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ベストコスチューム13/14・女子フリー部門

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 ベストコスチューム13/14・女子フリー部門。女子ショートプログラム部門に引き続き、フリーにおける衣装の個人的趣味によるベスト10を発表していきたいと思います。ベストコスチュームシリーズの基本的なルールに関しては、こちらの記事の冒頭をご覧ください。
 では、さっそく1位から。

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 第1位は中国の李子君(リ・ジジュン)選手の「コッペリア」です。

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 バレエ「コッペリア」はその名も“コッペリア”というからくり人形を題材にした作品ですが、李選手のこのプログラムもそういったところをモチーフにしていて、人形っぽい動きがあったりする可愛らしい作品です。衣装もそれに合わせてフェミニンなものになっています。
 ストラップレスのピンクのワンピースに、お腹の部分は編み上げ風でクラシカルな雰囲気を作り出しています。スカートはスリットの入ったものを数枚重ねていて甘くガーリーですね。素材自体はピンクですが、その中にもシルバーで細かい刺繍がなされていて、また、同じようにシルバーで首元に装飾を施してアクセントを付けるなど、細部まで工夫が凝らされています。衣装の形自体も独創的で素敵ですが、色づかいもピンクと装飾のシルバーをうまく組み合わせていて、ロリータっぽい少女らしさと、エレガントな大人の女性らしさが融合したコスチュームだなと思います。


 第2位は日本の浅田真央選手の「ピアノ協奏曲第2番」です。

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 重厚かつ華麗な旋律が印象深いラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」。衣装は2タイプ使用され、1つは写真のもの、もう1つはバンクーバー五輪シーズンのフリーで1度だけ使用したのを再利用したもの。以前試合で着用されたものは対象から除外するというルールに基づきまして、写真ものを第2位として選びました。
 色は音楽の荘重さにふさわしい深みのあるブルーを基調とし、その中に赤や黒など様々な色が溶け合っています。重々しさもあれば柔らかさもあり、ダイナミックさもあれば繊細さもある音楽の世界観を、異なる色を組み合わせることによって表現しています。また、コスチュームの形もお腹の真ん中のラインストーンから放射線状に色が広がるようなデザインになっていて、エネルギーの解放といった力強さを感じさせます。翼が羽ばたくようなイメージもありますね。
 個性的なデザイン、色づかいを見事に融合させた素晴らしい衣装だと思います。


 第3位は日本の鈴木明子選手の「オペラ座の怪人」です。

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 衣装は3種類あり、グランプリシリーズでは白とネイビーの衣装、全日本選手権とソチ五輪では白地に花の衣装、そして世界選手権では今回取り上げた真っ白な衣装を着用しました。どれを選ぶべきかとても迷ったのですが、私がより「オペラ座の怪人」らしいなと思った衣装を選びました。
 たしか鈴木選手もおっしゃっていたと思うのですが、作品のヒロインとなるクリスティーヌのイメージは白。暗闇に潜むファントムとは対照的な純白というのが素敵です。衣装の中心部分はレース仕立てになっていてエレガンス、首元の装飾も大ぶりなネックレス風で華やかですね。また、耳元の真珠のピアスも優雅な雰囲気を醸し出しています。全身で“クリスティーヌ”を演出した、見事なコスチュームだと思います。


 第4位はグルジアのエレーネ・ゲデヴァニシヴィリ選手の「ドン・キホーテ」。

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 シーズン前半はバレエ「ジゼル」をフリーで演じていたゲデヴァニシヴィリ選手ですが、後半からはこちらもバレエの定番「ドン・キホーテ」に変更しました。スペインが舞台の作品ということで、コスチュームにもスペインの情緒が多分に盛り込まれています。色は王道の黒と赤、また、縁取りに金色を用いるというのもスパニッシュな雰囲気を作り出す効果的な方法ですね。胸元は色とりどりの装飾でゴージャスさをプラスしていてきれいです。衣装の形自体はシンプルなストラップレスドレス風ですが、赤いスカートの上に透け感のある黒の布が重ねられているのが印象的です。シースルーの生地の下に赤がうっすら透けて見えるのが素敵ですね。まさに、「ドン・キホーテ」らしさ溢れる素晴らしい衣装だと思います。


 第5位は日本の今井遥選手の「ピアノ・コンチェルト」。

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 「ピアノ・コンチェルト」はフランスの作曲家サン・プルーの楽曲。しっとりとしながらも軽快さもあるピアノ曲です。衣装は上半身全体と手首に花の刺繍が施されていて、蔓草が絡み合うようなデザインがガーリーでどことなく乙女ちっくな音楽の雰囲気に合っていますね。幾重にも重ねられたスカートは風になびくと独特の表情を作って氷に映えますし、丈が長めなので優雅です。
 色づかいはグリーンとブルーのあいだのような色合いで、グリーン単独だと女子スケーターが着こなすのはなかなか難しいと思うのですが、ブルー系と組み合わせることによって絶妙な可愛らしさを醸し出していて、今井選手の柔らかなイメージにピッタリのコスチュームに仕上げていますね。


 第6位はフランスのマエ=ベレニス・メイテ選手の「Europa/We Will Rock You/La Grange」。

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 複数のロック音楽をメドレーにしたノリノリのプログラムということで、衣装も女性らしさというよりは男性的なカッコよさを前面に押し出しています。胴部分を包むビスチェのようなトップスに、太めのストラップ?が組み合わされています。全体にキラキラと輝く装飾があしらわれていて、黒一色のパンツとバランスが取れています。下半身の黒と上半身のまばゆいブルーのコントラストも美しいですね。
 コスチュームの形自体は個性的ですが、色づかいが派手過ぎずシックですし、デザインが左右対称でもあるので、きちんとした印象も受けます。プログラムのロックなイメージを見事に表現した衣装だと思います。


 第7位は日本の村上佳菜子選手の「パパ、見守ってください 映画『愛のイエントル』より」。

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 「パパ、見守ってください」は映画『愛のイエントル』の中の一曲。主人公の女性“イエントル”が亡き父を想うという曲で、村上選手のプログラムも全体的に穏やかで厳かな空気が漂う作品となっています。シーズン中衣装は3つ使用され、1つはグレー地に青の模様が入ったもの、1つはブルーのもの、もう1つは黒や紫を組み合わせたものでした。その中で最も私が気に入ったのが今回取り上げたブルーの衣装です。
 哀愁を感じさせる音楽にふさわしいシックな色づかいで、自然なグラデーションになっています。その中に装飾が散りばめられているのですが、流れるようなデザインで施されているので天の川のようにも見えますし、青地という色づかいも相まって星が瞬くようできれいですね。
 スカートは前が短く、後ろが長くなっているのが優雅さを醸し出していますし、また、左手首に飾りの布が付いていて、これも風にひらひらとはためいてアクセントになっています。シンプルではありますが、細かな装飾づかいと繊細なデザインが素晴らしいコスチュームだと思います。


 第8位はカナダのケイトリン・オズモンド選手の「映画『ミッション・クレオパトラ』より/Cleopatra and Caesar」。

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 映画『ミッション・クレオパトラ』などの楽曲を組み合わせ、クレオパトラをイメージしたプログラム。ということで衣装もクレオパトラらしさを意識したデザインになっています。特徴的なのはワンピース自体は無地で実にシンプルだということ。以前、安藤美姫選手がクレオパトラをテーマにしたプログラムを演じた時の華やかな衣装と比べると、色もシックな紫ですし、装飾らしい装飾も使われていません。ですが、その分ゴテゴテとしたネックレス風の装飾をあしらったりブレスレットをいくつも重ねたりと、アクセサリーを派手にすることでうまくバランスを取っています。服を簡素にし、装身具で華をプラスするというオリジナリティー溢れるコスチュームですね。


 第9位はアメリカのアグネス・ザワツキー選手の「ラ・クンパルシータ/タンゴ・ジェラシー」です。

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 タンゴの名曲を組み合わせたプログラムですが、衣装もタンゴらしい大人びた雰囲気漂うものとなっています。胸元以外は黒の生地で覆われていますが、肩から腕にかけてはレース素材で絶妙な透け感が色気を醸し出しています。ボディーの部分はレースではありませんが、細かな刺繍がなされていて凝っています。黒一色なので華美なコスチュームではないですが、タンゴ特有の哀愁や大人の魅力を感じさせる素敵な衣装だと思います。


 第10位はイタリアのヴァレンティーナ・マルケイ選手の「Nyah 映画『ミッション:インポッシブル2』より」。

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 「Nyah」はラテンの情緒が魅力的なムーディーな音楽。上述したザワツキー選手同様、黒一色のコスチュームで大人っぽさを感じさせます。上半身はタートルネック風になっていて、生地がゆるめなのが独創的ですね。その中にさまざまな色のスパンコールがあしらわれていて、服が揺れると輝きを放ちます。腰はスパンコールでベルト風のデザインがなされ、スカートは薄い生地が重ねられています。スカートには深いスリットが入っているのですが、プログラム冒頭にスカートをたくし上げてスリットから太腿をのぞかせるという印象的な振り付けがあり、衣装の特徴をうまく利用しています。パッと見は地味ですが、絶妙な色っぽさを匂わせる考えられたコスチュームですね。



 ベストコスチューム13/14・女子フリー部門は以上です。さて、このシリーズもいよいよ大詰め。最後はアイスダンス部門です。


:記事冒頭のアイスリンクの写真は国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、李選手の写真、鈴木選手の写真、ゲデヴァニシヴィリ選手の写真、オズモンド選手の写真、マルケイ選手の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、浅田選手の写真は世界選手権2014の公式ウェブサイトから、今井選手の写真はスポーツ情報ウェブサイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、メイテ選手の写真は、アメリカのオンラインマガジン「Slate」が2014年2月23日の18:49に配信した記事「Nude Mesh vs. Nude Lycra: Figure Skating’s Faux-Nudity Secrets Revealed」から、村上選手の写真は、毎日新聞のニュースサイト内の写真特集「フィギュア全日本選手権」から、ザワツキー選手の写真は、アイスダンス情報ウェブサイト「Ice-dance.com」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-05-02 17:06 | フィギュアスケート(衣装関連)