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 7月となりいよいよ新シーズンが開幕。何といっても今シーズンは4年に1度のオリンピックが開催される記念すべきオリンピックイヤーとあって、例年以上に各選手のプログラムにも注目が集まります。そんな新プログラムについて、現時点でわかっている限りの情報をここでお伝えしたいと思います。ショートのみ、もしくはフリーのみプログラムを発表している選手も多くいますが、ひとまずこの記事ではショートとフリー両方わかっている選手について取り上げていきます。


 まずは上の写真でもおわかりのとおり、世界選手権2017銀メダリストの宇野昌磨選手の新プログラムについてです。
 宇野選手は5月に自身の公式サイトで早々と新プログラムを発表しており、こうして当ブログで記事にするまでに2か月も経ってしまい今更という感じなのですが、改めて書きますと、SPは「冬 「四季」より」、フリーは「トゥーランドット」で、振り付けはいつもどおり樋口美穂子さんであると思われます。
 ショートの「冬 「四季」より」はヴィヴァルディの代表作。フィギュア界でも定番です。すでに宇野選手はアイスショーでこのプログラムを多々披露し手応えのほどを口にしていますが、ヴァイオリンが奏でる「冬」独特の緊迫感と“冷え感”みたいなものをどう表現し切っていくかに注目したいですね。元々宇野選手はこういったクールな雰囲気のクラシック音楽も表現するのはうまいスケーターだと思うので、「冬」といえば宇野昌磨、といわれるくらいの代表作にしてくれることを期待したいと思います。
 そしてフリーは2度目の「トゥーランドット」。シニア1年目となった15/16シーズンのフリーであり、宇野選手が世界的に飛躍するきっかけとなった始まりのプログラムなので、オリンピックシーズンにふさわしいチョイスと言えます。2季前と同じ音楽を使用することでどれだけ進化したかというのをアピールしやすい選曲でもあると思いますし、逆に言えば、同じ曲だからこそ違いを表現できないとアピールとしては弱くなってしまう可能性もあるので、そうした課題を宇野選手がどう乗り越えて新たな「トゥーランドット」を見せてくれるか楽しみにしたいですね。


 同じく日本の樋口新葉選手は自身が契約を結ぶ企業の公式サイトで新プログラムを発表しました。

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 SPは「ジプシーダンス バレエ「ドン・キホーテ」より」、フリーは「スカイフォール 映画『007 スカイフォール』より」です。
 ショートの「ジプシーダンス」は定番のバレエ「ドン・キホーテ」の第2幕のワンシーンで、バジルとキトリの恋人同士がジプシーたちの野営地で歓迎の踊りを見るという場面です。バジルやキトリ、ドン・キホーテが踊る見せ場ではないので、版ごとにいろんなバージョンがあるようですが、私が知っている限りでは女性のジプシーが長いスカートを振り乱しながら情熱的に激しく狂ったように踊るというバージョンが多いように思うので、樋口選手もそういったイメージで演じるのかなと想像します。そうだとすると、ジプシーの女性の妖艶さだったり悲哀だったり重層性があって、若い選手の演じるものとしては比較的難しい曲だなと感じるのですが、昨季「ラ・カリファ」や「シェヘラザード」と自らの新境地にチャレンジして、女性的で柔らかな深みのある表現を手に入れた樋口選手ですので、元々の持ち味であるスピード感、ダイナミックな表現に女性的な表現が組み合わされば、ハマるプログラムになるんじゃないかなと思いますね。
 一方、フリーは映画『007 スカイフォール』の主題歌「スカイフォール」を使用したボーカル入りのプログラム。「スカイフォール」はイギリスの歌手アデルが歌う楽曲ですが、プログラム全編その楽曲のみになるのか、映画のサントラも合わせた感じになるのかなど詳しいことはまだ不明です。「スカイフォール」自体は基本的にはバラード調のポップソングなので、クラシックではないところに意欲的なものを感じますし、歌詞入りのプログラム自体が樋口選手にとっては競技用としては初めてだと思うので、あえてオリンピックシーズンに新しいチャレンジをするというのはリスキーな部分もあるでしょうが、ぜひ頑張って自分のものにしてほしいですね。


 今季シニアデビューとなる世界ジュニア2017銀メダリストの本田真凛選手はアイスショーに際して新プログラムを発表。

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 SPは「ジェラシー/ラ・クンパルシータ」、フリーは「トゥーランドット」とのことです。
 ショートは有名なタンゴ2曲のメドレープログラム。どういうふうに組み合わせるのか詳細はわかりませんが、やはりタンゴというのは大人の世界ですので難しさはあるでしょうが、元々艶やかな表現力を持っている本田選手なら初めてのタンゴでもうまくこなせそうな気がしますし、さらに表現の幅が広がって新たな魅力が加わるという意味でも楽しみですね。
 そしてフリーは上述した宇野選手と同じ「トゥーランドット」。ですが、もちろんプログラムの中身、構成、何より女性と男性とでは表現の仕方もだいぶ違ってきますので、このダイナミックで偉大であまりにも有名な作品を、どう本田選手ならではの「トゥーランドット」に仕上げていくか見守りたいですね。
 ショート、フリーともに少し背伸びをしたプログラムになりますが、本田選手らしさも残しつつ、シニア1年目の変化にも期待したいと思います。


 怪我からの再起を図る村上大介選手は、自身の公式You Tubeでプログラムについてショート、フリーともに昨季からの継続となる「彼を帰して ミュージカル『レ・ミゼラブル』より」「歌劇「道化師」より」であると語りました。振り付けも継続でローリー・ニコルさんではないかと思います。
 SPに関しては3季連続となりますが、昨季は怪我のためほとんど試合に出ていないので実質的には2季連続くらいの感覚ですね。また、一度4月に別の曲でショートプログラムを制作したもののしっくりこず、改めて「彼を帰して」を演じることにしたとも動画の中で話しています。振り付けもところどころ変わっているようですし、昨季までとはまた別の「彼を帰して」として拝見したいと思います。
 フリーも昨季からの持ち越しですが、昨季は上述したようにほぼ試合に出られなかったので「道化師」も演じる機会はあまりありませんでした。なので、こちらも新しいプログラムとしてどんな村上選手の表情が見られるのか楽しみにしています。


 世界ジュニア2017銅メダリストの坂本花織選手もスポーツナビのインタビュー記事で新プログラムを明かし、SPは「死の舞踏」で振り付けは宮本賢二さん、フリーは「映画『アメリ』より」で振り付けはブノワ・リショーさんであることがわかっています。
 「死の舞踏」の方は曲名のみの発表で作曲者についての記述はありませんでした。なので、サン=サーンスの「死の舞踏」なのかリストの「死の舞踏」なのかは現時点ではわかりません。より有名でフィギュア界で多く使われるのはサン=サーンスの方なので多分こっちかなとは思いますが、そう仮定してイメージすると、ダークで幻想的な世界観の作品なので坂本選手の活発で明るいイメージとは全く異なる雰囲気になりそうですね。シニア1年目ということで、慣れた雰囲気のプログラムをやるという選択肢もある中で、オリンピックを目指す上であえて新境地を開拓する方針がうかがえますね。
 そしてフリーはフランスの世界的ヒット映画『アメリ』のサントラを使用するとのこと。フィギュア界では定番というほど使用頻度は高くないですが、高橋大輔さんが10/11シーズンのエキシビションで演じていたのが個人的には印象に残っています。サントラのどの曲を使うかでも印象は変わると思うのですが、アイスショーでの演技を見るとサントラの中でも特に知られたメインテーマを主に使っていて、オルゴール風の旋律とマリオネット風の振り付けで女の子らしい可愛いイメージが強いプログラムになっており、坂本選手らしい明るさ、軽快さはありつつも、より繊細さだったりアンニュイ的な表現力も要求されるのかなという気がします。
 どちらのプログラムにしても坂本選手にとっては新たな試みが多く盛り込まれていると思うので、楽しみだなと思いますね。


 こちらもシニアデビューを迎える白岩優奈選手は、SPが「亜麻色の髪の乙女」、フリーが「展覧会の絵」です。
 ショートはドビュッシーの代表作。元々はピアノ曲ですが、ピアノのみとなるとかなり静かな曲なのでもしかしたらオーケストラバージョンかもしれませんね。静謐で優雅な雰囲気が白岩選手に合いそうでイメージのしやすい曲だなと思います。
 一方、フリーはムソルグスキーの代表作の組曲で、こちらもピアノバージョンとオーケストラバージョンが存在しますが、滑りやすさでいったらやはりオケ版の方がやりやすいでしょうか。組曲なので曲によって曲想や世界観もさまざまで、どういった組み合わせ、構成にするかによって印象はかなり変わってきそうです。なので、どんな感じのプログラムになるかはまだ想像できませんが、有名な曲のわりにはフィギュア界ではそんなに使われることはない音楽なので、新鮮味があって楽しみですね。


 ここからは海外選手情報です。
 まずは2年連続世界女王に輝いているロシアのエフゲニア・メドベデワ選手。

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 メドベデワ選手はロシアフィギュアスケート連盟の公式サイトのインタビュー記事で、SPは「夜想曲第20番」、フリーは「January Stars/The Departure(Luluby) テレビドラマ『LEFTOVERS/残された世界』より/Dona Nobis Pacem 2 テレビドラマ『LEFTOVERS/残された世界』より」であると語っています。
 ショートはショパンのピアノソナタの名曲。スタンダードな選曲と言えますが、シニアに上がってからのメドベデワ選手は純粋なクラシックというのはやっていなかったので、むしろ新鮮な印象を覚えます。誰もが知る名曲を、メドベデワ選手がどう個性を出して演じるのか、注目ですね。
 フリーは複数の曲の組み合わせになるようで、「January Stars」はアメリカのニューエイジの作曲家ジョージ・ウィンストンのピアノ曲、あとの2曲はアメリカのテレビドラマのサントラからの抜粋のようですね。メドベデワ選手は今までも複数の異なる曲を繋ぎ合わせて1つのプログラムにするというパターンを多く採用し、その上で明確なストーリーだったりテーマを掲げて一つの芸術作品として完成させていて、今回もそういったプログラムになるのではないかと予想します。どちらにしろ絶対女王としてオリンピックに向かう気持ちは人一倍強いはずですので、緻密に考えられたメドベデワ選手にしかできないプログラムを見せてくれるのではないかと今から期待が募りますね。


 同じくロシアの世界ジュニア女王アリーナ・ザギトワ選手も、ロシアフィギュアスケート連盟の公式サイトでプログラムを発表済みです。

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 SPは「映画『ブラック・スワン』より/The Middle of the World 映画『ムーンライト』より」、フリーは「バレエ「ドン・キホーテ」より」です。
 ショートは2つの映画のサントラからの抜粋。前者はバレエ「白鳥の湖」を題材にしたヒット映画のサントラですが、映画音楽を担当したクリント・マンセルのオリジナルの部分もあれば、チャイコフスキーの音楽をほぼそのまま引用した部分もあるので、どのパートを使うかによってプログラムの印象も大きく変わってきそうです。そして後者は今年度のアカデミー賞の作品賞を受賞した映画のサントラから。それぞれ全く異なる映画の繫ぎ合わせなので、どういったコンセプトになるか楽しみにしたいと思います。
 そしてフリーは昨シーズンからの持ち越し。何といってもザギトワ選手にとって、“アリーナ・ザギトワ”という名前を強烈に印象づけた記念碑的なプログラムなので、シニアに上がってイメージを変えるよりジュニアで培ったものを継続させる方がよりメリットが大きいという判断なのでしょう。多少なりとも手を加えたりはするでしょうし、昨季との変化もあると思うので、慣れ親しんだプログラムでさらに波に乗って勢いを加速させることができるかどうか注目です。


 世界選手権2017銀メダル、カナダのケイトリン・オズモンド選手は自身の公式インスタグラムで新プログラムについて発表。

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 SPは「サマータイム」、フリーは「映画『ブラック・スワン』より」とのことです。
 ショートの「サマータイム」はガーシュウィン作曲のオペラ「ポーギーとべス」の劇中曲ですが、現在ではジャズの名曲としておなじみ。オズモンド選手は女性ボーカル入りのバージョンを使うようです。「サマータイム」はフィギュア界でも定番となっていますがいろんなアレンジのバージョンがありますし、さまざまな苦悩を乗り越え大人になったオズモンド選手だからこそ演じられる「サマータイム」に期待したいですね。
 フリーはザギトワ選手のところでも言及した映画『ブラック・スワン』。ただ、こちらはフリーの全編に渡って『ブラック・スワン』を使うようですから、映画や「白鳥の湖」の世界観を大いに取り入れた正統派のプログラムになるのではないかと思います。かつてのオズモンド選手といえば明るく活発で踊れる選手というイメージでしたが、今はダークさも悲哀も存分に表現できる選手になりましたから、オズモンド選手ならではの『ブラック・スワン』がはたしてどんなプログラムになるのか今からワクワクします。


 2016年のカナダ女王アレーヌ・シャルトラン選手は自身のツイッターやインスタグラムでプログラムを発表しており、それによるとショートはシェイ=リン・ボーンさん振り付けの「リベルタンゴ」、フリーは「サンセット大通り」だそうです。
 SPはタンゴ界の巨匠アストル・ピアソラの代表曲。リズム感には長けているシャルトラン選手なので、タンゴ独特のリズムやテンポはもちろんのこと、表現面でも大人の女性の艶っぽさなど、今までのシャルトラン選手のイメージとは異なるものも要求されると思うので、新たな挑戦に要注目ですね。
 そしてフリーの「サンセット大通り」は映画とミュージカルの両方がありますが、そのどちらの音楽を使うのかは不明です。ミュージカルの方であれば歌詞が入ってくる可能性もありますし、今の時点ではどういうプログラムになるだろうという予想もつきにくいのですが、映画音楽を使用することの多いシャルトラン選手にとっては得意分野と言えるかもしれません。


 2015、2016年のペアの世界チャンピオン、カナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組はフェイスブックやインタビュー記事で、SPが「With or Without You」、フリーが「ニュートロン・スター・コリジョン/アイ・ビロング・トゥ・ユー(あなたの声に私の心は開く)/アップライジング(叛乱)」であると明かしています。
 ショートはアメリカの歌手エイプリル・メサービーが、アイルランドのロックバンド、U2の世界的ヒットナンバーをカバーした楽曲。原曲よりも静かなバラード調になっていますのでしっとりしたプログラムになるのかなと想像します。
 フリーは初めて世界王者に輝いた14/15シーズンのフリープログラムの再演となります。3シーズン前に飛躍するきっかけとなったプログラムを再び演じることで再飛躍を図るという意味合いもあるでしょうし、人々の印象にも強く残っているプログラムなので、オリンピックシーズンにぴったりの選曲だと思いますね。


 続いてはアメリカ勢です。
 ベテランのアシュリー・ワグナー選手はネットのインタビュー記事などで新プログラムを明かしています。

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 SPは「Hip Hip Chin Chin」、フリーは「映画『ラ・ラ・ランド』より」で、どちらも振り付けはシェイ=リン・ボーンさんです。
 ショートは15/16シーズンのショートプログラム。ワグナー選手にとっては世界選手権のメダルを取った思い出深く縁起の良いプログラムと言えます。表現面でも複雑なリズムを見事に滑りこなしていて、間違いなくワグナー選手の代表作の一つといっていいハマりプログラムでしたから、オリンピックシーズンにこれ以上ない選曲ですね。
 一方のフリーは大ヒットミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』。ワグナー選手は14/15、15/16シーズンのフリーでもミュージカル映画の『ムーラン・ルージュ』を演じていますからミュージカル映画を選択したこと自体に驚きはないですが、『ラ・ラ・ランド』のイメージとワグナー選手が今まで演じてきたプログラムのイメージには多少差があるのでそういった意味では意外な感じもしました。特に『ラ・ラ・ランド』はロマンチックな印象が強い映画なので、ワグナー選手のダイナミックでパワフルなイメージとは雰囲気が少し違うのかなという気もするのですが、『ラ・ラ・ランド』の中でも冒頭に流れる「アナザー・デイ・オブ・サン」とかヒロインの見せ場となる「サムワン・イン・ザ・クラウド」のようなパワフルなダンスナンバーもあれば、しっとりと歌い上げるタイプの曲もあるので、そういった数曲をうまく組み合わせながらメリハリのついたプログラムになると、ワグナー選手らしいドラマチックで躍動感にあふれたプログラムになるのかなと思いますね。


 2014、2016年の全米女王グレイシー・ゴールド選手はNBCのインタビュー記事でプログラムを発表。

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 SPは「People 映画『ファニー・ガール』より」、フリーは「バレエ「ラ・バヤデール」より」で、どちらもマリナ・ズエワさん振り付けになるようです。
 ショートはバーブラ・ストライサンド主演のミュージカル映画『ファニー・ガール』のストライサンドが歌う劇中曲。ですが、元々のミュージカル版でもストライサンドが同じ役を演じており、プログラムで使われるのが映画版かミュージカル版かは不明です。どちらにしろゴールド選手のプログラム史上ミュージカル映画の劇中曲(歌詞入り)というのは初めてであり、ゴールド選手の新たな表情が開拓されるのを期待したいですね。
 そしてフリーはバレエ「ラ・バヤデール」。ゴールド選手にとってバレエプログラムは3季連続4度目(シニア移行後)となり、ゴールド選手らしさを存分に活かせるプログラムになるのではないでしょうか。ただ、今までと違うのは振り付け師がローリー・ニコルさんからズエワさんに変わったことで、振り付け師の個性がプログラムにも表れますから注目ポイントかなと思います。また、バレエプログラムを多く演じているゴールド選手だからこそ、今までのバレエプログラムで培ってきたものを集大成として注ぎ込むという意味で、「眠れる森の美女」や「ダフニスとクロエ」の優雅さ、「火の鳥」の力強さなど、いろんな要素が組み合わさったプログラムになるんじゃないかなと今からとても楽しみです。


 現全米女王カレン・チェン選手は自身の公式サイトで新プログラムについて、SPは「ロクサーヌのタンゴ 映画『ムーラン・ルージュ』より」、フリーは「カルメン組曲」で、両方ともマーク・ピレイさんの振り付けであると明かしました。
 前者はもうフィギュア界ではすっかりおなじみとなったミュージカル映画の劇中曲のタンゴ。男性ボーカル入りになるようで、どちらかというとしなやかな表現が巧い印象のあるチェン選手ですが、最近は力強さだったり激しさだったりといった表現も多彩になってきているので、このパワフルで情熱的なタンゴを演じ切ってくれると思いますし、16/17シーズンのフリーでタンゴの「ジェラシー」を見事に表現し切りましたから、その延長線上のプログラムになるのかなと思います。
 そしてフリーは王道の「カルメン」ですが、よくある「カルメン」ではなくて「カルメン組曲」となっています。「カルメン組曲」とはオリジナルのビゼー作曲のオペラ「カルメン」から楽曲を抜粋し演奏会用に構成したもので、構成した作曲家によっていろんなバージョンがあるのですが、チェン選手が使用するのはロシアの作曲家ロディオン・シチェドリンが編曲したもののようです。よくある「カルメン」とどう違っているのか、どうチェン選手らしい個性が引き出されるのか、気になるポイントの多いプログラムになりそうですね。


 実力者の長洲未来選手は公式サイト等で新プログラムを発表し、SPは昨季と同じショパンの「夜想曲第20番」、フリーは「ミュージカル『ミス・サイゴン』より」で、どちらもジェフリー・バトルさん振り付けになるようです。
 ショートは昨季からの継続ですが、どちらかというと躍動感に満ち活発なイメージのあった長洲選手の新たな魅力を引き出したプログラムなので、引き続き見られるのは嬉しいですね。
 フリーは定番のミュージカル「ミス・サイゴン」。ベトナムを舞台にした物語なのでアジア系の長洲選手には合いそうですし、長洲選手は以前「蝶々夫人」を演じていて、元々「ミス・サイゴン」は「蝶々夫人」に着想を得た作品なので、そういった意味でも長洲選手にとって演じやすいのではないかなと思います。また、バトルさんがミュージカルプログラムを振り付けるというのは珍しい気がするので、その点でも新鮮味があってどんなプログラムになるのか今から楽しみですね。


 昨シーズン怪我のため全試合を欠場したポリーナ・エドマンズ選手は、SPが「Palladio」、フリーが「サラ・ブライトマン・メドレー」と、昨季のプログラムをキープする意向であることをインタビュー記事で語りました。
 ショートはモダンダンスの要素を取り込んだプログラム、フリーは世界的ソプラノ歌手サラ・ブライトマンの歌2曲を組み合わせたプログラムですが、両プログラムとも試合では一度も披露できていないプログラムなので、全く新しい作品として初お披露目される日を楽しみに待ちたいですね。


 1季ぶりの競技復帰を発表したジョシュア・ファリス選手は自身の公式サイトで、SPが「Give Me Love」、フリーが「ローマの松」で、ショート、フリーともに振り付けがジェフリー・バトルさんであると明かしています。
 どちらのプログラムも15/16シーズンに演じる予定で用意されたプログラムでしたが、そのシーズンの練習中にファリス選手は転倒して脳震盪を起こし、その後も2回の脳震盪があったため15/16シーズンはフル休養。そこから復帰することなく昨シーズン現役引退を表明していましたが、今年の2月に競技復帰することを発表していました。
 ショートの「Give Me Love」は14/15シーズンにも使用したプログラムで、ファリス選手の代表作といって過言ではないでしょう。最初に作られてから時間が経っているのでいろいろと手が加えられていると思いますが、またこのプログラムを見られることを嬉しく思います。
 フリーの「ローマの松」はイタリアの作曲家レスピーギの交響詩。こちらは試合では披露されていないはずなので、真新しいプログラムといっても差し支えないでしょう。古代ローマの情景を描いた幻想的で壮大な作品を表現力に定評のあるファリス選手がどう魅せてくれるのか、楽しみです。


 今季シニアデビューとなる世界ジュニア王者のヴィンセント・ゾウ選手は、SPが「Chasing Cars」、フリーが「映画『ロミオ+ジュリエット』より」で、前者はジェフリー・バトルさん振り付け、後者はゾウ選手のコーチでもあるドリュー・ミーキンスさんとアイスダンスソチ五輪王者のチャーリー・ホワイトさんが振り付けを担当しているそうです。
 ショートはイギリスのロックバンド、スノウ・パトロールの代表曲を、“Cinematic Pop”というクラシカルクロスオーバーのボーカルグループがカバーしたバージョンを使用。原曲よりクラシックに近く、壮大なバラードになっています。シニア1年目にもかかわらずあえて王道のクラシックなどではなくロックソングのカバーを持ってきたところにチャレンジ精神を感じますね。
 一方、フリーは1996年公開の『ロミオ+ジュリエット』のサントラを使用。ディカプリオ主演の“ロミジュリ”といえばかつて羽生結弦選手も使用し代表作としましたが、若くフレッシュな男子選手にしか表現できない甘美だったり初々しさというのが、この“ロミジュリ”にはよく合うと思うので、ゾウ選手ならではの“ロミジュリ”に期待したいと思います。


 同じくアメリカ男子のグラント・ホフスタイン選手は自身の公式サイトで、SPが「僕の歌は君の歌 映画『ムーラン・ルージュ』より」、フリーが「オール・アイ・アスク・オブ・ユー ミュージカル『オペラ座の怪人』より/ミュージック・オブ・ザ・ナイト ミュージカル『オペラ座の怪人』より」、両方ともピーター・オペガードさん振り付けであると記しています。
 SPはミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』の中で主演のユアン・マクレガーが歌う楽曲。元はエルトン・ジョンのヒット曲ですが、プログラムではユアン・マクレガーが歌うバージョンを使用するようです。壮大な曲想としなやかでスケール感のあるホフスタイン選手のスケートは合いそうですね。
 フリーはミュージカル『オペラ座の怪人』の楽曲2曲のメドレー。前者はインストゥルメンタルで後者は男性ボーカル入りのようです。数え切れないほど演じられてきた『オペラ座の怪人』をホフスタイン選手が演じるとどんな雰囲気、空気感になるのか、どうしても今までの「オペラ座の怪人」と見比べられてしまう部分はあると思うのですが、ホフスタイン選手にしか演じられない世界があると思うので楽しみですね。


 今年の全米選手権銅メダル、アイスダンスのマディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組も自身の公式サイトでプログラムを明かし、SDは「Le Serpent/Cuando calienta el sol」、FDが「Caught Out In The Rain/Across The Sky」であることがわかっています。
 今シーズンのショートダンスの課題は、パターンダンスがルンバ、クリエイティブパートがラテンダンスから選択と決まっています。そんなハベル&ドノヒュー組のSDは、アルジェリアのパーカッション奏者グエムの「Le Serpent」と女性歌手タリア・フェロが歌う「Cuando calienta el sol」のメドレープログラム。前者は全編パーカションが奏でるリズミカルなナンバーで、後者はどことなくけだるい情感のあるスローナンバーです。「Le Serpent」の方はアフリカ音楽なのでラテンというわけではないのですが、リズム的にはラテンっぽい感じもしないでもなく、「Cuando calienta el sol」の方がいかにもラテンっぽい感じがします。
 フリーはアメリカの歌手べス・ハートの「Caught Out In The Rain」とイギリスの歌手ラグ・アンド・ボーン・マンの「Across The Sky」のインストゥルメンタルバージョンのメドレー。前者はブルースロックの歌手の楽曲で、ハスキーな女性ボーカルが特徴的なクールでドライな雰囲気。後者は最近デビューアルバムを発表したばかりの新進気鋭の若手歌手の楽曲でこちらもカッコいい雰囲気の楽曲で、全体的にクールな世界観のプログラムになるのかなと思いますね。


 チェコのベテラン、ミハル・ブレジナ選手は自身のフェイスブックにおいて、SPが「鼓童」、フリーが「スタンド・バイ・ミー/Human」であると綴っています。
 ショートは日本の和太鼓グループの鼓童の楽曲を使うようですが、楽曲の詳細は不明です。ただ、ブレジナ選手は10/11、11/12シーズンのSPでも鼓童の音楽を使用したプログラムを演じていますし、その時と大体同じ感じになるのか、ガラッと内容を変えるのかは不明ですが、それだけ鼓童の音楽に惹かれ、思い入れが深いということなのだろうなと思いますね。
 フリーはそれぞれ異なる歌手の楽曲で、「スタンド・バイ・ミー」はかの名曲をアメリカのロックバンド“bootstrap”がカバーした楽曲。「Human」はハベル&ドノヒュー組のところでも上述したラグ・アンド・ボーン・マンのヒット曲です。ポップソングとロックソングのメドレープログラムというのはブレジナ選手にしては珍しい選曲だなという気がするのですが、ベテランが集大成のシーズンにどんな新境地を拓くのか楽しみですね。


 韓国の有望株、今年の冬季アジア大会で優勝したチェ・ダビン選手は、SPが宮本賢二さん振り付けの「パパ、見守ってください 映画『愛のイエントル』より」、フリーがニキータ・ミハイロフさん振り付けの「アイ・フィール・プリティ ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」より/マリア ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」より」であることが判明しています。
 ショートはキム・ヨナさんや村上佳菜子さんも使用したバーブラ・ストライサンド主演映画の劇中曲。しっとりと壮大な曲調をチェ選手がどう表現するかにも注目ですし、チェ選手が宮本さん振り付けのプログラムを滑るのは初めてだと思うので、そちらの化学反応も楽しみにしたいですね。
 そしてフリーはおなじみのミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」からの抜粋。全編的にボーカル入りなのか、一部ボーカル入りなのかなどはわかりませんが、明るく華やか、ダンサブルな作品ですから、チェ選手らしさを活かしたプログラムになりそうですね。


 同じく韓国のパク・ソヨン選手は、SPが「映画『ブラック・スワン』より」、フリーが昨季と同じ「恋のアランフェス」となるそうです。
 この記事の中でもすでに2度登場している「ブラック・スワン」。元々チャイコフスキーの「白鳥の湖」を下敷きにしている分、世界的に知られていて演じやすいというのもあるでしょうし、それに加えてわかりやすい“白鳥”ではなく、より複雑で重層的な“黒鳥”を演じるという変則性も人気の理由なのかなと思います。どうしてもほかの女子選手の「ブラック・スワン」と比べられてしまうかもしれませんが、最近妖艶さも身につけてきた朴選手ならではの“黒鳥”を見せてほしいですね。
 フリーは昨季からの継続ですが、16/17シーズンは足の骨折でシーズン後半を休養に当てざるをえなかったということもあり、「恋のアランフェス」も不完全燃焼で終わっていたと思うので、今季こそプログラムとして完成させられることを祈っています。



 この記事はひとまずここで終了です。が、まだまだいろんな新プログラム情報が入ってきていますので、まとまり次第続きの記事をアップしたいと思います。では。


:記事内の画像は全て、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【参考リンク】
All is not lost for U.S. figure skaters at disappointing worlds 記事内にワグナー選手のプログラムについての言及があります。
Gracie Gold unveils Olympic season programs ゴールド選手のプログラムについて報じた記事です。
The Inside Edge: Edmunds returns following layoff エドマンズ選手の近況について報じた記事です。

【ブログ内関連記事】
宮原知子選手、17/18シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報② 2017年8月8日
羽生結弦選手、17/18シーズンのプログラムを発表&新プログラム情報③ 2017年8月21日
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by hitsujigusa | 2017-07-22 00:25 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ベストコスチューム16/17、いよいよ最後の記事、女子のフリー部門です。今回も16/17シーズンのコスチュームの個人的なベスト10を紹介していきます。なお、ベスト10を決める上でのルールについては、こちらの記事をご覧ください。

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 栄えある女子フリー部門1位は、アメリカのカレン・チェンの「ジェラシー」です。

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 コンチネンタルタンゴの名曲「ジェラシー」。情熱的かつ艶やかなタンゴを演じ切り、チェン選手の新たな代表作となりました。
 そんな大人っぽいプログラムに合わせたのは黒を基調とした指先まで覆う長袖ワンピース。その中央を突っ切るように肌がのぞき、その周辺に重点的にふんだんに細かいラインストーンがあしらわれ、黒の中に鮮やかに赤や白が浮かび上がるデザインとなっています。また、肩から胸にかけては炎のような曲線的なデザインも施されていて、こちらも情熱的なさまを想起させます。さらに、指先まで黒で覆うことでタンゴ特有の艶っぽい仕草も白い氷に映えるようになっていて、細部までしっかり練られた衣装だなと思いますね。


 2位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「エキソジェネシス交響曲第3部」です。

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 イギリスのバンド、ミューズの「エキソジェネシス交響曲第3部」。いまやフィギュア界でも定番と化したクラシックの趣きのあるロック音楽です。ワグナー選手はこの楽曲を用い2種類の衣装を使用しましたが、私が今回選んだのはシーズン前半に着用された方です。
 全面にまばゆい装飾が施されたシルバーの袖なしワンピース。シンプルといえばシンプルなのですが、これだけきらびやかだとともすれば派手派手しすぎてチープな印象にもなりかねません。ですが、この衣装はきらびやかでありながらも大人びたシックさというのも感じさせるデザインで、それもラインストーンやビジューの配置のバランスの巧さなのだと思います。また、色づかいも上から下に向かって濃くなるグレーのグラデーションで、グレーという地味な色を華やかに着こなしているのはさすがベテランのワグナー選手ならではだなと思います。


 3位は日本の浅田真央選手の「バレエ「恋は魔術師」より」。

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 ショートと同じくマヌエル・デ・ファリャの「恋は魔術師」を用い、そこから数曲を抜粋し構成したプログラムですが、ショートが“黒い鳥”をイメージしたミステリアスなピアノプログラムだったのに比べ、フリーは壮大なオーケストラによる情熱的でエネルギッシュなプログラムとなっています。そのコンセプトのままに衣装は赤一色のものを2種類用いましたが、そのうちより多く使われた方を今回は選びました。
 何といっても目を引くのは鮮やかな赤ですが、その中央は大胆に肌をのぞかせるデザインとなっており、その周囲に植物のようにも燃えたぎる炎のようにも見えるデザインが施されていて、より一層情熱を感じさせます。そして上半身から腰まで入った深いスリットは妖艶さを醸し出しています。
 2つで1つの作品として作られた16/17シーズンの浅田選手のショートとフリーですが、ショートの衣装が直線的なラインが強調されたデザインであったのと比較すると、フリーは全体的に曲線的な作りで、衣装でも両プログラムのコンセプトの違いがうかがえておもしろいなと思いますね。


 4位はカナダのガブリエル・デールマン選手の「ラプソディー・イン・ブルー」です。

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 フィギュア界でも定番のガーシュウィンの代表作「ラプソディー・イン・ブルー」。ということで衣装も曲名のとおりのブルーの衣装となっています。
 作り自体は非常にシンプルで、胸元が深いV字のようになった長袖ワンピースで形自体に新鮮味はありませんが、全体に散りばめられたラインストーンによって華がプラスされていてインパクトのあるコスチュームに仕上がっています。さらに、ところどころ大ぶりのビジューやラインストーンの集合体によってアクセントがつけられていて、パッと見ると小さな花がデザインされているようにも見えます。特に腰の部分はラインストーンを集中的に施すことによってベルトっぽく見えるデザインになっていて、プリントでもなく刺繍でもなく、ラインストーンのみで模様を浮かび上がらせたというところにこだわりを感じますね。


 5位は日本の宮原知子選手の「惑星/映画『スター・ウォーズ』より」。

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 ホルストの代表作「惑星」とSF映画の金字塔『スター・ウォーズ』のサントラを組み合わせ、“愛と平和”をテーマに据えた壮大なプログラムです。
 そんな重厚なプログラムのイメージには反して、衣装は軽やかさを感じさせる白一色。ですが同じ白でも、下に着ているビジューやラインストーンをあしらったシルバーっぽい服の上に、お腹の中心で交差させた柔らかい素材の淡いクリーム色の布とを重ねた重層的な作りになっていて、シンプルでもあり複雑さもある衣装と言えます。重厚なプログラムなので衣装も黒や青といった暗めの色にすると重くなりすぎてしまうところですが、白一色にすることでちょうどよいバランスが取れていて良いですね。


 6位はロシアのエレーナ・ラディオノワ選手の「歌劇「トゥーランドット」より」。

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 フィギュア界王道中の王道、オペラ「トゥーランドット」を使用したダイナミックかつ華麗なプログラム。
 そんな「トゥーランドット」にしては珍しく、ラディオノワ選手が選んだのは可愛らしいピンク色の衣装。重厚な作品に対しては可憐すぎる色合いかなという気もするのですが、ピンクはピンクでも微妙に色味の異なるピンクを複数使用しているので重層的に感じられます。また、鋭い直線的なラインとうねるような曲線的なラインとが交差するデザインは力強くインパクトがあり、色づかいのフェミニンさに男性的な要素もプラスしているように思います。
 ピンクという色が作り出すイメージと重層的な線が作り出すイメージとが合わさってお互いを補っている素敵なコスチュームですね。


 7位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手の「ダフニスとクロエ」です。

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 「ボレロ」でも知られるフランスの作曲家モーリス・ラヴェルのバレエ「ダフニスとクロエ」。牧歌的で幻想的、ゆったりと始まり最後は熱狂的に幕を閉じるプログラムです。
 こういったファンタジックなプログラムだと、白やピンクなど淡い優しい色を合わせたくなるところですが、ゴールド選手が選んだのはまさに“ゴールド”のワンピース。厳密に言うならばゴールドというよりはベージュに近いのかもしれませんが、衣装全体にびっしりと敷き詰められたラインストーンによって、輝かんばかりの金色の衣装という印象を与えます。これだけ肌の色に近いコスチュームを着こなすというのは難しいと思うのですが、同じベージュでも濃い部分と淡い部分のメリハリをつけてありますし、また、ゴールド選手の白い肌ともよく合っていて、ゴールド選手だからこそ似合う衣装という感じもしますね。


 8位はアメリカの長洲未来選手の「The Winner Takes It All」です。

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 スウェーデン発の世界的グループ、ABBAのヒット曲「The Winner Takes It All」を、同じくスウェーデンの歌手サラ・ドーン・ファイナーがカバーしバラード調にアレンジしたバージョンを使用したプログラムです。
 全体的にゆったり、しっとりとした曲想ということで、衣装は清廉さを思わせる白をベースに、繊細な装飾を凝らしています。ワンピースは胸元から腰にかけてスリットが入っていますがそこまで深い切れ目ではなく、それよりもその周囲に施されたラインストーンやビジューのゴージャスさが印象に残ります。また、首回り、手首もジュエリーのようなデザインになっていて、装飾づかいが本当に素晴らしいコスチュームだと思います。


 9位はカナダのケイトリン・オズモンド選手の「歌劇「ラ・ボエーム」より」。

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 プッチーニの代表作の一つ「ラ・ボエーム」。1830年代のパリを舞台に貧しいボヘミアンたちの日常を描いた華麗でドラマチックなオペラ作品です。
 衣装はそんな華麗さを如実に表す鮮やかな深紅。胸元やお腹の部分はレース調になっていて、そのレースの縁をシルバーのラインストーンで彩っていて、よりいっそう華やかな雰囲気がプラスされています。衣装の形的にも左右対称で、女性らしいレースを用いたオーソドックスなイメージの衣装ですが、細部まで手を抜かない本格的な作りだからこそ、これだけ高級感のある気品溢れるコスチュームになるのだなと感じさせられますね。


 10位は日本の樋口新葉選手の「シェヘラザード」です。

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 こちらも大定番中の大定番「シェヘラザード」を使用したダイナミックかつ情熱的なプログラムです。
 色は鮮やかな赤で「シェヘラザード」らしい情熱を表現。衣装の形としてはビキニのようなセパレート型ですが、胸部から腰へと繊細かつ重厚な装飾によって繋がっているようなデザインになっており、首や二の腕、お腹から腰に施されたこのジュエリー風のデザインが「シェヘラザード」の舞台であるペルシャらしい雰囲気をよく伝えています。また、頭には額部分に大きなジュエリーがついたサークレットをはめていて、こういったところも非常に「シェヘラザード」らしくて好いなと思いますね。



 女子フリー部門のベスト10は以上です。これで16/17シーズンのベストコスチュームシリーズは全て終了となります。5月下旬から書き始めてスローペースの更新となり2カ月近くもかかってしまい申し訳なかったですが、お読みくださりありがとうございました。
 そうこうしているうちにいよいよオリンピックシーズンが幕を開け(7月1日から新シーズン)、各選手たちの新プログラム情報も次々と伝わってきており、そちらの記事もできるだけ早くアップしたいと思いますので、もう少しお待ちください。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、チェン選手の画像、浅田選手の画像、宮原選手の画像、オズモンド選手の画像、樋口選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ワグナー選手の画像はフィギュアスケート情報サイト「Golden Skate」が2016年10月23日位配信した記事「Ashley Wagner: “It was sticky but I got it done”」から、デールマン選手の画像、長洲選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ラディオノワ選手の画像、ゴールド選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-07-12 17:32 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 16/17シーズンの素晴らしいコスチュームの数々をランキング形式で紹介するベストコスチューム16/17。この記事では女子のショートプログラムのベスト10をご紹介します。なお、この記事を書くにあたってのルールについては、こちらをご覧ください。

*****

 女子ショートプログラム部門第1位は、韓国の朴小宴(パク・ソヨン)選手の「映画『黄金の腕』より」です。

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 フランク・シナトラ主演の映画『黄金の腕』。作曲を映画音楽界の巨匠エルマー・バーンスタインが担当しており、フィルム・ノワール(=犯罪映画)らしいどこか怪しげな、しかしパワフルでカッコいい曲調がインパクト大の音楽です。
 そんな世界観をイメージしてか、朴選手の衣装も黒を基調としたクールな雰囲気のワンピース。ですが、上半身前面に色とりどりのラインストーンやビジューなどの装飾品によってシンメトリーな模様がデザインされていて、非常に華やかです。これだけ全体的にキラキラとしていると派手派手しくなりかねませんが、ベースの色が黒であること、また、模様が左右対称で統一感があることによってシックさもしっかりあって、ゴージャスとシックを見事に両立した衣装と言えます。また、右手首にはゴールドのブレスレットをはめ、まさに“黄金の腕”を象徴的に表現していて、細部までこだわったコーディネートになっていて素晴らしいと思います。


 2位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「Sweet Dreams(Are Made of This)」です。

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 イギリスの男女デュオ、ユーリズミックスの「Sweet Dreams(Are Made of This)」。ノリノリでクールなカッコいいダンスナンバーとなっています。
 衣装は右袖だけ長袖というアシンメトリーなデザイン。ボディ部分全体、右肩や首のチョーカー、左手首のブレスレット風のアクセサリーなど、全体的にビジューやラインストーンがふんだんに使用され、デコラティブでゴージャスなデザインとなっています。ですが、色をネイビーと青という落ち着いた色合いにすることで華やかな装飾品とのバランスが取れていると思います。また、左の胸部分やスカートの裾などカクカクとした直角的なフォルムになっていて、音楽のエレクトリックかつ近未来的なイメージをよく表わしていて、表現にこだわるワグナー選手らしいよく考えられた衣装ですね。


 3位はカナダのガブリエル・デールマン選手の「歌劇「エロディアード」より」。

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 フランスの作曲家ジュール・マスネのオペラ「エロディアード」を使用した壮大で力強いプログラム。「エロディアード」はあの“サロメ”を題材にしたストーリーとあって、デールマン選手の衣装も中東らしいエキゾチックなデザインとなっています。
 何といっても特徴的なのは上半身に大胆に描かれた2匹のコブラ。黒い透け感のある生地の上にさまざなま種類のビジューを用いて交差するコブラがデザインされているわけですが、パッと見ではコブラとはわからないほどデザイン的に美しく昇華されています。コブラの体の曲線的なさまに加え、ビジューで彩られた目や口、そしてリアルなうろこの立体感も、ビジューだからこそ出せる質感で、ともすればチープになりかねないアニマルモチーフを見事にデザイン性高く仕上げていると思いますね。


 4位はアメリカのマライア・ベル選手の「映画『シカゴ』より」。

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 ブロードウェイミュージカルを映画化した『シカゴ』。そのサントラはフィギュア界でも定番となっていますが、ベル選手は劇中曲2曲を組み合わせた軽快なプログラムにしています。
 衣装も映画のイメージを忠実に再現していて、劇中で主人公のロキシーが着ているシルバーのドレスとよく似ています。ただ、よく見るとベル選手のワンピースは大ぶりのビジューが散りばめられていたり腕にシースルーのアームカバーをつけていたりと映画よりも装飾的で華やかな印象が増していて、映画の衣装をそのまま真似するのではなく、ベル選手なりの“シカゴ”を作り上げていて素敵な衣装になっていると思います。


 5位は中国の李子君(リ・ジジュン)選手の「Le Diable Matou」です。

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 フランスの作曲家フランソワ・ドンピエール作曲の「Le Diable Matou」。妖しげなヴァイオリンの旋律で幕を開け、エレガンスなピアノの音色が追いかけるようにヴァイオリンと組み合わさり、最後はヴァイオリンとピアノが一体となってアップテンポに締めくくられる変則的な曲調のプログラムです。
 今までの可憐で可愛らしい李選手のイメージをガラリと変えるプログラムですが、衣装も彼女にしては珍しく黒一色。首から指先まで覆う徹底ぶりは、曲名の“Diable”=“悪魔”という名にぴったりですね。とはいえただの黒一色ではなく、全身に細かいラインストーンが散りばめられていて、それも単にランダムに散りばめるのではなく過剰すぎずかといって少なすぎもせずバランスの良い配置の仕方になっていて、シックな華やかさというのを感じさせます。また、指先まで黒で覆うことで指の細やかな振り付けまではっきりと氷に映えるようになっていて、これも考えられているなと思います。さらに、スカートは部分によって長さが違うアシンメトリーな作りで、色自体が重さを感じさせる分、スカートも全体的に長くしてしまうと重くなりすぎてしまいますが、部分的に長くすることによって大人っぽさも醸しつつ、重さと軽やかさがほどよいバランスになっていて、一見シンプルですが非常にこだわりの感じられるコスチュームですね。


 6位はフランスのマエ=ベレニス・メイテ選手の「Goodness/Freedom」です。

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 力強くダイナミックな楽曲2曲を組み合わせたメドレープログラム。ということでコスチュームも男性的で活発さを感じさせるパンツルックとなっています。
 まず目を引くのはそのパンツスタイルというところですが、その黒いパンツによって引き立てられているのがオリジナリティー溢れる上半身のデザイン。レオタードのように上から下まで一体となったようなウェアの上に、肩と腰に硬質感のある素材を着用したような作りになっていて、その部分だけ赤っぽいラインストーンや縁取りとして金色のラインストーンが惜しげもなくあしらわれています。パンツスタイルのため一見男性的でカッコよくも見える衣装ですが、実際には体にピタリと沿った作りなので女性的なセクシーさも感じさせますし、肩パッドやコルセットを模したようなデザインもある意味で女性らしくもあり、スカートの衣装と変わらないくらい女性らしさを感じさせるコスチュームだなと思います。


 7位はアメリカの長洲未来選手の「夜想曲第20番」です。

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 ショパンの代表作の一つ「夜想曲第20番」を使用した悲哀漂うしっとりとしたプログラムで、衣装も音楽の世界観に合った気品を感じさせるデザインとなっています。
 ベースとなる色は深みのある紫。その胸元からウエストにかけて前面にアラベスク模様のような複雑な柄がラインストーンやビジューによって立体的に描かれており、非常に贅沢かつゴージャスな作りとなっています。首からデコルテにかけてはジュエリー風のデザインとなっていて、こちらも紫の宝石風装飾品を用いながら豪華なデザインがなされています。全体的にきっちりと左右対称に作られていて、統一感のあるデザインがショパンの正統派の音楽ともよく合っているなと思います。


 8位は日本の浅田真央選手の「Danza ritual del fuego バレエ「恋は魔術師」より」。

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 スペインを代表する作曲家マヌエル・デ・ファリャの代表作「恋は魔術師」。その中でも特に有名な「Danza ritual del fuego」(英語では「Rutual Fire Dance」、日本語では「火祭りの踊り」としても知られます)のピアノバージョンを使用したプログラム。16/17シーズン、浅田選手は同じ楽曲のピアノ版をショート、オーケストラ版をフリーで用い(厳密にはフリーでは「恋は魔術師」の別パートも使っています)、ショートは“黒い鳥”をイメージした妖しげな世界観のプログラムとなっています。
 そうしたコンセプトに合わせて衣装も黒一色でミステリアスな雰囲気を前面に押し出しています。上半身や腕は植物のようにも鳥の羽のようにも見える作りとなっており、それらが身体を這うようなデザインはまさに妖しげな雰囲気。そして透け感のあるスカートも1枚や2枚ではなく複数の長さの違う生地をあえてランダムに重ねた作りがミステリアスなさまを表現しています。
 体を覆う布の面積が少ないデザインというのは必然的に肌が露出する面積も大きくなるのでバランスを取るのが難しいと思うのですが、この衣装は黒い生地の部分、肌がのぞく部分とちょうどよい配分になっているので、妖艶さも醸し出しつつセクシーになりすぎない素晴らしいコスチュームだと思います。


 9位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手の「Assassin's Tango 映画『Mr.&Mrs. スミス』より」。

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 映画『Mr.&Mrs. スミス』のサントラの中のタンゴを使用したプログラム。なのでタンゴといってもラテン色は薄めで、コンチネンタルタンゴのような趣きが濃いでしょうか。
 ということで衣装もタンゴでは定番の赤を使わず、黒一色のシックな色づかい。首から胸、お腹にかけて黒く細い紐が絡み合い網のようになった独特なデザインで、非常に現代的でモードっぽい印象を与えます。また、この紐や体の中心を縦断する曲線的なラインがフェミニンな雰囲気を生み出していて、曲自体は「Assassin's Tango」=「暗殺者のタンゴ」という物騒な名前にふさわしくどこか緊迫感のあるクールな曲調ですが、この曲線を強調したコスチュームによって女性らしさもちゃんとプラスされて良い塩梅になっているのかなと思いますね。


 10位はカザフスタンのエリザベート・トゥルシンバエワ選手の「アイ・ガット・リズム」です。

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 ガーシュウィン作曲の定番曲「アイ・ガット・リズム」をカナダのジャズ歌手ニッキ・ヤノフスキーが軽快かつリズミカルに歌ったバージョンを使用したプログラム。実はトゥルシンバエワ選手はこのプログラムを15/16シーズンにも滑っていますが、画像の衣装は16/17シーズンに初めて着用された新しいものなので今回選ばせていただきました。
 ごく短い袖がついた黒のワンピースは、シルバーのラインストーンによって襟風のデザインが施された個性的な作り。普通に布で襟をつけるよりも華やかで目を引くものとなっていて、その周囲にふんだんに散りばめられた数々のラインストーンとも相まってゴージャスな雰囲気です。布だけで作られた黒いワンピースだとシックになりすぎる可能性がありますが、装飾品をうまく使うことで華も加えつつ、また、下にピンクのスカートを重ねることでティーンネイジャーらしい等身大の可愛らしさも表現できていて、ジャズの大人っぽさと、トゥルシンバエワ選手のフレッシュさの両方を活かした衣装だなと思います。



 女子SPのベスト10は以上です。次はいよいよこのシリーズ最後、女子フリーに続きます!


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、朴選手の画像は朴選手のファンクラブのツイッターから、ワグナー選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、デールマン選手の画像は、国際スケート連盟の公式サイトが2017年3月29日に配信した「Evgenia Medvedeva (RUS) takes lead in highly competitive Ladies Short Program」という記事から、ベル選手の画像はフジテレビのスケート情報サイト「FujiTV Skating Club フジスケ」から、李選手の画像は李選手の公式インスタグラムから、メイテ選手の画像はフィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、長洲選手の画像、浅田選手の画像、トゥルシンバエワ選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ゴールド選手の画像はマルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-07-08 01:50 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 16/17シーズンのコスチュームの各カテゴリー別のベスト10を勝手に発表するベストコスチューム16/17。今回はペアのフリー部門です。なお、このランキングのルールについては、こちらの記事をご覧ください。

*****
 
 ペアフリー部門第1位はアメリカのヘイヴン・デニー&ブランドン・フレイジャー組の「映画『ある日どこかで』より」。

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 1980年公開のアメリカ映画『ある日どこかで』のサウンドトラックを使用した壮大かつ華麗、どことなく哀愁漂うプログラムです。
 男女ともに鮮やかな青を基調とした衣装ですが、女性は左肩だけのワンショルダーのワンピース。何といっても特徴的なのはふんだんにあしらわれたさまざまな装飾品で、肩から胸にかけては大ぶりのビジューが施され、特にみぞおちの部分はぎっしりと敷き詰めるようなゴージャスなデザインとなっています。そのほかの部分でも細かいラインストーンなどがたっぷりと使用されていて、非常に華やかな印象を与えます。また、写真では見えませんが、背中側ではビキニ風のデザインとなっていて、衣装の形としても凝った作りと言えます。一方、男性の衣装は襟ぐりに細かなラインストーンがあしらわれているのみのシンプルな長袖トップスで、女性がゴージャスな分、男性は控えめにすることでバランスが取れていますね。
 高貴なロイヤルブルーでダイナミックさを、繊細な装飾づかいで優雅さを表していて、重層的なプログラムにぴったり合った素晴らしいコスチュームだと思います。


 2位はロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組の「クライ・ミー・ア・リヴァ―」です。

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 アメリカのポピュラーソング「クライ・ミー・ア・リヴァ―」。ザビアコ&エンベルト組が使用しているのはカナダの歌手マイケル・ブーブレが歌うバージョンで、壮大でドラマチックなプログラムとなっています。
 女性のザビアコ選手はストラップレスのドレスで、胸からお腹にかけて葉っぱのような独創的なモチーフで覆われています。スカートはグレーとピンクの組み合わせで、全体的に落ち着いた色合いとなっています。一方、男性のエンベルト選手は濃いめのグレーの長袖シャツに、微妙に色の違う青みがかったグレーのパンツというシンプルなスタイル。個性的なデザインの衣装の女性と比べてシンプルに徹底することで、女性の美しさを引き立てるコーディネートと言えます。
 両者ともにグレーを基調とした衣装で、ともすれば地味になりかねないと思うのですが、ひとえにグレーといっても複雑な色合いのグレーをさまざま組み合わせていて絶妙なカラーコーディネーションだなと思いますし、必ずしも華やかな色を使わなくても氷の上で映える衣装になるという好例ですね。


 3位はドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組の「Lighthouse」です。

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 カナダの歌手パトリック・ワトソンの「Lighthouse」。ピアノの静かな音色と男性ボーカルの優しく、時に力強いハイトーンボイスが繰り広げる壮大かつ繊細な世界観のプログラムです。
 男女ともに同じ色、素材のコスチュームで、うっすらと透け感のあるクリーム色に、グレーがまるで水彩画のように濃い部分と淡い部分が入り混じって広がっていて、非常に幻想的な色づかいとなっています。その生地を使って、女性の方は長袖のワンピースを着用。細かなラインストーンが全身に散りばめられていますが、淡いグレーの中に溶け込むようにあしらわれています。男性の方は同じ生地を使いながらもグレーの色合いが女性よりも濃い目で範囲も広く、よりダークな印象でしょうか。クリーム色の部分が多い女性と、グレーの部分が多い男性と、絶妙な対比となっていて、まさに2人で1つの衣装という感じがしますね。


 4位はイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組の「スカイフォール 映画『007 スカイフォール』より/映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』より」。

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 『007』と『ミッション:インポッシブル』というアクション大作のサントラを繋げたプログラム。ということで衣装も映画の世界観を想起させるデザインとなっています。
 女性のマルケイ選手は黒をベースにしたミニスカートドレス。襟ぐりや胸元の装飾品、スカートの裾にシルバーがあしらわれていて、特に襟ぐりから胸元にかけてのデザインはシルバーのラインストーンをびっしりとふんだんに施しており、非常に高貴でゴージャス、しかしシックでもあり上品な印象を与えています。そして、男性は全身黒のシンプルなスタイル。全てを黒でまとめることで『007』のジェームズ・ボンドや『ミッション:インポッシブル』のイーサン・ハントのようなスパイっぽい雰囲気が醸し出されていると思いますね。


 5位は中国の彭程(ペン・チェン)&金楊(ジン・ヤン)組の「I Will Wait For You 映画『シェルブールの雨傘』より」。

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 フィギュア界でも定番のミュージカル映画『シェルブールの雨傘』。その中でも特に有名な主題曲「I Will Wait For You」を使用したドラマチックでロマンチックなプログラムです。
 女性は淡いブルーのワンショルダー型ワンピース。といっても右肩にかかるストラップは白い花のアップリケを連ねたようなデザインで、本当のストラップというよりは装飾的な意味合いが強いですね。その花が肩から胸、お腹、腰にかけてライン状にあしらわれていて、女性らしい可愛らしい印象を作り出していて、ワンピースの色とも相まってプログラムの世界観によく合ったデザインになっていると思います。一方、男性はシンプルな白いシャツに黒いパンツというスタンダードスタイル。ですが、シャツはネックレス風の装飾やパフスリーブのような袖など装飾性もあり、こちらもロマンチックで甘めな雰囲気が音楽に合っているなと感じます。


 6位は中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組の「明日に架ける橋」です。

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 サイモン&ガーファンクルの世界的ヒット曲「明日に架ける橋」を、アメリカのR&B歌手ジョン・レジェンドが歌ったカバーバージョンを使用したプログラム。
 女性の隋選手はワンショルダーのピンクがかったオレンジ色のワンピース姿。上半身はリボンを体に巻きつけたような曲線的なデザインで、まさに“虹”のようでもあり美しいですね。男性は白いシャツに黒いジャケットですが、ジャケットは襟やポケットが別の素材のネイビーになっていますし、シャツもジャケットもボタンは金色で統一していて、オーソドックスなシャツ&ジャケットスタイルとは違う個性が感じられます。このプログラムであればジャケットなしでシャツだけのカジュアルスタイルでもいいのかなという気もしますが、女性の衣装がオレンジと明るい分、男性の衣装を黒にすることで両者のバランスという意味では良いカラーコーディネーションになっているのかもしれません。


 7位は中国の王雪涵(ワン・シュエハン)&王磊(ワン・レイ)組の「映画『慕情』より」。

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 『慕情』は香港を舞台にしたアメリカ映画で、その主題歌「Love Is A Many Splendored Thing」も有名です。王&王組のプログラムは映画のサントラと主題歌のインストゥルメンタルバージョンを組み合わせたドラマチックで壮大な作品となっています。
 女性は青紫を基調としたワンショルダーワンピース。ですが、上半身は右と左で微妙に色を変えていて、左側は紫というより青に近いでしょうか。また、この写真では見にくいでしょうが、右肩はシルバーの細いラインを連ねてストラップにしたようなデザインになっていて、左右でかなりデザインの違うアシンメトリーな作りと言えます。スカートも前後、左右で長さを変えていて、また、スリットから下のピンクのスカートがのぞく作りになっており、非常に複雑に考えられた衣装だなと思います。そして、男性は上下ともに黒の衣装ですが、トップスはフロント部分に深い青をあしらった個性的なデザイン。正装のようなきっちりした感じでもなく、かといってカジュアルという感じでもなく、品もありつつ外した雰囲気もあるおもしろい衣装だなと思いますね。

 8位はカナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組の「水に流して」です。

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 シャンソンの名曲「水に流して」を使用し、重厚な女性ボーカルの力強さもあり、しっとりと哀愁漂う趣きもあり、大人のプログラムという感じです。
 女性は淡いピンクの長袖ドレス。ですが、全体的に透け感のある生地なので甘すぎず、シャンソンのどっしりとした世界観にも違和感なくはまっています。一方、男性は黒一色の衣装。シーズン前半は男性もピンクの衣装を着ていたのですが、男女ともにピンクだと少し甘美な印象が強すぎるかなというところだったのが、男性が黒い衣装に変えたことで男女のバランスとして引き締まった感じになって良いと思います。また、黒いシャツには同系色の刺繍がなされていて、同じ黒なのでほとんど見えないくらいのデザインなのですが、見えないところにこだわっているのが素敵だなと感じますね。


 9位は中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組の「Cavatina, Larghetto amoroso」です。

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 フランツ・リストの晩年の弟子の一人として知られるドイツの作曲家エミール・フォン・ザウアーのピアノ曲「Cavatina, Larghetto amoroso」。大きな曲調の変化はなく、しっとりと優しい優雅なプログラムです。
 そんなクラシカルな趣きが濃いプログラムに合わせて女性の于選手の衣装も淡いピンクをベースにした柔らかな印象のワンピース。胸元には白い花のアップリケが施され、スカートはピンクの下にグレーを重ね、裾はレース調になっています。装飾性はありますが、ビジューなど華やかな装飾はあまり使っておらず、布の素材感をそのまま活かした素朴なワンピースだなと思います。そして、男性の張選手は黒の上下。トップスは布にギャザーを寄せて立体的な模様を作り出しています。左肩にアクセント的に大ぶりのビジューをあしらってはいますが、それ以外に装飾的な部分はあまりなく、女性の華やかさを引き立てるコスチュームになっていますね。


 10位はオーストリアのミリアム・ツィーグラー&セヴェリン・キーファー組の「ミーカ・メドレー」です。

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 レバノン出身のポップ歌手ミーカの楽曲のメドレープログラム。プログラムの前半から中盤は壮大でクラシカルなバラード調、終盤はアップテンポにとめくるめく展開を見せます。
 衣装は男女ともにクラシカル。男性は白いシャツに菱形の模様が入った蝶ネクタイを外した抜け感のあるコーディネート。女性はボルドー色のワンピースで、胸元にはラメを施したような素材を下に重ねています。さらに、胸の下、腰の上にウエストマークするようにあしらわれたジュエリー風の装飾も気品を感じさせるデザインで、シックであり華やかでもありというバランスの取れた衣装だと思います。
 プログラムのイメージからするとクラシカル過ぎるのかなという気もしますが、ボーカル入りとはいえクラシックっぽい部分が大きいプログラムでもあるので、そうした世界観を前面に押し出したかったのかなと想像しますね。



 さて、ペアフリー部門は以上です。次はいよいよ女子のショートプログラムです。スローペースの更新で申し訳ないですが、次の記事アップまでもう少しお待ちください。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、デニー&フレイジャー組の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ザビアコ&エンベルト組の画像、サフチェンコ&マッソ組の画像、ツィーグラー&キーファー組の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、マルケイ&ホタレク組の画像は、マルケイ選手の公式インスタグラムから、彭&金組の画像は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、隋&韓組の画像は、スケート情報サイト「icenetwork」が2017年3月31日に配信した記事「Sui, Han strive to be greater after winning world title」から、王&王組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、デュハメル&ラドフォード組の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、于&張組の画像は、カナダのテレビ局「CBC」が2016年12月9日に配信した動画から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2017-07-03 23:05 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)