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四大陸選手権2014・男子&アイスダンス―無良崇人選手、自己ベストでISU選手権初優勝

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 1月20日から25日にかけて、台湾の台北において四大陸選手権2014が開催されました。
 今年の四大陸選手権はオリンピックシーズンということで、五輪に出場する選手の多くは回避し、五輪不出場の選手が中心の試合に。ですが、その中でも若手選手の活躍が目立つ、見応えのある大会となりました。この記事では男子とアイスダンスについて書き記していきます。
 男子シングルを制したのは無良崇人選手。国際スケート連盟主催のチャンピオンシップでは初めての優勝となりました。そして2位には小塚崇彦選手が、3位には中国の宋楠(ソン・ナン)選手が入りました。

ISU Four Continents Championships 2014 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 四大陸王者となったのは無良崇人選手です!

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 SPは4トゥループをパーフェクトに着氷。詰まり気味の着氷だったためにGOEの加点はあまり伸びませんでしたが、しっかりとまとめました。続く3アクセルは無良選手らしい高さ、幅のあるダイナミックなジャンプで1点以上の加点を得ます。後半の3ルッツ+3トゥループもクリーンに決めると、ステップシークエンスも伸びやかに滑り切り、フィニッシュでは胸に手を当て、ホッとしたような表情を浮かべました。得点も84.21点で自己ベストをマークしました。
 今シーズンの無良選手はどことなくらしくないというか、本来の豪快さや勢いのある演技が鳴りを潜めていたような印象があったのですが、ようやく“らしさ”が発揮されましたね。

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 翌々日のフリー。冒頭の4トゥループはショートよりもクリーンな、ランディングも流れのあるジャンプを着氷。そして3ルッツ+3トゥループ、3アクセル+2トゥループと2つのコンビネーションジャンプもきっちり降り立ち波に乗ります。後半は小さなミスがいくつか出てしまいましたが、最後までスピード、勢いは衰えず、ショート同様、演技後は笑顔を見せました。得点は158.35点でパーソナルベストにはわずかに及びませんでしたが、トータルスコアでは自己ベスト。優勝を自らの手でつかみ取りました。
 今大会の無良選手はここまでのモヤモヤしたものを見事に振り払う演技、何かを吹っ切ったかのようなスケートを披露してくれましたね。特にジャンプは4トゥループ、3アクセルといった難度の高いものをほぼミスなく、クリーンに成功させていて安定感がありました。無良選手の13/14シーズンはたぶんこれで終了になるのかなと思いますが、すでに2018年を見据えた発言もしていて、来季がまた楽しみになりました。今大会の演技、結果は、間違いなく無良選手のこれからに繋がっていくと思います。
 ISU主催の選手権大会初優勝、おめでとうございました!


 銀メダルを獲得したのはベテラン小塚崇彦選手です。

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 ショートプログラムは冒頭の4トゥループがダウングレード(大幅な回転不足)で着氷が乱れます。次の3アクセルもこらえ気味の着氷でわずかにマイナス評価となりましたが、後半の3+3はまとめて演技を立て直しました。スコアは76.85点で4位発進なります。
 ショートの演技は全体的にジャンプの精細に欠けましたね。スケーティングもいつもほどの滑らかさ、伸びではなかったように感じました。

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 フリーも4トゥループはダウングレードで大きくマイナスされますが、3アクセルは流れのある美しいランディング。後半も次々とジャンプを成功させ、序盤の失敗を忘れさせる、堅実な演技となりました。得点は159.53点でフリー1位、ショート4位からジャンプアップしての総合2位となりました。
 フリー演技後、小塚選手は現役続行を表明、来季も競技者として続けていく決意を表しました。全日本選手権で3位に入ったにもかかわらず、ソチ五輪代表から漏れた悔しさは変わらないかもしれませんが、こうして次の大会に出て何かを得て、新たな気持ちが芽生えてきたのはとても良かったと思います。
 また、小塚選手は「体はきつくなるだろうけど、限りなく成長していきたい。あそこまで滑ったお手本もいるので」(「小塚2位、現役続行「新たな目標を決めてやっていく」」スポニチ 2014年1月24日 05:30)と高橋大輔選手を例に出して意欲を見せました。年齢的には引退してもおかしくないですが、今シーズン限りでベテランの選手が次々と引退していく中で、小塚選手がまだまだ頑張ってくれるというのは嬉しい限りです。来シーズンも楽しみにしています。


 そして、銅メダルを獲得したのは中国の実力者、宋楠(ソン・ナン)選手です。

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 ショートは4トゥループ+3トゥループのコンビネーションをクリーンに着氷し、上々の滑り出し。が、続く3アクセルが乱れ大幅な減点を受けます。後半の単独3ルッツはきっちりまとめ、78.71点というまずまずのスコアで3位。
 そしてフリーでも4トゥループを確実に成功。2本目の4トゥループは回避して3トゥループ+2トゥループのコンビネーションとします。その分、次の3アクセルに3トゥループを付けてリカバリーしました。後半では小さなミスが出ましたが、全体的には最近の宋選手の演技の中ではよくまとまった方と言える好演技。得点も157.38点でパーソナルベスト、トータルでも自己新で5回目の四大陸選手権出場で、初のメダルを獲得しました。
 中国のソチ五輪代表枠は1枠、選ばれたのは若手の閻涵(ヤン・ハン)選手となり、残念ながら中国男子フィギュア界を引っ張ってきた宋選手は代表から外れました。ですが今大会での演技を見ても、4回転ジャンプを始め、素晴らしいジャンプのクオリティーを持っており、ポテンシャルの高い選手だなと改めて感じました。昨シーズンからなかなか実力が発揮できていませんでしたが、この大会をきっかけにまた上がってくるといいなと思います。


 4位となったのはカザフスタンのデニス・テン選手です。

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 ショートは冒頭で4トゥループに挑みますがダウングレードで転倒。3アクセルは難なくこなしましたが、3+3ではエッジ違反を取られ小さなマイナス。しかしスピン、ステップはレベル4を揃え、76.34点で5位につけました。
 フリーも4トゥループに挑戦し、見事に成功。が、次の3アクセルからのコンビネーションが3アクセル+1トゥループに。2本目の3アクセルも転倒でミスが相次いでしまいました。後半にも転倒を含むミスが複数ありましたが、150点台に乗せてフリー4位、総合4位に上がりました。
 シーズン序盤は、出場予定だったスケートアメリカを怪我のために欠場するなど出遅れたテン選手。中国杯で復帰し、その後小さな国際大会に出場し調子を上げてきていましたが、12月に行われたユニバーシアードの練習で再び負傷し棄権。四大陸選手権はテン選手にとって復帰戦であり、五輪前最後の調整試合だったわけですが、収穫もあり不安もある内容だったかなという印象ですね。シーズン序盤で怪我、そしてシーズン半ばで再びの怪我と、今季は不運に見舞われているテン選手ですが、ソチオリンピックでは彼らしい若さ溢れるはつらつとした演技が見られることを祈っています。


 5位はアメリカのリチャード・ドーンブッシュ選手。

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 ショートは4サルコウに挑みますがアンダーローテッド(小さな回転不足)で大きく着氷が乱れました。しかしその後は3アクセル、3+3とクリーンにまとめてシーズンベストを更新する82.13点で2位発進となります。
 フリーもショート同様に4サルコウを組み込みましたが、こちらはダウングレードで転倒してしまいます。立て直したいところでしたが、続く3アクセルもミス、後半でもミスを連発しフリー6位、総合5位に沈んでしまいました。
 ショートは4サルコウの失敗があったとはいえ、全体的に良い出来でドーンブッシュ選手らしさが存分に表現された演技でした。それだけにフリーで崩れてしまったのはもったいなかったですね。ですが、明るくてノリが良くてダンサブルなフリーの「ビートルズメドレー」はインパクトがありましたし、印象に残りました。全米選手権5位で残念ながらオリンピックには届かなかったですが、まだ若いですからね、来シーズンも頑張って欲しいと思います。


 日本の田中刑事選手は17位で大会を終えました。

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 ショートは冒頭の3アクセルを完璧に決めて絶好のスタートを切ったかに見えましたが、続く3フリップからのコンビネーションが2フリップ+2トゥループに。単独の3ループは無事に成功させますが、ステップシークエンスの途中でつまずくところもあり、全体的に精彩を欠いた演技となってしまいました。
 フリーでは4トゥループを構成に入れてきましたが、ダウングレードで転倒。次の3アクセルはきっちりまとめますが、3フリップ+3トゥループのフリップがダブルになるショート同様のミス。後半にもジャンプミスが相次ぎ、総合17位に終わりました。
 シニアのISU主催大会デビューとなった田中選手でしたが、緊張もあったのか本来の力が発揮できませんでしたね。来シーズンは本格的なシニア移行となりますが、今大会の演技内容、結果にとらわれず、ひとつの経験として糧にしていってもらいたいなと思います。
 3月の世界ジュニアでは、ジュニア時代の有終の美が飾れるよう願っています。



 さて、ここからはアイスダンスです。
 優勝したのはアメリカのマディソン・ハベル、ザカリー・ダナヒュー組です。ショートダンスではツイズルでレベルの取りこぼしがありましたが、自己ベストのスコアで2位につけます。フリーダンスはマイナス要素のないほぼ完璧な演技でこちらも自己ベスト、トータルでももちろん自己新で四大陸チャンピオンとなりました。
 2位はカナダのパイパー・ギレス、ポール・ポワリエ組。ショートは自己ベストで首位に立ちましたが、フリーではマイナス要素こそ無いものの、リフトやステップでのレベルの取りこぼしがあり、総合2位に順位を下げました。
 3位はアメリカのアレクサンドラ・オルドリッジ、ダニエル・イートン組。こちらもショートは良い出来でパーソナルベストに限りなく近い得点で3位発進。フリーでもほぼノーミスの演技でパーソナルベストを更新し、銅メダル獲得となりました。
 日本の平井絵己、マリオン・デ・ラ・アソンション組はショート、フリーともにいくつかミスが出て総合12位。残念ながら得点的にも順位的にも昨年の四大陸を下回る結果となりました。



 男子&アイスダンス編はここまで。女子&ペア編に続きます。


:男子シングルメダリスト3選手のスリーショット写真は、フィギュアスケート情報ウェブサイト「Absolute Skating」から、田中選手のSPの写真は、毎日新聞の公式ニュースサイト内の写真特集「フィギュア:4大陸選手権男子SP 無良が1位発進」から、それ以外の写真は、スポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-02-02 15:35 | フィギュアスケート(大会関連)