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 前記事に引き続き、17/18シーズンの現役選手たちのコスチュームのベスト10を紹介するベストコスチューム17/18。今回は男子フリー部門です。なお、衣装を選ぶにあたっての基準、ルールについてはこちらの記事の冒頭をご覧ください。

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 栄えある男子フリー部門の第1位は、アメリカのアダム・リッポン選手の「Arrival of the Birds 映画『The Crimson Wing: Mystery of the Flamingos』より/O」です。

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 16/17シーズンから継続となったリッポン選手のフリー「Arrival of the Birds 映画『The Crimson Wing: Mystery of the Flamings』より/O」。ただ、衣装は16/17シーズンからガラリとイメージをチェンジし、華やかできらびやかな衣装を2着使用しましたが、今回はより多く使われた方を選びました。
 トップス、ボトムスともにブルー系で統一した落ち着いた印象の色づかい。ですが、トップスは全面的にラインストーンで覆われており、非常に華やかな印象を与えます。ベースとなる生地はうっすら透け感があり、淡いブルーのグラデーションになっています。その上にびっしりとラインストーンが施されているわけですが、無造作に配置されているのではなく、体の中心を貫くような縦のラインから枝分かれするような形で幾本ものラインが伸びています。樹のようなデザインにも見えますが、“鳥”をイメージしたプログラムですからどこか羽根のような感じにも見え、見ているこちらの想像力を喚起するような衣装と言えます。ものすごく奇抜というわけではなく、しかし他の選手には真似できないリッポン選手ならではの独自性をヒシヒシと感じる素晴らしいコスチュームだと思います。


 2位は日本の宇野昌磨選手の「トゥーランドット」です。

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 15/16シーズン以来となる2度目の「トゥーランドット」を演じた宇野選手。四大陸選手権でのみ黄色の衣装を着用しましたが、それ以外の試合では画像の青い衣装を使用しました。
 トップスは立て襟の長袖ジャケット。胸元が大きく開いた作りで、その周りは金糸でエキゾチックな模様の刺繍や装飾が施されていて、中国が舞台の「トゥーランドット」らしさを感じます。また、二の腕から下は透け感のあるシースルー素材にすることで変化をつけていて、ボディ部分の重厚感と袖の軽やかさのバランスが絶妙だなと思います。こうした重厚さと軽快さのバランスの巧さというのは以前の「トゥーランドット」のグリーンの衣装とも共通することで、もちろん2シーズンを経て宇野選手の表現力や技術力も進化し、プログラムとしてもよりスケールアップしているのですが、基本的なコンセプト、スピリットは受け継いでいるんだなというのが衣装からもうかがえますね。


 3位はロシアのミハイル・コリヤダ選手の「エルヴィス・プレスリー・メドレー」です。

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 エルヴィス・プレスリーの「スティーム・ローラー・ブルース」、「好きにならずにいられない」、「リップ・イット・アップ」の3曲を組み合わせたメドレープログラム。ロシアのエースであるコリヤダ選手がアメリカの象徴ともいえるプレスリーを演じるという興味深いプログラムでしたが、衣装も”キング・オブ・ロックンロール”と称されたプレスリーらしさを強く意識したものとなっています。
 最も特徴的なのは黒い襟付きジャケット。前合わせには左右4つずつ黒いジュエリー風の装飾がボタンのように配置されていて、さらには腰にも同じようにごつめのベルトと、ロックンローラーっぽいアイテムづかいがなされていてインパクトがあります。そしてジャケットの下からのぞく紫のシャツも効果的なアクセントとなっていて、紫というどこか神秘的で大人びた色づかいもそうですが、ジャケットやベルトとは対照的な柔らかい素材感となっているので、その点でもうまくバランスを取っているなと思います。プレスリーらしさを意識しつつも、コリヤダ選手ならではのオリジナリティーも表現していて、よく考えられたコスチュームですね。


 4位はラトビアのデニス・ヴァシリエフス選手の「Put the Blame On Mame/Anyone to Love/Sway」。

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 イタリアのジャズトリオ、Doctor 3の「Put the Blame On Mame」とカナダの歌手、マイケル・ブーブレが歌う「Anyone to Love」と「Sway」の3曲を組み合わせたメドレープログラム。それぞれイメージの異なる曲ですが、前半はしっとりと後半は激しくダンサブルに、という曲調の変化が特徴的なプログラムとなっています。
 そんなプログラムの幅を示すようにコスチュームも独特な色づかいとデザインに。下に着ているシャツは黒一色でシンプルかつ大人の男性らしさを表しています。そしてジャケットは右側が主に光沢のある青、左側が主にクロコダイルっぽいレザー風のゴールドという左右非対称の作りとなっています。前身頃の中央部分は青とゴールドが縫い合わされていて、あえてのこの切り合わせ感がインパクトを与えます。ともすれば色づかいといいデザインといいチープになりかねないリスキーな衣装とも言えますが、質感に高級感があるのでチープな感じは皆無ですし、何よりもヴァシリエフス選手がうまく着こなしていて、彼だからこそ素敵に見える衣装なのかもしれないなと思いますね。


 5位はウズベキスタンのミーシャ・ジー選手の「タイスの瞑想曲」です。

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 フィギュア界でもおなじみの「タイスの瞑想曲」を使った正統派クラシックプログラム。ということで、衣装もシンプル・イズ・ベストといった印象です。
 何といっても目を引くのは淡いラベンダー色のトップス。裾や袖に向かうにつれて徐々に濃くなるグラデーションが美しく、また、素材も薄く柔らかな生地で曲想に合った雰囲気を醸し出しています。そして印象的なのは首元のデザインで、立て襟のような形になっており、胸元はホックのようなもので前を合わせています。その周囲は淡いベージュをベースに同系色のラインストーンやビーズなどで彩られていて、そこを中心に細かなラインストーンがトップス全体に広がっていくさまがほどよいバランスで、あくまでシンプルでありながらもちょうどよい装飾の使い方になっているなと思います。色づかいも、装飾づかいも、素材づかいも見事な衣装ですね。


 6位はカナダのケヴィン・レイノルズ選手の「アルバム「The Armed Man」より」。

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 「The Armed Man」はイギリスの作曲家、カール・ジェンキンスのアルバムで、サブタイトルとして「A Mass for Peace」=「平和へのミサ」となっているように荘厳で神聖な世界観の作品です。
 そうしたクラシカルで古風な曲想を表すように、衣装も騎士風のデザインとなっています。白いシャツの上に深みのある青を基調に明るい紫を差し色として使った上着を重ねていて、その前合わせを囲うように金糸でペイズリーっぽい模様が描かれています。袖は透け感のある素材で袖口は前合わせとおそろいのペイズリー柄で統一しています。一見スタンダードな騎士風衣装に見せつつ、トップスの独特の色づかいを始め、柔らかい素材で作られた肩章や普通騎士の衣装には使われないペイズリー柄を大胆に用いるなど、さまざまな部分でスタンダードをあえて外した個性的な衣装にもなっていて、クラシックの趣きもありつつ正統派のクラシック音楽ではない曲を使用しているからこその工夫が見られますね。


 7位はイタリアのマッテオ・リッツォ選手の「ビートルズ・メドレー」です。

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 ビートルズの「カム・トゥゲザー」、「レット・イット・ビー」(カバーバージョン)、「ヘルプ」を組み合わせたメドレー・プログラム。どちらかというと若いリッツォ選手ならではの明るさ、元気の良さ、躍動感が印象的なプログラムです。
 そうしたプログラムのイメージとは対照的にコスチュームは黒でシックにまとめています。黒いハイネックのシャツの上に同じく黒い長袖ジャケットを重ねた渋いコーディネートですが、襟から前合わせがボディ部分とは違う光沢感のある生地で縁取られていることによって、同じ黒でも変化をつけています。また、前は紐を引っかける形の飾りボタンになっていて、このあたりはどことなくチャイナ服っぽいデザインでもあり、洋服でありながら東洋っぽさも感じさせる、ミステリアスなコスチュームと言えるかもしれません。


 8位はカナダのキーガン・メッシング選手の「チャップリン・メドレー」です。

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 王道のチャップリン・メドレーということで、チャップリンらしいスーツ姿です。白シャツにグレーのベスト、その上に黒い上着を重ね、黒いスラックスを履いていて、まさにシンプル・イズ・ベストといった佇まいです。特徴的なのはタイがネクタイではなくリボンタイの変形のような結び方になっていますし、また、左の襟にクリーム色のコサージュのような飾りがあしらわれているのも印象的ですね。パッと見て斬新であるとか個性的であるといった衣装ではありませんが、チャップリンらしさを忠実に再現していると思いますし、アイテムづかいや素材感など洗練された趣きがあり、素敵な衣装だと思いますね。


 9位はスペインのハビエル・フェルナンデス選手の「ミュージカル「ラ・マンチャの男」より」。

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 名作「ドン・キホーテ」を著したセルバンテスを題材にしたミュージカル「ラ・マンチャの男」。スペインの英雄であるフェルナンデス選手にふさわしいプログラムですが、衣装はシーズン中2種類使用され、今回はシーズン後半に着用されたものを選びました。
 トップスは立て襟のついたクリーム色の長袖シャツで、胸元の編み上げが印象的です。また、トップス全体にシャーリングが施され、襟と袖口はフリル仕様になっているなど比較的フェミニンな雰囲気もあり、プログラムの力強さとのギャップがおもしろいなとも思います。この点について言えば、シーズン前半の衣装はより凝ったデザインで、騎士っぽくて男らしい衣装でそちらも印象的でしたが、捕虜になったり投獄されたりと苦労が多く貧しい人生を送ったセルバンテスや、郷士という下級貴族であったドン・キホーテのイメージを考えると、シーズン後半の簡素なコスチュームもイメージに合っていて良いなと思いますね。


 10位はジョージアのイラクリ・マイスラーゼ選手の「サウンド・オブ・サイレンス」です。

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 サイモン&ガーファンクルの名曲「サウンド・オブ・サイレンス」をアメリカのヘビメタバンド、ディスターブドがカバーしたバージョンを使用したプログラム。渋みのある男性ボーカルが印象的な作品ということで、衣装も大人びた雰囲気に。上下ともに黒一色でシックですが、トップスは葉っぱを重ねたようなデザインで、その合間に肌が透ける作りとなっていて、黒の隙間から肌がのぞくデザインにすることで大人の色気を感じさせています。こういった作りの衣装は珍しくはありませんが、葉っぱを描くというのはあまりなく、印象に残りましたね。



 ということで、ベストコスチューム17/18、男子フリー部門は以上でおしまいです。続いてアイスダンスのショートダンス部門の記事をアップしたいと思いますので、しばらくお待ちください。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは、国際スケート連盟の公式フェイスブックページから、リッポン選手の画像、コリヤダ選手の画像、メッシング選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、宇野選手の画像、レイノルズ選手の画像、リッツォ選手の画像は、マルチメディアサイト「Newscom」から、ヴァシリエフス選手の画像は、マリア・カテショワ氏の公式ツイッターから、ジー選手の画像は、AFPBB Newsが2018年2月17日の14:42に配信した記事「フィギュア男子で17位のミーシャ・ジー、平昌五輪」から、フェルナンデス選手の画像は、スペインの新聞「エル・ムンド」のニュースサイトが2018年2月17日の6:19に配信した記事「Segunda medalla española en 48 horas: el bronce que confirma a Javier Fernández」から、マイスラーゼ選手の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2018-04-30 23:22 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 17/18シーズンのコスチュームをランキング形式で紹介するベストコスチューム17/18。個人的に素敵だなと思った現役選手たちのコスチュームをカテゴリー別に1位から10位まで見ていきたいと思います。この記事では男子のショートプログラムで使用された衣装のベスト10を紹介していきます。
 なお、衣装を選ぶ上で以下のような条件を設定しました。


●17/18シーズンに着用された衣装が対象。
●グランプリシリーズ、欧州選手権、四大陸選手権、平昌オリンピック、世界選手権に出場した選手が、該当する試合で着用した衣装のみ対象とする。
●各部門において各選手1着のみに限定。1つのプログラムで複数の衣装を使用している場合でも、1着しか対象にならない。また、1人の選手が1シーズンで複数のプログラムをを使用した場合でも1つの衣装しか対象にならない。
●17/18シーズンに使用した衣装でも、すでに昨シーズン以前に使用されている衣装は対象外とする。また、昨シーズン以前に使用した衣装とほぼ同じデザイン、コンセプトの衣装も対象から外す。



 これらの条件を基に、まずは男子のショートプログラムにおけるトップ10を選びましたので、さっそく順を追って紹介していきます。

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 男子ショートプログラム部門の1位は、日本の宇野昌磨選手の「冬 「四季」より」です。

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 このプログラムで宇野選手は2着の衣装を使用し、もう一つのグレー&シルバーの衣装も非常に素晴らしかったのですが、今回は黒を基調とした衣装の方を選びました。
 トップスとボトムスが繋がったオールインワンのようなコスチュームで、ボトムスはシンプルに黒一色。一方、トップスの方は黒地をベースに紫をところどころ配したシックな色づかいで、ベースとなる黒も真っ黒ではなく、肩、胸の辺りは透け感があり、お腹の方に行くにつれてグラデーションで濃くなる素材で変化をつけています。さらにその上に同色系のラインストーンで細かく曲線的なラインが縦に描かれ、複雑な模様を作り出しています。そして何よりこの衣装を特徴づけているのが紫で、チュールのような透け感のある素材の紫色の羽根状の装飾が胸から肩にかけてふんだんにあしらわれていて、色づかいは落ち着いていますが華やかな印象を与えます。「冬」というテーマで考えると、この衣装よりももう一方のグレーの衣装の方が冬らしい色づかいと言えるかもしれないのですが、黒と紫という定番とは違う色づかいが新鮮に感じましたし、この色の組み合わせならではのダークさが冬のミステリアスなさまをより強調しているような気もして、印象に残りましたね。


 2位となったのはスペインのハビエル・フェルナンデス選手の「映画『モダン・タイムス』より」です。

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 チャップリンをテーマにした17/18シーズンのフェルナンデス選手のSP。フェルナンデス選手は以前にもチャップリンをテーマにしたプログラムを演じたことがありますが、その時とはプログラムの雰囲気も、そして衣装もガラリと変えています。
 トップスは白いシャツに黒いジャケットを重ねたコーディネートで、白シャツはスタンドカラーになっています。そして最も特徴的なのがジャケットで、シルバーのボタン2つのみで前合わせを留める一風変わったデザイン。ジャケットの縁取りもジャケット本体の黒とは違うグレーで模様をつけた縁取りになっている上に、曲線的なフォルムになっているので、端正さを感じさせるとともにチャップリンらしいゆるさもうかがわせます。また、ジャケットの形自体も身体にぴったりフィットした作りで、これも一般的なジャケットスタイルとは違ってフェルナンデス選手の身体の線の美しさを際立たせているように思います。パッと見て華やかさがある衣装ではありませんが、ジャケットの縁取りや胸元のコサージュなど、細かい部分からこだわりが感じられて、全体的にクオリティーが高く洗練された衣装と言えますね。


 3位はロシアのミハイル・コリヤダ選手の「ピアノ協奏曲第23番/タンゴ」です。

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 モーツァルトの「ピアノ協奏曲第23番」とタンゴを組み合わせた比較的しっとりとしたプログラム。ということでコスチュームも白と黒のシックな色づかいです。体の左側が白、右側が黒となっていて、体の中心で黒と白が入り混じるようなデザイン。この入り混じる部分が絶妙なグラデーションとなっていて、また、ただ色を付けるだけではなく細かなラインストーンを散りばめながら模様としてもうまく利用していて、良いアクセントだなと思います。派手さがある衣装ではありませんが、プログラムの雰囲気によく合っていて、バランスの取れた衣装ではないでしょうか。


 4位はロシアのドミトリー・アリエフ選手の「仮面舞踏会」です。

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 ロシアを代表する作曲家の一人、ハチャトゥリアンの代表作「仮面舞踏会」。浅田真央さんやタチアナ・ボロソジャー&マキシム・トランコフ組が演じたことでも知られる人気曲です。
 そんな名曲をアリエフ選手は衣装でもオーソドックスに表現。軍人風の気品溢れるコスチュームは艶のある臙脂色で高貴な雰囲気を醸しつつ、繊細な刺繍が施された襟や肩章、袖口、大ぶりなボタンなど細部まで実に本格的な作りとなっています。上述したボロソジャー&トランコフ組のトランコフ選手もこのような軍服風の衣装でしたが、トランコフ選手はネイビーを基調としたシックなもので、一方、アリエフ選手の衣装は鮮やかな臙脂色ということでより華やかさを感じさせて似合っているなと思いますし、何よりもアリエフ選手のノーブルなたたずまいにぴったりな衣装と言えますね。


 5位はラトビアのデニス・ヴァシリエフス選手の「妙なる調和 オペラ「トスカ」より」。

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 「トスカ」の中でも著名なアリアの一つ、「妙なる調和」を使用した高貴な雰囲気のプログラム。ということで衣装も貴族風の洗練されたデザインとなっています。
 まず特徴的なのはベストの下に着用した白いシャツ。襟はスタンドカラーで、そこにジャボと呼ばれる胸飾りがあしらわれています。ジャボそのものはレースで縁取りされていて、それをイエロートパーズのような宝石風の装飾で留めていて高級感を感じさせます。さらに袖はふんわりと広がった作りで袖口はジャボとおそろいのレースづかいで、甘美な世界観を作り出しています。そのシャツに上に重ねたベストは前面が黒、背面はグレーというシックな色づかい。ですが前面は黒の中にも同色でレースっぽい繊細な模様を施しているので、黒一色と言えどものっぺりした印象にならず絶妙な変化をつけています。全体的に使用している色の数は少なめでシンプルですが、細部までこだわりの感じられる非常に考えられたコスチュームだなと思いますね。


 6位はアメリカのアダム・リッポン選手の「Let Me Think About It」です。

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 使用曲の「Let Me Think About It」自体は16/17シーズンから使用しているプログラムですが、衣装は全くイメージの異なるものにチェンジしました。
 トップスはスタンドカラーで袖は半袖。ベースとなっているのは透け感のある臙脂色の生地で、そこにレザー風の光沢感のある黒い素材で左右対称のラインを描いています。黒いラインやパンツのウエスト部分ははシルバーのラインストーンで縁取りされていて、リッポン選手らしいキラキラ要素も忘れていません。衣装の形や色自体はそこまで派手だったり奇抜だったりするわけではありませんが、やはりほかのスケーターにはない独創性が感じられる衣装で印象に残りますね。


 7位はカナダのパトリック・チャン選手の「Dust in the Wind」。

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 アメリカのロックバンド、カンサスの「Dust in the Wind」を使用したプログラム。ロックバンドの曲といっても曲調は穏やかかつ柔らかく、コスチュームもそうした曲想に合わせてシックなデザインとなっています。
 色は白と黒のモノトーン。首回りは白ですが、点描のように黒が白に入り混じり、徐々に黒の点描の分量が多くなって胸から下、二の腕から下は完全な黒一色になるというグラデーションが特徴的なデザインになっています。それ以外に装飾などはなく、パッと見は地味な衣装なのですが、グラデーションの部分がとにかく繊細で美しく、「Dust in the Wind」という曲名のイメージもうまく表現しているなと思います。


 8位はアメリカのジェイソン・ブラウン選手の「The Room Where It Happens ミュージカル「ハミルトン」より」。

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 アメリカの建国の父の一人と言われる政治家、アレクサンダー・ハミルトンの人生を題材にしたミュージカル「ハミルトン」。その劇中曲である「The Room Where It Happens」はポップで明るくノリの良い曲で、ブラウン選手の踊り心がいかんなく発揮されたプログラムとなりました。
 そんなプログラムに合わせた衣装は白い襟なしのシャツの上に個性的なデザインのベストを重ねたコーディネート。白シャツは胸元にフリルのような飾りのついたデザイン性のあるもので、さらにその上に着たワイン色のベストは、大ぶりの襟や多めにあしらわれたボタンが黒という色づかい。シャツにベストというスタイル自体はよく見られるものですが、シャツもベストも遊びを取り入れた作りとなっていて、さらにはワイン色のベストの下からグレーのベストがのぞいていて、普通ならばありえないベスト・オン・ベストという個性的なスタイルにすることで、きっちりした印象になりすぎず、楽しいミュージカルプログラムらしい軽やかさが生まれているのかなと思います。


 9位はメキシコのドノヴァン・カリージョ選手の「Capone」です。

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 プログラムに使用しているのは「Capone」という曲で、アイリッシュダンスのショー「Celtic Tiger Live」の劇中曲となっています。曲名からすると伝説のギャング、アル・カポネをテーマにしているのかなという感じで、曲中にパトカーのサイレンが鳴り響くなど個性的なプログラムとなっています。
 そんなプログラムのイメージに合わせたのかコスチュームもギャング風のデザインに。シャツ&ベスト&ネクタイという一見紳士風ではありますが、ネクタイやポケットチーフ、さらには上の画像では見えませんがベストの背面を赤一色にするなど、派手な赤をアクセントとして効果的に使うことでインパクトのある衣装に仕上げています。さらにはベスト、パンツともに黒地に白のストライプというあえて正統からはずしたスタイルにすることでギャングのようなアウトロー感が出ていますし、シャツの襟やベストの縁取りにあしらわれたシルバーのラインストーン、また、ボタンから腰にかけられた金色のチェーンからも、そういったギャングっぽい華やかさというのがうかがえて、プログラムの世界観を忠実に再現した衣装だなと思います。


 10位はカザフスタンのデニス・テン選手の「Tu Sei」です。

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 イタリアのテノール歌手、ヴィットリオ・グリゴーロが歌う「Tu Sei」。テノールならではの大人の男性の色香を感じさせる曲です。
 テン選手はこのプログラムで数種類の衣装を着用しましたが、その中でも平昌五輪で着用した深みのあるブルーの衣装が最も曲想に合っているように思います。シャツの形自体はシンプルなスキッパー長袖シャツ。その前面にタックが入り、ラインストーンがふんだんに施されています。多すぎもせず少なすぎもせず、バランス良く散りばめられた装飾が鮮やかな青を背景にキラキラと光を放っていて、シンプルではあるけれども絶妙な華やかさを醸し出していると思いますね。



 ベストコスチューム17/18、男子SP部門は以上です。フリー部門に続きます。では。


:記事冒頭の国際スケート連盟のロゴは国際スケート連盟の公式フェイスブックページから、宇野選手の画像、コリヤダ選手の画像、チャン選手の画像は、スポーツ情報サイト「スポーツナビ」のフィギュアスケートページから、フェルナンデス選手の画像。リッポン選手の画像、ブラウン選手の画像は、マルチメディアサイト「zimbio」から、アリエフ選手の画像は、写真画像サイト「ゲッティイメージズ」から、ヴァシリエフス選手の画像は、マリア・カテショワ氏の公式ツイッターから、カリージョ選手の画像はウィキペディアのカリージョ選手のスペイン語のページから、テン選手の画像は、音楽設計会社「Sk8mix」の公式サイトから引用させていただきました。

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# by hitsujigusa | 2018-04-19 17:32 | フィギュアスケート(衣装関連) | Trackback | Comments(0)

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 前記事に引き続き、世界選手権2018の男子とアイスダンスの競技内容について書いていきます。なお、前編はこちらのリンクからご覧ください。

ISU World Championships 2018 この大会の詳しい結果、各選手の採点表が見られます。

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 男子の6位となったのはラトビアの有望株、デニス・ヴァシリエフス選手です。

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 SPは最初に3+3を確実に跳ぶと、続いて3アクセル、後半には3フリップと全て危なげなく着氷。ほかの要素でも目立った取りこぼしなくまとめ、パーソナルベストに迫る得点で9位につけます。
 フリーも4回転には挑まず、冒頭に得点源の3アクセル2本を固め、2本とも完璧に下ります。次いで3トゥループを難なく決め、後半は3ループ、3+1+3、2アクセル+2トゥループ、3フリップ、3ルッツと次々に成功。ステップシークエンス、スピンは全てレベル4かつ軒並み高い加点を積み重ね、演技を終えたヴァシリエフス選手は満面に笑みを浮かべました。得点はこれまでのパーソナルベストを約12点超える170.61点でフリー5位、総合でも自己ベストを11点ほど更新し自己最高の6位に入りました。
 ショート、フリーともに減点がゼロのまさに会心の出来で本当に素晴らしかったですね。特にフリーは盛り上がるプログラムですので観客をぐいぐい引き込んでいて、曲がアップテンポに変わる終盤は女性たちの黄色い歓声がたびたび上がっていて、あれだけ黄色い歓声を引き出せるスケーターというのは世界的にもそんなに多くはいませんので、表現者としても改めて魅力的な選手だなと感じました。すでに世界選手権は3度目ということでおなじみの選手ではありますが、今季は表現面での洗練度合いがぐっと伸びた印象があり、4回転がなくても魅せられる稀有なスケーターとしてさらに楽しみになりましたね。もちろん4回転がないと世界のトップレベルで戦い続けるのは難しいので、来季は4回転の完全な習得が課題になるでしょうが、うまくジャンプと表現を両立して、またヴァシリエフス選手らしい演技を見せてほしいと思います。


 7位は欧州選手権銀メダリスト、ロシアのドミトリー・アリエフ選手です。

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 ショート冒頭は大技の4ルッツ+3トゥループ、完璧な着氷に見えましたが4ルッツがアンダーローテーション(軽度の回転不足)の判定に。続けて4トゥループでしたが、こちらはパンクして3回転となり、3トゥループの繰り返しで無得点になる痛いミス。後半の3アクセルは何とか下りますが、2つのジャンプミスが響き、自己ベストから17点近く低いスコアで13位と出遅れます。
 フリーもまずは4ルッツ、今度はしっかり回り切って下り加点を得ます。続いて4トゥループ+3トゥループはきれいに下りたかに見えたものの4トゥループがわずかに回転不足の判定。しかし、次の単独の4トゥループは回り切って着氷し、上々の滑り出しとします。後半は3ルッツからの予定でしたが、若干跳ぶタイミングが早かったためかこの3ルッツは後半には含まれず。次いで3アクセルは回転が抜けて1回転に。3+1+3の3連続ジャンプは決め、2本目の3アクセルはアンダーローテーションでしたが何とか下り、最後の3フリップも着氷でこらえました。得点は170.15点でフリー6位、総合7位と順位を上げました。
 SPは4ルッツがアンダーローテーションとはいえ大きなミスなく下りただけに、次の4トゥループの失敗がもったいなかったですね。ただ、フリーでは4ルッツも4トゥループもクリーンに成功させていて、基本的には4回転の成功率はとても高い選手だと思うので、実戦になるとちょっとした体の感覚のズレだったり精神的な揺らぎだったりでまだ危なっかしいところがあるのかなという気がします。また、演技後半でミスすることが多いという印象なので、そのあたりは体力面の問題もあるのでしょうが、オフシーズンの強化で急激に成長する可能性も大いにありますので、来季のさらなる躍進に期待したいですね。


 8位はカナダのキーガン・メッシング選手です。

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 SP冒頭は得点源の4トゥループ+3トゥループ、これをパーフェクトな流れで決めて1.57点の加点を得ます。さらに3アクセルも鮮やかに成功させ1.86点の加点と最高のスタートに。終盤の3ルッツも余裕で下り、スピンやステップシークエンスでも高い加点を稼ぎ、フィニッシュしたメッシング選手は派手なガッツポーズで歓喜を爆発させました。得点は自己ベストを6点以上更新する93.00点で6位と好発進しました。
 フリーはまず得意の3ルッツからでしたが若干着氷が乱れます。続いて4トゥループはパンクして3回転に。ですが、次の3アクセル+2トゥループ+2ループは完璧に成功させます。後半最初は2本目の4トゥループでしたがこちらは転倒。直後の3+3、3アクセルと高い質で決めましたが、3ループは2回転、最後の3フリップは踏み切りのエッジエラーで減点となり、159.30点でフリー11位、総合8位と順位を落としました。
 ショートはまさにパーフェクトな出来で、あのジャンプの美しさを見る限り、ジャンプの調子自体は悪くなかったのでしょうが、26歳のメッシング選手にとって初めての世界選手権で、しかもいきなり最終グループに入ったことによって独特の緊張を感じたでしょうし、1本目の4トゥループを失敗したことで2本目にも引きずってしまい、その後もリズムをつかみきれなかったのかなと想像します。ただ、ジャンプやスピンの質の高さは世界のトップレベルと比較しても遜色なく、実際に頻繁に高い加点もついているので、今回のショートのような演技をコンスタントに続けていけばまだまだ得点は伸びていくのかなと思います。また、小柄な体ながらダイナミックでスケールの大きな表現ができる選手でもあるので、安定感が増すと演技構成点もさらに高まっていきそうですね。


 日本の田中刑事選手は13位となりました。

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 SPは冒頭の4サルコウを耐えながらもクリーンに決めて好調な滑り出しを見せると、次いで3+3も成功。勢いに乗って後半の3アクセルも下りたいところでしたが、パンクして2アクセルに。得点は80.17点で14位にとどまります。

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 フリーもまずは4サルコウからでしたが、着氷でステップアウトします。続いて2本目の4サルコウは2トゥループを付けコンビネーションとしてきっちり成功。さらに3アクセルもクリーンに下ります。後半は鍵を握る4トゥループ、しかし回転が抜けて3回転に。3アクセル+2トゥループ、3フリップも着氷が乱れます。終盤の3ループ、3サルコウはきれいに決めましたが、複数のジャンプミスが響き、156.49点でフリー12位、総合13位で2度目の世界選手権を終えました。
 五輪後に新調したスケート靴が大会直前に破損し、その状態のままで使用せざるをえなかったとのことで、最後まで田中選手らしさを取り戻せなかったという印象ですね。靴の問題だけではなく、五輪という大舞台にピークを合わせた後で、再び世界選手権で調子を上げなければならないという難しさももちろんあったと思いますので、そのあたりも影響したのでしょうね。ただ、ジャンプが決まらない中でも演技自体は集中を切らすことなく、スピンやステップもしっかりとレベルを取れていましたので、1年前と比べても確実に成長の跡がうかがえましたね。
 田中選手にとっては2年連続で悔しい世界選手権となってしまったと思いますが、苦しい状況でも大崩れせずまとめられたことを収穫として来季に活かしていってほしいなと願っています。



 ここからはアイスダンス。

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 3度目の優勝を果たしたのは平昌五輪銀メダル、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組です。SDは序盤のパターンダンスこそレベル3でしたが、そのほかのエレメンツは全てレベル4、また多くのジャッジが満点となる加点3を与え、世界歴代最高得点となる83.73点を叩き出し堂々の首位に立ちました。FDは安定感抜群のツイズルで幕を開けると、その後も全てのエレメンツでレベル4を連発。最後まで隙のない演技で演技構成点は5項目中3項目で10点満点の高評価を得、こちらも世界歴代最高の123.47点で1位、トータルは207.20点でもちろん歴代最高。他を寄せつけることなく圧巻の王座返り咲きとなりました。
 先月の五輪ではSDのまさかのアクシデントで、僅差ながらテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイアの後塵を拝したパパダキス&シゼロン組。今大会はヴァーチュー&モイア組は不在ということで圧倒的な優勝候補として臨み、その期待を裏切らない演技で2年ぶりに世界の頂点に立ちました。優勝が当たり前と思われている中で期待どおりの演技をするという精神力の強さには改めて感嘆しますね。来季もアイスダンス界はパパダキス&シゼロン組を中心とした勢力図になることは間違いないでしょうから、その多大な重圧の中でこのカップルがどんな演技を見せてくれるのか、期待したいと思います。世界選手権優勝、おめでとうございました。

 2位は全米王者、マディソン・ハベル&ザカリー・ドノヒュー組です。SDは全てのエレメンツでレベル4を獲得、演技構成点でも5項目で9点台前半から半ばを揃え、世界歴代3位となる80.42点で2位と好発進。FDも全要素でレベル4を揃える会心の演技を披露し、世界歴代4位の116.22点で2位、トータルでも世界歴代3位のハイスコアで初めて表彰台を射止めました。
 五輪はショート3位と好位置につけながら、フリーでエレメンツが一つ無得点になる致命的な失敗がありメダルを逃したハベル&ドノヒュー組。そのリベンジを期す今大会だったと思いますが、二人にとって理想的な演技、展開となりましたね。11/12シーズンからカップルを結成しているハベル&ドノヒュー組ですが、GPシリーズでの優勝はショートのみで大会が打ち切られたフランス大会の1試合だけ、全米選手権もずっと3位か4位が定位置というなかなか殻を破り切れないカップルという印象でした。ただ、今季は全米で初優勝し、五輪でもあと一歩のところでメダルと着実に安定感を増し、最高のハッピーエンドを迎えましたね。また、来季に向けてということを考えても、ハベル&ドノヒュー組が世界歴代3位の得点を出した意味合いは大きく、パパダキス&シゼロン組に今後どこまで肉薄できるか、そして平昌五輪で銅メダルを手にした同国のライバル、マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組との争いもさらに熾烈になりそうで、今季以上に注目の存在になるのは間違いないですね。

 3位はカナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組です。SDは後半のステップ以外はレベル4を並べ、自己ベストの78.31点で3位につけます。FDも目立ったミス、取りこぼしなく安定感のある滑りを見せ自己ベストで4位、トータルでも自己ベストで僅差ながら4位のカップルをかわし、3年ぶりにメダルを獲得しました。
 今大会は五輪でトップ10に入ったカップルのうち、3組が欠場したこともあって、ウィーバー&ポジェ組にとっては久しぶりに表彰台に手が届く可能性のある試合でしたが、ショート、フリーともに確実性の高い演技でチャンスをつかみましたね。フリーは4位だったのでギリギリの表彰台でしたが、ショートでまず好スタートを切ったことで自信を持ってフリーに臨めたのかなと思います。

 以下、4位は地元イタリアのベテラン、アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組、5位はアメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組、6位はカナダのパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組、7位はロシアのアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組、8位もロシアのティファニー・ザゴースキー&ジョナサン・ゲレイロ組となりました。

 日本の村元哉中&クリス・リード組は11位と健闘し、日本勢最高位を更新しました。

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 SDは冒頭のツイズルをレベル4で成功させると、その後のステップやパターンダンスも丁寧に取りこぼしなくクリアし、自己ベストの65.65点で10位と好発進。FDもレベル4のツイズルで幕を開けると、ステップ、スピンを全てレベル3もしくは4でまとめ、坂本龍一さんの音楽に乗せたエレガントで清らかなプログラムを全身で余すことなく表現。フィニッシュするとリード選手は氷の上にしゃがみ込み、その背中を村元選手が称えるように優しく叩き、達成感を滲ませました。得点はこちらも自己最高の98.73点で11位、総合では日本のアイスダンス勢にとって過去最高の11位に入りました。
 SDは10位ということで村元&リード組が目標に掲げてきた世界選手権のトップ10入り目前にまで迫りましたが、FDで1組に追い越されて惜しくも11位でした。ただ、今できる彼らのベストは出し切ったと思いますし、その結果での11位なのである程度満足感はあるんじゃないかなと思います。
 二人にとって今季はシーズンを通して怪我なく良いコンディションを保って戦い切ったシーズンとなり、毎試合確実に成長を遂げてきました。特にシーズン後半は四大陸選手権でアジア勢初の表彰台、念願の五輪出場と貴重な経験を積み重ね、シーズン集大成の世界選手権でも自己ベスト更新と、本当に強いカップルになったなと実感します。それでもまだまだ世界のトップレベルとは実力差があるということで、村元&リード組にはさらに上のポジションを狙っていってほしいですし、それができるチームだと思うので、来季も日本のアイスダンスの新たな歴史を作っていってほしいですね。



 さて、世界選手権2018、男子&アイスダンス編は以上です。
 男子は終わってみればGPファイナルの表彰台と全く同じ顔ぶれで、実力どおりのワンツースリーだったと言えるのですが、演技内容、試合展開はファイナルの時とは全く違っていて、シーズン中のさまざまな経験を経てのそれぞれの選手の変化、成長が感じられましたね。来季以降も彼らが男子フィギュア界をリードしていくのは間違いないでしょう。
 一方、アイスダンスはしばらくはパパダキス&シゼロン時代が続くことを予感させる大会となり、それに次ぐ存在としてハベル&ドノヒュー組の急成長はアイスダンス界の勢力図に変化をもたらしていて、来季はどのカップルがパパダキス&シゼロン組に最も迫れるのかが注目ポイントとなりそうですね。
 ということで、17/18シーズンはこれで実質的に終了となります。あっという間の秋から冬、そして春でしたが、最後まで選手たちのエモーショナルな演技、思いがけないドラマを見せて頂いて、今は感謝の気持ちでいっぱいです。今季を持って引退する選手、一区切りをつける選手、そして新たな一歩を踏み出した選手、皆さんの幸運を祈りたいと思います。では。


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# by hitsujigusa | 2018-03-30 20:51 | フィギュアスケート(大会関連) | Trackback | Comments(0)