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 2018年2月9日、平昌オリンピックが開幕しました(正式には8日から一部競技の予選が始まっていますが)。そしてフィギュアスケートはその開会式当日の9日の午前から競技が開始。まずは国別で争われる団体戦からです。その団体戦は初日の9日に男子ショートプログラムとペアショートプログラムが行われました。日本チームは好スタートを切りましたが、その模様をお伝えする前に団体戦の試合の流れとルール、システムについてざっくりとおさらいしたいと思います。

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◆出場国とチーム構成


カナダ、OAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)、アメリカ、日本、中国、イタリア、フランス、ドイツ、イスラエル、韓国


 各国の選手が対象となる国際試合において獲得したポイントの合計によって国別のポイントが累積され、そのランキング上位10か国が団体戦に出場できることとなっています。なお、開催国枠での出場も可能ですが、開催国の韓国は国別のランキングで10位に入っているため、今回は開催国枠は使用されません。また、団体戦に国としてエントリーするためには、男子、女子、ペア、アイスダンスの4種目のうち、最低3種目で個人戦での出場枠を獲得していることが必須で、国別ランキングではスペインがイスラエル、韓国の上に位置していますが、スペインは男子とアイスダンスのみでしか出場枠を持っていないため、団体戦の出場要件を満たしておらず、国別ランキングでは実際は11位の韓国が繰り上がるということとなりました。
 各チームの選手構成は主に個人戦に出場する選手で構成されますが、個人戦での出場枠がなく団体戦のみに出場する選手の参加も可能です。そして、4種目のうち最大2種目でショートとフリーで滑走する選手を入れ替えることができます。言い換えれば、最低2種目は同じ選手がショートもフリーも滑らなければいけません。


◆試合の流れと順位決定方法

 試合は各種目のショート、フリーごとに各国1名(組)が出場し、まず個人戦同様にショートから行われ、順位によって1位は10ポイント、2位は9ポイント、3位は8ポイントというように順位が一つ下がることにポイントも1つ減っていきます。4種目のショート全てが終わった段階で、獲得した国別ポイントの上位5か国のみがフリーに進出できます。フリーにもショートで獲得したポイントは持ち越され、その最終的な合計ポイントで最終順位が決定されます。
 また、その国別のポイントで2か国以上が同点で並んだ場合は、選手が獲得した得点を合算して順位を決定します。


 そんなフィギュア団体戦。まず行われた男子SPとペアSPの結果を駆け足ですが書いていきたいと思います。


Olympic Winter Games 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 男子ショートの1位に立ったのは日本の宇野昌磨選手です!

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 まずは得点源の4フリップから、しかしこれは着氷で手をつき大きく減点されます。スピンとステップシークエンスを挟んで後半、フリー最初は今季鬼門となっている4トゥループ+3トゥループ、しっかり両ジャンプとも着氷し1点以上の加点を獲得。さらに得意の3アクセルでは2点以上の加点を得る出来栄えで跳び切り、演技を締めくくる2つのスピンもレベル4を揃え、演技後の宇野選手は思わず笑みをこぼしました。得点は自己ベストに約1点と迫る103.25点で圧巻の1位となりました。
 10人中最終滑走となった宇野選手。その前に滑った選手たちが次々と大失敗を連発し、宇野選手は大丈夫だろうかと心配もしましたが、全くの杞憂でしたね。演技前も演技後もいつもどおりの淡々とした様子で、今自分がやるべきことをやっただけという冷静さを感じました。そうは言ってもここ最近はショートで転倒したり4+3が4+2になったりとミスが多かったので、久しぶりに全てのジャンプが予定どおりに入ったなという印象ですね。
 演技後のインタビューでは「特別な緊張感はない」「全日本選手権の方が緊張した」とオリンピックに対しての特別な意識を感じさせない発言もあった一方で、前の選手たちの演技をバックヤードで見ていてその影響はあったとも話しました。ただ、「朝早いからかな」「自分も失敗するのかな」などと思いながら演技に臨んだとのことで、不安がゼロというわけではなかったものの、ほかの選手の演技を冷静に受け止められるだけの余裕も持っていたようで、頼もしいとともにどこまでこの人はマイペースなんだろうと改めて驚かされました。
 4年前のソチ五輪で羽生選手がまず団体戦のショートで勢いをつけて個人戦に繋げたというのを思い起こさせるような展開でもあり、個人戦でもこの調子をキープしてさらに上げて、満足のいく演技をしてほしいなと思います。


 2位となったのはイスラエルのベテラン、アレクセイ・ビチェンコ選手です。

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 冒頭は3アクセル、これを完璧に下りて1.86点の加点を獲得。次いで4トゥループもクリーンで加点1.43を得ます。後半の3+3も難なく決め、スピンでは取りこぼす場面もありましたが、終盤のステップシークエンスではアップテンポなリズムに合わせて軽快な滑りで観客を沸かせ、フィニッシュしたビチェンコ選手は破顔しました。得点はパーソナルベストの88.49点で2位と好位置につけました。
 今シーズンはコンスタントに成績を残し安定感を示しているビチェンコ選手。緊張感漂う五輪の舞台でもいつもどおりの伸びやかさで、演技をしながら五輪の空気感を味わっているような余裕さえ伝わってきましたね。イスラエルは団体戦においてはメダル獲得というのは厳しいポジションなので、ビチェンコ選手も個人戦前の肩慣らしの場としてうまく団体戦を利用しているという印象も受けますし、しっかりと自分自身に集中できているというのは経験豊かなベテランならではかもしれませんね。
 個人戦でもぜひビチェンコ選手らしい元気の良い滑りで会場を盛り上げてほしいと思います。


 3位はソチ五輪銀メダリスト、カナダのパトリック・チャン選手です。

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 まずは得点源の4トゥループ+3トゥループでしたが、ファーストジャンプで転倒してしまいコンビネーションにはならず。続いて3ルッツは空中で軸が曲がり、何とか2トゥループをつけてコンビネーションにします。後半の苦手の3アクセルはこちらも軸が傾き転倒。ステップシークエンスでは相変わらずの世界一のスケーティングで音楽との調和を見せましたが、ジャンプミスが響き81.66点の3位と伸び切りませんでした。
 今季はジャンプに苦戦し11月のNHK杯を辞退、五輪選考会のカナダ選手権に向けて調整を優先したチャン選手。そのカナダ選手権でも4トゥループや3アクセルのミスが散見され、そこからどれだけ調子を取り戻しているかが注目されましたが、まだ完全復調とまでは行っていないのかなという感じですね。3アクセルの成功率が低い分、4トゥループや3ルッツは確実に決めたいところでしたが、全体的にジャンプが傾いてしまいました。個人戦に向けては不安が残りますが、チャン選手は団体戦に関してもショートもフリーも出たいと強い意欲を示しているようで、実際にフリーにチャン選手とキーガン・メッシング選手のどちらが出るのかは不明ですが、チャン選手にとっては4年前と違って個人戦の表彰台が厳しい状況の中で、より団体戦にも力を注ぎたいという気持ちもあるのかなと想像しますし、単なる推測ですがそうした感情も理解できるような気がします。
 次の演技が団体戦のフリーになるのか、個人戦のショートになるのかはわかりませんが、彼にとって最後の五輪になる可能性が高いですから、悔いのない滑りをしてほしいですね。


 4位はGPファイナル2017王者、アメリカのネイサン・チェン選手です。

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 冒頭は最高難度の4ルッツではなく4フリップからの3トゥループを組み込みましたが、4フリップの着氷で体勢を崩しセカンドジャンプは2トゥループに抑えます。2つのスピンを挟んで後半、得意の4トゥループでしたがパンクして2回転となり、規定違反で無得点に。さらに鬼門の3アクセルは転倒。スピン、ステップシークエンスは全てレベル4とさすがの実力を見せつけましたが、全てのジャンプでミスを犯し、演技を終えたチェン選手は呆然とした表情を浮かべました。得点は80.61点で4位にとどまりました。
 今シーズン出場した試合で全勝しているチェン選手でしたが、まさかの演技でしたね。4フリップからの連続ジャンプのミスは許容範囲内としても、4トゥループでパンクするという姿は今季皆無だったので驚きました。その動揺が残る中での3アクセルも転倒と、最後まで彼らしさはなかったですね。これが五輪の魔物というものなのか、フィギュアの大会とは違う独特の雰囲気に飲まれてしまったのか、氷との相性が悪かったのか、いろいろ理由は考えられますが、これが個人戦でなくて良かったととらえることもできます。団体戦のフリーに出場するのかしないのかはまだわかりませんが、次は今回のミスは忘れて、いつもどおりのチェン選手らしさを取り戻してほしいですね。


 5位はイタリアの新星、マッテオ・リッツォ選手です。

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 冒頭の3アクセルは着氷が乱れて減点。しかし直後の3+3はクリーンに跳び切って加点1を得ます。後半の3ルッツも問題なくクリアし、スピン、ステップシークエンスは全てレベル4と丁寧にエレメンツをこなし、フィニッシュしたリッツォ選手は満面に笑みを浮かべました。得点は自己ベストに約1点と迫る77.77点で5位と好発進しました。
 今シーズン前半はシニアのB級国際大会に出場しながら、ジュニアGPにも出場し母国開催のイタリア大会では初優勝するなど二足のわらじで活躍しているリッツォ選手。初めての五輪で緊張感はあったでしょうが、滑るごとにのびやかさが増していくような演技で素晴らしかったですね。コーチは父のヴァルテル・リッツォさんですが、すぐ隣りにお父さんがいてくれるというのは心強いでしょうし、特にスピン、ステップ全部レベル4というのは勢いだけではなく、落ち着いていないとできないことだと思いますから、全体的に高揚する気持ちとともに落ち着きもあったのかなと想像します。
 イタリアが団体戦フリーに進出できればリッツォ選手も再び演技することになりますから、ぜひ頑張ってほしいですね。


 6位は韓国の新星、チャ・ジュンファン選手。4回転は外した構成で、冒頭の3+3を確実に下りると、3アクセルもきっちり成功。後半の3ルッツも決め、ステップシークエンスはレベル2どまりだったものの、スピンはレベル4を揃え、致命的なミスなく演技を終え地元の観衆の喝采を浴びました。得点はシーズンベストの77.70点で6位と上位に迫りました。
 7位は中国の実力者、閻涵(ヤン・ハン)選手。冒頭は代名詞の3アクセルでしたが、回転不足となった上に転倒。さらに4トゥループも転倒と大きなミスが相次ぎます。後半の3+3は何とかまとめ、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4とさすがの質の高さも発揮しましたが、77.10点で8位にとどまりました。
 8位はOARのミハイル・コリヤダ選手です。冒頭は大技4ルッツ、回転は充分でしたが着氷でこらえきれず転倒します。続いて4トゥループも転倒しコンビネーションにできず。さらに後半の得意の3アクセルも力んだのかパンクして1アクセルとなり、規定違反で無得点に。精彩を欠いた内容で74.36点の8位に沈みました。
 9位はドイツのパウル・フェンツ選手。序盤に得点源のジャンプを固めますが、4トゥループ、3アクセルともに転倒。後半の3+3も乱れ、スピンでもわずかな減点が重なり、66.32点で9位となりました。
 10位はフランスのシャフィク・ベセギエ選手です。冒頭に4トゥループ+3トゥループを組み込みましたが、3+2となり大幅な失点に。直後の3アクセルも回転が抜けて2回転になります。後半の3ルッツはクリーンに下りましたが、全体的にミス、取りこぼしの多い演技となり、61.06点で10位でした。



 団体戦男子ショートの結果は以上です。全体を通して転倒が非常に多く、まだ会場の雰囲気や氷になじめていない選手が多いのかなと感じましたが、その中で自分のペースを保っていた宇野選手は見事でしたね。一方、チャン選手やチェン選手、コリヤダ選手は個人戦に向けてどこまで立て直せるか、この団体戦の経験を個人戦にどう活かしていくか注目したいと思います。




 ここからはペアです。
 トップに立ったのは欧州王者、OARのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組です。冒頭の3ツイストを鋭い回転とクリーンなキャッチで決めると、続くサイドバイサイドの3トゥループは二人のタイミングもピタリと合わせて成功。さらにスロー3ループも下り、残りのエレメンツも全てレベル4と完璧な演技に、フィニッシュではモロゾフ選手が力強く拳を握り締めるシーンも。自己ベストを0.1点更新して堂々の1位となりました。
 さすがの欧州王者の演技でしたね。先月の欧州選手権ではこのショートで出遅れてしまったわけですが、その反省と教訓を活かしてしっかり調整してきたことが感じられました。また、ロシア代表としてではなくOARとしての出場ということで複雑な想いもあるでしょうが、氷の上ではそういった雑念はなく、演技にのみ集中してコントロールし切れていたように思います。団体戦フリーに出場するか否かは不明ですが、まずは個人戦でのメダルに向けて良い感覚をつかめたのではないでしょうか。

 2位は元世界チャンピオン、カナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組です。冒頭の3ツイストはレベル2にとどまりましたが、難度の高いソロジャンプの3ルッツを最小限のミスに抑え、スロー3ルッツは完璧に成功。その後のエレメンツでは軒並みレベル4を揃え、76.57点で2位につけました。
 ちょっとしたミスはありましたが、よくまとまった好演技でしたね。今季序盤はソロジャンプの3ルッツで大きなミスを犯すことも多かったですが、シーズンが進むにつれて改善されてきたように思います。個人戦のメダルにも繋がる内容と言えますね。

 3位は世界選手権2017銀メダリスト、ドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組です。冒頭の3ツイストを抜群の高さで決め2.1点という極めて高い加点を得ると、次いでソロジャンプの3サルコウも確実に着氷。しかしスロー3フリップでは転倒。その後は目立ったミスなく質の高いエレメンツを揃えましたが、転倒が響き75.36点で3位となりました。
 全体的には非常に体もよく動いてキレの良い技が続いただけに、スロージャンプの転倒だけがもったいなかったですね。ドイツが団体戦フリーに進めるかどうかは微妙なところですが、このミスを個人戦でどう修正してくるかに注目ですね。

 4位はアメリカのアレクサ・シメカ=クニーリム&クリス・クニーリム組。冒頭の3ツイストをクリーンに成功させ1.6点の加点を獲得。その後もサイドバイサイドの3サルコウ、スロー3フリップ、ステップシークエンスと息の合った演技を披露しましたが、終盤のリフトのエンディングで若干バランスを崩すミスがあり減点。しかしシーズンベストで4位と好位置につけました。
 第2グループの1番滑走と比較的早い時間での登場となったシメカ=クニーリム&クニーリム組ですが、全米王者らしい風格のある演技で世界選手権で入賞経験もある実力を示しましたね。やはり夫婦ペアらしいユニゾンというのも感じられて、団体戦フリーも期待できそうですね。

 5位は中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組。まずはサイドバイサイドの3トゥループからでしたが、女性の于選手が2トゥループになってしまい大きな失点に。その後はクリーンなエレメンツを揃え本領を発揮しましたが、ジャンプミスが影響して69.17点で5位にとどまりました。
 団体戦フリー進出に向けて、中国チームとしては最も力のあるペアでより多くのポイントを稼ぎたいところだったと思うのですが、その想定からは少し外れてしまったかなと思います。于選手にとっては初めてのオリンピックというところで、また、若干ソロジャンプを苦手にしている感もあるので、ウィークポイントが如実に表れてしまったかもしれません。大ベテランの張選手がいかに于選手を導いて立て直していくのか、注目点ですね。

 6位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組です。こちらも演技序盤のサイドバイサイドの3サルコウが2回転になるミスがあり大きなロスに。そのほかはミスらしいミスなく滑り切りましたが、得点は伸び切らず6位でした。
 7位はイタリアのニコル・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組。3ツイストがレベル2、スロージャンプで着氷ミスがあり、自己ベストには約3点及ばず7位となりました。

 そして日本の須崎海羽&木原龍一組は8位と健闘しました。

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 冒頭は代名詞となっているサイドバイサイドの3ルッツ、木原選手がこらえた着氷になりましたが、最小限のミスにとどめます。続く3ツイストはキャッチが抱える形になりレベル1に加え減点。しかし、その後は全てのエレメンツをクリーンにこなし、これまでの自己ベストを7点近く更新し8位に入りました。
 緊張する五輪の舞台でパーソナルベストという見事な活躍でしたね。木原選手は滅多にミスすることのない3ルッツで着氷が乱れたということで悔しがっていましたが、そこで耐えたことも含めて、よく粘り、そして丁寧に演じ切ったと思います。思えば4年前のソチ五輪でも木原選手は高橋成美選手と組んで団体戦に出場し同じくショート8位となっていて、本番で強いなーと感じます。4年前はペアに転向してから約1年で、経験豊富な高橋選手にリードされる形だったと思いますが、今は若い須崎選手を木原選手がしっかりリードしていて、4年という年月の経過を感じるとともに、成長を実感して感慨深くなりました。ぜひ団体戦フリーもこの調子で頑張ってほしいですね。

 9位はイスラエルのペイジ・コナーズ&エフゲニー・クラスノポルスキー組です。演技序盤から安定して大きなミスなく要素をこなし、流れに乗った演技を披露しますが、終盤のステップシークエンスで女性のコナーズ選手が氷にスケート靴のエッジが引っかかった形で転倒。それでもアクシデント的な転倒を引きずらず、最後まで笑顔で滑り切り9位となりました。
 10位は韓国のキム・ギュウン&アレックス・カン・チャン・カム組。2ツイストは無難にまとめ、その後も大崩れすることなくエレメンツをこなしましたが、細々とした減点が多く自己ベストには及びませんでした。



 フィギュア競技の先陣を切って行われた団体戦男子ショートとペアショート。それぞれで各国が獲得したポイントを合わせて、初日の順位はこうなりました。


1位:カナダ 17ポイント
2位:アメリカ 14ポイント
3位:日本 13ポイント
4位:OAR 13ポイント
5位:イスラエル 11ポイント
6位:中国 10ポイント
7位:イタリア 10ポイント
8位:ドイツ 10ポイント
9位:韓国 6ポイント
10位:フランス 6ポイント



 カナダ、アメリカは男子、ペアともにコンスタントにポイントを稼いで上々のスタートを切りました。そして日本は何といっても宇野選手が獲得した10ポイントが効いて3位と好発進。前回のソチ五輪では初日4位だったことを考えても、メダルの希望が少し広がったかなと思います。一方、優勝候補のOARは男子での出遅れが響いて4位にとどまりましたが、ペアで1位となったことによってしっかりリカバリーしていて、さすがフィギュア大国の層の厚さを感じさせます。
 このあと団体戦は11日にアイスダンスSD、女子SP、ペアフリーが行われます。日本はアイスダンスに村元哉中&クリス・リード組が、女子にエースの宮原知子選手が登場。フリーに進めれば、ペアはもちろん須崎&木原組が再び登場です。まだまだ予断を許さない状況ですが、初日の良い流れを繋いで、表彰台を狙えるポジションをキープしてほしいと思います。では。


:記事冒頭の日本チームの画像、ビチェンコ選手の画像、チェン選手の画像、リッツォ選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、宇野選手の画像、須崎&木原組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、チャン選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」の平昌五輪特集ページから引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
平昌五輪・団体戦(女子SP&アイスダンスSD&ペアフリー)―エフゲニア・メドベデワ選手、世界最高得点で1位 2018年2月14日
平昌五輪・団体戦(男子フリー)―パトリック・チャン選手、シーズンベストで1位 2018年2月15日
平昌五輪・団体戦(女子フリー&アイスダンスFD)―カナダ、大差で初優勝 2018年2月17日

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# by hitsujigusa | 2018-02-11 02:29 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 四大陸選手権2018、男子&ペア編の後編です。なお、前編はこちらからご覧ください。

ISU Four Continents Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 男子の6位となったのはウズベキスタンの実力者、ミーシャ・ジー選手です。

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 SPは冒頭の3アクセルをクリーンに決めますが、3+3はファーストジャンプの3ルッツの踏み切りのエッジが不正確とされわずかに減点、さらに足替えキャメルスピンではぐらつく場面がありこちらも減点と、細かな減点が重なり82.27点と得点は伸び切らず8位にとどまります。
 フリーはまず得点源の3アクセル+1ループ+3サルコウ、これをパーフェクトに決め1.57点の加点を得ます。続く単独の3アクセルは若干こらえてマイナス。3フリップはクリーンに着氷します。後半は3+3を鮮やかに成功させると、3ルッツ、3ループ、2アクセル+2トゥループ、2アクセルと全て成功。ステップシークエンスやコレオシークエンスでは高い加点も稼ぎ、166.69点でフリー7位、総合6位と自己最高位で7度目の四大陸を終えました。
 今季は好調をキープし続けているジー選手。今大会も最小限のミスのみでいつもどおり安定感のある演技でしたね。珍しくスピンでの取りこぼしが目立ちましたので、そういた細部の綻びをしっかり修正して、五輪ではジー選手のキャリアベストの演技が見られることを祈っています。


 7位はカナダのベテラン、ケビン・レイノルズ選手です。

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 SPは「モーニン」。2本の4回転を組み込み、最初の4サルコウはアンダーローテーション(軽度の回転不足)で両足着氷となります。次いで3アクセルはしっかり着氷。4トゥループからの連続ジャンプは4トゥループでステップアウトし単独に。ステップシークエンスやスピンでは目立った取りこぼしなくまとめましたが、ジャンプミスが響き74.65点で13位と出遅れます。
 フリーは「アルバム「The Armed Man」より」。冒頭は4サルコウ、大きな乱れなく下りますがアンダーローテーションの判定。次の4トゥループは回り切って着氷。さらに大技4サルコウ+3トゥループ+3ループに挑み、ファーストジャンプは回転不足だったもののサードジャンプまでしっかり跳び切ります。後半最初の3アクセルはこちらもアンダーローテーションに。4トゥループ+2トゥループは成功させ、3+2、3ルッツ、3サルコウと後半をほぼノーミスでクリア。フィニッシュしたレイノルズ選手は感極まった表情を浮かべ、力強く拳を握り締めました。得点は166.85点とシーズンベストをマークしフリー6位、総合7位と大きく順位を上げました。
 今大会をもって現役を引退することを発表していたレイノルズ選手。その並々ならぬ想いが込められたショート、フリーは完璧ではありませんでしたが、終始彼らしさに満ち溢れたものでした。特にフリーは4回転が敬遠されていた時代から4回転を果敢に跳び続けてきたレイノルズ選手らしく4回転を4本組み込み、そのうちの1本は4+3+3という最高難度のコンビネーションとして挑みました。近年は4回転の回転不足が多くなり苦労していたとはいえ、4回転の第一人者であるレイノルズ選手だからこその自信、矜持、凄みを感じさせられましたし、稀代の4回転ジャンパーとして時代を切り拓いてきたレイノルズ選手らしさを最後まで貫いた演技だったなと思いますね。
 今後彼がどういう道を歩むのかはわかりませんが、さまざまな挫折や怪我を乗り越えてきたレイノルズ選手ならばどんな道を選んでも力強く前進していけるのではないでしょうか。今までたくさんの素晴らしい演技の数々をありがとうございました。


 8位は同じくカナダのエラジ・バルデ選手です。

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 SP「サウンド・オブ・サイレンス」。まず冒頭の3フリップを決めると、次の3アクセルも着氷。後半の3+3も成功させてミスらしいミスなくまとめて75.17点で12位につけます。
 フリーは「I've Been Loving You Too Long/Get Up Offa That Thing/Coming Home/Uptown Funk」。まずは得点源の3アクセル+2トゥループをクリーンに下りて1点の加点を獲得。続く単独の3アクセルも軽やかに決め1.29点の加点を得ます。中盤の3ループは若干着氷でバランスを崩しかけますが、後半最初の2アクセル+3トゥループはクリーンに着氷。さらに3ルッツ+1ループ+3サルコウ、3ルッツ、3フリップ(踏み切りのエッジが不正確なためわずかに減点)、2アクセルと目立ったミスなく全てのジャンプを跳び切り、エレメンツ以外の場面ではバルデ選手らしいノリの良さと盛り上げ方で観客を沸かせ、演技を終えたバルデ選手は歓喜を爆発させました。得点は自己ベストまで0.77点の163.03点でフリー8位、総合8位となりました。
 昨年の9月上旬、練習中に転倒し頭を打ち脳震盪を起こしたバルデ選手。その影響もあってシーズン前半の試合は欠場せざるをえず、五輪代表を決める1月のカナダ選手権がシーズン初戦となりました。そのカナダ選手権は4位となり残念ながら五輪には届きませんでしたが、困難を乗り越えたからこその滑る喜びが今大会の演技にも表れていたような気がしましたね。
 バルデ選手は今シーズンをもって引退するとのことで、この四大陸が最後の試合となる可能性が高いのかなと思いますが、エキシビションには欠かせない選手として知られるエンターテイナーの彼が試合でもまさに彼らしい演技を最後に見せたことが本当に印象深かったですね。これからもスケートに大いに関わって、フィギュア界を別の形で盛り上げてほしいと思います。


 日本の無良崇人選手は12位となりました。

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 ショート冒頭は今季鬼門となっている4トゥループでしたが、パンクして2回転となり規定違反のため無得点になります。続く得意の3アクセルはダイナミックな跳躍で1.86点の加点。後半の3+3も決めますが、4回転のミスが致命的となり76.66点で10位にとどまります。

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 フリーもまずは4トゥループからでしたが、再びパンクして2回転に。直後の2本目の4トゥループは何とか回り切りますがステップアウト。3ループは難なく下ります。後半は確実に決めたい3アクセルから、これをコンビネーションで決めますが、2本目の3アクセルは着氷で乱れ。3+1+2は大きなミスなくこなし、3サルコウ、3ルッツと終盤にかけて尻上がりにジャンプを成功させましたが、精彩を欠いた内容に無良選手は顔を曇らせました。得点は148.75点でフリー11位、総合12位に沈みました。
 ショート、フリーともに4回転が決まらず本領を発揮できなかった無良選手。今大会を総括して無良選手は「4回転に翻弄された」という言葉を残しましたが、その言葉は今シーズン全体についても言えることなのかなと思います。世界の男子フィギュア界が4回転多種類時代に突入している中で、無良選手も元々持っている4トゥループに加え4サルコウにも取り組んできたわけですが、種類を増やすことで演技全体のバランスが崩れ、完成度が低くなり、4回転を1種類に絞っても負の連鎖から抜け出せていないような印象を受けました。4回転とどう向き合っていくかというのは難しいところですが、来季は無良選手の笑顔がもっともっと試合で見られるといいなと願っています。



 ここからはペアの結果です。

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 優勝はアメリカのタラ・ケイン&ダニエル・オシェア組です。ショートは減点なくすべてのエレメンツをこなしますが、3ツイストやサイドバイサイドジャンプであまり加点を稼げず、それでもパーソナルベストをマークして3位と好位置につけます。フリーは2アクセルからの連続ジャンプが単独になるミスはあったものの、そのほかの要素は全てクリーンに決め、しかも3ツイスト以外は全てレベル4と安定感を発揮し、自己ベストを約5点更新してフリー1位、総合1位となり、逆転で四大陸の頂点に立ちました。
 数週間前の全米選手権では2位となって惜しくもオリンピックの代表には選ばれなかったケイン&オシェア組。しかし世界選手権の代表には選出されていて(アメリカのペアの代表枠は、五輪が1枠、世界選手権が2枠のため)、この四大陸は3月の大舞台に向けてジャッジへアピールする重要な機会でもありました。そうした意味でこの優勝は本当に意義深いのではないかと思いますね。内容的にも手応えのつかめる演技だったでしょうし、今回のような演技をぜひ世界選手権でも楽しみにしたいですね。四大陸選手権初優勝、おめでとうございました。

 2位は同じくアメリカのアシュリー・ケイン&ティモシー・ルデュク組です。SPは全要素をクリーンに成功させて自己ベストを更新して首位発進。しかしフリーはスロージャンプやサイドバイサイドの3+2+2のジャンプなど大技を決める一方で、細々としたミスや取りこぼしも散見され、自己ベストは上回ったもののフリー2位、総合2位とトップの座を守り切れませんでした。
 フリーの出来次第では初優勝の可能性も十二分にあっただけに、ちょっとしたミスの重なりがもったいないなと思うのですが、結成してまだ2季目のペアですから、今後の伸びしろ、レベルアップに期待ですね。

 3位は北朝鮮のリョム・テオク&キム・ジュシク組です。ショートは3ツイストやステップシークエンスのレベルは2どまりでしたが、GOEでのマイナスなくまとめ、わずかながら自己ベストを塗り替えて4位。フリーはサイドバイサイドの2アクセルで転倒、スロー3ループでの着氷の乱れがあったものの、そのほかのエレメンツではおおむね高い加点を積み重ね、自己ベストに極めて近いスコアでフリー3位、総合3位となり、北朝鮮のフィギュア選手としては初めての、ISU主催の国際大会でメダルを獲得するという歴史的快挙を成し遂げました。
 政治的なことで何かと話題になっているリョム&キム組ですが、実力は間違いなくハイレベルなものを持っていますね。今大会は中国勢は不在だったとはいえ、北米の実績のあるペアを押しのけての銅メダルですから、技術的にはもちろん、精神的にもタフなんだなと思います。五輪でもベストを尽くして、台風の目のような存在になってほしいですね。


 以下、4位はカナダのリュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコヴィッチ組、5位はアメリカのディアナ・ステラート&ネイサン・バーソロメイ組、6位はオーストラリアのエカテリーナ・アレクサンドロフスカヤ&ハーレー・ウィンザー組、7位はカナダのカミーユ・ルエ&アンドリュー・ウルフ組となりました。


 全日本王者の須崎海羽&木原龍一組は8位に入りました。

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 SPは冒頭のサイドバイサイドの3ルッツで着氷が乱れ、3ツイストもレベル1とミスが続きますが、そのほかのエレメンツでは加点を獲得し、パーソナルベストを6点以上上回る56.95点で7位につけます。フリーは冒頭のサイドバイサイドの3ルッツが回転不足になり着氷もステップアウト。次いで3ツイストもキャッチが乱れるなどミスが続きます。その後も2つのスロージャンプやサイドバイサイドの3連続ジャンプなどがクリーンに決まらず、それでも100.32点で自己ベストを約5点更新し、フリー8位、総合8位で2度目の四大陸を終えました。
 ショート、フリーともに複数のミスはあったのですが、大きなミスというよりは惜しいミスという感じなので、一つの経験として収穫の多い試合になったのではないでしょうか。何よりも五輪に向けてパーソナルベストを更新できたことは自信にしてほしいなと思いますし、団体戦でも個人戦でも二人の力を思い切りぶつけてほしいですね。


 全日本3位の三浦璃来&市橋翔哉組は10位となりました。

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 SPは冒頭の2ツイストでレベル3を獲得しますが、キャッチで若干もたついたためGOEでは減点。サイドバイサイドの3トゥループはクリーンに決めますが、デススパイラルではうまく回転ができず無得点になるミスもあり、自己ベストに及ばず10位発進に。フリーは2ツイストを確実に成功させ加点も獲得。しかしサイドバイサイドの3トゥループは回転不足で転倒してしまいます。その後も細々としたミスがあり思ったように得点を伸ばせず。しかしわずかに自己ベストを更新してフリーも10位、総合10位でした。
 今季はシーズン前半はジュニアとしてジュニアGPに参加しながら、シニアの国際大会にも挑戦した三浦&市橋組。四大陸はもちろん初出場でしたが、今まで出場してきたどの国際大会とも違う感覚、雰囲気があって緊張感もあったのではないかなと想像します。ミスの多い演技とはなってしまいましたが、この経験を活かして世界ジュニア選手権では納得のいく演技ができるよううまく調整してほしいですね。



 四大陸2018、男子&ペア編は以上です。男子に関しては出場選手の年齢層が比較的高めで、その中でもジー選手やレイノルズ選手、バルデ選手のように今季で引退する選手も多く、五輪シーズンならではですが、例年とは違う雰囲気も感じました。五輪を控える選手たちにとっては改めて現時点での自分の状態を見つめ直す良い機会になったのではないかと思いますし、四大陸の演技が五輪に繋がることを願いたいですね。
 その平昌五輪はいよいよ6日後の2月9日に開幕。フィギュアスケートは、開会式当日の9日の午前から団体戦が始まり、11、12日と3日かけて世界最強国の称号を競う試合が続きます。そして、14、15日にペア、16、17日に男子、19、20日にアイスダンス、21、23日に女子、25日にエキシビションが行われます。当ブログでもできるだけ早めに、随時記事をアップしていく予定ですので、ぜひご覧ください。では。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、無良選手のSPの画像、ペアメダリスト3組の画像、須崎&木原組のフリーの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ジー選手、レイノルズ選手、バルデ選手、無良選手のフリーの画像、須崎&木原組のSPの画像、三浦&市橋組の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」から引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2018-02-03 17:50 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 1月22日から27日にかけて台湾の台北にて行われた四大陸選手権2018。この記事では男子とペアの結果についてお伝えします。
 男子の頂点に立ったのは中国のエース、金博洋(ジン・ボーヤン)選手。自身2度目となる300点の大台を突破し、初優勝を果たしました。2位は全日本王者の宇野昌磨選手、3位はアメリカの実力者、ジェイソン・ブラウン選手となっています。
 ペアはアメリカのタラ・ケイン&ダニエル・オシェア組が制し、こちらも初制覇です。

ISU Four Continents Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 四大陸王者となったのは世界選手権2017銅メダリストの金博洋選手です。

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 SPは大技4ルッツ+3トゥループから、これを完璧に決めて1.43点の加点を得ると、続く4トゥループも難なく着氷。後半の3アクセルも軽やかに下りて1.71点の加点を得て、ほぼノーミスで演じ切りました。得点は100.17点と初めて100点台に乗せ、2位と好発進します。
 フリー冒頭は単独の4ルッツ、これを鮮やかに成功させ2.71点の加点を獲得。さらに4サルコウ、3アクセル+1ループ+3フリップと難易度の高いジャンプを続けます。後半は4トゥループからで、これに2トゥループをつけたコンビネーションとして決めると、単独の4トゥループも着氷。単独の3アクセルも下り、3+3は着氷が乱れて3+2になったものの、最後の3フリップまで安定感抜群のジャンプを連発。ステップシークエンス、スピンも全てレベル4と取りこぼしなく、シーズンベストの200.78点でフリー1位、総合1位と逆転で四大陸を初制覇しました。
 シーズン前半は足の怪我の影響もあってなかなか本来の力を発揮し切れなかった金選手。GPファイナルも辞退して治療に専念し、そして満を持して11月以来の実戦となった今大会でしたが、じっくりと時間をかけて調整に集中してきたというのが見て取れる演技内容でしたね。金選手にとっても今回は五輪前の小手試しという意味合いが大きかったと思うのですが、シーズン前半であまりジャッジにアピールできなかった分、ここでしっかりとした滑りを見せるぞという本気度もうかがえて、気迫が感じられましたね。一つ一つのジャンプの質も以前よりもレベルアップしているような気がしましたし、この演技を五輪でもされると日本勢にとってはかなり厄介だなという印象を受けました。
 2年連続世界選手権銅メダリストとしての矜持を大いに示した金選手。元々シーズン後半の試合に調子を合わせてくる能力は高い選手ですが、そのポテンシャルが五輪でもどれだけ発揮されるか、楽しみです。四大陸初優勝、おめでとうございました。


 銀メダルを獲得したのは世界選手権2017銀メダリストの宇野昌磨選手です。

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 SPはまず代名詞の4フリップから、着氷で若干こらえますが大きな乱れなく下ります。後半に2つのジャンプ要素を組み込み、最初の4トゥループ+2トゥループは確実に成功。さらに得意の3アクセルも流れの中で跳び切り2.29点の加点を獲得し、100.49点で首位発進します。

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 フリー冒頭は4ループから、これをしっかり着氷しますが判定としてはアンダーローテーション(軽度の回転不足)に。続いて4フリップはこちらも回転が足りず転倒してしまいます。しかし直後の3ループはきれいに決めてすぐに立て直します。スピンとステップシークエンスを挟んで後半、3アクセルは完璧に成功。続いて鬼門となっていた4トゥループ+2トゥループ、単独の4トゥループもクリーンに着氷。さらに3アクセル+1ループ+3フリップ、3サルコウ+3トゥループと終盤のコンビネーションジャンプも余裕を持って成功させ、演技を終えた宇野選手は表情に充実感を漂わせました。得点は197.45点でフリー2位、総合2位で優勝には惜しくも届きませんでした。
 細かな取りこぼしはチラホラありましたが、演技中、また演技後の宇野選手の笑顔が物語っていたように、一定の手応えを得た試合だったと言えますね。GPから全日本選手権にかけてフリー後半の4トゥループでミスすることが多くなっていた宇野選手にとって、今大会はその課題に真正面から取り組んで練習してきた成果をどれだけ出し切れるかというのが最重要ポイントだったと思うのですが、そのフリー後半がノーミスだったということで笑顔に繋がったのでしょうね。ただ、本人が「達成感はない」とおっしゃっていたように、あくまでも今回はオリンピック前に足元を固めるという意味合いが大きく、宇野選手が常々キーワードとして挙げている「攻める」というよりは、一つ一つ確実にという意識がうかがえたので、五輪ではここからさらに上積みをして、宇野選手自身が攻めることができたと思えるような達成感のある試合になるといいなと思いますね。
 五輪でも宇野選手らしく思い切りの良い演技で笑顔で滑り切れることを願っています。


 3位はアメリカの実力者、ジェイソン・ブラウン選手です。

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 ショート冒頭は得点源の3アクセル、これは着氷を乱します。しかし、3+3、後半の3ルッツはクリーンに決め、失敗した3アクセル以外は全て加点1以上と質の高いエレメンツを揃え、89.78点で4位と好位置につけます。
 フリーは全米選手権からプログラムを変更し「愛の香気 映画『ピアノ・レッスン』より」。冒頭はショートでミスを犯した3アクセルからの3トゥループの連続ジャンプ、これをパーフェクトに決め最高の滑り出しを見せます。続く2本目の3アクセルは着氷が乱れますが、後半に6つのジャンプ要素を組み込み、まず2アクセル、そして3ルッツ、3+2、2アクセル、3ループ、3ルッツ+1ループ+3サルコウと全て大きなミスなく予定どおりに成功。ステップシークエンス、スピンでもいつもどおりレベル4を揃え、笑顔のフィニッシュとなりました。得点はシーズンベストの179.44点でフリー3位、トータルでもシーズンベストをマークして3位に順位を上げました。
 全米ではまさかの6位に沈み五輪の切符を逃したブラウン選手。この四大陸が彼にとってシーズンの集大成の試合となったわけですが、最後にシーズンベストの演技ができて良かったなと思いますね(まだほかの試合にも出場予定があるかもしれませんが)。特にフリーは15/16、16/17シーズンと2季に渡って使用した「愛の香気」に戻しての演技で、体になじんだプログラムを再演することでシーズン最後に最高の演技をしたいという想いがあったのかなと想像します。今季は3アクセルに苦しめられた形で、今大会も3本中クリーンな成功は1本のみということで完全に調子を取り戻したわけではなかったかもしれませんが、演技への集中、表現への強い意志は途切れることなく、最初から最後までしっかりプログラムをコントロールしていて思わずうっとりとしてしまいました。やはり唯一無二の表現力はブラウン選手の最大の武器ですから、来季もその長所を最大限に活かして頑張ってほしいなと思いますね。


 表彰台まであと一歩の4位に入ったのは日本の田中刑事選手です。

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 SPは得点源の4サルコウから、これをしっかりと回り切って下り加点を得ます。次いで3+3、後半の3アクセルとどちらも高い加点を稼ぎ、ブルースの激しいメロディに合わせてエネルギッシュに演じ切りました。得点は90.68点で国際大会では自身初の90点台に乗せ、3位と好発進しました。

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 フリーもまずは4サルコウから、しかしパンクして3サルコウに。続く4サルコウは着氷で乱れ、さらに3アクセルもパンクで2回転にと低調な滑り出しとなります。スピンとステップシークエンスを挟んで後半、最初の4トゥループはこらえながらも何とか着氷。次いで3アクセルからの3連続ジャンプも決めます。さらに3+3、3ループ、3+2と後半はノーミスでまとめ挽回しました。得点はパーソナルベストとなる169.63点でフリー5位、自己ベストで総合4位となりました。
 好調なショートから一転、メダルに対する意識もあったのかフリーは硬さの目立つ出だしとなってどうなることかと危ぶまれましたが、後半の立て直しは見事でしたね。基礎点の大きいジャンプでミスが相次いでもパーソナルベストが出せたというのは地力が上がっている証拠だと思いますし、ジャッジからの評価も間違いなく高まっているんだなと感じます。とはいえ田中選手本人は今回の演技に納得感はないでしょうし、全日本に全力を注いだ後の試合なので多少調子が落ちるのは仕方ないのかなとも思いますので、五輪ではさらにパワフルな演技で世界に存在をアピールしてほしいですね。


 5位はアメリカのマックス・アーロン選手です。

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 SPは4トゥループからの連続ジャンプ、これを確実に成功させます。続いて3ルッツ、後半の3アクセルともに1点以上の加点の付く出来でまとめ、84.15点で6位につけます。
 フリーもまずは4トゥループ+2トゥループ、ショート同様に軽やかに成功。直後の4サルコウは着氷を乱しますが、次の3ループは切り換えて難なく跳び切ります。後半はまず3ルッツを決めると、3アクセル+2トゥループ、3アクセルと続けて着氷。3+1+3の難しいコンビネーションジャンプも下り、最後の2アクセルも成功と予定どおりにジャンプをクリアし、演技を終えたアーロン選手は満面に笑みを浮かべました。得点は171.30点でフリー4位、総合5位で大会を終えました。
 上述したブラウン選手同様、五輪代表入りはならなかったアーロン選手。こちらもシーズン集大成として臨んだ四大陸でしたが、ショート、フリーともにアーロン選手らしいジャンプが数多く見られましたね。アーロン選手はシーズン序盤こそ好調なスタートを切りましたが、GP2戦目のフランス大会以降は調子が下降していましたので、この大会に懸ける想いというのは意外に強かったんじゃないかなと思います。フリーは4回転を2本に絞ることで全体の完成度を高めていて、その効果がプログラムの端々にまで行き渡っているように感じられました。
 25歳とベテランの域に入っているアーロン選手ですが、まだまだ円熟味というよりはフレッシュな、エネルギーがほとばしるような演技を見せてほしいなと思います。



 さて、前編はここで終了とさせていただきまして、続きは後編とします。お手数をおかけしますが、続きは後編でお読みください。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、宇野選手のフリーの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、金選手の画像、宇野選手のSPの画像、ブラウン選手の画像、田中選手の画像、アーロン選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2018-02-02 02:35 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)