c0309082_17084674.jpg


 前記事に引き続き、世界選手権2018の男子とアイスダンスの競技内容について書いていきます。なお、前編はこちらのリンクからご覧ください。

ISU World Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 男子の6位となったのはラトビアの有望株、デニス・ヴァシリエフス選手です。

c0309082_23362570.jpg

 SPは最初に3+3を確実に跳ぶと、続いて3アクセル、後半には3フリップと全て危なげなく着氷。ほかの要素でも目立った取りこぼしなくまとめ、パーソナルベストに迫る得点で9位につけます。
 フリーも4回転には挑まず、冒頭に得点源の3アクセル2本を固め、2本とも完璧に下ります。次いで3トゥループを難なく決め、後半は3ループ、3+1+3、2アクセル+2トゥループ、3フリップ、3ルッツと次々に成功。ステップシークエンス、スピンは全てレベル4かつ軒並み高い加点を積み重ね、演技を終えたヴァシリエフス選手は満面に笑みを浮かべました。得点はこれまでのパーソナルベストを約12点超える170.61点でフリー5位、総合でも自己ベストを11点ほど更新し自己最高の6位に入りました。
 ショート、フリーともに減点がゼロのまさに会心の出来で本当に素晴らしかったですね。特にフリーは盛り上がるプログラムですので観客をぐいぐい引き込んでいて、曲がアップテンポに変わる終盤は女性たちの黄色い歓声がたびたび上がっていて、あれだけ黄色い歓声を引き出せるスケーターというのは世界的にもそんなに多くはいませんので、表現者としても改めて魅力的な選手だなと感じました。すでに世界選手権は3度目ということでおなじみの選手ではありますが、今季は表現面での洗練度合いがぐっと伸びた印象があり、4回転がなくても魅せられる稀有なスケーターとしてさらに楽しみになりましたね。もちろん4回転がないと世界のトップレベルで戦い続けるのは難しいので、来季は4回転の完全な習得が課題になるでしょうが、うまくジャンプと表現を両立して、またヴァシリエフス選手らしい演技を見せてほしいと思います。


 7位は欧州選手権銀メダリスト、ロシアのドミトリー・アリエフ選手です。

c0309082_01051099.jpg

 ショート冒頭は大技の4ルッツ+3トゥループ、完璧な着氷に見えましたが4ルッツがアンダーローテーション(軽度の回転不足)の判定に。続けて4トゥループでしたが、こちらはパンクして3回転となり、3トゥループの繰り返しで無得点になる痛いミス。後半の3アクセルは何とか下りますが、2つのジャンプミスが響き、自己ベストから17点近く低いスコアで13位と出遅れます。
 フリーもまずは4ルッツ、今度はしっかり回り切って下り加点を得ます。続いて4トゥループ+3トゥループはきれいに下りたかに見えたものの4トゥループがわずかに回転不足の判定。しかし、次の単独の4トゥループは回り切って着氷し、上々の滑り出しとします。後半は3ルッツからの予定でしたが、若干跳ぶタイミングが早かったためかこの3ルッツは後半には含まれず。次いで3アクセルは回転が抜けて1回転に。3+1+3の3連続ジャンプは決め、2本目の3アクセルはアンダーローテーションでしたが何とか下り、最後の3フリップも着氷でこらえました。得点は170.15点でフリー6位、総合7位と順位を上げました。
 SPは4ルッツがアンダーローテーションとはいえ大きなミスなく下りただけに、次の4トゥループの失敗がもったいなかったですね。ただ、フリーでは4ルッツも4トゥループもクリーンに成功させていて、基本的には4回転の成功率はとても高い選手だと思うので、実戦になるとちょっとした体の感覚のズレだったり精神的な揺らぎだったりでまだ危なっかしいところがあるのかなという気がします。また、演技後半でミスすることが多いという印象なので、そのあたりは体力面の問題もあるのでしょうが、オフシーズンの強化で急激に成長する可能性も大いにありますので、来季のさらなる躍進に期待したいですね。


 8位はカナダのキーガン・メッシング選手です。

c0309082_01443804.jpg

 SP冒頭は得点源の4トゥループ+3トゥループ、これをパーフェクトな流れで決めて1.57点の加点を得ます。さらに3アクセルも鮮やかに成功させ1.86点の加点と最高のスタートに。終盤の3ルッツも余裕で下り、スピンやステップシークエンスでも高い加点を稼ぎ、フィニッシュしたメッシング選手は派手なガッツポーズで歓喜を爆発させました。得点は自己ベストを6点以上更新する93.00点で6位と好発進しました。
 フリーはまず得意の3ルッツからでしたが若干着氷が乱れます。続いて4トゥループはパンクして3回転に。ですが、次の3アクセル+2トゥループ+2ループは完璧に成功させます。後半最初は2本目の4トゥループでしたがこちらは転倒。直後の3+3、3アクセルと高い質で決めましたが、3ループは2回転、最後の3フリップは踏み切りのエッジエラーで減点となり、159.30点でフリー11位、総合8位と順位を落としました。
 ショートはまさにパーフェクトな出来で、あのジャンプの美しさを見る限り、ジャンプの調子自体は悪くなかったのでしょうが、26歳のメッシング選手にとって初めての世界選手権で、しかもいきなり最終グループに入ったことによって独特の緊張を感じたでしょうし、1本目の4トゥループを失敗したことで2本目にも引きずってしまい、その後もリズムをつかみきれなかったのかなと想像します。ただ、ジャンプやスピンの質の高さは世界のトップレベルと比較しても遜色なく、実際に頻繁に高い加点もついているので、今回のショートのような演技をコンスタントに続けていけばまだまだ得点は伸びていくのかなと思います。また、小柄な体ながらダイナミックでスケールの大きな表現ができる選手でもあるので、安定感が増すと演技構成点もさらに高まっていきそうですね。


 日本の田中刑事選手は13位となりました。

c0309082_02122026.jpg

 SPは冒頭の4サルコウを耐えながらもクリーンに決めて好調な滑り出しを見せると、次いで3+3も成功。勢いに乗って後半の3アクセルも下りたいところでしたが、パンクして2アクセルに。得点は80.17点で14位にとどまります。

c0309082_14274990.jpg

 フリーもまずは4サルコウからでしたが、着氷でステップアウトします。続いて2本目の4サルコウは2トゥループを付けコンビネーションとしてきっちり成功。さらに3アクセルもクリーンに下ります。後半は鍵を握る4トゥループ、しかし回転が抜けて3回転に。3アクセル+2トゥループ、3フリップも着氷が乱れます。終盤の3ループ、3サルコウはきれいに決めましたが、複数のジャンプミスが響き、156.49点でフリー12位、総合13位で2度目の世界選手権を終えました。
 五輪後に新調したスケート靴が大会直前に破損し、その状態のままで使用せざるをえなかったとのことで、最後まで田中選手らしさを取り戻せなかったという印象ですね。靴の問題だけではなく、五輪という大舞台にピークを合わせた後で、再び世界選手権で調子を上げなければならないという難しさももちろんあったと思いますので、そのあたりも影響したのでしょうね。ただ、ジャンプが決まらない中でも演技自体は集中を切らすことなく、スピンやステップもしっかりとレベルを取れていましたので、1年前と比べても確実に成長の跡がうかがえましたね。
 田中選手にとっては2年連続で悔しい世界選手権となってしまったと思いますが、苦しい状況でも大崩れせずまとめられたことを収穫として来季に活かしていってほしいなと願っています。



 ここからはアイスダンス。

c0309082_15072542.jpg


 3度目の優勝を果たしたのは平昌五輪銀メダル、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組です。SDは序盤のパターンダンスこそレベル3でしたが、そのほかのエレメンツは全てレベル4、また多くのジャッジが満点となる加点3を与え、世界歴代最高得点となる83.73点を叩き出し堂々の首位に立ちました。FDは安定感抜群のツイズルで幕を開けると、その後も全てのエレメンツでレベル4を連発。最後まで隙のない演技で演技構成点は5項目中3項目で10点満点の高評価を得、こちらも世界歴代最高の123.47点で1位、トータルは207.20点でもちろん歴代最高。他を寄せつけることなく圧巻の王座返り咲きとなりました。
 先月の五輪ではSDのまさかのアクシデントで、僅差ながらテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイアの後塵を拝したパパダキス&シゼロン組。今大会はヴァーチュー&モイア組は不在ということで圧倒的な優勝候補として臨み、その期待を裏切らない演技で2年ぶりに世界の頂点に立ちました。優勝が当たり前と思われている中で期待どおりの演技をするという精神力の強さには改めて感嘆しますね。来季もアイスダンス界はパパダキス&シゼロン組を中心とした勢力図になることは間違いないでしょうから、その多大な重圧の中でこのカップルがどんな演技を見せてくれるのか、期待したいと思います。世界選手権優勝、おめでとうございました。

 2位は全米王者、マディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組です。SDは全てのエレメンツでレベル4を獲得、演技構成点でも5項目で9点台前半から半ばを揃え、世界歴代3位となる80.42点で2位と好発進。FDも全要素でレベル4を揃える会心の演技を披露し、世界歴代4位の116.22点で2位、トータルでも世界歴代3位のハイスコアで初めて表彰台を射止めました。
 五輪はショート3位と好位置につけながら、フリーでエレメンツが一つ無得点になる致命的な失敗がありメダルを逃したハベル&ドノヒュー組。そのリベンジを期す今大会だったと思いますが、二人にとって理想的な演技、展開となりましたね。11/12シーズンからカップルを結成しているハベル&ドノヒュー組ですが、GPシリーズでの優勝はショートのみで大会が打ち切られたフランス大会の1試合だけ、全米選手権もずっと3位か4位が定位置というなかなか殻を破り切れないカップルという印象でした。ただ、今季は全米で初優勝し、五輪でもあと一歩のところでメダルと着実に安定感を増し、最高のハッピーエンドを迎えましたね。また、来季に向けてということを考えても、ハベル&ドノヒュー組が世界歴代3位の得点を出した意味合いは大きく、パパダキス&シゼロン組に今後どこまで肉薄できるか、そして平昌五輪で銅メダルを手にした同国のライバル、マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組との争いもさらに熾烈になりそうで、今季以上に注目の存在になるのは間違いないですね。

 3位はカナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組です。SDは後半のステップ以外はレベル4を並べ、自己ベストの78.31点で3位につけます。FDも目立ったミス、取りこぼしなく安定感のある滑りを見せ自己ベストで4位、トータルでも自己ベストで僅差ながら4位のカップルをかわし、3年ぶりにメダルを獲得しました。
 今大会は五輪でトップ10に入ったカップルのうち、3組が欠場したこともあって、ウィーバー&ポジェ組にとっては久しぶりに表彰台に手が届く可能性のある試合でしたが、ショート、フリーともに確実性の高い演技でチャンスをつかみましたね。フリーは4位だったのでギリギリの表彰台でしたが、ショートでまず好スタートを切ったことで自信を持ってフリーに臨めたのかなと思います。

 以下、4位は地元イタリアのベテラン、アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組、5位はアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組、6位はカナダのパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組、7位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組、8位もロシアのティファニー・ザゴースキー&ジョナサン・ゲレイロ組となりました。

 日本の村元哉中&クリス・リード組は11位と健闘し、日本勢最高位を更新しました。

c0309082_16592758.jpg

c0309082_17005956.jpg

 SDは冒頭のツイズルをレベル4で成功させると、その後のステップやパターンダンスも丁寧に取りこぼしなくクリアし、自己ベストの65.65点で10位と好発進。FDもレベル4のツイズルで幕を開けると、ステップ、スピンを全てレベル3もしくは4でまとめ、坂本龍一さんの音楽に乗せたエレガントで清らかなプログラムを全身で余すことなく表現。フィニッシュするとリード選手は氷の上にしゃがみ込み、その背中を村元選手が称えるように優しく叩き、達成感を滲ませました。得点はこちらも自己最高の98.73点で11位、総合では日本のアイスダンス勢にとって過去最高の11位に入りました。
 SDは10位ということで村元&リード組が目標に掲げてきた世界選手権のトップ10入り目前にまで迫りましたが、FDで1組に追い越されて惜しくも11位でした。ただ、今できる彼らのベストは出し切ったと思いますし、その結果での11位なのである程度満足感はあるんじゃないかなと思います。
 二人にとって今季はシーズンを通して怪我なく良いコンディションを保って戦い切ったシーズンとなり、毎試合確実に成長を遂げてきました。特にシーズン後半は四大陸選手権でアジア勢初の表彰台、念願の五輪出場と貴重な経験を積み重ね、シーズン集大成の世界選手権でも自己ベスト更新と、本当に強いカップルになったなと実感します。それでもまだまだ世界のトップレベルとは実力差があるということで、村元&リード組にはさらに上のポジションを狙っていってほしいですし、それができるチームだと思うので、来季も日本のアイスダンスの新たな歴史を作っていってほしいですね。



 さて、世界選手権2018、男子&アイスダンス編は以上です。
 男子は終わってみればGPファイナルの表彰台と全く同じ顔ぶれで、実力どおりのワンツースリーだったと言えるのですが、演技内容、試合展開はファイナルの時とは全く違っていて、シーズン中のさまざまな経験を経てのそれぞれの選手の変化、成長が感じられましたね。来季以降も彼らが男子フィギュア界をリードしていくのは間違いないでしょう。
 一方、アイスダンスはしばらくはパパダキス&シゼロン時代が続くことを予感させる大会となり、それに次ぐ存在としてハベル&ドノヒュー組の急成長はアイスダンス界の勢力図に変化をもたらしていて、来季はどのカップルがパパダキス&シゼロン組に最も迫れるのかが注目ポイントとなりそうですね。
 ということで、17/18シーズンはこれで実質的に終了となります。あっという間の秋から冬、そして春でしたが、最後まで選手たちのエモーショナルな演技、思いがけないドラマを見せて頂いて、今は感謝の気持ちでいっぱいです。今季を持って引退する選手、一区切りをつける選手、そして新たな一歩を踏み出した選手、皆さんの幸運を祈りたいと思います。では。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、ヴァシリエフス選手の画像、田中選手のフリーの画像、アイスダンスメダリスト3組の画像、村元&リード組のFDの画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」から、アリエフ選手の画像、田中選手のSPの画像、村元&リード組のSDの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、メッシング選手の画像は、カナダのテレビ局「CBC」の公式サイトが2018年3月23日に配信した記事「Canada's Keegan Messing skates to personal best at world championships」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
世界選手権2018・女子&ペア―ケイトリン・オズモンド選手、逆転で初優勝(前編) 2018年3月26日
世界選手権2018・女子&ペア―ケイトリン・オズモンド選手、逆転で初優勝(後編) 2018年3月27日
世界選手権2018・男子&アイスダンス―ネイサン・チェン選手、世界歴代2位の高得点で初優勝(前編) 2018年3月29日

[PR]
by hitsujigusa | 2018-03-30 20:51 | フィギュアスケート(大会関連) | Comments(0)

c0309082_17084674.jpg


 イタリアのミラノで行われた世界選手権2018。この記事では男子とアイスダンスについて書いていきます。
 平昌五輪の金メダリストと銅メダリストが欠場する中、男子を制したのは全米王者のネイサン・チェン選手。ショート、フリーともに1位で圧巻の初優勝を果たしました。2位は平昌五輪銀メダリスト、日本の宇野昌磨選手、3位はロシア王者のミハイル・コリヤダ選手でした。
 アイスダンスは平昌五輪銀メダリスト、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組が3度目の優勝を勝ち取りました。

ISU World Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 金メダルを手にしたのはGPファイナル王者、アメリカのネイサン・チャン選手です。

c0309082_17223109.jpg

 SP冒頭は4ルッツ+3トゥループ、若干耐えながらも最小限のミスに抑えます。後半に組み込んだ4フリップも同様にこらえながら着氷。さらに苦手の3アクセルは加点の付く出来でまとめ、終盤のステップシークエンスではアップテンポな曲調に合わせ躍動感あふれる滑りを披露しました。得点は101.94点でトップに立ちます。
 フリーはまず単独の4ルッツ、これをクリーンに決め2.14点の加点を得ます。次いで4フリップ+3トゥループはファーストジャンプで少し詰まったためセカンドジャンプを2トゥループにとどめ、続く単独の4フリップもきれいに成功させます。後半最初は4トゥループ、これを軽やかに下りると、4トゥループ+3トゥループも詰まり気味ながらも着氷。4サルコウはステップアウトしますが、鬼門の3アクセルは成功。最後の3+1+3も危なげなく下り、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と取りこぼしなし。演技を終えたチェン選手は満足そうにガッツポーズを見せました。得点はパーソナルベストかつ世界歴代2位となる219.46点でフリー1位、総合でも世界歴代2位の得点で1位となり、頂点を射止めました。
 五輪での劇的なフリーの追い上げから約1か月。今大会はショート、フリーともに揃えたい試合だったと思いますが、その課題を見事にクリアしましたね。五輪で失敗したショートはもちろんですが、最終滑走で迎えたフリーは自分の前に滑った選手たちがことごとく崩れていく展開の中、その流れに飲み込まれることなく終始フィジカルもメンタルもコントロールし切っていたのが素晴らしかったですね。五輪での挫折と復活、そして世界選手権での栄光は、チェン選手にとって忘れられない1か月間となったでしょうし、この経験が今後の彼の競技人生において原風景として強く影響を与え続けるのかなと思います。
 来季はさらに強い選手になることが予想されますから、日本勢にとってはますます強敵になっていくでしょうが、男子フィギュア界をリードする存在として4回転を始めとしたジャンプのみならず、演技全体で圧倒的なスケーターになっていってほしいなと思います。世界選手権初優勝、おめでとうございました。


 2位は全日本王者、宇野昌磨選手です。

c0309082_01205404.jpg

 SPは五輪から構成を変え、まずは4トゥループを確実に決め2.29点の加点を獲得します。後半に3サルコウ+3トゥループを組み込みましたが、ファーストジャンプの着氷でオーバーターンしセカンドジャンプは2回転に。最後の3アクセルはいつもどおりクリーンに跳び切り、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と丁寧にこなしましたが、94.26点で5位にとどまります。

c0309082_01291755.jpg

 フリーは五輪と同じ構成で臨み、まずは五輪では転倒した4ループでしたが、再び転倒となります。続いて代名詞の4フリップはアンダーローテーション(軽度の回転不足)の着氷で大きくバランスを崩し転倒扱いに。次の3ループは難なく下ります。後半最初は得意の3アクセルでしたがこちらも着氷で乱れ。さらに4トゥループはアンダーローテーションであえなく転倒します。しかし、直後の2本目の4トゥループに2トゥループをつけてしっかりコンビネーションジャンプにすると、3アクセル+1ループ+3フリップも成功。最後の3+3もしっかり決め、フィニッシュした宇野選手は疲労からか顔をゆがめ涙を滲ませました。得点は179.51点でフリー2位、総合2位となり、昨年に続き銀メダルを獲得しました。
 今大会の宇野選手は五輪後にスケート靴を新調した影響で右足を痛め、一時は棄権も考えるほど調整不足の状態で試合に臨みました。難度を落としたショートは3+3のファーストジャンプで力がありあまる形で着氷ミスに。一方、ショート前よりかなり痛みが和らいだというフリーは通常のジャンプ構成に戻しましたが、やはり練習不足が響いたのかベストからはほど遠い演技に終わりました。ですが、本人はそんなに痛くなかったと語っているとはいえ、足に多少なりとも違和感が残った状態での演技だったと思いますから、難しい4回転での失敗は致し方ないのかなとも思いますし、そういった失敗以上に最後の3つのジャンプを全てコンビネーションでクリーンに成功させたことが何よりも印象深く、宇野選手の執念を感じましたね。フリーもショート同様にジャンプの難度を落とせばもっときれいにまとめられた可能性はありますが、宇野選手の信念としてそれは許せないことだったのだと想像しますし、最近は以前よく口にしていた「攻める」よりも、「自分を信じる」という言葉をモットーとして挙げていますが、まさに今までの自分の練習や試合での経験を信じていたからこそ、調整不足の状況でもいつもどおりの構成で臨むという決断ができたのかなと思います。
 もちろん宇野選手自身が話しているように、スケート靴を変えるタイミングが遅れたことが怪我の原因ということで、そのあたりは今後への反省として活かしていかなければいけないでしょうが、そのことも含めて今大会での経験が宇野選手にとってプラスになったことは間違いないと思いますし、失敗を必ず成功に繋げられる選手なので、2年連続の世界選手権銀メダルという形で今季を締めくくった宇野選手がどんな来シーズンを送るのか、今から楽しみにしています。


 3位は欧州選手権銅メダリスト、ロシアのミハイル・コリヤダ選手です。

c0309082_01501191.jpg

 SPは大技4ルッツは外し、確実に4トゥループ+3トゥループを決め2.57点の加点を得ます。さらに3ルッツ、後半の3アクセルともに完璧な質で成功させ、演技を終えたコリヤダ選手は満足そうに破顔しました。得点は国際大会では自身2度目となる100点超えとなる100.08点をマークし、2位と好発進しました。
 フリーは冒頭に大技4ルッツを組み込み、果敢に挑みましたが惜しくも転倒。続く4トゥループはこらえながらも最小限の減点にとどめます。次いで3アクセルからの連続ジャンプはクリーンな着氷で前半を終えます。後半は4トゥループからの連続ジャンプでしたが、4トゥループで転倒となったため同じ単独ジャンプの繰り返しに。ですが、直後の3アクセルは落ち着いて成功。さらに3+1+3の3連続ジャンプも下りましたが、3ループはパンクして2回転に。最後の2アクセルは問題なく決めましたが、フィニッシュしたコリヤダ選手は笑みと悔しさが交じったような表情を浮かべました。得点は172.24点でフリー4位、総合では3位となり初めて世界選手権の表彰台に立ちました。
 ノーミスだったショートから一転、フリーは最終グループの負の連鎖に飲み込まれたのかコリヤダ選手も2度転倒と精彩を欠いた演技に。ただ、そのうち1本は実戦での成功が滅多にない4ルッツですし、3アクセルなど重要なジャンプは成功させているところを見ると、苦戦しながらも何とか耐えたと言えますね。また、ショートに関しては4ルッツを外しても100点を出せるとわかったのがコリヤダ選手にとって大きな収穫なんじゃないかなと思うので、今以上に安定感を増してくると来季はさらに手強い存在になっていきそうですね。


 4位はイスラエルのベテラン、アレクセイ・ビチェンコ選手です。

c0309082_01234474.jpg

 ショートは3アクセルを完璧に下り2点の高い加点を獲得。続けて4トゥループにも成功します。後半の3+3も問題なく着氷し、ステップシークエンスやスピンがレベル2になるなど細かい取りこぼしもありつつも、パーソナルベストの90.99点で7位につけます。
 フリーはまず4トゥループ+3トゥループから、これをスムーズな流れで決め1.57点の加点を得ると、次いで単独の4トゥループもパーフェクトでこちらは加点2の高評価。さらに3ループも難なく下り、理想的な前半となります。後半は3アクセルからでしたが着氷が乱れます。次も3アクセルだったものの、再び着氷で大きくバランスを崩し強引に2トゥループをつけましたがコンビネーションジャンプとして認められず。その後のジャンプは全てクリーンに跳び切り、自己ベストに近いスコアでフリーも7位、トータルでは自己ベストで4位と自己最高位をマークしました。
 フリーの3アクセルのミスがなければ自己ベスト更新、さらには初の表彰台という可能性もないではなかったのでもったいなかったなと思いますが、30歳にしてパーソナルベスト更新というのは素晴らしいとしか言いようがないですね。今大会に限らず、今季はシーズン全体を通して大崩れすることが少なく好調を保っていて、もちろん五輪を最大の目標に置いてシーズンを送ってきたでしょうが、五輪が終わった後もこうして心身ともに調子をキープしているというのがヒシヒシと伝わってくる演技でした。30歳という年齢を考えると、つい引退という文字がよぎってしまいますが、ビチェンコ選手自身は特に進退について言及はしていないようですし、まだまだ衰えは感じられませんので、来季も活躍を楽しみにしたいですね。


 5位に入ったのは日本の新星、友野一希選手です。

c0309082_17092501.jpg

 SP冒頭は得点源の4サルコウ、これをきっちり決めて好スタートを切ると、3+3も余裕を持って下ります。終盤の3アクセルも鮮やかに決め、スピンは全てレベル4と取りこぼしもなし。「ツィゴイネルワイゼン」の激しい旋律に乗せて、終始アグレッシブな滑りを披露し、滑り切った友野選手は安堵感からか涙を流しました。得点は自己ベストの82.61点で初めて80点台に乗せ、11位発進となりました。

c0309082_17140796.jpg

 フリーはまず4サルコウ+2トゥループ、着氷を乱しながらも回転不足なくクリアします。続いて2本目の4サルコウはクリーンな着氷で1.29の加点。さらに3アクセル+3トゥループは完璧で1.79点の加点を得ます。後半も3アクセルからの3連続ジャンプを決めると、3ループ、3サルコウ、3ルッツ、3フリップと次々とクリーンに成功。「ウエスト・サイド・ストーリー」の世界をスケール感たっぷりに演じ切り、フィニッシュした友野選手は力強く拳を天に突き上げ、喜びを表しました。得点は自己ベストを18点ほど更新しフリー3位、総合でも自己ベストを約24点上回り、初出場にして5位と大健闘しました。
 怪我の治療のため欠場を表明した羽生結弦選手の代役として急遽出場が決まった友野選手の大躍進は、今大会最大のサプライズと言ってもいい驚きに満ちた出来事となりました。SPは順位こそ11位でしたが内容的には申し分なく、思わずこぼれた涙からはのびやかな演技とは裏腹に相当緊張していたのであろう友野選手の素顔が垣間見えました。そしてフリー、冒頭の4+2こそ少し乱れがありましたが、単独の4サルコウを決めたところから一気に波に乗り、序盤からあっという間に会場を友野選手の色に染め上げていった印象を受けました。技術面がしっかりしていただけではなく、表現面でも一つ一つのポーズがきれいに決まっていたので見栄えが良く、観客やジャッジへの目線の送り方やアピールも素晴らしく、観客がどんどん友野選手の滑りに引き込まれていく雰囲気がテレビ画面を通しても伝わってきました。
 友野選手といえば2シーズン前、怪我で欠場した山本草太選手の代わりに初めて世界ジュニア選手権に出場してパーソナルベストをマークしたり、今シーズンも体調不良で欠場した村上大介選手の代役として出場したNHK杯で7位に食い込んだりと、代役出場での活躍というのが印象深い選手なのですが、今大会も同じようなシチュエーションで予想以上の演技を見せてくれました。初めての世界選手権でいつもとは違う緊張がなかったわけはないと思うのですが、それ以上に滑る喜びや楽しさが上回っていたのかもしれませんし、友野選手のインタビューを聞いているととても冷静に自分を分析できているなという印象で、今回の結果に関して満足感を漂わせつつも、「今の自分の限界がわかった」とも話していて、結果に浮かれることなく地に足がしっかりついている選手なんだなと感じましたね。
 とはいえまだシニア1年目でこれからいろんな壁にぶつかることもあるでしょうから、今回のように楽しんで滑る気持ちを大切にして、さらなる飛躍目指して頑張っていってほしいですね。



 さて、前編はとりあえずここまでとして、続きは後編に。後編の記事アップをお待ちください。


:男子メダリスト3選手のスリーショット画像、宇野選手のSPの画像、コリヤダ選手の画像、ビチェンコ選手の画像、友野選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、チェン選手の画像、宇野選手のフリーの画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
世界選手権2018・女子&ペア―ケイトリン・オズモンド選手、逆転で初優勝(前編) 2018年3月26日
世界選手権2018・女子&ペア―ケイトリン・オズモンド選手、逆転で初優勝(後編) 2018年3月27日
世界選手権2018・男子&アイスダンス―ネイサン・チェン選手、世界歴代2位の高得点で初優勝(後編) 2018年3月30日

[PR]
by hitsujigusa | 2018-03-29 22:24 | フィギュアスケート(大会関連) | Comments(0)

c0309082_02134746.jpg


 前記事に引き続き、3月19日から25日にかけて開催された世界選手権2018の女子とペアについてお伝えします。なお、前編はこちらのリンクからご覧ください。

ISU World Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 6位に入ったのはアメリカ王者のブレイディ―・テネル選手です。

c0309082_19584922.jpg

 SP冒頭は得点源の3ルッツ+3トゥループ、着氷自体は問題ありませんでしたが、ルッツの踏み切りが不正確だったため加点は付かず。後半の3ループ、2アクセルではしっかり加点を得て、スピンは全てレベル4とそつなくまとめ、パーソナルベストの68.76点で7位につけます。
 フリーもまずは3ルッツ+3トゥループ、ショート同様にきれいに下りましたが、再び3ルッツの踏み切りミスでわずかに減点を受けます。次いで2アクセルはクリーンに着氷。続く3フリップも問題なく着氷したかに見えましたが、アンダーローテーション(軽度の回転不足)の判定。さらに後半最初の2アクセル+3トゥループも同様の理由で減点となります。3+2+2はファーストジャンプのルッツがやはり踏み切りのミス。終盤の3ループ、3サルコウは完璧に決め、演技を終えたテネル選手は満面に笑みを浮かべました。ただ、得点は思ったほど伸びず、131.13点でフリー4位、総合6位で初めての世界選手権を終えました。
 ショート、フリーともに目立ったミスはなかったですが、細かな回転不足で少しずつ失点したのがもったいなかったですね。ただ、今シーズン全体を通してテネル選手にとっては飛躍のシーズン、新たな一歩を踏み出せたシーズンになったのは間違いないでしょうから、来季は今季の安定感を持続させることはもちろん、さらなるスケーティング面の強化や表現面の洗練が必要かなと感じます。特に表現面でさらに一皮剥けることができれば、スケーターとしてもう一段階レベルアップできると思いますから、期待したいですね。


 7位は昨年の世界選手権銅メダリスト、カナダ王者のガブリエル・デールマン選手です。

c0309082_20291151.jpg

 ショートはまず代名詞のダイナミックな3トゥループ+3トゥループ、これを完璧に決めてほとんどのジャッジから加点3を得ます。後半の3ルッツ、2アクセルもミスらしいミスなくこなし、演技を終えたデールマン選手は笑顔で観客の歓声に応えました。得点は自己ベストに迫る71.61点で6位と好位置につけます。
 フリーも冒頭は3トゥループ+3トゥループ、全ジャッジから満点となる加点3の評価を受けます。次いで3ルッツでしたが、パンクして2回転に。さらに3フリップもこらえる着氷となります。後半最初は3ルッツからの3連続ジャンプをきっちり着氷。しかし3ループはアンダーローテーションで着氷が乱れます。その後も全てのジャンプで耐える着氷が続き、フィニッシュしたデールマン選手は表情をこわばらせました。得点は125.11点でフリー8位、総合7位にとどまりました。
 五輪ではフリー19位とまさかの大崩れで悔しい結果に終わったデールマン選手。リベンジを期す今大会でしたが、フリーは五輪ほどではないにせよ、似たような崩れ方をしてしまいましたね。元々デールマン選手によく見られるミスの仕方として、パワーをコントロールし切れず着氷でふんばるという形のミスが多いのですが、今回も3+3のように素晴らしいジャンプがあった一方で、ほとんどのジャンプは力を制御できていない印象を受けました。ただ、ハマれば昨年の世界選手権のように爆発力のある選手なので、来季は爆発力に加えて、常に一定以上の演技ができる安定感を手に入れることが課題になるのかなと思います。


 8位はGPファイナル銀メダリスト、ロシアのマリア・ソツコワ選手です。

c0309082_21134609.jpg

 SP冒頭は3ルッツ+3トゥループ、若干流れが滞りましたがクリーンに跳び切ります。後半の3フリップ、2アクセルともに確実に成功。ステップシークエンス、スピンは全てレベル4を揃え、71.80点で5位と好発進します。
 フリーも冒頭は3ルッツ+3トゥループでしたが、セカンドジャンプがアンダーローテーションに。続く3フリップは鮮やかに成功。後半に5つのジャンプ要素を固め、その1発目の3ループはクリーンに下りましたが、次の3+1+3は全体的に詰まった着氷になり回転不足の判定。直後の3ルッツも回転が足りず転倒してしまい、終盤の2つのジャンプは大きなミスなくまとめたものの、ジャンプミスによる減点が響き、124.81点でフリー9位、総合8位と順位を落としました。
 ショートはまずまずまとめて良い滑り出しでしたが、フリーはソツコワ選手の課題である回転不足、そして安定感の不足というのが如実に表れた内容だったかなと思います。大柄な選手なのでどうしても回転がギリギリになりがちなのですが、現在は多くのジャンプで片手を上げて跳んでいるので、その跳び方があまりジャンプに良い影響を与えていないのかなという気もします。余裕を持ってジャンプを跳ぶためにはさらに高く跳ぶか、回転軸を細くするしかないのでしょうが、ソツコワ選手の場合、体格には恵まれているので高く跳び上がって跳ぶジャンプというのが理想的なように思いますが、そのためには基礎的な体力作りやジャンプを一から見直す必要もあるでしょうし、簡単なことではないですね。ただ、さらに安定感のある選手になるためには回転不足は喫緊の課題ですから、来季ソツコワ選手がどんな成長を見せてくれるのか期待したいと思います。



 さて、ここからはペアについてです。

c0309082_01380524.jpg


 優勝は平昌五輪金メダル、ドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組です。SPは冒頭の3ツイストを完璧に決め全てのジャッジから加点3の高評価を得ると、その後のエレメンツでも軒並み高い加点を積み重ね、パーソナルベストかつ世界歴代2位の82.98点を叩き出し圧巻の首位に立ちます。フリーもまずは安定感抜群の3ツイストを成功させ再び全ジャッジが加点3の評価。次いでスロー3フリップ、ソロジャンプの3+2+2でも多くのジャッジから加点3を得て最高のスタートを切ります。中盤以降も全ての要素が完璧で、加点1以上、そのうち4つでは加点2以上を稼ぎ、フィニッシュした二人は表情に充実感を漂わせました。得点は自身が五輪でマークした世界最高得点を塗り替える162.86点でもちろんフリー1位、トータルではロシアのタチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組がソチ五輪でマークした世界最高を上回る245.84点をマークし、大差で世界選手権初制覇を成し遂げました。
 とにもかくにも素晴らしいとしか言いようのない演技でしたね。ショートは五輪ではジャンプミスで4位と出遅れたので、苦い記憶がよぎる感じもあったかもしれませんが、今回はスロージャンプの場面でサフチェンコ選手がバランスを崩しそうなところを必死にぐっとこらえたのが見て取れ、五輪と同じ轍は踏まないという強い意思がうかがえたシーンでもありました。そして世界最高となったフリーは、全てのエレメンツがまさに完璧。ショートで2位のペアと僅差だったことを考えると、優勝のためにはミスが許されないという状況で決して心理的にも楽なシチュエーションではなかったと思うのですが、そういった重圧を全く感じさせないのびやかな演技は驚異的でした。また、改めてこのペアの演技を見て感じたのは、リフトにしてもスロージャンプにしても、男性が女性を持ち上げる時によいしょという感じが全くなく、本当に重力を感じさせないような浮遊感があるなということで、まさにペアの醍醐味を存分に味わわせてくれるペアだなと感じました。来季サフチェンコ&マッソ組がどういう選択をするのかはわかりませんが、34歳とはいえサフチェンコ選手はまだまだ衰えは見えず、ペアとしてさらに進化していく感じもしますので、楽しみにしたいですね。世界選手権初優勝、おめでとうございました。

 2位は欧州王者、ロシアのエフゲニア・タラソワ&ウラジミール・モロゾフ組です。ショート冒頭は得意の3ツイスト、パーフェクトな出来で全ジャッジから加点3を得ると、3トゥループ、スロー3ループもクリーンに着氷。残りのエレメンツでも全てレベル4を獲得し、自己ベストに迫る81.29点で首位と僅差の2位につけます。フリーは冒頭で大技4ツイストに挑み、レベル3、加点も1以上とクリーンにまとめます。しかし続く3サルコウはパンクして2回転に。3トゥループからの連続ジャンプも着氷ミスとなります。そのほかのエレメンツは全て完璧にこなしましたが、2つのジャンプミスが響き、144.24点でフリーも2位、総合2位となりました。
 五輪はショートで2位発進しながらもフリーでミスを犯し表彰台を逃したタラソワ&モロゾフ組。そのリベンジの意味もあってこの世界選手権は強い意気込みを持って臨んだと思うのですが、五輪と似た試合展開になってしまいましたね。結果的には自己最高の銀メダルを獲得しましたが、演技内容としてはフリーでミスが複数出てしまったということで五輪と同じ課題が残ったのかなと思います。今でも充分完成度の高いペアですが、世界の頂点を狙うためにはどんな状況でも揺るがない安定感が求められますから、来季はさらに強くなった姿に期待したいですね。

 3位はフランスのヴァネッサ・ジェームズ&モルガン・シプレ組です。SPはサイドバイサイドの3サルコウでミスがありましたが、そのほかのエレメンツは無難にまとめて3位。フリーもスロー3サルコウで転倒するミスがあったものの、そのミスを引きずることなく挽回し、技術点では全体の2位の得点を獲得し、フリーも3位、総合3位で初めて世界選手権の表彰台に立ちました。
 五輪ではショートでノーミスだったもののフリーでミスが重なり5位だったジェームズ&シプレ組。今大会は五輪の2、3位のペアが欠場ということで、順当にいけばメダルが狙えるという状況でしたが、ショートで4位のペアと1点差もないというきわどい展開となりました。ただ、フリーはジェームズ&シプレ組の直前に滑った4位のペアがあまり振るわず、ジェームズ&シプレ組にとっても少し心の余裕が生まれたのか大技のスロー4サルコウを回避し3サルコウに難度を落としたのですが、惜しくも転倒。メダルというものを意識する中でいつもとは違う感じもありつつ、ミスをしたあとに落ち着きを取り戻したというのが、このペアにとって来季に繋がる成長なのではないかと思いますね。

 以下、4位はロシアのナタリア・ザビアコ&アレクサンデル・エンベルト組、5位はイタリアのニコーレ・デラ・モニカ&マッテオ・グアリーゼ組、6位はカナダのカーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ組、7位は中国の于小雨(ユー・シャオユー)&張昊(ジャン・ハオ)組、8位はロシアのクリスティーナ・アスタホワ&アレクセイ・ロゴノフ組となっています。

 日本の須崎海羽&木原龍一組は、SP24位でフリーに進めませんでした。

c0309082_14322496.jpg

 SPは冒頭の3ルッツをしっかり跳び切りましたが、踏み切りのエッジが不正確とされたのと、二人のジャンプのタイミングがずれたため減点を受けます。次いで3ツイストはキャッチミスでレベル1に加えこちらも減点。スロー3サルコウでもステップアウトがあり、技術点を思ったほど稼げず、24位でフリー進出を逃しました。
 今回のフリー進出ラインは63.26点ということで自己ベストが57.74点の須崎&木原組にとっては現実的にフリー進出は厳しかったのですが、それ以上に彼ら本来の実力が発揮できなかったというのが残念だったかなと思います。二人にとっては初めての世界選手権で、五輪で2度自己ベストを更新した流れのままにいきたかっと思うのですが、今回は1つのミスから連鎖してしまう悪い流れを止められなかったですね。ただ、もっともっと進化する余地のある可能性に満ちたペアだと思いますので、今季の経験を活かして、オフシーズンを存分に利用して、来季はさらに強いペアになってほしいと願っています。



 さて、世界選手権2018、女子&ペアの後編は以上です。
 五輪から約1か月後の世界選手権で、五輪で大成功を収めた選手、五輪で苦杯を味わった選手、五輪にたどり着けなかった選手、さまざまな選手が集いましたが、それぞれのドラマが繰り広げられ、五輪にも劣らぬ見ごたえたっぷりの試合となりました。そんな中、五輪チャンピオンで今大会に参加したのは女子のザギトワ選手とペアのサフチェンコ&マッソ組のみでしたが、一方は涙、一方は満面の笑みと明暗がくっきり分かれる形に。ザギトワ選手とサフチェンコ&マッソ組の明暗の理由を挙げるとすれば、やはり経験の差なのかなと思いますね。
 そして日本勢は女子のダブル表彰台という予想以上の結末に。ザギトワ選手、コストナー選手のミスに助けられた形ではありますが、結果的には余裕で3枠復活も達成し、シーズンの締めくくりとしてこれ以上ないハッピーエンディングとなりましたね。
 さて、次は男子&アイスダンスです。こちらも予想外の試合展開となりましたが、記事アップまでしばらくお待ちください。


:女子メダリスト3選手のスリーショット画像は、毎日新聞のニュースサイトの英字版「The Mainichi」が2018年3月24日に配信した記事「Figure skating: Canada's Osmond wins world title as Zagitova, Kostner fall」から、テネル選手の画像、デールマン選手の画像、ソツコワ選手の画像、ペアメダリスト3組の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、須崎&木原組の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
世界選手権2018・女子&ペア―ケイトリン・オズモンド選手、逆転で初優勝(前編) 2018年3月26日
世界選手権2018・男子&アイスダンス―ネイサン・チェン選手、世界歴代2位の高得点で初優勝(前編) 2018年3月29日
世界選手権2018・男子&アイスダンス―ネイサン・チェン選手、世界歴代2位の高得点で初優勝(後編 2018年3月30日

[PR]
by hitsujigusa | 2018-03-27 16:38 | フィギュアスケート(大会関連) | Comments(0)

c0309082_02134746.jpg


 激動の17/18シーズンを締めくくる世界選手権2018が今年はイタリア北部の都市ミラノで行われました。平昌五輪が終了して約1か月後ということで、五輪に出場した選手たちにとっては調整の難しさをうかがわせる場面がしばしば見られ、五輪シーズンならではの世界選手権となりました。
 大荒れとなった女子の戦いを制したのは平昌五輪銅メダリスト、カナダのケイトリン・オズモンド選手です。五輪と変わらぬ安定感を発揮し、カナダ女子としては45年ぶりの世界女王の座を射止めました。2位は日本の樋口新葉選手、そして3位も同じく日本の宮原知子選手となり、2007年以来となる日本女子ダブル表彰台の快挙を達成しました。
 ペアは平昌五輪金メダル、ドイツのアリオナ・サフチェンコ&ブリュノ・マッソ組が初優勝し、五輪王者の矜持を示しました。

ISU World Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 女子のチャンピオンとなったのはカナダのケイトリン・オズモンド選手です。

c0309082_15241434.jpg

 ショート冒頭は得点源の3フリップ+3トゥループ、これを完璧に決め1.4点の加点を引き出します。次いで3ルッツはきれいに下りましたが、踏み切りのエッジが不正確と判定されわずかに減点。後半の2アクセルで着氷を乱し、72.73点で4位にとどまります。
 フリーもまずは3フリップ+3トゥループ、ショート同様に鮮やかな跳躍で1.6点の加点。しかし2アクセル+3トゥループはセカンドジャンプの着氷でステップアウトします。続く3ルッツは踏み切りのエッジに関してはショート同じく不正確と判定されたものの、若干ながら加点を獲得。後半に入り最初の3ループを軽やかに下りると、3フリップ、3+2+2と危なげなく着氷。最後の2アクセルも余裕を持って成功させ、演技を終えたオズモンド選手はほっとしたように破顔しました。得点は自己ベストに迫る150.50点でフリー1位、総合1位と逆転で初の世界女王に輝きました。
 オリンピックと比べると細かなミスは散見されましたが、それでも2試合続けて安定した演技を披露したというのが何よりも素晴らしかったですね。フリー後半になると転倒など大きな失敗を犯してしまうというパターンがシーズン前半は続いていましたが、五輪ではしっかりその課題を修正し、そして今大会は五輪で銅メダリストになったことによってさらに自信を深めて、精神的に多少ゆとりを持った状態で臨めたのかなという気がします。
 カナダ女子にとっては1973年のカレン・マグヌセンさん以来となる世界選手権優勝という快挙を成し遂げたオズモンド選手。ベテランの域に入っていますが、表現力もますます円熟味を増しつつあって、これからまだまだ進化していく予感を感じさせますね。世界選手権初優勝、おめでとうございました。


 銀メダルを獲得したのは日本の樋口新葉選手です。

c0309082_00565755.jpg

 SP冒頭は得意の2アクセルをパーフェクトに決めて好い流れを作ります。後半に3ルッツ+3トゥループを組み込みますが、セカンドジャンプで持ちこたえられず転倒。直後の3フリップはきれいに決めたものの踏み切り時のエッジミスで若干の減点に。フィニッシュした樋口選手は顔を曇らせました。得点は自己ベストから8点ほど低いスコアで8位と出遅れます。

c0309082_01293041.jpg

 フリーは冒頭に今季鬼門となっていた3サルコウを組み込み、確実に成功。さらにショートで転倒した3ルッツ+3トゥループはしっかり着氷し1.3点の加点を得ます。中盤の2アクセルも難なく着氷し、勝負の後半、鍵を握る2つ目の3ルッツ+3トゥループをまたもや成功させると、3ループ、2アクセルからの3連続ジャンプもクリーンに着氷。最後の3フリップは踏み切りから着氷までノーミスでクリア。終盤はパワフルな女性ボーカルに乗せたダイナミックかつのびやかなステップシークエンスで観客を引き込み、演技を終えた瞬間、樋口選手は喜びの声を上げるとともに大粒の涙を流しました。得点は自己ベストに0.29点と迫るハイスコアでフリー2位、総合2位と一気に追い上げました。
 オリンピック出場を逃し、今大会が4年後に向けての再スタートの舞台となった樋口選手。練習から好調な姿を見せていたものの、ショートはちょっとしたズレによるものなのか3+3で思いがけない転倒があり8位。結果的には1年前と近い順位、スコアで迎えたフリーでしたが、全てのエレメンツで加点を獲得する完璧な演技で悪夢を払いのけ、8位から2位へと大きくジャンプアップしました。五輪への強い想いを当初から口にしていた樋口選手にとって、今季はパーソナルベスト更新のロンバルディアトロフィーで幕を開け、GPシリーズも2試合ともに表彰台と安定感を発揮。しかしGPファイナルで最下位の6位にとどまり、五輪の切符を懸けた全日本選手権では足の怪我の影響もあって、初出場以来初めてメダルを逃し五輪メンバーにも選ばれずという悔しさが募るシーズンの経過をたどっていました。そんな中で臨んだシーズン最終戦の今大会、ショートで痛いミスを犯し出遅れながらもフリーであれだけ素晴らしい演技をできたのは、紛れもなく樋口選手の成長の証だと思います。もちろん今でも五輪に出たかったという気持ちは強いでしょうし、世界選手権でメダルを取れたからと言ってその悔しさが帳消しになるわけではないでしょうが、五輪に行けなかったからこその今回の演技だったと思いますし、五輪の代表争いに敗れたという負けをただの負けで終わらせず、その経験を糧に再び自分の足で立ち上がって、さらに新たな強さを手に入れるというのは本当に素晴らしいとしか言いようがありません。フリーの演技後、そして得点表示後の涙からは、樋口選手が今シーズン背負ってきたものの重さが感じられましたし、ようやくこれで五輪の呪縛みたいなものから解放されて、新しい気持ちで次のシーズンに向かっていけるのではないでしょうか。
 山あり谷ありの今季だったと思いますが、悪かったことも良かったことも全てひっくるめて財産になっていくでしょうから、来季はさらに進化した姿を期待したいですね。


 3位は日本のエース、宮原知子選手です。

c0309082_02110388.jpg

 SP冒頭は鍵を握る3ルッツ+3トゥループでしたが、1つ目のジャンプで若干詰まりセカンドジャンプが回転不足となります。後半の3ループ、2アクセルは問題なく成功。ステップシークエンス、スピンもいつもどおり全てレベル4で揃え、パーソナルベストに迫る74.36点で3位と好発進します。

c0309082_15312998.jpg

 フリーはまず3ループをきっちり決めると、続いてショートで回転不足のあった3ルッツ+3トゥループ、これはファーストジャンプが回転不足となってしまいます。次の3フリップはクリーンに着氷し前半をまとめます。後半はまず3+2+2からでしたが、ファーストジャンプでバランスを崩しかけながらも何とか最後のジャンプまで繋げます。直後の2アクセル+3トゥループは余裕を持って成功。次いで今季鬼門となっている3サルコウは踏み切ってすぐに軸が傾き、2回転になった上に転倒します。最後の2アクセルは落ち着いて決め、終始「蝶々夫人」の世界観を情感たっぷりに演じ切りました。得点は135.72点でフリーも3位、総合3位で3年ぶりにメダルを獲得しました。
 結果的には表彰台に立てたとは言え、内容としては宮原選手にとっては全く納得はできないでしょうね。オリンピックであれだけ素晴らしい演技をしたあとですから、もう一度同じような演技をするというのは非常に難しかったと思いますが、常に完璧な演技を目指す宮原選手ですから今回も当然完璧を求めていたでしょうし、また、五輪であと一歩のところでメダルに届かなかったことによって今回こそはという想いもあっただろうと想像します。その強い気持ちが今回は珍しく空回りしてしまったのかもしれませんし、もちろん五輪から短い期間で再びピークを持ってくる難しさというのはほかの選手同様にあったと思います。さらには今回転倒したのは今季何度かパンクや転倒をしている3サルコウで、五輪ではクリーンに跳び切りましたが、力みがあると軸が傾いてしまう傾向にあるので、そうした部分は来季に向けて重要な修正ポイントになりそうですね。
 ただ、大きな失敗があった中でも演技構成点では五輪以上の評価を受け、着実にジャッジからの信頼は高まっているので、来シーズンは今までどおりの安定感はもちろん、表現面でもこれまで見たことのないような宮原選手の新たな一面を楽しみにしています。


 4位だったのはイタリアの大ベテラン、カロリーナ・コストナー選手です。

c0309082_16031377.jpg

 SP冒頭は3フリップ+3トゥループ、これをしっかり回り切って下り加点1.8の高評価を得ます。さらに3ループもパーフェクトな流れで決め1.4点の加点。後半の2アクセルもクリーンに着氷し、代名詞のステップシークエンスではスケールの大きいスケーティングと繊細な表現が融合した滑りで観客を魅了。フィニッシュしたコストナー選手は母国のファンの大喝采を浴びました。得点は自己ベストかつ世界歴代3位となる80.27点で堂々の首位に立ちました。
 フリーはまず苦手の3ルッツからでしたが、回転が抜けて2回転に。続く3+2は軽やかに下り1.5点の加点を獲得。さらに3フリップ、3ループとどちらも1点以上の加点が付く美しい跳躍でまとめます。後半、最初の3トゥループは問題なく決めましたが、2アクセルは空中で回転がほどけて1回転に。さらに3サルコウは転倒と大きなミスが重なります。最後は世界一のスケーティング技術を駆使したステップシークエンスと安定したスピンで締めくくりましたが、複数のジャンプミスが響き、128.61点でフリー5位、総合4位となり4年ぶりの表彰台は逃しました。
 ショート1位という最高の展開で迎えたフリー。しかし最終滑走だったコストナー選手の直前に五輪女王のアリーナ・ザギトワ選手が3度転倒する大波乱があり、その余波が残る中でコストナー選手の演技が始まりました。最初の3ルッツこそミスとなったものの、そのあとは予定どおりにジャンプを次々と決め、いつものコストナー選手のように見えたのですが、最後の2つのジャンプでまさかのミスが続いてしまい、結果的にはコンビネーションジャンプが1つしか入らなかったということもあり、全体の13番目の技術点にとどまりました。演技が始まる前の表情はいつになく硬く、母国開催の世界選手権で、しかも目の前で絶対的な優勝候補だったザギトワ選手が優勝争いから脱落していき、コストナー選手にとってはまたとない優勝のチャンスが訪れた一方で、否応なく優勝を意識せざるをえない状況に追い込まれたということが、力みを生じさせてしまったのかなと想像します。14度目の世界選手権という経験豊富なコストナー選手といえども、こういうシチュエーションでフリーを滑るというのは初めてだったと思いますし、誰よりも豊富な経験の持ち主である彼女でさえも、想像を超えた緊張やプレッシャーというのがあったのでしょうね。
 母国でメダルを手にできなかったのは残念でしたが、ミスがあっても優雅でダイナミックな彼女らしい演技を存分に見せてくれました。今後はどういう道を歩むのかはわかりませんが、競技でも競技じゃなくても、これからも氷上で輝き続けてほしいと思います。


 5位は平昌五輪金メダリスト、ロシアのアリーナ・ザギトワ選手です。

c0309082_17001701.jpg

 ショートは3つのジャンプ全てを後半に組み込んだいつもの構成で、その最初の3ルッツ+3ループは若干着氷を乱します。しかし、3フリップ、2アクセルはきっちりと決め、79.51点で2位と好位置につけます。
 フリーもジャンプは全て後半。まずはスピンとステップシークエンスを丁寧にこなし後半へ向けて流れを作り出します。そして後半、まずは3ルッツ+3ループからでしたが、ファーストジャンプで転倒し連続ジャンプにならず。さらに2アクセル+3トゥループはセカンドジャンプがダウングレード(大幅な回転不足)となり再び転倒に。続く3+2+2は何とか下りますが、単独予定だった3ルッツに急遽3ループをつけた連続ジャンプはセカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)となり、3度目の転倒。3サルコウも回転が足りず、終盤の3フリップ、2アクセルはクリーンにまとめましたが、まさかの演技にザギトワ選手は顔をゆがめ流れる涙をこらえることができませんでした。得点は128.21点でフリー7位、総合5位に順位を下げました。
 五輪女王として、圧倒的な優勝候補として臨んだ初めての世界選手権。フリーは信じられないような演技となりました。五輪後はさまざまな取材やイベントがあって練習の時間が不足していた可能性もありますが、何よりも優勝するのが当たり前と世界中から期待されているという重圧が、今大会は重くのしかかってしまったのかなと思います。五輪の時は好敵手としてエフゲニア・メドベデワ選手がいて、ザギトワ選手だけに期待が集まるということはなかったのが幸いしましたが、今回はライバルとなるような選手はいませんでしたから、五輪とは違う異様な緊張を感じたのではないでしょうか。ですが、まだ15歳で初出場ということを考えると致し方ない部分もありますし、今シーズン15歳離れした強さを見せつけてきた彼女が最後に15歳らしい表情を見せたというのが、ある意味ほっとしたというか、彼女も普通の女の子だったんだなと感じましたね。
 ただ、五輪女王として毎試合優勝を求められる来季以降こそがザギトワ選手にとっては本当に大変な日々になると思います。若くして五輪を制してしまった選手の宿命と言えますが、これからどのようにオリンピックチャンピオンらしさを示していくか、そして選手として進化を見せていくかという困難な課題に向き合いながら、素晴らしいスケーターに成長していってほしいと思いますね。



 さて、世界選手権2018、女子&ペア編は一旦ここで終了し、後半に続けます。後編の記事アップをしばしお待ちください。


:女子メダリスト3選手のスリーショット画像は、毎日新聞のニュースサイトの英字版「The Mainichi」が2018年3月24日に配信した記事「Figure skating: Canada's Osmond wins world title as Zagitova, Kostner fall」から、オズモンド選手の画像、宮原選手のフリーの画像、コストナー選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、樋口選手の画像、ザギトワ選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、宮原選手のSPの画像は、「The Japan times」のニュースサイトが2018年3月22日に配信した記事「Carolina Kostner takes lead at world championships; Satoko Miyahara sits in third place」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
世界選手権2018・女子&ペア―ケイトリン・オズモンド選手、逆転で初優勝(後編) 2018年3月27日
世界選手権2018・男子&アイスダンス―ネイサン・チェン選手、世界歴代2位の高得点で初優勝(前編) 2018年3月29日
世界選手権2018・男子&アイスダンス―ネイサン・チェン選手、世界歴代2位の高得点で初優勝(後編) 2018年3月30日

[PR]
by hitsujigusa | 2018-03-26 18:00 | フィギュアスケート(大会関連) | Comments(0)

c0309082_00123527.jpg


 ジュニアの世界一を決める世界ジュニア選手権2018がブルガリアの首都ソフィアにて、3月5日から11日にかけて開催されました。フィギュアスケート史に残る歴史的偉業が達成された記念すべき大会になりましたが、女子、男子、ペア、アイスダンスと順を追って試合の内容をお伝えしていきます。

ISU World Junior Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

《女子シングル》


 女子を制したのはジュニアGPファイナル女王、ロシアのアレクサンドラ・トゥルソワ選手です。ショートは全てのジャンプを後半に組み込み、3フリップ+3ループ、3ルッツ、2アクセルとそつなく成功。自己ベストには1点ほど及びませんでしたが、72.03点というハイスコアで首位に立ちました。そして歴史的な瞬間となったフリー、まず冒頭でシーズン序盤から挑み続けている4サルコウを回り切って下りると、続いて実戦では初挑戦となる4トゥループもこらえながら確実に着氷。女子選手史上初めて2本の4回転を成功させます。さらに後半、3ルッツを下り、3フリップ+1ループ+3サルコウも成功。こちらも大技となる3ルッツ+3ループ、3フリップ+3トゥループを着氷させると、最後の2アクセルも難なくこなし、フィニッシュしたトゥルソワ選手は力強いガッツポーズで喜びを露わにしました。得点はシニアも含めて歴代3位となる153.49点でフリーももちろん1位、総合でも歴代5位の225.52点で圧巻の初優勝を果たしました。
 とにもかくにも凄いとしか言いようのないフリーでしたね。安藤美姫さん以来2人目となる4サルコウ成功、そして女子では初めての4トゥループ成功、また、1つのプログラムで2種類2本の4回転成功という前人未到の快挙を達成したトゥルソワ選手。153.49点という得点だけを見ると驚かされますが、4回転という3回転とは全く別次元のジャンプを2本も跳び切ったことを思えば、妥当な得点と言えるでしょう。また、後半にも難しいコンビネーションを軽々と成功させていて、本当に死角のない類い稀なジャンパーなんだなと感じます。とはいえまだ13歳で、来季以降の身体的な変化というのも考えると、彼女が今のようなジャンプをどれだけ跳び続けられるかはわかりませんし、身体の成長に合わせて新たなジャンプを習得していかなければいけないでしょうから、彼女にとってはこれからが茨の道なのかなという気もします。できることならトゥルソワ選手がこのまま4回転ジャンパーとして、順調に成長していってくれることを願いたいですね。世界ジュニア選手権優勝、おめでとうございました。

 2位は同じくロシアのアリョーナ・コストルナヤ選手。ショートは3+3、3ルッツ、2アクセルと全てのジャンプを後半に跳び切り、トゥルソワ選手と0.4点差の2位と好位置につけます。フリーも全てのジャンプを後半に固め、最初の3ルッツこそステップアウトしたものの、その後は落ち着いて予定どおりにジャンプをクリアし、自己ベストでフリーも2位、総合2位で初めての世界ジュニアを終えました。
 トゥルソワ選手同様、初出場にして実力どおりの演技を披露したコストルナヤ選手。トゥルソワ選手のインパクトがあまりにも凄いのでその陰に隠れがちではありますが、シーズン序盤からコンスタントに好成績を収め続け、シニアのロシア選手権でも3位に食い込んだ申し分ない実力の持ち主です。4回転や3アクセルといった大技は持っていないので、ショート、フリーともに全ジャンプを後半に跳ぶ、かのアリーナ・ザギトワ選手と同じ戦略を取っていますが、後半にジャンプを固める演技構成に批判の声もある中、ルール改正の可能性も取りざたされていて、そうなるとコストルナヤ選手のようなタイプの選手は戦略の練り直しを迫られることになると思うのですが、将来的にどんな選手になっていくのか興味深い存在の一人ですね。

 3位は全日本ジュニア選手権2位、日本の山下真瑚選手です。ショートは冒頭の3+3を決めると、後半の2つのジャンプもクリーンに成功。会心の演技でパーソナルベストとなる66.79点をマークし3位と好発進します。フリーはまず3+3+2をしっかり跳び切ると、次いで3+2も成功。中盤の3サルコウも難なくこなし、鍵を握る後半最初の3+3も着氷。残りのジャンプ3つも軽やかに成功させ、スピン、ステップシークエンスも全てレベル4と丁寧に演じ切り、演技を終えた山下選手は満面の笑み。得点は自己ベストを11点以上上回る128.38点でフリーも3位、総合3位で銅メダルを手にしました。
 今季はシーズン序盤のジュニアGPで2戦とも表彰台に立ち、ファイナルには惜しくも進めなかったものの、全日本ジュニアでは2位、シニアの全日本でも10位とシーズンを通して大崩れしない強さを見せてきた山下選手。その総決算としてシーズン最後の大舞台でも自分らしさを出し切れたのではないかと思います。際立った大技や表現力を持っているわけではありませんが、流れの中で無理なく跳べるダイナミックかつゆったりとしたジャンプや、のびやかで雄大さを感じさせるスケーティングは、さらに磨いていけばシニアに上がっても見栄えのするものだと思いますので、今から楽しみだなと感じますね。

 4位はロシアのスタニスラワ・コンスタンティノワ選手です。SPは3+3のセカンドジャンプがアンダーローテーション(軽度の回転不足)となるミスがあり6位と出遅れ。フリーはミスらしいミスとしては3+1+3の1ループが回転不足と判定された以外はマイナス要素なく滑り切りましたが、思ったほど技術点を伸ばし切れずフリー5位、総合では4位と表彰台には届きませんでした。
 ジュニア女子としては17歳と比較的年齢が高めのコンスタンティノワ選手。表現面では一日の長がある一方、ジャンプではあまり加点を稼げないのが弱点かもしれません。シーズン序盤はジュニアGPの参戦は1試合のみで、ほかはチャレンジャーシリーズの試合にシニアとして出場して研鑽を積んでいて、キャリアとしては派手さはありませんが、ロシア選手権で4位、ロシアジュニア選手権で3位と着実に一歩一歩前進しているという印象ですね。もうすぐ開幕する世界選手権には欠場するエフゲニア・メドベデワ選手の代役として出場することが決まっていて、願ってもないチャンスが巡ってきた形ですから、存分に存在をアピールしてほしいと思います。

 5位は韓国のイム・ウンス選手。ショートは得点源の3+3はクリーンに決めましたが、終盤の2アクセルでわずかなミスがあり、パーソナルベストには及ばず5位。フリーは冒頭に3+3、2アクセル+3トゥループと立て続けに難しいコンビネーションジャンプを成功。単独の3フリップも着氷と最高の滑り出しを見せます。しかし後半は3ループ、3+2+2と細かなミスが重なります。終盤の3サルコウ、2アクセルはクリーンに下り、自己ベストの122.16点でフリー6位、総合5位となりました。
 昨年は初出場で4位と健闘したイム選手。今回も小さなミスはいくつかありましたが、まずまずの安定感は発揮できたのではないでしょうか。基本的な技術力の高さは証明済みの選手だと思うので、来季はさらにプラスアルファの強みを発掘できるともっと魅力的なスケーターになるのかなと思います。

 6位は日本の横井ゆは菜選手です。SPは得点源の3+3を成功させましたが、終盤の3ルッツで転倒する痛いミス。パーソナルベストとなる59.81点をマークしたものの8位にとどまります。フリーは前半は単独ジャンプのみで構成し、その全てで1点以上の加点を獲得。後半に入り最初の3+2を下りると、3ルッツ、3+3も鮮やかに成功。最後のエレメンツである2アクセル+3トゥループ+2トゥループも完璧に着氷し、そのままフィニッシュした横井選手は派手なガッツポーズで喜びを爆発させました。得点は自己ベストを10点以上更新する124.97点でフリー4位、総合6位と順位を上げました。
 ショートは最後のジャンプで思わぬ失敗がありましたが、フリーは本当に横井選手らしいのびやかさ、躍動感に満ち溢れた素晴らしい演技でしたね。ジャンプ技術も高いものを持っていますし、何といっても踊り心のある見ていて楽しいスケーターなので、来季に向けてはさらに身のこなしやスケーティング技術など細かい部分を磨いて洗練させていって、大人の表現を身につけていってほしいなと思いますね。

 7位はアメリカのティン・クイ選手。ショートは全てのジャンプを確実に成功させ自己ベストで7位発進。フリーは3ルッツで着氷が乱れた後に転倒するという珍しい失敗がありましたが、それ以外は落ち着いてエレメンツをこなし、こちらも自己ベストで7位、総合でも7位で初めての世界ジュニアを終えました。
 国際的にはジュニアGPで最高6位とまだあまり目立った成績は残していない選手ですが、軸の細いきれいなジャンプを持っていて今後が楽しみな選手だなと感じましたね。アメリカのジュニア女子はロシア勢、日本勢の後塵を拝す形で近年は苦戦を強いられていますが、技術的に大差があるわけではないと思うので、クイ選手のような有望なスケーターが、まずは第二次性徴の壁も乗り越えて、うまくジュニアからシニアに移行できるよう祈りたいですね。

 8位は全日本ジュニア女王の紀平梨花選手です。SPは全ジャンプを後半に組み込む意欲的な構成でしたが、3+3はセカンドジャンプが回転不足の上に転倒。3ルッツと2アクセルはクリーンに着氷しましたが、自己ベストから3点ほど低いスコアで4位となります。フリーは代名詞の大技3アクセルを2本冒頭に組み込みましたが、2本とも1アクセルに。その後は何とか挽回しましたが、転倒する場面もあり、111.51点でフリー9位、総合8位と振るいませんでした。
 本来の紀平選手の実力を考えると意外な結果に終わってしまいましたが、それほど3アクセルというのは扱いが難しく、ハマれば大きいけれども失敗するとリズムを狂わされてしまう諸刃の剣でもあって、今回はその悪い面が出てしまったのかなという感じですね。1月に左手の薬指を骨折したとのことでその影響もあったかもしれませんが、ショートで4位につけてメダルを意識してしまったというのもあったでしょうね。昨年末の全日本選手権では失うものが何もないからこその思い切りの良い3アクセル、アグレッシブな滑りが見られていただけに今大会は紀平選手らしさがうかがえず残念でしたが、この経験も必ず来季以降に繋がっていくと思いますので、今までどおり3アクセルを始め、いろんな技に磨きをかけて、焦らずじっくりと前進していってほしいと思います。



《男子シングル》


c0309082_16165953.jpg


 優勝はロシアのジュニアチャンピオン、アレクセイ・エロホフ選手です。SPは3ルッツの踏み切りが不正確と判定されわずかに減点された以外は目立ったミスなく演じ切り、パーソナルベストまで2点というスコアで2位につけます。フリーは冒頭の4トゥループ+3トゥループを完璧に成功。4サルコウは着氷で乱れ、3アクセルからの連続ジャンプもクリーンな着氷とはならず。後半に入り最初の3アクセルは着氷でオーバーターン。次いで2本目の4トゥループに挑みますが、パンクして3回転になった上に転倒。その後は大きなミスなく滑り終え、得点は154.98点でフリー1位、総合1位で初出場にして初優勝を遂げました。
 ショートで1位だったアメリカのアレクセイ・クラスノジョン選手がフリーを途中で棄権したことによって優勝のチャンスが回ってきたエロホフ選手。クラスノジョン選手の直後の滑走ということで難しさもあったと思いますが、冒頭の4+3をパーフェクトに決め、その後も危なっかしい場面はありつつも、ガタガタと崩れることはなく耐えましたね。年齢的には18歳と来季にもシニアに参戦してもおかしくないですが、ようやく今シーズン花開いた遅咲きの選手でもあるので、安定感だったり精神面の強化というのはまだまだこれからの課題なのかなと思いますね。とにもかくにも世界ジュニアを制したという経験が彼に自信を与えてくれることは間違いないでしょうから、層の厚いロシア男子の一角として期待ですね。世界ジュニア選手権優勝、おめでとうございました。

 2位は同じくロシアのアルトゥール・ダニエリアン選手です。ショートは3+3が回転不足で転倒、さらには時間超過による減点1もあり、自己ベストながらも8位にとどまります。フリーは冒頭に3アクセル+1ループ+3サルコウを組み込み、完璧に成功させて良い流れを作りだすと、次いで3ルッツもきれいに着氷。後半に6つのジャンプ要素を固め、最初の3アクセルをクリーンに下りると、2アクセル、3+3と相次いで成功。終盤の3つのジャンプもミスらしいミスなくクリアし、フィニッシュではガッツポーズと満面の笑みで手応えを露わにしました。得点はこちらもパーソナルベストの149.61点でフリー2位、総合2位と大きく順位を上げました。
 昨年の12月に14歳になったばかりのダニエリアン選手。国際大会でも際立った実績はまだない選手ですが、才能の片鱗をまざまざと見せつける試合になりましたね。さすがにまだ4回転は持っていないようですが、14歳であれだけ質の高い3アクセルを跳べるというのは驚きですし、何といっても14歳という年齢を考えると、無限の伸びしろが感じられて将来が楽しみだなと思います。ロシアは女子に注目が集まりがちですが、やはり男子も総じて非常にレベルが高く、その一人としてダニエリアン選手には大いに期待したいですね。

 3位はイタリアの新星、マッテオ・リッツォ選手です。SPは3アクセルは決めたものの、3+3が3+2になるミスがあり、自己ベストから8点ほど低い得点で6位発進となります。フリーはまずショートで決められなかった3+3をクリーンに成功。次いで3アクセル+2トゥループ、3ルッツと基礎点の高いジャンプをしっかり決めます。後半はまず単独の3アクセルを成功させますが、3ルッツが2ルッツに。さらに3ループも2ループにと悪い流れが続きます。次のジャンプは予定を変更して3ルッツ+1ループ+3サルコウに挑みましたが、3つ目のジャンプが2回転になります。最後の2アクセルは無難に決め、スピンやステップシークエンスは目立った取りこぼしなくまとめましたが、自己ベストから15点ほど低いスコアでフリーも6位、しかしトータルでは3位となり、5度目の世界ジュニアにして初めて表彰台に立ちました。
 上述したダニエリアン選手とは対照的に、5度目の挑戦にしてようやくメダルを手にした19歳のリッツォ選手。先日の平昌五輪でも団体戦、個人戦ともに大いに活躍し存在感を示しましたが、その時の演技と比べるとうまくピークを合わせられなかったのかなという印象ですね。彼の自己ベストと今回のメンバーを見ると、優勝する実力は充分にあったと思うのですが、五輪とは一味違う難しさがあったのかもしれません。リッツォ選手はシニアの世界選手権にも出場予定で、そちらは母国イタリア開催というまた別の難しさも加わるでしょうが、五輪の時のように思い切りの良い演技でシーズンを笑顔で締めくくってほしいですね。

 4位はカナダのジョセフ・ファン選手。ショートは3+3の3フリップがエッジエラー、さらに3アクセルが回転不足とミスが重なり14位と大幅に出遅れ。フリーは冒頭の4トゥループがステップアウト、3アクセルも着氷でフリーレッグをつくミスと着氷の失敗が続きます。しかし直後の4トゥループ+2トゥループは成功。さらに後半の3+3、2アクセルからの3連続とコンビネーションジャンプをクリーンに決めます。終盤は細々としたジャンプミスが相次ぎましたが、パーソナルベストの145.65点でフリー3位、総合4位と表彰台まであと一歩に迫りました。

 5位はロシアのロマン・サヴォシン選手。ショートは3つのジャンプ全てでミスが相次ぎ12位に沈みます。フリーも全体的に細かなミスはありましたが、大きく減点されるようなミスはなく、4トゥループ2本、3アクセル2本を無難にまとめ5位、総合5位とジャンプアップしました。

 6位はアメリカのカムデン・プルキネン選手。ショートは3アクセルは完璧に決めましたが、3+3は2+2に、3ルッツは回転不足と痛いミスが重なり、まさかの17位に。フリーは冒頭の3+1+3の3連続ジャンプを始め、2本の3アクセルもクリーンに成功。大きなミスなく滑り切り、自己ベストに迫るスコアで4位、総合6位となりました。

 7位もアメリカの樋渡知樹選手です。ショートは冒頭の3アクセルで回転不足の上に転倒し思いがけない出だしとなりますが、その後を何とかまとめて11位。フリーは序盤の4トゥループ、3アクセルともに着氷が乱れ、中盤の3アクセルでもパンクして1回転にとミスは散見されましたが、そのほかはおおむねクリーンなエレメンツを揃え7位、総合も7位となりました。

 8位はウクライナのイワン・パブロフ選手。SPは冒頭の3アクセルでミスを犯しましたが、そのほかのエレメンツは加点が付く出来で揃え4位と好発進。フリーは2本の3アクセルに挑み、1本はクリーンに着氷。全体的に大きなミスなく演じ切り自己ベストで8位、総合8位で初入賞しました。

 全日本ジュニア王者の須本光希選手は9位となり表彰台には届きませんでした。SPは全てのジャンプをミスらしいミスなく跳び切り、3位と好位置につけます。フリーもまずは3アクセル+2トゥループを決め好調な滑り出しを見せましたが、2本目の3アクセルは着氷ミス。さらに3フリップも着氷が乱れます。後半に入っても着氷のミスが続き、最後までリズムを整えることができず、フリー9位、総合9位にとどまりました。
 ショートで良いスタートを切れただけに、フリーはもったいないとしか言えないですね。ただ、須本選手は2月の中旬の練習中に右足首を捻挫していて、今大会も痛み止めを飲んで臨んでいたとのことですから、その影響がジャンプの本数が多いフリーは如実に表れてしまったのでしょうね。彼本来の実力からすればメダルの可能性は十二分にあったと思いますが、SP後のインタビューでも3位という結果に驚きを示し、フリーに向けてもメダルへの意欲というよりは、来年の出場枠3を取ることに集中しているといった感じだったので、須本選手本人も自信が持てない中での試合だったのかなという気がしました。もっと素晴らしい演技ができる選手であるというのを知っているだけに今回は残念でしたが、怪我をしっかり治して、来季に向けてまた頑張ってほしいですね。

 全日本ジュニア2位の三宅星南選手は18位となりました。ショートは冒頭の3アクセルを決め、3+3も成功。後半の3ルッツは踏み切りのエッジが不正確とされわずかに減点を受けますが、大きなミスなく滑り切り、自己ベストの67.98点で10位につけます。フリーもまずは3アクセルでしたが、回転をコントロールできず転倒。続く3ルッツはショート同様に踏み切りが不正確に。さらに2本目の3アクセルはステップアウトとミスが続きます。後半に入り最初の3ルッツは踏み切りがロングエッジとなった上に転倒。3ループ、3フリップも着氷の乱れが重なります。終盤の3サルコウ、2アクセルは何とかこらえますが、ほとんどのジャンプでミスを犯してしまい、演技を終えた三宅選手は残念そうに肩を落としました。得点は106.68点でフリー24位、トータルではパーソナルベストを更新しましたが18位と大幅に順位を落としてしまいました。
 納得の内容となったショートから一転、フリーは転倒やこらえる着氷のジャンプが続き、演技全体の滑りとしても苦しくなってしまいましたね。結果的には自己ベスト更新となりましたが、まだ国際大会で思う存分自分の力を発揮し切れていないと思いますので、今後の伸びしろにぜひ期待したいですね。



《ペア》

c0309082_15112975.jpg


 優勝したのはジュニアGPファイナル銅メダル、ロシアのダリア・パブリュチェンコ&デニス・ホディキン組です。SPは得点源の3ツイスト初め、全ての要素をクリーンにこなしパーソナルベストで首位発進します。フリーは冒頭の3トゥループ+3トゥループのシークエンスジャンプこそミスが出てしまいましたが、続く3ツイストは完璧に成功。その後も全てのエレメンツで加点を引き出し、自己ベストの117.41点でフリーも1位、2位に10点以上の差をつける大差で完全優勝を果たしました。
 シーズン序盤から安定感のある演技でロシアジュニアのペアのエースとして好成績を収めてきたパブリュチェンコ&ホディキン組。今大会もミスは1つのみと初めての世界ジュニアとは思えない落ち着きぶりでしたね。まだ15歳と18歳という若いペアですが、将来のロシアペアのエース候補としてすでにそのポテンシャルの高さは証明済みですから、今後の躍進が今から楽しみです。世界ジュニア選手権優勝、おめでとうございました。

 2位も同じくロシアのポリーナ・コスチュコヴィッチ&ドミトリー・イアリン組。ショートは全てのエレメンツをマイナス要素なく演じ切り、自己ベストで初めて60点台に乗せ2位と好発進。フリーは冒頭で大技の4ツイストに挑みますが失敗。その後も転倒が3度という荒れた演技となりましたが、成功させた技では軒並み高い加点を積み重ね、自己ベストで3位、総合では2位に入りました。
 ショートとフリーの演技の完成度でギャップが出てしまいましたが、ジュニアながら4ツイストに挑戦するなど将来的な大器の予感も匂わせる内容だったのではないでしょうか。シーズン前半はジュニアGPのクロアチア大会で優勝しながらも2戦目のポーランド大会は崩れて6位となり、ファイナル進出は逃したコスチュコヴィッチ&イアリン組。今回もショートとフリーでバラつきがあり、安定感という課題は残りましたが、まだジュニア1季目で経験の浅いペアでもあるので、今季の経験を来季に活かしてほしいですね。

 3位もロシアのアナスタシア・ミーシナ&アレクサンドル・ガリアモフ組。ショートはスロー3ループの着氷で乱れがあり4位。フリーはサイドバイサイドの3サルコウで転倒する場面がありましたが、そのほかのエレメンツは高いレベルとクオリティーでまとめフリー2位、総合3位となりました。
 ショート、フリーともにミスはありましたが、ミスを連発しなかったことが銅メダルに繋がりましたね。昨シーズンまでは女性のミーシナ選手は別のパートナーとのペアでジュニアGPファイナルを制するなど結果を残していましたが、シーズン後にペアを解消、今季からガリアモフ選手と組むことに。そのためにシーズン序盤はジュニアGPへの参戦はありませんでしたが、世界ジュニアを懸けたロシアジュニア選手権でしっかり2位に入って切符を獲得し、この世界ジュニアでも確実に結果を出しました。元々実力のある二人と言えますから、ペア結成1季目でさっそく世界に名前をアピールして、2季目以降にさらなる躍進が期待できそうですね。

 以下、4位は中国の高誉萌(ガオ・ユーメン)&解众(ジー・ジョン)組、5位はアメリカのオードリー・ルー&ミーシャ・ミトロファノフ組、6位はイギリスのイヴリン・ウォルシュ&トレント・ミショー組、7位はドイツのタリサ・トマラ&ロベルト・クンケル組、8位はアメリカのサラ・フェン&トミー=ジョー・ナイマン組となっています。

 日本の三浦璃来&市橋翔哉組は10位となりました。SPは2ツイストで若干減点されましたが、そのほかの要素は全て加点を得て、自己ベストを3点以上更新し9位と健闘。フリーは2ツイストをレベル3で減点なくまとめ、ソロジャンプの3トゥループが2回転になるなどミスがいくつかあったものの、全体的には減点を最小限に抑えて自己ベストを5点以上上回り、フリー11位、総合10位で自己最高位をマークしました。
 細かなミスはありましたが、大崩れすることなく最初から最後まで自分たちのペースを保って演技できたのではないでしょうか。まだ世界のトップペアとの実力差はありますが、着実に進歩、成長しているという印象で、数少ない日本のペアの一角として今後も期待したいですね。



《アイスダンス》

c0309082_16471591.jpg


 アイスダンスを制したのはロシアのアナスタシア・スコプツォワ&キリル・アリョーシン組です。ショートは全てのエレメンツをクリーンに揃え、2位に4点差以上をつけてトップに立つと、フリーもステップ1つ以外は全てのエレメンツでレベル4を取り、自己ベストにはわずかに及ばなかったものの1位、総合1位で初制覇しました。
 今季はジュニアGPファイナルも優勝と順風満帆にシーズンを過ごしてきたスコプツォワ&アリョーシン組。今大会もライバルたちに隙を見せず、いつもどおりの安定した演技で念願の金メダルを射止めました。エレメンツのレベルの取りこぼしも非常に少なく、加点もしっかり取れていて、ほかのカップルとは一段階レベルの違う滑りを見せつけた形となりましたが、ロシアの場合は国内の争いもジュニア、シニアともに世界一厳しいですから、今大会の経験と結果を自信にして頑張ってほしいですね。世界ジュニア選手権優勝、おめでとうございました。

 2位はアメリカのクリスティーナ・カレイラ&アンソニー・ポノマレンコ組。SDはツイズルでまさかのミスがあり6位と出遅れ。しかしFDはほぼノーミスの演技で2位となり、総合2位と一気に追い上げ2年連続でメダルを獲得しました。
 実力者で安定感が持ち味のカレイラ&ポノマレンコ組にしては珍しくショートで大きなミスを犯してしまいましたが、フリーは自分たちらしさを取り戻して挽回しましたね。優勝も狙える力を持っているだけにもったいなかったですが、ショート6位から立て直せたという経験が二人にとって得がたい財産になったのではないでしょうか。

 3位はロシアのアリーナ・ウシャコワ&マキシム・ネクラソフ組。SDは目立ったミスなくそつのない演技でパーソナルベストの3位と好発進。FDはステップが1つレベル2なった以外は全てレベル4を揃え、自己ベストに近いスコアで3位、総合でも3位と初出場にして表彰台に立ちました。
 今シーズンはジュニアGPで初優勝を果たし、ファイナルにも初進出と一歩一歩成長し、成績を伸ばしてきたウシャコワ&ネクラソフ組。今大会もショート、フリーともに3位と危なげない演技で実力どおりの力を発揮したという印象ですね。優勝したスコプツォワ&アリョーシン組とともに、未来のロシアアイスダンス界をリードする存在として今後も注目ですね。

 以下、4位はカナダのマージョリー・ラジョワ&ザカリー・ラガ組、5位はロシアのソフィア・シェフチェンコ&イゴール・エレメンコ組、6位はアメリカのキャロライン・グリーン&ゴードン・グリーン組、7位もアメリカのクロエ・ルイス&ローガン・バイ組、8位はフランスのナターシャ・ラグージュ&コランティン・ライエ組です。

 日本の矢島榛乃&島崎大暉組はSD23位でFD進出はなりませんでした。パターンダンスではいくつか減点を取られる部分があり、ツイズルやリフトではレベル、加点ともに確実に獲得しましたが、23位にとどまりフリーには進めませんでした。
 今季は初めて全日本ジュニア王者となり、その時点では世界ジュニアへの派遣は決定していなかったものの、その後世界ジュニアに出場するために必要な最低技術点の条件をB級国際大会出場でクリアし、世界ジュニア初出場となりました。まだジュニアGPへの派遣もない若いペアですが、初めての大きな国際舞台が世界ジュニアという貴重な経験ができて、来季に向けて大きな財産になったと思いますから、ぜひ来季に活かしていってほしいですね。



 さて、世界ジュニアの記事は以上です。終わってみれば女子、男子、ペア、アイスダンス全てをロシアが制覇。これは1996年以来で、フィギュア大国ロシアの威厳を示した形となりました。とはいえ女子とアイスダンス以外は近年は決して他国に対して優位に立ってきたわけではなく、男子でロシア選手が優勝するのは2004年のアンドレイ・グリアゼフさん以来ですし、ペアも2009年のリュボーフィ・イリュシェチキナ&ノダリー・マイスラーゼ組以来なので、強化、育成の結果が徐々に4種目全体に渡って表れつつあるのかなという感じですね。来季もジュニアではロシア勢の活躍が見込まれますが、こうした育成の成果がシニアにどう繋がっていくのかというのも注目のしどころですね。
 一方、日本勢はメダルとしては女子の山下選手の1個のみとロシアを始めとした海外勢の壁に阻まれた形に。紀平選手や須本選手は本来の力を発揮できればもう少し上位に食い込めたのではないかという印象でしたが、来シーズンにこの悔しさをきっと活かしてくれると思いますから、決して無駄な経験にはならないのではないでしょうか。
 さて、次はシニアの世界選手権です。全選手にとって満足のいく試合となることを願っています。では。


:記事内の画像は全て、フィギュアスケート情報サイト「Golden Skate」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
ジュニアグランプリシリーズ17/18について 2017年10月20日
ジュニアグランプリファイナル2017―日本勢健闘 2017年12月21日

[PR]
by hitsujigusa | 2018-03-19 23:27 | フィギュアスケート(大会関連) | Comments(0)

c0309082_23553827.jpg


 前記事に引き続き、平昌五輪の女子の結果についてお伝えしていきます。なお、前編はこちらからご覧ください。

Olympic Winter Games 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 6位と健闘したのは日本の新星、坂本花織選手です。

c0309082_23490667.jpg

 SPは全てのジャンプを後半に組み込み、ベートーベンの「月光」の厳かな旋律に乗せてまずはスローパートを丁寧に演じます。そして後半、鍵を握る3フリップ+3トゥループを完璧に決めると、次いで3ループ、2アクセルもしっかり成功。最後を回転の速いコンビネーションスピンで締めくくった坂本選手は、力強く拳を握り締めて満足感を露わにしました。得点は自己ベストを上回る73.18点で5位と好発進します。

c0309082_00003370.jpg

 フリーは冒頭に得点源の3フリップ+3トゥループ、これを余裕を持ってクリーンに下り1.2点の加点を得ます。さらに3サルコウも全く問題なく跳び切り、最高の滑り出しに。続くステップシークエンス、スピンともにレベル4を取って後半、苦手としている3ルッツは着氷はきれいだったものの、踏み切りのエッジがロングエッジと判定され減点。続く3+2を成功させ、2アクセル+3トゥループ+2トゥループもクリーンに着氷。終盤に入り3ループは着氷でステップアウト。最後の2アクセルは無難に決め、演技を終えた坂本選手は悔しさを滲ませつつも、満面に笑みを浮かべました。得点は136.53点でフリー6位、総合6位となり、初五輪にして初入賞しました。
 ショート、フリーともに実に坂本選手らしいダイナミックさ、のびやかさ、溌剌さが存分に表れた演技でしたね。フリーは細かなミスがありましたが、全体を通してよくコントロールされていて、場の雰囲気に飲まれてしまった団体戦とは見違えるようでした。坂本選手も宮原選手同様に団体戦後に北九州で練習していたようですから、団体戦の教訓をうまく個人戦に反映させられたのかなと思います。
 今シーズンは怒濤の快進撃で全日本選手権2位、四大陸選手権優勝、そして五輪6位と世界のトップレベルに駆け上がった坂本選手ですが、1年前はまさか坂本選手がこれほどまでの選手に成長するとは想像できませんでした。ジュニア時代からの坂本選手のイメージに劇的な変化はないものの、人知れないところで相当な努力を積み重ねたことが、同世代のライバルたちを追い抜いての現在のポジションに繋がったことは間違いないでしょうね。世界選手権の代表には選ばれていないので、このあとほかの試合に出るのかどうかはわかりませんが、まずはゆっくり体を休めて、今季の経験を来季に活かせるよう充実のオフシーズンを送ってほしいと思います。


 7位は韓国の実力者、チェ・ダビン選手です。

c0309082_00213392.jpg

 ショートはまず得点源の3ルッツ+3トゥループを確実に回り切って下りると、後半に組み込んだ3フリップ、2アクセルも危なげなく成功。ステップシークエンス、スピンは全てレベル4と取りこぼしなくまとめ、パーソナルベストを約2点更新する67.77点で8位に食い込みます。
 フリーも冒頭は3ルッツ+3トゥループでしたが、ファーストジャンプの着氷でこらえ気味になりセカンドジャンプには繋げられず。続く3フリップ、2アクセル+3トゥループは予定どおりに成功させます。後半最初は3ループを決めると、次いで3ルッツの後ろに2回転ジャンプ2つをつける3連続ジャンプの予定でしたが、急遽セカンドジャンプを3トゥループに変更して挑み、見事クリーンに成功させます。さらに3+2、2アクセルとクリーンな跳躍を続け、フィニッシュしたチェ選手はほっとしたように微笑みました。得点はこちらも自己ベストを上回る131.49点でフリー8位、総合7位で初めての五輪を終えました。
 韓国のエースとして大きな期待を背負って母国開催の五輪に臨んだチェ選手。全体を通して非常に冷静で落ち着いていましたね。団体戦のショートでも落ち着きぶりは際立っていましたが、さらに重圧がかかったであろう個人戦も周囲の雰囲気に惑わされることなく、自分自身がやるべきことを淡々と一つ一つクリアしていったという印象を受けました。特にフリーは冒頭のジャンプが予定どおり決まらず、焦って崩れてもおかしくない場面でしたが、後半に臨機応変なリカバリーを見せて精神的にもタフな選手であることを証明しました。韓国の場合、五輪代表となるためには対象となる国内試合を3試合戦って、そのポイントの合計で代表を選ぶというシステムでしたが、国内のライバルと直接的に戦う試合を経験して勝ち抜いたことで、どんどん自信と安定感を手に入れていったのかなという気もしますね。
 次戦は世界選手権。昨年はこの大会でたった一人の韓国代表として出場し、10位と健闘したことによって韓国に五輪の2枠をもたらしました。今年も同じような輝きを放てるのか、注目ですね。


 8位はOAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)のマリア・ソツコワ選手です。

c0309082_01004132.jpg

 SP冒頭は鍵を握る3ルッツ+3トゥループでしたが、3ルッツで転倒しコンビネーションジャンプにはならず。後半の3フリップに3トゥループをつけてリカバリーを見せますが、こちらは3トゥループがアンダーローテーション(軽度の回転不足)となって減点。最後の2アクセルは何とか決めましたが、精彩を欠いた演技となり、63.86点で12位と大きく出遅れました。
 フリー冒頭はショートで失敗した3ルッツ+3トゥループ、今度はしっかり成功させ加点も獲得します。さらに3フリップもクリーンに決め、前半は申し分ない演技に。後半に入り最初の3ループを着氷しますが、続く3+1+3はサードジャンプが2回転に。その後はミスらしいミスなく全てのエレメンツをこなし、134.24点でフリー7位、総合8位と挽回しました。
 シーズン中でもあまり見ない冒頭のジャンプの転倒によってリズムを狂わしてしまったショート。一転フリーは全体的によくまとまった演技でしたが、一つ一つのエレメンツとしては慎重さが感じられたかなと思います。本領を発揮できればもっと上位でメダル争いにも加わっていた選手だと思いますので、ソツコワ選手らしさを思う存分出し切れなかったのは残念でしたが、フリーでショートの失敗を引きずることなく立て直せたのは実力の証ですね。
 まだ脆さもある選手ですが、ジャンプが決まれば持ち味の華やかさやダイナミックさもさらに際立って魅せられると思うので、世界選手権では好い演技が見られることを祈っています。


 9位は全米女王のブレイディ―・テネル選手です。

c0309082_01263373.jpg

 SP冒頭は3ルッツ+3トゥループでしたが、セカンドジャンプで転倒してしまい大幅な減点に。後半の3ループ、2アクセルはクリーンにこなし挽回しますが、冒頭のジャンプミスが響き64.01点で11位にとどまります。
 フリーもまずは3ルッツ+3トゥループ、これを今度は完璧に下りて1.1点の加点を獲得。次いで2アクセル、3フリップときれいなジャンプを続けます。レベル4のスピンとステップシークエンスを挟んで後半、得点源の2アクセル+3トゥループはセカンドジャンプがアンダーローテーションで着氷も乱れます。直後の3ルッツも同じ形のミスに。3+2+2と3サルコウは決めて終盤は盛り返し、プログラムを締めくくる2つのスピンもレベル4。128.34点でフリー9位、総合も9位となりました。
 団体戦のショートにも出場したテネル選手ですが、パーソナルベストをマークしたその時の演技と比べると緊張感がより濃かったのかなと思います。それでもスピンやステップでの取りこぼしはほぼなく、テネル選手らしいのびやかさや優雅さも垣間見えましたね。アメリカのチャンピオンとしてのプレッシャーは並々ならぬものがあったでしょうが、合格点とまでは言えないものの、及第点の演技にはなったのではないでしょうか。
 初めてとなる世界選手権でも全米女王として自信を持って思い切りぶつかっていってほしいですね。


 10位はアメリカのベテラン、長洲未来選手です。

c0309082_17231916.jpg

 ショート冒頭は新たな代名詞となった大技3アクセル、回転は充分だったものの着氷でこらえきれず転倒してしまいます。ですが、直後の3フリップ+3トゥループはクリーンに成功。後半の3ループは若干乱れたものの最小限のミスに抑え、また、得意のスピンは3つともしっかりレベル4でまとめ、66.93点で9位につけます。
 フリーも冒頭は3アクセルでしたが、回転する前に抜けた形になってしまい無得点に。ですが、次の3フリップ+3トゥループは確実に着氷。さらに3サルコウもきれいに下ります。後半は最初の2アクセル+3トゥループ+2トゥループを完璧に跳び切って好調な出だしでしたが、若干苦手としている3ルッツはパンクして1回転に。3フリップはこらえつつもまとめ、最後の3+2も成功。冒頭のミスを忘れさせるエネルギッシュな演技を披露し、演技を終えた長洲選手は悔しそうに苦笑いを浮かべつつも笑顔で観客の歓声に応えました。得点は119.61点でフリー12位、総合10位となりました。
 団体戦フリーに続き果敢に3アクセルに挑んだ長洲選手。残念ながら2本とも不首尾に終わりましたが、演技全体を通して楽しみながら滑っている雰囲気、最後まで諦めない攻めの姿勢が感じられましたね。24歳というベテランの年齢ですが、もちろん成熟している部分もある一方で、非常にフレッシュでみずみずしさを感じるような滑りでもあり、今後もまだまだ進化していけるんじゃないかなと思います。
 2年ぶりの世界選手権でも3アクセルを始め、長洲選手らしさを思う存分発揮してほしいですね。



 さて、平昌五輪・女子の記事は以上です。上位の顔ぶれを見渡すと実力者が実力どおりの力を出し切ったなという印象でしたね。また、この記事では取り上げなかった下位の顔ぶれを見ても、決してフィギュアが盛んではない国の選手たちでも普通に3+3を跳んだり、高いスケーティング技術を持っていたりと、全体的に底上げされているなと思いました。男子とは違って大技に挑む選手は少ないですが、その分男子以上に工夫を凝らしたりオリジナリティーを追求したりしたプログラムが多かったような気がします。
 平昌五輪関連の記事はこれで全て終了です。4年に1度の大舞台、笑顔の選手も涙した選手も、いろんな物語が氷上で繰り広げられ、演技自体を楽しめたのはもちろんのこと、一人ひとりの選手の人生が垣間見える大会でもありました。
 多くの選手たちが次に見据えるのは今シーズンの集大成となる世界選手権。こちらでも白熱した試合が見られることを願っています。では。


:女子メダリスト3選手のスリーショット画像、チェ選手の画像、ソツコワ選手の画像、長洲選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、坂本選手の画像は、時事通信のニュースサイト「時事ドットコム」の平昌五輪写真特集ページから、テネル選手の画像はマルチメディアサイト「Zimbio」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
平昌五輪・団体戦(男子SP&ペアSP)―宇野昌磨選手、パーソナルベストに迫る高得点で1位 2018年2月11日
平昌五輪・団体戦(女子SP&アイスダンスSD&ペアフリー)―エフゲニア・メドベデワ選手、世界最高得点で1位 2018年2月14日
平昌五輪・団体戦(男子フリー)―パトリック・チャン選手、シーズンベストで1位 2018年2月15日
平昌五輪・団体戦(女子フリー&アイスダンスFD)―カナダ、大差で初優勝 2018年2月17日
平昌五輪・ペア―サフチェンコ&マッソ組、フリー世界最高得点で金メダル 2018年2月21日
平昌五輪・男子―羽生結弦選手、史上4人目の2連覇(前編) 2018年2月24日
平昌五輪・男子―羽生結弦選手、史上4人目の2連覇(後編) 2018年2月26日
平昌五輪・アイスダンス―ヴァーチュー&モイア組、世界最高得点で金メダル 2018年2月27日
平昌五輪・女子―アリーナ・ザギトワ選手、世界歴代2位の高得点で金メダル(前編) 2018年3月2日

[PR]
by hitsujigusa | 2018-03-05 23:38 | フィギュアスケート(大会関連) | Comments(0)

c0309082_23553827.jpg


 2月9日から25日にかけて開催された平昌五輪。フィギュアスケートは開幕初日から団体戦が行われ、14日からペア、男子、アイスダンスと順々に個人戦が繰り広げられましたが、その最後を飾ったのが女子です。この記事ではその女子の結果について書いていきます。
 熾烈な女子の戦いを制したのはOAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)のアリーナ・ザギトワ選手。シニアデビューシーズンにして五輪制覇という快挙を成し遂げました。2位は世界女王、同じくOARのエフゲニア・メドベデワ選手、3位はカナダの実力者、ケイトリン・オズモンド選手となりました。

Olympic Winter Games 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

*****

 オリンピック女王となったのは、OARのアリーナ・ザギトワ選手です。

c0309082_16344320.jpg

 SPはいつもどおりジャンプを全て後半に組み込み、前半はスピン、ステップシークエンスで緊張感漂うスローパートを丁寧に表現。そして後半、最初の3ルッツ+3ループを完璧に決めると、3フリップ、2アクセルと相次いで成功。曲の盛り上がりに合わせ、柔軟性を活かした2つのスピンで観客の拍手を誘うと、フィニッシュしたザギトワ選手はガッツポーズで手応えを露わにしました。得点は世界最高となる82.92点で首位に立ちます。
 フリーもまずはコレオシークエンスでゆったりと音楽に乗せて滑り、スピン、ステップシークエンスをきっちりとこなします。後半に入りようやく1つ目のジャンプ、3ルッツ+3ループからでしたが、ファーストジャンプで若干こらえたため単独にします。続いて2アクセル+3トゥループ、3+2+2は完璧に着氷。そして終盤に差し掛かり、単独の予定だった3ルッツに3ループをつけてパーフェクトに成功。さらに3サルコウ、3フリップ、2アクセルと残りのジャンプも全てクリーンに下りて、演技を終えたザギトワ選手はショートに続き満足そうに笑みを浮かべました。得点は156.65点でフリー2位、ショートのリードを守って総合1位となり、弱冠15歳ながらオリンピックチャンピオンに輝きました。
 団体戦のフリーではパーソナルベストをマークし、シーズン序盤からの勢いを保ったまま個人戦を迎えたザギトワ選手。完全無欠だったショート、そしてわずかなほころびはあったものの演技中にしっかり修正し最終的にはほぼノーミスでまとめたフリーと、最後まで圧巻でしたね。さすがに金メダルがよぎったのかフリーは最初のジャンプで慎重さがうかがえましたが、次のジャンプで何事もなかったかのように立て直した姿は、15歳離れした冷静沈着ぶりでした。やはりあれだけの難しいジャンプ構成を完璧にこなせる体力はもちろんのこと、精神のタフさも印象深く、技術力があるというのはもちろんですが、練習に裏打ちされた自信があるからこその強さなんだろうなと思いますね。
 後半に全てのジャンプを固める構成についてはやはり批判もあり、国際スケート連盟がそのことに関連したルール改正も考えているといった報道も見られましたが、それだけザギトワ選手の存在、成し遂げたことが世界に与えたインパクト、影響は大きく、プログラムの芸術性以上に、ジャンプが際立った演技になってしまったのは否めないのかなと感じます。ただ、彼女が偉大なことを達成したのは間違いないですから、ただただ拍手を送りたいなと思いますし、一方で、15歳にして世界の頂点を極めたザギトワ選手が今後どういうスケーターに成長していくのか、本当の意味で真価が問われるのはこれからなのかなとも思いますね。平昌五輪優勝、おめでとうございました。


 銀メダルを獲得したのは世界女王、OARのエフゲニア・メドベデワ選手です。

c0309082_00004806.jpg

 ショートはザギトワ選手同様、全てのジャンプを後半に跳ぶ構成で臨み、スピン、ステップシークエンスで確実にレベルと加点を取ると、後半の3フリップ+3トゥループ、3ループ、2アクセルと次々クリーンに着氷。終盤のスピン2つもレベル4で、パーソナルベストとなる81.61点で首位と僅差の2位につけます。
 最終滑走となったフリー。まずは単独の3フリップの予定でしたが、変更して3フリップ+3トゥループのコンビネーションジャンプを確実に成功させます。次いで若干苦手としている3ルッツも下り、前半は上々の内容に。後半に入り、まず単独の3フリップを決めると、3ループも成功。2アクセルからの3連続ジャンプを決め、さらに3サルコウ+3トゥループも完璧。最後の2アクセルをクリアし、最後は美しいスピンで締めくくると、演技を終えたメドベデワ選手は感極まり両手で顔を覆いました。得点は156.65点でザギトワ選手と同点でしたが、演技構成点で上回ったメドベデワ選手が1位に。しかしトータルスコアではわずかに及ばず2位となりました。
 ショート、フリーともにノーミスの演技を披露したメドベデワ選手。フリーの演技直後は重圧から解き放たれたように感情を露わにし、キス&クライでは笑顔で観客の拍手に応えましたが、惜しくも金メダルには届きませんでした。個人的には得点が表示されるまではメドベデワ選手が勝ったんじゃないかなと思ったのですが、思ったほど得点が伸び切りませんでしたね。演技構成点はメドベデワ選手の方がザギトワ選手よりもちろん上ですが、ただショートに関してはその演技構成点も1点差もないですし、フリーも約2点と小差にとどまっています。昨年のワールド・チーム・トロフィーで世界最高をマークした時は演技構成点のパフォーマンスの項目で10点満点が出ているので、今回もそれくらい出てもおかしくないかなという気がしたのですが、オリンピックのわりにはメドベデワ選手に対してはそこまで大盤振る舞いではなかったですね。確かに演技全体の滑りとしては少し勢いに欠けた印象もあったので妥当なのかもしれませんが、シニア1季目のザギトワ選手とここまで差がないのもどうなんだろうなとは感じました。個人的にはここ数シーズンの女子フィギュア界を引っ張ってきたメドベデワ選手に順当に金メダルを取ってほしかったなという想いもありましたが、こればかりは勝負事なので仕方ないですね。
 キス&クライで自身の得点と順位を確認した後、涙を流したメドベデワ選手。悔しさから溢れる涙なのか、安堵感から溢れる涙なのかはわかりませんが、ずっと勝ち続けてきた彼女にしかわからない尋常ならざるプレッシャーというものがあったと思います。メドベデワ選手はこれまであまり五輪について具体的な目標を語ることはありませんでしたが、実際に試合を終えて目の前で金メダルが指先から逃げていったという悔しさはやはりあるのではないかと想像します。それでも結果をありのままに受け止め、後輩のザギトワ選手を称え、穏やかに微笑んでいる姿を見ると、ようやく解放されてほっとした気持ちもあるのかなという気もしましたね。節目の五輪を終えて、今後はまたのびのびとメドベデワ選手らしい演技を見て欲しいと思います。


 3位は世界選手権2017銀メダル、カナダのケイトリン・オズモンド選手です。

c0309082_02024606.jpg

 ショート冒頭は得点源の3フリップ+3トゥループ、これを抜群の高さと幅で成功させ1.9点の加点を得ると、続く3ルッツもクリーンに着氷。後半の2アクセルも難なく下り、ステップシークエンス、スピンは全てレベル4。エディット・ピアフの歌声に乗せて軽快な滑りで観客を沸かせ、パーソナルベストかつ世界歴代3位となる78.87点で3位と好発進します。
 フリーもまずは3フリップ+3トゥループからで、ショート同様に余裕を持って成功させます。さらに2アクセル+3トゥループもパーフェクトで、両ジャンプとも1.9点の加点を獲得します。次の3ルッツは着氷が乱れ減点となりますが、最小限のミスに抑えます。課題の後半、最初の3ループをクリーンに決めると、3フリップ、3+2+2と危なげなく成功。最後の2アクセルをクリアすると、終盤は気迫に満ちたステップシークエンスで“黒鳥”を思う存分演じ切り、フィニッシュしたオズモンド選手は達成感を表情に滲ませました。得点はこちらも自己ベストかつ世界歴代3位の152.15点でフリー3位、総合3位で銅メダルを手にしました。
 団体戦のショートにも出場したオズモンド選手ですが、この時は最初の3+3でミスが出て、さらに直後の3ルッツもミスを犯して70点台前半のスコアにとどまりました。そこからどれだけ修正できたかが注目ポイントでしたが、短期間でしっかり改善されていて素晴らしいショートでしたね。そしてフリーも、いつもならば後半にスタミナが切れてジャンプミスが散見されるのですが、今回は前半の3ルッツのステップアウト以外はクリーンなジャンプばかりで、最後まで集中していましたね。ショートを理想的な展開と順位で終えられたことがフリーに向けて心の余裕に繋がったのかもしれません。また、メダルを意識してしまうと体の動きが硬くなったり縮こまったりすることも考えられますが、オズモンド選手は終始のびやかに滑れていて、自分の演技のみにフォーカスできていたのかなと思いますね。
 大きな怪我を乗り越えて五輪の表彰台にたどり着いたオズモンド選手。22歳と中堅からベテランの域に差し掛かっていますが、表現面でもまだまだ極めていける選手だと思いますので、今後も期待したいですね。


 4位に入ったのは日本のエース、宮原知子選手です。

c0309082_15210560.jpg

 SP冒頭は得点源の3ルッツ+3トゥループ、これを完璧に回り切って着氷します。後半に2つのジャンプを組み込み、最初の3ループ、そして最後の2アクセルともに確実に成功。ステップシークエンス、スピンもいつもどおり丁寧にこなしてレベル4かつ全て加点1以上を積み重ね、パーソナルベストとなる75.94点で4位と好位置につけました。

c0309082_15581484.jpg

 フリーはまず得意の3ループをクリーンに下りて1点の加点を獲得。続いて得点源の3ルッツ+3トゥループもきっちり回り切って着氷し、こちらも1点の加点を得ます。次の3フリップも難なく成功させ、好調な滑り出しを見せます。スピン2つとステップシークエンスを挟んで後半、最初の3+2+2をきれいに下りると、2アクセル+3トゥループも鮮やかに決め1.2点の加点。さらに3サルコウ、2アクセルと危なげなく成功させ、繊細かつダイナミックな「蝶々夫人」の物語を全身で表現し、フィニッシュした宮原選手は両手を握り締めて天に突き上げ喜びを爆発させました。得点はパーソナルベストとなる146.44点でフリーも4位、総合4位で初めての五輪を終えました。
 思いがけない回転不足を取られ困惑の表情を浮かべた団体戦のショートから10日、素晴らしい修正能力でショート、フリーともに減点要素の一つもない完璧な演技を見せてくれましたね。団体戦の後は日本の北九州のリンクで調整していたそうですが、団体戦ショートでは自分でも回り切っていると思った3+3が回転不足を取られ、心理的に不安に陥ってもおかしくない状況でしたが、焦ることなく課題に向き合って実際に乗り越えた姿からは、ジュニア時代からシニアに上がっても何度も何度も困難な壁にぶつかりながらも、そのたびに真正面から乗り越えてきた宮原選手らしさをヒシヒシと感じましたね。努力の天才として知られる宮原選手ですが、何よりも努力することをいとわず当たり前に取り組める姿勢こそが、団体戦から個人戦という短い期間でも完璧に修正できた理由なんだろうなと改めて思いました。個人的にはいろんな苦難を克服してきた宮原選手にこそ、メダルを取らせてあげたかったなと今でも思いますが、滅多に大きなアクションをしない彼女がフリーの演技後に派手なガッツポーズを見せてくれただけでも本当に良かったなと心から思いますし、1年前には試合に出ることさえ絶望的な状況だったことを考えると、必死の努力で今季に間に合わせ、そして念願の五輪にたどり着き素晴らしい演技を披露してくれたということに感謝したい気持ちでいっぱいですね。
 次戦は世界選手権。体調にはよくよく気をつけながら、また宮原選手らしい繊細で華麗な演技を見せてほしいと思います。


 5位はイタリアの大ベテラン、カロリーナ・コストナー選手です。

c0309082_16554358.jpg

 ショート冒頭は得点源の3フリップ+3トゥループからでしたが、ファーストジャンプの着氷が詰まったためセカンドジャンプは2トゥループに抑えます。次いで得意の3ループも着氷で乱れます。後半の2アクセルはクリーンに着氷し、ステップシークエンス、スピンでは軒並み高い加点を稼ぎ、73.15点で6位につけます。
 フリー冒頭は苦手としている3ルッツ、これをクリーンに決めてまずは順調な出だし。続いて3フリップからのコンビネーションジャンプでしたが、着氷が乱れセカンドジャンプには繋げられず。直後の3ループはスムーズに成功させます。後半最初の3トゥループは若干こらえながらも決めましたが、2アクセル+1ループ+3サルコウは1ループがアンダーローテーション(軽度の回転不足)のため減点に。残りの2アクセル、3+2は予定どおり下り、代名詞のステップシークエンスでは全身を余すことなく自由自在に使い、ゆったりとした旋律の中でも緩急豊かに滑り切り、演技を終えたコストナー選手は穏やかに破顔しました。得点は139.29点でフリー5位、総合5位となりました。
 実に4度目の五輪となったコストナー選手。ジャンプ自体の調子は団体戦、個人戦を通して上がり切らなかったのかなという印象なのですが、ジャンプにミスがあっても魅せられる数少ないスケーターの一人として、最後までコストナー選手らしさは存分にうかがえましたね。得点に関してはミスがあったわりには高いんじゃないかな?と思ったりもしますが、でもあの演技を見せられると、指先から腕、膝、爪先、背中と体の隅々まで全く引っかかりのない動きというか、眺めていて少しも違和感なくスッと心に入ってくる身のこなしというのはやはり別格だなと感じますね。
 次戦はコストナー選手にとって母国開催となるミラノでの世界選手権。年齢的には引退という二文字がどうしてもちらついてしまいますが、ミラノで彼女がどんな演技を見せて今季を締めくくるのか楽しみですね。



 さて、平昌五輪の女子の前編はここまで。6位から10位までの選手に関しては後編に書きますので、もうしばらくお待ちください。


:女子メダリスト3選手のスリーショット画像、メドベデワ選手の画像、宮原選手のフリーの画像、コストナー選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ザギトワ選手の画像は、時事通信の公式ニュースサイト「時事ドットコム」内の平昌五輪写真特集ページから、オズモンド選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」の平昌五輪特集ページから、宮原選手のSPの画像は、中日新聞のニュースサイト「CHUNICHI Web」が2018年2月22日に配信した記事「宮原4位「ほっとした」 回転不足修正、初の75点台」から引用させていただきました。

【ブログ内関連記事】
平昌五輪・団体戦(男子SP&ペアSP)―宇野昌磨選手、パーソナルベストに迫る高得点で1位 2018年2月11日
平昌五輪・団体戦(女子SP&アイスダンスSD&ペアフリー)―エフゲニア・メドベデワ選手、世界最高得点で1位 2018年2月14日
平昌五輪・団体戦(男子フリー)―パトリック・チャン選手、シーズンベストで1位 2018年2月15日
平昌五輪・団体戦(女子フリー&アイスダンスFD)―カナダ、大差で初優勝 2018年2月17日
平昌五輪・ペア―サフチェンコ&マッソ組、フリー世界最高得点で金メダル 2018年2月21日
平昌五輪・男子―羽生結弦選手、史上4人目の2連覇(前編) 2018年2月24日
平昌五輪・男子―羽生結弦選手、史上4人目の2連覇(後編) 2018年2月26日
平昌五輪・アイスダンス―ヴァーチュー&モイア組、世界最高得点で金メダル 2018年2月27日
平昌五輪・女子―アリーナ・ザギトワ選手、世界歴代2位の高得点で金メダル(後編) 2018年3月5日

[PR]
by hitsujigusa | 2018-03-02 17:47 | フィギュアスケート(大会関連) | Comments(0)