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 前記事に引き続き中国杯2017について書いていきます。今回は男子とペアです。
 男子を制したのはロシアチャンピオンのミハイル・コリヤダ選手。ショートプログラムでは男子史上6人目となる100点台、歴代4位となる103.13点をマークし、トータルでもパーソナルベストに近いスコアでGP初優勝を遂げました。2位は地元中国の金博洋(ジン・ボーヤン)選手、3位はアメリカのマックス・アーロン選手となっています。
 ペアは世界王者の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組が貫録を見せつけてGP2勝目を上げました。

ISU GP Audi Cup of China 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 優勝はロシアのミハイル・コリヤダ選手です。

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 SP冒頭は今季初成功させた大技4ルッツ、これを驚異的な高さで決め1.57点の加点を獲得します。続く4トゥループ+3トゥループも完璧で同じく1.57点の加点。さらに後半の3アクセルも難なく下りて2.43点という極めて高い加点を引き出します。スピン、ステップシークエンスもスピンが1つレベル1となった以外はおおむねミスらしいミスなくこなし、全て加点1以上と美しい質のものを揃えました。得点はこれまでの自己ベストを7点以上更新する103.13点で圧巻の首位発進を果たしました。
 フリーもまずは4ルッツから、高さも回転も充分でしたが軸が曲がり転倒してしまいます。さらに4サルコウはパンクして2回転と、序盤は不安な立ち上がりに。しかし続く3アクセル+3トゥループはパーフェクトで1.57点の加点。レベル4のスピンとステップシークエンスを挟んで後半、最初の4トゥループを完璧に成功させ2.29点の加点を獲得。波に乗ってきたかと思いきや、3アクセルはまたもやパンクで1アクセルに。しかし直後の3+1+3は決めると、残りの3ループ、3+2はクリーンに下り、終盤の2つのスピンもレベル4とまとめ、フィニッシュしたコリヤダ選手は複雑そうな表情を浮かべました。得点は176.25点でフリー3位、総合では自己ベストに0.03点と迫る279.38点でトップの座を守り切りました。
 2週間前のロステレコム杯では決められなかった4ルッツを、今回は見事にショートで着氷したコリヤダ選手。高さとインパクトは4ルッツの第一人者である金博洋選手やネイサン・チェン選手をも上回る迫力で、この質の高い4ルッツを安定して跳べるようになればものすごい選手になるなと思い知らされました。また、スピンに関しても回転が速くポジションが明確なので加点が付きやすく、演技構成点もメキメキと高まって9点台目前まで来ていて、総合力のある選手という点でも今後ますます怖い存在になっていきそうですね。一方でショートとフリーを揃えることが課題の選手でもあって、揃えられれば300点台も夢ではないと思うので、まだポテンシャルの6割くらいしか出し切っていない印象さえ受けます。
 GP初優勝によってファイナル一番乗りを決めたコリヤダ選手。ファイナルではショート、フリーともに満足のいく演技が見られることを楽しみにしています。中国杯優勝、おめでとうございました。


 銀メダルを獲得したのは世界選手権2016、2017銅メダル、中国の金博洋選手です。

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 SPは「映画『グリーン・デスティニー』より」。冒頭の代名詞4ルッツ+3トゥループは若干着氷で乱れ減点となります。中盤の3アクセルは完璧に成功。しかし直後の4トゥループはステップアウトとなり、こちらも減点。スピンは全てレベル4と取りこぼしなくまとめ、93.89点で2位と好位置につけます。
 フリーは「火星 組曲「惑星」より/映画『スター・ウォーズ』より」。冒頭の4ルッツは着氷でこらえわずかに減点。次いで4サルコウは大きくバランスを崩し大幅に減点となります。3アクセルからの3連続コンビネーションは決め、後半はまず4トゥループからでしたがこれも着氷でミス。さらに2本目の4トゥループは必ず連続ジャンプにしたいところでしたが、転倒となり大きな得点ロスに。3アクセル、3+3は成功させましたが、最後の3フリップも乱れ、演技を終えた金選手はがっくりと肩を落としました。得点は自己ベストより34点ほど低い170.59点でフリー5位、総合では2位とSPから順位は変わりませんでした。
 最終的には2位となったものの内容的にはまだまだ金選手らしいジャンプが完全にはできあがっておらず、シーズン序盤の難しさが出てしまったかなと思います。特にフリーは優勝を狙える位置につけていたということもあってか、全体的に緊張感が漂っていたように感じました。そういう意味ではショートの方が体も動いて切れ味も良く、中国風のエキゾチックな曲想をうまく表現できていたと思いますね。ただ、失敗したジャンプも回転は全て回り切っていたので、本当にちょっとしたズレなのかもしれません。次戦のスケートアメリカでは笑顔で終われる演技を期待したいですね。


 3位に入ったのはアメリカの実力者マックス・アーロン選手です。

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 SPは「彼を帰して ミュージカル「レ・ミゼラブル」より/ワン・モア・デイ ミュージカル「レ・ミゼラブル」より」。冒頭は4トゥループ+3トゥループの予定でしたが、ファーストジャンプの着氷で詰まったため無理せず2トゥループを付けます。続く4サルコウはクリーンに成功。後半の3アクセルはランディングで軽く片手をついたため減点を受けます。しかし全体的には大きなミスなく流れの途切れない演技を見せ、83.11点で5位発進とします。
 フリーは「オペラ座の怪人」。冒頭は4トゥループからの連続ジャンプをしっかりと着氷。続く4サルコウもスムーズな跳躍で加点1を得ます。3ループは若干よろめく着氷となったためわずかに減点されますが、上々の前半とします。後半の得点源となる4トゥループは着氷でバランスを崩し減点。しかし続く3アクセル+2トゥループ、単独の3アクセルはきれいに下ります。3+1+3、2アクセルと終盤のジャンプも予定どおりにこなし、フィニッシュしたアーロン選手は片手を天に突き上げ喜びを露わにしました。得点は自己ベストの176.58点でフリー1位、総合3位と追い上げ、2季ぶりにGPの表彰台に立ちました。
 ショート、フリー通してジャンプが安定していたアーロン選手。やはり豪快なジャンプを跳ぶ選手なので、次々に決まれば演技全体の見ごたえも増してくるように思います。表現面ではもう少し緩急やメリハリがつけばなお良いかなという感は拭えませんが、まずはジャンプが揃わないと表現も生きてこないので、音楽表現はこれからの課題として、次戦のフランス大会ではよりプログラムの魅力を引き出す演技を楽しみにしたいですね。


 4位となったのは世界ジュニア王者、アメリカのヴィンセント・ジョウ選手です。

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 SPは「Chasing Cars」。冒頭は今季から取り入れた4ルッツ+3トゥループの高難度コンビネーション、これを完璧に、しかもセカンドジャンプで両手を上げて跳び1.86点の高い加点を得ます。しかし続く4フリップは転倒。さらに後半の3アクセルも回転不足で転倒と大きなミスが重なり、80.23点で8位と出遅れます。
 フリーは「映画『ムーラン・ルージュ』より」。冒頭はショートで成功させた4ルッツ+3トゥループをまたもやクリーンに下りて2点の高加点。ショートで失敗した4フリップは着氷でバランスを崩しかけますがこらえ最小限の減点に抑えます。立て続けに3種類目の4回転である4サルコウに挑みますが、こちらは回転が足りず転倒。後半最初は2本目の4ルッツ、これはステップアウトとなります。しかし、3アクセル、4トゥループ+2トゥループと大技を成功。その後も目立ったミスなくエレメンツをまとめ、176.43点でフリー2位、総合4位と大きくジャンプアップしました。
 昨シーズン、ジュニアにして男子史上最高難度の大技4ルッツの成功者となり、今シーズン前から注目の的となっていたジョウ選手。デビュー戦での表彰台も期待された中、ショートはやはり初めてのGPということで緊張があったのか2度転倒してしまいましたが、フリーでは3本の4回転をほぼクリーンな形で着氷させ、ルーキーらしからぬ異才ぶりを存分に発揮してくれました。特に4ルッツ+3トゥループは頑張って跳んでいるという感じが全くなく、3トゥループで両手を上げられるほど余裕しゃくしゃくで、今から末恐ろしくなりました。昨季のネイサン・チェン選手のように滑るたびに進化していくという雰囲気もぷんぷん漂わせていて、次戦のフランス大会で納得のいく演技ができれば、表彰台のチャンスは充分ありそうですね。


 5位は地元中国の実力者、閻涵(ヤン・ハン)選手です。

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 SPは「A Thousand Years」。冒頭は代名詞の3アクセルから、これを完璧に決めて1.86点の加点を獲得します。続く4トゥループは着氷で大きく乱れ、後半の3+3は3+2にとジャンプはミスが相次ぎますが、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と丁寧にこなし、82.22点で6位につけます。
 フリーは昨季のショートをアレンジした「I'll Take Care Of You」。冒頭は得意の3アクセルからのコンビネーションジャンプを圧巻の飛距離で跳び切って加点2。さらにショートでは失敗した4トゥループもクリーンに下りて加点2を得ます。単独の3アクセルもパーフェクトに成功で加点1.43点と前半を理想的な形で終えます。後半も3ルッツ、3ループ、3+2+2とミスらしいミスなくクリア。3サルコウ、3フリップは着氷がこらえ気味になりましたが、大きなミスなく演技を終え、地元の観客の拍手喝采を浴びました。得点は172.39点でフリー4位、総合5位と順位を一つ上げました。
 昨シーズンは肩の骨折のため世界選手権を欠場した閻選手。今大会は怪我からの復帰戦となったわけですが、閻選手らしさがよく表れた演技でしたね。ジャンプに関しては思いっきりというよりも慎重さがうかがえましたが、復帰戦でこれだけの演技ができたというのは自信になるのではないでしょうか。残念ながら閻選手のGP出場はこの1試合のみということで、どういった形で調整をしていくのかはわかりませんが、オリンピックでも閻選手らしい演技ができるようにマイペースで頑張ってほしいと思います。


 6位は前世界王者、スペインのハビエル・フェルナンデス選手です。

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 SPは「映画『モダン・タイムス』より」。冒頭は4トゥループ+3トゥループでしたが、パンクして3+2になってしまいます。続く4サルコウは着氷で膝をぐっと曲げて耐えて成功。しかし後半の3アクセルは着氷で乱れて大幅に減点。ステップシークエンス、スピンは全てレベル4を揃え、90.57点と何とか90点台に乗せて3位発進とします。
 フリーは「ミュージカル「ラ・マンチャの男」より」。冒頭はショートで失敗した4トゥループからでしたが、これもパンクして3回転になります。さらに4サルコウ、3アクセルと着氷の乱れが重なり、精彩を欠いた出だしとなります。後半最初の4サルコウからの連続ジャンプは3+2に。単独の3ループはきれいに下りますが、コンビネーションにしなければならない3アクセルは再び着氷ミスで単独に。その後も3ルッツは決めたものの、3+1+3は2+1+2と最後まで立て直せないままフィニッシュ。得点は自己ベストより50点以上低い162.49点でフリー6位、総合でも6位となり、ファイナルを除いてGPでは4年ぶりに表彰台を逃す結果に終わりました。
 ショート、フリーでクリーンに決まった4回転はショートの1本のみ、得意の3アクセルに至っては1本も成功せずという、フェルナンデス選手らしからぬ信じられないミスの連続でした。もちろんシーズンの中で好不調の波というのは当然あり、フェルナンデス選手ほどの一流選手であれば調子が悪い時もそこそこの演技はできるものだと思うのですが、そうした経験をも超えるメンタル面での難しさ、またはフィジカル面での不調があったのでしょうか。ショートに関して言えば、103.13点を叩き出したコリヤダ選手の直後の滑走だったということで多少影響があったのかなと勝手に想像してしまうのですが、そのショートからフリーでうまく切り替えられなかった、ショートの悪い部分を引きずってしまったというのは、今後に向けて少し心配ですね。
 次戦のフランス大会はさすがに今大会よりも悪くなるということはないでしょうが、短期間でどれだけジャンプの綻びを修正してくるか、オリンピックに向けての試金石にもなると思いますから、注目です。


 日本の田中刑事選手は7位となりました。

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 SPは「Memories」。冒頭は得点源の4サルコウ、これをしっかり回り切って成功させると、さらに3+3も難なく下りて1.2点の加点を獲得。後半の3アクセルもパーフェクトで1.86点の加点を引き出し、表現面でもブルースに乗って色気漂う滑りを見せ、パーソナルベストを6点以上更新する87.19点で4位と好発進しました。

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 フリーは2季連続の「フェデリコ・フェリーニ・メドレー」。まずはショートできれいに決めた4サルコウを再びクリーンに下ります。続いてはショートでは回避した4トゥループでしたが、これは3トゥループに。ですが、3アクセルは完璧に跳び切ってすぐに切り替えます。後半はまず鍵を握る4サルコウからでしたが、パンクして3回転に。3アクセルからの3連続ジャンプは全てクリーンに着氷。3+3も成功と良い流れを作ります。次は3ループというところでしたが、その軌道に入ったところでまさかの転倒。すぐに起き上がった田中選手は最後の3ルッツをしっかり跳び終えましたが、ほかの選手より一つジャンプが少ない状態となり、159.98点でフリー7位、総合7位と大きく順位を落としました。
 GP初戦になる予定だったロステレコム杯を怪我のため辞退し、今大会が復帰戦となった田中選手。SPはブルースという初挑戦のジャンルでしたが、思った以上に田中選手が醸し出す雰囲気とブルースの空気感がマッチしていて良かったですね。特に腕の使い方が以前と比べてとても美しく滑らかになって、ブルース特有の渋さをうまく表現しているように思いました。一方のフリーは予定していた4回転3本のうち1本しか決まらず、また、アクシデント的な転倒によって3ループが入らなかったということで、かなり点数をロスしてしまいました。それでも自己ベストから8点ほどしか変わらなかったというのは、下りたジャンプではしっかり加点が取れているというのも大きいですし、演技構成点もミスが複数あったわりにはまずまず良い評価が与えられていて、プログラムが昨季からの持ち越しということもあって意識せずともナチュラルに動けている感じが見て取れて、そういった点もジャッジに伝わったのかなと思います。
 田中選手にとってはまだまだ納得のいく演技には程遠いでしょうが、今大会で得た課題も糧にして、全日本選手権に向けてうまく調整して、次こそは悔いのない演技をしてほしいですね。



 ここからはペアです。

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 優勝は世界チャンピオンの隋文静&韓聰組。SPは「ハレルヤ」。まずはサイドバイサイドの3トゥループを二人ともクリーンに決めると、高難度のスロー3フリップも成功。3ツイストはレベル4を獲得し、デススパイラルがレベル3と取りこぼした以外は全てレベル4を揃え、自己ベストに約1点と迫る80.14点で断トツの首位に立ちます。フリーは「トゥーランドット」を演じ、冒頭では大技4ツイストをレベル2ながらもGOEでは高い評価を受け成功させると、3+2+2の3連続ジャンプも着氷。3サルコウは乱れますが、後半のスロージャンプ2つはどちらも加点2以上というパーフェクトな出来で、自己ベストを0.1点上回る150.93点をマーク。もちろん1位で、2位に25点差以上つける完全優勝を果たしました。
 世界王者らしい圧巻の演技を披露した隋&韓組ですが、意外にもこれがGP2勝目なんですね。昨シーズンは隋選手の負傷のためGPはパスしたということもありますが、一時は競技復帰さえ危ぶまれるような大怪我をしたということを今では忘れてしまうくらい、圧倒的な安心感を与える演技を見せ続けてくれています。ペア界はトータル230点を超える、もしくは230点に迫ろうかという自己ベストを持つペアが複数いて、どのペアがオリンピックを制するのかその時になってみないとわからない戦国時代ですが、その分見ている側にとっては本当におもしろい状況でもあります。隋&韓組の次戦はNHK杯ということで連戦となり、疲労も溜まっているかと思いますが、また二人らしい安定感抜群の演技が見られることを楽しみにしています。中国杯優勝、おめでとうございました。

 2位は同じく中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組です。SPは王道の「白鳥の湖」で、冒頭の3トゥループこそ女性の于選手が氷に軽く手をついてしまい若干減点されますが、そのほかのエレメンツは全てレベル4を獲得し、71.37点で2位につけます。フリーは「映画『スター・ウォーズ』より」。演技前半はソロジャンプで細かなミスが相次ぎますが、スロージャンプやリフトなどのエレメンツは確実にこなし、自己ベストに約2点と迫る134.17点でフリーも2位、総合2位となりました。
 昨季からペアを組んでいる于&張組。出場した全ての試合で200点を超えるなど安定感が持ち味のペアですが、ソロジャンプが弱点と言えば弱点ですね。ソロジャンプがより安定してくるとさらに怖い存在になると思うので、次戦のスケートアメリカではその点がどれだけ修正されるかに注目ですね。

 3位はカナダのカーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組。SPは「Sweet Dreams」。冒頭の3ツイストがレベル1になったり3トゥループで着氷ミスがあったりとミスが重なり、得点が伸び悩み4位にとどまります。フリーは「Un Ange Passe」。冒頭の3ツイストは再びミスがありレベル2どまり、2アクセルからの3連続ジャンプは二人のタイミングが大きくずれて減点は受けますが、最小限のミスに抑えます。その後は目立ったミスなくエレメンツをこなし、フィニッシュした二人は納得したように破顔しました。得点は自己ベストとなる132.00点をマークしフリー3位、総合3位で銅メダルを獲得しました。
 母国開催のスケートカナダ以外のGPでは初表彰台となったムーア=タワーズ&マリナロ組。細かいミスはさまざまあり、特にショート、フリーともに男性が女性をキャッチする時間が長くなった3ツイストのミスはもったいなかったですが、全体的には大崩れすることなくよくまとめたなという印象ですね。カナダはペアも層が厚く、このペアも昨季のカナダ選手権で3位に入っているとはいえ全く油断はできませんから、ひとまずGP初戦でまずまず安定した演技を見せられたのはオリンピックの代表争いに向けても良いアピールとなりましたね。2戦目のスケートアメリカは今大会以上の強豪揃いとなるので表彰台に乗るのはなかなか厳しそうですが、今回以上の好演技に期待ですね。



 中国杯2017の記事はこれで全て終了です。男女シングルは上位が接戦となった一方、ペア、アイスダンスは優勝した組が頭一つ抜きん出た形となりました。
 今年のGP3戦までを振り返ると、女子に関して言えば、初戦のロステレコム杯は上位にミスが少なく得点も高め、2戦目のスケートカナダは上位にミスが多く低調、そして中国杯はやはり上位にミスが少なめで好調と、試合ごとに好不調がハッキリ分かれているような気がします。たとば今大会の三原舞依選手は200点を超えても4位と表彰台にも上がれず、スコアではなくポイントによってランキングが決まるGPとはいえ、その恩恵を受ける選手と割を食う選手とがいて、出場する大会によってこれだけ運命が左右されるのは今更ながらやっぱり不公平だなーという気もしました。
 そして男子はベテランのハビエル・フェルナンデス選手、パトリック・チャン選手がそれぞれ6位、4位と表彰台を逃すという波乱が発生。チャン選手はNHK杯で優勝すればファイナルの可能性も残るという中でしたが、辞退を発表し、カナダ選手権に向けて調整を優先することに。フェルナンデス選手はまさかフランス大会を辞退するということはないと思いますが、これまで男子フィギュア界を引っ張ってきた二人の絶不調はある意味で衝撃的でしたね。昨季から今季にかけて多種類の4回転を跳ぶ選手が一気に増え、特に最高難度の4ルッツを武器にする選手が急激に増えたということで、トゥループとサルコウという比較的基礎点の低い4回転しか持たないフェルナンデス、チャンの両選手にとっては五輪のメダルがますます困難な状況になってきているのかなと思います。完成度で勝負するベテラン勢が今後どう巻き返しを見せるのか、期待も込めて注視したいですね。
 そしていよいよ次戦はNHK杯。世界チャンピオンの羽生結弦選手の2戦目となりますが、少し前に村上大介選手が肺炎のため辞退という残念なお知らせが飛び込んできました。代役は今季シニアデビューの友野一希選手ということで、友野選手は混沌としている日本男子の3人目に名乗りを上げるまたとないチャンスですから、どんどん攻めてアピールしてほしいと思います。女子は日本のエース、宮原知子選手が満を持して登場。これが今季初戦ということで、あの正確無比なジャンプがどれだけ戻ってきているのか未知数で心配ではありますが、まずは今のベストを尽くして宮原選手らしいエレガンスな演技を見せてほしいですね。では。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、金選手の画像、アーロン選手の画像、ジョウ選手の画像、閻選手の画像、田中選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、コリヤダ選手の画像、フェルナンデス選手の画像、ペアメダリスト3組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
中国杯2017・女子&アイスダンス―アリーナ・ザギトワ選手、GPデビュー戦で初優勝 2017年11月7日

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# by hitsujigusa | 2017-11-08 23:45 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 GPシリーズ17/18も早くも折り返しまで来ました。第3戦は中国の北京開催の中国杯。この記事では女子とアイスダンスの結果についてお伝えします。
 女子の優勝者はロシアの新星アリーナ・ザギトワ選手。GPデビューと思えない驚異の滑りで接戦を制しました。2位は日本の樋口新葉選手で、ショート、フリーともにノーミスの演技で初のファイナル進出に向け一歩前進しました。3位はロシアの実力者エレーナ・ラディオノワ選手となっています。
 アイスダンスは前世界王者、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組がアイスダンス史上初めてとなる総合200点超えの快挙を達成しGP4勝目を上げました。

ISU GP Audi Cup of China 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 GP初優勝となったのは世界ジュニア女王のアリーナ・ザギトワ選手です。

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 SPは「映画『ブラック・スワン』より」。まずはフライングキャメルスピンで幕を開ける変則的なプログラムで、続いてステップシークエンスとどちらもレベル4を揃えます。後半に入り最初のジャンプが得点源の3ルッツ+3ループでしたが、セカンドジャンプで転倒。しかし直後の3フリップ、2アクセルは切り替えてクリーンに跳び切り、残りのスピン2つもレベル4と気持ちを切らさず演じました。得点は69.44点で4位と好位置につけます。
 フリーは昨季から継続の「バレエ「ドン・キホーテ」より」。こちらも7つのジャンプ要素を全て後半に固める攻撃的な構成。冒頭はコレオシークエンス、スピン、ステップシークエンスと全て高い質で1点以上の加点。そしてショートでは失敗した3ルッツ+3ループは完璧に着氷し加点1.1の高評価。次いで2アクセル+3トゥループ、3+2+2と難しいコンビネーションジャンプを立て続けに成功。単独の3ルッツは一見きれいに下りたかに見えましたが、アンダーローテーション(軽度の回転不足)の判定。しかし終盤の3フリップ、3サルコウ、2アクセルは難なく下り、最後まで勢いと冷静さを保ったままフィニッシュしました。得点は144.44点でフリー1位、総合1位でGPデビュー戦にして優勝の快挙を達成しました。
 ショートは転倒こそあったものの、ショート、フリー通して15歳らしからぬ落ち着きぶりで終始圧倒されましたね。女子史上最高難度の3ルッツ+3ループを跳べること、全てのジャンプを後半に組める驚異的なスタミナ、多くのジャンプで両手を上げて跳べる高い技術力など、素晴らしい部分を挙げればきりがないですが、表現面もジュニア上がりとは思えない完成度で目を引きつけられます。スケーティング技術やつなぎの部分などの基礎がしっかりしているのはもちろんですが、音とジャンプとの調和のさせ方の巧さも際立っていて、あれだけ難しいジャンプさえも表現の一つとして駆使しているというのが驚かされます。体の動きを音楽に合わせるというのはフィギュアスケートの表現における基礎中の基礎だと思いますが、ジャンプをあそこまで音と合わせられるというのはトップ選手でも難しいことだと思いますし、ジャンプと音がピタリピタリと合わさっていくのを見ると、やはり否が応にも見ている方も気持ちが良くなってきますし、知らぬ間に乗せられていくというか痛快さを感じますね。
 ザギトワ選手の次戦は2週間後のフランス大会。今回のショートに関しては悔しさが残ったでしょうし、同じミスを繰り返さないためにさらに仕上げてくると思うので、パーフェクトな演技を楽しみにしたいですね。中国杯優勝、おめでとうございました。


 約1点差で惜しくも2位となったのは日本の樋口新葉選手です。

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 ショート冒頭は得意の2アクセルをいつもどおり落ち着いて着氷し加点1。後半に2つのジャンプ要素を固め、3ルッツ+3トゥループはきっちり回り切って下ります。直後の3フリップは踏み切りが不正確だったため加点は付かず。しかし前半から後半にかけてテンポの変わる「ジプシーダンス」を体を大きく使って躍動感たっぷりに演じ、70.53点で2位と好発進します。

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 フリーもまずは2アクセルをクリーンに下りて流れを作ると、続く得点源の3ルッツ+3トゥループも高さと流れのある跳躍でショート以上の加点を獲得。レベル4のスピンと全選手中最も高い加点の付いたコレオシークエンスをこなし、GP初戦のロシア大会で2回転になった3サルコウもクリーンに成功。そして後半の鍵を握る3ルッツ+3トゥループはこちらも完璧で加点1.2。さらに3ループ、2アクセル+2トゥループ+2ループと難なく終え、最後の3フリップはショートから踏み切りを修正し正確に跳んで1点近い加点を得ます。終盤のステップシークエンス、スピンも息切れすることなくパワフルに滑り切った樋口選手は、ガッツポーズで喜びと手ごたえを示しました。得点は141.99点でフリーも2位、総合2位でGP自己最高位をマークしました。
 GP初戦のロステレコム杯から2週間、前回も素晴らしい演技でしたが、それ以上に見事なショートとフリーでしたね。前回はショートの3+3で回転不足を取られ思ったほど点を伸ばせなかった反省を活かし、今回はほぼ全てのジャンプがクリーンで文句のつけようのない質の高さでした。そして何といっても表現面では音楽との調和が見るたびに進化していて、「ジプシーダンス」も「007」も振り付けをこなしているというのではなく、自然に体がそう動いてしまうというような、見ていて良い意味で引っかかりのない、何の違和感もなく見られる演技となっていて、ぐいぐい引き込まれました。ただ、それでもまだ伸びしろは大いに残っていて、特にステップはショート、フリーともにレベル3だったので、これがレベル4だったら優勝していた可能性もありますから、本当に細かい部分ですが惜しかったですね。
 ロステレコム杯3位、今大会2位で樋口選手は24ポイント。ファイナル出場の可能性は濃厚ですが、ほかの選手の結果によるので最終戦のスケートアメリカが終わるまで出場決定はお預けですね。もしファイナルに出場できたら樋口選手らしい元気のよい、ダイナミックな滑りをまた見せてほしいと思います。


 3位はロシアのエレーナ・ラディオノワ選手です。

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 SP冒頭は3ルッツ+3トゥループ、回転はギリギリだったものの認められて成功。続く2つのスピンはレベル4。後半の3ループ、2アクセルもクリーンに決めて、終盤のステップシークエンスではコケティッシュな魅力を存分にアピール。最後のスピンもレベル4でまとめて、シーズンベストとなる70.48点で3位発進します。
 フリーもまずは得点源の3+3から、これをショートよりも良い流れで着氷させて加点1.2の高評価。続く3フリップは踏み切りのエッジが不正確とされたもののわずかながら加点を獲得します。後半に5つのジャンプ要素を固め、最初の3+1+3は全てのジャンプをきっちり回り切ってスムーズに跳び切ります。3+2は若干減点されますが、終盤の2アクセル2本、3ループと全て成功させ、スピンはショートに続いて全部レベル4を揃え、演技を終えたラディオノワ選手は両手を握り締め喜びを露わにしました。得点は自己ベストに約3点と迫る136.34点でフリー4位、総合3位でGPデビュー以来5季連続での表彰台を逃しませんでした。
 樋口選手と同じくロステレコム杯とこの中国杯の2試合エントリーだったラディオノワ選手。ロステレコム杯ではショート、フリーともに3+3の回転不足がありましたが、今大会はジャンプの回転不足は一つもなく、見事に修正されていましたね。短期間で修正するのは簡単なことではなかったと思うのですが、さすがGP5季目で経験豊かなラディオノワ選手だからこそですね。演技全体を見ると技に対する加点の付き方は上位2人には及ばないのですが、まずはジャンプを確実に回り切って下りることが前提かつ最重要なので、5年連続でのファイナル進出の可能性はほぼ皆無ですが、ロシア選手権に向けて貴重な収穫を得られたのではないかと思います。


 4位には日本の三原舞依選手が入りました。

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 SPは「リベルタンゴ」。冒頭は得点源の3ルッツ+3トゥループでしたが、ファーストジャンプの着氷で詰まり、思い切って3トゥループを跳んだもののアンダーローテーションで着氷してしまいます。後半の2アクセル、3フリップはきれいに成功。スピンは全てレベル4とそつのなさを見せましたが、66.90点で7位にとどまります。

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 フリーは「ガブリエルのオーボエ 映画『ミッション』より」。前日ミスがあった3+3、今度は完璧に回り切って下り1.2点の加点を得ます。続く2アクセルは珍しく空中で軸が歪んだためわずかに減点。本来後半に跳ぶ予定だった3フリップは、若干早いタイミングで跳んだため基礎点1.1倍にはなりませんでしたが、クリーンな跳躍と着氷で高い加点。さらに2アクセル+3トゥループ、3ループ、3+2+2、3サルコウと予定していたジャンプを全てパーフェクトにこなし、フィニッシュした三原選手は満面に笑みを浮かべました。得点は139.17点でフリー3位、ショートから追い上げましたが、3位のラディオノワ選手とは0.75点差で惜しくも4位となりました。
 ショートは直前の6分間練習でロシアのエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手とぶつかってしまうアクシデントが発生。多少痛みがあったようで、冒頭の3+3はもしかしたらその影響もあったのかもしれません。それでも致命的な失敗は犯さない安定感はさすがで、新しいチャレンジとなる「リベルタンゴ」もまだ完全に体になじんでいるというところまでは行っていない印象を受けましたが、少しずつ音楽が三原選手の体に染み込んできているのかなという感じがしました。フリーは2アクセルのミス以外はいつもの三原選手の軽やかかつ伸びのあるジャンプで、エレメンツとエレメンツの間の流れも良く、ゆったりとした優雅なプログラムに合っていましたね。さらに壮大さ、スケール感の大きさを今以上に表現できると、演技構成点の評価も上がってくるのかなと思います。
 今大会の女子は上位選手にミスが少なくハイレベルな戦いとなり、三原選手も200点を超えたにもかかわらず4位と不運と言えば不運でした。ファイナルに進むためには次のフランス大会で優勝する必要があり、ザギトワ選手やカナダ大会を制したケイトリン・オズモンド選手を破らなければなりません。厳しい試合となりそうですが、体に気をつけてうまく調整して、また笑顔で終われるように祈っています。


 5位は日本の新星、本田真凛選手です。

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 前週のスケートカナダに続き、初めての連戦となった本田選手。ショートはスケートカナダより難度を落としたジャンプ構成で臨み、冒頭は3フリップ+3トゥループ、クリーンに跳び切ったかに見えましたがセカンドジャンプがアンダーローテーションと判定されます。中盤のスピンとステップシークエンスはレベル4。後半の3ループ、2アクセルもきっちり着氷し、最後のスピンもレベル4と丁寧にこなし、66.90点で三原選手と同点となりますが、技術点で上回った本田選手が6位となります。

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 フリー冒頭は単独の3ルッツ、これをしっかり下りて好スタートを切ります。続く3フリップ+3トゥループは2+3になるミス。後半最初は2アクセル+3トゥループで、パーフェクトに成功させると、3+2+2も全てのジャンプを回り切って下ります。3サルコウ、3ループも難なく着氷し、最後のジャンプは2アクセルの予定でしたが急遽変更し3フリップに挑戦。惜しくも回転不足とはなりましたが、最後まで戦う意志の感じられる内容で、131.42点でフリー5位、総合5位と順位を上げました。
 2週連続での試合ということでフリーは少し疲れていたかなという感じがしましたが、ショート、フリーともに大きな取りこぼしなくまとめたのはスケートカナダでの失敗をさっそく活かしていて良かったですね。この2試合を振り返ってみると、まだ本来の本田選手の良さ、魅力は出し切れていないかなという印象で、ジュニアの時の思い切りの良さ、勢いが雲に隠れているような気がします。作ったばかりのショートは演じた回数自体が少ないので仕方ない面もありますが、フリーも「トゥーランドット」という壮大な音楽の中に本田選手が埋もれてしまっているようで、本当であればスケーターが音楽を引っ張っているように見える演技が理想的だと思うので、全日本選手権ではもっと弾けた演技が見られることを期待したいですね。


 6位は世界選手権2017銅メダル、カナダのガブリエル・デールマン選手です。

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 SPは「ハバネラ オペラ「カルメン」より」。冒頭の3トゥループ+3トゥループは目を見張る高さと飛距離でほとんどのジャッジから加点3の評価を受けます。続くスピンは珍しくバランスを崩し減点。しかし、後半の3ルッツ、2アクセルはクリーンに決めて、終盤のステップシークエンス、スピンはレベル4と安定してエレメンツをこなし、自己ベストに近い70.65点でトップに立ちます。
 フリーは「映画『グラディエーター』より」。冒頭の3トゥループ+3トゥループはショート同様にパーフェクトな出来で加点1.9点。次いで3フリップも着氷しますが、踏み切りのエッジエラーのため大幅に減点。続く得意の3ルッツは確実に決めます。後半は3+2+2からで、若干詰まったため減点。3ループ、2アクセルは問題なく成功させますが、最後の3サルコウはステップアウトで氷に片手をつきます。演技を終えたデールマン選手は少し残念そうに顔を曇らせました。得点は126.18点でフリー7位、総合6位と大きく順位を落としました。
 フィンランディアトロフィーに続き、これが今季2試合目のデールマン選手。フィンランディアはミス連発で6位と振るわず、今大会はその時より20点以上得点は上積みしたもののやはり6位と、低調なシーズンのスタートとなっています。世界選手権のメダリストになったとはいえ、好演技を続けないとジャッジからの評価も下がっていってしまいますし、世界の表彰台の常連になるためには、やはりシーズン序盤から連続で表彰台落ちというのはあまり印象は良くないですね。オリンピックでメダル争いに加わるためには、ここが踏ん張りどころ。今回の演技もそんなに悪い内容ではなかったので、細かいスピンの取りこぼしやジャンプの流れなどを改善して、次戦のフランス大会ではさらにデールマン選手らしい演技を楽しみにしたいと思います。



 ここからは歴史的な試合となったアイスダンスについてです。

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 歴史に残る演技を披露し圧勝したのはフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組です。SDは「Shape Of You/Thinking Out Loud」のエド・シーランメドレーで、全てのエレメンツを極めて高いクオリティーとレベルでまとめ、自身初、そして史上2組目の80点台となる81.10点をマークし、2位に8点以上もの差をつけて首位発進。FDはベートーベンの「月光ソナタ」。演技前半のサーキュラーステップがレベル3となった以外は全てレベル4という完成度の高い滑りで、自身が保持するフリーの世界最高スコアを更新する119.33点を叩き出し、トータルでも前週のスケートカナダでテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組が記録したばかりの世界最高点を塗り替え、アイスダンス史上初の200点台に乗せ、2位に約15点の大差をつけて、GP4勝目にこれ以上ない花を添えました。
 GP初戦とは思えない隙のない演技でただただ脱帽ですね。それにしても一気に200点を突破するとは予想外でした。スケートカナダでヴァーチュー&モイア組が199.86点という世界最高をマークし、このままヴァーチュー&モイア組の無双状態になっていくのかと思いきや、パパダキス&シゼロン組が次週にはそれを抜いて去るというあまりにも鮮やかなアイスダンス界のトップ争いで、オリンピック金メダルの行方はまた混沌としてきましたね。しかしヴァーチュー&モイア組がNHK杯で完璧な演技をすれば再び世界最高を更新する可能性もあり、最終的に今季のうちにアイスダンスの世界最高得点はどこまで行くのか、天井はないといった感じですね。次戦のフランス大会でもパパダキス&シゼロン組らしい演技を楽しみにしています。中国杯優勝、おめでとうございました。

 2位はアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組です。SDは「Aguanile/Que lio/Vivir mi vida」。パターンダンスの加点が伸び悩んだり、ステップが1つレベル2にとどまったりと細かい取りこぼしが目立ち、自己ベストより6点ほど低い得点で2位となります。FDは「イマジン」。ショートから打って変わってステップ以外全てレベル4とそつなくまとめ、自己ベストに約1点と迫るスコアをマークし2位、トータルでも2位となりました。
 GP前の実戦はなく、今大会がシーズン初戦となったチョック&ベイツ組。そういった意味で仕上がり具合としては表彰台に乗ったほかのカップルより遅れているのかもしれませんが、フリーをしっかりまとめてくるところは2度世界選手権の表彰台に乗っている実力者らしい安定感ですね。次戦のフランス大会では今回ミスがあったSDでのレベルアップに注目です。

 3位はロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組。SDはこちらもパターンダンスがレベル2になる取りこぼしがあり、ロステレコム杯でマークしたシーズンベストより4点ほど低いスコアで3位にとどまりました。FDはミスらしいミスなくクリーンなプログラムを演じましたが、オンドレイネペラトロフィーでマークしたシーズンベストにはわずかに及ばず3位、総合でも3位となりました。
 前々週のロステレコム杯では2位だったボブロワ&ソロビエフ組。今大会はその時よりスコアが落ちてしまい課題は残ったのかなと思いますが、叶えば通算7度目となるファイナル進出に向けては可能性を大いに残しました。ただ、ファイナルでメダル争いに食い込むためには確実に190点台は必要ですし、欲を言えば190点台後半が望ましいので、自己ベストが180点台後半のボブロワ&ソロビエフ組にとっては厳しいでしょうが、今後のさらなるブラッシュアップに期待ですね。



 女子&アイスダンス編は以上です。男子&ペア編に続きます。


:女子メダリスト3選手のスリーショット画像、樋口選手の画像、三原選手の画像、本田選手のSPの画像、デールマン選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ザギトワ選手の画像は、共同通信社の英語版ニュースサイト「Kyodo News」が2017年11月4日の22:07に配信した記事「Figure skating: Japan's Higuchi finishes 2nd at Cup of China」から、ラディオノワ選手の画像、本田選手のフリーの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、アイスダンスメダリスト3組の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
中国杯2017・男子&ペア―ミハイル・コリヤダ選手、シーズンベストでGP初優勝 2017年11月8日

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# by hitsujigusa | 2017-11-07 02:01 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 GPシリーズ2戦目のスケートカナダ2017。女子とアイスダンスについて前記事でお伝えしましたので、今回は男子とペアです。
 男子を制したのは日本の宇野昌磨選手。他の追随を許さない圧倒的な演技でGP3勝目を手にしました。2位にはアメリカの実力者ジェイソン・ブラウン選手、3位にはロシアの新星アレクサンドル・サマリン選手が入りました。
 ペアは前世界王者、地元カナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組がSP2位から逆転で優勝しました。

ISU GP Skate Canada International 2017 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 男子の覇者は世界選手権2017銀メダルの宇野昌磨選手です!

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 SPはヴィヴァルディの「冬 「四季」より」。まずは代名詞の4フリップをパーフェクトに決めて2.29点という極めて高い加点を得て好スタート。スピンとステップシークエンスを挟んで後半、4トゥループからのコンビネーションジャンプはファーストジャンプの着氷で若干流れが滞ったため、無理せずセカンドジャンプを2トゥループにして加点を狙います。得意の3アクセルはいつもどおり安定感抜群の跳躍とランディングでこちらも2.43点と高い加点。スピンは全てレベル4と取りこぼしなく滑り切り、103.62点と9月のロンバルディアトロフィーでマークしたパーソナルベストに迫るハイスコアで断トツの首位発進となります。

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 フリーは2季前と同じ「トゥーランドット」。まずは昨季習得した4ループ、これを完璧に下りて2.14点の加点を獲得。続くジャンプは今季習得したばかりの4サルコウは回避し3ループにしましたが、4ループの直後とあって感覚が狂ったのか回りすぎで下りてきてしまい着氷を乱します。次いで3アクセルはクリーンに着氷しすぐに立て直します。後半最初のジャンプはこれまた大技の4フリップでしたが、着氷でステップアウトし減点。続く4トゥループはアンダーローテーション(軽度の回転不足)での着氷で再びステップアウトとミスが重なります。ですが、直後の4トゥループ+2トゥループは若干耐えながらも成功。3アクセル+1ループ+3フリップはスムーズな流れで決め加点2。最後の3サルコウは急遽3トゥループを付けてリカバリーし加点に繋げ、フィニッシュした宇野選手はほっとしたような笑顔を見せました。得点は197.48点でもちろんフリー1位、総合1位でGP3勝目を上げました。
 大会が始まる1週間ほど前からカナダ入りし、時差への対応など緻密に調整していた宇野選手。その効果もあってかショートは「体が動きすぎる」「アドレナリンが出すぎていた」と本人が話すくらいキレキレの演技でした。そこから一転、フリーはショートの半分ほどしか体が動かなかったというくらいエネルギーが不足していたようですが、はた目にはそうとは全くわからないくらい、スピード感だったり動作の繊細さだったりの方が印象に残りましたね。調子が悪い時にこそその選手の真価が表れると私は思っていますが、そういった意味で宇野選手は多少不調でもこれだけの演技ができるというのを示し、すでにそのレベルにまで達しているんだなということをつくづく感じさせられました。
 宇野選手の次戦は3週間後のフランス大会。調子が良くても悪くても、宇野選手は軸がしっかりしているスケーターなので全く心配するところはないですから、自分のペースでうまく調整してまた納得のいく演技ができるよう頑張ってほしいですね。スケートカナダ優勝、おめでとうございました。


 2位はアメリカのジェイソン・ブラウン選手です。

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 SPは「The Room Where It Happen ミュージカル「ハミルトン」より」。まずは3アクセルから、着氷がわずかに乱れますが最小限のミスに抑えます。続く3ルッツはクリーンに成功させ、後半の3+3もきれいな着氷。冒頭の3アクセル以外の全てのエレメンツが1点以上の加点という質の高さで、特に終盤のステップシークエンスはほとんどのジャッジが満点となる加点3の高評価を与え、90.71点で3位と好発進します。
 フリーは「Inner Love」。冒頭は未だ公式試合で成功させたことのない4トゥループに果敢に挑戦、しかしアンダーローテーションで下りてきてしまいあえなく転倒します。直後の3アクセルも少し慎重になったのかアンダーローテーションでの着氷で減点。しかし次の3フリップは難なく成功させます。後半最初は3アクセル+3トゥループ、これを完璧に決めて1.29点の加点を獲得。続く3+1+3も全てのジャンプを回り切って着氷します。次いで3ループは珍しくパンクして1回転となりますが、3ルッツ+2トゥループ、2アクセルと残りのジャンプはクリーンにこなし、悲哀漂うプログラムの世界を余すことなく表現し切りました。得点は170.43点でフリー2位、総合でも2位と順位を一つ上げました。
 今回も残念ながら4回転初成功はなりませんでしたが、そんなことはごくごく些末なことと思えるくらい演技自体が素晴らしく美しかったですね。ショートは軽快なミュージカルナンバーでブラウン選手独特のバネのある動きを活かした振り付け、滑りがいかんなく発揮され、かと思うとブラウン選手のために作曲されたオリジナル曲であるというフリーは、センチメンタルで、それでいてダイナミックという相反する世界観を、繊細に、時に大らかに、頭のてっぺんから足のつま先まで気を配りながら表現していて、ショートとフリーでまるで別人のように魅せてくれます。やはりこういった演技を見せられると、これぞフィギュアスケートと言いたくなりますし、点数なんかは度外視して、フィギュアスケートの一つの究極形だなと思いますね。
 ブラウン選手の次戦はNHK杯。日本で見られることを嬉しく思いますし、初めてのファイナル出場も懸かりますが、ブラウン選手らしくのびのびと滑ってほしいですね。


 3位は今大会がGPデビューとなったロシアのアレクサンドル・サマリン選手です。

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 SPは「月光ソナタ/I'm No angel」。冒頭は試合ではまだ成功させたことのない大技4ルッツ+3トゥループ、これをしっかり回り切って下り見事に成功させます。続く4トゥループは若干着氷を乱し、後半の3アクセルはアンダーローテーションでの着氷で大きくバランスを崩します。しかし4+3の成功が効いて84.02点と自己ベストをマーク、4位と表彰台を狙える位置につけます。
 フリーは「La Naissance de Yaha/The Unforgiven III/House of the Rising Sun」。まずは前日初成功させた4ルッツから、これをショートよりもきれいな質で下りて加点2の高評価を得ます。続く4トゥループもクリーンな着氷で加点1.86点。さらに3アクセルも加点2と演技前半は最高の出来となります。後半もまずは3+3を確実に決めて勢いを繋げますが、3アクセル+2トゥループは3アクセルが回転不足に。続く3ルッツ、3ループはクリーンに成功させ、最後の2アクセルは着氷を乱しながらも大崩れはせず、大きなミスなく演技を終えました。得点はショートに続き自己ベストの166.04点でフリー3位、総合3位と、GPデビューにして銅メダルを獲得しました。
 今大会最大のサプライズとなったサマリン選手。何といってもショート、フリーともに成功させた4ルッツはただ成功させただけではなく質も高いもので本当に驚かされました。ショートもフリーも演技後半にミスがあって、疲れてきた時にどれだけ技や表現の細部を疎かにせずまとめられるかは今後の課題ですし、今回の好演技だけではまだ安定感の有無というのは判断できないので何とも言えないのですが、どちらにせよ4回転時代の申し子の一人として楽しみな選手であることは間違いないですね。サマリン選手の次戦はフランス大会。そちらでもパーソナルベスト更新に期待したいですね。


 4位はソチ五輪銀メダル、カナダのパトリック・チャン選手です。

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 SPは「Dust in the Wind」。まずは得点源の4トゥループ+3トゥループを確実に決めると、続く3ルッツも問題なく成功。後半の苦手の3アクセルは着氷が大きく乱れますが、スピンは全てレベル4を揃え、世界屈指のスケーティングで軽やかかつ優雅な演技を披露し、94.43点で2位につけます。
 フリーは「ハレルヤ」。冒頭は前日決めた4トゥループの連続ジャンプからでしたが、4トゥループで転倒し狙い通りとはいかず。続く3ルッツもバランスを崩します。さらに3アクセルからの3連続ジャンプは2+1+2とパンクが続きます。後半最初は2本目の4トゥループでしたが3回転に。次いで2本目の3アクセルは2アクセル、3ループは2ループとパンクを連発。3ルッツは着氷が乱れてコンビネーションにできず、最後の3フリップはクリーンに跳び切りましたが、チャン選手らしからぬ精彩を欠いた内容で自己ベストから52点以上も低いスコアにとどまり、フリー7位、総合4位と表彰台を逃しました。
 ショートは良すぎず悪すぎずの演技でしたが、フリーは近年見たことがないくらい不安定なジャンプが続きましたね。本来得意な4トゥループが始めに決まらなかったところから悪い流れが始まってしまいましたが、良い時であれば次のジャンプですぐに立て直せるのがチャン選手の強みなのが、今回は4トゥループの直後の3ルッツも失敗し、その次に鬼門の3アクセルが待ち受けているということで、どんどん力んで悪循環に陥ってしまったのかもしれません。それでも後半になれば挽回のチャンスはまだまだあったと思うのですが、4トゥループが3回転になったことで経験豊富なチャン選手といえども戸惑いが生まれてしまったのかなと思いますね。
 チャン選手の次戦はNHK杯。ファイナルに進むためには優勝が必須条件かと思いますが、結果以前にチャン選手らしい演技が見られることを願いたいですし、この初戦からどう巻き返すのか注目したいと思います。


 5位はベルギーのヨリク・ヘンドリックス選手です。

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 SPは「Je Suis Malade」。まずは得点源となる3アクセルをクリーンに下りて加点1を獲得すると、後半の3+3はファーストジャンプの着氷で前のめりになり、若干強引に3トゥループを付けたものの回転が足りず減点となります。最後の3ループはきっちり着氷し、ステップシークエンス、スピンは全選手中唯一の全てレベル4という高い質でまとめ、82.08点で6位につけました。
 フリーは「アランフェス協奏曲」。冒頭はショートと同じく3アクセルからで、これに2トゥループを付けた形で成功させます。2本目の3アクセルはステップアウトし減点。3サルコウはクリーンに下ります。後半に入って最初の3ルッツからの2連続3回転は2+3に。しかし、その後のジャンプは全て目立ったミスなくこなし、ステップシークエンス、スピンはショートに続き全てレベル4と丁寧に演じ切り、155.23点でフリー5位、総合でも5位とGP自己最高位をマークしました。
 昨シーズンは初めてGP2試合に出場し両方とも一桁順位、欧州選手権では4位と比較的波の少ないシーズンを送ったヘンドリックス選手。今季は9月のネーベルホルントロフィーでさっそく自己ベストを更新して優勝し、今大会もミスを最小限に抑えた演技で5位と、昨季からの良い流れを継続させているように見受けられます。4回転こそない選手ですが、全体的にバランスの取れたジャンプ構成を組める選手ですし、また、今大会はステップシークエンスに対してのレベル判定がわりと厳しかったにもかかわらず、彼だけがショートもフリーもレベル4を取れていて、すでにベテランの域に達している選手ではありますが、年々成長が感じられますね。次戦のスケートアメリカにも期待です。


 6位はチェコのベテラン、ミハル・ブレジナ選手です。

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 SPは10/11、11/12シーズンにも演じた「鼓童」。まずは得点源の4サルコウ+2トゥループを詰まり気味ながらも回り切って成功させます。続く3アクセルは流れのあるランディングで1点以上の加点。後半の3ルッツはステップアウトしますが、スピンは全てレベル4とそつのなさも見せ、80.34点で7位発進となります。
 フリーは「Human/Stand By Me」。冒頭はショートで決めた4サルコウ、これも若干こらえながらも成功させると、3アクセル+2トゥループ、3フリップ+2トゥループはそれぞれGOEは0点だったもののミスらしいミスなく跳び切ります。勝負の後半、2本目の3アクセルはきれいな着氷で加点1。続く3ループは着氷が乱れ、3+2+2は3本目の2トゥループを跳んでしまったためその分は無得点になりますがノーミスで成功。残りの2つの単独ジャンプもクリーンにこなし、最後まで力強い演技を披露しました。得点は156.70点でフリー4位、総合6位で大会を終えました。
 ここ数年不安定な演技が目立っていたブレジナ選手にしては比較的好演といえる内容だったかなと思いますね。シーズン初戦のUSインターナショナルクラシックはかなり大崩れした演技で、2戦目のフィンランディアトロフィーではまずまず立て直し、そして今大会は細かなミスはありつつも得点源となる重要なジャンプは全て成功させたということで、徐々にではあるものの調子は取り戻しているのかなという印象です。こうした演技を次のNHK杯でも継続できればさらなる自信にも繋がると思うので、うまく調整して日本で良い思い出を作ってほしいなと思います。


 日本の無良崇人選手は最下位の12位にとどまりました。

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 SPは昨季に引き続き「Zapateado」。冒頭は4トゥループでしたが回転不足で下りてきてしまい減点を受けます。直後の代名詞3アクセルは高い跳躍で1点以上の加点を獲得。後半の3+3は微妙に流れが止まりわずかに減点されますがまとめ、74.82点で8位につけます。

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 フリーは「オペラ座の怪人」。冒頭は得意の3アクセルからで、これをショートよりもきれいな質で決めて2点近くの高い加点を稼ぎます。しかし続く4トゥループは抜けて2回転に、3ループも2ループにと同じミスを連発。ステップシークエンスとスピンを挟んだ後半に何とか巻き返したいところでしたが、最初の3ルッツは空中で回転がほどけてダウングレード(大幅な回転不足)で着氷。さらに2本目の3アクセル、2本目の3ルッツは着氷が乱れ、どちらもコンビネーションにできず。終盤の3フリップは2回転に、そして最後に挑んだ3ルッツは3本目の3ルッツだったため規定違反で0点にと、最初の3アクセル以外全てのジャンプでミスを犯してしまい、111.84点でフリー12位、総合12位と順位を落としました。
 ショートも決して好演技とは言えませんが、それ以上にほとんどのジャンプが失敗に終わったフリーは一体何が無良選手に起きたんだろうと思ってしまうほど予想外の演技でした。実は怪我を抱えているのではないかと疑ってしまうほどの不調ぶりで、本人はそういった発言は全くしていないので、それを信じるならばただただ一つのミスが次のミスの呼び水になったような形で負の連鎖にハマってしまったという感じですね。フリーに関してもう一つ気になったのは、プログラムが全体的に重々しいかなということです。無良選手は14/15シーズンのフリーでも「オペラ座の怪人」を演じていて、その時と今回とでは振り付け師が異なるのでプログラムで使用する曲も違っていて、全く別の「オペラ座の怪人」と言えるのですが、今回のプログラムはしっとりとした曲やスローな曲がメインという気がするので、もう少し華やかさや盛り上がり、メリハリが欲しいかなと個人的には感じました。もちろん新しい「オペラ座の怪人」を演じたのはまだ2試合のみで、そのどちらも表現以前にジャンプがあまりにも整わなさすぎたのでプログラム自体を評価するのは難しいのですが、無良選手の魅力と言えばやはりダイナミックさや豪快さだと思うので、アップテンポなパート、壮大なパートがもう少しあってもいいのかなという印象を受けました。
 次のスケートアメリカまでは約1ヵ月間ありますから、まずはジャンプの調子を取り戻して、無良選手らしい演技を見せてほしいと思います。



 次はペアです。

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 優勝したのはカナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組。SPは「With or Without You」。冒頭の3ツイストはクリーンに決めますが、続くソロジャンプの3ルッツは2回転に。しかしその後のエレメンツは全て完璧でレベル4&加点1以上と質の高さを見せつけ、73.53点で2位と好位置につけます。フリーは14/15シーズンに演じた「Neutron Star Collision/サムソンとデリラ/Uprising」。まずは3ツイストを確実に成功させると、ショートでミスのあった3ルッツも着氷。さらに大技スロー4サルコウを加点1以上のクオリティーで成功させ最高の立ち上がりとします。中盤以降も3+2+2の3連続ジャンプやスロー3ルッツなど難しい技を次々と決め、演技を終えた二人はガッツポーズで喜びを露わに。148.69点でフリー1位、逆転で総合1位となり、ファイナルも含めGP8勝目を上げました。
 昨季はシーズン後半に調子を落とし、世界選手権ではラドフォード選手の怪我の影響もあって7位と表彰台から遠ざかったデュハメル&ラドフォード組。しかし今大会の演技は、無敵状態で快進撃を続けていた時のような迫力と力強さに満ちた、本当に二人らしい滑りでしたね。元々デュハメル&ラドフォード組と言えば、高難度のジャンプを跳べる上に安定感が売りというジャンプ系エレメンツが真骨頂のペアでしたから、その得意技の調子が戻ってきたことは今後に向けて嬉しい収穫ではないでしょうか。次戦のスケートアメリカまでは間が空きますが、うまくピーキングしてまた今回のような元気の良い演技を見せてほしいと思います。
 2位はドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組です。SPは「Ameksa - Fuego」。冒頭の3ツイストはレベル4に加え、加点1.9点という極めて高い評価を受けます。続く大技スロー3アクセルはステップアウト。その後はミスらしいミスなくエレメンツを揃え、自己ベストに約2点と迫るハイスコアで首位に立ちます。フリーは「La Terre vue du ciel」。冒頭はショート同様に3ツイストを完璧に成功。次いでスロー2アクセルもクリーンに着氷と理想的なスタートを切ります。しかし3トゥループ+3トゥループのシークエンスジャンプ、3サルコウは両方とも男性のマッソ選手にミスがあり大きな失点に。以降のエレメンツは全て加点1以上とさすがの実力を示しましたが、自己ベストより12点ほど低い得点でフリー3位、総合2位と優勝は逃しました。
 フリーはソロジャンプが2つとも失敗に終わり、ここで多くの得点ロスをしてしまったのがもったいなかったですね。それでもそのほかのエレメンツにミスを引きずらない安定感は素晴らしかったです。スロー3アクセルという大技にもチャレンジしているペアですが、それ以外のエレメンツでも確実に高い加点が稼げるのが強みで、ソロジャンプが全てハマればもっともっと強くなっていきそうですし、女性のサフチェンコ選手は33歳の超ベテランですが、まだまだ伸びしろもありそうです。
 3位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組。SPは「Make It Rain」。冒頭の3ツイストはレベル2にとどまりますが、ほかのエレメンツは全てクリーンにこなしパーソナルベストまで2点というスコアで3位と好発進します。フリーは「Say Something/Sense of Freedom」で、冒頭の3ツイストはショートと同じレベル2でしたが、続く3連続ジャンプはパーフェクトに成功。さらに大技スロー4サルコウは両足着氷となり減点されたものの最小限のミスに抑えます。その後も目立ったミスなくレベルの高いエレメンツを繰り広げ、フリー2位、総合3位でGP3度目の表彰台を射止めました。
 昨シーズンは欧州選手権で大台となる200点を大幅に超える自己ベストを叩き出して銅メダルを獲得し飛躍を遂げたジェームズ&シプレ組。今季はその勢いが単なる勢いではなく地力なのか否かが問われる重要なシーズンですが、9月のオータムクラシックインターナショナル、今大会と210点を超えるスコアを続けてマークし、実力が本物であることを証明していますね。次戦のフランス大会の結果次第では初のファイナルも見えてきますが、母国開催のプレッシャーももちろんあると思いますから、手強いライバルはもちろん、自分自身のメンタルにも打ち勝って、ファイナルの切符を自力で引き寄せてほしいですね。



 スケートカナダ2017の記事は以上で全て終了です。次は中国杯。日本からは女子が三原舞依選手、樋口新葉選手、本田真凛選手、男子が田中刑事選手が出場します。女子は日本開催のNHK杯以外では唯一の3選手エントリーで、しかもオリンピック代表権を争う有力な3選手の直接対決とあって非常に楽しみですが、順位、点数というよりも、3人が3人ともベストな演技をしてお互いを刺激し合い、さらに高め合えるような試合になればいいなと思います。一方、男子の田中選手は負傷のためGP初戦のロシア大会を辞退してから初めての実戦。調整の期間としては短い中でどれだけ本来の感覚を取り戻せたかは未知数ですが、あまり結果は気にせずのびのびと滑って、全日本選手権に繋がるような収穫の多い試合になることを願っています。では。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像は、毎日新聞のニュースサイトの英語版が2017年10月30日に配信した記事「Uno earns 1st Grand Prix title of season at Skate Canada」から、宇野選手のSPの画像、チャン選手の画像、ヘンドリックス選手の画像は、スケート情報サイト「icenetwork」から、宇野選手のフリーの画像、ブレジナ選手の画像、無良選手のフリーの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ブラウン選手の画像は、ブラウン選手の公式インスタグラムから、サマリン選手の画像は、カナダのフィギュアスケート団体「Skate Canada」の公式ツイッターから、無良選手のSPの画像、ペアメダリスト3組の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
スケートカナダ2017・女子&アイスダンス―ケイトリン・オズモンド選手、5季ぶりのGP優勝 2017年11月1日

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# by hitsujigusa | 2017-11-03 17:27 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)