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フランス国際2018・男子&アイスダンス―ネイサン・チェン選手、逆転でGP5勝目

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 ファイナルに進む6人を決めるグランプリシリーズ18/19、最終戦のフランス国際がフランスのグルノーブルにて行われました。この記事では男子とアイスダンスの競技結果、内容についてお伝えします。
 男子を制したのは世界チャンピオン、アメリカのネイサン・チェン選手。SP3位から逆転で優勝し、3年連続でのファイナル進出を決めました。2位は同じくアメリカの実力者、ジェイソン・ブラウン選手、3位はロシアの若手、アレクサンデル・サマリン選手となりました。
 アイスダンスはこちらも世界王者、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組が優勝し、GP7勝目を上げました(ファイナルを含む)。

ISU GP Internationaux de France 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 優勝はアメリカのネイサン・チェン選手です。

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 SP冒頭は苦手としている3アクセルから、これをクリーンに決め好スタートを切ります。続いて大技4フリップに挑みましたが、アンダーローテーション(軽度の回転不足)で転倒。後半の4トゥループ+3トゥループは着氷しましたが、ステップシークエンスやスピンでのレベルの取りこぼしもあり、86.94点で3位にとどまりました。
 フリーはまずショートで失敗した4フリップ、今度はクリーンに下り高い加点を獲得。さらに4トゥループも完璧に決めます。次いで3+3も成功させ、苦手の3アクセルも何とか着氷でこらえます。後半は4トゥループ+3トゥループから、きれいに下りたかに見えましたが、わずかに回転不足で減点。直後の3+2+2、単独の3ループは難なく下り、また、スピンは全てレベル4ときっちりこなし、演技を終えたチェン選手は笑みを浮かべました。得点は184.64点でフリー1位、総合1位となり、GP5勝目(ファイナルを含む)を上げました。
 必ずしもジャンプの状態は絶好調という感じではなかったチェン選手ですが、その中でも自分の体と精神をしっかりコントロールして、ベストではないですがベターな演技を見せてくれましたね。スコア的には1か月ほど前のスケートアメリカから下がりましたが、内容的にはプログラムも体になじんで良いものになっているように感じますし、着実に前進しているという印象を受けるには充分な演技でした。
 今年から名門イェール大学の学生になったということで、普段は大学に通いながら近くのリンクで自主トレをしているそうですが、昨季まで拠点にしていたリンクから離れて、コーチの指導を頻繁には受けられない状況で、それでもこれだけのレベルを保っているということ自体が驚くべきことですし、称賛されるべきことだと思います。学業とスケートの両方を高いレベルで継続させるのは並大抵の努力ではできないと思いますので、ただただ感服するばかりですが、シーズンが進むにつれてジャンプ構成の難度も、プログラムの完成度も、ますます進化させていかなければならず、チェン選手にとってはこれからがますます大変な時期に突入していくことになるのかもしれません。とにもかくにも体調には気をつけて、まずは次戦のファイナルに向けてうまく調整してほしいですね。フランス国際優勝、おめでとうございました。


 2位はアメリカの個性派、ジェイソン・ブラウン選手です。

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 SPはまず3フリップで幕を開け、これをクリーンに着氷し2.50点の加点を得ます。次いで3アクセルも完璧で2.51点の加点。後半に3+3を組み込み、こちらもパーフェクト。ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と美しいエレメンツを揃え、パーソナルベストの96.41点で圧巻の首位に立ちます。
 フリーは4回転に挑む可能性もありましたが、安全策を取り回避して、冒頭は2アクセル。次いで3アクセル+2トゥループもクリーンに決めます。さらに3サルコウ、中盤の3ループと危なげなく成功させます。後半最初は3アクセルからの3連続ジャンプ、大きな乱れなく下りますが、3アクセルは回転不足に。次いで3+2は3つ目の2トゥループを跳んでしまったため、このジャンプの点は0点に。そして、最後の3ルッツは2回転にと細かなミスが相次ぎます。しかし、最後までエネルギッシュかつ表現力豊かに演じ切り、シーズンベストの159.92点でフリー3位、総合2位に入りました。
 ショートはまさに完全無欠としか言いようのない、これぞフィギュアスケートと言いたくなる素晴らしい演技でした。ジャンプやスピン、一つ一つの技の美しさもそうですが、プログラムとスケーターとの調和、単調な音楽でありながら単調と感じさせない緩急やメリハリ、音楽との一体感が、画面越しでもヒシヒシと伝わってきましたね。そしてブラウン選手にとってGPでは初のSP首位で迎えたフリー、多少なりとも順位を意識するところはあったのかどうかはわかりませんが、ショートより少し硬さがあるかなという印象も受けました。ただ、その中での精一杯の演技で、6位に終わったスケートカナダからしっかりと心身ともに充実した調整、練習ができたことがうかがえる試合となりましたね。
 今大会も4回転を跳ぶことはなかったブラウン選手ですが、新しいGOEのルールの下では、昨季まで以上に彼にとって有利に働く場合もあり、今大会はまさにそういう試合だったと言えます。この試合を契機として、シーズン後半に向かって好調をキープし、また美しい演技を見せてくれることを願っています。


 3位はロシアのアレクサンデル・サマリン選手です。

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 SP冒頭は大技4ルッツ、これを着氷で耐えながらも何とか成功させます。次いで4トゥループ+2トゥループも決めます。後半の3アクセルも問題なく下り、1.6点の加点。ステップシークエンス、スピンは全てレベル4でまとめ、シーズンベストの90.86点で2位と好発進します。
 フリーもまずは4ルッツからでしたが、こちらはアンダーローテーションで着氷も乱れます。直後の4トゥループ+2トゥループ、3アクセル+2トゥループは成功させ、それぞれ2点以上の高い加点を稼ぎます。さらに3ループを難なく決めて後半、最初の3アクセルは回転不足に。さらに3+1+3の3連続ジャンプは3サルコウが2回転となります。最後の3フリップは決め、フィニッシュしたサマリン選手は納得の表情を見せました。得点は156.23点でフリー4位、総合では3位となり、GP通算2個目のメダルを手にしました。
 ショートは今シーズン初めて、4ルッツをマイナスがつかない形で下り、最高のスタートダッシュを決めたサマリン選手。フリーも序盤から攻めた構成で、転倒やパンクなくまずまずの内容でまとめ、表彰台を確保しました。ここからさらにステップアップするためには、ジャンプ構成の難度を上げるという手もありますが、一つ一つの技の完成度を高めるのも一つの手で、サマリン選手の場合、ジャンプもそうですが、スピンやステップで取りこぼしが多いかなという印象があるので、ついジャンプに集中してしまうのかもしれませんが、もう少し演技全体に気を配れるようになると、プログラム全体がもっと見どころの多いものになるんじゃないかなと思いますね。
 シニア2季目を迎え、確実に成長を遂げているサマリン選手。今年のロシア選手権ではどの位置に入ってくるのか、楽しみです。


 4位は同じくロシアのドミトリー・アリエフ選手です。

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 ショート冒頭は3ルッツ、これを確実に決め1.6点の加点を得ると、続いて3アクセルもクリーンで2.29点の加点と、上々の前半とします。後半は4トゥループからの連続ジャンプを組み込みましたが、アンダーローテーションで転倒してしまいコンビネーションにならず。75.15点で9位と出遅れました。
 フリーはまず4トゥループ+3トゥループ、完璧に下り1.76点の加点を獲得。次いで2本目の4トゥループは抜けて3回転に。ですが、直後の3アクセル、3フリップはどちらも高い質で決めます。後半はまず3+1+3を下りると、3ループも成功。最後の3ルッツ+2アクセルのシークエンスジャンプは若干着氷ミスがあり減点を受けましたが、致命的なミスなく滑り終え、162.67点でフリー2位、総合4位と順位を大きく上げました。
 ショートは後半にコンビネーションを入れるというリスキーな構成が裏目に出て、思いがけず9位と下位に沈みましたが、フリーはほぼクリーンなエレメンツを揃えて一気にジャンプアップしました。それだけの力は間違いなくある選手だと思うのですが、どこかしらでもったいないミスをしてしまう脆さ、不安定さもまだあって、そのあたりはこれからの課題でしょう。そうした課題を乗り越えた先には、安定してGPの表彰台に立てる選手にもなれると思いますし、まだまだ秘めたポテンシャルを半分ほどしか発揮できていないような気もして、シーズンの大一番となるロシア選手権にGP2戦の経験をどう活かすか、注目ですね。


 5位はフランスの若手、ケヴィン・エイモズ選手です。

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 ショートの演目は「Horns」。冒頭は4トゥループ、わずかにこらえながらも大きなミスなく成功させます。次いで3+3はステップアウトし減点。後半の3アクセルはクリーンに着氷し、終盤のステップシークエンスではレベル4を獲得するなどジャンプ以外でも魅せ、パーソナルベストの81・00点で6位につけます。
 フリーは「In This Shirt」。フリーもまずは4トゥループから、しかし回転不足でステップアウトします。直後の3+3、3アクセル+2トゥループはきっちり成功し、それぞれ加点1以上を獲得。続く3ループはパンクして2ループとなります。後半は最初の3アクセルを完璧に決め、加点2.74を得ますが、次の3+1+3は最後のジャンプがアンダーローテーションでバランスを崩します。さらに3フリップは踏み切りがロングエッジとされ減点に。ですが、ラストのステップシークエンスは丁寧なエッジワークでショートに続きレベル4を獲得し、演技を終えたエイモズ選手は破顔しました。得点は150.16点でフリー5位、総合5位でGP自己最高位を更新しました。
 昨シーズンからシニアのGPに参戦し、2試合出場するのは今季が初めてとなる21歳のエイモズ選手。レベルの高い国際大会の経験はまだ浅い選手で、技術面でも表現面でも粗さも残りますが、シニアに上がってどんどんいろんなことを吸収して、毎シーズン確実に成長していて、まさに伸び盛りという感じですね。特にショート、フリーともにステップシークエンスでレベル4を取れているのは大きな進化といえ、また、表現面でもエイモズ選手ならではのオリジナリティーが表現されていて良かったと思います。
 今後ますます飛躍する可能性を秘めた選手だと思いますので、シーズン後半も楽しみにしたいですね。


 6位も地元フランスのロマン・ポンサール選手です。

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 SPは「In This Shirt」。冒頭は得点源の4トゥループ、これを完璧に着氷させ2.44点の加点を獲得すると、続く3アクセルも鮮やかに成功させ2.17点の加点。後半の3+3もしっかり下り、自己ベストの84.97点で4位と好発進しました。
 フリーは「カルメン」。まずはショートできれいに決めた4トゥループから、これもパーフェクトな跳躍と着氷で3.66点という極めて高い加点を獲得。次いで4トゥループからの連続ジャンプでしたが、こちらは2+2になってしまいます。直後の3アクセルはクリーンに下りて1.83点の加点。さらに中盤の3+1+3もきっちり回り切って成功させます。後半最初は3アクセルからでしたが、パンクして1アクセルに。その後の3ルッツ、3ループは軽やかに下りて立て直しますが、最後のコンビネーションスピンは同じスピンを繰り返したため0点に。しかし、フィニッシュしたポンサール選手は表情に満足感を漂わせました。得点は150.16点でフリー6位、総合6位で4度目のフランス大会を終えました。
 ショート、フリーともに冒頭の4トゥループが抜群に美しく、お手本のようなと言っても過言ではないくらい見事な4トゥループでしたね。そのほかのジャンプに関しても成功したものに関しては質が高く、こんなにジャンプがきれいな選手だったかなと少し驚きを覚えたくらいでした。26歳とベテランではありますが、欧州選手権に出場したのも世界選手権に出場したのも昨季が初めてであり、まだまだ伸びしろの多い選手なのかなと思います。その分、取りこぼしやもったいないミスもあるので、シーズン後半に向けて課題を改善して、初のフランス王者目指して頑張ってほしいですね。


 日本の田中刑事選手は8位でした。

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 ショートは得点源の4サルコウから、回転は充分だったもののステップアウトします。続く3+3は軽やかかつ流れのある着氷で2.11点の加点。しかし、後半の得意の3アクセルは若干着氷が乱れます。ステップシークエンスもレベル2にとどまるなど細かなミスが重なり、79.35点で8位と出遅れました。

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 フリー冒頭も4サルコウ、しかし回転不足で着氷を乱します。続く3アクセルは完璧に成功。ですが、3+3はセカンドジャンプが2回転になります。そして中盤、2本目の3アクセルでしたが、着氷でバランスを崩してコンビネーションにできず。次いで3ルッツでも着氷ミス。3+3は決めますが、最後の3ループもアンダーローテーションとなり、演技を終えた田中選手は肩を落としました。得点は136.97点でフリーも8位、総合8位と順位を上げることはできませんでした。
 GP初戦のヘルシンキ大会でジャンプに苦戦し8位となり、挽回を期した今大会。しかし、本来のジャンプの調子は戻らず、前戦に続いて8位と下位にとどまりました。何が原因かなど素人にはわかりかねますが、4サルコウに関しては昨シーズンの良い時のものと比べると、全体的に勢いがないために跳び上がりも弾むような感じがなく、完全な着氷に繋がらないのかなと思ったりもします。田中選手にとって4サルコウは常に1発目のジャンプですから、これが決まらないと演技全体も波に乗っていけないのかなと感じます。もちろん、4サルコウの調子が悪くても、ほかのジャンプで安定していればあまり心配することはないのですが、全体的に田中選手らしい元気の良さが欠けているような印象を受けるので、何とか調子を整えて、大舞台の全日本選手権では思い切った演技を見せてほしいと思います。



 ここからはアイスダンスです。

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 金メダルを獲得したのは世界チャンピオン、地元フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組です。RDは「オブリヴィオン/ブエノスアイレスの春」。まずツイズルで幕を開け、男女ともにしっかりとレベル4を取ると、次いでリフトも確実にレベル4。続く1つ目のパターンダンスはレベル1にとどまりますが、2つ目のパターンダンスはレベル4。最後のステップはレベル3でまとめ、世界最高得点となる84.13点を叩き出し、圧倒的なトップに立ちました。FDは「Duet/Sunday Afternoon」。まずはレベル4のリフトでスタートすると、続くツイズルも完璧。ワンフットステップは女性のレベルが3とわずかに取りこぼしが見られましたが、その後は全てのエレメンツでレベル4を揃え、こちらも世界最高得点となる132.65点をマークし、トータルでは216.78点で2位に16点以上の差をつけて圧勝を果たしました。
 出場を予定していたNHK杯をシゼロン選手の背中の負傷のため辞退したパパダキス&シゼロン組。そのため今大会がシーズンの初戦となったわけですが、別次元の演技を披露し、今シーズンも彼らがアイスダンス界の主役であることを改めて顕示しました。演技内容もそうですが、スコアだけを見てもルールが変更された今季からの新たな世界最高得点というだけでなく、昨季まで彼らが持っていた世界最高得点と比べても大幅に得点がアップしており、GOEのプラスマイナスが11段階になった新ルールの影響が大きく反映された結果と言えます。
 シーズン初戦を最高の形で終え、それでもまだまだ伸びしろのあるプログラムでもあり、シーズン後半、パパダキス&シゼロン組がどんなふうにさらなる進化を見せてくれるのか、大いに期待したいと思います。フランス国際優勝、おめでとうございました。

 2位はロシアのヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組です。RD冒頭はツイズルから、これをしっかりレベル4でクリアすると、続く2つのパターンダンスも大きな取りこぼしなくまとめ、パーソナルベストの77.91点で2位と好発進します。FDもレベル4のツイズルから始まり、リフト、ステップなどもミスらしいミスなし。ワンフットステップはレベル2にとどまりますが、全体的にまとまった演技で、こちらも自己ベストとなる122.47点をマーク。フリー2位、トータルでは自身初の200点位に乗せて2位でスケートカナダに続き銀メダルを獲得しました。
 スケートカナダでも安定感のある演技を披露したシニツィナ&カツァラポフ組ですが、今大会も危なげなくRD、FDを揃えましたね。1位のパパダキス&シゼロン組とはさすがに大差が開いてしまいましたが、今季のベストスコアランキングではマディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組、アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組と並んで200点を記録し、ファイナルでは充分に優勝を狙える力をつけていると言えます。ぜひ初のタイトル目指して頑張ってほしいですね。

 3位はカナダのパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組。RDは1つ目のパターダンスがレベル1、2つ目がレベル2と取りこぼし、さらにツイズル、ステップシークエンスもレベル2と完璧ではなく、それでも70点超えで3位につけます。FDはRDで取りこぼしのあったツイズルを女性がレベル3、男性がレベル4とし、ワンフットステップとダイアゴナルステップはレベル2どまりでしたが、目立ったミスなく演技をまとめて3位、総合でも3位に入りました。
 スケートカナダに続いて3位と表彰台に上がったギレス&ポワリエ組ですが、RD、FDともにところどころ取りこぼしが散見され、彼らのベストを出し切った演技ではなかったのかなという気がします。惜しくも4年ぶりのファイナル進出は逃しましたが、平昌五輪金メダルのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組が引退し、ベテランのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組が休養している中で、実力的にも実績的にもカナダのトップカップルであるギレス&ポワリエ組に懸かる期待は大きいと思いますから、次戦では本領を発揮できることを祈っています。



 さて、フランス国際2018、男子&アイスダンス編は終了です。GPシリーズ全6戦が終わり、ファイナル進出者が決定いたしましたので、ざっくりと以下にまとめたいと思います(敬称略)。


《男子シングル》

①羽生結弦(日本):30ポイント フィンランド大会優勝、ロシア大会優勝
②宇野昌磨(日本):30ポイント カナダ大会優勝、日本大会優勝
③ネイサン・チェン(アメリカ):30ポイント アメリカ大会優勝、フランス大会優勝
④ミハル・ブレジナ(チェコ):26ポイント アメリカ大会2位、フィンランド大会2位
⑤セルゲイ・ボロノフ(ロシア):24ポイント アメリカ大会3位、日本大会2位
⑥チャ・ジュンファン(韓国):22ポイント カナダ大会3位、フィンランド大会3位
―――
補欠⑦キーガン・メッシング(カナダ):20ポイント カナダ大会2位、ロシア大会5位
補欠⑧アレクサンデル・サマリン(ロシア):20ポイント カナダ大会4位、フランス大会3位
補欠⑨マッテオ・リッツォ(イタリア):20ポイント アメリカ大会4位、日本大会3位



《アイスダンス》

①マディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組(アメリカ):30ポイント アメリカ大会優勝、カナダ大会優勝
②アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組(ロシア):30ポイント フィンランド大会優勝、ロシア大会優勝
③ヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組(ロシア):26ポイント カナダ大会2位、フランス大会2位
④シャルレーヌ・ギニャール&マルコ・ファッブリ組(イタリア):26ポイント アメリカ大会2位、フィンランド大会2位
⑤ケイトリン・ハワイエク&ジャン=リュック・ベイカー組(アメリカ):24ポイント 日本大会優勝、フランス大会4位
⑥ティファニー・ザホースキー&ジョナサン・ゲレイロ組(ロシア):24ポイント アメリカ大会3位、日本大会2位
―――
補欠⑦サラ・ウルタド&キリル・ハリャービン組(ロシア):22ポイント フィンランド大会4位、日本大会2位
補欠⑧パイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組(カナダ)」22ポイント カナダ大会3位、フランス大会3位
補欠⑨ロレイン・マクナマラ&クイン・カーペンター組(アメリカ):20ポイント アメリカ大会4位、フィンランド大会3位




 男子は羽生、宇野、チェンの3選手で6試合の優勝を分け合うという形となり、ファイナルはこの3人で頂点を争う……と綴りたいところだったのですが、今日(11月29日)、日本スケート連盟から羽生選手の負傷によるファイナル辞退が発表され、残念ながら年内のこの3人の競演の機会は失われてしまいました。まずは羽生選手の怪我が一日でも早く治ることを祈りたいですね。ということで、必然的に繰り上がりで補欠1番手のメッシング選手が初出場を決めました。今年のファイナルはカナダ開催ですから、1人でもカナダの選手が出場しているということは地元のフィギュアファンの方にとっても嬉しいことでしょうし、何よりもメッシング選手本人が一番嬉しいのではないでしょうか。調整期間としては1週間もないので大変だと思いますが、スケートカナダの時のような演技を期待したいですね。
 ということで、今年も羽生選手不在のファイナルとなるわけですが、そうなるとやはり宇野選手、チェン選手の一騎打ちが予想されます。この2人はGP2試合のスコアの合計もほぼ同じですし、どちらが勝ってもおかしくないと言えます。また、宇野選手にとっては、昨季はファイナルでも世界選手権でもチェン選手が1位、宇野選手が2位ということで、宇野選手自身は順位を気にするタイプではないと思いますが、今シーズンの2人の初対決がどんな結末を迎えるのか、楽しみに思います。
 その2人を追うのがブレジナ、ボロノフ、チャ、メッシングの4選手となりますが、この4人がどの順位に位置することになるのか、正直予想するのは難しいですね。4選手の中で演技構成点でリードしているのはブレジナ選手でしょうか。今季はジャンプが安定しているので、演技構成点もシーズンを追うごとに評価が高まっているように思います。ただ、メッシング選手もパーソナルベストをマークしたスケートカナダでは非常に高い演技構成点をマークしており、ファイナルも母国開催の追い風を受けて、スコアがアップする可能性もあります。
 そうした演技構成点の面ではボロノフ選手、チャ選手は後塵を拝していますが、ボロノフ選手もNHK杯ではジャンプの安定感が際立っていましたし、チャ選手はファイナリスト最年少の17歳ですが、完璧な演技をすれば大幅にパーソナルベストを更新するのびしろを秘めている選手でもあり、やはり誰にでも表彰台の可能性はあるなと思います。

 アイスダンスは上述もしましたが、ハベル&ドノヒュー組、ステパノワ&ブキン組、シニツィナ&カツァラポフ組の3組は200点台というほぼ同じパーソナルベストを持っており、優勝争いはこの3組に絞られるかなと思います。その中でも最も安定感があるのはハベル&ドノヒュー組かなと思いますが、ちょっとしたミスで順位が入れ替わる可能性も充分にあり、まずは何といってもリズムダンスでどういう順位になるか、それぞれどれくらいの点差がつくかで最終的な結果も見えてきそうですね。
 この上位3組に迫るのはギニャール&ファッブリ組。このカップルは自己ベストが196点台ということで、パーフェクトな演技ができれば初の200点台、さらには台乗りもありえるかもしれません。ハワイエク&ベイカー組、ザホースキー&ゲレイロ組は自己ベストがそれぞれ184点台、183点台ということで、200点が一つの目印となるメダル争いには少し厳しい状況かなという気がしますね。



 さて、次の記事では女子&ペア編をお伝えします。非常にスローペースで申し訳ありませんが、しばしお待ちください。では。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、チェン選手の画像、エイモズ選手の画像、田中選手のフリーの画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ブラウン選手の画像は、スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」が2018年11月24日に配信した記事「美しく舞ったブラウン、完璧演技を海外メディア称賛「4回転使わずリード奪った」」から、サマリン選手の画像、ポンサール選手の画像は、dメニュースポーツのフィギュアスケートページから、アリエフ選手の画像、田中選手のSPの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、アイスダンスメダリスト3組の画像は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-11-29 21:08 | フィギュアスケート(大会関連)