カテゴリ:フィギュアスケート(衣装関連)( 55 )

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 さて、今年のベストコスチュームもいよいよ最後の記事です。満を持しての女子フリー部門です。なお、コスチュームを選出するにあたってのルールについては、こちらの記事の冒頭をご覧ください。では、さっそくベスト10をご紹介します。

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 女子フリー部門、栄えある第1位は、日本の本田真凛選手の「トゥーランドット」です。

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 おなじみの王道オペラ「トゥーランドット」を使用した重厚なプログラム。中国を舞台にした物語ということもあって、本田選手の衣装からもそうした意図がうかがえます。
 メインとなる色は深みのある赤。そこに金色の装飾で細やかな模様が施され、まさに“トゥーランドット姫”のような高貴さを醸し出しています。特に胸元のデザインは非常に複雑かつ贅沢な作りで、さまざまな形、サイズのビジューやラインストーン、ビーズによって大ぶりの花や、その花から伸びる蔓のように何本もの曲線が描かれていて、引きつけられます。また、肩の辺りにはオフショルダーのような形で赤い小さなビジューが垂れ下がっていて、このあたりのアクセント的な装飾も効果的で良いですね。
 上の画像では見えませんが、背中側のデザインも後頭部につけた髪飾りも花と蔓をモチーフにした装飾がびっしりと施されていて、表現力に定評のある本田選手ならではのこだわりを感じますし、また、赤と金という色の組み合わせや曲線を強調したデザインはエキゾチックな趣きもあり、「トゥーランドット」の世界観をコスチュームでも見事に表現しているなと思います。


 2位はロシアのエフゲニア・メドベデワ選手の「映画『アンナ・カレーニナ』より」。

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 ロシアを代表する名作文学「アンナ・カレーニナ」の映画のサントラを使用したプログラム。衣装はシーズンを通して2着使用されましたが、今回選んだのはシーズン前半に着用されたものです。
 色は黒一色というシックな色づかい。しかし、衣装の部分部分によって使われている素材が違っていて、たとえば胸の下の部分や二の腕、スカートは透け感のある素材、それ以外の部分は透け感がなく、繊細な装飾をびっしりと埋め込んだような作りというふうに素材感に変化を持たせており、黒一色でも複雑さを感じさせるデザインとなっています。また、首元のネックレスや手にはめた指先のないタイプのグローブといったアイテムも本格的な作りで、こういった細部に渡る細やかさ、丁寧さというのが非常に素晴らしい衣装だなと思いますね。


 3位はカナダのケイトリン・オズモンド選手の「映画『ブラック・スワン』より」。

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 フィギュア界でも定番となった映画『ブラック・スワン』のサントラを使用したプログラム。映画のモチーフとなっているのも、そしてサントラのベースとなっているのももちろんバレエの名作「白鳥の湖」ということで、オズモンド選手の衣装も「白鳥の湖」の黒鳥をイメージしているのがうかがえます。
 基調とした色はやはり黒。形としてはストラップレスタイプのワンピースで、バレエらしさをより強調しています。そして胸元のデザインは中心から外側へ向けて広がるように白いラインストーンがあしらわれていて、ベースとなっている色は黒なので黒鳥らしさを前面に押し出しつつ、白いラインストーンで浮かび上がるように模様を描き出すことで白鳥らしさも表現しているようにも感じられて、黒鳥と白鳥の二面性を想起させられます。
 全体的にはオーソドックスなデザインですが、誰が見ても「ブラック・スワン」とわかる正統派の佇まいが美しい衣装と言えます。


 4位はアメリカのアシュリー・ワグナー選手の「映画『ムーラン・ルージュ』より」。

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 14/15、15/16シーズンと2季に渡って演じた代表作「ムーラン・ルージュ」を集大成の五輪シーズンに再び選んだワグナー選手。しかし、衣装は以前着用していたデザインからはガラリと雰囲気を変えました。
 ワンピースはフェミニンなピンク。以前は赤い衣装、白い衣装を着ていましたが、それらと比べるとピンクという色はより女性的で柔らかい印象を与えます。そしてそのピンクに組み合わせたのがシルバー。ストラップやワンピース全体に施されたジュエリー風の装飾が非常にゴージャスかつ高貴な雰囲気を醸し出しています。特に首元のジュエリーはまるで本物の銀のような本格的な作り、質感で、フィギュア界でも随一のファッショナブルなスケーターとして知られるワグナー選手らしいなと感じます。
 同じ「ムーラン・ルージュ」を演じるにあたっても、新たなイメージを作り出そうとする意思がうかがえる素晴らしいコスチュームです。


 5位は日本の白岩優奈選手の「展覧会の絵」です。

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 ムソルグスキーの代表曲「展覧会の絵」を使用したプログラム。明るく軽快なパート、どことなく不安感を覚えさせるようなおどろおどろしいパートなど、曲調の移り変わりが印象的です。
 衣装は深みのある紫のワンショルダーワンピース。そのワンショルダーの部分から胸元、お腹、スカートにかけてシルバーの装飾によって銀色の模様が描かれています。何かの植物のようにも見えますし、特に具体的なものを描いたのではない抽象的な絵柄のようにも見えますが、紫と銀色というあまりない組み合わせが新鮮ですし、また、紫も銀色も大人っぽい色ですので、その二色を組み合わせたことによって大人びた雰囲気を強調できていますね。
 「展覧会の絵」という曲自体がタイトルのとおり、展覧会に展示されている絵画を観賞しながら歩いている様子を表現した組曲ですが、白岩選手のプログラムもそうした絵画ごとに変化する世界観というのをしっかり表現していて、一つのイメージ、印象で語れないプログラムだったのですが、そのとらえどころのなさを衣装でもうまく表しているなと思いますね。


 6位は日本の三原舞依選手の「ガブリエルのオーボエ 映画『ミッション』より」。

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 フィギュア界では定番となっている映画『ミッション』の劇中曲「ガブリエルのオーボエ」。三原選手が使用したのは「ガブリエルのオーボエ」に歌詞がついた「ネッラ・ファンタジア」で、壮大で幻想的なプログラムとなっています。
 そんな世界観を表現して衣装は青をベースにしながらもさまざまな色が入り混じるファンタジックなデザイン。ストラップの部分はチュールを重ねてふんわりとしたフリル仕様に。そしてボディ部分は右上から左下に流れるようなラインを青や水色、紫、銀色といったさまざまな色の組み合わせで描いていて、水の流れのようにも風が吹いているようにも見え、絵画的で美しいです。そしてスカートは鮮やかな青い生地を二枚重ね、右側の方が長めのアシンメトリーな作りに。上半身は右上から左下に、そしてスカートは左上から右下に流れるようなラインが作られていて、非常によく考えられているなと思います。
 このプログラムのイメージについて三原選手は、“天使”であると語っていましたが、まさに天使のような清らかさ、純粋さを見事に表現した衣装ですね。


 7位はアメリカのマライア・ベル選手の「ウエスト・サイド・ストーリー」です。

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 王道のミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」を演じたベル選手。作品のヒロイン、マリアはプエルトリコ系アメリカ人ということで、ラテンのイメージを鮮やかな赤の衣装で表現しています。
 その衣装ですが、ノースリーブタイプのハイネックの赤のワンピースで、赤いスカートの下に淡い紫のスカートが重ねられています。ワンピースには全体的に白(シルバー?)のラインストーンが散りばめられているものの、これだけだと単調になりかねませんが、紫のラインストーンで首元から胸元、腰にかけてうねりながら這うような曲線を描いていて、これが目を引くアクセントになっています。また、首回りには赤いフリンジもあしらっていて、ヒロインであるマリアの情熱的なさまを表しているのかなと思いますね。


 8位はロシアのマリア・ソツコワ選手の「月の光」です。

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 ドビュッシーの代表曲「月の光」を使用した静謐で神秘的な雰囲気のプログラム。衣装は2着使用されましたが、今回は主にシーズン後半に用いられた衣装をチョイスしました。
 首から腕まで覆われた露出の少ない長袖ワンピース。色はグレー一色で地味になりやすい色づかいですが、腰から上は透け感のある素材を使っているのでのっぺりとした感じにはならず、また、ワンピース全体に唐草模様のようなデザインが立体的に施されているので、変化のある衣装になっています。
 「月の光」というと青であったり紫であったり、夜空っぽい色の方が「月の光」らしさは表現しやすいのかなと思うのですが(実際、ソツコワ選手がシーズン序盤に着用していた衣装は青でした)、グレーは月が放つ光の色そのものを表しているような気がしますし、また、月の光のちょっとひんやりとしたイメージにも合った色なのかなと思います。グレーという地味な色を選ぶのは勇気が必要だったんじゃないかなと想像するのですが、素晴らしい選択だったと言えますね。


 9位はアメリカの長洲未来選手の「ミュージカル「ミス・サイゴン」より」。

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 ベトナムを舞台にしたミュージカル「ミス・サイゴン」ということで、長洲選手の衣装もベトナムの民族衣装、アオザイをイメージしたデザインとなっています。
 そのアオザイ風ワンピースは鮮やかな赤一色で、立て襟、飾りボタン風の装飾でアオザイらしさを表しています。そしてワンピースの前面にはシルバーのラインストーンで東洋風のエキゾチックな模様を繊細に描き出していて、このあたりからもベトナムっぽさが伝わってきます。
 衣装としては比較的シンプルですが、「ミス・サイゴン」らしさをストレートに表現していて、プログラムの世界観を明確に伝える衣装で良いと思います。


 10位はアメリカのスター・アンドリュース選手の「One Moment in Time」です。

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 ホイットニー・ヒューストンのヒット曲「One Moment in Time」を使用したバラードプログラム。
 衣装は白いストラップレスワンピースですが、胸元はアンドリュース選手の肌色となじむようなブラウンとのグラデーション仕様に。その胸元を中心に大小さまざまなビジューがあしらわれ、また、金色のラインストーンや赤、緑、赤など色とりどりのビジューがライン状に施されてアンドリュース選手を包むリボンのような形となり効果的なアクセントになっていますし、同じような装飾が手首にもあしらわれブレスレットっぽくなっていますね。
 白いシンプルなワンピースにいろんなビジューやラインストーンなどの装飾を用いることで華やかさをプラスし、首元や手首にも同じように装飾を用いることで統一性を与えていて、よく考えられたコスチュームだなと思いますね。



 ということで、女子フリー部門は以上です。この記事をもってベストコスチューム17/18もようやくラスト。かなりスローな更新ペースで申し訳なかったですが、そうこうしているうちに新シーズンの足音も徐々に聞こえ始め、ちょこちょこと選手たちの新プログラムについても情報が公開されつつあります。それに伴う衣装に関しても、来季もまた注目していきたいと思います。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、本田選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、メドベデワ選手の画像は、国際スケート連盟の公式サイトが2017年10月21日に配信した記事「World champion Medvedeva (RUS) dominates Ladies Free Skating」から、オズモンド選手の画像、三原選手の画像、長洲選手の画像、アンドリュース選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、ワグナー選手の画像、白岩選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ベル選手の画像は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、ソツコワ選手の画像は、フォトシェアリングサイト「Pinterest」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-06-22 16:37 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 4月中旬から続けてきたベストコスチューム17/18ですが、いよいよこれが最後のカテゴリー、女子です。まずは女子のショートプログラムのベスト10からお送りします。なお、衣装を選ぶ際のルールについては、こちらの記事の冒頭をご覧ください。

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 女子SP部門の第1位は、アメリカのアシュリー・ワグナー選手の「Hip Hip Chin Chin」です。

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 「Hip Hip Chin Chin」は15/16シーズンにも使用したプログラムですが、集大成となる五輪シーズンに再登板。衣装は新しいものを2着用いましたが、今回選んだのはスケートアメリカで着用されたものです。
 色は上から下に向かって赤からネイビーに変化していく複雑なグラデーション。その上を金色の装飾で網の目(またはクモの巣状?)のように彩っています。網の目は下に行くにつれて徐々に大きくなっていく非常に繊細な作りですし、また、網の目のそれぞれの目の形もあえてバラバラにすることで衣装全体に変化と動きが生まれていて、一度見たら忘れられないインパクトに繋がっているなと思います。
 フィギュア界随一のファッショニスタ、ワグナー選手らしい、独創性に満ち溢れた衣装ですね。


 2位は日本の三原舞依選手の「リベルタンゴ」です。

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 タンゴ界の異端児、アストル・ピアソラの代表曲「リベルタンゴ」を使用したプログラム。三原選手にとっては初めての本格的なタンゴプログラムでしたが、衣装もタンゴを意識した大人っぽいデザインとなっています。
 ベースとなる色はシックな黒。上半身はうっすら透け感を持たせたレース調で大人びた雰囲気に。そして、そのレースを背景に紫だったりオレンジだったり色とりどりの繊細な装飾が散りばめられていて華やかさを演出しています。ウエストはこちらも細かい装飾を贅沢に使用することでベルトのようにアクセントをつけ、一転してスカートは黒一色とシンプルながら、チュールのような透け感のある生地とフリンジとを織り交ぜることで他にはないオリジナリティーを生み出しています。
 タンゴといえば黒はもちろんのこと、赤やオレンジなど南米らしい暖色系も定番のカラーですが、そうした暖色系は髪飾りのバラや衣装に縫いつけられたラインストーンなどのみで控えめにし黒をメインに置くことで大人っぽさが表現できていますし、また、大人っぽさを出すために露出を増やすのではなく、あえて露出の少ないコスチュームにすることで品の良さ、エレガンスさも表れていて素晴らしい衣装だと思います。


 3位はロシアのエフゲニア・メドベデワ選手の「ノクターン第20番」です。

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 ショパンの代表曲の一つ、「ノクターン第20番」を使用した哀切を帯びたプログラム。ということで、衣装もシックな色づかいでプログラムの世界観を表現しています。
 基調とした色はブルーですが、部分部分によって淡くなったり濃くなったりとグラデーションが複雑で、重層性を感じさせます。また、ボディ部分は細かな装飾によってまるで星空、宇宙を想起させるような幻想的な美しさを醸し出しています。スカートも幾枚ものチュールを重ねて複雑な層を作り出していますし、デコルテの部分の太い紐を編み込んだような作りも独特で、全体的にメドベデワ選手らしい独創性に満ちたコスチュームになっているなと思います。


 4位は中国の李香凝(リ・シャンニン)選手の「映画『ニュー・シネマ・パラダイス』より」。

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 イタリア映画『ニュー・シネマ・パラダイス』のサントラを使った抒情的なプログラムです。
 衣装は上から下に向かって色が変化していくカラーコーディネートが美しいデザイン。ワンショルダーのストラップから胸部分にかけては青みがかったグレー、そこから鮮やかな水色、そしてお腹からスカートは深みのある青となっていて、色の重なりの美しさはもちろんのこと、生地自体もギャザーを寄せた作りにすることで流れるようなラインを作り出していて、まるで流れる川のような、どこか絵画的な印象さえ覚えます。衣装全体に散りばめられたシルバーのラインストーンも華やかではあるものの派手すぎず、李選手の可憐さ、優雅さを際立たせるような素敵な衣装だと思いますね。


 5位はフランスのマエ=ベレニス・メイテ選手の「ヘイロー/ラン・ザ・ワールズ(ガールズ)」。

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 アメリカの歌手、ビヨンセのヒット曲2曲を繋げたメドレープログラム。前半はしっとりとしたバラード、後半は一気にテンポアップするダンスナンバーというメリハリのあるプログラムですが、メイテ選手の衣装はそのどちらの世界観もうまく表しているように思います。
 何といっても目を引くのは首元から胸にかけてのゴージャスな装飾づかい。金色のラインストーンなどをふんだんに用いてびっしり埋め込んでベースとし、アクセント的に体の中心にダイヤモンド風のビジューをあしらっています。そして胸の下からお腹にかけては、上の画像ではわかりにくいかもしれませんが、透け感のあるブラウンの生地になっていて、その下にチェーンのようなベルトを2本、そして黒いパンツに繋がるという個性的なコスチュームです。メイテ選手といえばパンツルックの多い選手ですが、この衣装も上半身を派手に、ボトムスをシンプルにすることでバランスを取っていて、上半身のデザインのゴージャスさをとにかく際立たせています。また、全身を左右対称なデザインにすることで派手ではありますがきっちりした印象も与えられる衣装になっていて、よく考えられているなと感じますね。


 6位はカナダのガブリエル・デールマン選手の「カルメン」です。

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 王道の「カルメン」を使用したプログラム。ということで、スペインらしい赤と黒の組み合わせが印象的な衣装ですね。
 黒から赤へと変化するグラデーションが特徴的な長袖ワンピースですが、腕の部分は別の生地で透け感を持たせることで重々しくなりすぎるのを防いでいます。そして首からボディ部分は透け感のない重厚な黒ですが、シルバーのラインストーンで蔓草のような模様を描き出していて、優雅さ、女性らしさを感じさせます。また、体の中心部分は肌がのぞくような作りになっていますので、こうした抜け感があることで重くなりすぎないように工夫しているのが見て取れます。そして色づかいは黒から鮮やかな赤へとナチュラルにグラデーションしています。
 「カルメン」といえば赤のイメージがより強いと思いますが、デールマン選手の衣装は赤を用いつつも黒をメインにしているので新鮮味があり、情熱的でありながらもクールさも感じさせるオリジナルの「カルメン」になっているのかなという気がします。


 7位は日本の樋口新葉選手の「ジプシー・ダンス バレエ「ドン・キホーテ」より」。

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 定番バレエ「ドン・キホーテ」の劇中の「ジプシー・ダンス」を使用したダンサブルなプログラム。衣装はシーズンを通して2着使用されましたが、今回選んだのは主にシーズン前半に着用されたものです。
 鮮やかなオレンジ色のノースリーブワンピースで、襟ぐりから胸元にかけては色とりどり、大小さまざまなラインストーンやビジューをあしらって左右対称なデザインを描いています。胸の中心部分のモチーフはどことなく太陽のようでもあり、光線が射しているようなさまも細かな装飾づかいによって繊細に表されていて印象的です。そしてウエストのベルトは黄色と緑のビジューを連ねたゴージャスなデザインで、ともすれば大ぶりのビジューなどを多用しすぎるとごちゃごちゃした感じにもなりかねないと思いますが、全体的に左右対称なデザインにすることですっきりとした統一感が生まれていて、非常に洗練された印象を受けます。もちろんコンセプトとなっているのはジプシーの踊りですから、心のおもむくままに踊るような明るさ、情熱をオレンジ色で表現しつつ、ヨーロッパにおいては異人的な存在だったジプシーのエキゾチックさをどこか東洋を思わせるようなデザインで示していて、細部までこだわりの伝わってくる衣装ですね。


 8位は日本の白岩優奈選手の「亜麻色の髪の乙女」です。

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 ドビュッシーの代表作「亜麻色の髪の乙女」を演じた白岩選手。まさにタイトルのような、純粋で可憐な乙女をイメージした衣装が印象的でした。
 ベースとなっている色はピンクですが、上半身は淡いピンクの生地の上にピンクの花々とグリーンの葉を刺繍で描き出していて、非常に繊細かつエレガントです。この花々をプリントなどではなく刺繍で立体的に、しかも絵画的なタッチで描写することによって新鮮味を与えていて、よくある花柄衣装とは一線を画しているように思います。そしてスカートはピンクから縁に向かって淡いグリーンへとグラデーションしており、このあたりの色づかいは上半身の刺繍との統一性が考えられていて、ピンク一色にするよりもグリーンを加えた方が、全体を見渡した時に色のバランスが良いのかなと感じますね。


 9位は日本の本田真凛選手の「The Giving」です。

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 優しく柔らかな曲想が印象深いピアノプログラム。衣装はシーズンを通して2着使用されましたが、対象となる試合で着用したのは画像のピンクの衣装のみでした。
 色づかいは淡いピンクで、ベースとなる肌色の生地の上に羽のような形の細長いピンクや白の素材が縫い付けられている作りで、その羽が幾本も集まって翼となって本田選手の身体を左右から包み込んでいるようなデザインとなっています。その上半身にはさまざまな形、大きさのビジューやラインストーン、また、パール風の装飾もふんだんにあしらわれていて、非常に贅沢な作りとなっていることがわかります。パッと見でわかりやすく派手、ゴージャス、というのではなく、一見清楚な雰囲気で大人しめだけれども、じっくり見ると実はどの衣装よりも手の込んだ作りの衣装となっていて、デザインや作りの繊細さ、こだわりに思わず引き込まれるコスチュームと言えます。


 10位はハンガリーのトース・イヴェット選手の「サンダーストラック/バック・イン・ブラック」です。

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 オーストラリア出身のロックバンド、AC/DCの代表曲2曲のメドレープログラム。女子選手では珍しいロックプログラムですが、音楽の世界観に合わせて衣装もロックらしくハードでクールなデザインとなっています。
 上下ともに黒のパンツルックで、レザーのような光沢感のある質感が特徴的です。そして前合わせはファスナーで締めるタイプで現代的な要素を盛り込み、襟やベルト、グローブにあしらわれたスタッズでロックらしさを強調しています。また、この画像では見えませんが、背中にはギターを弾く男の絵がプリントされていて、全身でロックを表現しています。
 衣装自体にもの凄い斬新さがあるわけではありませんが、女子選手でロックプログラムを演じること自体が稀有ですし、その中でこれだけロックらしさをストレートに示した衣装も珍しい上に、細部まで妥協のない考えられた衣装になっていて素晴らしいなと思います。



 さて、ベストコスチューム17/18、女子SP部門は以上です。いよいよこのシリーズラストを飾る女子フリー部門に続きます!


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、ワグナー選手の画像、トース選手の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、三原選手の画像、メドベデワ選手の画像、白岩選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、李選手の画像は、ソーシャルネットワークサービス「Tumblr」から、メイテ選手の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、デールマン選手の画像、樋口選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、本田選手の画像は、スポーツフォトグラファー、ダニエル・アールさんの公式Tumblrから引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-06-18 01:33 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 17/18シーズンのコスチュームの個人的なベスト10を紹介するベストコスチューム17/18。今回はペアのフリー部門です。なお、衣装を選ぶにあたってのルールについては、こちらの記事の冒頭をご覧ください。

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 ペアフリー部門の第1位は、アメリカのヘイヴン・デニー&ブランドン・フレイジャー組の「リヴ・フォーエヴァー」です。

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 イギリスのロックバンド、クイーンの「リヴ・フォーエヴァー」を使用した壮大なプログラム。
 男女ともにネイビーを基調としたコスチュームで、女性のデニー選手は長袖のワンピース。全体的な形としては左右対称ですが、デコルテから左肩、左袖にかけては透け感のある生地、右袖の方は透け感のない生地というふうにデザイン的にはアシンメトリーです。そして体の中心にうっすらとラインが入り、そこからお腹の辺りで布に切れ目が入るような形でスカートに繋がっていて、その切れ目から赤いスカートがのぞく作りとなっています。上半身や腕の方にも赤いラインストーンやスパンコールがあしらわれて、ネイビーと赤という色の組み合わせが非常によく合っていて絶妙なカラーコーディネートと言えます。一方、男性の方もネイビーをベースに胸元に控えめに赤を施していて、女性と同じ色の組み合わせではありますが、女性よりもキラキラ感は控えめな分、女性を引き立てたデザインとなっていますね。
 パッと見で決して派手なコスチュームではありませんが、色づかいだったり装飾の配置の仕方だったり、全体的に繊細さ、こだわりが感じられる素晴らしい衣装だと思います。


 2位はアメリカのディアナ・ステラート&ネイサン・バーソロメイ組の「One/Where the Streets Have No Name」。

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 アイルランドを代表するロックバンド、U2の楽曲2曲を組み合わせたメドレープログラム(「One」は“Cinematic Pop”というグループによるカバーです)。
 女性のステラート選手は赤いホルターネック風ワンピース。上半身はきらびやかな装飾をふんだんに使ったゴージャスな作りで、そこからレース調のウエスト、そして光沢感のあるスカートに繋がっています。一方の男性のバーソロメイ選手はシンプルな黒一色の上下。装飾らしい装飾、デザインらしいデザインはなく、女性の引き立て役に徹しています。
 とにかく女性の華やかさが目を引くコスチュームで、ゴージャスであり気品とエレガンス溢れる素敵なコスチュームですね。


 3位はアメリカのアシュリー・ケイン&ティモシー・ルデュク組の「映画『華麗なるギャツビー』より」。

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 アメリカの富裕層の退廃的な日常を描いた映画『華麗なるギャツビー』のサントラを使用したプログラム。ということで、1920年代のアメリカらしさを意識した男女の衣装になっています。
 女性はゴールドを基調に、シルバーを組み合わせたノースリーブワンピース。胸元、お腹部分、スカートと三層構造になっていて、胸元は細かな装飾で細いボーダーや幾何学的な模様を描写。お腹はフロント部分が太めのボーダー、サイド部分は三角を連ねたようなデザインと、部分部分によって模様を変えて変化をつけています。そしてスカートはフリンジで軽快さを演出しています。他方、男性は黒一色の上下ですが、透け感のある黒のトップスの上にベストを重ねた個性的なスタイル。下に着たトップスはヘンリーネックで、ボタンを大ぶりの金色にすることでアクセントにしています。また、ベストの襟やウエストのサッシュベルトにラインストーンなどをあしらうことで華やかさもプラスしていて、黒一色でも地味になりすぎない工夫が見て取れます。
 『華麗なるギャツビー』ならではのゴージャスさとカジュアルさをバランス良く表現した両衣装と言えますね。


 4位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組の「セイ・サムシング/Sense of Freedom」です。

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 アメリカのポップスユニット、グレート・ビッグ・ワールドが2013年に発表しヒットしたバラード曲「セイ・サムシング」をメインにした、しっとりとしながらもダイナミックなプログラムです(シーズン後半は昨季のプログラムに変更)。
 女性は上下一体となったシルバーのボディスーツ姿。上半身はメッシュのような素材になっていて、そこに大小さまざまのシルバーの装飾をあしらっていて、この装飾が水玉模様のような感じになってアクセントになっていますね。パンツの方は光沢感のある素材で、どこか近未来を思わせる斬新な衣装です。そして男性はシルバーのトップスに黒いパンツ。トップスは左右に切れ目が入ったデザインで、その切れ目の部分は女性同様にメッシュっぽい生地で透け感を持たせています。
 男女ともにシルバー、そしてメッシュ生地を効果的に用いてオリジナリティー溢れるデザインにしていて、一度見ると忘れられないコスチュームだと思いますね。


 5位はドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組の「La Terre vue du ciel」。

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 フランスの主に映画音楽の作曲家として活躍するアルマン・アマルさんの楽曲を使用したプログラム。全体的に曲調の変化は少ないですが、その中で徐々にオーケストラが厚みを増して盛り上がり、さらに部分的にボーカルも入ることで重層的かつ壮大なプログラムとなっています。衣装はシーズンを通して2種類使用されましたが、今回はシーズン序盤に使用された衣装を選びました。
 女性は絶妙なグラデーションがかかった紫の長袖ワンピースで、ゴールドやシルバー、青などさまざなま色の細かいラインストーンが縦のラインを描くようにあしらわれていて、非常に繊細かつ華やかです。衣装のベースとなる生地自体もグラデーションで単なる紫一色ではない複雑な色づかいとなっていますが、その上に色とりどりの装飾を配置することでさらに複雑で重層性のある衣装になっていますね。また、男性も紫から青へとグラデーションがかかった立て襟のトップスを着ていて、こちらは衣装全体には装飾はありませんが、襟にのみ控えめにラインストーンなどが施されていて(上の画像では見にくいですが)、女性とのバランスが考えられていることがわかりますね。
 曲名を直訳すると、“空から見た地球”となりますが、空の上から見た地球の複雑な色合いを衣装でも表現しているのかなと思います。


 6位は中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組の「トゥーランドット」です。

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 フィギュア界では大定番の「トゥーランドット」を使用した正統派プログラム。元々「トゥーランドット」は中国を舞台にした物語ということもあって、隋&韓組の衣装も中国らしさを意識したものとなっています。
 女性の衣装は鮮やかな赤一色の長袖ワンピース。襟ぐりはシルクのような艶やかな素材で縁取られていて、中国の伝統的な民族衣装のような作りになっています。お腹の左側には大きく花が描かれ、この花もどことなく中国らしさを思わせるデザインのように見受けられます。そして男性は黒を基調としたシックな色づかい。上の画像では見にくいかもしれませんが、黒いアンダーシャツの上に漢服のように前を合わせた作りの上着を着ていて、こちらも中国らしさ満載です。また、上の画像では全く見えませんが、背中には一面に黄金の龍の絵が大胆に描かれていて、前面がシンプルな分、背面で個性を出しています。
 中国を舞台にした「トゥーランドット」を、中国のペアとして中国らしさを前面に押し出したプログラムと衣装と言えますね。


 7位は中国の彭程(ペン・チェン)&金楊(ジン・ヤン)組の「梁山伯と祝英台」です。

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 「梁山伯と祝英台」は中国の作曲家、何占豪(フー・ジャンハオ)と陳鋼(チェン・ガン)が作曲し1958年に発表したヴァイオリン協奏曲で、中国のクラシック曲の代表的な一曲です。フィギュア界でも中国の選手にとってはおなじみの定番曲と言えます。
 女性は上半身が黒、スカートが濃い目のピンクという鮮やかな色づかいが特徴的なワンピース。上半身のベースは透け感のある素材で、胸元からお腹にかけて羽を広げた蝶のようなデザインが施されています。なぜ蝶かというと、この曲の英名が「Butterfly Lovers Violin Concerto」だからで、蝶が重要なモチーフとなる物語を衣装でもしっかり表現していることがわかります。また、その下から続くスカートも、ピンクを基調としながらピンク一色ではなく、ピンクから紫へのグラデーションとなっている上に、蝶の羽の模様が描かれたり、ピンクの合間から光沢感のあるエメラルドグリーンがのぞく作りになっていたりと、本当に複雑なデザインとなっていて、細部まで蝶らしさにこだわったことが感じられます。一方、男性は黒一色のシンプルな色づかいで女性を引き立てています。衣装の形はトップスは詰め襟で、前を合わせるボタンもどことなく東洋っぽい雰囲気となっていて、やはり中国らしさが感じられますね。


 8位は北朝鮮のリョム・テオク&キム・ジュシク組の「Je ne suis qu'une chanson」です。

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 カナダの歌手、ジネット・レノが歌うフランス語のバラード曲を使用したリョム&キム組。バラード曲なのでしっとりした趣きももちろんありつつ、女性ボーカルが歌い上げるさまは情熱的かつパワフルでもあります。
 男女ともに黒を基調にした衣装で、女性は上下一体となったボディスーツ型の衣装。首元はシルバーで、そこからトップスに繋がるホルターネック風となっており、トップスのデザインは中央に切れ目が入った部分は透け感のある生地で、その周辺をシルバーのラインストーンやスタッズで彩ったカッコいいデザインとなっています。パンツの方もサイド部分に切れ目が入っていて、全体的にロックやパンクのステージ衣装のような印象を与えます。男性も女性同様、透け感のある素材と透け感のない素材を絶妙に組み合わせたトップスで、こちらは女性ほどではないもののやはりシルバーのラインストーンを襟ぐりや脇の部分に効果的にあしらっていて、カッコよさを全面的に押し出していますね。


 9位はカナダのカーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組の「Un Ange Passe」です。

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 カナダの作曲家兼ピアニスト、アラン・ルフェーヴルのピアノ曲を使用した柔らかで優雅なプログラムです。そうした優しいイメージを表すように男女ともに淡い色づかいの衣装となっています。
 女性は淡い青紫色のワンピースで、繊細なラインストーンの連なりによって左右対称の模様が全面的に描かれています。華やかさをプラスしつつも、あくまでも控えめでベースの青紫色の美しさを活かしていますね。そして男性は白いシャツに黒いパンツというスタンダードスタイル。シャツは立て襟でその周囲にギャザーを寄せていて、どことなくフェミニンな雰囲気を醸しています。
 男女ともに優しい雰囲気の衣装が、エレガンスな曲調のピアノ曲とぴったり合っていますね。


 10位はオーストリアのミリアム・ツィーグラー&セヴェリン・キーファー組の「イエロー/フィックス・ユー」です。

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 イギリスのロックバンド、コールドプレイの代表曲2曲のメドレープログラムです。
 女性は胸元が大きく開いたネイビーのノースリーブワンピースで、ウエストに青いベルトが巻かれたようなデザインです。そのベルトを中心に細かいラインストーンがふんだんに散りばめられていますが、ベルトの前側は実は青いラインストーンをベルトの形になるように縫い付けることでベルト風に見せていて、パッと見ではわからない繊細な工夫がなされています。そして男性も全面的にラインストーンが散りばめられたネイビーのトップスを着ており、こちらも女性のベルトと同じような色合いの青を袖口や襟ぐり、そして襟ぐりから体の中心を貫くようにひかれたラインにあしらっていて、アクセントとしていますね。



 さて、ペアフリー部門は以上です。ということで、とうとうベストコスチューム17/18も次がいよいよ最後のカテゴリーとなる女子です。まずは女子SP部門からですが、もうしばらく記事アップをお待ちください。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、デニー&フレイジャー組の画像、ステラート&バーソロメイ組の画像、ジェームズ&シプレ組の画像、ムーア=タワーズ&マリナロ組の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ケイン&ルデュク組の画像、ツィーグラー&キーファー組の画像は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、サフチェンコ&マッソ組の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、隋&韓組の画像は、中国のテレビチャンネル「CGTN」の公式ツイッターから、彭&金組の画像、リョム&キム組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-06-07 14:30 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 男子、アイスダンスと続けてきたベストコスチューム17/18。今回はペアのショートプログラム部門です。なお、衣装を選ぶにあたってのルールについては、こちらの記事の冒頭をご参考下さい。

*****

 ペアSP部門第1位は、イギリスのゾーイ・ジョーンズ&クリストファー・ボヤジ組の「It's a Man's Man's Man's World」です。

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 ファンクの帝王と呼ばれたジェームス・ブラウンの代表曲「It's a Man's Man's Man's World」をイギリスのソウル歌手、シールがカバーしたバージョンを使用したジョーンズ&ボヤジ組。シャウトするような男性ボーカルが印象的なプログラムの力強さ、激しさを、衣装でも表現しています。
 男女ともに黒をベースに、シルバーを効果的にあしらっていて、女性は首から腕を覆う露出のほぼないワンピースで、女性らしさはあえて覆い隠しています。そして特徴的なのは胸元の大小さまざまな装飾と、腰のベルト風の装飾で、特にベルト風のデザインがあることによってよりカッコ良さ、男性っぽさが強調されていて良いですね。一方の男性はVネックの半袖トップス。こちらも襟ぐりに華やかな装飾が施されていてアクセントとなっています。また、生地で肌を覆っている面積が大きい女性と比べて、男性は首や腕など比較的肌を見せているので、男女のバランスとしてもほどよく均整が取れていて、そのあたりもしっかり考えられたコスチュームだなと思いますね。


 2位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組の「Make It Rain」です。

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 イギリスの人気歌手、エド・シーランが歌う楽曲を使用したプログラム。タイトル、歌詞に“Rain”=“雨”という言葉が入っていることを意識してか、鮮やかな青が印象深い衣装です。
 女性は青一色のノースリーブワンピース。肩から胸、お腹にかけて縦に細長い生地で部分的に覆い、体の中心やサイドは何本もの紐で繋ぐ個性的なデザイン。スカートも同様にスリット部分を紐で繋いで留め、さらにスカート自体も長さの異なる生地を複数重ねて変化をつけていて、全体的に非常に複雑な作りであるのがわかります。そして男性は黒を基調とした衣装で、透け感のある五分袖トップスの上に、光沢感のある素材のベストを重ねたスタイル。そのベストの前を女性同様に青い紐で留めていて、女性とのペア感を演出しています。
 使用している曲が現代のロックソングということもあり、ステレオタイプにとらわれない、非常にファッショナブルでコンテンポラリーな素晴らしいコスチュームになっていると思います。


 3位はドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組の「That Man」です。

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 「That Man」は16/17シーズンから継続のプログラムで、シーズン当初は別のプログラムで滑っていたサフチェンコ&マッソ組でしたが、しっくりこなかったのかGPファイナルから昨季の「That Man」に変更。衣装も昨季の衣装をそのまま用いましたが、その後衣装も画像のものに新調しました。
 女性はシルバーのホルターネック風ワンピース。衣装全体がきらびやかで、さらに頭にはめたヘッドアクセサリーや腕にはめたアクセサリーなど小物づかいも効いてよりゴージャスな印象を与えています。また、スカートはフリンジ状になっていて、このあたりからはジャジーなプログラムならではの軽快さが感じられますね。男性は肘までまくり上げた風の白シャツに赤い蝶ネクタイ、グレーのベスト、黒いパンツというオーソドックスなスタイル。女性の華やかさを引き立てるシックさですが、あえて五分袖にしたシャツの袖や鮮やかな赤い蝶ネクタイがシックな中にもポップさを醸し出していて、こちらもジャジーでポップなプログラムの世界観にぴったりですね。


 4位はドイツのアニカ・ホッケ&ルーベン・ブロマールト組の「Big Spender」です。

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 ミュージカル「スウィート・チャリティー」の劇中曲で、単独でもCMソングなどに使用され有名な「Big Spender」を用いたプログラム。パワフルな女性ボーカルが特徴的な力強い曲調ということで、衣装もカッコよさを意識したデザインになっています。
 男女ともに黒をベースにした衣装で、女性は首元のみゴールドのホルターネック風ワンピース。首元はゴールドの細かなラインストーンをびっしり埋め込み、ところどころにピンクやブルーなどの大ぶりのビジューをあしらっていて、非常に華やかです。一転、首から下のワンピースは黒一色でシックな印象で良い意味でギャップを感じさせます。上半身は透け感のあるレース調のデザインで、完全に真っ黒だと少し重々しくなりすぎるかもしれませんが、レース調にすることで軽やかさを生むとともにフェミニンさ、セクシーさも感じさせます。また、スカートもフリンジなので軽快さがあり、重厚さと軽やかさのバランスというのが素晴らしいですね。一方、男性は黒一色の上下でですが、肩から腕、背中側に関しては透け感のある素材にしてこちらも重くなりすぎない工夫が見られます。上半身の前面は透け感のない素材で細かなラインストーンを散りばめて華やかさをプラスしていて、控えめではありますがほどよいアクセントになっていて良いですね。


 5位は中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組の「白鳥の湖」です。

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 定番のバレエ「白鳥の湖」を使用した王道プログラム。男女の衣装も物語のキャラクターをイメージしたことが感じられる色づかいとなっています。
 女性は淡いピンクにグレーの模様が入ったフェミニンなワンピース。首元にはジュエリー風のデザインが、ウエストにも細いベルトのような装飾的なデザインが施されていて、全体的に少女らしい柔らかさ、可愛らしさを強調していて、まさに可憐な白鳥のイメージでしょうか。一方の男性は黒一色のシンプルなコスチューム。ただ、黒一色の中にも衣装のベースとなる素材とは別の素材を使った黒いラインが走っていて、パッと見では見えないのですが工夫しているのが感じられます。
 女性の于選手はもちろんヒロインの白鳥=オデット姫という設定だと思われ、男性の張選手は黒一色の衣装から想像するに悪魔ロットバルトを演じているのだと思いますが、この二人の元々持っている持ち味、雰囲気からしてもピッタリな印象で、コスチュームもうまく二人の個性を活かしていますね。


 6位は中国の隋文静(スイ・ウェンジン)&韓聰(ハン・ツォン)組の「ハレルヤ」です。

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 カナダのフォークシンガー、レナード・コーエンが1984年に発表した「ハレルヤ」。さまざまな歌手にカバーされ今ではスタンダードナンバーとして定着し、フィギュア界でもおなじみの曲となっていますが、隋&韓組が使用したのは同じくカナダのカントリー歌手、k.d.ラングがカバーしたバージョンです。
 女性の隋選手は臙脂色のノースリーブワンピース。胸元からお腹にかけて大胆に肌がのぞく作りで、上の画像だとわかりにくいですが体の側面も肌が見える個性的なデザインとなっています。ただ、そこまでセクシーな印象はなく、臙脂色という渋みのある色のイメージも手伝って大人っぽさを感じさせます。そして男性は黒のトップスとパンツというコーディネートですが、何といっても特徴的なのはトップスの前面にデザインされた羽を広げた大きな鳥。壮大な印象を与える絵柄ですが、じっくり見るとブルーやシルバーのラインストーンで縁取られた立体感のある作りになっていて、こうした繊細な工夫によって洗練された本格的な衣装になっているなと思いますね。


 7位はロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンデル・エンベルト組の「The Summer Knows 映画『おもいでの夏』より」。

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 1971年公開のアメリカ映画『おもいでの夏』の劇中曲を使用したプログラム。演技自体も“夏”をイメージしていると思いますが、映画がリゾート地として有名な島を舞台にしているということもあってか、夏の熱さや情熱的なイメージではなく、爽やかさや涼やかさを感じさせるコスチュームになっていますね。
 女性はピンクとラベンダー色を組み合わせたホルターネック風ワンピース。主にワンピースの右側がピンク、左側がラベンダー色となっていますが、くっきりと分かれているわけではなく下の方で混じり合ってグラデーションになる色づかいが絶妙です。また、胸元や腰の辺りにキラキラとしたシルバーの生地があしらわれてアクセントになっていますし、ピンクやラベンダー色の生地も縦にシャーリングが施されているので表面に変化がつけられており、色づかいも素材づかいも細かい工夫がなされていますね。一方、男性はラベンダー色のトップスに、画像では見せませんがグレーのパンツというこちらも優しい色づかいのコーディネート。トップスは左肩から右下に向かって小さなラインストーンを連ねる形で斜めのラインが描かれていて、この衣装でデザインらしいデザインというとこれくらいですが、控えめながらちょうどよいアクセントになっているのかなと思います。


 8位はアメリカのヘイヴン・デニー&ブランドン・フレイジャー組の「All of Me」です。

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 2013年に発表されたアメリカのR&B歌手、ジョン・レジェンドのヒット曲を使用したプログラムです。
 女性はゴールドと淡いイエローを基調にしたワンピース。上半身はベースとなる肌色の生地の上に、唐草模様のような刺繍を縫い付けた作りで、さらにその刺繍部分に小さな色とりどりのラインストーンがふんだんに散りばめられていて、ゴールド一色では醸し出せない華やかさを加えています。一方でスカートの方は透け感のある素材かつ長さも短めで、上半身のデザインの複雑さ、細かさとは対照的にシンプルな作りとなっています。また、男性は女性のスカートと同じ淡いイエローのシャツに黒いパンツ。シャツはスタンドカラーでピンタックが施されており、クラシカルな印象。男女ともに奇をてらわず王道かつ古風なコスチュームで、しっとりとしたバラードの世界観を表現していますね。


 9位は中国の彭程(ペン・チェン)&金楊(ジン・ヤン)組の「Assassin's Tango 映画『Mr.&Mrs. スミス』より」。

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 映画の劇中曲であるタンゴを使ったプログラム。タンゴということでラテンらしい鮮やかな赤が目を引きます。
 その赤いワンピースを着た女性は、首元がゴージャスなジュエリー風のデザインで、そこから赤いワンピースに繋がっています。そのワンピースも赤の中にふんだんにシルバーのラインストーンが散りばめられて華やかな印象です。そして男性は詰め襟風の白いトップスに黒いパンツ姿。トップスは前面のピンタックや黒いボタンがクラシカルな雰囲気を醸しています。男女ともにいかにもタンゴらしいというよりはヨーロッパの香りが濃いデザインで、使用しているタンゴ自体も伝統的なアルゼンチンタンゴではなく、ハリウッド映画のサントラの一曲なので、タンゴ感は控えめなのかなと想像します。


 10位はアメリカのタラ・ケイン&ダニー・オシェア組の「All I Ask of You ミュージカル「オペラ座の怪人」より」。

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 おなじみのミュージカル「オペラ座の怪人」の劇中曲で、ヒロインであるクリスティンと幼なじみで両想いのラウルとのロマンティックなラブソングです。ということで、ケイン&オシェア組の衣装もキャラクターのイメージを反映しているのが見て取れます。
 女性は黒を基調としたストラップレス風ワンピース。胸元に切れ目が入った作りで、その縁取りには小さな青い花があしらわれていて非常にガーリーです。胸元にのみ細かなラインストーンが配され、また、白い紐を胸の下で結んで前で蝶々結びをしたようなデザインもかわいらしい印象で、ピュアで可憐なクリスティンらしいイメージですね。そして男性の衣装も水色の柔らかい素材の五分袖トップスで、前面に施されたフリルが貴族の子息であるラウルらしいですね。
 「オペラ座の怪人」を演じるとなると、クリスティンとファントムという組み合わせがよくあるのかなと思うのですが、このペアはクリスティンとラウルとのデュエット曲を用い、コスチュームもそのイメージをしっかり反映していて、考えられているなと感じますね。



 さて、ペアSP部門は以上です。フリー部門に続きます。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、ジョーンズ&ボヤジ組の画像、サフチェンコ&マッソ組の画像は、マルチメディアサイト「Zimbio」から、ジェームズ&シプレ組の画像、ホッケ&ブロマールト組の画像、于&張組の画像、隋&韓組の画像、ザビアコ&エンベルト組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、デニー&フレイジャー組の画像は、フィギュアスケート情報サイト「Absolute Skating」から、彭&金組の画像は、ファッションデザイナー、ニック・ヴェレオス氏の公式サイトから、ケイン&オシェア組の画像は、フィギュアスケート情報サイト「A Divine Sport」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-06-01 00:06 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 17/18シーズンの衣装のベスト10を決めるベストコスチューム17/18。今回はアイスダンスのフリーダンス部門です。なお、衣装を選ぶ際のルールについては、こちらの記事の冒頭をご覧ください。

*****

 アイスダンスFD部門第1位は、スペインのサラ・ウルタド&キリル・ハリャービン組の「ドン・キホーテ」です。

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 おなじみのバレエ「ドン・キホーテ」の音楽を使用したプログラム。スペインのカップルがスペインを舞台にした作品を演じるということで、まさに五輪シーズンにふさわしいプログラムですが、衣装もスペインらしさを強調しています。
 女性のウルタド選手はトップスが黒、スカートが赤というオーソドックスなスペイン風カラーコーディネート。トップスのオフショルダーの部分がレースになっていたり、スカートが光沢感のある素材になっていたりと、素材感で工夫が見られます。一方、男性のハリャービン選手はフリルがふんだんにあしらわれたシャツの上にグレーのベスト、ビロードっぽい素材のワイン色の上着という重厚感を感じるスタイル。特に上着は前合わせや肩、袖口など繊細な刺繍がびっしりと施されていて、高級感が伝わってきます。
 奇をてらわず「ドン・キホーテ」の世界観を表現した両衣装で、細部まで妥協せずこだわった贅沢な作りのコスチュームだと思いますね。


 2位はアメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組の「パラダイス」です。

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 イギリスのバンド、コールドプレイの楽曲「パラダイス」を使用した壮大なプログラム。衣装も男女ともに力強さを感じさせる色づかいになっています。
 妹のマイア選手は赤を基調としたワンピース。形としてはホルターネックタイプで、お腹に向けて布を寄せることで美しいラインを作り出しています。また、スカートの一部分に深みのある紫を差し色として加えていて、印象的なアクセントになっています。そして兄のアレックス選手も同じ色合いのトップスに黒いパンツ姿。ただ、そのトップスも鮮やかな赤一色ではなく、グラデーションで変化がつけられていますし、全体的に散りばめられた細かい装飾によって、どこか宇宙のような壮大さも感じさせて、シンプルではありますが上質感と工夫が感じられます。
 赤という派手な色を前面に押し出しながらも、洗練された落ち着きのあるイメージを作り出していて、正統派のシブタニ兄妹らしい品の良さが表れているなと思います。


 3位はイタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組の「映画『ライフ・イズ・ビューティフル』より」。

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 イタリア映画『ライフ・イズ・ビューティフル』のサントラを使用したストーリー性の強いプログラムで、カッペリーニ&ラノッテ組は困難を乗り越える夫婦の姿を情感たっぷりに演じました。
 衣装はシーズンを通して2種類使用されましたが、今回選んだのはシーズン前半の試合とシーズン最後の世界選手権で着用された衣装です。女性のカッペリーニ選手は白一色のワンピースですが、上半身は立体感のあるレース調になっていて変化をつけています。一方の男性のラノッテ選手はクリーム色のシャツに黒いサスペンダー、黒いパンツというシンプルスタイル。女性の華やかさを引き立てるシンプルさですが、プログラムでラノッテ選手が演じる男性のイメージとも合っていますね。
 白をベースにした衣装というのは氷上では背景に溶け込んでしまうので、そういった意味では欧州選手権やオリンピックでカッペリーニ選手が着用していた赤い衣装の方が氷には映えると思うのですが、プログラムの雰囲気には真っ白なワンピースの可憐さがより合っている気がして、こちらを選びました。


 4位は中国の王詩玥(ワン・シーユエ)&柳鑫宇(リュー・シンユー)組の「Over My Shoulder/Happy Ending」です。

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 女性ボーカルによる前半はしっとりと、後半はテンポアップする緩急豊かなプログラムを演じた王&柳組。衣装もシックな色づかいときらびやかな装飾性を両立させて、プログラムの世界観に合わせています。
 男女ともに同じ淡い紫のコスチュームで、女性は胸元の大きく開いたワンピース姿。上半身はびっしりとラインストーンやスパンコールがあしらわれており、非常にゴージャスです。一方スカートは柔らかなふんわりとした素材で裾に向けて色が淡くなるグラデーションになっていて、上半身とは対照的なデザインとなっています。そして男性も淡い紫のトップスに黒いパンツで、女性と同じくトップスにはふんだんに装飾が施され華やかな印象です。ただ、女性の衣装ほどの装飾の多さではなく、シャツに透け感を持たせることで軽やかさも演出していて、男女のバランスの取れたコスチュームと言えますね。


 5位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組の「ある愛の詩 映画『ある愛の詩』より/Love's Dream/愛の夢第3番」です。

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 大ヒット映画『ある愛の詩』のテーマソングや、フランツ・リストの代表曲「愛の夢」を組み合わせたプログラムということで、衣装も色づかい、素材感、デザインともに柔らかな印象を与えています。
 女性はベージュのワンピースで、上半身はヌーディーな素材の上にピンクや水色など色とりどりの花を散りばめたフェミニンなデザイン。スカートはシンプルにベージュのチュールを重ね、優しい雰囲気を作り出しています。男性は微妙にピンクがかったトップスと黒のパンツの組み合わせで、こちらも袖は透け感がありふんわりとした作りで、女性の衣装同様に柔らかな印象を受けます。
 男女ともに淡い色づかい、柔らかな素材感のコスチュームで、“愛”や“夢”といったイメージにぴったりの世界観を醸し出していますね。


 6位はイギリスのペニー・クームズ&ニコラス・バックランド組の「エキソジェネシス交響曲第1部/バタフライズ・アンド・ハリケーンズ」です。

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 14/15シーズン、15/16シーズンのフリーと同じプログラムにシーズン途中から変更したクームズ&バックランド組。ただ、衣装は欧州選手権では新しいものを使用していましたので(オリンピックでは以前も使用したものを再着用)、その衣装を選びました。
 女性は紫を基調とした独創的なデザインのワンピース。曲の中に“バタフライ”とありますので、どことなく蝶をイメージしたようなデザインも胸元や腰の辺りに盛り込まれていて印象的です。また、色づかいも紫からピンクのグラデーションと独特の色づかいですし、黒く太いラインが何本も描かれたり、スカートの長さが部分部分で異なっていたりと、全体的にオーソドックスからは外れたオリジナリティー溢れるデザインとなっていて素晴らしいですね。そして男性の衣装はシンプルな黒のシャツに黒いパンツですが、シャツの肩から胸元、また、画像では見えませんが背中にかけてスパンコールなどできらびやかなデザインが施されていて、具体的な形、絵柄を作り出しているわけではありませんが、流星を思わせるような曲線が美しく、女性の華やかな衣装を引き立てるとともに、男性の衣装単独でも充分に印象深いデザインとなっていて、素敵だなと思いますね。


 7位はロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組の「オブリヴィオン/Beethoven's Five Secrets」。

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 ピアソラのタンゴ「オブリヴィオン」とアメリカのクラシックユニット、ピアノ・ガイズがベートーヴェンの「交響曲第5番」を元に作った曲「Beethoven's Five Secrets」を組み合わせたプログラムで、ボブロワ選手が目の見えない女性を演じるメッセージ性、ストーリー性の濃いプログラムとなっています。
 衣装は女性がピンクを基調としたエレガンスなドレス。腰に向かって寄せられたドレープが非常に美しい衣装ですが、色づかいもドレープが描き出すラインの中で絶妙にピンクとベージュが合わさっていて、芸術的とさえ言いたくなるような美しさです。一方の男性は白シャツにグレーのベスト、黒いパンツというオーソドックスなコーディネートで、女性を際立たせています。このプログラムは男女の恋を描いたものですから、男性のシンプルな衣装からもソロビエフ選手が演じている男性の佇まいというのが伝わってくる気がしますね。


 8位はポーランドのナタリア・カリシェク&マクシム・スポディレフ組の「ヤング・アンド・ビューティフル 映画『華麗なるギャツビー』より/Swing Break/No Diggity/メイプルリーフ・ラグ」。

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 ポップスやR&Bなどさまざまなジャンルの楽曲を組み合わせたメドレープログラムで、全体的に軽快さが印象的ですが、コミカルというよりは品の良い感じの軽快さになっていますね。
 そんな曲想に合わせて男女の衣装も上品さが感じられます。女性は胸元が大きく開いた長袖の青いドレス。色づかいも落ち着いた色合いでシックで、胸元も開いているとはいえヌーディーな生地で覆われている上に、ラインストーンなどの細かな装飾もふんだんにあしらわれているのでセクシーさはあまり感じさせず、優雅な雰囲気が前面に押し出されています。男性は白シャツにビロード風の素材感の青いジャケットを重ねていて、こちらもシックなスタイル。ただ、シャツは上のボタンを外して肌がのぞくように見せているので、このあたりからはあえてきっちりさせすぎずに軽やかさを演出しようという意図がうかがえます。王道のクラシックプログラムであれば、男性もネクタイを締めるなど正装風の衣装ぐらいがちょうどいいかもしれませんが、ポップなプログラムなだけに、これくらい決めすぎない方がしっくりくるのかなと思いますね。


 9位はフランスのアンジェリーク・アバチキナ&ルイ・トーロン組の「Mariage d'amour/Je suis malade」。

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 優しいピアノの音色で幕を開け、中盤以降、フィギュア界でも定番のラブソング「Je Suis Malade」で盛り上がる甘美で情熱的なプログラムです。
 女性は淡いラベンダー色のワンピースで、プログラムと同じ甘美な雰囲気を醸し出しています。ワンショルダー型のアシンメトリーな作りですが、左胸と腰に花の装飾があしらわれており、このあたりのデザインからもフェミニンさが感じられます。男性は白シャツに黒いパンツというシンプルなコーディネートで、女性の引き立て役に徹していますが、シャツは肩のあたりをシャーリング仕立てにするといったデザイン性もあり、引き立て役に回る中でも工夫しているのがわかります。
 パッと見て特別華やかさがあるとか斬新であるとかいった特徴はありませんが、プログラムの世界観を忠実に表現した衣装になっていると思いますね。


 10位はアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組の「イマジン」です。

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 ジョン・レノンの名曲「イマジン」のカバーバージョンを使用したプログラム。
 平和を願う歌ということで、衣装も男女ともに穏やかで落ち着いたイメージの青を基調としています。女性は深みのある青いノースリーブワンピースですが、全体的に透け感を持たせることであまり重く見えすぎないような工夫がなされています。また、ウエストを中心にきらびやかな装飾も施されているので、ほどよい華やかさもあります。男性は水色から女性と同じ深みのある青へとグラデーションするトップスに黒いパンツ。裾に向かってグラデーションすることでボトムスとの色なじみが良くなっていますね。



 アイスダンスフリーダンス部門のベスト10は以上です。これでベストコスチューム17/18もようやく折り返し地点。のろのろペースの更新で申し訳ないですが、残りのペアと女子もできるだけ早めに記事アップしようと思いますので、もう少しお付き合い下さい。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、ウルタド&ハリャービン組の画像、王&柳組の画像、クームズ&バックランド組の画像、ボブロワ&ソロビエフ組の画像、チョック&ベイツ組の画像は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、シブタニ&シブタニ組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、カッペリーニ&ラノッテ組の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ステパノワ&ブキン組の画像、は、アナスタシア・ボチカレワ氏の公式インスタグラムから、カリシェク&スポディレフ組の画像、アバチキナ&トーロン組の画像は、アナスタシア・ボチカレワ氏の公式サイトから引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-05-21 15:18 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 17/18シーズンのコスチュームのベスト10をランキング形式で紹介するベストコスチューム17/18。今回はアイスダンスのショートダンス部門です。なお、ベスト10を選ぶにあたってのルールについては、こちらの記事の冒頭をご覧ください。
 では、さっそくベスト10を1位から見ていきましょう。

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 アイスダンスSD部門第1位は、イギリスのペニー・クームズ&ニコラス・バックランド組の「Rhumba d'Amour/Batucada」です。

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 17/18シーズンのSDの課題はパターンダンスがルンバ、クリエイティブパートがラテンアメリカということで、ラテンらしい華やかな色づかいのコスチュームを使用するカップルが多い中、珍しく黒を基調とした衣装が印象的だったのがクームズ&バックランド組です。
 プログラムはフィギュア界でも定番のラテンナンバー「ある恋の物語」をルンバ風にアレンジした曲がメインで、前半はゆったり、終盤は一気にテンポアップする構成。男女ともに黒の衣装は、プログラム前半の濃厚なスローパートの雰囲気をよく表わしているように思います。男性は胸元が開いたトップスが特徴的で、ラインストーンによって幾何学的な模様が前面いっぱいにあしらわれています。一方、女性はデコルテから胸元にかけて絡み合う植物のような装飾が施され、その部分が黒いストラップレスドレスと繋がるデザインとなっています。そしてスカートは黒とシルバーのフリンジで、ラテンらしさを表しています。黒とシルバーというシンプルなモノトーンのワンピースですが、デコルテ部分の植物風のデザインだったり、ふんだんにあしらわれたラインストーンだったり、華やかな印象を与えるフリンジスカートだったりと、シックさとゴージャスさの全体的なバランスが素晴らしく、ラテンらしさを表現しつつ情熱的というよりは大人のセクシーさを感じさせる魅力的なコスチュームになっていると思いますね。


 2位はフランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組の「シェイプ・オブ・ユー/シンキング・アウト・ラウド」です。

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 イギリスの人気歌手、エド・シーランの楽曲2曲を組み合わせたラテンとしては一風変わったプログラム。現代の人気ポップソングをラテンらしく滑るということで、ラテンではありながらもラテン色は薄めのおしゃれな作品となっています。
 衣装は男性が黒、女性がグリーンという対照的な色づかい。男性のシゼロン選手は平昌五輪では長袖のトップスを着ていましたが、ほとんどの試合では画像のランニング風のトップスを使用。縁取りをレザー風の光沢感のある素材にしたり、サイド部分は透け感のある素材にしたりと、同じ色でも素材を変えることで見た目に変化をつけていますし、また、ベルトをすることで一般的なラテンとは違う雰囲気を醸したりと、ポップなプログラムの世界観に合わせています。一方、女性のパパダキス選手は鮮やかなグリーンを基調としたセパレート型の衣装で、トップスは首から吊るホルタ―ネックタイプ。首回りと胸部は大小さまざまなグリーンの装飾をふんだんに使いゴージャスさを演出。そして胸元からフリンジが垂れ下がる作りで、ラテンらしさを表現しています。スカートも同様にフリンジで、上下ともにフリンジというのはともすれば過剰すぎるきらいもあるかと思いますが、ワンピースではなくセパレートにすることで、お腹の部分に余白が生まれてバランスが取れていますし、また、色づかいとしてもトップスは濃いグリーンから淡いグリーンへのグラデーション、スカートはゴールドのウエストから、フリンジもベージュからグリーンへのグラデーションにすることで変化のある衣装になっていますね。


 3位はアメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組の「マンボ No.5/チェリー・ピンク・チャチャ/Mambo Jambo/Mambo No. 8」です。

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 マンボの中でも特に有名な「マンボ No.5」を始め、マンボやチャチャなど明るくノリの良い正統派のラテンプログラムを演じたシブタニ兄妹。衣装はシーズンを通して2種類使用され、基本的な衣装のコンセプトは同じであるものの、色をワントーン濃くし若干デザインも変更したものをシーズン後半は着用しましたが、今回はシーズン前半に着られていた衣装を選びました。
 妹のマイア選手はピンクを基調としたワンピース。上半身はベースとなる肌色の生地にさまざまな装飾を縫い合わせて模様を浮かび上がらせるような作りで、ジュエリーをいくつも重ねたような豪華さが感じられます。そしてスカートは裾に向かってオレンジ色も交ざっていて、女性らしいピンクとともに陽気な印象のオレンジを合わせることで、上品さに活発さも加わっていますね。兄のアレックス選手はブロンズがかったベージュのトップスに黒いパンツというコーディネート。前はボタンで留める作りにすることで端正なイメージを醸し出していますし、細かい装飾によってストライプのようなラインが浮かび上がるデザインにもなっていて、こちらもやはり上品さを感じさせます。ラテンらしさを表現しつつも、シブタニ兄妹ならではの品の良さが全面的に表れた衣装と言えますね。


 4位はイタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組の「Kaboom/Skip to the Bip/1008 Samba」。

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 チャチャやサンバなど軽快で陽気な曲を組み合わせたプログラムで、さすがイタリアのカップルらしいノリの良さと情熱的な滑りが音楽にもマッチしていましたね。衣装は男女ともにシーズン途中で変更しましたが、今回は変更前のものをチョイスしました。
 男性は全身黒のシンプルな衣装。目につくのはウエストのベルトくらいで(上の画像では見えませんが)、トップスも特にデザインらしいデザインはなく、女性を目立たせるためのシンプルに徹しています。一方の女性は上半身がシルバー、スカートが鮮やかなピンクという華やかないでたち。上半身は大ぶりのビジューや細かいラインストーンなどさまざまな装飾をびっしりとベースとなる生地に縫い合わせたような感じで、高級感があります。そしてスカートは微妙に色合いの違うピンクの生地を何枚も重ねた作りで、ふわっと広がる形が非常に可愛らしさを感じさせます。また、トップスとスカートを繋ぐウエストの部分も極めて繊細な作りになっていて、ラインストーンを散らしたり、フリンジのような細い紐を垂らしたり、左の腰の部分にはトップスと同じキラキラとした花の形のコサージュをあしらったりと、隅々まで可愛らしく見せる工夫を凝らしていて、本当に素敵な衣装だなと思います。


 5位は日本の村元哉中&クリス・リード組の「I Like It Like That/Mondo Bongo/Batucada de Sambrasil」。

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 ブーガルー(R&Bやソウルミュージックなどのブラックミュージックと、ラテン音楽が組み合わさったアメリカ発祥の音楽ジャンル)の名曲として知られる「I Like It Like That」で幕を開け、中盤はスローに、そして終盤は一気に勢いを増して激しくなっていくメリハリの効いたプログラム。衣装はそんなプログラムのさまざまな面を表すようなカラフルな色づかいとなっています。
 村元選手はアシンメトリーな形のノースリーブワンピースで、お腹の右側から背中にかけて大胆に肌をのぞかせた独創的なデザインです。ただ、露出しているのがお腹から背中で、そのほかの部分は体にフィットする生地でしっかり覆っているので、健康的なセクシーさを感じさせます。また衣装の色も黄色、オレンジ、ピンクのグラデーションで、こうした色づかいからも陽気で明るい印象を受けますね。スカートはフリンジでさまざまな色が交じっていますが、一番下にくる色に黒を選ぶことで全体が締まって見えて良いと思います。リード選手は村元選手とおそろいのオレンジからピンクのグラデーションの襟付きシャツの上に、黒いジャケットを重ねたコーディネート。あくまで女性とおそろいなのはシャツだけで、そのほかは黒でまとめているので、女性とのバランスという観点でも絶妙ですね。
 ともすれば軽薄な印象になりがちな黄色やオレンジをメインの色として用いながらも、ピンクや黒とうまく組み合わせて上品さも失っていない見事なコスチュームだと思います。


 6位はアルメニアのティナ・ガラベディアン&シモン・プルー=セネカル組の「Vente Pa'ca/La Bomba」です。

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 プエルトリコを代表する歌手、リッキー・マーティンの楽曲2曲を組み合わせたプログラム。ラテンではありながらもポップソングなので、衣装からも現代的な要素がうかがえます。
 男性は上下ともに黒(トップスの背面のみ透け感のある素材を使用)でこれといった特徴のない衣装ですが、対照的に女性は華やかな色づかいで、上述したカッペリーニ&ラノッテ組同様、男性が女性を引き立てるコスチュームとなっています。その女性の衣装は上と下がわかれたセパレート型で、トップスはシルバーのキャミソール風。そしてスカートは鮮やかなピンクのチュールを幾枚も重ねてふんわりとさせた作りで、左足の付け根の部分のシルバーの装飾がアクセントとなっています。全体的にどことなくスポーティーな印象を与える衣装で、それでいて硬質な印象のトップスとやわらかく女性的な印象のスカートとのギャップがおもしろい衣装でもあり、プログラムのポップなイメージによく合っていると思いますね。


 7位はカナダのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組の「悪魔を憐れむ歌/ホテル・カリフォルニア/Oye Como Va」。

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 ローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」、サンタナが歌う「Oye Como Va」と、ロックバンドの楽曲3曲のメドレープログラム。衣装は平昌五輪の団体戦でのみ違うものを使用しましたが、ほかの試合では全て画像の衣装を着用しました。
 男女ともに黒を基調とした衣装で、アクセントとしてところどころに配された金色がゴージャスな雰囲気を醸し出しています。女性のヴァーチュー選手は長袖のドレスで、フィギュア界では珍しい豹柄の透け感のある生地をベースに、胸部やスカートの部分のみ黒い生地で覆っています。首元や腰に集中的に金色の装飾が施され、無造作に割ったような形のビジューや細かいラインストーンなど大小さまざまな装飾が強いインパクトを与えます。男性のモイア選手は肩から二の腕にかけてあえて雑に切り取ったような形の穴が開いたデザインで、その周辺に細かいラメなどを施すことで華やかさを演出しています。黒と金という色の組み合わせ自体は珍しい取り合わせではありませんが、豹柄や大胆な装飾づかい、斬新なデザインが見る者に新鮮味を感じさせる素晴らしい衣装だと思います。


 8位はスペインのオリヴィア・スマート&アドリア・ディアス組の「One to Eight/Rhumba/Bailar」です。

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 ルンバでゆったりと幕を開け、次いでチャチャ、そして最後はアフリカとヨーロッパの音楽を融合させたラテン音楽の一ジャンルであるメレンゲで幕を閉じるプログラム。衣装は女性の衣装がシーズン前半と後半でチェンジしていますが、今回は選んだのはシーズン前半に使用されたものです。
 その女性のコスチュームは深みのある赤のセパレート型。トップスは首から胸、背中を覆うノースリーブタイプで、胸元にフリンジが施されています。同じくスカートもフリンジでラテンらしさを表現していますが、腰には赤く染めた羽根も縫い付けられていて、ちょっとしたアクセントになっています。一方男性は全体的に透け感のある素材のトップスが特徴的で、体の前面のみ臙脂色の透け感のない生地になっています。やはりこのカップルも男性が女性を引き立てる形になっていて、女性の華やかさが非常に際立つ印象的なコスチュームと言えますね。


 9位はロシアのエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ組の「Latin Lover/Dance/Quand je vois tes yeux」です。

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 ブラジルの歌手、ジョアン・ボスコのムーディーな歌で始まり、徐々にテンポアップし激しく幕を閉じるプログラムですが、衣装はシックな色づかいで大人の色香を感じさせます。
 女性のボブロワ選手は体の右側が濃い青と紫のフリンジ、左側が金色の曲線が絡み合うようなデザインというアシンメトリーなワンピース。色も素材感も全く異なる左右のデザインですが、そのギャップを魅力としてうまく活かしています。また、青と紫の中にも金色の装飾をアクセント的にあしらったり、金色の中にも青いスパンコールを織り交ぜたりと工夫しているのが見て取れます。一方、男性のソロビエフ選手は全身黒一色で、こちらも女性を目立たせるシンプルな衣装。プログラムのムーディーな世界観を存分に表現した衣装ですね。


 10位はスイスのヴィクトリア・マンニ&カルロ・ロートリスベルゲル組の「I Like It Like That/Beautiful Maria of My Soul/Do U Only Wanna Dance」です。

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 上述した村元&リード組と同じ「I Like It Like That」を序盤に使用し(アレンジは異なりますが)、終盤に向けて激しくなっていくプログラムですが、衣装も女性は派手に、男性は地味にという定番パターンを踏襲しています。
 まず女性はシルバーとゴールドが入り混じったような色合いのトップスと、鮮やかな赤のスカートが合体した作りで、トップスは胸元にのみ大ぶりのビジューを使うなど工夫が見られますし、スカートもチュールを重ねふんわりとした軽快さを演出し、さらに左の腰の部分には花のような立体的なデザインを施しアクセントとしています。一方の男性は黒い襟付きシャツに黒いパンツというシックなスタイル。特に男女での衣装の統一性は見られませんが、赤とシルバー、黒という色の取り合わせとしてバランスが取れていますし、ラテンらしさもしっかりあって(特に女性のスカートの花の南国っぽい感じ)、良い衣装だと思いますね。



 ということで、アイスダンスショートダンス部門のベスト10は以上です。SDはラテンという課題が決まっているということもあって、色づかいやフリンジなどモチーフがかぶるカップルも多くいましたが、その中でもそれぞれに工夫を凝らしてオリジナリティーを作り出していて、選んでいても楽しかったですね。
 次いでフリーダンス部門に続きます。では。


:国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟フィギュアスケート部門の公式フェイスブックページから、クームズ&バックランド組の画像、ガラベディアン&プルー=セネカル組の画像、マンニ&ロートリスベルゲル組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、パパダキス&シゼロン組の画像、ヴァーチュー&モイア組の画像は、フィギュアスケート情報サイト「Golden Skate」から、シブタニ&シブタニ組の画像は、マルチメディアサイト「POPSUGAR」が2018年2月19日に配信した記事「Meet the Adorable Team USA Brother-Sister Duo Going For the Gold in Ice Dancing」から、カッペリーニ&ラノッテ組、スマート&ディアス組の画像は、アイスダンス情報サイト「ice-dance.com」から、村元&リード組の画像、ボブロワ&ソロビエフ組の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-05-10 00:06 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 前記事に引き続き、17/18シーズンの現役選手たちのコスチュームのベスト10を紹介するベストコスチューム17/18。今回は男子フリー部門です。なお、衣装を選ぶにあたっての基準、ルールについてはこちらの記事の冒頭をご覧ください。

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 栄えある男子フリー部門の第1位は、アメリカのアダム・リッポン選手の「Arrival of the Birds 映画『The Crimson Wing: Mystery of the Flamingos』より/O」です。

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 16/17シーズンから継続となったリッポン選手のフリー「Arrival of the Birds 映画『The Crimson Wing: Mystery of the Flamings』より/O」。ただ、衣装は16/17シーズンからガラリとイメージをチェンジし、華やかできらびやかな衣装を2着使用しましたが、今回はより多く使われた方を選びました。
 トップス、ボトムスともにブルー系で統一した落ち着いた印象の色づかい。ですが、トップスは全面的にラインストーンで覆われており、非常に華やかな印象を与えます。ベースとなる生地はうっすら透け感があり、淡いブルーのグラデーションになっています。その上にびっしりとラインストーンが施されているわけですが、無造作に配置されているのではなく、体の中心を貫くような縦のラインから枝分かれするような形で幾本ものラインが伸びています。樹のようなデザインにも見えますが、“鳥”をイメージしたプログラムですからどこか羽根のような感じにも見え、見ているこちらの想像力を喚起するような衣装と言えます。ものすごく奇抜というわけではなく、しかし他の選手には真似できないリッポン選手ならではの独自性をヒシヒシと感じる素晴らしいコスチュームだと思います。


 2位は日本の宇野昌磨選手の「トゥーランドット」です。

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 15/16シーズン以来となる2度目の「トゥーランドット」を演じた宇野選手。四大陸選手権でのみ黄色の衣装を着用しましたが、それ以外の試合では画像の青い衣装を使用しました。
 トップスは立て襟の長袖ジャケット。胸元が大きく開いた作りで、その周りは金糸でエキゾチックな模様の刺繍や装飾が施されていて、中国が舞台の「トゥーランドット」らしさを感じます。また、二の腕から下は透け感のあるシースルー素材にすることで変化をつけていて、ボディ部分の重厚感と袖の軽やかさのバランスが絶妙だなと思います。こうした重厚さと軽快さのバランスの巧さというのは以前の「トゥーランドット」のグリーンの衣装とも共通することで、もちろん2シーズンを経て宇野選手の表現力や技術力も進化し、プログラムとしてもよりスケールアップしているのですが、基本的なコンセプト、スピリットは受け継いでいるんだなというのが衣装からもうかがえますね。


 3位はロシアのミハイル・コリヤダ選手の「エルヴィス・プレスリー・メドレー」です。

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 エルヴィス・プレスリーの「スティーム・ローラー・ブルース」、「好きにならずにいられない」、「リップ・イット・アップ」の3曲を組み合わせたメドレープログラム。ロシアのエースであるコリヤダ選手がアメリカの象徴ともいえるプレスリーを演じるという興味深いプログラムでしたが、衣装も”キング・オブ・ロックンロール”と称されたプレスリーらしさを強く意識したものとなっています。
 最も特徴的なのは黒い襟付きジャケット。前合わせには左右4つずつ黒いジュエリー風の装飾がボタンのように配置されていて、さらには腰にも同じようにごつめのベルトと、ロックンローラーっぽいアイテムづかいがなされていてインパクトがあります。そしてジャケットの下からのぞく紫のシャツも効果的なアクセントとなっていて、紫というどこか神秘的で大人びた色づかいもそうですが、ジャケットやベルトとは対照的な柔らかい素材感となっているので、その点でもうまくバランスを取っているなと思います。プレスリーらしさを意識しつつも、コリヤダ選手ならではのオリジナリティーも表現していて、よく考えられたコスチュームですね。


 4位はラトビアのデニス・ヴァシリエフス選手の「Put the Blame On Mame/Anyone to Love/Sway」。

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 イタリアのジャズトリオ、Doctor 3の「Put the Blame On Mame」とカナダの歌手、マイケル・ブーブレが歌う「Anyone to Love」と「Sway」の3曲を組み合わせたメドレープログラム。それぞれイメージの異なる曲ですが、前半はしっとりと後半は激しくダンサブルに、という曲調の変化が特徴的なプログラムとなっています。
 そんなプログラムの幅を示すようにコスチュームも独特な色づかいとデザインに。下に着ているシャツは黒一色でシンプルかつ大人の男性らしさを表しています。そしてジャケットは右側が主に光沢のある青、左側が主にクロコダイルっぽいレザー風のゴールドという左右非対称の作りとなっています。前身頃の中央部分は青とゴールドが縫い合わされていて、あえてのこの切り合わせ感がインパクトを与えます。ともすれば色づかいといいデザインといいチープになりかねないリスキーな衣装とも言えますが、質感に高級感があるのでチープな感じは皆無ですし、何よりもヴァシリエフス選手がうまく着こなしていて、彼だからこそ素敵に見える衣装なのかもしれないなと思いますね。


 5位はウズベキスタンのミーシャ・ジー選手の「タイスの瞑想曲」です。

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 フィギュア界でもおなじみの「タイスの瞑想曲」を使った正統派クラシックプログラム。ということで、衣装もシンプル・イズ・ベストといった印象です。
 何といっても目を引くのは淡いラベンダー色のトップス。裾や袖に向かうにつれて徐々に濃くなるグラデーションが美しく、また、素材も薄く柔らかな生地で曲想に合った雰囲気を醸し出しています。そして印象的なのは首元のデザインで、立て襟のような形になっており、胸元はホックのようなもので前を合わせています。その周囲は淡いベージュをベースに同系色のラインストーンやビーズなどで彩られていて、そこを中心に細かなラインストーンがトップス全体に広がっていくさまがほどよいバランスで、あくまでシンプルでありながらもちょうどよい装飾の使い方になっているなと思います。色づかいも、装飾づかいも、素材づかいも見事な衣装ですね。


 6位はカナダのケヴィン・レイノルズ選手の「アルバム「The Armed Man」より」。

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 「The Armed Man」はイギリスの作曲家、カール・ジェンキンスのアルバムで、サブタイトルとして「A Mass for Peace」=「平和へのミサ」となっているように荘厳で神聖な世界観の作品です。
 そうしたクラシカルで古風な曲想を表すように、衣装も騎士風のデザインとなっています。白いシャツの上に深みのある青を基調に明るい紫を差し色として使った上着を重ねていて、その前合わせを囲うように金糸でペイズリーっぽい模様が描かれています。袖は透け感のある素材で袖口は前合わせとおそろいのペイズリー柄で統一しています。一見スタンダードな騎士風衣装に見せつつ、トップスの独特の色づかいを始め、柔らかい素材で作られた肩章や普通騎士の衣装には使われないペイズリー柄を大胆に用いるなど、さまざまな部分でスタンダードをあえて外した個性的な衣装にもなっていて、クラシックの趣きもありつつ正統派のクラシック音楽ではない曲を使用しているからこその工夫が見られますね。


 7位はイタリアのマッテオ・リッツォ選手の「ビートルズ・メドレー」です。

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 ビートルズの「カム・トゥゲザー」、「レット・イット・ビー」(カバーバージョン)、「ヘルプ」を組み合わせたメドレー・プログラム。どちらかというと若いリッツォ選手ならではの明るさ、元気の良さ、躍動感が印象的なプログラムです。
 そうしたプログラムのイメージとは対照的にコスチュームは黒でシックにまとめています。黒いハイネックのシャツの上に同じく黒い長袖ジャケットを重ねた渋いコーディネートですが、襟から前合わせがボディ部分とは違う光沢感のある生地で縁取られていることによって、同じ黒でも変化をつけています。また、前は紐を引っかける形の飾りボタンになっていて、このあたりはどことなくチャイナ服っぽいデザインでもあり、洋服でありながら東洋っぽさも感じさせる、ミステリアスなコスチュームと言えるかもしれません。


 8位はカナダのキーガン・メッシング選手の「チャップリン・メドレー」です。

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 王道のチャップリン・メドレーということで、チャップリンらしいスーツ姿です。白シャツにグレーのベスト、その上に黒い上着を重ね、黒いスラックスを履いていて、まさにシンプル・イズ・ベストといった佇まいです。特徴的なのはタイがネクタイではなくリボンタイの変形のような結び方になっていますし、また、左の襟にクリーム色のコサージュのような飾りがあしらわれているのも印象的ですね。パッと見て斬新であるとか個性的であるといった衣装ではありませんが、チャップリンらしさを忠実に再現していると思いますし、アイテムづかいや素材感など洗練された趣きがあり、素敵な衣装だと思いますね。


 9位はスペインのハビエル・フェルナンデス選手の「ミュージカル「ラ・マンチャの男」より」。

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 名作「ドン・キホーテ」を著したセルバンテスを題材にしたミュージカル「ラ・マンチャの男」。スペインの英雄であるフェルナンデス選手にふさわしいプログラムですが、衣装はシーズン中2種類使用され、今回はシーズン後半に着用されたものを選びました。
 トップスは立て襟のついたクリーム色の長袖シャツで、胸元の編み上げが印象的です。また、トップス全体にシャーリングが施され、襟と袖口はフリル仕様になっているなど比較的フェミニンな雰囲気もあり、プログラムの力強さとのギャップがおもしろいなとも思います。この点について言えば、シーズン前半の衣装はより凝ったデザインで、騎士っぽくて男らしい衣装でそちらも印象的でしたが、捕虜になったり投獄されたりと苦労が多く貧しい人生を送ったセルバンテスや、郷士という下級貴族であったドン・キホーテのイメージを考えると、シーズン後半の簡素なコスチュームもイメージに合っていて良いなと思いますね。


 10位はジョージアのイラクリ・マイスラーゼ選手の「サウンド・オブ・サイレンス」です。

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 サイモン&ガーファンクルの名曲「サウンド・オブ・サイレンス」をアメリカのヘビメタバンド、ディスターブドがカバーしたバージョンを使用したプログラム。渋みのある男性ボーカルが印象的な作品ということで、衣装も大人びた雰囲気に。上下ともに黒一色でシックですが、トップスは葉っぱを重ねたようなデザインで、その合間に肌が透ける作りとなっていて、黒の隙間から肌がのぞくデザインにすることで大人の色気を感じさせています。こういった作りの衣装は珍しくはありませんが、葉っぱを描くというのはあまりなく、印象に残りましたね。



 ということで、ベストコスチューム17/18、男子フリー部門は以上でおしまいです。続いてアイスダンスのショートダンス部門の記事をアップしたいと思いますので、しばらくお待ちください。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟の公式フェイスブックページから、リッポン選手の画像、コリヤダ選手の画像、メッシング選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、宇野選手の画像、レイノルズ選手の画像、リッツォ選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ヴァシリエフス選手の画像は、マリア・カテショワ氏の公式ツイッターから、ジー選手の画像は、AFPBB Newsが2018年2月17日の14:42に配信した記事「フィギュア男子で17位のミーシャ・ジー、平昌五輪」から、フェルナンデス選手の画像は、スペインの新聞「エル・ムンド」のニュースサイトが2018年2月17日の6:19に配信した記事「Segunda medalla española en 48 horas: el bronce que confirma a Javier Fernández」から、マイスラーゼ選手の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-04-30 23:22 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 17/18シーズンのコスチュームをランキング形式で紹介するベストコスチューム17/18。個人的に素敵だなと思った現役選手たちのコスチュームをカテゴリー別に1位から10位まで見ていきたいと思います。この記事では男子のショートプログラムで使用された衣装のベスト10を紹介していきます。
 なお、衣装を選ぶ上で以下のような条件を設定しました。


●17/18シーズンに着用された衣装が対象。
●グランプリシリーズ、欧州選手権、四大陸選手権、平昌オリンピック、世界選手権に出場した選手が、該当する試合で着用した衣装のみ対象とする。
●各部門において各選手1着のみに限定。1つのプログラムで複数の衣装を使用している場合でも、1着しか対象にならない。また、1人の選手が1シーズンで複数のプログラムをを使用した場合でも1つの衣装しか対象にならない。
●17/18シーズンに使用した衣装でも、すでに昨シーズン以前に使用されている衣装は対象外とする。また、昨シーズン以前に使用した衣装とほぼ同じデザイン、コンセプトの衣装も対象から外す。



 これらの条件を基に、まずは男子のショートプログラムにおけるトップ10を選びましたので、さっそく順を追って紹介していきます。

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 男子ショートプログラム部門の1位は、日本の宇野昌磨選手の「冬 「四季」より」です。

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 このプログラムで宇野選手は2着の衣装を使用し、もう一つのグレー&シルバーの衣装も非常に素晴らしかったのですが、今回は黒を基調とした衣装の方を選びました。
 トップスとボトムスが繋がったオールインワンのようなコスチュームで、ボトムスはシンプルに黒一色。一方、トップスの方は黒地をベースに紫をところどころ配したシックな色づかいで、ベースとなる黒も真っ黒ではなく、肩、胸の辺りは透け感があり、お腹の方に行くにつれてグラデーションで濃くなる素材で変化をつけています。さらにその上に同色系のラインストーンで細かく曲線的なラインが縦に描かれ、複雑な模様を作り出しています。そして何よりこの衣装を特徴づけているのが紫で、チュールのような透け感のある素材の紫色の羽根状の装飾が胸から肩にかけてふんだんにあしらわれていて、色づかいは落ち着いていますが華やかな印象を与えます。「冬」というテーマで考えると、この衣装よりももう一方のグレーの衣装の方が冬らしい色づかいと言えるかもしれないのですが、黒と紫という定番とは違う色づかいが新鮮に感じましたし、この色の組み合わせならではのダークさが冬のミステリアスなさまをより強調しているような気もして、印象に残りましたね。


 2位となったのはスペインのハビエル・フェルナンデス選手の「映画『モダン・タイムス』より」です。

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 チャップリンをテーマにした17/18シーズンのフェルナンデス選手のSP。フェルナンデス選手は以前にもチャップリンをテーマにしたプログラムを演じたことがありますが、その時とはプログラムの雰囲気も、そして衣装もガラリと変えています。
 トップスは白いシャツに黒いジャケットを重ねたコーディネートで、白シャツはスタンドカラーになっています。そして最も特徴的なのがジャケットで、シルバーのボタン2つのみで前合わせを留める一風変わったデザイン。ジャケットの縁取りもジャケット本体の黒とは違うグレーで模様をつけた縁取りになっている上に、曲線的なフォルムになっているので、端正さを感じさせるとともにチャップリンらしいゆるさもうかがわせます。また、ジャケットの形自体も身体にぴったりフィットした作りで、これも一般的なジャケットスタイルとは違ってフェルナンデス選手の身体の線の美しさを際立たせているように思います。パッと見て華やかさがある衣装ではありませんが、ジャケットの縁取りや胸元のコサージュなど、細かい部分からこだわりが感じられて、全体的にクオリティーが高く洗練された衣装と言えますね。


 3位はロシアのミハイル・コリヤダ選手の「ピアノ協奏曲第23番/タンゴ」です。

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 モーツァルトの「ピアノ協奏曲第23番」とタンゴを組み合わせた比較的しっとりとしたプログラム。ということでコスチュームも白と黒のシックな色づかいです。体の左側が白、右側が黒となっていて、体の中心で黒と白が入り混じるようなデザイン。この入り混じる部分が絶妙なグラデーションとなっていて、また、ただ色を付けるだけではなく細かなラインストーンを散りばめながら模様としてもうまく利用していて、良いアクセントだなと思います。派手さがある衣装ではありませんが、プログラムの雰囲気によく合っていて、バランスの取れた衣装ではないでしょうか。


 4位はロシアのドミトリー・アリエフ選手の「仮面舞踏会」です。

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 ロシアを代表する作曲家の一人、ハチャトゥリアンの代表作「仮面舞踏会」。浅田真央さんやタチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組が演じたことでも知られる人気曲です。
 そんな名曲をアリエフ選手は衣装でもオーソドックスに表現。軍人風の気品溢れるコスチュームは艶のある臙脂色で高貴な雰囲気を醸しつつ、繊細な刺繍が施された襟や肩章、袖口、大ぶりなボタンなど細部まで実に本格的な作りとなっています。上述したボロソジャー&トランコフ組のトランコフ選手もこのような軍服風の衣装でしたが、トランコフ選手はネイビーを基調としたシックなもので、一方、アリエフ選手の衣装は鮮やかな臙脂色ということでより華やかさを感じさせて似合っているなと思いますし、何よりもアリエフ選手のノーブルなたたずまいにぴったりな衣装と言えますね。


 5位はラトビアのデニス・ヴァシリエフス選手の「妙なる調和 オペラ「トスカ」より」。

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 「トスカ」の中でも著名なアリアの一つ、「妙なる調和」を使用した高貴な雰囲気のプログラム。ということで衣装も貴族風の洗練されたデザインとなっています。
 まず特徴的なのはベストの下に着用した白いシャツ。襟はスタンドカラーで、そこにジャボと呼ばれる胸飾りがあしらわれています。ジャボそのものはレースで縁取りされていて、それをイエロートパーズのような宝石風の装飾で留めていて高級感を感じさせます。さらに袖はふんわりと広がった作りで袖口はジャボとおそろいのレースづかいで、甘美な世界観を作り出しています。そのシャツに上に重ねたベストは前面が黒、背面はグレーというシックな色づかい。ですが前面は黒の中にも同色でレースっぽい繊細な模様を施しているので、黒一色と言えどものっぺりした印象にならず絶妙な変化をつけています。全体的に使用している色の数は少なめでシンプルですが、細部までこだわりの感じられる非常に考えられたコスチュームだなと思いますね。


 6位はアメリカのアダム・リッポン選手の「Let Me Think About It」です。

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 使用曲の「Let Me Think About It」自体は16/17シーズンから使用しているプログラムですが、衣装は全くイメージの異なるものにチェンジしました。
 トップスはスタンドカラーで袖は半袖。ベースとなっているのは透け感のある臙脂色の生地で、そこにレザー風の光沢感のある黒い素材で左右対称のラインを描いています。黒いラインやパンツのウエスト部分ははシルバーのラインストーンで縁取りされていて、リッポン選手らしいキラキラ要素も忘れていません。衣装の形や色自体はそこまで派手だったり奇抜だったりするわけではありませんが、やはりほかのスケーターにはない独創性が感じられる衣装で印象に残りますね。


 7位はカナダのパトリック・チャン選手の「Dust in the Wind」。

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 アメリカのロックバンド、カンサスの「Dust in the Wind」を使用したプログラム。ロックバンドの曲といっても曲調は穏やかかつ柔らかく、コスチュームもそうした曲想に合わせてシックなデザインとなっています。
 色は白と黒のモノトーン。首回りは白ですが、点描のように黒が白に入り混じり、徐々に黒の点描の分量が多くなって胸から下、二の腕から下は完全な黒一色になるというグラデーションが特徴的なデザインになっています。それ以外に装飾などはなく、パッと見は地味な衣装なのですが、グラデーションの部分がとにかく繊細で美しく、「Dust in the Wind」という曲名のイメージもうまく表現しているなと思います。


 8位はアメリカのジェイソン・ブラウン選手の「The Room Where It Happens ミュージカル「ハミルトン」より」。

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 アメリカの建国の父の一人と言われる政治家、アレクサンダー・ハミルトンの人生を題材にしたミュージカル「ハミルトン」。その劇中曲である「The Room Where It Happens」はポップで明るくノリの良い曲で、ブラウン選手の踊り心がいかんなく発揮されたプログラムとなりました。
 そんなプログラムに合わせた衣装は白い襟なしのシャツの上に個性的なデザインのベストを重ねたコーディネート。白シャツは胸元にフリルのような飾りのついたデザイン性のあるもので、さらにその上に着たワイン色のベストは、大ぶりの襟や多めにあしらわれたボタンが黒という色づかい。シャツにベストというスタイル自体はよく見られるものですが、シャツもベストも遊びを取り入れた作りとなっていて、さらにはワイン色のベストの下からグレーのベストがのぞいていて、普通ならばありえないベスト・オン・ベストという個性的なスタイルにすることで、きっちりした印象になりすぎず、楽しいミュージカルプログラムらしい軽やかさが生まれているのかなと思います。


 9位はメキシコのドノヴァン・カリージョ選手の「Capone」です。

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 プログラムに使用しているのは「Capone」という曲で、アイリッシュダンスのショー「Celtic Tiger Live」の劇中曲となっています。曲名からすると伝説のギャング、アル・カポネをテーマにしているのかなという感じで、曲中にパトカーのサイレンが鳴り響くなど個性的なプログラムとなっています。
 そんなプログラムのイメージに合わせたのかコスチュームもギャング風のデザインに。シャツ&ベスト&ネクタイという一見紳士風ではありますが、ネクタイやポケットチーフ、さらには上の画像では見えませんがベストの背面を赤一色にするなど、派手な赤をアクセントとして効果的に使うことでインパクトのある衣装に仕上げています。さらにはベスト、パンツともに黒地に白のストライプというあえて正統からはずしたスタイルにすることでギャングのようなアウトロー感が出ていますし、シャツの襟やベストの縁取りにあしらわれたシルバーのラインストーン、また、ボタンから腰にかけられた金色のチェーンからも、そういったギャングっぽい華やかさというのがうかがえて、プログラムの世界観を忠実に再現した衣装だなと思います。


 10位はカザフスタンのデニス・テン選手の「Tu Sei」です。

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 イタリアのテノール歌手、ヴィットリオ・グリゴーロが歌う「Tu Sei」。テノールならではの大人の男性の色香を感じさせる曲です。
 テン選手はこのプログラムで数種類の衣装を着用しましたが、その中でも平昌五輪で着用した深みのあるブルーの衣装が最も曲想に合っているように思います。シャツの形自体はシンプルなスキッパー長袖シャツ。その前面にタックが入り、ラインストーンがふんだんに施されています。多すぎもせず少なすぎもせず、バランス良く散りばめられた装飾が鮮やかな青を背景にキラキラと光を放っていて、シンプルではあるけれども絶妙な華やかさを醸し出していると思いますね。



 ベストコスチューム17/18、男子SP部門は以上です。フリー部門に続きます。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは国際スケート連盟の公式フェイスブックページから、宇野選手の画像、コリヤダ選手の画像、チャン選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、フェルナンデス選手の画像。リッポン選手の画像、ブラウン選手の画像は、マルチメディアサイト「zimbio」から、アリエフ選手の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ヴァシリエフス選手の画像は、マリア・カテショワ氏の公式ツイッターから、カリージョ選手の画像はウィキペディアのカリージョ選手のスペイン語のページから、テン選手の画像は、音楽設計会社「Sk8mix」の公式サイトから引用させていただきました。

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by hitsujigusa | 2018-04-19 17:32 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 普段はスケーターごとにさまざまなコスチュームを振り返って、その選手の衣装の特徴、魅力を再発見しようという意図でお送りしているフィギュアスケーター衣装コレクション。ですが、今回は特別編として称して、一人の選手の衣装に焦点を当てるのではなく、フランスの作曲家ジョルジュ・ビゼーが作曲したオペラ「カルメン」の音楽を用いたプログラムで、古今東西のスケーターたちがどんな衣装を着用してきたのかを見ていく、という趣旨で記事を書いていきたいと思います。
 その「カルメン」といえばフィギュア界の中でも定番中の定番作品。古いところだとサラエボとカルガリーの2度のオリンピックを制したドイツ(東ドイツ)のカタリナ・ヴィットさんの代表的プログラムとして知られていますが、私自身がフィギュアスケートを見始めたのがせいぜい十数年前なので、この記事で取り上げるのも主に2000年代以降と比較的新しく、その中でも特に印象深い「カルメン」となっていますのでご了承ください。
 では、さっそく時代の古い順に見ていきましょう。

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by hitsujigusa | 2017-09-14 02:25 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 フィギュアスケーターたちの華麗なるコスチュームの数々をスケーター別に紹介するフィギュアスケーター衣装コレクション。第14弾となる今回は日本の男子フィギュア界の一時代を築いた織田信成さんの衣装を取り上げます。
 織田さんといえば涙もろいことで知られ、その表情の豊かさが強烈に印象に残っているスケーターですが、コスチュームも正統派から個性派まで多彩なデザインのものが使用され、織田さんの山あり谷ありの競技人生に色を添えました。そんな衣装のごく一部ではありますが、個人的に特に印象に残っているものを紹介していきたいと思います。

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by hitsujigusa | 2017-08-31 18:25 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)