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 全日本選手権2017、男子&アイスダンスの記事の後編をお送りします。なお、前編はこちらからご覧ください。

第86回全日本選手権大会 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 男子の6位となったのは全日本ジュニア王者の須本光希選手です。

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 SPは「映画『雨に唄えば』より」。まずは得点源の3アクセルを余裕を持って決めると、3フリップも規定どおりステップから直ちに跳び切り1.2点の加点。後半の3+3はファーストジャンプとセカンドジャンプのあいだにターンが入り減点されますが、スピンは3つともレベル4を揃えました。得点は72.93点で7位となります。

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 フリーは「ミュージカル「レ・ミゼラブル」より」。まずは3アクセル+2トゥループを確実に成功。続けて2本目の3アクセル、3フリップと単独ジャンプをクリーンに下ります。中盤のスピン2つ、ステップシークエンスは最高難度のレベル4を獲得。そして後半の3+3を決めると、2アクセル+1ループ+3サルコウも着氷。3ループ、3ルッツ、2アクセルと全てのジャンプを予定どおり下り、演技を終えた須本選手はガッツポーズで喜びを表しました。得点は非公式ながらパーソナルベストを大幅に上回る152.83点でフリー6位、総合6位と全日本自己最高位を記録しました。
 約2週間前のジュニアGPファイナルで銅メダルを獲得した須本選手。そこから短期間でシニア仕様のプログラムに変更しての全日本となり、特にフリーは3アクセルを1本から2本に増やして難易度をぐっと上げた構成で大変だったと思うのですが、最初から最後まで全く流れの途切れない演技で素晴らしかったですね。須本選手の場合、全日本ジュニア選手権でも優勝しているので世界ジュニア選手権への派遣は内定していて、何かしらの選考が関わってくる試合ではなかったのですが、シニアの全日本でどれだけ自分の力を発揮できるか、インパクトを残せるかという点において、自分自身としっかり戦って、集中し切れているように見受けられました。次世代の日本男子エース候補として、非常に頼もしく感じられる佇まいでしたね。世界ジュニアまで時間が空きますが、うまくピークを合わせて最高の演技ができることを願っています。


 7位は西日本選手権王者の日野龍樹選手です。

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 SPは「映画『恋におぼれて』より」。冒頭は3ルッツからの連続ジャンプの予定でしたが、3ルッツでステップアウトしコンビネーションにならず。次いで3アクセルは回転は充分だったものの転倒。後半の3ループに急遽3トゥループをつけて冷静にリカバリーしましたが、前半のジャンプミスが響き、68.22点で10位にとどまります。

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 フリーは昨季と同じ「キダム」。4回転は回避し、冒頭は3ルッツ+1ループ+3サルコウ、これをパーフェクトに決めます。次いで3+3、3アクセル+2トゥループ、3ループと、前半に固めた4つのジャンプ要素は全てクリーンに着氷。後半はまず3アクセルを完璧に下りて1点以上の加点を得ると、3フリップは踏み切りのエッジエラーを取られますが大きな乱れなくこなし、終盤の2本の2アクセルも問題なし。ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と丁寧に演じ切り、フィニッシュした日野選手は感極まった表情を見せました。得点は非公式ながら自己ベストを20点ほど上回る155.39点でフリー4位、総合7位と大きく順位を上げました。
 ショートは意気込みが空回りしたのか思わぬミスが続いて10位と出遅れましたが、フリーはさすが西日本チャンピオンという安心感を持って見ていられる演技でしたね。その西日本では236.22点と国内のブロック大会としてはハイスコアも叩き出していて、それだけの実力があることは証明済みだからこそ、今大会のショートはもったいなかったと言わざるをえません。技術的には昨季と比べても成長が見られるので、あとはメンタル面がそこに追いついてくるのを待つだけなのかなとも思います。西日本の時のような演技が毎回できるようになればまた一皮剥けそうですし、それができるだけの実力の持ち主ではあると思うので期待したいですね。


 8位は東日本選手権2位の佐藤洸彬選手です。

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 SP冒頭は3アクセルから、これをスムーズに決めて1.57点の加点を得ます。続いて得点源の4トゥループは着氷が乱れて減点。後半のコンビネーションジャンプは3+2でセカンドジャンプで両手を上げて跳び成功。得点は77.98点で6位と好発進します。

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 フリーもまずは3アクセルからで、ここに2トゥループをつけて跳び切ります。次の4トゥループはアンダーローテーション(軽度の回転不足)で下りてきてしまいステップアウト。さらに2本目の4トゥループはダウングレード(大幅な回転不足)の着氷で転倒とミスが相次ぎます。後半は最初の3アクセルを決めると、3サルコウも軽やかに成功させ波に乗るかに見えましたが、3ルッツは着氷ミス。終盤の3ループでは転倒し、最後の3フリップはまとめたものの、ジャンプミスが散見され、フィニッシュした佐藤選手は肩を落としました。得点は136.87点でフリー9位、昨年と同じ総合8位となりました。
 今季はNHK杯でGPデビューを飾り、新たな扉を開いた佐藤選手。元々独創的な表現力を持つ個性派のスケーターとして知られていましたが、4トゥループもプログラムに組み込めるようになるなどジャンプでも進化が見られ、この全日本をさらなるステップアップのきっかけにしてほしいところでしたが、4トゥループがなかなか決まらないことによってほかの簡単なジャンプにも影響を及ぼしてしまったかなという感じがしました。ただ、その中でも佐藤選手の武器であるスケーティングや表現は手を抜くことなく、最後まで戦う姿勢を見せていて、演じることに対してこれだけ真摯に向き合い続けていれば、きっとまた新たな扉も開くんじゃないかなと思いますし、チャンスを引き寄せることもできるんじゃないかなと感じますね。



 ここからはアイスダンスです。

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 3連覇を達成したのは村元哉中&クリス・リード組です!

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 SDはツイズルであまり加点が伸びなかったものの、ステップやパターンダンスでは大きな取りこぼしなくまとめ、2位のカップルに9点以上の差をつけて首位発進します。FDもツイズル、ステップはレベル3でしたが、それ以外では確実にレベル4を取り、国内外の大会を含め初めて100点台をマークし、他を寄せつけることなく堂々の3連覇を成し遂げました。
 今季は怪我もなく順調に一歩一歩試合ごとに前進しているという印象の村元&リード組。今大会は課題だったステップのレベルもショート、フリーともに3を取れていて、インタビューでもその部分の手ごたえを口にしていましたね。スケートアメリカ後の練習がしっかり身についているということなのでしょうし、今後の試合でもこのレベルがキープできるように継続していってほしいなと思います。何より、ショートもフリーも本当に素敵なプログラムなので、オリンピックの個人戦でもフリーに進んで、ベストを出し切れるように今から祈りたいですね。全日本3連覇、おめでとうございました。

 2位は昨年3位の小松原美里&ティモシー・コレト組。SDはステップやパターンダンスはレベル2にとどまったものの、ツイズルではレベル4を獲得し2位につけます。FDはステップ2つでレベル3を獲得。そのほかのエレメンツも目立ったミスなく確実にこなし、フリーも2位、総合2位で銀メダルを手にしました。

 3位は今季シニアデビューの深瀬理香子&立野在組です。SDはリフトでレベル4を取るも、ほかのエレメンツで細かな取りこぼしが散見されパーソナルベストより低い得点で3位。FDは2つのステップはレベル2でしたが、ほかのエレメンツは全てレベル4と丁寧にこなして加点も積み重ね、非公式ながら自己ベストを大きく上回るスコアでフリー3位、総合3位で全日本初表彰台となりました。



 さて、これらの結果を受けまして決定された年明け以降の主要国際大会の代表メンバーについてまとめていきます(敬称略)。その前に代表選考基準のおさらいです。


《平昌五輪代表選考基準(男子シングル)》

①全日本選手権大会優勝者を選考する。
②以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して 1 名選考する。
 A) 全日本選手権大会2位、3位の選手
 B) ISU グランプリファイナル出場者上位2名
③以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、①、②で選考された選手を含め3名に達するまで選考する。
 A) ②の A)又は B)に該当し、②の選考から漏れた選手
 B) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位3名
 C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位3名
 D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3名


《平昌五輪代表選考基準(アイスダンス)》

オリンピック最終予選で出場枠を獲得した場合、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。
 A)全日本選手権大会最上位組
 B)全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング最上位組
 C)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング最上位組
 D)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコアの最上位組


《世界選手権代表選考基準(男子シングル)》

①全日本選手権大会優勝者を選考する。
②以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して 1 名選考する。
 A) 全日本選手権大会2位、3位
 B) ISU グランプリファイナル出場者上位2名
③以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、①、②で選考された選手を含め3名に達するまで選考する。
 A) ②の A)又は B)に該当し、②の選考から漏れた選手
 B) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位3名
 C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位3名
 D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3名


《世界選手権代表選考基準(アイスダンス)》

以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。
 A)全日本選手権大会優勝組
 B)全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位3組
 C)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位3組
 D)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3組


《四大陸選手権代表選考基準(男子シングル)》

全日本選手権大会終了時に、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。
 A)全日本選手権大会10位以内
 B)全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位6名
 C)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位6名
 D)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位6名


《世界ジュニア選手権代表選考基準(男子シングル)》

①全日本ジュニア選手権大会優勝者を選考する。
②ジュニア対象年齢で派遣希望のある選手の中で、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、①で選考された選手を含め2名に達するまで選考する。
 A) 全日本ジュニア選手権大会2位、3位の選手
 B) ISU ジュニアグランプリファイナル出場者
 C) 全日本選手権大会参加者のうち上位3名
 D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位3名
 E) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3名



《平昌五輪代表》

男子シングル:宇野昌磨、田中刑事、羽生結弦
アイスダンス:村元哉中&クリス・リード組

《世界選手権代表》

男子シングル:宇野昌磨、田中刑事、羽生結弦
アイスダンス:村元哉中&クリス・リード組

《四大陸選手権代表》

男子シングル:宇野昌磨、田中刑事、無良崇人
アイスダンス:村元哉中&クリス・リード組、小松原美里&ティモシー・コレト組、深瀬理香子&立野在組

《世界ジュニア選手権代表》

男子シングル:須本光希、三宅星南




 まずは平昌五輪代表選考について。
 男子は何といっても全日本で優勝した宇野選手は問答無用で代表に選出です。
 そして2人目。各選考基準において「上位」と記載されている項目に関しては、対象年齢に達していない線府、対象資格を持っていない選手、また、選考済みの選手は除外し繰り上げて対象とするという注意書きがあるので、①で選ばれている宇野選手は除外します。ということで②の条件に該当するのは全日本2位の田中選手と3位の無良選手ということになりますが、ここはやはり上位の成績を残した田中選手が選ばれるのは妥当と言えます。
 最後の3人目。宇野選手に加え、田中選手も除いた上で③の条件に当てはまる選手をピックアップしていくと、A)は②の選考から漏れた選手ということで無良選手、B)は羽生選手、無良選手、友野一希選手、C)は羽生選手、須本選手、友野選手、D)は羽生選手、友野選手、須本選手となります。当てはまる項目の多さでは、羽生選手、友野選手が3項目、無良選手、須本選手が2項目ですが、B)、C)、D)の各項目において羽生選手が他の選手に圧倒的な大差をつけて最上位に立っており、また、全日本出場は原則必須ですが、過去に世界選手権で3位以内に入った選手がやむを得ない理由で全日本に参加できなかった場合は、事情が発生する前の成績を選考基準に照らして評価し選考することがある、となっているので、その救済措置を適用し、羽生選手が3人目として選出ということですね。疑念を挟む余地のない的確な代表メンバーだと思います。
 一方、アイスダンスは4項目に該当するカップルから総合的に判断するとされていますが、A)はもちろん村元&リード組、B)も村元&リード組、C)も村元&リード組、D)も村元&リード組ということで、断トツで村元&リード組が代表入りですね。


 世界選手権は男子は五輪の選考基準と全く同じということで、五輪と同じ顔ぶれになりました。
 アイスダンスは五輪の選考基準よりもゆるやかな基準になっていますが、それでも各項目で村元&リード組が他のカップルを寄せつけない成績を収めていますから、やはり村元&リード組を差し置いてというのは現実的にはありえませんね。


 四大陸選手権は上記2つの大会よりもさらに幅の広い基準となっています。その中で男子は羽生選手を除く五輪代表、世界選手権代表の2人がともに選出。五輪直前ですが、宇野、田中両選手とも出場の意思を示したということですね。そこに全日本3位の無良選手が加わったわけですが、無良選手も全日本で好演していますからチャンスが与えられた形ですね。
 アイスダンスに関しては具体的な基準はなく、国際的な競技力を考慮し総合的に判断するという文言のみで、全日本のトップスリーがそのまま選出されました。


 最後は世界ジュニア。男子は2枠ですが、まず全日本ジュニア優勝の須本選手が選出。その須本選手を除いて②の条件に該当する選手は、A)が三宅選手と壷井達也選手、B)は須本選手のみなのでスルーして、C)は三宅選手、壷井選手、佐藤駿選手、D)は壷井選手、木科雄登選手、三宅選手、E)は壷井選手、木科選手、三宅選手となっています。項目の該当数では、三宅選手、壷井選手ともに4項目、木科選手が2項目、佐藤選手が1項目ということで、三宅選手、壷井選手の一騎打ちとなります。ISUのシーズンワールドランキングやシーズンベストスコアで優位に立っている、つまり国際試合でより好成績を収めているのは壷井選手ですが、全日本ジュニア、全日本ともに三宅選手が壷井選手を上回っていて、海外試合の成績より国内の重要な大会での結果の方を重視したということで、これはシニアの方と同じ選考の傾向と言えますね。
 アイスダンスは国際的な競技力を考慮し……とのことで、その競技力のあるカップルが現時点ではジュニアにはいなかったようで派遣はなしとなっています。



 さて、全日本選手権2017、男子&アイスダンス編は以上です。年明け以降の主要国際大会に選ばれた代表選手たちには、ぜひベストを尽くして、有意義なシーズン後半にしてもらいたいと思います。では。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、日野選手の画像、アイスダンスメダリスト3組の画像、村元&リード組のFDの画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、須本選手のSPの画像、佐藤選手のSPの画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、須本選手のフリーの画像、佐藤選手のフリーの画像、村元&リード組のSDの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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全日本選手権2017・女子&ペア―宮原知子選手、4連覇で五輪代表決定(前編) 2017年12月25日
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# by hitsujigusa | 2017-12-30 02:12 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 オリンピック代表の座をかけた全日本選手権2017が12月21日から24日にかけて行われました。今回はその男子とアイスダンスの結果についてお伝えします。
 男子は世界王者の羽生結弦選手が怪我のため欠場する中、ディフェンディング・チャンピオンの宇野昌磨選手が2連覇を達成し、五輪代表の切符を手にしました。2位は田中刑事選手、3位は無良崇人選手が入り、昨年と同じ表彰台の顔ぶれとなりました。
 アイスダンスはエースの村元哉中&クリス・リード組が3連覇し、こちらも五輪代表に決定しました。

第86回全日本選手権大会 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 男子を制したのは世界選手権銀メダリストの宇野昌磨選手です!

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 SP冒頭は代名詞の4フリップ、これを若干耐えながらもクリーンに成功させます。続いてスピン、ステップシークエンスをレベル4でまとめると、後半は4トゥループ+3トゥループからでしたが、4トゥループで回りすぎて流れが止まってしまい、1トゥループをつけますが規定違反のため4トゥループの単独に。直後の3アクセルはしっかり決め、終盤の2つのスピンもいつもどおりクリアしましたが、コンビネーションジャンプが入らなかったことによって得点は96.83点と100点に届かず、それでも断トツの首位に立ちます。

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 フリー冒頭は大技4ループ、これをきっちりと着氷すると、続く得意の3アクセルは完璧な流れで決め、加点は満点となる3の高評価がつきます。さらに3ループも難なく下り、前半は最高の出来に。スピン2つ、ステップシークエンスもレベル4と丁寧にこなし、後半最初は4フリップでしたが、回転不足で転倒します。次いで4トゥループは何とかこらえますが、初めて挑戦した2アクセル+4トゥループはセカンドジャンプが2回転に。3アクセル+1ループ+3フリップは、うまくジャンプ同士が繋がらず最後のジャンプが1回転になります。次の3サルコウ+3トゥループは詰まりながらも耐えて成功させましたが、演技を終えた宇野選手は両手を合わせて謝るような仕草を見せました。得点は186.47点でフリーも1位、総合1位となり、2連覇を達成しました。
 昨年に引き続き偉大な先輩である羽生選手が不在の中で、絶対的な優勝候補として今大会を迎えた宇野選手。対等なライバルがいないという難しいシチュエーションで、また、五輪代表も間違いないという状況で、とにかく満足できる演技をするということだけが今回の宇野選手の目標だったと思うのですが、GP2戦目のフランス大会からのいまひとつ演技がハマらない流れを止めることはできなかったですね。かといってボロボロの演技が続いているというわけでもなく、ほんのちょっとしたズレという感じがするのですが、そのズレを修正するために宇野選手が新たにフリーに取り入れたのが2アクセル+4トゥループという世界初のコンビネーションジャンプで、試合になると4トゥループが回りすぎてしまってセカンドジャンプがつけられないというミスが多発していたため、2アクセルに4トゥループをつけることで連続ジャンプが単独になるのを防ごうという戦略だったものの、さすがに付け焼刃という雰囲気で成功はなりませんでしたね。宇野選手の場合、現地入りしてから構成を決めるということも多く、そうした引き出しの多さが彼の強みである一方で、いろんなジャンプにチャレンジすることで何がベストなのか見失ってしまうというか、気持ちがしっかり定まらない感じもあったんじゃないかなと想像します。そんな今大会の演技を受け、宇野選手はフリーで跳ぶ4回転を4フリップ、4ループ、4トゥループの3本に絞る意向を示しました。つまりは昨季の構成に戻すということで、普段の練習から一つの構成を体に染み込ませることで演技の安定を狙うというのは賢明な判断だと思います。ここ数試合の宇野選手の演技は方向性が固定されていない分、余裕のなさが少し気になっていたので、演技の方針を固めることで精神的にも余裕を持たせて、宇野選手らしい細部まで繊細な演技が戻ってくることを期待したいですね。
 四大陸選手権を経て、五輪に向かう宇野選手。まずは四大陸で弾みをつける演技をして、満面の笑みで終われることを願っています。全日本2連覇、おめでとうございました。


 銀メダルを獲得したのは成長株の田中刑事選手です。

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 ショート冒頭は鍵を握る大技4サルコウ、若干耐えながらもしっかり回り切って着氷させます。続いて3+3も成功。後半の3アクセルもクリーンに下りると、ステップシークエンスではブルースの激しい曲調に合わせたパワフルな滑りで会場を沸かせ、フィニッシュでは控えめながらもガッツポーズで手応えを示しました。得点は非公式ながら初めて90点台に乗せる91.34点で2位と好発進します。

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 フリーもまずは得点源の4サルコウから、これを完璧に決めて2.14点の加点を得ます。続けて2本目の4サルコウは着氷が乱れコンビネーションにできず。しかし直後の3アクセルはクリーンに下り、1点以上の加点を積み重ねます。そして後半、キーポイントとなる4トゥループをパーフェクトに着氷し、こちらも2.14点の加点。2本目の3アクセルは着氷ミスで単独になりますが、3+3は何とか下り、3ループ、3ルッツも大きなミスなくまとめ、175.81点でフリーも2位、総合2位で2年連続となる銀メダルを手にしました。
 シーズン開幕前から日本男子3人目として有力候補に挙げられながらも、故障もあってGPでは決め手となるような結果を残せなかった田中選手。そのためほかの候補選手たちとともに、全日本一発勝負という色合いが濃くなりましたが、緊張で演技が小さくなるという感じもなく、非常に田中選手らしいスケールの大きな演技ができていましたね。中国杯後は朝、昼のみならず、深夜練習も加え、血の滲むような練習をしてきたとのことで、その成果をここで発揮するんだという気圧されるような気迫が感じられるショート、フリーでした。ただ、フリーは連続ジャンプが一つしか入らなかったり、ステップがレベル2になったりと、まだまだ取りこぼしは多いなという印象でもあるので、五輪代表に選ばれて明確な目標が定まったからこそ、細部の仕上げ、演技全体のブラッシュアップにはこれから期待したいですね。
 まずは四大陸で納得のいく演技をして、五輪に繋げてほしいと思います。


 3位となったのはベテランの無良崇人選手です。

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 SPは得点源の4トゥループから、回転は充分だったものの着氷で片手をつき減点を受けます。直後の代名詞3アクセルは抜群の高さで2.14点の加点。後半の3+3は詰まり気味の着氷ながらも何とかこらえ、スピンは全てレベル4と取りこぼしなし。85.53点で3位につけます。

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 フリーもまずは4トゥループ、着氷でバランスを崩しかけながらもこらえて加点に繋げます。次いで3+3、3ループと前半のジャンプはほぼノーミスでまとめます。後半は得意の3アクセルに2トゥループをつけて決めると、2本目の3アクセルもクリーンに成功。3+1+2、3サルコウも下り、最後の3ルッツは着氷を乱したものの、最後までエネルギッシュな滑りを披露し、演技を終えた無良選手は力を出し尽くしたように両手を氷につきました。得点は172.88点でフリーも3位、総合3位で3年連続となる銅メダルを獲得しました。
 GPは12位&7位と五輪代表選考に向けてアピールできず、上述した田中選手同様、全日本に全てを託すこととなった無良選手。その気持ちがこれ以上ないというほど凝縮されて、こちらの胸が詰まるほどの感情のこもった演技でした。ただ、フリーは4回転を1本にとどめて演技の完成度を優先させたことによって、もちろん素晴らしいプログラムになったのは間違いないのですが、4回転3本の田中選手に追いつくのはかなり厳しい状況になってしまいましたね。無良選手本人がフリー後におっしゃっているように、4トゥループ2本で攻めてほしかったなという気もしますし、日本を代表して五輪に行くという担うものの大きさを考えても、やはり終始攻める気持ちがないと辿りつけないのが五輪という舞台なのではないかなとも思いました。ですが、その一方で最近まとまった演技がなかなかできていなかった無良選手が、久しぶりに転倒もパンクもなく最後まで演じ切ったというところで間違いなくベストを尽くした演技だったと思いますし、無良選手の五輪への執念がヒシヒシと伝わってきました。
 無良選手が来シーズン以降どういう道を歩むのかはまだ先の判断になるでしょうし、2022年の五輪を目指す気持ちはないということも断言されていますが、未来のことは本人にもわかりません。いろんな可能性を携えて前進していってほしいなと思いますし、もちろん今シーズンが終わったわけでもありませんから、四大陸で無良選手らしい演技が再び見られることを祈りたいですね。


 4位は今季シニアデビューの新星、友野一希選手です。

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 ショートは得点源の4サルコウから、これは着氷が大きく乱れます。直後の3+3はしっかり成功。後半の3アクセルもスムーズに着氷し、スピンは全てレベル4。得点は78.16点で5位発進とします。

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 フリーも冒頭は4サルコウからで、2トゥループをつけてきっちりコンビネーションにします。2本目の4サルコウはパンクして2回転に。3アクセル+3トゥループはセカンドジャンプが回転不足と判定されます。後半最初の3アクセル+2トゥループ+2ループはクリーンに着氷。3ループ、3サルコウも続けて下り、3ルッツは踏み切りのエッジが不正確とされたものの、最後の3フリップは問題なく成功。後半はミスらしいミスなくまとめ、「ウエスト・サイド・ストーリー」の軽快なリズムに乗ってノリノリで滑り切りました。得点は153.05点でフリーも5位、総合では4位と全日本自己最高位で大会を終えました。
 鍵を握る4サルコウが練習からあまり確率が良くなかったようで、クリーンに決まったのはフリー冒頭の1本のみでしたが、ジャンプに頼らずに会場を盛り上げられる演技力、雰囲気の作り方の巧さというのは今回も存分に発揮されましたね。友野選手自身は、「会場(の雰囲気)にのまれないように、精一杯だった」と語ったようですが、とてもそうは思えないのびやかさ、躍動感でしたし、あの空気感の中であれだけ楽しそうに滑れるというのは、友野選手の最大の武器なんじゃないかなと感じました。もちろん本人もおっしゃっているように技術面でのレベルアップは今後の課題で、世界のトップレベルまではまだ差がありますが、何がきっかけでコツをつかんで飛躍するかというのは誰にもわかりませんから、そのきっかけをつかみ損ねないように、いろんなことに挑んだり学んだりしてほしいなと思います。


 5位にはベテランの村上大介選手が入りました。

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 SPは2季前から継続の「彼を帰して ミュージカル『レ・ミゼラブル』より」。冒頭は得点源の4サルコウ、これをこらえながら着氷し最小限の減点にとどめます。続く3アクセルは完璧。後半の3ルッツ+3ループはセカンドジャンプが2回転となってしまい、演技を終えた村上選手は悔しさを滲ませつつも笑顔で観客の歓声に応えました。得点は80.99点で4位と好位置につけます。

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 フリーは「歌劇「道化師」より」。まずは4サルコウ、ショートよりもきれいに決め1点以上の加点を得ます。ですが、2本目の4サルコウは1回転に。3アクセル+2トゥループはクリーンに下ります。後半最初は3ループを難なく着氷しますが、3アクセルはステップアウト。3+1+3は最後のジャンプが2回転に。3フリップは着氷がわずかに乱れますが耐え、最後の3トゥループを確実に成功。ただ、ジャンプミスが響き、149.96点でフリー7位、総合5位と順位を一つ落としました。
 昨季は怪我のためGP2試合、全日本も欠場し、今季も急性肺炎のためNHK杯を辞退するなど不運が続いた村上選手。2年ぶりの全日本の舞台が平昌五輪へのラストチャンスという背水の陣でしたが、ミスがある中でも村上選手らしさが演技の端々から感じられました。ただ、試合勘が不足していた感は否めなく、優勝した2014年のNHK杯だったり表彰台に立った2015年のスケートカナダだったり、今以上に良い時の村上選手を知っているからこそ、さらに切れ味鋭いジャンプや、ダイナミックでありながら流れるようになめらかな滑りをもっともっと見たいなという感じがしました。村上選手はインスタグラムでさっそく、「次に向けてがんばります」「強くなって戻ってくる」と頼もしい言葉を綴っていて、次こそは心からの笑顔が見られることを願いたいですね。



 さて、全日本2017、男子&アイスダンスの前編はとりあえずここまでとさせていただきまして、後編に続けたいと思います。記事アップまでしばらくお待ちください。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、宇野選手のフリーの画像、無良選手のSPの画像、友野選手のフリーの画像、村上選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、宇野選手のSPの画像、田中選手の画像、無良選手のフリーの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、友野選手のSPの画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2017-12-27 15:08 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

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 前記事に引き続き、全日本選手権2017の女子とペアの結果について書いていきます。なお、前編はこちらからご覧ください。

第86回全日本選手権大会 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 女子の6位に入ったのは本郷理華選手です。

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 SPは得点源の3フリップ+3トゥループから、これを完璧に回り切り流れるようなランディングで決めると、後半の苦手の3ルッツも踏み切りのエッジが不正確と判定されたものの減点なくまとめ、最後の2アクセルもクリーンに成功。終盤のステップシークエンスでは気迫溢れる滑りで観客のスタンディングオベーションを誘い、フィニッシュした本郷選手は目に涙を浮かべました。得点は非公式ながら自己ベストを上回る70.48点で3位と好発進します。

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 フリーも冒頭は3フリップ+3トゥループ、これはセカンドジャンプの高さが足りず回転不足で下りてきてしまいます。続く3サルコウは片手を上げて跳び1点以上の加点。次いで鬼門の3ルッツでしたが、回転は充分だったものの転倒します。後半は最初の2アクセル+3トゥループ+2トゥループを決めますが、3ループで2度目の転倒。しかし、3+2、2アクセルと終盤のジャンプはまとめ、最後までエネルギッシュに滑り切りました。得点は127.14点でフリー8位、総合6位と順位を落としました。
 GPでは表現や滑りからは充実感がうかがえる一方で、ジャンプは細かな回転不足が重なりなかなか点数が伸びない試合が続いた本郷選手。念願の五輪出場のためには全日本優勝しかないという追い込まれた状況で迎えたSPは、五輪を諦めないという本郷選手の強い想い、気迫が演技の端々まで満ち満ちていて、思わず見ているこちらも息を呑むような迫力で圧倒されました。そしてフリーは演技序盤に転倒し、中盤にも再び転倒と、その時点で気持ちが萎えてしまってもおかしくない中、本郷選手の眼の力、体の動きの力強さは変わらず、改めて本当に芯の強い選手だなと感じました。
 最終的にはフリーでミスが出てしまい悔しさが残ったと思いますが、五輪を懸けたこの大会で本郷選手が見せたあのショートは間違いなく今年の全日本のハイライトの一つ、忘れられないシーンになりましたし、最後まで力を尽くしたという経験は本郷選手にとっても得がたい財産になるはずですので、今後のフィギュアスケート人生に活かしていってほしいですね。


 7位は今季シニアデビューの本田真凛選手です。

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 SP冒頭は3フリップ+3トゥループ、これをきっちり決めますが、後半の3ループは着氷で手をつきます。最後の2アクセルは無難にまとめ、スピンも全てレベル4と精度高くこなし、66.65点で6位につけました。

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 フリーはまず3ルッツで始まり、次いで3フリップと単独ジャンプを2本続け、どちらもしっかりまとめます。後半最初は得点源となる2アクセル+3トゥループ、これをきれいに決めます。しかし3ルッツからの3連続は3ルッツが2回転に。直後の3サルコウはクリーンに成功。2アクセル+3トゥループは一見クリーンな着氷に見えましたが、セカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)に。最後の3ループは2回転にとミスが重なり、演技を終えた本田選手は涙をこらえました。得点は126.72点でフリー9位、総合7位で大会を終えました。
 ショート、フリーともにミスが続いた本田選手ですが、正直本田選手の演技からは何が何でも自分がオリンピックに行くんだという覇気は感じられなかったですね。SP後のインタビューでは、「五輪選考会という感じはなかった」「緊張がなかった」といった話をしていて、個人的な感想としては、本田選手は自分がオリンピックに行くということを心のどこかで諦めていたのかなという印象を受けました。もちろん全日本に出場する全ての選手が五輪を目指す必要はなく、五輪どころか国際大会に出場するチャンスさえ与えられない選手も多い中、選手たちは各々の目標を設定して全日本に臨んでいるわけで、そうした目標に向かって精一杯滑っている選手の演技からはミスがあってもなくても何かしら伝わってくるものがあるのですが、本田選手はその目標を見失った状態で滑っているように見受けられましたね。そういった意味で、本田選手らしい溌剌さ、目が離せなくなるような華やかさが雲に隠れてしまったようで、少し残念でした。
 それでもフリー後に涙を流す本田選手の姿からは、真剣にフィギュアスケートに向き合ってきたんだなというのが感じられましたし、今まで自分がやって来たことが実を結ばなかったという悔しさが伝わってきました。本当の意味で本田選手の競技人生はここから始まっていくと思うので、シーズンの後半をどんなふうに過ごしていくのかはわかりませんが、次の夢に向かって頑張ってほしいと思います。


 8位は全日本ジュニア4位の横井ゆは菜選手です。

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 SPは「ライオン・キング」。冒頭の3フリップ+3トゥループは確実に回り切って着氷。後半に組み込んだ2アクセルは着氷で手をつきますが、最後の3ルッツは完璧な跳躍で加点1.1点の高評価を獲得。スピンは全てレベル4と取りこぼしなくこなし、62.68点で9位発進とします。

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 フリーは昨季から継続の「映画『バーレスク』より」。まずは得意の2アクセルを余裕を持って決めると、さらに3フリップも落ち着いて下り、3ループも成功と、前半は上々の滑り出し。後半にコンビネーションジャンプを固めた攻撃的な構成で、その最初の3+2をまずはクリーンに着氷。次いで単独の3ルッツ、そして3サルコウ+3トゥループを決め、プログラム最後の要素である2アクセル+3トゥループ+2トゥループを成功させると、派手なガッツポーズで歓喜を露わにしました。得点は非公式ながら自己ベストを大幅に上回る130.31点でフリー6位、総合8位となり、初入賞を果たしました。
 今大会において最も新鮮な驚きを与えてくれたのが横井選手でしたね。特にフリーは全ての要素に加点が付く本当にパーフェクトな出来で、しかも後半に3+3を入れたり、演技のいちばん最後に2アクセル+3トゥループ+2トゥループを跳んだりと、ミスをしたらリカバリーできないようなかなりリスキーで挑戦的な構成になっていて、驚かされるとともに、女子選手のジャンプ構成は大体みんな同じ感じになりやすい中で、ほかの選手がしないチャレンジングな試みをしていることに拍手を送りたい気持ちになりました。元々表現に力を入れている選手として知られている横井選手ですが、ジャンプも安定してくるとさらに伸びてくる選手だと思うので、今大会をきっかけに飛躍してくれることを願いたいですね。



 さて、ここからはペアです。

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 初優勝したのはペア結成3季目の須崎海羽&木原龍一組です!

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 SP冒頭は得点源のサイドバイサイドの3ルッツをしっかり着氷。3ツイストはレベル1となりますが、リフトやスピンは確実にレベル4を取り、非公式ながら自己ベストを上回る得点で首位に立ちます。フリーも3ルッツを最小限のミスに抑えますが、スロー3ルッツは転倒。しかし中盤の3+2+2の3連続ジャンプは成功させ、ほかのエレメンツも大きなミスなくこなし、ショートに続き自己ベストより高い点数をマークし、他のペアを寄せつけることなく完全優勝を果たしました。
 初出場した2年前は3位、そして昨年は2位と一段一段確実に階段を上がってきた須崎&木原組。今大会もミスは複数ありましたが、レベルの取りこぼしはかなり抑えられ、ペアとして成長したなと感じさせられましたね。今年はディフェンディング・チャンピオンの須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組が、須藤選手の体調不良による調整不足のため欠場。日本のペア2番手である須崎&木原組が自動的に優勝候補に繰り上がりましたが、今回須崎&木原組がマークしたスコアは160.71点、昨年の全日本で須藤&ブードロー=オデ組がマークしたのは160.25点ということで、須崎&木原組が須藤&ブードロー=オデ組にも匹敵する力をつけてきたことを示す結果となりました。とはいえ国際大会での経験はまだまだ須藤&ブードロー=オデ組には及ばないですし、ペアとしての一体感もこれからさらに強化していくポイントだと思うので、須崎&木原組の強みである難度の高いジャンプ構成に加えて、演技全体の完成度のレベルアップにも期待したいですね。全日本初優勝、おめでとうございました。

 2位となったのはペア結成2季目の高橋成美&柴田嶺組。SPはミスが重なり最下位の3位にとどまりましたが、フリーは2位と挽回し、総合2位で銀メダルを獲得しました。
 ペアを結成してまだ2季目ということで、ペアとしての成熟はまだまだこれから、そしてジャンプの安定感も課題というペアなのですが、SPのステップシークエンスではしっかりレベル4が取れていますし加点もまずまずついていて、スケーティングが強みのペアなのかなと感じました。自分たちの強みを存分に活かして、ウィークポイントをどんどん強化して、日本のペア界を盛り上げる存在になっていってほしいと思います。

 3位はジュニアを主戦場としている三浦璃来&市橋翔哉組です。SPはミスを最小限にとどめて2位と好発進。フリーはミスが相次いで順位を落としてしまいましたが、シニア勢に交じってこの全日本を経験できたことは今季だけではなく、来季にも繋がっていくでしょうね。三浦&市橋組は世界ジュニアだけではなく、四大陸選手権にもエントリーするとのことですから、世界の舞台でどれだけ通用するのか思いっきりチャレンジしてほしいと思います。



 ということで、女子とペアの結果についてお伝えしてきましたが、この結果を受けて発表された平昌五輪、世界選手権、四大陸選手権、世界ジュニア選手権の代表メンバーをまとめます(敬称略)。その前に、代表選考基準をおさらいします。


《平昌五輪代表選考基準(女子シングル)》

①全日本選手権大会優勝者を選考する。
②以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、①で選考された選手を含め2名に達するまで選考する。
 A) 全日本選手権大会2位、3位の選手
 B) ISU グランプリファイナル出場者上位2名
 C) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位3名
 D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位3名
 E) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3名


《平昌五輪代表選考基準(ペア)》

オリンピック最終予選で出場枠を獲得した場合、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。
 A)全日本選手権大会最上位組
 B)全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング最上位組
 C)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング最上位組
 D)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコアの最上位組


《世界選手権代表選考基準(女子シングル)》

①全日本選手権大会優勝者を選考する。
②以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、①で選考された選手を含め2名に達するまで選考する。
 A) 全日本選手権大会2位、3位の選手
 B) ISU グランプリファイナル出場者上位2名
 C) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位3名
 D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位3名
 E) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3名


《世界選手権代表選考基準(ペア)》

以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。
A)全日本選手権大会優勝組
B)全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位3組
C)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位3組

D)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3組


《四大陸選手権代表選考基準(女子シングル)》

全日本選手権大会終了時に、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。
 A)全日本選手権大会10位以内
 B)全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位6名
 C)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位6名
 D)全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位6名


《世界ジュニア選手権代表選考基準(女子シングル)》

①全日本ジュニア選手権大会優勝者を選考する。
②ジュニア対象年齢で派遣希望のある選手の中で、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、①で選考された選手を含め3名に達するまで選考する。
 A) 全日本ジュニア選手権大会2位、3位の選手

 B) ISU ジュニアグランプリファイナル出場者
 C) 全日本選手権大会参加者のうち上位3名
 D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位3名
 E) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3名


《世界ジュニア選手権代表選考基準(ペア)》

以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。
 A) 全日本ジュニア選手権大会優勝組
 B)今シーズンのシーズンベストスコア最上位組(国内外公式競技会)



《平昌五輪代表》

女子シングル:宮原知子、坂本花織
ペア:須崎海羽&木原龍一組

《世界選手権代表》

女子シングル:宮原知子、樋口新葉
ペア:須崎海羽&木原龍一組

《四大陸選手権代表》

女子シングル:宮原知子、坂本花織、三原舞依
ペア:須崎海羽&木原龍一組、高橋成美&柴田嶺組、三浦璃来&市橋翔哉組

《世界ジュニア選手権代表》

女子シングル:紀平梨花、山下真瑚、横井ゆは菜
ペア:三浦璃来&市橋翔哉組




 まずはオリンピック代表から。
 女子は第一に全日本を制した宮原選手が優先的に選出。
 そして混戦となった2枠目ですが、各選考基準において「上位」と記載のある選考項目については、対象年齢に達していない選手や選考済みの選手は除外し繰り上げて対象とすると注意書きがなされているため、②の選考基準に関しては、今年の7月1日の時点で15歳に達していない選手や①で選ばれている宮原選手を除いた上で当てはまる選手をピックアップしていくことになります。という条件を考慮しますと、②のA)に該当するのは坂本選手、B)は樋口選手、C)は本郷選手、樋口選手、三原選手、D)は樋口選手、坂本選手、三原選手、E)は樋口選手、坂本選手、三原選手という面々に。当てはまる項目の数で言うと、樋口選手は4項目、坂本選手、三原選手は3項目、本郷選手は1項目となり、1項目しか該当しない本郷選手はまず除外せざるをえません。そして三原選手は3項目に該当するものの、宮原選手が①で選ばれた関係での繰り上がりによるものなので、こういった点からやはり選考の上では不利ですね。ということで、残るは樋口選手と坂本選手。該当する項目の多さでは樋口選手が坂本選手を上回っていますが、最終選考会である全日本の重要性というのを考えると、この試合にしっかりピークを合わせてきた坂本選手の実力というのは高評価に値しますし、シーズンを追うごとに上り調子になっているというのを考慮しても、樋口選手のGPでの安定感、シーズンベストスコアの高さをも上回るインパクトがあり、坂本選手を2人目として選ぶというのは妥当な答えかなと思います。
 一方、ペアは4つの項目に当てはまるペアから総合的に判断するとなっていますが、日本のトップペアである須藤&ブードロー=オデ組はブードロー=オデ選手が日本国籍を保持していないため五輪出場資格はなく、選考の対象とはなりえません。そんな中で須崎&木原組はA)、B)、D)の3項目に、三浦&市橋組がC)のみに当てはまるのですが、三浦&市橋組はまだジュニアでもありますし、須崎&木原組が選ばれるのがやはり順当ですね。


 そして世界選手権。女子の選考基準は五輪と全く同じで、当然全日本女王の宮原選手が1人目として選ばれましたが、2人目は五輪代表の坂本選手ではなく樋口選手が選出されました。このあたりからも、坂本選手と樋口選手の選考が接戦だったというのがうかがえますし、惜しくも五輪に届かなかった樋口選手にチャンスを与えたいという連盟の意思が感じられます。また、世界選手権は五輪と違って次の年の枠取りが懸かる舞台でもありますから、そういった点で世界選手権をすでに経験している樋口選手に3枠を取り戻す重要な任務を託すという意味深い選出なんじゃないかと思いますね。
 ペアは五輪代表選考基準とは少し違っていて、選考の幅をより広げる文言となっています。ただ、ペアは男女シングルとは違って、怪我や体調不良で全日本を欠場した有力選手に対する救済措置がなく、全日本出場が選考対象に入るための必須条件となっているので、全日本不出場だった須藤&ブードロー=オデ組は残念ながら対象から外れます。ということで、4つの条件全てに該当する須崎&木原組が選出となりました。


 四大陸は五輪直前とあって五輪代表選手が出場を希望するかが注目されましたが、宮原、坂本の両選手とも出場の意思を示したということで2人とも選出。そして全日本5位の三原選手が3人目として選ばれました。三原選手はワールドスタンディングやシーズンベストスコアでも上位に入っていますし、五輪も世界選手権も出られない分、四大陸でチャンスをという意義深い試合になりそうです。
 ペアは須崎&木原組に加え、高橋&柴田組、三浦&市橋組が選出。須崎&木原組は五輪へ向けての調整という意味合いが大きいですが、高橋&柴田組、三浦&市橋組にとっては初めてのシニアのISUチャンピオンシップになりますから(高橋選手は他パートナーとともに出場経験あり)、経験を積ませたいというところでしょうか。


 そして世界ジュニアの女子は、全日本ジュニアを制している紀平選手が最優先で選出。そして①の紀平選手を除いた上で、②の条件に当てはまる選手を挙げていきますと、A)は山下選手、荒木菜那選手、B)は①で選考済みの紀平選手しか該当しないためスルーして、C)は横井選手、山下選手、荒木選手、D)は山下選手、荒木選手、滝野莉子選手、E)は荒木選手、山下選手、滝野選手となっています。該当する項目の数では、山下選手、荒木選手ともに4項目、滝野選手は2項目、横井選手は1項目です。このうち2人目として選出されたのは山下選手で、山下選手は全日本ジュニアでも190点台をマークして2位、全日本でも10位、国際大会でも結果を残しているという安定感が評価された形ですね。一方、3人目として選ばれた横井選手はC)にしか当てはまらないわけですが、世界ジュニアの最終選考会である全日本でのあの爆発的な演技はやはりインパクト大でしたね。その点で、全日本ジュニアで3位だった荒木選手の方が国際大会での実績も上回っていますが、プレッシャーのかかる全日本で実力を発揮し切れず13位にとどまったというのが印象を悪くしてしまったかもしれません。
 ペアは全日本ジュニアを制し、シーズンベストスコアでも最上位の三浦&市橋組が言わずもがなで選出ですね。



 さて、全日本2017、女子&ペア編は以上です。4年に1度のオリンピックが懸かる全日本とあって、選手たちの意気込み、緊張感も並々ならぬものがあって、また、選手をリンクサイドで見守るコーチ陣からも例年とは違う空気感、思い入れの深さが感じられました。
 男子&アイスダンス編に続きます。


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# by hitsujigusa | 2017-12-26 20:13 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)