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ベストコスチューム13/14・女子ショートプログラム部門

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 引き続きベストコスチューム13/14をお送りします。今回は女子ショートプログラム部門です。このベストコスチュームシリーズのルールについては、こちらの記事の冒頭をご参考下さい。
 まずは第1位からです。

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 第1位は日本の浅田真央選手の「ノクターン」です。

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 浅田選手の代表作ともいえる「ノクターン」ですが、今シーズンは2着の衣装を使用しました。1つは写真のラベンダー色のもの、もう1つはラベンダー色と赤紫のグラデーションになっているもの。どちらも素敵なのですが、一色ですっきりとまとめたラベンダー色の方を今回は選びました。
 胸元はハート形っぽいデザインで胸を覆い、ラメなどが施された枠で縁取りされています。首元にもキラキラとした装飾がなされ、何枚も重ねられたスカートはラベンダーからピンクへとグラデーションになっています。写真ではちょっと分かりにくいかもしれませんが、衣装は胸部と腰から下の部分とがセパレートになっており、また、胸と胸のあいだも肌色となっています。背中もほとんど覆いのないデザインで、全体的に露出の多いコスチュームなのですが、浅田選手が着ると不思議と変ないやらしさがなく、とてもエレガントで清楚に見えます。色づかいが清純な雰囲気漂うラベンダー色ということもあるでしょうが、浅田真央というスケーターの為せる業、特有の魅力の効果かなとも思います。
 プログラムのテーマのひとつとして“初恋”を挙げていた浅田選手。そのイメージにピッタリな華と清らかさを合わせ持つ素晴らしい衣装ですね。


 第2位はイタリアのカロリーナ・コストナー選手の「アヴェ・マリア」です。

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 シーズン当初はドヴォルザークの「ユーモレスク」をショートプログラムに使用していたコストナー選手ですが、シーズン後半からシューベルトの「アヴェ・マリア」に変更。もちろん衣装も変更されました。
 全体的に淡いブルーで統一されていますが、胸から胴の部分だけ微妙に色合いが違っていて、その上から半透明の透ける素材を重ねたようなデザイン。スカートの下にうっすらとレオタードが見えて、その透け具合が美しいです。デザイン自体は実にシンプルですが、上半身に散りばめられたスパンコールの華やかさや、素材をそのまま生かしたようなナチュラルさが印象に残りました。「アヴェ・マリア」という宗教的かつ神聖なプログラムだからこそ、凝った派手な衣装ではなくシンプルなコスチュームで、コストナー選手の身体の線の美しさや身のこなしの美しさ、そして音楽そのものの魅力を引き立てているなと思います。シンプルながら考えられた素敵な衣装ですね。


 第3位は中国の李子君(リ・ジジュン)選手の「タンゴ」。

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 可愛らしくガーリーな雰囲気が印象的な「タンゴ」。ということで、衣装も女の子らしい色づかいになっています。全体としては黒の面積が大きいですが、その下にショッキングピンクを重ねています。タンゴだと黒に赤系を合わせることが多いですが、赤ではなくピンク、しかも派手めなピンクを使うことで現代的な印象を与え、ガーリーな衣装にしています。また、黒の中にもシルバーや濃いピンクで花のようなデザインをあしらっていて、さらに女の子らしさをプラスしています。使用している音楽の特徴、魅力を見事に反映した衣装だと思います。


 第4位は日本の今井遥選手の「無言歌」。

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 11/12シーズンにも使用し、今井選手の代表作となったメンデルスゾーンの「無言歌」。今季は3種類の衣装を着用していて、グランプリシリーズでは紫色、全日本選手権では淡いピンク、四大陸選手権ではスカートの裾が濃いめのピンクになっているものでした。デザインはどれもほぼ同じなのですが、今回ピックアップしたのは四大陸で使用した衣装です。
 上半身は白に近い薄いピンクで、下にいくに連れてグラデーションで徐々に色濃くなっています。首元、胸元、手首には色とりどりの装飾があしらわれていて、繊細なデザインが優雅です。スカートは比較的長めで、裾がジグザグな感じなので表情に変化が出ておもしろいですね。風になびくとまたきれいです。下に重ねられたスカートの一部分だけが濃いピンクになっていて、全体の淡い色づかいの中でアクセントになっています。
 しっとりとしたヴァイオリンの調べが柔らかく女性的な「無言歌」。今井選手の雰囲気にも、音楽の雰囲気にもピッタリなコスチュームですね。


 第5位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「クレイジー・ダイアモンド」。

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 イギリスのロックバンド、ピンク・フロイドの「クレイジー・ダイアモンド」はギターの激しい旋律が印象的なプログラム。衣装もそれに合わせてクールでカッコいいデザインとなっています。
 コスチュームは全体が黒で、胸部とスカート以外は透け感のある素材。胸を覆う部分はシャープなデザインとなっていて力強さを感じさせます。また、シルバーの装飾もメタリックでインパクトを与えます。ロック音楽ではあるのですが、衣装がシンメトリーな分きちんとした感じもありますね。色はシックですがきらびやかさもあり、男性的な雰囲気のなかに女性的なエレガンスさも含まれた衣装だと思います。


 第6位はイギリスのジェナ・マコーケル選手の「幻想の海」。

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 カール・ジェンキンスさんの「幻想の海」は、“月の海”をテーマにした幻想的な音楽。どこの国の音楽とも言えない不思議なメロディ・音色が特徴的ですが、衣装は音楽の世界観を邪魔しないようなシックかつ落ち着いたデザインとなっています。
 コスチュームは全体的に深みのあるブルー。胸部はレースで唐草模様っぽく、縁取りは輝くシルバーの装飾。スカートは左の方に向かって長くなるデザインで、そのスリットの下からは胸部と同じレース素材がのぞいています。また、肩にも唐草模様があしらわれ、デザインの統一が見られます。「幻想の海」は王道な西洋風でもなく、アジアンでもなく、ラテン系でもない音楽ですが、ケルト音楽っぽい部分もあります(作曲者のカール・ジェンキンスさんはイギリスのウェールズ出身なのでウェールズ風なのかもしれませんが)。唐草模様は伝統的・古典的な柄ですから、民族音楽の色濃いプログラムのイメージを反映しているなと思いますね。


 第7位は日本の鈴木明子選手の「愛の讃歌」です。

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 エモーショナルかつ情熱的な旋律が魅力の「愛の讃歌」。衣装は2タイプ着用され、ほとんどの試合では写真の紫色のものが使用されましたが、ソチ五輪では鮮やかな赤の衣装を使用しました。赤の衣装も素敵だったのですが、今回は多くの大会で使用された紫のものを選びました。
 濃い紫のワンピースに、肩から首元にかけてと腰部分にお花の装飾があしらわれています。お花は宝石のような大ぶりのラインストーンで出来ていて目を引きますね。また、衣装全体に細かなラインストーンなどが施されていて、華やかな印象を与えます。コスチュームの形自体はシンプルですが、首元を蔓草が這うようなデザインだったり、腰に大きな花が咲いたデザインだったりと細部にまで工夫が凝らされていて、衣装にこだわる鈴木選手らしいコスチュームだなと思います。


 第8位は韓国の朴小宴(パク・ソヨン)選手の「白鳥」。

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 「白鳥」はフランスの音楽家、サン=サーンスが作曲した組曲「動物の謝肉祭」の一曲。衣装も白鳥らしさを存分に意識したものになっていますね。全身純白の中、胸元や腰、手首にブルーやシルバーで装飾が施されています。特に胸元のデザインは白鳥が翼を広げたようになっていて、まさに“白鳥”という感じです。決して華美な衣装ではないですが、繊細な作りでプログラムの静かな世界観を表現した素敵な衣装だと思いますね。


 第9位はアメリカのポリーナ・エドマンズ選手の「Pink Cherries Cha Cha Cha/Besame Mucho/Another Cha Cha」。

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 メキシコの名曲「ベサメ・ムーチョ」やキューバ発祥の音楽チャチャなど、ラテン音楽をメドレーにしたプログラムですが、衣装も鮮やかなイエローに個性的なデザインでラテン特有の陽気なイメージを作り出しています。ワンピースはレーサーバック風で活発な印象、上半身は斜めにボーダーが入ったようなデザインで現代的。また、スカートはいくつもラッフル(フリル?)が重なっていて動きがあって、やはり若々しさを感じさせますね。
 黄色を基調としたコスチュームというのはフィギュアスケート界ではそう多くはなくて、選手の年齢にもよるでしょうがうまく着こなすのが難しい色なんじゃないかなと思います。このエドマンズの選手の衣装も真っ黄色ですが、ラテン音楽の明るさ、陽気さによく合っていますし、15歳と若さ溢れるエドマンズ選手にピッタリな色ですね。
 余談ですが、エドマンズ選手は髪型にも工夫があり、このプログラムに限らずフリーでも三つ編みをぐるりと巻いて、しかも三つ編みに飾りをあしらっています。ここまで細かく髪飾りをあしらってというのはあまり見ないので印象に残りましたね。


 第10位はウクライナのナタリア・ポポワ選手の「アランフェス協奏曲」です。

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 「アランフェス協奏曲」といえば異国情緒漂う調べが有名なスペインの名曲。フィギュアスケート界でも大定番です。衣装もスペインらしさを意識して赤やオレンジなど暖色系が使われることが多いですが、ポポワ選手の衣装は珍しく黒一色。素材はレースのように透け感のあるもので、ゼブラ柄っぽい独創的なデザインとなっています。その中にも写真では見えづらいですが、細かな水色の装飾が散りばめられていて、深い黒に映えます。いかにも「アランフェス協奏曲」らしいコスチュームではありませんが、大人びた黒が哀愁を醸し出していて、この音楽特有のムーディーな雰囲気に合っていると思います。



 ベストコスチューム13/14・女子ショートプログラム部門はここまで。フリー部門に続きます!


:記事冒頭のアイスリンクの写真は、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、浅田選手の写真は毎日新聞のニュースサイト内の写真特集「世界フィギュア2014」から、コストナー選手の写真は、アメリカのケーブルテレビ「TLC」の公式ウェブサイト内の記事「The 26 Best Blinged Skating Costumes from Sochi」から、李選手の写真は四大陸選手権2014の公式フェイスブックページから、今井選手の写真、ワグナー選手の写真、マコーケル選手の写真、エドマンズ選手の写真はエンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、鈴木選手の写真はスポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、朴選手の写真は写真共有ウェブサイト「Pinterest」内のピンボード「Skating dresses」から、ポポワ選手の写真は、まとめサイト「NAVERまとめ」内のページ「【ソチ五輪】【フィギュア団体】女子SP滑走順&データまとめ」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-04-28 18:23 | フィギュアスケート(衣装関連)