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 前回の記事に引き続き、四大陸選手権2017の男子とペアの結果を書いていきます。なお、前編はこちらのリンクからご覧ください。

ISU Four Continents Figure Skating Championships 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 7位となったのはウズベキスタンの実力者ミーシャ・ジー選手です。

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 SPはまず得点源の3アクセルを確実に決めると、続く3+3もクリーンに着氷。後半の単独の3フリップは踏み切りのエッジが不正確だったため若干減点はされましたが、ミスらしいミスなく演技をまとめ上げました。得点はシーズンベストとなる81.85点で8位につけます。
 フリーも冒頭は3アクセルをしっかり跳び切って好スタートを切ると、3アクセル+1ループ+3サルコウの難しい3連続ジャンプもクリーンに成功。さらに3フリップも着氷して上々の前半となります。後半も勢いはとどまるところを知らず、3+3を始め全てのジャンプを予定どおりにスムーズに着氷。バレエ「くるみ割り人形」の壮大な音楽に乗せた重厚かつエレガンスな滑りで会場を大いに沸かせました。得点は自己ベストまで約1点差に迫る157.56点でフリー8位、総合では7位で6度目の四大陸を終えました。
 今大会のジー選手は全体的にジャンプがよく安定していて全く危なげがなかったですね。そのことによってプログラムも途切れることなく、身体と音がしっかりと調和した滑りができていて、まさにジー選手の本領発揮となりました。前編で言及したジェイソン・ブラウン選手同様に4回転は組み込まない構成でしたが、それでもこれだけ魅せられるというのは4回転を跳びまくっている選手たちと同じくらい称賛に値する演技だと思います。まだまだジー選手本人は納得していない部分もあるでしょうから、さらにブラッシュアップした演技を世界選手権では楽しみにしたいですね。その前に連戦となるアジア冬季大会もありますから、疲れているとは思いますが頑張ってほしいと思います。


 8位にはカナダの若手ナム・グエン選手が入りました。

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 SPはまず4トゥループ+3トゥループから、4トゥループの着氷で手をつきそうになりながらもこらえセカンドジャンプに繋げましたが、4トゥループのアンダーローテーションと着氷の乱れにより減点。続いて跳んだ4サルコウはクリーンに下りたかに見えましたがこちらも回転が足りず。後半の3アクセルも回転不足と判定され、見た目には大きな失敗なく滑り切ったものの細かな回転不足が響き72.99点で13位と出遅れます。
 フリーも2種類の4回転を組み込んだ構成で挑み、最初は4トゥループを回り切ってクリーンに着氷。次の4サルコウはショートに続き回転不足で転倒しますが、直後の3アクセルは完璧に跳んで加点1を得ます。勝負の後半、まずは4サルコウからの3連続ジャンプをパーフェクトに跳び切ると、続く3アクセル+3トゥループも成功。その後の全てのジャンプをノーミスでこなし、自己ベストまで0.77点と迫る得点でフリー7位、総合8位まで追い上げました。
 ここ1、2年で急激に身長が伸びた影響もあり最近はジャンプの回転不足に苦しんでいるグエン選手。そのためショートでは演技後はグエン選手本人は満足感も漂わせる表情だったにもかかわらず得点は今シーズン最低点というギャップのある結果になってしまいました。しかしそれに引きずられずフリーでは切り替えてミスを1つのみにとどめたのは素晴らしかったですね。今季はコーチと練習拠点を変更して1季目とあってまだ不安定さも見られましたが、今季得た課題をバネに来シーズンはグエン選手らしい演技が1つでも多くできることを願っています。


 日本の田中刑事選手は13位となりました。

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 SPはまず大技4サルコウから、しかし壁に近づきすぎたためとっさの判断で3サルコウに抑えます。続く3アクセルは完璧に成功。後半の3+3も確実に着氷し、ジャンプミスを最小限にとどめましたが、77.55点で11位と出遅れました。

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 フリーも冒頭は4サルコウでしたがショートに続き3回転に。さらに2本目の4サルコウは2回転にと序盤は痛いミスが相次ぎます。続く3アクセルはクリーンに成功させ、後半は挽回したいところでしたが、最初の3+3は2+2に。直後の3アクセルからの3連続ジャンプはきれいに成功。その後のジャンプは全てクリーンに下りましたが、大技のミスが響き142.63点でフリー13位、総合も13位と順位を落としました。
 2月初旬のユニバーシアードでは参考記録ながら自己ベストを上回る得点で銀メダルと好成績を収めた田中選手ですが、それから約2週間での試合ということで調整が難しかったのかなという印象ですね。今季は安定感が増していた4サルコウも1本も決まらず、演技自体も余裕がないように感じられました。田中選手にとっては不満ばかりが残る試合になったかもしれませんが、田中選手の実力はこんなものではないというのは自他ともに認めるところだと思うので、世界選手権ではこの悔しさを晴らしてほしいと思います。



 さて、ここからはペアの結果です。

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 4度目の優勝を果たしたのは中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組です。ショートは全てのエレメンツで加点を引き出すほぼノーミスの演技で自己ベストに0.1点差に迫るハイスコアをマークして圧巻の首位発進。フリーはサイドバイサイドの3サルコウで転倒するミスはあったものの、それ以外は全て高い加点の付くエレメンツを揃えてパーソナルベストを更新しフリーも1位。トータルでは世界歴代6位となる得点で完全優勝を達成しました。
 昨季の世界選手権で銀メダルを取った後、隋選手の外科手術とそのリハビリのため休養していた隋&韓組。約11か月ぶりの実戦復帰となったわけですが、怪我の影響とブランクを全く感じさせない圧倒的な完成度の演技を見せ、悲願の世界選手権初制覇に向け好調ぶりをうかがわせました。この質の高い演技を世界選手権でも続けることができれば、優勝の可能性も十分にあるのではないかと思いますね。四大陸選手権優勝、おめでとうございました。
 銀メダルを獲得したのは現世界王者、カナダのメ―ガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組です。SPは今シーズン鬼門となっているサイドバイサイドの3ルッツで転倒があり3位発進。フリーは複数のミスがありましたが最小限にとどめてフリー2位と追い上げ、トータルでも2位となりました。
 今シーズンは特にサイドバイサイドジャンプでミスする場面が散見されるデュハメル&ラドフォード組。ほかのペアが3サルコウや3トゥループといった基礎点の低いジャンプをメインに据える中、ジャンプが得意なデュハメル&ラドフォード組は最も基礎点の高い3ルッツ(半回転多い3アクセルを除いて)を武器にしてきたわけですが、そのジャンプがなかなか安定しないことが今季の低調の要因の一つなのかなと思います。現時点でのシーズンベストランキングでは5位となっていて、世界選手権3連覇に向けてはさらなる上積みが必要とされますが、経験豊かで爆発力もあるペアですので、世界選手権でしっかりピークを合わせられれば優勝争いをリードするのは間違いないですね。
 銅メダリストとなったのは同じくカナダのリュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組です。SPはサイドバイサイドの3トゥループでミスがありましたがそのほかを高いレベルでまとめて自己ベストで4位につけます。フリーはサイドバイサイドジャンプとスロージャンプでそれぞれ一つずつミスを犯しますが全体的には取りこぼし少なく滑り切ってフリーも4位、総合3位と四大陸初表彰台を射止めました。
 昨季は世界選手権で7位と飛躍し、今季もGP2大会とも3位、カナダ選手権では自己最高となる2位と着実にトップペアの階段を上っているイリュシェチキナ&モスコヴィッチ組。今大会もミスを引きずらない安定感が際立ちましたね。世界選手権でも自己ベストと自己最高位更新目指して、頑張ってほしいと思います。


 全日本王者の須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組は10位となりました。

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 SPはサイドバイサイドの3サルコウとスピンで細かなミスが重なりましたが大崩れすることなく丁寧に演じ切り自己ベストとなる58.14点で10位。フリーもスロージャンプやサイドバイサイドジャンプでいくつかミスはあったもののそれ以外のエレメンツはコンスタントにまとめてフリー9位、総合10位で大会を終えました。
 順位は昨年の9位から一つ落としましたが、内容的・得点的にはぐんと成長した姿を示した試合だったのではないでしょうか。特にフリーは中盤での転倒からリズムを乱すことなくしっかり立て直していて、二人の地力が上がっていることを感じさせられました。世界選手権では昨季果たせなかったフリー進出に加え、自己ベストも更新できることを祈りたいですね。


 全日本2位の須崎海羽&木原龍一組は13位に入っています。

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 SPは「Out of the Garage 映画『コードネーム U.N.C.L.E.』より/映画『ミッション:インポッシブル』より」。スロー3サルコウで着氷を乱すミスがありましたが、そのほかのエレメンツは堅実にまとめて50.48点で13位発進。フリーは「映画『スター・ウォーズ』より」。序盤からサイドバイサイドジャンプとスロージャンプでパンクや転倒といった大きなミスが相次ぎ14位、総合13位となりました。
 ISU主催の国際大会デビューとなった須崎&木原組。エレメンツの数が少ないショートはまずまずの内容でしたが、フリーは一つのミスから連鎖する形で崩れてしまいましたね。まだ結成して2季目のペアなのでこれから習得しなければいけないものはたくさんあるでしょうが、その分伸びしろも大いにあると思うので、ここをスタートとして頑張ってほしいと思います。



 四大陸選手権2017、男子&ペアの記事は以上です。男子はフィギュアスケート史に残る、歴史の転換点となる記念碑的な大会になったのではないかと思います。昨シーズン羽生結弦選手が300点超えを達成してから男子フィギュア界の潮目が変わったような雰囲気がありましたが、今季はネイサン・チェン選手の登場によってさらにその傾向に拍車がかかって、とうとう今大会はSPで100点超えが二人、フリーで200点超えが二人、トータルで300点超えが二人というとんでもない試合となりました。世界選手権では何人が300点を超えるのかはわかりませんが、世界選手権史上最もハイレベルな試合になることは間違いないでしょう。
 そしてペアはシーズン前半を休養にあてていた中国のエースペアの復帰によって、さらに世界選手権のメダルの行方が混沌としましたね。今季のシーズンベストを比べても図抜けているペアはいないので、どのペアが優勝してもおかしくないという接戦になりそうです。
 世界選手権2017はフィンランドの首都ヘルシンキにて、3月27日開幕です。


:男子メダリスト3組のスリーショット写真は、デイリースポーツの公式サイト内の写真特集記事から、ジー選手の写真は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、グエン選手の写真、ペアメダリスト3組の写真、須藤&ブードロー=オデ組のSPの写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、田中選手の写真、須崎&木原組のSPの写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、須藤&ブードロー=オデ組のフリーの写真、須崎&木原組のフリーの写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-02-24 17:21 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 来年行われる平昌五輪の会場で開催された四大陸選手権2017。女子&アイスダンス編の記事に続き、男子とペアの試合内容、結果についてお伝えします。なお、女子&アイスダンスの記事はこちらのリンクからご覧ください。
 300点超えで初出場にして初優勝を達成したのは全米王者のネイサン・チェン選手です。同じく300点超えで銀メダルを獲得したのは日本の羽生結弦選手、銅メダルを獲得したのは全日本王者の宇野昌磨選手となっています。
 ペアは昨季の世界選手権以来の実戦となった中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組が2連覇を果たしました。

ISU Four Continents Figure Skating Championships 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 男子を制したのはアメリカの新星ネイサン・チェン選手です。

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 SPはまず代名詞ともなっている大技4ルッツ+3トゥループ、これをクリーンに下り1.7点の高い加点を獲得。続く4フリップも難なく成功。後半に組み込んだ苦手な3アクセルもきっちりと着氷し、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4というそつのない演技。得点は自己ベストで世界歴代3位となる103.12点で圧巻の首位発進となります。
 フリーも冒頭は4ルッツ+3トゥループ、これをショート以上の完成度で跳び、続く4フリップもパーフェクトに着氷し、それぞれ2.43点という高い加点を得ます。次の4トゥループは着氷が若干乱れますが確実に成功。さらに続けて4トゥループ+2トゥループも成功と、前半に組み込んだ4つの4回転を全て着氷します。コレオシークエンスを挟んで後半、最初の3アクセルからの3連続ジャンプは最後に跳んだ2トゥループが同じジャンプの繰り返し違反で無得点となりますが、直後に予定を変更して4サルコウに挑み見事に成功。次の3ルッツはきれいに下り、最後の3アクセルは着氷が乱れましたが、終盤に固めたステップシークエンス、スピンは全てレベル4と最後までエネルギッシュに滑り切りました。得点はこちらも世界歴代3位となる204.34点、トータルでは307.46点と史上3人目となる300点の壁を突破し、金メダルを手にしました。
 とにもかくにも圧巻としか言いようのない、まさに新時代の到来を告げる演技でしたね。当初の予定ではフリーは3種類4本の4回転に抑えるつもりで(それでも十分凄いですが)、さらにさかのぼって3週間前には3本の4回転にとどめる計画もあったそうですが、実際の演技では全米選手権と同じ4種類5本の4回転を跳び切り、国際大会では史上初となる1つのプログラムで5本の4回転成功という偉業達成となりました。直前に滑った羽生選手が300点を超えたのを見て、それに勝つためには5本の4回転が必要と判断したのかもしれないですし、それとは別に最高レベルの演技をしようと思ったのかもしれないですが、このジャンプ構成でもまだ余裕さえ感じさせる演技で、一躍世界選手権の優勝候補に名乗りを上げました。四大陸王者として臨む世界選手権は2009年のエヴァン・ライサチェクさん以来となるアメリカ人の世界王者誕生なるかという点においても大きな期待を背負うことになると思いますが、再びチェン選手らしいジャンプとスケートで観客を魅了してほしいと思います。四大陸選手権初優勝、おめでとうございました。


 惜しくも2位となったのは日本の羽生結弦選手です。

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 SPは新たな代名詞となった大技4ループから、これを完璧に跳び切って2.29点の高い加点を獲得し最高のスタートを切りますが、続く4サルコウ+3トゥループは2サルコウ+3トゥループに。後半の3アクセルは満点となる加点3を得る美しい跳躍と流れでまとめ、終盤のステップシークエンスやスピンは全て加点1以上と高いクオリティーを見せ、97.04点で3位につけました。

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 フリーも冒頭は4ループ、これを再び完璧に下りると、ショートで失敗した4サルコウもクリーンに成功。スピンとステップシークエンスを挟んだ3フリップも問題なく決めてノーミスの前半となります。後半最初は4サルコウからの連続ジャンプ、これは2サルコウ+1ループに。ですが、直後の4トゥループ、3アクセル+3トゥループを着氷すると、続いて3アクセルからの連続ジャンプの予定を4トゥループ+2トゥループに変更。さらに最後の3ルッツは3アクセルに変更してより点数を稼ぐための機転を利かせ、206.67点でフリー1位と猛追を見せましたが、トータルではシーズンベストで303.71点だったもののチェン選手には僅差で及ばず2位となりました。
 ショート、フリーともに4サルコウのパンクが1つずつあり、予定していた演技とは違う内容となりましたが、フリーは滑りながら高度なレベルでジャンプ構成を変更するという離れ業を見せ、羽生選手の底力を改めて示しました。相当な集中力をジャンプに注ぎ込むことになったため表現面は少し疎かになってしまった感は否めないですが、今後のことも見据えると、1つのジャンプ構成のバリエーションとしてこうした経験ができたことは来季に繋がるでしょうね。残念ながら四大陸初制覇はチェン選手に阻まれましたが、全体的な総合力で見ると、フリーでほとんどの4回転を前半に跳んだチェン選手に対して、2本の4回転と2本の3アクセルを後半に跳んだ羽生選手にまだまだ優位性はあり、世界選手権で2人ともノーミスの演技をすれば羽生選手が勝つ可能性は高いので、まだ完成していない両プログラムを完成させて、ぜひ世界の頂点に再び立ってほしいと思います。


 3位となったのは日本の宇野昌磨選手です。

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 SPはまず代名詞の4フリップから、着氷でバランスを崩しながらも何とかこらえます。続いて4トゥループ+3トゥループはパーフェクトに成功。さらに後半の3アクセルはお手本通りの跳躍で加点2.71という高評価を得て、ステップシークエンスやスピンも全てレベル4。フィニッシュした宇野選手は天を仰いで喜びを露わにしました。得点は自己ベストで世界歴代4位となる100.28点で2位と好発進しました。

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 フリーはまずは試合では初めてとなる4ループに挑戦、これを完璧に成功させて2.43点の加点を獲得します。さらにショートでは着氷が乱れた4フリップもクリーンに下りて2.29点の加点。若干苦手としている3ルッツも問題なく決めて最高の前半となります。レベル4のスピンとステップを挟んで後半、得意の3アクセルからでしたが珍しく転倒。続いて4トゥループは着氷でこらえながらも成功させ、さらに4トゥループ+2トゥループの連続ジャンプもクリーンに着氷します。次は3アクセルからの連続ジャンプでしたがこちらは再び転倒。最後の3サルコウは難なく下り、情熱的な女性ボーカルに乗せてスピード感を保ったまま滑り切った宇野選手は、達成感と悔しさがない交ぜになった複雑そうな表情を浮かべました。得点は187.77点でフリー3位、トータルでは288.05点と自己ベストを更新し、ショートから順位は落としたものの四大陸では初めてとなるメダルを手にしました。
 過去2度の四大陸ではSPで自己ベストをマークして2位につけながらもフリーで崩れて表彰台を逃してきた宇野選手。今大会も自己ベストでショート2位という全く同じシチュエーションとなったわけですが、フリーでミスがある中でも踏みとどまって3度目の正直を体現しましたね。何といっても特筆すべきはフリーの4ループの初成功でしょう。初挑戦にしていきなりの完璧な形での成功で、練習ではまだ成功率が低く宇野選手自身もここまでのきれいな形での成功は想定していなかったんじゃないかと思いますが、宇野選手といえば4フリップも昨年4月のチームチャレンジカップで初挑戦で初成功させており、本当に本番に強いなと改めて思わせられましたね。一方で練習でほとんど失敗のなかった3アクセルが2本とも転倒というもったいないミスもあり、世界選手権に向けては収穫と課題を両方得た試合となったわけですが、3アクセルに関しては心配な点はないので、良い宿題をもらったという感じでしょうか。
 宇野選手はこの記事を書いている時点ですでに始まっているアジア冬季大会にも出場しなければならず、大変だとは思いますが体調と怪我にだけは気を付けて頑張ってほしいですね。


 4位に入ったのは元世界チャンピオン、カナダのパトリック・チャン選手です。

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 SPは得意の4トゥループからでしたが、珍しく回転不足で転倒してしまいます。直後の苦手としている3アクセルはパーフェクトに成功。後半の3ルッツに3トゥループを付けてリカバリーしますが、着氷が乱れて減点。しかしステップシークエンス、スピンは全てレベル4に加え1点以上の加点を積み重ね、88.46点で5位につけます。
 フリーはショートで失敗した4トゥループ+3トゥループから、これをクリーンに着氷させ2.57点の加点を得ると、続く3アクセルも完璧で同じく加点2.57点を獲得。理想的な滑り出しを見せましたが、続いて今季から取り入れている4サルコウはアンダーローテーション(軽度の回転不足)で転倒します。そこから調子が狂ったのか、2本目の4トゥループは転倒。2本目の3アクセルも着氷を乱してコンビネーションに繋げられず、終盤の3ルッツでもミス。最後はチャン選手らしい無駄な力の入っていない流れるようなスケーティングと回転の速いスピンで魅せましたが、179.52点でフリー4位、総合も4位と表彰台には届きませんでした。
 これまで3度四大陸に出場してその全てで優勝している極めて相性の良かったチャン選手ですが、急激にレベルの高くなった今年は上位3選手と内容的にも得点的にも大差をつけられてしまいました。チャン選手の強みとしては軒並み9点台を揃えられる演技構成点の高さやジャンプ、スピン、ステップ全てで高いGOE加点を稼げる総合力の高さがありますが、4回転を3種類も4種類も跳ぶ時代にあっては、さすがのチャン選手といえども今回の演技内容では太刀打ちできなかったですね。ただ、チャン選手だからこそできるスケートというのは今回も際立っていましたし、2種類の4回転をショートとフリー合わせて4本という構成でもさらに完成度を高めることさえできれば世界選手権の表彰台争いに間違いなく加わってくる選手ですので、今度こそは納得いく演技を楽しみにしたいですね。


 5位は中国の若手、金博洋(ジン・ボーヤン)選手です。

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 SP冒頭は代名詞の4ルッツ+3トゥループでしたが、セカンドジャンプの着氷で大きくバランスを崩し大幅に減点。しかしその後の4トゥループ、3アクセルは無難にまとめ、また、コミカルな「スパイダーマン」のプログラムを表情豊かかつ躍動感たっぷりに演じ切り、91.33点で4位の好位置につけます。
 フリーもまずは4ルッツ+3トゥループを若干流れは詰まりながらも確実に着氷。しかし、次の4サルコウで乱れると、試合では始めて挑んだ4ループはアンダーローテーションで転倒となります。さらに後半1発目の4トゥループでも転倒。直後の4トゥループ+2トゥループは何とか下り、終盤は2本の3アクセル含め全てのジャンプをクリーンに跳び切り、176.18点でフリー5位、総合ではチャン選手に0.47点及ばず5位となりました。
 今シーズンの金選手は昨季ほどの4回転の抜群の安定感は見られず、今大会も7本挑んだうちクリーンに決まったのは2本だけでした。成長期の影響もあるのでしょうが、昨季よりも思い切りの良さも薄れているのかなという気もしますね。ただ、その中でも新たな武器として4ループにチャレンジし、残念ながら成功には至りませんでしたが、現在の4回転時代を作り上げた一人として周囲の進化に食らいついていこうという強い気持ちがうかがえる試みでしたね。金選手は上述した宇野選手と同じく札幌で開催中のアジア冬季大会に出場予定で、そうした調整を経て世界選手権に臨むことになりますが、約1カ月の短期間で4回転のズレをどこまで修正できるかに注目したいですね。


 6位はアメリカの実力者ジェイソン・ブラウン選手です。

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 SPはまず3フリップ+3トゥループをクリーンに着氷して好調な出だし。続いて3アクセルでしたがこれは転倒となります。後半の3ルッツも目立った乱れなく下りたもののアンダーローテーションと判定されて減点。ステップシークエンス、スピンは全てレベル4を揃えて本領を発揮しましたが、2つのジャンプミスが響き、80.77点で9位にとどまります。
 フリーも4回転は入れない構成で臨み、まずはショートで転倒した3アクセルからの連続ジャンプを成功させると、続いて2本目の3アクセルもきれいにまとめます。スピンとステップを高いレベルでこなすと、6つのジャンプ要素を固めた後半最初の2アクセルを難なく着氷。3ルッツと3+3を相次いで下りて良い流れに乗りますが、続く2アクセルはパンクして1回転に。残り2つのジャンプでも細かなミスは重なりましたが、しっとりとしたプログラムの世界観をブラウン選手ならではのしなやかな身のこなしで十二分に表現しました。得点は165.08点でフリー6位、総合も6位と順位を上げました。
 NHK杯後に判明した疲労骨折からの回復途上にあるブラウン選手。今大会も全米選手権の時と同じく4トゥループは回避しましたが、SPは得点源となる3アクセルで転倒したことによって出遅れてしまいました。ただ、フリーではしっかり立て直して6位という高順位に食い込み、改めて4回転がなくともそのほかのエレメンツを高いレベルでまとめられるブラウン選手の凄味を感じさせられました。異次元の4回転時代を迎えている今の時代だからこそ、彼のような稀有なスケーターの存在が男子フィギュア界に豊かさをもたらしてくれるのではないかと思います。世界選手権でもブラウン選手らしい演技を楽しみにしています。



 さて、この記事はとりあえずここまでとして、続きは後編に書きます。お手数ですが、続きは後編をご覧ください。


:男子メダリスト3組のスリーショット写真、羽生選手のフリーの写真は、デイリースポーツの公式サイト内の写真特集記事から、チェン選手の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、羽生選手のSPの写真、宇野選手のSPの写真、チャン選手の写真、金選手の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、宇野選手のフリーの写真、ブラウン選手の写真は、マルチメディアサイト「Zimbio」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-02-23 16:54 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 四大陸選手権2017、女子とアイスダンスについてお伝えする記事の後編です。前編はこちらをご覧ください。

ISU Four Continents Figure Skating Championships 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 女子の7位となったのは中国の李子君選手です。

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 SPは冒頭に得点源の3フリップ+3トゥループを組み込みますが、2つ目がアンダーローテーション(軽度の回転不足)で減点。ですが、その後の3ループ、2アクセルは無難にまとめ、得意のスピンも全てレベル4で揃え、60.37点で8位につけます。
 フリーもまずは3フリップからの2連続3回転、惜しくも2つ目はショート同様に回転不足となります。ですが、続く3ルッツをクリーンに跳び切ると、2アクセル+3トゥループ+2トゥループもきれいに成功。後半はいくつかのジャンプで細かなミスがありましたが大きくリズムを崩すことはなく演技をまとめました。得点は116.68点でフリー5位、総合7位と順位を上げました。
 今シーズンの李選手は昨季ほど大崩れすることはなく、今大会もまずまずの安定感は見せられていたと思うのですが、フリー当日の練習で転んで頭を打つ場面があったということで、フリーは滑るのがやっとという様子がうかがえました。そうした難しい状況でもまとまった演技ができたことは素晴らしかったと思うのですが、演技後は顔を歪め大粒の涙を流し、この涙がどういう感情によるものなのかはわからないのですが、本来の演技ができなかった悔しさの方が大きいのかなという気もしますね。今はとにかく体調が心配ですが、世界選手権では今度こそ李選手の笑顔が見られることを祈りたいですね。


 8位に入ったのはカザフスタンのエリザベート・トゥルシンバエワ選手。

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 SPはまず冒頭の3ルッツ+3トゥループを完璧に下りると、後半の3ループ、2アクセルもパーフェクト。ステップシークエンス、スピンも全てレベル4という非の打ちどころのない演技を披露しました。得点は66.87点と自己ベストを更新し、3位と好発進します。
 フリーもまずは3ルッツ+3トゥループからでしたがセカンドジャンプにはつながらず単独に。続けて3ルッツでこちらをコンビネーションにしなければなりませんでしたが、転倒し単独ジャンプの繰り返しに。後半に5つのジャンプ要素を固め、最初は3フリップでしたが再び転倒。得点源となる3サルコウ+3トゥループは何とか下りますが、次の3ループは1回転に。最後の2アクセルに急遽3トゥループを付けてより多くの点数を稼ぐ冷静なリカバリーも見せましたが、精彩を欠いた内容にフィニッシュしたトゥルシンバエワ選手は肩を落としました。得点は109.78点でフリー11位、総合8位と大幅に順位を落としました。
 ショート、フリーともに最終滑走となったトゥルシンバエワ選手。特にフリーは表彰台が懸かる緊張の場面で、そうした経験の少ないトゥルシンバエワ選手にとっては平常心を保つには厳しい状況だったのかなと思います。ただ、その中でも後半にはセカンドジャンプに3トゥループを付けるコンビネーションを2つ跳んでいて、転んでもただでは起きないタフさというのも感じられ、この経験も世界選手権できっと活きてくると思うので楽しみですね。


 9位となったのは日本の樋口新葉選手です。

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 ショートは冒頭の2アクセルで珍しく着氷を乱すと、後半の3ルッツ+3トゥループは2つ目でこらえきれず転倒。3フリップはクリーンに下りましたが踏み切りのエッジが不正確とされわずかに減点。結果的に全てのジャンプに減点が付く内容となり、58.83点で10位にとどまります。

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 フリーは冒頭の3ルッツ+3トゥループを完璧に決めると、続く3ループもクリーンに着氷し上々の出だし。しかし次の3サルコウはパンクして2回転となります。立て直したい後半、得意の2アクセルは空中で回転が分解してダウングレード(大幅な回転不足)での着氷に。しかし直後の3ルッツ+3トゥループはしっかり成功。ただ、次の3フリップでもパンクして1回転となり、良い部分と悪い部分が明確に分かれた演技となりました。得点は113.22点でフリー9位、総合も9位で初めての四大陸を終えました。
 今大会の樋口選手は練習から不調が伝えられていて本番もそのとおりの演技になってしまいました。昨年末から右膝を痛め1月になってから悪化したということもあり、万全な練習が詰めなかったようですね。樋口選手にとってはショート、フリーともにキス&クライで涙を流すという相当に悔しい大会になってしまったと思いますが、世界選手権の前にこうした経験ができたということはある意味収穫ですし、もちろん練習から絶好調であればいうことなしですが、人間である限り調子の悪い中で試合に臨まなければならない状況も必ずあるわけなので、長い目で見ても今回のような経験は財産になるんじゃないかなと思いますね。世界選手権では樋口選手らしい爆発力満点の演技を楽しみにしています。


 10位に入ったのは日本の本郷理華選手です。

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 SPは得点源となる3フリップ+3トゥループからでしたが、1つ目が2フリップとなり、さらに2つ目もアンダーローテーションと判定されます。しかし後半は3ルッツをしっかり下り、2アクセルもクリーンに成功と立て直し、59.16点で9位発進となります。

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 フリーもまずは3フリップ+3トゥループから、2つ目がアンダーローテーションとはなりますが大きな乱れなく跳び切ります。続く3サルコウは片手を上げて跳び加点を獲得。波に乗りたいところでしたが苦手としている3ルッツは回転不足で転倒します。さらに後半1つ目の2アクセルからのコンビネーションは1アクセル+2トゥループに。その後も細かな回転不足が続き、得点は108.26点でフリー13位、総合10位と順位を落としました。
 宮原知子選手の欠場により急遽出場が決まった本郷選手。本来であれば今大会より1週間後に行われるアジア冬季大会に向けて調整していたと思うので、かなり難しい状況でしたね。ただ、その中でも本郷選手らしいダイナミックさや躍動感というのはある程度出せていたように感じましたし、今できることをしようという気持ちの伝わってくる演技でした。次戦は札幌で行われているアジア冬季大会で、2週連続の試合はたぶん初めてでしょうから体力的にも大変だと思いますが、ぜひ今シーズンを良い形で締めくくってほしいと思います。



 さて、ここからはアイスダンスです。

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 優勝したのはカナダのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組。SDはステップ以外のエレメンツでレベル4を揃え、自身が持つ世界最高得点に極めて近いハイスコアで堂々の首位発進。FDもサーキュラーステップ以外は全てレベル4というハイレベルな演技でパーソナルベストを更新。トータルでは自己ベストにわずかに届きませんでしたが、それでも2位に大差をつけて5年ぶり3度目の優勝をつかみました。
 シーズン最後の最高峰に向けて1ミリたりとも死角のない揺るぎない演技でしたね。この勢いのままでいければ、世界選手権制覇はかなり近いと言えます。あとは現世界王者のガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組がどれだけ追い上げるかというのがポイントになりそうですが、今のところヴァーチュー&モイア組の勢いの方が勝っており、そしてそれを止めるのはなかなかに至難と思われます。自身が持つ世界最高得点の再びの更新というのも視野に入っていて(FDの世界最高保持者はパパダキス&シゼロン組です)、誰がライバルというよりも、過去の自分たちを超えるというヴァーチュー&モイア組だからこその次元に入りつつありますね。四大陸選手権優勝、おめでとうございました。
 2位となったのは全米王者のマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組です。ショートは5つのエレメンツのうち3つがレベル3にとどまるという細かな取りこぼしがあったものの高いGOE加点と演技構成点で点を積み重ね自己ベストに迫るスコアで2位と好発進。フリーはサーペンタインステップ以外は全てレベル4でまとめ上げ自己ベストをマーク、トータルでも自己ベストでショートから変わらず2位のままフィニッシュしました。
 SDはシブタニ兄妹にしては珍しくレベルの取りこぼしがありましたが、フリーではしっかり修正して隙の無い演技。世界選手権2年連続のメダルに向けてしっかりと足元を固めているという印象ですね。
 3位に入ったのは同じくアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組。SDは目立ったミスなく演技をまとめて3位につけると、FDも2つのステップ以外は全てレベル4という質の高い演技で、銅メダルを獲得しました。
 シーズン序盤は技術面での不安定さも見られたチョック&ベイツ組ですが、1月の全米選手権ではフリーでシブタニ兄妹を上回るなど着実に復調かつレベルアップしています。今回は得点的には上位2組がパーソナルベストもしくはそれに極めて近いスコアをマークしたのと比べると、チョック&ベイツ組は自己ベストまではまだ開きがあるので、3年連続の世界選手権の表彰台を狙う上では境界線ギリギリのところにいるかなという感じですね。世界選手権ではどのカップルも自己ベストを更新するつもりで最高の状態で臨むでしょうから、四大陸の演技も十分素晴らしいですが、さらにレベルアップした演技を期待したいですね。


 日本の村元哉中&クリス・リード組は9位となりました。

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 SDはステップやリフトがレベル2にとどまるなど取りこぼしがあり、57.80点と得点を伸ばし切れず9位となります。FDはリフトは全てレベル4を獲得しましたが、ツイズルで2人のタイミングがずれるミスもあり、82.58点でフリーも9位、総合9位で大会を終えました。
 11月のNHK杯をリード選手の怪我で棄権した後、全日本選手権で復帰した村元&リード組。1月にはポーランドのトルンで開催されたメンタートルン杯にも出場し順調な調整を見せていたのですが、今回は細かなミスが重なってもったいなかったですね。しかし休む間もなくすぐにアジア冬季大会が待っているので、短い時間しかありませんが今大会で得た課題を修正して札幌では村元&リード組らしい演技で優勝を目指してほしいと思います。


 12位となったのは日本の平井絵己&マリオン・デ・ラ・アソンション組です。

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 SDは5つのエレメンツのうち3つで減点が付く出来で12位。FDもリフトやステップでのレベルの取りこぼしはありましたが、そのほかは無難に演技をまとめシーズンベストをマークし昨年と同じ12位となりました。
 ショート、フリーともに細かな減点があり完璧な演技とはなりませんでしたが、その中でもフリーではシーズン最後にシーズンベストを更新することができたので達成感もあるのではないかと思います。NHK杯や全日本でレベルが取れていたところでミスがあったのは残念でしたが、逆にシーズン前半でレベルが取れていなかったステップでレベルが取れた場面もあり、来季に繋がる四大陸になったのではないでしょうか。



 さて、女子&アイスダンス編はこれで終了です。女子は日本のエースである宮原選手が欠場したことによって勢力図が変わり、今季のシーズンベストで4位であるカナダ女王のオズモンド選手が優勝候補筆頭になりましたが、その下馬評を覆し四大陸女王の座を射止めた三原選手は世界選手権でも台風の目的な存在になりそうです。また、アメリカ、カナダ両国はチャンピオンではなく国内選手権では下位だった選手が上位に来るという逆転現象が発生。特にアメリカは世界選手権の出場権を持たない長洲選手が銅メダルで全米女王のカレン・チェン選手が12位という順位で、世界選手権での枠取りに向けては心配が残る試合結果となりました。
 一方、アイスダンスはヴァーチュー&モイア組が圧倒的な強さで優勝し世界王者奪取に向けて一歩前進。世界選手権で現世界王者のパパダキス&シゼロン組と今シーズン3度目のマッチアップとなりますが、NHK杯、GPファイナルともにヴァーチュー&モイア組が制しており、やはりヴァーチュー&モイア組が有利かなと思いますね。
 次の記事では男子&ペア編の前編を書きますので、しばらくお待ちください。


:女子メダリスト3組のスリーショット写真、アイスダンスメダリスト3組の写真、平井&デ・ラ・アソンション組のSDの写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、李選手の写真、トゥルシンバエワ選手の写真、樋口選手のフリーの写真、本郷選手のSPの写真、村元&リード組のFDの写真、平井&デ・ラ・アソンション組のFDの写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、樋口選手のSPの写真、村元&リード組のSDの写真は、デイリースポーツの公式サイト内の写真特集記事から、本郷選手のフリーの写真は、マルチメディアサイト「Zimbio」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-02-22 16:09 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 来年行われる平昌オリンピックの会場で開催された四大陸選手権2017。歴史的快挙あり、劇的な逆転勝利ありの充実した試合内容となりました。この記事では女子とアイスダンスについてお伝えします。
 女子を制したのは今シーズン急成長中の三原舞依選手。自己ベストを大幅に塗り替える高得点で頂点を射止めました。2位にはカナダの実力者ガブリエル・デールマン選手、3位には昨年の銀メダリストであるアメリカの長洲未来選手が入りました。
 一方、アイスダンスは元世界チャンピオン、カナダのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組が3度目の優勝を果たしています。

ISU Four Continents Figure Skating Championships 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 金メダルを手にしたのは日本の三原舞依選手です!

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 SPは得点源の3ルッツ+3トゥループから、これを鮮やかに決めて1.1点の高い加点を得ると、2つのスピンを挟んだ中盤の2アクセルも難なく着氷。スピンとステップシークエンスをこなし疲労がたまる最終盤に組み込んだ3フリップも完璧に下りると、三原選手はガッツポーズで喜びを露わにしました。得点は66.51点で自己ベストには2点ほど及ばず、しかし4位と好位置につけました。

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 フリーも冒頭は3ルッツ+3トゥループをあっさりと成功させ波に乗ると、3フリップ、2アクセルと相次いで着氷。後半になるとますます勢いを加速させ、2アクセル+3トゥループ、3+2+2、3ループ、3サルコウと全てのジャンプを完璧に跳び切り、躍動感たっぷりに「シンデレラ」を演じ切った三原選手は喜びをかみしめるように握り拳を力強く握り締めました。得点はこれまでの自己ベストを8点以上更新する134.34点でフリー1位、トータルでは初めて200点を超えてキス&クライでは歓喜を爆発。総合でも1位となり、初出場にして初優勝という快挙を達成しました。
 今季はシニアデビュー戦となったネーベルホルン杯でいきなり優勝してからというもの、GPでも表彰台に食い込み、全日本でも3位と順調街道をひた走っている三原選手。今大会は北米の実力者も大勢揃う初めての主要国際大会とあって、さすがにいつもと違う緊張感を味わうのではないかと思いましたが全くいつもどおりでしたね。今季の三原選手を見ていると、どんなシチュエーションの試合でも常に楽しみながら滑っているという印象で、そのスタンスは今大会も変わらず1年後に平昌五輪が行われる会場での四大陸という特別な舞台を心から楽しんでいる様子が演技からもヒシヒシと伝わってきました。そのスケートを楽しむという無邪気な姿勢が、あれだけの余裕と落ち着きに繋がっているのでしょうね。
 3月に待ち受ける世界選手権では四大陸王者になったことで海外からも注目を集めるでしょうし、日本国内からは多大な期待がかけられることになると思うので、もしかしたら今までの精神状態とは違う場面も出てくるかもしれませんが、今までどおりの三原選手のペースで一歩一歩歩みを進めていってほしいですね。四大陸選手権初優勝、おめでとうございました。


 銀メダルを獲得したのはカナダのガブリエル・デールマン選手です。

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 SPは冒頭の3トゥループ+3トゥループを完璧に決めて1.7点の高い加点を獲得。後半の3ルッツは着氷で若干こらえましたが、最後の2アクセルはクリーンに下り、ほぼノーミスで滑り切りました。得点は68.25点で僅差ながら首位に立ちます。
 フリーもまずは得意の3トゥループ+3トゥループを難なく着氷しショートよりも高い加点2.1点の高評価。さらに3ルッツ、3フリップときっちり跳び、両方でも高い加点を積み重ねます。後半に入り最初の3連続ジャンプも成功。良い流れで終盤に向かいたいところでしたが続く3ループはパンクして1回転に。終盤の2アクセルでも乱れる場面があり、演技を終えたデールマン選手は顔を曇らせました。しかし得点は自己ベストとなる128.66点でフリー3位、総合2位で主要国際大会では初めてとなるメダルを手にしました。
 フリーでは3ループが1回転になる大きなロスがあり、予定どおりに3回転を跳べていれば優勝していた可能性もあるだけにもったいないミスでしたが、今シーズンのデールマン選手は大崩れするということがなく、ここまで順調に調子の波をコントロールできているように感じられるので、一皮も二皮も剥けつつあるという印象を受けます。今大会はショートで首位発進ということで今までのデールマン選手ならフリーで硬くなって崩れてもおかしくない状況でしたが、緊張感がある中でもしっかり全体を通してコントロールできていたのが銀メダルに繋がりましたね。フリーの演技直後やキス&クライでは浮かない表情で、優勝を狙っていたからこそこの程度の演技では満足できないという表情にも見えて、表彰台ではなくその真ん中を狙える位置にまで来たことこそが、今季のデールマン選手の成長の証だと思いますね。


 銅メダルを獲得したのはアメリカの長洲未来選手です。

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 SPは冒頭の3フリップ+3トゥループをクリーンに着氷して上々のスタートを切りましたが、後半の3ループはアンダーローテーション(軽度の回転不足)で減点。最後の2アクセルは問題なく決め、得意のスピンは全てしっかりレベル4を獲得。62.91点で5位につけます。
 フリーもまず3フリップ+3トゥループをきっちり回り切って下りると、続く3ルッツ、3サルコウと立て続けにクリーンに着氷。後半に入っても2アクセル+3トゥループ+2トゥループなど全てのジャンプを予定どおりにこなし、力強い女性ボーカルに乗せたプログラムをパワフルかつしなやかに演じ切りました。得点は132.04点で自己ベストを実に6年ぶりに更新し得点表示を見た長洲選手は破顔。トータルでも自己ベストをマークし、ショートから順位を上げました。
 ショートはちょっとしたミスがあり5位発進となりましたが、逆に優勝争いから一歩引いたポジションが功を奏したのかフリーはベテランらしい冷静かつ堅実な滑りで見事に2年連続の表彰台。また、フリーは一つも減点がなく、悪い時の癖であるアンダーローテーションも一つもなく、まさに会心の演技でしたね。これで長洲選手は四大陸では出場した4度のうち3度でメダル獲得となり四大陸での相性の良さが際立ちますが、ゆえにその前の全米選手権でこの演技ができていればとも思ってしまいます。今年の世界選手権で長洲選手の演技が見られないのは残念ですが、四大陸での経験も来季に必ず繋がっていくものだと思いますので、来季も楽しみにしたいですね。


 4位となったのはカナダ女王のケイトリン・オズモンド選手です。

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 SPは冒頭に組み込んだ3フリップ+3トゥループを猛スピードで跳び切り1.4点の加点。次の3ルッツは踏み切りが不正確とされましたが若干の加点が付く出来にまとめ申し分ない前半に。しかし後半の2アクセルでは珍しく転倒。スピン、ステップシークエンスは全てレベル4を揃え総合力の高さを見せつけ、68.21点で2位と好発進します。
 フリーもまずは3フリップ+3トゥループをショート同様にパーフェクトに成功。続く2アクセル+3トゥループも完璧で1.7点という高い加点を稼ぎます。ですが、次の3ルッツは転倒。そこから感覚が狂ったのか3ループで着氷が乱れると、3フリップ、3サルコウと相次いで転倒。最後の2アクセルも1回転となり、途中からの狂いを最後まで修正することができませんでした。得点は115.96点でフリー6位、総合4位と表彰台を逃しました。
 今シーズンはショートの安定感は抜群なものの、フリーで崩れるパターンの多いオズモンド選手。その中でも高い演技構成点と加点の付きやすい質の高いエレメンツを武器にフリーは120点を下回ることなくまずまずの演技を続けていましたが、今回はその脆さが如実に出てしまいましたね。怪我をして試合に出られなかった1年のブランクによるスタミナ不足の影響なのか、今季はフリーの後半にミスを重ねることが多く、今回はそこに優勝を意識する精神状態も加わって全てが負のスパイラルに陥ってしまったような感じでしたね。大技の3+3は試合でほとんどミスすることがないだけに、それよりも難度の低いはずのジャンプを失敗してしまうのはもったいないのですが、そうしたギャップを埋めるにはやはり練習の積み重ねしかないのでしょうし、それができないことには世界選手権で上位に食い込むことも危うくなってしまうと思うので、ぜひ世界選手権ではオズモンド選手の実力を100%発揮した演技が見られることを期待したいですね。


 5位には入ったのは地元韓国のチェ・ダビン選手です。

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 SPは「映画『ラ・ラ・ランド』より」。まずは得点源の3ルッツ+3トゥループを確実に決めると、後半に組み込んだ3フリップ、2アクセルもきれいに成功。柔軟性を活かしたスピンは全てレベル4でまとめ、演技を終えたチェ選手は地元観客の大歓声を浴びました。得点は自己ベストの61.62点で6位と好位置につけます。
 フリーは「映画『ドクトル・ジバゴ』より」。冒頭はショートと同じ3+3の予定でしたがファーストジャンプの着氷で乱れ単独になります。ですが、直後の3フリップはきれいに成功、さらに2アクセル+3トゥループも回転不足ではあるものの何とかまとめ、立て直します。後半はまず最初の3ループを決めると、3ルッツに急遽3トゥループと2トゥループをつけて序盤のミスを挽回。その後のジャンプもクリーンにまとめ、ショートに続き自己ベストの120.79点でフリー5位、総合でも5位となりました。
 1月に行われた韓国選手権では4位となり、1枠しかない世界選手権の出場権を逃したチェ選手。今大会は母国開催でもあり、その悔しさを晴らす絶好の舞台だったと思いますが、パーフェクトではなかったもののチェン選手の存在を大きくアピールする内容にはなったのではないかと思います。特にフリーは冒頭で跳べなかった3+3を後半で改めて跳ぶというガッツも見せ、今後への期待を持たせてくれる演技でしたね。本格的なシニア参戦としては今季が1年目とあってまだまだジュニアらしさは残りますが、リズム感の良さだったりジャンプ以外の部分でのクオリティーの高さもある選手ですので、来季も注目したいですね。


 6位はアメリカのマライア・ベル選手です。

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 ショートはまず3ルッツ+3トゥループでしたが、3ルッツの着氷で若干詰まったため2つ目は2トゥループに抑え確実に加点を取りに行きます。後半の3フリップは着氷が大きく乱れますが最後の2アクセルは問題なくまとめ、パーソナルベストとなる61.21点で7位発進します。
 フリーも冒頭は2連続3回転でしたが、再び3ルッツでミスがあり単独ジャンプに。続く3ループと2アクセルからのコンビネーションジャンプはクリーンに決めて波に乗るかに見えましたが、3フリップからの3連続ジャンプは最後のジャンプで転倒。以降のジャンプでも細かなミスが重なり、115.89点でフリー7位、総合6位にとどまりました。
 今季GPデビューのスケートアメリカでいきなり3位に入り脚光を浴びたベル選手。今大会はさらに名を上げるチャンスだったと思いますが、始終いまひとつ波に乗り切れなかったかなという印象ですね。ベル選手といえば今季はショートで出遅れてもフリーで順位を上げるというパターンが多いのですが、今回はそのフリーでもミスが重なり得意の形に持っていけませんでした。ただ、初めてのISUチャンピオンシップにしては縮こまることなくベル選手らしさは表わせていたと思うので、世界選手権ではショートからベル選手らしさを思う存分発揮して好演技を見せてほしいですね。



 さて、突然ですが前編はここまで。後編では女子の7位以降の選手とアイスダンスについて書きますのでしばしお待ちください。


:女子メダリスト3選手のスリーショット写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、三原選手のSPの写真、デールマン選手の写真、長洲選手の写真、オズモンド選手の写真、チェ選手の写真、ベル選手の写真は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、三原選手のフリーの写真は、マルチメディアサイト「Zimbio」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-02-20 22:40 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 2月7日、日本スケート連盟は日本女子のエースである宮原知子選手が出場予定であった四大陸選手権とアジア冬季大会を欠場することを発表しました。

◆◆◆◆◆

女子フィギュア宮原知子が左股関節を疲労骨折、四大陸と冬季アジア大会欠場

 フィギュアスケート女子のエース、宮原知子(18)=関大=が左股関節を疲労骨折していることが7日、明らかになった。宮原は今月の四大陸選手権(韓国)と冬季アジア大会(札幌)を欠場する。

 日本スケート連盟の関係者によると、宮原のケガは全治4週間で、3月の世界選手権(ヘルシンキ)には出場する方向で調整をしているという。世界選手権には、来年の平昌五輪の出場枠がかかっている。

 宮原は日本スケート連盟を通じ、「いつも応援していただいている皆様、スケート関係者の皆様、この度はご心配と御迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。今は加療に専念し、世界選手権でしっかりとした演技が出来るよう体調を整えたいと思います」とコメントした。


デイリースポーツ 2017年2月7日 16:03 一部抜粋

◆◆◆◆◆

 GPシリーズ、全日本選手権と順調にシーズン前半を送ってきたように思えた宮原選手ですが、実際はファイナルの前にすでに左股関節痛を発症していて、年明けに痛みが悪化したものの予定どおりアイスショーに出演。その後は練習をセーブし、特に左足を軸とするルッツなどのジャンプの練習は控え、1月半ばに左足股関節の疲労骨折で全治4週間という診断を受けたという経緯のようですね。
 疲労骨折が判明したのが1月半ばということで今回の発表までにすでに半月以上が経っていますが、宮原選手の現状としては疲労骨折の判明後も氷上での練習はしている状態で、本人の意向としても四大陸、アジア大会への出場願望は強かったとのことで四大陸直前まで粘ったのだと思いますが、オリンピックの枠取りが懸かる世界選手権の重要性を考えると大事を取って万全の状態で臨めるように調整した方が良いという決断に至ったのでしょうね。
 最初に疲労骨折というのを聞いた時はかなり心配しましたが、診断を受けたのが1月半ばであり、氷上での練習ができないほどの重傷ではないということなので、しっかりとした調整をすれば世界選手権には問題なく間に合うだけの時間はあるのでその点では一安心しました。心配な点があるとすれば実戦感覚の問題で、宮原選手の場合、全日本から四大陸を挟んで世界選手権というスケジュールで毎シーズン送ってきたので、全日本から世界まで間が空くことでどんな影響が出るのかが気になりますね。もちろん技術的にも本格的な練習ができない期間があったことによる影響はあるかもしれませんが、確かな技術が身体に染み込んでいる宮原選手なので、きっと世界選手権ではいつもどおりの宮原選手の演技を見せてくれるのではないかと思います。

 宮原選手の欠場を受けて、四大陸には本郷理華選手が、アジア冬季大会にはジュニアの坂本花織選手が派遣されることが決定しました。
 本郷選手はアジア冬季大会と合わせて2週連続での試合となり、いきなりのことで大変だとは思いますが、あまり気負うことなく本郷選手らしいのびのびとした演技を期待したいですね。坂本選手にとってはアジア冬季大会は、フィギュアスケートだけではないアジアのウィンタースポーツ全般の競技会という初めての経験になると思うので、将来的なオリンピックのことも見据えて大きな国際大会の雰囲気を楽しんでほしいですね。

 エースである宮原選手の両大会の欠場は本当に残念ですが、世界選手権での最悪な事態を避けるための、また、世界選手権を最高の状態で迎えるための最良の判断だと思うので、世界選手権での好演技を楽しみにしています。


:宮原選手の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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宮原知子選手、世界選手権欠場を発表 2017年3月21日

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by hitsujigusa | 2017-02-08 14:51 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ヨーロッパ各国からトップスケーターが集う欧州選手権2017。今年はチェコのオストラヴァにて行われ、歴史的な偉業の達成やベテラン選手の復帰など話題が盛りだくさんの充実した大会となりました。

2017 European Figure Skating Championships この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 まずは女子の結果から。
 昨年に続いて2連覇を達成したのは現世界女王でもあるロシアのエフゲニア・メドベデワ選手です。

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 SPはいつもどおり全てのエレメンツをパーフェクトに揃えましたが、自身が持つ世界最高得点にはわずかに及ばず78.92点となり、それでも圧倒的なトップに立ちました。
 フリーも序盤からメドベデワ選手の代名詞である片手を上げる“タノ・ジャンプ”を含む難しいジャンプ構成をさらりとこなし、最後の2アクセルに予定外の3トゥループを付けてアピールする余裕さえ見せました。フリーの得点は自身が昨季の世界選手権でマークした歴代最高を塗り替える150.79点、そしてトータルでも229.71点とバンクーバー五輪でキム・ヨナさんがマークした世界最高得点を7年ぶりに更新し、歴史的快挙を達成しました。
 ショートも世界最高が出ても全くおかしくない演技でしたが、GOEの加点が若干GPファイナルの時の方が高く惜しくも更新はなりませんでした。しかしその分の悔しさまでぶつけたようなフリーはコンビネーションジャンプを4回跳ぶというおまけつき。もちろんコンビネーションジャンプは3回までで、3トゥループもすでに2本跳んでいたので2アクセルにつけた3トゥループは無得点となったわけですが、そういったルールさえ凌駕して、自分はもっと上を行っているんだと言わんばかりの行動で、今までも素晴らしいチャンピオンは大勢いましたが、こういった選手はいなかったので改めて現在の採点法の元で育ち、滑ってきた申し子なのだなと感じました。
 よっぽどのことがない限りメドベデワ選手の勢いは世界選手権まで続くでしょうし、こうなると優勝候補として彼女以外に名前を挙げるのはかなり難しいですね。メドベデワ選手にとってライバルと言えるのは自分自身で、過去の自分が成し遂げた演技や記録が倒す相手となるのではないかと思います。世界選手権でも今回と同じか超えるような演技を楽しみにしています。


 銀メダルを獲得したのは昨年、一昨年の銅メダリスト、アンナ・ポゴリラヤ選手です。

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 SPは全エレメンツに加点が付く完璧な内容でパーソナルベストとなる74.39点をマークし2位発進。
 フリーは冒頭の3ルッツ+3トゥループが3ルッツの単独になるミスから始まりましたが、続く2つのジャンプはしっかり着氷。後半の単独予定だった3ルッツに急遽3トゥループを付け、アンダーローテーション(軽度な回転不足)は取られたものの大きなミスなくリカバリー。以降は3+1+3で若干乱れる場面はありましたが全てのジャンプを予定どおりにこなし、137.00点でフリー3位、総合では2位と昨年から一つ順位を上げました。
 パーフェクトだったショートに比べて、さすがにフリーはメダルの色を意識したのか小さなミスが細々とありましたが、それでも崩れなくなったのは紛れもなく昨季からの明確な成長ですね。2年連続のメダルを懸ける世界選手権では今大会以上の重圧がかかってくると思いますが、好調を持続してまたポゴリラヤ選手らしい演技を見せてほしいと思います。


 銅メダルを手にしたのは今季競技復帰した大ベテランのカロリーナ・コストナー選手です。

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 SPは「雷神/モントルーのボンゾ」。冒頭は得点源の3トゥループ+3トゥループを完璧に決めると、続く3ループ、後半の2アクセルもクリーンに成功。スピン、ステップシークエンスもそつなくこなしておおむね高い加点を稼ぎ、シーズンベストの72.40点で3位と好発進します。
 フリーはヴィヴァルディの「ニシ・ドミヌス」。まずはショート同様に3トゥループ+3トゥループを綺麗に成功させると、3フリップ、3ループも相次いで下ります。後半はコンビネーションの1つ目の3ループが回転不足を取られるシーンはありましたが、そのほかにミスらしいミスはなく、復帰直後とは思えない完成度の高い演技を披露しました。得点はシーズンベストの138.12点でフリー2位、総合3位で欧州選手権では実に10個目となるメダルを獲得しました。
 コストナー選手といえば14/15シーズンはフル休養で全試合を欠場。その後、恋人の競歩選手のドーピング検査回避を手助けしたとして競技会への出場停止処分が課され、15/16シーズンも休養を経て、今シーズン満を持して競技会復帰を果たしました。とはいえ2シーズンも休養し、年齢的にももうすぐ30歳ということもあってフェードアウト的に引退かなという雰囲気も漂っていたのですが、予想に反して復帰してきましたね。12月に行われた復帰戦のゴールデンスピンでは優勝こそしたものの、フリーでは複数ミスがありさすがにブランクの影響を感じましたが、そこから1か月余りでしっかりと修正と改善がなされた内容となっていて、ブランクの長さや年齢を考えても想像以上のレベルの高さで驚きましたね。ジャンプ構成の難度では若手には劣りますが、ジャンプが決まった時の加点の高さや、何といっても代名詞といえる現役随一のスケーティングから繰り出されるステップはショート、フリーともにプラス1.8点と高評価を得ていて、ソチ五輪で完成されたと思っていたものがまだ通過点だったのだと今になって気づかされた気分です。もちろん演技構成点も相変わらずの高さで、世界選手権でも確実に表彰台争いをしてくるであろうという雰囲気は十分で、一フィギュアファンとしては復帰は嬉しいと思う一方で、日本選手を応援する立場としては手ごわい厄介な選手が戻ってきてしまったなという気持ちでもありますね。とにもかくにも、世界選手権ではコストナー選手がどんな演技を見せるのか、要注目ですね。


 4位となったのはロシアの新星マリア・ソツコワ選手。ショートは全てのエレメンツで加点を引き出すノーミスの演技で自己ベストの72.17点をマーク。3位のコストナー選手と0.23点差の4位と表彰台を射程に収めます。しかしフリーは冒頭の3+3で転倒すると、中盤の3ルッツでも転倒。全体的に回転不足の目立つ演技となりフリー5位、総合4位で初のメダルからは遠ざかりました。
 ショートで好演技をしメダルを十分狙える位置につけたことで、フリーは余計なプレッシャーを招いてしまったのかなという印象ですね。ただ、これが初めての欧州選手権ですから、いろんなことを経験して吸収してどんどん強くなっていく選手だと思うので、今後も期待したいですね。
 5位はフランスのロリーヌ・ルカヴェリエ選手。ショートは完璧な演技で自己ベストの5位と好位置につけると、フリーは2つのジャンプの減点と演技時間超過による減点があったものの大崩れすることなく滑り切り、こちらも自己ベストで4位、総合では5位と欧州選手権自己最高位を更新しました。
 今シーズンはGPのフランス杯で6位となりフランスのエース格として存在感を増しているルカヴェリエ選手。今大会もシーズン前半の好調をうまく持続させた演技でしたね。まだ安定感抜群という選手ではありませんが、1年前と比べてはるかに技術的にもメンタル的にも成長していて、今回のような演技ができれば世界選手権でも十分上位争いができるのではないでしょうか。
 6位はスロバキアのニコル・ライチョヴァ選手。ショートは3+3は組み込まず確実性を重視した構成をノーミスでこなし7位につけます。フリーは冒頭の3+2から続けてジャンプをクリーンに着氷。後半はいくつかミスを犯しましたが大きな取りこぼしはなくまとめて6位、総合も6位と順位を一つ上げました。
 シーズン前半はショートに入れた3+3でのミスが目立ち苦戦していましたが、今回は3+3を回避したことである程度の余裕を持って演技できたことが功を奏したのではないでしょうか。フリーのミスはもったいなかったですが、それでも大崩れしなかったという事実がまた自信に繋がるのではないかと思いますね。
 7位に入ったのはベルギーのロエナ・ヘンドリックス選手。SPは単独の3フリップでミスがあり11位発進。フリーも同じく3フリップを失敗し、3連続コンビネーションジャンプでも小さなミスがあったものの、ほかはそつなくまとめて7位、総合でも7位と順位を大幅に上げました。
 ロエナ選手は今大会男子で4位に入ったヨリク・ヘンドリックス選手の妹。兄妹揃っての出場でお互いに本領を発揮しましたね。ロエナ選手はまだ17歳で昨季まではジュニアを主戦場としていたので今回初めて存在を知ったのですが、シニア1季目とは思えないくらいステップやスピンでしっかりレベルを取れているのが印象に残りましたね。特にスピンに関してはショート、フリー合わせて6つのスピンが全てレベル4で軒並み高い加点が取れているので、ジャンプのレベルも上がってくると総合力のある選手として楽しみだなと思います。
 8位となったのはハンガリーのトース・イヴェット選手です。SPはジャンプのミスを最小限に抑え、ステップシークエンス、スピンも全てレベル4で6位と好発進。しかしフリーはジャンプの細かなミスが重なったことでGOEでの積み重ねが少なく8位、総合でも8位となりました。


 ここからは男子です。

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 オンドレイ・ネペラさん以来となる5連覇を達成したのは現世界王者、スペインのハビエル・フェルナンデス選手です。

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 SPは4トゥループ+3トゥループ、4サルコウ、3アクセルと高難度のジャンプを次々と完璧に成功。ステップシークエンス、スピンも全てレベル4という隙のない演技を見せ、自己ベストの104.25点で2位に約10点差をつける圧巻の首位発進となります。
 フリーは冒頭の4トゥループをクリーンに決めますが、続く4サルコウからの連続ジャンプは4サルコウの後にオーバーターンが入り減点。しかし直後の3アクセル+3トゥループは問題なく成功させます。後半最初は4サルコウでしたがこれは転倒。次の3アクセルも乱れ、終盤の3ループでもミスと後半は得意なジャンプでミスが重なりましたが、それでも190点台にはきっちり乗せ、トータルではシーズンベストを更新してこの大会5個目の金メダルを手中に収めました。
 ノーミスだったショートから一転、フリーは少し精彩を欠いた内容でフェルナンデス選手といえどもショートとフリーを揃えることの難しさを感じさせられましたが、そうは言っても今季はショートで必ず90点以上、フリーでも170点以上というハイスコアは確実に出してくるので、順調にシーズンを送っているといって差し支えないでしょう。昨年も一昨年も世界選手権では欧州選手権より高い得点をマークしているので、ここからさらに調子を上げたフェルナンデス選手の姿が3月には見られるのではないかと思います。


 銀メダリストとなったのはロシアのマキシム・コフトゥン選手です。

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 SPはまず4サルコウ+3トゥループをパーフェクトに下りると、続く4トゥループも成功。後半の3アクセルも決め、ステップシークエンス、スピンもレベル4を揃える質の高い演技を見せ、フィニッシュしたコフトゥン選手はガッツポーズで抑えきれない喜びを表現。得点は94.53点で3季ぶりに自己ベストを更新し、2位と好発進しました。
 フリーも冒頭の4サルコウ、4トゥループと続けてクリーンに成功。3ルッツは2回転となりましたが、後半の2本の3アクセルも難なく着氷。その後も全てのジャンプをほぼ予定どおりにクリアし、演技を終えたコフトゥン選手はショートのようなガッツポーズこそなかったものの、やり切ったような笑顔を見せました。得点はフリー2位の172.27点でパーソナルベストを更新し、総合2位で3年連続で表彰台に上りました。
 12月末のロシア選手権ではショートで7位と大きく出遅れ、フリーで追い上げて何とか3位に滑り込む形で欧州選手権の切符を手にしたコフトゥン選手。ロシア男子随一のポテンシャルの持ち主でありながらなかなか本番で安定した演技ができないメンタル面の弱さが常々指摘されてきましたが、今大会はショート、フリーともにコフトゥン選手らしさを思う存分発揮して、ガッツポーズを見たのもいつ以来か覚えていないくらいの久方ぶりの出し切った演技でしたね。特にフリーはフェルナンデス選手の次の滑走という精神的に乱れやすいシチュエーションだったと思うのですが、その中であれだけまとめられたというのは彼にとっても自信を取り戻すきっかけになるのではないかと思います。もちろん本当に大事なのはこれからで、このレベルの演技を続けることなので、世界選手権でも笑顔で終われることを願っています。


 銅メダルを獲得したのはロシアチャンピオンのミハイル・コリヤダ選手です。

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 SPは冒頭の4+3をクリーンに決めたものの、次の3アクセルが珍しくパンクして1回転に。それ以外のエレメンツは全て1点以上の加点を引き出すクオリティーの高さを見せつけましたが、3アクセルの失敗が響き83.96点で4位発進。
 フリーは冒頭で大技の4ルッツに挑戦しますがあえなく転倒。さらに得意の4トゥループも着氷で大きくステップアウトとミスが続きます。しかしそこからは実力を発揮し、3アクセル+3トゥループ、3ルッツからの3連続ジャンプを相次いで成功。立て直したかに見えましたが、後半の3アクセルは1回転に。その後のジャンプでは目立ったミスはありませんでしたが、フィニッシュしたコリヤダ選手は残念そうに肩を落としました。ですが、得点は166.22点でフリー3位、総合も3位で初めてのメダルを手にしました。
 ショート、フリーともに高難度のジャンプで安定感を欠いていたコリヤダ選手。まだ試合で成功のない4ルッツはともかくとして、得意の4トゥループや3アクセルでのミスはやはり欧州選手権という大舞台ならではの緊張感が生んだものなのかなと思いますね。ただ、コリヤダ選手の場合、ジャンプにしてもスピンにしても癖のないお手本のような美しい形のものを持っているので高い加点が付きやすく、今回も得点源のジャンプでミスしてもほかを疎かにせず丁寧にこなしていたのがトータル250点というまずまずのスコアに繋がりましたね。世界選手権ではロシア王者として、欧州で得た課題をクリアする演技を期待しています。


 惜しくも表彰台まであと一歩の4位だったのはベルギーのヨリク・ヘンドリックス選手です。SPは3アクセルでわずかなミスがありましたが、他はほぼノーミスでまとめて5位。フリーは冒頭に得点源の3アクセルを2本固め、1本はクリーンに成功、もう1本は不完全となります。しかし全体的にはリズムを崩すようなミスはなく、フリー5位、総合4位と自己最高位で大会を終えました。
 4回転は1本も跳ばなかったヘンドリックス選手ですが、その分安定感が目立っていましたね。2季前には膝の外科手術も経験し第一線からは少し離れていましたが、今季は2季ぶりにGPに出場、そして今大会は4位という躍進ぶりで、年齢的には24歳とベテランの部類に入りますが、まだまだ今後の伸びしろが感じられますね。
 5位となったのは昨年の銀メダリスト、イスラエルのアレクセイ・ビチェンコ選手です。ショートは全ジャンプを完璧に揃えて3位と好位置につけましたが、フリーは4トゥループや3アクセルといった基礎点の高いジャンプでミスを連発。フリー9位、総合5位にとどまりました。
 6位はジョージアのモリス・クヴィテラシヴィリ選手。ショートは4+3、3アクセルを成功させたものの単独の3フリップでミスを犯し僅差の10位発進。フリーでも複数のミスがありましたが、4サルコウと4トゥループと3アクセルを1本ずつクリーンに決めて点数を稼ぎフリー4位、総合6位と大幅にジャンプアップしました。
 7位はラトビアの新星デニス・ヴァシリエフス選手。SPはミスを最小限にとどめて自己ベストに迫るスコアで6位につけます。フリーは冒頭の3アクセルが1回転になる失敗はありましたが、その後は2本目の3アクセルを始め全てのジャンプを予定どおりにクリーンに成功。スピン、ステップシークエンスもレベル4を並べて演技をまとめ自己ベストを更新。フリーも6位で総合では7位と昨年の12位から躍進しました。
 8位はロシアの新星アレクサンドル・サマリン選手。SPは4トゥループで転倒、3+3でもミスで9位と出遅れ。フリーは4トゥループ、3アクセルをそれぞれ2本ずつ組み込み、1本ずつ成功させましたが、もう1本ずつは失敗となり、また、スタートの遅れによる減点やスピンの取りこぼしもあり、得点を伸ばし切れず7位、総合8位に終わりました。


 次はペアです。

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 初制覇を果たしたのはロシアのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組。SPは全てのエレメンツで1点以上の加点、特に3ツイストとスロー3ループでは2点以上という極めて高い評価を得て、世界歴代3位の80.82点で断トツの1位に立ちます。フリーも得意のツイストを始め、スロージャンプやサイドバイサイドのジャンプも安定感抜群の演技を披露。終盤のリフトとスピンがレベル2となる取りこぼしはありフリーは2位にとどまりましたが自己ベストは更新し、総合1位で初の欧州チャンピオンに輝きました。
 12月末のロシア選手権ではフリーでミスを連発してしまい超僅差で優勝を逃したタラソワ&モロゾフ組。今大会はその失敗を繰り返すまいという姿勢がうかがえ、代名詞である4ツイストを外して確実性を高めた構成を丁寧にこなしましたね。GPファイナル、欧州選手権と主要国際大会を2つ制し、2連覇中の世界王者メ―ガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組に対峙する世界選手権はどんな結末が待っているのか、今から楽しみです。

 2位はドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組です。ショートはステップシークエンスでサフチェンコ選手が転倒してしまうミスがあり得点を伸ばし切れず3位発進。しかしフリーではほぼノーミスの演技でパーソナルベストを更新して1位となり、総合2位と順位を上げました。
 SPはアクシデント的な転倒によって思いがけない内容とはなりましたが、ショート、フリー通して全体的にサフチェンコ&マッソ組らしい安定した演技でしたね。スロージャンプやサイドバイサイドジャンプの難易度はトップペアの中では劣る方なのですが、その分ミスは少なく精度は高いので、世界選手権でも確実に表彰台争いに加わってくるでしょうね。

 3位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組。SPは非の打ちどころのないほぼ完璧な演技で自己ベストを7点以上更新し2位と好発進。フリーは大技のスロー4サルコウこそ両足着氷で惜しくも完全な成功には至りませんでしたが、そのほかはほとんどがレベル4かつ1点以上の加点という完璧に近い演技を見せ、こちらも自己ベストを12点以上更新しフリー3位、総合3位で初表彰台となりました。
 ショート、フリーともに本当にミスといえるミスのない会心の演技で、ショートのフィニッシュでは歓喜の破顔を、フリーのフィニッシュでは笑顔とともに感極まっての涙を見せました。常に欧州のペアの中でもトップレベルに居続けてはいましたが、なかなか欧州の4番手、5番手といったポジションから抜け出られずにいたので、この銅メダルの意味はとても大きいのではないかと思います。また、今までトータル200点さえ超えたことがなかったのが一気に220点台に到達したわけですから、銅メダル以上にこのスコアが持つ意味も非常に重要ですね。世界のトップペアの中でも一握りしかクリアしていないラインを超えたことで、今後のジェームズ&シプレ組に対する見方も変わってくるでしょうし、期待の度合いも違ってくると思いますが、世界選手権でもぜひ二人らしい演技を見せてほしいですね。

 以下、4位はロシアチャンピオンのクセニア・ストルボワ&ヒョードル・クリモフ組、5位も同じくロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組、6位はイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組、7位は現世界ジュニア王者であるチェコのアナ・ドゥシュコヴァ&マルティン・ビダジュ組、8位はイタリアのニコル・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組となっています。


 さて、最後はアイスダンスの結果です。

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 3連覇を成し遂げたのは現世界王者でもあるフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組です。SDは最後に実施したステップがレベル2にとどまり得点を伸ばし切れず予想外の3位発進。しかしFDはほとんど取りこぼしなく演技をまとめて1位、総合でも1位となりました。
 確かな技術力があるパパダキス&シゼロン組にしては珍しくショートはレベルの取りこぼしがありましたが、2日後のフリーではしっかり修正してディフェンディング・チャンピオンの底力を見せましたね。ただ、世界選手権3連覇に向けてはカナダのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組がシーズンベストでは抜きん出ており、そのヴァーチュー&モイア組と接戦に持ち込むためにはSDでのミスは絶対に許されないと思うので、SDでどちらが上に来るか、どれくらいの点差がつくかが鍵になってきそうですね。

 銀メダルを獲得したのはイタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組です。SDはそつなく全てのエレメンツを高いレベルで揃えて自己ベストの2位と好発進。FDは冒頭のツイズルでカッペリーニ選手にミスがあり減点となりましたが、その後は立て直してほぼノーミスでまとめて2位、トータルでパーソナルベストを更新し3年連続で総合2位となりました。
 シーズン前半は出場した3試合全てでトータルスコアが180点とバラつきの少なさが際立っていたカッペリーニ&ラノッテ組ですが、今大会もベテランらしい落ち着いた演技でしたね。世界選手権は2年連続で表彰台まであと一歩の4位にとどまっているので今年こそという想いはあるでしょうし、その前に欧州で自己ベストを出せたことで良い流れが作れたのではないでしょうか。

 2年連続の3位となったのはロシア王者のエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組。SDは自己ベスト更新で首位と好発進。FDはステップが1つレベル2にとどまったため技術点を伸ばし切れず3位、総合では2位と0.08点の3位となりました。
 ショートでトップに立っただけにフリーでもその順位を守り切りたかったでしょうし、せめて昨年より上の順位をという気持ちもあったと思いますが、本当にわずかな差での3位でしたね。世界選手権ではちょっとしたミスが順位を大きく左右することもあるので、最高難度のレベル4の数が注目ポイントになるでしょうね。

 以下、4位はイスラエルのイザベラ・トビアス&イリヤ・トカチェンコ組、5位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組、6位はイタリアのシャルレーヌ・ギニャール&マルコ・ファブリ組、7位はデンマークのロランス・フルニエ=ボードリー&ニコライ・ソレンセン組、8位はポーランドのナタリア・カリシェク&マクシム・スポディレフ組となりました。



 欧州選手権2017の結果は以上です。
 それぞれのカテゴリーを振り返ってみると、女子はやはりメドベデワ選手の圧勝という下馬評どおりの結果でしたが、復帰直後のコストナー選手が想像以上の仕上がりの良さでロシア勢の表彰台独占を防いだことによって、世界選手権のメダル争いの行方をより不透明にしたという感じですね。
 男子はフェルナンデス選手が圧倒的な強さで5連覇を果たし、欧州王者としての地位をさらに確固たるものにしましたが、ロシア勢もしっかり複数メダルは確保してロシア男子チームとしての層の厚さを見せましたね。
 ペアはGPファイナル覇者のタラソワ&モロゾフ組が欧州も制して2冠となりましたが、一方で2014年以来3年連続で続いてきたロシアペアの複数メダルは途切れ、世界選手権を見据える上でペア大国ロシアでも油断ならない状況だなと感じさせられましたね。
 アイスダンスは昨年と全く同じ顔ぶれ、順番の表彰台となり、昨年は優勝したパパダキス&シゼロン組だけが180点台だったのと比べると今年は3組とも180点台後半というハイスコアで、北米勢とのハイレベルな戦いがより一層楽しみになりました。
 世界選手権ではどんな戦いが繰り広げられるのか楽しみですが、その前に今度はヨーロッパ以外のトップスケーターが集う四大陸選手権2017が平昌オリンピックの会場にて2月14日から19日にかけて行われます。こちらもハイレベルな争いとなることは間違いないので目が離せません。では。


:記事冒頭の女子メダリスト3選手のスリーショット写真は、AFPBB Newsが2017年1月28日の10:11に配信した記事「メドベデワが欧州選手権連覇、歴代最高得点を樹立」から、メドベデワ選手の写真、男子メダリスト3組のスリーショット写真、フェルナンデス選手の写真、コフトゥン選手の写真、ペアメダリスト3組の写真、アイスダンスメダリスト3組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ポゴリラヤ選手の写真、コストナー選手の写真、コリヤダ選手の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-02-01 16:45 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)