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 ベストコスチューム16/17、いよいよ最後の記事、女子のフリー部門です。今回も16/17シーズンのコスチュームの個人的なベスト10を紹介していきます。なお、ベスト10を決める上でのルールについては、こちらの記事をご覧ください。

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 栄えある女子フリー部門1位は、アメリカのカレン・チェンの「ジェラシー」です。

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 コンチネンタルタンゴの名曲「ジェラシー」。情熱的かつ艶やかなタンゴを演じ切り、チェン選手の新たな代表作となりました。
 そんな大人っぽいプログラムに合わせたのは黒を基調とした指先まで覆う長袖ワンピース。その中央を突っ切るように肌がのぞき、その周辺に重点的にふんだんに細かいラインストーンがあしらわれ、黒の中に鮮やかに赤や白が浮かび上がるデザインとなっています。また、肩から胸にかけては炎のような曲線的なデザインも施されていて、こちらも情熱的なさまを想起させます。さらに、指先まで黒で覆うことでタンゴ特有の艶っぽい仕草も白い氷に映えるようになっていて、細部までしっかり練られた衣装だなと思いますね。


 2位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「エキソジェネシス交響曲第3部」です。

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 イギリスのバンド、ミューズの「エキソジェネシス交響曲第3部」。いまやフィギュア界でも定番と化したクラシックの趣きのあるロック音楽です。ワグナー選手はこの楽曲を用い2種類の衣装を使用しましたが、私が今回選んだのはシーズン前半に着用された方です。
 全面にまばゆい装飾が施されたシルバーの袖なしワンピース。シンプルといえばシンプルなのですが、これだけきらびやかだとともすれば派手派手しすぎてチープな印象にもなりかねません。ですが、この衣装はきらびやかでありながらも大人びたシックさというのも感じさせるデザインで、それもラインストーンやビジューの配置のバランスの巧さなのだと思います。また、色づかいも上から下に向かって濃くなるグレーのグラデーションで、グレーという地味な色を華やかに着こなしているのはさすがベテランのワグナー選手ならではだなと思います。


 3位は日本の浅田真央選手の「バレエ「恋は魔術師」より」。

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 ショートと同じくマヌエル・デ・ファリャの「恋は魔術師」を用い、そこから数曲を抜粋し構成したプログラムですが、ショートが“黒い鳥”をイメージしたミステリアスなピアノプログラムだったのに比べ、フリーは壮大なオーケストラによる情熱的でエネルギッシュなプログラムとなっています。そのコンセプトのままに衣装は赤一色のものを2種類用いましたが、そのうちより多く使われた方を今回は選びました。
 何といっても目を引くのは鮮やかな赤ですが、その中央は大胆に肌をのぞかせるデザインとなっており、その周囲に植物のようにも燃えたぎる炎のようにも見えるデザインが施されていて、より一層情熱を感じさせます。そして上半身から腰まで入った深いスリットは妖艶さを醸し出しています。
 2つで1つの作品として作られた16/17シーズンの浅田選手のショートとフリーですが、ショートの衣装が直線的なラインが強調されたデザインであったのと比較すると、フリーは全体的に曲線的な作りで、衣装でも両プログラムのコンセプトの違いがうかがえておもしろいなと思いますね。


 4位はカナダのガブリエル・デールマン選手の「ラプソディー・イン・ブルー」です。

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 フィギュア界でも定番のガーシュウィンの代表作「ラプソディー・イン・ブルー」。ということで衣装も曲名のとおりのブルーの衣装となっています。
 作り自体は非常にシンプルで、胸元が深いV字のようになった長袖ワンピースで形自体に新鮮味はありませんが、全体に散りばめられたラインストーンによって華がプラスされていてインパクトのあるコスチュームに仕上がっています。さらに、ところどころ大ぶりのビジューやラインストーンの集合体によってアクセントがつけられていて、パッと見ると小さな花がデザインされているようにも見えます。特に腰の部分はラインストーンを集中的に施すことによってベルトっぽく見えるデザインになっていて、プリントでもなく刺繍でもなく、ラインストーンのみで模様を浮かび上がらせたというところにこだわりを感じますね。


 5位は日本の宮原知子選手の「惑星/映画『スター・ウォーズ』より」。

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 ホルストの代表作「惑星」とSF映画の金字塔『スター・ウォーズ』のサントラを組み合わせ、“愛と平和”をテーマに据えた壮大なプログラムです。
 そんな重厚なプログラムのイメージには反して、衣装は軽やかさを感じさせる白一色。ですが同じ白でも、下に着ているビジューやラインストーンをあしらったシルバーっぽい服の上に、お腹の中心で交差させた柔らかい素材の淡いクリーム色の布とを重ねた重層的な作りになっていて、シンプルでもあり複雑さもある衣装と言えます。重厚なプログラムなので衣装も黒や青といった暗めの色にすると重くなりすぎてしまうところですが、白一色にすることでちょうどよいバランスが取れていて良いですね。


 6位はロシアのエレーナ・ラディオノワ選手の「歌劇「トゥーランドット」より」。

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 フィギュア界王道中の王道、オペラ「トゥーランドット」を使用したダイナミックかつ華麗なプログラム。
 そんな「トゥーランドット」にしては珍しく、ラディオノワ選手が選んだのは可愛らしいピンク色の衣装。重厚な作品に対しては可憐すぎる色合いかなという気もするのですが、ピンクはピンクでも微妙に色味の異なるピンクを複数使用しているので重層的に感じられます。また、鋭い直線的なラインとうねるような曲線的なラインとが交差するデザインは力強くインパクトがあり、色づかいのフェミニンさに男性的な要素もプラスしているように思います。
 ピンクという色が作り出すイメージと重層的な線が作り出すイメージとが合わさってお互いを補っている素敵なコスチュームですね。


 7位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手の「ダフニスとクロエ」です。

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 「ボレロ」でも知られるフランスの作曲家モーリス・ラヴェルのバレエ「ダフニスとクロエ」。牧歌的で幻想的、ゆったりと始まり最後は熱狂的に幕を閉じるプログラムです。
 こういったファンタジックなプログラムだと、白やピンクなど淡い優しい色を合わせたくなるところですが、ゴールド選手が選んだのはまさに“ゴールド”のワンピース。厳密に言うならばゴールドというよりはベージュに近いのかもしれませんが、衣装全体にびっしりと敷き詰められたラインストーンによって、輝かんばかりの金色の衣装という印象を与えます。これだけ肌の色に近いコスチュームを着こなすというのは難しいと思うのですが、同じベージュでも濃い部分と淡い部分のメリハリをつけてありますし、また、ゴールド選手の白い肌ともよく合っていて、ゴールド選手だからこそ似合う衣装という感じもしますね。


 8位はアメリカの長洲未来選手の「The Winner Takes It All」です。

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 スウェーデン発の世界的グループ、ABBAのヒット曲「The Winner Takes It All」を、同じくスウェーデンの歌手サラ・ドーン・ファイナーがカバーしバラード調にアレンジしたバージョンを使用したプログラムです。
 全体的にゆったり、しっとりとした曲想ということで、衣装は清廉さを思わせる白をベースに、繊細な装飾を凝らしています。ワンピースは胸元から腰にかけてスリットが入っていますがそこまで深い切れ目ではなく、それよりもその周囲に施されたラインストーンやビジューのゴージャスさが印象に残ります。また、首回り、手首もジュエリーのようなデザインになっていて、装飾づかいが本当に素晴らしいコスチュームだと思います。


 9位はカナダのケイトリン・オズモンド選手の「歌劇「ラ・ボエーム」より」。

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 プッチーニの代表作の一つ「ラ・ボエーム」。1830年代のパリを舞台に貧しいボヘミアンたちの日常を描いた華麗でドラマチックなオペラ作品です。
 衣装はそんな華麗さを如実に表す鮮やかな深紅。胸元やお腹の部分はレース調になっていて、そのレースの縁をシルバーのラインストーンで彩っていて、よりいっそう華やかな雰囲気がプラスされています。衣装の形的にも左右対称で、女性らしいレースを用いたオーソドックスなイメージの衣装ですが、細部まで手を抜かない本格的な作りだからこそ、これだけ高級感のある気品溢れるコスチュームになるのだなと感じさせられますね。


 10位は日本の樋口新葉選手の「シェヘラザード」です。

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 こちらも大定番中の大定番「シェヘラザード」を使用したダイナミックかつ情熱的なプログラムです。
 色は鮮やかな赤で「シェヘラザード」らしい情熱を表現。衣装の形としてはビキニのようなセパレート型ですが、胸部から腰へと繊細かつ重厚な装飾によって繋がっているようなデザインになっており、首や二の腕、お腹から腰に施されたこのジュエリー風のデザインが「シェヘラザード」の舞台であるペルシャらしい雰囲気をよく伝えています。また、頭には額部分に大きなジュエリーがついたサークレットをはめていて、こういったところも非常に「シェヘラザード」らしくて好いなと思いますね。



 女子フリー部門のベスト10は以上です。これで16/17シーズンのベストコスチュームシリーズは全て終了となります。5月下旬から書き始めてスローペースの更新となり2カ月近くもかかってしまい申し訳なかったですが、お読みくださりありがとうございました。
 そうこうしているうちにいよいよオリンピックシーズンが幕を開け(7月1日から新シーズン)、各選手たちの新プログラム情報も次々と伝わってきており、そちらの記事もできるだけ早くアップしたいと思いますので、もう少しお待ちください。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、チェン選手の画像、浅田選手の画像、宮原選手の画像、オズモンド選手の画像、樋口選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ワグナー選手の画像はフィギュアスケート情報サイト「Golden Skate」が2016年10月23日位配信した記事「Ashley Wagner: “It was sticky but I got it done”」から、デールマン選手の画像、長洲選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ラディオノワ選手の画像、ゴールド選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2017-07-12 17:32 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 16/17シーズンの素晴らしいコスチュームの数々をランキング形式で紹介するベストコスチューム16/17。この記事では女子のショートプログラムのベスト10をご紹介します。なお、この記事を書くにあたってのルールについては、こちらをご覧ください。

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 女子ショートプログラム部門第1位は、韓国の朴小宴(パク・ソヨン)選手の「映画『黄金の腕』より」です。

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 フランク・シナトラ主演の映画『黄金の腕』。作曲を映画音楽界の巨匠エルマー・バーンスタインが担当しており、フィルム・ノワール(=犯罪映画)らしいどこか怪しげな、しかしパワフルでカッコいい曲調がインパクト大の音楽です。
 そんな世界観をイメージしてか、朴選手の衣装も黒を基調としたクールな雰囲気のワンピース。ですが、上半身前面に色とりどりのラインストーンやビジューなどの装飾品によってシンメトリーな模様がデザインされていて、非常に華やかです。これだけ全体的にキラキラとしていると派手派手しくなりかねませんが、ベースの色が黒であること、また、模様が左右対称で統一感があることによってシックさもしっかりあって、ゴージャスとシックを見事に両立した衣装と言えます。また、右手首にはゴールドのブレスレットをはめ、まさに“黄金の腕”を象徴的に表現していて、細部までこだわったコーディネートになっていて素晴らしいと思います。


 2位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「Sweet Dreams(Are Made of This)」です。

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 イギリスの男女デュオ、ユーリズミックスの「Sweet Dreams(Are Made of This)」。ノリノリでクールなカッコいいダンスナンバーとなっています。
 衣装は右袖だけ長袖というアシンメトリーなデザイン。ボディ部分全体、右肩や首のチョーカー、左手首のブレスレット風のアクセサリーなど、全体的にビジューやラインストーンがふんだんに使用され、デコラティブでゴージャスなデザインとなっています。ですが、色をネイビーと青という落ち着いた色合いにすることで華やかな装飾品とのバランスが取れていると思います。また、左の胸部分やスカートの裾などカクカクとした直角的なフォルムになっていて、音楽のエレクトリックかつ近未来的なイメージをよく表わしていて、表現にこだわるワグナー選手らしいよく考えられた衣装ですね。


 3位はカナダのガブリエル・デールマン選手の「歌劇「エロディアード」より」。

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 フランスの作曲家ジュール・マスネのオペラ「エロディアード」を使用した壮大で力強いプログラム。「エロディアード」はあの“サロメ”を題材にしたストーリーとあって、デールマン選手の衣装も中東らしいエキゾチックなデザインとなっています。
 何といっても特徴的なのは上半身に大胆に描かれた2匹のコブラ。黒い透け感のある生地の上にさまざなま種類のビジューを用いて交差するコブラがデザインされているわけですが、パッと見ではコブラとはわからないほどデザイン的に美しく昇華されています。コブラの体の曲線的なさまに加え、ビジューで彩られた目や口、そしてリアルなうろこの立体感も、ビジューだからこそ出せる質感で、ともすればチープになりかねないアニマルモチーフを見事にデザイン性高く仕上げていると思いますね。


 4位はアメリカのマライア・ベル選手の「映画『シカゴ』より」。

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 ブロードウェイミュージカルを映画化した『シカゴ』。そのサントラはフィギュア界でも定番となっていますが、ベル選手は劇中曲2曲を組み合わせた軽快なプログラムにしています。
 衣装も映画のイメージを忠実に再現していて、劇中で主人公のロキシーが着ているシルバーのドレスとよく似ています。ただ、よく見るとベル選手のワンピースは大ぶりのビジューが散りばめられていたり腕にシースルーのアームカバーをつけていたりと映画よりも装飾的で華やかな印象が増していて、映画の衣装をそのまま真似するのではなく、ベル選手なりの“シカゴ”を作り上げていて素敵な衣装になっていると思います。


 5位は中国の李子君(リ・ジジュン)選手の「Le Diable Matou」です。

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 フランスの作曲家フランソワ・ドンピエール作曲の「Le Diable Matou」。妖しげなヴァイオリンの旋律で幕を開け、エレガンスなピアノの音色が追いかけるようにヴァイオリンと組み合わさり、最後はヴァイオリンとピアノが一体となってアップテンポに締めくくられる変則的な曲調のプログラムです。
 今までの可憐で可愛らしい李選手のイメージをガラリと変えるプログラムですが、衣装も彼女にしては珍しく黒一色。首から指先まで覆う徹底ぶりは、曲名の“Diable”=“悪魔”という名にぴったりですね。とはいえただの黒一色ではなく、全身に細かいラインストーンが散りばめられていて、それも単にランダムに散りばめるのではなく過剰すぎずかといって少なすぎもせずバランスの良い配置の仕方になっていて、シックな華やかさというのを感じさせます。また、指先まで黒で覆うことで指の細やかな振り付けまではっきりと氷に映えるようになっていて、これも考えられているなと思います。さらに、スカートは部分によって長さが違うアシンメトリーな作りで、色自体が重さを感じさせる分、スカートも全体的に長くしてしまうと重くなりすぎてしまいますが、部分的に長くすることによって大人っぽさも醸しつつ、重さと軽やかさがほどよいバランスになっていて、一見シンプルですが非常にこだわりの感じられるコスチュームですね。


 6位はフランスのマエ=ベレニス・メイテ選手の「Goodness/Freedom」です。

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 力強くダイナミックな楽曲2曲を組み合わせたメドレープログラム。ということでコスチュームも男性的で活発さを感じさせるパンツルックとなっています。
 まず目を引くのはそのパンツスタイルというところですが、その黒いパンツによって引き立てられているのがオリジナリティー溢れる上半身のデザイン。レオタードのように上から下まで一体となったようなウェアの上に、肩と腰に硬質感のある素材を着用したような作りになっていて、その部分だけ赤っぽいラインストーンや縁取りとして金色のラインストーンが惜しげもなくあしらわれています。パンツスタイルのため一見男性的でカッコよくも見える衣装ですが、実際には体にピタリと沿った作りなので女性的なセクシーさも感じさせますし、肩パッドやコルセットを模したようなデザインもある意味で女性らしくもあり、スカートの衣装と変わらないくらい女性らしさを感じさせるコスチュームだなと思います。


 7位はアメリカの長洲未来選手の「夜想曲第20番」です。

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 ショパンの代表作の一つ「夜想曲第20番」を使用した悲哀漂うしっとりとしたプログラムで、衣装も音楽の世界観に合った気品を感じさせるデザインとなっています。
 ベースとなる色は深みのある紫。その胸元からウエストにかけて前面にアラベスク模様のような複雑な柄がラインストーンやビジューによって立体的に描かれており、非常に贅沢かつゴージャスな作りとなっています。首からデコルテにかけてはジュエリー風のデザインとなっていて、こちらも紫の宝石風装飾品を用いながら豪華なデザインがなされています。全体的にきっちりと左右対称に作られていて、統一感のあるデザインがショパンの正統派の音楽ともよく合っているなと思います。


 8位は日本の浅田真央選手の「Danza ritual del fuego バレエ「恋は魔術師」より」。

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 スペインを代表する作曲家マヌエル・デ・ファリャの代表作「恋は魔術師」。その中でも特に有名な「Danza ritual del fuego」(英語では「Rutual Fire Dance」、日本語では「火祭りの踊り」としても知られます)のピアノバージョンを使用したプログラム。16/17シーズン、浅田選手は同じ楽曲のピアノ版をショート、オーケストラ版をフリーで用い(厳密にはフリーでは「恋は魔術師」の別パートも使っています)、ショートは“黒い鳥”をイメージした妖しげな世界観のプログラムとなっています。
 そうしたコンセプトに合わせて衣装も黒一色でミステリアスな雰囲気を前面に押し出しています。上半身や腕は植物のようにも鳥の羽のようにも見える作りとなっており、それらが身体を這うようなデザインはまさに妖しげな雰囲気。そして透け感のあるスカートも1枚や2枚ではなく複数の長さの違う生地をあえてランダムに重ねた作りがミステリアスなさまを表現しています。
 体を覆う布の面積が少ないデザインというのは必然的に肌が露出する面積も大きくなるのでバランスを取るのが難しいと思うのですが、この衣装は黒い生地の部分、肌がのぞく部分とちょうどよい配分になっているので、妖艶さも醸し出しつつセクシーになりすぎない素晴らしいコスチュームだと思います。


 9位はアメリカのグレイシー・ゴールド選手の「Assassin's Tango 映画『Mr.&Mrs. スミス』より」。

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 映画『Mr.&Mrs. スミス』のサントラの中のタンゴを使用したプログラム。なのでタンゴといってもラテン色は薄めで、コンチネンタルタンゴのような趣きが濃いでしょうか。
 ということで衣装もタンゴでは定番の赤を使わず、黒一色のシックな色づかい。首から胸、お腹にかけて黒く細い紐が絡み合い網のようになった独特なデザインで、非常に現代的でモードっぽい印象を与えます。また、この紐や体の中心を縦断する曲線的なラインがフェミニンな雰囲気を生み出していて、曲自体は「Assassin's Tango」=「暗殺者のタンゴ」という物騒な名前にふさわしくどこか緊迫感のあるクールな曲調ですが、この曲線を強調したコスチュームによって女性らしさもちゃんとプラスされて良い塩梅になっているのかなと思いますね。


 10位はカザフスタンのエリザベート・トゥルシンバエワ選手の「アイ・ガット・リズム」です。

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 ガーシュウィン作曲の定番曲「アイ・ガット・リズム」をカナダのジャズ歌手ニッキ・ヤノフスキーが軽快かつリズミカルに歌ったバージョンを使用したプログラム。実はトゥルシンバエワ選手はこのプログラムを15/16シーズンにも滑っていますが、画像の衣装は16/17シーズンに初めて着用された新しいものなので今回選ばせていただきました。
 ごく短い袖がついた黒のワンピースは、シルバーのラインストーンによって襟風のデザインが施された個性的な作り。普通に布で襟をつけるよりも華やかで目を引くものとなっていて、その周囲にふんだんに散りばめられた数々のラインストーンとも相まってゴージャスな雰囲気です。布だけで作られた黒いワンピースだとシックになりすぎる可能性がありますが、装飾品をうまく使うことで華も加えつつ、また、下にピンクのスカートを重ねることでティーンネイジャーらしい等身大の可愛らしさも表現できていて、ジャズの大人っぽさと、トゥルシンバエワ選手のフレッシュさの両方を活かした衣装だなと思います。



 女子SPのベスト10は以上です。次はいよいよこのシリーズ最後、女子フリーに続きます!


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、朴選手の画像は朴選手のファンクラブのツイッターから、ワグナー選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、デールマン選手の画像は、国際スケート連盟の公式サイトが2017年3月29日に配信した「Evgenia Medvedeva (RUS) takes lead in highly competitive Ladies Short Program」という記事から、ベル選手の画像はフジテレビのスケート情報サイト「FujiTV Skating Club フジスケ」から、李選手の画像は李選手の公式インスタグラムから、メイテ選手の画像はフィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、長洲選手の画像、浅田選手の画像、トゥルシンバエワ選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ゴールド選手の画像はマルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2017-07-08 01:50 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 16/17シーズンのコスチュームの各カテゴリー別のベスト10を勝手に発表するベストコスチューム16/17。今回はペアのフリー部門です。なお、このランキングのルールについては、こちらの記事をご覧ください。

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 ペアフリー部門第1位はアメリカのヘイヴン・デニー&ブランドン・フレイジャー組の「映画『ある日どこかで』より」。

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 1980年公開のアメリカ映画『ある日どこかで』のサウンドトラックを使用した壮大かつ華麗、どことなく哀愁漂うプログラムです。
 男女ともに鮮やかな青を基調とした衣装ですが、女性は左肩だけのワンショルダーのワンピース。何といっても特徴的なのはふんだんにあしらわれたさまざまな装飾品で、肩から胸にかけては大ぶりのビジューが施され、特にみぞおちの部分はぎっしりと敷き詰めるようなゴージャスなデザインとなっています。そのほかの部分でも細かいラインストーンなどがたっぷりと使用されていて、非常に華やかな印象を与えます。また、写真では見えませんが、背中側ではビキニ風のデザインとなっていて、衣装の形としても凝った作りと言えます。一方、男性の衣装は襟ぐりに細かなラインストーンがあしらわれているのみのシンプルな長袖トップスで、女性がゴージャスな分、男性は控えめにすることでバランスが取れていますね。
 高貴なロイヤルブルーでダイナミックさを、繊細な装飾づかいで優雅さを表していて、重層的なプログラムにぴったり合った素晴らしいコスチュームだと思います。


 2位はロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンドル・エンベルト組の「クライ・ミー・ア・リヴァ―」です。

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 アメリカのポピュラーソング「クライ・ミー・ア・リヴァ―」。ザビアコ&エンベルト組が使用しているのはカナダの歌手マイケル・ブーブレが歌うバージョンで、壮大でドラマチックなプログラムとなっています。
 女性のザビアコ選手はストラップレスのドレスで、胸からお腹にかけて葉っぱのような独創的なモチーフで覆われています。スカートはグレーとピンクの組み合わせで、全体的に落ち着いた色合いとなっています。一方、男性のエンベルト選手は濃いめのグレーの長袖シャツに、微妙に色の違う青みがかったグレーのパンツというシンプルなスタイル。個性的なデザインの衣装の女性と比べてシンプルに徹底することで、女性の美しさを引き立てるコーディネートと言えます。
 両者ともにグレーを基調とした衣装で、ともすれば地味になりかねないと思うのですが、ひとえにグレーといっても複雑な色合いのグレーをさまざま組み合わせていて絶妙なカラーコーディネーションだなと思いますし、必ずしも華やかな色を使わなくても氷の上で映える衣装になるという好例ですね。


 3位はドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組の「Lighthouse」です。

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 カナダの歌手パトリック・ワトソンの「Lighthouse」。ピアノの静かな音色と男性ボーカルの優しく、時に力強いハイトーンボイスが繰り広げる壮大かつ繊細な世界観のプログラムです。
 男女ともに同じ色、素材のコスチュームで、うっすらと透け感のあるクリーム色に、グレーがまるで水彩画のように濃い部分と淡い部分が入り混じって広がっていて、非常に幻想的な色づかいとなっています。その生地を使って、女性の方は長袖のワンピースを着用。細かなラインストーンが全身に散りばめられていますが、淡いグレーの中に溶け込むようにあしらわれています。男性の方は同じ生地を使いながらもグレーの色合いが女性よりも濃い目で範囲も広く、よりダークな印象でしょうか。クリーム色の部分が多い女性と、グレーの部分が多い男性と、絶妙な対比となっていて、まさに2人で1つの衣装という感じがしますね。


 4位はイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ&オンドレイ・ホタレク組の「スカイフォール 映画『007 スカイフォール』より/映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』より」。

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 『007』と『ミッション:インポッシブル』というアクション大作のサントラを繋げたプログラム。ということで衣装も映画の世界観を想起させるデザインとなっています。
 女性のマルケイ選手は黒をベースにしたミニスカートドレス。襟ぐりや胸元の装飾品、スカートの裾にシルバーがあしらわれていて、特に襟ぐりから胸元にかけてのデザインはシルバーのラインストーンをびっしりとふんだんに施しており、非常に高貴でゴージャス、しかしシックでもあり上品な印象を与えています。そして、男性は全身黒のシンプルなスタイル。全てを黒でまとめることで『007』のジェームズ・ボンドや『ミッション:インポッシブル』のイーサン・ハントのようなスパイっぽい雰囲気が醸し出されていると思いますね。


 5位は中国の彭程(ペン・チェン)&金楊(ジン・ヤン)組の「I Will Wait For You 映画『シェルブールの雨傘』より」。

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 フィギュア界でも定番のミュージカル映画『シェルブールの雨傘』。その中でも特に有名な主題曲「I Will Wait For You」を使用したドラマチックでロマンチックなプログラムです。
 女性は淡いブルーのワンショルダー型ワンピース。といっても右肩にかかるストラップは白い花のアップリケを連ねたようなデザインで、本当のストラップというよりは装飾的な意味合いが強いですね。その花が肩から胸、お腹、腰にかけてライン状にあしらわれていて、女性らしい可愛らしい印象を作り出していて、ワンピースの色とも相まってプログラムの世界観によく合ったデザインになっていると思います。一方、男性はシンプルな白いシャツに黒いパンツというスタンダードスタイル。ですが、シャツはネックレス風の装飾やパフスリーブのような袖など装飾性もあり、こちらもロマンチックで甘めな雰囲気が音楽に合っているなと感じます。


 6位は中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組の「明日に架ける橋」です。

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 サイモン&ガーファンクルの世界的ヒット曲「明日に架ける橋」を、アメリカのR&B歌手ジョン・レジェンドが歌ったカバーバージョンを使用したプログラム。
 女性の隋選手はワンショルダーのピンクがかったオレンジ色のワンピース姿。上半身はリボンを体に巻きつけたような曲線的なデザインで、まさに“虹”のようでもあり美しいですね。男性は白いシャツに黒いジャケットですが、ジャケットは襟やポケットが別の素材のネイビーになっていますし、シャツもジャケットもボタンは金色で統一していて、オーソドックスなシャツ&ジャケットスタイルとは違う個性が感じられます。このプログラムであればジャケットなしでシャツだけのカジュアルスタイルでもいいのかなという気もしますが、女性の衣装がオレンジと明るい分、男性の衣装を黒にすることで両者のバランスという意味では良いカラーコーディネーションになっているのかもしれません。


 7位は中国の王雪涵(ワン・シュエハン)&王磊(ワン・レイ)組の「映画『慕情』より」。

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 『慕情』は香港を舞台にしたアメリカ映画で、その主題歌「Love Is A Many Splendored Thing」も有名です。王&王組のプログラムは映画のサントラと主題歌のインストゥルメンタルバージョンを組み合わせたドラマチックで壮大な作品となっています。
 女性は青紫を基調としたワンショルダーワンピース。ですが、上半身は右と左で微妙に色を変えていて、左側は紫というより青に近いでしょうか。また、この写真では見にくいでしょうが、右肩はシルバーの細いラインを連ねてストラップにしたようなデザインになっていて、左右でかなりデザインの違うアシンメトリーな作りと言えます。スカートも前後、左右で長さを変えていて、また、スリットから下のピンクのスカートがのぞく作りになっており、非常に複雑に考えられた衣装だなと思います。そして、男性は上下ともに黒の衣装ですが、トップスはフロント部分に深い青をあしらった個性的なデザイン。正装のようなきっちりした感じでもなく、かといってカジュアルという感じでもなく、品もありつつ外した雰囲気もあるおもしろい衣装だなと思いますね。

 8位はカナダのメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード組の「水に流して」です。

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 シャンソンの名曲「水に流して」を使用し、重厚な女性ボーカルの力強さもあり、しっとりと哀愁漂う趣きもあり、大人のプログラムという感じです。
 女性は淡いピンクの長袖ドレス。ですが、全体的に透け感のある生地なので甘すぎず、シャンソンのどっしりとした世界観にも違和感なくはまっています。一方、男性は黒一色の衣装。シーズン前半は男性もピンクの衣装を着ていたのですが、男女ともにピンクだと少し甘美な印象が強すぎるかなというところだったのが、男性が黒い衣装に変えたことで男女のバランスとして引き締まった感じになって良いと思います。また、黒いシャツには同系色の刺繍がなされていて、同じ黒なのでほとんど見えないくらいのデザインなのですが、見えないところにこだわっているのが素敵だなと感じますね。


 9位は中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組の「Cavatina, Larghetto amoroso」です。

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 フランツ・リストの晩年の弟子の一人として知られるドイツの作曲家エミール・フォン・ザウアーのピアノ曲「Cavatina, Larghetto amoroso」。大きな曲調の変化はなく、しっとりと優しい優雅なプログラムです。
 そんなクラシカルな趣きが濃いプログラムに合わせて女性の于選手の衣装も淡いピンクをベースにした柔らかな印象のワンピース。胸元には白い花のアップリケが施され、スカートはピンクの下にグレーを重ね、裾はレース調になっています。装飾性はありますが、ビジューなど華やかな装飾はあまり使っておらず、布の素材感をそのまま活かした素朴なワンピースだなと思います。そして、男性の張選手は黒の上下。トップスは布にギャザーを寄せて立体的な模様を作り出しています。左肩にアクセント的に大ぶりのビジューをあしらってはいますが、それ以外に装飾的な部分はあまりなく、女性の華やかさを引き立てるコスチュームになっていますね。


 10位はオーストリアのミリアム・ツィーグラー&セヴェリン・キーファー組の「ミーカ・メドレー」です。

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 レバノン出身のポップ歌手ミーカの楽曲のメドレープログラム。プログラムの前半から中盤は壮大でクラシカルなバラード調、終盤はアップテンポにとめくるめく展開を見せます。
 衣装は男女ともにクラシカル。男性は白いシャツに菱形の模様が入った蝶ネクタイを外した抜け感のあるコーディネート。女性はボルドー色のワンピースで、胸元にはラメを施したような素材を下に重ねています。さらに、胸の下、腰の上にウエストマークするようにあしらわれたジュエリー風の装飾も気品を感じさせるデザインで、シックであり華やかでもありというバランスの取れた衣装だと思います。
 プログラムのイメージからするとクラシカル過ぎるのかなという気もしますが、ボーカル入りとはいえクラシックっぽい部分が大きいプログラムでもあるので、そうした世界観を前面に押し出したかったのかなと想像しますね。



 さて、ペアフリー部門は以上です。次はいよいよ女子のショートプログラムです。スローペースの更新で申し訳ないですが、次の記事アップまでもう少しお待ちください。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、デニー&フレイジャー組の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ザビアコ&エンベルト組の画像、サフチェンコ&マッソ組の画像、ツィーグラー&キーファー組の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、マルケイ&ホタレク組の画像は、マルケイ選手の公式インスタグラムから、彭&金組の画像は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、隋&韓組の画像は、スケート情報サイト「icenetwork」が2017年3月31日に配信した記事「Sui, Han strive to be greater after winning world title」から、王&王組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、デュハメル&ラドフォード組の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、于&張組の画像は、カナダのテレビ局「CBC」が2016年12月9日に配信した動画から引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2017-07-03 23:05 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)