明治、大正、昭和を生きた文豪、室生犀星。当ブログでは私の個人的な犀星好きのため、『室生犀星集 童子』についての記事を書いたり、夜に読みたい小説・私的10撰幽霊を描いた小説・私的10撰という記事の中でも犀星を取り上げたりしてきたのですが、8月1日が犀星の誕生日ということで、それに合わせて改めて犀星の作品を取り上げたいと思います。

 室生犀星の名前は知っているけど詳しくはよく知らない人、室生犀星の名前も知らない人もいらっしゃると思いますので、ざっくりと犀星について説明しますと、生まれは明治22年(1889年)石川県の金沢市生まれ。父は加賀藩の足軽頭を務めた小畠弥左衛門吉種、母は小畠家の女中ハルでしたが、私生児であったためすぐに親から離され、真言宗寺院・雨宝院の住職、室生真乗の内縁の妻、赤井ハツにもらわれ、照道と名付けられます。その後7歳の時に正式に室生家の養子となるものの、家は貧しく、高等小学校を中退。13歳で金沢地方裁判所の給仕として働き始めると、俳人でもある上司から俳句を学び、その後詩や小文にも幅を広げ新聞や雑誌にたびたび投書、ほぼ独学で腕を磨くと、明治43年(1910年)上京。『朱樂』や『スバル』といった文芸誌に寄稿、北原白秋や萩原朔太郎ら文学者たちとも親交を深め、徐々に詩人として認められていき、大正1年(1918年)1月、初の詩集『愛の詩集』を出版。同年9月には犀星の名を一躍知らしめた代表作『抒情小曲集』を出版すると、その後も続々と詩集を発表、そして小説にも活躍の場を広げ、詩人・小説家として地位を確かなものにします。戦後は小説家として活動を活発化させ、新聞連載したのち昭和32年(1957年)に単行本化した自伝的小説『杏っ子』は読売文学賞を受賞、さらに名声を高め、昭和37年(1962年)3月26日に73歳で亡くなるまで意欲的に執筆、詩作を続けました。
 ざっくりとは言いつつも、一人の人の人生をまとめるとなるとやはりちょっと長くなってしまいましたが、これだけ見てもなかなか波乱万丈な人生を歩んだ人だということがお分かりいただけるのではないかなと思います。そして、生まれながらにして暗い宿命を背負った犀星の作品たちはその暗さに加え、孤独ゆえのあらゆるものに対する惜しみない愛を湛えています。

 今回取り上げるのはそんな犀星の詩を187編収めた新潮文庫の『室生犀星詩集』です。
 『室生犀星詩集』は犀星が生前に発表したさまざまな詩集の中から編者である小説家・フランス文学者の福永武彦氏が独自に187編を選んで再編集した詩集となっています。犀星の詩集は複数の出版社から出版されていますが、この新潮文庫版が最もバランス良く、量も十分で、初期から晩年までをカバーしているのではないかと思います。また、編者の福永氏の解説も犀星詩の特長、魅力を丁寧に伝えていて、読みごたえがあります。


 犀星詩の分りにくさ、美しさは、彼の持って生れた土着的なものとも深い関係がある。彼の故郷である金沢の風土は、彼の詩の中に常に顔を出しているし、田舎者の頑固さは、晩年に至るまでこの人を都会人たらしめなかった。二十歳の抒情をかたくなに守り通した。と同時に、彼の人道主義、魂から迸り出る愛を、終世持ち続けた。この愛は貧しい虐げられた人たちに向けられ、女人に向けられ、妻や子に向けられ、友人たちに向けられ、遂には「どんな最微な生きもの」に対しても向けられた。それも上品な愛とは限らない。もっとなまぐさい性質のものである。(室生犀星著、福永武彦編『室生犀星詩集』新潮社、1968年5月、256頁)


 福永氏が解説するように、犀星の詩はさまざまなものに対する愛情に満ちています。特に魚や虫や鳥など、小さな生き物に対して、また、人間の中でも子どもや女性など立場の弱い者に対してより温かいまなざしを注いでいます。


   夏の朝

 なにといふ虫かしらねど
 時計の玻璃のつめたきに這ひのぼり
 つうつうと啼く
 ものいへぬむしけらものの悲しさに


   秋くらげ

 山には遠い海岸に
 くらげはまつさをに群れてゐた
 くらげは心から光つてゐた
 あるものは岸辺に打ちあげられ
 松並木はこうこうと鳴つてゐた
 くらげにはくらげの可愛さがあつた
 私はそれをつくづく眺めてゐた
 山はみな高く海べに映つて
 ときをり雪もふつてゐた
 くらげは眺めて居れば居るほど
 あはれな いき甲斐のないもののやうな気がした


   いつも釣をしてゐる子供

 川べりの石の上に跼んで
 いつも釣をしてゐる子供がゐる
 小さい魚籠には雑魚が二つ三つゐるばかり
 雨がふると木の下へかくれ
 晴れるとまた釣をしてゐる。
 
 雑魚は糸を外れたり余処へ泳いで行つたり
 子供はそのたびに淋しい顔をして
 空のうつる水の上を凝視めてゐる
 何処の子だか知らない
 よごれた着ものをつけ
 寒い水洟をしめらせ
 ゆがんだ顔つきになる水面を眺めてゐる。

 いつも釣をしてゐる子供よ
 もう日の暮れ近いのに
 なぜに君は糸を巻いて帰らぬか、
 水の上はどろりとした蒼みをふくみ
 さざなみ一つ立たぬ静かな中に
 子供はひとり残されて
 好きな釣糸をうごかしてゐる。


   みみずあはれ

 けふ はじめて
 みみずといふ生きものが
 めくらであることを知つた。
 この悲しい一つの出来ごとを知り、
 みみずを粗末にしてゐた僕自身を
 恥ぢるやうな思ひであつた。
 庭では
 何処にも彼の姿が見られた。
 めくらはめくららしい方向にむかひ
 生きて行かねばならず、
 また這うて何処かに行かねばならず、
 彼を見ることが苦痛になつた。



 上述したように犀星は複雑な生い立ちを背負い、実の父母を知らず、養父母とも決して一般的な温かな家族関係を築いたとは言えず、そこで屈折して歪んで後ろ向きな人生を歩んでしまってもおかしくないですが、逆にとことん愛を追求する方向へ向かっていったのがおもしろいですね。とはいえ完全には明るさや前向きさを得るには至らず、やはり常に闇を漂わせていて、その組み合わせ、ギャップが犀星詩の最大の魅力と言えると思います。
 そして、福永氏も指摘しているように、田舎者の犀星は東京に出てからも都会の色に染まりきるということはなく、良い意味で洗練されない素朴さを携え続けました。たとえば犀星と親しく交友を持った北原白秋や萩原朔太郎などと比べてもものすごい新しさや技巧があるわけではない。むしろ極めてシンプルな語り口で、時につたなささえ感じるような、まるで子どもが書いたかのような純朴さがあります。それは犀星が独学で詩を習得したからこその簡素さなのでしょうが、どれだけ巨匠になってもそういった素朴さ、普通さというのを残しているところに犀星の凄さの一つがあるなと思います。
 さらに、その素朴さを支えているのが犀星独自の視点です。犀星は小さきもの、弱きものに対する詩を多く書いていますが、それは生きものを保護しようとか可愛がろうといった人間目線というよりも、自分もそれらの生きものたちと同じである、小さきものの一部であるというかのような共感に満ちています。


   月夜

 秋もふかくなると
 虫もぼろぼろになり
 ひげも長い脛もない
 足の吸盤もすりきれてしまふ、
 つばさはすぢばかりになり
 ひろげたらすぼがらない、
 すぼめることが出来ない、
 それでもゆうべもをとつひも
 たそがれてくれば鳴かぬわけにゆかない、
 半分ひろがつたつばさをかついで
 どうやらかうやら鳴いてゐる
 お腹の向う側からお日さまが見え、
 月夜に月が見え
 やつれた草むらの骨に風が鳴る。



 虫に対してさえ偉ぶったところがなく、虫の側に立ち、寄り添い、同じ景色を眺めているかのようです。そうした卑下にも近い謙虚さは犀星自身の生い立ちのコンプレックスによるところが大きいわけですが、だからこそ他者に対して惜しみない愛情を注げるのでしょうし、また、表面的に取り繕った愛ではない、哀しみに裏打ちされた心からの愛が詩にも表れているのだと思います。

 今回記事の中で紹介した詩は生きものを描写したものをメインに選びましたが、そのほかにも犀星は幅広くいろんな物事を題材にしています。ただ、どの詩にも一貫して悲哀の気配、そして愛が溢れていて、こんなにも人となりが漂ってくる詩人もそうそういないんじゃないかと思うくらい、犀星という人間が投影されています。劣等感や哀しみを出発点にしている犀星が残した詩だからこそ、読む人の心にじんわりと沁みて、そっと手を差し伸べてくれるような助けになるのではないかなと思います。


:記事内の詩は全て、室生犀星著、福永武彦編『室生犀星詩集』(新潮社、1968年5月)から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
室生犀星『室生犀星集 童子』―生と死の生々しさ 2013年5月30日
夜に読みたい小説・私的10撰 2014年9月16日  記事内で室生犀星『室生犀星集 童子』を取り上げています。
室生犀星『蜜のあわれ』―いのちへの讃歌 2017年3月2日



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by hitsujigusa | 2015-07-31 01:51 | エッセイ・評論・その他 | Trackback | Comments(0)

残穢 (新潮文庫 お)


 暑さ厳しい夏の今日この頃ですが、7月26日は幽霊の日です。なぜ7月26日が幽霊の日かというと、鶴屋南北の歌舞伎作品『東海道四谷怪談』が初演されたのが文政8年(1825年)7月26日ということで、それにちなんだ記念日だそうです。夏といえば怪談&ホラー、怪談&ホラーといえば幽霊ということで、まさにこの季節にぴったりな幽霊を描いた小説の私的10撰を取り上げたいと思います。とはいえ、今回選んだのはホラー系ばかりではなく、幽霊が登場するハートウォーミングな小説や、直接的には幽霊は登場しないけれども幽霊が存在することを匂わせるような小説もありますので、いろんな視点から描かれている幽霊小説10冊となります。


 まずは、怪異・怪談として幽霊を描いた小説4冊です。


私の家では何も起こらない (文庫ダ・ヴィンチ)

私の家では何も起こらない (文庫ダ・ヴィンチ)

【あらすじ】
 小さい丘の上に立つ古い家。そこではかつて姉妹がお互いを殺し合い、料理女がさらってきた子どもを料理し、殺人鬼の美少年が自殺した。不気味な歴史を刻むこの幽霊屋敷に、今はある女流作家が住んでいて――。

【収録作】
「私の家では何も起こらない」
「私は風の音に耳を澄ます」
「我々は失敗しつつある」
「あたしたちは互いの影を踏む」
「僕の可愛いお気に入り」
「奴らは夜に這ってくる」
「素敵なあなた」
「俺と彼らと彼女たち」
「私の家へようこそ」
「附記・われらの時代」


 青春小説、ミステリー、SFなど幅広い分野で活躍する人気作家・恩田陸さんの『私の家では何も起こらない』。あるいわくつきの屋敷を舞台に、その家で起こったさまざまな出来事を描いた連作短編集です。1編1編が独立した話になっているので、それぞれ別個に読むこともできますが、一つの家の中で脈々と続いてきた歴史という視点で見ることで、さらに怖さを増す怪談となっています。
 直接的に幽霊が登場するわけではないので、「幽霊を描いた小説」とは言えないかもしれないのですが、屋敷で起こったさまざまな出来事によって屋敷そのものが何かに憑かれたような場所になってしまう、その姿をリアルに書いています。何よりも魅力的なのが舞台となる屋敷で、ほかにも『ネバーランド』『麦の海に沈む果実』『蛇行する川のほとり』『ユージニア』など、舞台となる場所の風景を美しく映像的に描き出す恩田さんらしく、この『私の家では何も起こらない』もどこかに本当に実在しているんじゃないかと思わせるような存在感・実在感でお屋敷を立体的に描写しています。
 幽霊が住む家の雰囲気を生々しく、それでいて美しく幻想的に描いた『私の家では何も起こらない』。幽霊屋敷の世界にどっぷり浸れる作品です。


残穢 (新潮文庫 お)

残穢 (新潮文庫 お)

【あらすじ】
 作家の「私」の元にその手紙が届いたのは2001年の末のことだった。手紙の主は都内のマンションに住む30代女性の久保さんという人で、手紙によると久保さんはその部屋に何かがいるような気がするという。その何かとは畳の表面を擦るようなかすかな音で――。

 ホラー小説やファンタジー小説を中心に活躍する小野不由美さんの『残穢』(ざんえ)。2016年1月には中村義洋監督、竹内結子主演で映画化作品が公開されることも決定しているホラー長編です。
 この小説の最大の特徴はドキュメンタリー・ホラーであること。語り手の「私」は小説家で、著者である小野さん自身であるかのように書かれ、その「私」が読者からの手紙をきっかけに怪異の原因を探っていくさまがドキュメンタリータッチで描かれます。怪異に対してただ怖がるのではなくて、怪異の正体、なぜ怪異が生じるのか、その場所で過去に何があったのかを冷静かつ客観的な目で分析し、とてもロジカルに怪奇現象の仕組みをひも解いていきます。ただそれは怪異を科学で解明するといったものとは違って、あくまで怪異は怪異として、怪現象の根っことなる現実の出来事、歴史を辿っていくので、尋常じゃなく説得力があり、より恐怖感が増すホラーとなっています。
 こちらも直接的に幽霊の姿が描かれるわけではありませんが、霊の存在をリアルに感じさせる本格的な幽霊小説です。また、同じ小野さんのホラー小説では、心霊現象を科学的に調査する『ゴーストハントシリーズ』、ゾンビを題材にした『屍鬼』もおすすめです。


室生犀星集 童子―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)

室生犀星集 童子―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)

【収録作】
「童話」
「童子」
「後の日の童子」
「みずうみ」
「蛾」
「天狗」
「ゆめの話」
「不思議な国の話」
「不思議な魚」
「あじゃり」
「三階の家」
「香爐を盗む」
「幻影の都市」
「しゃりこうべ」

 文豪・室生犀星の怪異譚を集めた短編集『室生犀星集 童子』。さまざまな視点からの怪談や幻想的な短編が収録されていますが、幽霊がモチーフとなっているのは初めの方に収められている「童話」「後の日の童子」の2編。怪談ではあるのですが恐怖感を呼び起こすものではなく、2編とも亡くなった幼子が家族の元に戻ってくるさまを静かな筆致で淡々と描いています。死者が自分たちの元に帰ってくるという喜び、温かさもあり、その一方でやはり死者であるという違和感、哀切もあり、そういった微妙なシチュエーションを、家族の複雑な心中とともに繊細に書いていて心に残ります。
 『室生犀星集 童子』についてはこちらの記事に詳しく書きましたので、ご参考ください。また、この短編集を含むちくま文庫の「文豪怪談傑作選」シリーズはほかにも川端康成、泉鏡花、小川未明、芥川龍之介など、文豪の怪談を独自の視点で編んだアンソロジーのシリーズとなっていて、どれも読みごたえのあるものばかりなので、ぜひ手に取ってみてください。


降霊会の夜 (朝日文庫)



【あらすじ】
 初老の“私”はしばしば知らない女が出てくる不思議な夢を見ていた。そんなある夜、“私”は夢の女とそっくりな女と出会う。女は、森にジョーンズ夫人という霊媒師が住んでおり、死んだ人にも会わせてくれると“私”に言う。興味を持った”私”はジョーンズ夫人の元を訪れて――。

 降霊会をテーマにした浅田次郎さんの『降霊会の夜』。ここまでに挙げた3作は、直接的に幽霊が形をって現れないもの、もしくは幽霊が生前そのままの形をとって現れるものでしたが、この作品は霊が生きている人の体に降りてくるというものです。降霊の様子が臨場感たっぷりに書かれていて、自分が疑似体験しているかのような迫力に満ちています。
 『降霊会の夜』はこちらの記事の中でも取り上げていますので、詳しくはこちらをご覧ください。


 続いてはハートウォーミングな幽霊が登場する小説2冊です。


いま、会いにゆきます (小学館文庫)



【あらすじ】
 秋穂巧は1年前に妻である澪を亡くし、息子の佑司を一人で育てていた。澪は生前、「雨の季節に戻ってくる」という言葉を残したが、雨の季節になり、巧と佑司の前に死んだはずの澪が本当に現れ――。

 大ベストセラーとなり映画化、テレビドラマ化もされた市川拓司さんの『いま、会いにゆきます』。純愛小説として知られていますが、亡くなった妻が戻ってくるということで幽霊小説とも言えるんじゃないかなと思います。とはいえもちろん怖さはなく、愛する人が戻ってくるという幸福感に満ちた物語となっています。また、人物描写だったり情景描写だったり、作品全体に渡って独特なファンタジックな描き方、言葉選びがされており、そういった部分も印象的です。その一方で、妻はなぜ戻ってきたのか、妻の生前の“予言”の意味は……というミステリータッチなところもあり、単なる純愛小説で終わらない奥行きのある小説だと思いますね。


ふたり (新潮文庫)



【あらすじ】
 中学2年の北尾実加には高校2年の姉、千津子がいた。優等生で人気者の千津子に実加も憧れていたが、そんな時千津子が登校中に交通事故に巻き込まれて亡くなってしまう。ショックを受ける実加だったが、ある日突然頭の中に千津子の声が聞こえ始めて――。

 こちらも映画化、テレビドラマ化された赤川次郎さんの代表作『ふたり』。亡くなった姉と姉の声を聞く妹の不思議な日々を描いていて、青春小説としてもおもしろい作品です。厳密には亡くなった姉は声でのみの登場なので幽霊と言えないかもしれませんが、死者の声が聞こえるという点で今回選びました。
 そんな不思議な現象を描いた物語ではありますが、内容としてはその不思議さ、奇妙さにフィーチャーするというのではなく、主人公・実加の成長、姉妹・家族の絆というところに重きを置いていて、そこに“死んだ姉”という強いモチーフが加わることによって、普通の青春小説にはない痛みだったり苦さだったりをうまく織り込んだ作品になっていると思います。また、平凡な妹と優秀な姉という典型的な姉妹のストーリーですが、物語序盤に早々と姉が亡くなり妹にだけその声が聞こえるという設定にすることによって、あぶり出されていく姉妹間、家族間のひずみみたいなものを自然に描き出していて、“死者の声”というモチーフを効果的に使った小説と言えますね。


 次はユーモラスな幽霊が登場する小説2冊です。


あかんべえ〈上〉 (新潮文庫)



【あらすじ】
 江戸・深川の料理屋「ふね屋」では開店を祝う宴会が行われていた。その時、突然抜き身の刀がひとりでに暴れ出し、座敷をめちゃくちゃにしてしまう。「ふね屋」の娘おりんには、刀を振り回す亡霊の姿が見えて――。

 ミステリー、社会派、時代物など多ジャンルで活躍する人気作家・宮部みゆきさんの時代小説『あかんべえ』。霊が見える少女・おりんを主人公に、「ふね屋」に住みつく5人の霊との交流を描いています。この5人の幽霊―あかんべえする少女、美男の若侍、あだっぽい美女、按摩のじいさん、宴で暴れたおどろ髪の男―たちがそれぞれに個性的でキャラの強いユーモラスな幽霊で、常識者のおりんとのやりとりが見どころとなっています。その一方で5人の幽霊たちには幽霊にならざるを得なかった理由、隠された過去、「ふね屋」が建つ場所にまつわる因縁などさまざまな秘密があり、その謎をおりんが解き明かしていくというミステリーにもなっています。時代物に限らず社会派ミステリーでもSFでもうまくヒューマンドラマを織り込む宮部さんらしく、幽霊たちのドラマとミステリーを巧みに絡ませていて、人間ドラマとしてもミステリーとしても読みごたえたっぷりな作品です。


幽霊屋敷で魔女と (山中恒よみもの文庫)



【あらすじ】
 父の再婚である古い屋敷に暮らすことになったマイ。新しいママは美人で仕事もできる。しかし、夜中に呪文を唱えたり、人の心を読んだりと何かがおかしい。そこに亡くなったおばあちゃんの幽霊が登場して――。

 児童文学作家・山中恒さんの『幽霊屋敷で魔女と』。主人公の少女マイが魔女である継母と対決する痛快なファンタジーです。山中さんはほかにも映画化された『おれがあいつであいつがおれで』や『なんだかへんて子』など多くの児童書を手がけていますが、基本的には明るく楽しく、クスッと笑えるユーモアがありつつも、けっこう思い切って主人公の子どもに厳しさを与えるシビアさ、クールさもあるのが特徴的です。この『幽霊屋敷で魔女と』も主人公のマイは客観的に見たら子どもにとってはかなり辛いシチュエーションに身を置くことになりますが、それでメソメソしたりビクビクしたりせず、わりと淡々と魔女に立ち向かっていく様子が、状況とのギャップがあっておもしろいですね。ストーリー的にはしっかりとしたホラー風味もあるのですが、マイやおばあちゃんの幽霊のキャラクターに助けられて、ドキドキハラハラしながらワクワクもできる作品です。


 さて、最後はミステリー色の強い作品2つです。


文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)



【あらすじ】
 逗子を旅する伊佐間一成は海岸で花をたむける女・朱美と出会う。体調を崩していた伊佐間は夫が不在中であるという朱美の家で休養を取ることになる。その朱美は過去に人を殺したと話す。一方、同じ逗子の教会では牧師の白丘と元精神科医の降旗が、かつて殺した夫が蘇り自分に会いにくるという女の話を聞いていて――。

 怪談やミステリーを多く手がける京極夏彦さんの『狂骨の夢』。代表作「百鬼夜行シリーズ」の3作目です。「百鬼夜行シリーズ」をご存知ない方もいらっしゃると思いますのでざっくり説明しますと、普段は古本屋、副業は“憑き物落とし”である中禅寺秋彦、通称“京極堂”が、戦後間もない昭和を舞台にオカルティックな怪現象を自身の知識を駆使して解決するミステリーです。毎回一つの妖怪が重要なモチーフとして登場し、この『狂骨の夢』では井戸から浮かび上がる骸骨姿の妖怪“狂骨”がモチーフとなります。なので正確には幽霊というよりゾンビっぽいのですが、死者が蘇るというのが物語の軸となっています。
 作中ではキーパーソンとなる女・朱美が過去に犯したという殺人、金色の頭蓋骨が逗子湾に打ち上がった逗子湾金色髑髏事件、二子山で10人の男女が自殺した集団自殺事件など、複数の事件・問題が同時多発的に発生し、複雑に絡み合います。『狂骨の夢』に限らず、「百鬼夜行シリーズ」では複数の人物が別々の場所で別々の事件に関わり、それらが実はある一点で繋がっていて……という形をとることが多いのですが、その過程で民俗学、科学、宗教学、心理学など、さまざまな見地から事件が分析され謎解きが進められていくさまが実に痛快です。そして、小説の構造自体がトリックとなる場合もあり、ミステリーの醍醐味も存分に味わえます。『狂骨の夢』では蘇った死者が重要な役割を果たし、一見ホラーめいた出来事の裏に潜む人間ドラマ、多層的なトリックに圧倒される作品となっています。


わたしが幽霊だった時 (創元推理文庫)

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【あらすじ】
 ふと気づくとあたしは幽霊になっていた。体は宙に浮いているし壁をすり抜けられる。家に帰ってみると姉や妹が相変わらずケンカしている。そして、あたしは自分自身が4姉妹のうちの誰なのか、どうして幽霊になってしまったのか全くわからなくて――。

 イギリスを代表するファンタジー作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの『わたしが幽霊だった時』。これまでに紹介した作品とは違って、語り手である主人公自身が幽霊という斬新な物語です。ファンタジー要素もたっぷり、そしてイギリス人らしいユーモアもたっぷり盛り込みつつ、主人公の正体は!?というミステリーとしても楽しめる作品です。主人公がいつのまにか幽霊になっているという一見突拍子もないファンタジックなストーリーですが、その謎を巡り数年に渡る記憶を探って冒険する展開はシリアスでもあって、本当の意味で自分探しをする少女の素晴らしい冒険譚ともなっています。元々は子ども向けですが、大人にもぜひ読んでほしい小説ですね。



 ということで、幽霊を描いた小説・私的10撰は以上です。この10冊以外にも幽霊を題材にした小説は数多くありますが、個人的には今回選んだ10冊もなかなかバラエティ豊かでおもしろい顔ぶれになっているんじゃないかなと思います。ご参考になれば幸いです。


:『わたしが幽霊だった時』の書影は、東京創元社の公式ウェブサイトから引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2015-07-24 19:51 | 小説 | Trackback | Comments(0)

スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし


 ますます夏らしくなりつつ今日この頃。海の日も迫っています。ということで、今回は海を描いた絵本の個人的なベスト10を取り上げたいと思います。ベスト10といってもランキング形式ではなく、10大・海の絵本となっています。


 まずはこれぞ海の絵本の定番!と言えるかどうかは分かりませんが、個人的にはなじみのある2冊です。


うみべのハリー (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

うみべのハリー (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

【あらすじ】
 黒いぶちのある白犬ハリーは飼い主の一家と海水浴にやって来ます。日陰を探して歩き回っていたハリーですが、そこに大波がやって来てハリーは頭から海草をかぶってしまいます。そのままの格好で走り出したものだから海水浴に来ていた人々はハリーを“海の怪物”と勘違いして海岸は大騒ぎになり――。

 ジーン・ジオン著、マーガレット・ブロイ・グレアム絵の『うみべのハリー』。『どろんこハリー』に始まる「どろんこハリーシリーズ」の1作で、ほかのシリーズ作品とともにロングセラーとなっています。
 何よりもこの絵本の魅力は主人公のハリーでしょう。おっちょこちょいでやんちゃなハリーのキャラクターがとにかくおもしろく、そしてかわいいです。ハリーは擬人化されているキャラクターではありませんが、どことなく人間臭く、そういったところも魅力の一つ。その一方で犬特有の活発さやいたずら好きな感じが絵にもよく表れていて、犬好きな人には特にたまらない絵本と言えそうです。
 海が主題の作品ではありませんが、海辺の雰囲気を楽しみつつ、ハリーを巡って起きる小事件に思わず笑ってしまう名作絵本です。


スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし

スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし

【あらすじ】
 小さい黒い魚のスイミーには大勢の兄弟たちがいましたが、皆赤い魚の中でスイミーだけが黒い魚でした。そんなある日、大きなマグロがやって来ます。泳ぎが得意なスイミーは何とか逃げて助かりましたが、ほかの兄弟たちは全員食べられてスイミーはひとりぼっちに。広い海をさ迷うスイミーでしたが、あるところで兄弟たちにそっくりな赤い魚たちを見つけて――。

 こちらもロングセラー、ベストセラーとなっているレオ・レオニ(レオ・レオーニ)作、谷川俊太郎さん訳の『スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし』。小学校の国語の教科書にも長年掲載されており、そちらで親しんだ方も多いのではないでしょうか。
 サブタイトルにもあるように、小さくて賢い黒い魚のスイミーが活躍する話で、教科書で読んだ経験のある方はスイミーの賢さや機転の利かせ方が印象に残っていることが多いのではないかと思います。ですが、教科書よりも大判で絵が大きくなる絵本ですと、鮮やかな海や色とりどりの海の生きものたちの絵の美しさがより際立っていて心に残ります。作者のレオニさんは絵本作家ですが、イラストレーター、また、グラフィックデザイナーでもあります。そういった面がこの絵本の色づかいの美しさや繊細さ、海中の風景の独特な描き方にも表れていて、レオニさんにしか描けない唯一無二の世界観を作り出しています。子ども向けの絵本ではあるのですが、大人から見ても芸術性の高いアーティスティックな絵柄で、海の世界の美しさにどっぷりとひたれる素晴らしい傑作絵本と言えます。


 続いてはバスが重要なモチーフとなる絵本2冊です。


うみへいくピン・ポン・バス

うみへいくピン・ポン・バス

【あらすじ】
 駅前のバスターミナルから出発した岬灯台行きの青い路線バス。バスにはたくさんの乗客が乗り、その中には海へ向かう家族連れや釣り人たちの姿があり――。

 海へ向かうバス車内を舞台にした竹下文子さん作、鈴木まもるさん絵の『うみへいく ピン・ポン・バス』。バス車内の様子を描いた絵本なので厳密には海がメインの絵本とは言えませんが、海へ向かう時のワクワク感、高揚感が臨場感たっぷりに伝わってくる良作です。バスに限らず乗り物に興味を示すのは多くの場合男の子でしょうが、この絵本は単にバスを描いたというよりもバス車内で繰り広げられる人間模様、人々のふれあいがメインなので女の子でも十分楽しめます。また、バスの車窓から見える景色、バス車外の日常の風景が事細かに描写されていて、そういったなにげない細かい部分を発見する楽しみを味わうこともできます。もちろん乗り物大好きな男の子にとってはバス車内の構造、運転席の作りなど、普段見られないところを覗けるおもしろさもあり、乗り物好きな子どもでも、そうでない子どもでも、そして大人でも楽しめる絵本となっています。なお、この作品の前作として『ピン・ポン・バス』があり、シリーズ両方読むとさらに楽しめると思います。


月夜のバス

月夜のバス

【あらすじ】
 ある海沿いの国道。その道を一台のバスが走っていました。横断歩道を渡ろうとする少年の前にバスがさしかかり、少年がバス車内をふと見ると、そこは青い水で満たされた海のようになっていて――。

 児童文学作家の杉みき子さん作、黒井健さん絵の『月夜のバス』。元々は杉さんの『小さな町の風景』という短編集に収録されている短編作品ですが、そこに黒井さんの絵をつけて絵本化しています。
 夜の海辺を走るバスをモチーフにした幻想的な世界観が魅力的な作品で、元々が小説作品なので文章自体が美しく、映像が目に浮かぶような繊細な描写が印象的なのですが、そこに黒井さんの絵が加わることによって物語の幻想性がさらに鮮やかに際立たせられています。夜を舞台にした幻想文学なのでどことなく怪談のようなひんやりとしたものも感じさせるのですが、黒井さんの絵によってほっとするような温かみとふんわりとした柔らかさがプラスされていて、温かさと冷たさがほどよくミックスした空気感となっています。子どもももちろんですが、大人にこそ読んでほしい絵本だなと思いますね。


 次の3冊は海を描いた海外絵本3冊です。


海へいった話 (のばらの村のものがたり (7))

海へいった話 (のばらの村のものがたり (7))

【あらすじ】
 ねずみたちが暮らすのばらの村。思いがけず塩がなくなってしまったため、ダスティとポピーの若夫婦、若夫婦と仲良しのウィルフレッドとプリムローズの合わせて4人が、船で川を下って塩を作っている海辺のねずみたちの元に塩を貰いに行くことになり――。

 “のばらの村”に暮らすねずみたちを描いたイギリスの絵本作家ジル・バークレムさんの「のばらの村のものがたりシリーズ」の一作、『海へいった話』。普段暮らしている森の中の村からねずみたちが人生で初めて海へ行く姿を美しい絵とともに描いています。
 「のばらの村のものがたりシリーズ」の最大の魅力は何といっても繊細で緻密な水彩画の挿絵。ほかのシリーズ作品では豊かな森の風景―草花や木々や木の実―がねずみの視点で描かれたり、ねずみたちが住む木の幹の中に作られた家の断面図が事細かに描かれたりしますが、この『海へいった話』ではねずみたちの目に映る川や海の風景、海辺のねずみたちの家の様子が写実的に描かれています。キャラクターはねずみなのですが、ねずみらしさをほどよく残しつつも擬人化されていて、ささやかな日常のリアリティ、生活の息づかいがまるで人間の暮らしのように伝わってきます。その一方でねずみたちは自然の中で自然に溶け込んだ暮らしをしていて、人間とは違うねずみだからこその物語になっています。
 『海へいった話』単独でももちろん、ほかのシリーズ作品―『春のピクニック』『小川のほとりで』『木の実のなるころ』『雪の日のパーティー』『ひみつのかいだん』『ウィルフレッドの山登り』『ポピーのあかちゃん』―も合わせて、ぜひ「のばらの村のものがたり」を手に取ってみてください。


ズーム、海をゆめみて

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【あらすじ】
 猫のズームは冒険が大好き。ある日、ロイおじさんの日記帳を見つけ、そこに書いてあった海へ行く道をたどります。ところが着いた場所は友だちのマリアさんのお家。もちろんどこにも海なんてありません。マリアさんに事情を話すと、マリアさんは家の壁の大きなしかけを回して――。

 ティム・ウィン・ジョーンズさん文、エリック・ベドウズさん絵の『ズーム、海をゆめみて』。『ズーム、北極をゆめみて』『ズーム、エジプトをゆめみて』とともに、猫のズームがちょっと不思議な冒険をするシリーズ作品です。
 ズームは猫のキャラクターですが、普通に人間が住むような家に暮らし2本足で立って生活しています。かといって100%擬人化されているわけでもなく、ズームの友人のマリアさんは人間の女性ですが、猫のズームに対して普通に接していて、そういった現実と非現実が絶妙に混じり合うような世界観がこの絵本(シリーズ全体)の大きな魅力となっています。絵はモノトーンの鉛筆画で、『急行「北極号」』や『ジュマンジ』などで知られるクリス・ヴァン・オールズバーグさんの絵の雰囲気に似ているかもしれません。その黒と白とグレーのみで構成された絵によって、物語の不思議さ、奇妙さがより強調されていて、読んでいてちょっとゾクッとするような子ども向けの絵本にしては珍しい雰囲気を漂わせています。大人の方、特にファンタジーやオカルティックなものが好きな方にはぜひ読んで頂きたい絵本です(残念ながらシリーズ3冊とも現在は絶版となっていますので、手に入れる場合中古のみとなります)。


チムとゆうかんなせんちょうさん―チムシリーズ〈1〉 (世界傑作絵本シリーズ―イギリスの絵本)

チムとゆうかんなせんちょうさん―チムシリーズ〈1〉 (世界傑作絵本シリーズ―イギリスの絵本)

【あらすじ】
 海辺に住む少年チムは船乗りになりたくてたまりません。普段はボート遊びをしたり、雨の日は知り合いのマクフィー船長に船乗りの話を聞きにいったりしています。そんなある日、チムは沖に停泊している汽船に乗れることになって――。

 イギリスを代表する絵本作家、エドワード・アーディゾーニの『チムとゆうかんなせんちょうさん』。全11作の「チムシリーズ」の第1作目です。物語は船乗りを夢見る男の子チムが実際に船に乗って……という話ですが、チムを待ち受けていたのは思っていたような楽しい世界ではなく船乗りのきつい仕事や大揺れする不安定な船旅で、子ども向けの絵本だからといっておもしろおかしくというだけではなく、仕事をするということの厳しさをしっかり描いているのが印象に残ります。そして、物語にもまして魅力的なのが絵。作者のアーディゾーニは自作の本のみならずほかの作家の童話の挿画も多々手掛けている人ですが、ペンと水彩で描かれる絵は繊細でありながらダイナミックさに満ちています。特にそれが際立つのが荒れる海のシーンで、ページいっぱいに描かれる海は飛び散る波しぶきやうねる渦などシンプルな描き方にもかかわらずとてもリアルで、こちらに迫ってくるような迫力があります。生き生きとした海を存分に味わえ、かつ、本物の海と触れ合って成長する少年の姿が気持ちの良い絵本です。


 最後は、海を描いた日本の絵本3冊を一挙にご紹介します。


赤い蝋燭と人魚

赤い蝋燭と人魚

【あらすじ】
 ある北の暗い海に人魚が一人でいました。人魚は妊娠していましたが、生まれてくる子どもに自分のような淋しく悲しい思いはさせたくないと考え、世界一優しいと聞く人間に育ててもらうために陸で子どもを産み落とすことにしました。そして、人魚の子どもは蠟燭屋の老夫婦に拾われ――。

 日本を代表する童話作家、小川未明の名作『赤い蠟燭と人魚』。今までさまざまな絵本画家によって絵本化されていますが、私が今回選んだのは個人的に好きな絵本作家、酒井駒子さんが絵を描いたものです。
 ストーリーは多くの方がご存知と思いますが、未明童話独特の暗さ、濃い闇、幻想性がふんだんに盛り込まれた作品で、子どもが読むにはちょっと難しいかもしれないくらいの不穏さ、深みがあります。一方で酒井さんの絵にもほんのりとした闇や影、この世のものでないような艶めかしさが漂っていて、その特有の空気感が未明童話の雰囲気と絶妙にマッチしています。文章と絵、それぞれがお互いを引き立て合っているような、これ以上ない素晴らしい組み合わせの『赤い蠟燭と人魚』ではないかなと思います。


うみのおまつり どどんとせ (ばばばあちゃんの絵本)

うみのおまつり どどんとせ (ばばばあちゃんの絵本)

【あらすじ】
 ある日、ばばばあちゃんが海の丘に登ると小鳥が手紙を持ってきました。その手紙には大きなクジラが海岸で眠っていてみんなが困っていることが書かれていました。ばばばあちゃんはクジラを起こすため、仲間たちと一緒にたくさんの楽器を持って海岸へ出かけますが――。

 さとうわきこさんの『うみのおまつり どどんとせ』は、元気で豪快なばばばあちゃんが活躍する「ばばばあちゃんシリーズ」の一作です。海岸で眠りこけているクジラを起こそうとばばばあちゃんたちが奮闘するというシンプルなストーリーですが、タイトルのとおりまさにお祭り騒ぎで「ばばばあちゃんシリーズ」らしい賑やかさです。なによりクジラを目覚めさせようとする方法がばばばあちゃんらしく、決してクジラを無理矢理どかそうとしたり邪険にしたりするのではなく、太鼓やラッパで騒がしくすることで問題を解決しようとするところにばばばあちゃんの優しさが感じられます。だからこそ、ばばばあちゃんのやり方は一見強引な感じもしますが嫌な感じはなくて、痛快で楽しいものとなっています。


海のいのち (えほんはともだち―立松和平・伊勢英子心と感動の絵本 (25))

海のいのち (えほんはともだち―立松和平・伊勢英子心と感動の絵本 (25))

【あらすじ】
 太一の父は漁師でしたが、太一が幼い頃に海に潜ったまま戻ってきませんでした。そうして成長した太一は自らも海に潜るようになり、父の命を奪った巨大な魚を追いかけますが――。

 小説家、立松和平さん文、伊勢英子さん絵の『海のいのち』。小学6年生の国語の教科書にも採用されているので読まれた方も多いのではないかと思います。
 海で命を失った父の面影を追い続ける少年を主人公に、海で生きる者の厳しさ、過酷さを真正面から描いていて、“海”という大きな存在と徹底的に向き合った作品となっています。タイトルの「海のいのち」の中には、亡くなった太一の父の命、成長して海に潜る太一自身の命のほかに、海で生きる全ての者の命も含まれていて、海によって生かされる者、海によって命を奪われる者、さまざまな視点からの“海”が描かれていて、圧倒されるとともに考えさせられもする作品となっています。そこに伊勢英子さんの温かみのある絵が加わることによって物語から漂う厳しさが和らげられていて、子どもにも読みやすい物語になっていると思います。



 以上が、海を描いた絵本・私的10撰です。必ずしも海をメインテーマにした絵本ばかりではないですが、どれも海を魅力的に描いた絵本ばかりです。今の季節にぴったりだと思いますので、ぜひ手に取って読んでみてください。


:『ズーム 海をゆめみて』の書影は、オンライン書店「ルナール書房」のホームページから引用させていただきました。
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by hitsujigusa | 2015-07-17 15:15 | 絵本 | Trackback | Comments(0)

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 およそ11か月ぶりとなる久しぶりのフィギュアスケーター衣装コレクションは、第8弾となる町田樹さんです。町田さんは2014年の全日本選手権をもって惜しまれつつも現役を引退され、現在は学生として、またアイスショースケーターとして活躍されています。そんな町田さんの衣装の数々を振り返ってみたいと思います。

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by hitsujigusa | 2015-07-08 17:45 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(2)

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 続々と選手たちの15/16シーズンの新プログラムが発表されている今日この頃ですが、先日現役続行を発表した浅田真央選手が6月29日放送の自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組でプログラムについて明かしました。この記事ではその浅田選手のプログラム情報と、そのほかの選手たちのプログラム情報をお届けします。



 まずはもちろん浅田真央選手から。6月29日の生放送のラジオ番組「浅田真央のにっぽんスマイル」で、リスナーからの質問に答える形で浅田選手がプログラム名を発表しました。ショートプログラムは「素敵なあなた」、フリーは「蝶々夫人」、どちらもローリー・ニコルさん振り付けとのことです。
 予想外にあっさりと早い段階での発表だったので最初はちょっとビックリしましたが、これまでも浅田選手はわりと発表をもったいぶるとか引き延ばすとかいうことはなく、さらりと発表することがけっこうあったので、今回もという感じですね。
 ショートの「素敵なあなた」はジャズナンバー。個人的にはジェレミー・アボット選手がかつて滑ったのが印象に残っていますね。浅田選手は今まで本格的なジャズプログラムというのはありませんが、近年はガーシュウィンの「アイ・ガット・リズム」や休養中にショーナンバーとして滑っていたゴスペル曲「This Little Light of Mine」など、大人っぽさもありつつ明るさや軽快さのある曲というのをいくつか演じているので、「素敵なあなた」もその系統に近いのかなという感じがします。浅田選手自身はこのプログラムについて、「女性らしい」「かわいい」「セクシー」といったキーワードを挙げていて、ジャズ特有のおしゃれなイメージが想像できますね。曲自体はボーカル入りですが、浅田選手のプログラムでもボーカル入りが用いられるかどうかについては言及はなされていません。
 そして、フリーは王道のオペラ「蝶々夫人」。浅田選手のオペラプログラムといえばシニアデビューシーズンのSPの「カルメン」がありますが、オペラらしさというよりも浅田選手の初々しさ、少女らしさを前面に押し出したものだったので、今回の「蝶々夫人」は初めての本格的なオペラプログラムということで新鮮味がありますね。重厚で壮大な作品は浅田選手はお手のものという感じですが、「蝶々夫人」はその中にヒロイン・蝶々さんの悲劇あり、華麗な恋愛ありといったさまざまな要素が詰まった物語性の濃いドラマチックな作品ですから、浅田選手にとって新たなチャレンジですね。なお、こちらも元々ボーカル入り作品ですが、プログラムにもボーカルが入るかどうかは明かされていません。
 浅田選手は今後、自身がホストを務めるアイスショー「THE ICE」に出演、そして10月3日にさいたまで行われる地域別の団体戦、ジャパンオープンにて久しぶりの競技復帰を果たすことが決まっています。現役続行を正式発表した当初は全日本選手権出場の資格を得るために国内の地方大会に出場するのではないかといわれていましたが、最終的には休養以前と同じくシーズン初戦としてジャパンオープンを選びました。これはいつもどおりにしたいという浅田選手の意思によるもののようですね。ジャパンオープンに出場することでその1週間以内に行われる中部選手権への出場は免除され、西日本選手権に関してもグランプリシリーズの中国杯と時期的に近いということでこちらも免除。全日本の予選をパスして、これまでどおりのスケジュールでシーズンを進められることとなりました。浅田選手の15/16シーズンがどのようなものになるのか、遠くから見守りつつ楽しみにしたいなと思います。


 そして、同じく今シーズン競技復帰するカナダのパトリック・チャン選手も新プログラムを明かしています。

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 ショートプログラムは「マック・ザ・ナイフ」、フリーは「革命のエチュード/前奏曲28第4番/スケルツォ第1番」、振り付けは両方ともデヴィッド・ウィルソンさんだそうです。
 SPの「マック・ザ・ナイフ」はアメリカのポピュラーなスタンダードナンバー。元々は戯曲「三文オペラ」の劇中曲ですが、さまざまな歌手によって歌われおなじみのポピュラーソングとなりました。今回チャン選手が使用するのはカナダを代表する歌手マイケル・ブーブレが歌うバージョン。これまでもチャン選手はエキシビションなどでマイケル・ブーブレの歌を使用していますし、マイケル・ブーブレのスタイリッシュな感じとチャン選手の醸し出すスマートな雰囲気は相性が良いので、このプログラムも素敵に仕上がるんじゃないかなと想像できますね。
 一方、フリーはショパンの楽曲を組み合わせたプログラムです。このプログラムは2014年のジャパンオープンにチャン選手が出場した時に披露したもので、それを引き続き使用するという形になりそうです。この時のジャパンオープンでは休養中にもかかわらず見事な演技で1位となったチャン選手ですが、プログラムの内容もとても素晴らしくて印象に残りました。ピアノ曲ということでソチ五輪シーズンのSP「エレジー」を思わせる部分もありつつ、複数の楽曲を繋げている分メリハリやダイナミックさもあり、チャン選手の今までのプログラムと比べても個人的にはけっこう好きでした。初披露したジャパンオープンから時間が経っているので、その時のプログラムと完全に同じものをそのまま用いるのかは分かりませんし、もちろん細かな構成や振り付けなど変わっている部分もあるでしょうから、一度披露済みとはいっても新プログラムといっても差し支えないと思います。
 復帰するチャン選手がどんな演技を見せてくれるのか今から楽しみですね。


 ここからはアメリカの選手たちの新プログラム情報です。

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 まずは現全米王者のジェイソン・ブラウン選手。SPは「Love Is Blindness 映画『グレート・ギャツビー』より」、フリーは「The Scent of Love 映画『ピアノ・レッスン』より」で、2つとも振り付けはジュニア時代からブラウン選手のプログラムを多く手がけているロヒーン・ワードさんです。
 ショートは映画『グレート・ギャツビー』のサントラからですが、本来のボーカル入りのものではなくてインストゥルメンタルのものになるようですね。ネットにアップされている動画を拝見しましたが、軽快でポップでブラウン選手らしさ満載のダンサブルなプログラムになりそうな感じです。フリーは映画『ピアノ・レッスン』のサントラの一曲を使用したもので、こちらもネットに動画がアップされていて、ショートとは真逆の静謐なピアノの音色が印象的なバラードプログラムですね。多彩な表現力を持つブラウン選手の新たな一面が見られそうで、期待大です。


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 前全米女王で現全米2位のグレイシー・ゴールド選手の新プログラムについても伝わってきていて、SPは「タンゴ」、フリーは「火の鳥」とのことです。
 ショートは現時点では「タンゴ」のみで、具体的な曲名や作曲家名、また、どういったタンゴかというのは分からないのですが、タンゴはゴールド選手にとってはシニアに上がってからは初めてですから、楽しみですね。フリーは定番の「火の鳥」ということで、エレガンスさが何より持ち味のゴールド選手が壮大かつ力強い「火の鳥」をどう演じるのか、どんなふうにゴールド選手らしさがプラスされるのかという点が気になります。ショート、フリーともにこれまでの選曲の傾向とは一味違う、新鮮味が感じられますね。


 全米選手権2015銀メダリストのアダム・リッポン選手も新プログラムを発表していて、ショートはイギリスの伝説的なロックバンド、クイーンの「リヴ・フォーエバー」で振り付けはトム・ディクソンさん、フリーは「ビコーズ/ゲット・バック/イエスタデイ/サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のビートルズメドレーで振り付けはジェフリー・バトルさんになるそうです。
 ショート、フリーともにロック音楽ですが、ボーカルの有無やアレンジなど詳細はまだ分かりませんが、正統派でクラシカルな印象の強いリッポン選手にしては珍しい選曲と言えます。クラシック音楽であれば間違いなくリッポン選手に合いますし外れることもありませんが、そういった定番にとどまることなくあえて今まであまり滑ったことのないジャンルに挑戦することで、まだまだアグレッシブに成長を追い求めているんだなというのを感じますね。昨季は4ルッツにチャレンジしましたし、今季もリッポン選手の挑戦に注目ですね。


 そして全米選手権2015では4位だったマックス・アーロン選手はSPが「誰も寝てはならぬ オペラ『トゥーランドット』より」、フリーが「映画『ブラック・スワン』より」で、振り付けはフィリップ・ミルズさんです。
 アーロン選手は2015年1月の全米選手権の後にさっそく新プログラム作りに着手していて、4月に行われた世界国別対抗戦ではその新プログラムを初披露しました。2015年の世界選手権の切符を逃したことによって、早め早めの準備を行ったわけですね。振り付けは昨年引退した町田樹さんの振り付け師として馴染み深いフィリップ・ミルズさんで、こちらの記事にも書かれていますが、元バレエダンサーのミルズさんと新たにタッグを組むことで表現面の向上、プログラムコンポーネンツ(演技構成点)の得点アップを目指すということのようですね。これまでもアーロン選手がクラシック音楽を使用したことはありますが、ミルズさんの振り付けということで雰囲気も変わってくるでしょうし、特にフリーはバレエをモチーフにした作品で、ミルズさんはかつてアシュリー・ワグナー選手に同じ「ブラック・スワン」を振り付けて彼女を一躍世界のトップ選手に押し上げていますから、アーロン選手の場合も今までと違う新境地が見られるのではないかなと楽しみに思います。


 実力者の長洲未来選手もすでにショート、フリーともに判明していて、SPは「Demons」、フリーは「Young and Beautiful/Back to Black 映画『グレート・ギャツビー』より」です。
 SPの「Demons」はアメリカのロックバンド、イマジン・ドラゴンズのヒット曲ですが、そのまま用いるのではなくアレンジバージョンのようです。フリーは上述したブラウン選手同様、映画『グレート・ギャツビー』のサントラからですが、使う曲自体は全く違うものなので、もちろん雰囲気も全然違うでしょうね。ボーカルが入るかどうかはまだ分かりません。
 今季は今のところGPシリーズはNHK杯の1試合のみのエントリーなのですが、新しいプログラムでぜひ昨季の悔しさを晴らしてほしいですね。


 2015年全米選手権6位のロス・マイナー選手はSPがビリー・ジョエルの「New York State of Mind」、フリーが「リヴ・フォーエバー/トゥー・マッチ・ラヴ・ウィル・キル・ユー」のクイーンメドレーです。ショート、フリーともに現代的なポップ&ロックソングとなったわけですが、特にフリーは同じアメリカのリッポン選手と同じクイーン、しかも同じ楽曲を使用するということで、おもしろいなーと思いますね。


 アイスダンスでは2015年世界選手権5位のマイア・シブタニ、アレックス・シブタニ組が新プログラムを早々に発表していて、SDはバレエ「コッペリア」、フリーはイギリスのロックバンド、コールドプレイの「フィックス・ユー」とのことです。ショートは正統派で優雅な雰囲気が魅力のシブタニ姉弟らしいバレエですが、意外にもバレエは初めてなんですね。そしてフリーはロック音楽ということで意外性がありますが、2シーズン前にはマイケル・ジャクソンメドレーも演じていますし、王道にとどまらない幅の広さがありますね。


 ペアでは昨季初の全米王者となるなど躍進したアレクサ・シメカ、クリス・クニーリム組が公式サイトでプログラム名を明かしています。SPはヘビメタルバンド、メタリカの「Nothing Else Matters」、フリーは「映画『エリザベス:ゴールデン・エイジ』より」だそうです。フィギュアでヘビメタルが使用されるのはなかなか珍しいですが、元気の良さが印象的なシメカ&クニーリム組ならなるほどなという感じもしますね。


 ここからはアメリカ以外の海外選手の情報です。まずはロシア勢を一挙に。
 ペアのソチ五輪チャンピオンのタチアナ・ボロソジャー、マキシム・トランコフ組は休養した昨シーズンと同じプログラムで、SPは「ボリウッド・セレクション」、フリーは「ドラキュラ」です。14/15シーズンは当初は競技会にも参加する予定でプログラムを用意していたボロソジャー&トランコフ組ですが、トランコフ選手の負傷のため結果的にフル休養することとなりました。なので、プログラムも2年越しとなりますね。


 こちらも昨シーズン休養したアイスダンスのエカテリーナ・ボブロワ、ドミトリー・ソロビエフ組。SDは「仮面舞踏会/ロメオとジュリエット」、フリーは「映画『アンナ・カレーニナ』より」です。ショートダンスはもちろん昨季と課題が異なり、今季の課題はパターンダンスが「ラベンスバーガーワルツ」、クリエイティブパートが「ワルツとフォックストロットorマーチorポルカ」なので、全くの新プログラムとなりました。フリーは昨季からの持ち越しとなります。


 そしてカップル結成2年目となるエレーナ・イリニフ、ルスラン・ジガンシン組はSDがロックバンド、クイーンの曲を組み合わせた「Somebody to Love/We Will Rock You」、フリーは「映画『フリーダ』より」です。ショートはリッポン、マイナー両選手と同じまたもやクイーンです。ただ、上述したようにショートダンスの15/16シーズンの課題は“ワルツ”ですから特別なアレンジが施されているでしょうし、ワルツでクイーンメドレーをどのように表現するのか注目ですね。フリーの方はラテン映画のサントラですから、情熱的な演技が印象的なイリニフ&ジガンシン組に合いそうだなと思います。


 フランスの実力者、フローラン・アモディオ選手は自身のツイッターで新プログラムを発表していて、SPは2013、2014年の世界的な大ヒット曲、ファレル・ウィリアムズの「Happy」、フリーはイギリスの新進ミュージシャン、ベンジャミン・クレメンティンの「Winston Churchill's Boy/Nemesis」だそうです。SPはポップでどことなくコミカルな感じがアモディオ選手の軽快なダンス、フットワークに合うでしょうね。フリーはどんな曲か知らないのですが、つい最近の曲を持ってくるというところが独特の感性を持つアモディオ選手らしいですね。


 記事の最後は、中国のペア、2015年世界選手権4位の彭程(ペン・チェン)、張昊(ジャン・ハオ)組です。SPはビートルズの「カム・トゥゲザー」、フリーはオペラ「真珠採り」。SPは正統派ペアの彭&張組にしては珍しいなと感じますが、ペア結成1年目にもポール・マッカートニーの曲をSPで使用しているので、全く初めてという感じでもないんですね。フリーの「真珠採り」は「カルメン」で有名なビゼーの作品ですが、フィギュア界ではあまり使われないマニアックな選曲なのでどんな雰囲気、世界観なのかあまり想像がつきませんね。



 とりあえず今回はこれで終了です。ざっと見渡してみるとロックバンドの曲を用いるというのが多く見られます。特にクイーン。リッポン選手、マイナー選手、イリニフ&ジガンシン組と3組も使用が決まっています。なぜこれほどまでにクイーンに人気が集まったのかは分かりませんが、14/15シーズンの「オペラ座の怪人」さながらの様相を呈していて、おもしろいですね。ほかにもロックやポップスが散見され、昨季からの歌詞入り解禁が今シーズンはこういった形で影響しているのですね。
 7月1日から15/16シーズンが正式に始まり、選手たちの新プログラムも続々と発表されています。このあとも当ブログで取り上げていきますので、ぜひご覧ください。


:浅田選手の写真、チャン選手の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、ブラウン選手、ゴールド選手の写真は、フィギュアスケート情報ウェブサイト「Absolute skating」から引用させていただきました。

【参考リンク】
David Wilson: On Working With Patrick Chan チャン選手の新プログラムについて報じた記事です。
Aaron striving to become more balletic on the ice アーロン選手の近況について報じた記事です。

【ブログ内関連記事】
羽生結弦選手、15/16シーズンのフリープログラムを発表&新プログラム情報① 2015年6月19日
各選手の15/16シーズンの新プログラムについて・その③ 2015年8月13日
各選手の15/16シーズンの新プログラムについて・その④ 2015年9月27日
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by hitsujigusa | 2015-07-02 14:10 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)