c0309082_22332196.jpg


 グランプリシリーズ第5戦のロシア大会、ロステレコム杯2015の女子とペア編です。
 女子の頂点に立ったのは世界選手権2015の銅メダリスト、ロシアのエレーナ・ラディオノワ選手です。パーソナルベストを更新しての文句なしの優勝を果たしました。そして、2位は今季シニアデビューの新星、エフゲニア・メドベデワ選手、3位はソチ五輪女王のアデリナ・ソトニコワ選手と、ロシア勢の表彰台独占となりました。
 ペアを制したのはこちらもロシアのクセニア・ストルボワ&フョードル・クリモフ組となっています。

ISU GP Rostelecom Cup 2015 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 優勝者はロシアのエレーナ・ラディオノワ選手です。

c0309082_22302239.jpg

 SPはまず得点源の3ルッツ+3トゥループを若干詰まり気味ながらもしっかり決めると、2つのスピンを挟み後半、3ループ、2アクセルもクリーンに成功。終盤のステップシークエンス、スピンもレベル4を揃え、演技を終えたラディオノワ選手は涙ぐむような表情を浮かべました。得点は71.79点で自己ベストを1点ほど更新し、首位に立ちました。
 フリーも冒頭は3ルッツ+3トゥループ、これをショート同様きっちり回り切って降りると、続く3フリップは踏み切り時の不正確なエッジによって軽微なマイナスとなりますが、直後の3ルッツは問題なく着氷して上々の前半となります。後半も3+1+3を始め、全てのジャンプを予定どおりに降り、映画『タイタニック』の音楽に乗せたダイナミックかつエモーショナルな演技で観客を魅了。フィニッシュしたラディオノワ選手は感極まった表情で感情を露わにしました。得点は139.53点でパーソナルベストを更新し、GP通算3つ目の金メダルを手にしました。
 前回の中国杯では急激な身体の成長によるジャンプの不調、コーチ不在だったことによる精神面の不安定さが目立ったラディオノワ選手ですが、2週間経ってまるで別人のように見事に立て直してきましたね。今大会は前回入院していて遠征に帯同できなかったコーチが戻ってきたことによってラディオノワ選手らしい安定が復活したというのもあるでしょうが、第二次性徴による身体の変化というのは短期間ですぐに対応できるものではないので、このラディオノワ選手の復調ぶりには驚かされました。身体の変化の影響で1、2シーズン長い低迷に陥ってしまう女子選手も多い中、シーズン途中にこれだけ見事に立て直せるというのは、ラディオノワ選手の順応性の高さ、それ以上に心の強さを証明していますね。まだジャンプは本来のスムーズさ、流れの美しさは完全には取り戻せていないように感じますが、演技後に涙を流すほどの苦しみを乗り越えたラディオノワ選手の今シーズンがどんなものになるのか、ますます楽しみになりました。
 これでラディオノワ選手は3年連続でのファイナル進出が決定。今回のような演技ができれば初制覇も夢ではないでしょう。ロステレコム杯優勝、おめでとうございました。


 2位も同じくロシアのエフゲニア・メドベデワ選手です。

c0309082_15174210.jpg

 SPは序盤にスピンとステップシークエンスをこなし後半に全てのジャンプ要素を固めるアグレッシブな構成。その1発目のジャンプは大技3フリップ+3トゥループでしたが、ファーストジャンプで転倒してしまい単独に。ですが、直後の2アクセルをクリーンに降りると、最後の3ループに急遽3トゥループを付けしっかりコンビネーションジャンプにし、冷静にミスをリカバリーしました。得点は67.03点で3位発進しました。
 フリーもまずは3フリップ+3トゥループ、今度はきっちりセカンドジャンプまで着氷し高い加点を得ます。その後も3ルッツ、3フリップと基礎点の高い単独ジャンプをクリーンに跳び、後半には2つ目の3+3を完璧に成功。終盤の2アクセルで着氷が乱れるミスはありましたが、最後まで流れの途切れないエレガンスかつエネルギッシュな演技を披露し、地元の観客から拍手喝采を浴びました。得点は139.73点で先月のスケートアメリカでマークした自己ベストを4点以上更新、トータルでも自己ベストをマークし、総合2位に順位を上げました。
 今まで幾度となくロシアの新星には驚かされてきましたが、このメドベデワ選手も本当に末恐ろしいですね。フリーに2つの3+3を入れるという驚異的なジャンプ構成はもちろんですが、シニア1年目とは思えない落ち着き、音楽が鳴り出した瞬間にプログラムの世界に入り込む表現力など、ジャンプ以外のところでも魅せられる要素を多く持つ選手だなと思います。
 スケートアメリカの優勝に続き今大会2位という好成績で初のファイナル進出を決めたメドベデワ選手。ルーキーの勢いでファイナルをも飲み込んでしまうのか、注目ですね。


 3位は2季ぶりに競技復帰したソチ五輪金メダリスト、アデリナ・ソトニコワ選手です。

c0309082_15452096.jpg

 SPは「Historia de un amor/Latin Selection」。冒頭の大技3トゥループ+3トゥループはセカンドジャンプが2回転となったものの質の高いジャンプということで1.4点の高い加点を得ます。続く3フリップも綺麗に降りると、最後の2アクセルは若干着氷がこらえ気味となったため加点は伸びませんでしたが、ラテンのリズムに乗った躍動感あふれる演技で観客を沸かせました。得点は65.48点で4位につけます。
 フリーは「Je suis malade」。冒頭は3ルッツ+2トゥループの予定でしたが、セカンドジャンプを急遽3トゥループに変更し、残念ながらダウングレード(大幅な回転不足)で減点となったものの何とか着氷します。続く3フリップ、3ループはクリーンに成功。後半の最初に組み込んだ2アクセル+3トゥループはこちらもセカンドジャンプがダウングレードとなり、次の3フリップからの連続ジャンプも2+1になるなど後半はミスが相次ぎますが、情熱的な女性ボーカルと一体化したオリンピックチャンピオンの風格漂う演技を見せてくれました。得点は119.63点でフリー3位、総合3位で久々のGP復帰戦を飾りました。
 10月上旬のジャパンオープン、10月半ばのモルドヴィアンオーナメントと小さな国際大会には出場していたものの、主要な国際大会としてはソチ五輪以来の演技で未知数の部分が大きかったソトニコワ選手。今大会の演技から受けた印象としては、綺麗に決まったジャンプ、スピンなどソチ五輪時と変わらないソトニコワ選手らしさが大いに見られた箇所と、まだまだこれからという試合勘が戻っていない箇所と、半々だったかなという感じですね。最大のポイントとなるのはコンビネーションジャンプで、今回は3+3や2アクセル+3トゥループといった難度の高い連続ジャンプがクリーンに決まらなかったので、国内の代表争いという意味合いではほかのロシア女子が当たり前に跳ぶ3+3の成否がカギとなってくるのではないかと思います。そのほかの面では演技全体の表現、コントロール力、そして演技構成点の評価の高さなど相変わらずハイレベルで全く問題ないので、あとはジャンプの仕上がり次第でしょうね。
 ソチ五輪の時よりもぐっと大人びて表現も一段とレベルアップしたソトニコワ選手。ソチ五輪女王といえども厳しい代表争いとなりますが、頑張ってほしいですね。


 4位はアメリカの成長株、ポリーナ・エドマンズ選手です。

c0309082_16293740.jpg

 SPはまず高難度の3ルッツ+3トゥループをクリーンに決めると、続く3フリップもきっちり成功。後半の2アクセルもクリアし、ベートーヴェンの「月光」に乗せたメリハリのある優雅な演技を披露しました。得点は65.29点でパーソナルベストをマークし5位発進しました。
 フリーも冒頭の3+3を成功させて好スタートを切ると、ステップシークエンスを挟んだ直後の3+1+3の3連続ジャンプはファーストジャンプとサードジャンプで回転不足を取られたものの大きなミスなく着氷。後半に固めた5つのジャンプ要素も細かく回転不足と判定されたものもありましたが、見た目には目立った綻びなく演技をまとめました。得点は思ったほど伸びず117.91点に留まりましたが、総合4位に順位を上げました。
 ショート、フリーともに目に見えるはっきりとした形でのミスは皆無だったエドマンズ選手。身長が伸びたことによるジャンプの不調状態からはだいぶ脱し、安定を取り戻してきているように感じます。その一方で、スケートカナダに続きクリーンに降りたように見えたジャンプが複数アンダーローテーション(軽度の回転不足)を取られてしまっていて、回り切らずに降りるのが癖になってしまう選手もいるので、しっかり高さを出して回り切って降りることがエドマンズ選手の喫緊の課題と言えるでしょうね。焦らずじっくりと取り組んでほしいと思います。


 5位はロステレコム杯2014のチャンピオン、日本の本郷理華選手です。

c0309082_22334435.jpg

 SPはまず3フリップ+3トゥループの2連続3回転、綺麗に着氷したかに見えましたがセカンドジャンプがアンダーローテーション判定となります。また、後半の3ルッツもクリーンに跳び着氷しましたが、若干の減点を受けます。最後の2アクセルは難なく降り、ステップシークエンス、スピンでは全てレベル4を揃え、相変わらずの安定した滑りを見せました。ただ、得点は細かなジャンプミスが響き63.45点とパーソナルベストより少し低いスコアに留まり、6位発進となりました。

c0309082_22415510.jpg

 フリーも冒頭は3フリップ+3トゥループ、今度はこれをきっちり回り切って降り加点を獲得。しかし、続く得意の3サルコウは珍しくパンクして2回転に。さらに苦手としている3ルッツは踏み切り時のエッジエラーに加え回転不足で転倒となってしまいます。後半も連続ジャンプの1つ目の3ルッツがエッジエラー&回転不足と判定される場面はありましたが、得点源となる2アクセル+3トゥループを決めるなど前半から粘り強く巻き返し、勢いを保ったままフィニッシュしました。得点は115.67点でフリー5位、総合5位となりました。
 昨シーズンから快進撃を続け、毎回のように転倒やパンクといった大きなミスのない演技を見せ続けてきてくれた本郷選手ですが、今大会のフリーは少し本郷選手らしからぬミスがありましたね。表彰台、ファイナルに繋がる演技というのを期待される中、強力なロシア勢と直接対決しなければならない緊張もあったと思いますが、フリーのジャンプミスは失敗しないようにという意識が強く働きすぎてしまったのか、いつもより慎重な入り方になり思い切りに欠けていたような気がします。ですが、その中でも「リバーダンス」の躍動感、パッションというのは伝わってきて、そういった部分から本郷選手の意地を感じましたね。
 今大会は納得がいく演技ができず残念でしたが、全日本では全てを出し切れるよう祈っています。


 6位はロステレコム杯2014の銅メダリスト、カナダのアレーヌ・シャルトラン選手です。

c0309082_2373043.jpg

 ショートは「映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』より」。冒頭はまず大技3ルッツ+3トゥループからで、これを完璧に決めて高い加点を得ます。続けて2つのスピンはきっちりレベル4を取り、後半の3ループ、2アクセルも問題なく着氷。終盤のステップシークエンスとスピンもレベル4でまとめ、演技を終えたシャルトラン選手は満面に笑みを浮かべました。得点は67.38点とパーソナルベストを一気に6点以上更新し、2位と好発進しました。
 フリーは「映画『風と共に去りぬ』より」。冒頭は今季から挑戦している大技3アクセルでしたが、ダウングレード(大幅な回転不足)であえなく転倒。続いてショートでクリーンに決めた3ルッツ+3トゥループでしたが、ファーストジャンプがパンクした上に転倒となりコンビネーションジャンプにはならず。さらに続く3フリップも回転不足でステップアウトし、波乱の前半となります。後半も2つの転倒含めミスが散見され、ステップシークエンスやスピンでは全てレベル4を揃える本領も発揮しましたが、精彩を欠いた内容にシャルトラン選手は肩を落としました。得点は106.04点でフリー7位、総合6位と順位を落としました。
 SPはシニア移行後のシャルトラン選手のベスト演技といっても良い素晴らしい演技でした。ショートの楽曲は以前アメリカのジェレミー・アボット選手も用いたことで印象に残っているのですが、コンテンポラリーダンスの振り付け師ピナ・バウシュさんを取り上げたドキュメンタリー映画のサントラとあって、音楽自体もコンテンポラリーダンスを想起させる雰囲気。その世界観を細かなステップや足さばき、上半身の独創的な振り付けで見事に表現していたと思います。一方、フリーはショートからの落差が大きい演技となってしまいましたが、冒頭ではスケートアメリカに続き3アクセルに果敢に挑みました。ショート2位というポジションを考えれば、表彰台を狙って堅実なジャンプ構成で臨むという選択肢もあったと思うのですが、あえてそうせず3アクセルを跳ぶ道を選んだというのは、とても勇気がいる素晴らしいことだと思います。また、後半には前半で跳べなかった3+3に再びチャレンジする場面もあり、気持ちの強い負けず嫌いな選手なのだなと感じました。
 今季のGPはシャルトラン選手にとって決して納得のいく結果、内容ではなかったでしょうが、この経験がこのあとのシーズンに必ず生きてくると思いますので、次なる世界の大舞台を目指して頑張ってほしいですね。


 8位には日本の永井優香選手が入りました。

c0309082_014083.jpg

 SPはまず得点源となる3ルッツ+3トゥループからでしたが、ファーストジャンプが1回転となってしまいます。その後も3ループが回転不足となるミスがあり、2アクセルはクリーンに決めたものの、得点は53.19点と伸びず9位に留まりました。

c0309082_0362015.jpg

 フリーも冒頭は3ルッツ+3トゥループでしたが、またもやタイミングが合わず1ルッツに。続く3フリップは踏み切りのエッジ違反と判定されたものの着氷し、3ループはきれいに降りて何とか立て直しを図ります。後半1発目は冒頭失敗した3ルッツで、パンクこそしませんでしたが回転不足で転倒となります。しかしそこからは3つのコンビネーションジャンプを立て続けに着氷。細かなミスで減点されたり加点が伸びなかったりはしましたが、序盤で取りこぼした分をカバーしました。得点は106.43点でフリー6位、総合8位でフィニッシュしました。
 銅メダルを獲得したスケートカナダでは基礎点の高い3ルッツ+3トゥループがショート、フリーともに決まり、メダル獲得の原動力となりましたが、今大会はその3ルッツに苦しめられましたね。練習から状態が悪かったのか本番で決まらなかっただけなのかは分かりませんが、完全に本来のタイミングを見失っているような失敗の仕方だったので、次戦に向けての一番の課題と言えそうです。ですが、フリー後半ではとっさに構成を変更して連続して3つのコンビネーションジャンプを成功させて、冷静に機転を利かせたのは素晴らしかったですね。
 次の大舞台は全日本選手権になると思いますが、その時こそは永井選手らしい演技ができることを願っています。


 10位は日本の加藤利緒菜選手です。

c0309082_113045.jpg

 SPは「Cherry on the Ice Wall」。冒頭は3トゥループ+3トゥループの2連続3回転でしたが、1つ目がアンダーローテーション、2つ目がダウングレードとなり大幅な減点を受けます。後半の3ループ、2アクセルはきれいに決めましたが、3+3の回転不足が響き、得点は50.26点で10位と出遅れました。

c0309082_17419.jpg

 フリーは「映画『マイ・フェア・レディ』より」。冒頭はショートより難度を上げた3フリップ+3トゥループのコンビネーションジャンプ、これをパーフェクトに成功させて好スタートを切ります。続く3サルコウもきっちり着氷すると、残りの5つのジャンプ要素は全て後半に組み込む挑戦的な構成。その1本目の2アクセルは難なく降りましたが、次の3ループの着氷でオーバーターンすると、直後の3ルッツは両足着氷でダウングレード判定、さらに綺麗に跳んだかに見えた3+2+2もファーストジャンプがアンダーローテーションとされます。しかし、最後まで大崩れすることなく演技をまとめ、フィニッシュした加藤選手は柔らかく微笑みました。得点は105.30点でシーズンベストをマークしフリー9位、総合10位で大会を終えました。
 昨シーズンはGPデビューとなったNHK杯で5位と好成績を残し、一躍注目を浴びた加藤選手。今シーズンはすでにアジアンオープンとオンドレイネペラトロフィーと2つの国際大会に出場していて、順調なシーズン前半を送っています。今大会は順位だけ見ると10位と下位ですが、内容的にはショートでミスしたところからうまく切り替えてフリーに繋げたという意味で良い試合だったのではないでしょうか。つなぎの面など課題はあるでしょうが、着実に成長していることを感じられる演技でした。全日本選手権でも加藤選手らしく頑張ってほしいですね。



 さて、ここからはペアです。

c0309082_1264174.jpg


 優勝したのはソチ五輪銀メダリスト、ロシアのクセニア・ストルボワ&フョードル・クリモフ組です。ショートではツイストで若干のミスがあったものの、そのほかのエレメンツを高いレベル、高いクオリティーで揃え、2位に4点差以上つけての首位に立ちました。フリーではソロジャンプで細かなミスはありましたが、成功したエレメンツでは確実に取りこぼしなく高い加点を積み重ね、他を寄せ付けることなく完全優勝を果たしました。ストルボワ&クリモフ組は前回のスケートアメリカで4位でしたので、現時点ではファイナル進出確定は出ていないようですが、計算上ではシリーズ成績6位以上になるのはほぼ確実だと思われます。ロステレコム杯優勝、おめでとうございました。
 2位は同じくロシアの川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ組です。ショートは珍しくデススパイラルがレベル1となる取りこぼしがあり2位となると、フリーは大技のスロージャンプ2つにミスがあり得点を伸ばせず。しかし、ハイレベルな演技で銀メダルを獲得し、4年連続となるファイナル進出を決めました。
 3位は中国の彭程(チェン・ペン)&張昊(ジャン・ハオ)組。SPはステップシークエンスやツイストでのレベルの取りこぼし、フリーではスロージャンプやソロジャンプのミスが複数あり、銅メダルは獲得したものの思ったように得点を伸ばすことはできませんでした。



 ということでロシア大会は以上です。残すはファイナルを懸けた最終戦、NHK杯のみ。この記事をアップする時点ですでに始まってしまっていますが、これで全てのファイナリストが決まります。では。


:記事冒頭の女子メダリスト3選手のスリーショット写真、メドベデワ選手の写真、ソトニコワ選手の写真、エドマンズ選手の写真、本郷選手のSPの写真、永井選手の写真、加藤選手のSPの写真、ペアメダリスト3組の写真は、写真画像サイト「Newscom」から、ラディオノワ選手の写真は、フィギュアスケート情報サイト「icenetwork」が2015年11月21日に配信した記事「Radionova leads Russian sweep of ladies podium」から、本郷選手のフリーの写真、加藤選手のフリーの写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、シャルトラン選手の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ロステレコム杯2015・男子&アイスダンス―ハビエル・フェルナンデス選手、大差で優勝 2015年11月25日
[PR]
by hitsujigusa | 2015-11-28 00:11 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_23474442.jpg


 グランプリシリーズも終盤戦、第5戦のロシア大会、ロステレコム杯についてお届けします。まずは男子とアイスダンスからです。
 男子を制したのはスペインのハビエル・フェルナンデス選手。中国杯に続いての2連勝となり、男子一番乗りでファイナル進出を決めました。2位に入ったのはロシアの若手、アディアン・ピトキーエフ選手。自己ベストを更新する好演技で初めてのGP表彰台となりました。そして、3位はアメリカのロス・マイナー選手となっています。
 アイスダンスはカナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組がこちらも2戦連続優勝でファイナル進出が決定しました。

ISU GP Rostelecom Cup 2015 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 優勝は世界王者、スペインのハビエル・フェルナンデス選手です。

c0309082_023983.jpg

 SPはまず得意の4サルコウからでしたが、珍しくすっぽ抜けて3回転となります。続く3+3も着氷で乱れが生じマイナス、最後の3アクセルはクリーンに決めて高い加点を得ましたが、複数のミスが出て得点は86.99点と自己ベストから程遠い得点で2位に留まりました。
 フリーは3本の4回転を組み込んだ構成で臨み、まず単独の4トゥループをパーフェクトに成功させて上々の滑り出しを見せると、続く4サルコウ+3トゥループの難しいコンビネーションジャンプも完璧に着氷。さらに3アクセルも決めて申し分ない前半となります。後半は単独の4サルコウが2回転になるなど細かなミスはありましたが、流れの途切れない安定した演技を見せ、プログラムコンポーネンツは5項目全て9点台。得点は184.44点とパーソナルベストに迫る高得点をマーク、ショートと合わせて断トツの優勝となりました。
 ショートこそ思いがけないミスで出遅れたものの、フリーはさすが世界チャンピオンという演技でしたね。4回転3本を全てクリーンに降りることはできませんでしたが、常にどんな形であれ2本は降りるという安定感、確実性はピカイチですね。また、表現面でも男の色気全開のショートとクールさの中にもコミカルさ漂うフリーと対照的な表情を見せていておもしろいなと思います。フェルナンデス選手は普通にイケメンですし、正統派の二枚目プログラムだけを演じていてもおかしくないにもかかわらず、三枚目的な雰囲気漂う軽みのある演技もさらりとこなせて、王道を往く羽生結弦選手とは一味違う二枚目半的な姿が魅力だなと感じますね。今シーズンはショートとフリーでその演じ分けが見事になされていて、ますます表現に磨きがかかっているなと思います。
 これで男子唯一の2戦連続優勝となり堂々のファイナル1位進出を決めたフェルナンデス選手。母国スペインのバルセロナで今度こそファイナル制覇なるか、楽しみにしています。ロステレコム杯優勝、おめでとうございました。


 銀メダルを獲得したのはロシアのアディアン・ピトキーエフ選手です。

c0309082_1450151.jpg

 ショートはまず4トゥループ+3トゥループの高難度コンビネーション、これを完璧に決めると、後半に組み込んだ3アクセル、3ルッツもクリーンに着氷。ステップシークエンス、スピンも全てレベル4で揃え、会心の演技となりました。得点は87.54点で自己ベストを7点以上更新し、首位発進しました。
 フリーの冒頭はショートで綺麗に成功させた4トゥループ、これを再びクリーンに降りて高い加点を得ます。さらに続く3アクセル+2トゥループもしっかり成功。2度目の3アクセルは転倒となりますが、後半は3+3を始め、事前の予定どおりのジャンプを次々と着氷し、フィニッシュしたピトキーエフ選手はスタンディングオベーションを受けて感極まったような表情を見せました。得点は162.93点でこちらもパーソナルベストを12点以上更新、フリーのみの順位では5位でしたがトータルでは2位となり、GP参戦2年目にして初めてのメダルを獲得しました。
 母国開催の期待とプレッシャーの中で素晴らしい演技を披露してくれましたね。SPで世界王者を抑えて首位となったことでフリーでは表彰台を期待される立場となり、しかもフェルナンデス選手が好演技をした直後の最終滑走という経験したことのないような緊張を味わったと思うのですが、終始緊張感を漂わせながらも見事にまとめ上げたと思います。特に前半で3アクセルを転倒し、これまでのピトキーエフ選手ならそのままバタバタと崩れてしまってもおかしくなかったですが、そこをうまく切り替えて立て直しましたね。フリーの後半グループはパーソナルベスト連発のハイレベルな戦いで1つ2つのミスによって順位が2つ3つ下がる可能性もあったわけですが(実際にピトキーエフ選手と5位のコリヤダ選手との点差は2.5点差でした)、その接戦の中で母国開催のプレッシャーに負けず気持ちを強く持って勝ち抜いた経験は、今後のピトキーエフ選手にとってかけがえのない財産になるのではないかと思います。もちろん、国内の代表争いという意味合いでも大きなアピールになったはずですので、ロシア選手権に向けて頑張ってほしいですね。


 3位はアメリカの実力者、ロス・マイナー選手です。

c0309082_15282922.jpg

 SPの演目はビリー・ジョエルの「New York State of Mind」。4回転は入れない構成で、冒頭は3フリップを確実に成功させます。続く3アクセルも完璧に着氷。後半の3+3もクリーンに降りると、ステップシークエンス、スピンも全てレベル4とそつのない演技を見せ、得点はこれまでの自己ベストを5点以上上回る85.36点で3位の好位置につけました。
 フリーはクイーンの「トゥー・マッチ・ラヴ・ウィル・キル・ユー/リヴ・フォーエヴァー」。冒頭はショートで回避した大技4サルコウに挑み、回転は十分だったものの転倒で減点となります。しかし、続く3アクセル+2トゥループ、3ルッツ+3トゥループを完璧に成功。後半の3アクセルは着氷で乱れましたが、3+1+3の難しい3連続ジャンプも決め、また、SPに続きスピン、ステップシークエンスは全てレベル4を獲得し、納得の演技となりました。得点はこちらも自己ベストを更新する163.56点をマークし、総合3位で3年ぶりにGPの表彰台に立ちました。
 ショート、フリーともにマイナー選手の魅力が存分に発揮された素敵な演技でした。両プログラムとも男性ボーカル入りの作品ですが、ショートはしっとりとした曲調とビリー・ジョエルの歌声にマイナー選手の繊細なスケーティングが合っていましたし、フリーはクイーンの壮大な音楽に負けない力強いスケーティングが素晴らしかったですね。マイナー選手はタイプで言うと同じアメリカのジェレミー・アボット選手に似ていて、ものすごい派手さはないものの端正な美しいスケーティングが魅力的な選手で、今回はジャンプが決まったことによってそのスケーティングの良さがいつも以上に際立っていて、十二分に堪能することが出来ました。アメリカ男子の代表枠争いも厳しいと思いますが、良い結果となることを願っています。


 惜しくも表彰台まであと一歩、4位だったのはアメリカのアダム・リッポン選手です。

c0309082_1554418.jpg

 SPの冒頭は昨季から挑戦し続けている大技4ルッツでしたが、ダウングレード(大幅な回転不足)で転倒となります。ですが、続く3アクセルはきれいに成功。後半の3+3はセカンドジャンプが2回転となり予定どおりにはいきませんでしたが、ステップシークエンス、スピンはしっかりレベル4を揃え、得点はパーソナルベストに近い78.77点をマークし、6位につけました。
 フリーも冒頭は4ルッツの予定でしたが、構成を変更して2アクセルを確実に成功させます。続いての3アクセル+2トゥループもきっりち着氷。得意の3ルッツでは珍しく着氷で若干乱れる場面がありましたが、後半は全てのジャンプをクリーンに降りてそれぞれ高い加点を獲得し、演技を終えたリッポン選手は満足そうな表情を浮かべました。得点は169.86点で2季ぶりに自己ベストを更新、フリー2位、総合4位で大会を終えました。
 3位のマイナー選手とは0.29点という超僅差でメダルを逃したリッポン選手ですが、順位関係なく素晴らしい演技でした。フリーでは4ルッツを回避して取りこぼしのない演技でメダルを狙いにいったと思うのですが、ほんのちょっとの差でしたね。ですが、演技にはリッポン選手らしさがふんだんに盛り込まれていて、年を重ねるごとに魅力的なスケーターになっているなと改めて思います。特にショートの「リヴ・フォーエヴァー」はリッポン選手の美しい身体の線、しなやかな身体づかいが隅々まで活かされたプログラムとなっていて、身のこなしの美しさという点では男女含めて現役随一といっても過言ではないくらい見事で、思わずうっとりとしてしまいました。
 これでリッポン選手は2大会とも4位という好成績でGPを終えました。この安定感、そして演技構成点の評価の高さは全米選手権に向けて大きな武器になると思います。このあとのシーズンも楽しみにしています。


 5位はロシアの若手、ミハイル・コリヤダ選手です。

c0309082_1752881.jpg

 SPは「Nightingale Tango/フォックストロット アニメ『ヌー、バガジー!』より」。冒頭は得点源となる4トゥループでしたが、転倒となります。しかし、直後の3アクセルは完璧な跳躍で加点1.86点の高い評価。さらに後半の3+3も難なく決めて、まずまずの内容となりました。得点は79.64点で5位発進します。
 フリーは「映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』より」。まずは前日失敗に終わった4トゥループから、着氷で乱れましたが転倒にはせず最小限のミスにとどめます。続く3アクセル+3トゥループの連続ジャンプを完璧に決めると、さらに単独の3アクセルもパーフェクトで、両方とも2.14点の高い加点を得ます。その後も全てのジャンプをクリーンに着氷、スピンやステップシークエンスでも目立った取りこぼしなく、演技を終えたコリヤダ選手は破顔しました。得点は168.33点でパーソナルベストを更新、トータルでも自己ベストをマークし、5位という素晴らしいGPデビュー戦となりました。
 コリヤダ選手は昨年のロステレコム杯でGPデビューを予定していましたが、骨折により出場を辞退。1年越しのロステレコム杯となったわけですが、GPデビューと思えないくらい安定した落ち着きのある演技でしたね。今シーズンはすでにオンドレイ・ネペラ・トロフィーで2位、アイスチャレンジで3位と国際大会で実績を残していますが、今大会もその好調さをうまく維持していたと思います。冒頭の4回転はショートもフリーも失敗してしまいましたが、その後の切り替えが素晴らしかったですね。特にジャンプの質の高さは目を見張るものがあって、跳ぶ前のスピード、入り方のスムーズさ、構えの無さ、ランディングの流れ方など、お手本のようなジャンプを跳べる選手だなと感じました。最も驚いたのは3アクセルの高さで、無良崇人選手にも匹敵するものすごい高さがあり、現役選手の中でもトップレベルの3アクセルではないでしょうか。表現面でもしっかりとした個性を持っていて、この選手の活躍によって改めてロシア男子のハイレベルぶりを実感させられた気がします。
 ロシアの代表争いに一躍名乗りを上げたコリヤダ選手。このあともうまく調整してシーズン後半に繋げていってほしいなと思います。


 6位は同じくロシアのベテラン、セルゲイ・ボロノフ選手です。

c0309082_1881449.jpg

 まず冒頭は4トゥループ+3トゥループから、ファーストジャンプが両足着氷気味で減点とはなったものの最小限のミスに抑えます。後半に組み込んだ3アクセルも着氷で若干こらえますが、最後の3ループはクリーンに降り、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4を獲得し、ベテランらしく演技をまとめました。得点は84.17点でシーズンベストをマーク、4位となります。
 フリーは前日細かなミスがあった4+3からでしたが、今度はクリーンに着氷して高評価を得ます。さらに3アクセルも成功。好スタートを切ったかに見えましたが、続く2本目の4トゥループはランディングでオーバーターン、3ルッツも着氷が前のめりとなり、着氷での不安定さが出てしまいます。後半も細かな着氷ミスがチラホラありましたが大きなロスはなく、フィニッシュしたボロノフ選手は満足そうに微笑みました。得点は160.43点でフリー7位、総合6位となりました。
 SPで80点台半ば、フリーで160点台というのは十分ハイスコアと言える得点なのですが、今大会に限っては男子の演技のレベルが高く、実力者のボロノフ選手といえどもこの順位に留まりました。ただ、さほど問題と思えるようなミスはなく、どれも着氷でこらえたりオーバーターンしたりといった軽微なミスでしたので、前大会の中国杯では4トゥループの回転不足が目立ったことを思うと、しっかり修正してきたことがうかがえます。ロシア国内の競争について考えると、今大会で表彰台に乗ったピトキーエフ選手始め、コリヤダ選手、アレクサンドル・ペトロフ選手など新星の台頭が著しく、昨季以上にベテランと若手の実力が拮抗してきているように感じられます。ボロノフ選手含め、ロシア男子の代表争いがどうなるのか、楽しみですね。


 今シーズン初戦となった日本の小塚崇彦選手は9位で大会を終えました。

c0309082_20123832.jpg

 SPは昨季のエキシビション・ナンバーを構成し直した「レスペート・イ・オルグージョ~誇りと敬意~(ファルーカ)」。冒頭は大技4トゥループを着氷こそしたもののダウングレードで大幅な減点を受けます。さらに続く3アクセル着氷で大きく乱れ、後半の3+3もクリーンな跳躍とはならず。しかし、ステップシークエンスやスピンでは小塚選手らしさも垣間見せました。得点は69.61点で8位発進します。

c0309082_20234256.jpg

 フリーは昨季からの持ち越しである「Io Ci Saro」。まずはショート同様4トゥループからでしたが、アンダーローテーション(軽度の回転不足)での着氷となります。続く3+3はきれいに成功。しかし、直後の3アクセルは着氷で乱れが生じます。後半も複数のジャンプで回転が抜ける場面が見られ、また、得意のスピンでも十分な回転ができず無得点となるミスもあり、本領を発揮することはできませんでした。得点は125.87点でフリー9位、総合9位となりました。
 10月に靴の圧迫によって左足を痛め中国杯を出場辞退した小塚選手。時間が少ない中での今大会でしたが、やはり練習不足の影響は否めませんでしたね。なかなかジャンプが本来の形になっていなかったですし、小塚選手本人が話していたようにプログラムを通しでやるスタミナが足りていなかったですね。シーズン前半のクライマックスとなる全日本選手権まではまだ1か月ほどあるので調整期間としては決して短くはないと思いますが、実戦経験の少なさがどう影響するのか気になるところです。それでも2013、2014年と2年連続で表彰台に上っている小塚選手と全日本との相性の良さに期待したいですし、素晴らしい2つのプログラムを再び世界の大舞台で見られることを願っています。



 ここからはアイスダンスについてです。

c0309082_20384360.jpg


 優勝者はカナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組。ショートで2位と僅差ながらも首位に立つと、フリーでも取りこぼしのない安定感抜群の演技でトップのポジションを守り切りました。これでウィーバー&ポジェ組は2戦連続優勝となり文句なしのファイナル進出を決めました。ファイナルのディフェンディング・チャンピオンとしてどんな演技を見せてくれるか、2連覇なるのか注目したいと思います。ロステレコム杯優勝、おめでとうございました。
 2位は世界選手権2014の金メダリスト、イタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組。SDではステップのレベルを取りこぼす場面があったもののハイスコアで2位につけると、フリーでも目立ったミスのない演技を披露し、惜しくもウィーバー&ポジェ組には1.97点差で届かず中国杯に続く優勝とはなりませんでしたが、見事な銀メダル獲得でこちらもファイナルの切符を手にしました。
 3位は地元ロシアのヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組。SDはツイズルで二人の同調が乱れるなど細かなミスがありましたがパーソナルベストで3位発進。フリーではほぼノーミスで全てのエレメンツで1点以上の高評価を得る会心の出来で自己ベストを更新し、スケートアメリカの2位に続いて表彰台に立ちました。シニツィナ&カツァラポフ組は現時点(ロシア大会終了後)でシリーズポイントランキング4位ですが、NHK杯には1戦目でメダルを獲得しているカップルが4組登場してくるので、シニツィナ&カツァラポフ組のファイナル進出もその4組のNHK杯の順位次第となりますね。



 ロステレコム杯2015、男子とアイスダンスの記事は以上です。男子はそこまで強豪揃いの顔ぶれではなかったのですが、パーソナルベスト続発の白熱した試合となりました。
 次の記事ではこちらも素晴らしい内容となった女子とペアについてお伝えします。


:記事冒頭の男子メダリスト3選手のスリーショット写真、フェルナンデス選手の写真、マイナー選手の写真、リッポン選手の写真、コリヤダ選手の写真、ボロノフ選手の写真、アイスダンスメダリスト3組の写真は、写真画像サイト「Newscom」から、ピトキーエフ選手の写真、小塚選手のフリーの写真は写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、小塚選手のSPの写真はフィギュアスケート情報ウェブサイト「Absolute Skating」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ロステレコム杯2015・女子&ペア―エレーナ・ラディオノワ選手、パーソナルベストで優勝 2015年11月28日
[PR]
by hitsujigusa | 2015-11-25 22:26 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_1851432.jpg


※2015年11月25日、フリー中止に対応するための国際スケート連盟の最終判断について追記しました。
※2015年11月26日、男子のファイナル進出者について追記しました。


 前記事に引き続き、GPシリーズフランス大会、エリック・ボンパール杯2015の男子とペアのショートプログラムの模様をお伝えします。
 ショート首位となったのは日本の宇野昌磨選手です。自己ベストを更新する素晴らしい演技となりました。2位はロシアのマキシム・コフトゥン選手、3位には日本の村上大介選手が入っています。
 ペアではソチ五輪王者のタチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組が2位に大差をつけ断トツの首位となりました。

ISU GP Trophee Eric Bompard 2015 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 首位は世界ジュニアチャンピオン、日本の宇野昌磨選手です!

c0309082_1813251.jpg

 まずは大技3アクセルをパーフェクトに決めると、続く2つのスピンも確実にレベル4を獲得し、上々の前半となります。後半に入りプログラムのカギとなる4トゥループ、これを若干こらえつつもしっかりと着氷させ、最後の3+3も完璧に成功。終盤のステップシークエンスでは独特のリズムを指先まで繊細に表現し、演技を終えた宇野選手は達成感に満ちた笑みを浮かべました。得点は89.56点でパーソナルベストをマークし、堂々のトップとなりました。
 後半の4トゥループは着氷が完全なクリーンとは言えないランディングだったので微妙に減点されてしまいましたが、そのほかは申し分なく素晴らしい演技でしたね。もう少しで90点台という得点はお見事というほかないですが、ジャンプの完成度でもスピンやステップシークエンスのレベルでもGOEの加点でも、まだまだ伸ばせる余白がありますし、表現的にもこの表現しづらい世界観のプログラムを今後さらに磨いていってくれるでしょうから、本当に楽しみだなと思います。
 宇野選手はこのままSPの順位が最終順位ということになると、スケートアメリカの2位という成績と合わせてGPデビューシーズンにしていきなりのファイナル進出が決まります。ファイナルでも気負うことなく、宇野選手らしく頑張ってほしいですね。


 2位はロシア王者のマキシム・コフトゥン選手です。

c0309082_14233051.jpg

 ショートの演目は「I Can't Dance」。2本の4回転を組み込んだプログラムで、まず1本目は4サルコウからの2連続ジャンプ。ファーストジャンプの着氷が若干詰まり気味になりましたが、多少強引に3トゥループを付け予定どおりのコンビネーションにします。続く4トゥループは着氷で前のめりになりお手付き。次の3アクセルはクリーンに降り高い加点を得ます。小さなジャンプの着氷ミスはあったものの演技をしっかりまとめ、得点は86.82点のハイスコアをマークしました。
 GP初戦となったコフトゥン選手ですが、まずまずのスタートを切れたのではないかと思います。4回転は完璧ではありませんでしたが、回転そのものは回り切っていましたし、あとは着氷時のタイミングなど細かい修正だけなのかなと思いますね。プログラムはイギリスのロックバンド・ジェネシスの楽曲で、今までのコフトゥン選手にはなかったタイプの作品ですが、激しいギターが奏でるアップテンポなリズムをよく表現していたと思います。コフトゥン選手の次戦はNHK杯です。


 3位は日本の村上大介選手です。

c0309082_14242849.jpg

 冒頭は大技の4サルコウ、これを完璧に着氷して幸先の良い滑り出しを見せると、続く3アクセルもクリーンに成功させます。後半に入り高難度の3ルッツ+3ループはセカンドジャンプが1トゥループになってしまい大きなマイナスとなりますが、男性ボーカルのエモーショナルな歌声に乗せた優雅な滑りを披露し、ドラマチックな世界を作り上げました。得点は80.24点で自己ベストに迫る得点をマークしました。
 4サルコウ、3アクセルともに綺麗に成功させただけに後半の3+3のミスはもったいなかったですね。村上選手の3+3はルッツとループの珍しい組み合わせの最高レベルの難度のコンビネーションジャンプですから、その分リスクもあるのですが決まった時は大きく点数が稼げるので、このあとも挑戦し続けていってほしいですね。
 この試合に初のファイナル進出が懸かっていた村上選手ですが、スケートカナダが3位なので今大会もこのまま3位ということになると、他選手の成績次第の微妙なところとなります。フリーが実施されないことによるこうした不公平の問題をどう解消するのか、ファイナル進出の可能性がある選手をどう救済するのかも含めて、国際スケート連盟の判断によって今後の村上選手のスケジュールも変わってくると思うので、注視していきたいですね。


 4位はソチ五輪銅メダリスト、カザフスタンのデニス・テン選手です。

c0309082_14455598.jpg

 冒頭は得点源となる4トゥループでしたが、回り切ってはいたものの転倒となります。しかし、直後の3アクセルはクリーンに降りて高い加点を獲得。後半の3+3はセカンドジャンプが2回転に抜け不完全となりましたが、レベル4の評価を得たステップシークエンスなどテン選手らしさをところどころに垣間見せました。得点は80.10点で4位につけました。
 GP初戦のスケートアメリカではショート、フリーともに実力をほとんど発揮することが出来ず9位に留まったテン選手。今回も完全にテン選手らしさを取り戻したとまでは言えませんが、スケートアメリカよりは立て直してきた印象ですね。今シーズンのテン選手は当初10月半ばのスケートカナダオータムクラシックという国際大会に出場予定だったのが負傷のために欠場し、スケートアメリカが初戦となったわけですが、やはり負傷の影響が色濃く表れてしまいました。今大会もまだ練習不足の感は拭えなかったのですが、元々スロースターターで、かつシーズン後半にしっかりピーキングできる選手ですので、徐々に調子を上げてくるでしょうね。プログラムもショートとフリーで一つの楽曲を使用しながらも異なる世界観を作り上げるというテーマ性の深さが感じられて、今後の仕上がりが楽しみですね。


 5位となったのはソチ五輪銀メダリスト、カナダのパトリック・チャン選手です。

c0309082_15341464.jpg

 冒頭は得意の4トゥループ+3トゥループのコンビネーションジャンプでしたが、ファーストジャンプが2回転になるとセカンドジャンプも2回転となり、規定により大幅な減点を受けます。さらに苦手の3アクセルも着氷で大きく乱れ片手を付き、最後の3ルッツはクリーンに着氷したものの、チャン選手らしからぬミスの目立つ演技となりました。得点は76.10点で、前の試合のスケートカナダより低い得点で5位に留まりました。
 スケートカナダではショートで出遅れフリーで挽回したチャン選手ですが、今回もSPが鬼門となりましたね。チャン選手の場合は3アクセルが苦手なのでそこが唯一の弱点、ハードルという感じなのですが、今回は珍しく成功率の高い4トゥループがパンクしてしまいました。彼ほどの選手といえどもちょっとしたズレでこういった形の失敗をすることはままあるのでさほど大きな問題ではないと思いますが、このSP5位という結果がGPファイナル進出に向けてどう影響するのかしないのか、注目したいと思います。


 6位はジュニアGPファイナル2014の銅メダリスト、ロシアのアレクサンドル・ペトロフ選手です。

c0309082_15551366.jpg

 まずは得点源の3アクセルから、これをパーフェクトに着氷すると、続く3+3も問題なし。後半の3フリップは踏み切り前のステップが不十分だったためか減点となりましたが、見た目にはミスらしいミスなく、演技を無難にまとめました。得点は自己ベストに迫る74.64点をマークしました。
 まだ4回転をプログラムに組み込んでいないペトロフ選手ですが、確実にこなせるエレメンツをクリーンに成功させることで自分らしい持ち味を発揮していて、同じくシニア本格参戦1年目の宇野選手とは対照的な戦略を取っています。ジャンプや演技にはまだジュニアらしさが残っていて、ジュニア時代と比べてもそんなに点数は伸びていないのですが、群雄割拠のロシア男子の中でも十分競える実力の持ち主だと思うので、今から将来が楽しみですね。


 7位はアメリカのマックス・アーロン選手です。

c0309082_1721150.jpg

 冒頭は大技4サルコウからのコンビネーションジャンプでしたが、ファーストジャンプの軸が斜めに曲がり着氷でお手つきし、何とかセカンドジャンプを付けたもののマイナスとなります。続いて得意の3アクセルも空中で軸が斜めになり転倒。後半の3ルッツはクリーンに決めましたが、前半の2つのジャンプミスが響き、得点は72.91点で自己ベストから10点以上低い得点となりました。
 スケートアメリカで優勝し、今大会は優勝候補の一角として臨んだアーロン選手ですが、前の試合で優勝したからこそプレッシャーがかかってしまったのかもしれません。4サルコウ、3アクセルは本来のクリーンなものより軸が傾き、演技も伸びやかさに少し欠けていて、気持ち的に焦ったのかなという感じですね。アーロン選手の課題としては同じレベルで安定した演技を毎試合続けていくことで、そのためには何よりメンタル面の安定が不可欠になってくると思います。このまま7位が最終的な順位となればファイナル進出は難しくなりますが、アーロン選手はこの記事を書いている時点でチャレンジャーシリーズのタリン・トロフィーという大会に出場してSPでパーソナルベストをマークしていて、このあとのシーズンも目が離せない選手の一人と言えますね。



 ここからはペアです。
 1位となったのはソチ五輪王者、ロシアのタチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組です。スロー3フリップで乱れるミスはありましたが他のエレメンツは目立った取りこぼしなくまとめ、得点は自己ベストに10点ほど及ばないスコアに留まったものの、断トツで首位に立ちました。
 2位は地元フランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組。冒頭のツイストリフトでレベルを取りこぼす場面はありましたが、ソロジャンプやスロージャンプなどは確実に成功させ、わずかながら自己ベストを更新して2位と好発進しました。
 3位はカナダの若手、ジュリアン・セガン&シャルリ・ビロドー組。2人それぞれにジャンプを跳ぶソロジャンプでは女性のセガン選手が着氷で若干こらえ気味になったため加点が付きませんでしたが、そのほかはほぼノーミスでまとめ、こちらも自己ベストを更新しました。



 思いがけない出来事によってフリーが中止となったエリック・ボンパール杯2015。男子は今季のGPメダリスト4人が集結する豪華な顔ぶれでとても楽しみにしていたのですが、致し方ない事情とはいえ最後まで競技が続行されず残念でした。そして、ファイナル進出の可能性がある選手にとってGPでの順位はこのあとのシーズンに大きく関わってくることなので、国際スケート連盟の適切な判断を待ちたいところですね。次はロシア大会です。


※以下、11月25日に追記した部分です。


 11月23日、国際スケート連盟がショートプログラム後に中止となったエリック・ボンパール杯2015の最終的な対応について発表し、ショートプログラムの順位を最終順位とすることが正式に決定しました。この結果、SP1位の男子の宇野昌磨選手はGP初優勝でファイナル進出が決まり、GP参戦1年目にしてファイナル出場という快挙を達成しました。また、女子のSP1位であるアメリカのグレイシー・ゴールド選手もGP2勝目で昨年に続いてのファイナル出場権を獲得しました(ただし、昨年は負傷のため出場辞退)。
 ショートプログラムの順位が最終順位となるだろうということは、フリーの中止が決まった直後にフランス氷上競技連盟の方から選手やコーチたちに伝えられていましたが、あくまで正式な決定ではなかったので、国際スケート連盟による公式決定としては1週間以上かかりましたね。
 そして、SPの結果を最終結果とするという決定以外にも、シリーズのポイントやファイナル進出に関わる様々な決定事項が発表されました。その中でも特に重要と思われるのが、エリック・ボンパール杯に出場した選手はシリーズ順位の7番手になった場合、補欠ではなくファイナリストとしてファイナルに出場することができるということです。もし実際にそうなれば通常各種目6人(組)ずつで行われるファイナルとしては史上初の異例なことですし、大会運営にも影響が出てきますが、公平を期すためには良いことだと思います。また、複数の選手の2大会の合計ポイントが並んだ場合の順位の決定方法としては、第一に最高順位が上位の選手が優先されるという点は通常と同じですが、最高順位も同じだった場合は2大会のSPの得点を合算したスコアがより高い方が上位となるというルールが適用され、通常の総合得点の2大会合計というルールからは変更がなされました。
 ということで、現時点(ロシア大会終了後)では男子はハビエル・フェルナンデス選手と宇野選手、女子はゴールド選手とエフゲニア・メドベデワ選手とエレーナ・ラディオノワ選手、ペアは川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ組と隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組、アイスダンスはケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組とマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組とアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組がそれぞれファイナル進出を決めています。進出が決まってはいないものの、シリーズランク上位につけている選手の中で個人的に気になるのは、エリック・ボンパール杯3位となった村上大介選手です。例年は2大会とも3位だとファイナルに進むのはなかなか厳しいところで、また、現時点で村上選手はフェルナンデス、宇野、パトリック・チャンの3選手に次ぐシリーズランク4位で、このあとのNHK杯に1戦目で2位と好成績を収めている羽生結弦、マキシム・コフトゥン、金博洋(ジン・ボーヤン)の3選手が出場してくることを考えると(1戦目で銅メダルを獲得しているジェイソン・ブラウン選手は負傷のためNHK杯は欠場)、普通なら村上選手のファイナル出場の望みは3選手次第で微妙なところとなるのですが、羽生、コフトゥン、金の3選手の結果がどうであれ村上選手がシリーズランク7位以上になる可能性は高いと思うので、ファイナル進出できるのではないかなと推測します。もちろん、1戦目でメダルを取っていないダークホース(具体的な名を挙げると、グラント・ホフスタイン選手とコンスタンティン・メンショフ選手)がNHK杯で2位以上の好成績を収めて村上選手の上に来る可能性もあるので何とも言えないのですが、番狂わせがないという前提で話すならば、村上選手にとってはファイナルに繋がる可能性はかなり高いと言えますね。
 最終的にどんなファイナリストの顔ぶれとなるのか、全てはNHK杯後に決まります。


※以下、11月26日に追記した部分です。


 現時点(ロシア大会終了後)での男子のファイナル進出決定者について不足がありましたので追記します。現時点でファイナルの進出が決まっているのは、フェルナンデス選手、宇野選手、そしてチャン選手の3名です。最終戦のNHK杯の結果がどうであれ、現在シリーズポイントランキング3位のチャン選手の上に今後新たに4名以上がランクインすることは計算上ありえないので、チャン選手もすでにファイナル出場が決定となります。ということで、ファイナルは残り3枠(フランス大会に出場した選手がシリーズ順位7位となった場合は4枠)となっています。


:記事冒頭の写真は、フィギュアスケート情報ウェブサイト「icenetwork」が2015年11月14日に配信した記事「Trophée Bompard canceled after terror attacks」から、宇野選手の写真は同じく「inenetwork」が2015年11月13日に配信した記事「Flawless Uno nails short program to take lead」から、コフトゥン選手の写真、ペトロフ選手の写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、村上選手の写真は「icenetwork」が2015年11月13日に配信した記事「Murakami hoping to clinch trip to Grand Prix Final」から、テン選手の写真、チャン選手の写真、アーロン選手の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

【参考リンク】
ISU Communication 1980 フランス大会フリー中止の事態を受けてのファイナル出場、シリーズ順位決定に関する新たなルールが記されています。

【ブログ内関連記事】
エリック・ボンパール杯2015・女子SP&アイスダンスSD―グレイシー・ゴールド選手、自己ベストで首位 2015年11月17日
[PR]
by hitsujigusa | 2015-11-19 20:01 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_17164080.jpg


 グランプリシリーズ15/16、第4戦のフランス大会、エリック・ボンパール杯がボルドーにて行われました。しかし、皆さんもご存じのとおり、首都パリでテロが起こったため大会は途中で中止となりました。ショートプログラムはテロが発生する前に行われましたが、フリーはテロ後だったため実施されませんでした。ショートプログラムの後に大会が中止されるというのは多分フィギュアスケート史上初めてのことだと思いますが、順位によって付与されるポイントはどうなるのか、ファイナル進出者の決定はどうするのか、今後国際スケート連盟によって判断が下されます。
 ということで、普段はショートとフリー合わせた結果をお伝えしていますが、今回はショートについてのみ書いていきます。女子の首位に立ったのはアメリカのグレイシー・ゴールド選手。パーソナルベストを更新する会心の演技となりました。2位はロシアのユリア・リプニツカヤ選手、3位はイタリアのロベルタ・ロデギエーロ選手となっています。
 一方、アイスダンスはアメリカのマディソン・ハベル&ザカリー・ダナヒュー組が自己ベストに迫る得点で1位となりました。

ISU GP Trophee Eric Bompard 2015

*****

 1位となったのはアメリカのグレイシー・ゴールド選手です。

c0309082_23493094.jpg

 まずは今シーズン安定感抜群の大技3ルッツ+3トゥループから、これを完璧に決めて1.4点の高い加点を得ます。続く2つのスピンはどちらもレベル4。そして、後半の3フリップ、2アクセルも全く問題なく着氷。終盤のステップシークエンス、スピンもしっかりこなし、演技を終えたゴールド選手は満足そうな表情を浮かべました。得点は73.32点で自己ベストを更新、断トツのトップとなりました。
 全てのエレメンツが減点すべきところがないほど素晴らしかったのはもちろん、タンゴの名曲「エル・チョクロ」をゴールド選手らしくエレガントに、かつ迫力たっぷりに演じていましたね。元々表現面に定評のある選手ですが、今シーズンはフリーも合わせ今までのイメージと違うプログラムに挑戦することで一皮剥けつつある印象を受けます。このままSPの順位が最終順位となると、ゴールド選手はスケートアメリカの2位と合わせファイナル進出が決まります。もし実際にそうなるのであれば、昨季はファイナル出場権を得ながらも負傷のため出場を辞退しましたから、事実上初めてのファイナルとなります。ぜひ頑張ってほしいですね。


 2位はロシアの実力者、ユリア・リプニツカヤ選手です。

c0309082_00857.jpg

 冒頭は得点源となる3トゥループ+3トゥループ、これをしっかり決めて好スタートを切ると、続いては若干苦手としている3フリップを着氷で詰まりながらも最小限のミスに抑えます。次の2アクセルもしっかり降りると、その後のステップシークエンスでは丁寧なエッジワークでステップを踏みつつ、全身でポップな曲想を表現。終盤は柔軟性を活かした代名詞となるスピンで観客を沸かせました。得点は65.63点でシーズンベストを更新し2位と好発進しました。
 3フリップの細かなミスはありましたが、全体的によくまとまった良い演技でしたね。表現面でもスケートアメリカの時はプログラムがちょっとしっくりこないかなと感じたのですが、今回は衣装もガラリと変えてまた違った印象を受けました。前回はジャンプのミスを引きずってなのかあまり元気がない演技だったのですが、今回は演技が進むごとにどんどん生き生きとしてステップ中も笑顔が見られて、エルヴィス・プレスリーの陽気な音楽とよく合っていたと思います。こうした明るいプログラムはとにかく滑っているスケーター自身に明るさや笑顔がないとさまにならないので、今大会はその部分でリプニツカヤ選手自身がノリノリだったのが何より良かったなと思いますね。だからこそ、ショートの勢いに乗ったフリーの演技が見たかったのですが、次の試合ではショートでもフリーでも笑顔が見られることを楽しみにしたいですね。


 3位はイタリアのベテラン、ロベルタ・ロデギエーロ選手です。

c0309082_1103828.jpg

 SPの演目は「映画『プリティ・ウーマン』より」。まず冒頭の3トゥループ+3トゥループを完璧に決めると、続く3フリップも確実に着氷。後半の2アクセルも難なく成功させ、ステップシークエンス、スピンも目立った取りこぼしはなし。全てのエレメンツで加点が付く会心の演技となり、得点は58.81点でパーソナルベストをマークしました。
 25歳のロデギエーロ選手ですが、GPシリーズはこれが初出場というかなりの遅咲き。その初めてのGPで見事な演技を見せてくれました。ジャンプはほぼノーミスですが、スピンなどまだまだ加点を伸ばせる余地があるので、さらなる自己ベスト更新も可能性十分だと思います。この後のシーズンも楽しみにしています。


 4位は日本の村上佳菜子選手です。

c0309082_1415547.jpg

 冒頭は単独の3フリップ、これを丁寧にしっかり決めます。2つのスピンを挟んで後半、3トゥループ+3トゥループはファーストジャンプの着氷で若干詰まりセカンドジャンプに繋げたものの回転不足となります。さらに続く苦手の2アクセルは回転が抜けて1回転になるミス。終盤のステップシークエンスではテンポの速い音楽にぴったり合った情熱的な滑りを披露し村上選手らしさを発揮しましたが、2つのジャンプミスが響いて得点は58.30点と伸びず、4位に留まりました。
 プログラムの完成度が高く強い気持ちが伝わってくるだけに、ジャンプミスが残念でしたね。特に後半の2アクセルはスケートカナダでも失敗したジャンプで重点的に練習してきたと思うのですが、それでも同じようにパンクしてしまうというのはやはり苦手意識が強いからなのでしょうね。このミスさえなければ普通に60点台に乗せることができるのでもったいないなと思いますが、次こそはパーフェクトなSPになることを願っています。


 5位に入ったのは現世界女王、ロシアのエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手です。

c0309082_14333519.jpg

 まずは大技3アクセルでしたが、アンダーローテーション(軽度の回転不足)で転倒となります。さらに続く得意の3ルッツは空中で回転がほどけてしまいダウングレード(大幅な回転不足)で減点。後半に組み込んだ3トゥループ+3トゥループもファーストジャンプとセカンドジャンプのあいだにターンが入ってしまいこちらも大きく減点されます。ジャンプ以外のエレメンツでは確実に加点を積み重ねたものの、精彩を欠いた内容にトゥクタミシェワ選手は肩を落としました。得点は56.21点でシーズンベストは更新しました。
 今シーズンのトゥクタミシェワ選手はSPでかなり苦労していますね。10月半ばに行われたニース杯、当ブログでもお伝えしたスケートカナダ、そして今大会とショートでは毎回同じようなミスをしてしまっています。3アクセルは非常に難しいジャンプなので致し方ないのですが、本来得意なはずの3ルッツが常にパンクしていますし、3+3も着氷のタイミングが合わない感じで乱れてしまっています。鬼門となっているSPがこの後のシーズンにどう影響を及ぼすのか、気になりますね。


 6位はカナダ女王のガブリエル・デールマン選手です。

c0309082_1565542.jpg

 冒頭の得点源となる3ルッツ+3トゥループはセカンドジャンプがダウングレードとなり大幅に減点されます。後半に固めた2つのジャンプも、3フリップは踏み切り時のエッジのミス、2アクセルは勢いあまってステップアウトとなり、全てのジャンプで減点となってしまい、得点は55.35点と伸びませんでした。
 スピードとパワーがあり過ぎてそれをなかなか自分のものにし切れていない印象のあるデールマン選手ですが、今回もコントロールがうまくいかなかったですね。3+3はファーストジャンプの高さがとても素晴らしいのですが、通常3+3を跳ぶ場合はファーストジャンプの高さを抑えた方がセカンドジャンプに綺麗に繋がると言われているので、デールマン選手もその辺りの細かな調整ができるようになると安定して3+3を跳べるようになるのではないでしょうか。元々高さ抜群の加点が付きやすいジャンプの持ち主ですから、さらに調整力が加われば無敵のジャンパーになるでしょうね。


 日本の今井遥選手は9位となりました。

c0309082_15301923.jpg

 まずは得意の2アクセルを確実に決めてプログラムに入ると、続いて得点源となる3サルコウ+3トゥループでしたが、回転は足りていたもののセカンドジャンプで転倒してしまいます。さらに後半の3フリップは回転不足で転倒となり、フィニッシュした今井選手は悔しそうな表情を浮かべました。得点は47.87点で9位と出遅れました。
 3+3は回転は問題なかったのですが、着氷時に体重が後ろの方に乗っかってしまった感じでしたね。3+3の転倒によってミスを恐れてしまったのか3フリップも慎重になってしまったのがもったいなかったです。ショート後のインタビューでは悔しさを露わにしてフリーにかける想いを語った今井選手でしたが、挽回する舞台そのものがなくなって本当に残念でした。次の試合に向けて気持ちを切り替えてまた頑張ってほしいですね。



 ここからはアイスダンスのショートダンスについてです。
 首位に立ったのはアメリカのマディソン・ハベル&ザカリー・ダナヒュー組。全てのエレメンツで大きな取りこぼしなく演技をまとめ、シーズンベストとなるスコアでGPでは初めて首位発進となりました。
 2位はカナダのパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組。こちらも目立った取りこぼしなく演技を終えましたが、僅差でハベル&ダナヒュー組には届かず2位につけました。
 3位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組。ミスらしいミスはありませんでしたが、思ったようにレベルを取れないエレメンツがあり、自己ベストに4点ほど及ばない得点となりました。



 女子&アイスダンス編はこれで終了ですが、次の記事では男子&ペアを取り上げます。


:記事冒頭の写真はフィギュアスケート情報ウェブサイト「icenetwork」が2015年11月14日に配信した記事「Trophée Bompard canceled after terror attacks」から、ゴールド選手の写真は同じく「icenetwork」が2015年11月13日に配信した記事「Gold delivers personal-best short to jump in front」から、リプニツカヤ選手の写真、ロデギエーロ選手の写真、トゥクタミシェワ選手の写真は、AFPBB Newsが2015年11月14日の10:28に配信した記事「ゴールドが女子SP首位、エリック・ボンパール杯」から、村上選手の写真はAP通信のフォトサイトから、デールマン選手の写真は写真画像ウェブサイト「ゲッティイメージズ」から、今井選手の写真は写真画像ウェブサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
エリック・ボンパール杯2015・男子SP&ペアSP―宇野昌磨選手、パーソナルベストで首位 2015年11月19日
[PR]
by hitsujigusa | 2015-11-17 17:33 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_15435646.jpg


 中国杯2015、男子とペアの結果、内容をざっくりと書いていきます。
 男子の優勝者は現世界チャンピオン、スペインのハビエル・フェルナンデス選手。王者らしい風格ある演技でしっかりとトップの座を確保しました。2位は今大会がシニアデビューの中国の金博洋(ジン・ボーヤン)選手、3位も同じく中国の閻涵(ヤン・ハン)選手となりました。
 ペアはロシアのベテラン、川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ組が僅差の戦いを制してGP通算7勝目となっています。

ISU GP Audi Cup of China 2015 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 頂点に立ったのは世界王者、ハビエル・フェルナンデス選手です。

c0309082_1555384.jpg

 SPは「マラゲーニャ」。まず冒頭は大技4サルコウでしたが、こらえた着氷となったため減点となります。しかし続く3ルッツ+3トゥループをクリーンに決めると、後半の3アクセルも完璧な出来で2.14点の高い加点を獲得。フラメンコの動作を取り入れた情熱的な演技で会場を沸かせました。得点は93.19点で自己ベストに3点と迫る高得点をマークし、首位発進となりました。
 フリーは「映画『野郎どもと女たち』より」で、3本の4回転を組み込んだ難プログラム。まず1本目は単独の4トゥループをパーフェクトに成功させて上々の滑り出し。続く4サルコウ+2トゥループはファーストジャンプの着氷でオーバーターンしたもののうまくセカンドジャンプに繋げます。次の3アクセルはクリーンに降りて、まずまずの前半となります。そして後半冒頭は単独の4サルコウでしたがこれは転倒。その後も3ルッツが2回転になる珍しいミスはありましたが、実力者らしく演技をまとめました。得点は177.36点でフリーも1位、総合1位でGP通算3個目となる金メダルを手にしました。
 4回転の細かなミスが多々あって完璧ではありませんでしたが、フェルナンデス選手のGP初戦としては今までで最も高い得点で、十分良い出だしと言えるんじゃないかなと思います。プログラムの表現的にもこの時期にしては完成度が高く、特にSPの「マラゲーニャ」はフラメンコダンサーでありフィギュアの振り付け師でもあるスペイン人のアントニオ・ナハロさんが振り付けを担当していて、手を叩く仕草だったりステップの仕方だったり端々に本格的なフラメンコらしさが表れていて、しかもそれをスペイン人であるフェルナンデス選手が演じることによって半端じゃない“本場感”が醸し出されていて、フェルナンデス選手の代表作になること間違いなしという感じさえします。今後さらに滑り慣れていくことでどんどんフラメンコのリズムが体に馴染んでいくでしょうから、ますます楽しみですね。
 フェルナンデス選手の次戦は2週間後のロシア大会。2戦連続優勝で母国スペイン開催のファイナル出場を決めるか、注目ですね。中国杯優勝、おめでとうございました。


 2位は世界ジュニア選手権2015銀メダリスト、中国の金博洋(ジン・ボーヤン)選手です。

c0309082_005643.jpg

 SPは「タンゴ・アモーレ」。冒頭は史上初の大技4ルッツ+3トゥループ、これを完璧に決め好スタートを切ると、続く3アクセルは着氷で詰まりながらも成功。そして後半に組み込んだ4トゥループも着氷がクリーンでないものの確実に降り、ステップシークエンスもスピンもレベル4を揃え、会心の演技となった金選手は歓喜を爆発させました。得点は90.05点でこれまでのパーソナルベストを14点以上上回り、2位と好発進しました。
 フリーは「Dragon Racing 映画『ヒックとドラゴン』より」。冒頭はショートで綺麗に成功させた4ルッツ、これを再びクリーンに着氷。続く4サルコウは回り切っていたものの転倒。さらに3アクセル+1ループ+3サルコウも着氷で乱れます。後半にも4トゥループ+2トゥループ、4トゥループの2本の4回転を組み込み、どちらも着氷でこらえたり詰まったりして減点はされたものの、そのほかのジャンプはクリーンに跳んで加点を積み重ね、最後まで勢いのある演技を披露しました。得点は171.18点でこちらもパーソナルベストでフリー2位、総合2位でGP初の表彰台となりました。
 とにもかくにも衝撃的なデビューでしたね。ジュニア時代からシニア並みの驚異的なジャンプ構成で知られた金選手ですが、まさかデビュー戦からいきなりここまでとは驚かされました。何といっても特筆すべきは4ルッツでしょう。2011年にアメリカのブランドン・ムロズ選手が成功させたのが4ルッツの唯一の成功でしたが、それ以来の成功、しかも4ルッツ+3トゥループの連続ジャンプとしての成功は史上初で、凄いとしか言葉が出ません。また、4ルッツのほかにも4トゥループ、4サルコウに挑んだわけですが、むしろより難度の高い4ルッツの方が軽々と簡単に跳んでいるように見えるくらいで、一体どんな身体をしているんだろうと不思議にさえ感じます。それくらい4ルッツは別次元のジャンプだと思うのですが、それをこうもあっさり成功させられたことによって今後の男子フィギュア界にどんな影響を及ぼすのか気になりますね。そして、日本男子にとっては同じアジアの強力なライバル出現ですから戦々恐々ではありますが、お互い競い合ってアジアのフィギュアのレベルをどんどん上げていってほしいですね。
 金選手の次戦はNHK杯。日本で4ルッツがお披露目されることももちろん楽しみですが、羽生結弦選手との直接対決にも大注目です。


 3位は同じく中国の閻涵(ヤン・ハン)選手です。

c0309082_14232966.jpg

 冒頭は得点源の4トゥループから、回転は十分だったものの転倒となります。後半に2つのジャンプ要素を固め、まずは得意の3アクセルでしたが、回転不足で大きくバランスを崩します。最後の3+3は手堅くまとめましたが、2つのジャンプミスが響き、得点は73.97点で6位に留まりました。
 フリーはまず3アクセル+3トゥループから、これをパーフェクトに成功させ2点の高い加点を得ます。続いて4トゥループは着氷で乱れ成功とはならず。さらに2本目の4トゥループを予定していましたが、ここは急遽3ルッツに変更したものの着氷で乱れが生じ減点となります。後半に入り、2つ目の3アクセルは珍しくすっぽ抜けて1回転になりましたが、その後は予定どおりのジャンプを丁寧に成功させ、終盤のスピン、ステップシークエンスはレベル4を揃え、ちょこちょこミスがありつつも演技を立て直しました。得点は156.36点でフリー3位、総合でも3位となりGP2度目となるメダルを獲得しました。
 スケートアメリカに続きこれがGP2試合目だった閻選手。前大会はSPでハイスコアをマークして好発進しながらフリーで順位を下げてという流れでしたが、今大会はSPの出遅れをフリーで挽回するという形でしたね。ただ、トータルスコアでは前回の方が高く、今回はフリーで4回転を1本しか跳ばなかったということもあってまだ本来の閻選手の姿ではないのかなと思います。やはり4回転がほとんど決まっていないので、シーズン後半に向けては4回転がキーワードになってきそうですね。


 4位はアメリカのグラント・ホフスタイン選手です。

c0309082_1552376.jpg

 SPは「Due Tramonti」。冒頭の大技4トゥループは回り切ってはいたものの転倒。しかし、続く3アクセルはクリーンに降ります。ですが、後半の3+3は着氷がクリーンなものとならず減点。細かなミスはありましたが、ステップシークエンス、スピンでは取りこぼしなく基礎点、GOEをきっちり稼ぎ、得点は74.27点でパーソナルベストをマーク、5位と好位置につけました。
 フリーは「レ・ミゼラブル」。まずは得点源となる4トゥループでしたが、パンクして2回転となります。しかし、続く3アクセル+2トゥループをクリーンに成功させると、単独の3ルッツも綺麗に着氷。まずまずの前半となります。後半は連続ジャンプのミスなどありましたが、2本目の3アクセルを成功させるなどほとんどのジャンプを確実に着氷し、丁寧に滑り切りました。得点は自己ベストに迫る148.47点でフリー4位、総合も4位と自身GP最高位で大会を終えました。
 2010年のスケートカナダ以来、実に5年ぶりのGP参戦となったホフスタイン選手ですが、緊張もあった中で素晴らしい演技を見せてくれましたね。4回転こそ成功しませんでしたが、そのほかのジャンプはおおむね大きなミスなく跳んでいて、久しぶりのGPとは思えないレベルの高い演技でした。現在のアメリカの男子選手は日本の羽生選手やカナダのパトリック・チャン選手のように際立ってもの凄い選手がいるわけではありませんが、こうしてGP経験のほとんどないホフスタイン選手のような選手でもこれだけの実力を持っていて、フィギュア大国アメリカならではの全体的な基礎レベルの高さを改めて感じさせられましたね。
 ホフスタイン選手はNHK杯にも出場予定です。次戦もまた良い演技ができることを願っています。


 5位はGPファイナル2014銅メダリスト、ロシアのセルゲイ・ボロノフ選手です。

c0309082_1557167.jpg

 ショートはイギリスのバンド、ミューズの「Butterflies and Hurricanes」。冒頭は4トゥループ+3トゥループの高難度の連続ジャンプから、これをファーストジャンプの着氷でアンダーローテーション(軽度の回転不足)になりつつも3回転を付け、しっかりと予定どおりに跳びます。2つのスピンを挟んだ後半、3アクセル、3ループはクリーンに降りて高い加点を獲得。実力者らしいそつのない演技を見せました。得点は80.99点で3位につけます。
 フリーは「映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』より」。まずは前日回転不足となった4トゥループからでしたが、こちらはダウングレード(大幅な回転不足)で大きなマイナスとなります。続く3アクセル+2トゥループの連続ジャンプはきれいに成功させましたが、直後の2本目の4トゥループもアンダーローテーションで減点、さらに3ルッツは2回転となり、前半はミスが相次ぎます。後半は大きな乱れなく巻き返しましたが、前半のジャンプミスでのロスが響き、得点は141.18点でフリー8位、総合5位に順位を落としました。
 昨シーズンは4トゥループの安定感が目立ったボロノフ選手ですが、今季は10月に行われたフィンランディア杯も合わせ、4トゥループに苦労していますね。今大会は挑んだ全ての4トゥループが回転不足になっているので、ジャンプの軌道でのスピードや空中での高さに何かしら昨季との違いがあるのでしょうが、ベテランですのでシーズンを追うごとにうまく修正していくんじゃないかと思います。そんなボロノフ選手の次戦は地元のロシア大会。鍵となる4トゥループが決まるかどうか、要注目ですね。


 6位はフィリピンの若手、マイケル・クリスチャン・マルティネス選手。

c0309082_1717245.jpg

 SPはベートーヴェンの「エグモント序曲」。冒頭は得意の3ルッツ+3トゥループを正確かつクリーンに着氷して高い加点を得ます。続いて大技3アクセルでしたが、回転は足りていたものの転倒。しかし、後半の3ループは問題なく成功させ、得点は自己ベストに迫る72.24点で7位発進となります。
 フリーはプロコフィエフの「バレエ『ロメオとジュリエット』より」。まずはSPでクリーンに決めた3+3、これを再び難なく成功させます。さらにショートで失敗に終わった3アクセルも2トゥループを付けて連続ジャンプで成功。続く3フリップも決めて、前半は完璧な内容。後半は単独の3アクセルでの転倒や3ルッツでの着氷の乱れなどミスが続きましたが大きく崩れることはなく、重厚なプログラムを緩急豊かに演じ切りました。得点は148.12点でこれまでの自己ベストを大きく上回りフリー5位、総合6位とGP自己最高位をマークしました。
 ソチ五輪に唯一のフィリピン代表として出場し、昨シーズンから本格的にシニアに参戦したマルティネス選手。世界の舞台に出てきた時から踊りの巧い選手として注目されてきましたが、今大会の演技を見るとその踊りの巧さにさらにプラスアルファが加わっているなと感じました。理由の一つはやはりジャンプで、この1試合だけで安定感を判断することはできませんが、一つ一つが以前よりもスムーズでクリーンになった印象を受けます。そして、演技全体もつなぎの密度が濃く、ジャンプの前後のイナバウアーやイーグル、スパイラルなど細かな動作も増えていて、今まで以上に見応えのある演技をするスケーターになったなと思いますね。
 マルティネス選手のGPシリーズはこれで終了ですが、今後に期待が持てる演技でした。このあとのシーズンも楽しみにしています。


 7位はアメリカのリチャード・ドーンブッシュ選手です。

c0309082_1813075.jpg

 SPは「Come What May 映画『ムーラン・ルージュ』より」。冒頭の4トゥループは回転し切っていたものの転倒で減点となります。スピンを挟んで次は3アクセルでしたが、軌道に入って跳ぼうとした直前にスケート靴のエッジが氷の溝にはまって転倒してしまいます。しかし、その後は3+3をしっかりと成功させ、アクシデントに見舞われつつも落ち着いて滑り切りました。ただ、得点は70.24点と伸びず、8位に留まります。
 フリーは昨季と同じ「イエロー/美しき生命」のコールドプレイ・メドレー。まずは前日転倒に終わった4トゥループでしたが、回転不足で再び転倒となります。ですが、続く3アクセル、3ルッツはクリーンに決めて1点以上の高い加点を得ます。後半は2つ目の3アクセルが回転不足で転倒になるなどの痛いミスはありましたが、そのほかは予定どおりのエレメンツをスムーズにこなしました。得点は147.05点でフリー7位、総合7位となりました。
 SPでは3アクセルを跳ぶ前に転倒するという思いがけないアクシデントによって出遅れてしまい、フリーも2度の転倒があり決してまとまった演技とは言えないのですが、ミスがあるなかでもドーンブッシュ選手らしさがところどころに垣間見えて良かったですね。特にフリーは2季連続のプログラムとあってすでに体に馴染んだ空気感があり、決まったジャンプは手を上げたり背中に添えたりする細かな工夫もなされていて、全体的に身のこなしの美しさや繊細さが印象に残りました。今回は大技があまり成功せず残念でしたが、次のNHK杯では納得がいく演技ができることを願っています。



 ここからはペアについて。

c0309082_1723948.jpg


 優勝したのはロシアの川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ組。SPで取りこぼしのない安定した演技を見せ首位と僅差の2位につけると、フリーでは未成功の大技スロー4ループに挑戦し着氷で乱れたものの、そのほかのエレメンツをほぼノーミスで揃え、パーソナルベストをマークしてフリー1位、トータルでは2位のペアを0.38点差でかわしてGP通算7度目の優勝を果たしました。
 スミルノフ選手の負傷によって母国でのソチ五輪出場が叶わず、昨シーズン現役続行を決意した川口&スミルノフ組。ペア競技はシングル選手と比べても比較的年齢層は高いですが、その中でも二人とも30歳を超えるこのペアは大ベテランです。しかし、まだまだ衰える気配なく、それどころか新たな大技にもチャレンジしパーソナルベストを更新するなどさらなる進化を見せ続けてくれていて、本当に脱帽させられます。中国杯優勝、おめでとうございました。
 惜しくも2位となったのは地元中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組。ショートではソロジャンプでミスがあり2位と小差の首位発進しましたが、フリーでも2つのソロジャンプ要素でミスが相次ぎ、また、時間超過での減点1もあり、川口&スミルノフ組に逆転を許しました。
 ショートもフリーもソロジャンプでのミスが目立った隋&韓組。スケートアメリカに続き2戦連続優勝とはなりませんでしたが、スケートアメリカよりはトータルスコアで10点以上アップしているので、着実に仕上げつつあるのだろうと思います。そして、これで隋&韓組はペア一番乗りでファイナル進出を決めました。昨年は3位でしたが、今年はどんな色になるのか楽しみです。
 3位も中国の于小雨(ユー・シャオユー)&金楊(ジン・ヤン)組。SPでパーフェクトな演技を披露、大幅にパーソナルベストを更新し3位となると、フリーでは大技のスロー4サルコウに挑戦し回転不足で転倒とはなったものの、そのほかのエレメンツをクリーンにこなしパーソナルベストをマーク、銅メダルを獲得しました。



 中国杯2015に関する記事はこれで以上です。
 次はフランス大会。もちろんどの種目も注目ですが、特に男子はスケートアメリカを制したマックス・アーロン選手、銀メダルを獲得した宇野昌磨選手、スケートカナダを制したパトリック・チャン選手、銅メダルを獲得した村上大介選手、オリンピックと世界選手権の表彰台経験者であるデニス・テン選手らが揃う豪華な顔ぶれの試合となります。どの選手にも優勝の可能性があり、ファイナル進出の可能性十分な選手ばかりですから、ファイナルを占う意味でも楽しみな戦いですね。では。


:記事冒頭の男子メダリスト3選手のスリーショット写真、フェルナンデス選手の写真、金選手の写真、閻選手の写真、ボロノフ選手の写真は、スポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ホフスタイン選手の写真、ペアメダリスト3組の写真は写真画像ウェブサイト「Newscom」から、マルティネス選手の写真、ドーンブッシュ選手の写真は、写真画像ウェブサイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
中国杯2015・女子&アイスダンス―浅田真央選手、GP復帰戦で優勝 2015年11月10日
[PR]
by hitsujigusa | 2015-11-12 22:49 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_23442216.jpg


 ちょうど折り返しとなるグランプリシリーズ第3戦、中国杯。まずは女子とアイスダンスの結果についてお伝えします。
 女子は今シーズン競技復帰した日本の浅田真央選手が優勝しました。そして、2位には同じく日本の本郷理華選手が入り、日本勢のワンツーフィニッシュとなりました。3位はロシアのエレーナ・ラディオノワ選手となっています。
 一方、アイスダンスではイタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組が金メダルを獲得しました。

ISU GP Audi Cup of China 2015 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 優勝は浅田真央選手です!

c0309082_23583977.jpg

 SPはジャズのスタンダード・ナンバー「素敵なあなた」。冒頭は大技3アクセルから、これを詰まりながらもしっかり回り切って降ります。続いて高難度の3フリップ+3ループはきれいに着氷したかに見えましたが、セカンドジャンプがわずかに回転不足と判定されます。後半には苦手としている3ルッツを組み込みクリーンに着氷しましたが、踏み切り時のエッジ違反で減点となります。しかし、演技全体でミスらしいミスはなく、ジャズの軽やかかつ女性的なメロディに乗せて表情豊かに演じ切りました。得点は71.73点のハイスコアをマークし、断トツの首位に立ちました。

c0309082_133093.jpg

 フリーは「蝶々夫人」。まずはショートでも決めた3アクセルを完璧に成功させ、1.86点の高い加点を得ます。次は3フリップ+3ループでしたが、セカンドジャンプが回転不足で転倒してしまいます。さらに続く3ルッツもパンクして2回転となり、前半は少しミスが目立つ内容となります。後半に入り最初の2アクセル+3トゥループは大きなミスなく着氷しましたがセカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)と判定され、直後の3サルコウはクリーンに降りましたが、次の得意の3フリップは珍しくすっぽ抜けて1回転に。最後の3ループは問題なく成功させ、終盤のステップシークエンスは最高難度のレベル4に加え、1.6点という高い加点を得る圧倒的な滑りを見せました。得点は125.75点でフリー3位、総合1位でGP復帰戦を優勝で飾りました。
 大きな注目が集まった浅田選手のGP初戦でしたが、浅田選手らしさが存分に発揮された部分もあり、シーズン序盤の課題が見えた部分もありでしたね。まず素晴らしかった点としては何といっても3アクセルでしょう。ショートは着氷でこらえ気味ながらも成功、フリーは空中姿勢、着氷後の流れともにパーフェクトな成功で、これでジャパンオープンから数えると3回連続での成功となります。決して今大会の浅田選手は練習からジャンプが絶好調というわけではなかったようですが、その中でも3アクセルに対して余分な力みがなく、リラックスして跳べているように見えますね。一方で、フリーではほかのジャンプで力みが出てミスに繋がってしまったのは残念でした。3アクセル後の3+3で珍しい形でミスをしてから慎重になったのかジャンプが硬くなったような感じですね。フリーの前半の3つのジャンプ要素がやはりこのプログラムを完璧に滑りきるための重要なカギで、ここをスムーズにクリアできれば後半もその勢いのまますんなりと行けるのではないかと思います。今回はそこがうまくいかずにミスが連鎖してしまったわけですが、その中でも優勝できたのはショートのアドバンテージのおかげはもちろんのこと、フリーでのGOEの積み重ねも大きいように感じます。12あるすべてのエレメンツのうち、マイナスが付いたのは4つ。それ以外のプラスがついた8つのエレメンツ中、5つに1点以上の高い加点が与えられています。3アクセルの1.86点を始め、ステップシークエンスやスピンも高評価となっていて、基礎点の合計52.23点に対し、GOEでのプラスマイナスを足し引きした最終的な技術点の合計は58.15点で、5.92点もGOEで稼いだことになります。あれだけジャンプのミスがありながらも勝てたというのは、こうした浅田選手の総合力の賜物ですね。
 浅田選手の2戦目はNHK杯。母国での試合ということもあって今大会以上に良い演技や優勝を期待されるかもしれませんが、期待に応えようとし過ぎると気負ってしまうと思うので、あまりジャンプの成否にとらわれることなく、ただただ楽しんで滑ってほしいですね。中国杯優勝、おめでとうございました。


 銀メダルを獲得したのは日本の本郷理華選手です。

c0309082_1452794.jpg

 ショートはシルク・ドゥ・ソレイユの「キダム」。まずは昨季ショートで跳んでいた3トゥループ+3トゥループより難度を上げた3フリップ+3トゥループをしっかり決めて好スタートを切ると、続く2つのスピンはレベル4。後半に2つのジャンプ要素を固めた構成で、3ルッツは踏み切り時のエッジが不正確でマイナスとなったものの、次の2アクセルは難なく降り、終盤のステップシークエンス、最後の足替えコンビネーションスピンもレベル4を揃え、ほぼノーミスで演技をまとめました。得点は65.79点でパーソナルベスト、2位と好発進しました。

c0309082_14141624.jpg

 フリーは「リバーダンス」。まずは3フリップ+3トゥループをショート以上に綺麗に決めると、続く3サルコウは片手を上げた空中姿勢で1点以上の高い加点を獲得。3ルッツ+2トゥループは3ルッツの踏み切りで減点されますが確実に着氷。後半は目立ったミスとしては3ループのステップアウトくらいで、2アクセル+3トゥループ+2トゥループの難しい3連続ジャンプを始め次々とジャンプを成功。終始躍動感に満ちたキレのある動きとステップで観客から拍手喝采を浴び、フィニッシュした本郷選手は喜びを爆発させました。得点は129.97点で自己ベストを7点以上更新しフリー1位、総合2位でGP通算2個目のメダルを手にしました。
 とにもかくにもショート、フリー通じて素晴らしい演技でした。昨シーズンから続くジャンプの安定感はもちろん、表現面でも1年前と比較すると格段に成長していて、魅せ方が非常にうまくなりましたね。先輩の鈴木明子さんを思い起こさせるワクワク感を感じさせてくれる演技でした。得点的にはSPはパーソナルベストは更新したものの0.04点の更新で本郷選手も苦笑いじゃないですけれど微妙な表情をしていましたが、フリーは一気に7点以上の更新で想定以上の高評価だったようですね。演技構成点を見ても、昨シーズン末の世界選手権の演技構成点はショートが7点台が1項目の27.48点、フリーが全項目7点台の60.58点だったのが、今大会はSPが全項目7点台の30.10点、フリーが4項目が8点台の65.26点と大幅に点数が上がっていて、昨シーズンの大飛躍も想像以上で凄かったですけれど、昨季と同じ場所にとどまらない今季のさらなる進化を予感させる最高のシーズンスタートとなりましたね。
 本郷選手の次戦はロシア大会。スケートアメリカを制した新星エフゲニア・メドベデワ選手、今大会銅メダルを獲得したラディオノワ選手、そしてソチ五輪女王のアデリナ・ソトニコワ選手らロシアの強豪が勢ぞろいします。ファイナルを目指す本郷選手にとっては表彰台に上るのも大変な試合となるでしょうが、今大会のようにのびのびと演技してほしいと思います。


 3位は世界選手権2015の銅メダリスト、ロシアのエレーナ・ラディオノワ選手です。

c0309082_1575734.jpg

 SPはフランスのポピュラーソング「ジュテーム」。冒頭は得点源の3ルッツ+3トゥループでしたが、ファーストジャンプの着氷で大きく乱れてしまいセカンドジャンプに繋げられません。後半に入り、単独の3ループに急遽3トゥループを付けて序盤のミスを取り返そうとしますが、こちらはセカンドジャンプが回転不足となり減点となります。さらに最後の2アクセルは1回転となり、アクセルジャンプは2回転以上という規定に違反したため無得点に。最後までラディオノワ選手の持ち味を発揮できず、得点はパーソナルベストから12点ほど低い58.51点で6位に留まります。
 フリーは「映画『タイタニック』より」。まずは前日失敗した3ルッツ+3トゥループを今度は完璧に決めて上々の滑り出し。しかし、続く3フリップは踏み切り時のエッジのミス、単独の3ルッツは転倒とミスが相次ぎます。後半にもいくつかミスがあり精彩は欠きましたが、最小限のミスに抑えて何とか演技を立て直しました。得点は125.77点でフリー2位、SPから大きく順位を上げ銅メダルを獲得しました。
 2季前にGPシリーズに参戦してからというもの、怖いもの知らずの無敵さで快進撃を続けてきたラディオノワ選手ですが、今シーズンは壁にぶち当たりそうな感じですね。最大の壁は急激な身体の成長で、1年前、また、昨シーズン末と比べてもぐっと身長が伸びています。ロシアの女子選手はほとんどの選手がこの壁にぶち当たるといっても過言ではないと思うのですが、身長が一気に伸びることによってどうしてもジャンプのコントロールは失われてしまいますし、成長した体に合ったジャンプを習得するまでに時間がかかるので、ラディオノワ選手も今季は多少なりとも苦労するでしょうね。また、今大会は長年ラディオノワ選手を指導しているインナ・ゴンチャレンココーチが病気で入院しているため遠征に帯同できず、その点でもラディオノワ選手にとっては精神的に難しさがあったのではないかと想像します。ただ、そうした困難な状況においてもショートの出遅れをフリーで挽回し表彰台を確保するというのは、世界選手権メダリストであるラディオノワ選手の意地を感じましたし、さすがだなと思いましたね。
 ラディオノワ選手の次戦は本郷選手と同じくロシア大会。年上のソトニコワ選手、年下の伸び盛りのメドベデワ選手という国内のライバルと直接対決するという意味でもおもしろい試合になりそうです。


 4位は同じくロシアのアンナ・ポゴリラヤ選手。

c0309082_16233777.jpg

 ショートは「ヴァイオリンと管弦楽のためのボレロ」。まずは大技3ルッツ+3トゥループからでしたが、セカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)で転倒となります。続く3ループ、2アクセルはきれいに成功させたものの、後半のスピンに乱れが生じるなどして不本意な内容となりました。得点は61.47点で4位につけました。
 フリーは「シェヘラザード」。冒頭はショートで失敗した3+3をパーフェクトに着氷して1.4点の高い加点を得ると、続く3ループ+1ループ+3サルコウのコンビネーションジャンプも成功させます。しかし、直後の3ルッツで転倒すると、後半の3ループでも転倒があり、演技を終えたポゴリラヤ選手は肩を落としました。得点は122.69点でフリー4位、総合4位となりました。
 先月ロシアで行われたモルドヴィアン・オーナメントという国際大会ではショート、フリーともにパーソナルベストを大幅に更新して優勝したポゴリラヤ選手ですが、今大会は演技内容に波がありましたね。フリーでは得点源となる連続ジャンプをクリーンに決めた一方で、本来得意な単独ジャンプで転倒というプログラムの流れを分断する大きなミスを犯してしまい、うまく序盤の勢いを終盤まで繋げられなかった印象を受けます。パッと見にはそんなに感じませんが、やはりポゴリラヤ選手も著しい体の変化の時期にあるのでその影響はあるのでしょうね。ただ、モルドヴィアン・オーナメントはまとまった演技をしているので(得点の高さは国際大会とはいえロシア開催の試合なので眉唾ですが)、フィジカル的な課題よりも精神的な課題の方が大きいのかなとも感じますね。ポゴリラヤ選手の次戦はNHK杯です。


 5位はアメリカの新星カレン・チェン選手です。

c0309082_17254723.jpg

 ショートはまず大技3ルッツ+3トゥループからでしたが、セカンドジャンプがダウングレード(大幅な回転不足)になった上、転倒してしまい大きなロスとなります。後半の3ループ、2アクセルはクリーンに決め、得意のスピンではGOEをしっかり積み重ねたもののジャンプのミスが響き、得点は58.30点で7位発進となりました。
 フリーも冒頭は3ルッツからの2連続3回転でしたが、ファーストジャンプの着氷で若干流れが止まったため、セカンドジャンプを2回転に変更して確実に加点の付くジャンプにします。続く3フリップは着氷が乱れてマイナスとなりますが、後半の得点源となる2アクセル+1ループ+3サルコウはクリーンに成功。その後は3ルッツや3ループでミスが相次ぎ納得のいく演技とはなりませんでしたが、得点は117.63点でパーソナルベストをマークしフリー5位、総合5位で大会を終えました。
 スケートアメリカに続き、これがGP2試合目となったチェン選手。2試合通しての印象ではシニアならではの壁にぶつかっているのかなという感じですね。まず、得点源となる3+3がまだ今季は一度もクリーンに決まっていないのですが、これはやはり演技冒頭の大技という緊張感が硬さを生じさせているのかもしれません。また、もう一つの課題としては演技後半の体力面で、スケートアメリカも今大会も後半にジャンプミスを連発しているので、今後シニアの演技時間に慣れていくことで解消されていくんじゃないかなと思います。決まったジャンプの美しさは十分ですし、何よりスピンで高い加点を稼げる選手なので、より安定感が増してくるとさらに楽しみですね。


 6位はアメリカのコートニー・ヒックス選手です。

c0309082_182858.jpg

 ショートは「奇跡の始まり」。冒頭は3フリップ+3トゥループでしたが、流れがスムーズにならなかったため3+2にします。後半に組み込んだ3ルッツ、2アクセルもクリーンに降り、終盤のステップシークエンス、足替えコンビネーションスピンではレベル4を獲得するなど大きな取りこぼしなくフィニッシュしました。得点はパーソナルベストとなる62.38点で初めて国際大会で60点台に乗せ、3位と好発進しました。
 フリーは「映画『エリザベス:ゴールデン・エイジ』より」。序盤に得点源となる連続ジャンプを固めた構成で、1つ目は3+3でしたが、ファーストジャンプの回転が抜けて2+3に。続く3+1+3も2+1+3となりミスが相次ぎます。後半も5つのジャンプ要素のうち3つでミスがあり、ショートから一転、ミスの目立つ演技となってしまいました。得点は103.62点でフリー8位、総合6位に順位を落としました。
 ジャンプにパワーがあるタイプの選手で決まったときは見栄えがするのですが、パワーがあり過ぎてコントロールしきれないのかなという印象も受けます。ただ、パワーがある分、連続ジャンプの1つ目がパンクしても強引に3回転を付ける力技みたいなこともできてしまうんですね。ジャンプに入る時の速度や高さ、回転などさらにバランスが整うと、より美しいジャンプになるんじゃないかなと思います。ヒックス選手の次戦はNHK杯です。


 7位はスロバキアのニコル・ライチョヴァ選手です。

c0309082_2336496.jpg

 SPは「フィーリング・グッド」。冒頭は3トゥループ+3トゥループの2連続3回転の予定でしたが3+2となります。しかし、続く3ルッツは確実に成功。後半の2アクセルも難なく降り、スピンのレベルの取りこぼしなどもったいない部分もありつつも、最後まで致命的なミスなく滑り切りました。得点は54.76点で9位につけます。
 フリーは「映画『ドクトル・ジバゴ』より」。こちらは3+3は組み込まず、冒頭は3ルッツ+2ループの連続ジャンプを丁寧に決め、続いて3フリップ、3ループからの3連続ジャンプもクリーンに成功させます。後半は3ループと3トゥループが2回転になる場面があり完璧とはいかなかったものの、大きな乱れのない落ち着いた演技を披露しました。得点は110.50点で自己ベストには6点ほど及ばないながらもまずまずのスコアをマークしフリー7位、総合でも7位となりました。
 スケートアメリカにも出場し7位だったライチョヴァ選手。今シーズン本格的なシニアデビューの選手ということでまだまだジュニアらしさも残る選手なのですが、ジャンプはクセのない綺麗なものを持っていて印象に残りましたね。特にルッツとフリップが正確に跳び分けられるのは大きいですし、今はさほど難しいジャンプは跳んでいませんがもう少し難度の高い構成でレベルアップできると、どーんと大きく飛躍できそうな感じがしますね。
 ライチョヴァ選手の初めてのGPはこれで終了ですが、この経験を活かしてこの後のシーズンも頑張ってほしいと思います。



 ここからはアイスダンスです。

c0309082_042571.jpg


 優勝は世界選手権2014のチャンピオン、イタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組。SDで大きな取りこぼしなく演技し首位に立つと、フリーではパーソナルベストを更新する会心の出来でトップの座を守り切りました。すでに世界チャンピオンも経験しているカッペリーニ&ラノッテ組ですが、意外にもGPの優勝はこれが初めてなんですね。昨年の中国杯では思わぬミスが相次ぎシーズン序盤につまずいてしまいましたが、今年は見事な初優勝で最高のスタートが切れたのではないかと思います。中国杯優勝、おめでとうございました。
 2位は世界選手権2015の銀メダリスト、アメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組です。ショートではツイズルでレベルが1になるという珍しいミスを犯してしまい、得点もパーソナルベストから約9点ほど低いスコアで2位発進となりました。フリーは大きなミスなく終えましたが2つのステップが両方ともレベル2に留まり、逆転優勝は叶いませんでした。今大会は2位となったチョック&ベイツ組ですが、スケートアメリカでの1位と合わせて一番乗りでのファイナル進出が決定しています。
 3位はロシアのエレーナ・イリニフ&ルスラン・ジガンシン組。SDで安定した演技を見せ3位につけると、FDでは女性のイリニフ選手の髪飾りの一部が落下して減点になるという珍しいアクシデントがありつつも、ショートから順位は変わらず表彰台に立ちました。



 さて、女子とアイスダンス編は以上ですが、次は男子&ペア編に続きます。


:アイスダンスメダリスト3組の写真はフィギュアスケート情報ウェブサイト「Abosolute Skating」から、それ以外の写真は全て、スポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
中国杯2015・男子&ペア―ハビエル・フェルナンデス選手、高得点でGP3勝目 2015年11月12日
[PR]
by hitsujigusa | 2015-11-10 01:33 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_15355993.jpg


 スケートカナダ2015、男子とペア編です。
 男子を制したのは2季ぶりに競技復帰したパトリック・チャン選手。圧倒的な演技でGPシリーズ通算10勝目となりました。2位は日本の羽生結弦選手、3位は同じく日本の村上大介選手で日本勢二人が表彰台に上りました。
 ペアは世界チャンピオン、地元カナダのメ―ガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組が2連覇を達成しています。

ISU GP Skate Canada International 2015 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 優勝はカナダのパトリック・チャン選手です。

c0309082_15523330.jpg

 SPは「マック・ザ・ナイフ」。まずは大技4トゥループ+3トゥループを完璧に決めると、続いて苦手としている3アクセルでしたが、回転は足りていたものの転倒となってしまいます。さらに後半に組み込んだ3ルッツも2回転となり、単独ジャンプは3回転以上という規定に違反したため0点に。スピンやステップシークエンスなど、さすがという見せ場も作りましたが、ジャンプミスが響いて得点は80.81点と伸びず、2位発進となりました。
 フリーは「ショパン・メドレー」。まずは前日も決めた4+3をショート以上にクリーンに降りると、ショートでは転倒に終わった3アクセルもしっかりと成功させて上々の滑り出し。続くもう1本の4トゥループは3回転となりますが、そのあとのステップシークエンスではピアノが奏でる旋律と一体化した圧巻のスケーティングで魅せます。後半に入っても3+2、3+2+2など終始安定してクリーンなジャンプを跳び、演技を終えたチャン選手は観客のスタンディングオベーションを受けました。得点は190.33点でフリー1位、GP復帰初戦で見事に優勝を果たしました。
 ショートでは鬼門の3アクセル、そして得意な3ルッツで珍しい形のミスがあり、あのチャン選手といえどもやはり久しぶりのGP、しかも母国の観客の前では相当な緊張やプレッシャーがあったのではないかと想像するのですが、フリーでは一転してまさにこれが“パトリック・チャン”という演技を見せてくれました。ジャンプ構成的には4回転が1本に3アクセルが1本、3+3は無しというジュニア並みといっても過言ではない難度の低い構成なのですが、そんなことは気にならないくらいの圧倒的なスケーティングの凄味、ジャンプ以外のところにこそ表れるチャン選手の真骨頂を存分に堪能させられましたね。ジャンプの難度を抑えることによって演技全体を安定させGOE(技の出来栄え点)やPCS(演技構成点)を稼ぐというのは賛否両論あると思うのですが、同じフィギュアスケートでもいろんな方向性が示されるという意味ではチャン選手のようなスケーターもいれば、後述する羽生選手のようなタイプのスケーターもいて、どちらも同等に素晴らしく、同等に評価されるのがいちばん良いなと思いますね。
 チャン選手の2戦目はフランス大会。フランス大会はアメリカ大会の覇者マックス・アーロン選手や銀メダリストの宇野昌磨選手、今大会の銅メダリスト村上大介選手やソチ五輪銅メダリストのデニス・テン選手ら強豪が一挙に集まる熾烈な試合となります。はたしてどんな試合経過、結果となるのか今から楽しみですね。スケートカナダ優勝、おめでとうございました。


 2位は日本の羽生結弦選手です。

c0309082_230854.jpg

 SPは昨季と同じショパンの「バラード第1番」。冒頭はイーグルからの難しい入り方をした3アクセル、これをパーフェクトに決めて3点という驚異的な加点を得ます。続く2つのスピンもレベル4で順調な流れでしたが、後半最初に組み込んだ4トゥループが空中で回転がすっぽ抜けて2回転になり、規定違反で無得点に。さらに3ルッツ+2トゥループはファーストジャンプの着氷で詰まったためセカンドジャンプが2トゥループとなり、同じジャンプを別々のジャンプ要素で2度跳んではいけないというルールに引っ掛かり、こちらも無得点となってしまいます。慣れたプログラムということもあり、その後のステップシークエンスは音楽と調和したなめらかな滑りを見せましたが、フィニッシュした羽生選手は呆然とした表情を浮かべました。得点は73.25点で予想外の6位発進となりました。

c0309082_0225891.jpg

 フリーは映画『陰陽師』のサウンドトラックを使用した「SEIMEI」。冒頭は大技4サルコウ、若干こらえつつもきっちり回り切って降ります。続いて前日失敗した4トゥループ、こちらも羽生選手本来の4トゥループほどには完璧ではなかったものの成功させ、さらに3フリップも問題なく着氷して好スタートを切ります。後半は4トゥループからの連続ジャンプの着氷が乱れたり、3アクセル+3トゥループが3+1になったり、最後の3ルッツで転倒したりといくつかミスが出てしまいましたが、その中でも鬼気迫る動き、表情でプログラムの世界観を作り出し、最後まで力強く滑り切りました。得点は186.29点というハイスコアを叩き出しフリー2位となりましたが、チャン選手には及ばず総合2位で大会を終えました。
 SPはまさかという感じで、羽生選手自身がいちばん驚くようなジャンプミスの仕方でしたが、逆にこれがGP初戦で良かったなと思いますね。翌日のフリーではさすがの修正能力を見せましたが、それでも後半にちょこちょことミスが出てしまったというのは4回転を3本入れるという難構成の影響が大きいでしょう。これだけのプログラムを全くのノーミスで演じ切るというのはなかなか大変な事だと思いますし、それが達成された時はものすごい“神演技”になることは間違いないでしょうから、今からその時が楽しみです。
 また、今大会はチャン選手とのソチ五輪金銀対決に注目が集まりましたが、改めて羽生選手とチャン選手との違い、ある意味両極端な二人の姿を見比べられておもしろかったですね。どんどんジャンプ構成の難度をあげてフィジカルの限界に挑む羽生選手と、ジャンプの難度はそこそこでスケートそのものの美しさを追求するチャン選手と、どちらの方が優れているとか価値があるとかではなくて、真逆の方向性でフィギュアスケートを極めていこうとする二人の存在というのがおもしろいなと思います。ただ、真逆ではあるけれども両者ともフィギュアスケートの進化に非常に貢献していて、またしばらくこの二人の争いが見られるのは一フィギュアファンとしては嬉しいですね。羽生選手の次戦はNHK杯です。


 3位は昨年のNHK杯優勝者、日本の村上大介選手です。

c0309082_1542240.jpg

 SPは「彼を帰して ミュージカル『レ・ミゼラブル』より」。冒頭は難度の高い4サルコウからで、回転は十分だったものの転倒となります。しかし、次の3アクセルはパーフェクトに着氷。後半には難しい組み合わせの3ルッツ+3ループを成功させ、序盤のミスからしっかり巻き返しました。得点は自己ベストに迫る80.88点で首位に立ちました。

c0309082_1325395.jpg

 フリーは「Anniversary」。まずは前日転倒に終わった4サルコウを完璧に成功させて2点の高い加点を得ると、続く4サルコウからの連続ジャンプもクリーンに着氷。さらに3アクセルも問題なく降りて、これ以上ない前半となります。後半に入ってもミスらしいミスはなく、しっとりとしたピアノの音色に合わせて情感豊かに演じ切り、フィニッシュした村上選手は感極まったような表情を見せました。得点はこちらも自己ベストに近い171.37点でフリー3位、総合3位となりました。
 ショートで4サルコウの転倒があったとはいえ、それ以外はほとんど目立ったミスがなく本当に強い選手になったなと実感させられましたね。プログラム的にもショート、フリーともに比較的穏やかな曲想で今までの元気の良い村上選手のイメージとは一線を画すプログラムをしっかり自分のものにしていて、今後にさらに期待が持てる内容でした。スコア的にはパーソナルベストが出てもおかしくないくらいの演技だったと思うのですが、残念ながら思ったほど伸びず、フリーの演技後のキス&クライでの少し悲しそうな表情が見ていてこちらも辛かったのですが、まだまだ点数の伸びる余地のあるプログラムだと思うので、次こそはキス&クライでも村上選手の笑顔が見られることを楽しみにしたいですね。村上選手の次戦はフランス大会。表彰台に上るのも至難の強豪が勢ぞろいする試合になりますが、ファイナルに繋がることを願っています。


 4位はアメリカのベテラン、アダム・リッポン選手です。

c0309082_13411745.jpg

 SPはクイーンの「リヴ・フォーエヴァー」。まずは昨季からプログラムに取り入れている大技4ルッツに挑みましたが、ダウングレード(大幅な回転不足)で減点となります。続く3アクセルはクリーンに成功、後半の3ルッツ+3トゥループも難なく降り、得意のスピンでも全てレベル4を揃え、リッポン選手らしいしなやかな演技を披露しました。得点はパーソナルベストに迫る80.36点で3位につけました。
 フリーは「ビートルズ・メドレー」。ショート同様冒頭は4ルッツからでしたが、再びダウングレードで転倒となります。しかし、直後の3アクセル+2トゥループ、単独の3ルッツはきれいに成功。後半1発目の3アクセルは転倒したものの、その後は大きなミスなくほぼノーミスで滑り切りました。得点は自己ベストまで約1点の159.33点でフリー5位、総合4位となりました。
 昨シーズンから4ルッツに挑戦しているリッポン選手。まだダウングレードの段階でクリーンに回り切れるようになるまでは時間がかかりそうですが、4ルッツを跳ぶことによってほかのジャンプやエレメンツ、演技全体に良い影響を及ぼしているように見えますね。また、10月にフィギュアスケート誌のインタビューでゲイであることをカミングアウトしたリッポン選手ですが、髪色も鮮やかな藤色に染めて、プログラムもショート、フリーともにロックで、以前のクルクルのブロンド巻き毛の王子さまっぽい正統派のイメージからはガラリと変わっていて、年齢を経たからこその若い頃には(今でも若いですが)見られなかった新たな面が見られるようになって、さらに魅力的なスケーターになったなと思いますね。リッポン選手の次戦はロシア大会です。


 5位は現カナダ王者のナム・グエン選手です。

c0309082_14303936.jpg

 ショートは「映画『キリング・フィールド』より」。まずは得点源の4トゥループ+3トゥループをパーフェクトに着氷しますが、続く3アクセルは転倒。後半の3ルッツは踏み切り時のエッジが不正確とされ若干の減点となり、パーソナルベストから1点ほど低い76.10点で4位発進となりました。
 フリーはバッハの「パッサカリアとフーガ」。まずは前日クリーンに決めた4+3を完璧に降りると、単独の4トゥループも確実に成功。ショートで転倒した3アクセルも決めて最高の滑り出しとなると、後半は細かなミスが少々あったもののプログラムの流れを分断するようなミスはなく、勢いに乗ったままフィニッシュしました。得点は162.72点でフリー4位、総合5位となりました。
 昨季はシニア本格参戦1年目にもかかわらず安定した演技で好成績を収めたグエン選手。2年目の今シーズンはショート、フリーともに重厚なプログラムで、昨季のポップでアップテンポなプログラムとは一味違う大人の演技を意図しているように感じられますね。グエン選手は身長もぐんと伸びて国際スケート連盟の公式プロフィールでは176cmとなっていますが、体の変化が著しい中でも巧く4回転や3アクセルを跳んでいて、細身で回転の速いジャンプが跳べるグエン選手ならではという感じがします。グエン選手の2戦目はロシア大会です。


 6位は今大会がGPデビュー、ロシアのアレクサンドル・ペトロフ選手。

c0309082_15213193.jpg

 SPは「ラ・レイエンダ・デル・ベソ」。まずは冒頭の3アクセルを決めると、続く3+3も綺麗に成功。しかし、中盤ではフラインスキャメルスピンと3フリップでミスが出てしまい、得点は71.44点と伸ばし切ることができず7位に留まりました。
 フリーはアストル・ピアソラのタンゴ「オブリヴィオン」。まずは前日も成功させた3アクセルを再び文句なしに成功させると、続いて3アクセル+2トゥループも成功。3ルッツ+2トゥループも決めて良い流れを作り出すと、後半の5つのジャンプも一つ一つクリーンに着氷。全てのエレメンツで加点を得る安定感抜群の演技で、得点は149.58点でフリーも7位、総合6位となりました。
 4回転こそ入っていませんが、決まった時のジャンプは空中姿勢もランディングも美しく、ロシア男子らしい品格漂うスケーターですね。シニア1年目とあってまだジュニアらしさも残りますが、昨シーズンは国際大会ではシニアクラスも含めて8試合中7試合でメダルを獲得していて、見た目以上にタフで大崩れしないタイプの選手なのかなという感じもします。ペトロフ選手のGP2戦目はフランス大会です。


 今季シニアデビューの日本の川原星選手は10位となりました。

c0309082_1550217.jpg

 SPは「タンゴ・デ・ロス・エクシラドス」。冒頭の得点源となる大技3アクセルは着氷で大きくバランスを崩してしまいますが、続く3ループ+3トゥループはクリーンに成功。後半の3ルッツもきっちり降りて、序盤のミスを引きずることなく丁寧に演技を立て直しました。得点は67.36点でパーソナルベストを更新、9位につけました。

c0309082_16231363.jpg

 フリーは「ピアノ協奏曲“宿命”」。まずはショートで失敗した3アクセルでしたが、回り切ってはいたものの着氷で乱れてしまい完全な成功とはならず、2つ目の3アクセルも2回転に。ですが、直後の3ルッツ+2トゥループはクリーンに着氷し、後半の得点源となる3+3も成功。回転不足など細かなミスはいくつかあったものの、最後まで大崩れすることなく演技をまとめ上げました。得点は127.85点でショートに続きパーソナルベスト、総合10位で初めてのGPを終えました。
 川原選手は今大会の1週間ほど前にドイツのペーター・リーベルス選手の出場辞退によって急遽追加招集されたのですが、1週間という短い準備期間にもかかわらず十分に力を発揮したのではないかなと思います。大技の3アクセルは成功しませんでしたが、そのほかのジャンプはおおむね安定していてランディングもとても美しく、後は演技全体のスピードだったり演技後半のスタミナ面だったりが強化されるとより良くなるでしょうね。
 シニアデビューがいきなりGPという大舞台を経験した川原選手。この経験を糧にしてさらなる飛躍を目指して頑張ってほしいですね。



 ここからはペアです。

c0309082_1827026.jpg


 金メダルを獲得したのは世界チャンピオン、メ―ガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組です。SPはソロジャンプで若干のミスがあったものの、大技のスロー3ルッツを含むレベルの高い演技を披露し、2位に8点以上の差をつけて首位発進します。フリーはサイドバイサイドの連続ジャンプでミスはありましたが、難しい技を次々と成功させ、圧倒的な大差で完全優勝を果たしました。
 2位はロシアのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組。ショートではソロジャンプとスロージャンプでミスがありながらも2位につけると、フリーでは3連続ジャンプで些少なミスがあった以外は全てのエレメンツで加点を得る安定した演技で、銀メダルを手にしました。
 3位は地元カナダのカーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組。ショートはトリプルツイストで小さなミスがあったもののパーソナルベストをマークして3位と好発進すると、フリーもリフトやソロジャンプでいくつかミスはありつつも自己ベストを更新、3位に踏みとどまり、このペアとしては初めてのGPの表彰台に立ちました。



 さて、早いものでGPシリーズも次の中国杯でちょうど半分です。もちろん中国杯についても取り上げたいと思っておりますので、お暇な時にでも覗いてみてください。では。


:記事冒頭の男子シングルメダリスト3選手のスリーショット写真、羽生選手の写真、村上選手の写真、リッポン選手の写真、グエン選手の写真、ペトロフ選手の写真、川原選手の写真は、スポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、チャン選手の写真はフィギュアスケート情報ウェブサイト「icenetwork」が2015年11月1日に配信した記事「Chan returns to vintage form, gets best of Hanyu」から、ペアメダリスト3組の写真は写真画像ウェブサイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
スケートカナダ2015・女子&アイスダンス―アシュリー・ワグナー選手、パーソナルベストでGP4勝目 2015年11月4日
[PR]
by hitsujigusa | 2015-11-05 20:13 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_2313730.jpg


 グランプリシリーズ第2戦、スケートカナダが終了しました。この記事では女子とアイスダンスについて書いていきます。
 優勝したのはアメリカのベテラン、アシュリー・ワグナー選手。ショート、フリー、トータル全てでパーソナルベストを更新する圧巻の演技でグランプリシリーズ4度目の優勝となりました。2位は現世界女王、ロシアのエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手。苦しむ場面もありながらも、世界チャンピオンの底力を発揮しました。3位に入ったのはこれがGPデビュー戦となった日本の永井優香選手。デビュー戦にして表彰台という快挙となりました。
 アイスダンスでは地元カナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組が優勝し、スケートカナダ2連覇を果たしています。

ISU GP Skate Canada International 2015 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 頂点に立ったのはアメリカのアシュリー・ワグナー選手です。

c0309082_1591850.jpg

 SPは「Hip Hip Chin Chin」。まずは3フリップ+3トゥループを完璧に決めて高い加点を引き出すと、2つのスピンを挟んだ後半、2アクセル、3ループも難なく着氷。サンバの独特のリズムに乗って軽快なダンスを披露し、最後までノリノリで踊り切りました。得点は70.73点でパーソナルベスト、2位に大差をつけてトップに立ちました。
 フリーは昨季と同じ「映画『ムーラン・ルージュ』より」。冒頭は2アクセルでまず流れを作ると、続いて前日クリーンに降りた3+3でしたが、こちらはセカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)となってしまいます。その後も3+1+3で同様に回転不足を取られる場面はありましたが、全体的に目立ったミスなくスピード感に溢れた力強い滑りで観客から拍手喝采を浴びました。得点は131.79点でSPに続き自己ベスト、トータルで初めて200点を超え堂々の優勝となりました。
 10月上旬のジャパンオープンではまだ調整段階という感じでしたが、ここに来て予想以上に仕上げてきましたね。新プログラムのショートはサンバというリズムを取るのが難しい音楽でしたが、細かに音楽をとらえながら全身でダイナミックな表現ができていたと思いますし、何より観客への魅せ方・盛り上げ方、表情の作り方など引き込む演技というのは若手にはないワグナー選手ならではの巧さを改めて感じました。フリーの方は持ち越しプログラムだけあって身体の動きと音楽との調和が素晴らしく、安心して見ていられましたね。ワグナー選手がGP初戦でいきなり200点超えをしてくるとは正直想像してなかったですが、最高のスタートを切ったワグナー選手の今シーズンがこの後どうなっていくのかとても楽しみでもあります。ワグナー選手の次戦はNHK杯。同世代の浅田真央選手との直接対決となりますが、おもしろい試合になりそうですね。スケートカナダ優勝、おめでとうございました。


 2位は世界女王、ロシアのエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手です。

c0309082_15573435.jpg

 ショートは「カルミナ・ブラーナ」。冒頭は代名詞の3アクセルからでしたが、回避し2アクセルとします。続いて得意の3ルッツは珍しく回転がすっぽ抜けて2回転となり、単独のジャンプは3回転以上という規定に違反したため無得点扱いに。さらに、後半の3+3もファーストジャンプの後にターンが入り、何とかセカンドジャンプに繋げたもののこちらも着氷でオーバーターンとなり、演技を終えたトゥクタミシェワ選手は呆然とした表情を浮かべました。得点は自己ベストから20点以上低い55.37点でまさかの7位発進となりました。
 フリーは「ペール・ギュント」。まずはSPで回避した3アクセルに挑み、着氷でバランスを崩したため不完全ではあったものの回り切って降ります。続いて3+2+2を確実に決め、次の3フリップも成功。後半に入っても3+3のコンビネーションジャンプを始め、全てのジャンプを完璧に着氷。フィニッシュしたトゥクタミシェワ選手は満足そうに破顔しました。得点は133.62点でフリー1位、総合2位とショートから大きく順位を上げました。
 SPは普段ほとんど大きなミスのない3ルッツが完全な失敗となり、それが影響したのか後半の3+3も歯車が狂ったような形のミスとなって、思わぬ内容となったわけですが、そこからのフリーの挽回はさすがでしたね。昨シーズンの快進撃を思えば今大会の精彩を欠いた演技は意外な感じもしますが、不調からの復活をかけて臨んだ昨季とチャンピオンとして臨む今季とでは立場も違いますし、メンタル的にも違うでしょうから、昨シーズンのような戦い方はできないと思いますが、ひとまずGP初戦で女王らしい演技を見せたことによってこの後のシーズンも乗っていけるんじゃないでしょうか。トゥクタミシェワ選手の2戦目はフランス大会です。


 銅メダルを獲得したのは日本の永井優香選手です。

c0309082_16475212.jpg

 SPは「蝶々夫人」。冒頭は得点源となる3ルッツ+3トゥループ、これをパーフェクトに決めて波に乗ると、後半の3ループ、2アクセルもしっかりと着氷。終盤のステップシークエンスでは女性ソプラノの壮大な歌声に乗せて長い手足を生かしたダイナミックな滑りを披露。演技を終えると嬉しそうにガッツポーズを見せました。得点は63.55点でパーソナルベストを更新、2位と好発進しました。

c0309082_1648153.jpg

 フリーは「オーガスト・ラプソディ― 映画『奇跡のシンフォニー』より」。まずはSPで完璧に決めた3ルッツ+3トゥループをまたもやクリーンに降りて高い加点を得ます。続いて3フリップでしたが、着氷で大きくバランスを崩し、さらに3ループはパンクして1回転になるなど、ミスの多い前半となります。後半も着氷でのミスや細かな回転不足が散見されましたが、その中でも勢いのあるスケーティングと丁寧な身のこなしで最後までエネルギッシュに演じ切りました。得点は109.57点でフリー7位、しかしショートとの合計で3位に踏みとどまり、初のGPで見事にメダルを手にしました。
 いくつかミスもあり完璧な内容ではありませんでしたが、演技自体はとてものびのびとしていて萎縮していなかったのでらしさがよく表れていて良かったですね。表彰台はほかの選手たちのミスに助けられた部分もありますが、点が詰まった中でまたとないチャンスをモノにできた、幸運をつかめたということが永井選手にとって大きな財産になると思います。次のロシア大会は注目される中での試合となりますが、若さ溢れる思い切った演技を楽しみにしています。


 4位となったのは日本の村上佳菜子選手です。

c0309082_17175087.jpg

 SPは「ロクサーヌのタンゴ 映画『ムーラン・ルージュ』より」。まずは3フリップを確実に決めると、フライングキャメルスピン、足替えコンビネーションスピンはともにレベル4。後半に入り得点源の3トゥループ+3トゥループはきれいに着氷したものの、セカンドジャンプが回転不足と判定されます。そして、続く2アクセルはパンクして1回転となり無得点になるミス。しかし、終盤のステップシークエンスでは音楽の盛り上がりに合わせてどんどん加速する迫力あふれる滑りを見せ、村上選手らしさを存分に発揮しました。得点は59.79点で3位と好位置につけました。

c0309082_203367.jpg

 フリーは「映画『SAYURI』より」。冒頭は確実性を狙った3+2をしっかり着氷。続いて苦手としている2アクセルからの連続ジャンプでしたが、前日同様すっぽ抜けて1+3となってしまいます。続く3ループも着氷ミスと回転不足で減点で、前半はミスが目立つ内容に。後半も3フリップでのミスが一つありましたが、そのほかは落ち着いて演技をまとめ、演技を終えた村上選手は悔しさをにじませながらも笑みを浮かべました。得点は111.80点でフリー6位、総合4位となりました。
 ちょこちょこミスがあり、特に鬼門の2アクセルでのミスがなければ表彰台の可能性も充分だったのでもったいなかったなと思うのですが、その中でも村上選手らしい躍動感や気迫、動きのキレというのがよく出ていたので、GP初戦にしては良かったなと感じますね。何よりミスがありながらも村上選手の笑顔が見られたというのは、ミスはミスでも失望感に包まれたミスではなくて、まだ余裕の持てるミスなのかなという気がするので、次のフランス大会ではジャンプももう少し揃った上で、今大会以上の満面の笑みが飛び出ることを期待しています。


 5位はカナダ女王のガブリエル・デールマン選手です。

c0309082_20193298.jpg

 SPは「You'll Have to Swing It (Mr. Paganini)」。冒頭は3ルッツ+3トゥループの難しいコンビネーションジャンプでしたが、セカンドジャンプがダウングレード(大幅な回転不足)で大きく減点されます。後半も3フリップの着氷が乱れるミスが出てしまい、最後の2アクセルはクリーンに成功させたものの、フィニッシュしたデールマン選手は表情を曇らせました。得点は54.13点で8位と出遅れます。
 フリーは「ブエノスアイレスのマリア」。まず冒頭の3+2+2を勢いよく決めると、続く3+3はセカンドジャンプが回転不足とされたものの大きな乱れなく着氷。直後の3フリップも踏み切り時のエッジが不正確でマイナスにはなったもののしっかり降りて、上々の前半となります。後半に入るとさらに波に乗り、3ルッツ、3ループなど予定どおりのジャンプを次々とクリーンに成功。終始パワフルでエネルギーに満ち溢れた演技を披露し、手応えを得たように大きくガッツポーズしました。得点は116.20点でフリー3位、総合5位に順位を上げました。
 SPもそんなに悪いジャンプには見えなかったのですが、ちょっとしたズレや連鎖という感じでミスが相次ぎ8位という低い順位に留まってしまいました。ただ、フリーではショートでの問題点をしっかり修正してデールマン選手らしい迫力満点のジャンプが跳べていて、あとはちょっとした着氷のタイミングや回転不足が改善されればさらに怖い選手になりそうだなと思います。今シーズンのデールマン選手はコーチを変更し、羽生結弦選手やハビエル・フェルナンデス選手を指導するブライアン・オーサーコーチ、織田信成さんを指導したことで知られるリー・バーケルコーチに新たに師事していて、そういった部分からもデールマン選手がこれまで以上のステップアップ、レベルアップを目指していることがうかがえます。次のフランス大会でも頑張ってほしいですね。


 6位はアメリカの若手、ポリーナ・エドマンズ選手です。

c0309082_014359.jpg

 ショートはベートーヴェンの「ピアノソナタ第14番“月光”」。冒頭は大技3ルッツ+3トゥループでしたが、2つ目のジャンプが回転不足となります。次の3フリップはクリーンに降りて加点を得たものの、その直後に行ったフラインスシットスピンがシットスピンと認められず無得点に。終盤の2アクセルも回転不足となってしまい、得点は56.85点で5位となります。
 フリーは「映画『風と共に去りぬ』より」。まずは前日ミスがあった3+3をしっかりこなし、加点も得ます。その直後に組み込んだステップシークエンスでは最高難度のレベル4を獲得し、スケーティングの巧さを発揮。続いてもう一つの得点源となる3+1+3の連続ジャンプでしたが、こちらはサードジャンプが回転不足。そのあと後半に固めた5つのジャンプ要素のうち3つが回転不足と判定されてしまい、演技全体としては際立ったミスなくまとめたものの、細かな取りこぼしが響いて得点は111.84点と思ったほど伸びず、総合6位に終わりました。
 ジャンプに関してはショート、フリーともにアンダーローテーション(軽度の回転不足)が目立ちましたね。一見きれいに降りているように見える分、実際の点数との印象の開きが出てきてしまうので辛いところですが、根気よくしっかり回り切って降りることを心がけるしかないのでしょうね。エドマンズ選手は昨年の今頃は急激な身長の伸びによってジャンプのコントロールに苦しんでいて、現在もまだまだ成長途中という感じはするのですが、その中でもそれなりにジャンプは安定してきているように見えます。回転不足の連発というのも成長に伴う副作用みたいなものなのかなと思うので、辛抱強く取り組んでほしいですね。また、今回はスピンの取りこぼしが多々あり、特にSPでフライングシットスピンが無効扱いになったのはエドマンズ選手自身もショックだったようですね。見た目にはさほど問題ない普通のシットスピンに見えたのですが、膝の屈伸の角度がしっかり曲がってないと判定されたのだろうと思います。スピンのレベル認定の条件なども毎シーズン細かく変更されるので、シーズン始めのこの時期は選手にとっては少し探りながらの部分もあるのかもしれません。レベル認定といえばステップシークエンスの認定も今季は昨季より厳しくなっていて、これまでコンスタントにレベル3や4を取ってきたトップ選手でさえレベル2判定される場面がスケートアメリカ、今大会ともに見られたのですが、エドマンズ選手は今回SP、フリー両方でレベル4を取れていて、スケーティングに関してはどんどん大人の滑りになってきて、巧くなったなと感じましたね。エドマンズ選手は次はロシア大会に出場。次こそ演技でも得点でも満足できることを願っています。


 7位はカザフスタンのエリザヴェート・トゥルシンバエワ選手。

c0309082_1421963.jpg

 ショートはまず3ルッツからの2連続3回転でしたが、ファーストジャンプの着氷がこらえ気味となりコンビネーションにはなりません。ステップシークエンスを挟んだ後半、今度こそクリーンに決めたい3フリップも転倒。最後の2アクセルは成功させたものの、結果的にコンビネーションジャンプが一つもないという内容で、パーソナルベストより10点ほど低い49.84点に留まり最下位発進となります。
 フリーも冒頭は得点源の3+3からでしたが、ショート同様ファーストジャンプの着氷で詰まってしまい単独になります。続いても3ルッツでこちらをコンビネーションにしたいところでしたが、再び着氷で流れが止まり連続ジャンプにはならず。しかしその後は3+2+2や後半の3+3、2アクセル+3トゥループなど、機転を利かせた構成変更で得点を積み重ね、序盤のミスを見事に取り返しました。得点は115.32点でフリー4位、総合7位で大会を終えました。
 トゥルシンバエワ選手は先週のスケートアメリカにも出場していて、2週連続で試合に出るというのはジュニア時代にはあまり経験なかったことだと思うので、多少調整の難しさもあったんじゃないかなと想像するのですが、ミスが多発する中でも状況に応じた冷静な判断をする場面もあって、クレバーな選手なんだなと感じましたね。これでトゥルシンバエワ選手の初めてのGPは終了ですが、この後のシーズンも要注目の選手ですね。



 さて、ここからはアイスダンスの情報です。

c0309082_0594089.jpg


 頂点に立ったのは地元カナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組です。ショートで取りこぼしなく安定した演技を披露し首位で折り返すと、フリーでも世界選手権銅メダリストらしいほぼノーミスの演技で1位、完全優勝を果たしました。
 銀メダルを獲得したのはアメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組。SDで全カップル中、技術点1位の安定感抜群の演技でトップと僅差の2位につけると、フリーでも技術点トップのクリーンな演技でパーソナルベストに0.35点と迫るハイスコアをマークし、素晴らしい準優勝となりました。
 3位は昨季フル休養し、今季が久しぶりの復帰のシーズンとなるロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組。SDでは思ったほど加点を取れないエレメンツがありながらもしっかり3位発進すると、FDでも目立ったミスのない演技で3位、総合3位で銅メダルを獲得しました。



 スケートカナダ2015・女子とアイスダンスについては以上ですが、次は男子とペアに続きます。


:記事冒頭の女子シングルメダリスト3選手のスリーショット写真、トゥクタミシェワ選手の写真、永井選手の写真、村上選手の写真、エドマンズ選手の写真は、スポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ワグナー選手の写真、デールマン選手の写真、アイスダンスメダリスト3組の写真は、写真画像ウェブサイト「ゲッティイメージズ」から、トゥルシンバエワ選手の写真はカナダのフィギュアスケート組織「スケートカナダ」の公式フェイスブックページから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
スケートカナダ2015・男子&ペア―パトリック・チャン選手、圧巻の演技でGP10勝目 2015年11月5日
[PR]
by hitsujigusa | 2015-11-04 01:39 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

c0309082_0541126.jpg


 前記事に引き続き、グランプリシリーズ初戦、スケートアメリカについての記事をお送りします。今回は男子とアイスダンスです。
 男子を制したのは地元アメリカのマックス・アーロン選手。難度の高いジャンプ構成をこなしての素晴らしいGP初優勝となりました。2位は今大会がGPデビューとなった世界ジュニア王者、日本の宇野昌磨選手。3位はこちらもアメリカのジェイソン・ブラウン選手が入りました。
 アイスダンスもアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組が制し、スケートアメリカ2連覇を達成しました。

ISU GP 2015 Progressive Skate America この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 金メダリストとなったのはアメリカのマックス・アーロン選手です。

c0309082_092519.jpg

 SPの演目は「誰も寝てはならぬ オペラ『トゥーランドット』より」。冒頭は大技4サルコウ+3トゥループから、これを完璧に決めて波に乗ると、続く3アクセルも2点の加点が付く非の打ちどころのない出来栄え。後半の3ルッツもクリーンに降り、フィニッシュまで隙の無い演技を披露しました。得点は86.67点でこれまでのパーソナルベストを大幅に上回り、首位に立ちました。
 フリーは「映画『ブラック・スワン』より」。こちらもショート同様まずは4サルコウを含む連続ジャンプからでしたが、4+2をまたもやパーフェクトに着氷させます。続いて3アクセル+2トゥループも文句なしのジャンプ。次の3ループを難なく決めると、後半に入っても勢いは衰えず、単独の4サルコウ、3アクセル、3ルッツ+1ループ+3サルコウ、3トゥループと次々に着氷。最後の2アクセルがステップアウトするご愛嬌はありましたが、大きなミスのない圧巻の演技となりました。得点は172.28点でショートに続き自己ベストを更新し、GP初優勝の栄冠に輝きました。
 ショート、フリーともにとにもかくにも素晴らしいの一言ですね。ほぼ全てのジャンプを成功、しかもただ跳ぶだけではなく高い加点が付く形で跳んだということが何よりこの優勝に繋がったと思います。特に凄かったのがやはり4サルコウ。全く無駄な力が入っていないシャープかつ余裕のある回転で、理想的な4サルコウでしたね。そして、演技全体を通しても昨季までのアーロン選手からは一皮剥けたような余裕感みたいなものがあって、今まではありあまるパワーやスピードをコントロールし切れずに崩れてしまっていたような印象でしたが、今回はしっかりとプログラム通して落ち着きがうかがえました。
 母国でのGP優勝というこれ以上ないシーズンのスタートを切ったアーロン選手ですが、だからこそいかにこの好調を持続して次の試合でも安定ぶりを示すかが大切になってくるでしょうね。アーロン選手の次戦はフランス大会。パトリック・チャン選手や今回優勝を争った宇野選手ら強豪と相見えることになりますが、今大会のようにアーロン選手らしい演技を再び見せてほしいなと思います。スケートアメリカ優勝、おめでとうございました。


 2位に入ったのは日本の宇野昌磨選手です。

c0309082_0325741.jpg

 ショートは「Legends」。冒頭はまず3アクセルを確実に成功させて高い加点を得ます。続く2つのスピンはどちらもレベル4をしっかり獲得。後半に入り1本目は大技の4トゥループでしたが、回転はしていたものの転倒となり大幅に減点となります。続く3+3は丁寧に決めて立て直しましたが、4回転のミスが響き得点は80.78点で4位発進となります。

c0309082_0513743.jpg

 フリーは「トゥーランドット」。こちらはまず4トゥループからで、若干着氷でこらえたものの何とか耐えて成功。続く3アクセルはクリーンに降り、直後の3アクセルからのコンビネーションジャンプもセカンドジャンプの着氷で詰まりつつも踏ん張って最小限のミスに抑えます。ステップシークエンス、スピンを挟んだ勝負の後半、3ループ、3サルコウをクリアした後、ポイントとなる2つ目の4トゥループでしたが、これを綺麗に着氷させると2トゥループを付けて連続ジャンプにします。そのあとの3ルッツ、2アクセル+1ループ+3フリップもしっかり決めると、最後までエネルギッシュな滑りで会場を沸かせました。得点は176.65点でパーソナルベスト、総合2位に順位を上げました。
 大きな注目を集める中でのGPデビューでしたが、申し分ないどころか想像以上の演技を見せてくれましたね。ショートもフリーもミスこそありましたが、守りに入らず積極的に攻めた上でのミスですから、全く問題ないと思います。特に4回転はショート、フリーともに後半に組み込んでいて、SPは序盤に3アクセル、後半の最初に4トゥループという羽生結弦選手とほぼ同じ最高レベルの難構成で挑んでいるわけですから、今季が本格的なシニアデビューということを思えばまずは慣れた構成で確実性の高い演技を、と考えてもおかしくないですが、それを最初からあえてシニアの中でもハイレベルな構成にしてくるところに並々ならぬ意気込み、将来を見据えた強い意志を感じますね。また、表現面でも元来素晴らしい選手ですが、そこにさらに男性的なパワーや力強さが加わって一回り大きな演技になっていて、特にフリーの「トゥーランドット」は先日のジャパンオープンでも感じたことですが、持ち味の滑りのしなやかさや繊細さに重厚さがプラスされることで魅力的な緩急が生まれていて、傑作プログラムの予感漂わせる仕上がりで、ますます今後が楽しみになりました。
 惜しくもGPデビュー戦での初優勝は逃しましたが、GPデビュー戦での銀メダルというだけでも日本男子史上初の快挙です。この華々しいデビューによってファイナルが懸かる次のフランス大会は今大会以上にプレッシャーがかかると思いますし、そうしたシチュエーションでの試合は今大会とはまた違う難しさが出てくるでしょうが、順位や成績にとらわれず宇野選手らしく思い切り良く演技してほしいですね。


 3位にはアメリカチャンピオンのジェイソン・ブラウン選手が入りました。

c0309082_0551742.jpg

 SPは「Love is Blindness 映画『華麗なるギャツビー』より」。冒頭は得意の3アクセルからでこれをきっちりと決めます。続いて3フリップからの連続ジャンプでしたが、セカンドジャンプが1回転になったため1トゥループの分の得点が無効となり、最後の3ルッツも踏み切り時のエッジが不明確とされ小さな減点を受けます。ステップシークエンスやスピンは全てレベル4を揃えたものの、細かなジャンプミスが響き78.64点で8位に留まります。
 フリーは「愛の香気 映画『ピアノ・レッスン』より」。まずは今季から本格的にプログラムに取り入れる4トゥループからでしたが、アンダーローテーション(軽度の回転不足)で減点となります。続く3アクセル+2トゥループは手堅くまとめたものの、後半の2つ目の3アクセルはダウングレード(大幅な回転不足)で転倒。後半も3+3の回転不足が一つありましたが、そのほかのジャンプは安定してクリーンに降り、ピアノが作り出す清らかな世界観を全身で表現し観客を魅了しました。得点は159.83点でフリー3位、ショートから大きく順位を上げて銅メダルを獲得しました。
 SPは予想外に低い順位となって出遅れましたが、フリーはさすがアメリカ王者らしい実力を発揮して挽回しましたね。フリーもミスはちょこちょこあったとはいえ、それくらいのことではおびやかされない圧倒的なプログラムの世界が構築されていて、ミスを忘れるくらい引き込まれました。どちらかというとシニアに上がってからのブラウン選手は陽気さや活発さ、ダンサブルなイメージが強く、昨季のフリーの「トリスタンとイゾルデ」も比較的しっとりとした曲調ではありましたが激しいドラマチックな部分もあったので、今季の「愛の香気」はかなり静かでメリハリのつけにくい曲調で新鮮な感じがします。ただ、そこはブラウン選手らしく起伏の少ない音楽でも巧みな身体づかいによってちゃんとメリハリをつけていて、こんな難しい曲でもさらりと滑りこなせてしまうんだなと改めてブラウン選手の凄味を感じましたね。
 ブラウン選手の2戦目はNHK杯。日本でブラウン選手の演技が見られることを楽しみにしています。


 惜しくも4位となったのは中国の閻涵(ヤン・ハン)選手です。

c0309082_115320.jpg

 ショートは「シング・シング・シング」。まず冒頭の4トゥループを若干詰まり気味ながら成功させると、続く2つのスピンもしっかりレベル4を獲得。後半に入り代名詞の3アクセルを完璧に決めましたが、最後の3+3は着氷が乱れるミス。終盤のステップシークエンスはのびやかなスケーティングで高い加点を得ましたが、得点は86.53点と伸び切らず。しかし、他の選手の出遅れもあって2位と好発進しました。
 フリーは「映画『ロミオ+ジュリエット』より」。まずは得意の3アクセルをパーフェクトに降りて好スタートを切りましたが、続く2つの4トゥループは1つ目がこらえた着氷、2つ目が手を付く着氷となり、なかなか波に乗れません。後半は3アクセルが1回転に、連続ジャンプの2つ目が1回転になるなどミスが重なり、演技を終えた閻選手は表情を曇らせました。得点は149.50点でフリー5位、総合4位と表彰台を逃しました。
 ジャンプもそうなのですが、演技全体を見てもまだ調子が上がってきていないのかなという印象を受けましたね。スケーティングの力強さはあるのですが、動きのキレだったり元気の良さみたいなものがあまり感じられませんでした。閻選手はシニア男子の中でもトップクラスのポテンシャルの高さを持っているだけに、回り切っているジャンプの着氷で細かなミスが出てしまうのがもったいないなと思いますね。地元の中国杯ではジャンプはもちろんのこと、閻選手らしい軽快な演技が見られるといいなと願っています。


 5位はロシアのベテラン、コンスタンティン・メンショフ選手です。

c0309082_19179.jpg

 ショートは昨季と同じ「Rotting Romance」。まず4トゥループ+3トゥループを完璧に決めると、続いて4サルコウもクリーンに成功。後半の3アクセルは着氷で若干バランスを崩し減点となりますが、高難度のプログラムをしっかりまとめ上げ、86.15点で3位の好位置につけます。
 フリーは「Mad World/Radioactive」。フリーも最初は4トゥループからで、ファーストジャンプをきっちり降りると2トゥループを付けて確実にコンビネーションにします。続いて前日綺麗に成功させた4サルコウに挑みましたがあえなく転倒。直後の3アクセルはクリーンに降りたものの、次の3ルッツ、後半の4トゥループにミスが出てしまいます。ただ、大崩れすることはなくベテランらしい落ち着きで演技を立て直し、得点は144.64点でフリー6位、総合5位で大会を終えました。
 複数ミスがあり初のGP表彰台とはなりませんでしたが、その中でも32歳にして4サルコウと4トゥループを跳び10代や20代の若手と互角に張り合うフィジカルの強さには、改めて感嘆させられましたね。表彰台に届きそうで届かないところはもどかしさも感じますが、優勝争い、メダル争いとはまた別の次元で戦えている選手という感じがしますし、メッセージ性の強いプログラムからも伝わってくるものが多くあり、見るたびに楽しませてくれます。メンショフ選手も次戦はNHK杯、2年ぶりの日本での試合でメンショフ選手らしい独創的な演技を楽しみにしています。


 6位は同じくロシアの有望株、アディアン・ピトキーエフ選手。

c0309082_1262948.jpg

 ショートの演目は「Pain/Appassionata 」。冒頭の4トゥループは着氷で乱れがありマイナスとなりますが、後半に組み込んだ3アクセル、3+3はパーフェクトな出来栄えで加点を積み重ね、序盤のミスを取り返す内容となりました。得点は79.90点で惜しくも高得点の目安となる80点台には乗らなかったものの、自己ベストで5位と好発進しました。
 フリーは「映画『ミッション』より」。まずは前日ミスがあった4トゥループからの連続ジャンプを完璧に決めて高い加点を得ますが、続く2つ目の4トゥループは失敗。さらに直後の3アクセルもパンクして1回転になり、波のある前半となります。しかし、後半は3ループで減点された以外はおおむね安定してジャンプを跳び、大崩れすることなく演技をまとめました。得点は150.85点でこちらも自己ベスト、ショートから一つ順位を落として6位となりました。
 細々としたミスがありフリー演技後のピトキーエフ選手の表情は冴えなかったですが、昨シーズンはもっと脆かった印象があったので今回の演技からは成長を感じましたね。身長もまだまだ伸び盛りでジャンプのコントロールを保つのは難しい年頃だと思いますが、身長が伸びて体つきががっちりしてきたことによってシニアの男子選手らしい力強い雰囲気も出てきているので、ゆっくり焦らず自分の形を作っていってほしいですね。


 日本の無良崇人選手は10位となりました。

c0309082_1293021.jpg

 SPはロシア歌謡「黒い瞳」。まずは得点源となる4トゥループを着氷しましたが、ダウングレードと判定され大きなマイナスに。続く3アクセルもミスジャンプではなかったものの流れるようなランディングではなかったため加点はあまり伸びません。最後の3+3もセカンドジャンプが回転不足で減点となり、得点は71.66点で10位に留まります。

c0309082_1314789.jpg

 フリーはシルク・ドゥ・ソレイユの「O」。冒頭は2つの4トゥループを固めた構成でしたが、2つとも着氷でこらえたり詰まったりしたため減点となります。続く3アクセルはショートよりもクリーンな出来で高い加点を得ましたが、直後の3サルコウはすっぽ抜けて2回転に。後半も3アクセルと3ループが1回転になるなどほとんどのジャンプでミスを犯してしまい、滑りの面でも無良選手らしい躍動感が見られず、フィニッシュした無良選手は肩を落としました。得点は129.17点でフリー9位、総合10位に終わりました。
 大会前に足のねんざがあったということで、無良選手本人はそれを言い訳にはしませんでしたがやはりその影響があったのかもしれませんね。プログラムの表現面では、アイスダンス五輪王者のチャーリー・ホワイト選手が振り付けたSPは無良選手らしさもところどころ垣間見えて良かったのですが、フリーの方はまだ表現の形・方向が定まっていないのかなという感じがしました。「O」は自然や地球といった壮大なテーマ・メッセージを秘めた作品だと思うのですが、どういったことを伝えたいのか、何を表現したいのかということがあまり伝わってこなかったですね。無良選手自身が音楽に飲み込まれてしまっているような感じで、選手自身がまだ探っている状況なのかなという印象を受けました。ですが、ジェフリー・バトルさんという素晴らしいコレオグラファーが手がけたプログラムですし、仕上がれば無良選手にとって新境地を開く良いプログラムになるだろうなという予感もするので、時間をかけて作り上げていってほしいなと思います。幸いにも無良選手の次戦は1か月後のNHK杯ですから、その時には無良選手らしい躍動感あふれる演技が見られることを祈っています。



 ここからはアイスダンスについてです。

c0309082_136519.jpg


 優勝したのはアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組。昨年に続いての優勝で2連覇となりました。SDから2位に大差をつけて独走態勢に入ると、フリーもほぼノーミスの演技で他を寄せ付けず、世界選手権銀メダリストの風格漂わせる連覇でしたね。
 2位はロシアのヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組。SDでパーソナルベストを大幅に更新して2位につけると、フリーも取りこぼしの少ない演技で自己ベストを10点近く更新。このカップルとしては初めてのGPのメダルを手にしました。13/14シーズンまではそれぞれ他のパートナーと組んで実績を残したシニツィナ&カツァラポフ組。昨季はコンビを結成して日も浅くミスが目立ちましたが、元々実力のあるスケーター同士とあって2年目の今季は安定して活躍しそうですね。
 3位はカナダのパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組。ショートで2位と僅差の3位発進すると、フリーはステップで思ったようにレベルが取れない部分もあり逆転は叶わなかったものの、堅実に表彰台を確保しました。



 さて、スケートアメリカ2015に関する記事はこれで以上です。男子はアーロン選手のGP初優勝やGPデビュー初戦の宇野選手の準優勝などフレッシュな表彰台の顔ぶれとなった一方、デニス・テン選手や無良崇人選手など思ったように結果が残せなかった実力者もいたりと、明暗が分かれましたね。今大会で本領発揮できた選手は次戦でも笑顔で終われるように、そうでなかった選手は次こそ納得して終われるように、願っています。次はもうすでに開幕していますが、スケートカナダ2015です。では。


:記事冒頭の男子シングルメダリスト3選手のスリーショット写真、宇野選手のフリーの写真、ブラウン選手の写真、ピトキーエフ選手の写真、無良選手の写真は、写真画像ウェブサイト「Newscom」から、アーロン選手の写真はカナダのスポーツ専門テレビ局「TSN」の公式ウェブサイトが2015年10月23日に配信した記事「Aaron, Medvedeva lead at Skate America」から、宇野選手のSPの写真、メンショフ選手の写真はAP通信の画像サイトから、閻選手の写真、アイスダンスメダリスト3組の写真は、写真画像ウェブサイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
スケートアメリカ2015・女子&ペア―エフゲニア・メドベデワ選手、パーソナルベストでGP初優勝 2015年10月29日
 
[PR]
by hitsujigusa | 2015-11-01 01:43 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)