ベストコスチューム17/18・アイスダンスフリーダンス部門

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 17/18シーズンの衣装のベスト10を決めるベストコスチューム17/18。今回はアイスダンスのフリーダンス部門です。なお、衣装を選ぶ際のルールについては、こちらの記事の冒頭をご覧ください。

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 アイスダンスFD部門第1位は、スペインのサラ・ウルタド&キリル・ハリャービン組の「ドン・キホーテ」です。

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 おなじみのバレエ「ドン・キホーテ」の音楽を使用したプログラム。スペインのカップルがスペインを舞台にした作品を演じるということで、まさに五輪シーズンにふさわしいプログラムですが、衣装もスペインらしさを強調しています。
 女性のウルタド選手はトップスが黒、スカートが赤というオーソドックスなスペイン風カラーコーディネート。トップスのオフショルダーの部分がレースになっていたり、スカートが光沢感のある素材になっていたりと、素材感で工夫が見られます。一方、男性のハリャービン選手はフリルがふんだんにあしらわれたシャツの上にグレーのベスト、ビロードっぽい素材のワイン色の上着という重厚感を感じるスタイル。特に上着は前合わせや肩、袖口など繊細な刺繍がびっしりと施されていて、高級感が伝わってきます。
 奇をてらわず「ドン・キホーテ」の世界観を表現した両衣装で、細部まで妥協せずこだわった贅沢な作りのコスチュームだと思いますね。


 2位はアメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組の「パラダイス」です。

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 イギリスのバンド、コールドプレイの楽曲「パラダイス」を使用した壮大なプログラム。衣装も男女ともに力強さを感じさせる色づかいになっています。
 妹のマイア選手は赤を基調としたワンピース。形としてはホルターネックタイプで、お腹に向けて布を寄せることで美しいラインを作り出しています。また、スカートの一部分に深みのある紫を差し色として加えていて、印象的なアクセントになっています。そして兄のアレックス選手も同じ色合いのトップスに黒いパンツ姿。ただ、そのトップスも鮮やかな赤一色ではなく、グラデーションで変化がつけられていますし、全体的に散りばめられた細かい装飾によって、どこか宇宙のような壮大さも感じさせて、シンプルではありますが上質感と工夫が感じられます。
 赤という派手な色を前面に押し出しながらも、洗練された落ち着きのあるイメージを作り出していて、正統派のシブタニ兄妹らしい品の良さが表れているなと思います。


 3位はイタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組の「映画『ライフ・イズ・ビューティフル』より」。

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 イタリア映画『ライフ・イズ・ビューティフル』のサントラを使用したストーリー性の強いプログラムで、カッペリーニ&ラノッテ組は困難を乗り越える夫婦の姿を情感たっぷりに演じました。
 衣装はシーズンを通して2種類使用されましたが、今回選んだのはシーズン前半の試合とシーズン最後の世界選手権で着用された衣装です。女性のカッペリーニ選手は白一色のワンピースですが、上半身は立体感のあるレース調になっていて変化をつけています。一方の男性のラノッテ選手はクリーム色のシャツに黒いサスペンダー、黒いパンツというシンプルスタイル。女性の華やかさを引き立てるシンプルさですが、プログラムでラノッテ選手が演じる男性のイメージとも合っていますね。
 白をベースにした衣装というのは氷上では背景に溶け込んでしまうので、そういった意味では欧州選手権やオリンピックでカッペリーニ選手が着用していた赤い衣装の方が氷には映えると思うのですが、プログラムの雰囲気には真っ白なワンピースの可憐さがより合っている気がして、こちらを選びました。


 4位は中国の王詩玥(ワン・シーユエ)&柳鑫宇(リュー・シンユー)組の「Over My Shoulder/Happy Ending」です。

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 女性ボーカルによる前半はしっとりと、後半はテンポアップする緩急豊かなプログラムを演じた王&柳組。衣装もシックな色づかいときらびやかな装飾性を両立させて、プログラムの世界観に合わせています。
 男女ともに同じ淡い紫のコスチュームで、女性は胸元の大きく開いたワンピース姿。上半身はびっしりとラインストーンやスパンコールがあしらわれており、非常にゴージャスです。一方スカートは柔らかなふんわりとした素材で裾に向けて色が淡くなるグラデーションになっていて、上半身とは対照的なデザインとなっています。そして男性も淡い紫のトップスに黒いパンツで、女性と同じくトップスにはふんだんに装飾が施され華やかな印象です。ただ、女性の衣装ほどの装飾の多さではなく、シャツに透け感を持たせることで軽やかさも演出していて、男女のバランスの取れたコスチュームと言えますね。


 5位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組の「ある愛の詩 映画『ある愛の詩』より/Love's Dream/愛の夢第3番」です。

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 大ヒット映画『ある愛の詩』のテーマソングや、フランツ・リストの代表曲「愛の夢」を組み合わせたプログラムということで、衣装も色づかい、素材感、デザインともに柔らかな印象を与えています。
 女性はベージュのワンピースで、上半身はヌーディーな素材の上にピンクや水色など色とりどりの花を散りばめたフェミニンなデザイン。スカートはシンプルにベージュのチュールを重ね、優しい雰囲気を作り出しています。男性は微妙にピンクがかったトップスと黒のパンツの組み合わせで、こちらも袖は透け感がありふんわりとした作りで、女性の衣装同様に柔らかな印象を受けます。
 男女ともに淡い色づかい、柔らかな素材感のコスチュームで、“愛”や“夢”といったイメージにぴったりの世界観を醸し出していますね。


 6位はイギリスのペニー・クームズ&ニコラス・バックランド組の「エキソジェネシス交響曲第1部/バタフライズ・アンド・ハリケーンズ」です。

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 14/15シーズン、15/16シーズンのフリーと同じプログラムにシーズン途中から変更したクームズ&バックランド組。ただ、衣装は欧州選手権では新しいものを使用していましたので(オリンピックでは以前も使用したものを再着用)、その衣装を選びました。
 女性は紫を基調とした独創的なデザインのワンピース。曲の中に“バタフライ”とありますので、どことなく蝶をイメージしたようなデザインも胸元や腰の辺りに盛り込まれていて印象的です。また、色づかいも紫からピンクのグラデーションと独特の色づかいですし、黒く太いラインが何本も描かれたり、スカートの長さが部分部分で異なっていたりと、全体的にオーソドックスからは外れたオリジナリティー溢れるデザインとなっていて素晴らしいですね。そして男性の衣装はシンプルな黒のシャツに黒いパンツですが、シャツの肩から胸元、また、画像では見えませんが背中にかけてスパンコールなどできらびやかなデザインが施されていて、具体的な形、絵柄を作り出しているわけではありませんが、流星を思わせるような曲線が美しく、女性の華やかな衣装を引き立てるとともに、男性の衣装単独でも充分に印象深いデザインとなっていて、素敵だなと思いますね。


 7位はロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組の「オブリヴィオン/Beethoven's Five Secrets」。

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 ピアソラのタンゴ「オブリヴィオン」とアメリカのクラシックユニット、ピアノ・ガイズがベートーヴェンの「交響曲第5番」を元に作った曲「Beethoven's Five Secrets」を組み合わせたプログラムで、ボブロワ選手が目の見えない女性を演じるメッセージ性、ストーリー性の濃いプログラムとなっています。
 衣装は女性がピンクを基調としたエレガンスなドレス。腰に向かって寄せられたドレープが非常に美しい衣装ですが、色づかいもドレープが描き出すラインの中で絶妙にピンクとベージュが合わさっていて、芸術的とさえ言いたくなるような美しさです。一方の男性は白シャツにグレーのベスト、黒いパンツというオーソドックスなコーディネートで、女性を際立たせています。このプログラムは男女の恋を描いたものですから、男性のシンプルな衣装からもソロビエフ選手が演じている男性の佇まいというのが伝わってくる気がしますね。


 8位はポーランドのナタリア・カリシェク&マクシム・スポディレフ組の「ヤング・アンド・ビューティフル 映画『華麗なるギャツビー』より/Swing Break/No Diggity/メイプルリーフ・ラグ」。

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 ポップスやR&Bなどさまざまなジャンルの楽曲を組み合わせたメドレープログラムで、全体的に軽快さが印象的ですが、コミカルというよりは品の良い感じの軽快さになっていますね。
 そんな曲想に合わせて男女の衣装も上品さが感じられます。女性は胸元が大きく開いた長袖の青いドレス。色づかいも落ち着いた色合いでシックで、胸元も開いているとはいえヌーディーな生地で覆われている上に、ラインストーンなどの細かな装飾もふんだんにあしらわれているのでセクシーさはあまり感じさせず、優雅な雰囲気が前面に押し出されています。男性は白シャツにビロード風の素材感の青いジャケットを重ねていて、こちらもシックなスタイル。ただ、シャツは上のボタンを外して肌がのぞくように見せているので、このあたりからはあえてきっちりさせすぎずに軽やかさを演出しようという意図がうかがえます。王道のクラシックプログラムであれば、男性もネクタイを締めるなど正装風の衣装ぐらいがちょうどいいかもしれませんが、ポップなプログラムなだけに、これくらい決めすぎない方がしっくりくるのかなと思いますね。


 9位はフランスのアンジェリーク・アバチキナ&ルイ・トーロン組の「Mariage d'amour/Je suis malade」。

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 優しいピアノの音色で幕を開け、中盤以降、フィギュア界でも定番のラブソング「Je Suis Malade」で盛り上がる甘美で情熱的なプログラムです。
 女性は淡いラベンダー色のワンピースで、プログラムと同じ甘美な雰囲気を醸し出しています。ワンショルダー型のアシンメトリーな作りですが、左胸と腰に花の装飾があしらわれており、このあたりのデザインからもフェミニンさが感じられます。男性は白シャツに黒いパンツというシンプルなコーディネートで、女性の引き立て役に徹していますが、シャツは肩のあたりをシャーリング仕立てにするといったデザイン性もあり、引き立て役に回る中でも工夫しているのがわかります。
 パッと見て特別華やかさがあるとか斬新であるとかいった特徴はありませんが、プログラムの世界観を忠実に表現した衣装になっていると思いますね。


 10位はアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組の「イマジン」です。

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 ジョン・レノンの名曲「イマジン」のカバーバージョンを使用したプログラム。
 平和を願う歌ということで、衣装も男女ともに穏やかで落ち着いたイメージの青を基調としています。女性は深みのある青いノースリーブワンピースですが、全体的に透け感を持たせることであまり重く見えすぎないような工夫がなされています。また、ウエストを中心にきらびやかな装飾も施されているので、ほどよい華やかさもあります。男性は水色から女性と同じ深みのある青へとグラデーションするトップスに黒いパンツ。裾に向かってグラデーションすることでボトムスとの色なじみが良くなっていますね。



 アイスダンスフリーダンス部門のベスト10は以上です。これでベストコスチューム17/18もようやく折り返し地点。のろのろペースの更新で申し訳ないですが、残りのペアと女子もできるだけ早めに記事アップしようと思いますので、もう少しお付き合い下さい。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、ウルタド&ハリャービン組の画像、王&柳組の画像、クームズ&バックランド組の画像、ボブロワ&ソロビエフ組の画像、チョック&ベイツ組の画像は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、シブタニ&シブタニ組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、カッペリーニ&ラノッテ組の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ステパノワ&ブキン組の画像、は、アナスタシア・ボチカレワ氏の公式インスタグラムから、カリシェク&スポディレフ組の画像、アバチキナ&トーロン組の画像は、アナスタシア・ボチカレワ氏の公式サイトから引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-05-21 15:18 | フィギュアスケート(衣装関連) | Comments(0)