオペラを組み合わせたプログラムで、衣装もまさにオペラらしい本格的なデザインとなっています。一番下に白いウィングカラーシャツを着用し、首元にはシャツとなじむ白のアスコットタイ。その上に金糸の刺繍が華やかなブルーのウェストコート(ベスト)、同じく深みのあるブルーベルベットの上着を重ねています。オーソドックスなスタイルですが、アスコットタイの結び目の飾りやウェストコートの刺繍など細部まで凝った作りになっていて、オペラプログラムにふさわしい重厚さ漂うコスチュームに仕上がっていますね。


 4位はフィリピンのマイケル・クリスチャン・マルティネス選手の「オペラ座の怪人」です。

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 羽生選手同様、「オペラ座の怪人」を使用したマルティネス選手ですが、衣装は全く異なるタイプのものとなっています。スタイルとしてはシャツ+ベスト+ジャケットという定番の形ですが、胸元のたっぷりとしたフリルやゴージャスな金色のベストなど、一つ一つのデザインは個性的。ですが、色づかいはシックなワイン色をメインにしているので落ち着きが感じられますし、「オペラ座の怪人」らしい華やかさもあって、良い衣装だと思いますね。


 5位はカザフスタンのデニス・テン選手の「アルバム『New Impossibilties』より」。

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 著名なチェロ奏者であるヨーヨー・マを始めとするさまざまな国籍のさまざまな楽器奏者が参加したアルバムの楽曲を使用した、壮大かつエキゾチックな世界観が印象的なプログラムですが、コスチュームも東洋とも西洋とも言えないような独創的なデザインです。
 ベースとなるのはネイビーに近い濃い青ですが、シースルー素材で服の下の模様がうっすら透けるような感じになっています。そして首元は生地がくしゅくしゅとなったようなところに硬質なテクスチャーの装飾が施され、ウエスト部分も同じような質感の素材でぎゅっと腰を絞っています。全体的に色合いは地味ですが、西洋風ではない色づかい、素材感で異国情緒漂う独特の雰囲気を巧く表わしていますね。


 6位は日本の村上大介選手の「ピアノ協奏曲第2番」です。

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 フィギュア界ではおなじみのラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」を使用していて、ピアノが奏でるエレガンスさとオーケストラのダイナミックさが融合したプログラムとなっています。
 衣装は鮮やかな青を基調としていますが、右胸の部分は深みのある濃い青、そこから下にいくにつれグラデーションで淡くなっていき、腰の部分は再び濃いめの青といったふうに、一色ではなく数種類の青がバランス良く配置されています。また、布づかいも質感の違う生地が使われ、左肩のヒラヒラとした布やボディ部分のギャザーなど見た目に変化がつけられていますし、装飾づかいもアクセサリーのようにデザインされたビジューなど華やかさがプラスされています。壮大でありながら透明感、繊細さもある音楽の世界観を見事に表現した美しいコスチュームですね。


 7位はカナダのジェレミー・テン選手の「ハレルヤ」です。

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 「ハレルヤ」はカナダのシンガーソングライター、レナード・コーエンの代表曲ですが、テン選手が使用しているのはさまざまあるカバーの中でも特に有名なジェフ・バックリィバージョンです。軽やかかつ優しいボーカルとどことなくもの悲しいメロディが印象的なプログラムになっています。
 タイトルのとおり、「ハレルヤ」はキリスト教をモチーフにしていて、コスチュームもそれに合わせて実にシンプルですね。ただ、単に白いシャツとするのではなく、ギャザーやドレープをたっぷり施したり、シャツよりワントーン濃いアイボリーの布を肩から垂れ下がるようにあしらったりと、布づかいの美しさが際立っています。色や装飾ではなく布を効果的に使うことで、シンプルでありながら印象に残るコスチュームにしていますね。


 8位は日本の無良崇人選手の「オペラ座の怪人」です。

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 羽生選手、マルティネス選手に続いて3人目の「オペラ座の怪人」ですが、これまた前者2人とは全く違ったデザインですね。白いシャツにグレーのベスト、黒い上着という3人の中では最もオーソドックスなコーディネートと言えます。そして、手袋を右手は白、左手は黒とすることで怪人ファントムの光と闇を表現していて、「オペラ座の怪人」らしさがよく表れていますね。カラーコーディネート的には黒と白だけだと少し地味かなという感じですが、首元のキラキラとした装飾や光沢のある上着の襟などでアクセントをつけていて、シックかつ気品のある衣装になっていると思います。


 9位はフランスのロマン・ポンサール選手の「映画『インセプション』より」。

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 レオナルド・ディカプリオ主演の映画『インセプション』のサントラを使用していますが、賑やかさというのはあまりなくて、ところどころ現われる静かなピアノの音色だったり、部分的に入った女性ボーカルだったり、比較的穏やかで繊細なイメージを与えるプログラムとなっています。
 衣装も淡い紫が腰に向かって濃くなるグラデーションになっていて落ち着いた雰囲気ですし、細かなギャザー仕立ても繊細さを感じさせます。ソフトな色合い&素材感の上半身とハードな印象の黒のボトムは質感にギャップがありますが、硬質な印象の細かな装飾で境目の部分を縁取ることで巧く質感の違いの違和感を無くしていますし、効果的なアクセントにもなっていて、よく考えられた衣装だと思いますね。


 10位はスペインのハビエル・フェルナンデス選手の「セビリアの理髪師」です。

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 母国スペインを舞台にした歌劇を演じたプログラム。スペイン風の衣装というと赤や黒を用いたものが多いですが、『セビリアの理髪師』はイタリア人のロッシーニが作曲した作品ですし、いかにもスペインらしいリズムやメロディというわけではなく、それよりは南欧の陽気さ、明るさというのが強く印象に残るプログラムなので、フェルナンデス選手の衣装にもそれが反映されています。
 スタイルとしては白いシャツにベストを重ねた定番の形で、上着がない分、より軽快に見えますね。また、ベストもオレンジがかったベージュのストライプ柄なので、明るさ、コミカルさがよく出ています。パンツの色も黒だとずっしり重厚になってしまいますが、カーキ色にすることでベストの色とのバランスも良く、全体的にポップな感じになっていると思います。そして、下に着たシャツも普通の身体にぴったり添ったフォルムのものではなく、襟が大きく袖がゆったりとしたデザインにすることによって、きっちりした正装風とは違うソフトな雰囲気が表れていて、作品の空気感とぴったり合っていますね。



 さて、ベストコスチューム14/15、男子フリー部門はこれで終わりです。ということで、女子、ペア、アイスダンス、男子、それぞれショートとフリー、全てのベスト10が揃いました。約1か月に渡って書いてきましたが、コスチュームを選ぶことで各選手の個性や傾向みたいなものも見えてきたかなと思います。また来年(来季)も、気は早いですがベストコスチュームをやりたいなと思います。それでは。


:記事冒頭の写真はフィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、町田選手の写真は毎日新聞のニュースサイトが2014年12月26日に配信した写真特集「2014全日本フィギュア 華麗なる戦い」から、羽生選手の写真は毎日新聞のニュースサイトが2014年11月28日に配信した写真特集「2014NHK杯 GPファイナル目指す華麗な戦い」から、ブレジナ選手の写真、村上選手の写真、無良選手の写真、フェルナンデス選手の写真はスポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、マルティネス選手の写真はマルティネス選手のファンサイトのフェイスブックページから、デニス・テン選手の写真、ジェレミー・テン選手の写真は国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、ポンサール選手の写真はエンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2015-06-12 20:21 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 ベストコスチューム14/15、最後は男子です。まずは男子のショートプログラムのベスト10をお届けします。なお、選ぶ際のルールについてはこちらの記事をご覧ください。

*****

 1位はアメリカのジェイソン・ブラウン選手の「Juke」です。

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 ハーモニカ奏者として有名なブルース・ミュージシャン、リトル・ウォルターの楽曲を使用したユーモアたっぷりの軽快なプログラムということで、コスチュームもポップさを強調したデザインになっています。鮮やかなブルーのワイシャツに、ふんだんにラインストーンを施した黒いサスペンダー、襟や袖口も同じように装飾が盛り込まれていて、特徴的なアクセントになっていますね。スタイルとしてはワイシャツ+サスペンダーというよくあるコーディネートなのですが、細かな装飾づかいやサスペンダーを固定するボタン、腰から垂れ下がったチェーンなど、細部に工夫が凝らされていて、プログラムのコミカルさとクールさを絶妙に表現した衣装だと思います。


 2位は日本の宇野昌磨選手の「ヴァイオリンソナタ第9番 “クロイツェル”」です。

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 ベートーヴェンのヴァイオリンソナタの中でも特に著名なものの一つを使用した格調高いプログラム。衣装もそれに合わせた気品漂う落ち着いたデザインです。色は深みのあるブルー、生地はベルベット風のほどよい光沢のある素材で重厚さがあります。上半身前面にあしらわれた木の枝っぽく見える模様は、何模様と言ったらいいのか分かりませんが、ヨーロッパの伝統的な文様を想起させるデザインでベートーヴェンという古典派音楽によく合っていますね。また、胸元、腰などビジューを多用していますが、生地の色と統一しているので派手派手しさはなく、華やかさとシックさのバランスが取れていると思います。
 「ヴァイオリンソナタ第9番」ならではの重厚さ、硬質さをよく表わした素晴らしいコスチュームですね。


 3位はロシアのアディアン・ピトキーエフ選手の「パガニーニの主題による狂詩曲」。

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 ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」はフィギュア界でも大定番の楽曲。優しく穏やかなピアノの旋律が有名ですが、ピトキーエフ選手の衣装も白を基調にした優しい色合いのものとなっています。その中にグラデーションでグレーが混じることによって、音楽の透明感と重厚さの両方を表現していますね。デザイン的にも襟元と袖口にフリルをあしらうことで柔らかいイメージ、腹部に巻かれるようにデザインされたシルバーの装飾によって硬質なイメージを表していて、衣装の色、素材感、装飾の使い方とトータルでバランス良くプログラムのイメージを巧くデザイン化したコスチュームだと思います。


 4位は日本の村上大介選手の「ロクサーヌのタンゴ 映画『ムーラン・ルージュ』より」。

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 こちらもフィギュア界ではおなじみのミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』の劇中曲「ロクサーヌのタンゴ」を使用したプログラムで、タンゴらしい赤と黒を基調とした衣装になっています。ただ、単に赤と黒を合わせるだけではなく、白いワイシャツをベースに黒いベスト、赤い襟の上着を重ねたスタイルにすることで、ヨーロッパの香りが濃いノーブルな雰囲気となっています。「ロクサーヌのタンゴ」はタンゴはタンゴでもパリを舞台にした作品のコンチネンタルタンゴなので、こうしたきちんとした正装風の衣装がぴったりだなと思いますね。


 5位はウズベキスタンのミーシャ・ジー選手の「アヴェ・マリア」です。

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 女性ボーカル入りの「アヴェ・マリア」を使用していて、清廉で荘厳な雰囲気に満ちた神々しいまでに美しいプログラムです。衣装はベージュやブラウンといったアースカラーがベース。胸元や左腕に蔓が巻きついたようなデザインがアクセントとなっています。アシンメトリーなトップスや脚に巻きつけた金色の装飾など、全体に工夫を凝らした作りとなっていますが、その一方で色づかいや切りっぱなしの裾や袖口など、質素さを感じさせるデザインともなっていて、宗教音楽ならではの神聖なイメージ、また、古いヨーロッパのイメージを表現した衣装になっていますね。


 6位はアメリカのスティーブン・キャリエール選手の「ラ・ヴィ・アン・ローズ」です。

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 一部にボーカルが入り、全編がトランペットに彩られたルイ・アームストロングの「ラ・ヴィ・アン・ローズ(バラ色の人生)」を使用したプログラムということで、衣装は左胸に真っ赤なバラが施され、ほどいた状態の蝶ネクタイも赤と、まさにこの楽曲らしいデザイン、色づかいです。シャツも白ではなく黒で、全身を黒にすることでより大人の男性のクールさやダンディさが強調され、ルイ・アームストロングのハスキーな歌声とジャジーなトランペットともよく合っていて良いですね。


 7位はアメリカのアダム・リッポン選手の「Nyah 映画『ミッション:インポッシブル2』より」。

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 エキゾチックなラテンのリズムが特徴的な音楽ですが、ラテンらしい暖色は使わず、黒一色でシックに仕上げています。ただ、実際には黒のみではなく、生地自体が透け感のある素材に黒い円がいくつも描かれ、その上にシルバーのキラキラとした装飾で半円状の模様を描くといった細かな工夫が施されていて、一見派手さはなくシンプルながらも、細部に渡る工夫によって複雑さを生み出しています。黒とシルバーの巧みな色づかい、デザインによって、ラテンならではの色気、大人の男性ならではの色気を醸し出していますね。


 8位はロシアのセルゲイ・ボロノフ選手の「死の舞踏」です。

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 奇怪で不気味なメロディで有名なサン=サーンスの「死の舞踏」ということで、全体的に黒を多めに使用した衣装ですが、肩や胸元に金色の飾りをあしらった独特のデザインとなっています。金色を使うとゴージャスな印象になるのですが、この衣装の場合は使い方が部分的ですし、分かりやすい模様や定番の柄ではなく、なんだかよく分からない感じで金色が散りばめられているので、ゴージャスというよりは「死の舞踏」らしい不気味さの方が勝っている気がします。また、肩には黒い鳥の羽根があしらわれているので、これも不気味さを強調するのに効果的に役立っていますね。


 9位はトルコのエンギン・アリ・アルタン選手の「ブエノスアイレスの春 「ブエノスアイレスの四季」より」。

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 独特の情緒、悲哀漂うピアソラのタンゴプログラムですが、赤やオレンジなどタンゴらしい色を使わず渋みのあるブロンズ色を使用することで、良い意味でタンゴらしくない衣装となっています。デザイン的にも菱形を連ねたような特徴的な模様で、これもタンゴらしさというのはありませんが、プログラムの大人びた雰囲気、ビターな感じには合っているなと思います。タンゴのステレオタイプなイメージにとらわれない素敵な衣装ですね。


 10位はカナダのエラジ・バルデ選手の「This is a Man's Man's Man's World/I Got You (I Feel Good)」。

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 ソウルミュージックの大御所、ジェームス・ブラウンの楽曲を使用したプログラムで、ノリノリでなりきって演じていたのが印象的でしたが、衣装もそのイメージを忠実に反映したものとなっています。ワイシャツにベスト、スラックスというスタンダードなスタイルですが、全てをブルーで統一したり、ベストの襟に派手派手しい装飾をあしらったり、スラックスをストライプ柄にしたりすることによって、かっちりした正装風ではなくほどよくカジュアルダウンしたスタイルになっていて、ジェームス・ブラウンメドレーにふさわしいクールさと派手さと抜け感が生まれていて良いなと思いますね。



 ベストコスチューム14/15・男子ショートプログラム部門は以上です。いよいよ次が最後、男子フリー部門となります。記事アップまでしばらくお待ちください。


:記事冒頭の写真はフィギュアスケート専門誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから、ブラウン選手の写真は、AFPBB Newsが2015年1月24日の17:20に配信した記事「ブラウンが男子シングルSP首位、フィギュア全米選手権」から、宇野選手の写真は毎日新聞のニュースサイトが2014年12月26日に配信した記事「写真特集:2014全日本フィギュア 華麗なる戦い」から、ピトキーエフ選手の写真、リッポン選手の写真は、写真画像ウェブサイト「ゲッティイメージズ」から、村上選手の写真、バルデ選手の写真はフィギュアスケート情報ウェブサイト「Absolute Skating」から、ジー選手の写真、キャリエール選手の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、ボロノフ選手の写真はフィギュアスケート情報ウェブサイト「GOLDEN SKATE」が2014年10月16日に配信した記事「Russia’s Sergei Voronov ‘not done’」から、アルタン選手の写真はイズミル大都市自治体の公式ウェブサイトが2015年2月17日に配信した記事「BRAVO ENGİN ALİ」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2015-06-10 02:04 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 ベストコスチューム14/15、アイスダンスのフリーダンスの衣装のベスト10をお送りします。衣装を選ぶ際のルールについてはこちらの記事をご参考下さい。

*****

 1位はカナダの二コル・オーフォード、トーマス・ウィリアムズ組の「映画『タイタニック』より」。

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 映画『タイタニック』のサントラを使用したプログラムということで、その映画の世界観、登場人物をそのまま反映させた衣装になっていますね。女性のオーフォード選手はピンクがかったオレンジ(オレンジがかったピンク?)のノースリーブドレスで、その下からキラキラとしたシルバーの生地がのぞくデザイン。胸の下はシルバーの装飾でベルトマークするような形になっています。さらに、映画の中でヒロインのローズが持っていた大ぶりの宝石のネックレスに似たデザインのものが首にかけられ、上流階級の娘であるローズのイメージをうまく表しています。男性のウィリアムズ選手も白いシャツにサスペンダーというレオナルド・ディカプリオ演じる青年さながらの格好。男女ともに映画の中の登場人物になりきって、『タイタニック』を氷上に再現した素晴らしい衣装だと思います。


 2位はイギリスのペニー・クームズ、ニコラス・バックランド組の「エキソジェネシス交響曲第1部/バタフライズ・アンド・ハリケーンズ」です。

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 「エキソジェネシス交響曲」、「バタフライズ・アンド・ハリケーンズ」はイギリスのバンド、ミューズの楽曲。前者はアメリカのジェレミー・アボット選手やロシアのマキシム・コフトゥン選手などに使用され、フィギュア界でもおなじみになりつつありますね。
 衣装は何といっても女性のクームズ選手のワンピースが特徴的です。光沢のあるブルーをベースに、ところどころイエローの混じる色づかいとグラデーションが美しいデザイン。「バラフライズ・アンド・ハリケーンズ」にちなみ、蝶をイメージしているものと思われます。斬新なデザインではありますが、色づかいの巧さだけではなくて、黒いレース生地など布づかいの工夫もあって、とてもエレガントなコスチュームになっていますね。男性の方は女性の衣装が個性的な分、全身黒で女性を引き立てています。ただ黒一色ではなくて、肩のあたりに青の細かなビジューをあしらっているので女性との統一性もあって、男女のバランスがちょうど良いですね。


 3位はフランスのガブリエラ・パパダキス、ギヨーム・シゼロン組の「アダージョ 「ピアノ協奏曲第23番」より」です。

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 モーツァルトの「ピアノ協奏曲第23番」の第2楽章を使用したプログラムで、華やかで派手めな衣装が多いアイスダンスのコスチュームにしては珍しい素朴さとなっています。女性のパパダキス選手はシースルーのクリームがかった白のワンピースで、下に着用した淡いピンクのレオタードがうっすらと透けセクシーさを感じさせます。その一方で、一枚の布をさらりと身に纏っただけのように見えるゆったりとした作りの白いワンピースによって清楚さが醸し出されていて、プログラムの清らかな空気感によく合っています。男性のシゼロン選手も襟ぐりに紐が付いたシンプルな白シャツ姿で、女性同様に装飾はありません。男女ともに簡素を極めた軽やかな衣装で、音楽の世界の中に見事に溶け込んでいますね。


 4位はカナダのアレクサンドラ・ポール、ミッチェル・イスラム組の「降っても晴れても/The Way You Look Tonight」です。

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 14/15シーズンのポール&イスラム組はフリーで2つのプログラムを演じたのですが、今回選んだ衣装はシーズン前半に演じたプログラムで着用されたものです。フランク・シナトラのボーカル入りプログラムということで、アメリカの華やかな時代を想起させるコスチュームとなっています。女性のポール選手は全身ゴールドのゴージャスなもの。上半身はキラキラとした硬質な感じの素材、スカートは柔らかな素材のプリーツスカートになっているので、同じゴールドでも生地で変化がつけられていて良いですね。男性のイスラム選手はオーソドックスな白シャツに黒ネクタイですが、上着をスーツやジャケットではなくセーターにしたり襟を丸襟にしたりすることでカジュアルさが生まれていて、音楽のムードとあっていて良いチョイスだなと思います。また、女性が高貴な印象が強いので、男性もかっちりした衣装にするとお堅い感じになり過ぎてしまいそうですが、男女のバランスによってほどよくカジュアルになっていますね。


 5位はアメリカのアナスタシア・カヌーシオ、コリン・マクマヌス組の「死の舞踏/トランシルヴァニアの子守唄」です。

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 「死の舞踏」、「トランシルヴァニアの子守唄」というどちらも妖しげな空気感に満ちた曲を組み合わせたプログラムということで、コスチュームにもその“妖しさ”が反映されています。
 女性のカヌーシオ選手はオフホワイトを基調とした長袖ワンピースで胴体部分がレース仕立てになっています。色づかいはところどころ淡いパープルがうっすらと滲むようになっていたり、グリーンのビジューが胸元に施されていたりと独特のデザインがなされています。そしてスカートはホワイトのスカートの下にブラウンやイエローなど複数の色が使われています。一つのコスチュームに使われる色の数としては結構多いと思うのですが、どれも淡い色合いで統一することによってごちゃごちゃした印象にならず、美しく融合していますね。また、単純に綺麗な色、鮮やかな色を使わず、全体的に微妙な色合いにすることによって、プログラムの妖しさやオカルティックな感じを巧く表現しています。男性のマクマヌス選手の方もスタンダードな形のシャツ+スーツではなく、襟が独特な形のシャツ、女性と同じ淡いパープルを使ったベスト、装飾や金ボタンなど遊び心のあるデザインを施したジャケットなど、正装風ではあるものの個性的ないでたちになっているので、プログラムの世界観とぴったり合っていますね。


 6位はアメリカのマイア・シブタニ、アレックス・シブタニ組の「南国のバラ/美しき青きドナウ」です。

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 ヨハン・シュトラウス2世作曲の王道のワルツを使用した正統派プログラム。コスチュームはシーズンを通して男女それぞれ2着ずつ使用されたのですが、今回はシーズン前半に使われたものを選びました。
 女性は深みのある紫のドレスで、上半身から腰にかけて刺繍っぽい作りで立体感のあるデザインがなされています。男性は白シャツに白い蝶ネクタイ、白いベスト、黒い燕尾服というTHE正装。男女ともにまさにワルツを踊るにふさわしい、見事な本格派衣装ですね。


 7位はイタリアのシャルレーヌ・ギニャール、マルコ・ファブリ組の「Lord of the Dance/Reel Around the Sun 『リバーダンス』より/ノクターン/Warriors」。

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 アイルランド出身の作曲家、ローナン・ハーディマンの「Lord of the Dance」と「Warriors」、アイリッシュダンスやアイリッシュミュージックをモチーフにした舞台作品『リバーダンス』の中の一曲「Reel Around the Sun」、ケルト音楽に影響を受けた音楽を作るデュオ、シークレット・ガーデンの「ノクターン」といった、アイルランドやケルトをモチーフにした音楽を繋ぎ合わせたアイリッシュプログラムです。衣装はそのアイルランドのナショナルカラーである緑をシンボリックに使ったデザイン。男女ともに基調としているのは白ですが、ウエストやスカートの裾、手首や襟元など、部分的に緑を使うことでアクセントとして効果的なものにしています。また、どちらも胸元、襟元を編み上げ風にしたり、腰の部分に金糸の刺繍で独特な模様をあしらったりとペアルックっぽくなっているのですが、完全に同じ色づかい、デザインではなく少しずつ変化をつけているので、二人の組み合わせで見た時のバランスが取れていて良いなと思います。


 8位はイタリアのアンナ・カッペリーニ、ルカ・ラノッテ組の「死の舞踏」です。

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 シーズン前半はラノッテ選手の負傷の影響もあり調子が上がらず、プログラムの構成や振り付けを変更するなど苦戦したカッペリーニ&ラノッテ組。そんな彼らのFD「死の舞踏」ですが、カッペリーニ選手の衣装はシーズンを通して2着使用され、一つはピンク色のもの、もう一つはワイン色のもので、音楽の雰囲気に合っているのはワイン色の方かなと思ったのですが、個人的な好みでピンクの方を選びました。
 女性は淡いピンクのストラップレスドレスで、胸元にはシルバーの装飾が施され華やかさがプラスされています。お腹の中心に向かって寄せられたギャザーや背中側に垂れ下がったスカートなど、布づかいの繊細さによってエレガンスさが醸し出されていますね。男性の方は黒を基調としていますが、トップスの正面に深みのあるグリーンが部分的に入っていて、アクセントとなっています。「死の舞踏」の不気味さ、奇怪さというよりも、幻想的なイメージをより意識した衣装かなと思いますね。


 9位はアメリカのマディソン・チョック、エヴァン・ベイツ組の「巴里のアメリカ人」です。

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 ガーシュウィン作曲の音楽を全編に渡って使用したミュージカル映画『巴里のアメリカ人』を演じるプログラムということで、往年のハリウッド映画らしいゴージャスさ、華々しさを衣装でも表現しています。女性のチョック選手はデコルテ部分が切り取られ、片袖だけが長袖というアシンメトリーなデザインのワンピースで、ボディ部分はラメが施された黒、首元はまばゆいシルバー、スカートは一部分が白という色づかいです。男性のベイツ選手は身体の側面にラメが散りばめられた黒のTシャツに黒のパンツというシンプルないでたち。男女ともにモノトーンのみの使用で非常にシック&クールと言えますが、その一方で色味を抑えたビジューやラメをたっぷりとあしらっているのでゴージャスさもちゃんとあって、シックとゴージャスをうまく両立させたコスチュームになっていますね。


 10位はロシアのエレーナ・イリニフ、ルスラン・ジガンシン組の「Appassionata/アンソニーとクレオパトラ 映画『クレオパトラ』より」。

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 ニューエイジデュオ、シークレット・ガーデンの楽曲と映画『クレオパトラ』のサントラを使用したドラマチックで激情的なプログラム。ですが、衣装は白と黒と色味を抑えていてシンプルです。女性は上半身がレース調になっている白ワンピースで、首元にはネックレス風の装飾がなされています。男性は濃いグレーのワイシャツに黒いパンツ姿で、女性の白との対比になっています。イリニフ&ジガンシン組はこのコスチュームのほかにもシーズンを通して複数の衣装を使用していますが、どれも地味目な色づかいばかりです。音楽が激しく壮大な分、派手な色や華美な装飾を使うと全体的にゴテゴテになりかねないですが、白や黒で衣装を控えめにしたことで落ち着きがプラスされ、動と静、ホットさとクールさがほどよくなっているんじゃないかなと思います。



 ベストコスチューム14/15、アイスダンスフリーダンス部門はこれで終了です。
 さて、このシリーズ記事もいよいよ最終盤。最後は男子のショートとフリー、それぞれのベスト10です。


:記事冒頭の写真はフィギュアスケート専門誌「Internatonal Figure Skating」の公式フェイスブックページから、オーフォード&ウィリアムズ組の写真はフィギュアスケート情報ウェブサイト「Icenetwork」の公式ウェブサイトのオーフォード&ウィリアムズ組のプロフィールページから、クームズ&バックランド組の写真はスポーツ専門誌「ユーラシアスポーツ」の公式ウェブサイトから、パパダキス&シゼロン組の写真は「Icenetwork」が2015年1月29日に配信した記事「Papadakis, Cizeron add Euro gold to banner year」から、ポール&イスラム組の写真、シブタニ&シブタニ組の写真、カッペリーニ&ラノッテ組の写真はアイスダンス情報ウェブサイト「Ice-dance.com」から、カヌーシオ&マクマヌス組の写真、イリニフ&ジガンシン組の写真はマイクロブログサービス「Tumblr」から、ギニャール&ファブリ組の写真はギニャール&ファブリ組のファンクラブの公式フェイスブックページから、チョック&ベイツ組の写真はエンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2015-06-03 18:41 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)