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 前記事に引き続き、四大陸選手権2018の女子とアイスダンスの記事です。前編はこちらからご覧ください。

ISU Four Continents Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 女子の6位となったのは韓国のキム・ハヌル選手です。

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 SPは「映画『ピアノ・レッスン』より」。冒頭の3ルッツ+3トゥループは回り切ってクリーンに着氷。後半に2つのジャンプを組み込み、その最初の3ループはきれいな跳躍と着氷でしたが、ステップからジャンプに入るまでに多少構えがあったためか加点は付かず。最後の2アクセルは難なく決め、スピンは全てレベル4でまとめ、自己ベストとなる61.15点で6位と好発進します。
 フリーは「ミュージカル「マンマ・ミーア!」より」。まずはショートで完璧に決めた3ルッツ+3トゥループからでしたが、ファーストジャンプがパンクし単独の1ルッツに。続いて2アクセルは下り、3+2+2も大きなミスなくこなして立て直します。後半は3ループを確実に成功。さらに3+2、3サルコウと次々ジャンプを下ります。最後の2アクセルに急遽3トゥループをつけてリカバリーしますが、こちらは回転不足に。しかしスピンは全てレベル4とそつのなさも見せ、ショートに続いて自己ベストの111.95点でフリー8位、総合6位と健闘しました。
 今大会4位に入ったチェ・ダビン選手とともに母国開催の平昌五輪代表に選ばれているキム選手。今季シニアデビューでB級国際大会を主戦場とし、ジュニア時代も際立った実績はない選手ですので、演技を見るのは今回が初めてだったのですが、さすがにまだまだ未熟さや硬さは感じさせるものの、ジャンプはレベルの高いものを持っていて、さらにスピンでもレベルの取りこぼしが皆無だったということで、今後が楽しみな新星と言えますね。まずは来月の五輪で、どれだけ本領を発揮できるか注目したいと思います。


 7位はアメリカの新星、スター・アンドリュース選手です。

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 SPは「フィーバー」。得点源の3トゥループ+3トゥループはジャンプとジャンプのあいだにオーバーターンが入り減点を受けます。しかし、後半の3ループ、2アクセルはそれぞれ鮮やかに成功させ、また、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4を獲得し、自己ベストに0.19点と迫るスコアで7位につけます。
 フリーは「One Moment in Time」。まずは3フリップを決め、次いでショートでミスのあった3トゥループ+3トゥループでしたが、こちらはセカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)で転倒。後半に入り挽回したいところでしたが、最初の3ループも着氷で乱れます。ですが、それ以降はミスらしいミスなくジャンプを跳び切り、ステップシークエンスとスピンはショート同様に全てレベル4で揃え、自己ベストの112.04点でフリー7位、総合7位に順位を上げました。
 先日の全米選手権で6位に入り注目されたアンドリュース選手。カテゴリーとしてはまだジュニアがメインの選手ですが、昨年末からはシニアの国際大会にもチャレンジしていて、今年の3月に行われる世界ジュニア選手権の代表としても選出されていましたがそちらは辞退。ということで、来季を待たずしてシニア移行という感じなのでしょうか。ジュニアGPや世界ジュニアなどのジュニアの国際大会の経験はさほど豊富ではないようですが、なかなか演技力もあり全身を使った表現ができているなと感じましたし、特にスピンやステップで最高難度のレベル4をきちんと取れているというのはジュニアの選手ではそうそういないので驚きました。総合力の高い選手という印象を受けましたので、これからいろんな部分を磨いていけば将来的に楽しみだなと思いますね。


 8位はカナダの実力者、アレーヌ・シャルトラン選手です。

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 SPは「リベルタンゴ」。冒頭の3ルッツ+3トゥループは大きな乱れなく下りますが、セカンドジャンプがアンダーローテーションの判定に。3ループ、2アクセルはノーミスでまとめ、シーズンベストの59.86点で8位となります。
 フリーは「ミュージカル「サンセット大通り」より」。まずはショートで細かなミスのあった3ルッツ+3トゥループ、これを今度は回り切って着氷させます。3フリップは踏み切りのエッジエラーによって減点。後半に5つのジャンプ要素を組み込み、最初の2アクセル+1ループ+3サルコウは3つ目のジャンプがアンダーローテーションに。次いで3ループは転倒。3ルッツ、3サルコウはアンダーローテーションとなりますが、最後の2アクセル+2ループはクリーンに成功。スピンは3つともレベル4と取りこぼしなく揃え、112.55点でフリー6位、総合8位で5度目の四大陸を終えました。
 今季はスケートカナダ、NHK杯ともに11位、五輪の切符を狙ったカナダ選手権も4位で代表を逃すなど苦戦を強いられているシャルトラン選手。元々滑りの質も高いですし、ジャンプも難しい構成を組める選手ですが、今はそのジャンプがなかなかハマらなくて負のスパイラルに陥っている感じなのかなと思います。今大会も転倒や回転不足などのミスは重なりましたが、今季のこれまでの演技と比べるとまずまずまとまった方だったのではないでしょうか。彼女の持っているポテンシャルの高さを思うと来季はさらにレベルの高いものを求めたい気持ちはありますが、この四大陸を再スタートの場として頑張ってほしいですね。



 ここからはアイスダンスです。

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 初優勝を遂げたのはアメリカの若手、ケイトリン・ハワイエク&ジャン=リュック・ベイカー組です。SDはリフトとツイズルでレベル4を獲得し、技術点、演技構成点ともにトップ、自己ベストに近いスコアで首位発進します。FDはステップ2つとスピンがレベル3とはなりましたが、全てのエレメンツで加点1以上を積み重ね1位、総合でももちろん1位で完全優勝を果たしました。
 先日の全米選手権ではFDで全体の2位の技術点をマークし、技術力の高さが注目されたハワイエク&ベイカー組。惜しくも五輪の切符はつかめませんでしたが、次世代のアメリカアイスダンス界を引っ張る存在として名乗りを上げた形となりましたね。今大会もその技術力は安定感が光り、下馬評どおりの優勝でした。ハワイエク&ベイカー組をおびやかすようなカップルはいなかったとはいえ、圧倒的な優勝候補として一身に期待を受けるからこそのプレッシャーもあったはずで、その中で期待どおりの演技ができるというのは実力があるからこそだと思いますね。四大陸選手権初優勝、おめでとうございました。

 2位はカナダのカロラーヌ・スシース&シェーン・フィラス組。SDはステップがレベル2になる取りこぼしがありましたが、パーソナルベストを大幅に更新し3位。FDはステップ以外は全てレベル4を獲得し、ハワイエク&ベイカー組にも迫る技術点を叩き出しますが、違反要素があったとのことで減点2を受けます。それでも自己ベストを大幅に更新しフリー2位、総合2位と順位を上げ、初出場ながら銀メダルを手にしました。
 FDの違反要素に関してはアイスダンスに詳しくないので気づかなかったのですが、全体を通して安定した滑りが見られましたね。まだ結成して2季目のカップルですが、カナダ選手権では2年連続で4位と力をつけてきていますし、今季はスケートカナダでGPデビューして7位、そして四大陸で2位と少しずつですが実績を積み重ねているので、来季はさらに殻を打ち破って飛躍する可能性を大いに秘めていそうだなと感じますね。

 そして、3位に入ったのが日本のエース、村元哉中&クリス・リード組です。

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 SDは2つのステップ以外は全てレベル4を獲得し、自己ベストとなる65.27点で2位と好発進します。FDも2つのステップ以外は全てレベル4。こちらも自己ベストで3位、総合3位となり、アジア勢では初めてとなる四大陸のメダルを手にしました。
 村元&リード組にとっては五輪前の調整、腕試しという意味合いの大きかった今大会ですが、しっかり確実性の高いエレメンツを揃えて、ジャッジから一定の評価を得られたことは五輪に向けて好材料ですね。演技内容ももちろんですが、得点というのはジャッジに対して最大のアピール、印象付けになりますから、五輪直前の大会でのパーソナルベスト更新は追い風になると思います。
 昨季の世界選手権ではFD進出ならずという悔しい思いをしていますから、オリンピックでは悔いのない演技をしてショート、フリーともに滑り切ってほしいと思います。もちろん団体戦でも二人の役割は大きいですから、そちらの方も期待したいですね。


 以下、4位は2016年の世界ジュニア王者、アメリカのロレイン・マクナマラ&クイン・カーペンター組、5位は中国の王詩玥(ワン・シーユエ)&柳鑫宇(リュー・シンユー)組、6位は2017年の世界ジュニア王者、アメリカのレイチェル・パーソンズ&マイケル・パーソンズ組、7位は韓国のミン・ユラ&アレクサンダー・ガムリン組、8位はカナダのサラ・アーノルド&トーマス・ウィリアムズ組となっています。


 全日本2位の小松原美里&ティモシー・コレト組は10位に入りました。

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 SDはリフトとツイズルでレベル4を獲得しますが、ほかの要素でレベルと加点が取れずに自己ベストには約1点及ばず10位。FDは2つのステップはレベル2にとどまりましたが、ほかのエレメンツは全てレベル4の上に加点を積み重ね、自己ベストを7点以上更新し9位、トータルでも自己ベストを6点近く上回り、総合10位で初めての四大陸を終えました。
 SDは少しもったいない取りこぼしも見られましたが、FDは切り換えて見事に挽回しましたね。順位としては10位と世界のトップレベルとはまだ開きがありますが、FDの内容は自信にしていいのではないかと思いますし、このカップルの可能性を感じる演技で来季が楽しみになりましたね。


 全日本3位の深瀬理香子&立野在組は11位でした。

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 SDはツイズルやリフトでレベル4を取りますが、細かな減点も重なり自己ベストには及ばず12位にとどまります。FDは2つのステップ以外は全てレベル4を獲得し、ツイズルでわずかな減点があったほかは目立ったミスなくまとめ、自己ベストを3点以上更新し11位、総合11位に順位を上げました。
 今季からシニアに参戦している深瀬&立野組。四大陸ももちろん初めてで緊張もあったでしょうが、ショートのミスをフリーでは引きずらずしっかり現時点でのベストを尽くせたのではないでしょうか。日本を代表する若手カップルとして一歩一歩着実に技術力を身につけていってほしいですし、この四大陸での経験を来季に繋げてほしいと思います。



 ということで、四大陸選手権2018、女子&アイスダンスの後編は以上です。男子&ペアの前編に続きます。


:アイスダンスメダリスト3組の画像はスケート情報サイト「icenetwork」から、それ以外の画像は全てスポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2018-01-30 17:25 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 アジア、アメリカ、オセアニア、アフリカの4地域の選手が集う四大陸選手権2018が台湾の台北で行われました。北米の五輪代表選手がスケジュールの関係上、出場を回避したとはいえ、ほかの地域の五輪代表、また、五輪を逃した選手たちによる熱のこもった滑りが多々見られ、白熱した試合展開となりました。この記事では女子とアイスダンスについてお伝えします。
 女子は日本勢が表彰台を独占。その中で表彰台の中央に立ったのは今季シニアデビューの坂本花織選手。2位は前年の四大陸女王である三原舞依選手、そして3位は全日本女王の宮原知子選手となりました。
 アイスダンスはアメリカの若手、ケイトリン・ハワイエク&ジャン=リュック・ベイカー組が初制覇しました。

ISU Four Continents Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られる。

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 女子を制し四大陸女王となったのは日本の新星、坂本花織選手です!

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 SPは全てのジャンプを後半に固め、まずはスピン、ステップシークエンスを確実にこなすと、得点源となる3フリップ+3トゥループを完璧に成功。さらに3ループ、2アクセルと危なげなく続け、ジャンプは全て1点以上の加点を獲得。演技を終えた坂本選手は表情に充実感を漂わせました。得点は71.34点でパーソナルベストをマークし2位と好発進します。

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 フリーは冒頭に得点源の3フリップ+3トゥループを用意し、ショート同様に安定感たっぷりに着氷、さらに3サルコウも難なく決め、前半のジャンプを終えます。フリーは若干苦手としている3ルッツからでしたが、クリーンに成功させ1.3点もの加点を得ると、3+2、2アクセル+3トゥループ+2トゥループ、3ループ、2アクセルと全て軽やかに着氷。フィニッシュした坂本選手はガッツポーズで喜びを爆発させました。得点は自己ベストとなる142.87点でフリー1位、総合でも自己ベストの214.21点を叩き出し、逆転で初優勝を果たしました。
 とにもかくにもお見事としか言いようのない素晴らしい演技でしたね。今大会の坂本選手は足に魚の目ができて痛みがあったとのことで、練習ではジャンプに苦戦する姿も見られたのですが、難しいシチュエーションでもベストを尽くせる精神力には感嘆させられます。トータルスコアもスケートアメリカ、全日本選手権、そして今大会と3試合連続で210点を超え、「2回続いたらまぐれだけど、3回続いたら本物」と本人が話していましたが、勢いだけではなく確実に底力がレベルアップしているなと感じさせられましたね。
 それでもまだスピンやステップでのレベルの取りこぼしが散見されましたので、さらにプログラムをブラッシュアップして、いつもどおり元気いっぱいの坂本選手のままで、楽しんでオリンピックに臨んでほしいなと思います。四大陸選手権初優勝、おめでとうございました。


 2位は昨年の四大陸女王、三原舞依選手です。

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 今季鬼門となっているSP、まず冒頭の3ルッツ+3トゥループをスムーズに決めると、後半の2アクセル、3フリップもしっかり着氷。スピンは全てレベル4を獲得し、フィニッシュした三原選手はガッツポーズで喜びを露わにしました。得点はシーズンベストの69.84点で3位につけます。

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 フリーも冒頭は3ルッツ+3トゥループ、これをノーミスでまとめると、コレオシークエンスを挟んで2アクセルも問題なく跳び切ります。後半最初は3フリップ、エッジの踏み切りが不正確とされ加点はあまり伸びなかったもののクリーンに下りると、2アクセル+3トゥループ、3ループも成功。3+2+2は最初の3ルッツが若干回転不足となり減点されましたが、最後の3サルコウでは両手を上げた難しい空中姿勢ながら危なげなく着氷し、演技を終えた三原選手は再びガッツポーズで歓喜を表しました。得点はこちらもシーズンベストとなる140.73点でフリー2位、総合2位に順位を上げました。
 年末の全日本選手権で五輪の切符を逃し、今大会が次の4年に向けて再出発の舞台となった三原選手。まずは今季ノーミスがないSPに注目が集まりましたが、久しぶりにのびやかな滑りが見られましたね。三原選手にとってはチャレンジのプログラムとなった「リベルタンゴ」ですが、やはりジャンプの失敗がある時とは全体的な滑りの躍動感やダイナミックさも格段に違っていて魅入られましたね。一方、得意のフリーは細かなミスがあり、演技直後は満面の笑みを浮かべたものの、キス&クライ後は悔しさものぞかせていて、これだけの素晴らしい演技でも満足はしない貪欲さを感じましたし、頼もしく思いましたね。
 今季は悔しい試合の方が多かったでしょうが、この経験は間違いなく三原選手のスケート人生において財産になると思いますから、来季に繋げてほしいですね。


 3位は日本女子のエース、宮原知子選手です。

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 SPは得点源の3ルッツ+3トゥループから、一見きれいに下りたかに見えましたが、ファーストジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)と判定されます。後半の3ループ、2アクセルはクリーンに決め、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4とそつなくまとめ、71.74点で首位に立ちます。

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 フリーはまず得意の3ループで流れを作ると、続いて鍵を握る3ルッツ+3トゥループ、ファーストジャンプは回り切って下りましたがセカンドジャンプがアンダーローテーションになり着氷も詰まります。次いで若干苦手としている3フリップはきっちり成功。スピン2つとステップシークエンスを挟んで後半、3ルッツからの3連続ジャンプは3ルッツがアンダーローテーションに。2アクセル+3トゥループは完璧に着氷させますが、3サルコウは空中で軸が曲がり転倒。最後の2アクセルはしっかり下り、締めくくりのレイバックスピンでは高い加点も得ましたが、複数のジャンプミスが響き、135.28点でフリー3位、総合3位となり、優勝を逃しました。
 今大会の宮原選手は練習からあまり好調ではなかったようで、本番でも“ミス・パーフェクト”の異名を取る宮原選手にしては珍しく転倒する場面もあり、ジャンプに苦しんでいましたね。スケート靴の問題で左足甲に炎症があったようでその影響もあったのかもしれません。フリー後の記者会見では悔しさから涙を流すシーンもあり、彼女がそういった場所で涙を見せるというのは今まで見たことがなかったので驚きましたが、それだけ悔しかったのでしょうし、冷静沈着なイメージのある宮原選手ですが、実は誰よりも負けん気の強い選手なんだなと感じさせられました。また、宮原選手といえば全日本4連覇の絶対的エースで、2014年の四大陸を最後にどの試合でも日本人最上位を逃したことはなかったということで、エースとしての責任感、常にトップを守り続けるというのが彼女自身の中でも自覚としてあったんじゃないかなと想像します。生真面目な選手なだけに頑張りすぎてしまう部分があると思いますが、競技復帰してからまだ数か月ですし、思い詰めすぎずに課題に取り組んでほしいですね。
 五輪直前の試合で自信を得られなかったのは残念ですが、五輪前に滅多にないミスや心境を経験できたことはむしろ良かったのではないでしょうか。前の大会のミスやネガティブな気持ちを引きずるような選手ではないので、五輪ではいつもどおりの宮原選手の演技で、笑顔で終われるように祈っています。


 4位は韓国の実力者、チェ・ダビン選手です。

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 SPは「パパ、見守ってください 映画『愛のイエントル』より」。冒頭の3ルッツ+3トゥループはパーフェクトに成功。後半の3フリップはジャンプ自体は問題なく成功させましたが、ステップから直ちに跳ばなければいけないところ構えが入ってからの跳躍となりわずかに減点。最後の2アクセルは難なく決め、62.30点と自己ベストまで0.36点に迫るスコアで5位につけます。
 フリーは昨季と同じ「映画『ドクトル・ジバゴ』より」。冒頭の3ルッツ+3トゥループはクリーンに決めたものの、ルッツの踏み切りのエッジが不正確とされ加点はあまり伸びず。しかし、3フリップ、2アクセル+3トゥループと流れのあるジャンプを続け、上々の前半とします。後半の4つのジャンプ要素も全て余裕を持って成功させ、演技を終えたチェ選手は破顔しました。得点はパーソナルベストまで約1点の127.93点でフリー4位、総合4位と自己最高位で大会を終えました。
 ジャンプ前の構えの長さやスピンやステップでのレベルの取りこぼしなど、まだまだ細かい修正点はあると思いますが、全体を通して安定した滑りで安心して見ていられましたね。昨季はアジア冬季大会で金メダルを獲得し、世界選手権ではパーソナルベストを更新するなど確実に力をつけていて、五輪代表として好演技が求められる今大会も実力をしっかり示しましたね。母国開催の平昌五輪は尋常ではない空気感やプレッシャーがのしかかってくるでしょうが、今大会のようにのびやかな演技に期待したいですね。


 5位はアメリカのマライア・ベル選手です。

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 ショートはまず3ルッツ+3トゥループ、回転は問題ありませんでしたがセカンドジャンプの軸が傾き転倒してしまいます。ですが、後半の3フリップ、2アクセルはクリーンに決め、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4を揃え、自己ベストに0.95点と迫る得点で4位と好位置につけます。
 フリーも冒頭は3ルッツ+3トゥループ、これを今度はしっかり決め1点の加点を得ます。しかし3ループはパンクして1回転に。3サルコウは決めてすぐに立て直します。後半最初は得点源の2アクセル+3トゥループ、これを完璧に下りて波に乗るかに見えましたが、3フリップは着氷で乱れ。3ルッツ、2アクセル+2トゥループは成功。ステップシークエンス、スピンはショートに続いて全てレベル4を獲得し、122.94点でフリー5位、総合5位となりました。
 今季は3+3で苦心する姿が多々見られ、シーズン全体を通してジャンプに安定感を欠いたベル選手。ただ、昨季はGPデビュー戦のスケートアメリカでいきなり2位に入って、全米選手権でも3位で世界選手権の代表に選ばれたことで一躍“シンデレラ・ガール”として脚光を浴びたわけですが、それでも決して安定感抜群という感じではなく、まだまだ未完成の選手というイメージでした。そういった意味では今季の苦戦は必定だったのかもしれませんが、今大会ステップやスピンのレベルの取りこぼしが一切なかったように基礎はしっかりしている選手だと思いますし、未知の伸びしろを秘めていると思いますので、来季の躍進を楽しみにしたいですね。



 さて、四大陸選手権2018、女子とアイスダンスの前編はここで一旦終了とさせていただきまして、後編に続けたいと思います。ご面倒をおかけしますが、後編の記事アップをしばしお待ちください。


:女子メダリスト3選手のスリーショット画像、坂本選手の画像、三原選手のフリーの画像、チェ選手の画像、ベル選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、三原選手のSPの画像、宮原選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2018-01-29 17:19 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 ヨーロッパの王者を決める欧州選手権2018が1月17日から20日にかけてロシアの首都モスクワにて開催されました。今年は五輪直前とあって例年以上に選手たちの大会への想いも並々ならぬものが感じられ、歴史的な記録や快挙が複数達成されました。

ISU European Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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《女子シングル》


 女子を制したのは今季シニアデビューしたばかりのアリーナ・ザギトワ選手です。

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 SPはスピンとステップシークエンスを丁寧にこなし、後半に組み込んだ3つのジャンプ要素は全て完璧に着氷。終盤の2つのスピンもクリアし、フィニッシュしたザギトワ選手は珍しくガッツポーズ。得点は80.27点とエフゲニア・メドベデワ選手が持つ世界最高得点に0.58点と迫るハイスコアで首位に立ちます。
 フリーもジャンプは全て後半。前半のコレオシークエンスやステップシークエンスを高い質でまとめると、後半最初の3ルッツ+3ループ、2アクセル+3トゥループ、3+2+2と得点源の連続ジャンプをパーフェクトに成功。残りの単独ジャンプも難なく決め、演技を終えたザギトワ選手は再び力強く拳を握り締め達成感を露わに。得点は世界歴代2位となる157.97点でフリーも1位、初出場にして欧州女王の座を射止めました。
 本当に隅から隅まで完璧だったとしか言いようのない演技でした。今季はショートで苦戦していて、出遅れてフリーで挽回するというパターンが多く、それでも全ての試合を制してきたわけですが、ショート、フリーともに完璧だったらもの凄い得点が出るんだろうなと想像していたとおりのハイスコアでしたね。演技構成点ではまだメドベデワ選手には及ばないとはいえ、それを補って余りあるだけの技術点が出せる選手なので、オリンピックでは一体どうなるのか、楽しみでもあり少し怖い感じもします。今大会の結果によって名実ともに五輪の金メダル候補として平昌に乗り込むザギトワ選手。欧州選手権があまりにも完璧すぎたので、同じレベルの演技を2試合続けるのは大変だと思うのですが、期待したいですね。


 銀メダルを獲得したのは世界女王のエフゲニア・メドベデワ選手です。

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 SPはこちらも全てのジャンプを後半に組み込み、3+3、3ループはクリーンに下りましたが、若干苦手としている2アクセルは軽くステップアウト。演技を終えたメドベデワ選手は舌を出して悔しそうな表情を浮かべました。得点は78.57点と自己ベストには及ばず、首位と僅差の2位につけます。
 フリーはまず得点源の3+3からでしたが、ファーストジャンプの着氷が詰まり気味になり単独に。続いて3ルッツも際どい着氷となり、両ジャンプともいつもほどの高い加点は付かず。しかし後半最初の3フリップに3トゥループをつけてリカバリーすると、3ループ、2アクセルからの3連続ジャンプと予定どおりに成功。3サルコウ+3トゥループも下り、最後の2アクセルもまとめ、演技序盤のミスから盛り返しました。得点は154.29点でフリーも2位、総合2位と3連覇はなりませんでした。
 右足甲の疲労骨折からの復帰戦となったメドベデワ選手。ミスはいくつかありましたが、全体的な滑りとしてはさすが絶対女王と思わせる貫録に溢れた演技でしたね。ジャンプ自体も負傷の影響は感じさせない跳躍ぶりで、復帰戦とは思えない仕上がりでした。メドベデワ選手が出場した試合で優勝を逃すのは2季ぶりということで、復帰戦と言っても充分にレベルの高い演技を見せたメドベデワ選手を上回る勢いを見せたザギトワ選手の存在感が日に日に増しているなと思いますが、芸術面ではまだまだメドベデワ選手の方が優位に立っていると感じますし、メドベデワ選手が完璧な演技をすればやはりメドベデワ選手の方が勝つ可能性が高いと個人的には思うので、五輪まで短期間ですがうまくピークを合わせていつもどおりの演技を見せてほしいですね。


 3位はイタリアの大ベテラン、カロリーナ・コストナー選手です。

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 SPはシーズン前半から難度を上げた3フリップ+3トゥループを回り切って着氷。3ループ、2アクセルもしっかり成功。得意のステップシークエンス、スピンでも軒並み高い加点を稼ぎ、フィニッシュしたコストナー選手は両手で顔を覆い喜びを露わにしました。得点は4季ぶりの自己ベスト更新となる78.30点をマークし3位と好発進します。
 フリー冒頭はシーズン前半は外していた3ルッツに挑みましたが、あえなく転倒。続いて3+3はセカンドジャンプが抜けて2回転となります。次いで得意の3ループはクリーンに決めてリズムを立て直します。後半は3トゥループからでしたが、こちらもパンクして2回転に。2アクセルは回転不足で着氷で手をつき、直後の2本目の2アクセルは決めたものの、3サルコウ+2トゥループは2トゥループが3本目となり跳び過ぎで無得点に。複数のジャンプミスが響き、125.95点と得点は伸び悩みフリー4位、ショートのアドバンテージが活きた形でトータルでは3位となり、欧州選手権では女子最多となる11個目のメダルを手にしました。
 満面の笑みのショートから一転、フリーは終始リズムが噛み合わなかった演技となってしまいました。コストナー選手は12月中旬のイタリア選手権からショート、フリーともにジャンプ構成の難度を上げていて、ショートはジャンプの数が少ないのであまり影響はなさそうですが、フリーに関しては新しい構成がまだ完全には体になじんでいないのかなという印象を受けました。極めて高い演技構成点を誇るコストナー選手ですが、ほかのトップ選手と比べるとジャンプ構成の難度の低さがウィークポイントでもあって、シーズン途中でのジャンプ構成変更はその弱点をカバーし、本気で五輪の表彰台を狙うための戦略の一つだと思うのですが、短い期間でどれだけフリーの構成を体に染み込ませられるかがメダルを取れるか否かの分岐点になりそうですね。


 4位に入ったのはロシアの若手、マリア・ソツコワ選手。ショートは冒頭の3+3予定の3ルッツで乱れ単独に。後半の3フリップに急遽3トゥループをつけカバーしましたが、全体的に加点は伸びず4位にとどまります。フリーはショートでミスを犯した3+3も決め、序盤から中盤にかけて上々の滑りを見せましたが、後半の3ルッツで転倒。終盤は少し尻すぼみの演技となり、フリーは3位でしたが、総合4位と表彰台には届きませんでした。
 5位はベルギーのロエナ・ヘンドリックス選手。ショートは単独の3フリップがパンクして1回転となり、規定違反のため無得点に。大きな得点ロスとなり8位と出遅れます。フリーは連続ジャンプの2つ目が1回転になるミスが一つありましたが、そのほかは目立った失敗なく全てのエレメンツで減点なく滑り切り、自己ベストを更新しフリー5位、総合5位と躍進しました。
 6位はスロバキアのニコル・ライチョヴァ―選手。SPは3ループ+3トゥループでアンダーローテーション(軽度の回転不足)を取られたものの大きなミスなく5位と好発進。しかしフリーは4つのジャンプでアンダーローテーションと判定され点数は伸びず、フリー6位、総合6位となりました。
 7位はスイスのアレクシア・パガニーニ選手。ショートは3+3も含め全ての要素で加点を積み重ね、自己ベストで9位に。フリーは複数ジャンプのパンクがありましたが、スピンは全てレベル4を獲得するなど細部まで丁寧にエレメンツをこなし、フリーも9位、総合では7位でした。
 8位はフランスのベテラン、マエ=ベレニス・メイテ選手です。ショートは3+3は決めましたが、後半の3ルッツは回転不足で転倒し10位にとどまります。フリーはジャンプの着氷で危うい場面が散見されましたが、大幅に減点されるエレメンツはほぼなく、フリーも10位、総合8位で8度目の欧州選手権を終えました。


《男子シングル》

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 男子史上2人目の6連覇を達成したのはスペインのハビエル・フェルナンデス選手です。

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 SPはまず4トゥループ+3トゥループを完璧に決め2点以上の加点を得ると、続く4サルコウは着氷でオーバーターンが入ったものの、後半の3アクセルはこちらも2点以上の加点が付く出来で下り、103.82点で堂々の首位に立ちます。
 フリーは冒頭に固めた4トゥループ、4サルコウ+3トゥループ、3アクセル+2トゥループを立て続けにクリーンに成功。後半の4サルコウはパンクして3回転となり、3フリップがダウングレード(大幅な回転不足)になるミスもあったものの、ほぼ予定どおりにジャンプをクリアし、191.73点でフリーももちろん1位、トータルでも300点に迫るハイスコアで欧州王者の座を守りました。
 シーズン前半は体調不良の影響もあって乱調の試合もあったフェルナンデス選手ですが、シーズンが進むにつれて調子を上げてくるピーキング技術はやはりさすがです。細かなミスはありましたが、オリンピックの前哨戦として技術的にも精神的にも自信を持って臨める上々の試合になったと思いますので、五輪でもフェルナンデス選手らしい演技で笑顔で終われることを祈っています。


 2位はロシアの新星、ドミトリー・アリエフ選手。

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 SPは冒頭の3+3を決めると、4トゥループもクリーンに着氷。後半の3アクセルも難なく下り、自己ベストとなる91.33点で2位と好発進します。
 フリーは序盤に得点源のジャンプを固め、4トゥループ+3トゥループ、4トゥループ、3アクセルと全て完璧に着氷。後半は3フリップが2フリップになるミスはありましたが、それ以外は失敗らしい失敗なく滑り切り、フィニッシュ後は何度も拳を握り締めました。得点は自己ベストを20点近く上回る182.73点でフリーも2位、総合2位で初出場にして銀メダルを獲得しました。
 予想外の大躍進を遂げたアリエフ選手。4回転は1種類のみですが、その4トゥループや3アクセルを高い質で跳び切ったことが勝因かなと思います。フリーの終盤になるとジャンプや滑りの勢いが薄れる印象はあるのでそのあたりは今後の課題ですが、ともあれシニア1季目の選手にとって大崩れせず滑るということがまず最重要課題だと思うので、その課題を乗り越え全力を出し切ったというのが素晴らしかったですね。今大会の結果によって派遣が決まったオリンピックでも、若さ溢れるアグレッシブな演技に期待したいです。


 3位はロシアチャンピオンのミハイル・コリヤダ選手です。

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 SPは冒頭に大技4ルッツを組み込みましたが、ステップアウトで成功とはならず。さらに4トゥループからの連続ジャンプは単独の2トゥループとなり規定違反で無得点に。後半の3アクセルはパーフェクトに決めましたが、2つのジャンプミスが響き83.41点で4位にとどまります。
 フリーもまずは4ルッツ、回転は充分でしたが転倒します。4サルコウは抜けて3回転に。3アクセル+3トゥループは予定どおりクリーンに決めます。後半最初は鍵を握る4トゥループでしたが再び転倒。直後の3アクセルは下り、その後は大きなミスなくジャンプをこなしましたが、4回転が1本も決まらなかったことが影響し、175.29点でフリー3位、総合3位となりました。
 ショート、フリーともに4回転が不調でしたが、ハマればものすごく美しく見栄えのする4回転を跳べる一方で、安定感抜群ではないというところがコリヤダ選手のウィークポイントと言えますね。かといってミスを連鎖させて大崩れするという失敗パターンは最近ではあまりなく、安定感が増しているのは確実なので、五輪でも4回転さえハマれば大化けする可能性はありますし、表彰台も狙えるのではないでしょうか。


 4位はラトビアの成長株、デニス・ヴァシリエフス選手です。SPは4回転こそ回避したものの、3つのジャンプ要素をクリーンに決め、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と確実性の高い演技で自己ベストの3位と好位置につけます。フリーは冒頭に固めた2本の3アクセルをパーフェクトに成功。続いて4トゥループにチャレンジしましたが、ダウングレード(大幅な回転不足)であえなく転倒。その後も細々としたジャンプミスはありましたが、おおむね予定どおりのジャンプを跳び切って、自己ベストをわずかながら更新しフリー5位、総合4位と自己最高位で3度目の欧州選手権を終えました。
 5位はイスラエルのベテラン、アレクセイ・ビチェンコ選手。ショートは4トゥループの転倒があり8位と出遅れ。しかしフリーはその4トゥループを2本とも成功させ、そのほかのジャンプミスも最小限に抑え、フリー4位、総合5位に順位を上げました。
 6位はロシアのアレクサンデル・サマリン選手。ショートは大技4ルッツに挑むも転倒。続く4トゥループも転倒と致命的なミスが重なり9位。フリーも4ルッツはクリーンに着氷できませんでしたが、そのほかの要素では大きなミスなくまとめてフリー6位、総合6位となりました。
 7位はスウェーデンのアレクサンデル・マヨロフ選手。ショートは3つのジャンプ要素全てでミスを犯し12位に沈みます。フリーもミスは散見されましたが、ほぼ予定どおりにエレメンツをクリアし7位、トータルでも7位となりました。
 8位はチェコのベテラン、ミハル・ブレジナ選手。ショートは4サルコウが3回転に、さらに3+3では転倒とミスが相次ぎ10位。フリーは4サルコウのミスを最小限にとどめ、3アクセルは2本とも決めますが、終盤の3ルッツで転倒。フリー8位、総合8位となりました。


《ペア》

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 2連覇を果たしたのはロシア王者のエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組です。ショートはサイドバイサイドの3トゥループ、スロー3ループの両方でミスがあり5位と出遅れます。しかしフリーは冒頭の大技4ツイストを決めると、サイドバイサイドの3サルコウ、スロー3サルコウも成功。その後も全てのエレメンツをクリーンにこなし1点以上の加点を積み重ね、自己ベストかつ世界歴代6位となるハイスコアをマークしフリー1位、総合1位となり、大逆転で2連覇を成し遂げました。
 ショートはまさかの5位でしたが、フリーはさすがの貫録でしたね。ショートでミスしてしまうところはまだ若さゆえという印象も受けますが、フリーでそつなく立て直す姿からは世界のトップペアとしての自信と自覚を感じました。五輪のメダル候補としての資格を充分持ち合わせているペアと言えますから、あとは今大会以上のプレッシャーがかかるであろう五輪でもメンタルコントロール次第で五輪の表彰台も見えてきそうですね。

 2位は同じくロシアのクセニア・ストルボワ&ヒョードル・クリモフ組です。SPは3ツイストがレベル2、サイドバイサイドの3トゥループで転倒があり3位に。フリーも3ツイストがレベル1、サイドバイサイドの3サルコウで転倒とミスが重なりましたが、中盤以降の要素は高い質でまとめ、フリー2位、総合2位で通算6個目のメダルを獲得しました。
 シーズン序盤からのツイストリフトのミスは今回も克服されず残念でしたが、ミスをしても引きずらない心の強靭さはさすがに経験豊富な実力者ならではですね。しかし、ロシアオリンピック委員会が発表した個人資格で平昌五輪に出場できるロシア選手のリストの中にストルボワ選手の名前がなく、ストルボワ&クリモフ組が五輪に出場できない可能性が浮上しています。ただ、リストに含まれていないからといって過去にドーピングをしたと認定されたわけではなく、ストルボワ選手が除外された理由は明かされていません。また、国際オリンピック委員会が公式に出場を認めるロシア選手のリストを発表するのは27日で、最終的にどういうメンバーになるのかはまだ不透明です。ストルボワ選手にどういう疑義がかかって除外されたのかはわかりませんが、フィギュアスケートにおいてはドーピングは無関係と思っていただけに今回の決定は残念ですし、最終的にどうなるのか見守りたいですね。

 3位もロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンデル・エンベルト組。SPは全てのエレメンツで加点を稼ぎ2位と好発進。フリーはサイドバイサイドジャンプ2つともでミスを犯しましたが、そのほかのエレメンツは安定してこなし、自己ベストでフリー3位、総合でも自己ベストで3位と初めて表彰台に上りました。
 今季はシーズン前半のGPこそ表彰台には立てませんでしたが、着実に安定感のある演技を披露し2年連続ロシア選手権3位と、実力を証明してきたザビアコ&エンベルト組。その成果が今大会も如実に表れていましたね。五輪でもこの勢いを持って、好演技に期待したいですね。

 以下、4位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組、5位はイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組、6位もイタリアのニコーレ・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組、7位はミリアム・ツィーグラー&セヴェリン・キーファー組、8位はドイツのアニカ・ホッケ&ルーベン・ブロマールト組となっています。


《アイスダンス》

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 史上5組目の4連覇を果たしたのはフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組です。SDはツイズルがレベル3となる珍しい取りこぼしがあって、わずかながらパーソナルベストには及ばなかったものの断トツのハイスコアで首位発進。FDは後半のステップ以外全てレベル4を獲得し、演技構成点では5項目中3項目で満点となる10点の最高評価を得て、世界最高の121.87点をマーク。トータルスコアでも世界最高を更新し、圧巻の優勝劇を演じました。
 これで今季だけでも4度目の世界最高更新となり(FDは3度目)、無双状態に突入しているパパダキス&シゼロン組。オリンピックでは過去の自分たちが最強の敵になると思いますが、重圧に押しつぶされることなくいつもどおりのびやかに滑ってほしいですね。

 2位はロシアチャンピオンのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組です。SDは5つの要素のうち、3つがレベル3にとどまったことで思ったほど技術点を伸ばせず、4位にとどまります。FDは2つのステップ以外は全てレベル4を揃え、自己ベストを更新してフリー2位、トータルでもパーソナルベストをマークして総合2位と順位を上げました。
 2011年以降、欧州選手権では毎回メダルを手にしているボブロワ&ソロビエフ組。今回はSDで4位となりフリーではミスできないという状況に追い込まれましたが、フリーはさすが実力者らしい滑りでしたね。オリンピック前に自己ベストを更新できたことは自信になるでしょうから、楽しみにしたいですね。

 3位もロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組です。SDは2つのステップ以外はレベル4を獲得し、自己ベストで2位と好位置につけます。FDはステップが1つレベル2になるなど取りこぼしもチラホラありましたが、こちらも自己ベストで3位、総合3位で3年ぶりに表彰台に上がりました。
 今季は出場した全試合で表彰台に立ち安定感を増しているステパノワ&ブキン組。五輪直前の今大会で久しぶりのメダルと弾みをつける結果になりましたが、ロシアオリンピック委員会が発表した平昌五輪に派遣する選手のリストにブキン選手の名前がなく、上述したストルボワ選手同様、五輪に出場できない可能性が浮上しました。国際オリンピック委員会による公式リストの発表を見守るしかありませんが、ペアやアイスダンスはパートナーがいなければどうにもならないわけですから、ブキン選手たちにとって納得のいく決定になることを祈りたいですね。

 以下、4位はイタリアのベテラン、アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組、5位も同じくイタリアのシャルレーヌ・ギニャール&マルコ・ファッブリ組、6位はロシアのティファニー・ザホースキー&ジョナサン・ゲレイロ組、7位はイギリスのペニー・クームズ&ニコラス・バックランド組、8位はサラ・ウルタド&キリル・ハリャービン組となりました。



 ということで、全12個のメダルのうち、9個をロシア勢が手にするというヨーロッパにおけるフィギュア大国ロシアの勢力の偉大さを改めて示しました。そして今大会の結果を受けてロシアの五輪代表メンバーが発表され、男子はコリヤダ選手とアリエフ選手、女子はザギトワ選手、メドベデワ選手、ソツコワ選手、ペアはタラソワ&モロゾフ組、ストルボワ&クリモフ組、ザビアコ&エンベルト組、アイスダンスはボブロワ&ソロビエフ組、ステパノワ&ブキン組となりましたが、上述した理由によってストルボワ&クリモフ組、ステパノワ&ブキン組の派遣に関しては不透明な状況が続いています。派遣できないとなれば、補欠が繰り上がりとなると思われます。フィギュア界でもこうしたことが起こるというのは非常に悲しいですが、誰にとっても納得のいく結末となるように願いたいですね。
 さて、そうこうしているあいだに、今度はヨーロッパ以外の地域の選手たちが集まる四大陸選手権が開幕。こちらは北米の五輪代表選手は出場を見送っており、日本勢にとっては有利な状況になっていますが、五輪代表選手にとって内容、結果ともに自信のつく試合になることを祈っています。では。


:女子のメダリスト3選手のスリーショット画像、ザギトワ選手の画像、コストナー選手の画像、男子メダリスト3選手のスリーショット画像、アリエフ選手の画像、ペアメダリスト3組の画像、アイスダンスメダリスト3組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、メドベデワ選手の画像、フェルナンデス選手の画像、コリヤダ選手の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2018-01-27 00:43 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)