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ロシア選手権2019―劇的な展開

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 ロシアナンバーワンを決めるロシア選手権が、全日本選手権と時をほぼ同じくして、2018年末に行われました。実際に大会が開催されたのは2018年の12月ですが、大会名としてはロシア選手権2019となっています。そんなロシア選手権2019の結果をざっくりとまとめていきます。

Rostelecom Russian Nationals 2019 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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《女子シングル》


 まずは女子について。女子はジュニア勢が表彰台を独占するという予想外の展開に。その真ん中に立ったのは今季JGPデビューを果たしたばかりの新星、アンナ・シェルバコワ選手です。ショートはノーミスの演技で2位と0.87点差の5位につけると、フリーは冒頭の大技4ルッツを完璧に決め、4.44点という驚異的な加点を獲得すると、その後も全てのエレメンツで加点を引き出す圧巻の演技で155.69点をマーク、フリー1位、逆転で総合1位となり、14歳にしてロシア女王に輝きました。
 昨季は足の怪我の影響もあり、予定していたJGP参戦は白紙、ロシアジュニア選手権も13位と目立った成績を残せなかったシェルバコワ選手ですが、怪我を完治させた今季はJGP2連勝、ファイナルこそ不調で5位に終わりましたが、シニアのロシア選手権初出場にして優勝と、驚くべき進化を見せています。昨季国際大会に出ていないので今季いきなり現れた選手のように思えますが、実際はかのエテリ・トゥトベリーゼコーチ門下でエリート教育を受けてきた選手であり、フィジカル面での不安がなくなった今季、才能が花開いたという感じですね。その活躍を支えているものといえば何といっても4ルッツ。確実性はまだ高くないと思いますが、そのほかの3回転ジャンプはポンポンと跳べる選手ですので、今後どのような選手に成長していくのか、楽しみですね。

 銀メダルを獲得したのはJGPファイナル2018銀メダル、アレクサンドラ・トゥルソワ選手。SPで2位発進すると、フリーは冒頭の4ルッツに成功。続く4トゥループは回転不足で転倒に終わったものの、以降のジャンプはクリーンに跳び切って154.75点でフリー2位、総合2位となりました。
 トータルでは2位でしたが、1位のシェルバコワ選手とは0.07点差の超僅差で、優勝しても全くおかしくない演技でしたね。明暗を分けたのは4トゥループの失敗ですが、将来を見据えた上での長期的なチャレンジだと思いますので、やり切った感のある演技なのではないでしょうか。今後は世界ジュニア連覇に向けて調整していくことになると思いますが、多種類の4回転を跳べる選手はトゥルソワ選手だけですので、それらを含んだプログラムを完璧にこなしたら、彼女に敵う選手はいないのではないかと思いますね。

 3位はJGPファイナル2018金メダル、アリョーナ・コストルナヤ選手です。SPは珍しくステップシークエンスで転倒がありながらも3位と好位置につけると、フリーも安定した演技で3位、総合3位となり、2年連続で銅メダルを手にしました。
 上述した2人と違い、4回転は持っていないコストルナヤ選手ですが、技術面と表現面のバランスという点では最も優れている選手なので、ショートの思わぬアクシデントがなければもしかしたら優勝にも手が届いていたかもしれません。何はともあれ、毎年入れ替わりの激しいロシア女子の中で2年続けて表彰台に立っているというだけでも大変なことですし、また、ジュニア勢の中では最も演技構成点で評価の高い選手でもあり、さらにはジャンプやスピン、ステップと技術的にも穴のない選手ですので、長い目で見ればシェルバコワ選手やトゥルソワ選手以上に強いんじゃないかなという気もしますね。

 4位は今季GPデビューのスタニスラワ・コンスタンティノワ選手。ショートで4位につけると、フリーでも細かなミスはありましたが安定した演技で5位、昨年に続き4位に入りました。
 5位は平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワ選手。SPは唯一の80点超えで首位と五輪女王らしい圧倒的な強さを見せつけましたが、フリーは序盤からミスを重ね、2度の転倒を含む精彩を欠いた演技でまさかの12位、総合5位で表彰台を逃しました。
 6位は今季シニアデビューのソフィア・サモドゥロワ選手。SPは6位発進、フリーもGOEでマイナス評価のない安定した滑りで6位、トータルも6位で自己最高位をマークしました。
 7位は平昌五輪銀メダルのエフゲニア・メドベデワ選手。ショートは前半のジャンプ2つとも失敗となり14位に。フリーも中盤のコンビネーションジャンプで転倒はあったものの、粘り強い演技でそのほかをノーミスでまとめ上げ4位、トータル7位と挽回しました。
 8位はジュニアのアンナ・タルーシナ選手。ショートはノーミスで70点台に乗せ9位。フリーも全ての要素で加点を引き出す演技で7位、総合8位となり初入賞しました。


《男子シングル》

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 女子とは対照的に、かつての王者の復活劇が見られた男子。その主役となったのがマキシム・コフトゥン選手です。SPは3アクセルでの転倒はありましたが、そのほかのエレメンツで高い加点を稼ぎ、95.14点で首位発進。フリーも大きなミスとしては4トゥループの転倒一つのみで、ほかをほぼクリーンにまとめ、186.45点で1位、完全優勝で3季ぶりにロシア王者に返り咲きました。
 昨シーズンは怪我の影響もあって、GPのスケートアメリカのフリーを棄権した後は治療に専念し、年末のロシア選手権に平昌五輪代表を懸けて復帰したものの、こちらもフリーを棄権。ロシア国内でも存在感が薄くなっていた元エースのコフトゥン選手でしたが、11月末から12月初旬にかけて行われたB級国際大会で優勝し復活ののろしを上げ、そしてロシア選手権で堂々の完全優勝と輝きを取り戻しました。もちろんこれらの結果だけではまだ完全復活とは言えませんが、辛酸を嘗めたコフトゥン選手の第2章がここから始まるのだと思うと楽しみですし、ぜひ頑張って世界の舞台でも輝いてほしいですね。

 2位となったのは昨季まで2連覇していたミハイル・コリヤダ選手。SPは3アクセルで小さなミスがあったものの、全体としてはそつなくまとめて首位と0.44点差の2位。フリーは前半をほぼクリーンにまとめましたが、後半で転倒を含めいくつかのミスが重なり3位、トータルでは2位をキープしました。
 今大会前に体調を崩し、入院していたというコリヤダ選手。万全のコンディションではなかったと思われますが、その中ではまずまずの演技だったのではないでしょうか。コリヤダ選手がクリーンにプログラムを演じ切れれば、コフトゥン選手に勝つ可能性も充分でしたが、病み上がりということを考えれば納得できる演技と言えると思います。演技構成点での評価はショート、フリーともにトップで、やはり全体の完成度や質の高さ、繊細さといった点ではコリヤダ選手の方が今のところは優位に立っていると思いますので、欧州選手権では万全な状態でコリヤダ選手らしい滑りを見せてほしいですね。

 3位は昨季まで2年連続で2位だったアレクサンデル・サマリン選手です。ショートは冒頭の大技4ルッツを成功させたものの、コンビネーションジャンプが入らないというミスがあり、3位と約6点差の4位に。フリーは冒頭で4ルッツ+3トゥループに成功し、4.27点の加点を獲得。続く4トゥループでは転倒しましたが、その後は全てのエレメンツで加点を積み重ね2位、総合3位と順位を上げ3年連続で表彰台に立ちました。
 今季初めてショート、フリーともに4ルッツを成功させたサマリン選手。その次のジャンプである4トゥループで転倒してしまっているのはもったいないなと思いますが、そのミスを引きずらなかったところからは成長を感じますね。ただ、まだスピンで取りこぼす場面が多く、ジャンプに集中してしまうとほかのエレメンツがおろそかになる傾向が垣間見えるので、そのあたりがトップスケーターとの違いですね。ですが、年々安定感は増してきているように感じますので、今後の飛躍を楽しみにしたいですね。

 4位はアンドレイ・ラズキン選手。SPは冒頭の4トゥループと後半の3+3で細かなミスがあり5位。フリーは序盤に固めた2本の4トゥループを完璧に決め好調な滑り出しを見せたものの、3アクセル2本でミスが出て6位、総合4位と表彰台には届きませんでした。
 5位は昨季銅メダルのドミトリー・アリエフ選手。ショートは4トゥループで転倒した上に3アクセルが完全に抜けて1回転にもならないという致命的なミスを犯してしまい8位と出遅れ。フリーは大きなミスとしては3アクセルの転倒のみにおさめて4位と挽回しましたが、トータルでは5位にとどまりました。
 6位はコンスタンティン・ミリュコフ選手。ショートは序盤の4サルコウ、3アクセルそれぞれで高い加点を獲得し、90点台に乗せ3位と予想外の好発進。しかし、フリーはその冒頭の4サルコウで転倒し、その後も複数のミスが重なり9位、総合6位と順位を落としました。
 7位は今大会が1年ぶりの競技復帰となったアレクサンデル・ペトロフ選手。ショートは3つのジャンプ全てでミスがあり13位に沈みましたが、フリーはミスらしいミスとしては冒頭の4トゥループの転倒のみで、以降はクリーンに滑り切り5位、総合でも7位と大きく順位を上げました。
 8位はイゴール・ムラショフ選手。SPは序盤の4トゥループ、3アクセルと転倒が相次ぎ10位。フリーは4トゥループと3アクセルの着氷で体勢を崩すミスはありましたが、転倒やパンクなく演技を終え7位、総合8位と入賞しました。


《ペア》

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 2連覇したのはGPファイナル2018銅メダルのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組です。SPは得意の3ツイスト始め、全ての要素を高いレベルでまとめ、唯一80点台に乗せて首位発進。フリーも冒頭の3ツイストはジャッジ9人中8人が満点となる加点5をつける完璧な出来で、その後もほぼノーミスの演技で156.74点のハイスコアを叩き出し1位、トータルでももちろん1位で圧巻の連覇を達成しました。
 今季のタラソワ&モロゾフ組は安定した成績を残しながらも、優勝を狙ったGPファイナルでは3位と脆さもうかがわせましたが、今大会はその鬱憤を晴らすような会心の演技になったのではないでしょうか。課題としては大舞台でこのレベルの演技を再現できるかどうかで、まずは欧州選手権で真価が問われますね。

 2位はナタリア・ザビアコ&アレクサンデル・エンベルト組。ショートはこちらも大きなミスのない演技で首位と僅差の2位につけると、フリーも全てのエレメンツで高い加点を積み重ね151.96点をマークし、自己最高位となる2位に入りました。
 今季GPで2連勝するなど躍進を遂げているザビアコ&エンベルト組。ですが、ファイナルでは4位と少し物足りない結果に終わりました。今大会は素晴らしい演技でタラソワ&モロゾフ組にも迫り、実力が向上していることを改めて示しましたので、シーズン後半のさらなる飛躍に期待ですね。

 3位は若手のアレクサンドラ・ボイコワ&ドミトリー・コズロフスキー組です。SPは全ての要素で1点以上の加点を積み重ね3位と好発進。フリーもクリーンなエレメンツを揃える非の打ちどころのない演技で3位、総合3位で初表彰台を射止めました。
 2季前の世界ジュニア選手権銀メダリストであるボイコワ&コズロフスキー組。今季GPデビューを果たし、さっそくフランス大会で3位に入るなど大器の片鱗を感じさせましたが、今大会はそのポテンシャルの高さを思う存分発揮しましたね。シングル以上にペアというのはシニアの実力者と若手との力の差がハッキリ出やすい競技だと思うのですが、このペアは今季が本格的なシニアデビューシーズンとは思えない高い完成度を誇っていて、将来のロシアペア界を背負うであろう存在として、今から非常に楽しみですね。まずは初出場の欧州選手権でどこまで上位に迫れるか、注目です。


《アイスダンス》

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 初優勝したのはGPファイナル2018銀メダルのヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組。RDは冒頭のツイズルをレベル4とすると、続くパターンダンス2つもレベル4と完璧にまとめ、84.01点という極めて高い得点で首位に立ちます。FDは冒頭のツイズルは女性がレベル4だったものの男性がレベル3とわずかに取りこぼしてしまいましたが、その後もミスらしいミスなくクリーンにプログラムを滑り切り、128.31点でフリーも1位、総合1位で初のロシア王者に輝きました。
 ペア結成5季目のシニツィナ&カツァラポフ組ですが、今季は初めてGPファイナルに進み、さらには銀メダル獲得と充実のシーズンを送っています。GP2戦目のフランス大会で初めてトータルスコア200点を突破し、ファイナルでも200点超えと安定感も増していて、昨季はロシア選手権を途中で棄権し、念願の五輪出場が叶わなかったことを思うと、リスタートのシーズンとして申し分ないと言えますね。欧州選手権では世界王者のガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組にどこまで肉薄できるか、期待したいと思います。

 2位は昨季、一昨季銀メダルのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組です。RD冒頭のツイズルはしっかりレベル4。パターンダンスはレベル3にとどまりましたが、そつのない演技で81.95点をマークし2位。フリーも序盤から安定した滑りで確実に点を積み重ね2位、3年連続で銀メダルを手にしました。
 GPでは2連勝し、シリーズランキング2位で優勝候補の一角としてファイナルに臨んだステパノワ&ブキン組。しかし、そのファイナルでは目立ったミスこそなかったものの得点を伸ばし切れず4位と表彰台には届きませんでした。そして今大会は2位が2年続いており、今年こそ優勝という願いもあったと思うのですが、技術的に完成度が高く取りこぼしの少ないシニツィナ&カツァラポフ組には惜しくも及びませんでした。それでも充分に世界と戦える力を持っていることは間違いないですから、シーズン後半も楽しみなカップルですね。

 3位はソフィア・エフドキモワ&イゴール・バジン組。RDはリフトやツイズルをレベル4でまとめて4位と好位置につけると、FDは全ての要素を高いレベルでまとめ上げ3位、総合3位に順位を上げ初めて表彰台に立ちました。
 2シーズン前からシニアに参戦した若いカップルですが、ジュニア時代も極めて輝かしい成績を残したというわけではなく、GPの出場も母国開催のロステレコム杯の自国枠での出場にとどまっており、そんな彼らが3位に入ったのは意外でしたね。今大会をきっかけにどんなふうにロシア国内外で存在感を高めていくのか、注目のカップルと言えます。



 さて、これらの結果を受けて発表されたのが欧州選手権と冬季ユニバーシアードの代表派遣選手です(敬称略)。


《欧州選手権代表》

女子シングル:スタニスラワ・コンスタンティノワ、アリーナ・ザギトワ、ソフィア・サモドゥロワ
男子シングル:マキシム・コフトゥン、ミハイル・コリヤダ、アレクサンデル・サマリン
ペア:エフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組、ナタリア・ザビアコ&アレクサンデル・エンベルト組、アレクサンドラ・ボイコワ&ドミトリー・コズロフスキー組
アイスダンス:ヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組、アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組、ソフィア・エフドキモワ&イゴール・バジン組


《冬季ユニバーシアード代表》

女子シングル:スタニスラワ・コンスタンティノワ、エリザヴェータ・トゥクタミシェワ
男子シングル:マキシム・コフトゥン、ミハイル・コリヤダ、アンドレイ・ラズキン
ペア:アナスタシア・ポルヤノワ&ドミトリー・ソポト組、アレクサンドラ・コシェヴァヤ&ドミトリー・ブシュラノフ組、ヴァシリーサ・オゼロワ&マキシム・ボブロフ組
アイスダンス:ソフィア・エフドキモワ&イゴール・バジン組、ベティナ・ポポワ&セルゲイ・モズコフ組、アナスタシア・スコプツォワ&キリル・アリョーシン組




 ロシア選手権終了時点では欧州選手権、冬季ユニバーシアードの代表のみが発表され、世界選手権の代表は欧州選手権の結果を受けてということになります。
 その欧州選手権代表は、女子はロシア選手権トップスリーが全員年齢制限でシニアの国際大会には参加できないため、4、5、6位の選手が選出されました。ただ、世界選手権代表に関しては、少なくともこの中から1人は代表が入れ替わるであろうと言われていて、その有力候補として肺炎のため入院していてロシア選手権に出場できなかったトゥクタミシェワ選手の名前が挙げられています。今季のトゥクタミシェワ選手は代名詞の3アクセルを取り戻し、GPファイナルでも銅メダルを獲得するなど世界選手権で戦うに充分な実力を持ち合わせていますので、救済措置で世界選手権代表に選ばれてもおかしくないかなと思いますね。また、さらに代表メンバーがもう一人入れ替わる可能性も報じられていて、その場合は今大会7位だったメドベデワ選手が過去の実績を鑑みて選ばれるのではないかとも噂されています。ただ、そこまでいくとロシア選手権の重要性はどうなるのかとか、欧州選手権でロシア女子3選手全員が素晴らしい演技をした場合はどうなるのかとか、今季のメドベデワ選手の成績をどう考えるのかとか、思うところも色々あるのですが、まずは欧州選手権が終わってみないことには、何とも言えない微妙な状況が続きそうですね。
 男子は非常にシンプルにわかりやすくロシア選手権の金銀銅メダリストがそのまま欧州にも派遣。よっぽどのことがない限りは、世界選手権もこのメンバーで行くものと思われます。個人的には大会直前に靭帯損傷という怪我を負ってしまったセルゲイ・ボロノフ選手の不在がとても残念ではあったのですが、今はただ怪我からの一日でも早い回復を祈りたいですね。
 ペアも表彰台の3組が順当に代表入りしましたが、残念なことにザビアコ&エンベルト組がエンベルト選手の病気のため辞退を発表。補欠だったダリア・パヴリュチェンコ&デニス・ホディキン組が繰り上がりで欧州選手権に派遣されることとなりました。エンベルト選手の病状がどの程度のものか、世界選手権に間に合うのかどうかはわかりませんが、まずは代役として欧州選手権に初出場するパヴリュチェンコ&ホディキン組に頑張ってほしいですし、昨季の世界ジュニア王者であり、今季はシニアデビューシーズンにして早々とGPファイナルに進出した将来のエース候補が、どんな欧州デビューを果たすのか楽しみです。
 そしてアイスダンスも1、2、3位が欧州選手権代表となりました。


 一方、今季は2年に1度の学生の冬季オリンピック、冬季ユニバーシアードが開催されるわけですが、開催地はロシアということで、代表メンバーも豪華な顔ぶれとなりました。特に男子はコフトゥン、コリヤダ両選手とも代表入りしており、世界選手権のことを考えると少し過密日程ではありますが、母国開催のユニバーシアードということでロシアの意気込みが感じられますね。



 ロシア選手権2019の記事は以上です。女子以外は優勝者がショート(リズムダンス)、フリーともに1位の完全優勝という勝ち方が多かった今季のロシア選手権ですが、その中でジュニア勢が表彰台を占めた女子は衝撃的としか言いようのない結末を迎えましたね。平昌五輪代表を懸けた昨季のロシア選手権は、世界女王であったメドベデワ選手が怪我で欠場する中、ザギトワ選手が圧勝し、シニア2季目だったマリア・ソツコワ選手がそれに続き……というのが1年前でしたが、それからたった1年でこれほどまでに勢力図が変動し、表彰台の顔ぶれが様変わりするとは、とても想像できませんでした。五輪女王でさえ表彰台に立てないロシア女子の競争の過酷さをより一層思い知らされた大会でしたね。
 一方、男子はかつてのエース、コフトゥン選手の復権という、ここ1、2年のコリヤダ選手一強状態に変化をもたらしました。今後この二人が切磋琢磨しながら、ロシア男子全体をさらに盛り上げていくとおもしろいなと思います。
 ペア、アイスダンスも相変わらず層の厚さを感じさせるハイレベルな試合内容で、ペアはエースであるタラソワ&モロゾフ組を新進のザビアコ&エンベルト組が僅差で追いかけるという展開で、タラソワ&モロゾフ組が連覇したとはいえ、来季はどうなるかわからないと思うくらい実力差が接近していることを感じさせられました。アイスダンスは昨季まで圧倒的エースとして君臨していたエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組が休養に入った中で、シニツィナ&カツァラポフ組、ステパノワ&ブキン組というファイナルに進出した2組が他のカップルより頭一つ抜けていて、この二強のこれからのライバル物語も楽しみだなと思いますね。
 さて、そうこうしているうちに、次はカナダナンバーワンを決めるカナダ選手権の開催が迫り、その後には全米選手権が控えています。日本勢のライバルたちがどんな演技を見せるのか、北米勢にも注目です。では。


:女子メダリスト3選手のスリーショット画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、それ以外の画像はロシアフィギュアスケート連盟の公式サイトから引用させていただきました。

by hitsujigusa | 2019-01-16 03:00 | フィギュアスケート(大会関連)