四大陸選手権2018・男子&ペア―金博洋選手、300点超えで初優勝(前編)

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 1月22日から27日にかけて台湾の台北にて行われた四大陸選手権2018。この記事では男子とペアの結果についてお伝えします。
 男子の頂点に立ったのは中国のエース、金博洋(ジン・ボーヤン)選手。自身2度目となる300点の大台を突破し、初優勝を果たしました。2位は全日本王者の宇野昌磨選手、3位はアメリカの実力者、ジェイソン・ブラウン選手となっています。
 ペアはアメリカのタラ・ケイン&ダニエル・オシェア組が制し、こちらも初制覇です。

ISU Four Continents Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 四大陸王者となったのは世界選手権2017銅メダリストの金博洋選手です。

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 SPは大技4ルッツ+3トゥループから、これを完璧に決めて1.43点の加点を得ると、続く4トゥループも難なく着氷。後半の3アクセルも軽やかに下りて1.71点の加点を得て、ほぼノーミスで演じ切りました。得点は100.17点と初めて100点台に乗せ、2位と好発進します。
 フリー冒頭は単独の4ルッツ、これを鮮やかに成功させ2.71点の加点を獲得。さらに4サルコウ、3アクセル+1ループ+3フリップと難易度の高いジャンプを続けます。後半は4トゥループからで、これに2トゥループをつけたコンビネーションとして決めると、単独の4トゥループも着氷。単独の3アクセルも下り、3+3は着氷が乱れて3+2になったものの、最後の3フリップまで安定感抜群のジャンプを連発。ステップシークエンス、スピンも全てレベル4と取りこぼしなく、シーズンベストの200.78点でフリー1位、総合1位と逆転で四大陸を初制覇しました。
 シーズン前半は足の怪我の影響もあってなかなか本来の力を発揮し切れなかった金選手。GPファイナルも辞退して治療に専念し、そして満を持して11月以来の実戦となった今大会でしたが、じっくりと時間をかけて調整に集中してきたというのが見て取れる演技内容でしたね。金選手にとっても今回は五輪前の小手試しという意味合いが大きかったと思うのですが、シーズン前半であまりジャッジにアピールできなかった分、ここでしっかりとした滑りを見せるぞという本気度もうかがえて、気迫が感じられましたね。一つ一つのジャンプの質も以前よりもレベルアップしているような気がしましたし、この演技を五輪でもされると日本勢にとってはかなり厄介だなという印象を受けました。
 2年連続世界選手権銅メダリストとしての矜持を大いに示した金選手。元々シーズン後半の試合に調子を合わせてくる能力は高い選手ですが、そのポテンシャルが五輪でもどれだけ発揮されるか、楽しみです。四大陸初優勝、おめでとうございました。


 銀メダルを獲得したのは世界選手権2017銀メダリストの宇野昌磨選手です。

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 SPはまず代名詞の4フリップから、着氷で若干こらえますが大きな乱れなく下ります。後半に2つのジャンプ要素を組み込み、最初の4トゥループ+2トゥループは確実に成功。さらに得意の3アクセルも流れの中で跳び切り2.29点の加点を獲得し、100.49点で首位発進します。

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 フリー冒頭は4ループから、これをしっかり着氷しますが判定としてはアンダーローテーション(軽度の回転不足)に。続いて4フリップはこちらも回転が足りず転倒してしまいます。しかし直後の3ループはきれいに決めてすぐに立て直します。スピンとステップシークエンスを挟んで後半、3アクセルは完璧に成功。続いて鬼門となっていた4トゥループ+2トゥループ、単独の4トゥループもクリーンに着氷。さらに3アクセル+1ループ+3フリップ、3サルコウ+3トゥループと終盤のコンビネーションジャンプも余裕を持って成功させ、演技を終えた宇野選手は表情に充実感を漂わせました。得点は197.45点でフリー2位、総合2位で優勝には惜しくも届きませんでした。
 細かな取りこぼしはチラホラありましたが、演技中、また演技後の宇野選手の笑顔が物語っていたように、一定の手応えを得た試合だったと言えますね。GPから全日本選手権にかけてフリー後半の4トゥループでミスすることが多くなっていた宇野選手にとって、今大会はその課題に真正面から取り組んで練習してきた成果をどれだけ出し切れるかというのが最重要ポイントだったと思うのですが、そのフリー後半がノーミスだったということで笑顔に繋がったのでしょうね。ただ、本人が「達成感はない」とおっしゃっていたように、あくまでも今回はオリンピック前に足元を固めるという意味合いが大きく、宇野選手が常々キーワードとして挙げている「攻める」というよりは、一つ一つ確実にという意識がうかがえたので、五輪ではここからさらに上積みをして、宇野選手自身が攻めることができたと思えるような達成感のある試合になるといいなと思いますね。
 五輪でも宇野選手らしく思い切りの良い演技で笑顔で滑り切れることを願っています。


 3位はアメリカの実力者、ジェイソン・ブラウン選手です。

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 ショート冒頭は得点源の3アクセル、これは着氷を乱します。しかし、3+3、後半の3ルッツはクリーンに決め、失敗した3アクセル以外は全て加点1以上と質の高いエレメンツを揃え、89.78点で4位と好位置につけます。
 フリーは全米選手権からプログラムを変更し「愛の香気 映画『ピアノ・レッスン』より」。冒頭はショートでミスを犯した3アクセルからの3トゥループの連続ジャンプ、これをパーフェクトに決め最高の滑り出しを見せます。続く2本目の3アクセルは着氷が乱れますが、後半に6つのジャンプ要素を組み込み、まず2アクセル、そして3ルッツ、3+2、2アクセル、3ループ、3ルッツ+1ループ+3サルコウと全て大きなミスなく予定どおりに成功。ステップシークエンス、スピンでもいつもどおりレベル4を揃え、笑顔のフィニッシュとなりました。得点はシーズンベストの179.44点でフリー3位、トータルでもシーズンベストをマークして3位に順位を上げました。
 全米ではまさかの6位に沈み五輪の切符を逃したブラウン選手。この四大陸が彼にとってシーズンの集大成の試合となったわけですが、最後にシーズンベストの演技ができて良かったなと思いますね(まだほかの試合にも出場予定があるかもしれませんが)。特にフリーは15/16、16/17シーズンと2季に渡って使用した「愛の香気」に戻しての演技で、体になじんだプログラムを再演することでシーズン最後に最高の演技をしたいという想いがあったのかなと想像します。今季は3アクセルに苦しめられた形で、今大会も3本中クリーンな成功は1本のみということで完全に調子を取り戻したわけではなかったかもしれませんが、演技への集中、表現への強い意志は途切れることなく、最初から最後までしっかりプログラムをコントロールしていて思わずうっとりとしてしまいました。やはり唯一無二の表現力はブラウン選手の最大の武器ですから、来季もその長所を最大限に活かして頑張ってほしいなと思いますね。


 表彰台まであと一歩の4位に入ったのは日本の田中刑事選手です。

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 SPは得点源の4サルコウから、これをしっかりと回り切って下り加点を得ます。次いで3+3、後半の3アクセルとどちらも高い加点を稼ぎ、ブルースの激しいメロディに合わせてエネルギッシュに演じ切りました。得点は90.68点で国際大会では自身初の90点台に乗せ、3位と好発進しました。

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 フリーもまずは4サルコウから、しかしパンクして3サルコウに。続く4サルコウは着氷で乱れ、さらに3アクセルもパンクで2回転にと低調な滑り出しとなります。スピンとステップシークエンスを挟んで後半、最初の4トゥループはこらえながらも何とか着氷。次いで3アクセルからの3連続ジャンプも決めます。さらに3+3、3ループ、3+2と後半はノーミスでまとめ挽回しました。得点はパーソナルベストとなる169.63点でフリー5位、自己ベストで総合4位となりました。
 好調なショートから一転、メダルに対する意識もあったのかフリーは硬さの目立つ出だしとなってどうなることかと危ぶまれましたが、後半の立て直しは見事でしたね。基礎点の大きいジャンプでミスが相次いでもパーソナルベストが出せたというのは地力が上がっている証拠だと思いますし、ジャッジからの評価も間違いなく高まっているんだなと感じます。とはいえ田中選手本人は今回の演技に納得感はないでしょうし、全日本に全力を注いだ後の試合なので多少調子が落ちるのは仕方ないのかなとも思いますので、五輪ではさらにパワフルな演技で世界に存在をアピールしてほしいですね。


 5位はアメリカのマックス・アーロン選手です。

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 SPは4トゥループからの連続ジャンプ、これを確実に成功させます。続いて3ルッツ、後半の3アクセルともに1点以上の加点の付く出来でまとめ、84.15点で6位につけます。
 フリーもまずは4トゥループ+2トゥループ、ショート同様に軽やかに成功。直後の4サルコウは着氷を乱しますが、次の3ループは切り換えて難なく跳び切ります。後半はまず3ルッツを決めると、3アクセル+2トゥループ、3アクセルと続けて着氷。3+1+3の難しいコンビネーションジャンプも下り、最後の2アクセルも成功と予定どおりにジャンプをクリアし、演技を終えたアーロン選手は満面に笑みを浮かべました。得点は171.30点でフリー4位、総合5位で大会を終えました。
 上述したブラウン選手同様、五輪代表入りはならなかったアーロン選手。こちらもシーズン集大成として臨んだ四大陸でしたが、ショート、フリーともにアーロン選手らしいジャンプが数多く見られましたね。アーロン選手はシーズン序盤こそ好調なスタートを切りましたが、GP2戦目のフランス大会以降は調子が下降していましたので、この大会に懸ける想いというのは意外に強かったんじゃないかなと思います。フリーは4回転を2本に絞ることで全体の完成度を高めていて、その効果がプログラムの端々にまで行き渡っているように感じられました。
 25歳とベテランの域に入っているアーロン選手ですが、まだまだ円熟味というよりはフレッシュな、エネルギーがほとばしるような演技を見せてほしいなと思います。



 さて、前編はここで終了とさせていただきまして、続きは後編とします。お手数をおかけしますが、続きは後編でお読みください。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、宇野選手のフリーの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、金選手の画像、宇野選手のSPの画像、ブラウン選手の画像、田中選手の画像、アーロン選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-02-02 02:35 | フィギュアスケート(大会関連) | Comments(0)