フィギュアスケーター衣装コレクション⑥―ブライアン・ジュベール編

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 フィギュアスケーター衣装コレクション第6弾。今回はこのシリーズ初めての男性スケーター、ブライアン・ジュベール選手をフィーチャーします。
 1度の優勝を含む6度の世界選手権でのメダル獲得、3度の欧州選手権優勝という輝かしい成績を残してきたブライアン・ジュベール選手。13/14シーズン限りでの現役引退を発表していましたが、その後、ロシアのカタリナ・ゲルボルト選手と組んでペアに転向すること、ロシアに所属を移して競技人生を続ける予定であることが発表されました。このニュースは正直とてもびっくりしましたが、今までとはまた違った形で彼のスケートが見られるというのは嬉しいですね。
 そんなジュベール選手。4回転ジャンパーとしても有名でしたが、独特の個性を持ったオリジナリティー溢れる演技、そしてプログラムの世界観を反映した独創的なコスチュームも印象的なスケーターでした。ジュベール選手の素敵な衣装の数々をごく一部ではありますが見ていきたいと思います。
 
 
 まずは、ジュベール選手が初の世界チャンピオンとなった06/07シーズンと引き続き使用した07/08シーズンのフリー、「アルバム『Plays Metalica』より/O Verona 映画『ロミオ+ジュリエット』より」です。

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 プログラムはクラシックな趣きがありながらも激しさ、躍動感のある作品。衣装も色だけで見ればシンプルなモノトーンですが、斬新なデザインで躍動感を表現していますね。特に印象的なのはやはり胸のギザギザ部分。稲妻のようでもあり、男性的な力強さを感じさせます。また、右腕やパンツのサイド部分のクロスさせたラインも鋭くシャープですし、全体的に“シャープ”というのをテーマにしている感じがあり、きちんとしたコンセプトの下に作られた衣装なんだろうなという印象を受けますね。


 次は一気に飛んで10/11シーズンのショート「マラゲーニャ 映画『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』より」とフリー「交響曲第9番」です。

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 ショートはラテン系の音楽。ですが、ほぼ黒一色でシックな色づかいとなっています。ラテン系のプログラムの場合、赤だったりオレンジだったり鮮やかな原色が使われることが多いですが、黒を基調にすることで新鮮味のある衣装にしていますね。デザインは光沢のある黒のシャツの上に、同じ黒のベストを重ねていて、ベストは片側だけラインストーンで装飾がなされています。よく見るとこのラインストーンも色彩豊かなものなのですが、派手過ぎな色づかいなのでシックな雰囲気を壊していません。そして、ラインストーンが独特の模様を作り出していて、異国情緒漂うエキゾチックさも感じさせます。
 フリーはベートーベンの「交響曲第9番」という正統派のクラシック。カラーは落ち着いたブルー系で全体を統一していて、こちらもシックなコスチュームと言えます。襟やレース調のデザインもいかにもヨーロピアンな雰囲気を醸し出していて、音楽に合っていると思います。その一方で上半身をグラデーションにしたり、腰元にレースが垂れ下がるようなデザインにしたりと、ただオーソドックスなのとは違うオリジナリティーというのもうかがえて、ジュベール選手らしさを感じさせる衣装ですね。


 続いては11/12シーズン&12/13シーズンのショート「ジェネシス/エアロダイナミック」と、11/12シーズンのフリー「Clubbed to Death 映画『マトリックス』より」。

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 ショートプログラムはフランスのエレクトログループ2組の楽曲を組み合わせたもので、エレクトリックな音が印象的なプログラムとなっています。一方、コスチュームは黒一色というシンプルさ。そこまでエレクトリックな感じはしません。ですが、透け感のある生地の上におもしろい形の生地を重ねていて、奇抜さを感じさせます。また、生地は細かな装飾で縁取りされていて、ここらへんがちょっとエレクトリックかなという気もします。シンプルではあるのですが、その中に音楽の世界観を控えめに取り入れた衣装となっていますね。
 フリーは映画『マトリックス』がテーマ。ということでまさにTHEマトリックスといったデザインのコスチューム。光沢のある黒いコートに緑色で謎の文字がプリントされていて、映画の主人公を見事に再現しています。ここまで映画の世界観を如実に表現した衣装はなかなかないので、ある意味新鮮に感じますね。


 次は12/13シーズンのフリー「映画『グラディエーター』より」。

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 こちらも映画のサントラを使用したプログラムということで、上述した「マトリックス」同様、登場人物のコスチュームを模したものとなっています。このプログラムはエキシビションバージョンもあって、そちらはまた少しデザインは違うのですが、甲冑風の衣装という点では共通しています。
 甲冑部分はもちろん布だと思うのですが、金属の汚れた風合いや硬質感をうまく作り出していて本格的な衣装となっていますね。お腹の部分も透け感のある素材にすることで“グラディエーター”っぽくなっているなと思いますし、男性の色気みたいなものも匂わせますね。


 最後は13/14シーズンのショート「Mutation 『アマルナ』より」とフリー「アランフェス協奏曲」。

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 ショートはシルク・ドゥ・ソレイユのショー『アマルナ』の楽曲を使用したプログラム。ショー自体は月や女性をモチーフとしていて、「Mutation」は英語で突然変異という意味です。
 ジュベール選手の衣装は“火”を想起させるようなデザインなので、直接ショーのイメージを反映させたというわけではなさそうですが、プログラムの音楽はアップテンポで情熱的な曲想なので、音のイメージを膨らませたコスチュームなのかなという気がしますね。火がメラメラと燃え、キラキラ輝くようなデザインは生命の力強さみたいなものも感じさせます。
 フリーはフィギュア界の大定番「アランフェス協奏曲」。ですが、この衣装は王道の“アランフェスらしさ”とは一味違った“ジュベールらしさ”に溢れています。胸元が大きく開いた襟付きシャツ、その下にドット柄の黒いシャツを重ねたデザイン。襟元と手首はきらめく素材の赤で、それ以外は黒、特に上半身は透ける生地となっています。色づかいは赤と黒でラテン系のプログラムでよく使われる色の組み合わせなのですが、シースルー素材を使ったり開襟シャツ風のトップスにしたりと、あえてモダンなデザインにすることでよくある“アランフェス”とは違う個性を出しているように思いますね。



 ということで、ざっくりとジュベール選手の衣装を見てきました。キャリアの長いジュベール選手、ほかにも色々素敵な衣装がある中でほんの一部ではありますが……。
 ジュベール選手は音楽のチョイスもそうなのですが、コスチュームに関してもやはり独特のセンスを持っているなと改めて感じました。「アルバム『Plays Metalica』より/O Verona 映画『ロミオ+ジュリエット』より」や「ジェネシス/エアロダイナミック」のように斬新なデザインを用いたもの、「マラゲーニャ」や「アランフェス協奏曲」のようにオーソドックスをあえて外したもの、「マトリックス」や「グラディエーター」のように映画の世界観を忠実に反映したもの。スタイリッシュ、ファッショナブルというとはまた違うのですが、どれも凝った衣装となっていて目を引きますね。
 洗練を求めるというよりは、とことん自分の個性を追求した、“我が道を行く”コスチュームと言えると思います。
 今後はペアに転向する予定というジュベール選手。ぜひそちらでもジュベール選手らしい衣装を見せてくれたらなと楽しみにしています。


:記事冒頭のジュベール選手のポートレート写真、「アルバム『plays metalica』より/O Verona 映画『ロミオ+ジュリエット』より」の写真、「映画『グラディエーター』より」の写真は、エンターテインメント情報ウェブサイト「Zimbio」から、「マラゲーニャ 映画『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』より」の写真はアイスダンス情報ウェブサイト「Ice-dance.com」から、「交響曲第9番」の写真は、データベースウェブサイト「ウィキメディア・コモンズ」から、「ジェネシス/エアロダイナミック」の写真、「Mutation 『アマルナ』より」の写真、「アランフェス協奏曲」の写真は、写真共有ウェブサイト「Pinterest」から、「Clubbed to Death 映画『マトリックス』より」の写真は、フィギュアスケート情報ウェブサイト「Golden Skate」が2012年の4月8日に配信した記事「Brian Joubert: Reloaded」から引用させていただきました。


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by hitsujigusa | 2014-07-28 20:19 | フィギュアスケート(衣装関連) | Comments(0)