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 グランプリシリーズ17/18、第5戦のフランス国際がフランスのグルノーブルにて開催されました。グルノーブルでの開催は初めてで、大会の名称も昨季のフランス杯(Trophee de France)からフランス国際(Internationaux de France)へと変わり、今までとは少し違った雰囲気となりました(名称に関しては今年もフランス杯としているメディアが多いですが、当ブログではフランス国際とします)。
 そんな装いを新たにした今年のフランス大会の女子を制したのは、ロシアの新星アリーナ・ザギトワ選手。フリーでは世界歴代2位のハイスコアを叩き出し、ショート5位から逆転優勝を果たしました。2位に入ったのは同じくロシアのマリア・ソツコワ選手で、こちらもパーソナルベストをマーク。3位は世界選手権2017銀メダリスト、カナダのケイトリン・オズモンド選手となっています。
 アイスダンスは地元フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組が自身が持つ世界最高得点をまたもや更新し圧勝しました。

ISU GP Internationaux de France 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 圧巻の優勝劇を繰り広げたのは世界ジュニア女王、アリーナ・ザギトワ選手です。

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 SPは前半はスピン、ステップシークエンスのみの構成で、2つともいつもどおり丁寧にこなしてレベル4と高い加点を取ります。後半に入り最初のジャンプは得点源の3ルッツ+3ループ、しかしファーストジャンプが回転不足となった上に転倒してしまいます。続いて単独の予定だった3フリップに3ループを付けますが、こちらも回転が足りずステップアウト。最後の2アクセルは難なく決め、終盤の2つのスピンもまとめましたが、ザギトワ選手は放心したような表情を見せました。得点は62.46点で5位にとどまります。
 フリーもジャンプは全て後半の予定。ゆったりとした曲調の中、コレオシークエンス、スピン、ステップシークエンスをこなし、ようやく後半、最初はショートで失敗した3ルッツ+3ループ、これを今度は完璧に着氷させます。次いで2アクセル+3トゥループも成功。3フリップからの3連続も下り、得点源となるコンビネーションジャンプを全てクリーンに決めます。残り4つの単独ジャンプも小気味よく、「ドン・キホーテ」の軽やかなリズムに合わせるようにポンポンと成功させ、観客から万雷の拍手を送られました。得点は世界歴代2位となる151.34点でもちろん1位、総合1位と一気に追い上げてGP2勝目を上げました。
 SPはまさかのミスの連続で、さすがのザギトワ選手も優勝を意識してプレッシャーがかかってきたのかと思わせられましたが、フリーは一転、圧巻としか言いようのない素晴らしい演技でしたね。そして何といっても151.34点。150点を超えたのは世界最高得点保持者のエフゲニア・メドベデワ選手と、バンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナさんしかいませんから、シニア1年目で、しかもまだシーズン前半のこの時期に偉大なる先輩たちに肩を並べたというのは凄いという言葉しか出てきません。それでもまだ今季は減点のないショートというのは一度もなくて、これでショートを完成させたらどんな高みまで上り詰めてしまうんだろうと、今から次戦のファイナル、さらにはその先のオリンピックが楽しみなような怖いような気がして仕方ないですね。また、フリー150点台というパーソナルベストを叩き出したことによって、世界女王のメドベデワ選手の絶対的な立場にも多少は影響を与えるというか、もし彼女にほんの少しでも乱れがあれば、場合によってはザギトワ選手に足をすくわれる可能性もあるんじゃないかという気もします。技術点では単純に基礎点の合計ではザギトワ選手がメドベデワ選手を上回りますし、さらに加点を稼ぐという点においてもザギトワ選手はメドベデワ選手に引けを取りません。演技構成点でもザギトワ選手は今回のフリーですでに9点台目前まで到達しているので、次戦でまた同じような演技をすれば確実に9点台には乗せてくるでしょうから、そういった意味でもジリジリとメドベデワ選手に迫り、脅威になってきているなと感じますね。
 驚異の大型新人ザギトワ選手が今季中に一体どこまで得点を伸ばしていくのか、オリンピックの優勝争いにも絡んでくるのか等々、興味は尽きませんが、まずは次のファイナルでどんな演技を見せてくれるのか要注目です。フランス国際優勝、おめでとうございました。


 2位はロシアの有望株マリア・ソツコワ選手です。

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 ショート冒頭は3ルッツ+3トゥループ、両方のジャンプで片手を上げて跳びクリーンに着氷させます。後半の3フリップは着氷でオーバーターン。最後の2アクセルは問題なく決め、67.79点で2位と好位置につけます。
 フリーもまずは3ルッツ+3トゥループ、これをパーフェクトに成功させると、次いでショートではミスのあった3フリップもしっかり着氷。レベル4のレイバックスピンとステップシークエンスをこなして後半、まず3ループをスムーズに決めると、3+1+3も着氷。その後も全てのジャンプを予定どおりに決め、自己ベストの140.99点でフリーも2位、総合2位で2年連続となるファイナル進出を決めました。
 ショート、フリーともに大きなミスなくまとめ、安心感を持って見ていられる演技だったなと思います。スケートカナダでも2位でしたがこの時は細かい回転不足がいくつもあったので、同じ2位でもまた意味合いの異なる、価値の違う2位なんじゃないかなと感じますね。また、シニアデビューシーズンだった昨季と比べて今季はぐっと表現力がアップしたなという印象で、元々エレガンスさが持ち味のスケーターですが、今季のSP「白鳥の湖」とフリー「月の光」はそうしたソツコワ選手の魅力をよく引き出せていて、プログラムに体がしっかりなじんでいる感じが見て取れます。
 ファイナルでもソツコワ選手らしい演技を見せて、オリンピック選考にも繋げてほしいですね。


 3位はカナダのケイトリン・オズモンド選手です。

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 SP冒頭は得点源の3フリップ+3トゥループ、これはセカンドジャンプが2回転になり予定どおりとはならず。続いて3ルッツも着氷で軽く手をつき減点。後半の2アクセルは問題なく決め、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4とさすがの底力を見せつけ、69.05点で首位発進とします。
 フリーは前日決められなかった3フリップ+3トゥループから、今度はこれを完璧に決めて1.8点という極めて高い加点を獲得します。次の2アクセル+3トゥループは着氷でオーバーターン。直後の3ルッツはパーフェクトに成功させます。後半最初は単独の3ループ、しかしこれは転倒。ですが続く3フリップはクリーンに成功させ、さらに3+2+2のコンビネーションジャンプも決めます。最後の2アクセルは1回転になってしまい、演技を終えたオズモンド選手は複雑そうな表情を浮かべました。得点は137.72点でフリー3位、総合でも3位と順位は落としましたが、ファイナル進出は確定させました。
 昨季から継続しているショートではほとんどミスらしいミスがなく安定感抜群だったのですが、今大会はそのショートから綻びが見えて本来のオズモンド選手の姿ではありませんでしたね。フリーも後半はやはりスタミナの問題なのかミスが複数あり、終盤に向けてどんどん盛り上がっていく「ブラック・スワン」の力強さを表現し切れなかったかなと感じました。ただ、その中でもステップやスピンは丁寧にこなしていて取りこぼすことはなく、ミスがあっても余裕というのはうかがえましたね。
 ファイナルでは納得のいく演技をして、満面の笑みが見られることを願っています。


 4位となったのは日本の三原舞依選手です。

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 ショートはまず得点源の3ルッツ+3トゥループから、ファーストジャンプはクリーンでしたが、セカンドジャンプがフェンスに近づきすぎたためか途中で空中がほどけてダウングレード(大幅な回転不足)で下りてしまいます。動揺を引きずったのか直後のスピンもレベル2と取りこぼし。後半の2アクセルと3フリップはクリーンに成功させ、終盤のステップシークエンスとスピンはレベル4と丁寧にこなし、64.57点で4位につけます。

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 フリーも冒頭は3ルッツ+3トゥループ、これは流れと余裕のあるランディングで1.2点の加点を得ます。続いてコレオシークエンスも柔らかなスケーティングで魅せ加点1.1。2アクセルを難なく決め、前半は予定どおりにクリアします。後半に5つのジャンプ要素を固め、最初は3フリップを完璧に成功。次いで2アクセル+3トゥループでしたが、2アクセルの着氷で若干こらえて単独に。3ループからの3連続ジャンプは最後のジャンプで詰まり加点は伸びず。続く単独の3ルッツに急遽3トゥループを付けてきれいに成功。最後の3サルコウは両手を上げて跳び切り、フィニッシュした三原選手は喜びを露わにしました。しかし得点は137.55点とシーズンベストには及ばず5位、総合4位と表彰台には届きませんでした。
 中国杯、今大会とも4位と表彰台まであと一歩の惜しい試合が続いた三原選手。両大会ともやはりショートでのちょっとした出遅れが最後まで響いていて、フリーは安定感があるだけにもったいないなという印象ですね。昨季の後半からショートで出遅れてフリーで挽回するという試合が多く、三原選手の中でショートに対する苦手意識がないといいのですが、中国杯も今大会も慎重さ、硬さが気になりましたね。そしてもう一つ懸念としてはフリーの点が今ひとつ伸び悩んだことで、目に見えて分かりやすいジャンプの失敗はなかったにもかかわらず思ったほど演技構成点が伸びておらず、演技そのものがまだジャッジから確固たる評価を得られていないのかなという感じがしました。ただ、これはショートからの流れというのもあって、ショートで三原選手らしい演技をすることでフリーにも繋がってくると思うので、やはり鍵はショートと言えますね。
 次戦はオリンピックが懸かる全日本選手権になると思いますが、ショートから思い切りの良い演技で向かっていってほしいと思います。


 5位はカザフスタンのエリザベート・トゥルシンバエワ選手です。

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 SPは「カルメン・ファンタジー」。冒頭は3ルッツ、これは踏み切りのタイミングが合わずパンクして1回転となったため無得点に。しかし後半のサルコウ+3トゥループはセカンドジャンプで両手を上げて加点を稼ぎ、2アクセルもクリーン。スピン、ステップシークエンスもおおむねコンスタントに加点を積み重ねて、62.29点で6位となります。
 フリーは「The Prayer」。まずは得意の3ループから、これをクリーンに決めると、ショートで失敗した3ルッツも完璧に成功。さらに3フリップも着氷と、それぞれのジャンプで1点前後の加点を獲得します。後半に入り最初の3サルコウを下りると、2アクセル+3トゥループ+2トゥループ、2アクセル+3トゥループと続けて成功。3サルコウ+2トゥループも着氷させ、終盤のステップシークエンス、スピンでも高評価を得て、演技を終えたトゥルシンバエワ選手は納得したような笑みを浮かべました。得点は138.69点でフリー3位、総合200.98点と初めて200点台に乗せ5位となりました。
 ショートは3ルッツがパンクで0点とかなり痛いミスがありましたが、その後の切り替えが見事でしたね。今季から手を上げて跳ぶようになった3+3もそうですが、そのほかのスピンやステップシークエンスも非常に細やかで上手になっていて、演技構成点にも反映されていました。そしてフリーは全てのジャンプがクリーンで余裕のある着氷で高めの加点が付いていて、これまでのトゥルシンバエワ選手といえばジャンプは回転不足が多く、成功させてもギリギリの着氷であまり加点が付かない選手というイメージだったのですが、今大会は良い意味でイメージを裏切られました。体はフィギュア界随一と言ってもいいくらい華奢で、ジャンプも回転の速さ、軸の細さで回り切っているという印象ですが、今季はそこに両手を上げて跳ぶという工夫を加えて見栄えの良いジャンプになっていて、さらにスケーティング技術も進化の跡がうかがえて、こういった演技を続けていけば今季は飛躍のシーズンになるかもしれませんね。


 6位は日本の新星、白岩優奈選手です。

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 SP冒頭は3ルッツ+3トゥループから、回り切って着氷し加点を得ます。後半に2つのジャンプを組み込み、2アクセル、3フリップ、それぞれクリーンに成功。スピンは全てレベル4とそつなくまとめ、自己ベストとなる66.05点で3位と好発進します。

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 フリーもまずは3ルッツ+3トゥループ、これをショート同様にきれいに決めると、続く2アクセルも難なく着氷し上々のスタートを切ります。後半は3+3+2という難しい3連続ジャンプからでしたが、全て回り切って成功。さらに3サルコウを下り、3フリップは踏み切りのエッジが不正確と判定され若干減点は受けましたが、次の2アクセル+2トゥループも成功とノーミス。一番最後の要素として3ループを用意していましたが、回転不足となり転倒。フィニッシュした白岩選手は嬉しいような残念なような笑顔を見せました。フリーも自己ベストの127.13点で6位、総合6位となりました。
 フリーの最後の最後に転倒で惜しかったですが、1週間前のNHK杯からは別人のようなのびのびした演技で素晴らしかったですね。元々ジャンプは得意な選手なので、決して驚くべき演技ではないかもしれませんが、NHK杯が終わってじっくり練習する間もなくフランスへ移動で、疲れも時差もある中でのノーミスに近い内容ですから、やはり称賛に値すると思います。また、表現面でもNHK杯では控えめになってしまった白岩選手らしさ、魅力が表れていて、清らかで可憐な雰囲気のショート「亜麻色の髪の乙女」から一転、フリーはところどころもの悲しいようなダークな旋律も入り混じる「展覧会の絵」を緩急をつけて演じていて印象に残りました。
 全日本選手権では今度こそ、最初から最後まで満足いく演技ができるよう、怪我なくマイペースで調整してほしいですね。



 ここからはアイスダンス。

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 アイスダンスを制したのは前世界王者、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組。SDはパーシャルステップシークエンス以外は全てレベル4とハイレベル&ハイクオリティーなエレメンツを揃え、81.40点とパーソナルベストを0.1点更新し断トツで首位に立ちます。FDも後半のステップがレベル3になった以外は全てレベル4で、しかも全ての要素でほとんどのジャッジが満点となる加点3を与える完全無欠な演技を披露し、自身が持つ世界最高得点をさらに更新する120.58点をマーク、トータルでも世界最高の201.98点を記録し、2位以下を全く寄せつけることなく圧巻の優勝となりました。
 2週間前の中国杯でアイスダンス史上初めての総合200点超えを達成したパパダキス&シゼロン組ですが、自国フランスでその偉大な記録をさらに塗り替え、オリンピックに向けていよいよ加速してきたなという感じですね。パパダキス&シゼロン組の敵としては現世界王者のテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組しかいませんが、それ以上に怖いのは自分たち自身のメンタルだと思うので、あとはオリンピックでも平常の演技をする精神をどう養うかという段階に足を踏み入れつつあるのかなと思います。少々気がはやってしまいましたが、その前にヴァーチュー&モイア組と直接対決するファイナルが待ち構えていますから、一つ一つ目の前の試合でベストな演技ができることを願っています。フランス国際優勝、おめでとうございました。

 2位に入ったのはアメリカの実力者マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組です。SDは2つのステップがレベル3にとどまり思ったほど技術点を伸ばせず、自己ベストから5点ほど低い得点で2位。FDはツイズルで男性のベイツ選手にミスがありレベル3と取りこぼしがあり、こちらも自己ベストから5点ほど低い得点で2位と、少し不完全燃焼の内容に終わりました。
 中国杯2位の結果と合わせて4年連続となるファイナル進出を決めたチョック&ベイツ組。フリーでのツイズルのミスは、ままあることと言えばままあることなので、次戦ではきっと修正してくるのではないかと思います。ファイナルで表彰台争いに食い込むためには細かなミスも許されないので、ステップのレベルの取りこぼしもより少なくしていきたいですね。

 3位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組。SDはパターンダンスがレベル2とレベルを取り切れず、自己ベストから2点ほど低い得点で3位となります。フリーはステップ2つとローテーショナルリフトがレベル3となったものの、加点は全てのエレメンツで1点以上稼ぎ、先日のロステレコム杯でマークした自己ベストまで1点もないスコアをマークし4位、総合では3位となり、ロステレコム杯に続き銅メダルを獲得しました。
 細かい取りこぼしはありましたが、GP参戦5季目で初めて2試合ともでメダル獲得ということで、安定感が増してきましたね。ロシアはアイスダンスも層が厚く、どのカップルも絶対安泰とは言えないので、まずGPで安定した結果を残せたというのは大きなアピールになるでしょうね。ファイナル進出の可能性は現時点で皆無ですが、ロシア選手権に向けて良い弾みをつけられたのではないかと思います。



 フランス国際2017、女子&アイスダンスは以上です。
 5戦が終わった現時点でのファイナル進出決定者をまとめますと、まず女子はメドベデワ選手、ザギトワ選手、オズモンド選手、カロリーナ・コストナー選手、ソツコワ選手の5人がすでに決定済み。ということで残り1枠のみとなってしまいました。この1枠に入る可能性があるのは、すでに2試合終えて24ポイントを獲得している樋口新葉選手、第6戦のアメリカ大会に出場予定のポリーナ・ツルスカヤ選手とアシュリー・ワグナー選手の3名。ツルスカヤ選手、もしくはワグナー選手がアメリカ大会を制した時点で樋口選手のファイナル進出の可能性は消え、ツルスカヤ選手、ワグナー選手どちらかが2位となった場合は樋口選手とポイントで並ぶため、2大会のスコアの合計得点が高い方がファイナルに進みます。こうしたいろんな条件を並べてみると、樋口選手がファイナルに進むのは非常に狭き門になったと言わざるをえません。特にツルスカヤ選手はNHK杯で極めて好調な滑りを見せていて、アメリカ大会も優勝候補筆頭と言って差し支えないでしょうから、樋口選手はなかなか厳しい状況ですね。中国杯終了時点では6人目争いがここまでギリギリのせめぎ合いになるとは思わず、樋口選手のファイナル進出は濃厚と記事に書いてしまいましたが、思えば2013年も女子は鈴木明子さんとコストナー選手が24ポイントだったにもかかわらずファイナルには進めなかったわけなので、そういったいろんな可能性を考慮するべきでした。それでも樋口選手に理論上、ファイナル出場のチャンスが残されていることは事実なので、せっかくの日本開催のファイナルですから、ぜひ樋口選手が出場できるよう祈りたいと思います。個人的にはアメリカ大会に出場する世界選手権メダリスト経験者たち―宮原知子選手、ガブリエル・デールマン選手、アンナ・ポゴリラヤ選手―に優勝争いに加わってもらって、言い方は悪いかもしれませんが試合を引っ掻き回して、良い意味で番狂わせを起こしてほしいなと願ってしまいます。
 一方、アイスダンスはパパダキス&シゼロン組、ヴァーチュー&モイア組、チョック&ベイツ組の3組が出場決定。アメリカ大会にロステレコム杯を制したマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組や、NHK杯で3位だったアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組が出場してくるため、順当にいけばこの2組がワンツーフィニッシュでシブタニ兄妹はすんなりとファイナル決定。そしてカッペリーニ&ラノッテ組は24ポイントとなって、すでに2試合を消化して24ポイントを獲得しているマディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組、エカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組と並ぶのでスコア合計での争いとなり、カッペリーニ&ラノッテ組がハベル&ドノヒュー組のスコア合計を上回るのは難しそうなのでハベル&ドノヒュー組はファイナル有力。カッペリーニ&ラノッテ組はボブロワ&ソロビエフ組を上回ることはできそうなのでカッペリーニ&ラノッテ組が6枠目に滑り込む、という予想が妥当なところかと思うのですがどうでしょうか。
 さて、フランス国際2017の記事は男子&ペアに続きます。


:女子メダリスト3選手のスリーショット画像は、スケート情報サイト「icenetwork」の公式サイトのフォトギャラリーから、ザギトワ選手の画像、ソツコワ選手の画像、オズモンド選手の画像、三原選手の画像、トゥルシンバエワ選手の画像、白岩選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、アイスダンスメダリスト3組の画像は、フィギュアスケート情報サイト「europeonice.com」の公式ツイッターから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
フランス国際2017・男子&ペア―ハビエル・フェルナンデス選手、シーズンベストでGP7勝目 2017年11月22日

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# by hitsujigusa | 2017-11-21 02:00 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 前記事に引き続きNHK杯2017の記事をお送りします。今回は男子とアイスダンスです。
 その男子は圧倒的な優勝候補だった日本の羽生結弦選手がSP前日の公式練習で4ルッツの練習をした際に着氷で失敗、転倒し、右足の靭帯を痛め棄権。このアクシデントによって、男子の勢力図はガラリと変貌しました。
 そんな男子を制したのはロシアのベテラン、セルゲイ・ボロノフ選手。GP参戦12季目、30歳にして初優勝という快挙を成し遂げました。2位はアメリカのアダム・リッポン選手、3位はイスラエルのアレクセイ・ビチェンコ選手と、ベテラン勢が表彰台を独占しました。
 一方、アイスダンスは世界王者のテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組が優勝し、ファイナル進出を確定させました。

ISU GP NHK Trophy 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 金メダルを獲得したのはロシアのセルゲイ・ボロノフ選手です。

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 SPは「アディオス・ノニーノ」。冒頭は得点源の4トゥループ+3トゥループを完璧に決めて加点2の高評価を得ます。単独の3ルッツはジャンプ自体はクリーンに下りましたが、ステップからただちに跳ばなければいけないところ、構えが長くなってしまったためわずかに減点を受けます。後半の3アクセルはこちらも余裕のある跳躍で加点1.86点。スピンは全てレベル4と全てのエレメンツをクリーンに揃え、自己ベストに0.27点と迫る高得点でトップに立ちます。
 フリーは「サラバンド組曲」。まずはショートでパーフェクトに決めた4トゥループ+3トゥループから、これをまたもや驚くべき高さで成功させて2.14点の加点を獲得します。続く3アクセルもクリーンで1.86点の加点。次の4トゥループは回転は充分だったものの両足着氷で減点となります。後半最初の3アクセル+2トゥループ+2ループを決めると、3ルッツ+2トゥループも完璧。残りの単独ジャンプ3本も難なく着氷し、終盤はステップシークエンスとスピン2つで締めくくり、フィニッシュしたボロノフ選手は氷に手をつき、肩で息をしながらも達成感を滲ませました。得点は自己ベストの181.06点でフリーも1位、総合1位で完全優勝を果たしました。
 今季はチャレンジャーシリーズ2試合を消化し、今大会がGP初戦だったボロノフ選手。チャレンジャーシリーズ2試合もまずまず安定した演技を見せていましたが、今大会はほぼノーミス、キャリアベストと言っていい素晴らしい出来でしたね。GPデビューから12季目、30歳での初優勝というのはたぶん最年長記録になるのだろうと思いますが、30歳で自己ベストを更新できるというのは本当に脱帽ですし、それだけ心技体全てが充実しているというのは演技を見てもヒシヒシと伝わってきました。最近の男子フィギュア界は10代の選手たちの勢いも猛烈なものがありますが、かといって必ずしも若さが全ての選手にとって有利に働くとも限らなくて、ボロノフ選手のように年齢を重ねるほどに技術面も表現面もどんどん進化していくタイプの選手もいて、フィギュアスケートの幅広い可能性を感じられる今回のボロノフ選手の優勝には深い感慨を覚えましたね。
 ボロノフ選手の次戦はスケートアメリカ。3年ぶりのファイナル進出となれば、オリンピック代表に向けて強いアピールになると思いますから、アメリカでも好演技に期待したいですね。NHK杯優勝、おめでとうございました。


 2位に入ったのはアメリカのベテラン、アダム・リッポン選手です。

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 SPは昨季から継続の「Let Me Think About It」。まずは3フリップ+3トゥループをきれいに決めると、3アクセルは着氷で若干こらえながらも成功。後半の得意の3ルッツもわずかに詰まり加点はあまり伸びず。しかしステップシークエンス、スピンではいつもどおりの美しい身のこなしを披露。ダンサブルなプログラムでリッポン選手らしさを存分に発揮しました。得点は84.95点で4位につけます。
 フリーも昨季からの持ち越しである「Arrival of the Birds 映画『The Crimson Wing: Mystery of the Flamingos』より/O」。冒頭は大技4ルッツにチャレンジ、大きな乱れなく着氷しましたがアンダーローテーション(軽度の回転不足)の判定となります。続く3+2、3ループは問題なく成功。レべル4のスピンとステップシークエンスを挟んで後半、3アクセルからの3連続ジャンプを決めると、2本目の3アクセルは軸が傾きますが何とか成功。3+3、3サルコウ、3ルッツと全てのジャンプを予定どおりに着氷し、終盤のスピン2つもレベル4。演技を終えた瞬間、リッポン選手は両手で顔を覆い、信じられないといった表情を浮かべました。得点は自己ベストに約1点差の177.04点でフリー2位、総合2位とGP2個目の銀メダルを手にしました。
 今年の1月、練習中に左足首の捻挫と指の骨折という大怪我を負ったリッポン選手。全米選手権も欠場せざるをえず、いよいよ脂の乗ってきたキャリアに水を差すような不慮の出来事でしたが、今回の演技はそうしたフィジカル面の不安を払拭するどころか、怪我をする前よりもさらに強くなったと思わせる見事なカムバックでしたね。フリー冒頭の4ルッツは初成功まであと一歩という本当に惜しい出来でしたが、その後は圧巻の一言。プログラム自体もショート、フリーともに2季連続ということですでに滑り込みは充分で、美しい所作の連続に改めて惚れ惚れしてしまいました。上述したボロノフ選手のところでも言及しましたが、やはり年齢というのは関係なくて、どの段階で開花するかというのは人それぞれで、リッポン選手の場合もまさに今が花盛りと言えますね。
 次戦のスケートアメリカでは2年連続でのファイナル進出が懸かりますが、ぜひ納得のいく演技でファイナルの切符をつかんで、全米選手権に向けて勢いをつけて、オリンピックで花を満開に咲かせてほしいと思います。


 3位はイスラエルの実力者アレクセイ・ビチェンコ選手です。

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 SPは「ハバ・ナギラ」。冒頭は3アクセル、これをクリーンに決めて1点以上の加点を獲得。次いで4トゥループもしっかり下ります。後半の3+3も確実に回り切って着氷させ、最後まで力強い滑りを披露しました。得点は自己ベストまで約1点の85.52点で2位と好スタートを切ります。
 フリーは昨季と同じ「オペラ「道化師」より」。冒頭は4トゥループ+3トゥループ、セカンドジャンプの着氷で詰まりますがしっかり成功させると、2本目の4トゥループはより良い流れで決めて加点1以上。続く3ループは2回転となります。後半最初の3アクセルは着氷でステップアウト。3アクセル+2トゥループは問題なく決めます。次いで3ルッツ、終盤には3+1+3の難しい3連続ジャンプも成功。最後の2アクセルも難なく下り、フィニッシュでは舌を出して悔しさをのぞかせながらも笑顔で観客の声援に応えました。得点は自己ベストに約2点差の166.55点でフリー3位、総合3位でGP2度目の表彰台となりました。
 フリーは細かいミスがありパーソナルベスト、自己最高位の2位を逃しましたが、全体的には安定していてミスがあってもプログラムを破綻させることなく終始集中していたなという印象ですね。10月初旬のジャパンオープンの時はほかの選手の欠場による代役ということもあってかミスを連発し、10月下旬のチャレンジャーシリーズのアイススターという大会でもフリーはミスが多かったのですが、今回はそれらとは別人のような安定感でした。来年の2月で30歳になるビチェンコ選手ですが、10年以上GPに出場しているボロノフ、リッポンの両選手と比べると、14/15シーズンがGPデビューの彼はまた違う道を歩んできたベテランと言えます。まだ伸びしろは多々ありそうですし、演技中の動きも若々しいという印象があり、今後のプログラムのブラッシュアップにも期待ですね。
 次戦は2週連続となるフランス大会。なかなかきつい日程ですが、フランスでもベストなパフォーマンスができることを祈っています。


 惜しくも表彰台まであと一歩の4位だったのはアメリカのジェイソン・ブラウン選手です。

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 SPはまず得点源の3アクセルから、これは着氷でステップアウトし減点を受けます。続く3ルッツはクリーンに成功。しかし後半の3+3は3+2にとジャンプミスが重なります。しかし、その3+2も含め、3アクセル以外では全て加点1以上を積み重ね、85.36点で3位と好位置につけます。
 フリーは4トゥループを回避し、まずは得意の3フリップを確実に決めて良い流れを作ります。しかし直後の3アクセルは転倒。次いで2アクセルは問題なく下ります、後半は序盤で転倒した3アクセル、何とか着氷してコンビネーションにしたいところでしたが、回転不足であえなく転倒します。続く3ルッツもステップアウト、得点源となる3+1+3はクリーンに跳び切り、さらに3+3、2アクセルと終盤のジャンプはミスなくこなしましたが、2度の転倒が響き、自己ベストより20点以上低い160.59点でフリー4位、総合4位と表彰台を逃しました。
 ショート、フリーともに基礎点の高い3アクセルの失敗が痛かったですね。特にフリーの2本とも転倒というのは最近の調子の良さそうなブラウン選手の姿からはあまり想像できない失敗で少し驚きました。フリーは今まで試合で成功させたことのない4トゥループを外して臨んだということで、それだけ練習から成功する気配がなかったということでしょうし、また、4トゥループがなくても全てのジャンプをしっかりまとめれば優勝できるという戦略でもあったでしょうし、実際に賢明な判断だったと言えます。ただ、頼みの綱の3アクセルまでもが不調だと、いくらブラウン選手の素晴らしい表現力を持ってしても補えないですし、上位3選手の調子もかなり良い方だったのでブラウン選手にとっては厳しかったですね。個人的には海外の男子選手ではブラウン選手が最もお気に入りの選手で、羽生選手が不在となりブラウン選手にとってはまたとないチャンスだったので優勝を願っていたのですが、残念ながらNHK杯は2年連続でほろ苦い思い出となってしまいましたね。
 スケートカナダの2位と今回の4位を合わせ、ブラウン選手のポイントは22ポイント。ファイナルに進むには次のフランス大会や最後のアメリカ大会で番狂わせでも起こらない限りかなり難しいですが、次戦ではブラウン選手らしい演技で氷上で満面の笑みを見せてほしいと思います。


 5位はカナダのキーガン・メッシング選手です。

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 SPは「映画『雨に唄えば』より」。冒頭は得点源の4トゥループ+3トゥループ、ファーストジャンプの着氷で膝をぐっと曲げてこらえセカンドジャンプに繋げます。続く3アクセルは空中で軸が傾き転倒。後半の3ルッツはクリーンに決めますが、ステップからただちに踏み切らなかったため加点は得られず。スピン、ステップシークエンスは目立ったミスなくこなし、80.13点で5位につけます。
 フリーは「チャップリン・メドレー」。まずは単独の3ルッツを余裕を持って下りて加点1.3。続く4トゥループは着氷でお尻がつきそうなくらい膝を曲げて何とか耐えます。次の3アクセルからの3連続ジャンプはクリーンに成功させ、前半をまとめます。後半最初は2本目の4トゥループでしたが、これはパンクして3回転に。直後の3+3は成功。さらに2本目の3アクセルも決めたものの、それ以前に3ルッツを2本、3トゥループを2本跳んでいたため、3回転以上のジャンプは2種類2本ずつまでという規定に違反したこととなり2本目の3アクセルは無効扱いで0点に。3ループはクリーンに着氷しますが、最後の3フリップ+2トゥループは3フリップの踏み切り違反のため減点と、惜しいミスが続き、155.67点でフリー6位、総合5位となりました。
 ショートもフリーももったいないミスの仕方が目立ったメッシング選手。特にフリーは2本目の4トゥループが3回転になったために3アクセルが無効となってしまい、計算が狂ってしまいましたね。ただ、ショートで5位につけながらフリーで10位と大崩れしたスケートカナダと比べると、内容的にはかなり改善が見られたのは間違いないので、カナダ選手権に向けて収穫の多い試合になったのではないかなと思います。


 6位はラトビアの成長株デニス・ヴァシリエフス選手。

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 SPは「妙なる調和 オペラ「トスカ」より」。まずは3+3を決め好調なスタートを切りますが、3アクセルは回転は充分だったものの転倒。後半の3フリップはクリーンに下りて1点近い加点を獲得。スピンやステップシークエンスも安定してこなし、76.51点で8位となります。
 フリーは「Put the Blame On Mame/Anyone to Love/Sway」。4回転は回避した構成で臨み、まずは3アクセル+2トゥループを成功。続いて2本目の3アクセルに挑みますがこちらはパンクして1回転に。しかし次の予定を変更して再び3アクセルに挑み、今度はクリーンに下ります。後半は3ループを難なく着氷して幕を開け、次の3+3も成功。2アクセルも着氷して波に乗りますが、3フリップは1回転に。3ルッツ+1ループ+3サルコウはファーストジャンプの着氷でバランスを崩しかけますが、立て直して最後のジャンプまで繋げます。終盤はスピード感のあるコレオシークエンスと独創的なポジションのスピンで観客を沸かせました。得点はシーズンベストの158.29点でフリー5位、総合6位と順位をショートから二つ上げました。
 ショート、フリーともに3アクセルのミスはありましたが、全体を通して滑りの躍動感、勢いは充分すぎるほど感じられましたね。前回のロステレコム杯でもそうでしたが、昨季と比べても見違えるくらい動きが洗練されて上手くなっているなと感じます。プログラムに関しても、定番のオペラを用いたショートは、ヴァシリエフス選手の高貴な雰囲気、端正なスケーティングを活かしていますし、洒落たピアノの旋律で幕を開け、中盤からはマイケル・ブーブレの甘い歌声で曲調が変化、終盤は一気にテンポアップして情熱的に締めくくるフリーは、ヴァシリエフス選手の踊りの巧さを余すことなく引き出していて、本当に見応えのあるものになっていて、コーチで振り付け師のステファン・ランビエールさんの力も大きいのでしょうが、ヴァシリエフス選手自身の地力もぐんぐん上がってきているような気がしますね。


 7位は昨季の全日本ジュニア王者、友野一希選手です。

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 SPは「ツィゴイネルワイゼン」。冒頭は大技4サルコウ、着氷でよろめきますが回転はしっかり回り切ります。続く3+3はクリーンに成功。後半の3アクセルは高さと流れのある跳躍で1.43点の加点を獲得。どんどんテンポアップする曲調に合わせた力強い滑りで観客から喝采を浴びました。得点は自己ベストをちょうど10点更新する79.88点で6位と好位置につけました。

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 フリーは「ウエスト・サイド・ストーリー」。冒頭はショートで決めた4サルコウ、しかしアンダーローテーションで両足着氷となります。続いて2本目の4サルコウも同じく回転が足りず転倒とミスが重なります。しかし直後の3アクセル+3トゥループはスムーズに決めて挽回。後半最初の3アクセル+2トゥループ+2ループは最後が少し詰まりますが成功。3ループ、3サルコウと難なく決めて、3ルッツ+2トゥループは3ルッツの踏み切りが不正確なのとセカンドジャンプの着氷が詰まったのとでわずかに減点。最後の3フリップはクリーンに下り、最後まで勢いの衰えないキレキレの演技を披露。フィニッシュした友野選手は悔しさを滲ませながらも笑顔を見せました。得点は152.05点でフリー7位、総合では自己ベストをマークし7位でGPデビュー戦を終えました。
 当初出場する予定だった村上大介選手が急性肺炎で辞退したため、その代役としてチャンスが巡ってきた友野選手。もちろん初めてのGPでしたが、緊張で硬くなるとか縮こまるとかいった雰囲気は微塵も感じられない実に堂々とした演技でした。4サルコウこそフリーでは2本とも失敗に終わりましたが、そのことによって以降の演技が慎重になったり守りに入ったりすることなく、どんどん攻めて全力を出し切ろうという姿勢がうかがえました。何よりショート、フリーともに踊りの巧さが印象的で、日本のスケーターはわりとシャイだったり大人しめな選手が多いですが、友野選手はオーバーアクションやアピールが自然と身についていて、良い意味で大げさな動きや表情を恥じらいなくできるスケーターというのは日本ではけっこう貴重な存在だと思うので、羽生選手や宇野昌磨選手とはまた違った個性を持ったスケーターが出てきてくれたことは非常に嬉しく感じましたね。
 今大会で得た課題と収穫をぜひ全日本選手権への糧にして、次こそは完璧な演技を見せてほしいと思います。


 日本の佐藤洸彬選手は11位となりました。

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 SPは昨季と同じ「トーテム」。冒頭の3アクセルを決めて波に乗ると、続く4トゥループ+2トゥループは1つ目の着氷で詰まったものの、両手を上げて2トゥループを付けます。後半の3ルッツも若干着氷で流れが止まりますが、全体的に最小限のミスで抑え、自己ベストを大幅に更新し10位につけます。

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 フリーも昨季から継続の「セビリアの理髪師」。冒頭の3アクセルは着氷で膝を曲げてぐっとこらえ最小限の減点にとどめます。直後の4トゥループは空中で軸が曲がりステップアウト。2本目の4トゥループはアンダーローテーションで両足着氷となり、コンビネーションにできません。ステップシークエンスとスピンを挟んで後半、3アクセル+2トゥループはファーストジャンプの着氷がオーバーターンとなり減点。続く3フリップは軸が斜めになり転倒。次いで3ルッツもこらえた着氷となり、3サルコウも乱れた着氷に。最後の3ループは1回転にと後半はミス連発となり、演技を終えた佐藤選手は残念そうに顔を曇らせました。得点は123.25点でフリー11位、総合11位と順位を落としました。
 ショートはジャンプもおおむね決まり佐藤選手らしいオリジナリティー溢れる世界観を存分に発揮できたのですが、フリーはジャンプミスが相次ぎせっかくの演技力も印象が薄れてしまったかなという印象ですね。フリーはショートよりも緊張が強まったのか、途中から佐藤選手本来のジャンプのタイミングを見失っているような感じで、負のスパイラルに陥ってしまいましたね。ただ、4トゥループの失敗の仕方はそこまで悪いものではなかったので、確実な感覚をつかめればもっと安定感も増すのかなという気がしました。
 全日本選手権ではショート、フリーともに笑顔で終われることを祈っています。



 ここからはアイスダンスの結果です。

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 優勝したのは世界王者、カナダのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組。SDはツイズルで珍しく少し乱れがありレベル3と取りこぼしてしまいましたが、ほかは目立ったミスなくクリーンなエレメンツを揃え、80.92点で首位に立ちます。FDはツイズルのミスもしっかり修正し、後半のステップがレベル3となった以外は全てレベル4でまとめ、パーソナルベストとなる117.72点でフリー1位、トータルでは2位に10点差をつける圧勝でファイナル進出を決めました。
 ショートでツイズルの細かなミスがあったとはいえ、やはり圧倒的な強さを見せつけたヴァーチュー&モイア組。フリーはパーソナルベストで本当に死角のない演技でしたが、前週の中国杯でガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組がマークした世界最高得点にはまだ1点以上及ばない点数ということで、キス&クライでも喜びは控えめだったのかなと感じました。ファイナルではこの2組の直接対決となるのはほぼ間違いないので、その時に一体どんな熾烈な戦いとなるのか、今から楽しみですね。NHK杯優勝、おめでとうございました。

 2位はアメリカの成長株マディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組です。SDは序盤のステップがレベル3となった以外は全てレベル4と質の高いエレメンツを揃え、自己ベストまで0.22点という高得点で2位と好発進。フリーもダイアゴナルステップ以外はレベル4と確実かつ丁寧にエレメンツをこなし、自己ベストまで約1点のスコアで2位、総合でも2位で銀メダルを獲得しました。
 スケートカナダの得点よりは若干下がってしまいましたが、微妙な差なのであまりに気にすることはないでしょう。オリンピック代表争いというのを見据えても、シーズンベストランキングではアメリカ勢ではトップということで、順風満帆なシーズン序盤を送っていると言えます。ファイナルに進めるか否かはこのあとの2試合次第でわかりませんが、まだまだ伸びる可能性のあるカップルなので楽しみですね。

 3位はイタリアのベテラン、アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組です。SDは「Kaboom/Skip to the Bip/1008 Samba」。ステップとパターンダンスがレベル3にとどまり技術点を思ったほど伸ばし切れなかったものの演技構成点でカバーし、わずかながら自己ベストを更新し3位につけます。FDは「映画『ライフ・イズ・ビューティフル』より」。ステップが一つレベル3になった以外はミスらしいミスなくさすがの安定感を見せつけ、自己ベストに0.03点と迫るシーズンベストをマークしフリーも3位、総合3位となりました。
 ショート、フリーともにカッペリーニ&ラノッテ組らしい踊り心、遊び心溢れるプログラムで大いに楽しませられましたね。特にフリーはイタリア映画の名作『ライフ・イズ・ビューティフル』をテーマにした作品ということで、イタリアのカップルが演じるのにぴったりな、そしてオリンピックシーズンという集大成のシーズンにふさわしいプログラムと感じました。次戦のスケートアメリカでの順位次第では2年ぶりのファイナル進出も懸かってきますが、次もカッペリーニ&ラノッテ組らしい楽しくてのびやかな演技を期待したいですね。

 全日本チャンピオンの村元哉中&クリス・リード組は9位となりました。

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 SDは「I Like It Like That/Mondo Bongo/Batucada de Sambrasil」。2つのステップがレベル2となる取りこぼしはあったものの、ツイズルやリフトは丁寧にこなして加点も積み重ね、61.82点で9位につけます。
 FDは「映画『ラスト・エンペラー』より/映画『戦場のメリー・クリスマス』より」。演技前半のステップがレベル2にとどまった以外はミスらしいミスなく演技をまとめ、94.59点でフリー8位、総合9位で大会を終えました。
 ショート、フリーともにちょっとずつ取りこぼしがあって技術点を伸ばし切れなかったのはもったいなかったですが、表現面では昨季以上に進化した姿が見られましたね。ダンサブルなショートは最初から最後まで元気よく、二人の華やかさが存分に活かされていましたし、フリーは一転して坂本龍一さんの音楽に乗せてしっとりと清らかな世界観を繊細に表現していて、ショートとフリーの演じ分けも見事でした。
 次戦は2週間後のスケートアメリカということで、プログラムのブラッシュアップはもちろん、シーズンベスト、ひいてはパーソナルベストの更新も目指して、短い期間ですがうまく調整してまた二人らしい演技を見せてほしいと思います。

 GP初出場の小松原美里&ティモシー・コレト組は10位でした。

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 SDは「Ahora Quien/Samba do Brasil (Radio Remix)」。パターンダンスやパーシャルステップシークエンスはレベル2どまりとなりましたが、リフトやツイズルはレベル4と確実にレベルを取り、パーソナルベストとなる53.83点で10位となります。
 FDは「映画『愛のイエントル』より/映画『サブリナ』より」。2つのステップがレベル2と1にとどまる取りこぼしはありましたが、そのほかのエレメンツは全てレベル4と本領も発揮し、自己ベストをわずかに更新しフリー10位、総合10位でGPデビュー戦を終えました。 
 ショート、フリーともにステップのレベル獲得には苦戦した印象ですが、全体的な流れとしてはこのカップルらしい明るさや優雅さがよく表れていたように思います。特にプライベートでも夫婦とあって、カップルを結成してから日が浅いわりにユニゾンが素晴らしいなと感じましたし、息が合っている様子が見て取れましたね。年齢的にも25歳と26歳でまだ若いので、今後の伸びしろに期待ですね。



 NHK杯2017の記事は以上で全て終了です。全体を振り返るとベテラン勢の躍動が目立ち、表彰台を独占した男子トップスリーや女子の2位となったカロリーナ・コストナー選手のみならず、長洲未来選手、アリョーナ・レオノワ選手らの活躍は、若手の躍進ぶりが際立っている最近の時流とは少し違った風景で、見ていて思わず微笑ましくなりましたね。フィギュアスケートという競技の懐の深さとでも言いましょうか、戦いの中に身を置くにしても人それぞれの戦い方があるのだということを改めて感じさせてくれた大会になりました。
 さて、次戦はフランス。そうこうしているうちにこの記事のアップ時点でもう始まってしまいましたが、日本からは3年連続のファイナル進出が懸かる宇野昌磨選手、優勝すれば初のファイナルの可能性が残る三原舞依選手、NHK杯から連戦となる白岩優奈選手が登場します。では。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、リッポン選手の画像、ビチェンコ選手の画像、ブラウン選手の画像、メッシング選手の画像、友野選手のフリーの画像、佐藤選手の画像、アイスダンスメダリスト3組の画像、村元&リード組のFDの画像、小松原&コレト組のSDの画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ボロノフ選手の画像、村元&リード組のSDの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ヴァシリエフス選手の画像、友野選手のSPの画像、小松原&コレト組のFDの画像は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
NHK杯2017・女子&ペア―エフゲニア・メドベデワ選手、大差でGP7勝目 2017年11月15日
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# by hitsujigusa | 2017-11-18 01:11 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 グランプリシリーズ第4戦、NHK杯2017が大阪にて行われました。この記事では女子とペアについてお伝えします。
 女子の優勝者は世界女王のエフゲニア・メドベデワ選手。彼女にしては珍しく転倒という大きな失敗があり満足のいく出来とはいきませんでしたが、それでも2位に大差をつけてGP7勝目を上げました(ファイナルを含む)。そして2位には元世界女王、イタリアのカロリーナ・コストナー選手、3位にはロシアの新星ポリーナ・ツルスカヤ選手が入りました。
 一方、ペアはこちらも世界王者の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組がフリーで世界歴代1位の得点をマークし、圧勝しました。

ISU GP NHK Trophy 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 女子の覇者となったのはロシアのエフゲニア・メドベデワ選手です。

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 全てのジャンプを後半に跳ぶSP。まずはスピン、ステップシークエンスをいつもどおり丁寧にこなしてレベル4を獲得すると、得点源の3フリップ+3トゥループも完璧で1.6点の加点。さらに3ループを難なく決め、ロシア大会のフリーで転倒のあった2アクセルは多少慎重に入りましたが確実に成功。最後のスピン2つもしっかりレベル4を揃え、自己ベストに迫る79.99点で断トツの発進となりました。
 フリー冒頭は3フリップ+3トゥループからでしたが、3フリップで転倒するまさかのミス。若干苦手としている3ルッツは着氷が乱れ、思いがけない失敗が相次ぎます。スピンとステップシークエンスはノーミスでクリアし後半、最初の3フリップは急遽3トゥループを付けて冒頭のミスをリカバリー。3ループ、2アクセル+2トゥループ+2トゥループと問題なく着氷し、3サルコウ+3トゥループも成功。最後の2アクセルも下りて後半はメドベデワ選手らしさを存分に見せつけましたが、フィニッシュでは顔をこわばらせました。それでも得点は144.40点でフリー1位、総合1位で、ロシア大会に続きGP2連勝としました。
 今大会はフリーで転倒があったメドベデワ選手。GP初戦のロステレコム杯のフリーでも最後の2アクセルで転倒したのですが、その時は最も簡単な2アクセルでの転倒ということもあって思わず本人が笑みをこぼしてしまうくらい、ミスもご愛嬌といった感じの失敗の形でした。ただ、今回は演技冒頭の3+3での転倒ということで、演技が終わってもメドベデワ選手の表情は硬く、自分に厳しい彼女だからこそ許せないミスだったのではないかなと思います。今大会メドベデワ選手は両ふくらはぎにテーピングをしていて、多少なりとも違和感や痛みがあったことが想像できますが、その影響なのか2大会連続で転倒が続いていることは少し心配ですね。ただ、フリー後半では3フリップに3トゥループを付けることで見事にリカバリーしていて、転んでもただでは起きない姿からは今までとは違う形でメドベデワ選手の強さを改めて感じました。
 昨シーズンとは異なる歩み方でシーズン序盤を送っているメドベデワ選手。完璧主義者の彼女のことですから、今大会の失敗をきっちり分析して修正してくると思いますし、メンタル面での強靭さは相変わらず際立っていますので、次戦のファイナルでは納得のいく演技ができることを願っています。NHK杯優勝、おめでとうございました。


 2位はイタリアの大ベテラン、カロリーナ・コストナー選手です。

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 SP冒頭は得点源の3トゥループ+3トゥループ、セカンドジャンプの着氷でバランスを崩しかけますがこらえます。次いで3ループはクリーンに成功。後半の2アクセルも問題なくこなし、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と質の高いエレメンツを揃え、シーズンベストに極めて近いスコアで2位と好発進します。
 フリーは3+3は回避した構成で臨み、最初は3+2を確実に成功。単独の3フリップ、3ループもしっかり下り、それぞれのジャンプで加点1以上を稼ぎます。後半はまず3トゥループからでしたが、これがパンクして2回転に。2アクセル+1ループ+3サルコウは最後のジャンプまでスムーズに繋げたもののこらえきれず転倒してしまいます。単独の2アクセルはきれいに着氷。最後の3+2も難なく決めましたが、最後に跳んだ2トゥループは3回目だったため無得点扱いに。ステップシークエンス、スピンはショートに続き全てレベル4で、成功させたエレメンツではほとんど1点以上の加点を獲得し、137.67点でフリー3位、総合2位となり、2011年以来となるファイナル進出を引き寄せました。
 フリーでは細々としたミスはあったのですが、それを忘れさせる優雅さ、余裕感はさすがでしたね。今大会も演技構成点は非常に高く、フリーではメドベデワ選手を上回りました。両選手とも1度の転倒という点では共通しているにもかかわらずコストナー選手の方が高い評価を得ているということで、ジャンプ構成の難度は低めとはいえ、やはりオリンピックではいろんな意味で怖い存在になるなと思い知らされました。さまざまな紆余曲折を経て現在に至っているからこその、豊富な経験に裏打ちされた落ち着き、佇まいというのは、若い選手たちにはどうしても真似できないところであり、その長いキャリアが最終的にどういった形で花開くのか、ますますオリンピックでのコストナー選手が楽しみになりましたね。
 もちろんその前にファイナルや欧州選手権がありますから、まずは日本開催のファイナルでまたコストナー選手らしい演技が見られることを楽しみにしています。


 3位は今季シニアデビュー、ロシアのポリーナ・ツルスカヤ選手です。

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 SPは「テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローン」より」。冒頭の3ルッツ+3トゥループは高く余裕のある跳躍で1.2点の高い加点。後半に3ループと2アクセルを組み込み、どちらもクリーンに成功。スピンは全てレベル4を獲得し、70.04点で3位と好位置につけます。
 フリーは「ノクターン第1番/Song for the Little Sparrow」。まずはショートで完璧に決めた3ルッツ+3トゥループ、これを再びクリーンに着氷させると、続く3フリップも成功で、両方とも1.4点の加点を得ます。後半に5つのジャンプ要素を固め、2アクセル+3トゥループ+2トゥループの3連続ジャンプをきれいに着氷。さらに3ルッツ、3+2、3ループ、2アクセルと全てのジャンプをクリーンに跳び切り、ステップシークエンス、スピンも全てレベル4でまとめ、今までの自己ベストを約11点更新しフリー2位、総合では3位とシニアデビュー戦にして見事に表彰台を射止めました。
 ショート、フリーともにノーミスというルーキーらしからぬ冷静さと安定感が際立ったツルスカヤ選手。15/16シーズンは出場したジュニアの全試合を制し、世界ジュニア選手権も圧倒的な女王候補として乗り込んだものの、アクシデント的な怪我によってSP直前に棄権。昨シーズンもジュニアグランプリでは2連勝したものの、ファイナルはまたもや怪我で欠場。世界ジュニアには出場したものの振るわず10位と、一時期の絶好調だった時と比べると成績は下降気味で、正直個人的にはロシアのオリンピック代表候補としてはあまり注目していなかったのですが、今大会の演技を見る限り快進撃を見せていた頃の調子は戻っているようですね。シニア初戦で210点というスコアが素晴らしいのはもちろん、内容的にも全体を通してフィジカルもメンタルも緻密にコントロールされている感じで、驚かされました。ショート、フリー、トータルとパーソナルベストだったにもかかわらずキス&クライではニコリともせず、さらなる高みを見ているというような表情が印象に残りました。
 今回のような演技を次戦のアメリカ大会でも見せられれば、オリンピック代表に向けてかなりのアピールとなると思いますから、今大会以上に注目したいですね。


 4位はアメリカのベテラン、長洲未来選手です。

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 SP冒頭は今季から取り入れている大技3アクセル、回転は充分でしたが両足着氷で減点を受けます。続く3フリップ+3トゥループはクリーンに下りたかに見えましたが回転不足の判定。後半の3ルッツも回転がわずかに足りず。柔軟性を活かした回転の速いスピンは全てレベル4かつ高い加点を得ましたが、細かなジャンプミスが響き65.17点と得点は伸び切らず、それでも5位とメダルを狙える位置につけます。
 フリーもまずは3アクセルからでしたが、これはアンダーローテーション(軽度の回転不足)で減点されます。しかし直後の3+3はクリーンに成功。さらに3サルコウも着氷と挽回します。後半も最初の2アクセルからの3連続ジャンプを成功させると、前日ミスがあった3ルッツは踏み切りも着氷もクリーンにまとめ、残り2つのジャンプも予定どおり。3アクセル以外はほぼノーミスの演技で、129.29点でフリー4位、総合4位と順位を一つ上げました。
 今大会も果敢に3アクセルに挑んだ長洲選手。ショートは回り切ったものの両足着氷、フリーは回転不足と完璧な形での成功はありませんでしたが、今シーズンの長洲選手の3アクセルを見ているとパンクや転倒といった失敗はほぼなく、いつも惜しい形でのミスなので本当に安定しているなと思います。また、フリーは3アクセル以外の回転不足は一つもなく、キス&クライで得点が出た瞬間の長洲選手の満面の笑みが物語っているように、常にアンダーローテーションが課題となっている彼女にとっては、前のロステレコム杯と比べると、ある程度達成感のある試合だったのではないでしょうか。
 アメリカ女子の五輪代表争いは混戦模様で、誰と誰と誰が3枠を埋めるのかは現時点でも予想がつかないのですが、その中でほかの選手と差をつけるという意味で3アクセルを持っている長洲選手は強いと思いますね。もちろん3アクセルはもろ刃の剣でリスクの高い技でもありますが、3アクセルを得たことによって今まで以上にタフな選手になっているような気がしますし、自分にしかない武器を持っているという自信が演技全体にも好影響を及ぼしているのは間違いないと思うので、このまま攻めの姿勢で雌雄を決する場となる全米選手権に向かっていってほしいですね。


 5位は全日本女王の宮原知子選手です。

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 SPは「映画『SAYURI』より」。冒頭は得点源の3ルッツ+3トゥループからでしたが、3ルッツが回転不足で高さも足りなかったためセカンドジャンプは2回転にとどめます。続く2つのスピンはしっかりとレベル4を獲得。後半に入り最初の3ループを成功させると、最後の2アクセルも難なく下り、ステップシークエンスはレベル3でしたが、得意のレイバックスピンはレベル4に加え高い加点を得て、65.05点で6位につけます。

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 フリーは「蝶々夫人」。まずは得意の3ループをクリーンに下りて流れを作ると、ショートで跳べなかった3ルッツ+3トゥループはセカンドジャンプが回転不足となったもののしっかり着氷。若干苦手としている3フリップはパンクして2回転となります。スピンとステップシークエンスを挟んで後半、3ルッツからの3連続ジャンプは最後が多少詰まりますが回転不足なく成功。続いて2アクセル+3トゥループの予定でしたが、2アクセルが回転不足となり単独に。さらに3サルコウはパンクして2回転にとミスが相次ぎます。しかし最後の2アクセルに急遽3トゥループを付けて完璧に成功。演技を終えた宮原選手は安堵したように微笑みました。得点は126.75点でフリー6位、総合5位で復帰戦を締めくくりました。
 昨年末の全日本選手権以来の試合となった宮原選手。今年の2月に左股関節の疲労骨折が判明し、出場を目指した世界選手権も欠場。今シーズンに入ってからも体調不良や新たな軽い故障が発生し、復帰戦になる予定だったフィンランディアトロフィーの出場を見送るなど状態が心配されていましたが、個人的には想像よりも本調子に近づいているなという印象でほっとしました。コーチやトレーナーの説明によると本格的なジャンプ練習を始めたのは1か月ほど前で、NHK杯に実際に出場するかどうかも決めかねていたそうですが、直前の血液検査の結果が正常の数値に戻っていたことが決め手となり、出場を決断したようですね。今回の演技はミスこそありましたが、ギリギリまで欠場も視野に入れていたとは思えないほどの完成度で、ジャンプミスの内容もそこまで深刻なものではないので、あとはプログラム全体を通して滑る体力や実戦感覚の問題だけなのかなと感じました。また、表現面も相変わらずの繊細さと優雅さで、久しぶりに見るとやはり日本女子勢では際立って美しいなと思いましたし、演技構成点でもショート、フリーともに全体の3位という評価で、ジャンプが整えばさらに点数アップも見込めるので、今後に向けて期待が増す演技でしたね。
 とはいえ無理をして再発したりほかのところを怪我したりしてしまっては元も子もないですし、そうならないために宮原選手自身も宮原選手を支えるコーチやトレーナーもきめ細かいサポートをしていると思うので、次戦のアメリカ大会では今大会以上の演技を目指して、オリンピック出場に向けて一歩一歩焦らず歩んでいってほしいと思います。


 6位に入ったのはロシアのベテラン、アリョーナ・レオノワ選手です。

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 SPは「Bla Bla Bla Cha Cha Cha」。冒頭は得点源の3トゥループ+3トゥループ、これをきっちり回り切って着氷させると、後半の3フリップ、2アクセルもクリーンに成功。スピンも全てレベル4と丁寧にこなしましたが、全体的に加点は伸びず、63.61点で7位にとどまります。
 フリーは「Tune Maari Entriyaan (Bollywood Selection)」。まずはショートできれいに決めた3トゥループ+3トゥループから、これをショートの時よりもスムーズな流れで成功させて1.4点の加点を得ます。さらに若干苦手としている3ルッツを踏み切りも着氷もクリーンに決めると、2アクセルも問題なく着氷し、上々の前半とします。後半はまず3フリップ+2トゥループ、続けて単独の3フリップを成功。3+2+2の3連続コンビネーションも全て回り切って下り、最後の2アクセルも難なく着氷。最後はエネルギッシュかつダンサブルなステップで華やかに締め、フィニッシュしたレオノワ選手は派手なガッツポーズで喜びを爆発させたのち、涙を流して達成感を露わにしました。得点は自己ベストとなる127.34点でフリー5位、総合6位と順位を一つ上げました。
 近年はジャンプの不調に苦しみ、成績も不安定だったレオノワ選手。毎年のように新たなスターが登場して世界を席巻するロシア女子勢の中で、20代半ばを過ぎたレオノワ選手の存在感は薄くなりつつありましたが、今回の演技はそうした最近のモヤモヤを晴らすような、本当に素晴らしい滑りでした。もちろんジャンプの難度では若い選手たちには及びませんが、全体を魅せるという点においてはまだまだ衰えるどころか唯一無二の個性の持ち主として存分にアピールできる選手だと感じましたし、久しぶりにレオノワ選手の弾けるような笑顔を拝見して、何だか懐かしいような感じもして、心から嬉しくなりましたね。
 世界一過酷なロシア女子の五輪代表レースにおいて、レオノワ選手の立場が厳しいことに変わりはありませんが、次戦のスケートアメリカでもレオノワ選手らしい演技を見せて、少しでも可能性を広げられるよう祈っています。


 7位は日本の本郷理華選手です。

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 SP冒頭は3フリップ+3トゥループ、これを完璧に回り切って下り加点を獲得します。後半に組み込んだ苦手の3ルッツは片手を上げた難しい空中姿勢で臨み、一見きれいに下りたかに見えましたがアンダーローテーションの判定。最後の2アクセルも片手を上げて跳びこちらはクリーンに着氷。終盤のステップシークエンスではレベル4に加えて加点1.4と、高評価を引き出すスピード感と力強さに満ちた滑りで観客を魅了しました。得点は65.83点で4位と好発進します。

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 フリーもまずは得点源の3フリップ+3トゥループから、クリーンな着氷かと思われましたがわずかに回転不足の判定。続く得意の3サルコウは片手を上げて跳びますが珍しく着氷が乱れます。しかしショートで回転不足を取られた3ルッツは目立ったミスなく下ります。後半最初は2アクセル+3トゥループ+2トゥループから、これはセカンドジャンプがアンダーローテーションの判定に。3ループは決め、続いて3フリップは空中で回転がほどけたような形で着氷し大幅に減点されます。最後の2アクセル+2トゥループは成功させ、終始情熱的な滑りを披露しました。得点は122.00点でフリー7位、総合7位で初めてのNHK杯を終えました。
 前回のカナダ大会では細かな回転不足を多々取られて得点が伸び悩んだ本郷選手。その回転不足の修正を課題に挙げて臨んだ今大会、回転不足ゼロとは残念ながらなりませんでしたが、ショートの3+3やフリーの3ルッツなど、前回からの改善点も散見され、演技自体は充実した内容だったのではないでしょうか。何より演技そのものに勢いがあり、躍動感があり、生き生きとした感じがみなぎっているのが画面を通して溢れんばかりに伝わってきて、ミスに振り回されない余裕というのが感じられて頼もしいですね。プログラムもどんどん本郷選手になじんできているので、今後のシーズンがますます楽しみです。全日本選手権では本郷選手の満面の笑みが見られることを願っています。


 8位は今季シニアデビュー、日本の白岩優奈選手です。

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 SPはドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」。まずは得点源の3ルッツ+3トゥループ、ファーストジャンプはきれいに着氷しましたが、セカンドジャンプは途中で回転がほどけてしまいダウングレード(大幅な回転不足)での着氷となります。2アクセルは軸が傾き着氷もオーバーターンに。最後の3フリップは大きなミスなく跳び切りましたが、2つのジャンプミスが響き、57.34点で8位と出遅れます。

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 フリーはムスルグスキーの「展覧会の絵」。まずはショートで決められなかった3+3から、今度はこれをクリーンに下りて加点を得ます。続く2アクセルも難なく着氷し、前半のジャンプ2つをきっちり揃えます。後半に5つのジャンプ要素を固め、最初の3+3はセカンドジャンプの着氷でオーバーターン。3サルコウはクリーンな着氷に見えましたが、アンダーローテーションの判定。終盤の3フリップはきれいに跳び切り、次いで2アクセルからの3連続ジャンプの予定でしたが、ここは2アクセルの着氷が乱れ単独に。さらに最後の3ループはパンクして2回転にとミスが重なり、フィニッシュした白岩選手は苦笑いを浮かべました。得点は114.64点でフリーも8位、総合8位で初めてのGPを終えました。
 ショート、フリーともに複数のジャンプミスが出て本領を発揮できなかった白岩選手。GPデビューが自国開催のNHK杯、しかも普段練習している大阪開催ということで、圧倒的なホームである一方、良い演技をしなければいけないというプレッシャーも感じたのではないかと思います。ただ、白岩選手は昨年末の全日本選手権でSP17位と出遅れながらも、フリー3位で総合5位と追い上げるなど爆発力がある選手でもあるので、今大会もフリーでの一気の追い上げの可能性は充分ありましたし、それができるだけの高難度のジャンプ構成でしたが、やはりシニアのGPの雰囲気に飲まれてしまった部分はあるかもしれません。ですが、一度こうした雰囲気を経験したことで慣れた感じも多少はあると思うので、2週連続の試合でコンディション調整は大変でしょうが、次戦のフランス大会ではレベルアップした姿に期待したいですね。



 ここからはペアです。

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 優勝は世界チャンピオン、中国の隋文静&韓聰組です。ショートはまずサイドバイサイドの3トゥループ、これを二人同時にピタリと合わせてクリーンに跳び切ると、スロー3フリップは抜群の高さとスムーズな流れで決め加点2の高評価を得ます。さらに得意の3ツイストは女性が片手を上げて回転しレベル4。その後はスピンが一つレベル2になる取りこぼしはありましたが、後半のエレメンツは全てレベル4を揃え、79.43点で首位に立ちます。フリーは大技4ツイストから、レベルは2でしたがクリーンに成功させ加点を稼ぎます。3+2+2は全てのジャンプを回り切って着氷。続けて3サルコウも決め、上々の立ち上がりとします。中盤も落ち着いて一つ一つ丁寧にエレメンツをこなし、後半のスロージャンプ2つも危なげなく成功。終盤のエレメンツは全てレベル4でまとめ、演技を終えた二人はガッツポーズで喜びを露わにしました。得点はフリーの世界歴代最高点となる155.10点をマーク、トータルでも自己ベストを更新し、2位に11点差をつける圧勝でGP3勝目を飾りました。
 とにもかくにも圧巻としか言いようのない演技でしたね。特にフリーはエレメンツをこなしていくごとに演技の迫力もどんどん増していって、あまりの気迫に思わず息が止まってしまうというか気圧されてしまうくらいのパワーを感じましたね。それでいて「トゥーランドット」の優雅さ、流麗さも細部に渡って繊細に表現していて、このダイナミックさと繊細さのバランスの良さは、ほかのペアにはない隋&韓組ならではの最大の魅力だなと思いました。ファイナルでは初制覇が懸かりますが、いつもどおりの思い切った演技を期待したいですね。NHK杯優勝、おめでとうございました。

 銀メダルを獲得したのはソチ五輪銀メダリスト、ロシアのクセニア・ストルボワ&ヒョードル・クリモフ組です。SP冒頭の3ツイストはキャッチで男性が女性を抱える形になりレベル1どまりに。しかし続くスロー3フリップは完璧に下りて加点1.5。その後もミスらしいミスなく安定してエレメンツをクリアし、シーズンベストで2位と好発進します。フリーもまずは3ツイストからでしたが、やはりキャッチミスがありレベル1にとどまります。スロー3フリップは安定感抜群の跳躍と着氷。次いで3トゥループ+3トゥループ+2トゥループの高難度コンビネーションジャンプは、セカンドジャンプで二人とも着氷が乱れたためサードジャンプは跳びませんでしたが3+3としては成功。以降は目立ったミスなく確実にエレメンツをこなし、最後のスロー3サルコウもきれいに着氷。フィニッシュでクリモフ選手は氷を叩いて喜びを爆発させ、ストルボワ選手も満面の笑みを見せ、ハグでお互いをたたえ合いました。得点は147.69点でフリーも2位、総合2位となり、ロステレコム杯の2位と合わせて3度目となるファイナル進出を決めました。
 今季はフィンランディア杯、ロステレコム杯となかなかすっきりとしない、消化不良の演技が続いていたのですが、今大会はショート、フリーともに最小限のミスに抑えて、特にフリーは演技後の二人の反応が物語っているように、ようやく今のベストが尽くせたと言える内容だったのかなと思います。今季の課題となっている3ツイストのキャッチミスは次戦への宿題となりましたが、演技中は二人の強い気持ちが伝わってきて、特にフリーは緊張感を漂わせつつ、滑るたびに徐々に伸びやかさと勢いを増していって乗っていく感じにぐいぐい引き込まれて、フィニッシュでは二人の表情に思わずもらい泣きしてしまいそうになりました。若くしてオリンピックの銀メダリストとなって、その肩書きを背負って次のオリンピックへ向かっていく道のりというのは、また他のペアと違う苦労があったのではないかと想像しますが、とはいえ25歳と27歳とまだ若いペアでもあるので、まだまだ伸びしろもあると思いますし、ファイナルでも思い切りの良い演技を楽しみにしています。

 3位に入ったのはロシアのクリスティーナ・アスタホワ&アレクセイ・ロゴノフ組。SPはまずサイドバイサイドの3サルコウを決めると、続く3ツイストもレベル3でまとめ、スロー3フリップもきれいに着氷。後半のエレメンツは全てレベル4とそつのない演技を見せ、自己ベストを約3点更新する70.47点で3位と好位置につけました。フリーはまず鍵を握る3+2+2を成功させると、3ツイストもスムーズに成功させ波に乗ります。3サルコウは2回転となりましたが、その後のエレメンツは全てレベル4という高い完成度でまとめ、自己ベストの133.17点でフリー3位、総合3位でロステレコム杯に続いて銅メダルを手にしました。
 今大会トータル203.64点で初めて大台の200点台に乗せたアスタホワ&ロゴノフ組。ペア結成は4季目で、女性のアスタホワ選手は20歳、男性のロゴノフ選手は29歳でと年齢差、経験の差があるペアですが、徐々にペアとしての熟成が進んできたのかなと思います。ロステレコム杯では今季も含めて3度表彰台に立っている二人ですが、母国以外のGPでのメダルはこれが初めて。そういった意味でもペアとして一皮剥けたと言えるのではないでしょうか。ファイナルに出られるかどうかは微妙なところですが、オリンピックに向けて良いシーズンの序盤を送っているのは間違いないですね。

 日本のチャンピオン、須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組は7位となりました。

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 SPは3ツイストがレベル2になるミスから始まり、3サルコウはパンクして1回転となったため無得点となってしまいます。その後は大きな取りこぼしなくエレメンツをクリアしましたが、序盤の減点が響き、自己ベストより10点ほど低い51.69点で7位にとどまりました。
 フリーも冒頭は3ツイストから、こちらも細かなミスでレベル2となります。ショートでパンクした3サルコウは回り切って着氷しますが、スロー3ループはステップアウトし大幅な減点と序盤はミスが重なります。中盤は2アクセル+2アクセルのシークエンスジャンプで須藤選手のファーストジャンプが回転不足と判定されますが、それ以降はミスらしいミスなく丁寧にエレメンツをこなし、演技を終えた二人は手応えを得たように明るい表情で観客の声援に応えました。得点はシーズンベストとなる104.83点でフリー7位、総合7位で3度目のNHK杯を終えました。
 今季は全体的にミスの多い演技が続き苦戦を強いられていた須藤&ブードロー=オデ組。今大会もショートは50点台前半という低調なスコアでフリーに不安が残りましたが、そのフリーでは演技序盤こそ慎重さ、硬さが目立ちましたが、演技が進むにつれて少しずつ二人らしいのびやかさが戻ってきて、特に終盤のリフトやスピンは安定してレベル4を獲得するなど力強いパフォーマンスが見られ、全日本選手権に向けて良い収穫になったのではないかと思いますね。ここからまた一段階、二段階調子を上げて、全日本3連覇目指してじっくり調整していってほしいですね。

 これがGPデビューとなった須崎海羽&木原龍一組は8位でした。

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 SPは「テレビアニメ「ユーリ!!! on ICE」より」。冒頭は難度の高い3ルッツのサイドバイサイドジャンプから、木原選手はきれいに下りましたが、須崎選手は回転不足で転倒となり大きく減点されます。続く3ツイストはキャッチで男性が女性を抱える形となりレベルが1よりしたのB(ベーシック)の扱いに。スロー3サルコウはステップアウトとなり、得点は44.83点と自己ベストから程遠い点数にとどまりました。
 フリーは「映画『ロミオとジュリエット』より」。冒頭はショートで転倒があった3ルッツ、再び回転不足は取られますが大きな着氷の乱れなくまとめます。3ツイストはレベル1にとどまり、高難度のスロー3ルッツはステップアウト。しかし中盤の3+2+2の3連続ジャンプは二人のタイミングが大きくずれたためわずかに減点こそ受けますが回転不足なく跳び切り、その後も細々としたミスは散見されましたが大崩れすることなく、最後まで力強く演じ切りました。得点は自己ベストとなる95.15点をマークしました。
 初めてのGP、しかもNHK杯とあって(木原選手は高橋成美選手とのペアで出場経験あり)、さすがに緊張感はヒシヒシと伝わってきましたが、その中でも今できるベストは出せたのかなという印象ですね。今季から取り入れた3ツイストや難しい入りのリフトなど、新たな技での細かいミスはありましたが、トップペアでも稀なサイドバイサイドの3ルッツやスローの3ルッツなど、このペアならではの魅力も垣間見えて、こうした技の安定感が増してくればおもしろい存在になるなと感じました。平昌五輪の団体戦メンバーとして現時点で最も有力なのは須崎&木原組だと思いますから(須藤&ブードロー=オデ組はブードロー=オデ選手が日本国籍を保持していないためオリンピックには参加できません)、オリンピックも見据えて、全日本選手権で最高の演技ができるよう頑張ってほしいと思います。



 NHK杯2017、女子&ペアの記事は以上です。男子&アイスダンス編に続きます。


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# by hitsujigusa | 2017-11-15 20:01 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)