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 GPファイナルの出場者を決めるGPシリーズの最後を飾るNHK杯が北海道の札幌にて行われました。この記事では女子とペアの結果について書いていきます。
 女子を制したのはロシアのアンナ・ポゴリラヤ選手。ロステレコム杯に続く優勝で、2年ぶりにファイナルの切符を手にしました。2位は日本女子のエース、宮原知子選手、3位はロシアの新星マリア・ソツコワ選手が入り、両者ともファイナル出場を決定させました。
 一方、ペアは世界チャンピオンのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組が優勝し、こちらもスケートカナダに続く2連勝でファイナル出場が決まりました。

ISU GP NHK Trophy 2016 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 金メダルを獲得したのは世界選手権2016の銅メダリスト、アンナ・ポゴリラヤ選手です。

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 SP冒頭は得点源の3ルッツ+3トゥループ、これはパーフェクトに跳び切ったかに見えましたがセカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)の判定。しかし、後半の3ループ、2アクセルはクリーンに着氷し、ジャンプは最小限の取りこぼしのみで演技を終えました。得点は71.56点で首位発進します。
 フリーもまずは3ルッツ+3トゥループ、今度は完璧に回り切って下り1.3点の加点を獲得。続く3フリップもしっかり着氷しますがこちらは踏み切りのエッジエラーを取られます。ですが、次の2アクセルも含め、前半は全てのジャンプを大きなミスなく成功。後半はまず大技の3ルッツ+1ループ+3サルコウの3連続を成功させると、3+2も問題なし。さらに単独の3ループも下り、最後の2アクセルでは疲労が影響したのか着氷で乱れたものの、ミスらしいミスはそれくらいで、最後まで力強く情熱的なプログラムを演じ切りました。得点は139.30点でフリーも1位、もちろん総合1位でNHK杯初制覇となりました。
 3週間前のロステレコム杯では自己ベストをマークして優勝し、優勝候補筆頭として札幌に乗り込んだポゴリラヤ選手。以前は調子の起伏が大きく、良い時と悪い時が交互に現れるような感じだったのですが、今大会の演技からはそういった危うさは微塵も感じられず、1年前のNHK杯で大崩れし9位に沈んだ姿とはまるで別人でした。時間の経過が彼女を成長させた面もあるでしょうが、やはり世界選手権の銅メダリストという肩書きや実績が、自信を与えより一層強くさせた面もあるのでしょうね。
 これまでファイナルには2度出場して最高4位と、まだ本領を発揮できていませんが、今年こそはやってくれそうなオーラや雰囲気はぷんぷん漂っているように思うので、ぜひ楽しみにしたいですね。NHK杯優勝、おめでとうございました。


 2位となったのは昨年のNHK杯覇者、宮原知子選手です。

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 ショートはまず得意の2アクセルを確実に決めて、続くステップシークエンスはレベル4に加え1.3点の加点。後半に2つのジャンプ要素を組み込み、最初は得点源の3ルッツ+3トゥループでしたが、跳び急いだためか3ルッツの軸が曲がった上に回転不足となり転倒してしまいます。ですが、最後の3ループに2トゥループを付けてしっかりリカバリー。スピン3つも全てレベル4と総合力の高さを見せ、64.20点で3位につけます。

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 フリー冒頭は得意の3ループで良い流れを作ると、次は前日失敗した3ルッツ+3トゥループ、いつもより慎重に入り2つ目はアンダーローテーションとなるものの目立ったミスなく跳び切ります。若干苦手としている3フリップもわずかに回転不足となるもののしっかり着氷し、前半は着実にエレメンツをこなします。中盤は前回のスケートカナダでレベルがつかず0点となったステップシークエンスでしたが、軌道を変えるなど修正を加えしっかりレベル4を獲得。そして後半、3ルッツからの3連続ジャンプはルッツがこちらもアンダーローテーションになったもののきれいに着氷。さらに2アクセル+3トゥループ、3サルコウ、2アクセルと、全てのジャンプをクリーンに着氷し、フィニッシュした宮原選手は納得したように破顔しました。得点は133.80点でフリー2位、トータル2位で銀メダルを手にしました。
 ショートは約1年ぶりとなる珍しい転倒がありましたが、フリーではさすがの挽回、日本のエースの意地を見せてくれましたね。SPの3ルッツの転倒も決して精神的に不安定になったわけではなく、むしろアンダーローテーションを取られまいと力んだ結果があまり無い転倒に繋がったのかなと思いますし、フリーでは逆に大きなミスに繋げてはいけないという意識で慎重に跳んだ結果アンダーローテーションになってしまったのかなと思うのですが、1日でほぼ完璧に修正するという技術力の高さも改めて感じました。あとは宮原選手本人が語っているようにメンタル面の課題のみで、それも精神的に不安定になって乱れるというよりは慎重になりすぎてしまうという感じだと思うので、今後は思い切りの良さと慎重さを兼ね備えたちょうど良いバランスのジャンプを試合でも常に発揮できるように頑張ってほしいなと思いますし、練習の鬼で努力の天才である宮原選手ならまだまだ強くなっていってくれるんじゃないかと思います。
 スケートカナダ2位&今大会3位という結果によって、全体の6位でファイナル進出を決めた宮原選手。今回得た悔しさをバネに、ファイナルでも宮原選手らしい演技を見せてくれることを願っています。


 3位は世界ジュニア選手権2016の銀メダリスト、ロシアのマリア・ソツコワ選手です。

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 ショートはまず得点源の3ルッツ+3トゥループ、若干詰まりながらもクリーンに下ります。さらに後半の3フリップ、2アクセルも丁寧に跳び、ミスらしいミスなく滑り切りました。得点は69.96点と自己ベストを更新し、2位と好発進しました。
 フリーもまずはしっかり3ルッツ+3トゥループを成功させて好スタートを切ると、続く3フリップもパーフェクト。後半に5つのジャンプ要素を固め、まずは3ループをクリーンに着氷します。3フリップ+1ループ+3サルコウは良い流れで跳び切りますが全てのジャンプが回転不足の判定。また、次の3ルッツはダウングレード(大幅な回転不足)で着氷。最後の2アクセルでもアンダーローテーションがあり、演技全体としては流れを切らさず持ち味を発揮したものの後半の回転不足が響き、125.92点でフリー3位、総合3位となりました。
 前回のフランス杯と比べるとフリーは回転不足が目立ってしまいましたが、初のファイナルが懸かるという舞台で大きなミスをしない安定感は素晴らしかったですね。エレガンスさが魅力の選手ですが、今後はさらにメリハリや緩急の付け方がうまくなるともっと滑り自体の見ごたえもアップしそうですし、高身長がより活かされると思うので、楽しみにしたいですね。まずは初めてのファイナルで持てる力を全て発揮してほしいなと思います。


 表彰台まであと一歩の4位だったのは日本の樋口新葉選手です。

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 SPはまず得意の2アクセルで幕を開け、2つのスピンとステップシークエンスを挟んで後半、大技3ルッツ+3トゥループの予定でしたが、3ルッツの着氷でステップアウトし単独に。しかし直後の3フリップに2トゥループを付けてミスを最小限に抑えます。得点は62.58点で5位となります。

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 フリーは得点源の3ルッツ+3トゥループを組み込み、これをきっちりと着氷して1点の加点を得ます。ですが、直後の3ループはパンクして2回転に。前半最後の3サルコウは完璧な出来でこちらも1点の加点を獲得し、すぐに立て直します。後半はまず2アクセルを決めると、続いて序盤に続いて2つ目の3ルッツ+3トゥループ、完璧に跳んだかに見えましたが2つ目がアンダーローテーションとなります。次の3フリップは着氷で若干こらえますが、最後の2アクセルからの3連続は問題なく成功。情感たっぷりに「シェヘラザード」を演じ切り、フィニッシュでは安堵したように微笑みました。得点は122.81点でフリー5位、総合4位となりました。
 表彰台に乗れば初のファイナルの可能性もある試合とあって、前回のフランス杯より全体的に慎重だったかなという印象でしたね。ジャンプもフランス杯ではもっと加点がついていましたし、全体的な動きもフランス杯の方がもっとよく動いていた気がするので、NHK杯特有の緊張感があったのでしょうね。ただ、フランス杯で得たパンクという課題に関しては、今回も3ループが2回転になるというミスはあったものの、3回転が1回転になる形のパンクはなかったので、その点では良かったですね。次戦の全日本選手権ではフランス杯とNHK杯両方で得た収穫、良かった部分を継続してまた樋口選手らしい演技を見せてほしいなと思います。


 5位に入ったのはアメリカのベテラン、長洲未来選手です。

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 SPはショパンの「夜想曲第20番」。まずは得点源となる3フリップ+3トゥループ、これはフリップの踏み切りのエッジの不正確さとセカンドジャンプのアンダーローテーションと二重の減点を受けます。しかし後半に組み込んだ3ループと2アクセルは完璧に成功。大きなミスなくすべてのエレメンツをこなしました。得点は63.49点で4位と好位置につけます。
 フリーは「The Winner Takes It All」。冒頭はショート同様に3フリップ+3トゥループでしたが、両方ともアンダーローテーションと判定されます。ですが、苦手としている3ルッツをしっかり下りると、次の3サルコウもクリーンに決めて上々の内容。後半は2アクセル+3トゥループ+2トゥループからでしたが、こちらはセカンドジャンプが回転不足。その後のジャンプでも軽度の回転不足や着氷ミスなどが重なり、演技を終えた長洲選手は顔を曇らせました。得点はシーズンベストとなる116.84点でフリー8位、総合ではショートから1つ順位を落とし5位となりました。
 ショート、フリーともにアンダーローテーションが散見されたため、演技全体の流れとしては決して悪くないものの、スコアは伸び切らず、長洲選手の心からの笑顔を見ることもできませんでした。ただ、前回のスケートカナダよりは回転不足に関してはかなり改善されていましたし、間違いなく調子は上向きだと思うので、何より重要な全米選手権に向けてますます状態が上向くことを願いたいですね。


 6位となったのは同じくアメリカの若手カレン・チェン選手です。

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 SPは「映画『黄昏』より」。冒頭は大技3ルッツ+3トゥループ、クリーンな着氷に見えましたがセカンドジャンプが回転不足の判定でわずかに減点。後半の3ループも珍しくすっぽ抜けて1回転となり、最後の2アクセルは問題なく決めましたが、2つのジャンプミスが影響して58.76点で7位にとどまります。
 フリーはタンゴの名曲「ジェラシー」。まずはショートで回転不足があった3ルッツ+3トゥループでしたが、再び2つ目がアンダーローテーションとなります。続いて綺麗に着氷した3フリップは踏み切りがエッジエラーの判定。後半に5つのジャンプ要素を集中させ、最初の2アクセル+1ループ+3サルコウはパーフェクトに成功させて加点1。続く3ループ、3+2と細かなミスが相次ぎますが、以降の3ルッツ、2アクセルと成功。終盤のコレオシークエンスとレイバックスピンでは代名詞といえる身体の柔らかさを思う存分発揮して加点を稼ぎ、エネルギッシュにフィニッシュしました。得点は自己ベストに迫る119.69点でフリー5位、総合6位と順位を上げました。
 シニア2年目のシーズンを送っているチェン選手。今季のGPは先週の中国杯が7位、そして今大会が6位と、昨年の5位&5位と比べると順位的には下がっていますが、内容的にはシニアの選手らしさがだいぶ出てきて成長がうかがえます。ショートの「黄昏」もフリーの「ジェラシー」もチェン選手の実年齢以上の大人っぽさが要求されるプログラムだと思うのですが、違和感なくプログラムの世界観に調和しているように感じますし、元々持っているしなやかさに加え、キレのある動きや艶っぽさもプラスされて、ショート、フリーともに今のチェン選手の魅力を十二分に表現できていたように思います。全米選手権でもGPの経験を活かして頑張ってほしいですね。


 7位は日本の松田悠良選手です。

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 ショートはまず繊細なピアノの音色に合わせたステップシークエンスで開幕。続いて2アクセルをクリーンに決めます。後半に大技3ループ+3ループを組み込み、ファーストジャンプが惜しくもアンダーローテーションとなったもののしっかり下ります。最後の3フリップでも回転不足となりますが、目立ったミスはなく、60.98点で6位につけます。

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 フリー冒頭は大技2アクセル+3トゥループ+3ループ、きれいな流れで跳び切りましたが2つ目がアンダーローテーションと判定されてしまいます。続く3ルッツも着氷こそしたものの回転不足。後半はまず3フリップからのコンビネーションジャンプでしたがこれは単独に。しかし、その後はミスらしいミスなくすべてのジャンプをこなし、単独予定のジャンプをコンビネーションに変更する機転も見せ、演技を終えた松田選手は満面に笑みを浮かべました。得点は自己ベストとなる117.28点でフリー7位、総合で7位となりました。
 GPデビューとなったロステレコム杯で6位と本領を発揮した松田選手ですが、今大会も全く物怖じする様子はなく地に足の着いた落ち着きと余裕が感じられましたね。残念ながら代名詞となっている3ループ+3ループ、2アクセル+2トゥループ+3ループはそれぞれ回転不足と判定され、加点の付くものとしては認められませんでしたが、実際には加点を1点以上あげたいくらいどちらも素晴らしい跳躍と回転で、貴重なセカンドループの使い手として、これからも粘って取り組み続けてほしいなと思いますね。表現面でも指先まで意識の行き届いた繊細さが特にSPで際立っていて、今後は苦手だという激しい動きが主体となるフリーの方でもさらなるブラッシュアップを楽しみにしたいですね。全日本選手権でも好演技が見られることを祈っています。



 ここからはペアです。

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 優勝したのは世界選手権2連覇中のメ―ガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組。SPは大技のスロー3アクセルでの転倒があり2位発進。フリーでもジャンプやスロージャンプで乱れるシーンがところどころ見られ、また、最後のリフトでも珍しくバランスを崩すなど本調子ではありませんでしたが、フリー1位で逆転優勝を果たしました。
 本来のデュハメル&ラドフォード組からすると少しジャンプミスが多いかなという印象で、滅多にないリフトのミスもそうですが、歯車がうまくかみ合わない感じの演技だったかなと思います。スケートカナダに続く2連勝で6年連続でのファイナル出場を決めましたが、NHK杯で一旦落ちた調子をどのように上げてくるか、大技を含むリスキーなプログラムをどうまとめるかに注目したいですね。NHK杯3連覇、おめでとうございました。
 2位は中国の彭程(ペン・チェン)&金楊(ジン・ヤン)組。SPは全てのエレメンツを高いレベルでこなし、自己ベストで首位に立ちます。フリーは冒頭2つのジャンプで女性の彭選手が転倒してしまい思いがけない出だしとなりましたが、その後は演技をまとめて2位、総合2位となりました。
 1週間前の中国杯に続き連戦となった彭&金組ですが、その疲れを感じさせない内容でしたね。特にショートは独創的な世界観のプログラムを躍動感たっぷりに演じていて、ペアを結成したばかりと思えないコンビネーションを感じました。お互いにパートナーを交換した于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組とともに相性の良さを感じさせて、新ペア結成という決断が良い方向に行きそうな期待感を持たせてくれましたね。これで彭&金組は初のファイナル進出も決定となり、楽しみですね。
 3位は同じく中国の王雪涵(ワン・シュエハン)&王磊(ワン・レイ)組。SPはジャンプやスピンで減点があり3位。フリーでもジャンプのミスはありつつもほかをおおむねクリーンにまとめて3位、総合でも3位と2年ぶりにGPの表彰台に立ちました。
 こちらも中国杯に続き2週連続での試合となった王&王組。両大会ともサイドバイサイドのジャンプでのミスが目立ちますが、それ以外に目を向けると安定感は申し分ないので、あとはジャンプの安定感に尽きるのだろうと思います。


 日本の須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組は7位となりました。

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 SPは「さくら」。冒頭のツイストは女性の着氷で若干詰まったため減点。続くソロジャンプの3サルコウは何とかこらえますが、スロー3サルコウは転倒となります。しかしそのほかは大きなミスなくエレメンツを丁寧にこなし、自己ベストに0.05点に迫る得点で6位につけます。
 フリーは「映画『シェルブールの雨傘』より」。まずはショートで細かいミスがあったツイストをクリーンにこなすと、ソロジャンプは須藤選手が2回転となったものの、次のスロー3ループは着氷でこらえて最小限のミスにとどめます。その後はソロジャンプでわずかに回転不足となる場面はありましたが、そのほかのエレメンツは全て加点が付くクリーンな出来を揃え、順位的には7位だったもののスコアは自己ベストを更新。トータルでもパーソナルベストとなりました。
 昨季ペアを結成した須藤&ブードロー=オデ組。二人にとってはこれがGPデビューでしたが、いきなり自己ベストを16点以上も更新する内容で、シーズン後半に向けて良い弾みとなったのではないでしょうか。技術的にも昨季と比べると確実に成長していて、このあとのシーズンがとても楽しみになりましたね。ぜひ今年も全日本で優勝して連覇達成となることを願っています。



 さて、NHK杯2016、女子&ペアの記事は以上ですが、ここで女子とペアのファイナル出場者の顔ぶれをまとめたいと思います。


《女子シングル》

①エフゲニア・メドベデワ(ロシア):30ポイント カナダ大会優勝、フランス大会優勝
②アンナ・ポゴリラヤ(ロシア):30ポイント ロシア大会優勝、日本大会優勝
③エレーナ・ラディオノワ(ロシア):28ポイント ロシア大会2位、中国大会優勝
④ケイトリン・オズモンド(カナダ):26ポイント カナダ大会2位、中国大会2位
⑤マリア・ソツコワ(ロシア):24ポイント フランス大会2位、日本大会3位
⑥宮原知子(日本):24ポイント アメリカ大会3位、日本大会2位
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補欠⑦アシュリー・ワグナー(アメリカ):20ポイント アメリカ大会優勝、中国大会6位
補欠⑧エリザヴェータ・トゥクタミシェワ(ロシア):20ポイント カナダ大会4位、中国大会3位
補欠⑨三原舞依(日本):20ポイント アメリカ大会3位、中国大会4位



《ペア》

①メ―ガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組(カナダ):30ポイント カナダ大会優勝、日本大会優勝
②アリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組(ドイツ):30ポイント ロシア大会優勝、フランス大会優勝
③于小雨&張昊組(中国):28ポイント カナダ大会2位、中国大会優勝
④彭程&金楊組(中国):26ポイント 中国大会2位、日本大会2位
⑤エフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組(ロシア):24ポイント アメリカ大会3位、フランス大会2位
⑥ジュリアン・セガン&シャルリ・ビロドー組(カナダ):22ポイント アメリカ大会優勝、ロシア大会5位
―――
補欠⑦ナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組(ロシア):22ポイント ロシア大会2位、フランス大会4位
補欠⑧ヘイヴン・デニー&ブランドン・フレイジャー組(アメリカ):22ポイント アメリカ大会2位、カナダ大会4位
補欠⑨リュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組(カナダ):22ポイント カナダ大会3位、中国大会3位




 まず、女子は何といっても6名中4名がロシア勢です。2014年以来2年ぶりのこととなりますが、その時は表彰台独占はなりませんでした。しかし、今年はそうなる可能性も十分にあり、女子では史上初の一国がメダルを総取りとなるか注目ですね。
 その中でも優勝候補筆頭はもちろん世界女王のメドベデワ選手。内容もスコアもずば抜けていて、よっぽどの失敗でもない限り、その優位は揺らぎそうにありません。
 メドベデワ選手の対抗馬筆頭に挙げるとしたらポゴリラヤ選手。昨季までの不安定さは鳴りを潜め、この安定感がファイナルでも発揮されると仮定するなら、やはり2試合ともに200点超えを達成しているポゴリラヤ選手は、メドベデワ選手を最もおびやかす選手と言えます。
 一方、ランキング3位のラディオノワ選手は実に4年連続でのファイナル進出という実績と経験があり、安定感という意味でならロシア女子随一でもあるので、こちらも表彰台の可能性は大いにあります。
 ランキング4位のオズモンド選手はスケートカナダでは素晴らしい演技で200点超えを達成していますが、故障明けからまだ2季目とあって安定感抜群というわけにはいきません。ファイナル出場も初めてなので、まとまった演技をすれば演技構成点の高さは証明済みですが、ジャンプの調子の波がファイナルではどう出るかは未知数ですね。
 ランキング4位のソツコワ選手もファイナル初出場ですが、こちらはシニア1年目という怖いもの知らずの勢いもあるので、初出場ということ自体がメンタル面に悪影響を及ぼすということはあんまりなさそうです。あとはNHK杯で見られたような回転不足なく、フランス杯の時のような思い切った演技をし、自己新を叩き出すくらいの勢いで行ければ、シニア1年目にしてファイナル表彰台も期待できると思います。
 そして、宮原選手はランキング6位ということでロシア勢には後れを取ってしまいましたが、何より昨年のファイナル銀メダリストという経験があります。また、USインターナショナルでマークした206.75点は今季のシーズンベストランキング3位という高得点でもあり、その時のように極力回転不足の少ない演技ができれば安定感は誰にも負けないわけなので、今年も表彰台は望めるんじゃないかなと思いますね。


 そしてペア。こちらも優勝候補筆頭はやはり世界王者のデュハメル&ラドフォード組。ですが、昨年のファイナルは自身のミスに加え、優勝したクセニア・ストルボワ&ヒョードル・クリモフ組がショート、フリーともにほぼノーミスだったということもあって、優勝を逃しました。今年もやはりジャンプ、スロージャンプの成否に優勝が懸かってくると思います。
 一方、ポイントランキング2位のサフチェンコ&マッソ組もシーズンベストが210点を超えており、デュハメル&ラドフォード組の最大の敵となりそうです。ただ、サフチェンコ&マッソ組もジャンプの安定感には不安が残るGPの内容だったので、ジャンプの調子次第ということになりそうです。
 そして今季結成したばかりの中国の于&張組、彭&金組は、それぞれ新ペアとは思えない確かなコンビネーションと安定感を見せていて、両ペアとも表彰台に乗る実力は十分と言えます。特に于&張組は2試合通じてジャンプの安定感抜群で、デュハメル&ラドフォード組やサフチェンコ&マッソ組と比べると大技はないものの、その分この安定感を発揮できれば頂点に立てる力もあるのかなと思います。
 そしてロシアのタラソワ&モロゾフ組は初戦のスケートアメリカと2戦目のフランス杯とでスコアに差があり、安定感という点では少し不安な点もあります。ですが、エレメンツのクオリティーの高さ、演技構成点の評価の高さは折り紙つきですし、ショートの安定感は問題ないので、あとはフリーのみが課題となりそうですね。
 ランキング6位となったセガン&ビロドー組はスケートアメリカでは素晴らしい演技でGP初優勝を飾りましたが、2戦目のロステレコム杯では低調な内容で5位に沈みました。まだシニア2年目と経験の浅いペアなので、爆発力もある一方でうまくハマらなかった時に不安定になる場合もあり、ファイナルでどちらが出るかはわかりませんね。



 ということで、この記事はここで終わりますが、NHK杯2016・男子&アイスダンスの記事に続きますので、ぜひそちらもお読みいただければ幸いです。


:記事冒頭の女子メダリスト3選手のスリーショット写真、ポゴリラヤ選手の写真、ソツコワ選手の写真、長洲選手の写真、チェン選手の写真、須藤&ブードロー=オデ組の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、宮原選手の写真、樋口選手のフリーの写真、松田選手の写真、ペアメダリスト3組の写真はマルチメディアサイト「Newscom」から、樋口選手のSPの写真は、デイリースポーツのニュースサイト内の写真特集ページから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
NHK杯2016・男子&アイスダンス―羽生結弦選手、300点超えで2連覇 2016年12月2日


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by hitsujigusa | 2016-11-29 15:46 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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※2016年11月28日、マックス・アーロン選手の写真を変更しました。

 中国杯2016、男子&ペアの記事です。女子&アイスダンスの記事はこちらをご覧ください。
 男子を制したのは元世界チャンピオン、カナダのパトリック・チャン選手。SP3位からの逆転優勝でGP14勝目(ファイナルを含む)を手にしました。2位は地元中国の若手、金博洋(ジン・ボーヤン)選手、3位はロシアのベテラン、セルゲイ・ボロノフ選手となっています。
 ペアはこちらも中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組が優勝し、このペアとしては初めてGPの頂点に立ちました。

ISU GP Audi Cup of China 2016 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 優勝したのはカナダのパトリック・チャン選手です。

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 SPはまず得意の4トゥループ+3トゥループから、着氷で若干乱れますがまとめて加点の付くジャンプにします。続く苦手の3アクセルは着氷が大きく乱れます。最後のジャンプは得意の3ルッツでしたが、こちらはパンクして2回転ととなったため無得点に。ステップシークエンスやスピンでは全て1点以上の加点を積み重ねましたが、相次いだジャンプミスにチャン選手は悔しそうな表情を見せました。得点は83.41点で3位となります。
 フリーも冒頭は4トゥループ+3トゥループ、ショート以上に綺麗に下りて2点の加点を獲得。さらに3アクセルも完璧な跳躍で2.43点の加点。しかし、今季から取り入れている4サルコウは転倒します。そして後半、2本目の4トゥループに挑み、着氷でこらえながらも何とか成功。さらに3アクセル+2トゥループ、3ループ、3+2+2と次々にジャンプを決め、最後の3フリップも問題なし。フィナーレは得意のスピンで締めくくりました。得点はフリー1位となる196.31点でシーズンベストを大幅に更新し、総合1位でスケートカナダに続きGP2連勝となり、ファイナル進出を決めました。
 ショートは4+3はまずまずの出来でまとめたものの、苦手の3アクセルで失敗、後半の3ルッツでも珍しくパンクと思いがけない内容となりましたが、1日経ってのフリーはまるで別人のような美しいジャンプの連続で、さすがパトリック・チャンというべき演技でしたね。そのわりにはフリーの後は浮かない表情をしていて、その理由には4サルコウの失敗もあったかもしれませんが、インタビューによると「プログラムはまとめられたが必要とされたエネルギーを注げなかった」とも話していて、チャン選手本人としては演技全体の質にまだまだ納得していないようですね。それでもこの早い時期にしてこれだけ密度の濃い演技ができているというのは素晴らしいですし、ショートで大きく乱したジャンプも翌日には修正するという技術力の高さも、改め凄いなと感じさせられました。
 GP2連勝という申し分ない成績でファイナルに進むチャン選手。チャン選手自身が納得できる演技をショート、フリーともに次こそは見せてほしいなと思います。中国杯優勝、おめでとうございました。


 銀メダルを手にしたのは世界選手権2016の銅メダリスト、中国の金博洋(ジン・ボーヤン)選手です。

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 ショートはまず代名詞の4ルッツ+3トゥループから、これをきっちり決めて良い滑り出しを見せると、3アクセルもパーフェクトに成功。後半の4トゥループもしっかりまとめると、終盤のステップシークエンスでは「スパイダーマン」の軽快なリズムに乗せて躍動感たっぷりに滑り切り、地元の観客から拍手喝采を浴びました。得点は96.17点と自己ベストに迫るハイスコアでトップに立ちました。
 フリーも冒頭は大技4ルッツ、これは着氷が若干乱れますが大きなミスにはしません。続く4サルコウは完璧に着氷。さらに3アクセル+1ループ+3サルコウも決めて、前半は上々の内容。フリー1発目は4トゥループでしたが、これはアンダーローテーション(軽度の回転不足)で転倒。ですが、直後の4トゥループは2トゥループを付けてしっかり連続ジャンプにします。その後も3+3、3アクセル、3フリップと全てのジャンプをクリーンに下り、演技を終えた金選手は破顔しました。得点は182.37点でフリー2位、総合2位で自身GP3度目の表彰台に立ちました。
 前回のスケートアメリカでは稀代のジャンパーである金選手らしからぬジャンプミスが相次ぎ、怖いもの知らずだった昨季との違いを感じさせられましたが、今大会では金選手らしいジャンプがしっかり戻っていて、約1か月間でみっちり練習を詰めてきたんだなというのが伝わってきましたね。それ以上に印象的だったのは演技面で、ショートの「スパイダーマン」にしてもフリーの「映画『道』より」にしても、金選手の明るさや身体能力の高さといった特長が前面に押し出されていて、プログラムの密度という意味でもジュニア時代のプログラムを継続した昨シーズンよりも随分成長したなというのが感じられました。また、ジャンプが決まったことによって相乗効果で演技にも勢いがつき、全体的に生き生きと伸びやかさに満ちていたのも良かったですね。
 残念ながら2年連続でのファイナル進出は厳しくなりましたが、シーズン後半に向けて期待の持てる内容でしたので、ここからさらにコンディションを上げて次戦に臨んでほしいなと思います。


 3位に入ったのは大ベテランのセルゲイ・ボロノフ選手です。

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 ショートの冒頭は4トゥループ+3トゥループ、これをきっちりと跳び切って1点の加点を得ます。さらに後半に組み込んだ3アクセルも完璧に着氷。しかし、最後の3ループは珍しく大きくランディングが乱れます。しかし、そのほかのエレメンツはコンスタントにクリーンなものを揃えて、シーズンベストとなる82.93点で4位につけます。
 フリーもまずは4トゥループ+3トゥループをパーフェクトに成功し上々のスタートを切ります。続く3アクセル+2トゥループもきれいに着氷。しかし、2本目の4トゥループは3回転になり、そこに3トゥループを付けてしまったため、3トゥループを3回跳んだことになり、3本目の3トゥループの得点はキックアウトされます。ですが、後半に入り単独の3アクセル、3ルッツ、3サルコウと全て1点以上の加点がつくクリーンなジャンプを相次いで成功させると、そのまま3ループ、2アクセルも難なく決め、演技を終えたボロノフ選手は何度もうなずいて笑顔で観客の拍手に応えました。得点は160.83点でフリーも4位、トータルでは3位と2年ぶりにGPのメダルを獲得しました。
 前回のスケートアメリカでもまずまずまとまった演技を見せたボロノフ選手ですが、今大会も大きなミスをしない安定感は変わらず、29歳にしてこれだけ安定した4回転や3アクセルが跳べるという事実に改めて驚嘆せざるをえないですね。一方で、テレビ放送で解説者の佐野稔さんもおっしゃっていたことですが、ボロノフ選手の場合、ジャンプとジャンプのあいだのつなぎというのがほぼ無いので、そのぶんジャンプを跳ぶ前にさまざまな工夫を凝らしている選手たちとは単純に比較できない部分もあります。でも、だからこそミスの少ない安定した演技というのに繋がっているわけですし、ミスの少ない演技というのは選手自身もプログラムの世界観に没頭でき、また、見ている側もそういった演技は見ていて気持ちの好いものなので、あえてつなぎを捨てるというのもアリでしょうね。ただ、ジャンプ前の動作が少ないとはいっても、それでもジャンプ自体には加点はしっかりついていますし、ノーミスに近い演技であれば自然と演技構成点も上がるので、戦略としてはやはり堅実であり賢明と言えるかもしれません。
 今季のロシア男子勢はエースのマキシム・コフトゥン選手があまり振るわず、ほかの選手たちのシーズンベストを比べてもどっこいどっこいといった印象です。なので、その中から誰が抜け出して欧州選手権の3枠、世界選手権の2枠を勝ち取るのか、まだまだ分かりません。昨季両大会の切符を逃したボロノフ選手にも大いにチャンスがあり、シーズン後半、どの選手がロシア男子をリードする存在となるのか楽しみですね。


 4位に入ったのはアメリカのマックス・アーロン選手です。

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 ショートはまず得点源となる4サルコウ+3トゥループを耐えながらも何とか着氷します。続く3アクセルはクリーンに成功。そのまま勢いに乗りたい後半でしたが、3ルッツは着氷が乱れます。スピンでもチラホラと取りこぼしがありましたが、81.67点と今季初めて80点台をマークし、5位となります。
 フリーも4サルコウからの連続ジャンプ、こちらはセカンドジャンプが2回転となったもののショートよりもクリーンな出来で1点の加点を得ます。さらに2本目の4サルコウもきれいに成功し、好調な出だしとなりますが、続く3アクセルは着氷を乱します。中盤以降も3ループや3+1+3で着氷を乱す場面は散見されましたが、転倒やパンクといった大きなミスは一つもなく、フィニッシュしたアーロン選手は納得したような表情を浮かべました。得点は161.07点とシーズンベストにはわずかに及ばなかったもののフリー3位、総合4位と順位を上げました。
 今季はここまでロンバルディアトロフィー、オータムクラシック、GPのロステレコム杯と3試合を消化しているアーロン選手ですが、着実にシーズンを追うごとに調子は上がってきているのかなという印象を受けます。実際にスコアも少しずつアップしているのはもちろん、内容的にも4サルコウが安定感を増してきていますし、今大会はショート、フリー通じて大きなジャンプミスがなかったというのが良かったですね。プログラムも特にフリーの「ライオン・キング」はアーロン選手の魅力を活かせるものとなっているように思うので、ここからさらに演技の質を磨いて、プログラムを進化させてほしいなと思います。


 5位は中国の実力者、閻涵(ヤン・ハン)選手です。

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 ショートは「I'll Take Care Of You」。まず4トゥループをきっちり決めて良いスタートを切ります。後半に2つのジャンプ要素を組み込み、まずは3アクセルでしたが着氷が大幅に乱れます。そして次の3ルッツからの連続ジャンプは、3ルッツを跳ぶ際にエッジが氷に引っかかるような跳び方になってしまい1回転となります。ジャンプミスが相次いだ演技内容に、フィニッシュした閻選手は肩を落としました。得点は75.04点で8位に沈みます。
 フリーは昨季と同じ「映画『ロミオ+ジュリエット』より」。冒頭は得意の3アクセルから、これをクリーンに下ります。続いて得点源の4トゥループでしたがこちらは着氷でステップアウト。しかし、直後の3ルッツはきれいに決めてすぐに立て直します。後半に入り最初のジャンプは前半でクリーンに成功させた3アクセルでしたが、こちらはタイミングがずれたのか1回転に。ですが、その後は全てのジャンプをクリーンに跳び切り、ミスのある中でも最後は持ち直して演技を終えました。得点は155.15点でフリー5位、総合でも5位となりました。
 ショート、フリーともに大技の4トゥループや3アクセルに安定感を欠いていた閻選手。閻選手の場合、ショートで決まった4トゥループがフリーでは決まらなかったり、フリーの前半で決まった3アクセルが後半ではすっぽ抜けたり、ジャンプ自体の調子がそんなに悪いようには見えないのですが、ちょっとしたズレがミスに繋がっているのかもしれません。ただ、総合10位にとどまったスケートカナダと比べるとだいぶ内容的にまとまっていましたし、まだまだシーズンは始まったばかりなので技術的にも表現的にも本当の意味で上がってくるのはこれからなのだろうと思います。課題としてはやはり3アクセルや4トゥループの安定感に尽きると思うので、シーズン後半の好演技を楽しみにしたいですね。


 6位はロシアの若手アレクサンドル・ペトロフ選手です。

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 ショートは「火祭りの踊り バレエ「恋は魔術師」より」。冒頭は得点源となる3アクセルを確実に成功させ、1.43点の加点を得ます。続くコンビネーションジャンプは3+3の予定でしたが、セカンドジャンプの回転が抜けて2回転となります。後半の3フリップはクリーンに下りますが、踏み切りのエッジが不正確とされ若干の減点。音楽の盛り上がりに合わせた終盤のステップシークエンスでは高いスケーティング技術を披露して1.1点の高い加点を獲得し、得点は自己ベストに迫る74.21点で9位発進となります。
 フリーは「Chicago/I'm Gonna Live Till I Die」のフランク・シナトラメドレー。序盤は得点源の3アクセルを2本続け、最初の連続ジャンプ、次の単独ジャンプと両方ともクリーンに決めます。続く3ルッツも問題なく下り、前半は理想的な内容で終えます。後半に入っても勢いは衰えず、3+2、3+1+3と重要なコンビネーションジャンプをクリーンに着氷。その後のジャンプやスピンなど全てのエレメンツで加点がつくクリーンなものを揃え、154.23点とこちらも自己ベストに近い得点でフリー6位、総合6位に上がりました。
 今大会の男子の中で唯一4回転を組み込まなかったペトロフ選手。その分確実に跳べるジャンプをおおむねクリーンにこなしていて、17歳という若さながら演技全体から落ち着きが感じられました。ロシアの名伯楽アレクセイ・ミーシンコーチの指導を受けているだけあって、ロシア男子の伝統を受け継いだスケーティングの端正さや演技のエレガンスさを持ち合わせていて、今回はそうした魅力を存分に発揮できたのではないかと思います。ただ、さらに上位に食い込むためにはやはりジャンプ構成の難度を上げることが必要でしょうし、必ずしも4回転がなくても、コンビネーションジャンプの組み合わせなどでもっと得点を稼ぐこともできそうなので、シーズン後半に向けてどういった戦略と取っていくのか、どういった形で戦っていくのか、ロシア男子の中でも気になる存在ですね。



 ここからはペアです。

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 優勝したのはペア結成1年目の中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組です。SPは全てのエレメンツをクリーンにまとめ自己ベストを更新して首位に立つと、フリーでは1つのジャンプで転倒があったりスピンで小さなミスがあったりしたものの、そのほかのエレメンツをほぼノーミスで揃え、スケートカナダでマークした自己ベストに近いハイスコアで1位、トータルのパーソナルベストをマークして完全優勝を果たしました。
 スケートカナダでデビュー早々に見事な演技を披露し銀メダルを獲得した于&張組ですが、今大会もスケートカナダの勢いそのままの演技でしたね。カナダではスピンでミスがあったのですが、今回はノーミスはもちろんのことショート、フリーともにレベルがつくエレメンツ全てで最高難度のレベル4を取っていて、デビュー2戦目とはとても思えないレベルの高さを見せつけています。今大会2位となった彭&金組とそれぞれパートナーを入れ替えての新ペア結成だったわけですが、于&張組に関してはこれまでの内容、結果を見る限り、パートナー入れ替えは成功だったと言えます。
 今大会の結果によって于&張組は初のファイナル進出が決定。この快進撃がファイナルでも続くのか、期待したいと思います。中国杯優勝、おめでとうございました。
 2位も中国の彭程(ぺン・チェン)&金楊(ジン・ヤン)組。SPは全エレメンツで加点を稼ぎ、また、全てレベル4を揃え、3位と好発進。フリーもジャンプ1つでミスがあった以外は、目立ったミスなく演技をまとめ2位、総合2位とGPデビュー戦にして銀メダルを手にしました。
 上述したように昨季までは彭選手と張選手が、于選手と金選手がペアを組んでおり、一足早くGPデビューした于&張組に続いて、彭&金組は今大会がGPデビューとなりました。これがデビューとあってまだ演技構成点は控えめでしたが、技術点では取りこぼし少なくハイレベルなエレメンツを揃えていて、于&張組同様、さすがペア大国中国と思わせられました。彭&金組はNHK杯にもエントリーしており、ファイナル進出の望みも大いにあるので、楽しみですね。
 3位はカナダのリューボフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組です。ショートはジャンプでミスがあったもののほかをクリーンにまとめて自己ベストで2位。フリーはソロジャンプやスロージャンプでミスが相次ぎ3位、総合でも3位となりました。
 女性のイリュシェチキナ選手、男性のモスコヴィッチ選手ともにソロジャンプに安定感を欠き、転倒やパンクといった大きなミスが重なり、その点で中国ペア2組に後れを取ってしまいました。そのほかのエレメンツでは十分に加点が稼げているものも多くあるので、転倒やパンクはやはり痛かったですね。イリュシェチキナ&モスコヴィッチ組はスケートカナダで3位、そして今大会も3位ということで、現時点でGPポイントランキングで7位とファイナル進出は絶たれました。ただ、2試合で表彰台に立てたことは大きな経験、収穫になったと思うので、シーズン後半のさらなる躍進に期待ですね。



 中国杯2016、男子&ペアの記事は以上です。
 さて、GPも残すはNHK杯のみ。誰がNHK杯を制するのか、そしてどんなファイナルの顔ぶれになるかの楽しみです。では。


:記事冒頭の男子メダリスト3組のスリーショット写真、ボロノフ選手の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、チャン選手の写真は、AFPBB Newsが2016年11月20日の11:53に配信した記事「チャンが中国杯制す、女子はラディオノワ」から、金選手の写真は、アメリカの女性向け情報サイト「Culturess」が2016年11月20日に配信した記事「Cup of China is its Usual Trainwreck」から、アーロン選手の写真は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、閻選手の写真、ペアメダリスト3組の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ペトロフ選手の写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
中国杯2016・女子&アイスダンス―エレーナ・ラディオノワ選手、大差でGP4勝目 2016年11月22日


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by hitsujigusa | 2016-11-24 17:30 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 GPシリーズ第5戦の中国杯2016が首都の北京にて行われました。この記事では女子とアイスダンスの結果についてお伝えします。
 女子の優勝者はロシアのエレーナ・ラディオノワ選手。前回のロステレコム杯に続き200点を超えるハイスコアで、GP4勝目を手にしました。2位はカナダの実力者ケイトリン・オズモンド選手、3位は前世界女王、ロシアのエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手となっています。
 一方、アイスダンスはアメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組がスケートアメリカに続きGP2連勝を果たしました。

ISU GP Audi Cup of China 2016 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 女子の覇者となったのは昨年のGPファイナル銅メダリスト、エレーナ・ラディオノワ選手です。

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 SP冒頭はまず得点源の3ルッツ+3トゥループ、しっかり着氷しますがセカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)となります。2つのレベル4のスピンを挟んで後半、3ループ、2アクセルはクリーンに下り、その後のステップシークエンス、スピンもレベル4と、大きな取りこぼしなく演技をまとめました。得点は自己ベストに迫る70.75点で2位と好発進します。
 フリーもまずは3ルッツ+3トゥループ、きれいに成功させたかに見えましたがショート同様に2つ目が回転不足と判定されます。続く3フリップは着氷で何とかこらえます。後半に5つのジャンプ要素を固め、3ルッツ+1ループ+3サルコウは全て回り切って着氷。次の3+2を成功させると、以降のジャンプも全てクリーンに揃え、フィニッシュしたラディオノワ選手は満足したような笑みを浮かべました。得点は135.15点でフリー1位、総合1位と逆転で優勝を勝ち取り、4年連続となるファイナル出場を決めました。
 2013年のGPデビュー以来、出場した全てのGPの試合で表彰台に乗っているラディオノワ選手らしく、今大会も安定感抜群の演技でしたね。気になるのは3+3がショート、フリー両方でアンダーローテーションになっていることで、やはり身長が伸びて大柄になったことによって小柄だった以前よりは回り切って下りるのが困難になっているのかなと思います。ただ、前回のロステレコム杯のショートではクリーンに決めているので、短期間でも修正可能な小さな誤差の範囲内で、次のファイナルに向けてしっかり改善してくるでしょうね。演技面ではますます磨きがかかって、どっしりとした重厚感も醸し出すようになってきていて、ファイナルで3年連続のメダルなるか楽しみです。中国杯優勝、おめでとうございました。


 2位はスケートカナダ銀のケイトリン・オズモンド選手です。

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 SPはまず3フリップ+3トゥループから、ものすごいスピードの助走から高く跳躍し、1.5点の高い加点を得ます。続く3ルッツもパーフェクトで1.2点の加点。後半の2アクセルで勢いあまって着氷が乱れ減点を受けたものの、ステップシークエンスやスピンでも高い加点を稼ぎ、演技面でも終始躍動感にあふれたリズミカルな演技で持ち味を十二分に発揮。72.20点で堂々の首位に立ちました。
 フリーも冒頭は3フリップ+3トゥループを完璧に決めると、続く2アクセル+3トゥループも問題なく下り、両方で1点以上の加点を積み重ねます。ですが、次の3ルッツではダウングレード(大幅な回転不足)で下りてきてしまい大きな得点ロスに。後半は最初の3ループで転倒がありましたが、その後は転倒を引きずることなく持ち直し最後までエネルギッシュに滑り切りました。得点は123.80点でフリー3位、総合2位と、スケートカナダに続いて銀メダルを獲得しました。
 自己ベストをマークしたスケートカナダと比べるとミスの数が増え、得点的にも10点ほど下がってしまいましたが、演技全体の質は変わらず高く、シーズン初戦のフィンランディア杯からの好調を維持していますね。今後の課題としてはジャンプの数が多いフリーでいかにクリーンなジャンプを揃えるかという点に尽きるのかなと思うので、昨シーズン負傷休養から復帰してまだその途上にあるオズモンド選手にとっては、スタミナ面も重要なポイントになってくるでしょうね。
 現在オズモンド選手はGPのポイントランキングで26ポイントで3位。GP最終戦のNHK杯でのさまざまな状況を鑑みても4人以上の選手がオズモンド選手のポイントを上回る可能性はないため、現時点でオズモンド選手の初のファイナル進出が確定しました。周りは10代の若い選手ばかりということになりそうですが、21歳の(現在は20歳ですが12月5日が誕生日なため)オズモンド選手だからこそできる表現、大人の滑りを思う存分見せてほしいなと思いますね。


 3位となったのはロシアのエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手です。

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 ショートの冒頭は3トゥループ+3トゥループから、ファーストジャンプは完璧でしたがセカンドジャンプの着氷で若干乱れ小さな減点を受けます。しかし、後半の3ルッツ、2アクセルはクリーンにまとめ、64.88点で4位となります。
 フリーはプログラムを昨季の「ペール・ギュント」に戻して臨み、まずは得意の2アクセルを余裕を持って成功。続く3トゥループ+3トゥループもクリーンに跳び切ります。さらに3フリップもきれいに着氷と、前半は申し分ない内容。後半に入り最初の3連続ジャンプをきっちり下りると、続く3ループも問題なし。直後の3ルッツはタイミングが合わなかったのかパンクして2回転となり、最後の3サルコウ+2アクセルのシークエンスジャンプも3サルコウの着氷で手をつくなど細かいジャンプミスが相次ぎます。しかし、終盤のコレオシークエンスでは激しい音楽に乗って迫力のある滑りを見せるなどトゥクタミシェワ選手らしさも端々にのぞかせ、127.69点でフリー2位、総合3位と順位を上げました。
 前回のスケートカナダでもジャンプの調子自体は悪くなく、ある程度安定感を取り戻しつつあるように感じられましたが、今回はそこに滑りの勢いもプラスされて、快進撃を続けていた時のトゥクタミシェワ選手にさらに近づいたかなという印象ですね。特にフリーはプログラムを昨季のものに戻したことによって表現面でも自然に体に馴染んでいる感じで、彼女らしいスピード感だったり動きのキレ、パワフルさがひしひしと伝わってきました。実際にフリーの演技構成点もぐんとアップしているので、シーズン後半のことを考えてもこの選択は正解だったんじゃないかなと思います。あとは、ショートも含めてもっと演技のクオリティー、密度を高めることも必要でしょうし、エレメンツ一つ一つでもさらに加点を上積みできる部分があると思うので、期待したいですね。また、トゥクタミシェワ選手といえば代名詞の3アクセル。今大会中も練習していたということで、ロシア国内の競争を勝ち抜くためにも3アクセルが重要な鍵になってくるかもしれません。もちろん3アクセルをあえて跳ばずに、今の構成でより質を高めるという方法もあるので、3アクセルを跳ぶにしろ跳ばないにしろ、トゥクタミシェワ選手らしい演技で再び世界への切符を勝ち取ってほしいなと思います。


 惜しくも4位だったのは日本の三原舞依選手です。

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 ショートはまず大技3ルッツ+3トゥループをパーフェクトに成功させ好スタートを切ると、後半の2アクセル、そして演技のフィニッシュとともに跳ぶ3フリップもクリーンに着氷。演技を終えた三原選手はガッツポーズと満面の笑みで喜びを露わにしました。得点は自己ベストとなる68.48点で3位と好位置につけます。

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 フリーも冒頭は3ルッツ+3トゥループ、これをまたもや完璧に下ります。続いて3フリップ、2アクセルと難なく成功させ、中盤のステップシークエンスもレベル4と理想的な展開。後半はまず2アクセル+3トゥループを決め、続いて得意の3ルッツでしたがパンクして1回転に。さらに3ループでも着氷が乱れ、最後の3サルコウはクリーンに下りたものの、フィニッシュした三原選手は表情を曇らせました。得点は122.44点でフリー4位、トータルではパーソナルベストをマークしたものの順位では4位と表彰台には届かず、キス&クライで悔しそうに両手で顔を覆いました。
 GPデビュー戦のスケートアメリカで3位となり、ファイナルを狙う上で最低でも表彰台を確保しておきたかったですが、その期待が緊張に繋がったのかフリーでは後半にミスが重なりましたね。それでも演技面ではプレッシャーに押しつぶされてといったような感じはなく非常に伸びやかな滑りができていて、改めて度胸のある選手だなと感じました。コンディション自体は今大会もとても良さそうだったので、この状態を維持して全日本選手権にうまくピークを合わせて、今度こそ納得のいく演技ができることを願っています。


 5位には同じく日本の本郷理華選手が入りました。

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 SPはまず得意の3フリップを確実に着氷。そして後半に3トゥループ+3トゥループを組み込み、目立った乱れなく着氷しましたがセカンドジャンプがアンダーローテーションに。続く2アクセルはクリーンに下り、そのほかのステップシークエンス、スピンは全てレベル4と、ミスを最小限に抑えました。得点は63.63点で6位となります。

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 フリーはまず3フリップ+2トゥループ+2ループの3連続コンビネーションから始まり、最後のジャンプがわずかに回転不足と判定されたものの大きなミスなく跳び切ります。しかし続く3ループが珍しく空中で回転がほどけて2ループのダウングレードに。さらに苦手としている3ルッツは着氷はまとめましたが踏み切りのエッジが不正確とされ減点。後半は得点源となる2アクセル+3トゥループをきっちり着氷。次も同じ2アクセル+3トゥループを続けますが、こちらはセカンドジャンプがアンダーローテーションとなります。次の3フリップでも着氷が乱れ、最後の3サルコウは完璧な出来で演技を立て直しましたが、満足のいく演技とはなりませんでした。得点はシーズンベストとなる118.12点でフリーも6位、総合では5位で大会を終えました。
 前回のスケートカナダのフリーでは7つのジャンプ要素のうち6つで回転不足を取られた本郷選手。今回のフリーは3つが回転不足ということで、前回よりはだいぶ改善されましたね。3つの回転不足も、3連続ジャンプの3つ目の2回転、3ループが2回転になった上にダウングレードという珍しいパターンの失敗、2アクセル+3トゥループの2つ目という3種類の回転不足で、前の2つはちょっとしたズレだったりタイミングだったりと些細な問題だと思うので、やはりポイントになってくるのはショートの3+3含め、コンビネーションジャンプの2つ目の3回転が重要な鍵を握るのかなと思います。一方で表現面ではしっかりと成長の跡がうかがえて、ジャンプが今以上に整ってくればさらに表現にも入り込んでいけると思うので、全日本では本郷選手の満面の笑みが見られることを楽しみにしたいですね。


 6位は世界選手権2016の銀メダリスト、アメリカのアシュリー・ワグナー選手です。

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 ショートはまず得点源の3フリップ+3トゥループからでしたが、3フリップの着氷がこらえる感じになったため単独に変更します。後半に入り、単独の予定だった3ループに2トゥループを付けてリカバリーしますがこちらも若干こらえる着氷となり減点。最後の2アクセルはクリーンに決め、スピンを全てレベル4でまとめますが、64.36点と得点はさほど伸びず、5位発進となります。
 フリーの冒頭は得意の2アクセルを難なく決めて流れを作ると、次にショートで入らなかった3+3に挑みましたが、セカンドジャンプがわずかに回転不足の判定。続く2アクセルは問題なく下りて後半に繋げます。後半最初のジャンプは3ループ+1ループ+3サルコウの難しいコンビネーションジャンプ、これは1つ目と3つ目がやはりアンダーローテーションに。その後のジャンプも全てが回転不足となり、また、終盤のスピン2つでもレベルを取りこぼすなどワグナー選手らしからぬミスもあり、117.02点でフリー7位、総合6位と順位を落としました。
 ショートで出遅れ、挽回したいフリーでトリプルジャンプがほとんどアンダーローテーションを取られるというワグナー選手にとっては苦い試合となってしまいましたね。ワグナー選手は元々アンダーローテーションを頻発しやすいタイプの選手ではありましたが、近年はその課題を乗り越えて、だからこそ世界選手権のメダルにまで到達したわけですが、今回は最近見ないくらい回転不足を多く取られてしまいました。前回のスケートアメリカでも3+3などで回転不足は取られてはいましたが、今回それ以上に回転が足りなくなってしまったのは、ショートでミスをして少し出遅れたということで、フリーで取り返そうという気負いもあったかもしれませんし、それが慎重さに繋がってしまったのかもしれません。表現面ではベテランならではの図抜けた演技力の持ち主で、今大会でもその巧さは際立っていたと思うので、あとはジャンプの課題を修正して、シーズン後半に向けてうまく調整してほしいですね。



 ここからはアイスダンス。

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 金メダルを手にしたのは世界選手権2016の銀メダリスト、アメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組です。SDはステップでレベルが2にとどまり、自己ベストから1点ほど低いスコアで2位発進となります。FDもステップの1つがレベル2にはなりましたが、そのほかのエレメンツはほとんどをレベル4でまとめ1位、総合1位と逆転での優勝となりました。
 今大会はショート、フリーともにレベル2のステップがあったということで、高い技術力が最大の武器であるシブタニ兄妹としてはさらなる上積みをしたいところでしょうが、それでも2位に3点差以上をつけての優勝で、世界のメダリストとしての存在感をしっかり示しました。GP2連勝で3年連続となるファイナルも決定。まだファイナルではメダルを取ったことがないだけに、初表彰台でシーズン後半に向けて弾みをつけられるか、楽しみですね。中国杯優勝、おめでとうございました。
 2位はGPファイナル2連覇中、カナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組です。ショートはツイズルで男性のポジェ選手がわずかにバランスを乱すシーンがありましたが、そのほかのエレメンツをまとめて自己ベストで首位発進。フリーはステップがレベル2にとどまったりリフトの時間超過で減点されたりと多少取りこぼしもあり2位、総合2位となりました。
 SDで自己ベストをマークしたとはいえ、少しもったいない取りこぼしもチラホラあったウィーバー&ポジェ組。GP初戦が3位だったのでできれば優勝を狙いたいところでしたが、2位で合計ポイントは24。現時点のGPポイントランキングではウィーバー&ポジェ組の上に4組いて、このあとのNHK杯にガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組と、テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組が出場してくることを考えると、ファイナル進出は厳しい状況ですね。ファイナル連覇中のカップルでもファイナルに出場できないかもしれないほどトップレベルのアイスダンサーたちの実力が拮抗し、それぞれの差があまり無いということの証なのかもしれません。
 3位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組。ショートで自己ベストをマークし3位につけると、フリーでもミスらしいミスなくほぼクリーンにまとめて自己ベスト。トータル3位で3つ目となるGPのメダルを獲得しました(そのうち1つはショートのみで中止となった昨年のフランス大会なので、実質的には2つ目となります)。
 ロシア選手権では2年連続で3位とロシアアイスダンス界では3番手となっているステパノワ&ブキン組ですが、今回の自己ベスト更新によってパーソナルベストの比較ではロシア勢2位となりました。今後のロシア国内の争いに向けて、今大会は収穫の多いステップアップのきっかけの試合になるんじゃないかと思いますね。



 さて、中国杯2016、女子&アイスダンスの記事はこれで終了となりますが、男子&ペアに続きますので、ぜひご興味のある方は続けて読んで下されば幸いです。


:記事冒頭の女子メダリスト3選手のスリーショット写真、ラディオノワ選手の写真、トゥクタミシェワ選手の写真、アイスダンスメダリスト3組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、オズモンド選手の写真は、共同通信のニュースサイト「Kyodo News」が2016年11月18日の21:57に配信した記事「Figure skating: Mihara 3rd after short skate at Cup of China」から、三原選手のSPの写真は、中日新聞のニュースサイト「CHUNICHI Web」が2016年11月18日の20:38に配信した記事「フィギュア三原3位、本郷は6位 中国杯女子SP」から、三原選手のフリーの写真は、同じく「CHUNICHI Web」が2016年11月19日の20:22に配信した記事「フィギュア中国杯、三原4位 ラジオノワV、本郷5位」から、本郷選手の写真は、デイリースポーツのニュースサイト内の写真特集ページから、ワグナー選手の写真は、アメリカのテレビ局「NBC」のスポーツニュースサイト「NBC Sports」が2016年11月18日の8:12に配信した記事「Ashley Wagner trails at Cup of China, Grand Prix Final in jeopardy」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
中国杯2016・男子&ペア―パトリック・チャン選手、逆転でGP14勝目 2016年11月24日


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by hitsujigusa | 2016-11-22 02:33 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 パリにて行われたフランス杯2016。この記事では女子とアイスダンスについて書いていきます。男子とペアについてはこちらの記事をご覧ください。
 女子のチャンピオンとなったのは世界女王のエフゲニア・メドベデワ選手。圧倒的な演技で他の追随を全く許しませんでした。2位は同じロシアの新星マリア・ソツコワ選手、2位は日本の樋口新葉選手と、昨季の世界ジュニアメダリスト2人がGPデビューにしてさっそくメダルを獲得しました。
 アイスダンスはこちらも世界チャンピオン、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組が圧勝を遂げています。

ISU GP Trophee de France 2016 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 優勝したのはロシアのエフゲニア・メドベデワ選手です。

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 SPはまずスピンから入り、続けてステップシークエンス。それぞれしっかりレベル4を取ります。後半に入りようやくジャンプ。まずは得点源の3フリップ+3トゥループをさらりと成功。さらに3ループ、2アクセルとクリーンに下り、最後の2つのスピンも確実にレベル4にまとめ、スケートカナダに続きノーミスのショートを滑り切りました。得点は78.52点とパーソナルベスト、かつ、世界歴代2位のハイスコアを叩き出し、断トツの首位に立ちました。
 フリーはまず3フリップ+3トゥループ、これをショート同様に完璧に成功させます。続いてエッジに課題がある3ルッツでしたが、珍しく転倒となります。しかしすぐに切り換えてスピンとステップシークエンスをレベル4で揃え、後半最初の3ループ、3フリップ、2アクセルからの3連続ジャンプをクリーンに着氷すると、後半の得点源となる3サルコウ+3トゥループも問題なく成功。最後の2アクセルを下りると、レベル4のスピン2つをきっちりこなし、エモーショナルなプログラムの世界を最後まで演じ切りました。得点は143.02点でフリー1位、総合1位でGP2連勝となりました。
 フリーで久しぶりに転倒があったとはいえ、そのほかでは微塵のズレもなく、本当に転倒なんかしたんだろうかと疑いたくなるようなその後の演技でしたね。メドベデワ選手にとってはしばしば踏み切りのエッジが不正確になるルッツだけが危ういポイントですが、それもほとんど大きなミスに繋げることはなく、今回のような転倒は非常に珍しかったわけですが、次からはまた修正してくるでしょうし全く心配はないでしょう。それ以外に死角といえる箇所もなく、ほかの選手が完璧な演技をしても当のメドベデワ選手がほとんど失敗することがないので、彼女の牙城を崩すのは難しそうです。2年連続での出場が決まったファイナルでは今度こそショート、フリーともに完璧な演技を目指すでしょうから、その目標が達成された時にはどんな点数が出るのか、今から戦々恐々とさせられますね。フランス杯優勝、おめでとうございました。


 2位となったのは世界ジュニア選手権2016の銀メダリスト、マリア・ソツコワ選手です。

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 SPは「Butterflies Are Free」。まずは得点源の3ルッツ+3トゥループをパーフェクトに決めると、レベル4のスピンとステップシークエンスを挟んで後半、3フリップと2アクセルも難なく着氷。残り2つのスピンもレベル4を揃え、自己ベストの68.71点で3位と好発進しました。
 フリーは「アダージョ」。まずは3ルッツ+3トゥループを確実に下りると、続く3フリップもしっかり着氷。後半に5つのジャンプ要素を固め、3ループ、3+1+3と立て続けに成功。3ルッツは回転不足となりますが、その後の2つのジャンプはクリーンに成功させ、スピンやステップシークエンスもショート同様全てレベル4と取りこぼしなく、演技をまとめました。得点は131.64点でパーソナルベストを更新しフリー2位、総合でも2位と初めてのGPで見事銀メダルを手にしました。
 これがGPデビューとは思えないほど落ち着いた演技だったソツコワ選手。ミスらしいミスは1つもなく安定感抜群でしたが、1つ1つのジャンプやスピンの質といった面ではさらにスムーズにクリアにできそうなところもあったので、そういった部分が改善されるともっと加点の積み重ねも望めるでしょうね。170cmと高身長なので成功すればダイナミックで加点の付きやすいジャンプが跳べる一方、身体をコントロールする難しさもあると思うのですが、うまく自分自身のフィジカルの変化に対応しているなというのが感じられましたね。
 次のNHK杯での結果にファイナル出場が懸かってきますが、今回のように伸びやかな演技をまた期待したいですね。


 3位は世界ジュニア2016の銅メダリスト、日本の樋口新葉選手です。

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 SPは「映画『ラ・カリファ』より」。冒頭はまず得意の2アクセルを着実に決めて好スタートを切ります。続く2つのスピンとステップシークエンスは両方レベル4。後半に2つのジャンプ要素を組み込み、まずは3ルッツ+3トゥループをパーフェクトに下ります。最後が単独の3フリップでしたが、パンクして2回転となり規定の回転数を満たさなかったため0点に。プログラムを締めくくるレイバックスピンもレベル4でまとめますが、フィニッシュした樋口選手は少し悔しそうな表情を浮かべました。それでも得点は自己ベストに迫る65.02点で5位につけます。

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 フリーは王道の「シェヘラザード」。まずは得点源の3ルッツ+3トゥループをショートに続き完璧に成功。さらに3ループ、3サルコウと相次いで決め、3つのジャンプ全てで1点以上の高い加点を得ます。後半はまず2アクセルを難なく下りて、続いて3ルッツでしたがこれはパンクして1回転に。ですが、その後の3+2、2アクセル+3トゥループ+2トゥループは大きなミスなくこなし(3トゥループが軽度の回転不足)、笑顔で演技を終えました。得点はパーソナルベストとなる129.46点でフリー3位、総合3位と順位を上げました。
 ショート、フリーともにジャンプがパンクするというもったいないミスがあったとはいえ、樋口選手特有のうねるようなスケーティング、そのスピードを落とすことなく跳び上がる豪快なジャンプ、それに加え新たな魅力としてプラスされた女性的でしなやかな表現が十二分に発揮された内容だったと思います。演技構成点もフリーでは全体の2位と高評価で、流れの中で跳べるジャンプも含め、最初から最後まで途切れないスピード、流れが何よりもの樋口選手の魅力だと改めて感じました。それだけにジャンプのパンクは得点を大きく失うのでもったいなく、今季のフリーでは後半の3ルッツのパンクを繰り返しているので、ファイナル進出を狙う上でNHK杯で同じミスをしていてはファイナルは遠ざかってしまうと思うので、次はパンクのない演技を期待したいですね。


 4位にはカナダの実力者ガブリエル・デールマン選手が入りました。

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 SPはまず3トゥループ+3トゥループを抜群に高い跳躍でスムーズなランディングでまとめ、2.1点の高い加点を獲得。続く2つのスピンをレベル4で揃えると、後半の3ルッツ、2アクセルでもそれぞれ加点1を得て、その後のステップシークエンス、スピンも丁寧にこなし、フィニッシュしたデールマン選手はガッツポーズで喜びを表しました。得点は自己ベストを大幅に更新し72.70点で2位の好位置につけました。
 フリーも冒頭は3トゥループ+3トゥループでしたが、ファーストジャンプで転倒してしまい単独になります。直後の3ルッツは何とか着氷させたものの、3フリップは動揺が影響したのか1回転に。しかし後半は3ルッツからの3連続ジャンプや3ループなど、予定どおりにジャンプをこなし、ステップシークエンス、スピンも全てレベル4と序盤のミスを取り返しました。得点は119.40点でフリー6位、総合4位と惜しくも表彰台を逃しました。
 最高の形でショートを終えて、フリーは最終滑走だったわけですが、前に滑った選手たちの高得点がうすうす感じ取れる中で演じなければいけない状況というのはやはりプレッシャーがかかったのではないかと思います。全く危なげなく失敗する気配のなかったショートから一転、フリーはさすがに緊張感が漂っていましたね。その中でも前半にミスが続いたところから後半にかけて盛り返したというところにデールマン選手の成長が感じられました。前回のスケートアメリカでも惜しくも約2点差で4位、今回も3位の樋口選手と約2点差で4位と、本当の意味でブレイクするまであともう一歩という段階まで来ていると思いますし、ジャンプの調子自体はすこぶる良さそうなので、一番の課題はメンタル面になるのかもしれませんね。


 5位は韓国の朴小宴(パク・ソヨン)選手です。

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 SPは「映画『黄金の腕』より」。まずは重要な3サルコウ+3トゥループをパーフェクトに決めて加点1.4を獲得します。続く3ループも確実に着氷。後半の2アクセルも問題なく成功させ、ステップシークエンスやスピンでも目立った取りこぼしなくコンスタントにエレメンツを揃えました。得点はパーソナルベストとなる64.89点で6位発進します。
 フリーは「愛のアランフェス」。まずは単独の3ルッツからでしたが、回転は十分だったものの着氷でこらえきれず転倒してしまいます。ですが、直後の2アクセル+3トゥループをクリーンに決めると、3フリップも着氷でこらえつつもしっかり成功させます。後半はまず3ループ+2トゥループを下りると、続けて3サルコウからの3連続コンビネーションも成功。次の3ループはアンダーローテーション(軽度の回転不足)と判定されましたが、最後に組み込んだ得意の3サルコウはきれいに着氷して、終盤はのびやかなスケーティングを存分に発揮しました。得点は120.30点と自己ベストを更新しフリー4位、総合5位とGP自己最高位タイで大会を終えました。
 GP前のチャレンジャーシリーズ、そしてGPのスケートアメリカと低調な演技が続いていた朴選手ですが、今回は彼女らしさを思う存分出せた演技だったように思います。ショートは冒頭の3+3が決まったことでその後も乗っていけましたし、フリーは冒頭で転倒しながらも次のコンビネーションジャンプですぐに立て直せたことで落ち着きを取り戻せたのでしょうね。ジャンプが次々とクリーンにハマったことによって、スケーティングや体のキレという点においても終始よく動けていましたし、表現面でもより一層大人びて艶っぽさが滲み出ているのが伝わってきました。
 こういった演技をコンスタントに続けられればもっと演技構成点も上がってくるでしょうし、昨季5位に終わった韓国選手権でもまた優勝を狙えるでしょうから、頑張ってほしいですね。


 6位となったのは地元フランスのロリーヌ・ルカヴェリエ選手。

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 SPは「Experience」。冒頭の3トゥループ+3トゥループを完璧に決めて良い滑り出しを見せると、後半に組み込んだ3ルッツ、2アクセルも問題なし。終始キレのある動きでスピードに乗った演技を披露しました。得点は66.61点とパーソナルベストを13点以上更新し、4位と好発進しました。
 フリーは「映画『グリース』より」。まずは3トゥループ+3トゥループを若干着氷で詰まりながらも成功させると、3ルッツ、2アクセル+1ループ+3サルコウとスムーズに着氷し、それぞれ1点の加点を獲得。ますます勢いに乗りたい後半でしたが、最初の3フリップで転倒。次の3ループは着氷しますが、続く3ルッツは転倒とミスが重なります。しかし最後は2アクセル+2トゥループでプログラムを締めくくり、観客の拍手喝采を浴びました。得点は自己ベストの118.04点でフリー7位、総合6位となりました。
 これが3年連続でのフランス杯出場となったルカヴェリエ選手。ただ、一昨年は11位、昨年はテロ事件の影響でSPのみの実施で12位と、なかなか自国の観客の前で実力を発揮できずにいましたが、そのもやもやを晴らすような見事なショート、フリーでしたね。ショートで66.61点という予想以上のハイスコアで4位と上位に食い込むと、フリーは2度転倒がありながらもミュージカルナンバーを小気味よくノリノリに表現していて、以前と比べてもジャンプの質が良くなっているのはもちろん、表現面でも成長が見られましたね。印象的だったのはフリーの中盤で衣装をチェンジしたことで、エキシビションではよく見られる演出ですが試合で見たのは初めてだったので意表を突かれましたし、そういった工夫もプログラムの表現の一部として非常におもしろかったですね。
 フランスの女子のエースといえばフランス選手権を3連覇しているマエ=ベレニス・メイテ選手ですが、ルカヴェリエ選手の躍進によってその勢力図にも変化が訪れるかもしれず、シーズン後半が楽しみですね。


 日本のベテラン、浅田真央選手は9位となりました。

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 今大会も調整不足から3アクセルや3+3を回避し難度を抑えた構成で臨み、SPはまず得意の2アクセルをクリーンに下ります。続く3フリップ+2ループも問題なく着氷したかに見えましたが3フリップがアンダーローテーションの判定。後半の3ループは着氷でこらえながらもしっかり成功させ、最後は幻想的なピアノの旋律に乗って軽快なステップシークエンスで演技を締めくくりました。得点は61.29点で8位となりました。

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 フリーも冒頭は2アクセルをきっちり決め、続いて3フリップからのコンビネーションでしたが、2フリップの単独となります。次の3ルッツは正確なエッジで跳んだものの再び2回転に。後半はまず2アクセル+3トゥループ、これはセカンドジャンプがダウングレード(大幅な回転不足)の判定。さらに3サルコウ、3フリップがそれぞれ2回転にとパンクが相次ぎます。最後の3ループは回り切りましたが着氷でバランスを崩し減点。終盤のステップシークエンスでは激しく複雑な滑りでレベル4に加え1.3点の加点を獲得しますが、演技を終えた浅田選手は肩を落としました。得点は100.10点でフリー10位、総合9位と順位を落としました。
 シーズン前から左膝の慢性的な痛みのため万全な練習ができていないという浅田選手。ショートはスピンやステップシークエンスのレベルの取りこぼしがありスケートアメリカより低い得点にとどまったものの何とかジャンプをまとめましたが、ジャンプの数が増えるフリーは練習が詰めていない影響が如実に出てしまいましたね。100%の練習さえできればというのがわかっているからこそ浅田選手自身も苦しくもどかしいところだと思いますが、練習で良いイメージ、感触がつかめていないという部分が精神的な不安になって演技にも表れてしまったのかもしれません。ただ、この1試合、2試合くらいで浅田選手が今まで積み重ねてきたものが失われたわけではないですし、数え切れないくらい跳んできたジャンプの感覚は身体が覚えているはずなので、難しいとは思いますが練習で何とか手ごたえをつかんで、自信を取り戻して次の試合に向かっていってほしいなと思います。次戦の全日本選手権までは1か月以上ありますから、じっくり自分の身体や心と向き合って、今まで乗り越えてきたこと、達成してきたことを思い出して、GPのことは一旦忘れて、気持ちを切り替えて調整してほしいですね。


 10位となったのは日本の永井優香選手です。

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 ショートはまず3サルコウ+3トゥループでしたが、3サルコウの着氷後にオーバーターンが入り2つ目が2トゥループになります。続く3ループはクリーンに着氷しましたが、ジャンプ前のステップが不十分とみなされたためか加点は付かず。そして後半の2アクセルはパンクして1回転となり無得点に。しかし、ステップシークエンスではレベル4を獲得するなど隅々まで丁寧に演じ切り、シーズンベストとなる52.41点で12位発進となりました。

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 フリーの冒頭はまず3ルッツでしたがパンクして1回転となります。ですが、直後の3ループはクリーンに成功。続くスピンとステップシークエンスをきっちりレベル4でまとめます。後半最初の3トゥループは再びパンクして2回転に。ですが、次の2アクセル+3トゥループを完璧に決めると、3サルコウ、2アクセルと続けて成功。最後の3+2は2つ目が回転不足となりますが、大きく崩れることなく演技をまとめました。得点は107.08点でフリー9位、総合10位でショートから順位を上げました。
 ジャンプの修正を行っている最中の永井選手。今大会もジャンプの乱れは複数ありましたが、全体的に演技を丁寧に、気を配って滑ろうとしているのが伝わってきましたね。特にステップシークエンスはショート、フリーともにレベル4が取れていましたし、滑りの質の良さはジャンプの質にも繋がっていくでしょうから、このあとのシーズンも丁寧な滑りを心がけて永井選手らしい優雅な演技を見せてほしいなと思いますね。次の試合は全日本になると思いますが、GPで得た課題と収穫を活かして、納得のいく演技ができることを願っています。



 ここからはアイスダンスの結果をざっくりと。

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 優勝は世界選手権2連覇中のガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組。SDは世界歴代2位となるパーソナルベストをマークして圧巻の首位発進すると、FDでもノーミスの完璧な演技で1位、トータルでも1位とほかのカップルを寄せつけず圧勝しました。
 昨季はオフシーズンのパパダキス選手の脳振とうによってGP出場は叶わなかったパパダキス&シゼロン組ですが、今季はGP初戦にしてこの仕上がりと、世界選手権3連覇へ向けて最高のスタートを切りましたね。次戦はファイナル進出が懸かるNHK杯ですが、元世界王者のテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組とマッチアップということで、はたしてどちらが勝つのか楽しみでなりません。フランス杯優勝、おめでとうございました。
 2位はアメリカのマディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組です。ショートはステップやツイズルがレベル2にとどまり3位発進。しかしフリーでは大きな取りこぼしなく自己ベストに迫る得点で2位、総合2位と順位を上げました。
 SDで得点を伸ばすことができなかったため、トータルスコアではスケートアメリカより低い得点にはなりましたが、順位はアメリカと同じ2位ということで2年連続のファイナル進出に向けて大きく前進しました。ファイナルで表彰台に乗るためにはGP2戦からさらなるレベルアップ、得点アップが必要とされますから、その点に期待したいですね。
 3位はカナダのパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組。ショートではツイズルで女性のギレス選手がバランスを崩してしまう大きなミスがあり4位と出遅れ。しかしフリーでは目立ったミスなく演技をまとめて挽回し、総合3位と銅メダルを獲得しました。
 スケートカナダに続き2戦連続での3位ということでファイナル進出が厳しくなりました。今大会はスケートカナダよりパフォーマンスもスコアも下がってしまったので、カナダ選手権に向けて今大会で得た課題を修正して二人らしい演技をまた見せてほしいですね。



 ということで、フランス杯2016の記事は以上で全て終了です。
 女子は有力選手が下位に沈むなど波乱あり、表彰台に乗った3人は次の時代を引っ張っていくであろう若い顔ぶれで、新世代の勢いを否応なく感じさせられましたね。
 一方、アイスダンスは世界チャンピオンが揺るぎない強さを発揮して、改めて向かうところ敵なしの状況を示しました。
 次戦はGP5戦目の中国杯。10月下旬に始まったGPもあっという間に5戦目ということで、毎年のことながら時間の流れの速さを感じます。では。


:記事冒頭の女子メダリスト3選手のスリーショット写真、永井選手のフリーの写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、メドベデワ選手の写真、ソツコワ選手の写真、樋口選手のSPの写真、デールマン選手の写真、朴選手の写真、ルカヴェリエ選手の写真、浅田選手の写真、アイスダンスメダリスト3組の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、樋口選手のフリーの写真は、AFPBB Newsが2016年11月13日の8:37に配信した記事「樋口が3位表彰台、メドベデワが優勝 フランス杯」から、永井選手のSPの写真は、AFPBB Newsが2016年11月12日の9:24に配信した記事「メドベデワとフェルナンデスがSP首位発進、フランス杯」から引用させてただきました。

【ブログ内関連記事】
フランス杯2016・男子&ペア―ハビエル・フェルナンデス選手、2週連続優勝 2016年11月14日


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by hitsujigusa | 2016-11-17 16:19 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 GPシリーズ第4戦、フランス杯2016が首都パリにて行われました。ここからGPもいよいよ後半戦に突入し、ファイナル出場者の枠も少しずつ埋まってくるわけですが、それはさておいてまずはフランス杯の男子とペアの結果についてお伝えします。
 男子を制したのは世界チャンピオン、ハビエル・フェルナンデス選手。先週のロステレコム杯に続き連戦となりましたが、見事コンスタントにエレメンツを揃えて2週連続優勝を果たしました。銀メダルを手にしたのはソチ五輪銅メダリストのデニス・テン選手、そして3位にはアメリカ王者のアダム・リッポン選手が入りました。
 ペアはこちらもロステレコム杯から2週連続出場だったドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組が優勝しています。

ISU GP Trophee de France 2016 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 優勝はスペインのハビエル・フェルナンデス選手です。

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 SPはまず4トゥループから、回転はしっかり回り切っていましたが転倒となります。ですが、直後の4サルコウ+3トゥループはきれいに決めてすぐに挽回。後半の3アクセルも完璧に成功させ、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と世界王者らしい落ち着いた演技を見せました。得点は96.57点でシーズンベストを更新し首位に立ちました。
 フリーも冒頭は単独の4トゥループ、これを今度はパーフェクトに成功させ好スタートを切ると、続く4サルコウからのコンビネーションはファーストジャンプの着氷で若干詰まったため2つ目は2トゥループになりますが大きな乱れなくまとめます。さらに3アクセル+2トゥループも下ります。後半最初は4サルコウ、これは着氷でこらえますが成功。直後の3アクセルは珍しく転倒し、3フリップからの3連続ジャンプも2+1+3にとミスが続きますが、最後の3ループは難なく着氷し、フィニッシュしたフェルナンデス選手は安堵したように微笑みました。得点は188.81点でフリー1位、トータルでももちろん1位で、先週のロステレコム杯に続き優勝を手にし、3年連続でのファイナル進出を決めました。
 ロステレコム杯から2週続けての出場ということで疲労もあったとは思うのですが、その中でさすがの演技でしたね。ショート、フリーそれぞれで1度ずつ転倒があり得点的には先週よりも落ちましたが、それもやはり疲労の影響などちょっとしたズレで、ファイナルに向けてはさほど心配はないでしょう。ファイナルまでは3週間以上あるので、時間的にも余裕を持って調整できるでしょうし、フリーのステップシークエンスやスピンでレベルを取りこぼした部分もまたしっかりブラッシュアップしてくるのではないかと思います。ファイナルでもぜひ、フェルナンデス選手らしい演技を楽しみにしたいですね。フランス杯優勝、おめでとうございました。


 2位はカザフスタンのデニス・テン選手です。

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 SPはモダンアレンジの「バレエ「ロメオとジュリエット」より」。冒頭は単独の4トゥループから、これを着氷で手をつきそうになりながらもこらえて最小限のミスに抑えます。続く3+3はパーフェクト。後半の3アクセルもクリーンに決めると、終盤のステップシークエンスではテン選手らしい激しい全身の動きと精密な足元の動きが融合した複雑な滑りを見せ加点2.1点を獲得。得点は89.21点で3位と好発進します。
 フリーは「オペラ「トスカ」より」。まずは得点源となる4トゥループをショートよりもクリーンに着氷すると、続いて3アクセル+2トゥループもノーミスで下り、3サルコウも問題なく成功し、前半は申し分ない内容。ステップシークエンスかと見まごうほど密度の濃いコレオシークエンスをこなして後半、まずは3フリップ、3アクセルとそれぞれ単独ジャンプをきれいに成功。続く3+3、3+2、3ループと全てのジャンプをクリーンに下り、疲労の溜まる終盤のステップシークエンスでも自由自在に全身を使ったキレキレな動きで1.8点の加点を獲得し、演技を終えたテン選手は力を使い果たしたように氷に片手をつきました。得点は180.05点でフリーも3位、総合では2位と、自身初となるGPの銀メダルを獲得しました。
 怪我の影響でスケートアメリカの出場を辞退したテン選手。故障明けということに加え、元々テン選手はスロースターターなのであまりジャンプの仕上がりに関しては期待していなかったのですが、予想以上によくまとまっていて驚きましたね。SPとフリーでマイナスが付いたのはショート冒頭の4トゥループだけ。そのほかのエレメンツでは軒並みコンスタントに加点が稼げていて、この時期のテン選手でここまで仕上がりが良いのは正直初めてくらいかもしれません。特に圧巻だったのはステップシークエンス。細かく深いステップを刻みながら上半身は激しく上下左右に動かし、それでいて姿勢は常にピンとして微塵も揺るがないというテン選手にしかできない滑りをしていて、ショートとフリー合わせて全選手中、最もステップシークエンスで得点を稼ぎました。今季からテン選手はコーチ陣に新たにニコライ・モロゾフコーチを迎え、振り付け師もモロゾフコーチに変更したことで、今までも素晴らしい表現、ステップを多々見せてきたテン選手ですが、新たな魅力、さらなる進化を見せてくれるのではないかなと思いますね。あとは今後怪我なく無事にシーズンを送ることさえできれば、さらに完成度の高い演技も見られるでしょうから、これ以上怪我がないことを願うばかりですね。


 3位となったのはスケートアメリカで3位だったアダム・リッポン選手です。

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 ショートはまず3+3をクリーンに下りると、続く3アクセルも確実に成功。両手を上げて跳ぶ後半の3ルッツもしっかり跳び切り、得意のスピンも全てレベル4。4回転を外したプログラムを堅実に、丁寧に演じ切りました。得点は85.25点で4位の好位置につけます。
 フリーは冒頭に4トゥループに挑戦、完璧に回り切ってランディングも美しく着氷します。続く3+3、3サルコウも問題なく成功し、最高の形で前半を終えます。後半はこちらも重要な3アクセルをコンビネーションにして成功。直後の単独の3アクセルもクリーンに下り、3ルッツからの3連続ジャンプ、3ループ、そして代名詞の“リッポン・ルッツ”と全てのジャンプを予定どおりに成功。フィニッシュしたリッポン選手は満面に笑みを浮かべ、観客からの拍手喝采にガッツポーズで応えました。得点はパーソナルベストとなる182.28点でフリー2位、総合3位と順位を上げました。
 ショート、フリーともに非の打ちどころのない本当に素晴らしい演技でしたね。特にフリーは今までなかなかクリーンに入らなかった4回転が久しぶりに成功し、その大成功がその後のエレメンツ、表現にも波及してリッポン選手の感情が滲み出るような演技だったと思います。27歳にしてスケート人生最高の時を迎えているリッポン選手ですが、まだまだここから伸びていける可能性も感じられましたし、今大会の演技に関してもステップシークエンスがレベル3にとどまるなど、まだ得点を伸ばせる部分も多くあると思うので、次の試合が楽しみですね。ファイナルに行けるかどうかは他の選手の結果次第で微妙なところではありますが、個人的には彼の演技をぜひファイナルで見たいという気持ちもあります。次戦がどの試合になるにしろ、リッポン選手のペースで、この調子を維持して調整してほしいなと思います。


 惜しくも4位だったのはアメリカの新星ネイサン・チェン選手。

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 SPは「バレエ「海賊」より」。冒頭は大技4ルッツ+3トゥループ、これを完璧に回り切って成功させます。続いて4フリップ、これは着氷で若干こらえますが問題なく成功。最高のスタートとなります。後半の3アクセルはパンクして2回転となりますが、スピンやステップシークエンスも大きな取りこぼしなくまとめ、歴史的な演技を躍動感たっぷりに演じ切りました。得点は92.85点と自己ベストを上回り、2位と好発進します。
 フリーは「オペラ「トスカ」より」。まずはショートと同じ4ルッツ+3トゥループから、これをショート以上のクオリティーで下り高い加点を得ます。さらに続く4フリップも完璧な出来で加点2.14と高評価。次は3アクセルの予定のところ急遽変更して4サルコウに挑みましたが軸が曲がり転倒。続く4トゥループも転倒と大きなミスが相次ぎます。後半に入り最初のジャンプも予定を変えて2本目の4トゥループ、氷に手をつきコンビネーションにはなりません。次の2アクセルはクリーンにまとめ、3+3+2の難しい連続ジャンプも着氷を乱しながらもこらえます。最後の3ルッツはクリーンに跳び切り、驚異的な構成のプログラムを終始アグレッシブに演じ終えました。得点はパーソナルベストの171.95点でフリー4位、総合4位と表彰台には届きませんでした。
 メダルには及ばなかったとはいえ、男子では間違いなく最も衝撃的でインパクトに満ちた演技でした。4回転の中でも最も難しい4ルッツからのコンビネーションと4ルッツに次いで難しい4フリップをあっさりと成功、しかもただ跳ぶだけではなくクオリティーも文句なしという内容で、本当に男子は新時代に突入したんだなというのを改めて強く感じさせられるワンシーンになりましたね。それだけにフリーはまとめるのが難しいプログラムにもなっていて、今後もハイリスクの構成でいかに大崩れせずにまとめ上げるかというのが最大の課題になってくるでしょう。ただ、2度の転倒という大きな失敗が複数あってもそれ以外の部分で十分に補える構成にもなっているので、ミスはミスでもパンクでなければ技術点はある程度稼げるという意味において相当な強みを持っている選手と言えます。この試合をスタートとして、これからどこまで進化していくのだろうと楽しみでもあり、凄すぎて恐くもありますね。そんなチェン選手の次戦はNHK杯。世界をリードする羽生結弦選手にどこまで迫れるかに注目ですね。


 5位に日本のベテラン、無良崇人選手が入りました。

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 ショート冒頭は4トゥループからのコンビネーションでしたが、ファーストジャンプで転倒してしまいます。直後の代名詞3アクセルは圧巻の高さとクリーンなランディングで加点2。後半の3+3は着氷が乱れ、終盤のスピンでも減点を受けるなど細かなミスが最後まで散見され、演技を終えた無良選手は悔しそうに顔を曇らせました。得点は78.38点とスケートカナダよりも低いスコアに留まり、6位となります。

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 フリーも冒頭は4トゥループの連続ジャンプから、これをファーストジャンプの着氷で詰まりながらも2トゥループを付けてしっかり跳び切ります。続く単独の4トゥループはクリーンに着氷。さらに得意の3アクセルは完璧に決めて加点2と前半はほぼノーミスでまとめます。ステップシークエンスでは緩やかなオーケストラの旋律に乗せて繊細にステップを踏みレベル4を獲得。後半はまず今季から挑戦している4サルコウの予定でしたが、回避して3サルコウを確実に成功させます。続いて3アクセル+3トゥループもパーフェクト。3ループは難なく下りますが、3フリップ+1ループ+3サルコウはフリップのエッジエラーと3つ目が2回転になるミスが重なります。最後の3ルッツでも珍しく転倒しますが、最後までスピード感に満ちたダイナミックな演技を披露し、無良選手自身も納得したような表情を見せました。得点はシーズンベストとなる170.04点でフリー5位、トータル5位と順位を上げました。
 前回のスケートカナダではSPで演技が小さく縮こまったものとなり、フリーでは当日の捻挫によりジャンプに苦戦するなど、消化不良に終わった無良選手。今大会の演技はその悔しさを晴らすのに十分な出来だったのではないでしょうか。ショートこそ複数のミスが重なりもったいない内容でしたが、フリーは4回転2本、3アクセル2本がしっかり入り、ステップシークエンスもレベル4に認定されるなど、スケートカナダよりだいぶ磨き上げられた印象を受けました。フリーの「ピアノ協奏曲第2番」は前半がゆったりとしたスローパートになっていますが、そういった今までの無良選手のイメージにあまりない曲調の部分も、オーケストラの小さな音もよくとらえて繊細な表現ができているなと感じましたし、新たな無良選手の一面を開拓するプログラムになりそうで楽しみです。
 無良選手の次戦は世界選手権の選考会となる全日本選手権。今後はアメリカに渡ってプログラムに修正を加えるそうなので、さらなるブラッシュアップに期待したいですし、無良選手の今の実力を持ってすれば全日本の表彰台はかなり近いところにあると思うので、頑張ってほしいですね。


 6位となったのはベルギーのヨリク・ヘンドリックス選手。

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 SPは「Broken Vow」。まずは得点源の3アクセルでしたが、着氷で乱れ減点となります。後半に2つのジャンプ要素を固め、3+3は着氷でこらえます。最後の3ループはクリーンにこなし、スピンやステップシークエンスは丁寧な実施で軒並み高い加点を獲得。自己ベストとなる80.34点で5位と好位置につけます。
 フリーは「The Battle of Life and Death」。まずは3アクセル+2トゥループを綺麗に成功させて良い滑り出しを図りますが、続く単独の3アクセルは転倒となります。しかし直後の3サルコウは問題なく下りてすぐに切り換えを見せます。後半に入り最初の3+3+2をきっちり着氷。次の3ルッツはパンクしてダブルとなりますが、3フリップは何とか着氷。以降の3+2、2アクセルはクリーンに下り、そのほかのエレメンツも目立った取りこぼしなく滑り切りました。得点は150.13点でフリー8位、総合6位でフィニッシュしました。
 GP開幕戦のスケートアメリカに続き、自身初のGP2試合出場となったヘンドリックス選手。細かなジャンプミスがチラホラ見受けられ得点は伸びませんでしたが、全体的なスケーティングだったりスピンだったり、ジャンプ以外の部分での緻密さや優雅さが印象に残りましたね。今後さらにステップアップするためにはやはり4回転を取り入れなければならないでしょうが、まずは今組み込んでいるトリプルジャンプをよりクリーンに精度高くまとめることが優先課題になると思うので、シーズン後半に向けてジャンプの安定、プログラムの完成度に期待したいですね。



 さて、ここからペアの結果についてです。

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 金メダルを手にしたのはドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組。SPは大技のスロー3アクセルでミスがあったもののほかのエレメンツをまとめてパーソナルベストで首位発進。フリーは全てのジャンプ要素でミスがあり得点は伸ばせませんでしたがショートのリードを活かして逃げ切りました。
 上述したフェルナンデス選手らと同じくロステレコム杯に続き2週連続の試合となったサフチェンコ&マッソ組。その影響かフリーはジャンプの乱れが多くありましたが、その中でもまとめるべきところはしっかりまとめて優勝は逃しませんでしたね。サフチェンコ選手が負傷したとのことでエキシビションは不出演となり、今後が少し心配ですが、このペアとしては初めてとなるファイナルでの演技を楽しみにしたいですね。フランス杯優勝、おめでとうございました。
 2位はロシアのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組。ショートで自己ベストを更新する演技を見せ2位につけると、フリーでは小さなミスがいくつかあって自己ベストに近い得点をマークし、銀メダルを獲得しました。
 GP初戦のスケートアメリカでは3位だったタラソワ&モロゾフ組。その時より内容的にも得点的にもしっかりレベルアップして存在感を示しましたね。スケートアメリカの3位と合わせて合計24ポイントとなり、まだファイナル確定とまでは言えませんが可能性は高いのではないかと思いますね。
 3位に入ったのは地元フランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組。SPはスロージャンプやツイストリフトでミスがあったものの自己ベストに極めて近いスコアで4位。フリーは大技のスロー4サルコウなどでミスがありつつも大きなミスとしてはそれくらいで全体をまとめ上げ、ショートから1つ順位を上げました。
 GP初戦のスケートアメリカではフリーで大崩れしてしまったジェームズ&シプレ組ですが、そこからしっかり立て直して自国開催の大会に合わせてきましたね。このペアは昨年のこの大会でも2位となっていますが、ご存知の通り昨年はテロ事件の影響でショートのみで大会が終了してしまったので、実質的にはこれが初めてのGPのメダルとなります。自国開催のGPで表彰台に乗れたことは今後に向けて大きな自信と励みになるでしょうから、シーズン後半のジェームズ&シプレ組の活躍を期待したいですね。



 会場の体育館の改修工事によって2013年を最後にパリから離れていたフランス杯。実に3年ぶりのパリ開催となったわけですが、大会の名称も昨年まではスポンサー企業の名を冠してエリック・ボンパール杯だったのが、今年からその“エリック・ボンパール”がスポンサーを降りたということでシンプルにフランス杯と変わり、いろんな意味でフレッシュな大会となりました。
 会場が新しくなった影響なのかどうかはわかりませんが、リンクの氷がところどころ溶けて水が浮いているのがテレビの画面越しにもはっきりわかり、特にジャッジ席から見て左上の部分はフェンスの広告が鏡のようにくっきり映るほど水たまりになっていて、フェルナンデス選手や無良選手がその部分で転倒した際には水しぶきが上がるほどで、リンク状態の悪さが選手たちのスケートにどれくらい影響したかはわかりませんが、今大会の中で残念なポイントでしたね。
 次の記事では女子とアイスダンスについて書きますので、しばしお待ちください。


:記事冒頭の男子メダリスト3選手のスリーショット写真、ヘンドリックス選手の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、フェルナンデス選手の写真、テン選手の写真、チェン選手の写真、無良選手の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」から、リッポン選手の写真は、AFPBB Newsが2016年11月13日の9:43に配信した記事「フェルナンデスが2週連続優勝、フランス杯」から、ペアメダリスト3組の写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
フランス杯2016・女子&アイスダンス―エフゲニア・メドベデワ選手、シーズンベストで優勝 2016年11月17日


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by hitsujigusa | 2016-11-14 21:13 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ロステレコム杯2016、男子とアイスダンスに続き、女子とペアの記事です。
 女子を制したのは地元ロシアのアンナ・ポゴリラヤ選手。ショート、フリーともに1位の完全優勝となりました。2位は同じくロシアのエレーナ・ラディオノワ選手、3位はアメリカのコートニー・ヒックス選手となっています。
 ペアは世界選手権2016銅、ドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組が初めてGPの頂点に立ちました。

ISU GP Rostelecom Cup 2016 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 優勝は世界選手権2016の銅メダリスト、アンナ・ポゴリラヤ選手です。

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 SPは「映画『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』より」。冒頭は得点源の3ルッツ+3トゥループ、これをパーフェクトに下りると、2つのスピンを挟んだ後半、3ループ、2アクセルと難度の低いジャンプを確実に決め、終盤のステップシークエンスではレベル4に加え高い加点を稼ぎ、自己ベストに0.05点と迫るハイスコアで首位発進しました。
 フリーは「映画『モディリアーニ 真実の愛』より/Le Di a la Caza Alcance/Memorial Requiem」。まずは前日綺麗に成功させた3ルッツ+3トゥループを再びクリーンに着氷し、1.4の高い加点を得ます。続く3フリップは問題なく着氷したものの踏み切りのエッジエラーを取られて減点。しかし直後の2アクセルを決めて、前半を良い流れで終えます。中盤のステップシークエンス、スピンはレベル4をしっかり揃え、後半の得点源となる3+1+3、これもきっちり成功。その後も3+2、3ループ、2アクセルと全ジャンプをクリーンに跳び切り、フィニッシュしたポゴリラヤ選手はガッツポーズで喜びを爆発させました。得点はこちらもパーソナルベストに0.53点と迫る得点でフリーも1位、トータルでは約1点パーソナルベストを更新して215.21点というハイスコアを叩き出し、GP3度目の優勝を手にしました。
 良い時と悪い時の差がハッキリしているタイプのポゴリラヤ選手ですが、今回は見事に全てがハマって良い方のポゴリラヤ選手が出ましたね。10月初旬のフィンランディア杯では背中にテーピングをしている姿も見られて、その影響もあったのか演技内容も振るいませんでしたが、それから約1か月で自国開催の大会にしっかり合わせてきましたね。ハマった時のポゴリラヤ選手というのは本当に強いので、もちろん毎試合ピークを持ってくるのは無理だと思いますが、次のNHK杯でもある程度以上のレベルの演技ができれば、優勝争いをすることは間違いないでしょう。ファイナル進出が懸かる日本のエース、宮原知子選手にとっては手ごわいライバルになりそうですね。ロステレコム杯優勝、おめでとうございました。


 2位は昨年のファイナル銅メダリスト、エレーナ・ラディオノワ選手です。

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 SPは「オペラ「ポーギーとべス」より」。冒頭は大技3ルッツ+3トゥループをきちんと決めて好スタートを切ります。後半に2つのジャンプを固め、まず3ループは難なく成功させましたが、若干苦手としている2アクセルは着氷が乱れ減点。しかし全体的には躍動感に満ちた軽快な演技で、71.93点と自己ベストをマークし2位につけました。
 フリーは定番の「オペラ「トゥーランドット」より」。まずはSPで完璧に決めた3ルッツ+3トゥループでしたが、3ルッツがこらえる着氷となったため単独にします。しかし、次の3フリップに急遽3トゥループを付けてすぐにリカバリー。後半は5つのジャンプ要素を集中させた難度の高い構成で、まずは3+1+3の難しい3連続ジャンプをクリーンに下ります。続く3ループは着氷でミス。2アクセルは決めますが、3ループは回転不足で着氷し転倒となります。最後の2アクセルは成功させ、「トゥーランドット」の情熱的なメロディに乗せて力強く演じ切りました。得点は123.67点でフリーも2位、総合も2位となりました。
 ショート、フリーともにちょこちょことほころびが散見されましたが、ラディオノワ選手らしい表情の豊かさ、表現のバリエーションの豊富さは存分に発揮された演技だったと思います。気づけばラディオノワ選手もGP参戦4季目の17歳で、まだ17歳かと思うと同時に、もうこんなに大きくなったんだと驚かされもして、実際に身長は国際スケート連盟の公式プロフィールでは167cmとポゴリラヤ選手と同じ身長となっていて、あの小さくてコロコロと可愛かった女の子がと感慨を覚えたりもします。身長がそれだけ伸びているということはジャンプのコントロールも相当大変なはずなのですが、ラディオノワ選手の場合、長期に渡ってジャンプのバランスを崩すという姿はまだ見られず、ロシア女子の中でも最強と言ってよい安定感には脱帽します。修正能力の高い選手なので、今大会で得た課題も次戦までにはしっかり対応してくるんじゃないかなと思いますし、そうなれば自身のファイナル出場記録もまた伸びることになるので、楽しみにしたいですね。ラディオノワ選手の次戦は中国杯です。


 銅メダルを手にしたのはアメリカの成長株コートニー・ヒックス選手です。

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 SPは「映画『マレフィセント』より」。冒頭は得点源の3フリップ+3トゥループを確実に成功。後半の3ループ、2アクセルも問題なく決めます。終盤のステップシークエンスでは氷に足を取られる場面があり加点を稼ぐことはできませんでしたが、スピンは全てレベル4を獲得するなどそつのない演技を見せ、自己ベストに近い63.68点で6位となりました。
 フリーは「映画『ノートルダムの鐘』より」。まずは前日と同じ3+3の予定でしたが、ジャンプ間の流れがあまり良くなくセカンドジャンプはダブルになります。ですが、3サルコウ、2アクセルとその後の前半のジャンプはクリーンに着氷。後半はまず最初の3ルッツを正確なエッジで跳びますが、続く3ループ+2トゥループは2つ目が1回転に。しかし3ループ+2アクセルのシークエンスジャンプ、単独の3フリップとミスらしいミスなくエレメンツをこなし、演技を終えたヒックス選手は納得したように破顔しました。得点はパーソナルベストとなる119.30点でフリー3位、総合でも3位と順位を大きく上げ、GP2つ目のメダルを獲得しました。
 ちょっとしたミスはいくつかあったのですが、基本的に好調の中でのミスという印象で、体はよく動いていてキレのある表現が素晴らしかったですね。元々ジャンプの質は素晴らしいものがあるので、それが今回のようにある程度まとまれば常に表彰台争いができる選手であるということを演技で証明したのではないかと思います。
 次戦の中国杯は今大会の銀メダリストであるラディオノワ選手始め、前世界女王のエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手、世界選手権銀メダリストのアシュリー・ワグナー選手、スケートカナダ銀メダリストのケイトリン・オズモンド選手、スケートアメリカ銅メダリストの三原舞依選手ら強敵が揃うので、表彰台に乗るだけでも至難の業ですが、その中でメダルを手にするためにはミスをさらに減らすことはもちろん、一つ一つのエレメンツの質を磨くことも必要になってくるでしょうね。ヒックス選手らしいダイナミックなジャンプを中国杯でも大いに披露してほしいと思います。


 表彰台まであと一歩の4位だったのは中国の李子君(リ・ジジュン)選手です。

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 SPは「Le Diable Matou」。まずは3トゥループ+3トゥループをパーフェクトに成功させて良い出だしを見せると、続いて3フリップもきれいに着氷。後半の2アクセルも難なく下り、3つのスピンも全てレベル4。大人っぽさの増した艶やかさの光る演技で観客を魅了しました。得点は自己ベストまで1点余りとなる63.89点で5位の好位置につけます。
 フリーは「Only For Love 映画『女帝[エンペラー]』より」。まずは2アクセル+1ループ+3サルコウの3連続ジャンプから、これをしっかり回り切って下ります。続く2アクセル+3トゥループも決めますが、踏み切りのエッジに課題がある3ルッツはエッジは正確だったものの回転が抜けて2回転になります。後半はまず3ループをクリーンに成功し、続けて3+2、3フリップ、3サルコウと細かな回転不足は取られながらも着氷。スピンはショート同様にレベル4を揃え、透明感のある女性ボーカルの中国語の歌声に乗って伸びやかに滑り切りました。得点は117.94点でフリー4位、トータルでは惜しくも表彰台に約1点及ばず、4位となりました。
 ショートもフリーも李選手らしさ満載で、それに加えて20歳目前という年齢になったからこその艶やかさがそこここから感じられて良かったですね。SP、フリーともに演技後の李選手は浮かない表情をしていましたが、シーズン序盤という早い時期にしては十分良い演技だったと思いますし、スタミナ面が課題だったフリーも極端にスピードが落ちることもなく地道な努力が実を結んできたのかなという印象を受けました。
 まだ細かい回転不足など修正点はありますが、ここからさらに調子を上げて、次戦の中国杯では満足いく演技をして満面の笑みを見せてほしいなと思います。


 5位に入ったのはカザフスタンのエリザベート・トゥルシンバエワ選手です。

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 SPは昨シーズン途中から使用している「アイ・ガット・リズム」。まずは高難度の3ルッツ+3トゥループを完璧に下りると、1つのスピンを挟んだ後半、3ループもクリーンに成功。最後の2アクセルは着氷後にスケート靴のエッジが氷に引っかかる形で転倒してしまい、それが影響したのか直後のスピンでも回転が遅くなるミスが出てしまいます。しかし最後までトゥルシンバエワ選手らしくシャープな動きで軽快なジャズナンバーをリズミカルに演じ切りました。得点は64.31点でパーソナルベストをマークし、4位と好発進しました。
 フリーは「映画『もののけ姫』より」。冒頭の3ルッツ+3トゥループをショート同様にしっかり成功させ、続く単独の3ルッツも判定では回転不足とされたものの目立ったミスなく着氷。後半はまず3フリップをこらえながらも着氷しますが、大技の3サルコウ+3トゥループはセカンドジャンプが2回転となります。その後も3ループ、2アクセル+2トゥループと着氷での細かなミスが相次ぎますが、終始勢いの衰えない演技でエネルギッシュにフィニッシュしました。得点は117.01点でフリーは5位、トータルでも5位で大会を終えました。
 ジャンプミスやスピンでの取りこぼしなどさらなるブラッシュアップが必要な箇所はいくつかあったと思いますが、小さな身体からは想像もつかないほどのスピード感と躍動感は相変わらずで、そういった意味でトゥルシンバエワ選手らしさは十二分に出ていましたね。ただ、気になったのは演技の緩急で、ショートの「アイ・ガット・リズム」は小気味よいジャズナンバーなので体を目一杯使ったキビキビした動きがぴったり合っているのですが、フリーの「もののけ姫」は壮大な世界観のプログラムなので、もう少し緩急の“緩”の部分が上手になると、より表現の幅が広がって見栄えがするのかなと感じましたね。今シーズンはシニア2年目なので、ルーキーだった昨季との違い、変化に注目して見ていきたいですね。トゥルシンバエワ選手の次戦はNHK杯です。


 6位となったのは今大会がGPデビューとなった日本の松田悠良選手です。

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 SPは2シーズン前から使用している「映画『ピアノ・レッスン』より」。まずはステップシークエンスから始まる斬新な構成で、続いて2アクセルを難なく成功。後半に入って得点源となる大技3ループ+3ループに挑みますが、2つ目がアンダーローテーション(軽度の回転不足)となります。直後のスピンで回転が不十分となるミスがありましたが、最後の3フリップはパーフェクトに決めて、笑顔で演技を終えました。得点は61.57点で7位発進となりました。

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 フリーは「スパニッシュ・キャラバン」。冒頭はオリジナルの3連続ジャンプである2アクセル+3トゥループ+3ループ、きれいに着氷しましたが2つ目がアンダーローテーションと判定されます。続く3フリップも問題なく着氷し、前半は上々。後半に5つのジャンプ要素を固め、その1つ目の3ルッツはエッジエラーで減点。しかし、その後の2アクセル、3+2、3+2は全てクリーンに成功。最後の3サルコウも完璧に着氷したかに見えたもののアンダーローテーションを取られますが、見た目には大きなミスなく全てのジャンプを予定どおりに跳び切り、松田選手は柔らかな笑みを浮かべました。得点は自己ベストとなる116.08点でフリー6位、総合6位に順位を上げて初めてのGPを終えました。
 これがGPデビューとは思えないくらい落ち着いた演技で安心して見ていられましたね。3ループ+3ループ、2アクセル+3トゥループ+3ループといったほかであまり見られないおもしろい組み合わせのコンビネーションジャンプに果敢に挑んでいて、しっかり松田選手の個性をアピールできたのではないかと思います。また、表現面でも3季連続で演じることになる「映画『ピアノ・レッスン』より」は冒頭からしっかり指先まで音楽と調和して美しかったですし、しっとりしたショートから一転、情熱的なフリーも華やかな雰囲気を持ち合わせている松田選手によく合っているなと感じました。次のNHK杯でも思い切りの良い演技を楽しみにしています。


 日本の村上佳菜子選手は11位となりました。

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 SPはまず単独の3フリップから、これは着氷がアンダーローテーションで減点となります。後半に組み込んだ3トゥループ+3トゥループも2つ目がアンダーローテーションとなりますが、苦手の2アクセルはしっかり跳び切り、最後まで元気いっぱいに溌剌と滑り切りました。得点は55.25点で10位となります。

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 フリーはまず3ループからでしたが、着氷こそしたもののダウングレード(大幅な回転不足)となります。続く得意の3サルコウはきれいに成功。ですが、3フリップはまたもやダウングレードと同じミスが重なります。後半は2アクセルからのコンビネーションジャンプを決めて勢いをつけたいところでしたが、パンクして1回転に。さらに3+2はファーストジャンプがダウングレードになり、3+2+2はクリーンに下りたものの、最後の2アクセルはこちらも1アクセルにとミスが続き、村上選手は苦笑を浮かべました。得点は95.78点でフリー11位、総合11位と順位を落としてしまいました。
 GP初戦のスケートアメリカから状態を上げたいところでしたが、今大会も練習からあまり調子が上がらなかったようで、残念ながら本来の村上選手の演技を見ることはできませんでしたね。フリーのキス&クライで笑顔を見せるなど、村上選手本人は自分自身の現状を受け止めた上で点数にも納得しているようでしたが、もっと素晴らしい村上選手の演技を知っている一ファンからすると、まだまだこんなものではないはずというもどかしさも感じました。ジャンプが上手く跳べない理由については本人もわからないとのことで苦悩しているんだろうなと思うのですが、やはり良い時の村上選手のジャンプより助走スピードや跳び上がりの勢いが弱い印象を受けるので、もう少し時間をかけて改善していくしかないのでしょうね。ジャンプ以外ではフリーではスピン、ステップシークエンスと全てレベル4が取れていたので、あとはジャンプさえまとまれば全体の滑りも活かされて良くなっていくのではないでしょうか。
 今季のGPは村上選手にとって悔しい内容、結果になったと思いますが、この経験をバネにして全日本に向けて頑張ってほしいですね。



 ここからはペアについて。

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 優勝者はドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組。SPは珍しく2度の転倒があり得点を伸ばせず2位で発進。フリーでも大技のスロー4サルコウで転倒があったもののほかは最小限のミスでまとめてフリー1位、トータル1位と逆転しました。
 強豪のサフチェンコ&マッソ組にしては少しミスが多かったかなという印象もありますが、まだシーズン序盤ですから調整段階とも言えます。2週連続出場となるフランス杯ではほとんど時間がない中でいかにレベルアップしてくるかに注目して見たいですね。ロステレコム杯優勝、おめでとうございました。
 2位はロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組です。ショートは全てのエレメンツに加点がつくほぼノーミスの内容で首位に立つと、フリーはさすがにサフチェンコ&マッソ組の追い上げがあり逆転を許したものの、内容的にはミスの非常に少ない安定した演技でしっかりと銀メダルを獲得しました。
 ペア結成2季目のザビアコ&エンベルト組。GP2試合エントリーは今季が初めてになりますが、そんなに経験が少ないとは思えないような素晴らしい演技内容でしたね。今季のシーズンベストランキングでも7位に相当する高得点で、さすがペア大国ロシアの層の厚さを見せつけたのではないかと思います。サフチェンコ&マッソ組同様にフランス杯にも出場するので、この勢いを持続させられればファイナル初出場の可能性も十分にありそうですね。
 3位もロシアのクリスティーナ・アスタホワ&アレクセイ・ロゴノフ組。SPはジャンプミスに加え、レベルの取りこぼしが複数あり4位にとどまります。フリーはショートでレベルを取りこぼしたエレメンツを精度高くまとめ、ジャンプのミスも最小限に抑えて、総合3位となりました。
 GP1戦目のスケートアメリカでは5位だったアスタホワ&ロゴノフ組。その時より点数も順位もしっかりアップさせて、シーズン後半に向けてうまくコンディションを上げられているように思います。ロシアのペア界は群雄割拠なので、そこを勝ち抜いてヨーロピアンやワールドの切符を手にするのは大変でしょうが、だからこそどのペアにもチャンスがあると言えます。どのペアが抜きん出るかはまだ読めませんね。



 ロステレコム杯2016、女子&ペアの記事は以上です。予想通り女子はロシア勢が力を誇示しましたが、ペアはスケートアメリカの覇者であるジュリアン・セガン&シャルリ・ビロドー組が表彰台を逃す波乱があった一方、その隙を若手ロシアペアが突いて存在をアピールし、やはり地元ということでロシア勢が圧倒的に強かったですね。そうこうしているうちにGPシリーズ第4戦のフランス杯も開幕を迎え、この大会の結果によってファイナル出場決定者も一気に増えるでしょうし、男子、女子、アイスダンスの現世界チャンピオンが勢揃いする華やかな大会でもあり楽しみですね。では。


:記事冒頭の女子メダリスト3選手のスリーショット写真、ラディオノワ選手の写真、ヒックス選手の写真、李選手の写真、松田選手のフリーの写真、ペアメダリスト3組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ポゴリラヤ選手の写真は、AFPBB Newsが2016年11月5日の12:00に配信した記事「ポゴリラヤらロシア勢が女子SPの上位独占、ロシア杯」から、トゥルシンバエワ選手の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、松田選手の写真のSPの写真、村上選手のフリーの写真は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、村上選手のSPの写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ロステレコム杯2016・男子&アイスダンス―ハビエル・フェルナンデス選手、貫録のGP5勝目 2016年11月10日

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by hitsujigusa | 2016-11-11 18:09 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 GPシリーズ第3戦、ロシア開催のロステレコム杯が行われました。早いものでこれでGPの半分が終了したことになりますが、この記事では男子とアイスダンスの内容について書いていきます。
 男子を制したのは予想どおりというべきでしょう、2年連続世界王者のハビエル・フェルナンデス選手です。そして、銀メダルを獲得したのが日本の宇野昌磨選手、銅メダルをイスラエルのアレクセイ・ビチェンコ選手が獲得しました。
 アイスダンスでは地元ロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組が優勝をつかみ取っています。

ISU GP Rostelecom Cup 2016 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 優勝はスペインのハビエル・フェルナンデス選手です。

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 SPは昨季と同じ「マラゲーニャ」。冒頭は4トゥループ+3トゥループ、回転は十分だったもののセカンドジャンプで着氷が乱れます。続く得意の4サルコウは回転が抜けて3回転になり大幅な得点ロスとなります。後半の3アクセルはパーフェクトな跳躍と着氷で2.29点の高い加点を獲得しますが、序盤のミスが響き、91.55点で2位発進にとどまります。
 フリーは「エルヴィス・プレスリー・メドレー」。まずは単独の4トゥループ、これを完璧に成功させると、次の4サルコウ+3トゥループはファーストジャンプの着氷で多少滞ったためセカンドジャンプが2回転になりますが、しっかりと着氷させます。さらに3アクセル+2トゥループも問題なく下り、前半はほぼノーミス。後半は単独の4サルコウから入り、ジャッジのほとんどが加点3をつけるパーフェクトな出来。続く3アクセル、3ルッツ、3+1+3、3ループと全てのジャンプを予定どおりにクリーンにこなし、演技を終えたフェルナンデス選手は拍手喝采を浴びました。得点は201.43点と自身4度目となる200点超えを達成しもちろんフリー1位、トータルでも1位となり、GP5度目の優勝を逆転で勝ち取りました。
 ショートは珍しく4サルコウがパンクするミスがありフェルナンデス選手本来の実力からすると平凡な内容、得点に終わりましたが、フリーはさすが世界王者の貫録に満ちた演技でしたね。この時期にして早々と200点超えのフリーを披露し、ここをスタートとするとこのあとはどういう進化を見せてくれるのだろうと楽しみでたまりません。
 フェルナンデス選手の次戦はGP第4戦のフランス杯。2週連続での試合はフェルナンデス選手にとって初めての経験とのことなので、今大会での疲労がフランス杯にどう影響するか、フィジカル面に注目して見ていきたいと思います。ロステレコム杯3連覇、おめでとうございました。


 惜しくも2位となったのは日本の宇野昌磨選手です。

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 ショートプログラムの開幕を飾るのは代名詞の4フリップ、着氷で乱れながらもきっちり回り切って着氷します。続く4トゥループ+3トゥループはファーストジャンプの着氷で軸が若干曲がりましたが強引に3トゥループを付けて予定どおりのコンビネーションに。続く2つのスピンをレベル4で揃え、後半の3アクセルはクリーンに決めてプラス2.57点の高評価を獲得。終盤のステップシークエンス、スピンでもレベル4に加え高い加点を積み重ね、98.59点という世界歴代3位のハイスコアで首位発進しました。

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 フリーもまずは4フリップから、ショートの4フリップよりもクリーンなランディングでまとめ、しっかり加点を獲得。さらに単独の4トゥループも成功させ、3ループも難なく着氷と、前半は申し分ない内容。後半1発目は3アクセル+3トゥループでしたが、着氷が詰まり気味となったため単独に。続いて4トゥループからの連続ジャンプの予定で、4トゥループをしっかり着氷したかに見えましたがこらえきれず転倒してしまいます。ですが、直後の3ルッツを下りてすぐに立て直すと、3アクセル+1ループ+3フリップを完璧に成功させ2.14点の加点を得ます。最後の3サルコウも問題なくクリアし、1点以上の加点がつくコレオシークエンス、スピンで演技を締めくくると、観客席からは惜しみない歓声が送られました。得点は自己ベストに迫る186.48点でフリー2位、総合2位となり、スケートアメリカの優勝と合わせて男子ではいち早くファイナル進出を決めました。
 細かなミスがありながらもパーソナルベスト更新、しかも世界歴代3位のハイスコアを叩き出したショート、いくつかミスがあり最終的にはコンビネーションジャンプが1つしか入らない構成となったものの観客を引き込んだフリーと、今大会は宇野選手の成長を改めて強く感じる試合でしたね。SPの高得点に関しては私も驚きましたが、それだけ宇野選手に対するジャッジの基本的な評価が上がっているという証であったと思いますし、フリーも本来予定していたジャンプ構成から大きく基礎点の劣る内容であったにもかかわらず190点に近いスコアが出たということは、宇野選手にとっての最低限のレベルというもの自体が1年前と比べても格段に上がっているという証でもあると思います。フリーの演技について宇野選手自身は、「いつものように本番で力が湧き出る感じがしなかった」という弁を残していますが、基礎的な実力がアップしているからこそ精神的な違和感があってもこれだけの演技ができたのだと思いますし、ある意味宇野選手がトップスケーターとしての状況に慣れてきたからこそ、そういった冷めた心理状態に陥ったのかなという感じもします。どちらにしろ今回のことも一つの経験として宇野選手は必ず肥料にしてまた進化するでしょうし、出場が決定したファイナルで、自分自身が納得いく演技をしてほしいと思います。


 銅メダリストとなったのはイスラエルのベテラン、アレクセイ・ビチェンコ選手です。

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 SPは「Chambermaid Swing」。冒頭はまず3アクセルから、これを完璧に下りて1.71点の加点を獲得。さらに4トゥループもクリーンにこなして、理想的な前半に。さらに後半の3+3もきれいに着氷させ、ジャンプ要素は全て1点以上の加点がつく出来。ステップシークエンスがレベル2にとどまる取りこぼしもありましたが、ミスらしいミスのない演技を披露しました。得点は自己ベストの86.81点で4位と好位置につけます。
 フリーは「オペラ「道化師」より」。まずはショートで完璧に決めた4トゥループからの高難度連続ジャンプ、これをまたもやパーフェクトに着氷すると、続く単独の4トゥループもクリーンな跳躍と着氷で加点2を得て、さらに3ループも危なげなく着氷と、非の打ちどころのない前半となります。後半はまず単独の3アクセルを決め、続く2本目の3アクセルは着氷が乱れたところに強引に2トゥループを付けたものの、コンビネーションとは認められず単独扱いに。しかし、その後は3ルッツ、3+1+3、2アクセルと、全てのジャンプをクリーンに跳び切り、フィニッシュしたビチェンコ選手は派手なガッツポーズで歓喜を露わにしました。得点はショートに続きパーソナルベストの168.71点でフリー3位、総合3位と順位を上げ、初めてGPのメダルを獲得しました。
 ショート、フリー通してもジャンプのミスはフリー後半の3アクセルだけという安定感抜群の演技、28歳にしての大開花、とにかく素晴らしいとしか言いようがないですね。ジャンプ自体もただ跳ぶだけ、下りるだけではなくて、その多くが高い加点の付く質の高さで、こんなにきれいなジャンプの持ち主だったかなと驚かされましたね。ステップシークエンスやスピンでは取りこぼしが目立っていたので、そのあたりでは改善が必要でしょうが、まだまだ成長する予感を漂わせるビチェンコ選手なので、今後の試合にも期待したいですね。次戦はNHK杯です。


 4位は地元ロシアのミハイル・コリヤダ選手です。

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 SPは昨季からの持ち越しとなる「Nightingale Tango テレビアニメ『ヌー、パガジー!』より/John Gray」。まずは得点源となる4トゥループ+3トゥループをパーフェクトに下りて加点2の高評価を得ます。が、続く3アクセルは着氷が乱れて減点。しかし、後半の3ルッツはまとめ、ステップシークエンスはレベル3、スピンは全てレベル4と目立ったミスはなく、パーソナルベストをわずかに更新し初めての90点台に乗せ、3位と好発進します。
 フリーは「La reve de la fiancee 「La fiancee aux yeux de bois」より/A la lune シルク・ドゥ・ソレイユ「ラ・ヌーボ」より」。冒頭は単独の4トゥループ、着氷でオーバーターンとはなったもののこらえて加点に結び付けます。続いて3サルコウを確実に成功させ、3アクセル+3トゥループも着氷のわずかな乱れのみでほぼノーミスにまとめ、前半最後のジャンプ要素である3ルッツもクリーンにと、前半は上々の内容。後半もまずは3アクセルを完璧に決め前半からの良い流れを持続させましたが、続く3ルッツで転倒してしまい予定していたコンビネーションにならず。その後も3ループが2回転に、シークエンスジャンプの2アクセルが1回転に、終盤のスピン2つがレベル2と3になるなど、少しずつほころびが生じ、演技を終えたコリヤダ選手は残念そうに肩をすくめました。得点は155.02点でフリー6位、総合4位と表彰台には届きませんでした。
 SPはベストに近い演技でメダルが目の前に見えるポジションでフリーを迎えたわけですが、その分フリーは地元の期待が必要以上のプレッシャーになってしまったのかなという気がします。その中でもコリヤダ選手らしい表現というのがプログラムの端々からうかがえ、実際に大きなミスとしてはフリーの3ルッツの転倒だけだったので、さらなる伸びしろ、進化の可能性が感じられる今回の演技でしたね。今後の課題としてはプログラムをまとめることもそうですが、4回転の数ですね。今大会のフリーでは4トゥループ1本でしたが、その次に跳んだ3サルコウは4回転を跳ぼうとしてトリプルになってしまったという感じにも見えたので、この4サルコウが鍵になりそうです。もしくはシーズン初戦のフィンランディア杯と同じように4トゥループ2本というのもありうるのかなと思います。次戦のNHK杯でどんな演技を見せてくれるのか楽しみですね。


 5位はアメリカの実力者マックス・アーロン選手です。

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 SPは昨季と同じ「誰も寝てはならぬ オペラ「トゥーランドット」より」。冒頭は得点源の4サルコウでしたが、転倒となりあえなく失敗。続く3サルコウは成功させてすぐに挽回を見せます。後半の3+3もクリーンに下りてジャンプ要素は4サルコウ以外はまずまずでしたが、一方でスピンでレベルの取りこぼしやGOEでの減点が相次ぎ、また、ステップシークエンスもレベル2に抑えられたこともあって、73.62点とスコアは伸びず、順位も8位と思いがけず下位に沈みました。
 フリーは「映画『ライオンキング』より」。まずは4サルコウ+2トゥループ、ファーストジャンプのランディングで若干流れが止まりかけますが2トゥループを付けて予定どおりのコンビネーションに。続く単独の4サルコウは空中で軸が歪み着氷で軽くステップアウト、さらに3アクセルからの連続ジャンプはアクセルの着氷で詰まりながらも2トゥループに繋げます。細かな着氷ミスが続いた序盤から一転、中盤はまず3ループをきれいな流れで下りると、3アクセルもパーフェクトな着氷で加点1.86を獲得。終盤のジャンプも全てクリーンに成功させ、フィニッシュしたアーロン選手は満面に笑みを浮かべました。得点は161.94点でフリー4位、総合5位まで順位を上げました。
 結果的にはショートとフリー合わせても大きなミスとしてはショートの4サルコウの転倒くらいで、安定感という意味ではそんなに悪くなかったと思うのですが、ところどころジャンプの着氷やスピンで粗さが表れてしまったのが、やはり残念ですしもったいなかったなと思います。プログラム全体として見た時に、一つ一つは些末な粗でも、塵も積もれば山となるではないですが印象的に大きな粗さに結びついてしまうと思いますし、また、演技構成点でもそういったところが点の伸びに関わってくる気がするので、次戦の中国杯では細やかさをさらにプラスして、得点アップに繋げてほしいですね。


 6位となったのはカナダのエラジ・バルデ選手。

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 SPは「サウンド・オブ・サイレンス」。4回転を外した構成で臨み、まずは3フリップを難なく下りて好調な滑り出しを見せると、続く3アクセル、3+3と目立ったミスなく成功。後半に固めたスピンやステップシークエンスも丁寧にこなし、76.36点とパーソナルベストに近い得点をマークし6位につけました。
 フリーは「映画『ブラッド・ダイヤモンド』より」。まずはショートでは組み込まなかった4トゥループに挑み、しっかり片足で着氷しますが回転不足と判定されます。続いて3アクセル+2トゥループ、3+1+3と高難度のコンビネーションジャンプをほぼクリーンに成功させ、安定した前半となります。後半冒頭は単独の3アクセル、こちらは回転不足で着氷も詰まりますがこらえます。次の3フリップはきれいに着氷し、直後の3ループは2回転となるものの、以降の3ルッツ、2アクセル+2トゥループは問題なく下り、最後のスピンを終えてフィニッシュしたバルデ選手は拳を握り締めて喜びを表現しました。得点は149.09点でフリー8位、トータル6位とショートから順位は変わりませんでした。
 全体を通して大きなミスなく演技をまとめたバルデ選手。細かな回転不足が影響し、また、元々ジャンプ構成の難易度が低いこともあって、得点的にはさほど伸びませんでしたが、内容的には非常に素晴らしい演技でした。バルデ選手というとエキシビションでは常連の現役随一のエンターテイナーですが、今回のショートとフリーでは柔らかな表現、繊細な表現というのが印象に残って、今までの明るく活発なバルデ選手のイメージとは違う新たな一面を見ることができたように思います。次戦のNHK杯でもバルデ選手らしい演技が見られることを楽しみにしています。


 7位には日本の田中刑事選手が入りました。

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 ショートは昨季と同じ「ブエノスアイレスの春」。冒頭は大技の4サルコウでしたが、パンクして2回転となり規定の回転数を満たしていないため無得点となります。しかし直後の3アクセルは高い跳躍で綺麗に成功。後半の3+3は着氷で乱れ減点となり、演技を終えた田中選手は悔しそうに顔を歪ませました。得点は69.13点で10位と出遅れます。

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 フリーは「フェデリコ・フェリーニ・メドレー」。冒頭はショートで失敗に終わった4サルコウ、しっかり回り切りますが着氷で大幅に乱れ成功とはならず。続いて2本目の4サルコウはパンクして3回転になりますが、直後の3アクセルは完璧に決めます。後半は3+3をクリーンに下りると、3アクセルからの3連続ジャンプ、3ルッツ、3ループ、3フリップと全てのジャンプを相次いでクリア。スピンも全てレベル4を揃えるなどまとまりのある演技を見せ、155.78点でフリー5位、総合7位と順位を上げました。
 得点源の4サルコウがクリーンに入らず田中選手本人は悔しさを隠せない表情を浮かべていましたが、それ以外の部分では大崩れすることなく流れの途切れない演技になっていて田中選手の成長を感じることができました。4サルコウが入れば次のNHK杯ではさらなる上位進出も可能だと思うので、うまく調整して100%本領が発揮できる状態で臨んでほしいなと思います。



 ここからはアイスダンスです。

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 チャンピオンとなったのは元欧州王者、ロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組です。ショートで自己ベストを更新して2位の好位置につけると、FDでも大きく自己ベストを更新し、SD2位からの逆転優勝を果たしました。
 GP初戦のスケートアメリカでは細々としたレベルの取りこぼしがあり3位だったボブロワ&ソロビエフ組ですが、短期間で前回の修正点をしっかり改善して、大幅に得点を上積みしましたね。これでボブロワ&ソロビエフ組はファイナル一番乗りを決めましたし、ファイナルで初のメダルを狙う上でも、今大会の内容、得点は大いに期待が持てるのではないかなと思いますね。ロステレコム杯優勝、おめでとうございました。
 2位は先週のスケートカナダに続き2週連続でのエントリーとなったアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組です。SDは得点的にはスケートカナダには及ばないもののノーミスの演技で首位に立ちます。しかしフリーではツイズルでミスがあり得点を伸ばすことができず、トータルでは2位とボブロワ&ソロビエフ組の逆転を許す形となりました。
 2週連続でのGPというのはチョック&ベイツ組にとっては初めてのはずなので、そういった調整の難しさもあったのかもしれませんが、それでもカナダ大会と同じ2位でファイナル進出をほぼ手中に収めました。今後の世界でのポジション争い、また、国内での優勝争いというのを考えると、ここからさらに一段も二段もレベルを上げる必要があるのだろうと思いますが、ファイナルではどんな演技を見せてくれるのか期待したいですね。
 3位は2014、2015年のファイナル王者、カナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組です。SDはツイズルがレベル2にとどまり2位と点差の開いた3位発進となりましたが、FDはほぼノーミスの演技で2位、総合では3位としっかり銅メダルを獲得しました。
 GP1戦目で3位ということで、ファイナル進出に向けては次戦の中国杯でさらに上の順位を求められるのでなかなか大変な局面ではあると思うのですが、ここ2シーズンGPでは圧倒的な強さを発揮してきたウィーバー&ポジェ組なので、次の試合では今大会より完成度を高めて二人らしい演技を披露してくれるのではないでしょうか。



 ロステレコム杯2016、男子&アイスダンスの記事は以上です。
 男子は28歳にして初めてGPの表彰台を射止めたビチェンコ選手始め、今大会がGPデビューとなった23歳のゴルジェイ・ゴルシュコフ選手、24歳のアルトゥール・ドミトリエフ選手など遅咲きの選手たちが活躍した一方、シニア2年目の宇野選手に加え、今季がシニアデビューの17歳のデニス・ヴァシリエフス選手といった若手の活躍もあり、バラエティに富んだ顔ぶれでおもしろい試合でしたね。
 アイスダンスは予想どおりの表彰台のメンバーでしたが、ショートからの順位の変動もあり、意外性のある内容だったかなと思います。
 次の記事では女子とペアについて書きますので、またしばらくお待ちください。


:記事冒頭の男子メダリスト3選手のスリーショット写真、宇野選手のフリーの写真、ビチェンコ選手の写真、コリヤダ選手の写真、アーロン選手の写真、バルデ選手の写真、田中選手のSPの写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、フェルナンデス選手の写真は、スケート情報サイト「icenetwork」が2016年11月5日に配信した記事「Fernández claims third straight title in Moscow」から、宇野選手のSPの写真は、AFPBB Newsが2016年11月5日の9:00に配信した記事「宇野が自己ベストで首位発進、フェルナンデスに約7点差 ロシア杯」から、田中選手のフリーの写真は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、アイスダンスメダリストの写真は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ロステレコム杯2016・女子&ペア―アンナ・ポゴリラヤ選手、パーソナルベストで優勝 2016年11月11日


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by hitsujigusa | 2016-11-10 17:27 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 スケートカナダ2016、男子&アイスダンスの記事をお送りします。
 男子のチャンピオンとなったのは地元カナダの元世界王者、パトリック・チャン選手。昨年に続く優勝で、大会2連覇を達成しました。2位は日本のエース、羽生結弦選手、3位はこちらもカナダのケヴィン・レイノルズ選手となっています。
 アイスダンスではバンクーバー五輪金、元世界王者のテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組がGP復帰戦を優勝で飾っています。

ISU GP Skate Canada International 2016 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 優勝はディフェンディングチャンピオンのパトリック・チャン選手です。

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 SPは「ディア・プルーデンス/ブラックバード」のビートルズメドレー。冒頭はお手本のようにきれいな4トゥループ+3トゥループを成功させ加点2の高評価を得ます。しかし、苦手としている3アクセルは転倒。後半の3ルッツは問題なく下り、チャン選手にしては珍しくステップシークエンスでレベル4が取れなかったものの、スピンはレベル4を揃え、90.56点のハイスコアで首位発進となります。
 フリーは「A Journey」。冒頭はショート同様に4トゥループ+3トゥループ、これを完璧に跳びほぼ全てのジャッジがプラス3をつけます。前日失敗した3アクセルもクリーンに決めて2.14点の加点を獲得。続いて今季から取り入れている新技の4サルコウに挑みましたが、回転は十分だったものの惜しくも転倒に終わります。後半はまず単独の3トゥループを決めると、次は2本目の3アクセルからの連続ジャンプ、ファーストジャンプの着氷で乱れながらもなんとか2トゥループを付けて予定どおりに跳び切ります。続く3ループはクリーンに着氷しますが、3ルッツ、3フリップがそれぞれ2回転にパンクするミスが続き、演技を終えたチャン選手は表情を曇らせました。得点は176.39点でフリー2位でしたが、ショートのリードを活かして総合1位と逃げ切りました。
 いくつかミスはありチャン選手本人は納得いかない演技だったでしょうが、ミスがあったのは主に元々苦手にしている3アクセルや、今季初挑戦の4サルコウといったジャンプなので、致し方ない部分もあるのかなと思います。フリーの終盤で得意のジャンプが2本続けてパンクしたのは珍しかったですが、ちょっとしたタイミングのズレだと思うので、ジャンプの課題としてはやはり3アクセル、そして新たなチャレンジである4サルコウをどうまとめるかというところだけですね。スケーティングの巧さ、美しさは相変わらず抜きん出ていて、プログラムもSPの「ビートルズメドレー」は昨季のショーナンバーのアレンジなのでしっかり体に馴染んでいる感じがしましたし、フリーは同じカナダのペアスケーターであるエリック・ラドフォード選手の作曲ということですが、繊細で優しいピアノの旋律がチャン選手の優雅なスケーティングによく合っていて、どちらのプログラムも彼の魅力を引き出す作品になっていると思います。次戦の中国杯でもチャン選手らしい演技が見られることを願っています。スケートカナダ2連覇、おめでとうございました。


 2位となったのは世界選手権2016の銀メダリスト、日本の羽生結弦選手です。

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 SPはプリンスの「レッツ・ゴー・クレイジー」。冒頭はオータムクラシックで初成功させたばかりの4ループでしたが、空中で回転がほどけてダウングレード(大幅な回転不足)での着氷となります。続いてこちらも大技の4サルコウは回転が抜け3サルコウとなり、4回転は両方とも成功はならず。しかし、後半の3アクセルはいつもどおり完璧に決め、終盤のステップシークエンスではレベル4を獲得した上に、加点1.8点の高評価を得るエネルギッシュな滑りを披露しました。得点は79.65点で4位につけます。

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 フリーは久石譲さんの「View of Silence」と「Asian Dream Song」を組み合わせた「Hope & Legacy」。まずはショートで失敗に終わった4ループ、前日と同じような形での失敗となり大きく減点されます。ですが、直後の4サルコウをクリーンに下りると、スピンとステップシークエンスを挟んで行った3フリップもきっちり着氷し、冒頭のミスを取り返します。後半1発目は2本目の4サルコウ、パンクして2回転となったものの3トゥループを付けて確実にコンビネーションにします。直後の4トゥループは着氷でこらえながらも成功。その後の3アクセル+2トゥループ、3アクセル+1ループ+3サルコウ、3ルッツと全てのジャンプをノーミスで着氷し、最後までスピードを落とすことなくフィニッシュしました。得点は183.41点でフリー1位、トータルでも2位とショートから挽回しました。
 ショート、フリーともに得点源の4回転のミスが目立ち、本来の羽生選手の演技とはなりませんでしたが、シーズン初戦のオータムクラシックでフリー後半に崩れてしまった課題に関しては、かなりの改善が見られたので良かったですね。あとは4ループや4サルコウなど大技をまとめつつ、終盤まで息切れしない演技を見せるという、高難度のジャンプ構成とプログラムとしての完成度との両立が課題になりますが、まだまだシーズン序盤なので一歩一歩課題をクリアしていってほしいなと思います。表現面ではまるでエキシビションのようなノリの良さが楽しいショートと、羽生選手の持ち味である柔らかさを前面に押し出したフリーとそれぞれ全く違った羽生選手の表情が見られて、今後さらにジャンプが整ってくると、どちらも見どころたっぷりの素晴らしいプログラムになると思うので、期待したいですね。羽生選手の次戦はNHK杯です。


 3位はカナダの実力者ケヴィン・レイノルズ選手です。

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 SPは「Puutarhautuminen/Kesäillan Tvist/Muuttosarja」。冒頭は4サルコウ+3トゥループ、きれいに着氷したかに見えましたが4サルコウがアンダーローテーション(軽度の回転不足)と判定されます。続く単独の4トゥループはジャンプ自体はほぼクリーンだったものの、ジャンプ前のステップが不十分だったためか減点。ですが、直後の3アクセルはクリーンに決めます。スピンでの取りこぼしや思ったほど加点が稼げない場面はありましたが、全体的に大きなミスなくまとめ、得点は80.57点で3位と好位置につけます。
 フリーは「映画『グランドピアノ 狙われた黒鍵』より」。冒頭はショートで回転不足となった4サルコウ、これをしっかり回り切って下り好スタートを切ります。続く4トゥループ+3トゥループはファーストジャンプの着氷で詰まりますが、何とか3トゥループを付けて予定どおりのコンビネーションに。さらに4サルコウを続けますが、こちらは回転が足りずあえなく転倒。スピンとステップシークエンスを挟んだ後半、2本目の4トゥループをまずクリーンに成功させて勢いをつけると、3アクセルと2つの3+2、最後の3サルコウと、全てのジャンプをノーミスで着氷。フィニッシュしたレイノルズ選手は片手でガッツポーズし、笑顔で観客のスタンディングオベーションに応えました。得点は164.49点でフリーも3位、総合でも3位となり、自身初となるGPのメダルを獲得しました。
 数々の怪我やスケート靴の問題などの影響で、実に2012年以来のGP出場となったレイノルズ選手。ミスは複数ありましたが、全体的に彼らしいジャンプや演技がだいぶ戻ってきていて見ていて嬉しくなりましたね。かつてSPで史上初の4回転2本を成功させたレイノルズ選手はまさに現在の4回転時代を作り出した先駆者の一人とも言えます。そんな彼がただ試合に戻ってくるだけではなく、ショートで4回転2本、フリーで4本という、世界でもトップレベルの構成を携えてGPに帰ってきてくれたことが頼もしく感じられますし、これでこそケヴィン・レイノルズだと思わせられますね。4回転の成功率や演技全体のつなぎの密度などはこれからさらにレベルアップが求められるところでしょうが、ひとまず世界のトップレベルへ戻る再スタートとして、申し分ない第一歩になったんじゃないかなと思いますね。
 レイノルズ選手のGPエントリーはこの1試合のみなので、重要な試合となるカナダ選手権へ向けて良い調整ができることを祈っています。


 4位に入ったのはチェコのベテラン、ミハル・ブレジナ選手です。

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 SPは昨季と同じ「The Way You Look Tonight」。4回転を外した安全策で臨み、まずは得意の3アクセルをパーフェクトに決めて上々の滑り出し。しかし、次の3+3はセカンドジャンプがステップアウトとなり減点を受けます。後半に跳んだ3ルッツも2回転となり、規定の回転数を満たしていないため0点になり、また、スピンでも取りこぼしが見られ、70.36点で9位と出遅れてしまいます。
 フリーは「ワンス・アポン・ア・タイム・リミックス」。まずはショートでは回避した4サルコウ、回転不足ながらも何とか着氷をまとめ最小限のミスにとどめます。続く3アクセルは完璧に成功。次の3+1+3はセカンドジャンプが回転不足となった上、サードジャンプはタイミングが合わず2回転になるミスがありましたが、ジャンプ自体は大きな乱れなく着氷します。中盤のステップシークエンスとスピンをレベル4でまとめ、後半はまず3アクセル+2トゥループをクリーンに下りると、その後のジャンプも全てノーミスで着氷。演技を終えたブレジナ選手は拳を握り締めて達成感を露わにしました。得点は157.06点でフリー4位、総合でも4位と大きくジャンプアップしました。
 ミスが重なったショートから一転、フリーは序盤からジャンプが安定していて最後までブレジナ選手らしい演技を見せてくれましたね。4サルコウという大技は回転不足で結果的には不発に終わりましたが、細かな出来栄えはどうであれとりあえず下りるというのが、その後の演技の出来に影響を与えるのだろうと思います。熾烈な4回転戦争に突入した現在、4回転なしでは世界のトップレベルで生き抜くことは不可能ですが、4回転の本数が少なくても演技全体のレベルを上げる、整えるというのも必要なんじゃないかなと思いますし、ブレジナ選手もそういったタイプの選手であるように感じます。次戦の中国杯ではジャンプ構成をどうしてくるのかはまだわかりませんが、素晴らしいプログラムを磨き上げてほしいなと思いますね。


 5位はイスラエルの新星ダニエル・サモヒン選手です。

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 SPは「デライラ」。SPはまず4トゥループから、着氷が乱れますが何とかこらえて成功とします。さらに4サルコウ+2トゥループもクリーンではないものの着氷し前半はまずまずの内容。後半の3アクセルも着氷でこらえつつも成功させますが、そのほかのスピンでは回転数が足りず無得点となる場面もあり、74.62点と得点は伸びず6位発進となります。
 フリーは「The Illusionist」。冒頭はショートで成功した4トゥループ、回転は十分だったものの軸が曲がってしまい転倒します。続く4サルコウはランディングで耐えながらもきっちり着氷。3アクセルはきれいに下りたかに見えましたが回転不足となります。後半は3アクセル+1ループ+3サルコウ、4トゥループ+2トゥループなど高難度の連続ジャンプを組み込み、それぞれ回転不足やステップアウトなど細かなミスはありましたが、冒頭の転倒を取り返すような溌剌とした演技を見せました。得点は151.91点でフリー7位、総合5位となりました。
 今大会がシニアのGPデビューとなった世界ジュニア王者のサモヒン選手。大きなミスとしてはフリーの4トゥループの転倒くらいで、おおむねサモヒン選手らしさをアピールできる演技だったのではないでしょうか。ただ、1つ1つのジャンプの着氷の粗さやスピンでの取りこぼしなど全体的に雑さも散見され、今後はただエレメンツをこなすだけではなく、いかにクリーンに高い加点がつく出来栄えのものを揃えるかというのがポイントになってくるんじゃないかと思います。もちろん今回はGPデビューの試合という緊張感もあったでしょうから、次戦の中国杯ではさらにのびやかかつ本領発揮の演技を期待したいですね。


 6位はウズベキスタンのミーシャ・ジー選手です。

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 SPはローリング・ストーンズの名曲「黒くぬれ!」。冒頭は得点源となる3アクセル、空中で軸が若干曲がりながらも着氷でこらえしっかり着氷します。続いて挑戦した4トゥループは軸が斜めになった上、回転が大幅に足りず転倒。後半の3ルッツ+3トゥループはルッツの踏み切りのエッジが不正確とされわずかに減点されますが、ジャンプ自体のクオリティーは綺麗に成功。ステップシークエンス、スピンでは目立った取りこぼしなくほぼノーミスでまとめ、72.30点で7位につけます。
 フリーは「バレエ「くるみ割り人形」より」。冒頭はショート同様に3アクセルから、ショートよりも綺麗な空中姿勢、ランディングでしっかり加点を得ます。続く4トゥループはアンダーローテーションを取られたものの最小限のミスに抑え、さらに3フリップ+1ループ+3サルコウもパーフェクトに成功させます。後半も3ルッツ+3トゥループ(ファーストジャンプはエッジエラー、セカンドジャンプがアンダーローテーション)、単独の3ルッツ(エッジが不正確)など、些細な減点要素はありながらもミスらしいミスなく全てのジャンプを予定どおりにクリアし、終盤のコレオシークエンスでは加点2という高評価が与えられた上に、スピード感溢れるキレキレな滑りにフィニッシュ前から拍手喝采となり、演技を終えたジー選手は派手なガッツポーズで手応えを噛みしめました。得点は153.77点でフリー5位、総合6位と順位を上げました。
 ショート、フリーともに自身で振り付けたこだわりのプログラムで、ジー選手らしさ満載でしたね。特にフリーの「くるみ割り人形」は王道のバレエ音楽ですが、ジー選手特有のしなやかな動きに激しく情熱的な滑りが合わさり、さらにジャンプもミスを少なくできたことで観客を巻き込んだ盛り上がりを見せていて、現役随一のエンターテイナーとしての才能を存分に発揮していましたね。GP初戦でこの仕上がりですから、ここからさらにコンディションを上げてプログラムもブラッシュアップされていくと考えると、本当に楽しみだなと思います。


 日本のベテラン、無良崇人選手は8位となっています。

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 SPは「ファルーカ」。冒頭の4トゥループは着氷で大きく乱れますが、続く代名詞の3アクセルは無良選手らしいダイナミックな跳躍で2点の高加点を獲得。さらに3+3もクリーンに下りてジャンプはまずまずの出来。ですが、ステップシークエンスやスピンは取りこぼしが散見され、得点は自己ベストにはほど遠い81.24点、しかし順位的には2位と好発進しました。

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 フリーはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」。まずはショートで失敗した4トゥループから、クリーンに下りたいところでしたがランディングで大幅に乱れます。続いて2本目の4トゥループは着氷でこらえますが回転不足となり、また、連続ジャンプにできなかったこともあって大きく減点を受けます。その直後の3アクセルは完璧に決めてすぐに立て直します。ステップシークエンスとスピンを挟んだ後半、今季から取り入れている新技4サルコウに果敢に挑みますが、ダウングレードで着氷。続く3アクセル+3トゥループもセカンドジャンプがダウングレードとミスが相次ぎます。その後のジャンプでも細かなミスが重なり、演技後の無良選手は悔しそうに顔を曇らせました。得点は140.89点でフリー9位、総合8位と順位を大きく落としました。
 ショート、フリーともに無良選手らしい壮大さや躍動感があまり感じられない演技だったかなという印象ですね。ショートはほかの選手が振るわなかったこともあって順位こそ2位と上位に食い込みましたが、内容的には無良選手本来のスピード感や荒々しさに欠けていて、プログラム最大の見どころであるステップシークエンスでも慎重にこなしているという感じで、フラメンコらしい動きの激しさが鳴りを潜めていたように思います。フリーに関しては当日朝の公式練習で左足を捻挫してしまったそうで、その影響がジャンプにもろに表れてしまったのかなと思いますが、その中でも4サルコウに挑戦したことは、今後を見据える上で意義のあることだったのではないでしょうか。次戦に向けては捻挫の影響が心配ですが、平昌五輪を目標に長いスパンで今季と来季をとらえて、焦らずじっくりと現在の課題に取り組んでほしいなと思います。無良選手の次戦はフランス杯です。



 ここからはアイスダンスです。

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 優勝者は今季競技復帰した元世界王者、テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組。SDは技術点では全体の2位となったものの、演技構成点では1位で自己ベストに迫るハイスコアをマークし首位発進。FDは演技構成点では断トツだった一方、技術面ではレベルがつく7つのエレメンツのうちレベル4を獲得したのは3つにとどまり技術点は全体の3位、技術点と演技構成点を合わせたフリースコアも2位でしたが、ショートと合わせたトータルでは1位を守り、GP10勝目を手にしました。
 ソチ五輪以来競技会からは離れていたヴァーチュー&モイア組。復帰初戦のオータムクラシックでさっそく優勝、そしてGP復帰戦も優勝と華々しいカムバックを見せていますが、今回技術点ではトップを取ることはできず、ほかのカップルにとっては付け入る隙もないことはないのかなという感じもします。ただ、まだまだシーズン序盤、ヴァーチュー&モイア組もこれからさらに進化していくでしょうから、現世界王者のガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組と対決するNHK杯を楽しみにしたいですね。スケートカナダ6度目の優勝、おめでとうございました。
 2位はアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組。SDは5つのエレメンツ中4つでレベル4を獲得し、パーソナルベストで2位と好発進。フリーでもレベルがつく7つのエレメンツのうち6つがレベル4という完成度の高い演技でフリー1位、トータルスコアの自己ベストを更新しましたが、ヴァーチュー&モイア組に0.82点及ばず、惜しくも2位となりました。
 GP初戦にしてほぼ完璧と言ってよい内容でバンクーバー五輪王者をおびやかし、存在感を示したチョック&ベイツ組。国内の競争という意味でもスケートアメリカを制したシブタニ兄妹を上回る得点で、世界のトップを狙う上で申し分ないシーズンスタートとなったのではないでしょうか。
 3位はカナダのパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組。SDでパーソナルベストを更新して3位につけると、FDでは自己ベストを3点以上上回るハイスコアをマークし、銅メダルを獲得しました。
 ヴァーチュー&モイア組が復帰し、昨季以上に層が厚くなったカナダのアイスダンス界。その中で実績的には国内3番手に位置しているギレス&ポワリエ組ですが(カナダ選手権では2年連続2位)、今回の自己ベスト更新によって現カナダチャンピオンのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組とほぼ同じパーソナルベストを持っていることになり、今後の国内での争いが楽しみですね。



 スケートカナダ男子&アイスダンスは以上です。
 スケートカナダ全体を振り返ってみると、男女シングル、ペア、アイスダンスと全てにおいてカナダ勢がメダルを獲得し、しかも女子以外は全てカナダ勢が制し、2人(組)以上が表彰台に乗るという、地の利を十二分に活かした結果となりました。特に、女子のオズモンド選手や男子のレイノルズ選手など、怪我で第一線から遠のいていた選手たちが復活ののろしを上げたことは、チームカナダとしても大きな収穫ですね。
 次はロシアで行われるロステレコム杯。男子はスケートアメリカ覇者の宇野昌磨選手が登場し、ファイナル進出一番乗りが有力です。女子は村上佳菜子選手と、これがGPデビューとなる松田悠良選手がエントリー。上位進出目指して頑張ってほしいですね。


:記事冒頭の男子メダリスト3選手のスリーショット写真、アイスダンスメダリスト3組の写真は、国際スケート連盟の公式サイトから、チャン選手の写真、羽生選手のフリーの写真、無良選手のSPの写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、羽生選手のSPの写真、レイノルズ選手の写真、ブレジナ選手の写真、サモヒン選手の写真、ジー選手の写真、無良選手のフリーの写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
スケートカナダ2016・女子&ペア―エフゲニア・メドベデワ選手、圧巻のGP2勝目 2016年11月2日


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by hitsujigusa | 2016-11-05 00:19 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 GPシリーズ第2戦、スケートカナダがオンタリオ州のミシサガにて行われました。
 女子の優勝者は世界女王のエフゲニア・メドベデワ選手。圧倒的な大差をつけてGP2勝目を手にしました。2位は地元カナダのケイトリン・オズモンド選手。そして、3位は日本のエース、宮原知子選手となっています。
 ペアは世界王者のメ―ガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組がこちらも大差で制し、GP(ファイナルを除く)での連勝を5に伸ばしました。

ISU GP Skate Canada International 2016 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 女子を制したのはロシアのエフゲニア・メドベデワ選手です。

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 SPは「River Flows in You」。冒頭はスピンから始まり、続いてステップシークエンス。3つのジャンプは全て後半に固め、まずは3フリップ+3トゥループ、これを完璧に決め1.4点の高い加点を得ます。さらに3ループ、2アクセルと問題なくクリーンに跳び、終盤は再び柔軟性を活かした独創的なスピンで締め、演技を終えたメドベデワ選手は珍しく声を上げて喜びを露わにしました。得点は世界歴代6位にあたる76.24点をマークし、堂々の首位に立ちました。
 フリーは「映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』より」。冒頭はショートでクリーンに成功させた3+3、これも安定感抜群の跳躍で1.6点の高加点。続く単独の3ルッツは踏み切りのエッジが不正確とされながらも片手を上げるなど工夫を凝らしたためきっちり加点を獲得。スピンとステップシークエンスを挟んだ後半、3ループ、3フリップ、2+2+2と全く危なげなく立て続けに着氷すると、終盤の疲れる場面の3サルコウ+3トゥループも若干着氷で詰まりながらもしっかり成功。次の2アクセルはわずかに着氷が乱れて減点されますが、最後まで勢いは衰えず力強くフィニッシュしました。得点は144.41点でフリー1位となり、完全優勝を果たしました。
 相変わらず微塵の揺らぎもない貫録さえ感じさせる演技でしたね。フリーでは後半でちょっとしたミスがあってパーフェクトではなく悔しさものぞかせましたが、それでも高いレベルの中での些細なミスだったので全く心配はないでしょう。プログラムの表現面でも強いこだわりが感じられ、特にフリーは一人の女性の心情描写をいろんな展開を交えながら表現していて、シーンによって繊細に変わる表情の豊かさもそうですし、音楽の表情に合わせた体づかいの緩急もこの時期にしてかなり完成度は高かったですね。シーズン序盤にしてこのハイレベルさ、このあとのシーズンは一体どうなっていくのか、楽しみであるとともに戦々恐々とさせられます。メドベデワ選手の次戦は2週間後のフランス杯です。スケートカナダ優勝、おめでとうございました。


 銀メダルを獲得したのはカナダのケイトリン・オズモンド選手。

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 SPはエディット・ピアフの「パリの空の下/ミロール」。冒頭は得点源の3フリップ+3トゥループから、これを空中での姿勢、着氷、流れともにパーフェクトにまとめ、1.6点の高い加点を得て好調な出だしを見せると、直後の3ルッツも完璧に着氷。後半の2アクセルもクリーンに下りると、終盤のステップシークエンスではエディット・ピアフの歌声に乗った軽快かつ艶やかな滑りを見せ、フィニッシュ後は観客のスタンディングオベーションを浴びました。得点は74.33点で自己ベストを大幅に更新し、首位と僅差の2位につけました。
 フリーは「オペラ「ラ・ボエーム」より」。まずは3+3を前日同様に完璧に決め好スタート。2アクセルからの連続ジャンプはジャンプとジャンプのあいだにターンが入り減点を受けます。続く3ルッツもクリーンに着氷しますが、踏み切りのエッジが不正確なためわずかにマイナスの評価。勝負の後半、まずは3ループからでしたが、回転が足りず転倒。終盤に向けて暗雲が漂いますが、直後の3フリップはきれいに成功させてすぐに立て直すと、3+2+2、2アクセルと、全てのジャンプを予定どおりに着氷。終盤のステップシークエンス、コレオシークエンス、スピンでは全て1点以上の高い加点を獲得し、中盤のミスを忘れさせる挽回を見せました。得点は132.12点でショートに続きパーソナルベストを大きく更新。トータルでは初めて200点を超え、優勝した2012年のスケートカナダ以来となるGPのメダルを手にしました。
 いくつかミスはありましたが、以前のオズモンド選手ならミスがミスを呼んでしまうところ、今回はそういった不安定さがほとんどなく、最初から最後まで力強さに満ちていましたね。大怪我による1年の休養を経て久しぶりのGPとなった1年前のこの大会ではフリーで大崩れして11位となってしまいましたから、それから1年後のこれほどまでの素晴らしい演技、見事な復活劇には感慨を覚えました。ジャンプの数が増えるフリーをクリーンにまとめるのは今後の課題でしょうが、ジャンプ自体の質は世界でもトップレベルの美しさで、そのほかのスケーティングやスピンも含め元々総合力が高く、演技構成点での評価も高いだけに、今大会のような演技を続けることができればさらなるパーソナルベストの更新も望めるでしょうし、そうなれば日本勢にとってもかなり手強い存在になりそうです。
 オズモンド選手の次戦は中国杯。オズモンド選手らしい伸びやかな演技をまた見せてほしいと思います。


 3位となったのは日本の宮原知子選手です。

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 SPは「ムゼッタのワルツ オペラ「ラ・ボエーム」より」。まずは得意の2アクセルで幕を開け、続くステップシークエンスではレベルは3ながらもしっかりと加点を稼ぎます。そして自身初の試みとなるプログラム後半の3ルッツ+3トゥループ、完璧に跳んだかに見えましたがセカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)の判定。さらに終盤の3フリップはエッジエラーと回転不足の二重の違反を取られ大きく減点。スピンは全てレベル4でまとめて目立ったミスなく演技を終えましたが、得点は65.24点と思ったほど伸びず、順位も5位にとどまります。

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 フリーは「惑星/映画『スター・ウォーズ』より」。まずは得意の3ループをクリーンに決めると、続いてショートで回転不足を取られた3ルッツ+3トゥループを今度はきっちり回り切って跳び加点を得ます。次の3フリップは踏み切りが不正確とされ減点となりますが、ミスらしいミスなく前半は上々。後半はまず3ルッツからの3連続ジャンプをほぼノーミスで跳びますが、ファーストジャンプとサードジャンプが回転不足の判定。続く2アクセル+3トゥループは着氷で若干こらえたため加点は付かず、単独の3サルコウもクリーンに跳んだように見えたものの回転不足と、細かく減点を取られます。しかし、最後の2アクセルは問題なく跳び、ダイナミックな曲想に乗せてエネルギッシュにフィニッシュしました。得点は126.84点でフリー3位、総合でも3位と順位を上げ、見事に銅メダルを獲得しました。
 今大会は全体的に回転不足の判定が厳しめで、元々ジャンプがコンパクトな宮原選手には特に不利に働いたかなと思います。確かに回転が際どい場面もあったのですが、同じような回転の度合いでも試合によっては全く回転不足を取られない試合もあるので、最近では珍しいくらいの回転不足の多さだったですね。しかし、それ以上に驚かされたのがフリーのステップシークエンスにレベルがつかず、0点となったこと。ステップシークエンスが認定されるのに必要な要件を満たしていなかったということなのでしょうが、今季はすでに2試合でこのステップシークエンスを実施していて問題なかったわけなので、同じステップをしていてなぜ今回はダメだったのか不可解な感じがします。専門家ではないので詳しいことはよくわかりませんが、ステップシークエンスだけでも5点前後の得点になるので、大きな取りこぼしになりましたね。ただ、演技自体は生き生きとして素晴らしく、回転不足を取られたジャンプもわずかなズレだったと思うので、昨季スケートアメリカでの3位からNHK杯で優勝してファイナルの切符を勝ち取ったように、今季もNHK杯で宮原選手らしい演技を見せて今回のリベンジをしてほしいなと思います。


 惜しくも4位だったのは前世界女王、ロシアのエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手です。

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 SPはモーツァルトの「ピアノ協奏曲第23番」。まずは得点源の3トゥループ+3トゥループを確実に決めると、2つのスピンを挟んだ後半、3ルッツ、2アクセルもクリーンに成功。終始安定した演技でフィニッシュしたトゥクタミシェワ選手は安堵したような笑みを浮かべました。得点は66.79点で3位と好位置につけます。
 フリーは「映画『クレオパトラ』より」。冒頭はショートと同じ3+3でしたが、ファーストジャンプの着氷で乱れセカンドジャンプに繋げられません。ですが、続く3+2+2、3+2をクリーンに決め、冒頭のミスを取り返します。後半も3ループ、3ルッツ、3サルコウ+2アクセルとジャンプを立て続けに下り、最後の2アクセルが1回転に抜けるミスはありましたが、まずまずの内容でフリー5位、総合4位で大会を終えました。
 今季はすでにネーベルホルン杯、フィンランディア杯と2試合をこなし、ネーベルホルン杯では比較的安定した演技、フィンランディア杯では不安定な演技を見せていたトゥクタミシェワ選手。今回はわりと良い方のトゥクタミシェワ選手が表れたのかなという印象ですね。フリーでは3+3こそ入りませんでしたが、その後の単独ジャンプをコンビネーションに変更するなど機転を利かせる余裕も感じられましたし、ジャンプ自体はトゥクタミシェワ選手らしいダイナミックさがあって、絶好調だった2季前を想起させるジャンプだったなと思います。その一方で、演技全体の滑りという点においてはスピード感や勢いがなく、本来の彼女の迫力や動きのキレが感じられなかったのが残念でした。そういった部分が改善されないと演技構成点の方もあまり上がっていかないのかなと思います。ジャンプの安定感は戻ってきているので、あとは演技全体のレベルをいかにアップさせるかというところが今後に向けてのポイントになるでしょうか。


 5位はカナダチャンピオンのアレーヌ・シャルトラン選手です。

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 SPは「スウェイ」。冒頭は大技の3ルッツ+3トゥループでしたが、セカンドジャンプが回転不足となり減点されます。後半は3ループはクリーンに着氷しますが、2アクセルは若干詰まり気味の着氷となり減点。ジャンプではミスが散見されましたが、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4を揃え、得点は62.15点で6位となります。
 フリーは「テレビドラマ『ROME〔ローマ]』より」。まずは前日ミスがあった3+3を完璧に決めて好スタートを切ると、続く3サルコウもしっかり下りて前半をノーミスでまとめます。5つのジャンプ要素を固めた後半、3フリップはクリーンに下りますがエッジエラーを取られて減点、2アクセル+1ループ+3サルコウは着氷で乱れて減点、3ルッツもクリーンに着氷に見えましたがアンダーローテーション判定で減点と、細々としたミスが続きます。しかし、その後の3ループ、2アクセル+2ループはきっちり決めて、大きなミスなく演技を終えたシャルトラン選手は納得したように何度もうなずきました。得点はフリー4位となる123.41点、総合でも5位に順位を上げました。
 昨シーズンはショートで高順位につけてもフリーで崩れる場面が多々あり、不安定さが目立ったシャルトラン選手。ですが、今季はパーソナルベストをマークしたオータムクラシック、そして今大会と好演技を続けていて、今後の飛躍が期待できそうですね。今シーズンのカナダ女子はシャルトラン選手始め、復活を遂げたオズモンド選手、スケートアメリカで4位だったガブリエル・デールマン選手とそれぞれに好調さがうかがえて、彼女たちが日本、ロシア、アメリカの女子フィギュア3強をおびやかすような台風の目的な存在になると、かなりおもしろいことになるんじゃないかなという気がしますね。カナダフィギュア界は女子のみならず、男子もペアもアイスダンスも全体が活性化しているような感じがあるので、今季はカナダチームに要注目と言えるかもしれません。


 6位は日本の本郷理華選手です。

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 ショートは「カルミナ・ブラーナ」。まずは得意の3フリップを堅実に成功させて好調な滑り出し。続く2つのスピンはしっかりレベル4を取ります。後半も得点源の3トゥループ+3トゥループ、2アクセルをパーフェクトに着氷。終盤のステップシークエンス、スピンもレベル4を獲得し、演技を終えた本郷選手は満面に笑みを浮かべました。得点は65.75点で4位につけます。

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 フリーは「映画『アラビアのロレンス』より」。冒頭はショートの3+3より難度を上げた3フリップ+3トゥループに2回転を付けた3連続ジャンプの予定でしたが、セカンドジャンプの着氷が回転不足気味で流れが詰まったため2連続に抑えます。続く3ルッツ、3ループもそれぞれダウングレード、アンダーローテーションとなり、点数を稼ぐことができません。後半も見た目には目立った乱れなくジャンプを次々と着氷させていく一方で回転不足の判定が相次ぎ、得点を積み重ねることができず、105.44点でフリー8位、総合6位と順位を落としました。
 上述した宮原選手以上に回転不足判定に泣かされた本郷選手。元々ダイナミックなジャンプを持っている選手で、昨季まではここまで回転不足を取られることはなかったと思うので今回の判定は意外な感じがしましたが、全体的に回転不足に厳しかったので致し方ないのかなと思いますね。また、ショート、フリーともに前大会からジャンプ構成を大幅に変更していて、ベストな構成を考えながらという状況がうかがえるので、次戦でも変わる可能性があるかもしれません。ただ、演技自体は新たな本郷選手の魅力を前面に押し出した新鮮味のあるもので、ショートもフリーも女性的なしなやかさが印象に残りました。彼女らしいパワフルさを活かしつつ、フェミニンなエレガンスさも加わっていて、今後が楽しみになりましたね。本郷選手の次戦は中国杯です。


 日本の永井優香選手は11位となりました。

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 SPは「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジー 映画『ラヴェンダーの咲く庭で』より」。冒頭は3サルコウ+3トゥループでしたが、ファーストジャンプが2回転となり、3+2もしくは3+3という規定を満たしていないため大幅に減点。続く3ループは着氷しますが、後半の2アクセルは回転が完全に抜けてしまい無得点に。さらにスピンでも無得点となる取りこぼしがあり、得点は40.39点と伸びず最下位発進となります。

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 フリーは「The Ludlows 映画『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』より」。冒頭は3+3ではなく確実性の高い3+2を跳びしっかりとクリーンに成功。続く3ループは回転不足となります。鍵となる後半、まずは単独の3トゥループを下りると、得点源である2アクセル+3トゥループは若干減点される出来栄えながらも着氷。その後も3サルコウ、2アクセル、3+2+2と全てのジャンプをミスらしいミスなくこなし、演技を終えた永井選手は肩の荷が下りたのか嬉し涙をこぼしました。得点は107.17点でフリー7位、総合11位となりました。
 なかなか今大会はジャンプがハマらなかった永井選手。テレビ中継での解説によるとジャンプを一から修正中とのことで、これだけジャンプに苦労するのもむべなるかなと思います。かつて浅田真央選手も基礎からジャンプを見直した時期があり、その際は長期間に渡って試合で内容が伴わず苦戦していましたが、もしかしたら永井選手もそういった時期をこれから過ごすことになるのかもしれません。ですが、ジャンプを修正した後の浅田選手を見ても一目瞭然で、長い目で見ればある程度若いうちにジャンプの問題点を直すことがのちのちの良い結果に結びつくと思うので、永井選手も焦らずじっくりと取り組んでほしいですね。そんな精神的に辛い中でも、今大会のフリーはまずまずまとまりのある演技ができていたので、これを糧に次のフランス杯でも自分のペースで頑張ってほしいと思います。



 ここからはペアです。

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 優勝は世界選手権2連覇中のメ―ガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組。SPは大技のスロー3アクセルなどに細かいミスがあったものの全体をまとめてパーソナルベストをマークし、大差でトップ発進。フリーは大技のスロー4サルコウで転倒するなどジャンプ要素で複数ミスがあり自己ベストには遠く及ばないスコアではありましたが、それでも他を寄せつけることなく圧勝を果たしました。
 GP初戦からスロー3アクセル、スロー4サルコウなど高難度の大技連発で、チャレンジ自体は成功しなかったものの、昨々季、昨季に続くデュハメル&ラドフォード組の独壇場を予感させるのには十分な内容でしたね。このペアの快進撃が一体どこまで続くのか、楽しみです。スケートカナダ3連覇、おめでとうございました。
 2位となったのは中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組。SPはスピンでわずかなミスがありましたが、それ以外のエレメンツは全て加点がつく出来栄えで揃え、2位と好発進します。フリーもスピンでいくつか取りこぼしはありましたが、ジャンプやリフトなどは高いレベルでまとめてフリー2位、総合でも2位と好成績を収めました。
 今季からそれぞれパートナーを入れ替えて新たなペアとして再出発した于&張組。結成したばかりでどうかなと思いましたが、さっそくの素晴らしい内容、結果で、ペア大国中国の底力を見せつけられたような感じがします。数か月前にペアを組んだばかりでもう200点超えというのはすごいと思いますし、それだけ前のパートナー以上に相性も良いと言えるのかもしれません。もちろん初戦だけではなく、長い目で何試合も見なければわからないこともあるので軽々なことは言ってはいけませんが、今後が楽しみな新ペアであることは間違いないですね。
 3位はカナダのリュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組です。ショートではツイストでのレベルの取りこぼしやジャンプミスがありながらもパーソナルベストに迫る得点で3位。フリーは2度の転倒があり本領発揮とまではいかなかったものの、僅差で逃げ切ってGP初のメダルを獲得しました。
 イリュシェチキナ選手がロシアからカナダに移籍しモスコヴィッチ選手とペアを組んで3季目、GP参戦は2季目となりますが、着実に結果を残し、国際大会でも上位陣の常連となりつつあります。今大会はフリーでミスが目立ちましたが、その中でも表彰台に立てたことはまずは良いシーズンのスタートと言えますね。



 女子&ペアの記事は以上です。男子&アイスダンスの記事のアップはもう少しお待ちください。


:記事冒頭の女子メダリスト3選手のスリーショット写真、宮原選手のフリーの写真、ペアメダリスト3組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、メドベデワ選手の写真、オズモンド選手の写真、宮原選手のSPの写真、トゥクタミシェワ選手の写真、シャルトラン選手の写真、本郷選手の写真、永井選手の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
スケートカナダ2016・男子&アイスダンス―パトリック・チャン選手、スケートカナダ2連覇 2016年11月5日


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by hitsujigusa | 2016-11-02 02:26 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)