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※6月1日、写真の変更、プログラムのテーマについての追記をしました。

浅田真央選手が来シーズンのプログラムについて、アイスショー「THE ICE」の記者会見の場において発表しました。

◇◇◇◇◇

浅田真央、ソチ五輪のプログラム公表

 フィギュアスケートの浅田真央=中京大=が31日、大阪市内で夏の恒例のアイスショー「THE ICE(ザ・アイス)」(7月24、25日=愛知公演、同27、28日=大阪公演)の発表記者会見に出席し、14年ソチ五輪シーズンのプログラムを明かした。
 ショートプログラムはショパンの「ノクターン」、フリーはバンクーバー五輪シーズンのフリー「鐘」と同じラフマニノフ作曲の「ピアノ協奏曲第2番」、エキシビションはチャップリンの「スマイル」に決定。早ければ同公演でお披露目する予定で「新しいプログラムを披露することになるので凄く楽しみ」と、意気込んだ。

デイリースポーツ 2013年5月31日

◇◇◇◇◇

思いがけない早い発表だったので、えっ!と最初は目を疑ってしまいました。
例年だと完全に夏になってからか、シーズン直前の秋に発表していたので、まさか5月中に!と。
でも、来季は五輪シーズンということで、この早めの発表からも浅田選手の強い意志、意気込みがうかがえますね。
それだけプログラムも早め早めに作ってあるということですね。
新プログラムについては、4月にこんなニュースもありました。

◇◇◇◇◇

スケート人生集大成 真央、ソチ五輪へ“省エネ振り付け”

 最後の夢舞台へ省エネ振り付けだ。来季限りでの現役引退の意向を示しているフィギュアスケートの浅田真央(22=中京大)が14年ソチ五輪用のショートプログラム(SP)、フリーのプログラムをつくる際、移動の負担が従来より激減することが27日、分かった。
 浅田は既に来季の振り付けをSPはカナダ在住のローリー・ニコル氏、フリーはロシアのタチアナ・タラソワ氏に依頼。10~11年シーズン以降、両氏が振り付けを担当しているが、これまではカナダかロシアの一方の国に行き、一度日本に帰国してから、もう一方の国に行っていた。今年は5月上旬にカナダでSPの振り付けを済ませると、米国に移動。他の選手の指導でタラソワ氏が米国に滞在している間にフリーの振り付けも行う。関係者は「移動負担が減るのは大きい」と説明した。

スポニチアネックス 2013年4月28日 一部抜粋

◇◇◇◇◇

プログラムを早めに作ることで、より早く自分の身体に染み込ませて、シーズンの前半からより完成度を高めて滑ることができるのかなーという気もしますね。

そして、プログラムはSPがショパンの「ノクターン」、フリーはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」、エキシビションはチャップリンの「スマイル」。

「ノクターン」は以前滑った「ノクターン第2番」のことなんでしょうか。ショパンの「ノクターン」は21番まであるので、他のものの可能性も考えられますが……。普通に「ノクターン」とだけ言った場合は一番有名な「第2番」を指すことが多いと思うので、やっぱり第2番ですかね。
そうだとすると、ファンの間で1、2を争う人気を誇るプログラムのアレンジということになるのかなと思うので、想像が掻き立てられて楽しみが増しますね。

フリーはフィギュア界の大定番曲、そして五輪開催地がロシアなのでやはりロシア音楽ですね。
浅田真央選手はバンクーバー五輪のフリーでラフマニノフの「鐘」を滑り、銀メダルを獲得しました。なのでラフマニノフとは因縁があるわけで、そのラフマニノフを再び五輪シーズンで使用するということにオリンピックへの強い思いが感じられます。
また、私の個人的な感想としては、ぜひ浅田選手にこの曲を滑ってほしかったのでこの選曲にはうれしい気持ちがあります。
ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」はフィギュア界では幾人ものスケーターが滑ってきた定番中の定番です。サーシャ・コーエンさん、パトリック・チャン選手、村主章枝選手、高橋大輔選手など。
その中でも、私がこの曲で一番最初に思い出すのは、伊藤みどりさんです。
伊藤みどりさんはアルベールビル五輪のフリーをこの曲で滑り(厳密に言えば、「第2番」と「第1番」を編集したものですが)、女子選手として初めて五輪でトリプルアクセルを成功させ、銀メダルを獲得しました。
浅田真央選手にとって伊藤みどりさんは尊敬する先輩であり、同じトリプルアクセルジャンパーでもあります。そういった意味で、伊藤みどりさんと同じ曲で五輪に挑む、集大成として最高の演技を目指す、というのは、単にロシア音楽だから、定番曲だからという以上の深いものを感じます。
みどりさんが滑ったあの伝説の曲を、みどりさんの系譜を受け継ぐ浅田真央選手が演じる。
勝手ながら、いろいろつながりを持たせてしまいます。

果たしてどのようなプログラムになっているのか、お披露目を楽しみにしつつ、他の選手の発表にも注目していきたいと思います。

以下6月1日追記部分

もうご存知の方も多いと思いますが、来季のプログラムの詳しい内容についても言及がありました。以下に、浅田選手の一問一答を引用します。

◇◇◇◇◇

――新しいプログラムはソチのシーズンでSPかフリーで使う曲なのか

 浅田 新しいプログラムはエキシビションもSPもフリーもできている。

 ――SPとフリーの曲は

 浅田 SPの曲はショパンのノクターンです。フリーはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番です。そして、エキシビションはスマイルです。

 ――滑った感想や印象、見ているお客さんへのメッセージは

 浅田 SPは以前も使ったこともあるノクターン。曲自体は少し違って少し大人っぽくなった。またレベルアップしたノクターン、大人っぽい表現ができるようになっています。ノクターンもラフマニノフもどちらもテーマがあるのでそれを表現できたらいいなと思います。エキシビのスマイルは、リンク外でも聞いているすごくお気に入りの曲です。ワット・ア・ワンダフル・ワールドもミックスされていて、すごく気に入っています。

朝日新聞 2013年6月1日 一部抜粋

◇◇◇◇◇

「ノクターン」はやはり06/07シーズンに使ったのと同じもののようですね。ですが、曲自体が大人っぽいということなので、振り付けだけではなく曲そのものが違うアレンジというか、違う演奏になっているんでしょうか。
また、SPもフリーもテーマがあるということですが、SPのテーマは「初恋」、フリーは「今までの色んな思いが詰まった振り付け。今までの人生。うれしかったり、悲しかったり、悔しかったり、色々な思いが入っている。」だそうです。
あのドラマチックで壮大さのある旋律を浅田選手自身のスケート人生と重ね合わせて滑る、というのを想像すると、今から感慨深いものを感じてしまいます。(笑)
そういうさまざまな思い、人生を表現するのには、これほどふさわしい曲はないかもしれないです。私個人の好み入りまくりですが。


:記事冒頭の写真は日本経済新聞2013年5月31日付の記事「浅田、現役最後の演目はクラシックの名曲」から、浅田選手の一問一答やプログラムのテーマについてのコメントは、朝日新聞2013年6月1日付の記事「浅田、ソチ向けSPはショパン、フリーはラフマニノフ」から引用させていただきました。

【参考リンク】
「ピアノ協奏曲第2番(ラフマニノフ)」(2013年3月30日(土)04:59 UTCの版)『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』
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# by hitsujigusa | 2013-05-31 17:34 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)

室生犀星集 童子―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)


【収録作】
「童話」
「童子」
「後の日の童子」
「みずうみ」
「蛾」
「天狗」
「ゆめの話」
「不思議な国の話」
「不思議な魚」
「あじゃり」
「三階の家」
「香爐を盗む」
「幻影の都市」
「しゃりこうべ」


先日まで開催されていたカンヌ国際映画祭で、是枝裕和監督の『そして父になる』が審査員賞を受賞した。
私は是枝監督の映画作品を1本も見たことがないのだが、ドラマ作品『後の日』と『ゴーイング マイ ホーム』が大好きなので、今回の受賞のことを少しうれしく思った。
で、その『後の日』の原作となった「童子」「後の日の童子」が収録されているのが、この『室生犀星集 童子』である。

ドラマ『後の日』は、『妖しき文豪怪談』というドラマシリーズの1本として作られ、2010年にNHKのBSで放映された。このシリーズは文豪の怪談を映画監督がドラマ化するという企画なのだが、前半はドラマパート、後半はドラマを制作する舞台裏や原作に迫ったドキュメンタリーパートとなっている。
なぜ是枝監督が「童子」「後の日の童子」を選んだのかについても語られていたような気がするが、残念ながら忘れてしまった。
でも、たとえ説明されなくてもわかる感じがする。
是枝監督といえば子どもの演出の上手さで有名である。
当時14歳の柳楽優弥さんがカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した『誰も知らない』、両親の離婚によって離れて暮らす兄弟が主人公の『奇跡』、子どもの取り違えを題材にした『そして父になる』。
そして、「童子」「後の日の童子」も、タイトルからわかるとおり“子ども”が重要な役割を果たす。

「童子」は夫婦が体の弱い赤ん坊を育てる話。母親は脚気を患っていて、その母乳は赤ん坊の脳に悪影響を与えるとされるため、夫婦は乳母を雇ったり母乳を貰いに行ったりしなければならない。夫婦は懸命に赤ん坊を世話するが、赤ん坊は次第に弱り……。
「後の日の童子」では、赤ん坊を亡くした夫婦の元に男の子が現れる。男の子は夫婦を「お父さん」「お母様」と呼び、夫婦も男の子を亡くなった子が帰ってきたものとして接するが……。

この2作品、続き物として読むことができるが、漂う雰囲気が少しばかり違う、ように感じる。
暗い、という点では同じ。では何が違うんだろう。
という疑問について、この本の編者である東雅夫さんとカバー絵を描いた金井田英津子さんが的確に表現している。

金井田 「童子」の、かなりリアルな親の心情が描かれた切ない内容が、「後の日の」でじわっと怪談っていう。そのへん、すごく濃厚な感じですよね。
東 犀星の文体って独特なんですよね。きわめてリアルに書いているかと思うと、ふっとあっち側に行っちゃうような……。

「童子」では、赤ん坊を育てる夫婦の生活が非常に生々しく描かれる。それは臨場感があるとかリアリティがあるとかいうよりも、皮膚感覚に訴えるような生々しさ、じとっと肌に吸い付くような生々しさである。
例えばこんな文章。

乳母は、心を焦ってしぼるほど、乳は、ちびりとしか出なかった。「毎日棄てているほど出た乳なんでございますが。」と、乳房をぐりぐりしぼった。そうしている乳母の額に汗さえ滲んで見えた。「しばらく休んでからにした方がいい。」私は見兼ねてそう言い、心で嘆息した。胸肌のうすい皮づきがくらみを持っているのまで、気になり絶望的な気持ちにした。〉(室生犀星『室生犀星集 童子』筑摩書房、2008年9月、39頁)

目にありありと光景が浮かぶという以上に、五感全部に訴えてくるような感じ。まるでそういう音が聞こえてきそうな「ぐりぐり」という不気味なまでの形容、うごめくかのような乳房の動き、次第に表出してくる汗、胸肌の色の悪さ……。そういったもの全てが合わさって、体感に迫ってくる。
極めつけは赤ん坊の容体が悪化する場面。

私だちは、腹のなかまであぶらを流す思いをつづけた。晩の八時になった。何という変りようであろう、赤児は、もう床にはいったまま、いつもそうする子でないのに、おとなしくぐったりしていた。私はからだじゅうの毛あなに、ぞくぞくする懸命な異体のわからない昂奮をかんじた。〉(同書、78頁)

このように、何とも言えない生々しさが作品全体を覆っている。
が、それゆえにそこに描かれている“命”には存在感、手触りがある。
赤ん坊という生き物が懸命に生き、そして死ぬという命の営みの残酷な生々しさ、である。

一方、「後の日の童子」は全体的にふわふわしている。ベールを一枚隔てた向こう側を見ているような非現実感。帰ってくる男の子からも、命の存在感が感じられない。
特徴的なのは、“影”の描写が目立つこと。

夕方になると、一人の童子が門の前の、表札の剥げ落ちた文字を読み上げていた。植込みを隔てて、そのくろぐろした小さい影のある姿が、まだ光を出さぬ電燈の下に、裾すぼがりの悄然とした陰影を曳いていた。〉(同書、98頁)
笏は、そういうと玄関のそとへ飛び出した。白い道路は遠いほど先の幅が狭り、ちぢんで震えて見える。ふた側の垣根の暗が悒然と覆うているかげを、童子はすたすた歩いていた。電燈は曇ってひかり沈んでいた、と、黒いかげがだんだんに遠のいてゆくのである。〉(同書、120頁)

“影”という形のないもの、触れられないものが作品の象徴となっている。
「童子」では夫婦も友人たちも、そして赤ん坊も、たしかな存在感があり生きている人間特有の生臭さみたいなものが感じられた。
しかし「後の日の童子」の人々は、幽霊かもしれない男の子だけでなく、生きている夫婦にも「童子」ほどの生臭さがない。どこか地から数センチ浮いているような浮世離れ感。

余談だが、犀星は実際に長男を幼くして亡くしている。「童子」の生々しさは実体験に由来しているからこそのものだろうし、「後の日の童子」は犀星自身の願望が込められているために生臭さのない優しいものとなっているのではないだろうか。

ドラマ『後の日』は「後の日の童子」に近い。浮遊している感じ、ぼんやりした感じをよく再現していると思う。
『室生犀星集 童子』はこの2作品以外ももちろん良い。
「童話」「みずうみ」はこの2作同様の幽霊もの、「蛾」「天狗」「不思議な国の話」などは犀星の故郷金沢を舞台にした民俗学的な怪談、「三階の家」「香爐を盗む」などはモダンな都市の姿を描いた怪奇小説。
川端康成が「室生氏の作品のあるものは、幻怪な抽象に至りながら、切実な感動で人に迫る。ふしぎな天才の魅惑である」(同書、363頁)と称賛したという犀星の怪談・幻想小説をぜひ。


:文章内の東雅夫さんと金井田英津子さんの対談は「文豪怪談傑作選」のウェブサイトから引用させていただきました。以下に、引用リンクを張ります。

【引用リンク】
文豪怪談傑作選 『室生犀星集 童子』を含む「文豪怪談傑作選」という文庫シリーズの特集ページです。

【ブログ内関連記事】
吉屋信子『吉屋信子集 生霊』―人の心が生む怪談 2014年1月9日
夜に読みたい小説・私的10撰 2014年9月16日  室生犀星『室生犀星集 童子』を記事内で取り上げています。
室生犀星『室生犀星詩集』―惜しみない愛の詩人 2015年7月31日
室生犀星『蜜のあわれ』―いのちへの讃歌 2017年3月2日


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# by hitsujigusa | 2013-05-30 16:46 | 小説 | Trackback | Comments(0)

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12/13シーズンの主な大会が終わってしばらく経ち、各スケーターたちの来シーズンに向けた動きが風の噂で聞こえてくるようになりました。
プログラム作りのことなど気になるニュースもいろいろありますが……。
それはとりあえず置いといて。
フィギュアスケート選手のいろんな衣装を振り返ってみようという、非常に個人的趣味満載の記事でございます。

私hitsujigusaがフィギュアを見始めたのはたった数年前、フィギュアブーム初期。
きっかけは単純なもので、安藤美姫選手や浅田真央選手といった世界レベルの新星が次々と現れ、荒川静香選手がトリノ五輪で金メダルを獲得したこと。
こんなすごい世界があるのか!と驚き、感動し、見事にハマっていってしまいました。
その一方で、技やプログラム同様に惹かれたのが衣装。
今でも毎年、どんな衣装で滑るのだろうと新シーズンの訪れを待ち焦がれてしまいます。
各プログラムの世界観に合わせ作られる各選手の衣装は、それぞれオリジナリティにあふれていますが、その中でもその選手の衣装に共通している特徴だったり、個性だったりが見られるような気がします。(あくまでも気がするだけですが)
記事を通して、そういったものを探れたらいいなとも思います。

というわけで、あまり深く考えず……
早速始めます。

第1回はアシュリー・ワグナー選手(Ashley Wagner)編です。

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# by hitsujigusa | 2013-05-27 16:53 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)