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 16/17シーズンのコスチュームをランキング形式で紹介するベストコスチューム16/17。例年どおり、個人的に良いと思った現役選手たちの衣装を各カテゴリー別に1位から10位まで振り返っていきたいと思います。この記事ではアイスダンスのショートダンスのベスト10を書いていきます。
 その前に、コスチュームを選ぶ上でのルールをまとめると、


●16/17シーズンに着用された衣装が対象。
●グランプリシリーズ、欧州選手権、四大陸選手権、世界選手権、世界国別対抗戦に出場した選手が、該当する試合で着用した衣装のみ対象とする。
●各部門につき、各選手1着のみに限定。1つのプログラムで複数の衣装を使用している場合でも1着しか対象にならない。また、1人の選手が1シーズンで複数のプログラムを演じた場合でも1つの衣装しか対象にならない。
●16/17シーズンに着用している衣装でも、すでに昨シーズン以前に使用されたことのある衣装は対象外とする。



 という感じになります。これらのルールに基づいて、10着の衣装を選びました(アイスダンスやペアの場合は男女で1組なので、衣装ももちろん2着で1つという扱いです)。ではさっそく、アイスダンスショートダンス部門の1位から見ていきます。

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 アイスダンスショートダンス部門の1位は、日本の村元哉中&クリス・リード組の「レイ・チャールズ・メドレー」です。

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 ソウルの神様と呼ばれるレイ・チャールズの楽曲を組み合わせたメドレープログラム。明るく軽快なプログラムということで衣装もポップさを前面に押し出したデザインになっています。
 男女ともに基調となっている色はイエローと紫。女性の村元選手はホルターネック風のワンピースで、ボディの部分は濃いめの紫のベルベット風生地。胸元は白襟のようなデザインに小さなボタンが4つ並んでいます。スカートは透け感のある紫のチュールスカートの上にサテンのような艶のある素材の白いスカートを重ねていて、白いスカートは輪っかのような一風変わったイエローのドット模様となっています。ドット以外にもスカートの縁や首にかかったストラップ、腰を囲むベルト(背中側でリボンを結んだデザインになっている)がイエローとなっていて、アクセントをつけています。
 一方、男性のリード選手は白いシャツの上に、紫をベースにイエローの格子柄が入った五分袖のジャケットを着用。ネクタイはイエローにシルバーのラインストーンが施された作りで、ポケットにはイエローのチーフと、こちらもベースは紫ですがイエローをアクセント的に使ったコーディネートとなっています。
 紫とイエローという組み合わせは珍しい色づかいですが、プログラムのポップな雰囲気によく合っていますし、また、女性のワンピース姿も男性のジャケット姿もどこかレトロで古き良き時代を思い起こさせるデザインになっていて、レイ・チャールズというアメリカを代表する往年のスターの音楽にもピッタリ合っていると思いますね。


 2位はアルメニアのティナ・ガラベディアン&シモン・プルー=セネカル組の「Blues/Swing」です。

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 プログラムに関しては今季の課題であった「ブルース」と「スウィング」の表記があるのみで具体的な曲名はわからないのですが、前半はしっとりとした女性ボーカルによる上品な世界観、後半は同じく女性ボーカルですが軽快でリズミカルな曲調という構成のプログラムになっています。
 ということで後半の「スウィング」の軽快さよりも、前半の「ブルース」の落ち着いたイメージを意識したコスチュームになっていますね。男性はシンプルな黒のタキシード姿でクラシカルな紳士を演出。女性はラインストーンやビジューがふんだんにあしらわれた上半身と深いスリットが入った長めの群青色のスカートという個性的でありながらも気品のあるドレス姿。特に上半身はかなりキラキラとした一見派手なデザインですが、使う装飾の色をある程度絞って統一してあるので、そんなにごちゃごちゃした感じはせずゴージャスかつ洗練された印象を与える衣装になっていると思います。プログラムが醸し出すイメージよりは男女ともにクラシックな趣きが強いかなと思いますが、よく工夫された美しい衣装ですね。


 3位はロシアのヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組の「Love Creole/It Don't Mean A Thing」。

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 ジャズの大家デューク・エリントンの「Love Creole」とアメリカを代表するエンターテイナー、トニー・ベネットとレディー・ガガのデュエット曲「It Don't Mean A Thing」のメドレープログラム。全体的にしゃれた小気味の良い雰囲気の作品ですが、コスチュームもそれに合わせて比較的カジュアルなデザインになっています。
 男性は五分袖の白シャツに黒いベストというスマートながらも着崩した雰囲気のある着こなし。一方、女性はネイビーのワンピースですが、裾はゴールドなどさまざまな色が入り混じったフリンジっぽい作りになっていて、上半身から腰にかけてはシンプル、スカートはゴージャスというギャップのあるデザインが印象的で良いですね。プログラムの後半はトニー・ベネットの渋い歌声とレディー・ガガの華やかなソプラノのデュエットなので、そういったイメージにも合っている衣装だなと思います。


 4位はイタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組の「Cry For Me/Choo Choo Boogie」です。

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 クリント・イーストウッド監督作品『ジャージー・ボーイズ』の劇中曲「Cry For Me」による前半はしっとりとしながらも軽快さもあるバラード、後半はとにかくノリノリのブギウギというプログラム。
 女性のカッペリーニ選手は全身水玉のモノトーンの半袖ワンピースというポップないでたち。一見シンプルですが、ドットの大きさが部分部分で違いますし、裾の広がり方も絶妙で、よく考えられたコスチュームだと思います。また、男性のラノッテ選手は黒いインナーに黒いパンツ、赤いジャケットというコントラストがきれいなコーディネート。男女であまり共通点のないように見えるコスチュームですが、カッペリーニ選手が赤いイヤリングや赤いマニキュアでラノッテ選手の衣装に合わせているところもしっかり工夫していますし、男女で並んだ時に黒と白と赤というコントラストのハッキリとしたカラーコーディネーションがプログラムの雰囲気にも合っていて素敵ですね。


 5位はアメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組の「That's Life」。

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 プログラムはフランク・シナトラが歌うスタンダードナンバー「That's Life」ですが、後半はそれをヒップホップ風にリミックスしたバージョンになっていて、ゆったりとした前半と急激に激しくなる後半とのギャップが魅力的な作品です。
 コスチュームは男性と女性とで少し趣の異なるものになっていて、男性は白シャツに黒いジャケットとパンツという非常にシンプルなスタイル。一方で女性は胸元が大胆に開いたデザインのノースリーブのトップスで、その下にはランジェリーがのぞくような作りになっており、また、背中側は全てシースルー生地になっているので、さらにセクシーさを感じさせます。しかしトップスの襟元はスーツの襟のような形になっていて男性の衣装との統一感もあり、ボトムスはスカートではなく脚を全て覆うパンツルックということもあり、セクシーだけれども羽目を外し過ぎない品の良さもちゃんとある衣装になっています。女性の衣装は中国杯までは胸元も覆うようなデザインの衣装を着ていてそちらも素敵だったのですが、よりセクシーなこちらを今回は選びました。
 男性のオーソドックスな衣装でプログラム前半のフランク・シナトラのパートを、女性の個性的な衣装でプログラム後半のヒップホップのパートを表しているようにも思えて、プログラムの持つ二つのイメージを男女それぞれが表現するという考えられたコーディネートになっていますね。


 6位はカナダのアレクサンドラ・ポール&ミッチェル・イスラム組の「Big Spender/シング・シング・シング」。

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 ムーディーな女性ボーカルが特徴的なミュージカルナンバー「Big Spender」と、スウィング・ジャズの名曲「シング・シング・シング」を組み合わせたプログラム。
 衣装は男女ともに黒を基調としたシックなのものとなっています。男性は白シャツにグレーのストライプが入った黒いベストとパンツ、白い水玉のネクタイというコーディネートで、シンプルではありますが単に黒一色ではなく、ストライプやドットといった模様の入ったスタイルにすることでより軽快さやポップさも醸し出していて、スウィング・ジャズを使ったノリの良いプログラムの世界観に合わせています。女性は胸元の大きく開いたホルターネック風のワンピース姿で、黒いラインが細かく交差するような素材感が特徴的。スカートの裾はフリンジになっていて、全体的に古き良きアメリカの踊り子が着ていたような衣装を想起させるデザインとなっています。また、シーズン初戦のUSインターナショナルクラシックでは女性のポール選手は髪をポニーテールにしていましたが、写真のスケートカナダでは髪をまとめて、さらにシルバーの髪飾りをつけたことによって、よりオールドアメリカのクラシックな雰囲気が強調されていて、プログラムのイメージをしっかり体現していると思いますね。


 7位はフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組の「Bittersweet/Diga Diga Doo」。

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 女性ボーカルによるロマンティックな前半と、トランペットの音色が特徴的なリズミカルな後半という構成のプログラム。シーズンを通して男女ともに2着の衣装を使用していましたが、個人的に好きなシーズン後半の衣装を選ばせていただきました。
 女性のパパダキス選手は胸元が大きく開いたワンピースを着氷。ベースとなるネイビーのシースルー生地の上にボタニカル柄っぽい金色の刺繍を施したようなデザインで、スカートは一切模様や装飾のないシンプルなものとなっています。金色の刺繍によってゴージャスな印象もありますが、細めのストラップや透け感のある生地など全体的に華奢な印象もあり、可憐さと華やかさのバランスが取れたコスチュームだと思います。男性はこちらも胸元をはだけた白シャツの上にグレーの五分袖ジャケットとパンツといういでたちですが、ジャケットの襟と袖は女性のワンピースと同じような金色の刺繍がなされていて、地味すぎず派手すぎずというセンスの良さを感じさせますね。


 8位はスペインのオリヴィア・スマート&アドリア・ディアス組の「Proud Mary」。

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 ティナ・ターナーの楽曲を使用したパワフルでソウルフルなプログラム。ということで衣装もわりときらびやかなものになっています。
 女性はシルバーのノースリーブドレス。スカートはフリンジになっていて色づかいも伴ってゴージャスな印象を与えますが、上半身はシルバー一色ではなく肌色に合わせたベージュとの縞模様っぽくなっているので、見た目にも変化がありますね。一方で男性はグレーのシャツに黒いパンツというごくごくスタンダードなスタイルで、女性の引き立て役という感じ。
 カップルとして見ると、色的にはシルバー、グレー、黒というモノトーンに近い組み合わせで必ずしもカラフルではありませんが、ブロンドのボブヘアにシルバーのフリンジワンピースという女性のいでたちがとても華があり、また、プログラムの雰囲気ともよく合っていて、色の印象以上に華やかさを感じさせる衣装だなと思います。


 9位はイギリスのライラ・フィアー&ルイス・ギブソン組の「Save My Soul/Diga Diga Doo」。

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 アメリカのスウィング・バンド“ビッグ・バッド・ヴードゥー・ダディ”の楽曲2曲のメドレープログラム。古き良きアメリカ音楽をリバイバルしたような音楽が特徴的なバンドの楽曲とあって、どこか懐かしい雰囲気も漂わせるプログラムになっています。
 男性のギブソン選手は五分袖の白シャツに黒いベスト、黒いパンツというオーソドックススタイル。一方、女性のフィアー選手は鮮やかなライトブルーのホルターネックワンピース。胸元にふんだんにビジューが施されていてとても華やかな印象を与えます。また、上半身は流れるような曲線が縦に走るデザインともなっていて、シンプルな中にも工夫が感じられます。
 こちらも上述したスマート&ディアス組同様に、男性は地味目に、女性は比較的華やかにという組み合わせで、男性が女性を際立たせる二人のコーディネートですね。


 10位はロシアのエレーナ・イリニフ&ルスラン・ジガンシン組の「Big Bad Love/シング・シング・シング」です。

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 レイ・チャールズとダイアナ・ロスのデュエット曲「Big Bad Love」と超定番の「シング・シング・シング」を組み合わせたプログラムですが、コスチュームはスウィングのノリノリのイメージよりも、前半のブルースのしっとりとした世界観の方をイメージしたデザインになっていますね。
 女性のイリニフ選手はノースリーブのスカート長めのドレス。シックなネイビーですが、上半身を中心に施された細かなビジューや、ネックレス風の装飾、腰のコサージュ風の装飾、頭の髪飾りなど、全体的に装飾多めになっているのでわりと華やかな印象です。男性の方は白いシャツに黒い蝶ネクタイ、黒いスーツという正統派のクラシカルスタイルですが、襟には女性同様にキラキラとしたビジューがあしらわれているのでこちらも華のある雰囲気。ブルース&スウィングというよりはクラシック音楽のプログラムで使用してもおかしくない衣装ですが、あえてこういったプログラムでクラシカルなコスチュームを用いることで、上品さを前面に押し出していて良いですね。



 ベストコスチューム16/17のアイスダンスショートダンス部門は以上です。フリーダンス部門に続きます。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、村元&リード組の写真は、デイリースポーツのニュースサイト内の写真特集記事から、ガラベディアン&プルー=セネカル組の写真、シニツィナ&カツァラポフ組の写真、カッペリーニ&ラノッテ組の写真、シブタニ&シブタニ組の写真、ポール&イスラム組の写真、スマート&ディアス組の写真、イリニフ&ジガンシン組の写真は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、パパダキス&シゼロン組の写真は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、フィアー&ギブソン組の写真は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-05-25 17:23 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)