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各選手の14/15シーズンの新プログラムについて・その⑤

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 新プログラム情報シリーズ第5弾です。今回は高橋成美、木原龍一組とロシアの選手の14/15シーズンのプログラムについて書いていきます。


 まずは、日本のペア、高橋成美&木原龍一組について。ショートはエルビス・プレスリーの「Bossa Nova Baby」、フリーは「That's Entertainment/Love is Here to Stay/I'll Build a Stairway to Paradise」です。
 SPはプレスリーですからノリノリ系の明るい曲でしょうね。特に高橋選手はすごくダンスのうまいスケーターですから、こういった曲調のものは合いそうです。
 フリーはアメリカの作曲家の楽曲の組み合わせ。「That's Entertainment」はアーサー・シュワルツの作曲でミュージカル映画『バンド・ワゴン』からのナンバー、「Love is Here to Stay」と「I'll Build a Stairway to Paradise」はジョージ・ガーシュウィンの作曲で、前者はジャズのスタンダードナンバー、後者はミュージカル曲です。アメリカらしさを感じさせる音楽を使っていますから、プログラムもそういった雰囲気のものになっているでしょうし、ショート同様の明るさはこのペアの魅力をうまく引き出してくれそうなプログラムだなと思います。昨シーズンのオーソドックスな選曲からのギャップも良いですね。
 そんな高橋&木原組はすでにシーズン初戦のネーベルホルン杯を終了。結果は7位、得点的にもパーソナルベストには遠く及びませんでしたが、高橋選手は「練習通りの滑りができた」、木原選手は「練習以上のものが出せたり、それ以下だったり」とブログでそれぞれ吐露していて、ふたりにとっての2年目が始まったんだなとこちらも実感がわきました。次の試合も楽しみにしています。


 ここからはロシアの女子選手です。

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 ソチ五輪金メダリストであるアデリナ・ソトニコワ選手。ショートプログラムは大定番の「白鳥の湖」、フリーは「Je Suis Malade」だそうです。
 「白鳥の湖」は王道のバレエ音楽。ソトニコワ選手も以前、エキシビションで滑っていますが、今回はヴァイオリニストのデイヴィッド・ギャレットさんの演奏によるアレンジバージョンになるみたいですね。なので一般的なオーケストラの「白鳥の湖」とは違って、ヴァイオリンの旋律がメインの新鮮な「白鳥の湖」になっているのではないかと思います。
 フリーの「Je Suis Malade」はフランス語の楽曲。最初にフランス人歌手のセルジュ・ラマさんが発表し、その後ダリダさんやララ・ファビアンさんなどによって歌われ受け継がれてきたスタンダード曲です。かの皇帝エフゲニー・プルシェンコ選手もエキシビションでセルジュ・ラマさんが歌うバージョンを使っていましたが、ソトニコワ選手が使用するのはララ・ファビアンさんバージョン。この曲は悲哀漂う恋の歌ですから、ソトニコワ選手にとってはかなりチャレンジングな選曲という印象ですし、うまく成功すれば新境地を開くプログラムになるでしょうね。


 次は昨季大ブレイクを果たしたユリア・リプニツカヤ選手です。

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 SPはロシアのピアノトリオ、Bel Suonoの楽曲「メガポリス」、フリーはおなじみの「ロミオとジュリエット」
 ショートはロシアのクラシックグループと言っていいのか分からないのですが、ピアノをメインにしたトリオの曲です。13/14シーズンをもって引退したロシアのクセニア・マカロワさんも使用していましたね。どういう感じの曲だったか私ははっきり覚えていないのですが、ピアノメインといっても完全なるクラシックというのとは違う曲だったように思います。
 フリーの「ロミオとジュリエット」はニーノ・ロータが作曲した1968年の映画のサントラを使用するようですね。昨季の羽生結弦選手のフリーとしても記憶に新しいニーノ・ロータの「ロミジュリ」ですが、リプニツカヤ選手もジュニア時代に滑ったことがあります。数シーズン前に一度演じたものを再登板させるということで、その時のプログラムから進化したものを見せる必要があるでしょうが、あれから彼女もいろんな経験をして表現力もずっと成長していますから、きっと新たな「ロミオとジュリエット」を演じてくれるのではないかと思います。


 続いては現世界ジュニア女王でシニア2年目となるエレーナ・ラディオノワ選手。

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 SPは「De mi vera te fuistes (Seguiriyas)/Ain't It Funny」、フリーはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番/悲しみの三重奏曲第2番」です。
 ショートプログラムは2つの全く異なるタイプの楽曲の組み合わせ。「De mi vera te fuistes (Seguiriyas)」はスペインのクラシックギター奏者、ペペ・ロメロさんの楽曲。そして「Ain't It Funny」はアメリカの歌手ジェニファー・ロペスさんのヒット曲です。クラシックギターとジェニファー・ロペスという斬新なメドレー、コラボがどんなものになるのか楽しみです。
 一方、フリーはクラシックの正統派であるラフマニノフ。ですが、ものすごく有名な曲というよりは比較的マニアックなセレクションという感じがします。これまでラディオノワ選手が演じてきたプログラムと比べても、ぐっと大人向けというか、重厚なプログラムになりそうですね。


 世界選手権2014で4位と結果を残したアンナ・ポゴリラヤ選手は、SPが「アルビノーニのアダージョ」、フリーがバレエ「火の鳥」という選曲。
 「アルビノーニのアダージョ」は頻繁にではありませんが、フィギュア界ではしばしば使われる楽曲ですね。「火の鳥」は言わずもがなの定番バレエ。ロシアの選手ですから、やはりこういったロシアンバレエはハマるんじゃないかという気がしますね。


 ベテランのアリョーナ・レオノワ選手は、SPが「スマイル/序曲 彫像の序幕 映画『街の灯』より/テリーのテーマ 映画『ライムライト』より」、フリーが「Asi se baila el Tango 映画『レッスン!』より/ブエノスアイレスの秋」です。
 ショートはチャップリンメドレーですね。コミカルな演技が得意なレオノワ選手なので、完全にコミカルなプログラムでないにしてもチャップリン特有のおかしみみたいなものが表現されたプログラムになっているんじゃないかと想像します。フリーはタンゴメドレー。映画の中のタンゴとアストル・ピアソラの名タンゴ曲を合わせたプログラムですが、レオノワ選手は今までも結構ラテン系のプログラムを演じてるんですね。なのでそれなりにしっくり来るとは思うんですが、どう新鮮味、オリジナリティーを表現するかというところがポイントになるでしょうね。


 13/14シーズンは低迷が続いたエリザベータ・トゥクタミシェワ選手は、SPは「ボレロ」、フリーは「Batwannis Beek/Sandstorm」とのこと。
 SPはフィギュア界のレジェンドとも言える大名曲。誰もが知る曲だからこそやりやすさというのもあると思いますし、一方で選ぶのに勇気がいるんじゃないかなという気もします。どんなトゥクタミシェワ選手流の“ボレロ”を見せてくれるのか期待です。フリーはThe REG Projectというレバノン出身のエレクトログループの曲とLa Biondaというイタリアのディスコミュージックデュオの曲のメドレーなようです。どちらもマイナーなグループで私はよく知らないのですが、王道中の王道の「ボレロ」とは対照的な選曲でおもしろいですね。


 ここからはロシア男子。
 一人目は現ロシアチャンピオンであるマキシム・コフトゥン選手です。

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 SPはなんとこちらも「ボレロ」、フリーはイギリスのバンド、ミューズの「エキソジェネシス交響曲」
 上述したトゥクタミシェワ選手と同じ「ボレロ」を選んだコフトゥン選手ですが、最近は「ボレロ」は女子スケーターが滑ることの方が圧倒的に多かったような気がするので、男子スケーターの「ボレロ」はちょっと意外性があって良いかもしれないですね。フリーはアメリカのジェレミー・アボット選手の代表作として知られる楽曲。このアボット選手のプログラムがとても素晴らしいものだったので、どうしても比較されてしまうリスクはあるでしょうが、コフトゥン選手は全然違う魅力を持つスケーターなので、同じ音楽でもまた違うイメージを表現してくれそうですね。


 2011年の世界選手権銅メダリストで、現在再起を図っているアルトゥール・ガチンスキー選手は、SPがカナダの歌手、マイケル・ブーブレさんが歌う「クライ・ミー・ア・リバー」、フリーがラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」になるそうです。
 ショートはアメリカのポピュラーソングですね。いろんな歌手がカバーしている名曲ですが、フィギュア界で使われることはまれ、ましてやボーカル付きでというのはもちろん初めてなので、新鮮味を感じます。フリーは定番曲。でも、意外にガチンスキー選手はこういうロシアの作曲家の大定番をプログラムに使用したことはあまりないんですね。いつもちょっと正統派からは外れた選曲をしていたので、その彼が母国の名曲を演じるとどんな感じになるのか、興味深いです。
 あと、余談ですがガチンスキー選手は今年に入ってからコーチを変更しているんですよね。それがなんとあのタチアナ・タラソワさん! タラソワさんとライバル関係にあると言われるアレクセイ・ミーシンさんに子どもの頃から教えを乞うてきたガチンスキー選手が、その恩師であるミーシンさんからタラソワさんの元に移るというのはサプライズでした。目下のライバルであるコフトゥン選手とも同門ということになりますし。ガチンスキー選手が新たな拠点、コーチを得て、どんな成長を見せてくれるか注目したいと思います。


 一方、ロシア選手権3位、欧州選手権2位と、13/14シーズンに躍進したセルゲイ・ボロノフ選手は、SPにサン=サーンスの「死の舞踏」、フリーには「Caruso/Come Together/At Last by Kenny G/Big Time Boppin’ (Go Man Go) 」を使用。
 「死の舞踏」は金妍兒(キム・ヨナ)さんやデニス・テン選手も使用したことがありますが、ヴァイオリンが奏でる不気味なメロディ、独特の楽器づかいなど、いろんな意味でインパクトのある曲ですね。フリーはさまざまなジャンルの楽曲の組み合わせ。ロックだったりジャズだったりと色々入っているので、これをどうひとつのプログラムとしてまとまりのあるものにするか、繋がりの感じられるものにするか、という点が私としては気になります。


 ベテランのコンスタンティン・メンショフ選手は、SPが「Rotting Romance」、フリーが「Tango en Silencio」
 どちらもあまり馴染みのない曲名ですが、ショートはアメリカのシンガー、マーク・テレンジさんの歌。そしてフリーはレバノンのヴァイオリニスト、アラ・マリキアンさんの曲。王道のクラシック音楽や映画音楽ではなく、マイナーな曲をチョイスするところが、相変わらずのメンショフ選手らしさですね。


 最後は、今季シニアデビューとなる新星、アディアン・ピトキーエフ選手。SPはラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」、フリーはミューズの「エキソジェネシス交響曲第3部」とのこと。
 ショートはガチンスキー選手と、フリーはコフトゥン選手と丸かぶりですね。こういうのも珍しいですが、フィギュアファンとしては比較して見られる楽しみもあり、こんなにかぶっちゃって大丈夫だろうかという余計な心配もあり。どちらにしろ、新星のデビューを楽しみにしたいと思います。



 ということで、高橋&木原組と、ロシアの選手11名の新プログラム情報をお届けしました。やはりロシアの選手も日本選手同様、歌詞入りのプログラムを用意している選手が多くいて、皆さん新しいルールに対して意欲的に取り組んでいる様子がうかがえます。
 このシリーズは今回で5回目ですが、その⑥があるかどうかは現時点ではわかりません。記事にできるくらい多く情報が集まれば、また書きたいと思います。では。


:記事内の写真は全て、フィギュアスケート雑誌「International Figure Skating」の公式フェイスブックページから引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2014-09-30 01:49 | フィギュアスケート(大会関連)